JP4852881B2 - プラズマディスプレイパネルの検査方法 - Google Patents

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Description

本発明は、プラズマディスプレイパネル(以下、PDPとも略記する)の検査方法に関するものである。特に、PDPの前面板に形成されるMgOからなる保護膜(以下、保護層ともいう)の良否を判定する検査方法に関する。
近年、壁掛けテレビや公衆表示装置への期待が高まっており、そのための大画面表示デバイスとして、液晶表示パネル(LCD)、フィールドエミッションディスプレイ(FED)、エレクトロルミネッセンス(EL)ディスプレイ等の数多くの表示デバイスが提案されている。これらの表示デバイスの中でもプラズマディスプレイパネルは、自発光型で美しい画像表示ができ、大画面化が容易である等の理由から、視認性に優れた薄型の大画面表示デバイスとして注目されており、さらなる高精細化および大画面化に向けた開発が進められている。
このPDPには、大別すると、駆動的方式からAC(交流)型とDC(直流)型があり、放電形式では面放電型と対向放電型の2種類があるが、現状では、高精細化、大画面化および製造の簡便性により、AC型で面放電型のPDPが主流を占めるようになってきている。
一般的なプラズマディスプレイパネルは、蛍光体を塗布した微小放電セルを縦、横マトリクス状に配置し、各セルの放電を制御することにより画像を表示するデバイスである。前面板ガラス上には透明電極膜が形成され、この透明電極を通して蛍光体面の発光を観察する。透明電極は高抵抗であるが部分的に金属配線(バス電極)を並行して付加し高い放電電流を可能としている。主放電電極は厚さ数10μmの透明低融点ガラスからなる誘電体が形成され、さらにその上層には耐スパッタリング性能を高め、同時に放電特性を改善するために厚さ1μm程度のMgO等の薄膜が保護層として形成されている。背面板には個々の放電部を分離するために高さ100μm程度のリブで隔壁が形成され、R、G、Bに対応した蛍光体がセル内に塗布形成される。蛍光体層の下には厚さ10μm程度の誘電体層が形成され、さらにその下層には主放電電極と直交する方向にアドレス電極が形成されている。このような構成の前面板と背面板とをシーリング材で接合し、放電空間を形成する。その後、放電空間内の雰囲気をNe、Xe、He等からなる放電ガスで常圧よりも低い圧力に置換しプラズマディスプレイパネルが製造される(例えば、非特許文献1参照)。
上述したように構成されたプラズマディスプレイパネルは、MgO薄膜層、誘電体厚膜層、隔壁、蛍光体層および放電ガスを有する放電空間からなる複合体である。パネル全体に分布する放電セル毎の放電条件が一定でなく、またMgO表面および蛍光体層表面に付着している不純物を除去するためには、エージングと称する処理を行う工程が不可欠である(例えば、特許文献1参照)。
このエージング工程においては、実駆動に先立ち、動作駆動時より高い電圧を走査電極と維持電極で交互に印加して放電を発生させ、放電により生ずるイオン等でパネル内の活性化を行うことで、動作駆動時における駆動電圧の低下と、パネル全面で安定に放電させることが図られている。そして、MgO膜については、蒸着成膜後にMgO膜の光学特性を測定し、その結果に基づきMgO蒸着条件を調整することが行われている(例えば、特許文献2参照)。
プラズマディスプレイ放電発光調査専門委員会、プラズマディスプレイ放電と発光効率、電気学会技術報告、第830号、2001年5月30日発行 特開2003−229062号公報 特開2004−199917号公報
しかしながら、上述したエージング工程では、保護層であるMgOは表層の数10nmがスパッタリング除去されるということが避けられない。また、当然ながらPDPの放電特性を決定付ける主要因の一つはMgO表面の物性である。上述のように、蒸着成膜後にMgO膜の光学特性を測定し、単純にMgO膜の光学定数の測定結果だけをもってエージング処理後のパネル状態の全体まで予測し、さらにMgO膜の良否を判断することは困難であるので、それゆえに、MgO膜の良否を容易に判断することの可能な検査方法の実現が課題となっていた。
本発明は上記の課題を解決するためになされたものであり、PDPの前面板のMgO成膜後においてエージング処理後のパネル状態まで予測し、PDPの正確な良否判定ができる検査方法を提供することを目的とする。
