JP4860926B2 - 物質を制御可能に放出するための埋め込み可能な医療用装置 - Google Patents

物質を制御可能に放出するための埋め込み可能な医療用装置 Download PDF

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Description

発明の詳細な説明
本発明は、埋め込み可能な医療用装置に監視、更に詳細には、膀胱または消化管などの体腔中に物質を制御可能に放出するための装置に関する。
長期にわたって体腔内に物質を放出させるのが望ましいときは幾つかの例がある。
例えば、Ding等への米国特許No.6,364,856は、生物学的な活性剤を放出するための、スポンジコーティングで覆われた膨張可能な部分を有する医療用装置を開示している。このスポンジコーティングは、複数の孔隙を有する非ヒドロゲルポリマーで形成されている。この装置は、生物学的な活性剤または薬を孔隙中に注入するか放出させる手段を更に有する。薬は、この薬を放出させ、カテーテルまたは装置の膨張可能な部分を膨張させることによって、患者の体腔へ運ばれる。
Sullivan等への米国特許No.6,187,038は、生物学の膠原材料(collagenic material)で形成された内導管と、この内導管を囲みこの内導管との間の環状の隙間を既定する外側スリーブとを有する血管用の複合移植を開示している。高分子ファブリック、生物学的に活性の複合物が、持続放出性の賦形剤に支持された環状の隙間にある。
Harleへの米国特許No.6,187,768は、体内組織に埋め込むための小体を開示している。薬が、埋め込み後に体内組織中へと放出するために生物学的に不活性の材料で形成されたキャリヤで与えられる。キャリヤの表面対容量の比率は、体内から容易に引き出されるように、従来の小体の一部を形成するキャリヤよりも満足なものである。
Yachia等への米国特許No.6,293,923および6,398,718は、膀胱中に物質を放出させるように適合可能な、膀胱中へ挿入するための装置を説明している。
幾つかの従来技術の装置により、この装置から物質が放出される比率が割り出され得るが、物質の放出は、特定の応用例で求められることがあるように時間をかけて繰り返し開始および停止されることはできなかった。
かくして、本発明は、その第1の態様で、電解液を含む体腔中に1つもしくは複数の物質を制御可能に放出する医療用装置であって、
a)第1および第2の端子を有する電源と、
b)第1の表面上に設けられ、第1の金属から形成された金属部を少なくとも各々が有する複数のブリスターのような小胞と、
c)各小胞ごとにこの小胞の前記金属部と電源の前記第1の端子との間に設けられ、夫々にスイッチを備え、このスイッチが閉じられると金属部を陽極として働くようにさせる電気接続部と、
d)電源の前記第2の端子に取付けられ、第2の金属から形成された陰極とを具備し、この陰極は、本装置が体腔内にあるときに、電解液が入ることの可能な間隔だけ前記陽極から分離される装置を提供している。
かくして、本発明は、その第2の態様で、個人の体腔を治療するためのシステムであって、
a)本発明の装置と、
b)この装置を体内に挿入するか、体腔から取り出すための、前記装置を解放可能に掴まえる掴み装置(gripping device)が端部に取付けられたアプリケータとを具備するシステムを提供している。
かくして、本発明は、その第3の態様で、個人の体腔を治療するためのシステムであって、
a)本発明の装置と、
b)この装置を体内に挿入するか、体腔から取り出すための、前記装置を解放可能に掴まえる掴み装置が端部に取付けられたアプリケータと、
c)バルーンを膨張させるための膨張装置とを具備するシステムを提供している。
かくして、本発明は、その第4の態様で、個人の電解液を含む体腔中に1つもしくは複数の物質を放出する方法であって、
a)本発明の装置の小胞中に前記1つもしくは複数の物質を装填する工程と、
b)装置を体腔中に挿入する工程と、
c)バルーンを膀胱内で膨張させる工程と、
d)バルーンを膀胱内で所定の位置へ移動させる工程とを具備する方法を提供している。
かくして、本発明は、その第5の態様で、個人の電解液を含む体腔中に1つもしくは複数の物質を放出する方法であって、
a)本発明の装置の小胞中に前記1つもしくは複数の物質を装填する工程と、
b)装置を体腔中に挿入する工程と、
c)バルーンを体腔内で膨張させる工程とを具備する方法を提供している。
本発明を理解し、実際にはどのように実行され得るのかを知るために、好ましい実施形態が、非制限的な例として挙げられ、添付図面を参照しながら説明される。
