JP4857219B2 - 無線通信システム及び中継無線装置 - Google Patents

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Description

本発明は、無線区間を経由して情報伝送を行う無線通信システムにおいて、特に発信側と着信側の装置の間に中継無線装置を介することにより、高品質・長距離の無線伝送を実現する無線通信システム及び中継無線装置に関する。
無線信号を介してデータの送受信を行う無線通信システムでは、伝搬距離に応じて無線信号が減衰するため、発信側無線装置と着信側無線装置の問の伝搬距離が長くなればなるほど、受信信号の品質が劣化するという問題がある。この問題を解決するためには、発信側無線装置において大きな電力を用いて無線信号を送信すればよいが、発信側無線装置の増幅器の出力やアンテナ利得といった無線装置のハードウェア上の制約ならびに電波法による送信出力の上限規制があるため、発信側無線装置の大電力化には限界がある。
そこで、近年、伝搬距離が長い場合においても高品質の無線伝送を実現するために、中継無線装置を用いた協調中継伝送が検討されている(例えば、非特許文献1参照)。図9は、協調中継伝送を行う無線通信システム1を示した図であり、1個の発信側無線装置1-1と、2個の中継無線装置1-2-1、1-2-2、1個の着信側無線装置1-3で構成される。中継無線装置を用いずに、発信側無線装置と着信側無線装置の間で直接伝送を行うとすると、図9の破線で示された伝搬路h_SDを経て通信を行うことになる。一方、協調中継伝送では、発信側無線装置1-1から送信された情報信号は、伝搬路h_SR(1)およびh_SR(2)を経由して中継無線装置1-2-1、1-2-2に受信される。
ここで、h_SR(k)は、発信側無線装置1-1と中継無線装置1-2-k(k=1,2)との間の伝搬路を表すものであり、中継無線装置1-2-kにおける中継処理としては、はじめに発信側無線装置が送信した信号を受信して復号し、情報として再生した後に再度符号化および変調を行い送信信号を生成する再生中継方式と、受信信号を無線周波数、中間周波数、ベースバンドのいずれかの周波数の状態で信号処理や増幅処理を行い、無線信号として送信を行う非再生中継方式とがある。ここでは、再生中継方式に関して説明を行う。
中継無線装置1-2-1、1-2-2において受信・復調・再変調された中継信号は、着信側無線装置1-3へ伝搬路h_RD(1)、h_RD(2)を経由して送信される。ここで、h_RD(k)は中継無線装置1-2-kと着信側無線装置1-3との間の伝搬路を示すものとする。着信側無線装置1-3では、空間上で合成され同時刻に到来する複数の中継信号を受信して復調を行う。
上記の操作を行うことにより、伝搬路は中継器を中心にh_SR(k)およびh_RD(k)に分割されることになる。送信信号は、一度、中継無線装置1-2-1、1-2-2において受信され、再変調後に各中継無線装置が備える増幅器により増幅され着信側無線装置1-3へ送信される。
そのため、発信側無線装置1-1の視点に立つと、着信側無線装置1-3に直接信号を送信する場合よりも小さな電力で高品質の伝送を行うことが可能となる。さらに、複数の中継無線装置1-2-1,1-2-2により中継伝送を行い、着信側無線装置1-3に対して同時に信号を送信することにより、着信側無線装置1-3において中継無線装置数と同数の送信信号を空間上で合成受信されるため空間ダイバーシチ効果が得られる。
A. Sendonaris, E, Erkip, and B. Aazhang,"User Cooperation Diversity Part I: System Description", IEEE Transaction on Communications, Vol.51,No.11,2003年11月.
しかしながら、前述した従来技術では、各中継無線装置1-2-1,1-2-2と着信側無線装置1-3の間の伝搬環境の状態によっては、複数の中継無線装置1-2-1,1-2-2から着信側無線装置1-3へと送信される中継信号同士が互いに打ち消しあい、着信側無線装置1-3の受信信号強度が低下することにより、受信品質が低下する問題が発生する。
ここで、各中継無線装置1-2-1,1-2-2から同一の信号が同一タイミングで送信され、空間上において合成された信号が着信側無線装置1-3に受信された場合、着信側無線装置1-3の視点に立つと、中継信号が、各中継無線装置1-2-1,1-2-2から着信側無線装置1-3の間の複素遅延プロファイルを合成した遅延プロファイル(遅延特性情報)で表現される伝搬路を通過した上で受信されたものと等価的に観測されることになる。
例えば、従来技術において、h_RD(1)およびh_RD(2)の各遅延プロファイルが図10の左図に示すような2波モデルであった場合、合成された遅延プロファイルは、図10の右図のようになる。なお、図10において、jは虚数単位を表す。この場合、着信側無線装置1-3における受信信号電力が低くなり、通信品質が大幅に劣化してしまう。特に、見通し伝搬路であるライスフェージング環境や、非見通し環境において各中継無線装置1-2-1,1-2-2と着信側無線装置1-3の間の伝搬路の遅延プロファイルの時間広がりが小さい場合、すなわち遅延プロファイルを構成する遅延波の本数が少ない場合において、先行波同士が逆位相で打ち消しあう事象による通信品質低下は顕著である。
本発明は、上記問題を解決すべくなされたもので、その目的は、複数の中継無線装置を経由して通信が行われる場合に、中継無線装置から送信される無線信号における中継信号の打ち消しあいを低減させる無線通信システム及び中継無線装置を提供することにある。
