次に、本願を実施するための最良の形態について、図面に基づいて説明する。なお、以下に説明する実施形態は、サーバ装置とクライアント装置が接続されたネットワークにおける地図データ編集システムに対して本願を適用した場合の実施の形態である。また、図示の便宜上、1台のサーバ装置と2台のクライアント装置のみを図示するが、実際のネットワークには、この他にも多数のクライアント装置が設置されており、さらに、サーバ装置を複数台設置することにより機能を分散させることもできる。
初めに、本実施形態について、図1を用いて説明する。図1は、本実施形態に係る地図データ編集システムの概要構成例を示すブロック図である。
本実施形態の地図データ編集システム100は、編集の対象となり得る地図データである各レイヤ情報及び編集ルール情報の基となる各種テーブル情報を記憶するサーバ装置10と、ユーザu1及びユーザu2によって各レイヤ情報を編集する際に用いられるクライアント装置60及びクライアント装置80とを含む。
本実施形態の地図データ編集システム100は、予め、編集目的により各レイヤ情報に対する編集を許可するか否かを規定した編集ルールを示す編集ルール情報を記憶して、レイヤ情報に対する編集操作が行われた場合に当該編集操作に基づく編集が編集ルールに適合しているか否かを判別することにより、編集ルールに反する編集を排除する。
図1に示すように、本実施形態に係る地図データ編集システム100は、サーバ装置10と、クライアント装置60及びクライアント装置80とを備え、これらはネットワークXを介して相互に接続されている。また、サーバ装置10には、複数のレイヤ情報を管理する地図データベース20と、編集ルール情報の基となる複数のテーブル情報を管理する管理データベース30とが構築されている。
一方、クライアント装置60は、ディスプレイ61及びキーボード62を備え、同様に、クライアント装置80は、ディスプレイ81及びキーボード82を備えている。また、クライアント装置60、クライアント装置80は、それぞれ制御部70、制御部90を有する。ただし、制御部70、制御部90は、クライアント装置60、クライアント装置80にそれぞれインストールされたクライアント用プログラムを実行することにより実現される各種機能を抽出したものであり、必ずしも実際のハードウェアに対応するわけではない。ユーザu1及びユーザu2は、クライアント用プログラムを起動して、キーボード82より編集操作を行うことにより、地図データベース20に格納されている各レイヤ情報の編集を行うことができる。以下、クライアント装置60とクライアント装置80は同様の構成を有するため、ユーザu1がクライアント装置60を用いて編集を行う場合について説明する。
なお、例えば、本実施形態の地図データベース20は、本発明のデータ記憶手段を構成するとともに、管理データベース30は、本発明のルール記憶手段を構成し、制御部70は、本発明の表示制御手段、編集制御手段及び更新手段を構成する。また、例えば、本実施形態のキーボード62は、本発明の目的入力手段及び操作入力手段を構成し、ディスプレイ61は、本発明の表示手段を構成する。
サーバ装置10は、地図データ編集システム100を円滑に機能させるための各種制御を行う。具体的には、サーバ装置10に設けられた図示しないCPUが、プログラムを実行することによって各種制御が実現される。なお、当該各種制御を実行するための専用のハードウェアをサーバ装置10に設けることもできる。
地図データベース20は、注記レイヤ情報21、家形レイヤ情報22、住所レイヤ情報23、背景レイヤ情報24、道路レイヤ情報25、レーンレイヤ情報26などの複数のレイヤ情報を管理する。なお、レイヤ情報とは地図データの階層に当たるレイヤを示す情報であり、種類の異なるレイヤ情報毎に特有の情報が記述されており、これらのレイヤ情報に基づいてレイヤを複数層重ね合わせるようにディスプレイ61に表示させることにより用途に応じた様々な地図を得ることができる。
また、注記レイヤ情報21とは、注記を示す注記情報が記述されたレイヤ情報であり、注記とは、地物を説明するための文字列又は記号のことである。次いで、家形レイヤ情報22とは、家形を示す家形情報が記述されたレイヤ情報であり、家形とは、建物を上方から見た場合の当該建物の形状を示す図形である。同様に、住所レイヤ情報23とは、住所を示す住所情報が記述されたレイヤ情報であり、背景レイヤ情報24とは、背景を示す背景情報が記述されたレイヤ情報であり、道路レイヤ情報25とは、道路を示す道路情報が記述されたレイヤ情報であり、レーンレイヤ情報26とは、レーンを示すレーン情報が記述されたレイヤ情報である。
