JP4845972B2 - 磁気共鳴スペクトル画像算出方法 - Google Patents

磁気共鳴スペクトル画像算出方法 Download PDF

Info

Publication number
JP4845972B2
JP4845972B2 JP2008553988A JP2008553988A JP4845972B2 JP 4845972 B2 JP4845972 B2 JP 4845972B2 JP 2008553988 A JP2008553988 A JP 2008553988A JP 2008553988 A JP2008553988 A JP 2008553988A JP 4845972 B2 JP4845972 B2 JP 4845972B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
magnetic resonance
space
real space
signal
measurement
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2008553988A
Other languages
English (en)
Other versions
JPWO2008087822A1 (ja
Inventor
智嗣 平田
良孝 尾藤
清晴 田中
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Hitachi Healthcare Manufacturing Ltd
Original Assignee
Hitachi Medical Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Hitachi Medical Corp filed Critical Hitachi Medical Corp
Priority to JP2008553988A priority Critical patent/JP4845972B2/ja
Publication of JPWO2008087822A1 publication Critical patent/JPWO2008087822A1/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4845972B2 publication Critical patent/JP4845972B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Classifications

    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61BDIAGNOSIS; SURGERY; IDENTIFICATION
    • A61B5/00Measuring for diagnostic purposes; Identification of persons
    • A61B5/05Detecting, measuring or recording for diagnosis by means of electric currents or magnetic fields; Measuring using microwaves or radio waves 
    • A61B5/055Detecting, measuring or recording for diagnosis by means of electric currents or magnetic fields; Measuring using microwaves or radio waves  involving electronic [EMR] or nuclear [NMR] magnetic resonance, e.g. magnetic resonance imaging
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61BDIAGNOSIS; SURGERY; IDENTIFICATION
    • A61B5/00Measuring for diagnostic purposes; Identification of persons
    • A61B5/72Signal processing specially adapted for physiological signals or for diagnostic purposes
    • A61B5/7235Details of waveform analysis
    • A61B5/7253Details of waveform analysis characterised by using transforms
    • A61B5/7257Details of waveform analysis characterised by using transforms using Fourier transforms

Landscapes

  • Health & Medical Sciences (AREA)
  • Life Sciences & Earth Sciences (AREA)
  • Physics & Mathematics (AREA)
  • Nuclear Medicine, Radiotherapy & Molecular Imaging (AREA)
  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • Medical Informatics (AREA)
  • Biophysics (AREA)
  • Pathology (AREA)
  • High Energy & Nuclear Physics (AREA)
  • Biomedical Technology (AREA)
  • Heart & Thoracic Surgery (AREA)
  • Radiology & Medical Imaging (AREA)
  • Molecular Biology (AREA)
  • Surgery (AREA)
  • Animal Behavior & Ethology (AREA)
  • General Health & Medical Sciences (AREA)
  • Public Health (AREA)
  • Veterinary Medicine (AREA)
  • Magnetic Resonance Imaging Apparatus (AREA)

Description

本発明は、磁気共鳴撮影に係り、特に磁気共鳴スペクトル画像を計測するのに好適な装置および方法に関する。
磁気共鳴撮影装置は、静磁場中に置かれた被検体に対し、特定周波数の高周波磁場を照射することにより被検体に含まれる水素等の原子核の核磁化を励起し、被検体から発生する磁気共鳴信号を検出して、物理的・化学的情報を取得する。磁気共鳴撮影装置を用いた撮影方法として、現在広く普及している磁気共鳴イメージング(以下、MRIと略す)の他に、水素原子核を含む様々な分子の化学結合の違いによる共鳴周波数の差異(以下、ケミカルシフトと呼ぶ)を手掛かりに、分子毎に磁気共鳴信号を分離し画像化する方法(磁気共鳴スペクトロスコピックイメージング:以下、MRSIと略す)がある。
MRSIは、人体内部の代謝物質の分布を無侵襲で画像化できる。しかし、通常、被検体内に含まれる代謝物質の濃度は非常に低いため、信号/ノイズ比(以下、SNRと呼ぶ。)も低く、空間分解能や時間分解能を上げることが困難である。MRSI計測では、高濃度の水の信号を抑圧せずに計測を行うと、水から発生する巨大な信号ピークの裾野に代謝物質の微弱な信号が埋もれてしまい、代謝物質信号を分離・抽出することが困難である。このため、通常の励起と検出を行う直前に、水信号を抑圧するための前処理を行う。水信号を抑圧するための前処理を行ってMRSI計測を行うものを、水抑圧計測と呼ぶ。
