JP4854038B2 - 情報アクセス装置および浮上量制御方法 - Google Patents

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Description

本発明は、ヒータが内蔵され熱膨張によって浮上量が変化するヘッドを使って情報アクセスを行う情報アクセス装置、およびヘッドの浮上量を制御する浮上量制御方法に関する。
近年、情報化社会の進展に伴って、飛躍的に高い記録密度の情報記録方式や情報記憶装置の開発が待望されている。磁場を使って情報アクセスが行われる磁気ディスク装置は、情報の書き換えが可能な情報記憶装置であり、その中でも特に、磁場を印加するためのヘッドをディスクの回転によって生じる空気流で浮上させる浮上ヘッドタイプの磁気ディスク装置は、小型で高記録密度な情報記憶装置として広く用いられている。
浮上ヘッドタイプの磁気ディスク装置では、回転中のディスクにヘッドが接触してしまうと、ディスクに記録された情報が破壊されてしまう恐れがある。その一方で、ディスクに効率よく磁場を印加してアクセス精度を高めるためには、ヘッドをディスクに近づける必要があり、近年では、ヘッドの浮上量が数nmのオーダーにまで減少してきている。このように、磁気ヘッドは、ディスクから精度良く規定量だけ浮上することが求められているが、実際には、製造ばらつきなどによって磁気ヘッドの浮上量は個々に異なってしまっている。
この問題に対し、磁気ヘッド内にヒータを内蔵し、ヒータの熱で磁気ヘッドを熱膨張させて浮上量を調整することが行われている。ヒータに磁気ヘッドそれぞれに適した電力を供給することによって、各磁気ヘッドの浮上量を目標の浮上量に調整することができ、装置間におけるアクセス精度のばらつきを軽減することができる。ヒータへの供給電力を算出する方法として、特許文献1に、Wallace式を使ってヘッドの浮上量を算出し、目標の浮上量が実現されるときのヒータ電力を算出する方法が記載されている。まず、ヒータに供給される電力を変化させながら、磁気ディスクに記録された情報が読み取られ、その読取信号が所定振幅のアナログ信号となるように利得可変増幅器で増幅されたときのAGC利得値が取得される。続いて、取得されたAGC利得値が、以下に示すWallace式に代入されて、ヘッドの浮上量が算出される。
Δd=(λ/2π)×Ln(T1/T2) ・・・(1)
ここで、Δdはヘッドの浮上量の変化、λは記録波長、T1は以前のAGC利得値、T2は現在のAGC利得値である。
ヒータへの供給電力の変更、磁気ヘッドにおける情報の読み取り、およびAGC利得値の取得が繰り返されることによって、ヒータ供給電力とAGC利得値との関係を示す第1グラフが作成され、さらに、第1グラフにおけるAGC利得値が式(1)に代入されてヘッドの浮上量が算出されることによって、ヒータ電力とヘッドの浮上量との関係を示す第2グラフが作成される。第2グラフ上で目標の浮上量が得られるヒータ電力値が取得され、ヒータに供給される電力が取得されたヒータ電力値に調整されることによって、ヘッドの浮上量を目標の浮上量に設定することができる。
特開2006−190454号公報
しかし、上述した方法では、ヒータへの供給電力を変更するたびに、オシロスコープなどを使って利得可変増幅器の入出力信号の波形を計測してAGC利得値を取得する必要があり、手間がかかってしまうという問題がある。また、取得されたAGC利得値を、逐一、ヘッドの浮上量に変換する必要があるため、処理時間がかかってしまう。特に、AGC利得値をヘッドの浮上量に変換する式(1)は、対数計算であるために計算量が多大であり、処理の負荷が大きいという問題がある。
上記事情に鑑み、ヒータへの供給電力を容易かつ精度良く算出することができ、ヘッドの浮上量を目標の浮上量に精度良く調整することができる情報アクセス装置および浮上量制御方法を提供する。
上記目的を達成する情報アクセス装置の基本形態は、
情報が記録された記録媒体と、