さらに、各レイヤ情報には、一又は複数のオブジェクト情報が記述されている。例えば、家形レイヤ情報22には、コンビニエンスストア、ガソリンスタンド、小学校、図書館などの形状を示すオブジェクト情報が記述されており、また、注記レイヤ情報21には、注記情報がオブジェクト情報として記述されている。
なお、オブジェクト情報は、当該オブジェクト情報の示すオブジェクトに関する一又は複数の属性情報を有する。属性情報は、属性区分と、当該属性区分毎に規定された属性値とにより示される。属性区分は、基本的にそのオブジェクト情報の種類毎に異なり、例えば、家形レイヤ情報22に記述されている家形を示すオブジェクト情報は属性区分として「建物種別」を持ち、その属性値として「マンション」、「一戸建て」等が規定され、また、道路レイヤ情報25に記述されている道路を示すオブジェクト情報は属性区分として「道路種別」を持ち、その属性値として「高速道路」、「国道」、「県道」、「市道」等が規定されている。このように、オブジェクト情報は、属性区分と属性値によって示される属性情報を有する。
また、各レイヤ情報は、後述するようにレイヤIDとひも付けがされており、レイヤIDによって各レイヤ情報を識別することができる。
一方、管理データベース30は、編集目的テーブル情報31、レイヤテーブル情報32、ルール種別テーブル情報33及びルールテーブル情報34を管理する。
図2は編集目的テーブル情報31を説明するための図である。編集目的テーブル情報31は、編集目的テーブルを示す情報であり、図2に示す編集目的テーブルは、編集目的IDと編集目的とを1対1で対応付けて規定するとともに、さらに、編集目的IDと表示レイヤIDを1対nで対応付けて規定している。編集目的IDは、各編集目的に付与される管理番号である。編集目的は、地図データを編集する目的である。また、表示レイヤIDは、図3を参照して後述するレイヤIDに対応し、編集目的に応じてディスプレイ61に表示されるレイヤ情報のレイヤIDを示している。
図2の例では、編集目的ID「00001」は、編集目的「注記メンテナンス」に対応し、表示レイヤID「00」、「01」、「03」、「04」に対応している。すなわち、ユーザu1が編集目的として編集目的ID「00001」に対応する「注記メンテナンス」を選択した場合には、レイヤID「00」、「01」、「03」、「04」である注記レイヤ情報21、家形レイヤ情報22、背景レイヤ情報24、道路レイヤ情報25がディスプレイ61に表示される。
なお、ディスプレイ61に表示されるレイヤ情報は、編集の対象となるレイヤ情報(以下、「編集レイヤ情報」という。)と、ユーザが編集レイヤ情報を編集する際の参考とするレイヤ情報(以下、「参考レイヤ情報」という。)を含む。また、レイヤ情報は、地図データベース20を管理するDBMS(database management system)の制御の下、ディスプレイ61に表示されるとともに、適切に一時データが作成されてデータの保全が図られる。
次に、図3はレイヤテーブル情報32を説明するための図である。レイヤテーブル情報32は、レイヤテーブルを示す情報であり、図3に示すレイヤテーブルは、レイヤIDとレイヤ情報とを1対1で対応付けて規定している。レイヤIDは、各レイヤ情報に付与される管理番号である。図3に示す例では、レイヤID「00」は「注記レイヤ情報21」に対応し、また、レイヤID「04」は「道路レイヤ情報25」に対応する。
次に、図4はルール種別テーブル情報33を説明するための図である。ルール種別テーブル情報33は、ルール種別テーブルを示す情報であり、図4に示すルール種別テーブルは、ルールIDと可能な(許可する)編集の組み合わせとを1対1で対応付けして規定している。ルールIDは、編集を制限するルール毎に付与される管理番号であり、また、編集内容の種類としては、例えば、作成、削除、形状変更及び属性変更がある。図4の例では、ルールID「00」は、作成、削除、形状変更及び属性変更に関する編集を許可するルールに対応し、ルールID「99」は、作成、削除、形状変更又は属性変更に関する何れの編集をも不許可とするルールに対応する。また、ルールID「11」は、「属性変更」に関する編集のみを許可するルールに対応する。
次に、図5はルールテーブル情報34を説明するための図である。ルールテーブル情報34は、図5に示すルールテーブルを示す情報であり、図5に示すルールテーブルは、編集目的IDとレイヤIDとを1対nで対応付けて規定するとともに、さらに各レイヤIDとルールIDとを1対1で対応付けて規定している。図5の例では、編集目的ID「00001」(注記メンテナンス)について、レイヤID「00」に対してルールID「11」が規定され、また、レイヤID「01」に対してルールID「99」が規定されている。すなわち、ユーザu1が「注記メンテナンス」という編集目的を選択した場合には、編集目的テーブル情報31に基づいて、注記レイヤ情報21、家形レイヤ情報22、背景レイヤ情報24及び道路レイヤ情報25がディスプレイ61に表示されるとともに、ルールテーブル情報34に基づいて、ユーザu1による注記レイヤ情報21に対する属性変更に関する編集のみが許可され、その他の表示レイヤ情報については作成、削除、形状変更又は属性変更の何れの編集も不許可とされる。なお、この場合、注記レイヤ情報が編集レイヤ情報であり、家形レイヤ情報22、背景レイヤ情報24及び道路レイヤ情報25が参考レイヤ情報である。
