3.発明の概要
EphA2は、多くの悪性癌腫で過剰発現され、機能が変化する。EphA2は、腫瘍性タンパク質であり、癌細胞に十分に潜在的転移能力を与える。悪性細胞上に過剰発現されたEphA2は、リガンド結合と関係なくキナーゼ活性を示す。本発明者らは、EphA2レベルが低下すると、細胞の転移挙動が低減することを発見した。特に、本発明者らは、驚くべきことに、EphA2を作動(agonize)する、すなわちEphA2シグナル伝達を誘発する抗体が、実際にはEphA2の発現を低減し、腫瘍細胞の増殖および/または転移を抑制することを発見した。いかなる作用機序にも拘束されるものではないが、アゴニスト抗体は、EphA2の自己リン酸化を誘発して悪性細胞挙動を抑制し、それによってその後EphA2分解を引き起こして、発現をダウンレギュレートすることができる。従って、本発明のEphA2抗体は、EphA2シグナル伝達を作動(agonize)し、EphA2のリン酸化を増加させる(「EphA2アゴニスト抗体」)。
細胞内局在、リガンド結合特性またはタンパク質の構成(例えば、細胞膜中の構造や配向)における差異によって、癌細胞上に存在するEphA2と非癌細胞上のEphA2とをさらに区別することができる。非癌細胞では、EphA2は低レベルで発現されており、それが膜固着リガンドと結合できる場である細胞間接触部位に局在している。しかし、癌細胞は一般に細胞間接触の低減を示し、これによってEphA2-リガンド結合が低減し得る。さらに、EphA2の過剰発現により、リガンドに対してEphA2が過剰になり、リガンドに結合していないEphA2の量を増大させ得る。その結果、細胞内分布またはEphA2の膜配向の変化により、EphA2が、リガンドに近接できない癌細胞内の部位に局在化されうる。さらに、EphA2では、細胞間結合部に局在していてもしていなくてもそのリガンドと安定的に相互作用できないように、癌細胞内でリガンド結合特性が変化(例えば、変化した立体構造により)している可能性がある。それぞれの場合において、これらの変化により、非癌細胞では露出していない所定のEphA2上のエピトープが癌細胞で露出され得る。従って、本発明はまた、特異的にEphA2と結合するが、好ましくは非癌細胞ではなく癌細胞上に露出したEphA2エピトープと結合する抗体(「露出EphA2エピトープ抗体」)を提供する。非癌細胞ではなく癌細胞上で選択的に露出または増加したEphA2上のエピトープと選択的に結合するこうしたEphA2抗体に、癌細胞を暴露すると、その治療/予防抗体は癌細胞へと標的化送達され、非癌細胞を傷つけずに癌細胞の増殖能力を阻止または低減する。
本発明は、EphA2に結合してそれを作動し、かつ/または非癌細胞でなく癌細胞上で選択的に露出または増加しているEphA2上のエピトープに選択的に結合する抗体、好ましくはモノクローナル抗体の、スクリーニングおよび同定を提供する。特に、本発明の抗体は、EphA2の細胞外ドメインに結合し、好ましくはEphA2のシグナル伝達およびEphA2のリン酸化を誘発する。別の特定の実施形態では、本発明の抗体は、EphA2の細胞外ドメインに結合し、好ましくは癌細胞上に露出するが非癌細胞では露出しないEphA2エピトープに結合する。一実施形態では、本発明の抗体は、EA2、EA3、EA4、およびEA5である。好ましい実施形態では、本発明の抗体は、ヒト抗体、ヒト化抗体、またはキメラ抗体である。
一実施形態では、癌細胞上に露出するが非癌細胞では露出しないEphA2エピトープと選択的に結合する抗体を同定するために、リガンド、例えばEphrin(エフリン)A1に結合しておらず、かつ細胞間接触部に局在していないEphA2と選択的に結合する能力について、抗体をスクリーニングすることができる。細胞上での抗体の結合/局在化を決定する当技術分野で公知の任意の方法を使用して、所望の結合特性について、候補抗体をスクリーニングすることができる。特定の実施形態では、免疫蛍光顕微鏡検査法またはフローサイトメトリーを使用して、抗体の結合特性を決定する。この実施形態では、そのリガンドに結合して細胞間接触部に局在化しているときのEphA2にはほとんど結合しないが、細胞上の遊離のEphA2にはよく結合する抗体が本発明に含まれる。別の詳細な実施形態では、EphA2への結合についてリガンド(例えば、細胞に固着したリガンドまたは精製リガンド)と競合する能力について、細胞に基づくアッセイまたはELISAアッセイを用いてEphA2抗体を選択する。
一実施形態では、本発明の抗体は、EA2、EA3、EA4、またはEA5である。より好ましい実施形態では、本発明の抗体は、ヒトまたはヒト化されたものである。最も好ましい実施形態では、本発明の抗体は、ヒト化されたEA2、EA3、EA4、またはEA5である。特定の実施形態では、本発明の抗体はEA2またはEA5ではない。
従って、本発明は、EphA2に特異的に結合して作用し、かつ/または非癌細胞でなく癌細胞上で選択的に露出または増加しているEphA2上のエピトープと選択的に結合する1種または複数の抗体の投与を含む、被験体における癌、特に転移癌を予防、治療、または管理するために設計された医薬組成物、ならびに予防および治療レジメンに関する。一実施形態では、癌は、上皮細胞由来のものである。別の実施形態では、癌は、皮膚、肺、大腸、乳房、前立腺、膀胱、腎臓、または膵臓の癌である。別の実施形態では、予防、治療、または管理しようとする癌の癌細胞は、EphA2を過剰発現している。好ましい実施形態では、EphA2には、細胞間接触の減少、細胞内局在化の変化、またはリガンドに比したEphA2量の増加の結果として、リガンドに結合していないものがある。好ましい実施形態では、本発明の方法を使用して、腫瘍の転移を予防、治療、または管理することができる。本発明の抗体は、1種または複数の他の癌治療と組み合わせて投与することができる。特に、本発明は、被験体において癌を予防、治療、または管理する方法であって、前記被験体に、本発明のEphA2抗体の投与以外の、治療または予防上の有効量の1種または複数の化学療法、ホルモン療法、生物学的療法/免疫療法、および/または放射線療法を施すことと組み合わせて、あるいは手術と組み合わせて、治療または予防上の有効量の1種または複数の本発明のEphA2抗体を投与することを含む方法を、提供する。
本発明の方法および組成物は、未治療の患者だけでなく、化学療法、ホルモン療法、生物学的療法、放射線療法、および/または手術を含むがこれに限らない現在の標準的および実験的癌治療に対して部分的または完全に不応性である患者の治療にも有用であり、同様にこのような治療の有効性を改善するためにも有用である。従って、好ましい実施形態では、本発明は、本発明のEphA2抗体の投与を含む治療法以外の治療に不応性または非応答性であることが分かっており、またはその可能性がある癌を治療または予防するための、治療および予防法を提供する。特定の実施形態では、非EphA2ベースの治療に不応性または非応答性である患者に本発明の1種または複数のEphA2抗体を投与して、その患者を反応性または応答性にする。次いで、患者が以前は不応性または非応答性であった治療を施して、治療効果をもたらすことができる。
さらに、本発明は、本発明のEphA2抗体についてのスクリーニング法を提供する。詳細には、日常的な免疫学的技術を用いて、EphA2、特にEphA2細胞外ドメイン、との結合について、抗体をスクリーニングすることができる。一実施形態では、アゴニストEphA2抗体を同定するために、EphA2シグナル伝達を誘発する能力、例えばEphA2リン酸化を増加させる能力、かつ/またはEphA2を分解する能力について、EphA2抗体をスクリーニングすることができる。
別の実施形態では、非癌細胞ではなく癌細胞上に露出したEphA2エピトープと選択的に結合する抗体を同定するために、抗体を、リガンド、例えば、Ephrin A1と結合しておらず、また細胞間接触部に局在していないEphA2と選択的に結合する能力についてスクリーニングすることができる。細胞上の抗体結合/局在を決定するための当技術分野で公知の任意の方法を使用して、候補抗体を所望の結合特性についてスクリーニングすることができる。特定の実施形態では、免疫蛍光顕微鏡検査法またはフローサイトメトリーを用いて抗体の結合特性を決定する。この実施形態では、そのリガンドと結合しており、細胞間接触部に局在しているときのEphA2とはほとんど結合しないが、細胞上の遊離EphA2とはよく結合する抗体は、本発明に含まれる。別の特定の実施形態では、EphA2抗体を、細胞に基づくアッセイまたはELISAアッセイを用いてEphA2との結合についてリガンド(例えば、細胞に固着したリガンドまたは精製リガンド)と競合するそれらの能力について、選択する。
本発明はさらに、本発明のEphA2抗体を使用して、EphA2に基づく癌治療またはEphA2に基づかない癌治療の有効性を評価する診断法を提供する。一般に、EphA2の高発現は、より浸潤性および転移性の高い癌と関連する。従って、特定の治療によるEphA2発現の低減は、その治療が、癌の浸潤性および/または潜在的転移性を低下させていることを示す。特定の実施形態では、本発明の診断法は、転移を画像化し、その位置を決定する方法、および原発腫瘍部位とは遠位の組織および体液、例えば全血、喀痰、尿、血清、細針吸引液(すなわち、生検)を用いて診断および予測する方法(並びに、原発腫瘍の組織および体液を使用する方法)を提供する。他の実施形態では、本発明の診断法は、転移を画像化し、その位置を決定する方法、およびin vivoで診断および予測する方法を提供する。このような実施形態では、本発明の抗体、好ましくは露出EphA2エピトープ抗体を用いて原発転移性腫瘍を検出する。本発明の抗体は、凍結細胞または固定細胞の免疫組織化学分析または組織アッセイに使用することもできる。
別の実施形態では、本発明の医薬組成物または診断試薬を含むキットを提供する。
3.1 定義
3.1 定義
本明細書では、「アゴニスト」という用語は、タンパク質、ポリペプチド、ペプチド、抗体、抗体断片、大分子、または小分子(10kD未満)を含む、別の分子の活性、活性化、または機能を増大させる任意の化合物を指す。EphA2アゴニストは、EphA2タンパク質のリン酸化および分解を増加させる。EphA2を作動(agonize)するEphA2抗体は、非癌細胞に比して、癌細胞で露出するEphA2エピトープと選択的に結合してもよいし、しなくてもよい。
「EphA2に免疫特異的に結合する抗体またはその断片」という用語は、本明細書では、EphA2ポリペプチドまたはEphA2ポリペプチドの断片に特異的に結合し、他の非EphA2ポリペプチドには特異的に結合しない抗体またはその断片を指す。EphA2ポリペプチドまたはその断片に免疫特異的に結合する抗体またはその断片は、他の抗原と非特異的に交差反応しないことが好ましい(例えば、適切なイムノアッセイにおいて、結合が、非EphA2タンパク質、例えばBSAと競合して除かれることはない)。EphA2ポリペプチドに免疫特異的に結合する抗体または断片は、例えば、イムノアッセイまたは当業者に公知の他の技術によって同定することができる。本発明の抗体には、合成モノクローナル抗体、多重特異性抗体(二重特異性抗体を含む)、ヒト抗体、ヒト化抗体、キメラ抗体、合成抗体、一本鎖Fv(scFv)(二重特異性scFvを含む)、一本鎖抗体、Fab断片、F(ab')断片、ジスルフィド結合Fv(sdFv)、および抗イディオタイプ(抗Id)抗体、ならびに上記のいずれかについてのエピトープ結合断片が含まれるがこれに限らない。特に、本発明の抗体には、EphA2抗原に免疫特異的に結合する、免疫グロブリン分子、および免疫グロブリン分子の免疫活性部分、すなわち抗原結合部位(例えば、抗EphA2抗体の1つまたは複数の相補性決定領域(CDR))を含む分子、が含まれる。EphA2ポリペプチドまたはその断片に免疫特異的に結合するアゴニスト抗体または断片は、EphA2のみを作動(agonize)し、他の活性を有意に作動しないことが好ましい。
本明細書では、「癌」という用語は、遠位部位に転移する潜在能力を有し、非癌細胞のものと異なる表現型形質、例えば、軟寒天などの三次元基質中でのコロニー形成またはマトリゲルTM(MATRIGELTM)などの三次元基底膜もしくは細胞外マトリックス調製物中での管状ネットワークもしくは網様マトリックスの形成、を示す細胞を伴う疾患を意味する。非癌細胞は、軟寒天中でコロニーを形成せず、三次元基底膜または細胞外マトリックス調製物中では異なる球様構造を形成する。癌細胞は、様々なメカニズムを介するにもかかわらず、それらの発生中に特徴的な機能的能力のセットを獲得する。こうした能力には、アポトーシスの回避、増殖シグナルの自給自足、抗増殖シグナルへの非感受性、組織浸潤/転移、無限複製能、および持続的血管形成がある。「癌細胞」という用語は、前悪性癌細胞および悪性癌細胞の両方を含めて意味する。
本明細書では、「誘導体」という用語は、アミノ酸残基の置換、欠失または付加(すなわち、変異)の導入によって改変された、EphA2ポリペプチド、EphA2ポリペプチドの断片、EphA2ポリペプチドと免疫特異的に結合する抗体、またはEphA2ポリペプチドと免疫特異的に結合する抗体断片のアミノ酸配列を含むポリペプチドを意味する。いくつかの実施形態では、抗体誘導体またはその断片は、1種または複数のCDRにおいてアミノ酸残基の置換、欠失または付加を含む。抗体誘導体は、非誘導体抗体と比較した場合に実質的に同一の結合、より良い結合、またはより悪い結合を有しうる。特定の実施形態では、CDRの1、2、3、4、もしくは5個のアミノ酸残基が置換、欠失または付加されている(すなわち、変異している)。本明細書では、「誘導体」という用語はまた、修飾された、すなわち、当該ポリペプチドへの任意のタイプの分子の共有結合によって修飾された、EphA2ポリペプチド、EphA2ポリペプチドの断片、EphA2ポリペプチドと免疫特異的に結合する抗体、またはEphA2ポリペプチドと免疫特異的に結合する抗体断片を、意味する。例えば、限定するものではないが、EphA2ポリペプチド、EphA2ポリペプチドの断片、抗体、または抗体断片は、例えば、グリコシル化、アセチル化、ペグ化、リン酸化、アミド化、既知の保護/ブロック基による誘導体化、タンパク質分解切断、細胞性リガンドまたは他のタンパク質との結合などによって修飾されうる。EphA2ポリペプチドの誘導体、EphA2ポリペプチドの断片、抗体、または抗体断片は、限定するものではないが、特異的な化学切断、アセチル化、ホルミル化、ツニカマイシンの代謝合成などを含む当業者に公知の技法を用いる化学修飾によって修飾することができる。さらに、EphA2ポリペプチドの誘導体、EphA2ポリペプチドの断片、抗体、または抗体断片には、1種または複数の非古典的アミノ酸が含まれていてよい。一実施形態では、ポリペプチド誘導体は、本明細書に記載のEphA2ポリペプチド、EphA2ポリペプチドの断片、抗体、もしくは抗体断片と類似したまたは同一の機能を有する。別の実施形態では、EphA2ポリペプチドの誘導体、EphA2ポリペプチドの断片、抗体、または抗体断片は、非改変ポリペプチドと比較して、改変された活性を有する。例えば、誘導体抗体またはその断片は、そのエピトープとよりしっかりと結合し、あるいはタンパク質分解に対しより耐性があり得る。
本明細書では、「エピトープ」という用語は、動物、好ましくは哺乳動物、最も好ましくはマウスまたはヒトの抗原活性または免疫原性活性を有するEphA2ポリペプチドの一部分を意味する。免疫原性活性を有するエピトープは、動物中で抗体反応を誘発するEphA2ポリペプチドの一部分である。抗原活性を有するエピトープは、当技術分野でよく知られている任意の方法、例えば、イムノアッセイによって確認されるように、抗体によって免疫特異的に結合されるEphA2ポリペプチドの一部分である。抗原エピトープは、必ずしも免疫原性である必要はない。
本明細書に記載の「断片」には、EphA2ポリペプチドもしくはEphA2ポリペプチドと免疫特異的に結合する抗体のアミノ酸配列の、少なくとも5個連続したアミノ酸残基、少なくとも10個連続したアミノ酸残基、少なくとも15個連続したアミノ酸残基、少なくとも20個連続したアミノ酸残基、少なくとも25個連続したアミノ酸残基、少なくとも40個連続したアミノ酸残基、少なくとも50個連続したアミノ酸残基、少なくとも60個連続したアミノ残基、少なくとも70個連続したアミノ酸残基、少なくとも80個連続したアミノ酸残基、少なくとも90個連続したアミノ酸残基、少なくとも100個連続したアミノ酸残基、少なくとも125個連続したアミノ酸残基、少なくとも150個連続したアミノ酸残基、少なくとも175個連続したアミノ酸残基、少なくとも200個連続したアミノ酸残基、または少なくとも250個連続したアミノ酸残基のアミノ酸配列を含むペプチドまたはポリペプチドが包含される。抗体断片はエピトープ結合断片であることが好ましい。
本明細書では、「ヒト化抗体」という用語は、非ヒト免疫グロブリン由来の最小配列を含有するキメラ抗体である非ヒト(例えば、ネズミ)抗体の形態を意味する。ほとんどの場合、ヒト化抗体は、レシピエントの超可変領域残基を、所望の特異性、親和性、および能力を有するマウス、ラット、ウサギまたは非ヒト霊長類などの非ヒト生物種由来の超可変領域残基(ドナー抗体)で置き換えたヒト免疫グロブリン(レシピエント抗体)である。場合によっては、ヒト免疫グロブリンのフレームワーク領域(FR)残基を対応する非ヒト残基で置き換える。さらに、ヒト化抗体は、レシピエント抗体またはドナー抗体中に見られない残基を含むことができる。これらの改変は、抗体性能をさらに改良するために行う。一般に、ヒト化抗体は、すべてまたは実質的にすべての超可変領域が非ヒト免疫グロブリンのものに合致し、すべてまたは実質的にすべてのFRがヒト免疫グロブリン配列のものである少なくとも1つ、通常2つの可変ドメインを実質的にすべて含む。ヒト化抗体はまた、場合により、免疫グロブリン定常領域(Fc)の一部分、典型的には、アミノ酸残基の置換、欠失または付加(すなわち、変異)の導入によって改変された、EphA2ポリペプチドと免疫特異的に結合するヒト免疫グロブリンの免疫グロブリン定常領域の一部分を少なくとも含む。いくつかの実施形態では、ヒト化抗体は誘導体である。このようなヒト化抗体は、アミノ酸残基の置換、欠失または付加を有する1種もしくは複数の非ヒトCDRを含む。ヒト化抗体誘導体は、非誘導体ヒト化抗体と比較した場合に実質的に同一の結合、より良い結合、またはより悪い結合を有しうる。特定の実施形態では、CDRの1、2、3、4、もしくは5個のアミノ酸残基が置換、欠失または付加されている(すなわち、変異している)。抗体のヒト化のさらなる詳細については、欧州特許EP 239,400、EP 592,106、およびEP 519,596;国際公開WO 91/09967およびWO 93/17105;米国特許第5,225,539号、第5,530,101号、第5,565,332号、第5,585,089号、第5,766,886号、および第6,407,213号;ならびにPadlan, 1991, Molecular Immunology 28(4/5):489-498;Stud
nicka et al., 1994, Protein Engineering 7(6):805-814;Roguska et al., 1994, PNAS 91:969-973;Tan et al., 2002, J. Immunol. 169:1119-25;Caldas et al., 2000, Protein Eng. 13:353-60;Morea et al., 2000, Methods 20:267-79;Baca et al., 1997, J. Biol. Chem. 272:10678-84;Roguska et al., 1996, Protein Eng. 9:895-904;Couto et al, 1995, Cancer Res. 55(23 Supp):5973s-5977s;Couto et AL, 1995, Cancer Res. 55:1717-22;Sandhu,1994, Gene 150:409-10;Pedersen et al., 1994, J. Mol. Biol. 235:959-73;Jones et al., 1986, Nature 321:522-525;Reichmann et al., 1988, Nature 332:323-329;およびPresta, 1992, Curr. Op. Struct. Biol. 2:593-596を参照のこと。
本明細書では、「超可変領域」という用語は、抗体の、抗原結合を担うアミノ酸残基を意味する。超可変領域は、「相補性決定領域」すなわち「CDR」由来のアミノ酸残基(すなわち、当該軽鎖可変ドメインの残基24〜34(L1)、50〜56(L2)および89〜97(L3)、ならびに当該重鎖可変ドメインの31〜35(H1)、50〜65(H2)および95〜102(H3);Kabat et al., Sequences of Proteins of Immunological Interest, 5th Ed. Public Health Service, National Institutes of Health, Bethesda, MD.(1991))、および/または「超可変ループ」由来のそれら残基(すなわち、当該軽鎖可変ドメインの残基26〜32(L1)、50〜52(L2)および91〜96(L3)、ならびに当該重鎖可変ドメインの26〜32(H1)、53〜55(H2)および96〜101(H3);Chothia and Lesk, 1987, J. Mol. Biol. 196:901-917)を含む。EA2およびEA5のCDR残基を表1に記載する。「フレームワーク領域」すなわち「FR」残基は、本明細書で定義した超可変領域残基以外の可変ドメイン残基である。
本明細書では、「組み合わせて」という用語は、2種以上の予防および/または治療剤の使用について言う。「組み合わせて」という用語の使用は、予防および/または治療剤を過剰増殖性細胞障害、特に癌にかかっている被験体に投与する順番を制限するものではない。第1の予防または治療剤は、過剰増殖性細胞障害、特に癌にかかっていた、かかっている、またはかかりやすい被験体に第2の予防または治療剤を投与するより前(例えば、1分、5分、15分、30分、45分、1時間、2時間、4時間、6時間、12時間、24時間、48時間、72時間、96時間、1週間、2週間、3週間、4週間、5週間、6週間、8週間、または12週間前)に、または投与すると同時に、または投与後(例えば、1分、5分、15分、30分、45分、1時間、2時間、4時間、6時間、12時間、24時間、48時間、72時間、96時間、1週間、2週間、3週間、4週間、5週間、6週間、8週間、または12週間後)に、投与することができる。本発明の薬剤が他の薬剤と一緒に作用し、それをその他の方法で投与した場合よりも利益の増大をもたらすことができるように、予防または治療剤を被験体に連続してある時間間隔内で投与する。任意の追加の予防または治療剤は、他の追加の予防または治療剤と任意の順番で投与してもよい。
本明細書では、「低許容性」という表現は、患者が治療による副作用に苦しみ、その結果、有害な作用および/または副作用による悪影響が治療利益を上回るので患者が治療によって利益を受けない、かつ/または治療を続けない状態を、意味する。
本明細書では、「管理する」、「管理している」および「管理」という用語は、疾患の治癒をもたらさない、予防または治療剤の投与から被験体に生じた有用な効果を意味する。ある実施形態では、疾患の進行または悪化を防ぐために、被験体に1種または複数の予防または治療剤を投与して疾患を「管理する」。
本明細書では、「非応答性/不応性」という表現は、化学療法、放射線療法、手術、ホルモン療法および/または生物学的療法/免疫療法などの1種または複数の現在利用可能な治療(例えば、癌治療)、特に特定の癌に対する標準的な治療レジメンで治療された患者であって、その治療が当該患者を治療するのに臨床的に適当ではなく追加の有効な治療を必要している患者、例えば治療に対して非感受性のままである患者について述べるのに使用される。この表現では、治療に応答するがなお副作用に苦しむ患者、再発する患者、耐性を生じるなどといった患者についても記載する。様々な実施形態では、「非応答性/不応性」は、癌細胞の少なくともある有意な一部について、死滅しないかまたはそれらの細胞分裂が停止しないことを意味する。癌細胞が「非応答性/不応性」かどうかの判定は、癌細胞に対する治療の有効性をアッセイするための当技術分野で公知の任意の方法によってin vivoまたはin vitroで行うことができ、そのような文脈において当技術分野で許容される「不応性」の意味を用いる。様々な実施形態で、癌細胞数が、治療の間、有意に減少せず、または増加する場合、癌は「非応答性/不応性」である。
