JP4845988B2 - アンテナ装置 - Google Patents

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Description

本発明は、光を送受信するアンテナ装置に関する。本発明は特に、光を受信し、その光エネルギーを電気エネルギーに変換するアンテナ装置に関する。
アンテナ装置を利用して光を送受信する技術は、様々な分野で必要とされている。例えば、情報を送受信するために、光を媒体として電力を無線で送受信するために、又は太陽光から電力を生成するために、アンテナ装置を利用する技術の開発が進められている。これらの技術分野に用いられるアンテナ装置の一例に、アンテナ部で光を受信し、その光エネルギーを整流器で電流に変換するレクテナと呼ばれるアンテナ装置が開発されている。
レクテナと呼ばれるアンテナ装置の多くは、特許文献1及び特許文献2に開示されているように、電流型のレクテナである。電流型のレクテナは、アンテナ部に生じる共振電流を給電点から引き出し、整流器で整流して電流を生成することを特徴としている。
一方、非特許文献1には、電流型のレクテナとは異なる構造を有するアンテナ装置が提案されている。非特許文献1のアンテナ装置は、アンテナ部に生じる電圧を利用して電流を生成することを特徴としている。
図24に、非特許文献1に開示される電圧型のアンテナ装置の構成を示す。アンテナ装置400は、負荷460に電流を供給するアンテナ素子420を備えている。アンテナ素子420は、金属体のアンテナ部430と、第1トンネルダイオード442と、第2トンネルダイオード444と、第1接続電極452と、第2接続電極454を有する。第1トンネルダイオード442は、アンテナ部430の一端432と第1接続電極452の間に接続されており、ホットエレクトロンを選択的に透過させるMIM(Metal−Insulator−Metal)型のトンネルダイオードである。第2トンネルダイオード444は、アンテナ部430の他端436と第2接続電極454の間に接続されており、ホットホールを選択的に透過させるMIM型のトンネルダイオードである。負荷460は、第1接続電極452と第2接続電極454の間に接続されている。アンテナ部430の長手方向の長さは、受信対象の光の波長λの1/2に設定されている。
図25に、アンテナ部430が波長λの光を受信したときのアンテナ部430内のフェルミ準位を示す。図25の横軸はアンテナ部430の長手方向の位置を示しており、縦軸はその位置におけるフェルミ準位を示す。アンテナ部430に波長λの光が入射すると、交番電界に同期してアンテナ部430の両端部に電子が交互に密集する。紙面右向きの電界(図25に実線で示す)がアンテナ部430に加わると、アンテナ部430の一端432に電子が密集し、アンテナ部430の一端432のフェルミ準位が上昇する。一方、紙面左向きの電界(図25に破線で示す)がアンテナ部430に加わると、アンテナ部430の他端436に電子が密集し、アンテナ部430の他端436のフェルミ準位が上昇する。
紙面右向きの電界によってアンテナ部430の一端432のフェルミ準位が上昇すると、第1トンネルダイオード442内の不連続なエネルギーレベルを超えたホットエレクトロンは、第1トンネルダイオード442を透過する。これにより、アンテナ部430、第1トンネルダイオード442、負荷460、及び第2トンネルダイオード444で構成されるループが形成され、負荷460に時計回りの電流が供給される。一方、紙面左向きの電界がアンテナ部430に加わったときは、第1トンネルダイオード442と第2トンネルダイオード444が非導通状態に維持されるので、負荷に電流が供給されない。これにより、図24に示すアンテナ装置400は、紙面右向きの電界に応じて半波整流された電流を負荷460に供給することができる。
非特許文献1はさらに、図26に示すアンテナ装置410も提案している。図26に示すアンテナ装置410は、アンテナ部430の一端432に正孔選択性のトンネルダイオード443が追加接続されているとともに、アンテナ部430の他端436に電子選択性のトンネルダイオード445が追加接続されていることを特徴としている。これにより、紙面右向きの電界がアンテナ部430に加わると、トンネルダイオード442とトンネルダイオード444を介して電流が負荷460に供給され、紙面左向きの電界がアンテナ部430に加わると、トンネルダイオード445とトンネルダイオード443を介して電流が負荷460に供給される。図26に示すアンテナ装置410は、全波整流された電流を負荷460に供給することができる。
特開平5−18271号公報 特開2007−116515号公報
D. Koenig and R. Corkish, "Energy selective contacts as ultrafast rectifiers for optical antennas", Proceedings of 21th European Photovoltaic Solar Energy Conference and Exhibition, Dresden, Germany, 2006, p.83-p.86
しかしながら、図24に示す電圧型のアンテナ装置400では、半波整流された電流を生成するために、少なくとも電子選択性のトンネルダイオードと正孔選択性のトンネルダイオードの合計2個のトンネルダイオードが必要である。また、図26に示す電圧型のアンテナ装置410では、全波整流された電流を生成するために、少なくとも電子選択性のトンネルダイオードと正孔選択性のトンネルダイオードの組の2組が必要であり、合計4個のトンネルダイオードが必要である。電圧型のアンテナ装置400,410は、必要とされるトンネルダイオードの個数が多いという問題がある。本明細書で開示される技術は、簡易な構造の電圧型のアンテナ装置を提供する。
図25に示されるように、電圧型のアンテナ装置は、アンテナ部の端部において電位が上昇する現象を利用する。例えば、図25に示されるように、電圧型のアンテナ装置は、アンテナ部に紙面右向きの電界が周期的に印加されるのに応じて、アンテナ部の左端部のフェルミ準位が周期的に上昇する現象を利用する。図25に示されるように、アンテナ部の左端部のフェルミ準位は上下に変動を繰返すものの、アンテナ部の左端部から光の波長λの1/4だけ離れた位置では電位が一定である。このため、電位が一定なアンテナ部の部位を固定電位に固定するとともに、負荷にも固定電位を接続すると、アンテナ部と負荷の間には固定電位を介したループが形成され、アンテナ部に加わる電界から電流を生成することが可能になる。固定電位を利用すれば、簡易な構造の電圧型のアンテナ装置を構成することができる。
本明細書で開示されるアンテナ装置は、アンテナ素子を備えている。アンテナ素子は、導電性の第1アンテナ部と、第1トンネルダイオードと、負荷に接続して用いられる第1接続電極と、固定電位に接続して用いられる固定電極とを有する。第1アンテナ部は、第1トンネルダイオードに接続される第1部位と、固定電極に接続される第2部位を有している。第1トンネルダイオードは、一方の電極が第1アンテナ部の前記第1部位に接続されており、他方の電極が第1接続電極に接続されている。
上記アンテナ装置のアンテナ部は、第1部位が第1トンネルダイオードに接続され、第2部位が固定電位に接続されている。アンテナ部が光を受信すると、光の交番電界に応じてアンテナ部の第1部位のフェルミ準位が上下する。フェルミ準位の上下に応じて励起されたキャリアは、第1トンネルダイオードを透過する。上記のアンテナ装置は、少なくとも1つのトンネルダイオードを利用して、半波整流された電流を生成することができる。