次に、サーバ装置10の動作について説明する。
サーバ装置10は、クライアント装置60よりクライアント用プログラムが起動されたことを示す起動信号を受信すると、管理データベース30によって管理されている編集目的テーブル情報31を基に編集目的一覧情報を生成して、当該編集目的一覧情報をクライアント装置60に送信する。また、サーバ装置10は、クライアント装置60から、編集目的一覧より選択された編集目的を識別する編集目的識別信号を受信すると、編集目的とルールテーブル情報34とに基づいて、選択された編集目的に適した編集ルール情報71をクライアント装置60に送信するとともに、表示レイヤ情報をディスプレイ61に表示させるための制御を行う。
例えば、サーバ装置10は、クライアント装置60から編集目的「注記メンテナンス」を示す編集目的識別信号を受信した場合には、ルールテーブル情報34から「注記メンテナンス」に適した表示レイヤ情報を検索する。当該検索の結果に基づき、サーバ装置10は、該当する注記レイヤ情報21、家形レイヤ情報22、背景レイヤ情報24及び道路レイヤ情報25をディスプレイ61に表示させるための制御を行う。また、サーバ装置10は、これらの表示レイヤ情報のうち注記レイヤ情報21に対してのみ「属性変更」に関する編集を許可し、その他のレイヤ情報に対しては作成、削除、形状変更又は属性変更に関する何れの編集も不許可とする編集ルール情報71をクライアント装置60に送信する。
次に、クライアント装置60について説明する。
クライアント装置60は、図示を省略するが、ディスプレイ61及びキーボード62の他に通常のパーソナルコンピュータが備えるCPU、メモリ、外部記憶装置などを備えるとともに、OS(operating system)がインストールされている。また、クライアント装置60は、インストールされているクライアント用プログラムがユーザu1によって起動されことにより、制御部70が作動する。
制御部70は、クライアント用プログラムが起動されると、起動信号を、ネットワークXを介してサーバ装置10に送信する。また、制御部70は、サーバ装置10の管理データベース30から送信される編集目的一覧情報を受信すると、これをユーザID及びパスワードを入力させるためのログインダイアログとともにディスプレイ61に表示させる。さらに、制御部70は、ディスプレイ61に表示させた編集目的一覧よりユーザu1によって選択された編集目的を識別する編集目的識別信号をサーバ装置10に送信する。
また、制御部70は、編集目的識別信号を送信したことに基づきサーバ装置10から返信される編集ルール情報71を受信すると、編集ルール情報71をメモリ(図示しない)に記憶させるとともに表示レイヤ情報の示すレイヤをディスプレイ61に表示させる。このとき、制御部70は、表示レイヤとともに編集用アイコンをディスプレイ61に表示させる。なお、編集用アイコンは、レイヤ情報を編集する際に用いられ、制御部70に対する指示(例えば、作成、削除、形状変更又は属性変更)を分りやすく記号化した図形である。
さらに、制御部70は、編集用アイコンを介して選択される作成、削除、形状変更又は属性変更の編集種別とキーボード62から入力されるレイヤ情報を編集するための編集操作とに基づいて、当該編集が編集ルール情報71の示す編集ルールに適合しているか否かを判別し、適合していない場合には、当該編集を不許可とする。
すなわち、ユーザu1はキーボード62を用いて、ディスプレイ61に表示される表示レイヤから編集レイヤを選択するとともに、参考レイヤを参考にしつつ、編集レイヤ情報に対する編集を行う。このとき、編集レイヤ情報に対する編集が編集ルール情報71の示す編集ルールに適合しない場合にのみエラーメッセージがディスプレイ61に表示される。
なお、クライアント装置60の操作入力手段としてキーボード62を示したが、キーボード62の替わりに操作入力手段としてマウス等を用いることもできる。また、マウス等とキーボード62を併用することもできる。
