JP4850530B2 - 鋼線材のインライン熱処理方法及びインライン熱処理装置 - Google Patents

鋼線材のインライン熱処理方法及びインライン熱処理装置 Download PDF

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Description

本発明は、非沸騰の特性を有する溶融塩中に加熱された鋼線材を浸漬冷却する鋼線材の熱処理方法に関する。
鋼板および線材等の金属材料の熱処理方法として、溶融塩等の非沸騰の特性を有する高温液体を用いた冷却方法が広く用いられている。例えば、特許文献1および特許文献2には、溶融塩浴を用いた鋼線材の熱処理方法および装置が開示されている。溶融塩等の非沸騰型の高温液体がこれら鋼材の冷却に用いられるのは、主として以下の理由による。一つは、水等の沸騰型の冷却液と異なり、冷却中の加熱鋼材周囲に沸騰膜が生じないために冷却能力が高いこと、あと一つは、300℃以上の高温域においても沸騰等が生じない安定した液体であるために、高温の安定した冷却完了温度で冷却を行うこと、さらに冷却終了後の鋼材を高い温度域で安定して恒温保持することが可能であるからである。
しかしながら、このような優れた特性を有する非沸騰型の冷却液を用いた冷却においても、現状はいくつかの問題点がある。その一つとして、冷却能力不足による熱処理された鋼材の材質不均一の問題が挙げられる。熱処理された鋼材の特性は冷却速度の影響を受けて変化し、例えば強度は冷却速度が大きいほど高くなり、逆に冷却速度が小さいほど低くなるのが一般的である。また、熱処理された鋼材の組織も冷却速度の影響を受けて変化し、冷却速度の差異が大きい場合は、冷却速度の高い部位と低い部位との間で異なる組織となる場合もある。一般に、溶融塩と直接接触する鋼材表面の冷却速度は高く、直接接触しない内部の冷却速度は、鋼材の中心部に向かうにつれて低くなる。また、その差異は、鋼材の代表寸法、例えば板状の鋼材であればその板厚、線状の鋼材であればその直径が大きくなるにつれて大きくなる。また、代表寸法が大きな鋼材ほど、平均的な冷却速度は小さくなり、代表寸法が小さな鋼材ほど、平均的な冷却速度は大きくなる。
このような問題に対して、熱処理された鋼材の特性および組織を均一とするには、鋼材に対する溶融塩の鋼材への衝突速度を高くすることが有効であることが知られており、例えば、特許文献3、特許文献4および特許文献5には、非沸騰型冷却液を鋼材に噴射衝突させることを特徴とする鋼材の冷却方法が開示されている。これらの冷却方法を用いれば、鋼材を均一に冷却することが可能となる。しかしながら、これらの冷却方法は、鋼板を対象としたものであり、線材の冷却に適用して、同等の効果を得ることは難しい。その理由を以下に説明する。一般的な鋼線材圧延設備においては、非特許文献1にその一例が示されているように、熱間圧延機の直後に熱処理ラインが配置され、熱間圧延後のリング状の鋼線材が圧延と連続的に熱処理される。リング状で搬送方向に広げられた形態で熱処理される鋼線材(ルーズコイル)は鋼板と比較して、溶融塩の噴射方向に垂直な面内における鋼材の投影面積が小さく、噴射された溶融塩のほとんどは、鋼線材に衝突することなく通過してしまう。このように噴射された溶融塩が、鋼材に衝突することなく通過する場合には、以下の問題が生じる。特許文献3、特許文献4および特許文献5に開示された鋼材の冷却方法においては、鋼材の熱処理を均一に行うことを目的に、対向する方向、これら発明では上下方向から溶融塩が噴射される。このような噴射方法で冷却を行う場合に、噴射された溶融塩のほとんどが鋼材に衝突することなく通過してしまう場合、鋼材に衝突することなく通過した、上下それぞれの方向から噴射された溶融塩には、互いに干渉が生じる。噴射された溶融塩が互いに干渉して衝突すると、高温の溶融塩が冷却設備周囲に激しく飛散して、実用上冷却が不可能となるという問題が生じるばかりでなく、互いの衝突により、噴射された溶融塩の移動速度が低下して、目的とする鋼材への高い衝突速度を維持することが不可能となる。