記録媒体に近接した状態に浮上し記録媒体に記録された情報を読み取ってアナログ信号を取得するヘッドであって、ヒータが内蔵され熱膨張によって浮上量が変化するヘッドと、
アナログ信号を、利得制御値に応じて、利得制御値の指数関数倍に増幅する利得可変増幅器
利得可変増幅器から出力されるアナログ信号が所定振幅のアナログ信号となるように利得制御値を調整するゲインコントロール部と、
ヒータに電力を供給する電力供給部と、
電力供給部からヒータに供給される電力を調整することによって、記録媒体に対するヘッドの浮上量を目標の浮上量に制御する浮上量制御部と、
ヘッドが記録媒体に接触したときの利得制御値と、ヘッドが記録媒体に対し目標の浮上量だけ浮上した状態にあるときの利得制御値との差分値を記憶しておく差分値記憶部とを備え、
浮上量制御部が、ヒータへの供給電力を調整してヘッドを記録媒体に一旦接触させ、接触時の、ゲインコントロール部で調整された第1の利得制御値を取得し、第1の利得制御値と上記差分値とから、ヘッドが記録媒体に対し目標の浮上量に浮上したときにゲインコントロール部で調整されるべき第2の利得制御値を求め、ゲインコントロール部により、利得可変増幅器に、第2の利得制御値が供給されるように、ヒータへの供給電力を調整するものであることを特徴とする。
この情報アクセス装置の基本形態では、利得可変増幅器の利得値が利得制御値の指数関数倍で表わされるため、上述した式(1)中のAGC利得値(T1/T2)項は、利得可変増幅器の利得制御値Gnを使って以下のように書き換えられる。
T1/T2=(a×bG1)/(a×bG2)=b(G1−G2) ・・・(2)
ただし、a,bは定数
この式(2)を式(1)に代入すると、以下の式(3)が導かれる。
Δd=(λ/2π)×Ln(b(G1−G2)
=(λ/2π)×(G1−G2)×Ln(b) ・・・(3)
ここで、波長が一定であれば(λ/2π)は定数であり、Ln(b)も定数であるため、C=(λ/2π)×Ln(b)とすると、
Δd=C×(G1−G2) ・・・(4)
と表わすことができる。このように、利得可変増幅器の利得値が利得制御値の指数関数で表わされることを利用すると、Wallace式中の対数項を利得制御値の差分の定数倍で表わすことができ、計算量が多い対数計算を省くことができる。また、利得値を利用する場合、増幅器における入出力信号をオシロスコープなどを使って計測して利得値を取得する必要があるが、利得制御値を利用する場合、ゲインコントロール部から利得可変増幅器に提供される利得制御値をそのまま流用することができ、計測の手間を省くこともできる。
さらに、式(4)から、ヘッドの浮上量の差分が同じである場合、利得制御値の差分も同じになることがわかる。ヘッドが記録媒体に接触したときの利得制御値をG1、ヘッドが磁気ヘッドに対して目標の浮上量だけ浮上したときの利得制御値をG2とすると、式(4)中の浮上量の差分Δdは目標の浮上量となり、利得制御値の差分S=(G1−G2)は目標の浮上量Δdから容易に算出することができる。情報アクセス装置の基本形態では、この利得制御値の差分Sが予め記憶されており、実稼動にあたっては、ヒータへの供給電力が調整されながら利得可変増幅器に提供される利得制御値が取得され、ヘッドが記録媒体に接触したときの利得制御値の実測値G1´が検出されると、ヘッドが記録媒体に対して目標の浮上量だけ浮上したときの利得制御値のG2´(=G1´−S)が算出され、その利得制御値G2´が取得されたときにヒータに供給された電力が目標の浮上量を実現するためのヒータ供給電力として取得される。このように、情報アクセス装置の基本形態によると、取得された利得制御値をヘッドの浮上量に換算する手間を省くことができ、処理の負荷を軽減して高速にヒータの供給電力を算出することができる。
また、上記目的を達成する浮上量制御方法の基本形態は、
情報が記録された記録媒体と、
記録媒体に近接した状態に浮上し記録媒体に記録された情報を読み取ってアナログ信号を取得するヘッドであって、ヒータが内蔵され熱膨張によって浮上量が変化するヘッドと、
