JP4849764B2 - 抗微生物ペプチドおよびそれらの使用法 - Google Patents

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Description

【0001】
発明の技術分野
本発明は、一般に抗微生物ペプチドに関し、より詳細にはポリフェムシン様ペプチドと称される抗微生物ペプチドの新規クラスに関する。
【0002】
発明の背景
1981年に、緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)におけるポリカチオン性抗生物質の機構を説明するために、自己促進型取込み仮説(self-promoted uptake hypothesis)が、最初に提唱された。この仮説に従い、ポリカチオンは、二価カチオンが隣接するリポ多糖分子と架橋しているグラム陰性菌の外膜上の部位と相互作用する。ポリカチオンのこれらの部位との高い親和性のために、ポリカチオンは、二価のカチオンと置き換わり、かつこのポリカチオンは、二価カチオンよりもかさ高(bulky)であるので、外膜において構造的混乱を引き起す。これらの混乱は、β-ラクタム系抗生物質ニトロセフィン、真核生物非特異性防御タンパク質リゾチームおよび疎水性物質などの化合物に対する、増大した外膜浸透性を生じる。同様に、この経路に接近する分子は、それら自身の取込みを促進することが提唱されている。
【0003】
グラム陰性菌の外膜は、抗生物質および宿主防御分子の細菌細胞内のそれらの標的へのアクセスを制限する半透性分子「篩」であることが明らかに示されている。従って、自己促進型取込みシステムに接近するカチオンおよびポリカチオンは、それらの外膜透過性障壁と相互作用しおよびこれを破壊する能力に関して、グラム陰性病原菌の抗生物質および宿主防御分子に対する感受性を増大することが可能である。ハンコック(Hancock)およびワン(Wong)は、広い範囲のこのような化合物は、透過性障壁に打ち勝つことを明らかにし、かつこれらを説明するために「透過性上昇物(permeabilizer)」という名称を作った(HancockおよびWong、Antimicrob. Agents Chemother.、26:48(1984))。自己促進型取込みおよび透過性上昇物は、最初に緑膿菌について説明されたが、これらは現在様々なグラム陰性菌について説明されている。
【0004】
過去10年にわたり、非特異的防御分子が、昆虫およびヒトを含む多くの動物において説明されている。これらの分子のひとつのサブセットは、一般に下記の特徴を有する:(a)これらは、通常長さが15〜35個のアミノ酸残基の小ペプチドであり、(b)これらは、4個またはそれより多い正帯電したアミノ酸残基、リシンまたはアルギニンのいずれかを含み、ならびに(c)これらは、それらが由来した生物において非常に豊富に認められる。これらの分子のいくつかが単離され、アミノ酸が配列決定され、特許文献において開示されている(例えば、セクロピン:国際公開公報第8900199号、国際公開公報第8805826号、国際公開公報第8604356号、国際公開公報第8805826号;デフェンシン:欧州特許第193351号、欧州特許第85250号、欧州特許第162161号、米国特許第4659692号、国際公開公報第8911291号)。しかしこれらのペプチドの制限された量のみが、宿主種から単離されている。例えば、サウヤー(Sawyer)ら(Infect. Immun.、56:693(1988))は、109個のプライミングした腹腔好中球またはリポ多糖で誘起した肺胞マクロファージ(すなわち、動物全体に存在する数)から、ウサギ好中球デフェンシン1およびデフェンシン2を100〜200mg単離した。
【0005】
ペプチド合成技術を使用するこれらのペプチドの生成は、限定された量のペプチドを生じ、かつスケールアップする場合または多くの変種ペプチドが作出されなければならない場合には経費がかかる。更にアミノ酸合成技術を用いひどく高価である15N-および13C-標識したアミノ酸を特異的に組込まない限りは、構造解析は困難である。
【0006】
カブトガニの血球は、ポリフェムシンIおよびII並びにタキプレシンIからIIIを含む、β-シートペプチド抗生物質の独自のファミリーを含んでいる(Nakamuraら、J. Biol. Chem.、263:16709-16713(1988);および、Miyataら、J. Biochem.、106:663-668(1989))。これらのペプチドは、構造的に密接に関連しており、かつ血球細片(debris)中に非常に豊富に存在する。アメリカカブトガニ(Limulus polyphemus)から単離されたポリフェムシン、およびカブトガニ(Tachypleus tridentatus)、ミナミカブトガニ(Tachypleus gigas)およびマルオカブトガニ(Carcinoscorpius rotundicauda)から単離されたタキプレシンは、各々、長さ18および17個のアミノ酸残基である。これらのペプチドは、細菌および真菌の増殖の阻害、並びに水疱性口内炎ウイルス、インフルエンザA型ウイルスおよびヒト免疫不全ウイルス(HIV)-1(Miyataら、J. Biochem.、106:663-668(1989);Masudaら、Biochem. Biophy. Res. Commun.、189:845-850(1992);Morimotoら、Chemotherapy、37:206-211(1991);および、Murakamiら、Chemotherapy、37:327-334(1991))、ヘルペスウイルス、B型肝炎ウイルスおよびC型肝炎ウイルスなどを含むエンベロープウイルスの複製の阻害のような、様々な生物活性を示す。別の研究は、タキプレシンIは、DNAおよびリポ多糖(LPS)のようなアニオン性分子に結合し、かつカブトガニ(Limulus)凝固カスケードにおける開始因子であるI因子のLPS媒介した活性化を阻害することを示している(Nakamuraら、前掲;Miyataら、前掲;Yonezawaら、Biochemistry、31:2998-3004(1992))。従ってこれらの節足動物のペプチドは、抗内毒素療法の潜在的な治療物質として特に薬学的に関心が高い。
【0007】
5種の節足動物ペプチドにおいて、タキプレシンIの二次構造のみが、核磁気共鳴スペクトルにより決定されている(Kawanoら、J. Biol. Chem.、265:15365-15367(1990))。これが2つのジスルフィド橋により拘束されかつII型β-ターンにより連結された、逆平行β-シート構造からなるかなり剛性の平面コンホメーションを有することはわかっている。この平面コンホメーションにおいて、5個のかさ高な疎水性側鎖基がこの平面の一方の側に位置し、かつ6個のカチオン性側鎖基がこの分子の「尾部」に分布されている。ポリフェムシンおよびタキプレシンは、多くの天然の抗微生物ペプチドと同様、ポリカチオン性および両親媒性であり、かつそのC末端がアミド化されている。これらの特性は、タキプレシンIの作用様式および毒性に関係している(Parkら、Biochemistry、31:12241-12247(1992))。この群のペプチドのHIV-1に対する抗ウイルス作用に関する多くの研究が実施されている(Tamamuraら、Biochim. Biophys. Acta、1163:209-216(1993);Tamamuraら、Bioorg. Med. Chem.、6:1033-1041(1998);Arakakiら、J. Virol.、73:1719-1723(1999))。しかし抗微生物機構および抗内毒素活性に焦点をあてた研究はほとんどない。限られたデータが、タキプレシンIは、高濃度(阻害濃度の>100倍)で、細菌細胞およびヒト赤血球の形態学的および透過性の変化を引き起し、黄色ブドウ球菌および大腸菌細胞のK+透過性を上昇し、同時に細胞生存力を低下することを示している(Katsuら、Bio. Pharm. Bull.、16:178-181(1993))。
【0008】
グラム陰性菌は、2つの細胞エンベロープ膜を有する。外膜は、外側の小葉状の部分(leaflet)において細胞表面の90%を超えてかさ高の糖脂質リポ多糖(LPS)がおおい、かつ内側の小葉状の部分において細胞膜の組成と類似の組成のリン脂質を伴う非対称膜である。多くの抗微生物カチオン性ペプチドが、グラム陰性菌外膜のLPSと相互作用し、自己促進型取込みによりこの膜を超えて通過し、その後負帯電した細胞膜と相互作用しかつその中に挿入されることが示されている(Hancock、Lancet、349:418-422(1997))。しかし、これらのカチオン性ペプチドの標的は、十分には理解されていない。多くのペプチドに関してモデル膜における病巣の形成が観察されているが、このような相互作用を細菌細胞死を引き起す事象へ関連づける説得力のある証拠はほとんどなく、少なくとも一部のペプチドが細胞膜を超え、ポリアニオン性核酸のような細胞質標的に接近することが提唱されている(Kaganら、Proc. Natl. Acad Sci. U.S.A.、87:210-214(1990);Ludtkeら、Biochemistry、35:13723-13728(1996))。
【0009】
従って、グラム陰性菌、グラム陽性菌、真菌、原虫、ウイルスなどを含む多くの微生物に対する、広範な抗微生物活性を強力に有するポリペプチドを開発する必要がある。
【0010】
発明の概要
本発明は、抗微生物活性を有する、ポリフェムシン様ペプチドと称される、カチオン性ペプチドを提供する。またそれらの類似体、誘導体および保存的変種も含む。