このような問題に対しては、特許文献6には、空気等のガス体で槽内の溶融塩を攪拌しつつ加熱鋼材を冷却する方法が開示されている。しかしながら、この方法では、鋼材周囲の溶融塩の移動速度をあまり高くすることはできず、また攪拌の駆動媒体として用いるガス体が、直接鋼材に接触して冷却能力が低下する問題が生じる。
特開昭57−92136号公報 特開昭57−92137号公報 特開平03−114609号公報 特開平03−211225号公報 特開平03−281734号公報 特開昭56−102524号公報 コロナ社刊 塑性加工技術シリーズ8 棒線・形・管圧延 p.58
解決しようとする問題点は,非沸騰の特性を有する高温液体を用いて、加熱された鋼線材を冷却する鋼線材の熱処理方法において発生する、熱処理された鋼線材の材質不均一の問題である。
本発明は、上記課題に鑑み、非沸騰型の高温液体を用いて、加熱された鋼線材を均一に冷却し、熱処理された鋼線材の断面内材質不均一を実用上問題ない程度にまで低減することを可能とする鋼線材の熱処理方法を提供することを目的としている。
上記の目的を達成するため、本発明者らは、鋼線材の熱処理において、溶融塩が流動する冷却槽内に鋼線材を浸漬冷却することにより均一な材質を得るための熱処理方法について広く研究を行った。これにより以下の知見を得た。
鋼線材周囲に高速の溶融塩の噴流を得る方法に関しては、特許文献1〜5に開示されている、大気中に保持された鋼材に溶融塩を衝突させる方法では、鋼線材の冷却の場合は、噴射された溶融塩の相互の干渉により、所定の衝突速度を維持することが困難であるが、鋼材を浸漬させた冷却槽内の溶融塩を強攪拌して、鋼材周囲に高速の溶融塩の流れを生じさせることにより、熱処理された鋼材の材質を均一化するのに十分な鋼材への溶融塩の衝突速度を得ることが可能となる。
次に均一な材質を得るために必要な流速に関して調査検討を行った。従来の技術においては、たとえば特許文献3、4、5では吐出される溶融塩の流量で、特許文献6では攪拌に用いるガス体の流量と冷却槽の断面積から求まるガス体の空塔速度により冷却槽に吐出させる媒体の量を規定するにとどまり、鋼材周りの溶融塩の流速には言及していない。
本発明者らは、冷却中の鋼線材周りの溶融塩流速の影響を明確にすることが重要と考え、必要流速の調査検討を行った。調査は長さ300mmの直線上の鋼線材を、その長手方向および半径方向の流れが生じている冷却槽中で浸漬冷却し、冷却後の鋼線材断面内の強度ばらつきを硬度測定により確認した。流れの方向を長手方向と半径方向としたのは、以下の理由による。
本発明が対象とする冷却方法において、鋼線材はリング状で搬送方向に広げられた形態で冷却槽内に浸漬されて熱処理される。この場合、冷却槽内の溶融塩の流れを一定の方向に維持したとしても、熱処理される鋼線材が広げられたリング状であるために、溶融塩の鋼線材への衝突方向は場所によって異なり一定の衝突方向とすることは実用上困難と考えられる。
従って、流速のみならず鋼線材への溶融塩の衝突方向の影響も本発明を実現する上で重要な技術的課題と考えその影響についても調査することとし、その代表的方向として上述の鋼線材の長手方向および半径方向について調査した。その結果、流速が0.3m/sec以上であれば、断面内の材質不均一が生じない熱処理鋼線材が得られることを知見した。流速が0.3m/sec未満の場合は、冷却速度不足に起因する材質不均一が生じる。このため、下限を0.3m/secとした。
次に本発明者らは、流速の上限について調査検討を行った。この際、流速の上限は高流速となるにつれて冷却槽内での溶融塩の遥動が激しくなり鋼線材の搬送が困難になると考え、冷却槽内での鋼線材の搬送性に着目して、リング状に巻き取られた鋼線材を浸漬させた冷却槽内の溶融塩に流動を生じさせ、その鋼線材近傍の流速と搬送性との関係について調べた。その結果、流速が3.0m/secを超えると、高流速噴流の溶融塩中での鋼材の遥動が激しくなり、冷却槽内での鋼材の搬送が困難となることを知見した。この結果に基づいて、上限を3.0m/secとした。