上記の課題を解決するために、本発明のプラズマディスプレイパネルの検査方法は、複数の表示電極を形成するとともに表示電極を誘電体層、およびMgを主成分とする酸化膜からなり柱状構造を有する保護層で覆った前面板と、放電空間が形成されるように前面板に対向配置されかつ表示電極と直交する方向に形成したアドレス電極を形成するとともに放電空間を区画する隔壁間に蛍光体層を形成した背面板とを備え、放電空間に放電ガスが充填されエージング処理がなされるプラズマディスプレイパネルの検査方法であって、保護層を形成し且つエージング処理を行う前の前面板の分光測定を行い、この分光測定により得られた光強度からΔ、ψの波長分散波形を算出すると共に、多層膜構造について光学モデルを設定し、この光学モデルから分散式を用いてΔ、ψの波長分散波形を作成し、この作成された波長分散波形と測定によって得られた波長分散波形との比較を行い、フィッティング誤差を算出して評価し、このフィッティング誤差が最小となる光学モデルを採用し、次に、後工程のエージング処理においてスパッタリング除去されると予測される膜厚分を考慮した光学モデルを設定し、最表層はスパッタリング除去されると予測される膜厚を設定し、その下層の部分の膜厚および光学定数を、フィッティング誤差からシミュレーション波形と実測波形がよく一致すると判断して決定した光学モデルの採用で得られた分散式から求めるものである。また、本発明のプラズマディスプレイパネルの検査方法は、最表層の膜厚が保護層の最表層の空隙率から計算される手順に加えて、最表層の膜厚が保護層の最表層の屈折率から計算される手順を有することもできる。
さらに、本発明のプラズマディスプレイパネルの検査方法は、最表層より下層の部分の光学定数が屈折率であること、最表層より下層の部分の光学定数が消衰係数であること、Mgを主成分とする酸化膜の検査には分光エリプソメータを用いること、分光範囲が可視領域と紫外線領域の両方を含んだものであること、分光範囲が波長250nmから800nmの領域を含んだものであることを特徴とする方法であってもよい。
これらの手順、方法により、MgOからなる保護層が2層以上の多層構造であると仮定し、保護層の最表層が後工程におけるスパッタリングにより除去されることを予測してその膜厚を設定し、分光エリプソメータで保護層の最表層よりも下の層の膜特性、すなわち屈折率、消衰係数等の光学特性(光学定数)を求め、分光エリプソメトリーによるフィッティング解析を用いることで、エージング処理後のパネル状態まで予測できるのでMgO成膜工程後においてエージング処理終了後のMgO膜の良否を容易に判断でき、PDPのパネル特性を正確に判定することが可能になる。
本発明のプラズマディスプレイパネルの検査方法によれば、MgOからなる保護層を疑似的に2層以上の多層構造であると考え、保護層の最表層が後工程におけるスパッタリングにより除去されることを予測し、分光エリプソメータで保護層の最表層よりも下層部分の光学定数を求めて、保護層の性能を正確に検査することができるので、後工程への不良基板の流出を低減でき、製造されるプラズマディスプレイパネルの歩留りを高め、性能、品質の安定したプラズマディスプレイパネルを提供できる。
以下、本発明のプラズマディスプレイパネルの検査方法について、図面を参照しながら説明する。
(実施の形態)
本発明の実施の形態におけるプラズマディスプレイパネル(PDP)の検査方法について、図1〜図7を用いて説明する。図1はAC(交流)型カラーPDPの一例を示す断面図、図2は本発明の実施の形態におけるPDP検査方法で用いる検査装置の一例の概略構成を示す図、図3は本発明の実施の形態のPDP検査方法においてPDP前面板上に形成された保護層の検査フローを示す流れ図、図4は図3に示したステップS3で設定される初期光学モデルを示す図、図5は図3に示したステップS7で設定される光学モデルを示す図、図6は図3に示したステップS3で多層膜構造の場合に設定される初期光学モデルを示す図、図7は図3に示したステップS7で多層膜構造の場合に設定される光学モデルを示す図である。