アナログ信号を、利得制御値に応じて、利得制御値の指数関数倍に増幅する利得可変増幅器
利得可変増幅器から出力されるアナログ信号が所定振幅のアナログ信号となるように利得制御値を調整するゲインコントロール部と、
ヒータに電力を供給する電力供給部とを備えた情報アクセス装置における前記記録媒体に対するヘッドの浮上量を制御する浮上量制御方法において、
ヒータへの供給電力を調整して、ヘッドを記録媒体に接触させるときの、ゲインコントロール部で調整される利得制御値と、ヘッドを記録媒体に対し目標の浮上量だけ浮上させるときの、ゲインコントロール部で調整される利得制御値との差分値を求めておく準備ステップと、
この情報アクセス装置の実稼動にあたり、ヒータへの供給電力を調整してヘッドを記録媒体に一旦接触させ、接触時の、ゲインコントロール部で調整された第1の利得制御値を取得し、第1の利得制御値と上記差分値とから、ヘッドが記録媒体に対し目標の浮上量に浮上したときにゲインコントロール部で調整されるべき第2の利得制御値を求め、ゲインコントロール部により、利得可変増幅器に、第2の利得制御値が供給されるように、ヒータへの供給電力を調整する浮上量制御ステップとを有することを特徴とする。
この浮上量制御方法の基本形態によると、ヒータへの供給電力が調整されながらゲインコントロール部から直接的に利得制御値が取得され、ヘッドが記録媒体に接触したときの第1の利得制御値と準備ステップで求められた差分値とから、ヘッドが目標の浮上量に浮上したときの第2の利得制御値が算出されて、その第2の利得制御値が供給されるようにヒータへの供給電力が調整される。したがって、オシロスコープなどを使って利得可変増幅器の利得値を計測したり、計測された利得値を対数計算によって浮上量に換算する手間を省くことができ、ヒータへの供給電力を容易かつ精度良く算出することができる。
以上説明したように、情報アクセス装置および浮上量制御方法の基本形態によると、ヒータへの供給電力を容易かつ精度良く算出することができ、ヘッドの浮上量を目標の浮上量に設定することができる。
以下、図面を参照して、上記説明した情報アクセス装置および浮上量制御方法の基本形体に対する具体的な実施形態を説明する。
図1は、ハードディスク装置100の外観図である。
ハードディスク装置100は、パーソナルコンピュータなどに代表されるホスト装置に接続され、あるいは内部に組み込まれて利用される。
図1に示すように、ハードディスク装置100のハウジング101には、情報が記録される磁気ディスク1、磁気ディスク1を矢印R方向に回転させるスピンドルモータ102、磁気ディスク1の表面に近接して対向する浮上ヘッドスライダ104、アーム軸105、浮上ヘッドスライダ104を先端に固着して、アーム軸105を中心に磁気ディスク1上を面に沿って移動するキャリッジアーム106、キャリッジアーム106を駆動するボイスコイルモータ107、およびハードディスク装置100の動作を制御する制御回路108が収容されている。磁気ディスク1は、上述した情報アクセス装置および浮上量制御方法における記録媒体の一例に相当する。
浮上ヘッドスライダ104の先端には、磁気ディスク1に磁場を印加する磁気ヘッド109が設けられており、ハードディスク装置100は、この磁場を使って磁気ディスク1に情報を記録したり、磁気ディスク1に記録された情報を読み取るものである。磁気ヘッド109は、上述した情報アクセス装置および浮上量制御方法におけるヘッドの一例に相当する。
図2は、磁気ヘッド109の概略構成図である。