また、MRSIでは、生体内に含まれる種々の代謝物質の濃度を反映した画像情報を算出するため、スペクトル軸方向の位相補正と呼ばれる処理を行う必要がある。スペクトル軸方向の位相補正とは、計測された磁気共鳴信号に対して時間軸方向に時間成分と周波数成分とを変換する演算(例えば、フーリエ変換)を施したケミカルシフト情報を有するスペクトル信号の位相を揃える処理である。しかし、上述のように、代謝物質の計測ではSNRが低いため、水抑圧計測で得られる信号のSNRは低くなり、位相補正の補正精度が低下する。このため、水信号を抑圧するための前処理を行わないMRSI計測(非水抑圧計測)で得たSNRの良好なスペクトルから求めた位相特性を用いて、水抑圧計測で得られたSNRの低いスペクトルに対するスペクトル軸方向の位相補正を行う技術がある(例えば、特許文献1参照。)。
一方、最近のMRIには、受信感度の高い複数のサーフェスコイルを平面的もしくは立体的に組み合わせたマルチアレイコイル(MAC)を用いて画像計測を行なうものがある。MACを用いると、得られた複数の画像を足し合わせて(以下、MAC合成という。)、高SNRの画像を得ることができる。MRSIの計測においても、MACを使用し、高SNR化を図ることが期待されている。
特開2001−346779号公報
MRIにおいて計測される磁気共鳴信号(時系列データまたはRAWデータと呼ばれる)は、実部(Real成分)と虚部(Imaginary成分)とから構成される。MRIにおけるMAC合成の方法(複数画像の足し合わせ方法)には、(A)各コイルで得られた画像信号をそのままで足し合わせる方法(実部毎・虚部毎の加算)、(B)各コイルで得られる画像信号の二乗和(=実部×実部+虚部×虚部)の平方根を足し合わせる方法、(C)各コイルで得られた画像信号の位相補正後に実部毎、虚部毎で足し合わせる方法等がある。
上記(A)〜(C)の方式について、(A)の方法では、合成後スペクトルの実部のみ/虚部のみを取り出すことが可能だが、各受信コイルの空間的な位相分布に不均一がある場合には合成効果(SNR向上効果)が低下する。(B)の方法では、空間的な位相不均一がある場合にも合成効果(SNR向上効果)は低下しないが、合成後スペクトルの実部のみ/虚部のみを取り出すことは出来ない。(C)の方法では、合成後スペクトルの実部のみ/虚部のみを取り出すことが可能であり、かつ、得られた信号のSNRが高い場合、空間的な位相不均一があっても合成効果(SNR向上効果)は低下しない。
スペクトル解析を行う際には、MAC合成後スペクトルの実部のみを表示する必要があるため、MAC合成後のスペクトルの実部のみを取り出すことが出来る必要がある。従って、これが可能であり、かつ、各受信コイルの空間的位相不均一があっても合成効果が低下しない(C)の方法は、MRSIのMAC合成には優れている。しかし、(C)の方法を用いたとしても、MRSI計測では、代謝物質の生体内濃度が非常に低いため、水抑圧計測で得られる信号のSNRは非常が低くなり、位相補正の補正精度が低下する場合がある。また、(C)の方法では、位相補正の計算量がコイル数に比例して増加するため処理時間が長くなる。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたもので、MACを備えた磁気共鳴撮影装置を用いたMRSI計測において、MACの位相特性分布に空間的不均一がある場合にも、短い処理時間で高精度にMAC合成された磁気共鳴スペクトル画像を得ることを目的とする。
本発明では、上記(C)の方式を改良したMAC合成アルゴリズムを提供する。本発明によれば、水抑圧を行わない非水抑圧計測(リファレンス計測)で取得されるSNRの高い非水抑圧画像信号を用いて、コイル毎および画素毎に、MAC合成のための位相歪みを揃えるための補正値を算出し、水抑圧を行って計測した本計測画像信号(水抑圧画像信号)に対して、前記補正値を適用して、コイル毎および画素毎の位相を揃えた後で、信号の足し合わせ処理(合成)を行う。そして、合成後のスペクトル信号に対して、スペクトル軸方向の位相補正を行う。
また、上記リファレンス計測を行う際、計測の繰り返し時間や繰り返し回数を減じることにより、計測時間を短縮する。
また、各コイルで得られる信号を足し合わせる際、従来は「足し合わせ係数1の等価合成」が行われていた。これに対し、本発明では、上記リファレンス計測で取得される画像信号を用いてコイル毎および画素毎のSNRを算出し、本計測信号を足し合わせる際、前記コイル毎および画素毎のSNRから算出した係数を本計測信号に乗じた後に合成する。
具体的には、静磁場、高周波磁場および傾斜磁場をそれぞれ発生する磁場発生手段と、前記静磁場中に置かれた被検体から発生する磁気共鳴信号を検出する検出手段と、前記磁場発生手段および検出手段を制御する計測制御手段と、前記核磁気共鳴信号を用いて磁気共鳴スペクトル画像を作成し、表示する演算手段とを備え、前記検出手段が複数の小型コイルからなる受信コイルを有する磁気共鳴撮影装置であって、前記計測制御手段は、水からの核磁気共鳴信号を抑圧することなく核磁気共鳴スペクトルを計測する第一の計測シーケンス手段と、水からの核磁気共鳴信号を抑圧して核磁気共鳴スペクトルを計測する第二の計測シーケンス手段とを備え、前記演算手段は、前記第一の計測シーケンス手段により前記複数の小型コイル各々で計測された各画素の核磁気共鳴信号を用いて、前記複数の小型コイル各々の画素毎の信号位相値を算出し、前記第二の計測シーケンス手段により前記複数の小型コイル各々で計測した各画素の核磁気共鳴信号を前記信号位相値を用いて各々位相補正した後、前記小型コイル毎に作成される画像を合成することを特徴とする磁気共鳴撮影装置を提供する。
また、静磁場中に置かれた検査対象に高周波磁場を少なくとも1回照射し、前記高周波磁場の照射の後に前記検査対象に傾斜磁場を少なくとも1回印加し、前記傾斜磁場の印加の後に前記検査対象から発生する磁気共鳴信号を受信コイルで検出し、検出した前記磁気共鳴信号から磁気共鳴スペクトル画像を算出する磁気共鳴スペクトル画像算出方法であって、前記受信コイルは複数の小型コイルL(i)(ここで、iはコイル番号を表す以上I以下の整数:i=1,2,…,I)からなるマルチアレイコイル(MAC)であり、2次元k空間もしくは3次元k空間(kx(a),ky(b),kz(c))(ここで、aはkx軸方向の計測番号を表すA以下の整数、bはky軸方向の計測番号を表すB以下の整数、cはkz軸方向の計測番号を表すC以下の整数、2次元の場合はA,B,Cのいずれか1つが1で他の2つは2以上の整数、3次元の場合はA,B,Cのいずれもが2以上の整数)の非水抑圧時のスペクトル情報を計測する第一の計測ステップと、前記第一の計測ステップにおいて、前記各小型コイルで得られたk空間の磁気共鳴信号Sw1(L(i))(kx(a),ky(b),kz(c))(t(j))(ここで、jは時間軸(t軸)方向のデータ番号を表すJ以下の整数)に対して、各k空間軸(kx,ky,kz)方向にk空間成分と実空間成分とを変換し、2次元実空間もしくは3次元実空間(x(a),y(b),z(c))の磁気共鳴信号を算出する第一のk空間−実空間変換ステップと、前記第一のk空間−実空間変換ステップで算出された実空間の磁気共鳴信号Sw2(L(i))(x(a),y(b),z(c))(t(j))に対して、各小型コイルの実空間点毎に、先頭からN番目の信号Sw2(L(i))(x(a),y(b),z(c))(t(N))の位相値φw(L(i))(x(a),y(b),z(c))(t(N))を算出し、算出結果から補正値を求める位相値算出ステップと、2次元k空間もしくは3次元k空間(kx(a),ky(b),kz(c))の水抑圧時のスペクトル情報を計測する第二の計測ステップと、