本明細書で開示されるアンテナ装置は、全波整流された電流を生成することもできる。全波整流用のアンテナ装置のアンテナ素子は、導電性の第2アンテナ部と、第2トンネルダイオードと、負荷に接続して用いられる第2接続電極をさらに有している。第2アンテナ部は、固定電極に接続される第3部位と、第2トンネルダイオードに接続される第4部位を有している。第2トンネルダイオードは、一方の電極が第2アンテナ部の前記第4部位に接続されており、他方の電極が第2接続電極に接続されている。第1部位、第2部位、第3部位、及び第4部位は、直線上に配置されている。第1部位と第2部位の間の距離と第3部位と第4部位の間の距離が等しい。
上記のアンテナ装置では、第1アンテナ部の第1部位と第2アンテナ部の第4部位が固定電極を中心として点対称に配置されている。このため、第1アンテナ部と第2アンテナ部が受信対象の光を受信すると、光の交番電界に応じて、第1アンテナ部の第1部位のフェルミ準位と第2アンテナ部の第4部位のフェルミ準位が交互に上下する。したがって、光の交番電界に応じて、第1トンネルダイオードをホットキャリアが透過する現象と第2トンネルダイオードをホットキャリアが透過する現象が交互に繰返される。上記のアンテナ装置は、少なくとも2つのトンネルダイオードを利用して、全波整流された電流を生成することができる。
上記のアンテナ装置の1つの例では、第1アンテナ部が線状の形態を有しており、第2アンテナ部も線状の形態を有している。これにより、第1アンテナ部と第2アンテナ部は、一方向に伸びる線状アンテナ部を構成している。
受信対象の光の電界の振動面及び波長に基づいて、線状アンテナ部の長手方向及び長さを設定すれば、受信対象の光を効率的に受信することができる。
受信対象の光が少なくとも異なる波長の光を含む場合、上記のアンテナ装置は、複数のアンテナ素子を有するのが好ましい。この場合、複数のアンテナ素子のうちの少なくとも1つのアンテナ素子の線状アンテナ部の第1部位と第4部位の間の長さは、複数のアンテナ素子のうちの他の少なくとも1つのアンテナ素子の線状アンテナ部の第1部位と第4部位の間の長さと異なのが好ましい。
長さの異なる線状アンテナ部を有すると、異なる波長の光で構成された光を効率的に電流に変換することができる。
受信対象の光が少なくとも異なる電界の振動面の光を含む場合、上記のアンテナ装置は、複数のアンテナ素子を有するのが好ましい。この場合、複数のアンテナ素子のうちの少なくとも1つのアンテナ素子の線状アンテナ部の長手方向は、複数のアンテナ素子のうちの他の少なくとも1つのアンテナ素子の線状アンテナ部の長手方向と異なのが好ましい。
長手方向が異なるアンテナ部を有すると、異なる電界の振動面の光で構成された光を効率的に電流に変換することができる。

上記のアンテナ装置の他の1つの例では、第1アンテナ部と第2アンテナ部が、一体で形成された平板状アンテナ部である。第2部位と第3部位は、平板状アンテナ部内の共通部位である。第1部位と第4部位は、その共通部位を間に挟んで配置されている。
上記のアンテナ装置では、アンテナ部が平板状に形成されているので、機械的強度が高く、信頼性が高い。
受信対象の光が少なくとも異なる電界の振動面の光を含む場合、平板状アンテナ部を有するアンテナ装置では、第1部位と第4部位が、平板状アンテナ部の対角線上の角部に配置されていることが好ましい。即ち、第1部位に接続される第1トンネルダイオードと第4部位に接続される第2トンネルダイオードが、平板状アンテナ部の対角線上の角部に配置されていることが好ましい。
第1トンネルダイオードと第2トンネルダイオードが上記位置関係に配置されていると、異なる電界の振動面の光で構成された光を効率的に電流に変換することができる。
本明細書で開示されるアンテナ装置は、簡易な構造でありながら、光の送受信を行うことができる。例えば、本明細書で開示されるアンテナ装置は、少なくとも1つのダイオードで半波整流された電流を生成することができる。また、本明細書で開示されるアンテナ装置は、少なくとも2つのダイオードで全波整流された電流を生成することができる。
第1実施形態のアンテナ装置の構成を示す。 第1実施形態のアンテナ装置の具体的な構成を示す。 第1実施形態のアンテナ装置のアンテナ部内のフェルミ準位を示す。 第2実施形態のアンテナ装置の構成を示す。 第2実施形態のアンテナ装置のアンテナ部内のフェルミ準位を示す。 第2実施形態のアンテナ装置の平面図の一例を示す。 第2実施形態のアンテナ装置の平面図の他の一例を示す。 第2実施形態のアンテナ装置の平面図の他の一例を示す。 (A)第1実施例のアンテナ素子の断面図を模式的に示す。 (B)第1実施例のアンテナ素子の平面図を模式的に示す。 第1トンネルダイオードにMIMトンネルダイオードを適用した場合の断面図の一例を示す。 第1トンネルダイオードにMIMトンネルダイオードを適用した場合の断面図の他の一例を示す。 第1トンネルダイオードにMIIMトンネルダイオードを適用した場合の断面図の一例を示す。 第1トンネルダイオードにMIIMトンネルダイオードを適用した場合の断面図の他の一例を示す。 第1トンネルダイオードに共鳴トンネルダイオードを適用した場合の断面図の一例を示す。 出力として利用される電子の状態を示す。 アンテナ素子のレイアウトの一例を示す。 アンテナ素子のレイアウトの他の一例を示す。 アンテナ素子のレイアウトの他の一例を示す。 アンテナ素子のレイアウトの他の一例を示す。 アンテナ素子のレイアウトの他の一例を示す。 アンテナ素子のレイアウトの他の一例を示す。 アンテナ素子のレイアウトの他の一例を示す。 (A)第2実施例のアンテナ素子の断面図を模式的に示す。 (B)第2実施例のアンテナ素子の平面図を模式的に示す。 従来のアンテナ装置の構成の一例を示す。 従来のアンテナ装置のアンテナ部内のフェルミ準位を示す。 従来のアンテナ装置の構成の他の一例を示す。
以下、図1〜8を参照して、本明細書で開示される技術の概要を説明する。
(第1実施形態)
図1に、半波整流用のアンテナ装置10の構成を示す。アンテナ装置10は、負荷60に電流を供給するアンテナ素子20を備えている。アンテナ素子20は、アンテナ部30と、トンネルダイオード40と、接続電極52と、固定電極54を有する。
アンテナ部30は、導電性であり、線状又は平板状の形態を有している。アンテナ部30は、受信対象の光の波長λの1/4の長さ有する部分を備えており、その部分の一端32(第1部位の一例)と他端34(第2部位の一例)の間が直線状に伸びている。トンネルダイオード40は、アンテナ部30の一端32と接続電極52の間に接続されており、所定のエネルギーレベルに励起されたホットエレクトロンを選択的に透過させる。固定電極54は、アンテナ部30の他端34に接続されている。負荷60は、接続電極52に接続されているとともに、接地電位にも接続されている。固定電極54は、接地電位に固定されている。なお、固定電極54は、図2に示すように、アンテナ部30の他端34に接触する導体部54aを有するのが望ましい。アンテナ部30は、導体部54aに対して垂直に接触するのが望ましい。導体部54aは、十分な厚みを有しており、アンテナ部30の鏡像アンテナを提供することができる。
図3に、アンテナ部30が波長λの光を受信したときのアンテナ部30内のフェルミ準位を示す。図3の横軸はアンテナ部30の直線状に伸びる方向の位置を示しており、縦軸はその位置におけるフェルミ準位を示す。アンテナ部30に波長λの光が入射すると、交番電界に同期してアンテナ部30の一端32に電子が周期的に密集する。紙面右向きの電界(図3に実線で示す)がアンテナ部30に加わると、アンテナ部30の一端32に電子が密集し、アンテナ部30の一端32のフェルミ準位が上昇する。紙面左向きの電界(図3に破線で示す)がアンテナ部30に加わると、アンテナ部30の一端32のフェルミ準位が下降する。アンテナ部30の一端32のフェルミ準位は、交番電界に同期して上下の変動を繰返す。