磁気ヘッド109には、磁束を発する主磁極や磁界を発生するコイルなどで構成され、磁気ディスク1に対して情報を書き込む記録ヘッド210と、磁気ディスク1に記録された情報を読み取る再生ヘッド220と、記録ヘッド210および再生ヘッド220を加熱するヒータ230が備えられている。磁気ヘッド109に対しては、磁気ディスク1に対して目標の浮上量d0だけ精度良く浮上することが求められているが、実際には、磁気ヘッド109の製造ばらつきなどによって、磁気ヘッド109の浮上量d1は個々に異なっている。本実施形態においては、ヒータ230で加熱することによって磁気ヘッド109を熱膨張させ、磁気ヘッド109の浮上量が目標の浮上量d0に調整される。磁気ヘッド109の浮上量を調整する処理については、後で詳しく説明する。
図3は、ハードディスク装置100の機能ブロック図である。
図3に示すように、ハードディスク装置100には、図1にも示すスピンドルモータ102、ボイスコイルモータ107、制御回路108、およびヒータ230が内蔵された磁気ヘッド109などが備えられている。制御回路108は、ハードディスク装置100全体の制御を行うハードディスク制御部111、スピンドルモータ102やボイスコイルモータ107を制御するサーボ制御部112、ボイスコイルモータ107を駆動させるボイスコイルモータ駆動部113、スピンドルモータ102を駆動させるスピンドルモータ駆動部114、磁気ディスク1をフォーマットするフォーマッタ115、磁気ディスク1に書き込む書込情報を担持した書込電流の発生と、磁気ヘッド109で磁気ディスク1に記録された情報が読み取られて得られた再生信号のデジタルデータへの変換とを行うリード/ライトチャネル116、ハードディスク制御部111においてキャッシュとして使用されるバッファ117、ハードディスク制御部111において作業領域として使用されるRAM118、磁気ヘッド109で読み取られた再生信号を増幅するプリアンプ119、ヒータ230に供給される電力を制御して磁気ヘッド109の浮上量を制御する浮上制御部120、浮上制御部120で用いられる各種パラメータを記憶する記憶部122、およびヒータ230に電力を供給する電力供給部121などで構成されている。リード/ライトチャネル116は、上述した情報アクセス装置および浮上量制御方法におけるリードチャネルの一例にあたり、記憶部122は、上述した情報アクセス装置および浮上量制御方法における差分値記憶部の一例にあたり、浮上制御部120は、上述した情報アクセス装置および浮上量制御方法における浮上量制御部の一例にあたり、電力供給部121は、上述した情報アクセス装置および浮上量制御方法における電力供給部の一例に相当する。
磁気ディスク1に情報を書き込む際には、図3に示すホスト装置200からハードディスク装置100に向けて、磁気ディスク1に記録する書込情報と、書込位置のアドレスが送られてくる。ハードディスク制御部111は、アドレスをサーボ制御部112に伝える。
続いて、浮上制御部120からの指示によって電力供給部121からヒータ230に電力が供給され、磁気ヘッド230の浮上量が目標の浮上量に調整される。また、サーボ制御部112は、スピンドルモータ駆動部114にスピンドルモータ102を回転させる指示を伝えるとともに、ボイスコイルモータ駆動部113にキャリッジアーム106(図1参照)を移動させる指示を伝える。スピンドルモータ駆動部114は、スピンドルモータ102を駆動して磁気ディスク1を回転させ、ボイスコイルモータ駆動部113は、ボイスコイルモータ107を駆動してキャリッジアーム106を移動させる。その結果、磁気ヘッド109が磁気ディスク1上に位置決めされる。
磁気ヘッド104が位置決めされると、ハードディスク制御部111は、書込信号をリード/ライトチャネル116に伝え、リード/ライトチャネル116は、磁気ヘッド109に、書込情報を担持した書込電流を印加する。
磁気ヘッド109では、図2に示す記録ヘッド210に書込信号が入力され、記録ヘッド210によって、書込信号に応じた磁束が磁気ディスク1に向けて発せられる。その結果、磁気ディスク1に、情報に応じた向きの磁化が形成されて、磁気ディスク1に情報が記録される。