冷却槽内の溶融塩を強攪拌する方法としては、特許文献6に記載の、攪拌の駆動媒体としてガス体を用いる方法では、熱処理された鋼材の材質を均一化するのに十分な溶融塩の噴流流速0.3m/sec以上を得ることは困難であるが、攪拌の駆動媒体として、槽内の溶融塩中で溶融塩自体を吐出させることにより、熱処理された鋼材の材質を均一化するに十分な噴流流速が得られる。冷却槽内に溶融塩を吐出させるには、冷却槽内または槽外に設置したポンプを用いて槽内に溶融塩を強制吐出する方法等を用いれば良い。冷却槽内の液温を一定に維持するためにポンプを用いて槽内に溶融塩を吐出させ槽外の熱交換機との間で溶融塩を循環させる方法は一般に用いられているが、この方法においては、吐出される溶融塩により槽内の溶融塩に流動が極力生じないように熱交換に必要最低限の溶融塩を循環させるのが一般的で、本発明が指向するような槽外からの溶融塩の吐出により冷却槽内の溶融塩を強攪拌することは想定されていない。
さらに、冷却槽内に仕切り板を設置することにより、槽内の噴流をより均一な流速の噴流とすることが可能となる。また、冷却槽底部に溶融塩排出管を配置し、底部から溶融塩を排出させることにより、槽内の噴流をより均一な流速の噴流とすることが可能となる。
本発明は上記の知見を基になされたものであって、その要旨は以下のとおりである。
本発明によれば、熱間圧延後リング状に巻き取られて搬送方向に広げられたルーズコイルまたは再加熱されたルーズコイルを、非沸騰の特性を有する溶融塩中で浸漬冷却する鋼線材のインライン熱処理方法において、前記溶融塩が満たされている冷却槽中で前記溶融塩を、ルーズコイルの搬送方向に直交する断面内において流速0.3〜3.0m/secで流動させることを特徴とする鋼線材のインライン熱処理方法が提供される。
前記鋼線材のインライン熱処理方法において、前記冷却槽内の溶融塩の流動は、前記ルーズコイルの線材密度の低い幅中央部から上昇して線材密度の高い幅端部を越えるように流動し、さらにルーズコイルの脇を下降する流動であるか、または、前記ルーズコイルの両脇から上昇して、線材密度の高い幅端部を越えるように流動し、さらに線材密度の低い幅中央部を下降する流動であってもよい。
前記鋼線材のインライン熱処理方法において、前記冷却槽内の溶融塩の流動を、冷却槽内に敷設した配管から溶融塩を吐出させることにより生じさせるようにしてもよい。
前記溶融塩を吐出させる吐出口の位置を、冷却槽内の水平位置で示したときの幅中央位置に、またはルーズコイルの幅方向端をつないだ包絡線と冷却槽の側壁との間の水平位置に配置するようにしてもよい。
前記溶融塩を吐出させる吐出口の鉛直方向の位置を、前記冷却槽底面から溶融塩深さの1/5以下の位置としてもよい。
前記溶融塩吐出口から噴出した噴流と、冷却槽の槽中において冷却槽幅方向の両脇または片脇に満たされた溶融塩との混合を抑える仕切り板を設け、前記仕切り板によって前記噴流を整流するようにしてもよい。
前記溶融塩の流動が上昇した後下降した場合の下降地点であり且つ前記冷却槽の底部近傍である位置に、溶融塩循環のための溶融塩排出口を配置し、ここから溶融塩を排出するようにしてもよい。
以上に記載した鋼線材のインライン熱処理方法において、前記ルーズコイルの上方にローラーを設置し、前記鋼線材の浮上を抑えるようにしてもよい。
別の観点による本発明によれば、熱間圧延後リング状に巻き取られて搬送方向に広げられたルーズコイルを、または再加熱されたルーズコイルを、非沸騰の特性を有する溶融塩中で浸漬冷却する鋼線材のインライン熱処理装置において、冷却槽内の溶融塩の流動が、前記ルーズコイルの線材密度の低い幅中央部から上昇して線材密度の高い幅端部を越えるように流動し、さらにルーズコイルの脇を下降する流動となるか、または、前記ルーズコイルの両脇から上昇して、線材密度の高い幅端部を越えるように流動し、さらに線材密度の低い幅中央部を下降する流動となるように、冷却槽内に溶融塩を吐出させる配管を有するとともに、冷却槽中で前記溶融塩を、ルーズコイルの搬送方向に直交する断面内において流速0.3〜3.0m/secで流動させる能力を有することを特徴とする鋼線材のインライン熱処理装置が提供される。
