JP4847912B2 - 放電管の電極形成方法 - Google Patents
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Description
この放電管60は、図14乃至図17に示すように、両端が開口した絶縁材よりなる円筒状のケース部材62の両端開口部を、放電電極を兼ねた一対の蓋部材64,64で気密に封止することによって気密外囲器66を形成し、該気密外囲器66内に、所定の放電ガスを封入してなる。
また、上記ケース部材62の内壁面74の円周方向に、微小放電間隙76を隔てて対向配置された一対のトリガ放電膜78,78が、複数組形成されている。一対のトリガ放電膜78,78の内、一方のトリガ放電膜78は、一方の放電電極部68と電気的に接続され、他方のトリガ放電膜78は、他方の放電電極部68と電気的に接続されている。
尚、放電電極部68の表面の周縁に沿って、上記被膜80が形成されないマージン部81が設けられている。
両端が開口した絶縁材よりなるケース部材の両端開口部を、放電電極を兼ねた一対の蓋部材で気密に封止することによって気密外囲器を形成すると共に、該気密外囲器内に放電ガスを封入し、また、気密外囲器内に配置される上記蓋部材の放電電極部の表面間に放電間隙を形成し、さらに、上記放電電極部の表面に多数の穴部を形成すると共に、該穴部内面に電子放出特性が良好な物質を含有した被膜を形成して成る放電管の電極形成方法であって、
多数の凹部が形成されたパレットと、上記放電電極部の表面に形成された穴部と同数の針状部を備え、これら針状部が、上記穴部と1対1で対応する位置関係となるよう配置されている電極形成用冶具と、電子放出特性が良好な物質より成る粉末を添加した液状のバインダーを準備し、
また、上記蓋部材の外面に、上記パレットの凹部と嵌合して蓋部材を固定する位置決め部を形成しておき、
先ず、上記パレットの各凹部に、それぞれ、上記蓋部材外面の位置決め部を嵌合させて固定することにより、放電電極部表面の穴部が上側に配置された状態で多数の蓋部材をパレット上に整列配置し、
次に、上記バインダー中に、電極形成用冶具の針状部を浸漬して、針状部の表面にバインダーを付着させ、
次に、上記電極形成用冶具を、各蓋部材の放電電極部の穴部の上方に配置し、バインダーが付着した針状部と、穴部とを1対1で対応させた上で、バインダーを針状部の先端から穴部内に滴下させて、穴部内面に電子放出特性が良好な物質より成る粉末を添加したバインダーを塗布し、
その後、上記バインダーを乾燥させて、穴部内面に電子放出特性が良好な物質を含有した被膜を形成することを特徴とする。
尚、上記穴部を略半球状と成し、また、上記針状部の先端部の直径が、上記穴部の直径以下の寸法と成すようにするのが好ましい。
また、本発明方法にあっては、多数の凹部が形成されたパレットを用い、多数の蓋部材をパレット上に整列配置させた状態で、各放電電極部の穴部内面に被膜を形成するので、短時間に多数の放電電極部の被膜形成を行うことができる。
しかも、蓋部材の外面に形成した位置決め部とパレットの凹部とが嵌合することにより蓋部材が固定される結果、パレット上に配置された多数の蓋部材の穴部の向きを一定にすることができるので、上記電極形成用冶具を用いたバインダーの塗布作業を容易に行うことができる。
すなわち、従来の放電管60の如く、マイクロディスペンサー(微量分注器)を用いてバインダーを塗布する方法では、穴部79内面以外の放電電極部68表面にもバインダーが塗布されてしまい、その結果、乾燥後の被膜80は、穴部79内面だけでなく、放電電極部68表面にも形成されていた(図14〜図17)。而して、放電電極部68表面に形成された被膜80は、厚さが薄く、且つ、放電電極部68との密着力が、穴部79内面の被膜80に比べて脆弱であるため、放電時の衝撃によりスパッタを生じ易かった。
放電電極部18と接合部20を備えた上記蓋部材14は、無酸素銅や、無酸素銅にジルコニウム(Zr)を含有させたジルコニウム銅で構成されている。尚、ケース部材12の端面と蓋部材14の接合部20とは、銀ろう等のシール材(図示せず)を介して気密封止されている。
上記トリガ放電膜28は、カーボン系材料等の導電性材料で構成されている。このトリガ放電膜28は、例えば、カーボン系材料より成る芯材を擦り付けることにより形成することができる。
この場合、臭化セシウムが0.01〜70重量%、バインダーが99.99〜30重量%の配合割合で混合される。
また、バインダー中の珪酸ナトリウム溶液と純水との配合割合は、珪酸ナトリウム溶液が0.01〜70重量%、純水が99.99〜30重量%の配合割合で混合される。
すなわち、従来の放電管60の如く、穴部79を「略直方体状」と成した場合には、穴部79の四方向から表面張力が掛かり、その結果、何れかの方向に被膜80が偏って形成され易いため、被膜80の状態が安定しなかった。
これに対し、本発明の放電管10の如く、穴部29を「略半球状」と成した場合には、穴部29の全方向から表面張力が均等に掛かり、その結果、被膜30が全方向に均等に形成されるため、被膜30の状態が安定化し、放電特性のバラツキを低減することができる。
図6及び図7において、31は、本発明に係る電極形成用冶具であり、該電極形成用冶具31は、平板状の基台部33と、該基台部33の上面から立設する突起部35と、上記基台部33の下面から垂設された針状部37を備えている。
