まず、図1により、本発明による立体映像(三次元映像)表示装置の原理について説明する。図1(a)はミラー100と物体101と観察者の配置関係を側面から見た図であるが、ミラー100の手前側(図面上右側のミラー100の反射面100a側)に置かれた物体101を観察者がミラー100を通して見る場合、この物体101からの光がミラー100の反射面100aで反射されて観察者の眼(視点103)に達することにより、この物体101を観察することができる。この場合の観察者の視線は、実線矢印で示すように、視点103から発してミラー面100aで反射し、物体101に達し、これによって物体101を観察できるものであるが、これは、ミラー100に映っている物体101の像(即ち、鏡像102)を見ていることになり、この鏡像102は、ミラー100の裏側に存在するように見えるものである。
かかる鏡像102は、ミラー100の反射面100aに関して、物体101の位置とは対称な位置に想定されるものであり、物体101の位置を所定の軸104で表わすものとし、これに該当する鏡像102の想定される位置を軸105で表わすものとすると、軸104と軸105とは、ミラー100の反射面100aに関して互いに反対側で、かつこの反射面100aから等距離Lの位置にある。即ち、物体101とミラー100の反射面100aとの位置関係から、鏡像102の位置が決まることになる。
図1(b)は図1(a)の配置関係を上側から見た図であるが、鏡像102の軸105は、物体101の軸104を通り、ミラー100の反射面100aに垂直な軸線106上にあり、軸104から反射面100aまでの距離と軸105から反射面100aまでの距離は等しい。なお、鏡像102は、物体101を左右反転したものである。
そこで、いま、図1(b)の左側の図に示すように、視点103(観察者の眼の位置)が物体101よりも図面上左側にあり、観察者がこの視点位置からミラー100を介して物体101を見るものとすると、この視点103からの視線が、実線矢印で示すように、ミラー100の反射面100aで斜めに反射されて物体101に達することになるが、このことは、破線矢印で示すように、左斜めから鏡像102に達することになる。このため、観察者としては、その視野107内で軸線106に対応する中心線108よりも左側に物体像109が見えることになる。しかも、この物体像109は、ミラー100側から見てやや右斜めから物体101を見たものとなる。
同様にして、図1(b)の右側の図に示すように、視点103(観察者の眼の位置)が物体101よりも図面上右側にあり、観察者がこの視点位置からミラー100を介して物体101を見るものとすると、この視点103からの視線が、実線矢印で示すように、ミラー100の反射面100aで斜めに反射されて物体101に達することになるが、このことは、破線矢印で示すように、右斜めから鏡像102に達することになる。このため、観察者としては、その視野107内で軸線106に対応する中心線108よりも右側に物体像109’が見えることになる。しかも、この物体像109は、ミラー100側から見て左斜めから物体101を見たものとなるが、視線がミラー100の反射面100aの右端に近いところに達している場合には、物体像109’は物体101の左側部分が一部欠けたものとなる。
このように、物体101をミラー100を介して見た場合、ミラー100の反射面100aに平行な視点103の位置に応じて、物体に対する視点の位置が異なるように物体101が見えることになる。このことは、図1(c)に示すように、物体101に対して、この物体101を中心とする円周方向に視点103の位置を変えると、見る方向が変わって物体101が見えるのと同様である。但し、図1(b)の場合と図1(c)の場合とでは、物体像が左右反転した関係となる。
本発明はかかる原理に基づくものであり、物体の代わりに物体を撮影した映像の鏡像を用いることにより、かかる物体の立体視を可能にするものである。以下、立体視を可能にする装置の例を、図面を用いて説明する。
図2は本発明による三次元映像表示装置の第1の例を示す図であり、図2(a)は上面図、図2(b)はその一部の側面図である。図中、1,1a,1bはミラー、2a,2bは反射面、3,3a,3bは平面実像(二次元映像)、4a,4bは実像中心軸、5,5a,5bは平面鏡像、6は鏡像中心軸、7は観察者の視点である。
図2(a)において、2枚のミラー1a,1bが、角度θで互いに接して配置されている。なお、ミラー1aからミラー1bまでの角度が(360°−θ)となる側のミラー1a,1bの面が反射面2a,2bであり、これとは反対側のミラー1aからミラー1bまでの角度がθとなる側の面がミラー1a,1bの裏面となる。また、これらミラー1a,1bは、図2(b)でミラー1として示すように、その反射面2a,2bが水平面に対して垂直となるように、設置されている。
ミラー1aの反射面28側に平面実像3aがこの反射面2a側を向いて配置され、ミラー1bの反射面2b側に平面実像3bがこの反射面2b側を向いて配置されている。ここで、平面実像3aは、図2(b)で平面実像3として示すように、全体として反射面2aに平行であるが、水平方向が反射面2aに平行であれば、垂直方向では、反射面2aと平行でなくともよい。平面実像3bについても、同様である。
かかるミラー1aの反射面2aと平面実像3aとの配置関係から、図2(b)で鏡像5として示すように、このミラー1aの裏面側にこの平面実像3aに対する平面鏡像5aが生ずる。この平面鏡像5aは、その水平方向がミラー1aの反射面2aと平行であり、かつミラー1aの反射面2aに関して平面実像3aと対称な位置に生ずる。図2(b)に示すように、この鏡像5をミラー1での平面実像3の観察像として視点7から見るものである。同様にして、ミラー1bの反射面2bと平面実像3bとの上記の配置関係から、このミラー1bの裏面側にこの平面実像3bに対する平面鏡像5bが生ずる。この平面鏡像5bは、その水平方向がミラー1bの反射面2bと平行であり、かつミラー1bの反射面2bに関して平面実像3bと対称な位置に生ずる。