次に、地図データ編集システム100における処理の流れを図6のフローチャートを用いて説明する。なお、図6は、本実施形態の地図データ編集システム100における処理の流れを示すフローチャートであり、ここでは、ユーザu1がクライアント装置60を介して地図データ編集システム100を利用する場合について説明する。
初めに、制御部70は、ユーザu1によってクライアント用プログラムが起動されることにより作動すると、クライアント用プログラムが起動されたことを示す起動信号をサーバ装置10に送信する。サーバ装置10は、起動信号を受信すると、管理データベース30によって管理されている編集目的テーブル情報31を読み込む(ステップS1)。
次に、サーバ装置10は、読み込んだ編集目的テーブル情報31を基に編集目的一覧情報を生成して、これを制御部70に送信する。制御部70は、編集目的一覧情報を受信すると、編集目的一覧をログインダイアログとともにディスプレイ61に表示させ、ユーザu1に編集目的を選択させる(ステップS2)。
次に、制御部70は、選択された編集目的を示す編集目的識別信号をサーバ装置10に送信し、サーバ装置10より送信される編集目的に応じた編集ルール情報71を読み込むとともに、表示レイヤをディスプレイ61に表示させる(ステップS3)。
次に、制御部70は、ユーザu1によって、地図データ編集システム100からログアウトするための終了操作がなされたか否かを判別する(ステップS4)。このとき、制御部70は、終了操作がなされたと判別したときには、サーバ装置10との接続を切断し、クライアント用プログラムを終了させる。一方、制御部70は、終了操作がなされていないと判別したときには、ステップS5の処理に移行する。
次に、制御部70は、ステップS4の処理において、終了操作がなされていないと判別したときには、編集操作がなされたか否かを判別する(ステップS5)。このとき、制御部70は、編集操作がなされていないと判別したときには、ステップS4に移行する。すなわち、制御部70は、ユーザu1によって、終了操作又は編集操作がなされるまで、ステップS4及びステップS5を繰り返す。一方、制御部70は、編集操作がなされたと判別したときには、ステップS6の処理に移行する。
次に、制御部70は、ステップS5の処理において、編集操作がなされたと判別したときには、編集は許可された編集であるか否かを編集ルール情報71の示す編集ルールに基づいて判別する(ステップS6)。このとき、制御部70は、編集は許可された編集であると判別したときには、当該編集を許可して(ステップS7)、ステップS4の処理に移行する。一方、制御部70は、編集は許可された編集ではないと判別したときには、編集目的に反する編集であることを示すエラーメッセージをディスプレイ61に表示させる(ステップS8)。制御部70は、ディスプレイ61にエラーメッセージを表示させると、ステップS4の処理に移行する。なお、この場合のように編集操作が行われた後に、制御部70が、当該編集操作がルールに適合するか否かの判定を行うことを「後判定」と呼ぶ。
以降、制御部70は、ステップS4〜ステップS8の処理をステップS4において終了操作がなされたと判別するまで繰り返す。
以上のように本実施形態の地図データ編集システム100は、複数のレイヤ情報と、編集目的に基づいて各レイヤ情報に対する編集を許可するか否かを規定した編集ルールを示す編集ルール情報の基となるテーブル情報を記憶し、入力された編集目的に応じて、記憶したレイヤ情報のうち種類の異なる複数のレイヤ情報をディスプレイ61に同時に表示し、表示したレイヤ情報に対する編集操作に基づく編集が、入力された編集目的に対応する編集ルールに適合していない場合に、当該編集操作に基づく編集を禁止することから、編集目的から編集することが許可されていないレイヤ情報が誤って編集されてしまうことを防止することができる。
したがって、本実施形態の地図データ編集システム100によれば、編集目的に応じて種類の異なる複数のレイヤ情報を表示するとともに、表示したレイヤ情報のうち編集対象ではないレイヤ情報が編集されることを防止することから、ユーザu1は誤って編集対象ではないレイヤ情報を編集してしまうことに注意しつつ作業を行う必要がなく、作業効率を向上させることができる。
さらに、種類の異なる複数のレイヤ情報として、編集の対象となる編集レイヤ情報と、ユーザu1が当該編集の対象となるレイヤ情報を編集する際の参考とする参考レイヤ情報とを含み、地図データ編集システム100は、入力された編集目的に応じて、編集レイヤ情報と参考レイヤ情報をディスプレイ61に表示する。
したがって、本実施形態の地図データ編集システム100によれば、ユーザは参考レイヤ情報を参考としつつ編集レイヤ情報を編集することができ、作業効率を向上させることができる。