本明細書では、「増強」という用語は、その通常のまたは承認された用量での治療剤の有効性の改善を意味する。
本明細書では、「予防する」、「予防している」および「予防」という用語は、予防または治療剤の投与によってもたらされる被験体の疾患の再発または拡大の予防を意味する。
本明細書では、「予防剤」という用語は、EphA2過剰発現に関連した障害、特に癌の発症、再発、または拡大の予防に使用できる任意の薬剤を指す。ある実施形態では、「予防剤」という用語は、EphA2アゴニスト抗体または露出EphA2エピトープ抗体(例えば、EA2、EA3、EA4、またはEA5)を指す。他のある実施形態では、「予防剤」という用語は、癌化学療法剤、放射線療法、ホルモン療法、生物学的療法(例えば、免疫療法)、および/または本発明のEphA2抗体について言う。他の実施形態では、2種以上の予防剤を組み合わせて投与してもよい。
本明細書では、「予防有効量」とは、癌の再発または転移の予防をもたらすのに十分な予防剤の量を指す。予防有効量は、癌の再発または転移の予防、あるいは、癌の素因のある者または以前に発癌物質に曝された者を含むがこれに限らない患者における癌の発生の予防に十分な予防剤の量を指すこともある。予防有効量は、癌の阻止において予防的利益をもたらす予防剤の量を指すこともある。さらに、本発明の予防剤についての予防有効量は、癌阻止において予防的利益をもたらす、予防剤単独での量、または他の薬剤と組み合わせた予防剤の量を意味する。本発明のEphA2抗体の量に関連して用いると、この用語は、予防を全体的に改善するか、別の予防剤の予防的効果を増強するか、または別の予防剤と相乗的に作用する量を、包含しうる。
本明細書では、「プロトコル」には、投与スケジュールおよび投与レジメンが含まれる。
本明細書では、「副作用」という表現は、予防または治療剤の望ましくない有害な作用を含む。有害な作用は、常に望ましくないが、望ましくない作用は必ずしも有害とは限らない。予防または治療剤による有害な作用は、有害または不快または危険であるかもしれない。化学療法による副作用には、それだけには限らないが初期および後期形成下痢および膨満などの胃腸毒性、悪心、嘔吐、摂食障害、白血球減少、貧血、好中球減少、無力症、腹部痙攣、発熱、疼痛、体重減少、脱水症、脱毛症、呼吸困難、不眠症、眩暈、粘膜炎、口内乾燥、および腎不全、ならびに便秘、神経および筋肉への影響、腎臓および膀胱への一時的または永久的な損傷、流感様症状、体液貯留、および一時的または永久的な不妊症があるが、それだけには限定されない。放射線療法による副作用には、疲労、口内乾燥、および食欲減少があるが、それだけには限定されない。生物学的療法/免疫療法による副作用には、投与部位の発疹または腫張、発熱、悪寒および疲労などの流感様症状、消化管問題およびアレルギー反応があるが、それだけには限定されない。ホルモン療法による副作用には、悪心、不妊問題、うつ病、食欲減少、眼の問題、頭痛、および体重変動があるが、それだけには限定されない。患者が通常経験する別の望ましくない作用は非常に多く、当技術分野で公知である。それらの多くはPhysicians' Desk Reference(第58版、2004)に記載されている。
本明細書では、「一本鎖Fv」または「scFv」という用語は、抗体のVHおよびVLドメインが一本のポリペプチド鎖中に存在するそれらVHおよびVLドメインを含む抗体断片を意味する。一般に、Fvポリペプチドは、scFvが抗原結合するのに望ましい構造を形成できるようにするVHおよびVLドメインの間のポリペプチドリンカーをさらに含む。sFvの概説については、Pluckthun in The Pharmacology of Monoclonal Antibodies, vol. 113, Rosenburg and Moore eds. SpringerVerlag, New York, pp. 269-315(1994)を参照のこと。特定の実施形態では、scFvは、二重特異性scFvおよびヒト化scFvを含む。
本明細書では、「被験体」および「患者」という用語は、互換的に用いる。本明細書では、被験体は、好ましくは非霊長類(例えば、ウシ、ブタ、ウマ、ネコ、イヌ、ラットなど)および霊長類(例えば、サルおよびヒト)などの哺乳動物、最も好ましくはヒトである。
本明細書では、「治療する」、「治療している」および「治療」という用語は、1種または複数の治療剤の投与によってもたらされる、疾患もしくは障害の症状の根絶、低減または改善、特に、原発性、局所性もしくは転移癌組織の根絶、除去、改変、または制御を表す。ある実施形態では、こうした用語は、このような疾患にかかっている被験体への1種もしくは複数の治療剤の投与によってもたらされる、癌の転移の最小化または遅延を意味する。
本明細書では、「治療剤」という用語は、EphA2の過剰発現に関連した障害、特に癌の予防、治療、または管理に使用できる任意の薬剤を指す。ある実施形態では、「治療剤」という用語は、EphA2アゴニスト抗体および/露出EphA2エピトープ抗体、例えばEA2、EA3、EA4、またはEA5を指す。他のある実施形態では、「治療剤」という用語は、癌化学療法剤、放射線療法、ホルモン療法、生物学的療法/免疫療法、および/または本発明のEphA2抗体を指す。他の実施形態では、2種以上の治療剤を組み合わせて投与してよい。
本明細書では、「治療有効量」とは、原発性、局所性、または転移性の癌組織を破壊、改変、制御、または除去するのに十分な治療剤の量を指す。治療有効量とは、癌の転移を遅らせ、または最小化するのに十分な治療剤の量を指すこともある。治療有効量は、癌の治療または管理において治療的利益をもたらす治療剤の量を指すこともある。さらに、本発明の治療剤についての治療有効量は、癌の治療または管理において治療利益をもたらす、治療剤単独の量または他の治療と組み合わせた治療剤の量を意味する。本発明のEphA2抗体の量に関連して用いると、この用語は、治療を全体的に改善するか、望ましくない作用を低減または回避するか、あるいは別の治療剤の治療効果を増強するかまたは別の治療剤と相乗的に作用する量を、包含しうる。
4.図面の簡単な説明
(後記参照のこと。)
5.発明の詳細な説明
本発明は、部分的には、EphA2モノクローナル抗体が癌細胞の表現型を抑制し得るという発明者らの発見に基づく。EphA2活性が低下すると、悪性の癌細胞増殖が選択的に抑制される。EphA2活性は、EphA2アゴニスト・モノクローナル抗体を用いて低下させることができる。特定の作用機序に拘束されることは意図しないが、悪性細胞増殖のこうした抑制は、EphA2のシグナル伝達を刺激し(すなわちそれを作動(agonizing)し)、それによってEphA2のリン酸化を引き起こし、これがその分解をもたらすことにより、達成される。悪性細胞増殖は、EphA2レベルが低下し、従ってリガンド依存的なEphA2シグナル伝達が低下することにより低減する。
従って、本発明は、癌、特に転移癌を治療、抑制、および管理するための方法および組成物に関する。本発明の特定の態様は、癌細胞、特にEphA2を過剰発現している癌細胞の増殖および浸潤を抑制する化合物を含む方法および組成物に関する。本発明はさらに、上皮細胞由来の癌、特にヒトの乳房、肺、皮膚、および前立腺、膀胱、腎臓および膵臓の癌の転移の治療、抑制、または管理のための方法および組成物に関する。本発明の別の組成物および方法は、本発明のEphA2抗体と組み合わせて他の種類の活性成分を含む。
本発明はまた、化学療法、放射線療法、ホルモン療法、および生物学的療法など、現在または標準の癌治療に部分的または完全に不応性になっている癌の治療、抑制、および管理のための方法に関する。
本発明はさらに、本発明のEphA2抗体、特に露出EphA2エピトープ抗体を使用して、EphA2に基づく癌治療またはEphA2に基づかない癌治療の有効性を評価する診断法を提供する。本発明の診断法を使用すると、癌の進行を予測または予想することもできる。特定の実施形態では、本発明の診断法は、転移を画像化し、その位置を決定する方法、および原発腫瘍部位の遠位の組織および体液を用いて診断および予測する方法(並びに、原発腫瘍の組織および体液を使用する方法)を提供する。他の実施形態では、本発明の診断法は、転移を画像化し、その位置を決定する方法、およびin vivoで診断および予測する方法を提供する。
5.1 抗体
上で論じたように、本発明は、抗体(好ましくはモノクローナル抗体)またはその断片であって、EphA2に免疫特異的に結合し、EphA2シグナル伝達を作動するもの(「EphA2アゴニスト抗体」)、および/または非癌細胞ではなく癌細胞で選択的に露出または増加するEphA2のエピトープに選択的に結合するもの(「露出EphA2エピトープ抗体」)の投与を含む。一実施形態では、該抗体は、EphA2の細胞外ドメインに結合し、好ましくはまたEphA2を作動し、例えばEphA2のリン酸化を増大させる。別の実施形態では、該抗体は、EphA2の細胞外ドメインに結合し、好ましくは、非癌細胞ではなく癌細胞上で選択的に露出または増加しているEphA2のエピトープにも結合する。より好ましい実施形態では、抗体は、EA2、EA3、EA4、またはEA5である。別の実施形態では、該抗体は、例えばELISAによってアッセイされるように、EA2、EA3、EA4、またはEA5によって結合されるエピトープに結合し、かつ/またはEphA2結合についてEA2、EA3、EA4、またはEA5と競合する。他の実施形態では、本発明の抗体は、EphA2に免疫特異的に結合し、EphA2のシグナル伝達を作動(agonize)し、かつ/または非癌細胞でなく癌細胞上で選択的に露出または増加しているEphA2のエピトープに選択的に結合し、結合についてEphA2リガンド、例えばエフリン(Ephrin)A1と競合してもよいし、しなくてもよい。
本発明の抗体EA2(EA2.31株)およびEA5(EA5.12株)を産生するハイブリドーマは、特許手続の目的での微生物寄託についての国際的な承認に関するブタペスト条約の規約のもと、2002年5月22日にアメリカン・タイプ・カルチャー・コレクション(ATCC, P.O. Box 1549, Manassas, VA 20108)に寄託され、それぞれ受託番号PTA-4380およびPTA-4381が割り当てられており、参照により本明細書に援用する。EA2およびEA5抗体のVLおよびVHのアミノ酸配列をそれぞれ図16A〜16Bおよび図17A〜17Bに示す。EA2およびEA5 CDRの配列を表1に示す。最も好ましい実施形態では、抗体はヒトのものか、またはヒト化されているものである。
本発明の方法で使用する抗体には、モノクローナル抗体、合成抗体、多重特異性抗体(二重特異性抗体を含む)、ヒト抗体、ヒト化抗体、キメラ抗体、一本鎖Fv(scFv)(二重特異性scFvを含む)、一本鎖抗体、Fab断片、F(ab')断片、ジスルフィド結合Fv(sdFv)、および上記のいずれかについてのエピトープ結合断片が含まれるがこれだけに限らない。特に、本発明の方法で使用する抗体には、EphA2に免疫特異的に結合し、EphA2のアゴニストであり、かつ/または非癌細胞でなく癌細胞上に露出しているEphA2エピトープと選択的に結合する免疫グロブリン分子、および免疫グロブリン分子の免疫活性部分、すなわち抗原結合部位を含む分子が含まれる。本発明の免疫グロブリン分子は、どんな種類(例えばIgG、IgE、IgM、IgD、IgA、およびIgY)、どんなクラス(例えばIgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA1、およびIgA2)、またはどんなサブクラスの免疫グロブリン分子でもよい。
本発明の方法で使用する抗体は、鳥類および哺乳動物(例えば、ヒト、ネズミ、ロバ、ヒツジ、ウサギ、ヤギ、モルモット、ラクダ、ウマ、またはニワトリ)を含む任意の動物由来のものであってよい。抗体は、ヒトまたはヒト化モノクローナル抗体であることが好ましい。本明細書では、「ヒト」抗体には、ヒト免疫グロブリンのアミノ酸配列を有する抗体、およびヒト免疫グロブリン・ライブラリーから単離したかまたはヒト遺伝子から抗体を発現するマウスもしくは他の動物から単離した抗体が、含まれる。
本発明の方法に使用する抗体は、単一特異性、二重特異性、三重特異性またはより多い多重特異性であってよい。多重特異性抗体は、EphA2ポリペプチドの異なるエピトープと免疫特異的に結合でき、あるいはEphA2ポリペプチドと異種エピトープ(異種ポリペプチドまたは固体担体物質など)の両方に免疫特異的に結合することができる。例えば、国際公開WO 93/17715、WO 92/08802、WO 91/00360、およびWO 92/05793;Tutt, et al., 1991, J. Immunol. 147:60-69;米国特許第4,474,893号、第4,714,681号、第4,925,648号、第5,573,920号、および第5,601,819号;ならびにKostelny et al., 1992, J. Immunol. 148:1547-1553を参照のこと。
特定の実施形態では、本発明の方法で使用する抗体は、EA2、EA3、EA4、もしくはEA5、またはその抗原結合断片(例えば、前述の本発明の抗体の1箇所または複数の相補性決定領域(CDR)、例えば表1を参照のこと)である。別の実施形態では、本発明の方法で使用するアゴニスト抗体は、例えばELISAアッセイで、EA2、EA3、EA4、またはEA5のいずれかと同じエピトープに結合し、またはEphA2への結合についてEA2、EA3、EA4、またはEA5のいずれかと競合する。
本発明は、EphA2に免疫特異的に結合し、EphA2を作動(agonize)し、かつ/または癌細胞で露出したEphA2エピトープと選択的に結合する抗体またはその断片も含み、前記抗体は、EA2、EA3、EA4、またはEA5のVH CDRのうちいずれか1種のアミノ酸配列を有するVH CDRを含む。本発明は、EphA2に免疫特異的に結合し、EphA2を作動(agonize)し、かつ/または癌細胞で露出したEphA2エピトープと選択的に結合する抗体であって、EA2、EA3、EA4、またはEA5のVL CDRのうちいずれか1種のアミノ酸配列を有するVL CDRを含む抗体の使用も含む。本発明は、EphA2に免疫特異的に結合し、EphA2を作動(agonize)し、かつ/または癌細胞で露出したEphA2エピトープと選択的に結合する抗体であって、EA2、EA3、EA4、またはEA5の1種または複数のVH CDRと1種または複数のVL CDRとを含む抗体の使用も含む。特に、本発明は、EphA2に免疫特異的に結合し、EphA2を作動(agonize)し、かつ/または癌細胞で露出したEphA2エピトープと選択的に結合する抗体であって、EA2、EA3、EA4、またはEA5のVH CDRおよびVL CDRのうち、VH CDR1およびVL CDR1;VH CDR1およびVL CDR2;VH CDR1およびVL CDR3;VH CDR2およびVL CDR1;VH CDR2およびVL CDR2;VH CDR2およびVL CDR3;VH CDR3およびVL CDR1;VH CDR3およびVL CDR2;VH CDR3およびVL CDR3;VH1 CDR1、VH CDR2、およびVL CDR1;VH CDR1、VH CDR2、およびVL CDR2;VH CDR1、VH CDR2、およびVL CDR3;VH CDR2、VH CDR3、およびVL CDR1;VH CDR2、VH CDR3、およびVL CDR2;VH CDR2、VH CDR3、およびVL CDR3;VH1 CDR1、VH CDR3、およびVL CDR1;VH CDR1、VH CDR3、およびVL CDR2;VH CDR1、VH CDR3、およびVL CDR3;VH CDR1、VL CDR1、およびVL CDR2;VH CDR1、VL CDR1、およびVL CDR3;VH CDR1、VL CDR2、およびVL CDR3;VH CDR2、VL CDR1、およびVL CDR2;VH CDR2、VL CDR1、およびVL CDR3;VH CDR2、VL CDR2、およびVL CDR3;VH CDR3、VL CDR1、およびVL CDR2;VH CDR3、VL CDR1、およびVL CDR3;VH CDR3、VL CDR2、およびVL CDR3;VH CDR1、VH CDR2、VH CDR3、およびVL CDR1;VH CDR1、VH CDR2、VH CDR3、およびVL CDR2;VH CDR1、VH CDR2、VH CDR3、およびVL CDR3;VH CDR1、VL CDR1、VL CDR2、およびVL CDR3;VH CDR2、VL CDR1、VL CDR2、およびVL CDR3;VH CDR3、VL CDR1、VL CDR2、およびVL CDR3;VH CDR1、VH CDR2、VL CDR1、およびVL CDR2;VH CDR1、VH CDR2、VL CDR1、およびVL CDR3;VH CDR1、VH CDR2、VL CDR2、およびVL CDR3;VH CDR1、VH CDR3、VL CDR1、およびVL CDR2;VH CDR1、VH CDR3、VL CDR1、およびVL CDR3;VH CDR1、VH CDR3、VL CDR2、およびVL CDR3;VH CDR2、VH CDR3、VL CDR1、およびVL CDR2;VH CDR2、VH CDR3、VL CDR1、およびVL CDR3;VH CDR2、VH CDR3、VL CDR2、およびVL CDR3;VH CDR1、VH CDR2、VH CDR3、VL CDR1、およびVL CDR2;VH CDR1、VH CDR2、VH CDR3、VL CDR1、およびVL CDR3;VH CDR1、VH CDR2、VH CDR3、VL CDR2、およびVL CDR3;VH CDR1、VH CDR2、VL CDR1、VL CDR2、およびVL CDR3;VH CDR1、VH CDR3、VL CDR1、VL CDR2、およびVL CDR3;VH CDR2、VH CDR3、VL CDR1、VL CDR2、およびVL CDR3;VH CDR1、VH CDR2、VH CDR3、VL CDR1、VL CDR2、およびVL CDR3、またはこれらの任意の組合せを含む抗体の使用を含む。特定の実施形態では、VH CDR1は配列番号6、VH CDR2は配列番号7、VH CDR3は配列番号8、VL CDR1は配列番号2、VL CDR2は配列番号3、VL CDR3は配列番号4である。他の特定の実施形態では、VH CDR1は配列番号22、VH CDR2は配列番号23、VH CDR3は配列番号24、VL CDR1は配列番号18、VL CDR2は配列番号19、およびVL CDR3は配列番号20である(例えば表1を参照のこと)。本発明は、EphA2と結合する、1個、2個、3個、4個、または5個のアミノ酸の置換、付加、または欠失のある前述のいずれかのものも含む。
一実施形態では、EphA2に免疫特異的に結合し、EphA2を作動(agonize)し、かつ/または癌細胞で露出したEphA2エピトープと選択的に結合する抗体は、配列番号6のアミノ酸配列を有するVH CDR1と、配列番号2のアミノ酸配列を有するVL CDR1とを含む。別の実施形態では、EphA2に免疫特異的に結合し、EphA2を作動(agonize)し、かつ/または癌細胞で露出したEphA2エピトープと選択的に結合する抗体は、配列番号6のアミノ酸配列を有するVH CDR1と、配列番号3のアミノ酸配列を有するVL CDR2とを含む。別の実施形態では、EphA2に免疫特異的に結合し、EphA2を作動(agonize)し、かつ/または癌細胞で露出したEphA2エピトープと選択的に結合する抗体は、配列番号6のアミノ酸配列を有するVH CDR1と、配列番号4のアミノ酸配列を有するVL CDR3とを含む。
別の実施形態では、EphA2に免疫特異的に結合し、EphA2を作動(agonize)し、かつ/または癌細胞で露出したEphA2エピトープと選択的に結合する抗体は、配列番号22のアミノ酸配列を有するVH CDR1と、配列番号18のアミノ酸配列を有するVL CDR1とを含む。別の実施形態では、EphA2に免疫特異的に結合し、EphA2を作動(agonize)し、かつ/または癌細胞で露出したEphA2エピトープと選択的に結合する抗体は、配列番号22のアミノ酸配列を有するVH CDR1と、配列番号19のアミノ酸配列を有するVL CDR2とを含む。別の実施形態では、EphA2に免疫特異的に結合し、EphA2を作動(agonize)し、かつ/または癌細胞で露出したEphA2エピトープと選択的に結合する抗体は、配列番号22のアミノ酸配列を有するVH CDR1と、配列番号20のアミノ酸配列を有するVL CDR3とを含む。
別の実施形態では、EphA2に免疫特異的に結合し、EphA2を作動(agonize)し、かつ/または癌細胞で露出したEphA2エピトープと選択的に結合する抗体は、配列番号7のアミノ酸配列を有するVH CDR2と、配列番号2のアミノ酸配列を有するVL CDR1とを含む。別の実施形態では、EphA2に免疫特異的に結合し、EphA2を作動(agonize)し、かつ/または癌細胞で露出したEphA2エピトープと選択的に結合する抗体は、配列番号7のアミノ酸配列を有するVH CDR2と、配列番号3のアミノ酸配列を有するVL CDR2とを含む。別の実施形態では、EphA2に免疫特異的に結合し、EphA2を作動(agonize)し、かつ/または癌細胞で露出したEphA2エピトープと選択的に結合する抗体は、配列番号7のアミノ酸配列を有するVH CDR2と、配列番号4のアミノ酸配列を有するVL CDR3とを含む。
別の実施形態では、EphA2に免疫特異的に結合し、EphA2を作動(agonize)し、かつ/または癌細胞で露出したEphA2エピトープと選択的に結合する抗体は、配列番号23のアミノ酸配列を有するVH CDR2と、配列番号18のアミノ酸配列を有するVL CDR1とを含む。別の実施形態では、EphA2に免疫特異的に結合し、EphA2を作動(agonize)し、かつ/または癌細胞で露出したEphA2エピトープと選択的に結合する抗体は、配列番号23のアミノ酸配列を有するVH CDR2と、配列番号19のアミノ酸配列を有するVL CDR2とを含む。別の実施形態では、EphA2に免疫特異的に結合し、EphA2を作動(agonize)し、かつ/または癌細胞で露出したEphA2エピトープと選択的に結合する抗体は、配列番号23のアミノ酸配列を有するVH CDR2と、配列番号20のアミノ酸配列を有するVL CDR3とを含む。
別の実施形態では、EphA2に免疫特異的に結合し、EphA2を作動(agonize)し、かつ/または癌細胞で露出したEphA2エピトープと選択的に結合する抗体は、配列番号8のアミノ酸配列を有するVH CDR3と、配列番号2のアミノ酸配列を有するVL CDR1とを含む。別の実施形態では、EphA2に免疫特異的に結合し、EphA2を作動(agonize)し、かつ/または癌細胞で露出したEphA2エピトープと選択的に結合する抗体は、配列番号8のアミノ酸配列を有するVH CDR3と、配列番号3のアミノ酸配列を有するVL CDR2とを含む。別の実施形態では、EphA2に免疫特異的に結合し、EphA2を作動(agonize)し、かつ/または癌細胞で露出したEphA2エピトープと選択的に結合する抗体は、配列番号8のアミノ酸配列を有するVH CDR3と、配列番号4のアミノ酸配列を有するVL CDR3とを含む。
別の実施形態では、EphA2に免疫特異的に結合し、EphA2を作動(agonize)し、かつ/または癌細胞で露出したEphA2エピトープと選択的に結合する抗体は、配列番号24のアミノ酸配列を有するVH CDR3と、配列番号18のアミノ酸配列を有するVL CDR1とを含む。別の実施形態では、EphA2に免疫特異的に結合し、EphA2を作動(agonize)し、かつ/または癌細胞で露出したEphA2エピトープと選択的に結合する抗体は、配列番号24のアミノ酸配列を有するVH CDR3と、配列番号19のアミノ酸配列を有するVL CDR2とを含む。別の実施形態では、EphA2に免疫特異的に結合し、EphA2を作動(agonize)し、かつ/または癌細胞で露出したEphA2エピトープと選択的に結合する抗体は、配列番号24のアミノ酸配列を有するVH CDR3と、配列番号20のアミノ酸配列を有するVL CDR3とを含む。
本発明の方法で使用する抗体には、すなわち、任意のタイプの分子の抗体への共有結合によって修飾された誘導体が含まれる。例えば、限定するものではないが、抗体誘導体には、例えば、グリコシル化、アセチル化、ペグ化、リン酸化、アミド化、既知の保護/ブロック基による誘導体化、タンパク質分解切断、細胞リガンドまたは他のタンパク質との結合などによって改変された抗体が含まれる。多数の化学修飾のいずれも、それだけには限らないが、特異的な化学切断、アセチル化、ホルミル化、ツニカマイシンの代謝合成などを含む周知の技法によって行うことができる。さらに、誘導体には、1種または複数の非古典的アミノ酸が含まれていてよい。