【0011】
第一の態様において、本発明は、下記からなる群より選択されるアミノ酸配列を有する単離されたペプチドを提供する:
Figure 0004849764
(配列中、Z1は、塩基性アミノ酸残基であるかまたはアミノ酸残基なし;Z2は、塩基性または芳香族残基であり、Z3は、塩基性アミノ酸残基であり、Z4は、アルギニン、バリンまたはアラニンであり、ならびにZ5は、芳香族または脂肪族アミノ酸残基である)。これらの一般式のペプチドの例は、配列番号:1から配列番号:11を含む。
【0012】
本発明は、また、細菌および酵母のような微生物の増殖を阻害する方法であって、下記からなる群より選択されるアミノ酸配列を有する単離されたペプチド:
Figure 0004849764
(配列中、Z1は、塩基性アミノ酸残基であるかまたはアミノ酸残基なし;Z2は、塩基性または芳香族残基であり、Z3は、塩基性アミノ酸残基であり、Z4は、アルギニン、バリンまたはアラニンであり、ならびにZ5は、芳香族または脂肪族アミノ酸残基である。)の阻害有効量を、単独で、または抗生物質と組合わせて細菌または酵母と接触させることを含む、方法を提供する。本発明の方法の実施において使用されるペプチドの例は、配列番号:1から配列番号:11に示したアミノ酸配列を有するペプチドである。本発明のペプチドは、抗生物質、リゾチーム、抗TNF(腫瘍壊死因子)抗体およびTNFアンタゴニストと組合せて投与することができる。本発明のペプチドとの相乗療法として使用できる抗生物質の種類は、アミノグリコシド、ペニシリン、セファロスポリン、フルオロキノロン、カルバペネム、テトラサイクリンおよびマクロライドを含む。
【0013】
別の態様において、本発明は、対象に治療的有効量の本発明のペプチドを投与することを含む、内毒素血症または敗血症に関連した疾患に罹患したまたはその危険性がある対象において内毒素血症または敗血症に関連した疾患を阻害する方法を提供する。
【0014】
発明の詳細な説明
本発明は、抗微生物活性を有しかつ抗生物質耐性生物の増殖の阻害に高い活性があるカチオン性ペプチドを提供する。これらのペプチドは、微生物の感染または増殖の阻害に加え、内毒素血症の作用の低下に有用であり、かつ従来型の抗生物質および/またはリゾチームと相乗性であることが多い。加えてこのようなペプチドは、抗真菌剤、抗腫瘍剤または抗ウイルス剤として有用である。
【0015】
本明細書において使用される用語「抗微生物」は、本発明のペプチドが、細菌、真菌、ウイルスなどの微生物の増殖または繁殖を阻害、予防または破壊することを意味する。本明細書において使用される用語「抗ウイルス」は、本発明のペプチドが、ウイルスのまたはウイルスに感染した細胞の増殖または繁殖を阻害、予防または破壊することを意味する。本明細書において使用される用語「抗腫瘍」は、本発明のペプチドが、腫瘍の増殖を阻害するまたは腫瘍を破壊するために使用することができることを意味する。本明細書において使用される用語「抗真菌」は、本発明のペプチドが、真菌の増殖を阻害するまたは真菌を破壊するために使用することができることを意味する。
【0016】
第一の態様において、本発明は、下記のアミノ酸配列を有する単離された抗微生物ペプチドを提供する:
Figure 0004849764
(配列中、Z1は、塩基性アミノ酸残基であるかまたはアミノ酸残基なし;Z2は、塩基性または芳香族残基であり、Z3は、塩基性アミノ酸残基であり、Z4は、アルギニン、バリンまたはアラニンであり、ならびにZ5は、芳香族または脂肪族アミノ酸残基である)。
【0017】
示されたタンパク質配列(配列番号:1から配列番号:11)において、変動するZ1は、そのポリペプチド配列のその位置に、塩基性側鎖を有するアミノ酸残基であるかまたはアミノ酸残基が存在しないことを示す。「塩基性」アミノ酸の例は、リシン、アルギニン、ヒスチジンなどである。変動するZ2は、塩基性側鎖または芳香族側鎖を有するアミノ酸を表す。この種のアミノ酸の例は、リシン、アルギニン、ヒスチジン、フェニルアラニン、トリプトファン、チロシンなどである。変動するZ3は、塩基性側鎖を有するアミノ酸を表す。変動するZ4は、アミノ酸アルギニン、バリンまたはアラニンを表す。変動するZ5は、芳香族側鎖または脂肪族側鎖を有するアミノ酸を表す。この種のアミノ酸の例は、フェニルアラニン、チロシン、トリプトファン、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、グリシンなどである。
【0018】
本発明のこのようなペプチドの例は、以下:
Figure 0004849764
それらの類似体、誘導体および保存的変種を含むが、これらに限定されるものではない(ここでこれらのペプチドは抗微生物活性を有する)。本発明のペプチドは、配列番号:1から配列番号:11に加え、親水性および疎水性置換を有するペプチド、並びにそれらの保存的変種の広範な群を含む。
【0019】
本発明のペプチドは、配列番号:1から配列番号:11に示されたポリフェムシン様ペプチドに加え、そのペプチドの生物活性を維持する限りは、それらの類似体または誘導体を含む。本発明のペプチドの一次アミノ酸配列の小さい修飾は、本明細書において説明された特異的ペプチドと比べ、実質的に同等の活性を有するペプチドを生じることができる。このような修飾は、位置指定突然変異誘発によるような、意図的であるか、または自然発生的であることができる。これらの修飾により生じたペプチド全てが、当初のペプチドの生物活性が依然存在する限りは本明細書に含まれる。本明細書に示された全てのペプチド配列が、最初(最も左側の位置)のアミノ末端アミノ酸残基および最後(最も右側の位置)のカルボキシ末端のアミノ酸残基を伴い示されている。
【0020】
更に、1つまたは複数のアミノ酸の欠失も、その生物活性を顕著に変更することなく、得られる分子の構造の修飾を生じることができる。これは、同じく有用性のあるより小さい活性分子の開発へとつながることができる。例えば、特定のペプチドの生物活性には必要ではないアミノまたはカルボキシ末端のアミノ酸は、取除くことができる。本発明のペプチドは、本明細書において説明された生体活性が維持される限りは、本発明において説明されたペプチドの類似体、ホモログ、突然変異体、異性体または誘導体のいずれかを含む。全てのペプチドは、Lアミノ酸を用いて合成されるが、これらのペプチドのD型は全て合成的に生成することができる。加えて、本発明のペプチドの抗微生物活性を増大するために、カルボキシ末端メチルエステル、カルボキシ末端アミドなどのようなカルボキシ末端誘導体を生成することができる。当業者は、例えば本願明細書に説明されたように、本発明のペプチドの他の関連したペプチド、類似体または誘導体を同定するために、最小発育阻止濃度(MIC)アッセイ法を行うことができる。
【0021】
本発明のペプチドは、当業者に公知の方法により、カルボキシ末端で容易に修飾することができる。このカルボキシ末端の修飾は、アミド化などを含む。
【0022】
本発明のペプチドは、本明細書に具体的に例証されたペプチドの保存的変種であるペプチドを含む。本明細書において使用された用語「保存的変種」とは、アミノ酸残基を、別の生物学的に類似した残基との置換を意味する。保存的変種の例は、イソロイシン、バリン、ロイシン、アラニン、システイン、グリシン、フェニルアラニン、プロリン、トリプトファン、チロシン、ノルロイシンまたはメチオニンを別の疎水性残基1つの置換、もしくはリシンについてのアルギニンの置換またはその逆、アスパラギン酸についてのグルタミン酸の置換またはその逆、アスパラギンについてのグルタミンの置換またはその逆のような、ひとつの極性残基の別のものとの置換を含む。別のものと置換することができる中性の親水性アミノ酸は、アスパラギン、グルタミン、セリンおよびトレオニンを含む。用語「保存的変種」は更に、該ペプチドの生物活性が維持されるならば、未置換の親アミノ酸の代わりに置換されたアミノ酸を使用することも含む。このような保存的置換は、Z1、Z2、Z3、Z4、およびZ5に関し、本発明のペプチドの種類の定義内である。
【0023】
本明細書に説明されたポリフェムシンおよびポリフェムシンの構造的変種は、βヘアピンループ含有ペプチドである。各ペプチドは、2つのジスルフィド結合により安定化された2本の逆平行β鎖、βターンが存在するβ鎖領域間のループ領域を含む。アミノおよびカルボキシ末端に位置しかつβ鎖領域の外側にあるアミノ酸残基は、このペプチドの尾部領域を形成する。
【0024】
ポリフェムシンIおよびポリフェムシンIの構造類似体のアミノ酸配列を図1に示した。好ましい構造変種は、両媒性を増大するようにデザインされている。合成された3種の例証的変種の中で、ポリフェムシンIに最も近い構造類似体は、配列番号:4(PV7)であり、これはR14とY15の間の位置スイッチに加え、10位での保存的置換がある(R10からK10)。配列番号:11(PV5)は、ループ領域のG10とF12の間に挿入された追加のアルギニン残基を伴う変種である。この構造修飾は、ペプチドの総正電荷を増大し、かつループサイズも増大する。配列番号:3(PV8)において、位置1および12の残基はスイッチされ(F12からR12およびR1からF1)、正味の正電荷およびループの疎水性の増大を生じる。このスイッチは更に、フェニルアラニンのかさ高な芳香族環および疎水親水性性質により、柔軟性を減少しかつ疎水性を増加することにより、尾部領域を変更する。一般に、3種の変種の3種全てが、インサイトIIタンパク質ペプチドモデリングプログラムを用いる分子モデリングから判断されるように、ポリフェムシンIと比べ、増大した両親媒性を有すると推定される(Molecular Simulations社、サンディエゴ、CA)。加えて、これらの変種は、より親水性でありかつひとつの変種ペプチド(配列番号:11)についてより大きいと予想される変更されたループ領域を有する。