紙面右向きの電界によってアンテナ部30の一端32のフェルミ準位が上昇すると、トンネルダイオード40内の不連続(離散的)なエネルギーレベルを経由してホットエレクトロンがトンネルダイオード40を透過する。アンテナ部30の他端34が接地電位に接続されているとともに、負荷60も接地電位に接続されているので、アンテナ部30と負荷60の間には接地電位を介したループが形成される。このため、トンネルダイオード40を透過したエレクトロンは、負荷60に流れ込むことができる。アンテナ装置10は、1つのトンネルダイオード40を利用して、半波整流された電流を負荷60に供給することができる。
(第2実施形態)
図4に、全波整流用のアンテナ装置100の構成を示す。アンテナ装置100は、負荷160に電流を供給するアンテナ素子120を備えている。アンテナ素子120は、アンテナ部130と、第1トンネルダイオード142と、第2トンネルダイオード144と、第1接続電極152と、第2接続電極156と、固定電極154を有する。
アンテナ部130は、導電性であり、線状又は平板状の形態を有している。アンテナ部130は、受信対象の光の波長λの1/2の長さ有する部分を備えており、その部分の一端132と他端136の間が直線状に伸びている。アンテナ部130の直線状に伸びる部分は、第1アンテナ部133と第2アンテナ部135を備えている。第1アンテナ部133と第2アンテナ部135は、アンテナ部130の中心部位134(第2部位と第3部位の一例)に対して対称に伸びている。第1アンテナ部133及び第2アンテナ部135の直線状に伸びる方向の長さはそれぞれ、光の波長λの1/4に設定されている。第1トンネルダイオード142は、アンテナ部130の一端132(第1部位の一例)と第1接続電極152の間に接続されており、所定のエネルギーレベルに励起されたホットエレクトロンを選択的に透過させる。第2トンネルダイオード144は、アンテナ部130の他端136(第4部位の一例)と第2接続電極156の間に接続されており、所定のエネルギーレベルに励起されたホットエレクトロンを選択的に透過させる。固定電極154は、アンテナ部130の中心部位134に接続されている。負荷160は、第1接続電極152と第2接続電極156のそれぞれに接続されている。負荷160はさらに、接地電位に接続されている。固定電極154は、接地電位に固定されている。
図5に、アンテナ部130が波長λの光を受信したときのアンテナ部130内のフェルミ準位を示す。図5の横軸はアンテナ部130の直線状に伸びる方向の位置を示しており、縦軸はその位置におけるフェルミ準位を示す。アンテナ部130に波長λの光が入射すると、交番電界に同期してアンテナ部130の両端132,136に電子が交互に密集する。紙面右向きの電界(図5に実線で示す)がアンテナ部130に加わると、アンテナ部130の一端132に電子が密集し、アンテナ部130の一端132のフェルミ準位が上昇する。一方、紙面左向きの電界(図5に破線で示す)がアンテナ部130に加わると、アンテナ部130の他端136に電子が密集し、アンテナ部130の他端136のフェルミ準位が上昇する。アンテナ部130の両端のフェルミ準位は、交番電界に同期して上下の変動を繰返す。
紙面右向きの電界によってアンテナ部130の一端132のフェルミ準位が上昇すると、第1トンネルダイオード142内の不連続(離散的)なエネルギーレベルを経由したホットエレクトロンが第1トンネルダイオード142を透過する。アンテナ部130の中心部位134が接地電位に接続されているとともに、負荷160も接地電位に接続されているので、アンテナ部130と負荷160の間には接地電位を介したループが形成される。このため、第1トンネルダイオード142を透過したエレクトロンは、負荷160に流れ込むことができる。また、紙面左向きの電界によってアンテナ部130の他端136のフェルミ準位が上昇すると、第2トンネルダイオード144内の不連続(離散的)なエネルギーレベルを経由したホットエレクトロンが第2トンネルダイオード144を透過する。アンテナ部130の中心部位134が接地電位に接続されているとともに、負荷160も接地電位に接続されているので、アンテナ部130と負荷160の間には接地電位を介したループが形成される。このため、第2トンネルダイオード144を透過したエレクトロンは、負荷160に流れ込むことができる。これにより、アンテナ装置100では、アンテナ部130に紙面右向きの電界が加わるときに第1トンネルダイオード142を介した電流が負荷160に供給され、アンテナ部130に紙面左向きの電界が加わるときに第2トンネルダイオード144を介した電流が負荷160に供給される。アンテナ装置100は、交番電界の方向が紙面左右のいずれの方向であっても、負荷160に電流を供給することができる。アンテナ装置100は、2つのトンネルダイオード142,144を利用して、全波整流された電流を負荷160に供給することができる。
図6に、図4に示すアンテナ装置100のアンテナ素子120の一例を示す。図6は、アンテナ素子120を平面視したときの模式図である。このアンテナ素子120は、アンテナ部130が線状の形態であることを特徴としている。アンテナ部130は、受信対象の光の電界の振動面がx軸に平行であり、その波長がλである光を選択的に受信することができる。
図7に、図4に示すアンテナ装置100のアンテナ素子120の他の一例を示す。図7は、アンテナ素子120を平面視したときの模式図である。このアンテナ素子120は、アンテナ部130が平板状の形態であることを特徴としている。このアンテナ部130は、受信対象の光の電界の振動面がx軸に平行であり、その波長がλの光を受信する。また、平板状のアンテナ部130は、電界の振動面がx軸から僅かに傾いた光も受信することができる。このため、平板状のアンテナ部130は、受信対象の光の電界の振動面に関し、その許容範囲を広くすることができる。なお、この例のアンテナ部130は、平面視したときに矩形状の形態を有している。この例に代えて、アンテナ部130は、平面視したときに多角形状、楕円形状、又は円状であってもよい。
図8に、図4に示すアンテナ装置100のアンテナ素子120の他の一例を示す。図8は、アンテナ素子120を平面視したときの模式図である。このアンテナ素子120は、アンテナ部130が平板状の形態であることを特徴としている。さらに、このアンテナ素子120は、第1トンネルダイオード142と第2トンネルダイオード144が、平板状のアンテナ部130の対角線上の角部に配置されていることを特徴としている。このアンテナ部130は、受信対象の光が円偏波であっても受信することができる。
以下、本明細書で開示される技術を具現化したアンテナ装置を具体的に説明する。なお、以下に説明するアンテナ装置は、赤外光より短い波長の光を受信するために用いられ、具体的には波長2μm以下の光を受信するために用いられる。より好ましくは、以下に説明するアンテナ装置は、赤外光から可視光の範囲の光を受信するために用いられ、具体的には波長0.2μm以上であり、且つ2μm以下の光を受信するために用いられる。以下に説明するアンテナ装置は、電力を無線で送受信する技術、太陽光から電力を生成する技術に適用することができる。
図9に、第1実施例のアンテナ装置が備えるアンテナ素子220の構成を示す。アンテナ素子220は、アンテナ装置の基本ユニットである。図9(A)に、アンテナ素子220の縦断面図を模式的に示す。図9(B)に、アンテナ素子220の平面図を模式的に示す。なお、図9(A)は、図9(B)のA−A線に対応した縦断面図である。