本発明は、当業者に公知のフレームワーク領域を含む本発明の抗体またはその断片も提供する。特定の実施形態では、本発明の抗体またはその断片は、ヒトフレームワーク領域を含む。本発明の抗体またはその断片は、ヒトのものまたはヒト化されていることが好ましい。特定の実施形態では、本発明の抗体またはその断片は、EA2、EA3、EA4、またはEA5(または他の任意のEphA2アゴニスト抗体もしくは非癌細胞でなく癌細胞上で露出しているEphA2エピトープと選択的に結合するEphA2抗体)のうちのいずれかに由来する1種または複数のCDRを含み、EphA2と結合し、好ましくはEphA2を作動(agonize)し、かつ/または非癌細胞でなく癌細胞上で露出しているEphA2エピトープと選択的に結合する。
本発明は、ラクダ化単一ドメイン抗体を含む単一ドメイン抗体を含む(例えば、Muyldermans et al., 2001, Trends Biochem. Sci. 26:230;Nuttall et al., 2000, Cur. Pharm. Biotech. 1:253;Reichmann and Muyldermans:1999, J. Immunol. Meth. 231:25;国際公開WO 94/04678およびWO 94/25591;米国特許第6,005,079号を参照されたく、これらの全体を参照により本明細書に援用する)。一実施形態では、本発明は、EA2、EA3、EA4、またはEA5(または他の任意のEphA2アゴニスト抗体もしくは非癌細胞でなく癌細胞上で露出しているEphA2エピトープと選択的に結合するEphA2抗体)のVHドメインのうちいずれかのアミノ酸配列を、単一ドメイン抗体が生成されるように改変された状態で有する2個のVHドメインを含む単一ドメイン抗体を提供する。別の実施形態では、本発明は、EA2、EA3、EA4、またはEA5(または他の任意のEphA2アゴニスト抗体もしくは非癌細胞でなく癌細胞上で露出しているEphA2エピトープと選択的に結合するEphA2抗体)のVH CDRのうち1種または複数を含む2個のVHドメインを含む単一ドメイン抗体も提供する。
本発明の方法はまた、哺乳動物、好ましくはヒトにおいて15日以上、好ましくは20日以上、25日以上、30日以上、35日以上、40日以上、45日以上、2カ月以上、3カ月以上、4カ月以上、または5カ月以上の半減期(例えば、血清半減期)を有する抗体またはその断片の使用を含む。哺乳動物、好ましくはヒトにおける本発明の抗体またはその断片の半減期が増大すると、哺乳動物において前記抗体または抗体断片の血清力価がより高くなり、従って、前記抗体もしくは抗体断片の投与頻度が減り、かつ/または投与すべき前記抗体もしくは抗体断片の濃度を下げることになる。in vivo半減期が増大した抗体またはその断片は、当業者に周知の技法によって生成することができる。例えば、in vivo半減期が増大した抗体またはその断片は、FcドメインとFcRn受容体との相互作用に関与するものと認められるアミノ酸残基を改変(例えば、置換、欠失または付加)することによって生成することができる(例えば、その全体が参照によって本明細書に組み込まれる国際公開WO 97/34631およびWO 02/060919を参照のこと)。in vivo半減期が増大した抗体またはその断片は、前記抗体または抗体断片に高分子量ポリエチレングリコール(PEG)などのポリマー分子を結合することによって生成することができる。PEGは、PEGと前記抗体もしくは抗体断片のNもしくはC末端との部位特異的結合によってまたはリジン残基上に存在するイプシロン-アミノ基を介して、多機能リンカーを用いてまたは用いないで前記抗体もしくは抗体断片と結合させることができる。生物学的活性の最小損失をもたらす直鎖状または分枝状ポリマー誘導体化を使用することになる。結合の度合いは、SDS-PAGEおよび質量分析によって密接にモニターして、PEG分子と抗体との正常な結合を確実にする。未反応PEGは、例えば、サイズ排除またはイオン交換クロマトグラフィーによって抗体-PEG結合体(conjugate)から分離することができる。
本発明は、フレームワーク領域または可変領域中に突然変異(例えば、1個または複数のアミノ酸の置換)を含む、EA2、EA3、EA4、またはEA5の一方または両方の可変ドメインのアミノ酸配列を含む抗体または抗体断片の使用も含む。これら抗体の突然変異は、互いに免疫特異的に結合する特定の抗原に対する抗体の結合力および/または親和性を維持または強化するものであることが好ましい。当業者に知られている標準の技術(例えばイムノアッセイ)を使用して、特定の抗原に対する抗体の親和性をアッセイすることができる。
例えば、アミノ酸置換をもたらす部位特異的変異誘発およびPCR媒介変異誘発を含む当業者に周知の標準的な技法を使用して、抗体、またはその断片をコードするヌクレオチド配列に変異を導入することができる。誘導体は、元の抗体またはその断片に対して15個未満のアミノ酸置換、10個未満のアミノ酸置換、5個未満のアミノ酸置換、4個未満のアミノ酸置換、3個未満のアミノ酸置換、2個未満のアミノ酸置換を含むことが好ましい。好ましい実施形態では、誘導体は、1種または複数の予測した非必須アミノ酸残基で作られる保存的アミノ酸置換を有する。
本発明は、EphA2に免疫特異的に結合し、EphA2を作動(agonize)し、かつ/または癌細胞で露出したEphA2エピトープと選択的に結合する抗体または抗体断片であって、EA2、EA3、EA4、またはEA5の可変軽鎖および/または可変重鎖のアミノ酸配列に対して少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、または少なくとも99%の同一性を示す可変軽鎖および/または可変重鎖のアミノ酸配列を含む抗体またはその断片も含む。ある実施形態では、本発明の抗体または抗体断片は、EphA2に免疫特異的に結合し、配列番号1または配列番号17に対して少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、または少なくとも99%の同一性を示す可変軽鎖のアミノ酸配列を含む。他の実施形態では、本発明の抗体および抗体断片は、EphA2に免疫特異的に結合し、配列番号5または配列番号21に対して少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、または少なくとも99%の同一性を示す可変重鎖のアミノ酸配列を含む。他の実施形態では、本発明の抗体または抗体断片は、EphA2に免疫特異的に結合し、配列番号1または配列番号17に対して少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、または少なくとも99%の同一性を示す可変軽鎖と、配列番号5または配列番号21に対して少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、または少なくとも99%の同一性を示す可変重鎖のアミノ酸配列を含む。
本発明はさらに、EphA2に免疫特異的に結合し、EphA2を作動(agonize)し、かつ/癌細胞で露出したEphA2エピトープに選択的に結合する抗体またはその断片であって、EA2、EA3、EA4、またはEA5の1種または複数のCDRのアミノ酸配列に対して少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、または少なくとも99%の同一性を示す1種または複数のCDRのアミノ酸配列を含む抗体またはその断片を含む。一実施形態では、本発明の抗体または抗体断片は、EphA2に免疫特異的に結合し、配列番号2、3、4、18、19、または20に対して少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、または少なくとも99%の同一性を示すCDRのアミノ酸配列を含む。別の実施形態では、本発明の抗体または抗体断片は、EphA2に免疫特異的に結合し、配列番号6、7、8、22、23、または24に対して少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、または少なくとも99%の同一性を示すCDRのアミノ酸配列を含む。
2つのアミノ酸配列の同一性パーセントの決定は、BLASTタンパク質検索を含む当業者に周知の任意の方法によって行うことができる。
本発明はさらに、EphA2に免疫特異的に結合し、EphA2を作動(agonize)し、かつ/または癌細胞で露出したEphA2エピトープと選択的に結合する抗体またはその断片であって、配列番号2、3、4、6、7、8、18、19、20、22、23、または24と比較してアミノ酸残基の置換、欠失、または付加を含む1種または複数のCDRのアミノ酸配列を含む抗体またはその断片を包含する。アミノ酸残基の置換、欠失、または付加を含む1種または複数のCDRを含む抗体は、アミノ酸残基の置換、欠失、または付加のない1種または複数のCDRを含む抗体と比べて、結合が実質的に同一でも、より良好でも、またはより劣っていてもよい。特定の実施形態では、CDRの1個、2個、3個、4個、または5個のアミノ酸残基が置換、欠失、または付加を起こしている(すなわち、突然変異している)。
本発明は、EphA2に免疫特異的に結合し、EphA2を作動(agonize)し、かつ/または非癌細胞でなく癌細胞上で選択的に露出または増加しているEphA2上エピトープと選択的に結合する抗体または抗体断片の使用を含み、この場合、前記抗体または抗体断片は、ストリンジェント条件下でEA2、EA3、EA4、またはEA5のヌクレオチド配列とハイブリダイズするヌクレオチド配列によってコードされる。一実施形態では、本発明は、EphA2に免疫特異的に結合し、EphA2を作動(agonize)し、かつ/または非癌細胞でなく癌細胞上で選択的に露出または増加しているEphA2のエピトープと選択的に結合する抗体またはその断片であって、EA2、EA3、EA4、またはEA5の可変軽鎖のヌクレオチド配列とストリンジェント条件下でハイブリダイズするヌクレオチド配列によってコードされる可変軽鎖を含む抗体またはその断片を提供する。好ましい実施形態では、本発明は、EphA2に免疫特異的に結合し、かつ配列番号9または配列番号25のヌクレオチド配列とストリンジェント条件下でハイブリダイズするヌクレオチド配列によってコードされる可変軽鎖を含む抗体またはその断片を提供する。別の実施形態では、本発明は、EphA2に免疫特異的に結合し、EphA2を作動(agonize)し、かつ/または非癌細胞でなく癌細胞上で選択的に露出または増加しているEphA2のエピトープと選択的に結合する抗体またはその断片であって、EA2、EA3、EA4、またはEA5の可変重鎖のヌクレオチド配列とストリンジェント条件下ハイブリダイズするヌクレオチド配列によってコードされる可変重鎖を含む抗体またはその断片を提供する。好ましい実施形態では、本発明は、EphA2に免疫特異的に結合し、配列番号13または配列番号29のヌクレオチド配列とストリンジェント条件下でハイブリダイズするヌクレオチド配列によってコードされる可変重鎖を含む抗体またはその断片を提供する。別の実施形態では、本発明の抗体または抗体断片は、EphA2に免疫特異的に結合し、また配列番号9または配列番号25のヌクレオチド配列とストリンジェント条件下でハイブリダイズするヌクレオチド配列によってコードされる可変軽鎖と、配列番号13または配列番号29のヌクレオチド配列とストリンジェント条件下でハイブリダイズするヌクレオチド配列によってコードされる可変重鎖とを含む。
別の実施形態では、本発明は、EphA2に免疫特異的に結合し、EphA2を作動(agonize)し、かつ/または非癌細胞でなく癌細胞上で露出しているEphA2のエピトープと選択的に結合する抗体またはその断片であって、EA2、EA3、EA4、またはEA5の1種または複数のCDRのヌクレオチド配列とストリンジェント条件下でハイブリダイズするヌクレオチド配列によってコードされる1種または複数のCDRを含む抗体またはその断片を提供する。好ましい実施形態では、本発明の抗体または断片は、EphA2に免疫特異的に結合し、配列番号10、11、12、26、27、または28のヌクレオチド配列とストリンジェント条件下でハイブリダイズするヌクレオチド配列によってコードされるCDRを含む。別の好ましい実施形態では、本発明の抗体または断片は、EphA2に免疫特異的に結合し、配列番号14、15、16、30、31、または32のヌクレオチド配列とストリンジェント条件下でハイブリダイズするヌクレオチド配列によってコードされるCDRを含む。
ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件には、それだけには限らないが、約45℃における6×塩化ナトリウム/クエン酸ナトリウム(SSC)中でのフィルター結合DNAとのハイブリダイゼーションとそれに続く約50〜65℃における0.2×SSC/0.1% SDS中での1回または複数回の洗浄、約45℃における6×SSC中でのフィルター結合DNAとのハイブリダイゼーションとそれに続く約60℃における0.1×SSC/0.2% SDS中での1回または複数回の洗浄のような高度にストリンジェントな条件、または当業者に周知の任意の他のストリンジェントなハイブリダイゼーション条件がある(例えば、Ausubel, F.M. et al., eds. 1989 Current Protocols in Molecular Biology, vol. 1, Green Publishing Associates, Inc. and John Wiley and Sons, Inc., NYの6.3.1〜6.3.6および2.10.3頁を参照のこと)。
本発明はさらに、EphA2に免疫特異的に結合し、EphA2を作動(agonize)し、かつ/または癌細胞で露出しているEphA2エピトープに選択的に結合する抗体またはその断片であって、配列番号10、11、12、14、15、16、26、27、28、30、31、または32と比較して核酸残基の置換、欠失、または付加を含む1種または複数のCDRのヌクレオチド配列によってコードされる1種または複数のCDRを含む抗体またはその断片を包含する。核酸残基の置換、欠失、または付加を含む1種または複数のCDRを含む抗体は、核酸残基の置換、欠失、または付加のない1種または複数のCDRを含む抗体と比べて、結合が実質的に同一でも、より良好でも、より劣っていてもよい。特定の実施形態では、CDRの1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個、11個、12個、13個、14個、または15個の核酸残基が置換、欠失、または付加を起こしている(すなわち、突然変異している)。核酸の置換は、突然変異したCDRのアミノ酸配列を変化させても変化させなくてもよい。
5.1.1 抗体結合体
本発明は、異種ポリペプチド(またはその部分、好ましくは少なくとも10、少なくとも20、少なくとも30、少なくとも40、少なくとも50、少なくとも60、少なくとも70、少なくとも80、少なくとも90、または少なくとも100アミノ酸のポリペプチド)と、融合タンパク質を生成するように組換え融合または化学的にコンジュゲート(共有結合も非共有結合も含む)させた抗体またはその断片の使用を含む。融合は、必ずしも直接的でなくてよく、リンカー配列を介して生じていてもよい。例えば、抗体を使用すると、その抗体を特定の細胞表面受容体に特異的な抗体と融合またはコンジュゲートさせることにより、in vitroまたはin vivoで異種ポリペプチドを特定の細胞型に標的指向させることができる。異種ポリペプチドに融合またはコンジュゲートさせた抗体は、当技術分野で知られている方法を使用するin vitroイムノアッセイおよび精製法で使用することもできる。例えば、国際公開WO 93/21232;EP 439,095;Naramura et al., 1994, Immunol. Lett. 39:91-99;米国特許第5,474,981号;Gillies et al., 1992, PNAS 89:1428-1432;およびFell et al., 1991, J. Immunol. 146:2446-2452を参照されたく、これらの全体を参照により本明細書に援用する。ある実施形態では、検出、治療、管理、またはモニターすべき疾患は、EphA2を過剰発現する悪性の癌である。他の実施形態では、検出、治療、管理、またはモニターすべき疾患は、EphA2を過剰発現する細胞を伴う前癌状態である。特定の実施形態では、前癌状態は、ハイグレード前立腺上皮内新生物(PIN)、乳房の線維腺腫、線維嚢胞症、または複合母斑である。
本発明はさらに、抗体断片と融合またはコンジュゲートさせた異種ポリペプチドを含む組成物を含む。例えば、異種ポリペプチドは、Fab断片、Fd断片、Fv断片、F(ab)2断片、もしくはその部分と融合またはコンジュゲートさせたものでもよい。ポリペプチドを抗体部分と融合またはコンジュゲートさせる方法は、当技術分野で公知である。例えば、米国特許第5,336,603号、第5,622,929号、第5,359,046号、第5,349,053号、第5,447,851号、および第5,112,946;EP 307,434;EP 367,166;国際公開WO 96/04388およびWO 91/06570;Ashkenazi et al., 1991, PNAS 88:10535〜10539;Zheng et al., 1995, J. Immunol. 154:5590〜5600;およびVil et al., 1992, PNAS 89:11337〜11341を参照のこと(前記参考文献は、その全体が参照により組み込まれている)。
例えば、EA2、EA3、EA4、またはEA5抗体(または他の任意のEphA2アゴニスト抗体もしくは非癌細胞でなく癌細胞上で露出しているEphA2エピトープに選択的に結合するEphA2抗体)のいずれかの別の融合タンパク質は、遺伝子シャフリング、モチーフ・シャフリング、エキソン・シャフリング、および/またはコドン・シャフリング(総称して「DNAシャフリング」と呼ばれる)の技法によって生成することができる。DNAシャフリングを使用すると、本発明の抗体またはその断片(例えば、親和性が高く、解離速度が遅い抗体またはその断片)の活性を変化させることができる。一般に、米国特許第5,605,793号;同第5,811,238号;同第5,830,721号;同第5,834,252号;および同第5,837,458号、ならびにPatten et al., 1997, Curr. Opinion Biotechnol. 8:724-33;Harayama, 1998, Trends Biotechnol. 16:76;Hansson, et al., 1999, J Mol. Biol. 287:265;およびLorenzo and Blasco, 1998, BioTechniques 24:308(これらの特許および刊行物それぞれの全体を参照により本明細書に援用する)を参照されたい。抗体もしくはその断片、またはコードされた抗体もしくはその断片は、組換えを行う前に、エラープローンPCR、ランダム・ヌクレオチド挿入、または他の方法よるランダム変異誘発にかけることによって改変することができる。抗体または抗体断片をコードするポリヌクレオチドの、EphA2に免疫特異的に結合する1箇所または複数の部分を、1種または複数の異種分子の1個または複数の構成成分、モチーフ、切片、一部、ドメイン、断片などと組み換えることができる。
さらに、抗体またはその断片をペプチドなどのマーカー配列と融合させて精製を容易にすることができる。好ましい実施形態では、マーカーアミノ酸配列は、とりわけpQEベクター(QIAGEN, Inc., 9259 Eton Avenue, Chatsworth, CA, 91311)中に提供されているタグなど、その多くが市販されているヘキサヒスチジン・ペプチドである。Gentz et al., 1989, PNAS 86:821に記載されているとおり、例えば、ヘキサヒスチジンは、融合タンパク質の精製を便利にするものである。精製の際に有用な他のペプチド・タグには、インフルエンザ赤血球凝集素タンパク質由来のエピトープに対応する赤血球凝集素「HA」タグ(Wilson et al., 1984, Cell 37:767)および「flag」タグが含まれるがこれに限らない。
他の実施形態では、本発明の抗体またはその断片もしくは変異体は、診断または検出可能な物質とコンジュゲートさせる。こうした抗体は、特定の治療の有効性の確認などの臨床試験手順の一部として、癌の発生または進行をモニターまたは予測するのに有用であり得る。さらに、こうした抗体は、EphA2を過剰発現する細胞に関連する前癌状態(例えば、ハイグレード前立腺上皮内新生物(PIN)、乳房の線維腺腫、線維嚢胞症、または複合母斑)の発生または進行をモニターまたは予測するのに有用であり得る。一実施形態では、露出EphA2エピトープ抗体は、診断または検出可能な物質とコンジュゲートしている。別の実施形態では、抗体はEA2ではない。別の特定の実施形態では、抗体はEA5である。
こうした診断および検出は、それだけには限らないが、西洋ワサビペルオキシダーゼ、アルカリ性ホスファターゼ、ベータ・ガラクトシダーゼ、またはアセチルコリンエステラーゼなどの様々な酵素;それだけには限らないが、ストレプトアビジン/ビオチンおよびアビジン/ビオチンなどの補欠分子族;それだけには限らないが、ウンベリフェロン、フルオレセイン、イソチオシアン酸フルオレセイン、ローダミン、ジクロロトリアジニルアミンフルオレセイン、ダンシルクロリドまたはフィコエリトリンなどの蛍光物質;それだけには限らないが、ルミノールなどの発光物質;それだけには限らないが、ルシフェラーゼ、ルシフェリン、およびエクオリンなどの生物発光物質;それだけには限らないが、ビスマス(213Bi)、炭素(14C)、クロム(51Cr)、コバルト(57Co)、フッ素(18F)、ガドリニウム(153Gd、159Gd)、ガリウム(68Ga、67Ga)、ゲルマニウム(68Ge)、ホルミウム(166Ho)、インジウム(115In、113In、112In、111In)、ヨウ素(131I、125I、123I、121I)、ランタン(140La)、ルテチウム(177Lu)、マンガン(54Mn)、モリブデン(99Mo)、パラジウム(103Pd)、リン(32P)、プラセオジム(142Pr)、プロメチウム(149Pm)、レニウム(186Re、188Re)、ロジウム(105Rh)、ルテニウム(97Ru)、サマリウム(153Sm)、スカンジウム(47Sc)、セレン(75Se)、ストロンチウム(85Sr)、硫黄(35S)、テクネチウム(99Tc)、タリウム(201Ti)、スズ(113Sn、117Sn)、トリチウム(3H)、キセノン(133Xe)、イッテルビウム(169Yb、175Yb)、イットリウム(90Y)、亜鉛(65Zn)などの放射性物質;様々な陽電子放出断層撮影法を用いた陽電子放出金属および非放射性常磁性金属イオンを含むが、それだけには限定されない検出可能な物質と抗体をカップリングすることによって実施することができる。
本発明はさらに、治療剤にコンジュゲートさせた抗体またはその断片の使用を含む。
抗体またはその断片は、細胞毒素などの治療成分、例えば、細胞増殖抑制剤または細胞破壊剤、または治療剤、または放射性金属イオン、例えばα放射体にコンジュゲートさせてもよい。細胞毒素すなわち細胞毒性剤には、細胞に有害な任意の物質が含まれる。例としては、パクリタキセル、サイトカラシンB、グラミシジンD、臭化エチジウム、エメチン、マイトマイシン、エトポシド、テノポシド、ビンクリスチン、ビンブラスチン、コルヒチン、ドキソルビシン、ダウノルビシン、ジヒドロキシアントラシンジオン、ミトキサントロン、ミトラマイシン、アクチノマイシンD、1-デヒドロテストステロン、グルココルチコイド、プロカイン、テトラカイン、リドカイン、プロプラノロール、ピューロマイシン、エピルビシン、およびシクロホスファミド、ならびにこれらの類似体または相同体が含まれる。治療剤には、代謝拮抗薬(例えば、メトトレキセート、6-メルカプトプリン、6-チオグアニン、シタラビン、5-フルオロウラシルデカルバジン)、アルキル化剤(例えば、メクロレタミン、チオエパ(thioepa)クロラムブシル、メルファラン、カルムスチン(BCNU)およびロムスチン(CCNU)、シクロトスファミド(cyclothosphamide)、ブスルファン、ジブロモマンニトール、ストレプトゾトシン、マイトマイシンC、およびシスジクロロジアミン白金(II)(DDP)シスプラチン、アントラサイクリン(例えば、ダウノルビシン(以前のダウノマイシン)およびドキソルビシン)、抗生物質(例えば、ダクチノマイシン(以前のアクチノマイシン)、ブレオマイシン、ミトラマイシン、およびアンスラマイシン(AMC)、および有糸分裂阻害剤(例えば、ビンクリスチンおよびビンブラスチン)が含まれるがこれに限らない。