【0025】
これらのペプチドの生物活性は、「最小発育阻止濃度」(MIC)アッセイ法のような当業者に公知の標準法により決定することができる(WuおよびHancock、J. Biol Chem.、274:29-35(1999)および実施例の項参照)。MICアッセイ法は、微生物の複製および増殖を阻害するペプチドの最低濃度の決定を可能にする。微生物集団の変化は、ブロスまたは培地中の集団の光学濃度(OD)の測定により評価される。ペプチドMICは、様々な条件下様々な微生物について決定することができる。ペプチドの生物活性に関する別のアッセイ法は、「分画阻止濃度(fractional inhibitory concentration)」(FIC)アッセイ法がある。このアッセイ法は、本発明のペプチド間の、および本発明のペプチドと公知の抗生物質のような他の化合物との間の相乗作用を決定するために特に有用である。FICアッセイ法は、追加の変数、例えば公知の抗生物質などを伴う、MICアッセイ戦略を使用する。FICアッセイ法の一型は、ブロス内に微生物を含むマイクロウェルプレート内で行われる。マイクロウェルプレートのひとつの次元(dimention)のパターに従い、希釈範囲のペプチドを、各ウェルに添加し、かつ他方の次元において抗生物質を添加する。FICは、抗生物質のペプチドMICに対する衝撃および相反関係を調べることにより計算される。FICが1である場合、化合物の影響が相加効果であることを示し、FICが1未満の場合は相乗効果であることを示している。相乗効果にとって0.5未満のFICが得られることが好ましい。本明細書において使用したように、FICは、以下のように決定することができる:
Figure 0004849764
【0026】
細菌内毒素(LPS)は、高い毒性があり、かつグラム陰性菌感染時に放出された場合ヒトおよび動物の両方において高致死率を生じ得る。中用量の内毒素に曝露されたガラクトサミン処置したマウスは、典型的には、曝露後17時間以内に内毒素性ショックにより死亡した。本発明のペプチドは、それらの内毒素誘導した死に対しマウスを防御する能力について試験することができる(実施例の項参照)。本発明のペプチドの抗内毒素活性は、マクロファージ細胞株を使用するインビトロアッセイ法においても試験することができる(Goughら、Infect. Immun.、64:4922-4927(1996);および、実施例の項参照)。
【0027】
本発明のペプチドの毒性は、ヒト赤血球細胞を溶解するペプチドの能力を評価する溶血アッセイ法を用い評価することができる(Zhangら、Biochemistry、38:8102-8111(1999);および実施例の項参照)。
【0028】
本発明のペプチドの生物活性は、ペプチドの細菌膜および膜成分(リポソーム)の相互作用する能力を試験することにより、および細菌膜を透過するそれらの能力により評価することもできる(実施例の項参照)。
【0029】
本発明のペプチドは、αアミノ基のt-BOCまたはFMOC保護のような一般に使用される方法により合成することができる。両方法共、ペプチドのカルボキシ末端から始まり、1つのアミノ酸が各段階で追加されることによる段階的合成に関連している(Coliganら、「免疫学最新プロトコール(Current Protocols in Immunology)、Wiley Interscience社、1991年、単元9参照)。本発明のペプチドは、当該技術分野において周知である固相ペプチド合成法により合成することもできる(Merrifield、J. Am. Chem. Soc.、85:2149(1962)、並びにStewartおよびYoung、「固相ペプチド合成(Solid Phase Peptides Synthesis)」、Pierce社、ロックフォード、IL(1984))。ペプチドは、0.1〜1.0mモルアミン/gポリマーを含有するコポリ(スチレン-ジビニルベンゼン)を用いて合成することができる。化学合成完了時には、これらのペプチドは、脱保護しかつ液体HF-10%アニソールによる0℃で約0.25〜1時間の処理によりポリマーから切断することができる。これらの試薬の蒸発後、ペプチドを1%酢酸溶液によりポリマーから抽出し、これをその後凍結乾燥し、粗物質を得る。これは典型的には、Sephadex G-15上での5%酢酸を溶媒として使用するゲル濾過のような技術、高速液体クロマトグラフィーなどにより、精製することができる。カラムの適当な画分の凍結乾燥は、均質なペプチドまたはペプチド誘導体を生じ、次にこれは、アミノ酸解析、薄層クロマトグラフィー、高速液体クロマトグラフィー、紫外線吸収スペクトル、分子旋光度、溶解度および固相エドマン分解による評価のような常法に従い特徴決定することができる(例えば、「タンパク質精製(Protein Purification)」、M.P. Deutscher編集、Methods in Enzymology、182巻、Academic Press社、1990年参照)。FMOC固相合成法を用いる自動化された合成は、自動ペプチド合成装置を用いて実現することができる(Model 432A、Applied Biosystems社)。ペプチドは、Trix-DMSO-イソプロパノール(pH7.5)中で約15〜約20時間、約23℃で酸化し、ジスルフィド結合の形成を可能にする(Tamら、J. Am. Chem. Soc.、113:6657-6662(1991))。ジスルフィド結合形成後、この懸濁液は、逆相FPLCを用い精製され、これにより約20%の収量が得られる。
【0030】
本発明のポリペプチドは、アニオン性担体ペプチドがカチオン性ペプチドに融合される融合タンパク質微生物法を用いて合成することもできる。このような抗微生物活性を有するカチオン性ペプチドの微生物作成法は、1997年1月14日に公開された米国特許第5,593,866号に開示されており、その全内容が本明細書に参照として組入れられている。
【0031】
本発明は、以下をコードしている単離されたポリヌクレオチドを含む:
Figure 0004849764
(配列中、Z1は、塩基性アミノ酸残基であるかまたはアミノ酸残基でない;Z2は、塩基性または芳香族残基であり、Z3は、塩基性アミノ酸残基であり、Z4は、アルギニン、バリンまたはアラニンであり、ならびにZ5は、芳香族または脂肪族アミノ酸残基である)。
【0032】
より詳細には、本発明は同じく以下をコードしている単離されたポリヌクレオチドを含む:
Figure 0004849764
【0033】
加えて、本発明は、本発明のペプチドの類似体、突然変異体および変種をコードしている単離されたポリヌクレオチドを含む。本明細書において使用される用語「単離された」とは、ポリヌクレオチドが、例えばそれが天然に会合されているタンパク質、脂質、核酸を実質的に含まないことを意味する。本明細書において使用される用語「ポリヌクレオチド」とは、個別の断片の形または比較的大きい構築体の成分としてのようなデオキシリボヌクレオチドまたはリボヌクレオチドのポリマーを意味する。本発明のペプチドをコードしているDNAは、組換え転写ユニットにおいて発現されることが可能であるような合成遺伝子を提供するcDNA断片からまたはオリゴヌクレオチドから集成することができる。本発明のポリヌクレオチド配列は、DNA、RNAおよびcDNA配列を含む。ポリヌクレオチド配列は、遺伝暗号から推定することができるが、暗号の縮重を考慮しなければならない。本発明のポリヌクレオチドは、遺伝暗号の結果として縮重している配列を含む。このようなポリヌクレオチドは、配列番号:1から配列番号:11のペプチドのような、大量の関心のあるペプチドの組換え生成に有用である。
【0034】
本発明において、本発明のカチオン性ペプチドをコードしているポリヌクレオチドは、組換え「発現ベクター」に挿入することができる。用語「発現ベクター」は、当該技術分野においてカチオン性遺伝子配列の挿入または組入れにより操作されることが公知のプラスミド、ウイルスまたは他のビヒクルを意味する。本発明のこのような発現ベクターは、挿入された遺伝子配列の宿主における効率的転写を促進するプロモーター配列を含むプラスミドが好ましい。この発現ベクターは、典型的には複製起点、プロモーター、更には形質転換された細胞の表現型選択を可能にする特異的遺伝子を含む。例えば、本発明のペプチドの発現は、酵素β-ガラクトシダーゼの同化によりラクトース利用を媒介するラクトースまたはlacオペロンを含む大腸菌染色体DNAの制御下で行うことができる。lac制御システムは、IPTGにより誘導することができる。プラスミドは、IPTGが添加されるまでlacプロモーターを抑制することができる、lac Iqリプレッサー遺伝子を含むように構築することができる。当該技術分野において公知の他のプロモーターシステムは、βラクタマーゼ、λプロモーター、プロテインAプロモーター、およびトリプトファンプロモーターシステムを含む。これらは最も一般的に使用されるが、誘導的および構成的の両方のその他の微生物プロモーターも同じく利用することができる。このベクターは、宿主細胞と共存できる種に由来したレプリコン部位および制御配列を含む。加えてこのベクターは、形質転換された細胞における表現型選択を提供することが可能である特異的遺伝子を保持することができる。例えば、β-ラクタマーゼ遺伝子は、β-ラクタマーゼ遺伝子を伴うベクターを含むそれらの形質転換された細胞にアンピシリン耐性を付与する。
