JP4858168B2 - 高純度キシリレンジアミンの製造方法 - Google Patents

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Description

本発明はキシレンからキシリレンジアミンを製造する方法に関する。詳しくはキシレンからアンモ酸化反応によりジシアノベンゼンを合成し、得られたジシアノベンゼンの接触水素化により高純度のキシリレンジアミンを合成する方法に関する。
キシレンからキシリレンジアミンを製造する方法としては、キシレンからアンモ酸化反応によりジシアノベンゼンを合成し、得られたジシアノベンゼンを触媒存在下で水素化してキシリレンジアミンを合成する方法がよく知られている。
キシレンからキシリレンジアミンを製造する方法として、非特許文献1には、キシレンのアンモ酸化反応によりジシアノベンゼンを合成し、ジシアノベンゼンを分離回収した後、得られたジシアノベンゼンを触媒の存在下で水素化してキシリレンジアミンに転化する方法が開示されている。しかし、アンモ酸化反応ガスからジシアノベンゼンを捕集する具体的な方法など、プロセスの詳細に関しては明らかにされていない。
また、メタキシレンからメタキシリレンジアミンを製造する方法として、特許文献1には、メタキシレンのアンモ酸化反応で得られたイソフタロニトリルを有機溶媒により捕集した後、第1蒸留工程で高沸不純物を分離し、第2蒸留工程で有機溶媒を分離して塔底よりイソフタロニトリルを取り出し、得られた精製イソフタロニトリルに特定の溶媒と液体アンモニアを加えて水素化する方法が開示されている。この方法は、工程数が多く製造設備の建設費がかさむ上に、水素化に先立ち2つの蒸留工程を有し、かつ水素化工程以後にも蒸留精製工程を必要とするので蒸留のための多大なエネルギーを要するという問題を有する。
また、特許文献2には、キシレンのアンモ酸化反応により得られたジシアノベンゼンを含有するアンモ酸化反応ガスを有機溶媒と直接接触させることによりジシアノベンゼンを有機溶媒中に捕集し、有機溶媒に捕集したジシアノベンゼンを分離することなく液体アンモニアを加えて水素化反応を行う方法が開示されている。この方法は、アンモ酸化反応ガス中のジシアノベンゼンを捕集するための有機溶媒が水素化反応条件下で安定であることが求められるため、使用可能な溶媒種が限定される。特に、キシレンのアンモ酸化反応において副生物として得られるメチルベンゾニトリルは、ジシアノベンゼンの溶解性などの物性に優れることからアンモ酸化反応ガス中のジシアノベンゼンの好適な捕集溶媒として有効に用いられうる物質である。しかし、特許文献2の方法においては、捕集した液をそのまま水素化工程へ送るため、捕集液中のメチルベンゾニトリルは水素化反応条件下でニトリル基が水素化されてしまうため、捕集溶媒として有効利用することができない。また、メチルベンゾニトリルはジシアノベンゼン製造の中間体であるので、分離回収してアンモ酸化反応へとリサイクルすればジシアノベンゼンへと転化可能であるにもかかわらず、上述の理由によりこの方法ではメチルベンゾニトリルの分離回収が不可能である。さらにこの方法で得られるキシリレンジアミンはしばしば不純物含量が多く、高品位ポリアミド製造など特に高純度のキシリレンジアミンが要求される用途への使用に際しては不都合を生じる場合がある。
また、キシリレンジアミンの製造法として、キシレンのアンモ酸化反応により得られたジシアノベンゼンを含有するアンモ酸化反応ガスを有機溶媒と直接接触させることによりジシアノベンゼンを有機溶媒中に捕集し、有機溶媒に捕集したジシアノベンゼンを分離することなく液体アンモニアを加えて水素化反応を行い、さらに得られたキシリレンジアミンに特定の溶媒と水を加えて抽出操作を実施し、最後に蒸留精製をする方法が開示されている(特許文献3)。この方法では、やはり有機溶媒が水素化反応条件下で安定であることが求められるため、使用可能な溶媒種が限定される。また高純度キシリレンジアミンを得るためには抽出と蒸留の両方の工程が必要であり操作が煩雑であり、製造設備の建設費も大きくなる。また水抽出で得られたキシリレンジアミンと水の混合液の蒸留に際しては、蒸発潜熱の大きい水を大量に留去しなければならず、この工程のエネルギー消費も大きい。
特開2003−26639号公報 特開2002−105035号公報 特開2003−26638号公報 石油学会編プロセスハンドブック(1978年)