図9に示すように、アンテナ素子220は、絶縁性の基板260と、基板260の表面に設けられた第1接続電極252と、基板260の表面に設けられた固定電極254と、基板260の表面に設けられた第2接続電極256と、第1接続電極252の表面に設けられた第1トンネルダイオード242と、第2接続電極256の表面に設けられた第2トンネルダイオード244と、線状アンテナ部230を備えている。
基板260の材料には、製造過程で加えられる熱処理に耐えられる高耐熱性を有する材料が用いられるのが望ましい。基板260には、例えば、高融点ガラス基板、石英基板、アルミナ基板、セラミックス基板を用いることができる。また、基板260には、金属基板又は半導体基板の表面に絶縁材料を被膜させたものを用いてもよい。この場合、半導体基板の材料には、例えば、シリコン、砒化ガリウムを用いることができる。
第1接続電極252は、基板260の表層部に形成された溝内に設けられている。第1接続電極252の材料には、例えば、アルミニウム、ニッケル、チタン、金、銀を用いることができる。第1接続電極252と線状アンテナ部230の間の距離G1は、受信対象の光の波長λの1/4以上であるのが望ましい。平板状の第1接続電極252の表面近傍は、水平方向の電界が0となる。このため、線状アンテナ部230は、受信対象の光の波長λの1/4以上の距離G1を有して第1接続電極252上に設けられているのが望ましい。より好ましくは、距離G1が受信対象の光の波長λの1/4であるのが望ましい。入射光と第1接続電極252で反射した反射光の腹が、線状アンテナ部230で重なり、線状アンテナ部230に印加される電界が強くなる。なお、第1接続電極252には、図示しない負荷が接続されている。
固定電極254は、基板260の表面に設けられており、第1固定電極254aと第2固定電極254bを有する。第1固定電極254aは、第2固定電極254bの表面の一部に設けられており、線状アンテナ部230との固着性を向上させるために用いられる。第1固定電極254aの材料は、線状アンテナ部230の材料と合金化がすることが可能な材料であるのが望ましい。例えば、線状アンテナ部230の材料がカーボンナノチューブのようなナノカーボン材料である場合、第1固定電極254aの材料は、そのナノカーボン材料の成長温度で炭化物を形成することが可能な金属材料であるのが望ましい。具体的には、第1固定電極254aの材料には、例えば、アルミニウム、ニッケル、チタンを用いることができる。第2固定電極254bは、第1固定電極254aと基板260の固着性を向上させるために用いられる。第2固定電極254bの材料には、一般的に電極材料として知られる金属材料が用いられるのが好ましく、例えば、アルミニウム、ニッケル、チタン、金、銀、銅等が用いられる。固定電極254は、接地電位に固定されている。
第2接続電極256は、基板260の表面に形成された溝内に設けられている。第2接続電極256の材料には、例えば、アルミニウム、ニッケル、チタン、金、銀を用いることができる。第2接続電極256と線状アンテナ部230の間の距離G2も、受信対象の光の波長λの1/4以上であるのが望ましい。より好ましくは、距離G2が受信対象の光の波長λの1/4であるのが望ましい。なお、第2接続電極256には、図示しない負荷が接続されている。
第1トンネルダイオード242と第2トンネルダイオード244は、共通した構造を有している。第1トンネルダイオード242と第2トンネルダイオード244には、MIM(Metal−Insulator−Metal)ダイオード、MIIM(Metal−Insulator−Insulator−Metal)ダイオード、又は共鳴トンネルダイオードを用いるのが望ましい。以下、図9〜図14を参照して、第1トンネルダイオード242及び第2トンネルダイオード244の構造を説明する。なお、図9〜図14では、第1トンネルダイオード242を例にして説明するが、同様の構造は第2トンネルダイオード244にも適用される。
図10に、第1トンネルダイオード242がMIMトンネルダイードである例を示す。第1トンネルダイオード242は、第1金属薄膜242a(他方の電極の一例)と、第2金属薄膜242c(一方の電極の一例)と、第1金属薄膜242aと第2金属薄膜242cの間に設けられた絶縁薄膜242bを有している。
第1金属薄膜242aの材料には、例えば、アルミニウム、白金、ニッケル、パラジウム、金、モリブテン、クロム、銀等が用いられる。なお、図11に示すように、第1トンネルダイオード242の第1金属薄膜242aを省略してもよい。この場合、第1接続電極252が、第1金属薄膜242aの役割を果たす。
絶縁薄膜242bの材料には、例えば、ニッケル酸化膜、クロム酸化膜、ニオブ酸化膜、酸化アルミニウムの金属酸化物を用いることができる。絶縁薄膜242bの厚さは、電子がトンネル現象によって透過できる厚さであり、具体的には0.5nm以上であり、且つ10nm以下の範囲であるのが望ましい。絶縁薄膜242bには、第1金属薄膜242aの自然酸化膜を用いることができる。また、絶縁薄膜242bは、酸素プラズマ中で第1金属薄膜242aの表面を酸化させて形成することもできる。あるいは、絶縁薄膜242bは、酸素を含む雰囲気中で第1金属薄膜242aの表面を熱処理することによって形成することもできる。また、絶縁薄膜242bは、上記例示した金属酸化物をターゲットに用いたスパッタ法、又は上記例示した金属酸化物を蒸着源に用いた蒸着法等の技術を利用して形成することもできる。
第2金属薄膜242cは、線状アンテナ部230の材料であるナノカーボン材料が成長できる触媒金属であるのが望ましい。具体的には、第2金属薄膜242bの材料には、例えば、コバルト、ニッケル又はそれらの合金膜を用いることができる。また、必要に応じて、密着性を改善するために、第2金属薄膜242cと絶縁薄膜242bの間に、例えば、クロム、金、チタンの金属膜を形成してもよい。
次に、図12に、第1トンネルダイオード242にMIIMトンネルダイードを用いた例を示す。第1トンネルダイオード242は、第1金属薄膜242d(他方の電極の一例)と、第2金属薄膜242f(一方の電極の一例)と、第1金属薄膜242dと第2金属薄膜242fの間に設けられた絶縁薄膜242eを有している。
第1金属薄膜242dの材料には、例えば、アルミニウム、白金、ニッケル、パラジウム、金、モリブテン、クロム、銀等が用いられる。なお、図13に示すように、第1トンネルダイオード242の第1金属薄膜242dを省略してもよい。この場合、第1接続電極252が、第1金属薄膜242dの役割を果たす。
絶縁薄膜242eは、下側絶縁薄膜241eと上側絶縁薄膜243eの2層構造である。ここで、第1金属薄膜242dの仕事関数と下側絶縁薄膜241eの電気親和力の差は、第2金属薄膜242fの仕事関数と上側絶縁薄膜243eの電気親和力の差よりも大きい。この結果、上側絶縁薄膜243eから下側絶縁薄膜241eを見たときに、下側絶縁薄膜241eは、電子に対してエネルギー障壁を形成する。具体的には、第1金属薄膜242d及び第2金属薄膜242fの材料にクロム(Cr)が用いられ、下側絶縁薄膜241eの材料に酸化アルミニウム(Al)が用いられ、上側絶縁薄膜243eの材料に酸化クロム(Cr)が用いられるのが望ましい。この例では、酸化アルミニウムの電子親和力が1.78eV、クロムの仕事関数が4.5eV、酸化クロムの電子親和力が3.76eVである。したがって、第1金属薄膜242dの仕事関数と下側絶縁薄膜241eの電気親和力の差は2.72eVであり、第2金属薄膜242fの仕事関数と上側絶縁薄膜243eの電気親和力の差は0.74eVである。このため、上側絶縁薄膜243eから下側絶縁薄膜241eを見たときに、下側絶縁薄膜241eは、電子に対して高さが1.98eVのエネルギー障壁を形成する。