ここで、平面実像3a,3bは、同じ物体(顔などの人体も含む)を異なる方向の視点から見た映像であり、例えば、同じ物体を異なる視点から撮影して得られたものである。図3(a)は物体を人間の顔の部分とし、これを正面よりもやや右側(撮影される人から見て。以下同様)から斜めに撮影して得られた平面実像3aを模式的に示すものであり、また、図3(b)は同じ人の顔の部分を正面よりもやや左側から斜めに見た方向から撮影して得られる平面実像3bを模式的に示すものである。
図2において、かかる平面実像3aを、上記のように、ミラー1a側に配置し、かかる平面実像3bを、上記のように、ミラー1b側に配置すると、ミラー1aによって平面実像3aの平面鏡像5aが生じ、ミラー1bによって平面実像3bの平面鏡像5aが生ずるが、ここで、これら平面鏡像5a,5bが空間的に同一に生ずるように、ミラー1a,1bのなす角度θやミラー1a,1bに対する平面実像3a,3bの位置関係が設定される。より具体的には、平面実像3a,3bの垂直な中心線を実像中心線4a,4bとすると、平面鏡像5a,5bでのこの実像中心線4a,4bに相当する中心線が一致するように(かかる中心線を鏡像中心線6という)、ミラーla,1bのなす角度θやミラー1a,1bに対する平面実像3a,3bの位置関係が設定される。また、平面実像3a,3bは、同じ物体(この場合、人の顔)を同じ距離から撮影方向を変え、この物体の像が撮影視野範囲の中心となるようにして撮影したものであり、平面実像3a,3bの大きさは等しい。
図4はミラー1a,1bに対する視点の位置に応じたミラー1a,1bによる平面実像3a,3bの見え方を模式的に示す図であって、図4(a)は視点の位置に応じた視線を、図4(b)はミラー1a,1bを通して見える平面実像3a,3bの像(観察像)を示す図である。また、8a,8bは観察像であり、図2に対応する部分には同一符号をつけて重複する説明を省略する。
図4(a)は視点7がミラー1a側にある場合を示すものであって、この場合には、視点7から平面実像3aのミラー1aに映る像、即ち、平面鏡像5aが観察像8aとして見える状態にある。視点7が図面上右方向のミラー1b側に移動していくと、この平面鏡像5aが見えるミラー1aでの位置も同方向に移動し、ミラー1aの右端まで移動する。図4(a)の上方の光路図はこのときの視点7からの視線を示すものであり、図4(a)の下方の図はこのときのミラー1a,1bで見える観察像8aを示すものである。
図4(a)に示す状態から、さらに、視点7が右方向に移動すると、ミラー1aでは、観察像8aがさらに右方へ移動してその右側の部分から見えなくなっていき、これとともに、平面実像3bの像、即ち、平面鏡像5bが観察像8bとしてその右側からミラー1bの右端部で映り始め、右方に移動して映る部分が多くなる。
ここで、ミラー1aで平面実像3aの観測像8aが見えるということは、この平面実像3aの平面鏡像5aからの光線がこのミラー1aを通って視点7に達することと等価であり、かかる光線がミラー1aを通らない平面鏡像5aの部分はミラー1aに移らず、見ることができないものである。平面実像3aはミラー1aによるものであるから、このミラー1aに対して有効であり、ミラー1bはこの平面鏡像5aに対しては作用しない。同様にして、ミラー1bで平面実像3bの観測像8bが見えるということは、この平面実像3bの平面鏡像5bからの光線がこのミラー1bを通って視点7に達することと等価であり、かかる光線がミラー1bを通らない平面鏡像5bの部分はミラー1bに移らず、見ることができないものである。平面実像3bはミラー1bによるものであるから、このミラー1bに対して有効であり、ミラー1aはこの平面鏡像5bに対しては作用しない。
そこで、図4(a)に示す状態から視点が右方に移動した場合には、図4(b)に示すように、平面鏡像5aの一部、即ち、向かって右側の部分から視点7に向かう光がミラー1aからはずれて視点に達しなくなり、このため、ミラー1aで観測像8aの右側の部分が欠けて観測されることになる。また、これとともに、平面鏡像5bの右側の部分から視点7に向かう光がミラー1bを通ることになり、このため、ミラー1bの左端から観測像8bの右側の部分が見えてくることになる。
そして、図4(b)の上方の光路図に示すように、視線7から鏡像中心軸6に向かう視線がミラー1a,1bの境を通る状態になると、図4(b)の下方の図に示すように、ミラー1aの右端部に観察像8aの左半分が映り、ミラー1bの左端部に観察像8bの右半分が映る状態となる。
図4(b)に示す状態から、さらに、視線7が右方向に移動すると、図4(b)で説明したことから、図4(c)に示すように、ミラー1aでは、さらに観察像8aがミラー1aの右端から隠れていき、ミラー1bでは、観察像8bが右方に移動して全体が見えるようになってくることになる。そして、遂には、ミラー1bで平面実像3bの像、即ち、観察像8bが見えるだけの状態となる。
このようにして、ミラー1a,1bの前で視点7を移動させていくと、最初ミラー1aで平面実像3aの観察像8aが見えるだけの状態にあったのが、この観察像aが見えなくなっていってミラー1bで平面実像3bの観察像8bが見えてくる状態に移り、遂には、ミラー1bで平面実像3bの観察像8bが見えるだけの状態となり、ミラー1a,1bを通して見える像が観察像8aから観察像8bへ移ることになる。また、視点7が上記とは逆方向に移動した場合には、観察像8bから観察像8aへ移る。
ここで、上記のように、平面実像3a,3bは、同一物体を、距離を一定として、異なる方向から見た映像であり、また、これに平面実像3a,3bの平面鏡像5a,5bは同一位置、即ち、同じ鏡像中心軸6に生ずるように構成されているので、観察像8aと観察像8bとの大きさは等しく、かつミラー1a,1bからなるミラー全体での位置は同じであり、このため、観察像8aから観察像8bヘスムーズ(連続的)に移ることになるし、また、観察像8bから観察像8aヘスムーズ(連続的)に移ることになる。
そして、平面実像3a,3bは同一物体を異なる方向から見た映像であるので、ミラー1aで見る観察像8aとミラー1bで見る観察像8bとは、同一物体を異なる方向から見た像であり、しかも、平面実像3aはこの物体を、この物体から見て、左斜めから見た映像、平面実像3bは同じく右斜めから見た映像であるから、ミラー1a,1bに対し、視線7を左側に移動させることにより、物体を左斜めから見た観察像8bを見ることができ、視線7を右側に移動させることにより、物体を右斜めから見た観察像8bを見ることができて、立体視を実現できる。このようにして、三次元映像が静止した2つのミラー1a,1bによって表示されることになる。