最初に、本発明の実施の形態のPDPの検査方法において用いるPDPの構造および製造方法について、簡単に説明する。一般に、PDPは前面基板と背面基板の2枚のガラス基板を貼りあわせた構造になっている。前面基板には表示電極と誘電体層、保護層等が形成され、背面基板にはアドレス電極、隔壁、蛍光体層等が形成されている。これらのガラス基板を対向配置させて放電空間を形成し、放電空間にNe、Xe等の希ガスを主体とするガスを封入した構造になっている。
図1においてそれぞれ図1(a)、図1(b)はPDPの互いに直交する方向の断面を示している。背面基板1にはストライプ状のアドレス電極2、それを覆う誘電体層3、それらの放電を仕切りにより分離するストライプ状、あるいは格子状の隔壁4、さらに誘電体層3と隔壁4とを被覆するように赤色、緑色、青色の蛍光体層5が形成されている。前面基板6にはアドレス電極2と直交する形で透明電極7とバス電極8からなる表示電極(2本一組)11が設けられ、さらに表示電極11を覆って誘電体層9およびMgを主成分とする酸化膜よりなる保護層10が形成されている。表示を行う最小単位である放電セル12は、2本の表示電極11と1本のアドレス電極2、隔壁4で囲まれた領域からなる。この放電セル12内の2本の表示電極間に交流電圧を印加し放電によって生じる真空紫外線により、蛍光体層5の蛍光体を励起発光させて前面基板6を透過する光で任意のカラー画像表示を行うものである。
続いて、PDP20の製造方法について簡単に説明する。始めに、表示電極11やアドレス電極2等の電極を形成する方法としては、真空蒸着法、スパッタリング法、メッキ法、スクリーン印刷法、コーティング法、フィルムラミネート法等によってガラス基板上に電極材料の膜を形成し、これをフォトリソグラフィー法によってパターニングする方法と、スクリーン印刷あるいはオフセット印刷によりパターニングする方法とがある。次に、誘電体層3、9を形成する方法もスクリーン印刷法、ロールコーティング法、ダイコーティング法、フィルムラミネート法等が用いられる。また、隔壁4を形成する方法としては、コーティング法やスクリーン印刷法等により、ガラス基板上に隔壁4用材料で厚膜を形成し、フォトリソグラフィー法を用いて隔壁4用材料のサンドブラストに耐性があるパターンをフォトレジスト膜で形成した後に、フォトレジスト膜をマスクとして不要部分を削り取り、隔壁4部分のみを残すサンドブラスト法、あるいはガラス基板上に隔壁4用材料の感光性ペーストをコーティング法により成膜後にフォトリソグラフィーにより直接隔壁4をパターニング形成する方法、隔壁パターンをマスク化したスクリーンを用い、隔壁4用材料のペースト(インク)で印刷を複数回繰り返し、乾燥させて隔壁4を形成するスクリーン印刷法等がある。また、蛍光体層5を形成する方法としては、ディスペンサーによる塗布法や、スクリーン印刷法により隔壁4の間に各色の蛍光体ペーストを選択的に充填する方法等があり、通常蛍光体ペースト塗布後に乾燥工程、焼成工程を経て蛍光体層5が形成される。
そして、誘電体層9上に保護層10を形成する方法としては、スクリーン印刷法、スパッタ法、電子ビーム蒸着法、イオンプレーティング法、有機金属原料を用いた熱CVD(化学的気相成長法)等がある。現在では蒸着源のMgを主成分とする金属酸化物ペレットに電子銃を用いて発生させた大電流の電子ビームを照射して蒸着源を加熱蒸発させ、酸素雰囲気中でMgを主成分とする金属酸化物であるMgO薄膜を形成させる電子ビーム蒸着法が最も広く用いられている。
このような方法で成膜したMgO薄膜は通常の場合、三角柱や四角柱等の柱状構造をしている。蒸着室内圧力、酸素流量、基板温度等の成膜条件によって柱状構造の形状は変化することが知られている。また、柱状構造のために蒸着MgO薄膜の表面は段差が大きく、滑らかではない。さらに結晶成長の程度によっては成膜初期段階と最終段階で結晶粒径も変化し、それにともなって屈折率、消衰係数といったMgO薄膜の物理的特性、すなわち膜特性も深さ方向に変化する場合があることもわかっている。
次に、本発明の実施の形態におけるPDPの検査方法について、以下に示す実施例にしたがって具体的に説明する。
(実施例1)
図2に示した本発明の実施の形態におけるPDP検査方法を説明するのに用いた検査装置21は、保護層(図示せず)が形成されたPDP前面板100を保持するステージ101、X、Y、Z軸の駆動系を備え、PDP前面板100上の任意の位置に移動し、測定することが可能な回転補償子型分光エリプソメータ102、解析用PC103、データ保存用PC104を備えている。なお、分光エリプソメータの機構、機能、原理等については、既に多くの文献が公開されている(例えば、「藤原裕之著:分光エリプソメトリー、丸善株式会社、2003年」参照)ので、ここでは簡単な説明にとどめる。