上記針状部37は、図9に示すように、放電電極部18の穴部29の数と同数の16本が設けられ、また、図6及び図7に示すように、電極形成用冶具31を放電電極部18の穴部29の上方に配置した際に、針状部37は、放電電極部18の穴部29と1対1で対応する位置関係となるようマトリクス状に配置されている。尚、針状部37の少なくとも先端部の直径は、上記穴部29の直径以下の寸法と成される。
因みに、上記穴部29の直径は0.2mm程度、針状部37の直径は0.18mm程度と成されている。
また、上記蓋部材14を、放電電極部18表面の穴部29が上側となるように配置しておく。
次に、上記バインダー中に、電極形成用冶具31の針状部37を浸漬して、針状部37の表面にバインダー39を付着させる。
次に、電極形成用冶具31を放電電極部18の穴部29の上方に配置し、バインダー39が付着した針状部37と、放電電極部18の穴部29とを1対1で対応させた上で、バインダー39を針状部37の先端から穴部29内に滴下させる(図7)。この結果、穴部29内面に電子放出特性が良好な物質より成る粉末を添加したバインダー39が塗布され、このバインダー39を乾燥させれば、図8に示すように、穴部29内面に被膜30が形成される。
これに対し、本発明の上記した被膜30の形成方法にあっては、放電電極部18の穴部29と1対1で対応する位置関係で配置され、且つ、先端部の直径が、上記穴部29の直径以下の寸法と成された針状部37を備えた電極形成用冶具31を用い、電子放出特性が良好な物質より成る粉末を添加した液状のバインダーが付着した針状部37と、放電電極部18の穴部29とを1対1で対応させた上で、上記バインダー39を針状部37の先端から穴部29内に滴下させるので、穴部29内面にのみバインダー39を塗布することができる。従って、乾燥後に形成される被膜30も、穴部29内面にのみ形成することができる。
図10に示すように、蓋部材14の外面には、矩形状の位置決め部としての凸部21が形成されている。
また、図11に示すように、パレット41には、上記蓋部材14の凸部21を収納する凹部43が多数形成されている。上記凹部43は、蓋部材14の凸部21の外形と略同形の矩形状と成されており、蓋部材14の凸部21とパレット41の凹部43とが嵌合することにより、蓋部材14が固定されるようになっている。
その後、上記と同様に、各蓋部材14の放電電極部18の穴部29の上方に上記電極形成用冶具31を配置し、バインダー39が付着した針状部37と、放電電極部18の穴部29とを1対1で対応させた上で、バインダー39を針状部37の先端から穴部29内に滴下させる(図13参照)。この結果、穴部29内面に電子放出特性が良好な物質より成る粉末を添加したバインダー39が塗布され、このバインダー39を乾燥させることにより、穴部29内面に被膜30が形成される。
しかも、蓋部材14の凸部21とパレット41の凹部43とが嵌合することにより蓋部材14が固定される結果、パレット41に配置された多数の蓋部材14の穴部29の向きを一定にすることができるので、上記電極形成用冶具31を用いたバインダー39の塗布作業を容易に行うことができる。
12 ケース部材
14 蓋部材
16 気密外囲器
18 放電電極部
21 凸部
22 放電間隙
26 微小放電間隙
28 トリガ放電膜
29 穴部
30 被膜
31 電極形成用冶具
37 針状部
39 バインダー
41 パレット
43 凹部
Claims (3)
- 両端が開口した絶縁材よりなるケース部材の両端開口部を、放電電極を兼ねた一対の蓋部材で気密に封止することによって気密外囲器を形成すると共に、該気密外囲器内に放電ガスを封入し、また、気密外囲器内に配置される上記蓋部材の放電電極部の表面間に放電間隙を形成し、さらに、上記放電電極部の表面に多数の穴部を形成すると共に、該穴部内面に電子放出特性が良好な物質を含有した被膜を形成して成る放電管の電極形成方法であって、
多数の凹部が形成されたパレットと、上記放電電極部の表面に形成された穴部と同数の針状部を備え、これら針状部が、上記穴部と1対1で対応する位置関係となるよう配置されている電極形成用冶具と、電子放出特性が良好な物質より成る粉末を添加した液状のバインダーを準備し、
また、上記蓋部材の外面に、上記パレットの凹部と嵌合して蓋部材を固定する位置決め部を形成しておき、
先ず、上記パレットの各凹部に、それぞれ、上記蓋部材外面の位置決め部を嵌合させて固定することにより、放電電極部表面の穴部が上側に配置された状態で多数の蓋部材をパレット上に整列配置し、
次に、上記バインダー中に、電極形成用冶具の針状部を浸漬して、針状部の表面にバインダーを付着させ、
次に、上記電極形成用冶具を、各蓋部材の放電電極部の穴部の上方に配置し、バインダーが付着した針状部と、穴部とを1対1で対応させた上で、バインダーを針状部の先端から穴部内に滴下させて、穴部内面に電子放出特性が良好な物質より成る粉末を添加したバインダーを塗布し、
その後、上記バインダーを乾燥させて、穴部内面に電子放出特性が良好な物質を含有した被膜を形成することを特徴とする放電管の電極形成方法。 - 上記蓋部材の外面に形成した位置決め部が、上記パレットの凹部と嵌合する凸部であることを特徴とする請求項1に記載の放電管の電極形成方法。
- 上記穴部が略半球状と成されており、また、上記針状部の先端部の直径が、上記穴部の直径以下の寸法と成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の放電管の電極形成方法。
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