なお、本実施形態においては、ルールテーブル情報34を管理データベース30によって管理することにより、編集目的に応じてレイヤ情報単位で編集に対する制限をかけているが、編集ルール情報71の基となるルールテーブル情報34を適宜変更することにより、多種多様な編集ルールを設定することができる。以下、具体例を示す。
まず、図7に示すようなルールテーブル35を示すルールテーブル情報を管理データベース30によって管理することにより、オブジェクト群単位で編集に対する制限をかけることができる。
図7はルールテーブル35を説明するための図である。ルールテーブル35は、図7に示すように、編集目的ID、レイヤID、属性区分、属性値、及びルールIDの5つのフィールドを有する。
例えば、図7の例では、ルールテーブル35は、編集目的IDが「00001」である編集目的である場合に、レイヤIDが「00」であるレイヤ情報に記述されたオブジェクト情報であって、属性区分「注記種別」について属性値「裁判所」が設定されているオブジェクト情報に対して、ルールIDが「99」であるルールを規定する。
従って、ルールテーブル35は、編集目的が「注記メンテナンス」(編集目的ID:00001)である場合に、「注記レイヤ情報」(レイヤID:00)に記述されたオブジェクト情報であって、属性区分「注記種別」の属性値が「裁判所」であるオブジェクト情報について作成、削除、形状変更及び属性変更の何れに関する編集も許可しない。
すなわち、ルールテーブル35によって、ユーザu1は、編集目的として「注記メンテナンス」を選択した場合に、「注記レイヤ情報」に記述されており、属性区分「注記種別」について属性値「裁判所」が設定されているオブジェクト情報に対する編集を制限される。
また、図7に示すルールテーブル35は、編集目的IDが「00001」である編集目的である場合に、レイヤIDが「00」であるレイヤ情報に記述されたオブジェクト情報であって、属性区分「クレームフラグ」について属性値「1」が設定されているオブジェクト情報に対して、ルールIDが「99」であるルールを規定する。「クレームフラグ」は、地図データ編集システム100により生成された地図データを利用した利用者(以下、「地図データ利用者」という。)から苦情(クレーム)があったオブジェクトを識別するために用いられる属性区分である。
従って、ルールテーブル35は、編集目的が「注記メンテナンス」(編集目的ID:00001)である場合に、「注記レイヤ情報」(レイヤID:00)に記述されたオブジェクト情報であって、属性区分「クレームフラグ」の属性値が「1」であるオブジェクト情報について作成、削除、形状変更又は属性変更の何れに関する編集も許可しない。
すなわち、ルールテーブル35によって、ユーザu1は、編集目的として「注記メンテナンス」を選択した場合に、「注記レイヤ情報」に記述されているオブジェクト情報であって、地図データ利用者からクレームのあったオブジェクトを示すオブジェクト情報の編集が制限される。
次に、図8に示すようなルールテーブル36を示すルールテーブル情報を管理データベース30によって管理することにより、各レイヤ情報に記述されたオブジェクト情報の編集に対して様々な編集ルールを適用させることができる。
図8は、ルールテーブル36を説明するための図である。ルールテーブル36は、各レイヤ情報に記述されたオブジェクト情報の編集について様々な編集ルールを適用させるために、複数のフィールドを有している。図8の例では、ルールテーブル36は、編集目的IDが「00100」である編集目的である場合に、レイヤIDが「01」であるレイヤ情報に記述されるオブジェクト情報の示すオブジェクトの最低面積を「10平方cm」と規定することにより、「10平方cm」より小さい面積のオブジェクトを生成する編集を制限し、また、編集目的IDが「01000」である編集目的である場合に、レイヤIDが「04」であるレイヤ情報に記述されるオブジェクト情報の示すオブジェクトの最低長さを「10cm」と規定することにより、「10cm」より短いオブジェクトを生成する編集を制限している。
従って、ルールテーブル36は、編集目的が「家形新規作成」(編集目的ID:00100)である場合に、「家形レイヤ情報」(レイヤID:01)において、面積が「10平方cm」未満である家形オブジェクトを生成するようなオブジェクト情報の編集を不許可とし、また、編集目的が「道路新規作成」(編集目的ID:01000)である場合に、「道路レイヤ情報」(レイヤID:04)において、長さが「10cm」未満である道路オブジェクトを生成するようなオブジェクト情報の編集を不許可とする。