上記問題を解決するために、本発明は、信号の送信を行う発信側通信装置と、前記発信側通信装置から送信された信号を中継して無線信号により送信する複数の中継無線装置と、前記中継無線装置から無線信号を受信する着信側無線装置と、を備えた無線通信システムであって、前記中継無線装置は、前記発信側通信装置から受信する信号に基づいて変調を行い中継信号を生成する変調手段と、前記着信側無線装置の受信の際に発生する自中継無線装置と他の中継無線装置との中継信号の遅延に応じた長さを有する前記中継信号のシンボルの一部を、前記中継信号のシンボルごとに巡回シフトし、巡回シフトした中継信号を前記着信側無線装置に送信する巡回シフト遅延手段と、を備え、前記巡回シフト遅延手段は、前記他の中継無線装置の遅延プロファイルから検出した遅延の広がり以上の遅延が発生するように巡回シフトの量を算出し、前記中継信号のシンボルの一部を当該巡回シフトの量だけ巡回シフトすることを特徴とする無線通信システムである。
また、本発明は、信号の送信を行う発信側通信装置と、前記発信側通信装置から送信された信号を中継して無線信号により送信する複数の中継無線装置と、前記中継無線装置から無線信号を受信する着信側無線装置と、を備えた無線通信システムにおける中継無線装置であって、前記発信側通信装置から受信する信号に基づいて変調を行い中継信号を生成する変調手段と、前記着信側無線装置の受信の際に発生する自中継無線装置と他の中継無線装置との中継信号の遅延に応じた長さを有する前記中継信号のシンボルの一部を、前記中継信号のシンボルごとに巡回シフトし、巡回シフトした中継信号を前記着信側無線装置に送信する巡回シフト遅延手段と、を備え、前記巡回シフト遅延手段は、前記他の中継無線装置の遅延プロファイルから検出した遅延の広がり以上の遅延が発生するように巡回シフトの量を算出し、前記中継信号のシンボルの一部を当該巡回シフトの量だけ巡回シフトすることを特徴とする中継無線装置である。
また、本発明は、上記に記載の発明において、前記中継無線装置、前記着信側無線装置は、送信及び受信する無線信号において直交周波数分割多重による変調及び復調を行うことを特徴とする。
また、本発明は、上記に記載の発明において、前記中継無線装置、前記着信側無線装置は、送信及び受信する無線信号においてサイクリックプレフィックスを付加したシングルキャリアブロック伝送による変調及び復調を行うことを特徴とする。
また、本発明は、上記に記載の発明において、前記発信側通信装置と、前記中継無線装置とは、無線による通信を行い、前記発信側通信装置、前記中継無線装置、前記着信側無線装置は、複数のアンテナを備えており、前記複数のアンテナによりMIMO伝送による無線通信を行うことを特徴とする。
また、本発明は、上記に記載の発明において、前記巡回シフト遅延手段は、前記複数のアンテナごとに前記着信側無線装置の受信の際に発生する遅延に応じた長さを有する前記中継信号のシンボルの一部を、前記中継信号のシンボルごとに巡回シフトし、巡回シフトした中継信号を前記着信側無線装置に送信することを特徴とする。
また、本発明は、上記に記載の発明において、前記巡回シフト遅延量制御手段は、前記中継無線装置の複数のアンテナごとの前記着信側無線装置への通信路の遅延状態を示す遅延プロファイルの情報を検出し、検出した遅延プロファイルの情報に基づいて、前記複数のアンテナごとの前記着信側無線装置への通信路の遅延特性の時間的な重なりを少なくする、前記中継信号のシンボルにおいて巡回させるシンボルの一部の長さとなる巡回シフトの量を算出し、前記巡回シフト遅延手段は、前記巡回シフト遅延量制御手段が算出した前記複数のアンテナごとの前記巡回シフトの量に基づいて前記中継信号のシンボルを巡回シフトすることを特徴とする。
また、本発明は、信号の送信を行う発信側通信装置と、前記発信側通信装置から送信された信号を中継して無線信号により送信する複数の中継無線装置と、前記中継無線装置から無線信号を受信する着信側無線装置と、を備えた無線通信システムにおける中継無線装置であって、前記発信側通信装置から受信する信号に基づいて変調を行い中継信号を生成する変調手段と、前記着信側無線装置の受信の際に発生する自中継無線装置と他の中継無線装置との中継信号の遅延に応じた長さを有する前記中継信号のシンボルの一部を、前記中継信号のシンボルごとに巡回シフトし、巡回シフトした中継信号を前記着信側無線装置に送信する巡回シフト遅延手段と、を備えたことを特徴とする中継無線装置である。
この発明によれば、無線通信システムは、発信側通信装置から受信する信号に基づいて変調を行い中継信号を生成し、着信側無線装置の受信の際に発生する自中継無線装置と他の中継無線装置との中継信号の遅延に応じた長さを有する中継信号のシンボルの一部を、中継信号のシンボルごとに巡回シフトし、巡回シフトした中継信号を着信側無線装置に送信する構成とした。
これにより、複数の中継無線装置が送信する中継信号に対してそれぞれ個別に巡回シフトを行うことにより、それぞれの中継信号に対して遅延を付加することができ、当該中継信号の遅延により、着信側無線装置において中継信号同士が互いに打ち消される確率を低下させ、空間ダイバーシチ効果を高めて、安定した通信品質を得ることが可能となる。
また、この発明によれば、中継無線装置ごとの着信側無線装置への通信路の遅延状態を示す遅延プロファイルの情報を検出し、検出した遅延プロファイルの情報に基づいて、複数の中継無線装置から着信側無線装置への通信路の遅延特性の時間的な重なりを少なくする、中継信号のシンボルにおいて巡回させるシンボルの一部の長さとなる巡回シフトの量を算出し、算出した巡回シフトの量に基づいて中継信号のシンボルを巡回シフトする構成とした。
これにより、検出した通信路の遅延状態に応じた最適な巡回シフトの量を複数の中継無線装置ごとに設定することが可能となり、通信路の遅延状態の変動等があった場合でも安定した通信品質を得ることが可能となる。
また、この発明によれば、中継無線装置、着信側無線装置は、送信及び受信する無線信号において直交周波数分割多重による変調及び復調を行う構成とした。