【0035】
ポリヌクレオチドを伴う宿主細胞の形質転換は、当業者に周知の通常の技術により行うことができる。例えば宿主が大腸菌のような原核生物である場合、DNA取込みが可能であるコンピテント細胞を、指数増殖期以後に収集された細胞から調製し、引き続き当該技術分野において周知の手法を用いCaCl2法で処理することができる。あるいは、MgCl2またはRbClを使用することができる。
【0036】
従来の化学的形質転換法に加え、本発明のプラスミドベクターは、電気穿孔または微量注入のような物理的手段により、宿主細胞に導入することができる。電気穿孔は、宿主の形質膜に孔を形成する高電圧の電気インパルスによるベクターの転移を可能にし、当該技術分野において周知の方法に従い実行される。加えてクローニングされたDNAは、当該技術分野において周知の方法を使用するプロトプラスト融合により、宿主細胞に導入することができる。
【0037】
カチオン性ペプチドをコードしているDNA配列は、適当な宿主細胞へのDNA転移によりインビボにおいて発現することができる。本発明の「宿主細胞」は、その中でベクターが繁殖することができかつそのDNAが発現されるものである。この用語は、対象宿主細胞の後代も含む。複製時に生じる突然変異が存在し得るので、全てではない後代が、親細胞と同じであると理解される。しかしこのような後代は、前記用語が使用される場合には含まれる。好ましい本発明の宿主細胞は、大腸菌、黄色ブドウ球菌および緑膿菌を含むが、当該技術分野において公知の他のグラム陰性菌およびグラム陽性菌を、発現ベクターが複製起点を含み宿主における発現を可能にする限りは利用することができる。
【0038】
本発明の方法に従い使用されるカチオン性ペプチドポリヌクレオチド配列は、生物から単離するかまたは実験室において合成することができる。関心のあるカチオン性ペプチドをコードしている特異的DNA配列は、以下により得ることができる:1)ゲノムDNAからの2本鎖DNA配列の単離;2)関心のあるカチオン性ペプチドに必要なコドンを提供するためのDNA配列の化学的作出;および3)ドナー細胞から単離されたmRNAの逆転写による、2本鎖DNA配列のインビトロ合成。後者の場合、一般にcDNAと称されるmRNAに相補的な2本鎖DNA配列が、最終的には形成される。
【0039】
合成DNA配列は、所望のペプチド産物のアミノ酸残基の全配列がわかっている場合の選択法であることが多い。本発明において、DNA配列の合成は、おそらく細菌宿主により認識されるであろうコドンの組込みを可能にし、これにより翻訳に問題を伴わずに高レベルの発現を可能にするという利点を有する。加えて、天然のカチオン性ペプチド、その変種、または合成ペプチドをコードしているものを含む、いずれかのペプチドが実際に合成され得る。
【0040】
所望のペプチドの全配列がわかっていない場合、DNA配列の直接合成は可能ではなく、かつ選択される方法は、cDNA配列の形成である。関心のあるcDNA配列の単離の標準手法の中には、高レベルの遺伝子発現を有するドナー細胞において豊富であるmRNAの逆転写に由来したcDNAライブラリーを含むプラスミドまたはファージの形成がある。ポリメラーゼ連鎖反応法と組合わせて使用する場合、稀な発現産物さえもがクローニングされる。カチオン性ペプチドのアミノ酸配列の重要な部分がわかっている場合には、おそらく標的cDNA中に存在する配列を二つ組にする標識され1本鎖または2本鎖のDNAまたはRNAプローブ配列を、1本鎖型へ変性されたcDNAのクローニングしたコピー上で実行されるDNA/DNAハイブリダイゼーション法において使用することができるであろう(Jayら、Nuc. Acid Res.、11:2325(1983))。
【0041】
本発明は更に、下記を含む、本発明のペプチドの阻害有効量と細菌を接触することを含む、細菌の増殖を阻害する方法を提供する:
Figure 0004849764
(配列中、Z1は、塩基性アミノ酸残基であるかまたはアミノ酸残基なし;Z2は、塩基性または芳香族残基であり、Z3は、塩基性アミノ酸残基であり、Z4は、アルギニン、バリンまたはアラニンであり、ならびにZ5は、芳香族または脂肪族アミノ酸残基である)。
【0042】
より詳細に述べると、本発明は、
Figure 0004849764
並びにそれらの類似体、誘導体または保存的変種のような、本発明のペプチドの阻害有効量と細菌を接触することを含む、細菌の増殖を阻害する方法を提供する。
【0043】
用語「接触する」は、ペプチドが細菌を効果的に阻害、殺傷もしくは溶解し、内毒素(LPS)に結合し、またはグラム陰性菌の外膜を透過性とすることができるように、細菌をペプチドに曝露することを意味する。接触は、例えば、細菌のペプチドに対する感受性を試験するためのペプチドの細菌培養物への添加により、インビトロであることができる。接触は、例えば、敗血症性ショックのような細菌性障害を有する対象へのペプチドの投与により、インビボであることができる。「阻害」または「阻害有効量」は、静菌または殺菌作用を生じるのに必要なペプチドの量を意味する。阻害され得る細菌の例は、エンテロバクター・クロアカエ(E. cloacae)、表皮ブドウ球菌(Staphylococcus epidermidis)、腸球菌(Enterococcus facaelis)および黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)、大腸菌(Escherichia coli)、緑膿菌(Pseduomonas aeurginosa)、およびネズミチフス菌(Salmonella typhimurium)を含む。
【0044】
細菌の増殖を阻害する方法は更に、併用または相乗療法のための抗生物質の追加を含む。投与される適当な抗生物質は、典型的には、細菌がグラム陰性菌またはグラム陽性菌であるかどうかのような細菌の感受性によって左右され、かつ当業者により容易に識別されるであろう。本発明のペプチドとの相乗療法に有用な抗生物質の特定の種類の例は、アミノグリコシド(例えばトブラマイシン)、ペニシリン(例えばピペラシリン)、セファロスポリン(例えばセフタジヂム)、フルオロキノロン(例えばシプロフロキサシン)、カルバペネム(例えばイミペネム)、テトラサイクリン、およびマクロライド(例えばエリスロマイシンおよびクラリスロマイシン)である。細菌の増殖を阻害する方法は更に併用または相乗療法のための抗生物質の追加を含む。投与されるのに適した抗生物質は、典型的には細菌がグラム陰性菌またはグラム陽性菌であるかどうかのような細菌の感受性によって左右され、かつ当業者により容易に識別されるであろう。先に列記した抗生物質に加え、代表的抗生物質は、アミノグリコシド(アミカシン、ゲンタマイシン、カナマイシン、ネチルミシン、トブラマイシン、ストレプトマイシン、アジスロマイシン、クラリスロマイシン、エリスロマイシン、エリスロマイシンエストラート/エチルスクシネート/グルセプテート/ラクトビオナート/ステアレート)、β-ラクタム、例えばペニシリン(例えば、ペニシリンG、ペニシリンV、メチシリン、ナフシリン、オキサシリン、クロキサシリン、ジシクロキサシリン、アンピシリン、アモキシシリン、チカルシリン、カルベニシリン、メズロシリン、アズロシリン、ピペラシリン)、またはセファロスポリン(例えば、セファロチン、セファゾリン、セファクロル、セファマンドール、セフォキシチン、セフロキシム、セフォニシド、セフメタゾール、セフォテタン、セフプロジル、ロラカルベフ、セフェタメト、セフォペラゾン、セフォタキシム、セフチゾキシム、セフトリアキソン、セフタジジム、セフェピム、セフィキシム、セフポドキサミン、およびセフスロジン)がある。他の種類の抗生物質は、例えば、カルバペネム(例えばイミペネム)、モノバクタム(例えばアズトレオナム)、キノロン(例えば、フレロキサシン、ナリジキシ酸、ノルフロキサシン、シプロフロキサシン、オフロキサシン、エノキサシン、ロメフロキサシン、およびシノキサシン)、テトラサイクリン(例えば、ドキシサイクリン、ミノサイクリン、テトラサイクリン)、およびグリコペプチド(例えば、バンコマイシン、テイコプラニン)がある。その他の抗生物質は、クロラムフェニコール、クリンダマイシン、トリメトロプリム、スルファメトキサゾール、ニトロフラントイン、リファンピン、およびムピロシンがある。
【0045】
これらのペプチドおよび/またはそれらの類似体もしくは誘導体は、ヒトまたはヒト以外の動物を含む、いずれかの宿主に、細菌の増殖のみではなく、ウイルスまたは真菌(酵母)の増殖も阻害するのに有効量投与することができる。これらのペプチドは、抗微生物剤、抗ウイルス剤および抗真菌剤として有用である。これらのペプチドおよび/またはそれらの類似体もしくは誘導体は、ヒトまたはヒト以外の動物を含む、いずれかの宿主に、細菌の増殖のみではなく、ウイルスまたは真菌の増殖も阻害するのに有効量投与することができる。これらのペプチドは、抗微生物剤、抗ウイルス剤および抗真菌剤として有用である。
【0046】
本発明のペプチドは、注射によるかまたは時間をかけた持続点滴により投与することができる。このペプチドは、静脈内、腹腔内、筋肉内、皮下、腔内、または経皮的に投与することができる。ペプチド送達の好ましい方法は、ミクロスフェアまたはプロテイノイド中の封入により、肺へのエアロゾル送達により経口的に、またはイオントホレシスもしくは経皮的電気穿孔による経皮的にを含む。他の投与法は、当業者には公知であろう。
【0047】