本発明に係わって体腔内に1つもしくは複数の物質を制御可能に放出するための第1の実施形態の装置100を示す図1を参照する。複数のブリスター(blister)105が、装置の第1の表面110に設けられている。この第1の表面110は、ゴムなどの絶縁材料から形成されている。各ブリスター105は、内腔120を囲む壁部115を有する。各ブリスターの内腔120には、体腔中に放出される1つもしくは複数の物質(図示されず)が装填される。各ブリスターの壁部115は、全体的に金属で形成されるか、金属部を有し得る。図1に示された実施形態では、各ブリスターは、本明細書では“陽極”と言及された金属部125を有する。装置100の第2の表面130(“陰極”と言及されている)は、第2の金属から形成されている。
装置は、電源135を更に有する。各陽極125は、個々の電気接続部145を介して電源135の第1の端子140に接続されている。この接続部145は、スイッチ150を有する。陰極130は、電源135の第2の端子に接続されている。
装置は、個々の接続部160によって各スイッチ145に接続され、所定時間に各スイッチを閉じるように構成されたプロセッサ155を更に有する。例えば、このプロセッサ155は、4時間ごとに、または他の所定時間に1つのスイッチを閉じるように構成され得る。あるいは、スイッチは、体外に(図示されず)配置される遠隔制御部を利用して閉じられ得る。例えば、使用者は、毎晩寝る前にスイッチを閉じるようにこの遠隔制御部を使用するように教えられ得る。更なる他の例として、装置100は、プロセッサに入力される体腔内の状況を監視するための1つもしくは複数の検出器(図示されず)を有して、体腔内が所定の状況下にあるときにはプロセッサがスイッチを閉じるようにしてもよい。
装置1 00はまた、この装置100が体外に(図示されず)配置された第2の磁石を用いて体腔内に位置され得るようにするために、磁石165を有し得る。
図2は、他の実施形態の装置200を示す。この実施形態では、複数のブリスター205が、円筒形の表面210に設けられている。この円筒形の表面210は、ゴムなどの絶縁材料から形成されている。各ブリスター205は、内腔220を囲む壁部215を有する。各ブリスターの内腔220には、体腔中に放出される1つもしくは複数の物質(図示されず)が装填される。各ブリスターの壁部215は、全体に金属で形成されるか、金属部を有し得る。図2に示された実施形態では、各ブリスターは、本明細書で“陽極”と言及された金属部225を有する。
円筒形の表面210の内部が、電源235である。各陽極225は、個々の電気接続部245を介して、この電源235の第1の端子240に接続されている。接続部245は、スイッチ250を有する。
円筒形の表面の内部は、更に、個々の接続部260を介して各スイッチ245に接続され、および所定時間に各スイッチを閉じるように構成されたプロセッサ255を有してもよい。あるいは、スイッチは、体外に(図示されず)配置された遠隔制御部を利用して閉じられてもよい。
円筒形の表面240を、この円筒形表面240と同軸の円筒形形状の陰極230が囲んでいる。この構成は、剛体の径方向ロッド270によって維持される。陰極230は、第2の金属で形成され、好ましくは網目状の構造を有する。陰極230は、電源135の第2の端子に接続されている。
装置200はまた、体外に(図示されず)配置された第2の磁石を利用してこの装置200が体腔内に位置され得るようにするために、磁石265を有し得る。
装置200は、図3に示されているように、膨張可能なバルーン301に設けられ得る。生物学的に適合可能な材料で形成されたバルーンの壁部302が、内腔304を囲んでいる。膨張されたバルーンは、特定の実施形態で求められるような所定の望ましい形状を有し得る。好ましい実施形態では、バルーン301は、図3に示されているようにドーナッツ形状(torroidal shape)を有する。バルーン301は、内部に設けられる装置200を有さない形で図4に示されている。バルーンは、装置200を受け入れる大きさにされた円筒形の穴400を囲む。装置200は、膨張されたときにバルーン301の壁部302によってこの装置200にかけられる圧力を利用して穴400内にしっかりと取付けられる。
バルーン301の内腔304には、空気、水、生理食塩水、またはパラフィン等のオイルなどの事前に殺菌され得る生物学的に適合可能な流体が装填され得る。バルーン301は更に、外部の磁石を利用して本装置を体腔内に位置させるために、磁化可能な部分(図示されず)を有し得る。この磁化可能な部分は、例えば、壁部302の内面に取付けられるか、壁部302内に埋め込まれ、内腔304内ではフリーな1つもしくは複数の金属粒子からなっていてよい。