さらに、抗体またはその断片を、所与の生物学的応答を改変する治療剤または薬物成分にコンジュゲートさせてもよい。治療剤または薬物成分は、伝統的な化学療法剤に限定されると解釈されるべきでない。例えば、薬物成分は、所望の生物学的活性を有するタンパク質またはポリペプチドでありうる。こうしたタンパク質には、例えば、アブリン、リシンA、シュードモナス外毒素、コレラ毒、またはジフテリア毒などの毒素;腫瘍壊死因子、αインターフェロン、βインターフェロン、神経成長因子、血小板由来成長因子、組織プラスミノーゲンアクチベーターなどのタンパク質;アポトーシス剤、例えばTNF-α、TNF-β、AIM I(国際公開WO 97/33899を参照のこと)、AIM II(国際公開WO 97/34911を参照のこと)、Fasリガンド(Takahashi et al., 1994, J. immunol., 6:1567)、およびVEGI(国際公開WO 99/23105を参照のこと)、血栓剤または抗血管形成剤、例えば、アンギオスタチンまたはエンドスタチン;あるいは、例えば、リンフォカイン(例えば、インターロイキン-1(「IL-1」)、インターロイキン-2(「IL-2」)、インターロイキン-6(「IL-6」)、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(「GM-CSF」)、および顆粒球コロニー刺激因子(「G-CSF」))、または増殖因子(例えば、成長ホルモン(「GH」))などの生物学的応答改変剤が含まれる。
さらに、抗体は、放射性物質や、放射性金属イオンとコンジュゲートするのに有用な大環状キレート剤などの治療成分とコンジュゲートさせてもよい(放射物質の例については上記を参照のこと)。ある実施形態では、大環状キレート剤は、リンカー分子を介して抗体に結合されうる1,4,7,10-テトラアザシクロドデカン-N,N',N'',N''-四酢酸(DOTA)である。こうしたリンカー分子は、当技術分野で一般に知られており、参照により全体を本明細書に援用するDenardo et al., 1998, Clin Cancer Res. 4:2483-90;Peterson et al., 1999, Bioconjug. Chem. 10:553;およびZimmerman et al., 1999, Nucl Med. Biol. 26:943-50に記載されている。
特定の実施形態では、コンジュゲート化抗体は、非癌細胞ではなく癌細胞上に露出したEphA2エピトープと好ましくは結合するEphA2抗体である(すなわち、露出EphA2エピトープ抗体)。別の特定の実施形態では、コンジュゲート化抗体はEA2ではない。別の特定の実施形態では、コンジュゲート化抗体はEA5である。
治療成分を抗体にコンジュゲートさせる技法はよく知られている。この成分は、それだけには限らないが、アルデヒド/シッフ結合、スルフヒドリル結合、酸不安定性結合、cis-アコニチル(aconityl)結合、ヒドラゾン結合、酵素分解性結合を含む当技術分野で周知の任意の方法によって、抗体にコンジュゲートさせることができる(一般にGarnett, 2002, Adv. Drug Deliv. Rev. 53:171-216を参照のこと)。治療成分を抗体にコンジュゲートさせる別の技法はよく知られており、例えば、Arnonら、「Monoclonal Antibodies For Immunotargeting Of Drugs In Cancer THerapy」、Monoclonal Antibodies And Cancer Therapy、Reisfeldら(編)、243〜56(Alan R. Liss, Inc. 1985);Hellstromら、「Antibodies For Drug Delivery」、Controlled Drug Delivery(第2版)、Robinsonら(編)、623〜53(Marcel Dekker, Inc. 1987);Thorpe、「Antibody Carriers Of Cytotoxic Agents In Cancer THerapy:A Review」、Monoclonal Antibodies `84:Biological And Clinical Applications、Pincheraら(編)、475〜506(1985);「Analysis, Results, And Future Prospective Of The Therapeutic Use Of Radiolabeled Antibody In Cancer Therapy」、Monoclonal Antibodies For Cancer Detection And Therapy、Baldwinら(編)、303〜16(Academic Press 1985)、およびThorpeら、1982、Immunol. Rev. 62:119〜58を参照のこと。抗体をポリペプチド成分に融合またはコンジュゲートさせる方法は、当技術分野で公知である。例えば、米国特許第5336603号、第5622929号、第5359046号、第5349053号、第5447851号、および第5112946号;EP 307434;EP 367166;国際公開WO 96/04388およびWO 91/06570;Ashkenaziら、1991、PNAS 88:10535〜10539;Zhengら、1995、J. Immunol. 154:5590〜5600;およびVilら、1992、PNAS 89:11337〜11341を参照のこと。成分への抗体の融合は、必ずしも直接的でなくてもよく、リンカー配列を介して生じてもよい。こうしたリンカー分子は、当技術分野で一般に知られており、その全体が参照によりそれぞれ本明細書に組み込まれる、Denardoら、1998、Clin Cancer Res. 4:2483〜90;Petersonら、1999、Bioconjug. Chem. 10:553;Zimmermanら、1999、Nucl. Med. Biol. 26:943〜50;Garnett、2002、Adv. Drug Deliv. Rev. 53:171〜216に記載されている。
あるいは、その全体が参照により本明細書に組み込まれる米国特許第4676980号でSegalによって記載されているように、抗体は、第2抗体にコンジュゲートされて、抗体ヘテロ結合体(heteroconjugate)を形成することができる。
抗体は、標的抗原のイムノアッセイまたは精製に特に有用な固体担体と結合させることもできる。こうした固体担体には、それだけには限らないが、ガラス、セルロース、ポリアクリルアミド、ナイロン、ポリスチレン、ポリ塩化ビニルまたはポリプロピレンが挙げられる。
5.1.2 抗体を生成する方法
抗体またはその断片は、抗体の合成についての当技術分野で周知の任意の方法によって、特に、化学合成、または好ましくは組換え発現技法によって生成することができる。
モノクローナル抗体は、ハイブリドーマ、組換え、およびファージ・ディスプレイ技法、またはその組合せの使用を含む当技術分野で周知の多種多様な技法を用いて調製することができる。例えば、モノクローナル抗体は、当技術分野で周知のもの、および例えば、Harlowら、Antibodies:A Laboratory Manual、(Cold Spring Harbor Laboratory Press、第2版、1988);Hammerlingら:Monoclonal Antibodies and T-Cell Hybridomas、p.563〜681(Elsevier、N.Y.、1981)に教示のものを含むハイブリドーマ技法を用いて生成することができる(前記参考文献は、それらの全体が参照により組み込まれている)。本明細書では、「モノクローナル抗体」という用語は、ハイブリドーマ技術によって生成した抗体だけには限定されない。「モノクローナル抗体」という用語は、任意の真核生物、原核生物、またはファージ・クローンを含む単一クローン由来の抗体を意味するものであり、それを生成する方法を意味しない。
ハイブリドーマ技術を使用して特定の抗体を生成し、スクリーニングする方法は、常法であり、当技術分野でよく知られている。簡潔に述べれば、マウスをEphA2(全長タンパク質またはその断片、例えば細胞外ドメインまたはリガンド結合ドメイン)で免疫感作し、いったん免疫応答が検出されたなら、例えば、マウス血清中にEphA2に特異的な抗体が検出されたなら、マウスの脾臓を摘出し、脾細胞を単離すればよい。次いで、周知の技法によって、脾細胞を任意の適切な骨髄腫細胞、例えばATCCから入手可能なSP20細胞系由来の細胞と融合させる。ハイブリドーマを選択し、限界希釈によってクローン化する。次いで、当技術分野でよく知られている方法によって、本発明のポリペプチドと結合することのできる抗体を分泌する細胞について、ハイブリドーマ・クローンをアッセイする。マウスを陽性のハイブリドーマ・クローンで免疫感作することによって、一般に抗体を高レベルで含む腹水を生成することができる。
従って、モノクローナル抗体は、本発明の抗体を分泌するハイブリドーマ細胞を培養することによって生成することができ、好ましくは、そのハイブリドーマは、EphA2またはその断片で免疫したマウスから単離した脾細胞を骨髄腫細胞と融合することによって生成し、次いで融合で得たハイブリドーマを、EphA2と結合できる抗体を分泌するハイブリドーマ・クローンについてスクリーニングする。
特異的EphA2エピトープを認識する抗体断片は、当業者に周知の任意の技法によって生成することができる。例えば、本発明のFabおよびF(ab')2断片は、パパイン(Fab断片を生成するため)またはペプシン(F(ab')2断片を生成するため)などの酵素を用いた免疫グロブリン分子のタンパク質分解切断によって生成することができる。F(ab')2断片は、可変領域、軽鎖定常領域および重鎖のCH1ドメインを含む。さらに、本発明の抗体は、当技術分野で周知の様々なファージ・ディスプレイ法を用いて生成することもできる。
ファージ・ディスプレイ法では、機能的抗体ドメインは、それらをコードするポリヌクレオチド配列をもつファージ粒子の表面上にディスプレイされている。特に、VHおよびVLドメインをコードするDNA配列は、動物cDNAライブラリー(例えば、リンパ系組織のヒトまたはネズミcDNAライブラリー)から増幅されている。VHおよびVLドメインをコードするDNAをscFvリンカーと一緒にPCRによって組換え、ファージミド・ベクター(例えば、p CANTAB 6またはpComb 3 HSS)中にクローニングする。このベクターを大腸菌(E. coli)中にエレクトロポレーションし、その大腸菌にヘルパー・ファージを感染させる。これらの方法で使用するファージは、通常fdおよびM13を含む線状ファージであり、そのVHおよびVLドメインは、ファージ遺伝子IIIと遺伝子VIIIのいずれかと通常組換え融合させる。所定のEphA2エピトープと結合する抗原結合ドメインを発現するファージは、抗原、例えば、標識した抗原または固体表面もしくはビーズに結合したもしくは捕捉された抗原を用いて、選択または同定することができる。本発明の抗体を作製するのに使用できるファージ・ディスプレイ法の例には、その全体がそれぞれ参照により本明細書に組み込まれる、Brinkmanら、1995、J. Immunol. Methods 182:41〜50;Amesら、1995、J. Immunol. Methods 184:177;Kettleboroughら、1994、Eur. J. Immunol. 24:952〜958;Persicら、1997、Gene 187:9;Burtonら、1994、Advances in Immunology 57:191〜280;国際出願PCT/GB91/01134;国際公開WO 90/02809、WO 91/10737、WO 92/01047、WO 92/18619、WO 93/1 1236、WO 95/15982、WO 95/20401、およびW097/13844;ならびに米国特許第5698426号、第5223409号、第5403484号、第5580717号、第5427908号、第5750753号、第5821047号、第5571698号、第5427908号、第5516637号、第5780225号、第5658727号、第5733743号および第5969108号に記載されているものがある。
ファージは、EphA2の結合、特にEphA2の細胞外ドメインへの結合についてスクリーニングされ得る。EphA2活性の作動性(例えば、EphA2のリン酸化の増大、EphA2レベルの低減)をスクリーニングしてもよい。
上記の参考文献に記載のように、ファージ選択の後、ファージから抗体コード領域を単離し、それを用いて、ヒト抗体などの全抗体、または任意の他の所望の抗原結合断片を生成し、そして、例えば、下記に記載のように、哺乳動物細胞、昆虫細胞、植物細胞、酵母、および細菌を含む任意の所望の宿主中で発現させることができる。Fab、Fab'およびF(ab')2断片を組換え生成する技法も、国際公開WO 92/22324;Mullinaxら、1992、BioTechniques 12:864;Sawaiら、1995、AJRI 34:26;およびBetterら、1988、Science 240:1041に記載のものなどの当技術分野で周知の方法を用いて行うことができる(前記参考文献は、それらの全体が参照により組み込まれている)。
全抗体を生成するためには、VHまたはVLヌクレオチド配列、制限部位、および制限部位を保護するためのフランキング配列を含むPCRプライマーを使用して、scFvクローンのVHまたはVL配列を増幅させることができる。当業者に周知のクローニング技術を利用することによって、PCRで増幅したVHドメインをVH定常領域、例えば、ヒトγ4定常領域を発現するベクター中にクローン化することができ、PCRで増幅したVLドメインをVL定常領域、例えば、ヒトκまたはλ定常領域を発現するベクター中にクローン化することができる。VHまたはVLドメインを発現するためのベクターには、EF-1αプロモーター、分泌シグナル、可変ドメインのクローニング部位、定常ドメイン、およびネオマイシンなどの選択マーカーが含まれることが好ましい。VHおよびVLドメインは、必須の定常領域を発現する1つのベクターにクローン化することもできる。次いで、当業者に周知の技術を用いて、重鎖変換ベクターおよび軽鎖変換ベクターを細胞系に同時トランスフェクトして、完全長抗体、例えばIgG、を発現する安定的または一過性細胞系を生成する。
ヒトにおける抗体のin vivo使用およびin vitro検出アッセイを含むいくつかの使用では、ヒトまたはキメラ抗体を使用することが好ましいかもしれない。ヒト被験体の治療的処置にとっては全くヒト抗体が特に望ましい。ヒト抗体は、ヒト免疫グロブリン配列由来の抗体ライブラリーを用いて上記のファージ・ディスプレイ法を含む当技術分野で周知の様々な方法によって作製することができる。その全体がそれぞれ参照により本明細書に組み込まれる米国特許第4444887号および第4716111号;ならびに国際公開WO 98/46645、WO 98/50433、WO 98/24893、WO 98/16654、WO 96/34096、WO 96/33735、およびWO 91/10741も参照のこと。
ヒト抗体は、機能的内因性免疫グロブリンを発現することができないがヒト免疫グロブリン遺伝子を発現できるトランスジェニックマウスを用いて生成することもできる。例えば、ヒト重鎖および軽鎖免疫グロブリン遺伝子複合体を、マウス胚幹細胞中にランダムにまたは相同組換えによって導入することができる。あるいは、ヒト可変領域、定常領域、および多様性領域は、ヒト重鎖および軽鎖遺伝子に加えてマウス胚性幹細胞に導入することができる。マウス重鎖および軽鎖免疫グロブリン遺伝子は、相同組換えよるヒト免疫グロブリン遺伝子座の導入によって別々にまたは同時に非機能的にすることができる。特に、JH領域のホモ接合性欠失は、内因性抗体生成を阻害する。改変した胚性幹細胞を増殖させ、胚盤胞にマイクロインジェクションしてキメラマウスを作製する。次いで、キメラマウス同士を繁殖させて、ヒト抗体を発現するホモ接合性子孫を作製する。トランスジェニックマウスを、選択した抗原、例えば、本発明のポリペプチドのすべてまたは一部分を用いて通常の方法で免疫する。該抗原に対するモノクローナル抗体は、従来のハイブリドーマ技術を用いて、その免疫化トランスジェニックマウスから得ることができる。トランスジェニックマウスが有するヒト免疫グロブリン導入遺伝子は、B細胞分化の際に再配列を起こし、続いてクラス・スイッチングおよび体細胞変異を生じる。従って、このような技術を用いることによって、治療上有用なIgG、IgA、IgMおよびIgE抗体を生成することが可能である。ヒト抗体を生成するためのこの技術の概要については、LonbergおよびHuszar(1995、Int. Rev. Immunol. 13:65〜93)を参照のこと。ヒト抗体およびヒトモノクローナル抗体を生成するためのこの技術およびこうした抗体を生成するためのプロトコルの詳細な説明については、例えば、それらの全体が本明細書によって組み込まれる国際公開WO 98/24893、WO 96/34096、およびWO 96/33735;ならびに米国特許第5413923号、第5625126号、第5633425号、第5569825号、第5661016号、第5545806号、第5814318号、および第5939598を参照のこと。さらに、Abgenix, Inc.(米国カリフォルニア州Freemont)およびMedarex(米国ニュージャージー州Princeton)などの会社は、上記のものと類似の技術を用いて選択した抗原に対するヒト抗体の提供に携わることができる。
キメラ抗体は、非ヒト抗体由来の可変領域とヒト免疫グロブリン定常領域とを有する抗体など、異なる抗体部分が、異なる免疫グロブリン分子に由来している分子である。キメラ抗体を生成する方法は、当技術分野で周知である。例えば、Morrison, 1985, Science 229:1202; Oi et al., 1986, BioTechniques 4:214;Gillies et al., 1989, J. Immunol. Methods 125:191-202;米国特許第6,311,415号、同第5,807,715号、同第4,816,567号、および同第4,816,397号を参照されたく、これらの全体を参照により本明細書に援用する。ヒト以外の種に由来する1種または複数のCDRと、ヒト免疫グロブリン分子由来のフレームワーク領域とを含むキメラ抗体は、例えば、CDR移植(EP 239,400;国際公開WO 91/09967;米国特許第5,225,539号、同第5,530,101号、および同第5,585,089号)、張り合わせ(veneering)または再表面化(resurfacing)(EP 592,106;EP 519,596;Padlan, 1991, Molecular Immunology 28(4/5):489-498;Studnicka et al., 1994, Protein Engeneering 7:805;およびRoguska et al., 1994, PNAS 91:969)、および鎖シャフリング(米国特許第5,565,332号)を含む当技術分野で知られている様々な技術を使用して作製することができる。一実施形態では、本発明のキメラ抗体は、EphA2と免疫特異的に結合し、ヒトフレームワーク領域内に、EA2、EA3、EA4、またはEA5のVL CDRのいずれかのアミノ酸配列を有する1個、2個、または3個のVL CDRを含む。特定の実施形態では、本発明のキメラ抗体は、EphA2と免疫特異的に結合し、配列番号2、3、4、18、19、または20のアミノ酸配列を有するVL CDRを含む。別の実施形態では、本発明のキメラ抗体は、EphA2と免疫特異的に結合し、ヒトフレームワーク領域内に、EA2、EA3、EA4、またはEA5のVH CDRのいずれかのアミノ酸配列を有する1個、2個、または3個のVH CDRを含む。特定の実施形態では、本発明のキメラ抗体は、EphA2と免疫特異的に結合し、配列番号6、7、8、22、23、または24のアミノ酸配列を有するVH CDRを含む。好ましい実施形態では、本発明のキメラ抗体は、EphA2と免疫特異的に結合し、ヒトフレームワーク領域内に、EA2、EA3、EA4、またはEA5のVL CDRのいずれかのアミノ酸配列を有する1個、2個、または3個のVL CDRを含み、さらにEA2、EA3、EA4、またはEA5のVH CDRのいずれかのアミノ酸配列を有する1個、2個、または3個のVH CDRを含む。特定の好ましい実施形態では、本発明のキメラ抗体は、EphA2と免疫特異的に結合し、配列番号2、3、4、18、19、または20のアミノ酸配列を有するVL CDRを含み、さらに配列番号6、7、8、22、23、または24のアミノ酸配列を有するVH CDRを含む。より好ましい実施形態では、本発明のキメラ抗体は、EphA2と免疫特異的に結合し、ヒトフレームワーク領域内に、EA2、EA3、EA4、またはEA5のVL CDRのいずれかのアミノ酸配列を有する3個のVL CDRと、EA2、EA3、EA4、またはEA5のVH CDRのいずれかのアミノ酸配列を有する3個のVH CDRとを含む。さらに好ましい実施形態では、本発明のキメラ抗体は、EphA2と免疫特異的に結合し、配列番号2、3、4、18、19、または20からなる群から選択されたアミノ酸配列を有するVL CDRを含み、さらに、配列番号6、7、8、22、23、または24からなる群から選択されたアミノ酸配列を有するVH CDRを含む。
多くの場合、フレームワーク領域中のフレームワーク残基を、CDRドナー抗体の対応する残基で置換して、抗原結合性を改変、好ましくは改善することになる。これらのフレームワーク置換は、当技術分野でよく知られている方法、例えば、CDRとフレームワーク残基の相互作用をモデリングして抗原結合に重要なフレームワーク残基を同定することにより、または配列比較を行って特定部位における異常フレームワーク残基を同定することにより、特定される(例えば、それらの全体が参照により本明細書に組み込まれる、米国特許第5585089号;およびRiechmannら、1988、Nature 332:323を参照のこと)。