なお、この場合の観察像8a,8bは、ミラーで写してみる鏡像であって、左右反転している。これに対し、左側のミラー1aに対する平面実像3aを、物体を、この物体から見て、左斜めから撮影した映像(図3(b))を左右反転した映像とし、右側のミラー1bに対する平面実像3bを、同じく物体を右斜めから撮影した映像(図3(a))を左右反転した映像とすることにより、視線7を左側に移動させることにより、物体を、この物体か見て右斜めから見た観察像8aを見ることができ、視線7を右側に移動させることにより、同じく物体を左斜めから見た観察像8bを見るようにすることができて、実際に物体に対峙しているようにすることが可能となる。
また、平面実像3a,3bとしては、写真であってもよいし(この場合には、照明手段によって照明する)、また、液晶ディスプレイなどの平面ディスプレイで表示した映像であってもよい。
図5は図2に示す第1の例のシステム構成の一具体例を示すブロック図であって、9は操作部、10は制御部、11は記憶部、12a,12bは平面ディスプレイである。また、図6は図5に示すシステムの動作の一具体例を示すフローチャートである。
この具体例は、平面実像3a,3bを形成する手段として、平面ディスプレイを用いたものであって、図5において、記憶部11には、平面実像3a,3bの映像情報が記憶されている。また、図2での平面実像3aを表示するための平面ディスプレイ12aと平面実像3bを表示するための平面ディスプレイ12bとが設けられている。
以下、図6に基づいてこの第1の例の動作を説明する。操作部9が操作されることにより、電源がオンし、制御部10が起動すると(S200)、制御部10は記憶部11から平面実像3a,3bのための映像情報を読み取り、平面実像3aのための映像情報を平面ディスプレイ12aに供給して図3(a)に示すような平面実像3aを表示させ、また、平面実像3bのための映像情報を平面ディスプレイ12bに供給して図3(b)に示すような平面実像3bを表示させる(S201)。これにより、図2においては、上記のように、立体視が可能となる。操作部9で終了操作がなされない限り、平面ディスプレイ12a,12bでの平面実像の表示が続くが、操作部9で終了操作がなされると(S202)、制御部10は平面ディスプレイ12a,12bでの平面実像の表示を終了させ、電源をオフにする(S203)。
このように、ミラー1a,1bの向きが異なるため、これらミラー1a,1b毎に平面ディスプレイ12a,12bを設けることにより、これらミラー1a,1b毎に平面実像3a,3bを得ることができ、立体視が可能となる。
なお、この場合の平面実像3a,3bとしては、コンピュータグラフィックなどで任意に作成してもよいし、後述するように、CCD力メラで撮像して作成するようにしてもよい。また、CCDカメラで撮像して作成する場合には、この作成を遠隔地で行い、作成された映像データを受信して記憶部11に記憶するようにしてもよい。
以上のように、この第1の例によると、回転スクリーン(ミラー)を用いることなく、立体視が可能であって、かかる回転スクリーンのためのスペースや駆動部を必要としないので、装置の小型化や省電力を図ることができるし、静止したミラーに平面実像を投写するものであるから、二次元映像(平面実像)のミラーへの投写タイミングを考慮することなく、高解像度の鮮明な三次元映像を得ることが可能となる。
図7は、図2に示す第1の例の一変形例を示す斜視図である。この変形例は、平面実像3a,3bを水平な平面上に配置したものであり、これに応じて、即ち、平面実像3aのミラー1aによる平面鏡像5aと平面実像3bのミラー1bによる平面鏡像5bとが同一鏡像中心軸6の位置に生ずるように、ミラー1a,1bの水平面に対する傾き角Ψやミラー1a,1b間の配置角θを設定する。例えば、傾き角Ψを45°とすると、鏡像中心線6は水平面に対して垂直となる。この変形例においても、平面実像3a,3bを図1における平面実像3a,3bと同様のものとすることにより、第1の実施形態と同様の効果が得られる。
図8は図7に示す変形例のシステム構成の一具体例を示すブロック図であって、12は平面ディスプレイである。この具体例では、図7での平面実像3a,3bを形成する手段として、1つの平面ディスプレイ12を用いたものであって、この平面ディスプレイ12の画面に対向して、ミラー1a,1b(図7)が配置される。また、記憶部11には、これら平面実像3a,3bの映像情報が記憶されている。かかるシステムの動作は、図6に示すフローチャートによる動作と同様であるが、記憶部11から読み出された映像情報は平面ディスプレイ12に供給され、かかる映像情報により、この平面ディスプレイ12の表示画面に、図7に示すように、平面実像3a,3bが同時に表示される。以上のようにして、この具体例では、立体視が可能となるものであって、上記第1の例と同様の効果が得られる。
図9は図2に示す第1の例の他の変形例を示す斜視図であって、13は観測者である。この変形例では、平面実像3aを物体を左眼で見たときの映像とし、平面実像3bをこの同じ物体を右眼で見たときの映像とする。また、観察者13が所定の位置からミラー1a,1bでの平面鏡像5a,5bを見た場合、左眼7Lでミラー1aでの平面鏡像5aである観測像を見ることができ、これと同時に右眼7Rでミラー1bでの平面鏡像5bである観測像を見ることができるように、ミラー1a,1bの幅及び高さが決められている。
かかる構成の変形例では、左眼でミラー1aでの上記平面実像3aの平面鏡像5aを観測像として見ると同時に、右眼で平面鏡像5aと同一鏡像中心軸6にあるミラー1bでの上記平面実像3bの平面鏡像5bを観測像として見ることができるので、この平面実像のもととなる物体の映像を三次元(ステレオ)映像として視認できることになる。
なお、図1に示す構成の三次元映像表示装置においても、同様の平面実像3a,3bを用いることにより、同様の立体視が可能となる。
また、この具体例においても、そのシステム構成及びその動作は図7に示した具体例と同様であり、先の第1の例と同様の効果が得られる。