そのため、協調中継伝送の無線通信システムに対する直交周波数分割多重(OFDM)の変調方式の適用により、マルチパスフェージングに対して強い耐性を持たせることが可能となる。
また、この発明によれば、中継無線装置、着信側無線装置は、送信及び受信する無線信号においてサイクリックプレフィックスを付加したシングルキャリアブロック伝送による変調及び復調を行う構成とした。
そのため、協調中継伝送の無線通信システムに対して変調方式としてサイクリックプレフィックスを付加したシングルキャリアブロック伝送を用いることにより、マルチパスフェージングに対して強い耐性を持たせることが可能となる。
また、この発明によれば、発信側通信装置と、中継無線装置とは、無線による通信を行い、発信側通信装置、中継無線装置、着信側無線装置は、複数の送信アンテナを備えており、複数の送信アンテナによりMIMO伝送による無線通信を行う構成とした。
これにより、MIMOチャネルを構成するができ、高品質、高伝送レートの協調中継伝送を行う無線通信システムを実現することが可能となる。
また、この発明によれば、複数のアンテナごとに着信側無線装置の受信の際に発生する遅延に応じた長さを有する中継信号のシンボルの一部を、中継信号のシンボルごとに巡回シフトし、巡回シフトした中継信号を着信側無線装置に送信する構成とした。
これにより、複数の中継無線装置が送信する中継信号に対して中継無線装置のアンテナごとに個別に巡回シフトを行うことができ、着信側無線装置において中継信号が互いに打ち消される確率を低下させ、安定した通信品質を得ることが可能となる。
また、この発明によれば、中継無線装置の複数のアンテナごとの着信側無線装置への通信路の遅延状態を示す遅延プロファイルの情報を検出し、検出した遅延プロファイルの情報に基づいて、複数のアンテナごとの着信側無線装置への通信路の遅延特性の時間的な重なりを少なくする、中継信号のシンボルにおいて巡回させるシンボルの一部の長さとなる巡回シフトの量を算出し、算出した複数のアンテナごとの巡回シフトの量に基づいて中継信号のシンボルを巡回シフトする構成とした。
これにより、複数の中継無線装置が送信する中継信号に対して中継無線装置のアンテナごとに個別に巡回シフト遅延を付加する際に遅延プロファイルの情報を検出し、検出した遅延プロファイルの情報に基づいて複数のアンテナごとに最適な巡回シフトの量を設定することができ、安定した通信品質を得ることが可能となる。
以下、本発明の実施形態を図面を参照して説明する。
(第1実施形態)
図1は、本発明の第1実施形態による協調中継伝送を行う無線通信システム2を示す概略ブロック図である。無線通信システム2は、1つの発信側無線装置2-1と、2つの中継無線装置2-2-1,2-2-2と、1つの着信側無線装置2-3を備える。
発信側無線装置2-1は、入力される送信情報系列を変調する変調器2-1-1と、送信アンテナ2-1-2とを備える。中継無線装置2-2-1は、受信アンテナ2-2-1-1と、復調器2-2-1-2と、復調器2-2-1-2により復調された信号を再変調して送信を行う再変調器2-2-1-3と、信号に対して後述する巡回シフトを行う巡回シフト遅延器2-2-1-4と、送信アンテナ2-2-1-5とを備える。中継無線装置2-2-2は、受信アンテナ2-2-2-1と、復調器2-2-2-2と、復調器2-2-2-2により復調された信号を復号化して再変調して再符号化を行う再変調器2-2-2-3と、信号に対して後述する巡回シフトを行う巡回シフト遅延器2-2-2-4と、送信アンテナ2-2-2-5とを備える。着信側無線装置2-3は、受信アンテナ2-3-1と、受信した信号を受信信号系列に復調する復調器2-3-2とを備える。
ここで、前述した発信側無線装置2-1の変調器2-1-1と、中継無線装置2-2-1,2-2-2が備える再変調器2-2-1-3,2-2-2-3は、同一の変調を行うものとする。また、中継無線装置2-2-1,2-2-2の復調器2-2-1-2,2-2-2-2と着信側無線装置2-3の復調器2-3-2は、同一の復調を行うものとする。
以下、一例として、発信側無線装置2-1と、中継無線装置2-2-1,2-2-2と、着信側無線装置2-3における変調方式としてOFDM(Orthogonal Frequency Division Multiplexing)信号を用いた場合について説明する。
発信側無線装置2-1に入力される送信情報系列は変調器2-1-1においてOFDM信号に変換され、変調器2-1-1は、変調したOFDM信号を発信側無線装置2-1の送信アンテナ2-1-2を通じて無線区間に送信する。送信されたOFDM信号は、無線区間を通じて中継無線装置2-2-1,2-2-2の受信アンテナ2-2-1-1、2-2-2-1により受信される。受信アンテナ2-2-1-1、2-2-2-1が受信した受信信号は中継無線装置2-2-1,2-2-2の復調器2-2-1-2,2-2-2-2において、一度、情報系列に復調された後に、再変調器2-2-1-3,2-2-2-3に入力され、再変調部2-2-1-3,2-2-2-3によりOFDM信号に変換される。
巡回シフト遅延器2-2-1-4,2-2-2-4は、変換されたOFDM信号に対して中継無線装置2-1-1,2-2-2ごとに個別の後述する巡回シフトを行う。中継無線装置2-1-1,2-2-2の送信アンテナ2-2-1-5,2-2-2-5は、巡回シフトが行われた中継信号を着信側無線装置2-3へ同一のタイミングで送信する。2つの中継無線装置2-2-1、2・2-2から送信されたOFDM信号は、空間上で合成され、着信側無線装置2-3の受信アンテナ2-3-1により受信され、着信側無線装置2-3の復調器2-3-2により受信情報系列に復調される。