前記第二の計測ステップにおいて、前記各小型コイルで得られたk空間の磁気共鳴信号Sm1(L(i))(kx(a),ky(b),kz(c))(t(j))に対して、各k空間軸方向にk空間成分と実空間成分とを変換し、2次元実空間もしくは3次元実空間(x(a),y(b),z(c))の磁気共鳴信号を算出する第二のk空間−実空間変換ステップと、前記第二のk空間−実空間変換ステップで算出された実空間の磁気共鳴信号Sm2(L(i))(x(a),y(b),z(c))(t(j))に対して、各小型コイルの実空間点毎に、全点の位相値φm(L(i))(x(a),y(b),z(c))(t(j))を前記位相値算出ステップで算出した補正値を用いて位相補正し、位相補正後の磁気共鳴信号Sm3(L(i))(x(a),y(b),z(c))(t(j))を算出する位相値補正ステップと、前記位相値補正ステップで算出された各小型コイルの実空間点毎の磁気共鳴信号Sm3(L(i))(x(a),y(b),z(c))(t(j))を、実空間点毎に複素数加算し、加算後の信号Sm4(x(a),y(b),z(c))(t(j))を、MACで得られた複数の画像を足し合わせるMAC合成を行った磁気共鳴信号(MAC合成後磁気共鳴信号)とするMAC合成ステップと、前記MAC合成ステップで算出されたMAC合成後磁気共鳴信号の実空間点毎の磁気共鳴信号Sm4(x(a),y(b),z(c))(t(j))に対して、時間軸方向に時間成分と周波数成分とを変換し、周波数軸(f軸)方向の情報を有する2次元実空間もしくは3次元実空間の磁気共鳴スペクトル画像Sm5(x(a),y(b),z(c))(f(j))を算出する時間−周波数変換ステップと、を含むことを特徴とする磁気共鳴スペクトル画像算出方法を提供する。
本発明によれば、MACを備えた磁気共鳴撮影装置を用いたMRSI計測において、MACの位相特性分布に空間的不均一がある場合にも、短い処理時間で高精度にMAC合成された磁気共鳴スペクトル画像を得ることができる。
<<第一の実施形態>>
以下、本発明を適用した第一の実施の形態を図面を参照して説明する。
図1(a)〜(c)は、それぞれ本実施形態の磁気共鳴撮影装置の外観図である。図1(a)はソレノイドコイルで静磁場を発生するトンネル型磁石を用いた水平磁場方式の磁気共鳴撮影装置であり、図1(b)は開放感を高めるために磁石を上下に分離したハンバーガー型(オープン型)の垂直磁場方式の磁気共鳴撮影装置である。また、図1(c)は、図1(a)と同じトンネル型の磁気共鳴撮影装置であるが、磁石の奥行を短くし且つ斜めに傾けることによって、開放感を高めている。なお、本発明は、これら磁気共鳴撮影装置を含む公知の構造の磁気共鳴撮影装置に適用することができる。
図2は、本実施形態の磁気共鳴撮影装置の構成を示すブロック図である。この磁気共鳴撮影装置は、被検体1が置かれる空間に、静磁場を発生する静磁場コイル2と、互いに直交する3方向の傾斜磁場を与えるための傾斜磁場コイル3と、被検体1に対し高周波磁場を照射する送信用高周波コイル5(以下、単に送信コイルという)と、被検体1から発生する磁気共鳴信号を受信する受信用高周波コイル(以下、単に受信コイルという)6とを備えている。また静磁場均一度を調整できるシムコイル4を備えている場合もある。
静磁場コイル2は、図1に示した装置の構造に応じて、種々の形態のものが採用される。傾斜磁場コイル3及びシムコイル4は、それぞれ傾斜磁場用電源部12及びシム用電源部13により駆動される。送信コイル5が照射する高周波磁場は、送信機7により生成され、静磁場中に置かれた被検体に印加される。
受信コイル6は、複数のコイルを平面的あるいは立体的に配置したマルチアレイコイルからなる。マルチアレイコイルとしては、MRIにおいて用いられている公知のマルチアレイコイルを用いることができる。図3にその一例を示す。図3に示すマルチアレイコイルは、4個の平面型コイル(コイル1、コイル2、コイル3、コイル4)を円筒状に配置したもので、測定対象とする原子核の共鳴周波数に合わせた共振特性を備えている。図では省略されているが、この共振回路は電気容量CのコンデンサとインダクタンスLのコイルの組み合わせにより構成される。また必要に応じて、各小型コイル間の磁気的な結合状態(カップリング)を回避するためのデカップリング回路を設けてもよい。なお、図3に示した受信コイルの例では、小型コイルの数が4個であるが、小型コイルの数は複数であればよく4個に限定されない。
図2では、送信コイル5と受信コイル6が別個に設けられた構成を示しているが、送信用と受信用を兼用する一つの高周波コイルのみを用いる構成であってもよい。すなわち、図3に示すようなマルチアレイコイルは送信用を兼ねることもできる。
この受信コイル6が検出した磁気共鳴信号は、受信機8を通して計算機9に送られる。計算機9は、予め登録されているプログラム、または、ユーザからの指示に従って、磁気共鳴信号に対して様々な演算処理を行ないスペクトル情報や画像情報を生成する。本実施形態の磁気共鳴撮影装置では、受信コイル6を構成する各小型コイルが検出した磁気共鳴信号の補正計算やMAC合成に必要な補正値や合成係数の計算、および補正計算やMAC合成の演算を計算機9が行う。計算機9には、ディスプレイ10、記憶装置11、シーケンス制御装置14、入力装置15などが接続されており、上述した生成したスペクトル情報や画像情報をディスプレイ10に表示したり記憶装置11に記録したりする。入力装置15は、測定条件や演算処理に必要な条件などを入力するためのもので、これら測定条件等も必要に応じて記憶装置11に記録される。
シーケンス制御装置14は、予め登録されているプログラム、または、ユーザからの指示に従って、傾斜磁場用電源部12、シム用電源部13、送信機7及び受信機9を制御する。制御のタイムチャート(パルスシーケンス)は撮影方法によって予め設定されており、記憶装置11に格納されている。本実施形態の磁気共鳴撮影装置では、シーケンス制御装置14は、水からの核磁気共鳴信号を抑圧しないでMRSI計測(非水抑圧計測)を行うパルスシーケンスと、水からの核磁気共鳴信号を抑圧してMRSI計測(水抑圧計測)を行うパルスシーケンスとを備え、これら2種のパルスシーケンスを組み合わせて実行する。これらパルスシーケンスとしては公知のパルスシーケンスを採用できる。その一例を図4および図5に示す。
図4は、MRSI計測用のパルスシーケンス(MRSIパルスシーケンス)の一例を示す図である。本実施形態では、このパルスシーケンスは非水抑圧計測および水抑圧計測の両方で実行される。また、図5は、水抑圧計測の前に実行されるプリパルスシーケンスの一例を示す図である。
このMRSIパルスシ−ケンスに従って、シーケンス制御装置14は、以下の制御を行う。まず初めに、第1スラブ(X軸に垂直な面状領域)選択用の第1の傾斜磁場(X軸方向の傾斜磁場)Gs1と90°パルスと呼ばれる第1の高周波磁場RF1とを同時に印加し、第1スラブ内の核磁化を励起状態にする。ここで、TEはエコー時間、TRは繰返し時間である。
次に、RF1の照射からTE/4後に、第2スラブ(Y軸に垂直な面状領域)選択用の第2の傾斜磁場(Y軸方向の傾斜磁場)Gs2と180°パルスと呼ばれる第2の高周波磁場RF2とを同時に印加し、RF1によって励起されていた第1スラブ内の核磁化のうち、第2スラブにも含まれる核磁化を180°反転する。
さらに、RF2の照射からTE/2後に、第3スラブ(Z軸に垂直な面状領域)選択用の第3の傾斜磁場(Z軸方向の傾斜磁場)Gs3と180°パルスと呼ばれる第3の高周波磁場RF3とを同時に印加し、RF2によって反転された第1スラブと第2スラブとの交差領域内にある核磁化のうち、第3スラブにも含まれる核磁化を再度180°反転する。上記の3組の高周波磁場及び傾斜磁場の印加により、RF3の照射からTE/4後の時点をエコ−タイムとする磁気共鳴信号Sig1が発生する。発生した磁気共鳴信号Sig1は、所定のサンプリング間隔でj点分計測される。
そして、3次元の空間情報を付与する位相エンコード用の傾斜磁場Gp1、Gp2およびGp3の印加強度を段階的に変化させて、上記Sig1の計測を繰り返し行う。
この時間軸方向の信号変化を有する磁気共鳴信号Sig1には、上述したケミカルシフトの情報が含まれているため、後述する通り、時間軸方向のフーリエ変換を施すことにより、磁気共鳴スペクトル信号を得ることができる。
なお、Gs1の印加の直後に印加されるGs1’は、Gs1に対するリフェイズ(位相戻し)用の傾斜磁場である。また、RF2の印加の前後で印加されるGd1とGd1’、Gd2とGd2’及びGd3とGd3’は、RF1の照射により励起された核磁化の位相は乱さず、RF2の照射により励起された核磁化をディフェイズ(位相乱し)するための傾斜磁場である。さらに、RF3の印加の前後で印加されるGd4とGd4’、Gd5とGd5’及びGd6とGd6’は、RF1の照射により励起された核磁化の位相は乱さず、RF3の照射によって励起された核磁化をディフェイズ(位相乱し)するための傾斜磁場である。