すなわち、ルールテーブル36によって、ユーザu1は、編集目的として「家形新規作成」を選択した場合に、「家形レイヤ情報」について面積が「10平方cm」未満である家形オブジェクトを生成する編集を行うことができず、また、編集目的として「道路新規作成」を選択した場合に、「道路レイヤ情報」について長さが「10cm」未満である道路オブジェクトを生成する編集を行うことができない。
このように、ルールテーブル35又はルールテーブル36を示すルールテーブル情報を管理データテーブル30によって管理することにより、地図データ編集システム100は、編集目的に基づいてレイヤ情報に記述された各オブジェクト情報に対する編集を許可するか否かを規定した編集ルールに、編集操作に基づく編集が適合していない場合に、当該編集操作に基づく編集を禁止することから、編集目的から編集することが許可されていないオブジェクト情報が誤って編集されてしまうことを防止することができる。
したがって、システム管理者はオブジェクト単位(又はオブジェクト群単位)で編集ルールを設定することにより、綿密なデータ管理を行うことができる。一方、ユーザは誤って編集対象でないオブジェクト情報を編集してしまうことに注意しつつ作業を行う必要がないことから、作業効率を向上させることができる。
さらに、ルールテーブルに編集を制限するための複数のフィールドを追加することにより、加重的に編集を制限するなど様々なパターンの編集ルールを作成することができる。
次に、図9に示すようなリレーショナルルールテーブル37を示すルールテーブル情報を管理データベース30によって管理することにより、オブジェクト情報の有する所定の属性情報に対する編集を、当該所定の属性情報に関連する関連属性情報に基づき制限することができる。
図9は、リレーショナルルールテーブル37を説明するための図である。リレーショナルルールテーブル37は、表示レイヤに記述されたオブジェクト情報の有する所定の属性情報に対する編集を制限するため、当該所定の属性情報を示す属性区分及びその属性値と、当該所定の属性情報に関連する関連属性情報を示す属性区分及びその属性値とを規定している。図9の例では、リレーショナルルールテーブル37によれば、編集目的IDが「01001」であって、レイヤIDが「04」である道路レイヤ情報に記述されたオブジェクト情報が有する属性区分「経路優先度」の属性値を編集する場合に、「経路優先度」に関連する属性区分である「道路種別」の属性値が「国道」であるときには、「経路優先度」の属性値を「低」とする編集が禁止される。
すなわち、リレーショナルルールテーブル37によって、ユーザu1は、編集目的として「道路メンテナンス」を選択した場合に、道路レイヤ情報25に記述されたオブジェクト情報について、「道路種別」が「国道」であるにも拘わらず、「経路優先度」を「低」とする編集を行うことができない。
このように、リレーショナルルールテーブル37を示すリレーショナルルールテーブル情報を管理データテーブル30によって管理することにより、地図データ編集システム100は、オブジェクト情報の有する一の属性情報についての編集を許可するか否かを、編集目的と、編集の対象となる一の属性情報に関連する他の属性情報とに基づいて規定する編集ルールに、編集操作に基づく編集が適合していない場合に、当該編集操作に基づく編集を禁止することから、編集ルールに反して、オブジェクト情報の有する属性情報が誤って編集されてしまうことを防止することができる。
したがって、システム管理者はオブジェクト情報の有する属性情報についての編集ルールを、当該属性情報に関連する関連属性情報に基づいてより実用的に設定することができる。一方、ユーザは誤って編集対象でない属性情報を編集してしまうことに注意しつつ作業を行う必要がないことから、作業効率を向上させることができる。
なお、図9に示すリレーショナルルールテーブル37の関連属性情報フィールドにレイヤIDフィールド及びオブジェクトIDフィールドを追加することにより、他のレイヤ情報に記述されたオブジェクト情報の有する属性情報に基づいて、編集を制限することができる。これにより、システム管理者はオブジェクト情報の有する属性情報についての編集ルールを、より綿密に、より実用的に設定することができる。
システム管理者はオブジェクト単位(又はオブジェクト群単位)で編集ルールを設定することにより、綿密なデータ管理を行うことができる。一方、ユーザは誤って編集対象でないオブジェクト情報を編集してしまうことに注意しつつ作業を行う必要がないことから、作業効率を向上させることができる。
次に、図10に示すように、レイヤを「メッシュ」と呼ばれる一定の大きさの矩形によって区画し、当該メッシュ毎に編集ルールを適用させることもできる。例えば、図10に示すようなルールテーブル38を管理データベース30によって管理することにより、メッシュ毎に編集ルールを適用させることができる。