前述した従来技術と第1実施形態との差分は、中継無線装置2-2-1、2-2-2の巡回シフト遅延器2-2-1-4、2-2-2-4により、個別に中継信号に巡回シフトを行う点にある。ここで、h_RD(1)およびh_RD(2)の各複素遅延プロファイル(遅延特性情報)が、前述した図10の左図と同様であったとする。このとき、例えば、巡回シフト遅延器2-2-1-4において中継信号に対して0の巡回シフト、すなわち巡回を行なわず、巡回シフト遅延器2-2-2-4において図2に示すように中継信号の1シンボルのうち2×tの時間長の遅延に応じた一部のシンボルを図2の左図の(2)に示すように巡回させる巡回シフトを中継信号に行ったとする。ここで、上記の各巡回シフト遅延器2-2-1-4,2-2-2-4で行われる巡回シフトの量(以下、巡回シフト遅延量ともいう)は、h_RD(1)およびh_RD(2)の遅延プロファイルにおいて時間的な重なりが少なくなるように中継無線装置2-2-1,2-2-2の巡回シフト遅延器2-2-1-4,2-2-2-4に予め設定されている値である。
この場合において、中継無線装置2-2-2から送信される信号は、2×tの遅延時間が付加きれたことと等価となり、中継無線装置2-2-2と着信側無線装置2・3との間の複素遅延プロファイルは、着信側無線装置において図2の右図に示されるように2×t遅延した信号として観測される。従って、かかる場合、着信側無線装置2-3において観測される伝搬路 h_RD(1)と伝搬h_RD(2)を合成した遅延プロファイルは図3の右図のようになる。
中継無線装置2-2-2において巡回遅延シフトを用いない従来技術の場合、前述した図10に示すように同時刻に互いに逆位相の遅延波成分が到来することにより、合成後の遅延プロファイルの電力が著しく低下していたのに対し、第1実施形態では図3に示されるように遅延波同士が互いに打ち消されることなく受信されるため、着信側無線装置2-3における受信信号電力が著しく低下する確率が低下し、通信品質が安定する効果を奏する。
なお、発信側無線装置2-1の変調器2-1-1、中継無線装置2-2-1,2-2-2の復調器2-2-1-2, 2-2-2-2、再変調器2-2-1-3,2-2-2-3、着信側無線装置2-3の復調器2-3-2で用いられる変調方式として前述したOFDMではなく、サイクリックプレフィックスを付加したシングルキャリアブロック伝送を用いるようにしてもよい。
上記の第1実施形態の構成により、中継無線装置2-2-1,2-2-2が送信する中継信号に対して、中継無線装置2-2-1,2-2-2ごとに固有の巡回シフトを行うことによって、各中継無線装置2-2-1,2-2-2から着信側無線装置2-3の間の複素遅延プロファイル全体に遅延時間を付加することと等価な効果を与えることが可能となる。これにより、着信側無線装置2-3において受信される合成された中継信号同士が、互いに打ち消されることにより受信信号強度が落ち込む確率を低下させ、空間ダイバーシチ効果を高めることができ、伝送品質の向上を実現することが可能となる。
なお、第1実施形態では、発信側無線装置2-1と、中継無線装置2-2-1,2-2-2と、着信側無線装置2-3の送信アンテナ2-1-2、送信アンテナ2-2-1-5,2-2-2-5と、受信アンテナ2-2-1-1,2-2-2-1と、受信アンテナ2-3-1とを物理的に異なるものとしている。しかし、例えば、TDD (Time Division Duplex:時分割多重)システムのような、通信方向の異なる上りリンクと下りリンクとを同一の周波数を用いて時間で分割して通信を行うシステムの場合、1つのアンテナを送受信で共用することが可能である。
また、発信側無線装置2-1と、中継無線装置2-2-1,2-2-2との間の通信路は無線回線である必要はなく、発信側無線装置2-1の代わりに発信側通信装置を備え、中継無線装置2-2-1,2-2-2の代わりに、発信側については有線接続の端子を有し、送信側は、送信アンテナ2-2-1-5,2-2-2-5を通じて無線信号を着信側無線装置2-3に送信する中継無線装置を備えるようにしてもよい。かかる場合、置き換えられた発信側通信装置と中継無線装置とは光ファイバ等の有線接続により接続され、発信側通信装置から送信される送信情報系列を当該有線接続を通じて中継無線装置が受信することになる。
(第2実施形態)
次に、図4、5を参照しつつ、本発明の第2実施形態について説明する。
図4は、第2実施形態における協調中継伝送を行う無線通信システム3の構成を示す概略ブロック図である。無線通信システム3は、1つの発信側無線装置3-1と、2つの中継無線装置3-2-1,3-2-2と、1つの着信側無線装置3-3とを備える。中継無線装置3-2-1,3-2-2と、着信側無線装置3-3とは、それぞれ1本のアンテナを有しており、中継無線装置3-2-1,3-2-2における送信及び受信はTDDスイッチで切り替えられる。
発信側無線装置3-1は、変調器3-1-1と、送信アンテナ3-1-2とを備えている。中継無線装置3-2-1,3-2-2は、それぞれ送受信アンテナ3-2-1-1,3-2-2-1と、TDDスイッチ3-2-1-2,3-2-2-2と、復調器3-2-1-3, 3-2-2-3と、再変調器3-2-1-4, 3-2-2-4と、巡回シフト遅延器3-2-1-5,3-2-2-5と、巡回シフト遅延量制御回路3-2-1-6,3-2-2-6とを備えている。着信側無線装置3-3は、送受信アンテナ3-3-1と、TDDスイッチ3-3-2と、復調器3-3-3と、変調器3-3-4とを備えている。
発信側無線装置3-1の変調器3-1-1と、中継無線装置3-2-1,3-2-2の再変調器3-2-1-4,3-2-2-4と、着信側無線装置3-3の変調器3-3-4とは、同一の変調を行うものとする。また、中継無線装置3-2-1,3-2-2の復調器3-2-1-3,3-2-2-3と、着信側無線装置3-3の復調器3-3-3は、同一の復調を行うものとする。各装置で用いられる変調方式として、以下の説明では、一例としてOFDM信号を用いるものとする。第2実施形態に係るシステムは、発信側無線装置3-1が2つの中継無線装置3-2-1,3-2-2を経由して無線パケットを着信側無線装置3-3へ送信し、着信側無線装置3・3は、無線パケットを受信すると中継無線装置3-2-1,3-2-2に対して確認応答パケットを応答するシステムである。