下側絶縁薄膜241eは、第1金属薄膜242dの自然酸化膜、プラズマ酸化膜又は熱酸化膜を用いることができる。また、下側絶縁膜241eは、スパッタ法又は真空蒸着法等の技術を利用して形成することもできる。上側絶縁薄膜243eは、スパッタ法又は真空蒸着法等の技術を利用して形成することができる。上側絶縁薄膜243eの厚さは、下側絶縁薄膜241eと上側絶縁薄膜243eの界面に形成される電位のくぼみに向けて、電子が第2金属薄膜242fからトンネル現象によって透過できる厚さであり、具体的には0.5nm以上であり、且つ10nm以下の範囲であるのが望ましい。下側絶縁薄膜241eの厚さは、下側絶縁薄膜241eと上側絶縁薄膜243eの界面に形成される電位のくぼみから第1金属薄膜242dに向けて、電子がトンネル現象によって透過できる厚さであり、具体的には0.5nm以上であり、且つ10nm以下の範囲であるのが望ましい。
次に、図14に、第1トンネルダイオード242に共鳴トンネルダイオードを用いた例を示す。第1トンネルダイオード242は、第1金属薄膜242g(他方の電極の一例)と、第2金属薄膜242i(一方の電極の一例)と、第1金属薄膜242gと第2金属薄膜242iの間に設けられた中間膜242hを有する。
第1金属膜の材料には、一般的に電極材料として知られる金属材料が用いられるのが好ましく、例えば、アルミニウム、ニッケル、チタン、金、銀、銅等が用いられる。
中間膜242hは、第1エネルギー障壁膜241hと、半導体膜243hと、第2エネルギー障壁膜245hを有する。第1エネルギー障壁膜241h及び第2エネルギー障壁膜245hは、絶縁体又は半導体で形成されている。第1エネルギー障壁膜241h及び第2エネルギー障壁膜245hの材料の伝導帯底のエネルギー準位は、半導体膜243hの材料の伝導帯底のエネルギー準位より高い。また、第1エネルギー障壁膜241h及び第2エネルギー障壁膜245hの厚さは、電子がトンネル現象で透過できる厚さであり、具体的には0.5nm以上であり、且つ10nm以下の範囲であるのが望ましい。第1エネルギー障壁膜241h及び第2エネルギー障壁膜245hの材料には、例えば、二酸化珪素、アルミナ、窒化珪素、フッ化カルシウムの絶縁体、あるいはアルミニウム砒素、炭化珪素、窒化ゲルマニウムの半導体を用いるのが望ましい。
半導体膜243hの材料は、その禁制帯幅が第1エネルギー障壁膜241h及び第2エネルギー障壁膜245hの材料の禁制帯幅より狭い。半導体膜243hの材料には、例えば、シリコン、シリコンゲルマニウム、砒化ガリウム、ガリウムインジウム砒素を用いるのが望ましい。また、半導体膜243hの厚さは、離散的な電子エネルギー準位が形成される厚さであり、具体的には0.5nm以上であり、且つ10nm以下の範囲であるのが望ましい。半導体膜243hと第1エネルギー障壁膜241hの間、及び半導体膜243hと第2エネルギー障壁膜245hの間にはスペーサー膜が形成されていてもよい。スペーサー膜は、半導体膜243hの材料と同一の半導体材料で形成することができる。また、スペーサー膜は、半導体膜243hと同一の半導体材料に不純物を導入し、それらの電気伝導性を高めた半導体材料で形成することができる。スペーサー膜の厚さは、具体的には0.01μm以上、且つ0.3μm以下の範囲であるのが望ましい。
第2金属薄膜242iは、線状アンテナ部230の材料であるナノカーボン材料の成長に必要な触媒金属であるのが望ましい。第2金属薄膜242iの材料には、例えば、コバルト、ニッケルまたはそれらの合金膜を用いることができる。
上記に例示したトンネルダイオードのうち特に好ましいのは共鳴トンネルダイオードである。一般的に、高周波の電磁波に対するアンテナ部230のインピーダンスは約50Ωである。受信する光の波長に応じてアンテナ部230の長さが小さくなっても、アンテナ部230のインピーダンスは約50Ωである。このため、アンテナ装置の応答速度を増加させるためには、トンネルダイオード242,244の寄生容量を減少させるのが有効である。
共鳴トンネルダイオードは、単位面積当たりの寄生容量を1.5×10−7F/cm以下にできることが知られている。このため、線状アンテナ部のインピーダンスを50Ωと仮定しても、直径52nmの寸法の共鳴トンネルダイオードで周波数1000THz(波長:0.3μm)の光に応答できる。直径52nmの寸法ならば、既知の電子線リソグラフィ等の微細加工技術を利用して共鳴トンネルダイオードを形成することができる。また、共鳴トンネルダイオードは、2つのエネルギー障壁膜で挟まれた1つの量子井戸を有する。このため、共鳴トンネルダイオードに進入した電子は、そのエネルギーが量子井戸中のエネルギー準位の一つと一致していれば、透過確率1で2つのエネルギー障壁膜を透過できる。このため、共鳴トンネルダイオードは、電子が透過する際の信号強度の減衰が原理的には起こらない。共鳴トンネルダイオードを用いたアンテナ装置は、光エネルギーを電気エネルギーに高効率で変換することができる。
図9に戻る。線状アンテナ部230は、線状の形態を有しており、一方向(x軸方向)に長く伸びている。線状アンテナ部230の長手方向(x軸方向)の長さは、受信対象の光の波長λの1/2に設定されている。線状アンテナ部230は、第1アンテナ部233と第2アンテナ部235を有している。第1アンテナ部233と第2アンテナ部235は、アンテナ部230の中心部位234(第2部位と第3部位の一例)に対して対称に伸びている。第1アンテナ部233及び第2アンテナ部235の長手方向の長さはそれぞれ、光の波長λの1/4に設定されている。
第1アンテナ部233の一端232(第1部位の一例)は第1トンネルダイオード242に接触しており、第1アンテナ部233の他端234(第2部位の一例)は固定電極254に接触している。第2アンテナ部235の一端234(第3部位の一例)は固定電極254に接触しており、第2アンテナ部235の他端236(第4部位の一例)は第2トンネルダイオード244に接触している。第1アンテナ部233と第2アンテナ部235は、固定電極254上で接触しており、第1アンテナ部233の他端234と第2アンテナ部235の一端234は共通部位である。
線状アンテナ部230の材料には、例えば、カーボンナノチューブを用いるのが望ましい。前記したように、第1トンネルダイオード242及び第2トンネルダイオード244の表面の第2金属薄膜には、カーボンナノチューブの成長に必要な触媒金属が用いられている。このため、例えば、化学気相成長法又はアーク放電成長法等の技術を利用すると、第2金属薄膜を成長用の触媒としてカーボンナノチューブを成長させることができる。一方、固定電極254は、カーボンナノチューブの成長温度で炭化物を形成することが可能な金属材料で形成されている。このため、カーボンナノチューブが第1トンネルダイオード242及び第2トンネルダイオード244の表面の第2金属薄膜から成長し、カーボンナノチューブの先端が固定電極254の表面に到達すると、カーボンナノチューブを構成する炭素が固定電極254と接触して合金化する。これにより、線状アンテナ部230と固定電極254は、電気的に接続されるとともに、強固に結合される。
