JP4850532B2 - エアドライバ装置 - Google Patents

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Description

本発明は、ビスやボルト・ナット等のねじ部材の締め付けに使用されるエアドライバ装置に関し、特に、ねじ部材を所定の締付力で締め付けるためのエアドライバ装置に関するものである。
従来、ビスやボルト・ナット等のねじ部材の締め付けに使用されるエアドライバ装置として、締付トルクがトルク設定値に達した場合に、締付トルク制御機構及びシャットオフバルブ機構により、エアモータへの圧縮空気の供給を遮断し、ねじ部材を所定の締付力で締め付けるようにしたエアドライバ装置が提案され、実用化されている(特許文献1及び2参照)。
このエアドライバ装置は、主軸を押し込むことによりエア供給路に配設したシャットオフバルブ機構のシャットオフバルブを開いてエアモータを回転させる作動軸を備えるとともに、エアモータにより回転するカムと主軸とを、締付トルクがトルク設定値に達した場合に相対的に回転差動させるトルク制御機構により接続し、トルク制御機構の回転差動によりプッシュロッドを移動させることによりシャットオフバルブ機構のシャットオフバルブを閉じてエアモータを停止するようにしている。
より具体的には、このエアドライバ装置は、トルク制御機構として、図13〜図14に示すように、主軸101に穿孔されたボール嵌合孔121内に嵌合支持されたボール126を、カム105の各ボール支持面120へ当接させるとともに、主軸101のボール嵌合支持部の外周に、ボール126と当接する面をテーパ面としたカムリング123を軸方向に摺動可能に嵌合することにより、エアモータ103によって回転するカム105からの回転駆動力をボール126を介して主軸101に伝達するようにし、一方、締付トルクがトルク設定値に達すると、ボール126がカム105のボール支持面120から外周方向へ押し出され、カム105と主軸101の間のトルク伝達が停止される構造のものを採用し、ボール126がカム105のボール支持面120より外周方向へ押し上げられたとき、カム105と主軸101との間に回転方向の差動が生じ両者間に回転差が生じることにより、カム105と一体となって回転するように設けられたパイロットピン122を、主軸1に対して相対的に回転することになり、その面取段部131の突部側にてロックピン140を押し上げ、ロックピン140によるパイロットピン122の面取段部131との係止を解除して、パイロットピン122及びプッシュロッド104の移動を可能にし、シャットオフバルブ機構のシャットオフバルブ110を閉じてエアモータを停止するようにしていた。
このように、上記従来のエアドライバ装置は、トルク制御機構として、カム105、ボール126、カムリング123等の構成部材からなる複雑な構造のものを用いているため、装置を小形化することが困難であり、また、構成部材が摩耗しやすく耐久性に乏しいという問題があった。
特公昭58−34265号公報 特開2004−106146号公報
本発明は、上記従来のエアドライバ装置の有する問題点に鑑み、構造が簡単で装置を小形化しやすく、また、耐久性に優れたエアドライバ装置を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、本発明のエアドライバ装置は、エアモータを備え、締付トルクがトルク設定値に達した場合に、締付トルク制御機構及びシャットオフバルブ機構により、エアモータへの圧縮空気の供給を遮断し、ねじ部材を所定の締付力で締め付けるようにしたエアドライバ装置において、締付トルク制御機構を、クラッチ部と、締付トルクがトルク設定値に達した場合に前記クラッチ部のクラッチ板同士が相対的に回転差動することにより軸方向に移動するようにした一方のクラッチ板を背面に形成した駆動ピストンと、該駆動ピストンを収容するシリンダと、該シリンダ内に充填したオイルを介して前記駆動ピストンと連動し、前記シャットオフバルブ機構を作動させるチェック弁と、該チェック弁の軸方向に移動可能に配設した慣性力吸収用ピストンと、トルク設定値を規定するトルク調節部材とからなり、前記慣性力吸収用ピストンを介してトルク調節部材を構成するばねの付勢力がチェック弁に作用するようにすることにより、前記トルク調節部材によって定めたトルク設定値に締付力が達したときに、前記ばねの付勢力に抗してチェック弁が開放されて移動するとともに、オイルを介して前記ばねの付勢力に抗して慣性力吸収用ピストンがチェック弁の軸方向に移動して、慣性力吸収用ピストンを収容した副シリンダ内にオイルが一時貯留されるようにしたことを特徴とする。