図5は、発信側無線装置3-1、中継無線装置3-2-1,3-2-2、着信側無線装置3-3の動作の時間的な流れの例を示した図である。図5では、パケットの時間長をTとして示している。送信情報系列は、発信側無線装置3-1の変調器3-1-1においてOFDM信号に変換され、発信側無線装置3-1の送信アンテナ3-1-2により無線区間に送信される。送信されたOFDM信号は、無線区間を通じて中継無線装置3-2-1,3-2-2の送受信アンテナ3-2-1-1,3-2-2-1により受信される。TDDスイッチ3-2-1-2,3-2-2-2は、信号を受信するタイミング、すなわち時刻0からTでは、スイッチを切り替えて送受信アンテナ3-2-1-1,3-2-2-1を、復調器3-2-1-3、3-2-2-3に接続して、受信信号を復調器3-2-1-3、3-2-2-3へ出力する。そして、信号を送信するタイミング、すなわち時刻Tから2Tの間は、スイッチを切り替えて送受信アンテナ3-2-1-1,3-2-2-1を、巡回シフト遅延器3-2-1-5,3-2-2-5に接続して、巡回シフト遅延器3-2-1-5,3-2-2-5の出力である中継信号を送受信アンテナ3-2-1-1、3-2-2-1へ出力する。
中継無線装置3-2-1,3-2-2の復調器3-2-1-3,3-2-2-3において中継信号は、一度、情報系列に復調された後に、再変調器3-2-1-4,3-2-2-4によりOFDM信号に変換される。OFDM信号は、中継無線装置3-2-1,3-2-2の巡回シフト遅延器3-2-1-5、3-2-2-5ごとに個別の巡回シフトが行われた後、TDDスイッチ3-2-1-2、3-2-2-2を経由して送受信アンテナ3-2-1-1,3-2-2-1により着信側無線装置3-3へ同一のタイミングで送信される。2つの中継無線装置3-2-1,3-2-2から送信されたOFDM信号は、空間上で合成される。
着信側無線装置3-3のTDDスイッチ3-3-2は、時刻Tから2Tの間、送受信アンテナ3-3-1を復調器3-3-3に接続しており、合成されたOFDM信号を送受信アンテナ3-3-1を受信し、受信したOFDM信号が着信側無線装置3-3の復調器3-3-3により情報系列に復調される。復調された情報系列は、着信側無線装置3-3において正しく受信されているかどうかの判定が行われる。例えば、パケットに含まれる情報は誤り検出符号されているので、それを利用して正しく受信されているか否かの判定が行われる。そして、着信側無線装置3-3のTDDスイッチ3-3-2は、時刻2Tから3Tの間、送受信アンテナ3-3-1を変調器3-3-4に接続し、正しく受信されている場合は、ACK(Acknowledgement:確認応答)パケットを変調器3-3-4よりTDDスイッチ3-3-2を経由して送受信アンテナ3-3-1より送信し、正しく受信されていない場合は、NACK(Negative-ACK:否定応答)パケット変調器3-3-4よりTDDスイッチ3-3-2を経由して送受信アンテナ3-3-1より送信する。時刻2Tから3Tの間、中継無線装置3-2-1,3-2-2のTDDスイッチ3-2-1-2,3-2-2-2は、送受信アンテナ3-2-1-1,3-2-2-1と復調器3-2-1-3,3-2-2-3を接続しており、復調器3-2-1-3,3-2-2-3は、送受信アンテナ3-2-1-1,3-2-2-1を通じてACKパケット、あるいはNACKパケットを受信し、復調した受信信号を巡回シフト遅延量制御回路3-2-1-6,3-2-2-6に入力する。
巡回シフト遅延器3-2-1-5,3-2-2-5において行われる巡回シフトの量(巡回シフト遅延量)は、巡回シフト遅延量制御回路3-2-1-6,3-2-2・6から入力される。巡回シフト遅延量制御回路3-2-1-6,3-2-2・6では、当該回路が備えられる中継無線装置と、着信側無線装置3-3との間の遅延プロファイルに基づいて、他の中継無線装置と、着信側無線装置3-3の間の遅延プロファイルの時間的な重なりがなるべく少なくなるように、巡回シフトの量を算出し、算出した巡回シフトの量を巡回シフト遅延器3-2-1-5,3-2-2-5に入力する。
各中継無線装置3-2-1,3-2-2が、巡回シフトの量の算出に用いる中継無線装置3-2-1,3-2-2と着信側無線装置3-3の間の通信路の遅延状態を示す前述した遅延プロファイルの情報を取得する方法としては、以下の方法がある。例えば、図5のバケット送受信手順における時刻Tから2Tの区間において着信側無線装置3-3が中継無線装置からの無線パケットを受信する際に通信路の状態を示す遅延プロファイルを検出する。
そして、時刻2Tから3Tの区間において着信側無線装置3-3が送信するACK/NACKパケットに、検出した遅延プロファイルを重畳し中継無線装置3-2-1,3-2-2に通知する方法がある。これにより、巡回シフト遅延量制御回路3-2-1-6,3-2-2・6のそれぞれは、自らと着信側無線装置3-3との間の遅延プロファイルと、他の中継無線装置と着信側無線装置3-3との間の遅延プロファイルを取得することができる。図4の例では、巡回シフト遅延量制御回路3-2-1-6,3-2-2・6のそれぞれが、中継無線装置3-2-1と着信側無線装置3-3との間の遅延プロファイルと、中継無線装置3-2-2と着信側無線装置3-3間の遅延プロファイルとを取得することができる。
