JP4846211B2 - 電気シガーライタ用点火プラグ、およびこの点火プラグを備える電気シガーライタの装備 - Google Patents

Description

本発明は、電気シガーライタに関する。より詳しくは、本発明は、電気シガーライタ用の点火プラグ、特に自動車に装備されるシガーライタ用の点火プラグに関する。この点火プラグは、これと補形をなし、かつ電気接続端子を備える雌のソケット本体に軸方向に差し込まれるプラグ本体と、中立位置、および点火プラグ内の点火素子に給電するための電気回路を閉鎖する押込み位置の間で、プラグ本体に対して軸方向に移動しうるように取り付けられたプッシュボタンとを有する。点火プラグ内の点火素子は、ソケット本体から引き抜かれたプラグ本体にアクセスしうる点火面を有する。

上述のようなタイプの点火プラグは、例えば特許文献１によって、すでに知られている。

この特許文献によれば、シガーライタは、電気点火素子を具備する点火プラグを備え、この点火素子は、点火プラグの底部側の端部に配置されている。

点火プラグを雌のソケット本体に差し込み、さらに押込むと、点火素子は、ソケット本体の底部に配置された金属製の舌部と接触し、点火プラグの給電回路は、閉鎖される。

点火素子が所定の温度に到達したときに、バイメタル装置が、点火素子を上方に復帰させて、給電回路を開放しうるように、点火素子は、バイメタル装置を形成する双安定性のバイメタルディスクと、軸方向へ一体に移動する。
米国特許第５１４４１１１号明細書

本発明は、それぞれ別個にＳＡＥ（アメリカ自動車技術者協会）の規格に準拠するソケット本体と、シガーライタ本体とを、互いに他方に対して使用できるようにし、かつ煙草へ点火する際に、点火プラグを扱うユーザの姿勢に係る問題を解決することを目的としている。

本発明が上記の目的を有するのは、ＳＡＥ規格に準拠したソケット本体に対しては、公知の点火プラグにおいて、軸方向に点火素子を通常通り配置した場合、点火素子によって着火が生じるため、このような点火プラグは、使用することができないからである。

そこで、本発明は、ＳＡＥ規格に準拠したソケット本体とともに使用しうる点火プラグを提供することを目的としている。

本発明はまた、煙草に点火した後、ソケット本体に溜まる煙草の灰に関する問題を解決することも目的としている。

本発明は、上記の目的を実現するために、電気シガーライタの点火プラグ、特に上述のタイプの点火プラグであって、点火素子の点火面が、点火プラグの挿入軸とほぼ平行をなすことを特徴とする点火プラグを提供するものである。

本発明は、電気シガーライタ用、特に自動車に装備されるシガーライタ用、またはＳＡＥ規格に準拠する１２Ｖのソケット用の点火プラグであって、接続端子を備え、かつ補形をなす雌のソケット本体に対して、軸方向に挿入されるプラグ本体と、プラグ本体に対して、中立位置と、点火プラグに設置される点火素子へ給電するための給電回路を閉鎖する押込み位置との間で、軸方向に移動しうるように取り付けられたプッシュボタンと、ソケット本体から取り出された点火プラグの外部からアクセス可能な点火面を有する点火素子とを具備する点火プラグに関する。しかして、本発明においては、点火素子の点火面は、点火プラグの挿入軸とほぼ平行をなしている。

本発明の他の特徴は、次の通りである。これらの特徴は、任意的なものであって、上述の構成に付加することも、代替することも、また追加することもできる。

ー点火プラグは、プラグ本体上を、保護位置と、開放位置との間で移動しうる断熱シールドを具備し、この断熱シールドは、前記保護位置においては、点火素子の点火面とソケット本体の内壁との間で横方向に介在し、前記開放位置においては、点火素子の点火面へのアクセス路を開放するようになっている。

ー断熱シールドは、ほぼ軸方向を向くスリーブ状をなし、このスリーブは、点火素子の点火面へのアクセスを可能にするため、点火面と対向して横方向を向く開口を有する。

ープラグ本体は、点火素子を包囲し、かつ点火素子の点火面へのアクセスを可能とするアクセス窓が設けられた管状外被の形状をなす部分を有する。

ー断熱シールドは、プラグ本体の管状外被の形状をなす部分の外面を軸方向に摺動しうるように取り付けられている。

ー断熱シールドは、ソケット本体の内壁と弾性的に嵌合する協働手段を有することによって、点火プラグがソケット本体から軸方向に引き抜かれるときに、断熱シールドは、プラグ本体において開放位置を占めるようになるまで、ソケット本体の内側において軸方向に保持され、ついで点火プラグのソケット本体からの引抜きが完了するまで、前記開放位置にとどまるようになっている。