分光エリプソメータ102はXe光源、光ファイバーによるライトガイド、偏光子、回転補償子、検光子、ホログラフィック回折格子、フォトダイオードアレイおよび解析用コンピュータから構成されている。Xe光源には多くの波長の光が含まれるいわゆる白色光であり、さらにランダムに偏光している。この白色光はライトガイドを通り、特定の偏光軸の光のみを透過させる偏光子によって45°の直線に偏光される。一般に、偏光された光は偏光成分の電界ベクトルがEp(入射面に平行で光軸と垂直に交わる軸(P軸)の成分)とEs(P軸に垂直な軸(S軸)の成分)からなっている。そして、次に、回転補償子によってS軸またはP軸の位相を変えることにより直線偏光、楕円偏光、円偏光、楕円偏光、直線偏光へと連続的に変化する。回転補償子は20〜25回転/秒で光軸に沿って回転し、測定値の精度を向上させるために、100〜500回転させている。
上述した方法でMgO薄膜からなる保護膜を形成した前面基板をPDP前面板100として検査装置21のステージ101上に載置し、分光エリプソメータ102の偏光子、回転補償子を通過した位相が連続的に変化する直径約2mmの光束を、PDP前面板100上に形成されたMgO膜に基板(PDP前面板100)の鉛直方向から60°の角度で照射する。照射された光束はMgO膜によって再びS偏光、P偏光の位相差とそれらの反射振幅比が変化する。この基板によって反射された光を特定の偏光軸の光だけを透過させる検光子を経て、さらにホログラフィック回折格子により、250nm〜800nmの範囲にわたって1nmの間隔で分光する。次に、フォトダイオードアレイによって各波長における光の強度を連続的に検出する。ここで各波長において光強度と補償子回転角度との関係からサンプルによる反射P偏光、S偏光の位相差Δ、反射振幅比ψを算出でき、Δ、ψの波長分散波形が得られる。
分光エリプソメータ102が利用する分光エリプソメトリーでは、多層膜構造におけるΔ、ψの波長分散波形は、各層の膜厚、屈折率、消衰係数の関数なので、得られたΔ、ψから直接多層膜構造における各層の光学定数、膜厚を求めることはできない。そのために、多層膜構造における各層の膜厚や屈折率、消衰係数の組み合わせモデルである光学モデルを設定し、物質の誘電率の波長依存性を示す式である分散式からフィッティングを行い、解析的に多層膜構造における各層の屈折率、消衰係数、膜厚を算出することになる。すなわち、光学モデルから一義的に計算できるΔとψの波長分散波形と、測定によって得られたΔ、ψの波長分散波形とのフィッティング誤差関数から、誤差が最小になったモデルの膜厚、屈折率、消衰係数を算出する。そして、近赤外から紫外線領域では、分散式における誘電率は材料の構成原子の結合様式から決定されるのであるが、分散式として、調和振動子を基にした計算式、量子力学を基にした計算式、実験的な経験式等が知られており、これらは通常二つ以上のパラメータを含んでいる。
次に、図3に示した本発明の実施の形態のPDP前面板上に形成された保護層の検査フローを示す流れ図により、具体的な検査の手順を説明する。
最初に、ステージ101上に設置されたPDP前面板100の分光測定を行う(ステップS1)。次いで、分光測定により得られた光強度からΔ、ψの波長分散波形を算出する(ステップS2)。続いて、光学モデル構築ステップに入り、PDP前面板100の製造プロセス等を考慮して光学モデルを設定する(ステップS3)。光学モデル構築ステップで設定される光学モデルの一例を図4に示している。図4における基板には誘電体の光学定数を設定する必要があるが、これにはPDP前面板100上に誘電体のみを形成した状態で、既知の手法により予め光学定数を測定しておくことが望ましく、MgO膜を測定する分光エリプソメータにより光学定数を測定すればより望ましい。なお、図4に示した初期の光学モデルでは、誘電体(基板)上には誘電率が分散式1となるMgOが900nm、その上にはMgOと空気との混合割合を体積百分率で表して、MgO50%と空気50%との混合層が50nm形成されているものとしている。ここで、MgOの体積百分率は、一般にMgO膜で空隙率といわれる指標と略同じとみなすことができる。そして、最初に設定する光学モデルにおいては、光学定数は既知の数値を用い、必要に応じて修正する。