そして、いずれか一方の中継無線装置については、巡回シフトを行わないことを巡回シフト遅延量制御回路3-2-1-6,3-2-2・6に予め設定しておくことで、他方の中継無線装置については、取得した遅延プロファイルに基づいて、巡回シフトの量を算出することが可能となる。例えば、中継無線装置3-2-1が巡回シフトを行わず、中継無線装置3-2-2が巡回シフトを行うように設定されている場合に、遅延プロファイルが、前述した図10に示す遅延の広がりを有するときには、巡回シフトを行う方の中継無線装置3-2-2が、他方の中継無線装置3-2-1の遅延プロファイルから遅延の広がりtを検出し、検出したt以上の遅延が発生するように巡回シフトの量を算出し、算出した巡回シフトの量を、巡回シフト遅延器3-2-2-5に入力する。
また、TDDの無線通信システムが有する上りチャネルと下りチャネルの通信路の対称性を利用する手法もある。具体的には、時刻2Tから3Tの区間において、中継無線装置3-2-1,3-2-2の巡回シフト遅延量制御回路3-2-1-6,3-2-2-6が、着信側無線装置3-3より送信されるACK/NACKパケットの受信の際に遅延プロファイルを検出し、検出した遅延プロファイルから着信側無線装置3-3から自中継無線装置への遅延プロファイルを取得し、取得した遅延プロファイルの複素共役を取ることにより、自中継無線装置から着信側無線装置3-3への遅延プロファイルを取得する手法である。この手法を用いる際には、中継無線装置3-2-1,3-2-2の巡回シフト遅延量制御回路3-2-1-6,3-2-2-6は、互いに接続されていることが前提であり、それぞれの中継無線装置3-2-1,3-2-2の巡回シフト遅延量制御回路3-2-1-6,3-2-2-6が、自中継無線装置と着信側無線装置3-3の間の遅延プロファイルを取得し、他方の巡回シフト遅延量制御回路3-2-1-6,3-2-2-6の間で、取得した遅延プロファイルの送受信を行い、自らの中継無線装置と着信側無線装置3-3の間の遅延プロファイルと、他の中継無線装置と着信側無線装置3-3の間の遅延プロファイルとの時間的な重なりが少なくなるように巡回シフトの量を算出する。
なお、巡回シフト遅延量制御回路3-2-1-6,3-2-2-6の間で送受信される情報としては、遅延プロファイルの情報の他に、自らが巡回シフトを行うか否かを示す情報も合せて送受信することになる。
また、既に巡回シフトの量が定められている中継無線装置が存在する場合には、当該中継無線装置から定められている巡回シフトの量の情報を受信して、2つめ以降の中継無線装置が順に巡回シフトの量を定めるようにしてもよい。
また、第2実施形態において、2つの中継無線装置3-2-1、3-2-2は、常に着信側無線装置3-3に対して協調中継伝送を行うが、複数の中継無線装置を網羅的に配置して中継伝送を行うメッシュネットワークに対して適用を行う場合においては、協調中継伝送を行うパートナーは時間の経過と共に変動することが想定される。このような場合は、各巡回シフト遅延量制御回路は、現時点で、協調中継を行うパートナーとなる中継無線装置が用いている巡回シフト遅延量および遅延プロファイルを参照した上で、巡回シフト遅延量制御回路が属する中継無線装置において設定する巡回シフト遅延量を設定する。
このような設定処理を行うことにより、各中継信号に対して通信路の状態に対して最適な巡回シフト遅延量を設定することが可能となり、通信路の状態や通信経路が変化した場合においても高い空間ダイバーシチ利得を得ることが可能となる。
(第3実施形態)
次に、図6を参照しつつ、本発明の第3実施形態について説明する。
図6は、第3実施形態における協調中継伝送を行う無線通信システム4の構成を示す概略ブロック図である。第3実施形態による無線通信システム4では、発信側無線装置、中継無線装置、着信側無線装置それぞれが、2本の送受信アンテナを用い、MIMO(Multiple-Input Multiple-Output)伝送により協調中継伝送を行う。
図6において、発信側無線装置4-1は、変調器4-1-1と、2つの送信アンテナ4-1-2-1, 4-1-2-2とを備える。中継無線装置4-2-1、4-2-2は、それぞれ2つの受信アンテナ4-2-1-1-1, 4-2-1-1-2及び受信アンテナ4-2-2-1-1, 4-2-2-1-2と、復調器4-2-1-2,4-2-2-2と、再変調器4-2-1-3,4-2-2-3と、それぞれ2つの送信アンテナ4-2-1-6-1, 4-2-1-6-2と、送信アンテナ4-2-2-6-1, 4-2-2-6-2と、送信アンテナごとに設けられる巡回シフト遅延器4-2-1-4-1, 4-2-1-4-2と、巡回シフト遅延器4-2-2-4-1,4-2-2-4-2と、巡回シフト遅延量制御回路4-2-1-5,4-2-2-5とを備える。着信側無線装置4-3は、2つの受信アンテナ4-3-1-1,4-3-1-2と、復調器4-3-2とを備える。
ここで、発信側無線装置4-1の変調器4-1-1と、中継無線装置4-2-1,4-2-2の再変調器4-2-1-3,4-2-2-3は同一の変調を行うものとする。また、中継無線装置4-2-1,4-2-2の復調器4-2-1-2、4-2-2-2と、着信側無線装置4-3の復調器4-3-2は同一の復調を行うものとする。
各無線装置で用いられる変調方式としては、巡回シフトを行った場合においても正しく受信を行うことが可能となる方式が用いられる。例えば、ガードインターバルを付加した直交周波数分割多重(OFDM: Orthogonal Frequency Division Multiplexing)や、サイクリックプレフィックスを付加したシングルキャリアブロック伝送が考えられる。第3実施形態では、一例として、OFDM信号を用いた場合について説明する。
送信情報系列は、発信側無線装置4-1の変調器4-1-1においてOFDM信号に変換される。第3実施形態では、発信側無線装置4-1が複数の送信アンテナを有しており、発信側無線装置4-1と各中継無線装置4-2-1,4-2-2の間にMIMO通信路が構築されているため、複数の送信アンテナを用いた空間多重による伝送レートの向上を実現したり、STBC(Space Time Block Code)伝送によりダイバーシチゲインを得たり、送信ビームフォーミングを行い通信品質を向上させる、といった形態を取ることが可能となる。