ー点火プラグは、プッシュボタンが押込まれたときに、点火素子の給電回路を閉鎖させ、かつ点火素子がジュール効果によって所定の温度に達したときに、前記給電回路を開放するバイメタル装置を備えている。バイメタル装置は、クリップ状をなし、かつこのクリップ自体が閉じる際の変形により、給電回路を開放するようになっているのが好ましい。

ー前記給電回路を閉鎖するためにプッシュボタンを押込んだとき、バイメタル装置は、導電性の支持具と係合するようになっており、かつバイメタル装置または支持具は、プッシュボタンの軸方向の移動と関連づけられており、バイメタル装置がジュール効果によって昇温したときには、バイメタル装置が、支持具から自動的に外れて、プッシュボタンを中立位置に復帰させることによって、給電回路を開放するようになっている。

ー点火プラグは、プッシュボタンを押込み位置から中立位置に復帰させる弾性手段を具備する。

ー点火プラグは、プッシュボタンが押込み位置にとどまり続けて過熱状態になったときに、点火素子の給電回路を開放させうる保護ヒューズを具備する。

ー本発明はまた、自動車に取付けられ、前記点火プラグと、ＳＡＥ規格に準拠するソケット本体とを具備することを特徴とする電気シガーライタ、および前記点火プラグ、または前記電気シガーライタを備える自動車をも提供するものである。

本発明によれば、ＳＡＥ規格に準拠するソケット本体とともに使用しうる点火プラグが提供される。
また、本発明によれば、煙草に点火するユーザの姿勢を改善しうる点火プラグが提供される。

本発明の他の特徴および効果は、本発明の理解を助けるために添付図面を参照して行う、以下の詳細な説明から明らかになると思う。

以下の記述においては、本発明を限定する意味ではなく、垂直方向、および横方向なる語を用いるが、これらの方向は、各図において、それぞれ符号Ｖ、およびＴを用いて表してある。

以下の説明において、複数の図にまたがる同一または類似の構成要素には、同一の符号を付してある。

図１は、本発明に係る自動車向け電気シガーライタ10を示す。

シガーライタ10は、点火プラグ12を具備する。点火プラグ12のプラグ本体14は、自動車に装備され、かつこの点火プラグと補形をなす雌のソケット本体16に対して、軸Ａ方向１に挿入される。

点火プラグ12の挿入方向Ａ１は、図では垂直に示してある。

ソケット本体16は、点火プラグ12に対して給電を行えるように、自動車の電機回路と接続されている。

ソケット本体16は、本体の内径を２ｌ．９３〜２１．０１mmとするＳＡＥのＪ５６３規格に準拠して製造するのが好ましい。

図２に示すように、ソケット本体16は、全体的に管状をなす金属製の主壁18を備えている。主壁18は、軸方向の頂端において、開口20を有し、かつ底端においては、横方向に延びる底壁22を有する。

絶縁体から形成されるベース24は、底壁22に取り付けられている。電気的接触のためのねじ26は、ソケット本体の主壁18とは電気的に絶縁されるようにして、ベース24に螺着されている。

ねじ26は、この実施形態においては、プラスの電気接続端子を形成している。

主壁18は、マイナスの電気接続端子を形成するように、その一部が、自動車の電気回路に接地接続されている。

主壁18からは、径方向において対向し、軸方向斜め下向きに延びる２つの弾性舌部28と30が延出している。この舌部の機能については、後述する。

この実施形態によれば、プラグ本体14は、全体として管状外被の形状を有する。

プラグ本体14は、底部においては電気点火素子32を、また頂部においては、点火素子32の給電回路を閉鎖するためにバイメタル装置36の係合を制御するプッシュボタン34を有している。