ヒト化抗体は、所定の抗原に結合可能であり、ヒト免疫グロブリンのアミノ酸配列を実質的に有するフレームワーク領域と、非ヒト免疫グロブリンのアミノ酸配列を実質的に有するCDRとを含む抗体もしくはその変異体、またはその断片である。ヒト化抗体は、すべてまたは実質的にすべてのCDR領域が非ヒト免疫グロブリン(すなわち、ドナー抗体)のものに合致し、すべてまたは実質的にすべてのフレームワーク領域がヒト免疫グロブリン・コンセンサス配列のものである少なくとも1種、通常2種の可変ドメインを実質的にすべて含む。ヒト化抗体はまた、免疫グロブリン定常領域(Fc)の少なくとも一部分、通常はヒト免疫グロブリンのものを、含むことが好ましい。通常、抗体は、軽鎖と、重鎖の少なくとも可変ドメインとの両方を含む。抗体は、重鎖のCH1、ヒンジ、CH2、CH3、およびCH4領域も含むことができる。ヒト化抗体は、IgM、IgG、IgD、IgAおよびIgEを含む任意のクラスの免疫グロブリン、ならびにIgG1、IgG2、IgG3およびIgG4を含む任意のアイソタイプから選択することができる。通常、定常ドメインは、ヒト化抗体が細胞傷害活性を示すことが望ましい補体結合性定常ドメインであり、そのクラスは典型的にはIgG1である。こうした細胞傷害活性が望ましくない場合、定常ドメインはIgG2クラスであり得る。ヒト化抗体は、2種以上のクラスまたはアイソタイプの配列を含むことができ、特定の定常ドメインを選択して所望のエフェクター機能を最適化することは、当技術分野の通常の技術の範囲内である。ヒト化抗体のフレームワークおよびCDR領域は、親配列と正確に合致している必要は無く、例えば、ドナーCDRまたはコンセンサス・フレームワークについて少なくとも一残基の置換、挿入または欠失によって突然変異導入し、その部位におけるCDRまたはフレームワーク残基がコンセンサスまたは移入抗体と合致しないようにしてもよい。しかし、こうした変異は広範囲にはならない。通常、ヒト化抗体残基の少なくとも75%、より頻繁には90%、最も好ましくは95%より多い残基が、親フレームワーク領域(FR)およびCDR配列の残基と合致する。ヒト化抗体は、それだけには限らないが、CDR移植(欧州特許EP 239400;国際公開WO 91/09967;および米国特許第5225539号、第5530101号、および第5585089号)、張り合わせまたは再表面化(欧州特許EP 592106およびEP 519596;Padlan、1991、Molecular Immunology 28(4/5):489〜498;Studnickaら、1994、Protein Engineering 7(6):805〜814;およびRoguskaら、1994、PNAS 91:969〜973)、鎖シャフリング(米国特許第5565332号)を含む、当技術分野で周知の様々な技術ならびに例えば、米国特許第6407213号、第5766886号、第5585089号、国際公開WO 9317105、Tanら、2002、J. Immunol. 169:1119〜25、Caldasら、2000、Protein Eng. 13:353〜60、Moreaら、2000、Methods 20:267〜79、Bacaら、1997、J. Biol. Chem. 272:10678〜84、Roguskaら、1996、Protein Eng. 9:895〜904、Coutoら、1995、Cancer Res. 55(23 Supp):5973〜5977、Coutoら、1995、Cancer Res. 55:1717〜22、Sandhu、1994、Gene 150:409〜10、Pedersenら、1994、J. Mol. Biol. 235:959〜73、Jonesら、1986、Nature 321:522〜525、Riechmannら、1988、Nature 332:323、およびPresta、1992、Curr. Op. Struct. Biol. 2:593〜596に開示されている技術を用いて生成することができる。多くの場合、フレームワーク領域中のフレームワーク残基を、CDRドナー抗体の対応する残基で置換して、抗原結合性を改変、好ましくは改善する。これらのフレームワーク置換は、当技術分野でよく知られている方法、例えば、CDRとフレームワーク残基の相互作用をモデリングして抗原結合に重要なフレームワーク残基を同定することにより、または配列比較を行って特定部位における異常フレームワーク残基を同定することにより、特定される(例えば、それらの全体が参照により本明細書に組み込まれる、Queenら、米国特許第5585089号;およびRiechmannら、1988、Nature 332:323を参照のこと)。
さらに、本発明の抗体を利用して、当業者によく知られている技術を用いて抗イディオタイプ抗体を生成することができる。(例えば、Greenspan & Bona、1989、FASEB J. 7:437〜444;およびNissinoff、1991、J. Immunol. 147:2429〜2438を参照のこと)。本発明は、本発明の抗体またはその断片をコードするヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチドの使用を用いる方法を提供する。
5.1.3 抗体をコードするポリヌクレオチド
本発明の方法は、例えば、上記のような、高ストリンジェンシー、中または低ストリンジェンシー・ハイブリダイゼーション条件下で本発明の抗体をコードするポリヌクレオチドにハイブリダイズするポリヌクレオチドも、包含する。特定の実施形態では、本発明は、本発明の抗体(例えば、EA2、EA3、EA4、またはEA5)の重鎖可変ドメインまたは軽鎖可変ドメインをコードするヌクレオチド配列を含む単離核酸を提供する。別の特定の実施形態では、本発明は、ヒト化されたかまたはキメラ化されている本発明の抗体(例えば、EA2、EA3、EA4、またはEA5)の重鎖可変ドメインまたは軽鎖可変ドメインをコードするヌクレオチド配列を含む単離核酸を提供する。
当技術分野で周知の任意の方法によって、このポリヌクレオチドを得ることができ、該ポリヌクレオチドのヌクレオチド配列を決定することができる。その抗体のアミノ酸配列が判明しているので、当技術分野でよく知られている方法を用いてこれらの抗体をコードするヌクレオチド配列を決定することができ、すなわち、特定のアミノ酸をコードすることが知られているヌクレオチドコドンを、本発明の抗体またはその断片をコードする核酸を生成するように構築する。抗体をコードするこのようなポリヌクレオチドは、化学合成したオリゴヌクレオチドから構築することもでき(例えば、Kutmeierら、1994、BioTechniques 17:242に記載のように)、簡単に言えば、それは、抗体をコードする配列の一部分を含む重複オリゴヌクレオチドの合成、それらオリゴヌクレオチドのアニーリングおよび連結、次いで連結したオリゴヌクレオチドのPCRによる増幅を伴う。限定するものではないが、例えば、EA5軽鎖可変領域のポリヌクレオチド配列を含有する3つのクローンを、その軽鎖タンパク質配列のアミノ末端から設計された縮重プライマー(すなわち、対応するアミノ酸をコードする全てのコドンを識別できるように、第3位の塩基にゆらぎがあるオリゴヌクレオチド群)を用いて同定した。EA5可変軽鎖ポリヌクレオチド配列を含むとして同定された3つのクローンにおいて、6位および9位の塩基はグアニン(G)またはチロシン(T)であり、15位の塩基はG、T、またはシトシン(C)であった。3つのクローンは全て、配列番号17で示すEA5 VL領域のアミノ酸配列をコードしていた。
あるいは、適切な供給源に由来する核酸から、抗体をコードするポリヌクレオチドを生成してもよい。特定の抗体をコードする核酸を含むクローンが入手できなくとも、抗体分子の配列がわかっている場合(例えば、図16を参照のこと)、その免疫グロブリンをコードする核酸を化学的に合成することができ、あるいは、適切な供給源(例えば、本発明の抗体を発現するとして選択されたハイブリドーマ細胞(例えばATCCにPTA-4380として寄託されているクローン)などの本抗体を発現する任意の組織または細胞から単離した核酸、好ましくはポリA+RNA、それから作製したcDNAライブラリー、または抗体cDNAライブラリー)から、その配列の3'末端および5'末端にハイブリダイズすることのできる合成プライマーを使用するPCR増幅法によって、または、具体的な遺伝子配列に特異的なオリゴヌクレオチド・プローブを使用してクローニングし、例えばその抗体をコードするcDNAライブラリー由来のcDNAクローンを同定することもできる。PCRによって生成した増幅核酸は、次いで、当技術分野でよく知られている任意の方法を使用して、複製可能なクローニング・ベクター中にクローン化することができる。
抗体のヌクレオチド配列をいったん決定すれば、その抗体のヌクレオチド配列を、ヌクレオチド配列の遺伝子操作のための当技術分野でよく知られている方法、例えば、組換えDNA技術、部位特異的変異誘発、PCRなど(例えば、両方ともその全体が参照により本明細書に組み込まれる、Sambrookら、1990、Molecular Cloning、A Laboratory Manual、第2版、Cold Spring Harbor Laboratory、Cold Spring Harbor、NYおよびAusubelら編、1998、Current Protocols in Molecular Biology、John Wiley & Sons、NYに記載の技術)を用いて遺伝子操作して、異なるアミノ酸配列を有する抗体を作製し、例えば、アミノ酸置換、欠失、および/または挿入を生じさせることができる。
特定の実施形態では、通常の組換えDNA技術を用いて1種または複数のCDRをフレームワーク領域内に挿入する。そのフレームワーク領域は、天然のまたはコンセンサス・フレームワーク領域、好ましくはヒトフレームワーク領域であり得る(例えば、ヒトフレームワーク領域の記載についてはChothiaら、1998、J. Mol. Biol. 278:457〜479を参照のこと)。フレームワーク領域とCDRの組合せによって作製されるポリヌクレオチドが、EphA2に特異的に結合する抗体をコードすることが好ましい。上記のように、1種または複数のアミノ酸置換がフレームワーク領域内で生じ得ることが好ましく、アミノ酸置換が抗体のその抗原への結合を改善させることが好ましい。さらに、こうした方法を用いて、鎖内ジスルフィド結合に関与する1つまたは複数の可変領域システイン残基のアミノ酸置換または欠失を生じさせ、1つまたは複数の鎖内ジスルフィド結合を欠く抗体分子を生成することができる。ポリヌクレオチドに対する他の改変も本発明に包含され、当技術分野の技術範囲内にある。
5.1.4 抗体の組換え発現
本発明の抗体、その誘導体、類似体または断片(例えば、本発明の抗体の重鎖もしくは軽鎖、またはその一部分、または本発明の一本鎖抗体)の組換え発現には、本抗体をコードするポリヌクレオチドを含む発現ベクターの構築が必要である。本発明の抗体分子、または抗体の重鎖もしくは軽鎖、またはその一部分(重鎖または軽鎖可変ドメインを含むことが好ましいが、必須ではない)をコードするポリヌクレオチドを得た後、当技術分野でよく知られている技術を用いて組換えDNA技術によって抗体分子を生成するためのベクターを作製することができる。従って、ヌクレオチド配列をコードする抗体を含むポリヌクレオチドを発現することによってタンパク質を調製する方法を本明細書に記載する。当業者によく知られている方法を用いて、抗体コード配列ならびに適切な転写および翻訳調節シグナルを含む発現ベクターを構築することができる。これらの方法には、例えばin vitro組換えDNA技術、合成技術、およびin vivo遺伝子組換えがある。すなわち本発明は、プロモーターに機能しうるように連結した、本発明の抗体分子、抗体の重鎖もしくは軽鎖、抗体の重鎖もしくは軽鎖可変ドメインまたはその一部分、重鎖または軽鎖CDRをコードするヌクレオチド配列を含む、複製可能なベクターを提供する。こうしたベクターには、抗体分子の定常領域をコードするヌクレオチド配列があり(例えば、国際公開WO 86/05807およびWO 89/01036;ならびに米国特許第5122464号を参照のこと)、重鎖全体、軽鎖全体、または重鎖全体および軽鎖全体の両方を発現させるため、抗体の可変ドメインをこのようなベクター中にクローニングすることができる。
発現ベクターを従来の技術によって宿主細胞に導入し、次いで従来の技術によって、トランスフェクトしたその細胞を培養し本発明の抗体を生成する。従って、本発明は、異種プロモーターに機能しうるように連結した本発明の抗体もしくはその断片、またはその重鎖もしくは軽鎖、またはその一部分、または本発明の一本鎖抗体、をコードするポリヌクレオチドを含む宿主細胞を含む。二本鎖抗体を発現させる好ましい実施形態では、以下に詳述するように、重鎖と軽鎖の両方をコードするベクターを、免疫グロブリン分子全体を発現させるために宿主細胞中で同時発現させることができる。
様々な宿主-発現ベクター系を利用して、本発明の抗体分子を発現させることができる(例えば、米国特許第5,807,715号を参照のこと)。その宿主-発現系とは、それによって目的のコード配列を生成し、その後、精製することのできる運搬体を言うが、適切なヌクレオチド・コード配列で形質転換またはトランスフェクトしたときに本発明の抗体分子をin situで発現し得る細胞も言う。これらには、抗体コード配列を含む組換えバクテリオファージDNA、プラスミドDNA、またはコスミドDNA発現ベクターで形質転換した細菌(例えば、大腸菌および枯草菌(B. subtilis))や、抗体コード配列を含む組換え酵母発現ベクターで形質転換した酵母(例えば、サッカロミセス、ピチア(Saccharomyces、Pichia))などの微生物;抗体コード配列を含む組換えウイルス発現ベクター(例えば、バキュロウイルス)を感染させた昆虫細胞系;組換えウイルス発現ベクター(例えば、カリフラワー・モザイクウイルス、CaMV;タバコ・モザイクウイルス、TMV)を感染させたか、または抗体コード配列を含む組換えプラスミド発現ベクター(例えば、Tiプラスミド)で形質転換した植物細胞系;あるいは哺乳動物細胞ゲノム由来のプロモーター(例えば、メタロチオネイン・プロモーター)または哺乳動物ウイルス由来のプロモーター(例えば、アデノウイルス後期プロモーター;牛痘ウイルス7.5Kプロモーター)を含む組換え発現構築体を保持する哺乳動物細胞系(例えば、COS、CHO、BHK、293、NSO、および3T3細胞)が含まれるが、これらに限定はされない。特に組換え抗体分子全体の発現では、大腸菌(Escherichia coli)などの細菌細胞、より好ましくは真核細胞を使用して、組換え抗体分子を発現させることが好ましい。例えば、ヒト・サイトメガロウイルス由来の主要中間初期遺伝子プロモーター・エレメントなどのベクターと併用するチャイニーズ・ハムスター卵巣細胞(CHO)などの哺乳動物細胞は、抗体の有効な発現系である(Foecking et al., 1986, Gene 45:101;およびCockett et al., 1990, BioTechnology 8:2)。特定の実施形態では、免疫特異的に結合し作動する抗体またはその断片をコードするヌクレオチド配列の発現が、構成性プロモーター、誘導性プロモーター、または組織特異的プロモーターによって調節される。
細菌系では、多くの発現ベクターを、発現される抗体分子を意図とした使用に応じて有利に選択することができる。例えば、抗体分子の医薬組成物を生成するために多量のこのようなタンパク質を生成すべき場合、容易に精製される融合タンパク質産物の高レベル発現を誘導するベクターが望ましいであろう。こうしたベクターには、それだけには限らないが、融合タンパク質が生成されるように抗体コード配列がlac Zコード領域とイン・フレームでベクター中にそれぞれ連結され得る大腸菌発現ベクターpUR278(Rutherら、1983、EMBO 12:1791);pINベクター(Inouye & Inouye、1985、Nucleic Acids Res. 13:3101〜3109;Van Heeke & Schuster、1989、J. Biol. Chem. 24:5503〜5509);などがある。pGEXベクターを使用して、グルタチオン5-トランスフェラーゼ(GST)との融合タンパク質として外来タンパク質を発現することもできる。一般に、こうした融合タンパク質は可溶性であり、マトリックス・グルタチオン-アガロース・ビーズへの吸着および結合と、それに続く遊離グルタチオンの存在下での溶出によって、溶解した細胞から容易に精製することができる。pGEXベクターは、クローン化した標的遺伝子産物をGST成分から遊離できるように、トロンビンまたはXa因子プロテアーゼ切断部位を含むように設計される。
昆虫系では、外来遺伝子を発現するためのベクターとしてオウトグラファ・カリフォルニカ核多角体病ウイルス(AcNPV)を使用する。このウイルスは、スポドプテラ・フルギペルダ(Spodoptera frugiperda)細胞中で増殖する。抗体コード配列は、ウイルスの非必須領域(例えば多角体遺伝子)にそれぞれクローン化し、AcNPVプロモーター(例えば多角体プロモーター)の制御下に置くことができる。
哺乳動物宿主細胞では、いくつかのウイルス系発現系を利用することができる。アデノウイルスを発現ベクターとして使用する場合、所定の抗体コード配列をアデノウイルス転写/翻訳調節複合体、例えば、後期プロモーターおよびトリパタイトリーダー配列と連結することができる。次いで、このキメラ遺伝子を、in vitroまたはin vivo組換えによってアデノウイルス・ゲノムに挿入することができる。ウイルス・ゲノムの非必須領域(例えば、領域E1またはE3)への挿入によって、感染宿主中で生存および抗体分子を発現可能な組換えウイルスが得られる(例えば、Logan & Shenk、1984、PNAS 8 1:355〜359を参照のこと)。挿入した抗体コード配列の効率的な翻訳には特定の開始シグナルも必要であるかもしれない。これらのシグナルには、ATG開始コドンおよび隣接配列が含まれる。さらに、全挿入断片を確実に翻訳するために、開始コドンは所望のコード配列の読み枠と同調していなければならない。これらの外来性翻訳調節シグナルおよび開始コドンの起源は様々であってよく、天然でも合成でもよい。発現の効率は、適切な転写エンハンサーエレメント、転写ターミネーターなどを含めることによって高めることができる(例えば、Bittnerら、1987、Methods in Enzymol. 153:516〜544を参照のこと)。
さらに、挿入配列の発現をモジュレートし、あるいは望ましい特定の様式で遺伝子産物を修飾およびプロセシングする宿主細胞株を選択することができる。タンパク質生成物のこうした修飾(例えば、グリコシル化)およびプロセシング(例えば、切断)は、タンパク質の機能に関して重要であるかもしれない。異なる宿主細胞は、タンパク質および遺伝子産物の翻訳後プロセシングおよび修飾のための特徴的かつ特異的なメカニズムを有する。適切な細胞系または宿主系を選択して、発現される外来タンパク質が正確に修飾およびプロセシングされるようにする。このために、正しい転写一次産物のプロセシング、遺伝子産物のグリコシル化およびリン酸化のための細胞機構をもつ真核宿主細胞を使用することができる。こうした哺乳動物宿主細胞には、それだけには限らないが、CHO、VERO、BHK、HeLa、COS、MDCK、293、3T3、W138、BT483、Hs578T、HTB2、BT2O、NS1およびT47D、NS0(免疫グロブリン鎖を内因的に生成しないマウス骨髄腫細胞系)、CRL7O3OおよびHsS78Bst細胞がある。
組換えタンパク質の長期高収率産生には、安定的な発現が好ましい。例えば、抗体分子を安定して発現する細胞系を作製することができる。宿主細胞は、ウイルス複製起点を含む発現ベクターを用いるのではなく、適切な発現調節エレメント(例えば、プロモーター、エンハンサー、配列、転写ターミネーター、ポリアデニル化部位など)、および選択マーカーによって制御されるDNAを用いて形質転換することができる。外来DNAの導入に続いて、遺伝子操作した細胞を富化培地中で1〜2日間増殖させ、次いで選択培地に切り換えることができる。組換えプラスミドの選択マーカーは、選択への耐性を与え、細胞の染色体中へプラスミドを安定して組み込ませてそれを増殖させ細胞巣を形成することを可能にし、それを後に細胞系へとクローン化および拡張できるようにする。この方法は、抗体分子を発現する細胞系を作製するのに使用すると有利であり得る。この作製した細胞系は、抗体分子と直接的または間接的に相互作用する組成物のスクリーニングおよび評価に特に有用であり得る。
それだけには限らないが、単純疱疹ウイルス・チミジン・キナーゼ(Wiglerら、1977、Cell 11:223)、グルタミン合成酵素、ヒポキサンチン・グアニン・ホスホリボシルトランスフェラーゼ(Szybaska & Szybalski、1992、Proc. Natl. Acad. Sci. USA 48:202)を含む多くの選択系を使用でき、アデニン・ホスホリボシルトランスフェラーゼ(Lowyら、1980、Cell 22:8-17)遺伝子をそれぞれtk-、gs-、hgprt-またはaprt-細胞に使用することができる。さらに、代謝拮抗剤耐性を、以下の遺伝子: メトトレキセートへの耐性を与えるdhfr(Wiglerら、1980、PNAS 77:357;O'Hareら、1981、PNAS 78:1527);マイコフェノール酸への耐性を与えるgpt(Mulligan & Berg、1981、PNAS 78:2072);アミノグリコシドG-418への耐性を与えるneo(WuおよびWu、1991、Biotherapy 3:87;Tolstoshev、1993、Ann. Rev. Pharmacol. Toxicol. 32:573;Mulligan、1993、Science 260:926;ならびにMorganおよびAnderson、1993、Ann. Rev. Biochem. 62:191;May、1993、TIB TECH 11:155〜);およびハイグロマイシンへの耐性を与えるhygro(Santerreら、1984、Gene 30:147)、に対する選択のベースとして使用することができる。組換えDNA技術の当技術分野で一般に周知の方法は、所望の組換えクローンを選択するのに通常適用でき、こうした方法は、例えば、それらの全体が本明細書に参照により組み込まれるAusubelら(編)、Current Protocols in Molecular Biology、John Wiley & Sons、NY(1993);Kriegler、Gene Transfer and Expression、A Laboratory Manual、Stockton Press、NY(1990);ならびに第12および13章、Dracopoliら(編)、Current Protocols in Humqn Genetics、John Wiley & Sons、NY(1994);Colberre-Garapinら、1981、J. Mol. Biol. 150:1に記載されている。
抗体分子の発現レベルは、ベクター増幅によって増大させることができる(概説については、BebbingtonおよびHentschel、The use of vectors based on gene amplification for the expression of cloned genes in mammalian cells in DNA cloning、第3巻(Academic Press、New York、1987)を参照のこと)。抗体を発現するベクター系のマーカーが増幅可能な場合、宿主細胞の培養物中に存在する阻害物質のレベルの増大により、マーカー遺伝子のコピー数が増大することになる。増幅領域は抗体遺伝子と関連しているので、抗体の産生も増大することになる(Crouseら、1983、Mol. Cell. Biol. 3:257)。
宿主細胞は、本発明の2つの発現ベクター、重鎖由来ポリペプチドをコードする第1のベクターおよび軽鎖由来ポリペプチドをコードする第2のベクターで同時トランスフェクトしてもよい。この2つのベクターは、重鎖および軽鎖ポリペプチドの同等発現を可能にする同一の選択マーカーを含んでいてよい。あるいは、重鎖および軽鎖ポリペプチドの両方をコードし、発現できる単一ベクターを使用してもよい。こうした状況では、軽鎖を重鎖の手前に置いて、毒性の遊離重鎖が過剰になることを防止すべきである(Proudfoot、1986、Nature 322:52;およびKohler、1980、PNAS 77:2197)。重鎖および軽鎖のコード配列は、cDNAまたはゲノムDNAを含みうる。
本発明の抗体分子を組換え発現によって生成した後、免疫グロブリン分子の精製に関する当技術分野で周知の任意の方法、例えば、クロマトグラフィー(例えば、イオン交換、親和性、特にプロテインA後の特異的抗原に対する親和性によるもの、およびサイズ分画カラムクロマトグラフィー)、遠心分離、溶解性の差、またはタンパク質の精製に関する任意の他の標準的な技法によって精製することができる。さらに、本発明の抗体またはその断片は、本明細書に記載されている異種ポリペプチド配列と融合して、または当技術分野で周知のその他の方法で、精製を容易にすることができる。
5.2 予防/治療方法
本発明は、1種または複数のEphA2アゴニスト抗体および/または露出EphA2エピトープ抗体、好ましくは1種または複数のモノクローナル性(または単一抗体種である他の供給源からの抗体)のEphA2アゴニスト抗体および/または露出EphA2エピトープ抗体の投与を含む、被験体における、EphA2の過剰発現と関連する疾患、好ましくは癌、の治療、予防または管理の方法を包含する。ある具体的な実施形態では、治療、予防または管理すべき疾患は悪性癌である。別の具体的な実施形態では、治療、予防または管理すべき疾患は、EphA2を過剰発現する細胞と関連する前癌状態である。より具体的な実施形態では、この前癌状態はハイグレード前立腺上皮内新生物(PIN)、乳腺線維腺腫、線維嚢胞症または複合母斑である。
ある実施形態では、本発明の抗体を、癌の治療、予防または管理に有用な他の治療剤と組み合わせて投与してもよい。ある実施形態では、本発明の1種または複数のEphA2抗体を、癌の治療、予防または管理に有用な1種または複数の他の治療剤と同時に、哺乳動物、好ましくはヒトに投与する。「同時に」という用語は、予防剤または治療剤を正確に同時刻に投与することに限らず、むしろ本発明のEphA2抗体および他の薬剤を順次またはある時間間隔で被験体に投与する際に、本発明の抗体がそのような他の薬剤と一緒に作用し、それ以外の方法で投与するよりも増強された利益をもたらすようにすることを意味する。例えば、各予防剤または治療剤は、同時点に投与してもよいし、あるいは異なった時点に任意の順序で順次投与してもよい。しかし、同時点で投与しない場合は、所望の治療または予防効果をもたらすように十分近接した時間内に投与すべきである。各治療剤はいかなる適切な形態で、またいかなる適切な経路で、別々に投与してもよい。別の実施形態では、本発明のEphA2抗体を手術前、手術中または手術後に投与する。その手術は局在する腫瘍を完全に除去するか大型腫瘍を縮小することが好ましい。手術を予防措置または痛みを軽減するために行ってもよい。