2系列の送信信号は、発信側無線装置4-1-1の2つの送信アンテナ4-1-2-1,4-1-2-2により無線区間に送信される。送信された各OFDM信号は、無線区間を通じて中継無線装置4-2-1,4-2-2ごとに2つの受信アンテナ4-2-1-1-1,4-2-1-1-2、受信アンテナ4-2-2-1-1, 4-2-2-1-2により受信される。受信信号は中継無線装置4-2-1,4-2-2の復調器4-2-1-2、4-2-2-2において、一度、情報系列に復調された後に、再変調器4-2-1-3、4-2-2-3に入力され、2系列のOFDM信号に変換される。変換されたOFDM信号は、巡回シフト遅延器4-2-1-4-1,4-2-1-4-2及び巡回シフト遅延器4-2-2-4-1,4-2-2-4-2において各中継無線装置の送信信号系列ごとに固有の値の巡回遅延シフトが付加された後に、中継無線装置4-2-1,4-2-2の2つの送信アンテナ4-2-1-6-1, 4-2-1-6-2と、送信アンテナ4-2-2-6-1, 4-2-2-6-2とにより着信側無線装置4-3へ同一のタイミングで送信される。
巡回シフト遅延器において付加される巡回シフトの量は、各中継無線装置4-2-1,4-2-2における巡回シフト遅延量制御回路4-2-1-5,4-2-2-5によりそれぞれ固有に設定される。巡回シフト遅延量制御回路4-2-1-5,4-2-2-5には、前述した第2実施形態において例示した手法により制御情報や伝搬路情報、すなわち前述した遅延プロファイルが入力され、それを元に巡回シフト遅延器4-2-1-4-1,4-2-1-4-2及び巡回シフト遅延器4-2-2-4-1,4-2-2-4-2の巡回シフトの量を設定する。第3実施形態では2つの中継無線装置4-2-1,4-2-2が、それぞれ2つ巡回シフト遅延器4-2-1-4-1,4-2-1-4-2及び巡回シフト遅延器4-2-2-4-1,4-2-2-4-2を備えているため、2つの中継無線装置4-2-1,4-2-2で4種類の巡回シフトの量を設定することになる。
なお、第3実施形態では、前述した第1実施形態と同様に、発信側無線装置4-1、中継無線装置4-2-1,4-2-2と、着信側無線装置4-3の送信アンテナと受信アンテナを物理的に異なるものとしている。しかし、例えば、時分割多重システムのような、上りと下りで同一の周波数を用いる無線通信システムや、周波数分割多重のような上りと下りで互いに異なる周波数を用いる無線通信システムなど、送信と受信を同時に行わない無線通信システムであれば、アンテナを送受信に共用することが可能である。
また、発信側無線装置4-1と、中継無線装置4-2-1,4-2-2との間の通信路は無線回線である必要はなく、発信側無線装置4-1の代わりに発信側通信装置を備え、中継無線装置4-2-1,4-2-2の代わりに、発信側については有線接続の端子を有し、送信側は、送信アンテナ4-2-1-6-1,4-2-1-6-2及び送信アンテナ4-2-2-6-1,4-2-2-6-2を通じて無線信号を着信側無線装置4-3に送信する中継無線装置を備えるようにしてもよい。かかる場合、置き換えられた発信側通信装置と中継無線装置とは光ファイバ等の有線接続により接続され、発信側通信装置から送信される送信情報系列を当該有線接続を通じて中継無線装置が受信することになる。
(計算機シミュレーション結果)
次に、図7、8を参照しつつ、第3実施形態の無線通信システム4についてパケット誤り率特性改善効果を、計算機シミュレーションにより評価した結果について説明する。図7は、シミュレーション条件を示した表である。
比較のため、従来技術による方法(以下、従来法という)として、それぞれ2つの送信アンテナを備えた2つの中継無線装置が、着信側無線装置へ同時刻に同一信号を送信する構成を想定している。第3実施形態では、各中継無線装置4-2-1,4-2-2の巡回シフト遅延器4-2-1-4-1,4-2-1-4-2及び巡回シフト遅延器4-2-2-4-1,4-2-2-4-2に固有の巡回シフトの量を設定することになるが、本シミュレーションでは、以下の量を設定した。
(1)1つめの中継無線装置4-2-1の1番目の送信アンテナ4-2-1-6-1:0ns
(2)1つめの中継無線装置4-2-1の2番目の送信アンテナ4-2-1-6-2:−800ns
(3)2つめの中継無線装置4-2-2の1番目の送信アンテナ4-2-2-6-1:600ns
(4)2つめの中継無線装置4-2-2の2番目の送信アンテナ4-2-2-6-2:−200ns
また、シミュレーション条件として、発信側無線装置4-1から各中継無線装置4-2-1,4-2-2の間の無線伝送は誤りがないものとした。
上記条件に基づいた計算機シミュレーションの結果得られたバケット誤り率特性を図8に示す。横軸は、キャリア対雑音電力比(CNR: Carrier to Noise power Ratio)、縦軸は、パケット誤り率を示す。従来法と比較して、本発明の第3実施形態においては、パケット誤り率0.001を達成するためのCNRで比較すると、3.3dBの改善効果を実現している。
これは、本発明を適用した場合においては、中継無線装置ごと、送信アンテナごとに固有の巡回シフトの量を設定しており、信号レベルの大きな遅延波どうしが同一タイミングかつ逆位相で到来し打ち消される確率を低下させることができることを示しており、その結果、受信品質が安定したことによる特性を改善することができる効果を示している。