公知のように、電気抵抗としての点火素子32は、リベット38の回りに螺旋形に巻回された金属片からなっている。この金属片は、椀体40に配置されている。

椀体40の開口側は、点火素子32のほぼ平坦な点火面42を、ディスク形状に区画している。

本発明によれば、点火面42は、挿入軸Ａ１とほぼ平行をなしている。

この実施形態によれば、リベット38は、挿入軸Ａ１に対して径方向Ａ２を向いている。また、点火面42は、このリベット38の軸Ａ２とほぼ直交している。

以下においては、本発明を限定する意味ではなく、軸Ａ２に沿ってリベット38の後方から前方へ向かう方向（図２においては、左から右へ向かう方向）を、径方向とする。

プラグ本体14は、点火面42と径方向において対向するアクセス窓43を有している。

点火面42は、アクセス窓43とは、プラグ本体14の内側に向かって、径方向にずれているのが好ましい。

図６に示すように、リベット38は、プラグ本体14の底部に位置するスタッド端子44に対して、導電性ブレード46を介して電気的に接続されている。

プラグ本体14は、軸方向の底端において、中心孔50が形成された横壁48を有している。中心孔50には、絶縁材料から形成された環状の求心装置52が配置されている。

スタッド端子44は、求心装置52の孔の中を、軸方向に摺動するように取り付けられている。また、スタッド端子44は、径方向へのストッパとなる環状面54を有している。この環状面54は、下向きで、求心装置52の肩部に対して軸方向に接触している。

導電性のブレード46は、この実施形態においては、リベット38の軸方向後端から下向きに延びる第１の部分56と、第１の部分56の底端から前方へ径方向に延びる第２の部分58とを有する。第２の部分58は、折り畳まれ、２つの垂直方向に重ね合わされた分枝部を形成している。第２の部分58の自由端60は、スタッド端子44の横方向に延びる頂面に固定されている。

したがって、導電性ブレードの第２の部分58は、ソケット本体16との間に軸方向のクリアランスを確保するため、スタッド端子44の軸方向の移動を許容するばね状ブレードを形成している。

リベット38は、プラグ本体14に固着されている支持プレート62に取り付けられている。

支持プレート62は、セラミック等の絶縁体から形成されている。

リベット38と同軸をなす絶縁リング64は、点火素子32からの熱の拡散を、プラグ本体14の内部において最小限にとどめるため、椀体40の外端からアクセス窓43の縁部まで、点火素子32の周りに配置されているのが好ましい。

絶縁リング64は、例えばセラミックから形成される。

バイメタル装置36と補形をなす導電性の支持具66は、支持プレート62の上方に配置されている。

支持具66は、リベット38と直交して垂直方向を向く電気接続用金具68を備えるＵ字形の金属製ブレードである。

金具68は、ここでは、支持プレート62の垂直面と椀体40の後面との間に重ね合わされている。

支持具66は、プラグ本体14に固定されている。一方、バイメタル装置36は、プラグ本体14に対して移動しうるプッシュボタン34に固定されている。

本発明の変形例（図示せず）として、バイメタル装置36をプラグ本体14に固定し、支持具66をプラグ本体14に対して移動しうるようにすることがある。

バイメタル装置36は、頂面に孔が設けられた取付け金具70を有する逆向きＵ字形をなすバイメタル片からなっている。

バイメタル装置36は、室温において、支持具66に嵌め込むことによって、これに係合される。

このため、支持具66の分枝部における２つの自由端72と、バイメタル装置36の２つの自由端72とは、それぞれ、横方向に延びる突起を有している。これらの突起は、バイメタル装置36を、室温下で、支持具66において軸方向に保持するためのものである。

プッシュボタン34の頂面には、絶縁性の端部片74の横方向に延びる頂面に固定される支持ディスク73が設けられている。

端部片74は、軸方向において下方に延びかつ管状のバイメタル装置ホルダ78に嵌め込まれるほぼ円筒形の芯部76を有している。

バイメタル装置36は、横方向に延びる取付け金具70を介して、バイメタル装置ホルダ78の横方向に延びる底面にリベット接合されている。

端部片74は、軸方向の頂端において、芯部76の円筒形外壁に沿って、軸方向下向きに延びるスカート部80を有している。

端部片74において、スカート部80を芯部76に接続している部分は、螺旋形の圧縮ばね82を支持して径方向に延びる下向きの支持面81を形成している。

プッシュボタン34は、ほぼ円筒形をなすガイドソケット84の内部で移動しうるように取り付けられている。

ガイドソケット84は、プラグ本体14の頂部に嵌合されることによって、プラグ本体14に固定されている。

ガイドソケット84は、軸方向の底端において、上方においてばね82を支持する径方向に延びる支持面88を区画する肩状部を内側に有する。

ばね82は、プッシュボタン34を上方に向かって弾性的に復帰させるために、ガイドソケット84の支持面88と端部片74の支持面81との間で、軸方向に圧縮させて取り付けられている。