以上述べたように従来、高純度キシリレンジアミンを得るためには、水素化工程の前と後の両方に蒸留精製工程を設けたり(特許文献1の方法)、抽出操作と蒸留操作の両方の精製処理を設けたり(特許文献3の方法)と、煩雑かつエネルギー消費量の多いプロセスが必要であった。本発明の目的はキシレンからアンモ酸化反応によりジシアノベンゼンを合成し、得られたジシアノベンゼンを水素化してキシリレンジアミンを合成するに際して、簡便でエネルギー消費量の少ないプロセスで高純度なキシリレンジアミンを得る方法を提供することである。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究を行った結果、アンモ酸化反応ガス中のジシアノベンゼンを有機溶媒で捕集し、得られた捕集液を蒸留して有機溶媒とジシアノベンゼンを分離し、得られたジシアノベンゼンに溶媒を加えて液相で水素化を実施し、さらに水素化反応生成物を蒸留精製する各工程を含む製造方法により、上記課題を解決しうることを見出し、本発明に到達した。
即ち本発明は、キシレンからキシリレンジアミンを製造する方法において、以下(1)〜(5)の工程を含むことを特徴とする高純度キシリレンジアミンの製造方法に関する。
(1)触媒の存在下でキシレンとアンモニアと酸素を気相で反応させてジシアノベンゼンを生成させるアンモ酸化工程;
(2)アンモ酸化反応ガスをジシアノベンゼンより低沸点の有機溶媒と接触させてジシアノベンゼンを有機溶媒中に捕集する捕集工程;
(3)捕集工程で得られたジシアノベンゼン含有液を蒸留して、有機溶媒とジシアノベンゼンを分離する蒸留工程;
(4)蒸留工程で得られたジシアノベンゼンに反応溶媒を加えた後、触媒の存在下液相で水素化してキシリレンジアミンを生成させる水素化工程;および
(5)水素化工程で得られたキシリレンジアミン含有液を蒸留精製し、高純度キシリレンジアミンを得る精製工程。
本発明のキシリレンジアミン製造方法の一例を示すフロー図である。 特許文献2に記載のキシリレンジアミン製造方法を示すフロー図である。
本発明で使用される原料はキシレンであり、特にメタキシレンおよびパラキシレンが好適に用いられ、中でもメタキシレンが本発明にもっとも適している。これらは単独で用いても2種類以上を混合して用いても良い。メタキシレンあるいはパラキシレンからはアンモ酸化反応により対応するイソフタロニトリルあるいはテレフタロニトリルが製造され、更に引き続く水素化反応によりメタキシリレンジアミンあるいはパラキシリレンジアミンに変換される。
(1)アンモ酸化工程
アンモ酸化工程においては触媒の存在下でキシレンとアンモニアと酸素を気相で反応させてイソフタロニトリル、テレフタロニトリル等のジシアノベンゼンを生成させる。アンモ酸化方法については、特に制限はなく、これまでに知られている様々な方法が使用できる。典型的な反応方法としては、キシレンとアンモニアおよび酸素を含有するガスを固体触媒が存在する反応器に導入し、300℃〜500℃、大気圧〜0.3MPaG、接触時間0.1〜30秒なる条件で反応させジシアノベンゼンを生成させる。キシレン1体積に対して、好ましくは、2〜20体積のアンモニア及び2〜20体積の酸素が使用される。触媒としては、バナジウム、モリブテンおよび鉄から選ばれる1種以上の金属の酸化物を含有する触媒が好適に用いられ、中でもバナジウム含有触媒が好適に用いられる。触媒の具体例としてはV−Cr−B−Mo系(特開平11−209332号公報参照)やFe−Sb−V系(特開平9−71561号公報参照)などが挙げられる。原料ガスの接触時間(空間速度の逆数)は、反応温度および反応圧力におけるガス容積を基準として、0.1〜30秒、好ましくは0.1〜15秒、特に好ましくは0.2〜8秒の範囲である。アンモ酸化反応の形態としては固定床、流動床、移動床などが適用可能である。また酸素源としては空気が好適に利用される。
(2)捕集工程
アンモ酸化反応で生成したジシアノベンゼンを含有するアンモ酸化反応ガスは、有機溶媒と接触させてジシアノベンゼンを有機溶媒中に捕集する捕集工程へと導かれる。有機溶媒としてはジシアノベンゼンより沸点が低いものを使用する。有機溶媒は、ジシアノベンゼンの溶解度が高く、またジシアノベンゼンに対して不活性なものが好ましい。アルキルベンゼン類およびベンゾニトリル類が有機溶媒として適しており、ベンゾニトリル類が特に適している。有機溶媒の具体例として、アルキルベンゼン類としてはトルエン、メタキシレン、パラキシレン、プソイドクメン、メシチレン、エチルベンゼンが挙げられ、ベンゾニトリル類としてはベンゾニトリル、メチルベンゾニトリル、ジメチルベンゾニトリル等が挙げられる。これらの化合物は単独または混合物として使用できる。中でも、アンモ酸化反応での副生物であるメチルベンゾニトリルを用いると製造プロセスにおける取り扱い物質数が増加せず、またジシアノベンゼンの溶解度などの物性も良好であるため本発明に適している。