バルーンの壁部の自己密閉弁305が、バルーンを膨らませるために使用される。この弁305は、例えば、図5に示されているようなカモノハシ(duck-bill)タイプの弁や、図6に示されているようなボール弁であってよい。このボール弁では、ボール508が、密閉位置(図6A)か非密閉位置(図6B)に位置し得る。注射器507のカニューレ506が、弁305を通ってバルーンの内腔304中に挿入される。内腔304中に注入された流体により、バルーン301が膨張され得る。装填後に、注射針506が引き出され、弁305がバルーンを密閉する。装置200が設けられた膨張バルーンは、体腔内の電解液中で浮かぶか沈み得る。
図7に示されているように、最初に、装置―バルーン組立て体308が、以下に詳述されるアプリケータ720(図7A)を用いてバルーン301がしぼんだ状態で体腔へ運ばれる。アプリケータ720から装置―バルーン組立て体308が体腔内に解放された後、バルーン301は、注射器507から流体724が装填される(図7B)。あるいは、図8Aに示されているように、装置―バルーン組立て体308のバルーン301には、圧縮可能な流体が装填され得る。かくして、アプリケータ820を用いて膀胱内に挿入される前に、バルーン301が圧縮される。事前に装填されたバルーンを有する装置―バルーン組立て体308は、制限スリーブ826(図8A)によって最初は閉じたままで維持されるフランジ823によって掴まえられている。装置―バルーン組立て体308を有するアプリケータ820が体腔中に挿入された後、リング825が、図8Bで矢印121によって示されている方向に引っ張られる。これによって、制限スリーブ826がフランジ823から離れるように付勢し、その結果、フランジ823が事前に装填されたバルーン301を有する装置―バルーン組立て体308を体腔中に開口させるか解放させ得るようにする。
図9は、装置―バルーン組立て体308を女性の膀胱942の内腔941中に挿入するためのアプリケータ920の使用を示す。図10は、装置―バルーン組立て体308を男性の膀胱942の内腔中に挿入するためのアプリケータ920の使用を示す。いずれの場合にも、装置―バルーン組立て体308は、最初は、アプリケータ920の先端部(図9および10)の閉じたフランジ923Aによって掴まえられている。装置―バルーン組立て体308を有するアプリケータの先端部が、これが、膀胱942の内腔941に到達するまで尿道中に挿入される。続いて、装置―バルーン組立て体308が、制限スリーブ926を保持しながらリング925を引っ張ってフランジ923Bを開口させることによって、アプリケータから解放される。そして、アプリケータ920が、装置―バルーン組立て体を膀胱の内腔41内に残して、体外に取り出される。
図11は、全体に符号930として示された装置―バルーン組立て体308を体腔から取り出すための回収装置を示している。カテーテル927は、その先端部928に磁化可能な部分929を有し、その磁化可能な粒子がバルーン301または装置200と結合されることによって装置バルーン組立て体308をその先端部928で把持し得るようにされている。
回収装置930が、体腔中に挿入される。この回収装置のフランジ831を開口させた後に、磁化可能な部分929を先端部に有する係合プローブ932が、装置200またはバルーン301と結合された磁石と係合するように、体腔中に挿入される。続いて、プローブ932が、バルーン301を回収装置930のフランジ831の掴み部中に持ってくるように引っ張られる。穴あけ器933が、バルーン301中に挿入されて、その内腔304内に収容された流体724を付属の注射器(図示されず)か体腔中に流出させる。そして、回収装置930が、装置200およびしぼんだバルーン301と共に体内から引き出される。
図12は、装置―バルーン組立て体308を体腔内の所定の位置に配置させるための移動部材951を示す。この移動部材951は、個人の体外に配置されるもので、磁化可能な部分952を有する。移動部材951は、装置―バルーン組立て体を体腔内の所定位置へと動かすために、個人の体の表面の所定位置に配置される。
図13は、装置―バルーン組立て体308を体腔内の所定位置に保持するように、個人の体の表面973に付着される磁化可能な部分972を有する固定部材971の使用を示す。固定部材971の磁化可能な部分972は、例えば衛生パッドを形成するコーティング975内に囲まれ得る。固定部材971は、テープによって表面973に付着されてもよく、個人が着用する衣類の中に組み込まれてもよい。
本発明は、明らかにするためにある程度まで詳しく説明されている。しかし、本発明の幾つかの変形および改良が、請求項で既定された本発明の範囲および精神の範囲を逸脱することなく果たされ得る。