したがって、プッシュボタン34は、図２、図３、および図５に示す高位置または中立位置と、図４に示す低位置または押込み位置（バイメタル装置36が支持具66に係合する位置）との間を軸方向に移動することができる。

この実施形態においては、プッシュボタン34は、軸方向において、バイメタル装置36と、バイメタル装置ホルダ78の底面との間に介在する絶縁性プレート90を有する。このプレート90は、プッシュボタン34が中立位置にあるときに、プッシュボタン34の肩状部86の底面と軸方向において接触する。

ガイドソケット84の円筒形内壁は、スカート部80の軸方向のノッチ94と協働する軸方向のリブ92を有するのが好ましい。リブ92は、プッシュボタン34を軸方向に案内し、プラグ本体14に対して斜めに移動しないようにする役割を果たす。

本発明の他の有利な特徴によれば、点火プラグ12は、プラグ本体14上を保護位置と開放位置との間で移動しうるように取り付けられた、密閉装置を形成する断熱シールド96を備えている。

断熱シールド96は、図３〜図５に示す保護位置においては、径方向において、点火面42、点火素子32、およびソケット本体16の主壁18の内面と重なっている。

断熱シールド96は、図２に示す開放位置においては、点火素子32の点火面42に対するアクセス路を確保している。

この実施形態においては、断熱シールド96は、概ね、軸方向に延びるスリーブ形状をなしており、このスリーブには、径方向において点火素子32の点火面42と対向する開口98が設けられている。

断熱シールド96は、プラグ本体14の高位置に対応する保護位置と、プラグ本体14の低位置に対応する開放位置との間で、プラグ本体14の外面を軸方向に摺動しうるように取り付けられるのが好ましい。

図１に示すように、断熱シールド96は、軸方向に延びる内面上に、ガイドとストッパの役目を果たす２つの突起100,102を備えている。これらの突起は、径方向において対向しており、プラグ本体14の軸方向に延びる２つの溝またはスロット104,106と協働する。

この実施形態によれば、点火プラグ12は、プラグ本体14の頂部の周りに配置される把持用リング108を備えている。

把持用リング108の軸方向の頂端は、ガイドソケット84の軸方向の頂端に配置される外側肩状部110の形状に合わせて成形される。

把持用リング108は、プラグ本体14の軸方向に延びる外面とともに、径方向において、断熱シールド96の頂部のための管状のガイドスペース112を区画している。

点火プラグ12をソケット本体16に挿入すると、把持用リング108の底端は、軸方向において、ソケット本体16の頂端と接触する。

断熱シールド96は、底部の軸方向外面において、径方向を向く管状の溝114を有している。この溝114は、点火プラグ12をソケット本体16に挿入したときに、断熱シールド96をソケット本体16において軸方向に保持するため、ソケット本体16の弾性舌部28,30と嵌合して、これと協働する。

本実施例においては、断熱シールド96は、プラグ本体14とソケット本体16との間の導電性を確保するため、金属から形成されている。

点火プラグ12は、点火素子32の給電回路を開放しうるように、ヒューズ116を備えているのが好ましい。

この実施形態においては、ヒューズ116は、円筒形の本体118を備えている。この本体118は、プラグ本体14の内部において、ブレード46の垂直部56と平行に延びている。

ヒューズの本体118の軸方向の底端は、プラグ本体14の横壁48と電気的に接触している。他方、ヒューズの本体118の軸方向の頂端は、導電性の舌部122の一部を形成する端子兼固定用の突起120と電気的に接触している。

舌部122は、リベット38と垂直をなし、上向きに軸方向に延びている。

舌部122の軸方向の頂端は、前方に向かって湾曲し、バイメタル装置36が支持具66と係合したときに、バイメタル装置36と電気的に接触する弾性突起124を形成している。