線状アンテナ部230の電子が光の交番電界に同期して線状アンテナ部230の両端部232,236で交互にエネルギー的に励起されるためには、交番電界に同期して線状アンテナ部230の両端部232,236に電子が集中し、両端部232,236の電子濃度が高まるのが望ましい。両端部232,236の電子濃度は、電子のドリフト速度と交番電界の印加時間に比例する。交番電界の印加時間は、受信対象の光の波長λによって一義的に決定される。したがって、両端部232,236の電子濃度を高めるためには、電子のドリフト速度を向上させ、線状アンテナ部230内に存在する電子を両端部232,236に交互に移動させるのが望ましい。そのためには、電子のドリフト速度は、線状アンテナ部230内の電子が一方の端部から他方の端部まで移動できるほど速いのが望ましい。例えば、波長が0.2μm〜2μmの光を受信するためには、線状アンテナ部230の長手方向の長さは0.1μm〜1μmの範囲に設定される。この長さの線状アンテナ部230内を電子が交番電界に同期して一方の端部から他方の端部まで移動するためには、電子のドリフト速度として10m/s以上であるのが望ましい。一例として、本実施例のアンテナ装置を太陽光と同程度の強度の電磁波の受信に用いる場合を考える。太陽定数(太陽光によって1秒間に地球表面の1mの面積に運ばれるエネルギー)は約10W/mである。一方、電磁波の電界をE、電磁波を伝える媒体の誘電率をεとすると、電磁波によって1秒間に地球表面の1mの面積に運ばれるエネルギーは、ε E(MKSA単位系)となる。真空中を電磁波が伝わる場合を考えると、10W/mの電磁波の電界の強さは10V/mと計算される。電子の移動度は、(電子のドリフト速度)/(電界の強さ)で表されるので、電磁波の交番電界に追従するためには、線状アンテナ部230の材料の電子の移動度として約10m/Vs=100000cm/Vs以上であるのが望ましい。このような条件を満足する線状アンテナ部230の材料には、ナノカーボン材料を用いるのが好ましく、より好ましくはカーボンナノチューブを用いるのが望ましい。
次に、アンテナ素子220の動作を説明する。電界の振動面が線状アンテナ部230の長手方向(x軸方向)に対して平行な光が線状アンテナ部230に入射すると、交番電界に同期してアンテナ部230の両端部232,236に交互に電子が密集する。紙面右向きの電界が線状アンテナ部230に入射すると、線状アンテナ部230内の電子は、電界によって線状アンテナ部230の左端部232に密集する。また、光は、超高周波の電磁波である。このため、光は、金属的な性質をもつ線状アンテナ部230の極表面にのみ侵入でき、線状アンテナ部230の内部には侵入できない。したがって、線状アンテナ部230内の電子分布の偏りは、線状アンテナ部230の極表面のみで起こる。これにより、線状アンテナ部230の左端部232では、電子密度が極めて上昇する。このとき、密集した電子はクーロン反発とパウリの排他律によってエネルギー的に励起された準位に入らざるを得ないので、線状アンテナ部230の左端部232のフェルミ準位が上昇する。一方、線状アンテナ部230の右端部236のフェルミ準位が下降する。次に、紙面左向きの電界が線状アンテナ部230に入射すると、線状アンテナ部230の右端部236に電子が密集し、線状アンテナ部230の右端部236のフェルミ準位が上昇する。一方、線状アンテナ部230の左端部232のフェルミ準位が下降する。このように、アンテナ部230に光が入射すると、線状アンテナ部230の両端部232,236のフェルミ準位は振動するが、線状アンテナ部230の中央部位234のフェルミ準位は安定している。線状アンテナ部230のフェルミ準位の変動は、線状アンテナ部230の中央部位234に対して点対称に起こる。したがって、線状アンテナ部230の中央部位234を接地しても、光の電界ベクトルが周期的に変動に応じて、線状アンテナ部230の両端部232,236のフェルミ準位は交互に上下する。
光の電界が紙面右向きのとき、前述したように、線状アンテナ部230の左端部232において電子の励起が起こる。このときの線状アンテナ部230の左端部232における電子のフェルミ準位は、光が照射されていないときの線状アンテナ部230のフェルミ準位Eに比べてΔEだけ高いエネルギー位置にある。線状アンテナ部230に照射される光の位相角をφ、光の電界の強さEがφの正弦関数で表されるとすると、線状アンテナ部230の左端部232におけるΔEは以下の数式(1)で表すことができる。また、電子のドリフト速度をμ、光の周期の1/4をΔt、電子密度をNe、エネルギー準位Eを占める状態密度をN(E)とすると、以下の数式(2)が成立する。
Figure 0004845988
Figure 0004845988
電界が紙面右向きのとき、線状アンテナ部230の左端部232の電子のエネルギーは、電界が印加されていないときのフェルミ準位より高い位置にある。このため、励起されたホットエレクトロンは、第1トンネルダイオード242をトンネル現象によって透過し、第1接続電極252に引き出される。このとき、第2トンネルダイオード244がMIMトンネルダイオードの場合、線状アンテナ部230の右端部236のフェルミ準位は低い位置にあるので、第2接続電極256から第2トンネルダイオード244を介して線状アンテナ部230にトンネル現象によって逆流する電子が存在する。しかし、第2トンネルダイオード244の電流電圧特性の非線形性によって、この電子の数は、第1トンネルダイオード242を介して第1接続電極252に取り出される電子の数より少ない。したがって、電子は、第1接続電極252から負荷に流れ込むことができる。同様に、電界が紙面左向きの場合、第2接続電極256に引き出された電子は、負荷に流れ込むことができる。したがって、アンテナ素子220は、全波整流された電流を負荷に供給することができる。
上記したように、トンネルダイオード242,244がMIMダイオードの場合、逆流電流が存在する。この点を改善するために、トンネルダイオード242,244には、2つのエネルギー障壁に囲まれた量子井戸に形成される離散的なエネルギー準位を介してトンネル現象で電子が透過するMIIMダイオードまたは共鳴トンネルダイオードを用いるのが望ましい。以下、トンネルダイオード242,244に図14に示す共鳴トンネルダイオードが用いられた場合について説明する。
トンネルダイオード242,244に用いられる共鳴トンネルダイオードは、離散的なエネルギー準位の1つEESCが以下の数式(3)を満たすのが望ましい。
Figure 0004845988
第1トンネルダイオード242を透過して、第1トンネルダイオード242と第1接続電極252の界面に達する電子のエネルギーの振動は、線状アンテナ部230の左端部232の電子のエネルギーの振動に比べて遅れる。第1トンネルダイオード242の第1エネルギー障壁膜241h及び第2エネルギー障壁膜245hを電子が透過するのに要する時間は約10−15秒であり、可視光の周期に近い値である。この状況を図15に示す。図15の実線は、線状アンテナ部230の左端部232におけるフェルミ準位を示す。図15の破線は、第1トンネルダイオード242と第1接続電極252の界面におけるフェルミ準位を示す。第1トンネルダイオード242は、電子のエネルギーがEESCの電子を選択的に透過させる。したがって位相角が0°から増加し、線状アンテナ部230の左端部232のEがEESCに達した時点で電子は第1トンネルダイオード242を透過できるようになる。しかし、上述したように、第1トンネルダイオード242を透過するのに要する位相遅れのため、第1トンネルダイオード242を透過した電子のエネルギーがEESCに達するまでは出力は変化しない。さらに、位相角が増加すると、線状アンテナ部230の左端部232のEがEESCを越えて大きくなる。線状アンテナ部230は、金属的な性質をもつ材料で構成されているので、フェルミ準位以下のエネルギー準位は満たされている。したがって、EがEESCを越えている場合、EESCのエネルギーをもつ電子は必ず存在しており、この電子が第1トンネルダイオード242を透過する。これにより、エネルギーがEESCの準位は空孔となるが、すぐにその上の電子がその空孔を占めることになるので第1トンネルダイオード242を透過できる電子が途切れることはない。さらに位相が進み、線状アンテナ部230の左端部232の電子のエネルギーがEESCより小さくなると、第1トンネルダイオード242を透過できる電子がなくなり、出力が0になる。したがって、図15においてハッチングした部分に相当する電子が電流として寄与する。一方、アンテナ素子220の出力電圧は、以下の数式(4)となる。ここで、eは電気素量である。