好ましい実施形態では、本発明の1種または複数のEphA2抗体は、EA2、EA3、EA4またはEA5からなる。より好ましい実施形態では、抗体はヒト化されたEA2、EA3、EA4またはEA5からなる。別の実施形態では、例えば、EA2、EA3、EA4またはEA5と比較してより高い活性や結合能力などを備えた、1つまたは複数のアミノ酸置換、特に可変領域内のアミノ酸置換を有するEA2、EA3、EA4またはEA5の変異体を提供する。
種々の実施形態において、予防剤または治療剤を、1時間以内の間隔、約1時間間隔、約1時間から約2時間間隔、約2時間から約3時間間隔、約3時間から約4時間間隔、約4時間から約5時間間隔、約5時間から約6時間間隔、約6時間から約7時間間隔、約7時間から約8時間間隔、約8時間から約9時間間隔、約9時間から約10時間間隔、約10時間から約11時間間隔、約11時間から約12時間間隔、24時間以下の間隔または48時間以下の間隔で投与する。好ましい実施形態では、複数の構成成分を患者の同じ来診時に投与する。
本明細書に示す投与の投与量および投与頻度は、治療有効および予防有効という用語に包含される。さらに、投与量および投与頻度は、投与した特定の治療剤または予防剤、癌の重症度およびタイプ、投与経路、ならびに患者の年齢、体重、応答性、および過去の病歴に応じた各患者に特異的な要因によって、通常さまざまである。適当なレジメンは、こうした要因を考慮し、例えば、文献に報告され、またPhysician's Desk Reference(第58版、2004)で推奨された投与量に従うことによって、当業者によって選択され得る。
5.2.1 患者集団
本発明は、治療または予防有効量の本発明の1種または複数のEphA2抗体を被験体に投与することにより、癌を治療、予防または管理する方法を提供する。別の実施形態では、本発明の抗体を、1種または複数の他の治療剤と組み合わせて投与してもよい。被験体は好ましくは哺乳動物であり、例えば非霊長類(ウシ、ブタ、ウマ、ネコ、イヌ、ラットなど)および霊長類(カニクイザルなどのサルおよびヒト)である。好ましい実施形態では、被験体はヒトである。
本発明に包含される方法により治療される癌の具体例は、EphA2を過剰発現する癌を含むが、それだけに限定はされない。別の実施形態では、癌は上皮由来である。このような癌の実施例は、肺、大腸、前立腺、乳房、および皮膚の癌である。他の癌は実施例により例示され、次の5.2.1.1節により限定されない。特定の実施形態では、原発腫瘍からの転移を治療および/または予防するために、本発明の方法を使用してもよい。
本発明の方法および組成物は、癌を患っている被験体/患者、または、例えば特定型の癌の遺伝的素因を有するか、発癌物質にさらされたことがあるか、特定の癌の寛解期にあるかなど、癌を患うことが予想される被験体/患者への本発明の1種または複数のEphA2抗体の投与を含む。ここで「癌」とは原発癌または転移癌を指す。このような患者は過去に癌で治療されたことがあってもなくてもよい。本発明の方法および組成物を、癌の第1選択治療としても、または第2選択治療として用いてもよい。本発明は他の癌治療を受けている患者の治療も含み、これらの他の癌治療の副作用や不耐性が現れるまで本発明の方法と組成物を使用してもよい。本発明は、不応性患者の症状を治療または改善するために、本発明の1種または複数のEphA2抗体を投与する方法も包含する。ある実施形態で、癌が治療に対して不応性である、とは、癌細胞の少なくともある有意な一部について、死滅しないかまたはそれらの細胞分裂が停止しないことを意味する。癌細胞が不応性かどうかの判定は、癌細胞に対する治療の有効性をアッセイするための当技術分野で公知の任意の方法によってin vivoまたはin vitroで行うことができ、そのような文脈において当技術分野で許容される「不応性」の意味を用いる。様々な実施形態で、癌細胞数が有意に減少せず、または増加する場合、癌は不応性である。本発明は、癌の素因のある患者における癌の発症または再発を防ぐために、1種または複数のEphA2アゴニスト抗体を投与する方法も包含する。モノクローナル抗体はEA2、EA3、EA4またはEA5が好ましい。
特定の実施形態では、本発明のEphA2抗体、またはEphA2の発現を減少させる他の治療剤を、ホルモン、放射線および化学療法剤に対する癌細胞の抵抗性すなわち減少した感受性を反転させるために投与し、それにより1種または複数のこれらの薬剤に対する癌細胞の感受性を再び惹起する。その後これらの薬物は、転移を予防するためなど、癌を治療または管理するために投与することができる(または投与し続けることができる)。
別の実施形態では、本発明の1種または複数のEphA2抗体を他の任意の治療法と組み合せて投与し患者の癌を治療する方法、または他の治療法に対して不応性であることが示され、その治療法をもはや受けていない患者への本発明の1種または複数のEphA2抗体の投与により患者の癌を治療する方法を、本発明は提供する。EphA2抗体はEA2、EA3、EA4またはEA5が好ましい。ある実施形態では、本発明の方法で治療される患者は、すでに化学療法、放射線療法、ホルモン療法または生物学的または免疫療法により治療されている。これらの患者の中には、不応性の患者、および既存の癌療法を用いた治療にもかかわらず癌を有する患者が含まれる。他の実施形態では、患者はすでに治療されており疾患活動性を示さないが、本発明の1種または複数のアゴニスト抗体を、癌の再発を防ぐために投与する。
好ましい実施形態では、既存の治療は化学療法である。特定の実施形態では、既存の治療には、それだけには限らないが、メトトレキセート、タキソール、メルカプトプリン、チオグアニン、ヒドロキシ尿素、シタラビン、シクロホスファミド、イホスファミド、ニトロソ尿素、シスプラチン、カルボプラチン、マイトマイシン、ダカルバジン、プロカルビジン、エトポシド、カンパテシン(campathecin)、ブレオマイシン、ドキソルビシン、イダルビシン、ダウノルビシン、ダクチノマイシン、プリカマイシン、ミトキサントロン、アスパラギナーゼ、ビンブラスチン、ビンクリスチン、ビノレルビン、パクリタキセル、ドセタキセルなどを含む化学療法の適用がある。これらの患者のうち、放射線療法、ホルモン療法および/または生物学的療法/免疫療法で治療した患者が挙げられる。また、これらの患者のうち、癌の治療のために手術を受けた患者が挙げられる。
あるいは、本発明は、放射線療法を受けているまたは受けた患者を治療する方法も含む。これらの患者のうち、化学療法、ホルモン療法および/または生物学的療法/免疫療法で治療しているかまたは既に治療した患者が挙げられる。また、これらの患者のうち、癌の治療のために手術を受けた患者が挙げられる。
他の実施形態では、本発明は、ホルモン療法および/または生物学的療法/免疫療法を受けているまたは受けた患者を治療する方法を含む。これらの患者のうち、化学療法および/または放射線療法で治療しているかまたは治療した患者が挙げられる。また、これらの患者のうち、癌の治療のために手術を受けた患者が挙げられる。
さらに、本発明はまた、治療している被験体にとって、その治療の毒性が強すぎることが示されたかまたは示されうる場合、すなわち、該治療が許容できないまたは耐えられない副作用をもたらす場合の、化学療法、放射線療法、ホルモン療法、および/または生物学的療法/免疫療法に代わる方法としての癌の治療方法を提供する。本発明の方法で治療している被験体は、場合によっては、許容できないかまたは耐えられないかが判明した治療に応じて、手術、化学療法、放射線療法、ホルモン療法または生物学的療法などの他の癌治療で治療してもよい。
他の実施形態では、本発明は、癌の治療のための任意の他の癌治療を施さずに、そうした治療に不応性であることが示された被験体に1種または複数の本発明のアゴニストモノクローナル抗体を投与することを提供する。特定の実施形態では、他の癌治療に不応性の患者に、癌治療を行わない状況下で1種または複数のアゴニストモノクローナル抗体を投与する。
他の実施形態では、EphA2を過剰発現する細胞に関連する前癌状態を有する患者に、本発明の抗体を投与して、その障害を治療し、それが悪性癌に進行する可能性を減らすことができる。特定の実施形態では、前癌状態は、ハイグレード前立腺上皮内新生物(PIN)、乳房の線維腺腫、線維嚢胞症、または複合母斑である。
5.2.1.1 癌
本発明の方法および組成物により治療または予防することができる癌および関連する疾患は、上皮細胞由来の癌を含むが、それだけに限定されない。このような癌の例としては以下のものが挙げられる:これらだけに限定するものではないが、急性白血病、急性リンパ性白血病、骨髄芽球性、前骨髄球性、骨髄単球性、単球性および赤白血病などの急性骨髄性白血病、ならびに骨髄異形成症候群などの白血病;これらだけに限定するものではないが、慢性骨髄性(顆粒球性)白血病、慢性リンパ性白血病、毛様細胞白血病などの慢性白血病;真性赤血球増加症;これらだけに限定するものではないが、ホジキン病、非ホジキン病などのリンパ腫;これらだけに限定するものではないが、くすぶり型多発性骨髄腫、非分泌型骨髄腫、骨硬化性骨髄腫、形質細胞白血病、孤立性形質細胞腫および髄外性形質細胞腫などの多発性骨髄腫;ヴァルデンストレームマクログロブリン血症;意義不定単クローン性免疫グロブリン血症;良性単クローン性免疫グロブリン血症;H鎖病;これらだけに限定するものではないが、骨肉腫(bone sarcoma、osteosarcoma)、軟骨肉腫、ユーイング肉腫、悪性巨細胞腫瘍、骨線維肉腫、脊索腫、骨膜性骨肉腫、軟部組織肉腫、血管肉腫(angiosarcoma、hemangiosarcoma)、線維肉腫、カポジ肉腫、平滑筋肉腫、脂肪肉腫、リンパ管肉腫、神経鞘腫、横紋筋肉腫、滑膜肉腫などの骨および結合組織肉腫;これらだけに限定するものではないが、神経膠腫、星状膠細胞腫、脳幹神経膠腫、上衣腫、乏突起膠腫、非神経膠腫、聴神経鞘腫、頭蓋咽頭腫、髄芽腫、髄膜腫、松果体腫、松果体芽腫、原発性脳リンパ腫などの脳腫瘍;これらだけに限定するものではないが、腺癌、小葉(小細胞)癌、腺管内癌、乳腺髄様癌、乳腺粘液癌、乳腺管状癌、乳頭癌、パジェット病および炎症性乳癌などの乳癌;これらだけに限定するものではないが、クロム親和性細胞腫および副腎皮質癌などの副腎癌;これらだけに限定するものではないが、乳頭状または濾胞性甲状腺癌、髄様甲状腺癌および未分化型甲状腺癌などの甲状腺癌;これらだけに限定するものではないが、膵島細胞腺腫、ガストリン産生腫瘍、グルカゴン産生腫瘍、ビポーマ、ソマトスタチン産生腫瘍およびカルチノイドまたは膵島細胞腫などの膵癌;これらだけに限定するものではないが、クッシング病、プロラクチン産生腫瘍、末端肥大症および尿崩症などの下垂体癌;これらだけに限定するものではないが、虹彩黒色腫、脈絡膜黒色腫、毛様体黒色腫などの眼球黒色腫および網膜芽細胞腫などの眼癌;扁平上皮癌、腺癌および黒色腫などの膣癌;扁平上皮癌、黒色腫、腺癌、基底細胞癌、肉腫およびパジェット病などの外陰癌;これらだけに限定するものではないが、扁平上皮癌および腺癌などの子宮頸癌;これらだけに限定するものではないが、子宮内膜癌および子宮肉腫などの子宮癌;これらだけに限定するものではないが、卵巣上皮癌、境界性腫瘍、胚細胞腫瘍および間質腫瘍などの卵巣癌;これらだけに限定するものではないが、扁平上皮癌、腺癌、腺様嚢胞癌、粘表皮癌、腺扁平上皮癌、肉腫、黒色腫、形質細胞腫、疣贅癌および燕麦細胞(小細胞)癌などの食道癌;これらだけに限定するものではないが、腺癌、腫瘤形成型(ポリープ状)、潰瘍形成型、表在拡大型、びまん性拡大型、悪性リンパ腫、脂肪肉腫、線維肉腫、癌肉腫などの胃癌;大腸癌;直腸癌;これらだけに限定するものではないが、肝細胞癌および肝芽腫などの肝臓癌;腺癌のなどの胆嚢癌;これらだけに限定するものではないが、乳頭状、結節型およびびまん性などの胆管癌;非小細胞肺癌、扁平上皮癌(類表皮癌)、腺癌、大細胞癌および小細胞肺癌などの肺癌;これらだけに限定するものではないが、胚腫瘍、精上皮腫、未分化型、古典的(典型的)、精母細胞性、非精上皮腫、胎児性癌、奇形腫癌、絨毛癌(卵黄嚢腫瘍)などの精巣癌;これらだけに限定するものではないが、腺癌、平滑筋肉腫および横紋筋肉腫などの前立腺癌;陰茎癌;これだけに限定するものではないが、扁平上皮癌などの口腔癌;基底癌;これらだけに限定するものではないが、腺癌、粘表皮癌および腺様嚢胞癌などの唾液腺癌;これらだけに限定するものではないが、扁平上皮癌および疣贅癌などの咽頭癌;これらだけに限定するものではないが、基底細胞癌、扁平上皮癌および黒色腫、表在拡大型黒色腫、結節型黒色腫、黒子悪性黒色腫、末端黒子型黒色腫などの皮膚癌;これらだけに限定するものではないが、腎細胞癌、腺癌、副腎腫、線維肉腫、移行上皮癌(腎盤および/または尿管)などの腎癌;ウィルムス腫瘍;これらだけに限定するものではないが、移行上皮癌、扁平上皮癌、腺癌、癌肉腫などの膀胱癌。また、混合肉腫、骨原性肉腫、内皮肉腫、リンパ管内皮肉腫、中皮腫、滑膜腫、血管芽腫、上皮癌、嚢胞腺癌、気管支原性癌、汗腺癌、皮脂腺癌、乳頭癌および乳頭腺癌も癌に含まれる。(この疾患の総説は、Fishmanら、1985、Medicine、第2版、J.B.Lippincott社、PhiladelphiaおよびMurphyら、1997、Informed Decisions: The Complete Book of Cancer Diagnosis, Treatment, and Recovery、Viking Penguin社、Penguin Books U.S.A.社、United States of Americaを参照のこと)。
従って、本発明の方法および組成物はさらに、膀胱、乳房、大腸、腎臓、肝臓、肺、卵巣、膵臓、胃、頚部、甲状腺および皮膚のものを含む癌;扁平上皮癌を含む;白血病、急性リンパ性白血病、急性リンパ芽球性白血病、B細胞リンパ腫、T細胞リンパ腫、バーキットリンパ腫を含むリンパ様系統の造血腫瘍;急性および慢性骨髄性白血病ならびに前骨髄性血病を含む骨髄様系統の造血腫瘍;線維肉腫および横紋筋肉腫を含む間葉起源の腫瘍;黒色腫、精上皮腫、テトラコカルシノーマ(tetratocarcinoma)、神経芽細胞腫および神経膠腫を含む他の腫瘍;星状細胞腫、神経芽細胞腫、神経膠腫、および神経鞘腫を含む中枢および末梢神経系の腫瘍;線維肉腫、横紋筋肉腫、および骨肉腫を含む間葉起源の腫瘍;ならびに黒色腫、色素性乾皮症、角化棘細胞腫、精上皮腫、甲状腺濾胞状癌および奇形癌を含む他の腫瘍を含む(がそれだけには限定されない)様々な癌または他の異常増殖性疾患の治療または予防に有用である。アポトーシスの異常によって引き起こされた癌も本発明の方法および組成物によって治療されることも意図している。こうした癌には、それだけには限らないが、濾胞状リンパ腫、p53変異をもつ癌、乳房、前立腺および卵巣のホルモン依存腫瘍、ならびに家族性腺腫性ポリポージスなどの前癌性病変、ならびに骨髄異形成症候群があり得る。特定の実施形態では、悪性または異常増殖性変化(化生および異形成など)、あるいは過剰増殖性障害は、皮膚、肺、大腸、乳房、前立腺、膀胱、腎臓、膵臓、卵巣、または子宮について治療または予防される。他の特定の実施形態では、肉腫、黒色腫、または白血病が治療または予防される。
いくつかの実施形態では、癌は悪性であり、EphA2を過剰発現する。他の実施形態では、治療すべき障害は、EphA2を過剰発現する細胞に関連する前癌状態である。特定の実施形態では、前癌状態は、ハイグレード前立腺上皮内新生物(PIN)、乳房の線維腺腫、線維嚢胞症、または複合母斑である。
好ましい実施形態では、本発明の方法および組成物は、乳房、大腸、卵巣、肺、および前立腺癌および黒色腫の治療および/または予防に使用し、限定するものではなく、例として下記に示す。
5.2.1.2. 乳癌の治療
特定の実施形態では、乳癌にかかっている患者に有効量の1種または複数の本発明のモノクローナル抗体を投与する。別の実施形態では、本発明の抗体は、それだけには限らないが、ドキソルビシン、エピルビシン、ドキソルビシンとシクロホスファミドの合剤(AC)、シクロホスファミド、ドキソルビシンおよび5-フルオロウラシルの合剤(CAF)、シクロホスファミド、エピルビシンと5-フルオロウラシルの合剤(CEF)、ハーセプチン、タモキシフェン、タモキシフェンと細胞毒化学療法の組合せ、タキサン(ドセタキセルおよびパクリタキセルなど)を含む有効量の乳癌治療に有用な1種または複数の他の薬剤と組み合わせて投与することができる。他の実施形態では、本発明の抗体は、ノード(node)陽性の局在性乳癌のアジュバント治療のためにタキサンと標準的なドキソルビシンおよびシクロホスファミドと一緒に投与することができる。
ある具体的な実施形態では、前癌性の線維腺腫または線維嚢胞症の患者に、本発明の1つのEphA2抗体を投与して、該疾患を治療し、疾患が悪性乳癌に進行する可能性を減少させる。
5.2.1.3. 大腸癌の治療
特定の実施形態では、大腸癌にかかっている患者に有効量の1種または複数の本発明のモノクローナル抗体を投与する。別の実施形態では、本発明の抗体は、それだけには限らないが、5-FUとロイコボリンの合剤、5-FUとレバミゾールの合剤、イリノテカン(CPT-11)またはイリノテカン、5-FUおよびロイコボリンの合剤(IFL)を含む有効量の大腸癌治療に有用な1種または複数の他の薬剤と組み合わせて投与することができる。
5.2.1.4. 前立腺癌の治療
特定の実施形態では、前立腺癌にかかっている患者に有効量の1種または複数の本発明のモノクローナル抗体を投与する。別の実施形態では、本発明の抗体は、それだけには限らないが、外部ビーム放射線療法、放射性同位元素(すなわち、I125、パラジウム、イリジウム)の組織内移植、ロイプロイドまたは他のLHRHアゴニスト、非ステロイド性抗アンドロゲン(フルタミド、ニルタミド、ビカルタミド)、ステロイド性抗アンドロゲン(酢酸シプロテロン)、ロイプロイドとフルタミドの合剤、DES、クロロトリアニセン、エチニルエストラジオール、結合型エストロゲンU.S.P.、DES二リン酸などのエストロゲン、ストロンチウム-89などの放射性同位元素、外部ビーム放射線療法とストロンチウム-89の組合せ、アミノグルテチミド、ヒドロコルチゾン、フルタミド使用中止、プロゲステロン、およびケトコナゾールなどの第2選択のホルモン療法、低用量プレドニゾン、またはドセタキセル、パクリタキセル、エストラムスチン/ドセタキセル、エストラムスチン/エトポシド、エストラムスチン/ビンブラスチン、およびエストラムスチン/パクリタキセルを含む症状の自覚的な改善およびPSAレベルの低減をもたらすことが報告されている他の化学療法レジメンを含む有効量の前立腺癌治療に有用な1種または複数の他の薬剤と組み合わせて投与することができる。
特別な実施形態では、前癌状態のハイグレード前立腺上皮内新生物(PIN)にかかっている患者には、本発明のEphA2抗体を投与して、障害を治療し、それが悪性前立腺癌に進行する可能性を減らす。
5.2.1.5. 黒色腫の治療
特定の実施形態では、黒色腫にかかっている患者に有効量の1種または複数の本発明のモノクローナル抗体を投与する。別の実施形態では、本発明の抗体は、それだけには限らないが、ダカルバジン(DTIC)、カルムスチン(BCNU)およびロムスチン(CCNU)などのニトロソ尿素、ビンカ・アルカロイド、白金化合物、およびタキサンを含む穏和な単一薬剤活性をもつ薬剤、ダートマス・レジメン(シスプラチン、BCNU、およびDTIC)、インターフェロンα(IFN-A)、ならびにインターロイキン-2(IL-2)を含む有効量の黒色腫癌治療に有用な1種または複数の他の薬剤と組み合わせて投与することができる。特定の実施形態では、多発性脳転移、骨転移、および脊髄圧迫にかかっている患者に、有効量の1種または複数の本発明のアゴニストモノクローナル抗体を、メルファラン(L-PAM)を用い、かつ腫瘍壊死因子α(TNF-α)を用いるかまたは用いない単一温熱肢潅流(isolated hyperthermic limb perfusion; ILP)と組み合わせて投与することにより、症状軽減および放射線療法による腫瘍のある程度の収縮を果たすことができる。
特定の実施形態では、前癌性複合母斑にかかっている患者には、本発明のEphA2抗体を投与して、その障害を治療し、それが悪性黒色腫に進行する可能性を減らす。
5.2.1.6. 卵巣癌の治療
特定の実施形態では、卵巣癌にかかっている患者に有効量の1種または複数の本発明のモノクローナル抗体を投与する。別の実施形態では、本発明の抗体は、それだけには限らないが、P32療法などの腹膜内放射線療法、全腹部および骨盤放射線療法、シスプラチン、パクリタキセル(タキソール)またはドセタキセル(タキソテール)およびシスプラチンまたはカルボプラチンの合剤、シクロホスファミドとシスプラチンの合剤、シクロホスファミドとカルボプラチンの合剤、5-FUとロイコボリンの合剤、エトポシド、リポソーマル・ドキソルビシン、ゲムシタビンまたはトポテカンを含む有効量の卵巣癌治療に有用な1種または複数の他の薬剤と組み合わせて投与することができる。白金不応性疾患にかかっている患者のために有効量の1種または複数の本発明のアゴニストモノクローナル抗体をタキソール投与と組み合わせて投与することも意図している。白金不応性の疾患にかかっている患者におけるイホスファミド、シスプラチン系併用レジメンの失敗後のサルベージ化学療法としてのヘキサメチルメラミン(HIMM)、ならびに腫瘍上の細胞質エストロゲン受容体が検出可能レベルである患者におけるタモキシフェンの投与を含む、不応性卵巣癌にかかっている患者の治療も、包含される。
5.2.1.7. 肺癌の治療
特定の実施形態では、小細胞肺癌にかかっている患者に有効量の1種または複数の本発明のモノクローナル抗体を投与する。別の実施形態では、本発明の抗体は、それだけには限らないが、胸部放射線療法、シスプラチン、ビンクリスチン、ドキソルビシン、およびエトポシドを単独でまたは組合せて、シクロホスファミド、ドキソルビシン、ビンクリスチン/エトポシド、およびシスプラチンの合剤(CAV/EP)、気管支内レーザー療法による局所緩和、気管支内ステント、および/または近接照射療法を含む有効量の肺癌治療に有用な1種または複数の他の薬剤と組み合わせて投与することができる。
他の特定の実施形態では、非小肺細胞癌にかかっている患者に有効量の1種または複数の本発明のモノクローナル抗体を、それだけには限らないが、対症放射線療法、シスプラチン、ビンブラスチンおよびマイトマイシンの合剤、シスプラチンとビノレルビンの合剤、パクリタキセル、ドセタキセルまたはゲムシタビン、カルボプラチンとパクリタキセルの合剤、気管支内病変の組織内放射線療法または定位放射線外科手術を含む有効量の肺癌治療に有用な1種または複数の他の薬剤と組み合わせて投与する。
5.2.2 他の予防/治療剤
いくつかの実施形態では、1種または複数のモノクローナル抗体の投与による治療を、それだけには限らないが、化学療法、放射線療法、ホルモン療法、および/または生物学的療法/免疫療法と組み合わせる。予防/治療剤には、それだけには限らないが、ペプチド、ポリペプチド、翻訳後修飾タンパク質を含むタンパク質、抗体などを含むタンパク質分子;小分子(1,000ダルトン未満)、無機または有機化合物;それだけには限らないが、二本鎖または一本鎖DNA、あるいは二本鎖または一本鎖RNA、および三重らせん核酸分子を含む核酸分子が含まれるが、それだけには限らない。予防/治療剤は、公知の任意の生物(それだけには限らないが、動物、植物、微生物、真菌、および原生生物、またはウイルスを含む)、または合成分子ライブラリーに由来するものでもよい。