舌部122は、径方向において、ブレード46と、支持プレート62の垂直な後面との間に位置している。

絶縁性のワッシャ126は、径方向において、舌部122と、ブレード46との間に位置している。

次に、本発明に係る点火プラグ12を備えた電気シガーライタ10の機能を説明する。

シガーライタ10を使用しないときは、点火プラグ12は、ソケット本体16に挿入されている。このとき、プッシュボタン34は、図３に示すように、中立位置にある。

このとき、バイメタル装置36は、支持具66と接触していないため、点火素子32の給電回路は、開放されている。

点火プラグ12がソケット本体16に挿入されるときには、断熱シールド96は、保護位置にあり、舌部28,30を介してソケット本体16に嵌合される。

プラグ本体14の底部は、プラグ本体14を、磨耗させることなく、ソケット本体16に挿入するのを助けるよう、頂部よりも径が小さいのが好ましい。

ユーザがシガーライタ10を使用するときには、図４に示すように、バイメタル装置36が、支持具66と係合するまで、プッシュボタン34に対して下方に向かう軸方向の力を加え、ばね82を圧縮する。

この際、ガイドソケット84上のリブ92が、端部片74のノッチ94と協働することによって、バイメタル装置36が、支持具66に対して、所定の角度方向に正しい位置をとることができることに留意すべきである。

リブ92と、これに関連づけられるノッチ94とは、プッシュボタン34が点火プラグ12に装着される際には、位置決め機能を発揮するよう、互いに、軸Ａ１の回りで変則的に斜めをなす位置にあるのが好ましい。

バイメタル装置36が支持具66と係合すると、以下のようにして、点火素子32の給電回路が閉鎖される。

自動車の電気回路から供給される電流は、ねじ26を介してシガーライタ10に至る。

ついで、電流は、スタッド端子44、導電性ブレード46、リベット38、点火素子32、椀体40、支持具66、バイメタル装置36、導電性舌部１２２、ヒューズ116、プラグ本体14、断熱シールド96、および最終的に、自動車に接地接続されたソケット本体16の順に流れる。

図３と図４に示すように、スタッド端子44を軸方向に摺動させてプラグ本体14に取り付けると、ブレード46の第２の部分58の弾性により、スタッド端子44を下方に復帰させる力が働き、プラグ本体14とソケット本体16の間で、軸方向に種々の大きさのクリアランスを確保しつつ、スタッド端子44とねじ26との間で電気的な接触が実現される。

点火素子32の給電回路が閉鎖されると、点火素子32の温度が、ジュール効果によって上昇する。

この際、断熱シールド96は、点火面42へアクセスするためのアクセス窓43を閉鎖する保護位置にあるため、点火素子32は、ソケット本体に損傷を加えることなく、昇温することができる。

点火素子32が、煙草に点火させうる温度になると、バイメタル装置36は、ジュール効果によって、形状変化を生ずる所定の温度に達するため、導電性支持具66によって軸方向に保持されている状態から脱する。

バイメタル装置36の温度が上昇すると、バイメタル装置36は、導電性支持具66から自動的に外れるため、点火素子32の給電回路は開放される。

すると、図５に示すように、ばね82は伸張し、プッシュボタン34を押込み位置から中立位置へ復帰させる。

プッシュボタン34が中立位置に復帰すると、ユーザは、点火素子32の点火用端部が使用可能であることを知りうる。よって、ユーザは、把持用リング108を掴んで、点火プラグ12をソケット本体16から抜き取る。

図５に示すように、点火プラグ12を軸方向に取り出す際には、断熱シールド96は、軸方向において保護位置に保持される。この結果、プラグ本体14は、ソケット本体16に固定された状態でとどまる断熱シールド96から、軸方向上向きに摺動しうる。

断熱シールド96上の突起100,102が、軸方向において、プラグ本体14上のスロット104,106の端部と係合すると（図２参照）、点火プラグ12を抜き取るためにユーザが加える軸方向の力によって、断熱シールド96はソケット本体16から外れる。

このとき、断熱シールド96は、プラグ本体14上において開放位置をとるため、ユーザは、煙草を点火面42に接触させて、煙草に点火することができる。

断熱シールド96は、プラグ本体14、または把持用リング108との摩擦によって、開放位置に保持されるのが好ましい。

点火素子32を加熱している間、プッシュボタン34が押込み位置にとどまり続ける場合は、安全上の理由により、バイメタル装置36が外れた後には、ヒューズ116が働き、点火素子32の給電回路が開放して、加熱が停止するようになっている。

この実施形態の変形例（図示せず）として、過熱状態のときに、点火プラグ12全体ではなく、ヒューズ116だけを取り替えればすむように、ヒューズ116は、点火プラグ12に取外し可能に取り付けられる。