上述した図4のパルスシーケンスを実行することにより、上記の3つのスラブが交差する領域(励起領域:R1)に含まれる核磁化のみを選択的に励起することが出来る。そして、上記位相エンコード用傾斜磁場Gp1、Gp2およびGp3の印加強度を、Gp1はa段階、Gp2はb段階およびGp3はc段階、それぞれ変化させて励起と計測を繰り返してa×b×c個の磁気共鳴信号を検出し、周波数空間(k空間)と呼ばれる計測空間(kx,ky,kz)を埋める一連のデータを計測する。
なお、ここで、kxはk空間のx軸成分を意味し、aはkx軸方向の計測番号を表すA以下の整数を意味する。同様に、kyおよびkzはそれぞれk空間のy軸およびz軸成分を表し、bおよびcはそれぞれky軸およびkz方向の計測番号を表すBおよびC以下の整数を意味する。なお、2次元k空間の場合はA,B,Cのいずれか1つが1で他の2つは2以上の整数、3次元k空間の場合はA,B,Cのいずれもが2以上の整数となる。
次に、得られたa×b×c個の磁気共鳴信号に対して、各k空間軸(kx,ky,kz)方向にk空間成分と実空間成分とを変換する逆フーリエ変換を施し、更に、時間軸方向に時間成分と周波数成分とを変換するフーリエ変換を施し、a×b×c個の各空間点から発生した磁気共鳴スペクトルを得る。
一方、水抑圧計測を行う場合、シーケンス制御装置14は、前記図4のMRSIシーケンスに従った励起・検出を行う直前に、図5に示す水信号を抑圧するためのプリパルスシーケンスに従った制御を行う。すなわち、水抑圧計測は、図5に示すパルスシーケンスと図4に示すMRSIシーケンスとを一組とするパルスシーケンスが実行される。
プリパルスシーケンスでは、まず初めに、水分子にのみ含まれている核磁化を励起させるために、送信周波数Ftを水の共鳴周波数Fwに設定し、且つ励起周波数帯域ΔFtを水ピーク幅ΔFw程度に設定した高周波磁場(水励起用高周波磁場)RFw1の照射を行う(水核磁化の選択励起)。次に、励起状態にある水の核磁化の位相をバラバラにして、水の核磁化のベクトル和をゼロとするために、ディフェイズ用傾斜磁場Gdw1の印加を行う(水核磁化の疑似飽和)。更に水信号の抑圧効果を増すために、水励起用高周波磁場RFw1及びディフェイズ用傾斜磁場Gdw1と同様の高周波磁場及びディフェイズ用傾斜磁場の印加を複数回繰り返して行う(図5は、3回繰り返すシーケンス例である。回数はこれに限られない。特に区別する必要がない場合は、以下、高周波磁場をRFw、ディフェイズ用傾斜磁場をGdwで代表する。)。高周波磁場RFwには、狭帯域の励起周波数特性を有するガウス波形が用いられる場合が多い。図5に示す例は、ディフェイズ用傾斜磁場としてGx、Gy、Gzのうちいずれか1軸の傾斜磁場を印加する例である。しかし、Gx、Gy、Gzの3軸全ての傾斜磁場を同時に印加しても良いし、いずれか2軸を同時に印加しても構わない。そして、この水磁化の疑似飽和状態が続いている間に、図4のMRSIシーケンスを行い、微弱な代謝物質の信号を測定する。
なお通常、水励起用高周波磁場RFwのフリップ角は90°前後に設定する場合が多いが、ディフェイズ用傾斜磁場Gdwについては、印加軸数や印加強度として様々な組合せや数値を用いることができる。
なお、非水抑圧計測時にも全ての水励起用高周波磁場のRFwのフリップ角を0°に設定して図5に示すプリパルスシーケンスを図4のMRSIシーケンスの直前に行うことができる。このようにすることで、非水抑圧計測時のディフェイズ用傾斜磁場Gdwにより引き起こされる渦電流の影響を水抑圧計測時と同様にすることができる。すなわち、非水抑圧計測も水抑圧計測もともに図5に示すプリパルスシーケンスを図4のMRSIシーケンスの前に行うよう構成し、図5に示す全ての水励起用高周波磁場RFwのフリップ角を0°と90°との間で切り替えることによって、非水抑圧計測と水抑圧計測とを切り替える。
また、生体内から検出できる代謝物質の信号は、非常に微弱である場合が多いため、得られるスペクトルのSNRを向上させることを目的に、同一条件での計測(位相エンコード用傾斜磁場を変化させない計測)を複数回繰り返し行ない、得られた信号を足し合わせる処理を行ってもよい(積算処理)。
次に、MRSIで行われる位相補正の概要について説明する。MRSIにおいて、位相検波により計測される磁気共鳴信号(時系列データあるいはRAWデータと呼ばれる)は、実部(Real成分)と虚部(Imaginary成分)とから構成され、時刻tにおける磁気共鳴信号F(t)の信号位相φ(t)は以下の(式1)で表される。
φ(t)=tan−1(Im(F(t))/Re(F(t))) (式1)
ここで、tan−1はアークタンジェント関数、Im(X)は複素数Xの虚部、Re(X)は複素数Xの実部を表す。
上記磁気共鳴信号F(t)に対して、時間軸方向に時間成分と周波数成分とを変換する演算(例えば、フーリエ変換)を施すと、ケミカルシフト情報を有するスペクトル信号Sが得られる。位相補正の対象はこのスペクトル信号Sである。このスペクトル信号Sにおける第i番目のデータS(i)の信号位相φ(i)は、以下の(式2)で表される。
φ(i)=tan−1(Im(S(i))/Re(S(i))) (式2)
スペクトル信号Sの信号位相の補正すべき成分(位相歪み)には、1次成分C1と0次成分C0とが含まれる。1次成分C1は、データの番号iに比例して変化する信号位相φ(i)の変動であり、ケミカルシフト(共鳴周波数の差異)の大きさに応じて生じる位相歪みである。また、0次成分C0は、データの番号iに依存しない信号位相φ(i)のオフセット変動成分である。両成分から成る位相歪みP(i)は、以下の(式3)で表される。
P(i)=C1×i+C0 (式3)
位相補正は、(式2)で求められる信号位相φ(i)から、(式3)で求められる位相歪みP(i)分を減算することにより行う。
本実施形態では、MAC合成前の位相補正については、影響の大きい位相歪みのオフセット変動成分(0次成分)に対してのみ行い、MAC合成後に1次成分まで補正する。また、位相歪みのオフセット変動成分(0次成分)は、SNRの高い非水抑圧計測でえられた磁気共鳴画像信号から得る。
次に、本実施形態のMRSI計測を説明する。図6は本実施形態の計測手順の一例を示す図である。本実施形態では、まず、非水抑圧計測(リファレンス計測)を行い、小型コイル毎の各画素の、位相歪みの0次成分をMAC合成用の位相補正値(MAC合成用補正値)として得る。そして、得られたMAC合成用補正値を用いて、水抑圧計測(本計測)で得られる小型コイル毎の各画素の磁気共鳴信号の位相を補正し、MAC合成を行う。MAC合成後、各画素毎の磁気共鳴信号に対し、スペクトル軸方向の位相補正を行う。以下の各ステップにおいて、シーケンスの制御はシーケンス制御装置14が、得られたデータの処理は計算機9が行う。
まず、複数の小型コイルL(i)(ここで、iはコイル番号を表す以上I以下の整数:i=1,2,…,I)から構成される受信コイルを用いて上述した非水抑圧計測を実行することにより、小型コイルL(i)毎に、2次元k空間もしくは3次元k空間(kx(a),ky(b),kz(c))(ここで、aはkx軸方向の計測番号を表すA以下の整数、bはky軸方向の計測番号を表すB以下の整数、cはkz軸方向の計測番号を表すC以下の整数、2次元の場合はA,B,Cのいずれか1つが1で他の2つは2以上の整数、3次元の場合はA,B,Cのいずれもが2以上の整数)の非水抑圧時のスペクトル情報を取得する(ステップ701)。ここで、取得した各小型コイルL(i)のk空間のスペクトル情報(磁気共鳴信号)を、Sw1(L(i))(kx(a),ky(b),kz(c))(t(j))(ここで、jは時間軸(t軸)方向のデータ番号を表すJ以下の整数)とする。
次に、ステップ701において得られた各小型コイルL(i)のk空間の磁気共鳴信号Sw1(L(i))(kx(a),ky(b),kz(c))(t(j))に対して、各k空間軸(kx,ky,kz)方向にk空間成分と実空間成分とを変換する演算(例えば逆フーリエ変換)を施すことにより、非水抑圧時の2次元実空間もしくは3次元実空間(x(a),y(b),z(c))の磁気共鳴信号Sw2(L(i))(x(a),y(b),z(c))(t(j))を算出する(ステップ702)。