引き続き、光学モデル構築ステップで設定した光学モデルから分散式を用いて、Δ、ψの波長分散波形を作成し、実測値との比較を行う(ステップS4)。実施例1においては調和振動子を基にした計算式から分散式を構成している。
また、最表層においてはラフネスおよび界面、あるいは膜の不均質や不連続性を実効的な均質膜に置き換えて解析する有効媒質近似を用い、表面ラフネスの誘電関数を計算している。これらの分散式、光学モデルにおいて設定した膜厚、最表層のMgOと空気との混合割合からΔ、ψの波長分散波形が算出される。このようにして得たシミュレーション波形と実測波形のフィッティング誤差を算出し、評価する(ステップS5)。フィッティング誤差を求める関数は、上述した分光エリプソメータの機構、機能、原理等を説明した文献に詳細が記載されているので、ここでは説明を省略する。このときフィッティング誤差が大きければ、再度光学モデルを設定し、膜厚、屈折率、消衰係数の設定を変更する(ステップS6−1)。変更した光学モデルにおいて、再度、シミュレーション波形と実測値との比較を行う(ステップS4)。このようにして、フィッティング誤差からシミュレーション波形と実測波形がよく一致すると判断できる光学モデルを採用する(ステップS6−2)。
次に、後工程のエージング処理においてスパッタリング除去されると予測される膜厚分を考慮した光学モデルを設定する(ステップS7)。最表層がスパッタリング除去されると予測して設定される光学モデルの一例を図5に示す。図5において、基板には図4に示した光学モデルの場合と同様に誘電体の光学定数を設定する。最表層はスパッタリング除去されると予測される膜厚を設定し、その下層にはMgOの膜厚、屈折率、消衰係数を、フィッティング誤差からシミュレーション波形と実測波形がよく一致すると判断して決定した(ステップS6−2)光学モデルの採用で得られた分散式から設定する。
実験により求めたエージング処理における印加電圧、電圧印加時間、空隙率に相当するMgO表層部の体積百分率、MgOスパッタリング量との関係を以下の表1に示す。
Figure 0004852881
次に、最表層スパッタリングを考慮して設定した光学モデルからシミュレーション計算したΔ、ψの波長分散波形が実測値と合うようにフィッティングを繰り返し、実行する(ステップS8)。このようにして、フィッティング誤差が最小になる光学モデルを採用し、エージング処理においてスパッタリング除去されると予測されるMgO表層部分の膜厚よりも下層の部分の膜厚および光学定数を測定、取得することができる。
これに続いて、検査した基板の良否判定を予め設定した規格に基づいて実行するとともに、MgO蒸着条件への反映を行い、MgO保護膜蒸着条件の最適化を随時実施する。
(実施例2)
本発明の実施の形態のPDPの検査方法について、図3に示したPDP前面板上に形成された保護層の検査フローを示す流れ図の光学モデル構築ステップで、図6のような多層膜構造に変形して設定する例を実施例2として説明する。実施例2においても、図2に示した検査装置を用いて、図3に示したPDP前面板上に形成された保護層の検査フローを示す流れ図を適用するものとする。また、実施例2において、ステップS1とステップS2の手順は実施例1における手順と同じであるので、説明を省略する。
図6における基板においても、誘電体の光学定数を設定する必要があるが、これにはPDP前面板100上に誘電体のみを形成した状態で、既知の手法により予め光学定数を測定しておくことが望ましく、MgO膜を測定する分光エリプソメータにより光学定数を測定すればより望ましい。
なお、図6に示した初期の光学モデルでは、誘電体(基板)上には誘電率が分散式1となるMgOが900nm、その上には誘電率が分散式2となるMgOが50nm形成されているものとしている。最初に設定する光学モデルにおいては、光学定数は既知の数値を用い、必要に応じて修正する。
引き続き、光学モデル構築ステップで設定した光学モデルから表層部のMgO、その下層のMgOそれぞれに異なる分散式を用いて、Δ、ψの波長分散波形を作成し、実測値との比較を行う(ステップS4)。実施例2においても実施例1と同様に、調和振動子を基にした計算式から分散式を構成している。