本発明のエアドライバ装置によれば、締付トルク制御機構を、クラッチ部と、締付トルクがトルク設定値に達した場合に前記クラッチ部のクラッチ板同士が相対的に回転差動することにより軸方向に移動するようにした一方のクラッチ板を背面に形成した駆動ピストンと、該駆動ピストンを収容するシリンダと、該シリンダ内に充填したオイルを介して前記駆動ピストンと連動し、前記シャットオフバルブ機構を作動させるチェック弁と、トルク設定値を規定するトルク調節部材とから構成することにより、構造が簡単で装置を小形化することができ、また、作動機構にシリンダ内に充填したオイルを介在させることにより、摩耗しやすい構成部材が少なく、耐久性に優れたエアドライバ装置を提供することができる。
そして、前記チェック弁に、チェック弁の軸方向に移動可能に慣性力吸収用ピストンを配設し、該慣性力吸収用ピストンを介してトルク調節部材を構成するばねの付勢力がチェック弁に作用するようにするとともに、慣性力吸収用ピストンを収容した副シリンダ内にオイルが一時貯留されるようにすることにより、クラッチ部の係脱を円滑に行うことができ、シャットオフバルブ機構の作動時の慣性力によるねじ部材の締め付け過ぎを防止し、所定の締付力で正確な締付を行うことができる。
以下、本発明のエアドライバ装置の実施の形態を、図面に基づいて説明する。
図1〜図12に、本発明のエアドライバ装置の一実施例を示す。
このエアドライバ装置は、主軸1を押し込むことによりエア供給路8に配設したバルブ2を開いてエアモータ3を回転させるプッシュロッド4を備えるとともに、エアモータ3により回転される減速駆動部5と主軸1とをトルク制御機構6により接続し、締付トルクがトルク設定値に達した場合に、締付トルク制御機構6及びシャットオフバルブ機構7により、エアモータ3への圧縮空気の供給を遮断し、ねじ部材を所定の締付力で締め付けるようにしたものである。
そして、このエアドライバ装置は、特許文献2と同様、図2及び図4に示すように、エア供給路8に配設したバルブ2の下流側に、エアモータ3に連通するエアモータ側流路9aと、圧力検知手段(図示省略)に連通する検知側流路9bとを形成し、締付トルク制御機構6及びシャットオフバルブ機構7によって、プッシュロッド4が後退したときに、エアモータ側流路9aのみを閉鎖する栓体10をプッシュロッド4の先端側に配設するとともに、プッシュロッド4に摺動可能にプッシュパイプ11を外嵌し、プッシュパイプ11を介して主軸1の押し込み時にバルブ2の開状態を維持するようにしている。
より具体的には、プッシュロッド4は、栓体10を摺動可能に貫設したスライド棒12に摺動可能に嵌挿されている。
スライド棒12には、栓体10を内側から押圧する押し片13が外嵌されている。
これにより、プッシュロッド4は押し片13を介して栓体10を開栓状態にするようにされている。
一方、プッシュパイプ11は、スライド棒12の縁部に当接できるように配設されており、この縁部を押圧することによりスライド棒12を移動させてバルブ2を開くようにされている。
この際、押し片13はスライド棒12に外嵌されていることから、プッシュパイプ11は、押し片13を栓体10に作用させることなく栓体10を閉栓状態としてバルブ2を開くことができるようにされている。
これにより、プッシュロッド4を後退させてエアモータ3を停止する際に、検知側流路9bに高圧のエアを作用させることができ、これにより、シャットオフを認識させてボルト等の締付回数を正確にカウントすることができるようにしている。
ところで、このエアドライバ装置は、締付トルク制御機構6を、図2、図3及び図5〜図8に示すように、クラッチ部61と、締付トルクがトルク設定値に達した場合にクラッチ部61のクラッチ板61a、61b同士が相対的に回転差動することにより軸方向に移動するようにした一方のクラッチ板61aを背面に形成した駆動ピストン62と、この駆動ピストン62を収容するシリンダ63と、シリンダ63内に充填したオイルを介して駆動ピストン62と連動し、シャットオフバルブ機構7を作動させるチェック弁64と、トルク設定値を規定するトルク調節部材65とからその主要部を構成するようにしている。
この場合、クラッチ部61の他方のクラッチ板61bは、主軸1の背面に形成するようにしている。
また、トルク調節部材65は、チェック弁64を付勢するトルク調節用ばね65a、ばね受け65b、戻り止め65c、回転調整部材65d及び緩み止め用ばね65eとから構成し、回転シリンダ63の後部に延設したチェック弁64の収容部63aの外周面に形成した雄ねじに螺合した回転調整部材65dを、エアドライバ装置本体Kを通して外部から操作することにより、チェック弁64を付勢するトルク調節用ばね65aの付勢力、すなわち、トルク設定値を調節することができるようにしている。