アンモ酸化反応ガスと有機溶媒とを接触させる形態に特に限定は無いが、有機溶媒を張り込んだ容器中にアンモ酸化反応ガスを直接吹き込む方法、アンモ酸化反応ガス中に有機溶媒を噴霧する方法などが例示される。アンモ酸化反応ガスは有機溶媒と接触し、ジシアノベンゼンやアンモ酸化反応で副生したメチルベンゾニトリルなどは有機溶媒に溶解し捕集され、未反応アンモニア、シアン化水素、炭酸ガス、水、一酸化炭素、窒素、酸素等のガスから分離される。有機溶媒とアンモ酸化反応ガスを接触させる条件は使用する溶媒種や捕集工程の形態にもよるが、通常は、圧力は常圧からアンモ酸化反応の反応圧力の間、得られる捕集液の温度が50〜200℃、有機溶媒の使用量はジシアノベンゼンの量に対して1〜30倍重量の範囲から選択される。有機溶媒がメチルベンゾニトリルである場合、捕集液の温度は100〜200℃、有機溶媒の使用量はジシアノベンゼンの量に対して1〜10倍重量の範囲が好ましい。得られた捕集液は蒸留工程へと送られる。
(3)蒸留工程
蒸留工程では捕集工程で得られたジシアノベンゼン含有液を蒸留して、有機溶媒を塔頂から分離し、塔底からジシアノベンゼンを得る。高沸点成分は除去されることなくジシアノベンゼンと共に分離される。得られたジシアノベンゼンは水素化工程へと送られる。塔頂から分離された有機溶媒は、好ましくは、少なくともその一部が捕集工程への再使用に供される。本発明においては、蒸留工程においてアンモ酸化反応で副生したメチルベンゾニトリルを有機溶媒とともに塔頂から分離するのが好ましい。分離されたメチルベンゾニトリルは捕集工程の有機溶媒の一部として使用することも可能である。またさらに有機溶媒とメチルベンゾニトリルを別途蒸留分離してメチルベンゾニトリルをアンモ酸化工程へとリサイクルしてジシアノベンゼンに転化させることも可能である。特に捕集工程の有機溶媒がメチルベンゾニトリルである場合、蒸留工程塔頂からは、メチルベンゾニトリルが主成分である有機溶媒が回収される。すなわち、溶媒として供給されたメチルベンゾニトリル、および、アンモ酸化反応で副生したメチルベンゾニトリルが同時に回収される。アンモ酸化反応で副生したメチルベンゾニトリルをアンモ酸化工程にリサイクルすることで、結果として原料キシレン基準のジシアノベンゼン収率が増加し、結果的に、キシリレンジアミンの収率も増加する。本発明ではこのように副生するメチルベンゾニトリルを有効に利用することが可能であり、有利である。
ジシアノベンゼンは特にアンモ酸化反応の高沸副生成物やアンモ酸化触媒等の共存下では熱に対して不安定で変質を起こしやすいため、蒸留はなるべく低温、かつ、減圧かで行うのが好ましい。蒸留塔の操作圧力は、好ましくは2〜30kPa、より好ましくは3〜20kPaである。蒸留塔の操作圧力は、蒸留塔内でジシアノベンゼンが析出しないように設定される。一般に高融点物質の蒸留を行う場合、蒸留塔内の温度が高融点物質の融点以上となるように操作することにより結晶析出による閉塞を防止できるが、蒸留塔内に高融点物質を溶解するのに十分な量の溶媒が存在する場合には、蒸留塔を融点以下で操作しても結晶析出は生じない。蒸留塔内のジシアノベンゼン濃度分布は、供給液組成、液供給位置、留出・缶出の分離条件と気液平衡により定まり、温度分布は操作圧力により変化する。一方、溶媒に対するジシアノベンゼンの溶解度は温度により一義的に決まるため、主に操作圧力の設定が蒸留塔内のジシアノベンゼン析出の有無を左右する。例えば捕集有機溶媒として3−メチルベンゾニトリルを使用した場合のイソフタロニトリルの蒸留では、蒸留塔の圧力を4.2kPa以下とすると、蒸留塔内において温度がイソフタロニトリルの融点以下でかつイソフタロニトリル濃度が3−メチルベンゾニトリルに対するイソフタロニトリル溶解度以上となる領域が発生し、該領域ではイソフタロニトリルが析出して蒸留塔を閉塞させる。従って、蒸留塔の操作圧力は蒸留塔内でジシアノベンゼンが析出しない範囲で高真空の条件が選ばれ、例えば原料がメタキシレンであり、ジシアノベンゼンがイソフタロニトリルであり、有機溶媒として3−メチルベンゾニトリルを使用する場合の蒸留塔の圧力は5〜10kPaの範囲が望ましい。