また、磁気ディスク1に記録された情報を読み取る際には、図3に示すホスト装置200からハードディスク装置100に向けて、情報が記録された記録位置のアドレスが送られてくる。その後、情報書込時と同様にして、電力供給部121からヒータ230に電力が供給されて磁気ヘッド230の浮上量が目標の浮上量に調整され、続いてスピンドルモータ102が回転駆動して磁気ディスク1が回転され、ボイスコイルモータ107が駆動してキャリッジアーム106が移動されることにより、磁気ヘッド109が磁気ディスク1上に位置決めされる。
磁気ヘッド109では、図2に示す再生ヘッド220に電流が流されることによって、磁気ディスク1の磁化状態に応じた再生信号が生成される。再生信号は、図3に示すリード/ライトチャネル116でデジタルデータに変換された後、ハードディスク制御部111を介してホスト装置200に送られる。
基本的には、以上のようにして磁気ディスク1に対して情報アクセスが行われる。
ここで、本実施形態のハードディスク装置100においては、実際に磁気ディスク1に対する情報アクセスが行われる前に、磁気ヘッド109の浮上量を目標の浮上量に調整するための、ヒータ230への供給電力を算出する準備処理が行われる。以下では、準備処理について詳しく説明する。
図4は、リード/ライトチャネル116の機能ブロック図である。
リード/ライトチャネル116には、利得制御値が登録されるレジスタ360と、磁気ヘッド109で磁気ディスク1に記録された情報が読み取られてプリアンプ119で増幅された入力信号INをレジスタ360に登録された利得制御値Gの指数関数倍に増幅して出力信号OUTを生成する可変増幅部310と、出力信号OUTのノイズを除去するアナログフィルタ320と、入力信号INを所定振幅の出力信号OUTに増幅するための利得制御値を算出してレジスタ360に登録するゲインコントローラ330と、アナログ信号をデジタル信号に変換するAD変換部340と、デジタル信号に変換された読取データに各種信号処理を施すデジタル処理部350とが備えられている。リード/ライトチャネル116に入力された入力信号INは、可変増幅部310において、レジスタ360に登録されている利得制御値G、および定数a,bを使った式(5)に従い、所定振幅の出力信号OUTに増幅される。
出力信号OUT=入力信号IN×a×b ・・・(5)
ゲインコントローラ330は、上述した情報アクセス装置および浮上量制御方法におけるゲインコントロール部の一例にあたり、可変増幅部310は、上述した情報アクセス装置および浮上量制御方法における可変増幅器の一例にあたり、AD変換部340は、上述した情報アクセス装置および浮上量制御方法におけるA/D変換器の一例に相当する。
また、図3に示す浮上制御部120では、予め、磁気ヘッド109が磁気ディスク1に接触する基準位置d1にあるときにゲインコントローラ330で調整される利得制御値G1と、磁気ヘッド109が磁気ディスク1に対して目標の浮上量Dだけ浮上した目標位置d2にあるときにゲインコントローラ330で調整される利得制御値G2の差分Sが算出される。式(5)に示すように、可変増幅部310における利得値Tは利得制御値Gの指数関数倍(a×b)で表現されるため、式(1)から、
D=d1−d2=(λ/2π)×Ln(b(G1−G2)
=(λ/2π)×Ln(b)×(G1−G2) ・・・(5)
ただし、λは記録波長
と表わされる。式(5)から、記録波長λが同じという条件下では、浮上量の差分が同じである場合には利得制御値の差分も同じになることがわかる。浮上制御部120では、予め、記録波長λごとに、基準位置d1および目標位置d2それぞれにおける利得制御値の差分S=(G1−G2)が算出され、記憶部122に記憶されている。
実際に、ハードディスク装置100がユーザに納品されると、実稼動前に、ヒータ230に供給される電力の算出が行われる。
まず、浮上制御部120から電力供給部121に指示が与えられることによって、電力供給部121からヒータ230に所定量の電力が供給される。