そして、チェック弁64には、チェック弁64の軸方向に移動可能に慣性力吸収用ピストン66を配設し、この慣性力吸収用ピストン66を介してトルク調節用ばね65aの付勢力がチェック弁64に作用するようにするとともに、慣性力吸収用ピストン66を収容した副シリンダ63b内にシリンダ63のオイルが一時貯留されるようにしている。
これにより、クラッチ部61の係脱を円滑に行うことができ、シャットオフバルブ機構7の作動時の慣性力によるねじ部材の締め付け過ぎを防止し、所定の締付力で正確な締め付けを行うことができる。
エアドライバ装置本体Kの外周部には、図1、図2及び図9に示すように、エアドライバ装置本体Kの外周面を覆うように反力吸収用のグリップ14を配設するようにする。
このグリップ14は、グリップ本体を、合成樹脂、ゴム等の柔軟性を有する材料から形成するとともに、グリップ14とエアドライバ装置本体Kとを、グリップ14の軸方向の一部分で部分的に固定するようにする。
ここで、グリップ14とエアドライバ装置本体Kとの固定は、特に限定されるものではないが、例えば、グリップ14の内周面に形成した嵌合部(嵌合凸部)14aと、エアドライバ装置本体Kの外周面に形成した嵌合部(嵌合凹部)Kaとを嵌合させ、さらに必要に応じて、この部分を接着剤等を用いて、固定するようにする。
これにより、グリップ14の固定部Fからグリップ14に伝達された反力を、グリップ14の非固定部(図9(a)において、固定部Fの右側)がねじられることによって吸収することができ、エアドライバ装置本体Kから作業者に伝わる反力を3次元的に分散させて軽減することができる。
なお、グリップ14の固定部Fの長さは、特に限定されるものではないが、グリップ14の固定部Fの強度、グリップ14の非固定部がねじられることによって吸収する想定される反力の大きさ等に応じて、グリップ14の全長の10〜40%、好ましくは、15〜30%程度に設定するようにする。
また、グリップ本体を形成する材料には、柔軟なゲル状のシリコン樹脂やウレタン樹脂を好適に用いることができる。
これにより、エアドライバ装置本体Kから作業者に伝わる反力を一層軽減することができる。
また、グリップ14の非固定部の内周面に、エアドライバ装置本体Kの外周面との摩擦抵抗を軽減できる離隔部材14bを配設することができる。
この場合、離隔部材14bは、グリップ14の固定部Fに対して、グリップ14の固定部Fの長さと略同じ長さに形成したグリップ14の非固定部を挟んで配設するようにすることが望ましい。
この離隔部材14bは、グリップ本体を形成する材料よりも硬質のポリオレフィン系樹脂等の合成樹脂や鉄、アルミニウム等の金属からなる筒状体を好適に用いることができる。なお、離隔部材14bは、グリップ本体を成形する際に、型材として、一体成形することができる。
これにより、グリップ14の非固定部が摩擦抵抗によってエアドライバ装置本体Kの外周面に拘束されることを防止し、グリップ14の非固定部がねじられることを許容するようにすることができる。
次に、このエアドライバ装置の作用について説明する。
ボルトやナット或いはビスの締め付け等を行う場合、主軸1の先端にアタッチメントを装着し、図10の状態から主軸1を軸方向に押圧すると、図11に示すように、プッシュロッド4等を介してバルブ2が開くように操作され、コンプレッサからの高圧のエアがエアモータ3に供給される。これにより、エアモータ3は所定の方向に回転し、減速駆動部5を介して締付トルク制御機構6が回転する。
締付トルク制御機構6において、回転力は、シリンダ63、シリンダ貫通軸63c、駆動ピストン62及びクラッチ部61を介して、主軸1に伝達される。
そして、主軸1はその締め付けの際、押圧力により後退し、所望の締め付けが行われる。
そして、締め付けが進行し、その締付トルクが予めトルク調節部材65を調節することによって定めたトルク設定値である所定の締付力に達すると、図12に示すように、チェック弁64を付勢するトルク調節用ばね65aの付勢力に抗して、クラッチ部61のクラッチ板61a、61b同士が相対的に回転差動することにより駆動ピストン62が軸方向に移動し、これにシリンダ63内に充填したオイルを介してチェック弁64が連動して、シャットオフバルブ機構7を作動させる。
その結果、プッシュロッド4が後退することによって栓体10を閉じ、エアモータ3を停止する。