蒸留時の塔底の温度は好ましくは160〜235℃、より好ましくは170〜225℃である。特にジシアノベンゼンがイソフタロニトリル、もしくはイソフタロニトリルとテレフタロニトリルの混合物である場合は、塔底液温度は165〜200℃が好ましく、170〜195℃がより好ましい。塔底温度が上記範囲内であると、ジシアノベンゼンが変質することがなく、また、ジシアノベンゼンの固化も避けることができる。ジシアノベンゼンの変質は、キシリレンジアミンの収率減少のみならず、生成した変質物が水素化工程に供給されるジシアノベンゼンに混入すると、得られるキシリレンジアミンの純度が低下する場合がある。高純度キシリレンジアミンを得るという観点から塔底温度の管理は重要である。
蒸留工程で塔底から得られたジシアノベンゼンは通常は少量の高沸点不純物を含有する。
(4)水素化工程
蒸留工程で塔底から得られた液体状ジシアノベンゼンは水素化工程へと送られ、水素化反応の溶媒と混合された後、水素化反応が実施される。本発明では水素化反応を液相条件下で行い、その際に反応溶媒を用いる。反応溶媒としては水素化反応条件下で安定な種々の溶媒を使用することができる。具体的にはトルエン、キシレン、トリメチルベンゼン等の炭化水素系溶媒、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル系溶媒、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド等の低級脂肪族アミド系溶媒、メタノール、エタノール、プロパノール等のアルコール系溶媒、アンモニア等が挙げられる。またこれらの溶媒から2種類以上を選択して併用してもよい。アンモニアを用いることでキシリレンジアミン収率を高めることができるため、反応溶媒の少なくとも一部に、より好ましくは反応溶媒の5〜100重量%、アンモニアを使用するのが好ましい。反応溶媒の使用量はジシアノベンゼン1重量部に対して好ましくは1〜99重量部の範囲、より好ましくは1.5〜99重量部である。
ジシアノベンゼンの水素化反応に用いられる水素含有ガスは反応に関与しない不純物、例えばメタン、窒素等を含んでいても良いが、不純物濃度が高いと必要な水素分圧を確保するために反応全圧を高める必要があり工業的に不利となるため、水素濃度は50mol%以上が好ましい。
水素化反応触媒としては公知の担持および非担持金属触媒、ラネー触媒等の水素化触媒が使用できるが、活性金属成分としてニッケル、コバルト、パラジウム、ルテニウムおよびロジウムから選ばれる少なくとも一種の金属を含有する触媒が好ましく、中でもニッケルおよび/またはコバルトを含有する触媒が好適に用いられ、ニッケル含有触媒が特に好ましい。担持触媒の場合、使用される担体としては、アルミナ、シリカ、チタニア、ジルコニア等が挙げられる。触媒は必要に応じてLi、Na、K、Rb、Cs、Be、Ca、Ba、Ti、Cu、Cr、Zn、Mn、Mg、Fe、Ga、Ge、Nb、Ir、Pt、Bi、Al、Si、In、Sr、CeおよびMoからなる群より選ばれる少なくとも一種の成分を添加して変性することができる。
また、本発明においては、水素化反応に際し、反応促進や収率向上等の目的で添加剤を加えてもよい。添加剤としては、例えばアルカリ金属またはアルカリ土類金属の水酸化物やアルコラート等が挙げられ、具体的には水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等が挙げられる。
水素化反応の形式は固定床、懸濁床のいずれも可能であり、また回分式、連続式の何れの方式も可能であるが、固定床連続流通式が簡便で好適である。水素化反応の反応温度は、好ましくは20〜250℃、より好ましくは20〜200℃であり、反応圧力は、水素分圧として、好ましくは0.5〜30MPaG、より好ましくは1〜20MPaGである。触媒の使用量は、回分式水素化の場合、原料ジシアノベンゼン100重量部に対して、0.1〜200重量部であるのが好ましい。連続式水素化の場合は、触媒100重量部に対して、原料ジシアノベンゼンを0.01〜1000重量部/時間の速度で供給するのが好ましい。
水素化反応においてはジシアノベンゼンの転化率を実質的に100mol%まで高め、水素化反応の中間体であるシアノベンジルアミン(例えば原料がイソフタロニトリルの場合は3−シアノベンジルアミン)の収率がなるべく低くなるように、反応温度やジシアノベンゼン供給量等の条件を選択するのがキシリレンジアミンの生産性の面から好ましい。また中間体であるシアノベンジルアミンは、対応するキシリレンジアミンとの沸点差が小さく通常の蒸留による分離が困難である。よってキシリレンジアミンを高純度で生産するにあたっては、水素化反応出口におけるシアノベンジルアミンの濃度を低く制御することが好ましい。水素化を上記条件で行うことにより、キシリレンジアミンの精製が容易となる。