具体的な一実施形態では、本発明の方法は、本発明の抗体の投与を、それだけには限らないが、ABL、ACK、AFK、AKT(例えばAKT-1、AKT-2、およびAKT-3)、ALK、AMP-PK、ATM、Aurora1、Aurora2、bARK1、bArk2、BLK、BMX、BTK、CAK、CaMキナーゼ、CDC2、CDK、CK、COT、CTD、DNA-PK、EGF-R、ErbB-1、ErbB-2、ErbB-3、ErbB-4、ERK(例えばERK1、ERK2、ERK3、ERK4、ERK5、ERK6、ERK7)、ERT-PK、FAK、FGR(例えばFGF1R、FGF2R)、FLT(例えばFLT-1、FLT-2、FLT-3、FLT-4)、FRK、FYN、GSK(例えばGSK1、GSK2、GSK3-α、GSK3-β、GSK4、GSK5)、G-タンパク質結合受容体キナーゼ(GRK)、HCK、HER2、HKII、JAK(例えばJAM、JAK2、JAK3、JAK4)、JNK(例えばJNK1、JNK2、JNK3)、KDR、KIT、IGF-1受容体、IKK-1、IKK-2、INSR(インシュリン受容体)、IRAK1、IRAK2、IRK、ITK、LCK、LOY、LYN、MAPK、MAPKAPK-1、MAPKAPK-2、MEK、MET、MFPK、MHCK、MLCK、MLK3、NEU、NIK、PDGF受容体α、PDGF受容体β、PHK、PI-3キナーゼ、PKA、PKB、PKC、PKG、PRKI、PYK2、p38キナーゼ、p135tyk2、p34cdc2、p42cdc2、p42mapk、p44mpk、RAF、RET、RIP、RIP-2、RK、RON、RSキナーゼ、SRC、SYK、S6K、TAK1、TEC、TIM、TIE2、TRKA、TXK、TYK2、UL13、VEGFRI、VEGFR2、YES、YRK、ZAP-70、およびこれらのキナーゼのすべてのサブタイプ(例えばHardie and Hanks(1995)The Protein Kinase Facts Book, I and II, Academic Press, San Diego, Califを参照のこと)などのキナーゼの阻害剤である、1種または複数の予防/治療剤の投与と組み合わせることを含む。好ましい実施形態では、本発明の抗体の投与を、Eph受容体キナーゼ(例えばEphA2、EphA4)の阻害剤である1種または複数の予防/治療剤の投与と組み合わせる。最も好ましい一実施形態では、本発明の抗体の投与を、EphA2の阻害剤である1種または複数の予防/治療剤の投与と組み合わせる。
別の具体的な一実施形態では、本発明の方法は、本発明の抗体の投与を、それだけには限らないが、アンギオスタチン(プラスミノゲン断片);抗血管新生アンチトロンビンIII;アンギオザイム(Angiozyme);ABT-627;Bay 12-9566;ベネフィン;ベバシズマブ;BMS-275291;軟骨由来阻害剤(CDI);CAI;CD59補体断片;CEP-7055;Col 3;コンブレタスタチンA-4;エンドスタチン(コラーゲンXVIII断片);フィブロネクチン断片;Gro-β;ハロフジノン;ヘパリナーゼ;ヘパリン六糖類断片;HMV833;ヒト絨毛性ゴナドトロピン(hCG);IM-862;インターフェロンα/β/γ;インターフェロンで誘発されるタンパク質(IP-10);インターロイキン12;クリングル5(プラスミノゲン断片);マリマスタット;メタロプロテイナーゼ阻害剤(TIMP);2-メトキシエストラジオール;MMI 270(CGS 27023A);MoAb IMC-1C11;ネオバスタット;NM-3;パンゼム;PI-88;胎盤リボヌクレアーゼ阻害剤;プラスミノゲン活性化剤阻害剤;血小板因子-4(PF4);プリノマスタット;プロラクチン16kD断片;プロリフェリン(Proliferin)系タンパク質(PRP);PTK 787/ZK 222594;レチノイド;ソリマスタット(Solimastat);スクアラミン;SS 3304;SU 5416;SU 6668;SU 11248;テトラヒドロコルチゾール-S;テトラチオモリブデン酸塩;サリドマイド;トロンボスポンジン-1(TSP-1);TNP-470;形質転換成長因子-β(TGF-β);バスクロスタチン(Vasculostatin);バソスタチン(Vasostatin)(カルレチクリン断片);ZD6126;ZD6474;ファメシル(famesyl)トランスフェラーゼ阻害剤(FTI);およびビスフォスフォネートなどの血管新生阻害剤である、1種または複数の予防/治療剤の投与と組み合わせることを含む。
別の具体的な一実施形態では、本発明の方法は、本発明の抗体の投与を、それだけには限らないが、アシビシン(acivicin)、アクラルビシン、塩酸アコダゾール(acodazole)、アクロニン、アドゼレシン、アルデスロイキン、アルトレタミン、アムボマイシン(ambomycin)、酢酸アメタントロン(ametantrone)、アミノグルテチミド、アムサクリン、アナストロゾール、アンスラマイシン、アスパラギナーゼ、アスペルリン(asperlin)、アザシチジン(azacitidine)、アゼテパ(azetepa)、アゾトマイシン(azotomycin)、バチマスタット、ベンゾデパ(benzodepa)、ビカルタミド、塩酸ビサントレン、ジメシル酸ビスナフィド(bisnafide)、ビゼレシン、硫酸ブレオマイシン、ブレキナール・ナトリウム、ブロピリミン、ブスルファン、カクチノマイシン、カルステロン、カラセミド(caracemide)、カーベタイマー、カルボプラチン、カルムスチン、塩酸カルビシン(carubicin)、カルゼレシン(carzelesin)、セデフィンゴル(cedefingol)、クロラムブシル、シロレマイシン(cirolemycin)、シスプラチン、クラドリビン、メシル酸クリスタノール(crisnatol)、シクロホスファミド、シタラビン、ダカルバジン、ダクチノマイシン、塩酸ダウノルビシン、デカルバジン(decarbazine)、デシタビン(decitabine)、デキソマプラチン(dexormaplatin)、デザグアニン(dezaguanine)、メシル酸デザグアニン(dezaguanine)、ジアジコン、ドセタキセル、ドキソルビシン、塩酸ドキシルビシン、ドロロキシフェン、クエン酸ドロロキシフェン、プロピオン酸ドロモスタノロン、デュアゾマイシン(duazomycin)、エダトレキセート(edatrexate)、塩酸エフロルニチン、エルサミトルシン(elsamitrucin)、エンロプラチン(enloplatin)、エンプロメート(enpromate)、エピプロピジン(epipropidine)、塩酸エピルビシン、エルブゾロール(erbulozole)、塩酸エソルビシン(esorubicin)、エストラムスチン、リン酸エストラムスチン・ナトリウム、エタニダゾール、エトポシド、リン酸エトポシド、エトプリン(etoprine)、塩酸ファドロゾール、ファザラビン(fazarabine)、フェンレチニド(fenretinide)、フロクスウリジン、リン酸フルダラビン、フルオロウラシル、フルロシタビン(flurocitabine)、ホスキドン(fosquidone)、ホストリエシン・ナトリウム、ゲムシタビン、塩酸ゲムシタビン、ヒドロキシ尿素、塩酸イダルビシン、イホスファミド、イルモホシン(ilmofosine)、インターロイキン2(組換えインターロイキン2、またはrIL2を含む)、インターフェロンα-2a、インターフェロンα-2b、インターフェロンα-n1、インターフェロンα-n3、インターフェロンβ-I a、インターフェロンγ-I b、イプロプラチン、塩酸イリノテカン、酢酸ランレオチド、レトロゾール、酢酸ロイプロリド、塩酸リアロゾール、ロメトレキソール(lometrexol)・ナトリウム、ロムスチン、塩酸ロソキサントロン(losoxantrone)、マソプロコール(masoprocol)、メイタンシン、塩酸メクロレタミン、酢酸メゲストロール、酢酸メレンゲストロール、メルファラン、メノガリル、メルカプトプリン、メトトレキサート、メトトレキサレート・ナトリウム、メトプリン、メツレデパ(meturedepa)、ミチンドミド(mitindomide)、マイトカルシン(mitocarcin)、マイトクロミン(mitocromin)、マイトギリン(mitogillin)、マイトマルシン(mitomalcin)、マイトマイシン、マイトスパー(mitosper)、マイトテイン(mitotane)、塩酸ミトキサントロン、ミコフェノール酸、ニトロソ尿素、ノコダゾール、ノガラマイシン、オルマプラチン(ormaplatin)、オキシスラン(oxisuran)、パクリタキセル、ペガスパルガーゼ(pegaspargase)、ペリオマイシン(peliomycin)、ペンタムスチン(pentamustine)、硫酸ペプロマイシン、ペルホスファミド(perfosfamide)、ピポブロマン、ピポスルファン(piposulfan)、塩酸ピロキサントロン(piroxantrone)、プリカマイシン、プロメスタン(plomestane)、ポルフィマー・ナトリウム、ポルフィロマイシン、プレドニムスチン(prednimustine)、塩酸プロカルバジン、ピューロマイシン、塩酸ピューロマイシン、ピラゾフリン(pyrazofurin)、リボプリン(riboprine)、ログレチミド(rogletimide)、サフィンゴル(safingol)、塩酸サフィンゴル(safingol)、セムスチン、シムトラゼン(simtrazene)、スパルフォセート・ナトリウム、スパルソマイシン、塩酸スピロゲルマニウム、スピロムスチン(spiromustine)、スピロプラチン(spiroplatin)、ストレプトニグリン、ストレプトゾシン、スロフェヌール(sulofenur)、タリソマイシン、テコガラン・ナトリウム、テガフル、塩酸テロキサントロン(teloxantrone)、テモポルフィン、テニポシド、テロキシロン(teroxirone)、テストラクトン、チアミプリン(thiamiprine)、チオグアニン、チオテパ、チアゾフリン(tiazofurin)、チラパザミン、クエン酸トレミフェン、酢酸トレストロン(trestolone)、リン酸トリシリビン(triciribine)、トリメトレキセート、グルクロン酸トリメトレキセート、トリプトレリン、塩酸チュブロゾール(tubulozole)、ウラシル・マスタード、ウレデパ(uredepa)、バプレオチド(vapreotide)、ベルテポルフィン、硫酸ビンブラスチン、硫酸ビンクリスチン、ビンデシン、硫酸ビンデシン、硫酸ビネピジン(vinepidine)、硫酸ビングリシネート(vinglycinate)、硫酸ビンロイロシン(vinleurosine)、酒石酸ビノレルビン、硫酸ビンロシジン(vinrosidine)、硫酸ビンゾリジン(vinzolidine)、ボロゾール(vorozole)、ゼニプラチン(zeniplatin)、ジノスタチン、塩酸ゾルビシンなどの抗癌剤である1種または複数の予防/治療剤の投与と組み合わせることを含む。他の抗癌剤には、それだけには限らないが、20-エピ-1,25ジヒドロキシビタミンD3、5-エチニルウラシル、アビラテロン(abiraterone)、アクラルビシン、アシルフルベン、アデシペノール(adecypenol)、アドゼレシン、アルデスロイキン、ALL-TKアンタゴニスト、アルトレタミン、アンバムスチン(ambamustine)、アミドクス(amidox)、アミフォスチン、アミノレブリン酸、アムルビシン、アムサクリン、アナグレリド、アナストロゾール、アンドログラホライド、血管新生阻害剤、アンタゴニストD、アンタゴニストG、アンタレリクス(antarelix)、抗背側化形態形成タンパク質1、抗アンドロゲン、抗エストロゲン、抗新生物薬、グリシン酸アフィジコリン、アポトーシス遺伝子調節剤、アポトーシス調節剤、アプリン酸、ara-CDP-DL-PTBA、アルギニン・デアミナーゼ、アスラクリン(asulacrine)、アタメスタン、アトリムスチン、アキシナスタチン(axinastatin)1、アキシナスタチン(axinastatin)2、アキシナスタチン(axinastatin)3、アザセトロン、アザトキシン(azatoxin)、アザチロシン、バッカチンIII誘導体、バラノール(balanol)、バチマスタット、BCR/ABLアンタゴニスト、ベンゾクロリン、ベンゾイルスタウロスポリン、β-ラクタム誘導体、β-アレチン(alethine)、β-クラミシンB、ベツリン酸、bFGF阻害剤、ビカルタミド、ビサントレン、ビスアジリジニルスペルミン、ビスナフィド(bisnafide)、ビストラテン(bistratene)A、ビゼレシン、ブレフレート(breflate)、ブロピリミン、ブドチタン(budotitane)、ブチオニン・スルホキシイミン、カルシポトリオール、カルフォスチンC、カンプトセシン誘導体、カナリア痘IL-2、カペシタビン、カルボキサミド-アミノ-トリアゾール、カルボキシアミドトリアゾール、CaRest M3、CARN 700、軟骨由来阻害剤、カルゼレシン(carzelesin)、カゼイン・キナーゼ阻害剤(ICOS)、カスタノスペルミン、セクロピンB、セトロレリクス、クロロキノキサリン・スルホンアミド、シカプロスト、cis-ポルフィリン、クラドリビン、クロミフェン類似体、クロトリマゾール、コリスマイシン(collismycin)A、コリスマイシン(collismycin)B、コンブレタスタチンA4、コンブレタスタチン類似体、コナゲニン、クラムベスシジン(crambescidin)816、クリスタノール(crisnatol)、クリプロファイシン(cryptophycin)8、クリプロファイシン(cryptophycin)A誘導体、クラシン(curacin)A、シクロペンタンスラキノン、シクロプラタム、サイペマイシン(cypemycin)、シタラビンオクホスファート、細胞溶解因子、サイトスタチン(cytostatin)、ダクリキシマブ(dacliximab)、デシタビン(decitabine)、デヒドロジデムニンB、デスロレリン、デキサメタゾン、デキシホスファミド、デクスラゾキサン、デクスベラパミル、ジアジコン、ジデムニンB、ジドクス(didox)、ジエチルノルスペルミン、ジヒドロ-5-アザシチジン、ジヒドロタキソール、ジオキサマイシン(dioxamycin)、ジフェニル・スピロムスチン(spiromustine)、ドセタキセル、ドコサノール、ドラセトロン、ドキシフルリジン、ドロロキシフェン、ドロナビノール、デュオカルマイシンSA、エブセレン、エコムスチン(ecomustine)、エデルホシン(edelfosine)、エドレコロマブ、エフロルニチン、エレメン、エミテフール、エピルビシン、エプリステリド、エストラムスチン類似体、エストロゲン・アゴニスト、エストロゲン・アンタゴニスト、エタニダゾール、リン酸エトポシド、エキセメスタン、ファドロゾール、ファザラビン(fazarabine)、フェンレチナイド、フィルグラスチム、フィナステライド、フラボピリドール、フレゼラスチン(flezelastine)、フルアステロン、フルダラビン、塩酸フルオロダウノルニシン(fluorodaunorunicin)、フォルフェニメクス(forfenimex)、フォルメスタン、フォストリエシン、フォテムスチン、ガドリニウム・テキサフィリン、硝酸ガリウム、ガロシタビン、ガニレリックス、ゲラチナーゼ阻害剤、ゲムシタビン、グルタチオン阻害剤、ヘプルスファム(hepsulfam)、ヘレグリン、ヘキサメチレンビスアセトアミド、ヒペリシン、イバンドロン酸、イダルビシン、イドキシフェン、イドラマントン(idramantone)、イルモホシン(ilmofosine)、イロマスタット(ilomastat)、イミダゾアクリドン、イミキモド、免疫刺激ペプチド、インシュリン様成長因子-1受容体阻害剤、インターフェロン・アゴニスト、インターフェロン、インターロイ
キン、イオベングアン(iobenguane)、ヨードドキソルビシン(iododoxorubicin)、イポメアノール(ipomeanol)、イロプラクト(iroplact)、イルソグラジン、イソベンガゾール(isobengazole)、イソホモハリコンドリン(isohomohalicondrin)B、イタセトロン、ジャスプラキノライド、カハラリド(kahalalide)F、三塩酸ラメラリン-N、ランレオチド、レイナマイシン、レノグラスチム、硫酸レンチナン、レプトルスタチン(leptolstatin)、レトロゾール、白血病阻害因子、白血球αインターフェロン、ロイプロリド+エストロゲン+プロゲステロン、ロイプロレリン、レバミゾール、リアロゾール、直鎖ポリアミン類似体、親油性二糖類ペプチド、親油性白金化合物、リッソクリナミド(lissoclinamide)7、ロバプラチン(lobaplatin)、ロンブリシン、ロメトレキソール(lometrexol)、ロニダミン、ロソキサントロン(losoxantrone)、ロバスタチン、ロキソリビン(loxoribine)、ルルトテカン(lurtotecan)、ルテチウム・テキサフィリン、リソフィリン(lysofylline)、溶解ペプチド、メイタンシン、マンノスタチンA、マリマスタット、マソプロコール(masoprocol)、マスピン(maspin)、マトリリシン阻害剤、マトリックス・メタロプロテイナーゼ阻害剤、メノガリル、メルバロン(merbarone)、メテレリン(meterelin)、メチオニナーゼ(methioninase)、メトクロプラミド、MIF阻害剤、ミフェプリストン、ミルテホシン、ミリモスチム、ミスマッチ二重鎖RNA、ミトグアゾン、ミトラクトール(mitolactol)、マイトマイシン類似体、ミトナフィド(mitonafide)、マイトトキシン(mitotoxin)線維芽細胞成長因子-サポリン、ミトキサントロン、モファロテン、モルグラモスチム、モノクローナル抗体、ヒト絨毛性ゴナドトロフィン、モノホスホリル脂質A+ミオバクテリウム細胞壁sk、モピダモール(mopidamol)、多剤耐性遺伝子阻害剤、多発腫瘍抑制剤1系治療剤、マスタード抗癌薬、マイカペルオキシド(mycaperoxide)B、ミコバクテリウム細胞壁抽出物、ミリアポロン(myriaporone)、N-アセチルジナリン、N-置換ベンズアミド、ナファレリン、ナグレスチップ(nagrestip)、ナロキソン+ペンタゾシン、ナパビン(napavin)、ナフテルピン、ナルトグラスチム、ネダプラチン、ネモルビシン(nemorubicin)、ネリドロン酸(neridronic acid)、中性エンドペプチターゼ、ニルタミド、ナイサマイシン(nisamycin)、一酸化窒素調整剤、ニトロキシド抗酸化剤、ニトルリン(nitrullyn)、O6-ベンジルグアニン、オクトレオチド、オキセノン(okicenone)、オリゴヌクレオチド、オナプリストン、オンダンセトロン、オラシン、経口サイトカイン誘発剤、オルマプラチン(ormaplatin)、オサテロン、オキサリプラチン、オキザウノマイシン、パクリタキセル、パクリタキセル類似体、パクリタキセル誘導体、パラウアミン(palauamine)、パルミトイルリゾキシン、パミドロン酸、パナキシトリオール、パノミフェン、パラバクチン(parabactin)、パゼリプチン(pazelliptine)、ペガスパルガーゼ(pegaspargase)、ペルデシン、ポリ硫酸ペントサンナトリウム、ペントスタチン、ペントロゾール(pentrozole)、パーフルブロン、パーホスファミド、ペリリルアルコール、フェナジノマイシン、酢酸フェニル、ホスファターゼ阻害剤、ピシバニル、塩酸ピロカルピン、ピラルビシン、ピリトレキシム(piritrexim)、プラセチン(placetin)A、プラセチン(placetin)B、プラスミノゲン活性化剤阻害剤、白金錯体、白金化合物、白金トリアミン錯体、ポルフィマー・ナトリウム、ポルフィロマイシン、プレドニゾン、プロピルbis-アクリドン、プロスタグランジンJ2、プロテアソーム阻害剤、タンパク質A系免疫調節剤、タンパク質キナーゼC阻害剤、微細藻、タンパク質チロシン・ホスファターゼ阻害剤、プリン・ヌクレオシド・ホスホリラーゼ阻害剤、プルプリン、ピラゾロアクリジン、ピリドキシル化ヘモグロビン・ポリオキシエチレン接合体、rafアンタゴニスト、ラルチトレキセド、ラモセトロン、rasファルネシル・タンパク質トランスフェラーゼ阻害剤、ras阻害剤、ras-GAP阻害剤、脱メチル化レテリプチン(retelli
ptine)、エチドロン酸レニウムRe 186、リゾキシン、リボザイム、RIIレチンアミド、ログレチミド(rogletimide)、ロヒツカイン(rohitukine)、ロムルチド、ロキニメクス(roquinimex)、ルビギノン(rubiginone)B1、ルボキシル(ruboxyl)、サフィンゴル(safingol)、サイントピン(saintopin)、SarCNU、サルコフィトールA、サルグラモスチム、Sdi 1ミメティクス、セムスチン、老化由来阻害剤1、センス・オリゴヌクレオチド、シグナル伝達阻害剤、シグナル伝達調整剤、一本鎖抗原結合タンパク質、シゾフィラン、ソブゾキサン、ナトリウム・ボロカプテート、フェニル酢酸ナトリウム、ソルベロール(solverol)、ソマトメジン結合タンパク質、ソネルミン、スパルホシン酸(sparfosic acid)、スピカマイシンD、スピロムスチン(spiromustine)、スプレノペンチン、スポンジスタチン1、スクアラミン、幹細胞阻害剤、幹細胞分裂阻害剤、スチピアミド(stipiamide)、ストロメリシン阻害剤、スルフィノシン(sulfinosine)、超活性血管作用性腸ペプチド・アンタゴニスト、スラジスタ(suradista)、スラミン、スワンソニン、合成グリコサミノグリカン、タリムスチン(tallimustine)、タモキシフェン・メチオジド、タウロムスチン(tauromustine)、タキソール、タザロテン、テコガラン・ナトリウム、テガフール、テルラピリリウム(tellurapyrylium)、テロメラーゼ阻害剤、テモポルフィン、テモゾロマイド、テニポシド、テトラクロロデカオキシド、テトラゾミン(tetrazomine)、タリブラスチン(thaliblastine)、サリドマイド、チオコラリン(thiocoraline)、チオグアニン、トロンボポエチン、トロンボポエチン・ミメティク、チマルファシン(thymalfasin)、チモポエチン受容体アゴニスト、チモトリナン(thymotrinan)、甲状腺刺激ホルモン、スズ・エチル・エチオプルプリン、チラパザミン、二塩化チタノセン、トプセンチン(topsentin)、トレミフェン、全能性幹細胞因子、翻訳阻害剤、トレチノイン、トリアセチルウリジン、トリシリビン(triciribine)、トリメトレキセート、トリプトレリン、トロピセトロン、ツロステライド(turosteride)、チロシン・キナーゼ阻害剤、チルホスチン、UBC阻害剤、ウベニメクス、尿生殖洞由来成長阻害因子、ウロキナーゼ受容体アンタゴニスト、バプレオチド(vapreotide)、バリオリン(variolin)B、ベクター系、赤血球遺伝子治療剤、ベラレゾール(velaresol)、ベラミン(veramine)、ベルジンス(verdins)、ベルテポルフィン、ビノレルビン、ビンキサルチン(vinxaltine)、バイタクシン、ボロゾール、ザノテロン(zanoterone)、ゼニプラチン(zeniplatin)、ジラスコルブ(zilascorb)、およびジノスタチン・スチマラマーが含まれる。好ましい追加の抗癌剤は、5-フルオロウラシルおよびロイコボリンである。
より特定の実施形態では、本発明はまた、本発明の1種または複数のモノクローナル抗体を、それだけには限らないが、表2に開示されている抗癌剤、好ましくは前述の乳癌、卵巣癌、黒色腫、前立腺癌、大腸癌、および肺癌の治療用の抗癌剤などの1種または複数の治療剤の投与とと組み合わせることも含む。
本発明はまた、本発明のEphA2抗体の投与を、X線、γ線、および他の放射線源の使用を含む放射線療法と組み合わせて、癌細胞を破壊することを含む。好ましい実施形態では、この放射線療法は、放射線が遠隔治療線源から向けられる外照射または遠隔照射療法として行われる。他の好ましい実施形態では、この放射線療法は、放射線源を体内の癌細胞または腫瘤に近い位置に配置する内科療法または近接照射療法として行われる。
癌治療剤、ならびにその用量、投与経路、および推奨される使用法は当技術分野で周知であり、Physician's Desk Reference(第58版、2004)などの文献に記載されている。
5.3 本発明の抗体の同定
5.3.1 アゴニスト抗体
本発明の抗体は、EphA2受容体に免疫特異的に結合するだけでなく、好ましくはEphA2受容体を作動(すなわち、EphA2をリン酸化)させうる。EphA2は作動するとリン酸化され、その後分解される。EphA2のリン酸化、活性、または発現のレベルをアッセイするための当技術分野で周知の方法ならどんな方法でも、候補EphA2抗体をアッセイしてそのアゴニスト活性を測定するために用いることができる(例えば、下記の6.2.1節を参照のこと)。
従って本発明は、EphA2に特異的に結合する抗体、特にEphA2細胞外ドメインと結合する抗体を、EphA2を発現する細胞、特にEphA2を過剰発現(同じ細胞型の非癌細胞と比較して)する癌細胞、好ましくは転移癌細胞と共にインキュベートし、次いでEphA2リン酸化および/またはEphA2分解の増加をアッセイし、それにより本発明のEphA2抗体を同定することによる、本発明のEphA2抗体をアッセイしスクリーニングする方法を提供する。
5.3.2 癌細胞上に露出したEphA2エピトープに選択的に結合する抗体