次に、ステップ702で算出された実空間の磁気共鳴信号Sw2(L(i))(x(a),y(b),z(c))(t(j))に対して、各小型コイルL(i)の実空間点毎に、信号位相値を算出する(ステップ703)。信号位相値は、t軸方向のデータ数Jの信号の全て或いは複数を用いて算出しても良いが、信号値の絶対値が比較的大きい一つのデータ(信号)を用いて算出してもよい。本実施形態では、小型コイルL(i)毎に先頭からN点目の信号Sw2(L(i))(x(a),y(b),z(c))(t(N))を用いて、それぞれの信号位相値φw(L(i))(x(a),y(b),z(c))(t(N))を算出する。Nとして、信号の絶対値が大きくなる値を選ぶことが好ましいが、所定の範囲(例えば1〜20)のいずれか1点を用いてもよい。ここで、Sw2(L(i))(x(a),y(b),z(c))(t(N))の位相値φw(L(i))(x(a),y(b),z(c))(t(N))は、以下の(式4)に従って導出する。
φw(L(i))(x(a),y(b),z(c))(t(N))=tan−1{Im(Sw2(L(i))(x(a),y(b),z(c))(t(N)))/Re(Sw2(L(i))(x(a),y(b),z(c))(t(N)))} (式4)
なお、求めた小型コイルL(i)毎の信号位相値φw(L(i))(x(a),y(b),z(c))(t(N))は、本計測(水抑圧計測)で計測する信号を補正する補正値、すなわち、MAC合成用補正値として記憶装置11に記憶する。この信号位相値φw(L(i))(x(a),y(b),z(c))(t(N))は、上述のデータの番号iに依存しない信号位相φ(i)のオフセット変動成分C0に相当する。
次に、上述した水抑圧計測を実行することにより、小型コイルL(i)毎に、2次元k空間もしくは3次元k空間の水抑圧時のスペクトル情報を取得する(ステップ704)。取得した各小型コイルL(i)のk空間のスペクトル情報(磁気共鳴信号)をSm1(L(i))(kx(a),ky(b),kz(c))(t(j))とする。
次に、ステップ704において得られた各小型コイルL(i)のk空間の磁気共鳴信号Sm1(L(i))(kx(a),ky(b),kz(c))(t(j))に対して、各k空間軸方向にk空間成分と実空間成分を変換する演算(例えば逆フーリエ変換)を施すことにより、水抑圧時の2次元実空間もしくは3次元実空間(x(a),y(b),z(c))の磁気共鳴信号Sm2(L(i))(x(a),y(b),z(c))(t(j))を算出する(ステップ705)。
次に、ステップ703で算出した非水抑圧信号の信号位相値φw(L(i))(x(a),y(b),z(c))(t(N))(MAC合成用補正値)を用いて、ステップ705で算出した実空間の磁気共鳴信号Sm2(L(i))(x(a),y(b),z(c))(t(j))に対して、各小型コイルL(i)の実空間点毎に、コイル間の位相を揃える位相補正を行い、各小型コイルの実空間点毎の磁気共鳴信号Sm3(L(i))(x(a),y(b),z(c))(t(j))を得る(ステップ706)。なお、この位相補正では、t軸方向のデータ数Jの信号の全てを対象とし、各データt(j)の実部および虚部を、以下の(式5)および(式6)に従って導出する。
Re(Sm3(L(i))(x(a),y(b),z(c))(t(j)))=cos((−1)×π×φw(L(i))(x(a),y(b),z(c))(t(N))/180)×Re(Sm2(L(i))(x(a),y(b),z(c))(t(j)))−sin((−1)×π×φw(L(i))(x(a),y(b),z(c))(t(N))/180)×Im(Sm2(L(i))(x(a),y(b),z(c))(t(j))) (式5)
Im(Sm3(L(i))(x(a),y(b),z(c))(t(j)))=sin((−1)×π×φw(L(i))(x(a),y(b),z(c))(t(N))/180)×Re(Sm2(L(i))(x(a),y(b),z(c))(t(j)))+cos((−1)×π×φw(L(i))(x(a),y(b),z(c))(t(N))/180)×Im(Sm2(L(i))(x(a),y(b),z(c))(t(j))) (式6)
そして、ステップ706で算出した各小型コイルの実空間点毎の磁気共鳴信号Sm3(L(i))(x(a),y(b),z(c))(t(j))を、以下の(式7)および(式8)に従って複素数加算し、加算後の実空間点毎の磁気共鳴信号Sm4(x(a),y(b),z(c))(t(j))を得る(ステップ707)。
Figure 0004845972
さらに、ステップ707で算出した加算後の実空間点毎の磁気共鳴信号Sm4(x(a),y(b),z(c))(t(j))に対して、時間軸方向に時間成分と周波数成分とを変換する演算(例えばフーリエ変換)を施すことにより、周波数軸(f軸)方向の情報を有する2次元実空間もしくは3次元実空間の磁気共鳴スペクトル画像Sm5(x(a),y(b),z(c))(f(j))を算出する(ステップ708)。
そして、ステップ708で算出された2次元実空間もしくは3次元実空間の磁気共鳴スペクトル画像Sm5(x(a),y(b),z(c))(f(j))の各画素の磁気共鳴スペクトルに対して、スペクトル軸方向の位相補正(1次位相成分および0次位相成分の補正)を施す。
ここで、スペクトル軸方向の位相補正の手順について説明する。図7は、スペクトル信号の絶対値と位相値との一例を示す図である。図7において、横軸は周波数を、スペクトルデータの縦軸は信号強度の絶対値(2乗和)を、位相データの縦軸は位相値(−180度〜+180度)を示す。図7に示すように、位相補正の対象となるスペクトル信号S(スペクトルデータ:絶対値表示)には、いくつかの信号ピーク(P1、P2、P3、・・・)が離散的に存在する。これらの信号ピーク以外はノイズ領域であり、ノイズ領域の位相成分(位相データ)は意味の無い値(ランダムな値)である。このため、位相歪みを算出する際は、まず初めに信号ピークの検出を行う。信号ピークは、多項式適合法等を用いて2次微分値および3次微分値を算出し、適当な閾値を設定することによりピーク判定を行い、検出する。次に、検出した信号ピークの位相値(前記図7の黒丸の点)を(式2)に従って算出する。更に、この算出した離散的な位相値について(式3)へのフィッティング処理を行い、近似直線(前記図7の黒太線)の算出を行う。近時直線の算出には、例えば、最小自乗近似法等が用いられる。フィッティング処理で得られた近似直線の傾きが上記C1、切片が上記C0に相当する。これらの値を用いて、磁気共鳴スペクトル画像Sm5(x(a),y(b),z(c))(f(j))のj番目のデータの位相歪をP(j)=C1×j+C0を算出し、スペクトル軸方向の位相補正を行い、2次元実空間もしくは3次元実空間の磁気共鳴スペクトル画像Sm6(x(a),y(b),z(c))(f(j))を算出する。そして、磁気共鳴スペクトルの2次元実空間もしくは3次元実空間の磁気共鳴スペクトル画像Sm6(x(a),y(b),z(c))(f(j))の実部成分(実部画像)Re(Sm6(x(a),y(b),z(c))(f(j)))を抽出する(ステップ709)。
以上説明したように、本実施形態によれば、MACを用いてMRSI計測を行う場合、水抑圧を行わない第1の計測で取得されるSNRの高いリファレンス画像信号を用いて、小型コイル毎および画素毎の位相を揃えるための補正値(MAC合成用補正値)を算出する。そして、水抑圧を伴う本計測画像信号を、小型コイル毎および画素毎にMAC合成用補正値で補正する。その後、MAC合成し、合成後の信号について、画素毎にスペクトル軸方向の位相補正を行う。
すなわち、MAC合成を行う前に、小型コイル毎および画素毎に位相歪みの0次成分のみを揃えるための補正を行い、位相歪みの1次成分を含めたスペクトル軸方向の位相補正は、MAC合成後のスペクトル信号に対して画素毎に行う。位相歪みの0次成分は、信号位相のオフセット成分であり、データの番号に依存しないものである。本実施形態によれば、各受信コイルの空間的な位相分布に不均一がある場合に合成効果を低下させる影響の大きいオフセット成分のみ補正して合成し、スペクトル軸方向の位相補正は合成後に行う。
本実施形態によれば、MAC合成の前に位相歪みの0次成分を補正するため、位相の空間的不均一がある場合でもMAC合成効果の高い信号が得られる。さらに、位相歪みの1次成分も含むスペクトル軸方向の位相補正は、MAC合成を行った後の1組(1コイル分)の磁気共鳴スペクトル画像に対してのみ行えば良いため、この補正に要する計算量がコイル数に比例しない。従って、小型コイル毎にスペクトル軸方向の全ての位相補正を行う従来の手法に較べて、処理時間が短くてすむ。また、小型コイル毎に行う位相補正に使用する補正値として、水抑圧を行わないSNRの高い計測データを用いるため、小型コイル毎の位相補正の精度も高い。従って、短時間に高精度にMAC合成された磁気共鳴スペクトル画像を得ることが可能となる。