ヒータ230に電力が供給されると、磁気ヘッド109が熱膨張することによって、磁気ディスク109の浮上量が変化する。この状態で、磁気ヘッド109において磁気ディスク1に記憶された情報が読み取られ、読取信号がプリアンプ119を介してリード/ライトチャネル116に入力される。
リード/ライトチャネル116では、ゲインコントローラ330によって利得制御値が算出されて、算出された利得制御値がレジスタ360に登録される。リード/ライトチャネル116に入力された入力信号INは、可変増幅部310において、レジスタ360に登録された利得制御値を使って所定の振幅を有する出力信号OUTに増幅される。このとき、図3の浮上制御部120において、レジスタ360に登録された利得制御値が取得され、その利得制御値とヒータ230への供給電力とが対応付けられる。本実施形態においては、利得値ではなく利得制御値が利用されるため、ゲインコントローラ330によってレジスタ360に登録された利得制御値をそのまま流用することができ、オシロスコープなどを使って可変増幅部310の入出力信号を計測して利得値を取得する手間を省くことができる。
さらに、電力供給部121からヒータ230に供給される供給電力が所定量ずつ増加されて、磁気ヘッド109による情報の読み取り、ゲインコントローラ330による利得制御値の制御、および利得制御値とヒータ230への供給電力との対応付けが行われる。
図5は、ヒータ230への供給電力と、ゲインコントローラ330によって制御された利得制御値との関係を示すグラフである。
ヒータ230による加熱が行われていない状態では、磁気ヘッド109は磁気ディスク1に対して大きく浮上しており、ヒータ230への供給電力を増加させていくと、磁気ヘッド109が熱膨張することによって、磁気ヘッド109が磁気ディスク1に近づいていき浮上量が減少していく。その結果、図5に示すように、ヒータ230への供給電力が増加していくのに伴って、入力信号INの振幅が大きくなって利得制御値が減少していき、磁気ヘッド109が磁気ディスク1に接触すると、利得制御値が再び増加する。
浮上制御部120では、ヒータ230への供給電力を増加させながら利得制御値が取得される処理が、利得制御値が減少傾向から増加傾向に転じるまで(すなわち、磁気ヘッド109が磁気ディスク1に接触するまで)繰り返される。続いて、利得制御値が減少傾向から増加傾向に変わるときの制御利得値g1が、磁気ヘッド109が磁気ディスク1に接触する基準位置d1における制御利得値として取得され、さらに、記憶部122から磁気ヘッド109の記録波長λに対応する差分Sが取得されて、
制御利得値g2=差分S±制御利得値g1 ・・・(6)
となるときの制御利得値g2が基準位置d1から目標の浮上量Dだけ離れた目標位置d2における制御利得値として算出される。この算出された制御利得値g2におけるヒータ供給電力Pが、磁気ヘッド109を目標の浮上量Dに調整するためのヒータ供給電力として決定される。
実際に、磁気ディスク1に対して情報アクセスを行うときには、浮上制御部120からの指示によって電力供給部121からヒータ230に決定されたヒータ供給電力が供給され、磁気ヘッド109の浮上量が調整され、その後で情報の読み取りや書き込みが実行される。
このように、本実施形態によると、計算量が多い対数計算を省いて、高速かつ高精度にヒータへの供給電力を算出することができ、磁気ヘッドの浮上量を精度良く調整することができる。
また、上記では、ヘッドが記録媒体に接触したときの利得制御値と、ヘッドが目標の浮上量に浮上したときの利得制御値との差分値が、目標の浮上量を使った計算によって算出される例について説明したが、この差分値は、実際にヒータへの供給電力を変えながら利得制御値を計測して求めるものであってもよい。
ハードディスク装置の外観図である。 磁気ヘッドの概略構成図である。 ハードディスク装置の機能ブロック図である。 リード/ライトチャネルの機能ブロック図である。 ヒータへの供給電力と、ゲインコントローラによって制御された利得制御値との関係を示すグラフである。
符号の説明