前記鋼線材のインライン熱処理装置において、前記溶融塩吐出口が、冷却槽内の水平位置で示したときの幅中央位置に、またはルーズコイルの幅方向端をつないだ包絡線と冷却槽の側壁との間の水平位置に配設されていてもよい。
前記溶融塩吐出口が、前記冷却槽底面から溶融塩深さの1/5以下の位置に配設されていてもよい。
前記溶融塩吐出口から噴出した噴流と、冷却槽の槽中において冷却槽幅方向の両脇または片脇に満たされた溶融塩との混合を抑え、前記噴流を整流する仕切り板を設けるようにしてもよい。
前記溶融塩の流動が上昇した後下降した場合の下降地点であり且つ前記冷却槽の底部近傍である位置に、溶融塩循環のための溶融塩排出口を有するようにしてもよい。
以上に記載の鋼線材のインライン熱処理装置において、前記ルーズコイルの上方位置に、一部または全部が溶融塩に浸漬して、前記ルーズコイルの浮上を抑えるローラーが設置されていてもよい。
本発明により、非沸騰の特性を有する高温液体を溶融塩として用いる鋼線材の熱処理において、冷却槽内で、熱処理された鋼線材の断面に材質ばらつきを生じさせることがない冷却速度を得るために必要な流速の噴流を得ることが可能となり、均一な材質の熱処理鋼線材を得ることが可能となる。さらに、この噴流の流速を冷却槽内で均一にすることが可能となり、より均一な材質の熱処理鋼線材を得ることができる。
以下、本発明の実施の形態について図面に基づいて説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
図8はリング状に巻き取られて搬送方向に広げられたルーズコイル1(鋼線材)が複数の搬送ローラー2からなるローラテーブル上で搬送されている状況を示す。このルーズコイル1は、搬送方向Aから見ると、巻き取ったリング直径の長さで鋼線材断面の直径の数倍の太さを持った水平方向の線分に見える。
図1は、ルーズコイル1の冷却を例に、本発明の冷却槽8内に溶融塩Bを吐出させる配管3を敷設したインライン熱処理装置10を示した正面断面図である。図2は、図1の側面断面図である。本発明では、図1の正面図に示すように、冷却槽8の底面付近であってルーズコイル1の幅方向の端面と冷却槽8の側壁面との間に、溶融塩Bを吐出させるための配管3を敷設し、配管3から上方に溶融塩Bを吐出させる。配管3からの溶融塩Bの吐出により、冷却槽8内では図1に示すように冷却槽8の側壁面に沿って上昇し液面6付近で内側に転向しルーズコイル1の幅方向の端部の上方を越えてから下降する噴流7が生じ、ルーズコイル1は上から下への強噴流環境下で冷却される。このときの噴流7は,搬送方向Aに直交する断面内で流速0.3〜3.0m/secに設定される。
図3は、溶融塩Bを吐出させる配管3を、冷却槽8内の溶融塩深さの1/2の深さの位置に配置した場合の,本発明のインライン熱処理装置10を示した正面断面図である。この場合も、配管3からの溶融塩Bの吐出により、冷却槽8内では図3に示すような噴流7が生じ、ルーズコイル1は上から下への強噴流環境下で冷却される。なお、配管3の位置が液面6近くになると、吐出した溶融塩Bが液面6から突出し、液面6の遥動が激しくなり、それに伴いルーズコイル1も遥動することにより搬送が困難となる場合が生じる。以上のことから、溶融塩Bを吐出させる配管3は、冷却槽8の底面から溶融塩深さの4/5以下の深さの位置とすることが望ましい。
図4は、溶融塩Bを吐出させる配管3を、インライン熱処理装置10の正面断面図中の水平方向中心位置、即ち、ルーズコイル1の直下に敷設したインライン熱処理装置10を示した正面断面図である。溶融塩Bを吐出させる配管3を、このように配置した場合は、ルーズコイル1が配管3から吐出した上方への噴流7中で冷却される。噴流7は,ルーズコイル1の幅方向の中央部を上昇してルーズコイル1の幅方向の端部の上方を越えてルーズコイルの脇から下降する。この場合、図5に示すように浮上防止のためにルーズコイル1の上方にローラー9を設置し、これでルーズコイル1を押さえても良い。しかし、溶融塩Bを吐出させる配管3は、図1に示すように、正面断面図で、ルーズコイル1の端面とインライン熱処理装置10の側壁面との間に配置することがどちらかと言えば望ましい。また、ルーズコイル1に衝突する溶融塩Bの流動方向はルーズコイル1を浮上させないように上から下方向であることが望ましい。