Figure 0004845988
ESCの範囲は、上記の数式(3)の範囲であれば効果を有するが、以下の数式(5)を満たすのがより好ましい。
Figure 0004845988
図15に示すように、EESCがE+0.9×ΔEより大きいと取り出せる電子数が著しく少なくなるので、アンテナ素子220によって取り出すことのできる電力が低下する。また、EESC<E+0.4×ΔEのときにはEESC−Eが小さすぎるので、アンテナ素子220の出力電圧が小さくなる。すなわち、この場合もアンテナ素子220によって取り出すことのできる電力が低下する。
上記したように、共鳴トンネルダイオードは、量子井戸に形成される離散的エネルギー準位に等しいエネルギーをもつ電子のみを選択的に透過させる。したがって、紙面右向きの電界がアンテナ部230に加わったときは、第1トンネルダイオード242では励起された電子が透過するものの、第2トンネルダイオード244には量子井戸に形成される離散的エネルギー準位に等しいエネルギーをもつ電子が存在しないので逆流電流が生じない。トンネルダイオード242,244に共鳴トンネルダイオードを用いると、光エネルギーから電気エネルギーに変換するときの損失が顕著に改善される。
以下、図9に示すアンテナ素子220の複数個で構成されたアンテナ装置の例を説明する。例えば、本明細書で開示されるアンテナ装置を太陽光から電力を生成する技術に適用する場合、光エネルギーから電気エネルギーに変換する効率を向上させることが重要である。また、太陽光は、複数波長の光を含むとともに、光の偏波面も多様である。以下に説明するアンテナ装置は、このような場面で特に有用な効果を提供することができる。
図16に示すアンテナ装置200は、アンテナ素子220が並列に配置されていることを特徴としている。アンテナ素子220を多数並べて設置することによって、取り出すことのできる電流を多くすることができる。また、隣接するアンテナ素子220において、一方の線状アンテナ部230と他方の線状アンテナ部230の間の距離D1は、受信対象の光の波長λ以下であるのが望ましい。距離D1が光の波長λ以下であると、アンテナ素子220の後方に透過してしまう光量を抑制できるので、エネルギーの変換効率を向上させることができる。
図17に示すアンテナ装置201は、第1接続電極252、固定電極254、及び第2接続電極255が、各アンテナ素子220間を亘って伸びていることを特徴としている。アンテナ装置202は、複雑な配線を必要としないという利点を有する。
図18に示すアンテナ装置202は、複数種類の波長(λ、λ、λ)の光が混合した光を受信するために用いられる。アンテナ装置202は、線状アンテナ部230の長手方向(x軸方向)の長さにおいて、複数の長さを有していることを特徴としている。異なる長さの線状アンテナ部230を有していると、異なる波長(λ、λ、λ)の光を受信することができる。この例は一例であり、より多くの異なる長さの線状アンテナ部230を配置すれば、より多くの異なる波長の光を受信することができる。アンテナ装置202は、波長に連続的な幅を有する光にも適用できる。例えば、スペクトル分布をn個の領域に分け、分けられた各スペクトルの代表的な波長に感度を有する線状アンテナ部230を配置すればよい。また、隣接するアンテナ素子220の線状アンテナ部230の間隔が、そのアンテナ素子220が感度を有する光の波長以下にすると、各アンテナ素子220が感度を有する波長の光のみならず、隣接するアンテナ素子220間でも共振が起こるため、波長に連続的な幅をもつ光も受信できる。
図19に示すアンテナ装置203も、複数種類の波長(λ、λ、λ、λ、λ)の光が混合した光を受信するために用いられる。アンテナ装置203は、隣接するアンテナ素子220の線状アンテナ部230の間隔が異なることを特徴としている。隣接するアンテナ素子220の線状アンテナ部230の間隔を変化させると、空間の共振周波数を変化させることができ、複数種類の波長の光を受信することができる。アンテナ装置203は、隣接するアンテナ素子220の間隔を調整するだけであり、単純な構造である。
ここで、上記した図16〜図19に示すアンテナ装置200,201,202,203は、電界の振動面が単一の光を受信するために用いられる。太陽光の光は、電界の振動面が多様であり、効率よくこのような光を受信するためには任意の方向を向いている光を受信できるのが望ましい。このような場合、基板に透明な材料のものを採用し、その透明な基板の表面側に図16〜図19のアンテナ装置200,201,202,203を形成するとともに、透明な基板の裏面側にも図16〜図19のアンテナ装置200,201,202,203を形成するのが望ましい。また、表面側の線状アンテナ部230の長手方向と裏面側の線状アンテナ部230の長手方向が直交する関係を有しているのが望ましい。さらに、接続電極252,256及び固定電極254に透明な材料のものを採用するのが望ましい。このように構成すると、透明な基板の表面側に入射する光のうち、表面側の線状アンテナ部230の長手方向と直交する方向の電界ベクトルを有する光は、表面側の線状アンテナ部230で受信されずに基板を透過する。透過した光は、裏面側の線状アンテナ部230で受信することができる。このような複合アンテナ装置を製造するためには、例えば、図16〜図19のアンテナ装置200,201,202,203を2つ用意し、一方のアンテナ装置200,201,202,203の基板と他方のアンテナ装置200,201,202,203の基板を貼り合せ技術を用いて貼り合せれば形成することができる。あるいは、このような複合アンテナ装置を製造するためには、1つの透明な基板の両面に、互いに線状アンテナ部230が直交するように、図16〜図19のアンテナ装置200,201,202,203を形成してもよい。
透明な基板の材料には、例えば、石英、高融点ガラス、透明アルミナを用いることができる。透明な電極の材料には、例えば、インジウム添加酸化スズ電極、酸化スズ電極を用いることができる。また、透明な電極の材料には、アルミニウム、マグネシウム等適切な金属をドーピングし、電気抵抗率を調整した酸化亜鉛電極を用いることもできる。透明な基板を貼り合せるには、例えば、透明な接着剤を用いて貼り合わせる方法、電界を用いて貼り合わせる陽極接合法を用いることができる。また、透明な基板を貼り合せるには、基板の貼り合せ面側を基板の接着を助ける化学基で修飾した後に、適切な圧力を加えることによって貼り合せる直接接合法を用いてもよい。
以下、図20〜図23を参照して、複数の偏光面を有する光を受信するアンテナ装置の他の例を説明する。
図20に示すアンテナ装置204は、固定電極254を中心として、線状アンテナ部230が周囲に向けて放射状に伸びていることを特徴としている。アンテナ装置204では、1つの固定電極254に対して複数の線状アンテナ部230を接続させている。固定電極254の面積を小さくすることができるので、面積効率に優れている。
図21に示すアンテナ装置205は、異なる方向に伸びる線状アンテナ部230がトンネルダイオード242,244を介して接続されていることを特徴としている。具体的には、x軸方向に伸びる線状アンテナ部230とy軸方向に伸びる線状アンテナ部230がトンネルダイオード242,244を介して接続されている。また、アンテナ装置205は、線状アンテナ部230がループしていることを特徴としている。アンテナ装置205では、x軸方向に伸びる線状アンテナ部230とy軸方向に伸びる線状アンテナ部230の間でトンネルダイオード242,244が兼用して用いられているので、部品点数を削減することができる。