図10は本発明による三次元映像表示装置の第2の例を示す図であって、図10(a)は斜視図、図10(b)は縦断面図であり、1はミラー、3は平面実像、5は平面鏡像、6は鏡像中心軸、14は多角形ミラー、15は多角錐面、16は平面ディスプレイ、17は映像リングである。
図10(a)、(b)において、平面状をなす平面ディスプレイ16の上面に鏡像中心軸6となる中心軸が垂直な多角錐面15の全周に沿って、複数の二等辺三角形状のフラットなミラー1が互いに近接して配置されており、これらミラー1が1つの多角形ミラー14を形成している。ここで、この多角錐面15は、複数の二等辺三角形状のフラットな側面が円錐面の円周方向に順次配列された形状をなすものであって、この多角錐面15のフラットな側面毎に多角形ミラー14のミラー1が1つずつ位置付けられている。そして、この多角錐面15は、その先端側が平面ディスプレイ16の上面側、その底面が上側となるようにして(以下、かかる配置を下向きの配置という。従って、多角錐面15の先端側が上側にあり、その底面が平面ディスプレイ16の上面側となる配置は、上向きの配置である)、例えば、図示しない天井部などに固定支持されている。従って、各ミラー1も、その二等辺三角形状の頂点側が平面ディスプレイ16の上面側となるように、配列されている。
また、平面ディスプレイ16の上面には、多角形ミラー14のミラー1毎の平面実像3としてのコマ映像が多角錐面15の中心軸6を中心とする同一円周に沿ってリング状に配列され、コマ映像の列が表示されている。ここでは、このコマ映像の列はこの円周全体に亘って配列されているが、かかる配列を、特に、映像リング17という。この映像リング17での夫々の平面実像3は別々のミラー1に対応しており、該当するミラー1で反射されて観察者13が見ることができるようにしている。即ち、隣り合う2つのミラー1についてみると、図1や図7、図9でのミラー1a,1bに相当するものである。
そこで、夫々の平面実像3に対して、ミラー1による平面鏡像5は全て同一の鏡像中心軸6の位置に生ずるように、隣り合うミラー1の傾き角(図2(a)での傾き角θに相当)、従って、多角錐面15の傾斜角φなどが設定される。ここでは、図10(b)に示すように、この傾斜角φを45°としており、これにより、平面実像3が水平面上にあることから、すべてのミラー1による平面鏡像5の位置はこの水平面に垂直な鏡像中心線6に一致する。従って、各ミラー1と鏡像中心線6とのなす角度も45°となる。このとき、各ミラーは、ハーフミラーでもよく、ハーフミラーとした場合、ミラーの裏側の景色が透けて見えるため、まるで鏡像が空中に浮いているように見える。
図11はこの平面ディスプレイ16に表示される映像リング17の一具体例を示すものであって、3a〜3pは平面実像(コマ映像)である。図11において、映像リング17は、例えば、リング状に配列された複数のコマ映像である平面実像3a〜3pから構成されている。これら平面実像3a〜3pは夫々、同じ物体を、その全周にわたって、その周囲の異なる位置から見たときのコマ映像であり、見る方向が変わる順に配列されている。例えば、平面実像3aがこの物体の正面から見たコマ映像とすると、平面実像3iが同じこの物体を真後ろから見たコマ映像であり、これら平面実像3a〜3pの投写映像面での位置はこの物体を見る位置に対応している。これら平面実像3a〜3pは夫々多角形ミラー10の別のミラー1で反射される。
映像リング17としては、コンピュータグラフィックなどで任意に作成してもよいし、後述するように、CCDカメラで撮像して作成するようにしてもよい。また、CCDカメラで撮像して作成する場合には、この作成を遠隔地で行ない、作成された映像データを受信して記憶部11に記憶するようにしてもよい。
この第2の例のシステム構成も、図8に示すシステム構成と同様であり、その動作も、図6に示すフローチャートによるものと同様である。
以上のように、この第2の例も、回転するスクリーン(ミラー)を不要とし、先の第1の例と同様の効果が得られるとともに、物体の全周360°にわたる視点から見た鏡像を得ることができる。
図12は本発明による三次元映像表示装置の第3の例を示す図であって、図12(a)は斜視図、図12(b)は縦断面図であり、14は部分多角形ミラー、15’は部分多角錐面である。また、図10に対応する部分には同一符号をつけて重複する説明を省略する。
ここで、図10に示す第2の例では、多角錐面15として、その360°の分全体を用いたものであるが、図12に示す第3の例は、周囲側面が180°にわたる部分多角錐面15’(即ち、ここでは、多角錐面をその中心軸を含む平面で2分した一方の部分)を用い、そのフラットな側面に夫々二等辺三角形状のミラー1を配置した部分多角形ミラー14’を形成したものである。従って、図10に示す第2の実施形態の半分の個数のミラー1が配置されることになる。物体の周り360°の三次元映像を見るのでなければ、即ち、前方だけから見るものである場合には、図12のように、その一部を用いるようにすることが可能である。
また、平面ディスプレイ16に表示される平面実像3も、図10に示す第2の例の半分の個数でよく、これら平面実像3は円周の半分の部分に沿って互いに近接して配列されたものとなる。ここでは、かかる平面実像3の列を半映像リング17’という。この半映像リング17’は、物体を右側面側から見た平面実像から正面から見た平面実像を経て左側面側から見た平面実像からなるものであり、図11を例にすると、平面実像3m−3p、3a−3eの平面実像がこの順に表示される。
この第3の例は、先の各例と同様の効果が得られるが、さらに、例えば、室内の壁際に配置されるなど、裏側までまわって見る必要がない場合などで用いられるものであり、不要な部分を削除してより小型化を図ることができる。
なお、この第3の例では、コマ映像の列として、180°の円弧に沿う半映像リング17’を用いたが、これに限らず、多角錐面での側面を使用する範囲に応じて(かかる多角錐面は、全周にフラットな側面を有する多角錐面での側面が使用されない範囲の部分は除かれている)、180°よりも大きな円弧や小さい円弧に沿う平面実像3としてのコマ映像の列を用いる構成としてもよい。