図6は、仕切り板4を設置した、本発明のインライン熱処理装置10を示した正面断面図である。仕切り板4を設置することにより、配管3の吐出口近傍の溶融塩Bの噴流7の水平方向への拡散をおさえ、流れを上下方向に整流することが可能となり、ルーズコイル1周りの上から下への噴流7をより均一とすることができる。
図7は、底部に、溶融塩循環のための溶融塩排出管5を有する、本発明のインライン熱処理装置10を示した正面断面図である。底部の溶融塩排出管5の吸引効果により、ルーズコイル1周りの上から下への噴流をより均一かつ高速にすることができる。
本発明の溶融塩Bとしては、鋼材を熱処理する際に沸騰が生じさせないために、1200℃以下の温度域で非沸騰の特性を有する高温液体、例えば、溶融塩等を用いる。
以下に、本発明の実施例について説明する。熱間圧延機で直径9.0mmに熱間圧延された炭素を0.75%含有するリング状に巻き取られた炭素鋼ルーズコイルを図1に示すインライン熱処理装置10を用いて冷却した。圧延後の線材温度は900℃であり、この線材を溶融塩として、硝酸ナトリウムと硝酸カリウムとを重量比で50:50の割合で混合した500℃の溶融塩を用いて熱処理した。
ルーズコイル周りの溶融塩流速が0.2m/secの場合、熱処理後の断面内の硬度は、マイクロビッカース硬さで350〜400Hvの間で変化し、50Hv程度の差異が生じた。
ルーズコイル周りの溶融塩流速を0.3m/secの場合は、熱処理後の断面内の硬度は、400〜410Hvの間で変化し、差異は10Hv程度の実用上問題のない程度にまで低減された。
ルーズコイル周りの溶融塩流速を1.0m/secとした場合は、熱処理後の断面内の硬度は、415〜420Hvの間で変化し、差異は実用上問題のない7Hv程度となった。
ルーズコイル周りの溶融塩流速を3.0m/secとした場合は、熱処理後の断面内の硬度は、415〜420Hvの間で変化し、差異は実用上問題のない5Hv程度となった。
さらにルーズコイル周りの溶融塩流速を上げて、3.1m/secとした場合、搬送ローラー2上でルーズコイルが遥動、浮上し、搬送不可能となった。
本発明は、鋼材製造における、熱間圧延後の鋼線材の冷却による熱処理に利用することが可能である。
ルーズコイルの冷却を例に、本発明の冷却槽内に溶融塩を吐出させる配管を敷設した,本発明のインライン熱処理装置を示した正面断面図である。 図1の側面断面図である。 溶融塩を吐出させる配管を、冷却槽内の溶融塩深さの1/2の深さの位置に配置した場合の,本発明のインライン熱処理装置を示した正面断面図である。 溶融塩を吐出させる配管を、インライン熱処理装置の正面断面図中の水平方向中心位置に敷設した,本発明のインライン熱処理装置を示した正面断面図である。 ルーズコイル上にローラを設置したインライン熱処理装置を示した正面断面図である。 仕切り板を設置した本発明のインライン熱処理装置を示した正面断面図である。 底部に、溶融塩循環のための溶融塩排出管を有する本発明のインライン熱処理装置を示した正面断面図である。 ルーズコイルが搬送されている状況を示す斜視図である。
符号の説明
1 ルーズコイル
2 搬送ローラー
3 溶融塩吐出配管
4 仕切り板
5 溶融塩排出管
6 溶融塩の液面
7 冷却槽内の溶融塩の流れ
8 冷却槽
9 ローラー
10 インライン熱処理装置

Claims (14)

  1. 熱間圧延後リング状に巻き取られて搬送方向に広げられたルーズコイルまたは再加熱されたルーズコイルを、非沸騰の特性を有する溶融塩中で浸漬冷却する鋼線材のインライン熱処理方法において、前記溶融塩が満たされている冷却槽中で前記溶融塩を、ルーズコイルの搬送方向に直交する断面内において流速0.3〜3.0m/secで流動させることを特徴とする鋼線材のインライン熱処理方法。