<<第二の実施形態>>
次に本発明の第二の実施の形態を説明する。本実施形態においても、第一の実施形態と同様に、非水抑圧計測で得られた小型コイル毎の位相補正値を用いて、その後に行われる水抑圧計測で得られる信号を小型コイル毎に位相補正する。ただし、本実施形態では、水抑圧計測(本計測)による信号を足し合わせる際(MAC合成の際)、各小型コイルのSNRに応じた異なる加算係数を乗算する。なお、第一の実施形態は、本実施形態の全ての小型コイルの加算係数を常に1にしたものといえる。以下、第一の実施形態と異なる点についてのみ説明する。
以下、本実施形態のMRSI計測を説明する。図8は本実施形態の計測手順の一例を示す図である。以下の各ステップは、計算機9が行う処理である。
本実施形態では、まず、複数の小型コイルL(i)(ここで、iはコイル番号を表す以上I以下の整数:i=1,2,…,I)から構成される受信コイルを用いて、上述した非水抑圧計測を実行することにより、小型コイルL(i)毎に、2次元k空間もしくは3次元k空間(kx(a),ky(b),kz(c))(ここで、aはkx軸方向の計測番号を表すA以下の整数、bはky軸方向の計測番号を表すB以下の整数、cはkz軸方向の計測番号を表すC以下の整数、2次元の場合はA,B,Cのいずれか1つが1で他の2つは2以上の整数、3次元の場合はA,B,Cのいずれもが2以上の整数)の非水抑圧時のスペクトル情報(磁気共鳴信号)Sw1(L(i))(kx(a),ky(b),kz(c))(t(j))(ここで、jは時間軸(t軸)方向のデータ番号を表すJ以下の整数)を取得する(ステップ801)。
次に、ステップ801において取得した各小型コイルL(i)のk空間の磁気共鳴信号Sw1(L(i))(kx(a),ky(b),kz(c))(t(j))に対して、各k空間軸(kx,ky,kz)方向にk空間成分と実空間成分とを変換する演算(例えば逆フーリエ変換)を施すことにより、非水抑圧時の2次元実空間もしくは3次元実空間(x(a),y(b),z(c))の磁気共鳴信号Sw2(L(i))(x(a),y(b),z(c))(t(j))を算出する(ステップ802)。
次に、ステップ802で算出された実空間の磁気共鳴信号Sw2(L(i))(x(a),y(b),z(c))(t(j))に対して、各小型コイルL(i)の実空間点毎に、信号の絶対値と位相値とを算出する(ステップ803)。絶対値と位相値は、t軸方向のデータ数Jの信号の全て或いは複数を用いて算出しても良いが、信号の絶対値が比較的大きい一つのデータ(信号)を用いて算出してもよい。本実施形態では、小型コイルL(i)毎に先頭からN点目の信号Sw2(L(i))(x(a),y(b),z(c))(t(N))を用いて、それぞれの信号の絶対値Aw(L(i))(x(a),y(b),z(c))(t(N))と位相値φw(L(i))(x(a),y(b),z(c))(t(N))とを算出する。Nとして、信号の絶対値が大きくなる値を選ぶことが好ましいが、所定の範囲(例えば1〜20)のいずれか1点を用いてもよい。ここで、Sw2(L(i))(x(a),y(b),z(c))(t(N))の絶対値Aw(L(i))(x(a),y(b),z(c))(t(N))と位相値φw(L(i))(x(a),y(b),z(c))(t(N))とは、以下の(式9)および(式10)に従って導出する。
Figure 0004845972
なお、求めた小型コイルL(i)毎のN点目の信号の絶対値Aw(L(i))(x(a),y(b),z(c))(t(N))と位相値φw(L(i))(x(a),y(b),z(c))(t(N))とは、本計測(水抑圧計測)で計測する信号を補正する補正値としてそれぞれ記憶装置11に記憶される。
また、ステップ802で算出された実空間の磁気共鳴信号Sw2(L(i))(x(a),y(b),z(c))(t(j))に対して、各小型コイルL(i)の実空間点毎に、ノイズ平均値とノイズ標準偏差とを求める。ノイズ平均値とノイズ標準偏差とは一般に絶対値Aw(L(i))(x(a),y(b),z(c))(t(N))の小さい信号から求めることが好ましい。本実施形態では、信号Sw2(L(i))(x(a),y(b),z(c))(t(j))を構成するデータのうち、最後尾のM点分の絶対値Aw(L(i))(x(a),y(b),z(c))(t(J−M+1))〜Aw(L(i))(x(a),y(b),z(c))(t(J))から、下記の(式11)および(式12)に従い、ノイズ平均値Na(L(i))(x(a),y(b),z(c))とノイズ標準偏差Nd(L(i))(x(a),y(b),z(c))とを算出する(ステップ804)。
Figure 0004845972
なお、上述したようにMとして、Sw2(L(i))(x(a),y(b),z(c))(t(M))の絶対値Aw(L(i))(x(a),y(b),z(c))(t(N))が小さくなる値を選ぶことが好ましいが、例えば、最後尾から16〜32点の範囲で固定された値を用いてもよい。
さらに、ステップ803で算出した信号の絶対値Aw(L(i))(x(a),y(b),z(c))(t(N))と、ステップ804で算出したノイズ平均値Na(L(i))(x(a),y(b),z(c))およびノイズ標準偏差Nd(L(i))(x(a),y(b),z(c))と、を用いて各小型コイルL(i)の信号雑音比SNR(L(i))(x(a),y(b),z(c))を以下の(式13)により算出する(ステップ805)。
SNR(L(i))(x(a),y(b),z(c))=(Aw(L(i))(x(a),y(b),z(c))(N)−Na(L(i))(x(a),y(b),z(c)))/Nd(L(i))(x(a),y(b),z(c)) (式13)
そして、各空間点について、各小型コイルL(i)で検出したその空間点の信号雑音比のコイル間の比R(L(i))(x(a),y(b),z(c))(最大信号雑音比に対する比)の合計値を一定する係数(加算係数W(L(i))(x(a),y(b),z(c)))を、小型コイルL(i)毎に算出する(ステップ806)。
一例として、4個の小型コイルL(1)、L(2)、L(3)およびL(4)で検出した空間点(x(0),y(0),z(0))における信号雑音比が、下記の(式14)、(式15)、(式16)および(式17)で示される場合についての計算式を以下に示す。
SNR(L(1))(x(0),y(0),z(0))=e (式14)
SNR(L(2))(x(0),y(0),z(0))=f (式15)
SNR(L(3))(x(0),y(0),z(0))=g (式16)
SNR(L(4))(x(0),y(0),z(0))=h (式17)
この場合、信号雑音比のコイル間の比R(L(i))(x(a),y(b),z(c))は、下記の(式18)、(式19)、(式20)および(式21)で示される。
R(L(1))(x(0),y(0),z(0)) = e/max(e,f,g,h)=E (式18)
R(L(2))(x(0),y(0),z(0)) = f/max(e,f,g,h)=F (式19)
R(L(3))(x(0),y(0),z(0)) = g/max(e,f,g,h)=G (式20)
R(L(4))(x(0),y(0),z(0))=h/max(e,f,g,h)=H (式21)
なお、max(e,f,g,h)は、e,f,g,hのうちの最大の値を取る関数である。
空間点(x(0),y(0),z(0))について、信号雑音比のコイル間の比R(L(i))(x(a),y(b),z(c))の全小型コイルL(i)の合計値を常にPとする係数W(L(i))(x(a),y(b),z(c))は、4個の小型コイルL(1)、L(2)、L(3)およびL(4)のそれぞれについて下記の(式22)、(式23)、(式24)および(式25)で示される。
W(L(1))(x(0),y(0),z(0))=E×P/(E+F+G+H) (式22)
W(L(2))(x(0),y(0),z(0))=F×P/(E+F+G+H) (式23)
W(L(3))(x(0),y(0),z(0))=G×P/(E+F+G+H) (式24)