[実施例]
以下、二次元映像と三次元映像の表示を切り替える実施例について説明する。
図13は、本発明による二次元映像と三次元映像の両方の表示を切り替えることができる三次元映像表示装置の第1の実施例を示す斜視図である。平面ディスプレイ16は、破線で示す垂直位置と実線で示す水平位置をとることができる。18は遮光板であり、図10に対応する部分には同一符号をつけて重複する説明を省略する。
図13において、平面ディスプレイ16は、垂直に立てられた状態では通常の二次元映像出力画面として用いることができ、そのディスプレイ領域全体を余すところなく使うことで、一度に多くの情報を提示することができる。また、平面ディスプレイ16を実線で示すように水平に倒し、その上に、多角錐面型ミラー14を置くことで、平面ディスプレイ16にコマ映像として表示される映像を三次元映像として表示することが可能になる。多角錐面型ミラーは、多角錐面の一部を構成するように組み合わされた複数のミラーを備える。
図13においては、多角錐面型ミラー14のミラー1の間毎に遮光板18が設けられており、鏡像を見ている正面のミラー1以外のミラー1からの反射光を遮光し、他のミラー1の鏡像が正面のミラーの鏡像と同一視野に見えることがないようにしている。従って、他のミラー1の鏡像に邪魔されずに、正面のミラー1の鏡像だけを見ることができ、物体を見る方向に応じてこの物体のその方向から見た映像のみを明確に見ることができる。
なお、ミラー1の間毎に遮光板18を設ける代わりに、映像リング17の平面実像3間に遮光板を設けるようにしてもよく、同様の効果が得られる。あるいはまた、ミラー1もしくは映像リング17に視野角制限フィルタを設けるようにしてもよい。視野角制限フィルタは、透明素材でできた板状の部材の中に、板厚の半分程度のピッチでフィン状の薄い遮光板を縦に挿入した構造であり、いずれの方向から多角錐面型ミラー14を見ても、見ているミラー1以外のミラー1からの鏡像が遮光されて、その方向毎に該当するミラー1での鏡像5だけが見えるようにするものである。この場合にも上記と同様の効果が得られる。
以上の遮光板や視野角制限フィルタは、既に説明した実施例や後述の実施例に適用できることはいうまでもない。
図14は、図13に示した三次元映像表示装置の変形例を示す図である。図14において、19は三次元的に見える鏡像であり、図13に対応する部分には同一符号をつけて重複する説明を省略する。図14の例では、周囲側面を180°とした部分多角錐面15を用い、そのフラットな側面に夫々二等辺三角形状のミラー1を配置した多角錐面型ミラー14を立体視用のミラーとして用いた。部分多角錐面15は、多角錐面をその中心軸を含む平面で2分した一方の部分に相当する。従って、図13に示した実施例の半分の個数のミラー1が配置されることになる。また、平面ディスプレイ16に表示される平面実像3も、図12で述べた映像と同様で、図10で説明したコマ映像の半分の個数でよく、これら平面実像3は円周の半分の部分に沿って互いに近接して配列されたもの(半映像リング17)となる。
なお、立体視用のミラーは必ずしも図示したものに限るものではなく、物体の周り180°の像を見るのでなければ、即ち、前方だけから見るものである場合には、その一部を用いるようにしてもよい。
二次元映像表示時には不要な多角錐面型ミラーを表示装置の筐体内部奥にしまっておき、三次元の立体映像を表示したい場合には、筐体前面の平面ディスプレイを倒して、奥にしまっておいた多角錐面型ミラーを平面ディスプレイ上にのせることで、二次元映像と三次元映像の表示切替えをスムーズに行うことができる。
多角錐面型ミラー14は、完全なミラーでもハーフミラーでもよく、ハーフミラーを用いた場合には、後ろ側の背景が透けて見えるため、鏡像19が空中に浮遊しているかのような表現が可能になる。
三次元映像の表示の際に平面ディスプレイに表示するコマ映像の列として、180°の円弧に沿う半映像リング17を用いたが、これに限らず、多角錐面での側面を使用する範囲に応じて(かかる多角錐面は、全周にフラットな側面を有する多角錐面での側面が使用されない範囲の部分は除かれている)、180°よりも大きな円弧や小さい円弧に沿う平面実像3としてのコマ映像の列を用いる構成としてもよい。
図15は、多角錐面15を真上から見た図であって、15aは、180°の円弧に沿う正多角形の半分の形状、15bは、円弧にそって、少しずつ、各面の角度と長さの違う多角形の例である。図14で示した多角錐面15は、真上から見ると図15(a)と同様に、180°の円弧に沿うような正多角形を用いたが、これに限らず、図15(b)のように、必ずしも各面が合同でなくてもよく、図10(b)に示すように、隣り合う各ミラー面の傾き角が全て45°になるように設置されていれば、各ミラー面の中心角や、辺の長さが異なっていてもよい。これにより、遊技者が筐体の真正面に座り、遊技時にあまり体を移動しないような遊技においては、表示装置の真正面に近い部分は角度分解能を上げ、周辺は角度分解能を下げることで、少し、頭を移動しただけで、異なる視点から見た被写体が表示されるなど遊技者の視点の位置に適した表示を実現することができる。
図16は、遊技機の中に組み込む際の一具体例について示した図であって、20は遊技機、21は図14に示した多角錐面型ミラー14、多角錐面15、遮光版18を備えた三次元映像表示装置である。遊技機20は、前面に平面ディスプレイ16を備えているとする。このとき、平面ディスプレイ16の内部後方領域に、三次元映像表示装置21を収納する仕組みである。このように遊技機の中に三次元映像表示装置21などを隠しておくことで、通常は普通の平面ディスプレイと同様の使い方ができ、三次元映像を表示するための仕掛けも遊技者の目から隠すことができる。