これらの分散式、光学モデルにおいて設定した膜厚からΔ、ψの波長分散波形が算出される。このようにして得たシミュレーション波形と実測波形のフィッティング誤差を算出し、評価する(ステップS5)。ここでフィッティング誤差が大きければ再度光学モデルを設定し、膜厚、屈折率等の設定を変更する(ステップS6−1)。変更した光学モデルにおいて、再度、シミュレーション波形と実測値との比較を行う(ステップS4)。このようにしてフィッティング誤差からシミュレーション波形と実測波形がよく一致すると判断できる光学モデルを採用する(ステップS6−2)。
次に、後工程のエージング処理においてスパッタリング除去されると予測される膜厚分を考慮した光学モデルを設定する(ステップS7)。最表層がスパッタリング除去されると予測して設定される光学モデルの別の一例を図7に示す。図7において、基板には図6に示した光学モデルの場合と同様に誘電体の光学定数を設定する。最表層はスパッタリング除去されると予測される膜厚を設定し、その下層にはMgOの膜厚、屈折率、消衰係数をフィッティング誤差からシミュレーション波形と実測波形がよく一致すると判断して決定した(ステップS6−2)光学モデルの採用で得られた分散式から設定する。
実験により求めたエージング処理における印加電圧、電圧印加時間、MgO表層部の屈折率、MgOスパッタリング量との関係を以下の表2に示す。なお、表2において表層MgO屈折率は波長633nmにおける屈折率である。
Figure 0004852881
次に、最表層スパッタリングを考慮して設定した光学モデルからシミュレーション計算したΔ、ψの波長分散波形が実測値と合うようにフィッティングを繰り返し、実行する(ステップS8)。このようにして、フィッティング誤差が最小になる光学モデルを採用し、後工程のエージング処理においてスパッタリング除去されると予測されるMgO表層部分の膜厚よりも下層の部分の膜厚および光学定数を測定、取得することができる。
これに続いて、検査した基板の良否判定を予め設定した規格に基づいて実行するとともに、MgO蒸着条件への反映を行い、MgO保護膜蒸着条件の最適化を随時実施する。
以上説明した実施例2は表層のラフネスが非常に小さく、ほぼ平坦なMgO膜の検査を行う場合に特に有効である。
なお、上述した実施例1、実施例2においては、回転補償子型の分光エリプソメータを例に挙げているが、補償子の代わりに光弾性モジュールを用いた位相変調型あるいは、回転検光子型の分光エリプソメータを用いても、同等の結果を得ることができる。また、分散式には調和振動子に基づく計算式を用いているが、消衰係数が0に近い膜の場合には経験的な式であるCauchy計算式等を用いることも可能であり、調和振動子型の分散式に限定されるものではない。
また、上述した実施例1、実施例2の説明においては、白色光の照射角度を基板と鉛直方向から60°の角度で照射しているが、これに限定されるものではなく、50°〜70°の間ならば測定値に大きな差異はなく、この範囲に照射角度を設定すれば問題はない。
また、上述した実施例1、実施例2の説明において、分光測定における分光範囲を250nm〜800nmとしているが、この波長範囲に限るものではない。ただし、光学干渉で発生するピークの間隔は光子エネルギーの逆数に比例するため、短波長側では長波長側よりも多くのピークが観測される。膜厚700nm程度のMgO/誘電体構造での光学干渉から得られるΔ、ψの波形は250nm〜370nmの紫外線領域において4回のピークを示し、370nm〜800nmにおいては3回のピークを示すために、紫外線領域を含んでいることが測定精度の維持という観点から望ましい。またこのような理由から波長が長い近赤外線や赤外線領域を測定に用いることはそれほど有効ではない。
また、上述した実施例1、実施例2においては、光学モデルの設定に際し、(MgO+空気)の混合層、MgO層、基板の誘電体層の計3層構造を例示しているが、MgO膜の成膜条件によっては、さらに層数を増やしフィッティングを行うことは本発明の主旨に矛盾するものではない。