本発明に係る点火プラグ12を使用するときのユーザの姿勢は、従来の点火プラグを使用するときに比べて改善される。

これは、点火プラグ12が、通常のライタのように垂直に保持され、煙草は、ほぼ径方向に点火面42に近づけられるため、本発明に係る点火プラグを用いるユーザの動きが、通常のライタで煙草に火をつけるときの動きにきわめて似ているからである。

点火プラグを扱うユーザの姿勢が改善されると、点火プラグ12を手にとっているユーザが、これを落とすおそれをできるだけ小さくすることができる。

また、本発明に係る点火プラグ12によれば、取り扱うユーザの姿勢が改善されるため、例えば急ブレーキの際に、ユーザの顔に火傷を負わせるおそれも小さくなる。

さらに、点火面42と点火プラグ12の外部にある物とが接触するという不測の事態を防止するため、点火面42は、断熱シールド96を含む点火プラグ12の円筒状外壁から、径方向に深く後退して配置されている。

把持用リング108の外形は、点火プラグ12の軸Ａ１の回りにおける点火面42の位置をユーザに知らせやすいように、点火プラグ12と一致しているのが好ましい。

本発明に係る点火プラグ12のもう一つの利点は、断熱シールド96が、煙草の灰が飛散するのを防止する機能をも有することである。

この機能は、煙草に着火した後、灰が、点火素子32の点火面42上に残存することにより発揮される。

公知のシガーライタによれば、点火プラグがソケット本体に戻されたときに、灰が、ソケット本体の底部に堆積する傾向がある。

本発明に係る点火プラグ12によれば、点火プラグ12がソケット本体16に戻されたときに、断熱シールド96が、点火素子32にアクセスするためのアクセス窓43を閉鎖するため、灰は、プラグ本体14の内部に閉じ込められる。

本発明に係る点火プラグ12は、ＳＡＥ規格に準拠したソケット本体16に対しても、特にこのソケット本体16をシガーライタに適合させる処置をとらずに、装填することができるという利点を有する。これは、産業的な観点からは、大きな長所である。すなわち、最終的な製品が電気のコンセント（例えば１２Ｖ）であるか、またはシガーライタであるかに応じて、多種の製品本体を製造する代わりに、本発明によれば、電気のコンセントとシガーライタのどちらにも使用しうる単一の本体を製造することができる。２つの製品の違いは、プラグの有無だけであるから、電気のコンセントにシガーライタ機能を追加したいときは、この単一の本体にプラグを追加すればよい。

本発明に係る点火プラグとＳＡＥ規格に準拠したソケット本体を具備する電気シガーライタを模式的に示す分解斜視図である。 図１のシガーライタにおける点火プラグを、ソケット本体と完全に合体された位置において、模式的に示す軸方向断面図である。 ソケット本体に挿入された状態の点火プラグと、点火素子の加熱を制御する中立位置にあるプッシュボタンとを示す、図２に類似する軸方向断面図である。 点火素子が加熱状態（プッシュボタンは、押込み位置にある）にあるときの点火プラグを示す、図２に類似する軸方向断面図である。 ソケット本体から抜き出す際における点火プラグ（点火素子の加熱は終了している）を示す、図２に類似する軸方向断面図である。 点火プラグの給電回路の一部を模式的に示す斜視図である。

符号の説明

10 シガーライタ
12 点火プラグ
14 プラグ本体
16 ソケット本体
18 主壁
20 開口
22 底壁
24 ベース
26 ねじ
28,30 舌部
32 電気点火素子
34 プッシュボタン
36 バイメタル装置
38 リベット
40 椀体
42 点火面
43 アクセス窓
44 スタッド端子
46 ブレード
48 横壁
50 中心孔
52 求心装置
54 環状面
62 支持プレート
64 絶縁リング
66 支持具
68 電気接続用金具
70 取付け金具
73 支持ディスク
74 端部片
76 芯部
78 バイメタル装置ホルダ
80 スカート部
82 ばね
84 ガイドソケット
90 絶縁性プレート
92 リブ
94 ノッチ
96 断熱シールド
98 開口
100,102 突起
104,106 スロット
108 把持用リング
112 ガイドスペース
116 ヒューズ
122 舌部

Claims (11)