図17は、平面ディスプレイの駆動方法の一例について示した側面図である。平面ディスプレイ16は、遊技機20の筐体前面側に傾動自在に設置され、下側結合点27で固定され、垂直状態から水平状態(あるいは、その逆)まで自由に回転できるように結合されている。通常の二次元映像を表示している状態では、平面ディスプレイ16は垂直に立てられた立て位置にあり、遊技者22に対して遊技に関する様々な情報を提示する。平面ディスプレイ16の上側結合点28は、スライダ24とチェーンやベルトなどの連結用部材23で結合されており、スライダ24は、モーター25によって制御され、平面ディスプレイ16の上方に固定された移動レール26上を滑らかに移動する。このとき、スライダ24の位置に応じて連結用部材23の長さが調節され、それに伴い、徐々に平面ディスプレイ16は傾いていく。スライダ24が実線の位置まできたとき、ディスプレイの上側結合点28に結合されている連結用部材23の長さは最長になり、平面ディスプレイ16は完全に水平状態(横倒し位置)になる。
図18は、三次元映像を表示するための三次元映像表示装置21の駆動方法の一例について示した側面図である。平面ディスプレイ16は、前述の駆動部によって実線で示すように横倒し位置に駆動され、水平に倒されているとする。遊技者22から見て遊技機20の筐体内部後方には、三次元映像表示装置21が破線で示すように遊技機20の筐体内部上方の駆動部に固定されて待機している。三次元映像表示装置21の駆動部は、移動レール29とモーター30で構成される。平面ディスプレイ16が完全に水平に倒れた時点で、三次元映像表示装置21はモーター30によって制御され、前方に移動を開始し、実線で示すようにちょうど平面ディスプレイ16の真上にきた時点で移動を停止する。
水平に倒れている平面ディスプレイ16を元の状態(垂直状態)に戻して、二次元映像表示用途で用いたいときは、まず、三次元映像表示装置21を実線の位置から破線の位置まで後方へ戻し、図17で述べた平面ディスプレイ駆動部を逆に作動させることにより、水平状態から破線で示す垂直状態へ戻せばよい。また、実線で示した三次元映像表示装置21の停止位置は、平面ディスプレイ16上であれば任意でよい。三次元映像を表示するためには、三次元映像表示装置21が設置してある位置に専用の映像を表示することが必要であるが、何らかの検知手段で三次元映像表示装置21の移動を検知し、それに追随するように平面ディスプレイ16に表示する映像自体も画面内で移動させれば、三次元映像があたかも動いているような、演出も可能になる。
図19は、図17、図18で述べた平面ディスプレイ16と三次元映像表示装置21の駆動部の上面図である。平面ディスプレイ16を動かすための移動レール26は、平面ディスプレイ16の幅方向の両端二箇所に取り付け、三次元映像表示装置21を動かすための移動レール29は三次元映像表示装置21の中心に取り付けることにより、双方の機構をうまく天井面に納めることができる。
図20は、本発明のシステム構成例を示す概略図である。記憶部11には図11に示すコマ映像3a〜3pの映像データが記憶されており、三次元映像表示時には、制御部10によって、コマ映像から半映像リングが生成され、出力部32によって、平面ディスプレイ16に映像が出力される。制御部10は、ディスプレイ駆動回路33と駆動機構25を介して平面ディスプレイ16の位置を制御する。また、制御部10は駆動回路30と駆動機構31を介して三次元映像表示装置21の位置を制御する。
図21は、三次元映像表示装置駆動機構の別の例を示す側面図である。平面ディスプレイ16は前述の駆動部によって水平に倒され実線で示す位置にあるとする。遊技者22から見て遊技機20の筐体内部後方には、三次元映像表示装置21が遊技機20の筐体内部上方の駆動部に破線で示すように固定されている。駆動部はモーター34で構成され、三次元映像表示装置21と連結している。平面ディスプレイ16が完全に水平に倒れた時点で、三次元映像表示装置21はモーター34によって水平軸の周りにゆっくりと回動され、平面ディスプレイ16に対して実線で示すように垂直かつ真上にきた時点で停止する。水平に倒れている平面ディスプレイ16を元の状態(垂直状態)に戻して、二次元映像表示用途で用いたいときは、まず、三次元映像表示装置21を再びモーター34によって回転駆動して上後方の破線位置へ移動し、図17で述べた平面ディスプレイ駆動部を逆に作動させることにより、実線で示した水平状態から破線で示す垂直状態へ戻せばよい。
図22は、三次元映像表示装置駆動機構の別の例を示す側面図である。本例は、三次元映像表示装置の待機位置が平面ディスプレイより上方にある例である。平面ディスプレイ16は、前述の駆動部によって水平に倒され実線で示す位置にあるとする。遊技者22から見て遊技機20の筐体内部後方には、三次元映像表示装置21が破線で示すように遊技機20の筐体内部奥上方に収納され、さらにその上方に設置されたモーター35と連結している。平面ディスプレイ16が実線で示すように完全に水平に倒れた時点で、三次元映像表示装置21はモーター35によって駆動され、ゆっくりと垂直下方におりてくる。三次元映像表示装置21は、実線で示すように平面ディスプレイ16に十分近づいたとき、停止する。水平に倒れている平面ディスプレイ16を元の状態(垂直状態)に戻して、二次元映像表示用途で用いたいときは、まず、三次元映像表示装置21を再び上後方21の破線位置へ移動し、平面ディスプレイ駆動部を逆に作動させることにより、平面ディスプレイ16を実線で示した水平状態から破線で示す垂直状態へ戻せばよい。
図23は、三次元映像表示装置駆動機構の別の例を示す側面図である。平面ディスプレイ16は前述の駆動部によって水平に倒され、実線で示す位置にあるとする。遊技者22から見て遊技機20の筐体内部後方には、三次元映像表示装置21が垂直軸の周りに回転可能に固定されている。駆動部はモーター36と支持棒37で構成され、三次元映像表示装置21と支持棒37は連結している。平面ディスプレイ16が完全に水平に倒れた時点で、三次元映像表示装置21はモーター36によって制御され、支持棒37を中心としてゆっくりと回転しはじめる。ちょうど180度回転し、実線で示すように平面ディスプレイ16の真上にきたときに停止する。水平に倒れている平面ディスプレイ16を元の状態(垂直状態)に戻して、二次元映像表示用途で用いたいときは、まず、多角錐面型ミラー21を再び回転させて破線位置に戻し、図17で述べたディスプレイ駆動部を逆に作動させることで、平面ディスプレイ16を破線で示す垂直状態にして再び二次元映像ディスプレイとして使用することができる。