本発明の第1実施形態による無線通信システムの概略を示したブロック図である。 同実施形態による中継無線装置におけるシンボルの巡回シフト、及び着信側無線装置において観測される遅延プロファイルの変化を示した図である。 同実施形態による中継無線装置毎に個別に巡回シフトを行った場合の着信側無線装置において合成される遅延プロファイルの一例を示した図である。 本発明の第2実施形態による無線通信システムの概略を示したブロック図である。 同実施形態による発信側無線装置、中継無線装置、着信側無線装置の動作例を示した図である。 本発明の第3実施形態による無線通信システムの概略を示したブロック図である。 本発明を適用した計算機シミュレーションに用いた条件を示した図である。 同計算機シミュレーションによる結果を示した図である。 従来技術による協調中継伝送システムの概略図である。 従来の協調中継伝送システムにおいて着信側無線装置において受信信号の品質が低下する一例を示した図である。
符号の説明
2-1 発信側無線装置
2-1-1 変調器
2-1-2 送信アンテナ
2-2-1, 2-2-2 中継無線装置
2-2-1-1-,2-2-2-1 受信アンテナ
2-2-1-2,2-2-2-2 復調器
2-2-1-3,2-2-2-3 再変調器
2-2-1-4,2-2-2-4 巡回シフト遅延器
2-2-1-5,2-2-2-5 送信アンテナ
2-3 着信側無線装置
2-3-1 受信アンテナ
2-3-2 復調器

Claims (8)

  1. 信号の送信を行う発信側通信装置と、前記発信側通信装置から送信された信号を中継して無線信号により送信する複数の中継無線装置と、前記中継無線装置から無線信号を受信する着信側無線装置と、を備えた無線通信システムであって、
    前記中継無線装置は、
    前記発信側通信装置から受信する信号に基づいて変調を行い中継信号を生成する変調手段と、
    前記着信側無線装置の受信の際に発生する自中継無線装置と他の中継無線装置との中継信号の遅延に応じた長さを有する前記中継信号のシンボルの一部を、前記中継信号のシンボルごとに巡回シフトし、巡回シフトした中継信号を前記着信側無線装置に送信する巡回シフト遅延手段と、を備え
    前記巡回シフト遅延手段は、前記他の中継無線装置の遅延プロファイルから検出した遅延の広がり以上の遅延が発生するように巡回シフトの量を算出し、前記中継信号のシンボルの一部を当該巡回シフトの量だけ巡回シフトする
    ことを特徴とする無線通信システム。
  2. 前記中継無線装置ごとの前記着信側無線装置への通信路の遅延状態を示す遅延プロファイルの情報を検出し、検出した遅延プロファイルの情報に基づいて、前記複数の中継無線装置から前記着信側無線装置への通信路の遅延特性の時間的な重なりを少なくする、前記中継信号のシンボルにおいて巡回させるシンボルの一部の長さとなる巡回シフトの量を算出する巡回シフト遅延量制御手段を備え、
    前記巡回シフト遅延手段は、
    前記巡回シフト遅延量制御手段が算出した前記巡回シフトの量に基づいて前記中継信号のシンボルを巡回シフトする
    ことを特徴とする請求項1に記載の無線通信システム。
  3. 前記中継無線装置、前記着信側無線装置は、
    送信及び受信する無線信号において直交周波数分割多重による変調及び復調を行う
    ことを特徴とする請求項1または2に記載の無線通信システム。
  4. 前記中継無線装置、前記着信側無線装置は、
    送信及び受信する無線信号においてサイクリックプレフィックスを付加したシングルキャリアブロック伝送による変調及び復調を行う
    ことを特徴とする請求項1または2に記載の無線通信システム。
  5. 前記発信側通信装置と、前記中継無線装置とは、無線による通信を行い、
    前記発信側通信装置、前記中継無線装置、前記着信側無線装置は、
    複数のアンテナを備えており、前記複数のアンテナによりMIMO伝送による無線通信を行う
    ことを特徴とする請求項1から4のいずれか1つに記載の無線通信システム。
  6. 前記巡回シフト遅延手段は、
    前記複数のアンテナごとに前記着信側無線装置の受信の際に発生する遅延に応じた長さを有する前記中継信号のシンボルの一部を、前記中継信号のシンボルごとに巡回シフトし、巡回シフトした中継信号を前記着信側無線装置に送信する
    ことを特徴とする請求項5に記載の無線通信システム。
  7. 前記巡回シフト遅延量制御手段は、
    前記中継無線装置の複数のアンテナごとの前記着信側無線装置への通信路の遅延状態を示す遅延プロファイルの情報を検出し、検出した遅延プロファイルの情報に基づいて、前記複数のアンテナごとの前記着信側無線装置への通信路の遅延特性の時間的な重なりを少なくする、前記中継信号のシンボルにおいて巡回させるシンボルの一部の長さとなる巡回シフトの量を算出し、
    前記巡回シフト遅延手段は、
    前記巡回シフト遅延量制御手段が算出した前記複数のアンテナごとの前記巡回シフトの量に基づいて前記中継信号のシンボルを巡回シフトする
    ことを特徴とする請求項6に記載の無線通信システム。
  8. 信号の送信を行う発信側通信装置と、前記発信側通信装置から送信された信号を中継して無線信号により送信する複数の中継無線装置と、前記中継無線装置から無線信号を受信する着信側無線装置と、を備えた無線通信システムにおける中継無線装置であって、
    前記発信側通信装置から受信する信号に基づいて変調を行い中継信号を生成する変調手段と、
    前記着信側無線装置の受信の際に発生する自中継無線装置と他の中継無線装置との中継信号の遅延に応じた長さを有する前記中継信号のシンボルの一部を、前記中継信号のシンボルごとに巡回シフトし、巡回シフトした中継信号を前記着信側無線装置に送信する巡回シフト遅延手段と、
    を備え
    前記巡回シフト遅延手段は、前記他の中継無線装置の遅延プロファイルから検出した遅延の広がり以上の遅延が発生するように巡回シフトの量を算出し、前記中継信号のシンボルの一部を当該巡回シフトの量だけ巡回シフトする
    ことを特徴とする中継無線装置。
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