  2. 前記冷却槽内の溶融塩の流動が、前記ルーズコイルの線材密度の低い幅中央部から上昇して線材密度の高い幅端部を越えるように流動し、さらにルーズコイルの脇を下降する流動であるか、または、前記ルーズコイルの両脇から上昇して、線材密度の高い幅端部を越えるように流動し、さらに線材密度の低い幅中央部を下降する流動であることを特徴とする請求項1に記載の鋼線材のインライン熱処理方法。
  3. 前記冷却槽内の溶融塩の流動を、冷却槽内に敷設した配管から溶融塩を吐出させることにより生じさせることを特徴とする請求項2に記載の鋼線材のインライン熱処理方法。
  4. 前記溶融塩を吐出させる吐出口の位置を、冷却槽内の水平位置で示したときの幅中央位置に、またはルーズコイルの幅方向端をつないだ包絡線と冷却槽の側壁との間の水平位置に配置することを特徴とする請求項3に記載の鋼線材のインライン熱処理方法。
  5. 前記溶融塩を吐出させる吐出口の鉛直方向の位置を、前記冷却槽底面から溶融塩深さの1/5以下の位置とすることを特徴とする請求項3または4に記載の鋼線材のインライン熱処理方法。
  6. 前記溶融塩吐出口から噴出した噴流と、冷却槽の槽中において冷却槽幅方向の両脇または片脇に満たされた溶融塩との混合を抑える仕切り板を設け、
    前記仕切り板によって前記噴流を整流することを特徴とする請求項3〜5のいずれかに記載の鋼線材のインライン熱処理方法。
  7. 前記溶融塩の流動が上昇した後下降した場合の下降地点であり且つ前記冷却槽の底部近傍である位置に、溶融塩循環のための溶融塩排出口を配置し、ここから溶融塩を排出することを特徴とする請求項2〜6のいずれかに記載の鋼線材のインライン熱処理方法。
  8. 前記ルーズコイルの上方にローラーを設置し、前記ルーズコイルの浮上を抑えることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の鋼線材のインライン熱処理方法。
  9. 熱間圧延後リング状に巻き取られて搬送方向に広げられたルーズコイルを、または再加熱されたルーズコイルを、非沸騰の特性を有する溶融塩中で浸漬冷却する鋼線材のインライン熱処理装置において、
    冷却槽内の溶融塩の流動が、前記ルーズコイルの線材密度の低い幅中央部から上昇して線材密度の高い幅端部を越えるように流動し、さらにルーズコイルの脇を下降する流動となるか、または、前記ルーズコイルの両脇から上昇して、線材密度の高い幅端部を越えるように流動し、さらに線材密度の低い幅中央部を下降する流動となるように、冷却槽内に溶融塩を吐出させる配管を有するとともに、冷却槽中で前記溶融塩を、ルーズコイルの搬送方向に直交する断面内において流速0.3〜3.0m/secで流動させる能力を有することを特徴とする鋼線材のインライン熱処理装置。
  10. 前記溶融塩吐出口が、冷却槽内の水平位置で示したときの幅中央位置に、またはルーズコイルの幅方向端をつないだ包絡線と冷却槽の側壁との間の水平位置に配設されていることを特徴とする請求項9に記載の鋼線材のインライン熱処理装置。
  11. 前記溶融塩吐出口が、前記冷却槽底面から溶融塩深さの1/5以下の位置に配設されていることを特徴とする請求項9または10に記載の鋼線材のインライン熱処理装置。
  12. 前記溶融塩吐出口から噴出した噴流と、冷却槽の槽中において冷却槽幅方向の両脇または片脇に満たされた溶融塩との混合を抑え
    前記噴流を整流する仕切り板を設けていることを特徴とする請求項9〜11のいずれかに記載の鋼線材のインライン熱処理装置。
  13. 前記溶融塩の流動が上昇した後下降した場合の下降地点であり且つ前記冷却槽の底部近傍である位置に、溶融塩循環のための溶融塩排出口を有することを特徴とする請求項9〜12のいずれかに記載の鋼線材のインライン熱処理装置。
  14. 前記ルーズコイルの上方位置に、一部または全部が溶融塩に浸漬して、前記ルーズコイルの浮上を抑えるローラーが設置されていることを特徴とする請求項9〜13のいずれかに記載の鋼線材のインライン熱処理装置。
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