図24は、図23に示した三次元映像表示装置駆動機構の上面図である。三次元映像表示装置21は、はじめはミラーの貼ってある面の方を後ろ側に向けた状態で待機しており、筐体内部上方に固定されている支持棒37と連結されている。支持棒37は図24に示すように、ほぼ中央部分に設置されているが、平面ディスプレイ16を駆動させるためのレール26や、結合点28は、平面ディスプレイ16の左右に設けられているため、三次元映像表示装置21を駆動させるための支持棒37とは、空間位置的にかちあわず、設置が可能である。
図25は、遊技機の前面に配置された液晶ディスプレイなどの平面ディスプレイの一部を、二次元映像と三次元映像の表示切替えの際に移動させる例を示す図である。近年の遊技機では、全面にディスプレイを配したり、複数のディスプレイを並べて、それぞれに違う映像を表示するようなものも珍しくなくなってきた。本実施例では、図25のように、中央のディスプレイ16の他に左右にディスプレイ38,39を併せ持つ遊技機20において、中央の平面ディスプレイ16を、二次元映像と三次元映像との表示切替えが可能な表示装置として用いる。すなわち、中央の平面ディスプレイ16を実線で示すように水平後方に倒して、その上に部分多角錐面型ミラー14、多角錐面15、遮光板18を備える三次元映像表示装置を置くことにより、中心軸6上に立体的な鏡像19を見せる。左右のディスプレイ38,39には二次元映像やテキストを表示することで、中央の三次元映像表示との相乗効果により、さらに演出性を高めることができる。
図26は、平面ディスプレイ16,38,39に表示する表示画像の例である。表示画像41は、図12、図17で述べた三次元映像表示用の半映像リングと同等のもので、各コマ映像を円弧状に並べたものである。図26(a)に示すように、ディスプレイ38には例えば表示例40のようなテキスト情報を表示する。また、ディスプレイ39には例えば表示例42のような二次元映像を表示する。上記の表示例は一例であって、これに限定するものではなく、テキスト情報、画像、動画などを演出に合わせて組み合わせることが可能である。図26(b)は、図26(a)のような表示を行った際に遊技者から見た様子の一例を示す。遊技機20の表示部分の中央に、表示画像41から成る立体的な鏡像19が見え、その左右のディスプレイ38,39では40,42の情報を楽しむことができる。
図27は、本発明に係る表示装置の他の実施例を示す外観斜視図である。本実施例は、平面ディスプレイを表面に有している遊技機において、平面ディスプレイが横長である場合に、その一部を二次元映像と三次元映像の表示切替えが可能な表示装置として用いた上で、さらに余ったディスプレイ部分を利用して二次元情報を表示する。すなわち、横長の平面ディスプレイ16を実線で示すように水平後方に倒して、その上に三次元映像表示装置21を置くことにより、中心軸6上に立体的な鏡像19を見せることができるが、三次元映像表示装置21の左右に平面ディスプレイ16に対して45度に傾けたミラー43,44を取り付けておき、三次元映像表示装置21と一緒に平面ディスプレイ16の真上に位置するように設置すると、平面ディスプレイ16の画面の余白部分(三次元映像表示用の画像以外の部分)に表示した映像や文字などの画像を、ミラー43,44を介して遊技者に見せることができる。このとき、余白部分に表示する情報は、ミラーによる反転を考慮して、ディスプレイ16に表示する際に反転表示を行う必要がある。
図28は、図27の上面図である。三次元映像表示装置21の左右に取り付けるミラー43,44は、フラットディスプレイ16の真上にせり出した際に、余白をできる限り覆う大きさにすると、平面ディスプレイ16の表示領域を最大限に利用することができる。
図29は、本発明に係る表示装置の他の実施例を示す上面図である。横長の平面ディスプレイ16を実線で示すように水平後方に倒して、その上に三次元映像表示装置21を置くことにより、立体的な鏡像を見せることができる。それに加えて本実施例では、三次元映像表示装置21の左右及び後方に、水平に倒した平面ディスプレイ16に対して傾き角が45度になるようにミラー45を設置し、平面ディスプレイ16の左右及び後ろの余白部分を利用して遊技者に情報を提示する。三次元映像表示装置21の後ろのミラー45を利用して映像を提示するために、三次元映像表示装置21の多角錐面型ミラーをハーフミラーとした。本実施例によると、背景映像や左右の映像に三次元映像を重ね合わせて遊技者に提示することができ、さらに演出効果を高めることができる。また、このような構成に限らず、三次元映像の背景領域にも情報を出したい場合には、三次元映像表示装置21のさらに奥に別に平面ディスプレイを設置してもよい。
図30は、図29に示した実施例において三次元映像と二次元映像とを同時に提示する際の、平面ディスプレイ16に表示する画面の一例である。図30(a)に示すように三次元表示用の映像を表示し、その左右及び、後方の余白部分に、三次元映像を重ねて表示するための二次元映像を配置した画面例46を作成する。この画面を図29に示した平面ディスプレイ16に出力すると、遊技者からは図30(b)に示すように立体的な鏡像19の後ろ側、及び左右の領域にも映像が見え、三次元映像をより楽しむことができる。
次に、本発明に係る二次元映像と三次元映像を切り替えることができる遊技機向け表示装置の他の実施例について、図31から図33を用いて説明する。本実施例では平面ディスプレイをあらかじめ水平に倒した状態で設置し、その上に45度に傾けたミラーを置くことで、通常は一般的な遊技機に見られる形態と同様に遊技機前面に二次元映像が表示されているような演出を可能とするが、遊技の途中、場面に応じて、45度傾いたミラーを収納し、前述した三次元映像表示装置を平面ディスプレイの上に移動することにより、三次元映像の表示が可能な遊技機を実現したものである。