本発明のペプチドの非経口投与のための調製物は、無菌の水性または非水性の溶液、懸濁液および乳液を含む。非水性溶剤の例は、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、オリーブ油のような植物油、およびオレイン酸エチルのような注射可能な有機エステルがある。水性担体は、水、アルコール性/水性溶液、乳液または懸濁液があり、生理食塩水および緩衝された媒質を含む。非経口ビヒクルは、塩化ナトリウム溶液、リンガーデキストロース、デキストロースおよび塩化ナトリウム、乳酸を加えたリンガー液、または不揮発性油がある。静脈内用ビヒクルは、液体および栄養補充液、電解質補充液(例えば、リンガーデキストロースを基にしたもの)などがある。保存剤および、例えば抗微生物剤、抗酸化剤、キレート剤および不活性ガスなどのような他の添加物も存在することができる。
【0048】
本発明は、敗血症の症状を呈しているまたは敗血症発症のリスクのある対象に、治療的有効量の本発明のカチオン性ペプチド、例えば配列番号:1から配列番号:11またはそれらの類似体、誘導体もしくは保存的変種を投与することを含む、内毒素血症または敗血症性ショック(敗血症)に関連した障害、または敗血症の1種または複数の症状を、治療または緩和する方法を提供する。用語「緩和」とは、治療される障害の症状の減少または低下を意味する。このような緩和され得る症状は、発熱、高血圧、好中球減少症、白血球減少症、血小板減少症、播種性血管内凝固、成人呼吸窮迫症候群、ショックおよび多臓器不全のような、TNF(腫瘍壊死因子)の血中レベルの一過性の増加に関連したものを含む。このような治療を必要とする患者は、例えばグラム陰性菌感染症から生じた内毒素血症、毒液中毒症(venom poisoning)、または肝不全のような、毒血症のリスクのあるものまたはこれに罹患したものを含む。加えて、グラム陽性菌、ウイルスまたは真菌の感染症に罹患した患者は、敗血症の症状を提示することがあり、かつ本明細書に説明したような治療的方法の恩恵を受けることができる。更に特に本発明の方法により恩恵を受け得る患者は、大腸菌、ヘモフィルス・インフルエンザB、髄膜炎菌、ブドウ球菌、または肺炎球菌の感染症に罹患したものである。敗血症のリスクのある患者は、銃創、腎または肝不全、外傷、火傷、免疫不全症(HIV)、造血系新生物形成、多発性骨髄腫、Castlenian症または心臓粘液腫に罹患したものを含む。
【0049】
内毒素血症の治療に関して本明細書において使用される用語「治療的有効量」は、LPSに対する対象の反応を減少しかつ敗血症の症状を減少するのに十分な量で使用したカチオン性ペプチドの量を意味する。従って用語「治療的有効性」は、カチオン性ペプチドの量が、TNF血漿レベルの臨床的に有意な増加を、防止するのに十分であること、ならびに好ましくは少なくとも50%低下する、およびより好ましくは90%低下するのに十分であることを含む。カチオン性ペプチドの投与のための用量範囲は、望ましい作用を生じるのに十分大きい範囲である。一般にこの用量は、患者における年齢、状態、性別、および細菌または前述の他の物質による感染の程度により変動し、かつ当業者は決定することができるであろう。用量は、あらゆる禁忌の事象において、医師個人により調節することができる。いかなる事象においても、治療有効性は、患者のLPSおよびTNFのレベルをモニタリングすることにより決定することができる。血清LPSおよびTNFレベルの低下は、患者の回復と相関しているはずである。
【0050】
加えて、敗血症のリスクのあるまたは症状を呈している患者は、前述の方法、更にはカチオン性ペプチドの治療的投与と実質的に同時に、TNFインヒビター、抗生物質または両方を投与することを含む方法により治療することができる。例えば、抗TNF抗体および/またはTNFアンタゴニストの使用によるような、敗血症におけるTNFの役割への直接または間接の介入は、敗血症症状を予防または緩和することができる。特に好ましいのは、活性成分としての抗TNF抗体、例えばTraceyらが説明しているようなTNF特異性を伴うモノクローナル抗体の使用である(Nature、330:662(1987))。
【0051】
敗血症の症状を呈する患者は、カチオン性ペプチドによる治療に加え、抗生物質により治療することができる。代表的抗生物質は、ゲンタマイシンのようなアミノグリコシドもしくはペニシリンのようなβ-ラクタム、またはセファロスポリンもしくは先に一覧した抗生物質のいずれかを含む。従って、本発明の好ましい治療法は、殺菌量の抗生物質の投与と実質的に同時の、カチオン性ペプチドの治療的有効量を投与することを含む。好ましくは、カチオン性ペプチドの投与は、抗生物質投与の約48時間以内に、および好ましくは約2〜8時間、ならびに最も好ましくは実質的に同時に行う。
【0052】
本明細書において使用される用語「殺菌量」は、治療を受ける患者において細菌殺傷血中濃度に到達するのに十分な量を意味する。ヒトへの投与について安全であると一般に見なされる抗生物質の殺菌量は、当該技術分野において周知であり、かつ当該技術分野において公知であるように、具体的抗生物質および治療される細菌感染症の種類に応じて変動する。
【0053】
これらのペプチドの抗生性、抗微生物性および抗ウイルス性の特性のために、これらは微生物またはウイルス混入に対し感受性のある保存剤または滅菌剤として使用することもできる。本発明のペプチドは、様々な具体的適用に対し指示された広域スペクトルの抗微生物剤として利用することができる。このような適用は、加工食品の保存剤としてのこれらのペプチドの、単独で、またはリゾチームなどの抗菌食品添加物との組合せのいずれかでの使用(サルモネラ、エルシニア、シゲラを含む生物);局所用物質(シュードモナス、ストレプトコッカス)として、および臭気発生微生物(ミクロコッカス)の殺傷を含む。本発明のカチオン性ペプチドの説明した適用に関する相対有効性を、当業者は、該ペプチドのひとつに対する生物の感受性を決定することにより容易に決定することができる。本発明のペプチドは、細菌および真菌の増殖の阻害、並びに水疱口内炎ウイルス、インフルエンザA型ウイルス、ヒト免疫不全症ウイルス(HIV)-1、ヘルペスウイルス、B型およびC型肝炎ウイルスなどを含むエンベロープウイルスの複製の阻害について有用である。
【0054】
下記の実施例は、本発明を例証することが意図されているが、限定されることを意図されるものではない。これらは使用することができる典型例であるが、当業者に公知の他の手法を代わりに使用することができる。
【0055】
実施例 1 :カチオン性ペプチドの MIC
菌株および試薬
抗微生物活性アッセイ法に使用した細菌株は、大腸菌UB1005(F-, nalA37, metB1)およびその外膜欠損変異体DC2(16)、大腸菌KF130(gyrA)である(Hooperら、Am. J. Med.、82:(補遺4A)12-20(1987))、野生型ネズミチフス菌株14028s(Fieldsら、Science、243:1059-1062(1989))、黄色ブドウ球菌ATCC25923、黄色ブドウ球菌SAPOO17およびR147がある。更に、D.スピアート博士(Dr. D. Speert)(Department of Medicine, University of British Columbia)から得た表皮ブドウ球菌臨床単離体、および緑膿菌PAO1(HancockおよびCarey、J. Bacterial.、140:902-910(1979))、H374およびH744(Pooleら、J. Bacterial.、175:7363-7372(1993))並びに腸球菌ATCC29212を含んだ。抗真菌活性は、カンジダ・アルビカンスの臨床検査単離体を用い試験した。全ての菌株は、特に記さない限りは、Mueller Hinton(MH)ブロス(Difco Laboratories社、デトロイト、MI)上で、37℃で増殖した。ダンシル-ポリミキシンB置換アッセイ法に使用した大腸菌UB1005および緑膿菌H103のリポ多糖(LPS)は、Mooreらの説明のように単離した(Antimicrobial. Agents Chemother.、29:496-500(1986))。ポリミキシンB、1-N-フェニルナフチルアミン(NPN)、カルボニルシアニド-m-クロロフェニルヒドラゾン(CCCP)、サルモネラ・ミネソタR595(Re突然変異体)由来のRe LPSおよび大腸菌O111:B4由来のLPSは、Sigma Chemicals社(セントルイス、ミズリー州)から購入した。ダンシルポリミキシンBは、既報のように合成した(Mooreら、Antimicrobial. Agents Chemother.、29:496-500(1986))。脂質1-パルミトイル-2-オレオイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(POPC)、1-パルミトイル-2-オレオイル-sn-グリセロ-3-ホスホグリセロール(POPG)、1-パルミトイル-2-オレイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン(POPE)および卵黄由来のホスファチジルグリセロール(egg-PG)は、Avanti Polar Lipids社(アラバスター、AL)から購入した。蛍光色素3,3-ジプロピルチアカルボシアニン(diSC35)は、Molecular Probes社(ユージーン、OR)から購入した。
【0056】
MIC アッセイ法