(5)精製工程
水素化反応によりキシリレンジアミンを含む反応液が得られ、精製工程へと送られ蒸留精製される。蒸留精製操作によりこの反応液から溶媒、低沸点副生物、および高沸点副生物を分離することにより高純度のキシリレンジアミンを得ることができる。蒸留には充填塔、棚段塔、フラッシュドラム等公知の蒸留装置が使用可能であり、回分式または連続式で実施される。溶媒の蒸留分離は使用される溶媒の沸点に応じた圧力条件で行われる。溶媒は一般にキシリレンジアミンよりも低沸点の成分である。特に水素化反応溶媒としてアンモニアを使用した場合は、水素化反応液からまず加圧条件でアンモニアを蒸留分離したのち、減圧条件でキシリレンジアミンの蒸留精製を行うのが好ましい。アンモニアの蒸留回収は好ましくは70〜200℃、0.2〜3MPaの加圧下で実施される。アンモニア以外の溶媒、低沸点副生物、高沸点副生物を蒸留するための圧力は好ましくは1〜30kPa、特に好ましくは1〜10kPaで、蒸留装置底部の温度は好ましくは80〜195℃、特に好ましくは100〜185℃である。また水素化反応で得られた反応液中にシアノベンジルアミンが相当量存在する場合は、シアノベンジルアミンの除去のためにアルカリ剤を用いた処理(特公昭45−14777号公報参照)や鉄系触媒を用いた処理(特開昭57−27098号公報参照)などの特別な処理を併用しても良い。
本発明においては以上の工程を経ることで純度99.9%以上の高純度キシリレンジアミンを製造することが可能である。本発明の方法は高純度キシリレンジアミンを得るための従来から知られている前述の方法(特許文献1および3参照)と比較して簡便でエネルギー消費量が少ないプロセスである。本発明で得られる高純度キシリレンジアミンは特にポリアミド樹脂の原料として好適に使用可能であり、優れた品質のポリアミド樹脂を与える。
次に図により本発明の方法について具体的に説明する。図1は本発明の実施形態の一例を示すフロー図である。但し、本発明は本図に示す実施形態に限定されない。図1において、アンモ酸化反応器1からのアンモ酸化反応ガスは捕集塔2に供給される。捕集塔には棚段または充填層からなる吸収部が設置されており、捕集塔上部から有機溶媒が供給される。有機溶媒と接触させることにより、アンモ酸化反応ガス中のジシアノベンゼンや副生メチルベンゾニトリルなどは有機溶媒中に捕集される。有機溶媒に吸収されなかったアンモニア、シアン化水素、炭酸ガス、水、一酸化炭素、窒素、酸素等のガスは有機溶媒の蒸気を伴って捕集塔上部より排出される。この捕集塔出口ガスは冷却器3で冷却され、有機溶媒、水など凝縮性成分は凝縮し、分離器4へと導かれる。分離器4では有機溶媒、廃水、廃ガスが分離され、分離された有機溶媒は捕集塔2での再使用に供され、廃水および廃ガスは処理設備へと送られる。捕集塔2で得られたジシアノベンゼンを含有する捕集溶液は捕集液蒸留塔5へ送られ、有機溶媒等の低沸成分とジシアノベンゼン等の高沸成分に分離される。塔頂からは有機溶媒が回収され捕集塔2での再使用に供される一方、塔底からはジシアノベンゼンが回収される。回収されたジシアノベンゼンには水素化反応溶媒および水素が加えられ水素化反応器6へと送られ、水素化反応が実施されジシアノベンゼンはキシリレンジアミンへと転化される。水素化反応器出口のキシリレンジアミン含有液はキシリレンジアミン精製設備7で精製され、高純度キシリレンジアミンが得られる。キシリレンジアミン精製設備7はアンモニア分離蒸留塔、低沸点成分分離蒸留塔、高沸点成分分離蒸留塔の3本の蒸留塔からなる。
以下に示す実施例に基づいて本発明を具体的に説明するが、本発明は以下の実施例により制限されるものではない。尚、以下の実施例において組成分析はガスクロマトグラフを用いて行った。
実施例1
図1に示したフローによりアンモ酸化反応、ジシアノベンゼンの捕集、捕集液の蒸留、水素化反応、キシリレンジアミンの精製を行った。さらに得られたキシリレンジアミンを用いてポリアミド樹脂を製造し、得られたポリアミド樹脂をフィルムに成形した。
(1)アンモ酸化工程