本発明の抗体は、好ましくは、癌細胞(例えば、EphA2を過剰発現する細胞、および/またはリガンドに結合していない実質的なEphA2を有する細胞)上に露出するが、EphA2がリガンドに結合している非癌細胞上には露出しないEphA2エピトープに結合することができる。この実施形態では、本発明の抗体は、非癌細胞上には露出せず、癌細胞上に露出したEphA2エピトープに向けられる(例えば、下記の6.6節を参照のこと)。非癌細胞と癌細胞のEphA2膜分布の違いにより、非癌細胞上には露出しない癌細胞上の所与のエピトープを明らかにする。例えば、通常EphA2はそのリガンドであるEphrin Alに結合し、細胞間接触領域に局在する。しかし、癌細胞は一般に、細胞間接触を減少させる一方、そのリガンドに対して過剰量のEphA2を過剰発現する。従って、癌細胞では、細胞間接触部に局在しない非結合EphA2の量が増加する。一実施形態では、非結合で非局在のEphA2に選択的に結合する抗体が、本発明の抗体である。
候補EphA2抗体の細胞への結合/局在を確認するための当技術分野で公知の任意の方法を、所望の結合特性について候補抗体をスクリーニングするために用いることができる。一実施形態では、抗体の結合特性を測定するのに免疫蛍光顕微鏡検査法を使用する。in vitroで増殖させた細胞に結合する抗体の結合を比較するにのに標準的な技法を使用することができる。具体的な一実施形態では、癌細胞に結合する抗体と、非癌細胞に結合する抗体を比較する。露出EphA2エピトープ抗体は、非癌細胞にはほとんど結合しないが、癌細胞にはよく結合する。別の具体的な一実施形態では、解離した(例えば、EGTAなどのカルシウム・キレート剤で処理した)非癌細胞に結合する抗体と、解離していない非癌細胞に結合する抗体を比較する。露出EphA2エピトープ抗体は、解離していない非癌細胞にはほとんど結合しないが、解離した非癌細胞にはよく結合する。
別の一実施形態では、抗体の結合特性を測定するのに、フローサイトメトリーを使用する。この実施形態では、EphA2はそのリガンドであるEphrin A1と架橋されていてもされていなくてもよい。露出EphA2エピトープ抗体は、架橋されたEphA2にはあまり結合しないが、非架橋EphA2にはよく結合する。
別の一実施形態では、抗体の結合特性を測定するのに、細胞に基づくイムノアッセイを使用する。この実施形態では、EphA2との結合についてEphA2リガンド(例えば、Ephrin Al)と競合し得る抗体が、EphA2からEphrin A1を追い出す。このアッセイで用いられるEphA2リガンドは、可溶性タンパク質(例えば、組換え的に発現されたもの)であってもよく、細胞上に発現されてその細胞に固定されたものでもよい。
5.4 治療有効性または予防有効性の特徴付けおよび実証
本発明の予防および/または治療プロトコルの毒性および有効性は、例えばLD50(集団の50%に対し致死的な投与量)およびED50(集団の50%において治療上有効な投与量)を決定するための、細胞培養物または実験動物中での標準的な製薬手法により確認することができる。毒性効果を示す用量と治療効果を示す用量の比を治療係数とし、LD50/ED50比として表す。治療係数が大きい予防および/または治療剤が好ましい。毒性の副作用を示す予防および/または治療剤も使用できるが、そのような薬剤が患部組織の部位を標的とする送達系を設計するにあたっては、非感染細胞に対する潜在的ダメージを最小限に抑え、それにより副作用を低減させるよう注意を払うべきである。
細胞培養アッセイおよび動物研究から得られるデータは、ヒトで使用される予防および/または治療剤のある範囲の用量を処方するのに用いることができる。このような薬剤の用量は、ED50を含む、毒性をほとんどまたはまったく持たないある範囲の循環濃度であることが好ましい。この用量は、使用される剤形および利用される投与経路に応じて、この範囲内で変わり得る。本発明の方法で用いられる任意の薬剤の治療有効量は、最初に細胞培養アッセイから推定することができる。ある用量を動物モデルで処方して、細胞培養物中で測定したIC50を含む循環血漿濃度範囲(すなわち、症状の最大半減阻害を実現する試験化合物の濃度)を実現することができる。このような情報を用いてより正確にヒトに有用な用量を決定することができる。血漿濃度は、例えば高速液体クロマトグラフィーで測定することができる。
本発明に従って用いられる治療剤の抗癌活性は、マウスEphA2をヒトEphA2で置き換えたSCIDマウス・モデルまたは遺伝子組換えマウス、ヒト異種移植片を有するヌード・マウス、下記6章に記載の動物モデル、または当技術分野で周知の任意の動物モデル、およびその全体が参照により本明細書に組み込まれるRelevance of Tumor Models for Anticancer Drug Development(1999, eds. Fiebig and Burger);Contributions to Oncology(1999, Karger);The Nude Mouse in Oncology Research(1991, eds. Boven and Winograd);Anticancer Drug Development Guide(1997 ed. Teicher)に記載の任意の動物モデルなどの、癌研究用の様々な実験動物モデルにより測定することができる。
5.4.1 治療有効性の検証
本発明の手順および組成物は、ヒトに使用する前に、期待する治療上および予防上の活性について、in vitroでそしてin vivoで検査するのが好ましい。例えば、ある特定の治療プロトコルを付与するか否かの判定に使用できるin vitroアッセイとしてin vitro細胞培養アッセイがあり、そのアッセイでは患者の組織サンプルを培養にて増殖させ、またそのサンプルをプロトコルにかけるか、あるいはそのサンプルにプロトコルを付与し、例えばEphA2リン酸化/分解の増加など、このプロトコルの組織サンプルへの効果を観察する。接触した細胞の増殖またはその生存が低レベルであることは、その治療剤は患者の状態を治療するのに有効であることを示している。別の方法として、患者の細胞を培養せず、腫瘍または悪性細胞株の細胞を用いて治療剤および治療方法をスクリーニングしてもよい。当技術分野で標準とされているアッセイ方法の多くを、この生存および/または増殖の評価に使用することができる。例えば細胞増殖は、3H-チミジン取り込み測定、細胞の直接計数、または癌原遺伝子(fos、mycなど)や細胞周期マーカーなど既知遺伝子の転写活性の変化の検知により、評価することができる。細胞生存度はトリパンブルー染色により評価でき、分化度は形態やEphA2リン酸化/分解の増加などにより視覚化して評価することができる。
治療に使用される化合物は、ヒトで試験する前に、それだけには限らないが、ラット、マウス、ニワトリ、ウシ、サル、ウサギ、ハムスターなどを含む適切な動物モデル系、例えば上述の動物モデルで試験することができる。これらの化合物を次に、適切な臨床試験で使用する。
さらに、当業者に公知の任意のアッセイを使用して、癌の治療または予防のための本明細書で開示された併用療法の予防および/または治療有効性を評価できる。
5.5 医薬組成物
本発明の組成物には、医薬組成物の製造に有用なバルク薬剤組成物(不純または未滅菌組成物)および、単位剤形を製造するのに使用可能な医薬組成物(すなわち、被験体または患者に投与するのに適している組成物)が含まれる。このような組成物には、予防または治療有効量の本明細書に開示する予防剤および/または治療剤、またはそれらの薬剤と製薬上許容される担体の組合せが含まれる。本発明の組成物には、予防または治療有効量の本発明の1種または複数のEphA2抗体と、製薬上許容される担体との組合せが含まれるのが好ましい。別の実施形態では、本発明の組成物は追加の抗癌剤をさらに含む。特定の実施形態では、追加の抗癌剤として、限定するものではないが、化学療法剤、放射線療法剤、ホルモン療法剤、生物学的療法剤、および免疫療法剤が挙げられる。
具体的な一実施形態では、「製薬上許容される」という用語は、連邦または州政府の規制当局による承認を受けたか、米国薬局方、または動物、より具体的にはヒトにおける使用のための他の一般に認知された薬局方に掲載されていることを意味する。「担体」という用語は、それと一緒に治療剤が投与される希釈剤、アジュバント(例えば、フロイントのアジュバント(完全または不完全)または、より好ましくは、Chiron(エメリービル、カリフォルニア州)から入手可能であるMF59C.1)、賦形剤、またはビヒクルを指す。そのような薬剤用担体は、水、およびピーナツ油、大豆油、鉱油、ゴマ油などの石油、動物油、植物油、合成油を含む油などの滅菌液体であり得る。この医薬組成物を静脈内に投与する場合には、水が好ましい担体である。食塩水、ならびにデキストロースおよびグリセリンの水溶液を、特に注射液用の液体担体として使用することもできる。適切な薬剤用賦形剤には、デンプン、グルコース、ラクトース、スクロース、ゼラチン、麦芽、米、小麦粉、チョーク、シリカゲル、ステアリン酸ナトリウム、モノステアリン酸グリセリン、タルク、塩化ナトリウム、乾燥スキムミルク、グリセリン、プロピレン、グリコール、水、エタノールなどが含まれる。この組成物は、所望に応じて、微少量の湿潤剤、乳化剤、またはpH緩衝剤を含んでもよい。これらの組成物は、溶液剤、懸濁剤、乳剤、錠剤、丸剤、粉末剤、持続放出性製剤などの形をとることができる。
一般に、本発明の組成物の成分は、それぞれ別々に供給されるか、あるいは剤形単位中で混合されて、例えば有効薬剤の量を示すアンプルやサシェット(sachette)などの気密性密封容器中の凍結乾燥粉末または水を含まない濃縮物として供給される。この組成物を輸液により投与する場合、医薬グレードの滅菌水または生理食塩水を含む輸液ボトルを使って分配することができる。この組成物を注射により投与する場合、注射用滅菌水または生理食塩水のアンプルを提供することができ、従って各成分を投与前に混合することができる。
本発明の組成物は、中性形態または塩の形態として調製することができる。製薬上許容される塩には、塩酸、リン酸、酢酸、シュウ酸、酒石酸などから誘導されるアニオンなどのアニオンで形成される塩、ナトリウム、カリウム、アンモニウム、カルシウム、水酸化第二鉄、イソプロピルアミン、トリエチルアミン、2-エチルアミノエタノール、ヒスチジン、プロカインなどから誘導されるカチオンなどのカチオンで形成される塩が含まれる。
様々な送達系、例えばリポソーム、微粒子、マイクロカプセル中への封入によるもの、抗体または抗体断片を発現することが可能な組換え細胞によるもの、受容体を介したエンドサイトーシスによるもの(例えば、WuおよびWu, 1987, J. Biol. Chem. 262:4429-4432を参照のこと)、レトロウイルス・ベクターや他のベクターの一部としての核酸の構築によるものなどが知られており、本発明のアゴニストモノクローナル抗体、あるいは本発明のアゴニストモノクローナル抗体と癌の予防または治療に有用な予防剤または治療剤の組合せを投与するために使用することができる。本発明の予防または治療剤の投与方法には、それだけには限らないが、非経口投与(例えば、皮内投与、筋肉内投与、腹腔内投与、静脈内投与、皮下投与)、硬膜外投与、粘膜投与(例えば、鼻腔内投与、吸入投与、経口投与)が含まれる。具体的な一実施形態では、本発明の予防または治療剤を筋肉内、静脈内、または皮下投与する。この予防または治療剤は、任意の好都合な経路、例えば輸液投与、ボーラス投与、上皮内層または皮膚粘膜内層(例えば、口腔粘膜、直腸粘膜など)を介した吸収により投与することができ、他の生物学的に有効な薬剤とともに投与することができる。この投与は全身投与でも局所投与でもよい。
具体的な一実施形態では、望ましくは本発明の予防または治療剤を治療が必要な領域に局所投与することができる。これは例えば、それだけには限らないが、注射による局所輸液、またはインプラントにより実現することができる。このインプラントは、シラスティック膜などの膜や繊維を含む多孔質材料、非多孔質材料、またはゼラチン材料からなる。
別の一実施形態では、この予防または治療剤は、制御放出系または持続放出系で送達することができる。一実施形態では、ポンプを用いて制御または持続放出を実現することができる(Langer, supra;Sefton,1987, CRC Crit. Ref. Biomed. Eng. 14:20;Buchwald et al., 1980, Surgery 88:507;Saudek et al., 1989, N. Engl. J. Med. 321:574を参照のこと)。別の一実施形態では、ポリマー材料を用いて本発明の抗体またはその断片の制御または持続放出を実現することができる(例えば、Medical Applications of Controlled Release, Langer and Wise(eds.), CRC Pres., Boca Raton, Florida(1974);Controlled Drug Bioavailability, Drug Product Design and Performance, Smolen and Ball(eds.), Wiley, New York(1984);Ranger and Peppas, 1983, J. Macromol. Sci. Rev. Macromol. Chem. 23:61;Levy et al., 1985, Science 228:190;During et al., 1989, Ann. Neurol. 25:351;Howard et al., 1989, J. Neurosurg. 71:105); 米国特許第5,679,377号;米国特許第5,916,597号;米国特許第5,912,015号;米国特許第5,989,463号;米国特許第5,128,326号;国際公開WO99/15154号およびWO99/20253号を参照のこと)。持続放出性製剤中で用いられるポリマーの例は、それだけには限らないが、ポリ(2-ヒドロキシエチルメタクリレート)、ポリ(メチルメタクリレート)、ポリ(アクリル酸)、ポリ(エチレン-コ-酢酸ビニル)、ポリ(メタクリル酸)、ポリグリコール酸(PLG)、ポリ無水物、ポリ(N-ビニルピロリドン)、ポリ(ビニルアルコール)、ポリアクリルアミド、ポリ(エチレングリコール)、ポリラクチド(PLA)、ポリ(ラクチド-コ-グリコール酸)(PLGA)、ポリオルトエステルが含まれる。好ましい一実施形態では、持続放出性製剤に用いられるポリマーは不活性であり、浸出性不純物を含まず、貯蔵安定性であり、滅菌されており、生分解性である。別の一実施形態では、制御放出系または持続放出系を予防または治療標的の近くに位置させることができ、従って全身向け用量の一部しか必要としない(例えば、Goodson, in Medical Applications of Controlled Release, supra, vol. 2, pp. 115-138(1984)を参照のこと)。
制御放出系についてはLangerの総説で論じられている(1990, Science 249:1527-1533)。当業者に公知の方法ならどんな方法でも、本発明の1種または複数の持続放出性製剤の製造に使用することができる。例えば、米国特許第4,526,938号;国際公開WO91/05548号およびWO 96/20698号;Ning et al., 1996, Radiotherapy & Oncology 39:179-189;Song et al., 1995, PDA Journal of Pharmaceutical Science & Technology 50:372-397;Cleek et al., 1997, Pro. Int'l. Symp. Control. Rel. Bioact. Mater. 24:853-854;and Lam et al., 1997, Proc. Int'l. Symp. Control Rel. Bioact. Mater. 24:759-760を参照のこと。これらはすべてその全体が参照により本明細書に組み込まれる。
5.5.1 製剤
本発明に従って使用される医薬組成物は、1種または複数の生理的に許容される担体を用いて、通常の方法で調製することができる。
従って本発明のEphA2抗体およびその生理的に許容される塩および溶媒和物を、吸入法または吹送法(口か鼻のどちらかを通じて)による投与、または経口・非経口あるいは粘膜(頬、膣、直腸、舌下など)投与用に製剤化してもよい。好ましい実施形態では、局所的または全身的な非経口投与が使用される。
経口投与では、これらの医薬組成物は例えば、結合剤(例えば、アルファ化トウモロコシデンプン、ポリビニルピロリドン、ヒドロキシプロピルメチルセルロース);充填剤(例えば、ラクトース、微結晶セルロース、リン酸水素カルシウム);滑剤(例えば、ステアリン酸マグネシウム、タルク、シリカ);崩壊剤(例えば、ジャガイモデンプン、デンプングリコール酸ナトリウム);または湿潤剤(例えばラウリル硫酸ナトリウム)などの製薬上許容される賦形剤を使った通常の方法で調製される錠剤またはカプセル剤の形をとることができる。これらの錠剤は当技術分野で周知の方法によりコーティングすることができる。経口投与用の液体製剤は、例えば溶液剤、シロップ剤、または懸濁剤の形をとることができ、これらは使用前に水や他の適切なビヒクルを使って構成すべき乾燥品として提供することができる。このような液体製剤は、懸濁化剤(例えば、ソルビトール・シロップ、セルロース誘導体、水添食用脂);乳化剤(例えば、レシチン、アカシア);非液体ビヒクル(例えば、アーモンド油、油状エステル、エチルアルコール、分画植物油);および防腐剤(例えば、メチルp-ヒドロキシベンゾエート、プロピルp-ヒドロキシベンゾエート、ソルビン酸)などの製薬上許容される添加剤を使った通常の方法で調製することができる。これらの製剤はまた、緩衝塩、着色剤、および甘味剤を必要に応じて含むことができる。
経口投与用製剤を適切に調製して、有効化合物を制御放出させることができる。
バッカル投与では、これらの組成物は、通常の方法で調製される錠剤またはトローチ剤の形をとることができる。
吸入による投与では、本発明に従って用いられる予防または治療剤は、適切な噴霧剤、例えばジクロロジフルオロメタン、トリクロロフルオロメタン、ジクロロテトラフルオロエタン、二酸化炭素、または他の適切なガスを使用した、加圧包装または噴霧器から提供されるエアロゾル・スプレーの形をとることができる。加圧エアゾールの場合、バルブを設けることで単位用量を決定して、計量された量を送達することができる。例えば吸入器または注入器中で用いられるゼラチンのカプセルおよびカートリッジは、この化合物とラクトースやデンプンなどの適切な粉末基剤の粉末混合物を含むものとして調製することができる。
この予防または治療剤は、注射、例えばボーラス注射または連続輸液による非経口投与用に調製することができる。輸液用製剤は、防腐剤を加えた単位剤形、例えば、アンプルや複数用量容器で提供することができる。これらの組成物は、油性または水性ビヒクル中での懸濁剤、溶液剤、乳剤などの形をとることができ、また懸濁剤、安定化剤、および/または分散剤などの調製剤を含むこともできる。あるいは、有効成分を粉末の形にして、使用前に適切なビヒクル、例えば発熱物質を含まない滅菌水を使って構築できるようにすることもできる。
これらの予防または治療剤は、例えばココアバターや他のグリセリドなどの通常の坐薬基剤を含む坐薬や停留浣腸などの直腸用組成物として調製することもできる。
前述の組成物に加えて、これらの予防または治療剤はデポー製剤として調製することもできる。そのような持効性製剤は、(例えば皮下もしくは筋肉内)移植または筋肉内注射により投与することができる。従って、例えば、これらの予防または治療剤は、適切なポリマー材料もしくは疎水性材料(例えば、許容可能な油中乳剤として)またはイオン交換樹脂を用いて、あるいは難溶性の誘導体、例えば難溶性の塩として調製することができる。
本発明はまた、その量を示すアンプルやサシェット(sachette)などの気密性密封容器に封入された予防または治療剤を提供する。一実施形態では、この予防または治療剤は、気密性密封容器中の滅菌凍結乾燥粉末または水を含まない濃縮物として供給され、例えば水や生理食塩水で適切な濃度に再構築して被験体に投与することができる。
本発明の好ましい一実施形態では、様々な化学療法剤、生物学的療法剤/免疫療法剤、およびホルモン療法剤は当技術分野で周知であり、しばしばPhysician's Desk Reference(第58版、2004)に記載されている。例えば、本発明のある具体的な実施形態では、本発明の治療剤は表2に示すように調製、供給することができる。
本発明の他の実施形態では、放射性同位体などの放射線療法剤は、カプセル中の液体または飲料として経口投与することができる。放射性同位体はまた、静脈注射用に調製することもできる。熟練した腫瘍学者であれば、好ましい製剤および投与経路を決定することができる。
ある実施形態では、本発明のアゴニスト・モノクローナル抗体を、静脈注射の場合は1mg/ml、5mg/ml、10mg/ml、25mg/ml、反復皮下投与および筋肉内注射の場合は5mg/ml、10mg/ml、80mg/mlに調製する。
これらの化合物は、所望であれば、有効成分を含む1つまたは複数の単位剤形を含み得る包装またはディスペンサ装置に入れて提供することができる。この包装、例えばブリスター包装は、金属やプラスチック箔を含んでいてもよい。この包装またはディスペンサ装置には投与用の説明書を添付してもよい。
5.5.2 用量
癌の治療、予防、または管理に有効であろう本発明の組成物の量は、標準的な研究技法により決定することができる。例えば、癌の治療、予防、または管理に有効であろうこの組成物の用量は、例えば本明細書で開示されているか、当業者に周知である動物モデルなどの動物モデルにこの組成物を投与することで決定することができる。さらに、in vitroアッセイを任意選択で使用して最適な用量の範囲を特定するのに役立ててもよい。
好ましい有効用量の選択は、(例えば、臨床実験により)当業者が、当業者に周知のいくつかの要因の検討に基づいて行うことができる。このような要因には、治療または予防の被験体の疾患、関連する症状、患者の体重、患者の免疫状態、および投与される医薬組成物の正確さを反映する当業者に周知の他の要因が含まれる。
製剤中に使用すべき正確な用量はまた、投与経路および癌の重篤度に依存するであろうし、担当医の判断および各患者の状況に応じて決めるべきである。有効用量は、in vitroまたは動物の試験系に由来する用量応答曲線から推定することができる。
抗体については、患者に投与される用量は通常、患者の体重1kg当たり0.1mg〜100mgである。患者に投与される用量は、好ましくは患者の体重1kg当たり0.1mg〜20mg、より好ましくは患者の体重1kg当たり1mg〜10mgである。一般に、人体内での半減期は、ヒト抗体およびヒト化抗体の方が、外来ポリペプチドに対する免疫反応のために、他生物種由来の抗体より長い。従って、ヒト抗体の用量を少なくし、投与頻度を少なくすることがしばしば可能である。
患者に投与される他の癌治療剤について、当技術分野で周知の様々な治療剤の典型的な用量を表2に示す。本発明のある好ましい実施形態は、単独の薬剤の投与で推奨される用量と比べて少ない用量を併用治療レジメンで投与することを含むであろう。
本発明は、これまで癌の予防、治療、管理、または改善に有効であると思われてきた周知の予防または治療剤をより少ない用量で投与する任意の方法を提供する。より少ない用量の周知の抗癌薬と、より少ない用量の本発明のアゴニストモノクローナル抗体を組み合わせて投与することが好ましい。
5.6 キット
本発明は本発明のEphA2抗体を充填した1つまたは複数の容器を含む医薬パックまたはキットを提供する。また、癌治療に有用な1種または複数の他の予防剤または治療剤も、この医薬パックまたはキットに含めてもよい。本発明は本発明の組成物の1種または複数の成分を充填した1つまたは複数の容器を含む医薬パックまたはキットも提供する。場合により、医薬品または生物学的療法剤の製造・使用および販売を管理する政府機関が規定する形式で、ヒトへの投与のための製造・使用および販売を当該機関が承認したことを示す注意書を、この容器に添付してもよい。
本発明は上記の方法に使用可能なキットを提供する。ある実施形態では、本発明の1種または複数のEphA2抗体がキットに含まれる。別の実施形態では、1つまたは複数の容器に入った癌治療に有用な1つまたは複数の予防剤または治療剤がキットにさらに含まれる。EphA2抗体はEA2、EA3、EA4またはEA5が好ましい。ある実施形態では、他の予防剤または治療剤は化学療法剤である。別の実施形態では、他の予防剤または治療剤は生物学的療法剤またはホルモン剤である。