いくつかの本発明のペプチドの最小発育阻止濃度(MIC)を、別に説明された方法を用い決定した(WuおよびHancock、J. Biol. Chem.、274:29-35(1999))。細胞を、LB-S(塩補充剤を含まないLuriaブロス)において37℃で一晩増殖し、同じ培地で1/10,000希釈し、濃度約104〜105CFU/mlを得た。ブロス希釈物を、カラム1に抗生物質または化合物の初期濃度を含有するLB-Sの200μl、並びにカラム2-12に同じ培地を100μlを入れ、96-ウェルマイクロタイタープレートを準備した。これらの化合物は、カラム1からブロス100μlを採取し、かつこれをカラム2と混合し、1/2希釈を得ることにより希釈した。この手法を、カラム10まで連続した。最後に、細菌10μlを、カラム1-11にピペットで添加し、これらのプレートを37℃で一晩インキュベートした。翌日、プレートをウェル中での増殖についてスコア化し、MICを決定した。
【0057】
溶血アッセイ法
本発明のペプチドの溶血活性を、ヒト赤血球細胞に対して試験した。新たに採取したヒト血液をヘパリン処理し、これを遠心し白血球層を除去し、これにより得た赤血球を生理食塩水(0.85% NaCl)で3回洗浄した。生理食塩水中のペプチドの連続希釈物を、総容量100μlを用い、丸底マイクロタイタープレートに調製した。赤血球細胞を、生理食塩水で希釈し、赤血球沈殿容積を1/25とし、細胞50μlを各ウェルに添加した。揺らしながらプレートを37℃でインキュベートし、かつ4時間後に溶解に必要なペプチド濃度を、最小溶血濃度として測定した。
【0058】
【表1】
Figure 0004849764
【0059】
表1にまとめた結果は、試験したペプチド(配列番号:3、4および11)が、0.125〜0.5μg/mLの範囲の濃度で、様々なグラム陽性菌およびグラム陰性菌に対し有効な抗微生物剤であることを示している。加えて、全てのペプチドが、酵母カンジダ・アルビカンスに対して有効であった。メチルエステル修飾、もしくはL型からD型アミノ酸のようなペプチドの修飾は、活性抗微生物剤の広範な種類を提供する。
【0060】
ポリフェムシンIおよび試験したペプチド(配列番号:3、4および11)は、赤血球細胞を使用する溶血アッセイ法において、溶血活性を示している。
【0061】
実施例 2 LPS 誘導した TNF のカチオン性ペプチドによる減少
本発明のペプチドのLPSによって誘導された腫瘍壊死因子(TNF)生成を減少する能力を、インビトロアッセイ法において試験した。マウスのマクロファージ細胞株RAW 264.7を、アメリカン・タイプ・カルチャー・コレクション(ATCC)(マナサス、VA)から入手し、かつ10%ウシ胎仔血清を補充したDMEM培地において増殖した。これらの細胞を、24ウェルプレート内に密度106細胞/ウェルで播種し、一晩インキュベートし、その後新鮮な培地で洗浄した。大腸菌0111:B4(100ng/ml)を、0時点にRAWマクロファージに添加した。本発明のペプチド20μg/mlを、0、30および60分の時点で添加し、細胞を6時間刺激した。6時間後、TNFおよびインターロイキン-6(IL-6)のレベルを測定した。細胞上清を、TNF-αおよびIL-6について、酵素結合免疫吸着アッセイ法(ELISA)により製造業者の指示に従いアッセイした(Endogen社、ホンビー、ON、カナダ)。結果を表2に示す。
【0062】
【表2】
Figure 0004849764
【0063】
本発明のペプチドは、大腸菌0111:B4 LPSによって誘導されたRAWマクロファージにおけるTNF-αおよびIL-6の生成を阻害することができる。これらのペプチド20μg/mlは全て、LPS-刺激したマクロファージのサイトカイン産生を有意に阻害することができる(表2)。配列番号:11(PV5)は、TNF-αおよびIL-6の最良のインヒビターであった。
【0064】
実施例 3 :マウス内毒素血症ショックモデルにおける致死的 LPS 内毒素性からの防御
本発明のペプチドを、それらの緑膿菌感染症を防御する能力について、好中球減少マウスモードにおいてアッセイした。シクロホスファミドの3回注射により好中球減少症とした(Goughら、Infect. Immun.、64:4922-4927(1996)参照)メスCD-1マウスに、100%致死用量の緑膿菌M2(およそ200生体)を腹腔内注射した。30分後、マウスに、本発明のペプチド(200μg/100μl)を腹腔内注射した。生存を24から72時間後に評価した。
【0065】
本発明のペプチドのLPS誘導した内毒素血症を防御する能力を、インビボにおいて評価した。ガラノス(Galanos)らの方法に従いマウス(8〜10週齢)に、LPSに対して敏感になるように、D-ガラクトサミン(Dgal)20μgを腹腔内注射した(Galanosら、Proc. Natl. Acad. Sci., USA、76:5939-5943(1979))。内毒素性ショックは、リン酸緩衝生理食塩水(PBS)中の大腸菌O111:B4 LPSの3μg/mlの腹腔内注射により誘導した。本発明のペプチド(200μg/100μl滅菌水)を、LPS注射の10分以内に別の部位に腹腔内注射し、注射後24時間まで生存をモニタリングした。
【0066】
これらの結果を表3に示す。
【表3】
Figure 0004849764
【0067】
表3は、本発明のペプチドが、緑膿菌感染症に対する防御を提供することができること、およびこの防御が親ペプチド、すなわちポリフェムシンIよりも優れていることを示している。本発明のペプチドで処置した50%より多くのマウスが、48時間以上生存した。対照的に、ペプチドを受け取らなかったマウスは、細菌曝露後速やかに死亡し、これは24時間以内の死亡率50%および41時間内の死亡率100%を示した。細菌感染による曝露を実施しなかったマウスは、観察期間を通じて生存率100%を示した。
【0068】
表3は更に、本発明のペプチドは、内毒素血症に対する防御を提供することができることを例証している。細菌内毒素(LPS)は、高い毒性があり、かつグラム陰性菌感染症時に放出された場合、ヒトおよび動物の両方において高い致死率を生じることができる。中用量の内毒素が投与されたガラクトサミンで処置したマウスは、通常17時間以内に内毒素性ショックにより死亡した。本発明のペプチドは、内毒素が誘導する死に対する防御を提供することができる。
【0069】
実施例 4 LPS へのペプチド結合親和性
本発明のペプチドがグラム陰性菌外膜のLPSと相互作用することができるかどうかを決定するために、ペプチドのLPSに関する結合親和性を、ダンシルポリミキシンB置換アッセイ法を用いて決定した(Mooreら、Antimicrobial Agents Chemother.、29:496-500(1986))。このアッセイ法は、結合した際のみ高度に蛍光性であるカチオン性プローブであるダンシルポリミキシンおよび大腸菌UB1005から単離したLPSを使用した。LPSに結合し続けるダンシルポリミキシンBの画分を、ペプチド濃度の関数としてプロットし、このデータから、最大置換50%(I50)まで結合したダンシルポリミキシンB(10μl)の量を低下するのに必要なペプチド濃度を示した(表4)。LPSの最大置換は、ポリミキシンBで観察される、ダンシルポリミキシンBの100%置換が生じた割合(%)として表した。
【0070】
【表4】
Figure 0004849764
【0071】
表4の結果は、全ての試験したペプチドが、ダンシルポリミキシンと同程度置換することができ、I50値は2倍未満異なることを示している。
【0072】
実施例 5 :膜透過性上昇活性
本発明のペプチドの外膜透過性上昇活性を、大腸菌UB1005の無傷の細胞を使用する、Lohらの1-N-フェニルナフチルアミン(NPN)取込みアッセイ法により決定した(Antimicor. Agents Chemother.、26:546-551(1984))。
【0073】
これらのペプチドの細胞膜脱分極活性は、膜電位感受性色素3,3-ジプロピルチアカルボシアニンdiSC35(28)および大腸菌DC2を用いて決定した(WuおよびHancock、J. Biol. Chem.、274:29-35(1999))。中-対数相の細菌細胞を遠心し、5mM HEPES(pH7.8)で洗浄し、かつ同じ緩衝液中に再懸濁し、OD600を0.05とした。diSC35の保存液を、最終濃度0.4μMとなるよう添加し、かつ室温で20〜30分間消光した。この細胞懸濁液にKClを添加し、最終濃度100mMとし、細胞質および外部K+濃度を平衡化した。細胞懸濁液2mLを、1cmキュベット内に入れ、被験ペプチドの望ましい濃度を添加した。細胞膜の膜電位の崩壊(disruption)による蛍光の変化を、パーキンエルマーモデル650-10S蛍光分光光度計を用い励起波長622nmおよび発光波長670nmで連続測定した。NPN取込みの50%最大増加をもたらすペプチド濃度を、P50として記録した。
【0074】
ペプチドの大腸菌UB1005外膜の透過性上昇能を、表4に示した。NPNは、通常無傷の外膜により排泄されるが、外膜完全性の破壊後に細菌外膜を区分した(partition)場合に増加した蛍光を示す、小さい疎水性分子である。従ってペプチド存在下での蛍光の増加は、ペプチドの細菌外膜透過性上昇能を示している。表4に示したように、ポリフェムシンIおよび本発明のペプチドは両方とも、同程度外膜を超えるNPN取込みを媒介することができ、かつP50値の変動は平均3.6μg/mlから30%未満であった。
【0075】