以上説明したように、本発明の実施の形態におけるPDPの検査方法では、初期光学モデルでMgOからなる保護層が2層以上の多層構造であると仮定し、保護層の最表層が後工程におけるエージング処理のスパッタリングにより除去されることを予測してその膜厚を設定し、分光エリプソメータで保護層の最表層よりも下の層の膜特性、すなわち屈折率、消衰係数等の光学特性を求め、実測膜特性と光学モデルから分光エリプソメトリーにより計算した特性を比較評価して差を最小にするようにフィッティング処理を行って膜特性を算出するので、エージング処理後のパネル状態を予測できることになる。
本発明にかかるPDPの検査方法は、PDP前面基板上に形成された保護層の性能を正確に検査することができるので、後工程への不良基板の流出を低減でき、製造されるプラズマディスプレイパネルの歩留りを高め、性能、品質の安定したプラズマディスプレイパネルの量産の際して有用である。
AC(交流)型カラーPDPの一例を示す断面図 本発明の実施の形態におけるPDP検査方法で用いる検査装置の一例の概略構成を示す図 本発明の実施の形態のPDP検査方法においてPDP前面板上に形成された保護層の検査フローを示す流れ図 図3に示したステップS3で設定される初期光学モデルを示す図 図3に示したステップS7で設定される光学モデルを示す図 図3に示したステップS3で多層膜構造の場合に設定される初期光学モデルを示す図 図3に示したステップS7で多層膜構造の場合に設定される光学モデルを示す図
符号の説明
1 背面基板
2 アドレス電極
3,9 誘電体層
4 隔壁
5 蛍光体層
6 前面基板
7 透明電極
8 バス電極
10 保護層(保護膜)
11 表示電極
12 放電セル
20 PDP(プラズマディスプレイパネル)
21 検査装置
100 PDP前面板
101 ステージ
102 分光エリプソメータ
103 解析用PC
104 データ保存用PC

Claims (8)

  1. 複数の表示電極を形成するとともに前記表示電極を誘電体層、およびMgを主成分とする酸化膜からなり柱状構造を有する保護層で覆った前面板と、放電空間が形成されるように前記前面板に対向配置されかつ前記表示電極と直交する方向に形成したアドレス電極を形成するとともに前記放電空間を区画する隔壁間に蛍光体層を形成した背面板とを備え、前記放電空間に放電ガスが充填されエージング処理がなされるプラズマディスプレイパネルの検査方法であって、
    前記保護層を形成し且つ前記エージング処理を行う前の前面板の分光測定を行い、この分光測定により得られた光強度からΔ、ψの波長分散波形を算出すると共に、多層膜構造について光学モデルを設定し、この光学モデルから分散式を用いてΔ、ψの波長分散波形を作成し、この作成された波長分散波形と測定によって得られた波長分散波形との比較を行い、フィッティング誤差を算出して評価し、このフィッティング誤差が最小となる光学モデルを採用し、次に、後工程のエージング処理においてスパッタリング除去されると予測される膜厚分を考慮した光学モデルを設定し、最表層はスパッタリング除去されると予測される膜厚を設定し、その下層の部分の膜厚および光学定数を、フィッティング誤差からシミュレーション波形と実測波形がよく一致すると判断して決定した光学モデルの採用で得られた分散式から求めることを特徴とするプラズマディスプレイパネルの検査方法。
  2. 前記最表層の膜厚が前記保護層の前記最表層の空隙率から計算されることを特徴とする請求項1に記載のプラズマディスプレイパネルの検査方法。
  3. 前記最表層の膜厚が前記保護層の前記最表層の屈折率から計算されることを特徴とする請求項1に記載のプラズマディスプレイパネルの検査方法。
  4. 記最表層より下層の部分の光学定数が屈折率であることを特徴とする請求項1に記載のプラズマディスプレイパネルの検査方法。
  5. 記最表層より下層の部分の光学定数が消衰係数であることを特徴とする請求項1に記載のプラズマディスプレイパネルの検査方法。
  6. 前記Mgを主成分とする酸化膜の検査には分光エリプソメータを用いることを特徴とする請求項1に記載のプラズマディスプレイパネルの検査方法。
  7. 分光範囲が可視領域と紫外線領域の両方を含んだものであることを特徴とする請求項6に記載のプラズマディスプレイパネルの検査方法。
  8. 分光範囲が波長250nmから800nmの領域を含んだものであることを特徴とする請求項6に記載のプラズマディスプレイパネルの検査方法。
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