特公平6−23158号公報に記載の方法に従ってシリカ担持流動床用アンモ酸化触媒を調製した。この触媒はシリカ以外の成分としてV:Cr:Mo:Bが1:1:0.1:0.2の割合で含有され、シリカの含有量は50重量%である。この触媒6kgを流動床アンモ酸化反応器1に充填し、メタキシレン3vol%、アンモニア21vol%、空気76vol%の組成からからなる原料ガスを供給しアンモ酸化反応を実施した。反応条件は反応温度400℃、SVが700h-1、圧力を0.05MPaGとした。原料メタキシレンを基準としてイソフタロニトリル80.2mol%、3−メチルベンゾニトリル3.7mol%の収率で生成していた。
(2)捕集工程
反応器出口のアンモ酸化反応ガスを捕集塔2の底部に導入した。捕集塔はSUS304製の塔型容器であり、胴体部が内径100mm、高さ800mmであり、底部にアンモ酸化反応ガス吹き込み口およびジシアノベンゼン含有液抜き出し口を有し、塔内中部には金属製不規則充填物が充填されている。捕集塔上部からは1kg/hの速度で捕集溶媒として3−メチルベンゾニトリルを供給して連続的にアンモ酸化反応ガスと溶媒を接触させた。捕集塔底部の液温度は160℃とした。捕集塔底部から抜き出された液の組成はイソフタロニトリル24.9wt%、3−メチルベンゾニトリル74.5wt%、その他高沸点成分0.6wt%であった。
(3)蒸留工程
上記捕集液を捕集液蒸留塔5の中段に供給し、圧力6kPaの減圧下で連続蒸留を実施した。塔頂部温度120℃、塔底部温度180℃であった。
(4)水素化工程
捕集液蒸留塔塔底より回収したイソフタロニトリルに水素化溶媒としてメタキシレンと液体アンモニアを加え水素化原料とした。この液の組成はイソフタロニトリル/メタキシレン/アンモニアが重量比で6/10/84とした。
内容量4Lの固定床水素化反応器6にNi含量50wt%であるNi/ケイソウ土触媒を5kg充填した。この反応器上部より前述の水素化原料を5.6kg/hの速度で供給した。水素(純度99%以上)を反応器上部より並流で流し、反応圧12MPa、温度90℃で水素化反応を実施した。水素化反応でのイソフタロニトリル基準のメタキシリレンジアミン収率は93%であった。
(5)精製工程
メタキシリレンジアミン含有液を精製設備7へと導いた。キシリレンジアミン精製設備においては水素化反応生成液の蒸留が実施され、低沸点成分(アンモニア、メタキシレン、水素化反応で副生したメチルベンジルアミン等)および高沸点成分を蒸留分離した。水素化反応生成液はまずアンモニア分離蒸留塔に供給され0.5MPa、蒸留装置底部温度150℃でアンモニアが蒸留分離され、得られた蒸留装置底部液は次に低沸点成分分離蒸留塔において6kPa、蒸留装置底部温度182℃でメタキシレンおよびメチルベンジルアミン等の低沸点成分が分離され、さらに蒸留装置底部液は高沸点成分分離蒸留塔に導入され2.6kPa、蒸留装置底部温173℃で高沸点成分が蒸留分離され、塔頂から精製メタキシリレンジアミンが得られた。得られた精製物の組成は、メタキシリレンジアミン99.98wt%、3−メチルベンジルアミン0.01wt%、その他不明成分0.01wt%であった。
(6)ポリアミド樹脂の製造
得られたメタキシリレンジアミンを用いてポリアミド樹脂を製造し、さらに得られたポリアミド樹脂を連続押出により無延伸フィルムに成形した。尚、ポリアミド樹脂の評価は以下の方法によった。
(i)ポリアミド樹脂の相対粘度
ポリアミド樹脂1gを精秤し、96%硫酸100ccに20〜30℃で攪拌溶解した。完全に溶解した後、速やかにキャノンフェンスケ型粘度計に溶液5ccを取り、25±0.03℃の恒温槽中で10分間放置後、落下時間(t)を測定した。また、96%硫酸そのものの落下時間(t0)も同様に測定した。tおよびt0から次式(A)により相対粘度を求めた。
相対粘度=t/t0
(ii)無延伸フィルムの黄色度
日本電色工業製、色差計Σ80型を用いて、反射によるXYZ表色系の三刺激値X,Y,ZをJIS−K7103に従い測定し、次式から求めた。
YI=100x(1.28X−1.06Z)/Y
攪拌機、分縮器を備えた反応槽に、アジピン酸を溶融し、180℃まで加熱したところで、常圧下に昇温しながら、得られたメタキシリレンジアミンを滴下した。内温が250℃に達したところでメタキシリレンジアミンの滴下を終え、内温が255℃に達してから60kPaで維持し、20分で260℃まで昇温した後、取り出し水冷し造粒した。ポリアミド骨格中(末端基も含む)のジアミンモノマーとジカルボン酸モノマーに由来する単位のモル比(ジアミン単位/ジカルボン酸単位、以下「モルバランス」という)が0.995で、相対粘度が2.20のポリメタキシリレンアジパミド(ナイロンMXD6)を得た。
(7)ポリアミド樹脂の連続押出運転