W(L(4))(x(0),y(0),z(0))=H×P/(E+F+G+H) (式25)
なお、算出した係数W(L(i))(x(a),y(b),z(c))は、以下で行う加算処理(MAC合成)における加算係数として用いるため、記憶装置11に保存する。なお、Pの値は、1組の磁気共鳴スペクトル画像信号の処理において同一の値であれば、磁気共鳴スペクトル画像内の画素間のピクセル濃度値の比は一定となるため、どのような値を設定してもよい。例えば、常に、小型受信コイルの数(上記の計算例では4)を設定しても良い。
次に、上述した水抑圧計測を実行することにより、小型コイル毎に、2次元k空間もしくは3次元k空間の水抑圧時のスペクトル情報(磁気共鳴信号)Sm1(L(i))(kx(a),ky(b),kz(c))(t(j))を取得する(ステップ807)。
次に、ステップ807において、前記各小型コイルで得られたk空間の磁気共鳴信号Sm1(L(i))(kx(a),ky(b),kz(c))(t(j))に対して、各k空間軸方向にk空間成分と実空間成分を変換する演算(例えば逆フーリエ変換)を施すことにより、水抑圧時の2次元実空間もしくは3次元実空間(x(a),y(b),z(c))の磁気共鳴信号Sm2(L(i))(x(a),y(b),z(c))(t(j))を算出する(ステップ808)。
次に、ステップ803で算出した非水抑圧信号の位相値φw(L(i))(x(a),y(b),z(c))(t(N))を用いて、ステップ808で算出された実空間の磁気共鳴信号Sm2(L(i))(x(a),y(b),z(c))(t(j))に対して、各小型コイルの実空間点毎に、コイル間の位相を揃える位相補正を行い、各小型コイルの実空間点毎の磁気共鳴信号Sm3(L(i))(x(a),y(b),z(c))(t(j))を得る(ステップ809)。なお、この位相補正では、t軸方向のデータ数Jの信号の全てを対象とし、各データt(j)の実部および虚部を、以下の(式26)および(式27)に従って導出する。
Re(Sm3(L(i))(x(a),y(b),z(c))(t(j)))=cos((−1)×π×φw(L(i))(x(a),y(b),z(c))(t(N))/180)×Re(Sm2(L(i))(x(a),y(b),z(c))(t(j)))−sin((−1)×π×φw(L(i))(x(a),y(b),z(c))(t(N))/180)×Im(Sm2(L(i))(x(a),y(b),z(c))(t(j))) (式26)
Im(Sm3(L(i))(x(a),y(b),z(c))(t(j)))=sin((−1)×π×φw(L(i))(x(a),y(b),z(c))(t(N))/180)×Re(Sm2(L(i))(x(a),y(b),z(c))(t(j)))+cos((−1)×π×φw(L(i))(x(a),y(b),z(c))(t(N))/180)×Im(Sm2(L(i))(x(a),y(b),z(c))(t(j))) (式27)
そして、ステップ809で算出した各小型コイルの実空間点毎の磁気共鳴信号Sm3(L(i))(x(a),y(b),z(c))(t(j))について、ステップ806で算出した加算係数W(L(i))(x(a),y(b),z(c))を乗算し、磁気共鳴信号Sm4(L(i))(x(a),y(b),z(c))(t(j))を算出する(ステップ810)。この処理では、各データt(j)の実部および虚部を、以下の(式28)および(式29)に従って導出する。
Re(Sm4(L(i))(x(a),y(b),z(c))(t(j)))=Re(Sm3(L(i))(x(a),y(b),z(c))(t(j)))×W(L(i))(x(a),y(b),z(c))(t(N)) (式28)
Im(Sm4(L(i))(x(a),y(b),z(c))(t(j)))=Re(Sm3(L(i))(x(a),y(b),z(c))(t(j)))×W(L(i))(x(a),y(b),z(c))(t(N)) (式29)
そして、ステップ810で算出された各小型コイルの実空間点毎の磁気共鳴信号Sm4(L(i))(x(a),y(b),z(c))(t(j))を、以下の(式30)および(式31)に従って複素数加算し、実空間点毎の磁気共鳴信号Sm5(x(a),y(b),z(c))(t(j))を算出する(ステップ811)。
Figure 0004845972
さらに、前記ステップ811で算出された加算後の実空間点毎の磁気共鳴信号Sm5(x(a),y(b),z(c))(t(j))に対して、時間軸方向に時間成分と周波数成分とを変換する演算(例えばフーリエ変換)を施し、周波数軸(f軸)方向の情報を有する2次元実空間もしくは3次元実空間の磁気共鳴スペクトル画像Sm6(x(a),y(b),z(c))(f(j))を算出する(ステップ812)。
そして、ステップ812で算出された2次元実空間もしくは3次元実空間の磁気共鳴スペクトル画像Sm6(x(a),y(b),z(c))(f(j))の各画素の磁気共鳴スペクトルに対して、第一の実施形態同様、スペクトル軸方向の位相補正(1次位相成分および0次位相成分の補正)を施し、2次元実空間もしくは3次元実空間の磁気共鳴スペクトル画像の実部成分(実部画像)Re(Sm7(x(a),y(b),z(c))(f(j)))を算出する(ステップ813)。
以上説明したように、各コイルで得られる信号を足し合わせる際、従来は「足し合わせ係数1の等価合成」が行われていたが、本実施形態では、非水抑圧により行われるリファレンス計測で取得される画像信号からコイル毎および画素毎のSNRを算出し、水抑圧により行われる本計測で取得される信号の合成を、前記コイル毎および画素毎のSNRから算出した係数を乗じた後に行う。
すなわち、本実施形態によれば、MACを用いてMRSI計測を行う場合において、水抑圧を行わない第1の計測で取得されるSNRの高いリファレンス画像信号を用いて、小型コイル毎および画素毎の位相を揃えるための位相補正値およびMAC合成時の加算係数を算出する。そして、水抑圧を伴う本計測画像信号について、MAC合成を行う前に算出した位相補正値で位相補正を行い、MAC合成を行う際は、算出した加算係数を適用する。すなわち、MAC合成を行う前には、位相歪の0次成分のみを揃えるための補正を行い、位相歪の1次成分の補正については、MAC合成後のスペクトル信号に対して行う。
このため、本実施形態によれば、第一の実施の形態と同様に、位相の空間的不均一がある場合でもMAC合成効果の高い信号が得られるとともに、MAC合成を行った後の1組(1コイル分)の磁気共鳴スペクトル画像に対してのみスペクトル軸方向の位相補正を行えば良いため、この補正に要する計算量がコイル数に比例せず、小型コイル毎にスペクトル軸方向の全ての位相補正を行う従来の手法に較べて、処理時間が短くてすむ。また、小型コイル毎に行う位相補正に使用する補正値として、水抑圧を行わない計測データを用いるため、正確な位相補正を行うことができる。さらに、加算係数を採用しているため、受信コイルを構成する小型コイルのSNRにばらつきがある場合にも、ばらつきによるMAC合成信号の劣化を防止することができる。従って、本実施形態においても、短時間に高精度にMAC合成された磁気共鳴スペクトル画像を得ることが可能となる。
以上、本発明を適用した磁気共鳴撮影装置の各実施形態を説明した。本発明は上記の各実施形態に限定されず種々の変更や応用が可能である。例えば、受信コイルを構成する小型コイルの配列は、平面的な配置であってもよい。また各小型コイルの形状は平面に限定されず、検査部位に応じた曲面状に配置されていてもよい。また、上記の各実施形態では、第1の計測として非水抑圧画像計測を行い、第2の計測として水抑圧画像計測を行っている。しかし、第1の計測と第2の計測との計測順番を入れ替え、第1の計測として水抑圧画像計測を行い、第2の計測として非水抑圧画像計測を行っても良い。また、上記の各実施形態では、図4に示す領域選択スピンエコー型のパルスシーケンスを用いてMRSI計測を行う場合を例にあげて記述した。しかし、パルスシーケンスはこれに限られない。MRSI計測が可能なパルスシーケンスならば、全て同様の効果を得ることができる。例えば、3D−CSIや4D−CSIと呼ばれる領域選択を行わない計測シーケンスや、EPSIと呼ばれる振動傾斜磁場を用いた高速計測シーケンス等を用いた場合においても、同等の効果が得られる。