図31は、45度に傾けて配置されたミラーの駆動方法の一例を説明する側面図である。遊技者22から見てディスプレイ47は、常に遊技機20の筐体内部に水平に置かれ、二次元映像表示時には、ミラー48はディスプレイ47に対して45度傾いた状態で、ディスプレイ47の真上に設置されている。これにより、遊技者22は、ミラー48を介してディスプレイ47の画面全体を視聴できる。図31ではディスプレイ47は、平面ディスプレイとして図示したが、これに限ったことではなく、厚みのあるディスプレイでもよい。また、ディスプレイを複数並べて設置しても構わない。ここで、遊技者22は、ディスプレイ47の鏡像を見ることになるので、図14で示したように平面ディスプレイが遊技機の前面に設置されている場合と比べると、画面が遊技機20の筐体内部奥に位置しているように見える。ミラー48は結合点49及びチェーンやベルトなどの連結用部材53で、スライダ50と結合している。スライダ50は、モーター52によって制御され、移動レール51上を滑らかに移動する。このとき、スライダ50の位置に応じて連結用部材53の長さが調節される。ミラー48は徐々に持ち上げられ、ほぼ水平になった状態で停止する。
図32は、三次元映像を表示するための三次元映像表示装置21の駆動方法の一例を示す側面図である。二次元映像を表示するために45度に傾いた状態で固定されていたミラー48は、前述の駆動部によってほぼ水平に持ち上げられている。こうして、平面ディスプレイ47の上方に三次元映像表示装置21を配置するための空間が確保される。遊技者22から見て遊技機20の筐体内部後方には、三次元映像表示装置21が遊技機20の筐体内部上方の移動レール29とモーター30で構成される駆動部に固定されている。ミラー48が完全に持ち上げられた状態で、三次元映像表示装置21はモーター30によって駆動され、移動レール29に沿って前方に移動を開始する。そして、実線で示すようにディスプレイ47の真上にきた時点で移動を停止する。これにより、三次元映像の表示が可能になる。水平に持ち上げられているミラー48を元の状態(45度傾いた状態)に戻して、二次元映像表示用途で用いたいときは、まず三次元映像表示装置21を破線で示す後方位置へ戻し、図31で述べたミラー48の駆動部を逆に作動させる。
図33は、図32の上面図である。三次元映像表示装置21は、筐体内部上方に固定されている移動レール29と連結されている。移動レール29は、図33に示すように、ほぼ中央部分に設置されているが、二次元映像を表示するミラー48を駆動させるためのレール51や、結合点49は、ミラー48の左右に設けられているため、三次元映像表示装置21を駆動させるための移動レール29とは、空間位置的にかちあわず、設置が可能である。
次に、本発明に係る二次元映像と三次元映像の表示切替えが可能な表示装置の切り替え時の演出方法について図34から図37を用いて説明する。
本発明では、二次元映像と三次元映像の表示切替え時に構造物を移動する必要があるため、切り替えが終了するまでにどうしてもある程度の時間が必要になる。その間、構造物の移動を遊技者から見えにくくすることは、演出上、重要なことであり、遊技者に飽きずに遊んでもらうためには必須ともいえる機能である。本実施例では、二次元映像と三次元映像の表示切替え時における準備時間中の演出方法及び、構造物の移動を遊技者になるべく見せないようにするための方法について説明する。
図34は、ライトを用いる方法の一例について説明する外観斜視図である。三次元映像表示に切り替える方法として、例えば図18にて説明した方法を例に述べる。また、ディスプレイの利用方法として、図25に示したものを例に述べる。
本実施例では、まず平面ディスプレイ16を水平に倒し、三次元映像表示装置21をその上に置くことが必須であるが、その際に遊技者に対して内部の機械構造をなるべく見せないように、例えばスポットライトのような光源54を点灯すると、表示切り替え時に遊技者の眼をそらすことができる。光源54の設置方法は、図34のように平面ディスプレイ16の上方左右に設置してもよい。ただし、光源の数や設置位置は、この例に限らず、自由に決めてよい。このとき、なるべく平面ディスプレイ16の近くに、かつ光線が遊技者に向かうように設置すると、より内部の機構が動く様を遊技者から見えにくくするという効果を期待できる。
図35は、表示切替え時にライトを点灯する実施例のシステム構成例示す概略図である。記憶部11には図11に示すコマ映像3a〜3pの映像データが記憶されており、三次元映像表示時には、制御部10によって、コマ映像から半映像リングが生成され、出力部32によって、平面ディスプレイ16に映像が出力される。制御部10は、ディスプレイ駆動回路33と駆動機構25を介して平面ディスプレイ16の位置を制御する。また、制御部10は、駆動回路30と駆動機構31を介して三次元映像表示装置21の位置を制御する。さらに、制御部10は、三次元映像表示装置21が移動を開始する際に、ライト54を点灯させ、三次元映像表示装置21が移動を終了した後に、ライト54を消灯するなどの制御も行う。
図36は、ライトによる演出方法の処理フロー図である。二次元映像と三次元映像の表示に切替える指令をうけると、まず平面ディスプレイ16の画面出力をOFFにする(S101)。映像信号を遮断してもよいし、もしくはソフトウェア的な処理で黒画面を出力する方法でもよい。次に、ライト54を点灯させる(S102)。ライトは点灯後、点滅させたり、色を変えるなどの変化を与えてもよい。ライト点灯後、平面ディスプレイ16の移動を開始し(S103)、平面ディスプレイ16が完全に水平になった後、多角錐面型ミラー48をディスプレイ16の真上に移動する(S104)。多角錐面型ミラーが完全に停止した後、平面ディスプレイ16の画面出力をONにし、三次元映像表示用の映像を出力する(S105)。最後に、ライト54を消灯し(S106)、処理を終了する。以上のように、画面出力とライトの制御を細かく行うことで、より遊技者に表示切り替えの仕組みを見せにくくすることができ、本発明の演出効果を長く維持することが可能になる。
図37は、二次元映像と三次元映像の表示切替時における準備時間中の演出方法及び、構造物の移動を遊技者になるべく見せないようにするための、別の例を示す図である。本実施例では、遊技機20の前面において、平面ディスプレイ16の前に、液晶シャッター装置55を取り付けた。液晶シャッターとは、液晶に電気的な刺激を与えると分子の配列状態が変化し、光の透過率が変わることを利用した電気的なシャッターである。これを利用することで、表示切替え時の機械物移動の際には、液晶シャッターの透過率を下げて不透明にすることで、遊技者22から装置の内部構造を遮蔽することが可能になる。