120℃で6時間真空乾燥したポリアミド樹脂をスクリュー径が40mmφの押出し機を用いて260℃で押出し、厚さ150μmの無延伸フィルムを成形した。5日間に渡って厚さ150μmの無延伸フィルムの連続成形を行ったところ、ダイスのヤケおよび冷却ロールの汚れ等、特に連続運転を妨げる不都合は発生しなかった。連続運転中、得られた無延伸フィルムを8時間ごとに採取して黄色度を測定した。無延伸フィルムをフレームに固定した後、恒温槽を用い空気中150℃で1時間保持して結晶化および加熱処理し、反射光の黄色度(YI)を測定した。YIは5.8〜6.4の範囲内であり、安定した品質の無延伸フィルムが得られた。
実施例2
原料キシレンをメタ・パラ混合キシレン(メタキシレン80wt%、パラキシレン20wt%)とした以外は実施例1と同じ方法でアンモ酸化、捕集、蒸留、水素化、精製の各工程を実施した。アンモ酸化工程におけるジシアノベンゼン(メタ・パラ異性体の合計、以下同様)収率は80.9mol%であった。捕集工程で得られた、捕集塔底部から抜き出されたジシアノベンゼン含有液の組成はジシアノベンゼン24.9wt%、3−メチルベンゾニトリルおよび4−メチルベンゾニトリルの合計量が74.5wt%、その他高沸点成分0.6wt%であった。蒸留工程における塔頂部温度は120℃、塔底部温度182℃であった。水素化工程におけるジシアノベンゼン基準のキシリレンジアミン(メタ・パラ異性体の合計、以下同様)収率は92%であった。精製工程で得られた精製物の組成はキシリレンジアミン99.98wt%、3−メチルベンジルアミンと4−メチルベンジルアミンの合計量が0.01wt%、その他不明成分0.01wt%であった。
比較例1
図2に示した特許文献2の方法によりアンモ酸化反応、ジシアノベンゼンの捕集、水素化反応、キシリレンジアミンの精製を行った。さらに得られたキシリレンジアミンを用いてポリアミド樹脂を製造し、得られたポリアミド樹脂をフィルムに成形した。なお、図2において、図1と図2において、同じ参照番号は同じ装置を表す。
(1)アンモ酸化工程
特公平6−23158号公報に記載の方法に従ってシリカ担持流動床用アンモ酸化触媒を調製した。この触媒はシリカ以外の成分としてV:Cr:Mo:Bが1:1:0.1:0.2の割合で含有され、シリカの含有量は50重量%である。この触媒6kgを流動床アンモ酸化反応器1に充填し、メタキシレン3vol%、アンモニア21vol%、空気76vol%の組成からからなる原料ガスを供給しアンモ酸化反応を実施した。反応条件は反応温度400℃、SVが700h-1、圧力を0.05MPaGとした。原料メタキシレンを基準としてイソフタロニトリル80.2mol%、3−メチルベンゾニトリル3.7mol%の収率で生成していた。
(2)捕集工程
反応器出口のアンモ酸化反応ガスを捕集塔2の底部に導入した。捕集塔はSUS304製の塔型容器であり、胴体部が内径100mm、高さ800mmであり、底部にアンモ酸化反応ガス吹き込み口および捕集液抜き出し口を有し、塔内中部には金属製不規則充填物が充填されている。捕集塔上部からは1kg/hの速度で捕集溶媒としてプソイドクメンを供給して連続的にアンモ酸化反応ガスと溶媒を接触させた。捕集塔底部の液温度は145℃とした。捕集塔底部から抜き出された液の組成はイソフタロニトリル24.9wt%、プソイドクメン73.3wt%、3−メチルベンゾニトリル1.1wt%、その他高沸点成分0.7wt%であった。
(3)水素化工程
上記捕集液に液体アンモニアを3.1倍重量加え、水素化原料とした。内容量4Lの固定床水素化反応器6にNi含量50wt%であるNi/ケイソウ土触媒を5kg充填した。この反応器上部より前述の水素化原料を5.6kg/hの速度で供給した。水素を反応器上部より並流で流し、反応圧12MPa、温度90℃で水素化反応を実施した。水素化反応でのイソフタロニトリル基準のメタキシリレンジアミン収率は92%であった。尚、反応に際して水素化原料中の3−メチルベンゾニトリルは消失し、3−メチルベンゾニトリル由来と思われる相当量の3−メチルベンジルアミンの生成を認めた。
(4)精製工程
水素化反応生成液を、実施例で使用したキシリレンジアミン製造設備と同一構成、同一性能のキシリレンジアミン精製設備7へと導いた。キシリレンジアミン精製設備7においては水素化反応生成液の蒸留が実施され、低沸点成分(アンモニア、プソイドクメン、水素化反応で副生したメチルベンジルアミン等)および高沸点成分を蒸留分離した。得られた精製物の組成は、メタキシリレンジアミン99.81wt%、3−メチルベンジルアミン0.01wt%、ジメチルベンジルアルコール0.15wt%、その他不明成分0.03wt%であった。