1 磁気ディスク
100 ハードディスク装置
101 ハウジング
102 スピンドルモータ
104 浮上ヘッドスライダ
105 アーム軸
106 キャリッジアーム
107 ボイスコイルモータ
108 制御回路
109 磁気ヘッド
111 ハードディスク制御部
112 サーボ制御部
113 ボイスコイルモータ駆動部
114 スピンドルモータ駆動部
115 フォーマッタ
116 リード/ライトチャネル
117 バッファ
118 RAM
119 プリアンプ
120 浮上制御部
121 電力供給部
122 記憶部
210 記録ヘッド
220 再生ヘッド
230 ヒータ

Claims (2)

  1. 情報が記録された記録媒体と、
    前記記録媒体に近接した状態に浮上し該記録媒体に記録された情報を読み取ってアナログ信号を取得するヘッドであって、ヒータが内蔵され熱膨張によって浮上量が変化するヘッドと、
    前記アナログ信号を、利得制御値に応じて、該利得制御値の指数関数倍に増幅する利得可変増幅器
    前記利得可変増幅器から出力されるアナログ信号が所定振幅のアナログ信号となるように前記利得制御値を調整するゲインコントロール部と、
    前記ヒータに電力を供給する電力供給部と、
    前記電力供給部から前記ヒータに供給される電力を調整することによって、前記記録媒体に対する前記ヘッドの浮上量を目標の浮上量に制御する浮上量制御部と、
    前記ヘッドが前記記録媒体に接触したときの利得制御値と、前記ヘッドが前記記録媒体に対し目標の浮上量だけ浮上した状態にあるときの利得制御値との差分値を記憶しておく差分値記憶部とを備え、
    前記浮上量制御部が、前記ヒータへの供給電力を調整して前記ヘッドを前記記録媒体に一旦接触させ、接触時の、前記ゲインコントロール部で調整された第1の利得制御値を取得し、該第1の利得制御値と前記差分値とから、前記ヘッドが前記記録媒体に対し目標の浮上量に浮上したときに前記ゲインコントロール部で調整されるべき第2の利得制御値を求め、前記ゲインコントロール部により、前記利得可変増幅器に、前記第2の利得制御値が供給されるように、前記ヒータへの供給電力を調整するものであることを特徴とする情報アクセス装置。
  2. 情報が記録された記録媒体と、
    前記記録媒体に近接した状態に浮上し該記録媒体に記録された情報を読み取ってアナログ信号を取得するヘッドであって、ヒータが内蔵され熱膨張によって浮上量が変化するヘッドと、
    前記アナログ信号を、利得制御値に応じて、該利得制御値の指数関数倍に増幅する利得可変増幅器
    前記利得可変増幅器から出力されるアナログ信号が所定振幅のアナログ信号となるように前記利得制御値を調整するゲインコントロール部と、
    前記ヒータに電力を供給する電力供給部とを備えた情報アクセス装置における前記記録媒体に対する前記ヘッドの浮上量を制御する浮上量制御方法において、
    前記ヒータへの供給電力を調整して、前記ヘッドを前記記録媒体に接触させるときの、前記ゲインコントロール部で調整される利得制御値と、該ヘッドを前記記録媒体に対し目標の浮上量だけ浮上させるときの、前記ゲインコントロール部で調整される利得制御値との差分値を求めておく準備ステップと、
    当該情報アクセス装置の実稼動にあたり、前記ヒータへの供給電力を調整して前記ヘッドを前記記録媒体に一旦接触させ、接触時の、前記ゲインコントロール部で調整された第1の利得制御値を取得し、該第1の利得制御値と前記差分値とから、前記ヘッドが前記記録媒体に対し目標の浮上量に浮上したときに前記ゲインコントロール部で調整されるべき第2の利得制御値を求め、前記ゲインコントロール部により、前記利得可変増幅器に、前記第2の利得制御値が供給されるように、前記ヒータへの供給電力を調整する浮上量制御ステップとを有することを特徴とする浮上量制御方法。
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