図11は、ルールテーブル38を説明するための図である。ルールテーブル38は、図5に示したルールテーブル情報34により示されるルールテーブルにメッシュIDフィールドを追加した構造のテーブルであり、レイヤ単位に加えてメッシュ単位での編集ルール情報の設定が可能となる。なお、メッシュIDは、メッシュ毎に割り当てられ、各メッシュを識別するために用いられる。
図11の例では、ルールテーブル38は、編集目的IDが「00001」である場合に、レイヤIDが「00」のレイヤ情報において、メッシュIDが「0000」〜「0004」のメッシュに対してルールID「99」を規定し、メッシュIDが「0005」、「0006」のメッシュに対してルールID「11」を規定する。
従って、ルールテーブル38は、編集目的が「注記メンテナンス」(編集目的ID:00001)である場合に、注記レイヤ情報(レイヤID:00)に記述されたオブジェクト情報であって、メッシュIDが「0000」〜「0004」のメッシュ(北海道北部地区)に含まれる注記オブジェクトを示すオブジェクト情報について作成、削除、形状変更及び属性変更の何れに関する編集も許可せず、メッシュIDが「0005」〜「0006」のメッシュに含まれる注記オブジェクトを示すオブジェクト情報については、属性変更に関する編集のみを許可する。すなわち、ルールテーブル38によって、ユーザu1は、編集目的として「注記メンテナンス」を選択した場合に、編集しようとするオブジェクト情報により示される注記オブジェクトが、メッシュID「0000」〜「0004」のメッシュ(北海道北部地区)に含まれる注記オブジェクトである場合には、当該注記オブジェクトを示すオブジェクト情報を編集することができず、メッシュID「0005」又は「0006」のメッシュに含まれる注記オブジェクトである場合には、当該注記オブジェクトを示すオブジェクト情報を編集することができる。
このように、編集目的により、メッシュに含まれるオブジェクトを示すオブジェクト情報の編集を許可するか否かを規定した編集ルールに、編集操作に基づく編集が適合していない場合に、当該編集操作に基づく編集を禁止することにより、編集が許可されていないメッシュに含まれるオブジェクトを示すオブジェクト情報が誤って編集されてしまうことを防止することができる。
すなわち、メッシュ単位でオブジェクト情報に対する編集ルールを設定することにより、綿密なデータ管理を行うことができる。一方、ユーザは編集することが許可されていないメッシュに含まれるオブジェクトを示すオブジェクト情報を誤って編集してしまうことに注意しつつ作業を行う必要がないことから、作業効率を向上させることができる。
次に、図12に示すようなルールテーブル39を示すルールテーブル情報を管理データベース30によって管理することにより、ユーザ単位で編集の制限をかけることができる。なお、ユーザ単位で編集制限をかけるためには、ユーザの識別が必要となることから、例えば、ログインダイアログに、ユーザID及びパスワードを入力させるための領域を設け、ユーザu1にユーザID及びパスワードを入力させる構成とするとよい。なお、ユーザIDは、ユーザ毎に割り当てられ、各ユーザを識別するために用いられる。
図12は、ルールテーブル39を説明するための図である。ルールテーブル39は、編集目的IDとユーザIDに対応させてルールIDを規定している。図12の例では、ルールテーブル39は、ユーザID「A00001」のユーザに対して、「注記メンテナンス」(編集目的ID:00001)の編集目的によって行う作成、削除、形状変更又は属性変更の何れに関する編集も不許可とするルールを適用している。これにより、ユーザ単位で編集の制限をかけることができる。
次に、図13に示すようなルールテーブル40を示すルールテーブル情報を管理データベース30によって管理することにより、オブジェクト単位で編集に対する制限をかけることができる。
図13はルールテーブル40を説明するための図である。ルールテーブル40は、図5に示したルールテーブル情報34が示すルールテーブルにオブジェクトIDフィールドを追加した構造のテーブルである。オブジェクトIDは、編集目的に応じて表示されるレイヤ情報に記述されたオブジェクト情報毎に割り当てられ、1つのレイヤ情報に記述された各オブジェクト情報を識別するために用いられる。
ルールテーブル40は、オブジェクト単位で編集ルールを適用させるために、オブジェクトID毎にルールIDを規定する。例えば、図13の例では、ルールテーブル40は、編集目的IDが「00001」である編集目的である場合に、レイヤIDが「00」であるレイヤ情報に記述されたオブジェクト情報であって、オブジェクトIDが「0000」及び「0001」であるオブジェクト情報に対して、ルールIDが「99」であるルールを規定する。また、レイヤIDが「00」であるレイヤ情報に記述されたオブジェクト情報であって、オブジェクトIDが「0002」であるオブジェクト情報に対してルールIDが「11」であるルールを規定する。