グラム陰性菌の外膜を通過後、またはグラム陽性菌の透過性細胞壁を通った後、カチオン性抗微生物ペプチドは、細菌細胞膜と相互作用する。各ペプチドの大腸菌細胞膜電位勾配を脱分極する能力を、図3に示した。ポリフェムシンIは、比較的良好な膜透過性上昇物であり、細胞懸濁液へのペプチドの添加時の、細胞からの膜電位感受性蛍光色素diSC35の放出で示されるように、濃度0.25μg/ml(2xMIC)での細胞膜電位の5分以内の急激な散逸を引き起す(図3)。対照的に、同じペプチド濃度で、配列番号:4(PV7)および配列番号:3(PV8)の両方は、有意なより遅い膜透過性上昇を生じ、蛍光増加前に3分よりも長い遅延時間が検出され(図3)、かつ最大色素放出は、ポリフェムシンIにより媒介されたものの50%未満であった。配列番号:11(PV5)は、0.25μg/ml(1xMIC)で、細胞から放出された色素の有意なレベルを引き起すことができない。
【0076】
実施例 6 :リポソームとのペプチド相互作用
ペプチドの細菌細胞膜との相互作用を理解するために、モデルシステムを用いた。本発明のペプチドの3位にあるトリプトファン残基は、蛍光放出がその環境に対し感度よいため、リポソームへの結合をモニタリングする機会を提供した。HEPES緩衝液(pH7.5)中の単層リポソーム(0.1μm)を、POPC/POPG(7:3 w/w)またはPOPC単独で、凍結乾燥法を用い調製し(Mayerら、Biochim. Biophys. Acta、817:193-196(1985))、その後押出装置(Lipex Biomembranes社、バンクーバー、BC.、カナダ)を用い、0.1μmの二重重ねのNucleporeフィルターを通して押出した。トリプトファン蛍光およびKI消光の測定を、ルミネッサンス・スペクトロメータLS5OB(Perkin Elmer社)を用いて行った(EftinkおよびGhiron、J. Phys. Chem.、80:486-493(1976)参照)。
【0077】
【表5】
Figure 0004849764
【0078】
各ペプチドの大腸菌細胞膜のリン脂質の帯電対非帯電の比(POPC:POPG, 7:3)を反映した組成物を持つアニオン性リポソームへの添加時に、蛍光放出の最大値が、11から14nmの青色偏移を示し、かつ蛍光放出強度が顕著に増加し(1.3から3.7倍)、これはこのトリプトファン残基がより疎水性の環境への再配置したことを示している(表5)。これらのペプチド間に有意差は認められなかった。
【0079】
これらのデータを確認するために、水溶性消光剤KIのペプチドトリプトファン蛍光を抑制する能力を試験した。緩衝液中で、水溶性消光剤KIは、濃度-依存的方法で蛍光を完全に抑制することができた(図4)。しかし、消光剤がリポソーム(POPC/POPG, 7:3)の状況でペプチドに添加された場合、蛍光強度の減少は認められず、これはリポソーム中のペプチドのトリプトファン残基が、この水性消光剤とは接近不能であることを示している(図4)。非帯電のPOPCリポソームへのペプチドの添加は、蛍光の青色偏移を生じず(一般に2nm未満)、かつこれらのペプチド3種のトリプトファン蛍光を減少したのに対し、配列番号:4(PV7)はHEPES緩衝液に比べ、POPCリポソームにおいてわずか約50%のみ増加した(表5)。POPCリポソームの状況における消光剤KIのペプチドへの添加は、緩衝液中のペプチド同様、濃度依存的方法でトリプトファン蛍光の抑制を生じ(表5)、これはPOPC中のポリフェムシンペプチドのトリプトファン残基が依然消光剤と接近可能であることを示唆している。従ってPOPCの存在下でのトリプトファン蛍光強度の変化は、おそらくリポソームによる光散乱および/またはペプチドのリポソーム表面との会合を反映しているであろう。
【0080】
ラングミュア単層アッセイ法
脂質単層を、円形テフロン製トラフ(d=4.5cm、総容積11.5ml)中に入った水の上に、ヘキサンまたはクロロホルムに溶解した適当な脂質を載せることにより形成した。トラフの側面の小さいポートは、単層を崩すことなく、亜相へ試薬を注入することを可能にした。この亜相を、磁気撹拌子で45rpmで穏やかに混合した。表面圧力測定値を、Whilhelmyプレート法(Mayerら、Biochemistry、22:316-321(1983))を用いて得た。このプレートは、メタノールで3回洗浄し、2度蒸留した水で完全にすすぎ、その後各表面圧力測定した。実験は23℃で行った。
【0081】
緩衝液単独(5mM HEPESおよび150mM NaCl)または2mMもしくは5mM MgCl2の存在する緩衝液上に、LPS溶液(クロロホルム/メタノール/H2O、17/7/1(v/v)中0.5mg/ml)を広げることにより、気液界面のLPS単層フィルムを得た(FriedおよびRothfield、Biochim. Biophys. Acta、514:69-82(1978))。
【0082】
大腸菌細胞のリン脂質は、中性脂質ホスファチジルエタノールアミン(PE)、およびアニオン性脂質ホスファチジルグリセロール(PG)およびカルジオリピン(CL)の78:4.7:14.4の比の混合物、更に少量の脂質種を含む(Hristovaら、J. Biol. Chem.、272:24224-24233(1997))。大腸菌細胞膜を模倣する単層を、POPE:egg-PG:CL(78:4.7:14.4)から作成し、かつポリフェムシン-様ペプチドのこのような単層と相互作用する能力を評価した。所定の脂質単層のヘッド基とのみ相互作用する分子は、この単層の表面圧力を増大しなかった。従って、タンパク質またはペプチド分子が単層を浴している亜相に注入された場合、対応する表面圧力の変化(Δπ)は、この膜へのタンパク質またはペプチド挿入の結果および脂肪アシルコアの妨害として理解され得る。図5Aは、ペプチド濃度の関数としての表面圧力の変動を示している。全てのペプチドは、ペプチド濃度のS字関数として表面圧力の上昇を誘導するように見え(図5A)、結果は、ペプチド分子の単層との協力的な相互作用と一致する。ポリフェムシンIは、プラトーのΔπ値により示されるように、表面圧力を変調するのに最も効果的なペプチドであり、これはポリフェムシンI、配列番号:11(PV5)、配列番号:4(PV7)および配列番号:3(PV8)について、各々、7.4、5.2、4.7および4.5であった。
【0083】
各ペプチドの脂質特異性を、POPC、POPE、egg-PGまたはCL単層の亜相へのペプチド1μg/mlの添加時の、表面圧力変化の程度をモニタリングすることにより評価した(図5B)。全てのペプチドが、負帯電した脂質と選択的に相互作用し、かつ一般にPG単層の方がCL単層よりもより大きい作用を有した。図5Aの知見と一致するが、ポリフェムシンIは、PG単層に対して最大の作用を有した。しかしこれらのペプチドはいずれも、POPCまたはPOPEのような中性脂質により作成された単層は貫通することができた。
【0084】
外膜との相互作用を模倣するために、LPSで作成した単層を用い、グラム陰性菌外膜の外側小葉を模倣した。こうしてペプチドのLPS単層と相互作用する能力は、それが外膜を透過する能力を反映している。図6に示したように、概してLPS単層との相互作用に関する実質的差異は、ポリフェムシンIとその変種の間に認められなかった。これらのペプチドの、添加されたMg2+の非存在下でのLPS単層を透過する同様の能力が明らかにされた。ペプチドは一般にLPS上の二価カチオン結合部位と相互作用するという知見と一致するように、Mg2+の添加は、濃度依存的に、ペプチドが媒介した表面圧力の変化の減少を和らげた(図6)。
【0085】
実施例 7 :ポリフェムシン - 様ペプチドの特徴決定
円偏光二色性 (CD) 分光分析
本発明のペプチドのCDスペクトルは、経路長1-mmの石英セルを用い、Jascoスペクトルマネージャーに連結したModel J-810分光偏光計(Jasco社、東京、日本)上で記録した。CDスペクトルは、10mM SDS存在および非存在下の10mMリン酸ナトリウム緩衝液(pH7.2)中25℃で、190〜250nmの間で、走査速度10μm/分で測定した。緩衝液またはSDSによる円示差走査(circular differential scattering)の小さい寄与は、緩衝液またはSDS単独のCDスペクトルを、緩衝液またはSDS中のペプチドの値から減ずることにより除去した。示されたスペクトルは、10回の走査の平均値である。
【0086】
円偏光二色性(CD)分光分析を、ある本発明のペプチドについて行った。緩衝液中のポリフェムシンIのCDスペクトルは、約224nmおよび202nmに2本の正のバンドを示し、これはII型β-ターンにより支配された構造のスペクトル典型であり(図2)、および事実上タキプレシンIについて公表されたCDスペクトルと同じであった(Rao、Arch. Biochem. Biophys.、361:127-134(1999))。芳香族アミノ酸が、224nmバンドに部分的に寄与することが示唆されていることに注意することは価値がある(Changら、Anal. Biochem.、91:13-17(1978))。アニオン性-膜環境は、10mM SDSを用いて模倣した。この条件下で、ポリフェムシンIは、200nm近傍に強力な正の楕円率および217nm近傍に負の楕円率を伴う異なるCDスペクトルを示し(図2A)、これらは両方とも典型的β-シート構造であり、かつ酸性リポソームの存在下でタキプレシンIについても認められた(Mayerら、Biochemistry、22:316-321(1983))。従ってポリフェムシンIのNMR構造は決定されていないが、ジスルフィド結合により安定化された逆平行β-シート構造およびII型β-ターンを伴うタキプレシンIのものに類似している可能性は高い。試験した3種のペプチド(配列番号:3、4および11)は、10mM SDSの存在下およびリン酸緩衝液体中の両方において同様のスペクトルを有したが、ピーク楕円率の大きさはペプチド毎に異なり、特にリン酸緩衝液存在下での200-204nm周辺の正のピークは、大きさおよび実際のピーク波長が若干変動した。おそらくこれらのペプチドは、この領域に誘導された残基の変化のために、リン酸緩衝液中でより顕著でないβ-ターンを示しているが、SDS中では同様のβ-シート構造が明らかである。