(5)ポリアミド樹脂の製造
上記得られたメタキシリレンジアミンを用いて実施例1と同じ方法によりポリアミド樹脂を製造した。モルバランスが0.996で、相対粘度が2.22のポリメタキシリレンアジパミド(ナイロンMXD6)を得た。
(6)ポリアミド樹脂の連続押出運転
120℃で6時間真空乾燥したポリアミド樹脂をスクリュー径が40mmφの押出し機を用いて260℃で押出し、厚さ150μmの無延伸フィルムを成形した。5日間に渡って厚さ150μmの無延伸フィルムの連続成形を行ったところ、ダイスにタール状のヤニの付着が認められ、しばしば無延伸フィルムに付着した。さらに冷却ロールの汚れが発生した。このため連続運転を通じて3回にわたり装置の停止・洗浄が必要となった。連続運転中、得られた無延伸フィルムを8時間ごとに採取して実施例1と同じ方法により黄色度を測定した。YIは6.2〜8.7であり、かなりのばらつきが認められた。
比較例1の方法では得られたキシリレンジアミン中の不純物が多く、またアンモ酸化反応で副生したメチルベンゾニトリルが水素化工程で消失してしまったため、メチルベンゾニトリルを分離回収してアンモ酸化工程へリサイクルしてジシアノベンゼンへと転化する等、有効利用することができなかった。さらに得られたキシリレンジアミンから製造したポリアミド樹脂は、フィルム製造の連続運転安定性やフィルムの品質安定性が実施例1と比較して劣っていた。
本発明により、簡便でエネルギー消費量の少ないプロセスで高純度(純度:99.9重量%以上)なキシリレンジアミンが得られる。さらに本発明で得られた高純度キシリレンジアミンを用いると、成形時の安定性や色相に優れた高品位なポリアミド樹脂が得られる。また本発明の方法によれば、アンモ酸化工程で副生するメチルベンゾニトリルを有効利用することも可能となる。よって本発明の工業的意義は大きい。本発明で得られるキシリレンジアミンはポリアミド樹脂、エポキシ硬化剤等の原料、およびイソシアネートの中間原料として産業上有用である。

Claims (7)

  1. キシレンからキシリレンジアミンを製造する方法において、下記の工程:
    (1)バナジウム、モリブデンおよび鉄から選ばれる1種以上の金属の酸化物を含有する触媒の存在下でキシレンとアンモニアと酸素を気相で反応させてジシアノベンゼンを生成させるアンモ酸化工程;
    (2)アンモ酸化反応ガスをトルエン、メタキシレン、パラキシレン、プソイドクメン、メシチレン、エチルベンゼン、ベンゾニトリル、メチルベンゾニトリルおよびジメチルベンゾニトリルから選ばれる少なくとも1種の有機溶媒と接触させてジシアノベンゼンを有機溶媒中に捕集する捕集工程;
    (3)捕集工程で得られたジシアノベンゼン含有液を蒸留して、有機溶媒を蒸留塔塔頂より回収し、高沸成分を伴ったジシアノベンゼンを蒸留塔塔底より得る、蒸留工程;
    (4)蒸留工程で得られたジシアノベンゼンに反応溶媒を加えた後、ニッケルおよび/またはコバルトを含有する触媒の存在下液相で水素化してキシリレンジアミンを生成させる水素化工程;および
    (5)水素化工程で得られたキシリレンジアミン含有液を蒸留精製し、高純度キシリレンジアミンを得る精製工程
    を含むことを特徴とするキシリレンジアミンの製造方法。
  2. 捕集工程の有機溶媒がメチルベンゾニトリルであることを特徴とする請求項1に記載のキシリレンジアミンの製造方法。
  3. 蒸留工程で分離された有機溶媒の少なくとも一部を捕集工程で再使用することを特徴とする請求項1又は2に記載のキシリレンジアミンの製造方法。
  4. 蒸留工程において、アンモ酸化反応で副生したメチルベンゾニトリルを有機溶媒とともに分離することを特徴とする請求項1〜のいずれかに記載のキシリレンジアミンの製造方法。
  5. 水素化工程の反応溶媒の少なくとも一部に液体アンモニアを用いることを特徴とする請求項1〜のいずれかに記載のキシリレンジアミンの製造方法。
  6. キシレンがメタキシレンであり、キシリレンジアミンがメタキシリレンジアミンであること特徴とする請求項1〜のいずれかに記載のキシリレンジアミンの製造方法。
  7. 得られるキシリレンジアミンの純度が99.9重量%以上であることを特徴とする請求項1〜のいずれかに記載のキシリレンジアミンの製造方法。
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