1. 電気シガーライタ(10)用、特に自動車に装備されるシガーライタ用、または１２Ｖのソケット用の点火プラグ(12)であって、
   接続端子(18)(26)を備え、かつ補形をなす雌のソケット本体(16)に対して、軸(A1)方向に挿入されるようになっているプラグ本体(14)と、
   プラグ本体(14)に対して、中立位置と、点火プラグ(12)に設置される点火素子(32)へ給電するための給電回路を閉鎖する押込み位置との間で、軸方向に移動しうるように取り付けられたプッシュボタン(34)と、
   ソケット本体(16)から取り出された点火プラグ(12)の外部からアクセス可能な点火面(42)を有する点火素子(32)とを具備する点火プラグ(12)において、
   該点火プラグ(12)は、ユーザが加える軸方向の力によって、プラグ本体(14)上を、保護位置と、開放位置との間で移動しうる、ほぼ軸方向を向くスリーブ状をなし、かつ点火素子(32)の点火面(42)へのアクセスを可能にするため、点火面(42)と対向して横方向を向く開口(98)を有する断熱シールド(96)を具備し、断熱シールド(96)は、前記保護位置においては、点火プラグ(12)の挿入軸(A1)とほぼ平行をなしている点火素子(32)の点火面(42)とソケット本体(16)の内壁との間で横方向に介在し、前記開放位置においては、点火素子(32)の点火面(42)へのアクセス路を開放するようになっていることを特徴とする点火プラグ(12)。
2. 点火素子(32)の点火面(42)が、点火プラグ(12)の挿入軸(A1)とほぼ平行をなしており、
   プッシュボタン(34)が押込まれたときに点火素子(32)の給電回路を閉鎖させ、点火素子(32)がジュール効果によって所定の温度に達したときに前記給電回路を開放する、バイメタル装置(36)を備えていることを特徴とする請求項１記載の点火プラグ(12)。
3. プラグ本体(14)は、点火素子(32)を包囲し、かつ点火素子(32)の点火面(42)へのアクセスを可能とするアクセス窓(43)が設けられた管状外被の形状をなす部分を有することを特徴とする請求項１または２記載の点火プラグ(12)。
4. 断熱シールド(96)は、プラグ本体(14)の管状外被の形状をなす部分の外面を軸方向に摺動しうるように取り付けられていることを特徴とする請求項２または３記載の点火プラグ(12)。
5. 断熱シールド(96)は、ソケット本体(16)の内壁(18)と弾性的に嵌合する協働手段(114)を有することによって、点火プラグ(12)がソケット本体(16)から軸方向に引き抜かれるときに、プラグ本体(14)において開放位置を占めるようになるまで、ソケット本体(16)の内側において軸方向に保持され、ついで点火プラグ(12)のソケット本体(16)からの引抜きが完了するまで、前記開放位置にとどまるようになっていることを特徴とする請求項２〜４のいずれか１項に記載の点火プラグ(12)。
6. 前記給電回路を閉鎖するためにプッシュボタン(34)を押込んだとき、バイメタル装置(36)は、導電性の支持具(66)と係合するようになっており、かつバイメタル装置(36)または支持具(66)は、プッシュボタン(34)の軸方向の移動と関連づけられており、バイメタル装置(36)がジュール効果によって昇温したときには、バイメタル装置(36)が、支持具(66)から自動的に外れて、プッシュボタン(34)を中立位置に復帰させることによって、給電回路を開放するようになっていることを特徴とする請求項１に記載の点火プラグ(12)。
7. バイメタル装置は、クリップ状をなし、かつこのクリップ自体の変形により、給電回路を開放するようになっていることを特徴とする請求項１または５記載の点火プラグ(12)。
8. プッシュボタン(34)を、押込み位置から中立位置に復帰させる弾性手段(82)を具備することを特徴とする請求項１〜７のいずれか１項に記載の点火プラグ(12)。
9. 点火素子(32)の給電回路を開放させうる保護ヒューズ(116)を具備することを特徴とする請求項１〜７のいずれか１項に記載の点火プラグ(12)。
10. 自動車に取付けられ、請求項１〜９のいずれか１項に記載の点火プラグ(12)と、ＳＡＥ規格に準拠するソケット本体(16)とを具備することを特徴とする電気シガーライタ(10)。
11. 請求項１〜９のいずれか１項に記載の点火プラグ(12)、または請求項１０記載の電気シガーライタを備えることを特徴とする自動車。

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