【0087】
本発明は現時点で好ましい態様により説明されているが、本発明の精神から逸脱しない限りは、様々な変更を行うことができることは理解されなければならない。従って本発明は、添付の特許請求の範囲によってのみ限定される。
【図面の簡単な説明】
【図1】 タキプレシン、ポリフェムシンIおよびその変種のアミノ酸配列(一文字アミノ酸コードを使用)を示している。ジスルフィド結合は、実線で示した。変種において置換されたアミノ酸には下線をつけた(PV5:配列番号:11;PV7:配列番号:4、およびPV8:配列番号:3)。
【図2】 ポリフェムシンIおよび選択された本発明のペプチドの円偏光二色スペクトルを示している。Aは、ポリフェムシンIのスペクトルを示し;Bは、配列番号:11(PV5)のスペクトルを示し;Cは、配列番号:4(PV7)のスペクトルを示し;およびDは、配列番号:3(PV8)のスペクトルを示している。このスペクトルは、リン酸緩衝液(実線)および10mM SDS(点線)中で示した。ペプチドは、濃度25μMで使用した。
【図3】 diSC35アッセイ法により評価した、ペプチドによる大腸菌DC2細胞膜の脱分極を示している。矢印は、ペプチド0.25μg/mlが添加された時点を示す。PV5:配列番号:11;PV7:配列番号:4、およびPV8:配列番号:3。
【図4】 水性消光剤KIによる、ペプチドトリプトファン蛍光データの消光のStern-Volmerプロットである。点線は、リポソーム懸濁液(POPC/POPG、7:3)に添加したペプチドのデータを表し、実線は10mM HIEPES緩衝液(pH7.5)における消光のデータを表している。
【図5】 水性亜相に浴している脂質単層へのペプチド添加の、ラングミュアバランスで測定した表面圧力に対する影響を示している。Aは、ペプチド濃度の関数としての表面圧力増加のプロットである。単層は、混合した脂質(POPC:egg-PG:CL、容量比78:4.7:14.7)により薄く広げられ、初期圧力20±1mN/mを生じ、ペプチド添加前に5分間安定化させた。表面圧力の測定(titration)は、ペプチド連続量を亜相へ添加しながら、フィルム表面圧力をモニタリングすることにより達成した。Bは、POPC、POPE、egg-PGまたはCLのいずれかにより作成された水性亜相に浴している単層へのペプチド1μg/ml添加の表面圧力への影響を示している。結果は、2回の個別の実験の平均を示している。
【図6】 水性亜相に浴しているサルモネラ・ミネソタ Re LPS単層へのペプチド0.8μg/ml添加の表面圧力への影響を示している。亜相のMg2+濃度は変動した。単層は薄く広げ、初期圧力18±1 mN/mを達成させ、ペプチド添加前に5分間安定化させた。
【配列表】
Figure 0004849764
Figure 0004849764
Figure 0004849764
Figure 0004849764
Figure 0004849764
Figure 0004849764
Figure 0004849764

Claims (26)

  1. 記からなる群より選択される、抗微生物活性を有する、単離されたペプチド:
    Figure 0004849764
  2. 請求項1記載のペプチドをコードしている、単離されたポリヌクレオチド。
  3. 下記からなる群より選択されるペプチドの阻害有効量を含む、微生物増殖阻害剤
    Figure 0004849764
  4. 微生物が細菌である、請求項3記載の阻害剤
  5. 細菌がグラム陽性菌である、請求項4記載の阻害剤
  6. 細菌が、黄色ブドウ球菌、表皮ブドウ球菌、または腸球菌である、請求項5記載の阻害剤
  7. 細菌がグラム陰性菌である、請求項4記載の阻害剤
  8. 細菌が、大腸菌、緑膿菌またはネズミチフス菌である、請求項7記載の阻害剤
  9. 微生物が真菌である、請求項3記載の阻害剤
  10. 真菌がカンジダ・アルビカンスである、請求項9記載の阻害剤
  11. 微生物がウイルスである、請求項10記載の阻害剤
  12. ウイルスがエンベロープウイルスである、請求項11記載の阻害剤
  13. 前記ウイルスが、ヒト免疫不全ウイルス(HIV-1)、水疱性口内炎ウイルス、インフルエンザA型ウイルス、ヘルペスウイルス、B型肝炎ウイルス、またはC型肝炎ウイルスである、請求項12記載の阻害剤
  14. 阻害剤が、少なくとも1種の抗生物質と組合せて用いられる、請求項3記載の阻害剤
  15. 抗生物質が、アミノグリコシド、ペニシリン、セファロスポリン、カルバペネム、モノバクタム、キノロン、テトラサイクリン、グリコペプチド、クロラムフェニコール、クリンダマイシン、トリメトロプリム、スルファメトキサゾール、ニトロフラントイン、リファンピン、およびムピロシンからなる群より選択される、請求項14記載の阻害剤
  16. 抗生物質が、アミカシン、ゲンタマイシン、カナマイシン、ネチルミシン、トブラマイシン、ストレプトマイシン、アジスロマイシン、クラリスロマイシン、エリスロマイシン、エリスロマイシンエストラート/エチルスクシネート/グルセプテート/ラクトビオナート/ステアレート、ペニシリンG、ペニシリンV、メチシリン、ナフシリン、オキサシリン、クロキサシリン、ジシクロキサシリン、アンピシリン、アモキシシリン、チカルシリン、カルベニシリン、メズロシリン、アズロシリン、ピペラシリン、セファロチン、セファゾリン、セファクロル、セファマンドール、デフォキシチン、セフロキシム、セフォニシド、デフメタゾール、セフォテタン、セフプロジル、ロラカルベフ、セフェタメト、セフォペラゾン、セフォタキシム、セフゾキシム、セフトリアキソン、セフタジジム、セフェピム、セフィキシム、セフポドキサミン、セフスロジン、イミペネム、アズトレオナム、フレロキサシン、ナリジキシ酸、ノルフロキサシン、シプロフロキサシン、オフロキサシン、エノキサシン、ロメフロキサシン、シノキサシン、ドキシサイクリン、ミノサイクリン、テトラサイクリン、バンコマイシン、およびテイコプラニンからなる群より選択される、請求項14記載の阻害剤
  17. 阻害剤が、少なくとも1種のリゾチームと組合せて用いられる、請求項3記載の阻害剤
  18. 阻害剤が、少なくとも1種の抗TNF抗体またはTNFアンタゴニストと組合せて用いられる、請求項3記載の阻害剤
  19. 記からなる群より選択されるペプチドの治療的有効量を含む、内毒素血症または敗血症関連障害の治療または予防のための薬剤
    Figure 0004849764
  20. 障害が敗血症性ショックである、請求項19記載の薬剤
  21. 薬剤が、少なくとも1種の抗生物質と組合せて用いられる、請求項19記載の薬剤
  22. 抗生物質が、アミノグリコシド、ペニシリン、セファロスポリン、カルバペネム、モノバクタム、キノロン、テトラサイクリン、グリコペプチド、クロラムフェニコール、クリンダマイシン、トリメトロプリム、スルファメトキサゾール、ニトロフラントイン、リファンピン、およびムピロシンからなる群より選択される、請求項21記載の薬剤
  23. 抗生物質が、アミカシン、ゲンタマイシン、カナマイシン、ネチルミシン、トブラマイシン、ストレプトマイシン、アジスロマイシン、クラリスロマイシン、エリスロマイシン、エリスロマイシンエストラート/エチルスクシネート/グルセプテート/ラクトビオナート/ステアレート、ペニシリンG、ペニシリンV、メチシリン、ナフシリン、オキサシリン、クロキサシリン、ジシクロキサシリン、アンピシリン、アモキシシリン、チカルシリン、カルベニシリン、メズロシリン、アズロシリン、ピペラシリン、セファロチン、セファゾリン、セファクロル、セファマンドール、デフォキシチン、セフロキシム、セフォニシド、デフメタゾール、セフォテタン、セフプロジル、ロラカルベフ、セフェタメト、セフォペラゾン、セフォタキシム、セフゾキシム、セフトリアキソン、セフタジジム、セフェピム、セフィキシム、セフポドキサミン、セフスロジン、イミペネム、アズトレオナム、フレロキサシン、ナリジキシ酸、ノルフロキサシン、シプロフロキサシン、オフロキサシン、エノキサシン、ロメフロキサシン、シノキサシン、ドキシサイクリン、ミノサイクリン、テトラサイクリン、バンコマイシン、およびテイコプラニンからなる群より選択される、請求項21記載の薬剤
  24. 薬剤が、少なくとも1種の抗TNF抗体またはTNFアンタゴニストと組合せて用いられる、請求項19記載の薬剤
  25. 薬剤が、少なくとも1種のリゾチームと組合せて用いられる、請求項19記載の薬剤
  26. 下記を有する単離されたペプチド:
    (a)2つ以上のジスルフィド結合により安定化された、2つの逆平行β鎖;
    (b)βヘアピンループ;および
    (c)抗微生物活性
    ここで、該ペプチドは、下記からなる群より選択される:
    Figure 0004849764
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