従って、ルールテーブル40は、編集目的が「注記メンテナンス」(編集目的ID:00001)である編集目的である場合に、「注記レイヤ情報」(レイヤID:00)に記述されたオブジェクトIDが「0000」であるオブジェクト(例えば、「国会議事堂」とする。)及びオブジェクトIDが「0001」であるオブジェクト(例えば、「最高裁判所」とする。)を示すオブジェクト情報について作成、削除、形状変更又は属性変更の何れの編集も許可せず(ルールID:99)、オブジェクトIDが「0002」であるオブジェクト(例えば、「○×小学校」とする。)を示すオブジェクト情報について属性変更に関する編集のみを許可する(ルールID:11)。
すなわち、ルールテーブル40によって、ユーザu1は、編集目的として「注記メンテナンス」を選択した場合に、「注記レイヤ情報」において「国会議事堂」及び「最高裁判所」についてのオブジェクト情報を属性変更する編集を行うことができず、一方、「○×小学校」についてのオブジェクト情報を属性変更する編集を行うことができる。
次に、図14に示すようなルールテーブル41を示すルールテーブル情報を管理データベース30によって管理することにより、ユーザu1の編集操作に伴って、所定の属性区分に所定の属性値を設定させることができる。
図14はルールテーブル41を説明するための図である。ルールテーブル41は、編集目的ID、属性区分及び自動付与属性値の3つのフィールドを有する。
例えば、図14の例では、ルールテーブル41は、編集目的IDが「10000」である編集目的である場合に、オブジェクト情報が編集されたときには、当該オブジェクト情報の有する属性区分である「クレームフラグ」の属性値として「1」を設定するという編集ルールを規定する。
従って、ルールテーブル41は、編集目的が「クレーム対応」(編集目的ID:10000)である場合に、ユーザu1によってオブジェクト情報が編集されたときに、当該オブジェクト情報の有する属性区分である「クレームフラグ」の属性値として「1」を自動付与させる。
すなわち、ルールテーブル41によって、ユーザu1が、編集目的として「クレーム対応」を選択した場合に、オブジェクト情報を編集したときには、自動的に当該オブジェクト情報の有する属性区分「クレームフラグ」に、属性値として「1」が付与される。
この場合、地図データ編集システム100における制御部70は、各レイヤ情報に記述されたオブジェクト情報に対する編集操作が入力された場合に、当該オブジェクト情報の有する属性情報を編集目的に基づいて所定の属性情報に更新することから、ユーザu1の属性情報編集に伴う作業負担及び誤編集を軽減することができる。
なお、本実施形態の地図データ編集システム100は、編集操作が一通り行われた後に、当該編集操作に基づく編集が編集ルールに適合している否かを判別する「後判定」を行うが、編集用アイコンがクリックされ、編集操作が開始された際に、当該編集が編集ルールに適合している否かを判別する「前判定」を行う構成としてもよい。この場合、編集を行うことが許可されていないレイヤ情報に対して編集操作がなされた時点で、エラーメッセージを表示させることができることから、ユーザに無駄な編集作業を行わせずに済む。例えば、ユーザu1が、注記レイヤ情報21に対する属性変更の編集が許可されていない編集目的により地図データ編集システム100にログインしている場合において、ユーザu1が属性変更に係る編集用アイコンをクリックして、注記レイヤ情報21に記述されたオブジェクト情報の示すオブジェクトを選択した時点でエラーメッセージを表示させる構成とすることにより、ユーザu1が誤ったまま注記レイヤ情報21に記述されたオブジェクト情報に対する編集作業を継続してしまうことを防止することができる。
また、上述したルールテーブル情報及びリレーショナルルールテーブル情報のうち複数のテーブル情報を管理データベース30によって管理することにより、適宜編集ルールを設定することができる。
さらに、これまで、管理データベース30によって管理される各種テーブル情報に基づいて、編集ルール情報71が生成される実施形態について説明したが、本発明は、編集ルール情報71を記憶する形式を問わないものである。
さらにまた、地図データ編集システム100におけるサーバ装置10及びクライアント装置60にコンピュータおよび記録媒体を備え、この記録媒体に上述の登録処理を実行する制御プログラムを格納し、このコンピュータで当該登録処理を行うプログラムを読み込むことによって上述と同様の処理を行うようにしてもよい。