本発明の一実施形態に係わる体腔内に所定の物質を放出するための装置を示す。 本発明の他の実施形態に係わる体腔内に所定の物質を放出するための装置を示す。 膨張可能なバルーンに設けられた図2の実施形態図を示す。 本装置を有さない図3のバルーンを示す。 カモノハシ弁を有するバルーンの一部分を示す。 ボール弁を有する本発明のバルーンの一部分を示す。 ボール弁を有する本発明のバルーンの一部分を示す。 体腔中に挿入された後の、バルーンが装填された装置―バルーン組立て体を示す。 体腔中に挿入された後の、バルーンが装填された装置―バルーン組立て体を示す。 膀胱中に挿入される前の、バルーンが装填された装置―バルーン組立て体を示す。 膀胱中に挿入される前の、バルーンが装填された装置―バルーン組立て体を示す。 装置―バルーン組立て体を女性の膀胱中に挿入するためのアプリケータの使用を示す。 装置―バルーン組立て体を男性の膀胱中に挿入するためのアプリケータの使用を示す。 装置―バルーン組立て体を取り出すための取り出し装置を示す。 装置―バルーン組立て体を体腔内の所定位置に移動させる移動部材の使用を示す。 固定部材の使用を示す。

Claims (20)

  1. 電解液を含む体腔中に1つもしくは複数の物質を制御可能に放出するための医療用の装置であって、
    a)第1および第2の端子を有する電源と、
    b)第1の表面上にこの表面から外方に壁部が突出するようにして設けられ、中に前記1つもしくは複数の物質を含み、突出した前記壁部は、第1の金属から形成された金属部を少なくとも夫々有する複数のブリスターのような小胞と、
    c)各小胞の前記金属部と電源の前記第1の端子とを電気的に接続するように、前記金属部と電源の前記第1の端子との間に設けられ、各々がスイッチを備え、このスイッチが閉じられると、前記金属部を陽極として働くようにさせる複数の電気接続部と、
    d)電源の前記第2の端子に電気的接続され、第2の金属から形成された陰極とを有する集合体を具備し、
    前記陰極は、本装置が体腔内にあるときに、この陰極と前記陽極との間に電解液が入ることの可能な間隔だけ前記陽極から分離される装置。
  2. 1もしくは複数の所定時間に、前記複数のスイッチのうちの1つもしくは複数のスイッチを閉じさせるように構成されたプロセッサを更に具備する請求項1の装置。
  3. 1つもしくは複数の磁化可能な粒子を更に具備する請求項1もしくは2の装置。
  4. 前記複数のスイッチは、遠隔制御部によって閉じられる請求項1ないし3のいずれか1の装置。
  5. 前記体腔は、膀胱または消化管の組織である請求項1ないし4のいずれか1の装置。
  6. 前記集合体を収容し、膨張可能なバルーンを更に具備する請求項1ないし5のいずれか1の装置。
  7. 前記バルーンは、磁化可能な部分を有するように形成されている請求項6の装置。
  8. 前記バルーンは、自己密閉弁を有する請求項6もしくは7の装置。
  9. 前記バルーンの膨張後に、前記集合体が電解液内に浮かぶ請求項6ないし8のいずれか1の装置。
  10. 前記バルーンの膨張後に、前記集合体が電解液中に沈む請求項6ないし8のいずれか1の装置。
  11. 体腔内のパラメータのための1つもしくは複数の監視装置を更に具備する請求項1ないし10のいずれか1の装置。
  12. 前記パラメータ監視装置からのデータを受信し、体腔内が所定の状況下にあるときに、前記複数のスイッチのうちの1つもしくは複数のスイッチを閉じさせるように構成されたプロセッサを更に具備する請求項11の装置。
  13. 個人の体腔を治療するためのシステムであって、
    a)請求項1ないし12のいずれか1の装置と、
    b)この装置を体内に挿入するか、体腔から取り出すための、前記装置を解放可能に掴まえる掴み装置が端部に取付けられたアプリケータとを具備するシステム。
  14. 個人の体腔を治療するためのシステムであって、
    a)請求項6ないし10のいずれか1の装置と、
    b)この装置を体内に挿入するか、体腔から取り出すための、前記装置を解放可能に掴まえる掴み装置が端部に取付けられたアプリケータと、
    c)バルーンを膨張させるための膨張装置とを具備するシステム。
  15. 体腔内で前記装置を移動させる磁化可能な移動部材を更に具備する請求項13もしくは14のシステム。
  16. 磁化可能な部分を有し、前記装置を体腔内の所定位置に固定させるために個人の体に取付けられる固定部材を更に具備する請求項13ないし15のいずれか1のシステム。
  17. 前記固定部材は、個人の衣類の中に配置されるように構成された衛生パッドの形態を有する請求項16のシステム。
  18. 前記掴み装置は、フランジを有する請求項13ないし17のいずれか1のシステム。
  19. 前記掴み装置は、磁化可能な部分を有する請求項13ないし18のいずれか1のシステム。
  20. 前記膨張装置は、バルーンを膨張させるように、このバルーン中に液体を注入するための注射器を有する請求項14のシステム。
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