このとき、引き続く主軸1の押し込みにより、プッシュパイプ11が、スライド棒12を介して、バルブ2を開いた状態に保持することから、検知側流路9bに高圧のエアを供給して圧力検知手段(図示省略)に作用させることができ、これにより、シャットオフを認識させてボルト等の締め付け回数をカウントすることができる。
なお、締め付け完了後は、押し込みを止めることにより、主軸1、プッシュパイプ11及びスライド棒12が後退(先端側に復帰)して、バルブ2が閉じるとともに、締付トルク制御機構6及びシャットオフバルブ機構7が元に戻り、次の締め付けを行えるようになる。
また、このエアドライバ装置は、エアドライバ装置本体Kの外周面を覆うように配設した反力吸収用のグリップ14のグリップ本体を、柔軟性を有する材料から形成するとともに、グリップ14とエアドライバ装置本体Kとを、グリップ14の軸方向の一部分で部分的に固定するようにしているので、固定部Fからグリップ14に伝達された反力を、グリップ14の非固定部がねじられることによって吸収することができ、これにより、エアドライバ装置本体Kから作業者に伝わる反力を軽減することができる。
以上、本発明のエアドライバ装置について、その実施例に基づいて説明したが、本発明は上記実施例に記載した構成に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲において適宜その構成を変更することができるものである。
本発明のエアドライバ装置は、構造が簡単で装置を小形化しやすく、また、耐久性に優れていることから、各種電気機械の組立ライン等で用いられるエアドライバ装置の用途に好適に用いることができる。
本発明のエアドライバ装置の一実施例を示す正面図である。 同断面図である。 同部分拡大断面図である。 同部分拡大断面図である。 主軸を示し、(a)は正面図、(b)は正面断面図、(c)は右側面図である。 駆動ピストンを示し、(a)は平面図、(b)は正面図、(c)は左側面図、(d)は正面断面図である。 シリンダを示し、(a)は平面図、(b)は正面断面図、(c)は左側面図、(d)は右側面図である。 構成部材の説明図である。 グリップを示し、(a)は正面断面図、(b)は左側面図、(c)は右側面図である。 エアドライバ装置のスタート前の断面図である。 エアドライバ装置の締め付け時の断面図である。 エアドライバ装置のシャットオフ時の断面図である。 従来のエアドライバ装置を示し、(a)はスタート前の断面図、(b)はシャットオフ時の断面図である。 同(a1)、(a2)は図13(a)の横断面図、(b1)、(b2)は図13(b)の横断面図である。
1 主軸
2 バルブ
3 エアモータ
4 プッシュロッド
5 減速駆動部
6 締付トルク制御機構
61 クラッチ部
61a クラッチ板
61b クラッチ板
62 駆動ピストン
63 シリンダ
64 チェック弁
65 トルク調節部材
66 慣性力吸収用ピストン
7 シャットオフバルブ機構
8 エア供給路
9a エアモータ側流路
9b 検知側流路
10 栓体
11 プッシュパイプ
12 スライド棒
13 押し片
14 グリップ
14a 嵌合部
14b 離隔部材
F グリップの固定部
K エアドライバ装置本体
Ka 嵌合部

Claims (1)

  1. エアモータを備え、締付トルクがトルク設定値に達した場合に、締付トルク制御機構及びシャットオフバルブ機構により、エアモータへの圧縮空気の供給を遮断し、ねじ部材を所定の締付力で締め付けるようにしたエアドライバ装置において、締付トルク制御機構を、クラッチ部と、締付トルクがトルク設定値に達した場合に前記クラッチ部のクラッチ板同士が相対的に回転差動することにより軸方向に移動するようにした一方のクラッチ板を背面に形成した駆動ピストンと、該駆動ピストンを収容するシリンダと、該シリンダ内に充填したオイルを介して前記駆動ピストンと連動し、前記シャットオフバルブ機構を作動させるチェック弁と、該チェック弁の軸方向に移動可能に配設した慣性力吸収用ピストンと、トルク設定値を規定するトルク調節部材とからなり、前記慣性力吸収用ピストンを介してトルク調節部材を構成するばねの付勢力がチェック弁に作用するようにすることにより、前記トルク調節部材によって定めたトルク設定値に締付力が達したときに、前記ばねの付勢力に抗してチェック弁が開放されて移動するとともに、オイルを介して前記ばねの付勢力に抗して慣性力吸収用ピストンがチェック弁の軸方向に移動して、慣性力吸収用ピストンを収容した副シリンダ内にオイルが一時貯留されるようにしたことを特徴とするエアドライバ装置。
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