図22に示すアンテナ装置206は、ループした線状アンテナ部230の周囲に、その線状アンテナ部230を取囲むように他の線上アンテナ部230が設けられていることを特徴としている。アンテナ装置206は、複数の偏光面を有する光を受信するとともに、複数波長の光を受信することもできる。
図23に、第2実施例のアンテナ装置が備えるアンテナ素子320の構成を示す。図23(A)に、アンテナ素子320の縦断面図を模式的に示す。図23(B)に、アンテナ素子320の平面図を模式的に示す。なお、図23(A)は、図23(B)のA−A線に対応した縦断面図である。アンテナ素子320は、アンテナ部354が平板状であることを特徴としている。その他の構成要素に関しては、第1実施例と共通した形態、構造及び位置関係を適用することが可能であり、その詳細な説明を省略する。
図23に示すように、アンテナ素子320は、絶縁性の基板360と、基板360上を被膜する絶縁膜362と、絶縁膜362の表面に設けられた第1接続電極352と、基板360及び絶縁膜362の表面に設けられた固定電極354と、絶縁膜362の表面に設けられた第2接続電極356と、第1接続電極352の表面に設けられた第1トンネルダイオード342と、第2接続電極356の表面に設けられた第2トンネルダイオード344と、平板状アンテナ部330を備えている。
アンテナ部330の紙面左右方向の長さは受信対象の光の波長λの1/2に設定されている。アンテナ部330は、第1アンテナ部333と第2アンテナ部335を備えている。第1アンテナ部333と第2アンテナ部335は、アンテナ部330の中心部位334(第2部位と第3部位の一例)に対して対称に伸びている。第1アンテナ部333及び第2アンテナ部335の紙面左右方向の長さはそれぞれ、光の波長λの1/4に設定されている。第1トンネルダイオード342は、アンテナ部330の一端332(第1部位の一例)の裏面に接触している。第2トンネルダイオード344は、アンテナ部330の他端336(第4部位の一例)の裏面に接触している。固定電極354は、アンテナ部330の中心部位334の裏面に接触している。固定電極354は、第1固定電極354aと第2固定電極354bを備えている。第1固定電極354aと第2固定電極354bは、絶縁膜362のコンタクトホールを介して接触している。第2固定電極354bの厚みは、受信対象の光の波長λの1/4以下である。負荷は、第1接続電極352と第2接続電極354のそれぞれに接続されている。固定電極354は、接地電位に固定されている。
平板状アンテナ部330の材料には、シート状の炭素材料導電性を用いるのが望ましい。具体的には、平板状アンテナ部330の材料には、高配向性質熱分解黒鉛(HOPG)、グラフェンを用いることができる。平板状アンテナ部330は、第1トンネルダイオード342、固定電極354、及び第2トンネルダイオード344の表面に載置し、加熱処理によって第1トンネルダイオード342、固定電極354、及び第2トンネルダイオード344に固着させることができる。必要に応じて、平板状アンテナ部330を加圧しながら加熱処理を実施してもよい。
平板状アンテナ部330は、受信対象の光の電界の振動面がx軸に平行であり、その波長がλの光を受信する。また、平板状のアンテナ部330は、電界の振動面がx軸から僅かに傾いた光も受信することができる。このため、平板状のアンテナ部330は、受信対象の光の電界の振動面に関し、その許容範囲を広くすることができる。また、アンテナ装置320では、第1トンネルダイオード342と第2トンネルダイオード344がx軸方向に沿って配置されている。この例に代えて、第1トンネルダイオード342と第2トンネルダイオード344が、平板状アンテナ部330の対角線上の角部に配置されていてもよい。この構成によると、受信対象の光が円偏波であっても受信することができる。
以上、本発明の具体例を詳細に説明したが、これらは例示に過ぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。
また、本明細書または図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組合せによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時請求項記載の組合せに限定されるものではない。また、本明細書または図面に例示した技術は複数目的を同時に達成し得るものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。
10,100,200:アンテナ装置
20,120,220,320:アンテナ素子
30,130,230,330:アンテナ部
40,142,144,242,244,342,344:トンネルダイオード
52,152,156,252,256:接続電極
54,154:固定電極
60,160:負荷

Claims (7)

  1. アンテナ装置であって、
    導電性の第1アンテナ部と、第1トンネルダイオードと、負荷に接続して用いられる第1接続電極と、固定電位に接続して用いられる固定電極とを有するアンテナ素子を備えており、
    第1アンテナ部は、第1トンネルダイオードに接続される第1部位と、固定電極に接続される第2部位を有しており、
    第1トンネルダイオードは、一方の電極が第1アンテナ部の前記第1部位に接続されており、他方の電極が第1接続電極に接続されているアンテナ装置。
  2. アンテナ素子は、導電性の第2アンテナ部と、第2トンネルダイオードと、負荷に接続して用いられる第2接続電極をさらに有しており、
    第2アンテナ部は、固定電極に接続される第3部位と、第2トンネルダイオードに接続される第4部位を有しており、
    第2トンネルダイオードは、一方の電極が第2アンテナ部の前記第4部位に接続されており、他方の電極が第2接続電極に接続されており、
    前記第1部位、前記第2部位、前記第3部位、及び前記第4部位は、直線状に配置されており、
    第1部位と第2部位の間の距離と第3部位と第4部位の間の距離が等しいことを特徴とする請求項1に記載のアンテナ装置。
  3. 第1アンテナ部は、線状の形態を有しており、
    第2アンテナ部は、線状の形態を有しており、
    第1アンテナ部と第2アンテナ部は、一方向に伸びる線状アンテナ部を構成していることを特徴とする請求項2に記載のアンテナ装置。
  4. 複数のアンテナ素子を備えており、
    複数のアンテナ素子のうちの少なくとも1つのアンテナ素子の線状アンテナ部の第1部位と第4部位の間の長さは、複数のアンテナ素子のうちの他の少なくとも1つのアンテナ素子の線状アンテナ部の第1部位と第4部位の間の長さと異なることを特徴とする請求項3に記載のアンテナ装置。
  5. 複数のアンテナ素子を備えており、
    複数のアンテナ素子のうちの少なくとも1つのアンテナ素子の線状アンテナ部の長手方向は、複数のアンテナ素子のうちの他の少なくとも1つのアンテナ素子の線状アンテナ部の長手方向と異なることを特徴とする請求項3又は4に記載のアンテナ装置。
  6. 第1アンテナ部と第2アンテナ部は、一体で形成された平板状アンテナ部であり、
    第2部位と第3部位は、前記平板状アンテナ部内の共通部位であり、
    第1部位と第4部位は、その共通部位を間に挟んで配置されていることを特徴とする請求項2に記載のアンテナ装置。
  7. 第1部位と第4部位は、平板状アンテナ部の対角線上の角部に配置されていることを特徴とする請求項6に記載のアンテナ装置。
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