また、上記各実施形態では、初めに、補正値を求めるためのリファレンス計測として、2次元k空間もしくは3次元k空間の非水抑圧時のスペクトル情報を取得している。しかし、図4に示すパルスシーケンスを用いてこの非水抑圧計測を実行すると、計測条件によっては計測時間が長くなるため、下記の方法により、計測時間の増大を軽減してもよい。
例えば、上記位相エンコード用傾斜磁場Gp1、Gp2およびGp3の印加強度を、Gp1は16段階、Gp2は16段階、Gp3は1段階と、それぞれ変化させ、256(=16×16×1)回の計測を繰り返した場合、繰り返し時間を2秒とすると、リファレンス計測に要する時間は512秒(=8分32秒)となる。従って、非水抑圧計測時間と水抑圧計測時間を併せた総計測時間は2倍の1024秒(=17分4秒)となり、臨床に適用するにはやや長すぎる。
そこで、リファレンス計測に要する時間を短縮するために、計測の繰り返し回数を減らす。すなわち、位相エンコード用傾斜磁場の印加強度のステップ幅は変えずに、ステップ数だけを減らす。例えば、上記例の位相エンコード用傾斜磁場Gp1、Gp2およびGp3の印加強度のステップ幅は変えずに、Gp1、Gp2のステップ数だけをそれぞれ半分に減らし、Gp1は8段階、Gp2は8段階、Gp3は1段階とすると、計測時間を1/4の128秒(=2分8秒)に短縮できる。ここで、非水抑圧計測の位相エンコードのステップ数を減らした計測データをそのままリファレンス画像として用る場合、非水抑圧計測画像の空間分解能と水抑圧計測画像の空間分解能が異なり、そのままでは上述の位相補正等を行うことができない。このため、通常、下記のゼロフィリングと呼ばれる手法を用いて、空間分解能を揃える。
以下、ゼロフィリングの具体的な処理手順について、図9を用いて簡単に説明する。例えば、上述の計測条件と同様に水抑圧計測時の位相エンコードのステップ数が16×16×1である場合、非水抑圧計測時に位相エンコードのステップ幅を変えずに位相エンコードのステップ数を8×8×1に減じ、リファレンス計測に要する時間を1/4(=1/2×1/2×1/1)に短縮すると、再構成処理を経て得られる画像の画素サイズは4倍(=2×2×1)となる。図9に示すように、リファレンス計測で得た8×8×1のデータ(8×8×1の時系列信号)を、16×16×1のマトリクス(再構成マトリクス)の中央に配置し、周囲のデータ欠損部分にゼロデータを詰める。そして、各位相エンコード軸方向に逆フーリエ変換を施し、画素サイズを、位相エンコード数が16×16×1の場合と同一にする。
なお、ゼロフィリング処理に関して、計測データを再構成マトリクスに配置する際に、計測データの真のゼロエンコード点(空間分布上で最大信号強度を有する点)を検出して中心を合わせる、計測データに空間分布上のハミング関数等を乗算することにより計測中心のデータが最大信号強度を有するように補正を行う、等の処理を加えてもよい。
また、リファレンス計測に要する時間を短縮する別の方法として、計測の繰り返し時間を短くする方法がある。例えば、上記例の繰り返し時間2秒を半分に減じた場合、計測時間を1/2の256秒(=4分16秒)に短縮できる。しかし、単純に繰り返し時間を短くすると、縦緩和時間の影響で核磁化の初期状態に変化が生じ、正しい位相情報が得られなくなる場合がある。このような場合は、非水抑圧計測で用いる励起用高周波磁場のフリップ角を水抑圧計測のフリップ角より小さく設定する。こうして、繰り返し時間を短くしても、縦緩和時間の影響を減じることができる。
また、エコー時間(上記図4におけるTE)もしくは信号検出時間(上記図4における信号Sig1の計測時間)が長いため、繰り返し時間を単純に短くできない場合がある。このような場合には、非水抑圧計測で用いるエコー時間(TE)を水抑圧計測のエコー時間(TE)より短く設定する。すなわち、非水抑圧計測時の被検体から発生する磁気共鳴信号の検出開始時刻を水抑圧計測時より早める。こうして、繰り返し時間を短くすることが可能となる。
また、非水抑圧計測で用いる信号検出時間を水抑圧計測の信号検出時間より短く設定し、繰り返し時間を短くすることができる。
なお、非水抑圧計測で用いる信号検出時間を極端に短くした場合、非水抑圧計測信号の信号検出時間内での時間変化をリファレンスとして用いる渦電流補正を行うことができなくなる。このような場合は、水抑圧計測画像において、信号強度が最も強い代謝物質(例えば、N−アセチルアスパラギン酸)のピーク位置を揃えるといった後処理を追加し、渦電流補正と同等な補正を行う。
また、マルチアレイコイル(MAC)を備えた磁気共鳴撮影装置を用いたMRSI計測において、各受信コイルの感度分布画像を用いて、位相エンコード用傾斜磁場強度の印加ステップ幅の低下により生じる「画像の折り返し」を除去し、撮影時間を短縮するパラレルイメージングと呼ばれる計測(パラレルMRSI計測)に本発明を適用することができる。感度分布画像に水抑圧を行わないリファレンス計測で取得されるSNRの高い磁気共鳴スペクトル画像を用いればよい。
例えば、2つの受信コイルを用いて上述した図4のパルスシーケンスによるMRSI計測を行う際に、X軸方向の位相エンコード用傾斜磁場Gp1の印加強度のステップ幅を倍にしてステップ数を半分に減らすと、計測時間を1/2に短縮できるもののX軸方向の撮影視野も1/2になる。撮像視野が1/2の画像は、被写体の折り返しの入った画像となる。このため、パラレルMRSI計測では、2つのコイルの感度分布の違いを利用して連立方程式を解き、折り返しを分離し、撮像視野が1/1の画像を再構成する。(J.B.Ra、C.Y.Rim:Fast Imaging Using Subencoding Data Sets from Multiple Detectors、Magnetic Resonance in Medicine、vol.30、pp.142−145(1993)参照。)。ここでは、感度分布画像に水抑圧を行わないリファレンス計測で取得されるSNRの高い磁気共鳴スペクトル画像を用いるため、折り返しの分離の精度を高めることができる。
以下、第一の実施形態および第二の実施形態の実施例を示す。図3に示すマルチアレイコイル(円筒形コイル)を実装した図1(a)に示す型の静磁場強度1.5テスラの磁気共鳴撮影装置を用い、図5および図4のパルスシーケンスを実行し、MRSI計測を行った。このとき、対象核種はプロトン、測定対象物はN−アセチルアラニン水溶液ファントムとした。
その結果のMAC合成後のスペクトル画像を図10に示す。図10(a)は、第一の実施形態の図6の実施手順に従ってMAC合成した結果で、図10(b)は、第二の実施形態の図8の実施手順に従ってMAC合成した結果である。両画像とも、概ね、選択励起領域内が均等な信号領域として描出されており、本来のファントム内水溶液の均質な濃度分布を反映した均一な輝度分布を有する合成画像が得られていることが分かる。ただ、図10(a)の画像では、選択励起領域内の左下部分がやや高信号の領域として描出されているが、これは受信コイル間の受信感度のばらつきに起因するものと推測され、図10(b)の画像では、この不均一も解消されていることが分かる。
第一の実施形態の磁気共鳴撮影装置の外観図である。 第一の実施形態の磁気共鳴撮影装置の構成を示すブロック図である。 第一の実施形態の磁気共鳴撮影装置で使用する受信コイルの一例を示す図である。 第一の実施形態のMRSI計測用のパルスシーケンスの一例を示す図である。 第一の実施形態の水信号抑圧用プリパルスシーケンスの一例を示す図である。 第一の実施形態の計測手順を示すフローである。 スペクトル信号の絶対値と位相値の一例を示す図である。 第二の実施形態の計測手順を示すフローである。 ゼロフィリング処理を説明する図である。 各実施形態の具体例を説明するための図である。
符号の説明
1:被検体、2:静磁場コイル、3:傾斜磁場コイル、4:シムコイル、5:送信用高周波コイル、6:受信用高周波コイル、7:送信機、8:受信機、9:計算機、10:ディスプレイ、11:記憶装置、12:傾斜磁場用電源部、13:シム用電源部、14:シーケンス制御装置、15:入力装置。

Claims (7)

  1. 静磁場中に置かれた検査対象に高周波磁場を少なくとも1回照射し、前記高周波磁場の照射の後に前記検査対象に傾斜磁場を少なくとも1回印加し、前記傾斜磁場の印加の後に前記検査対象から発生する磁気共鳴信号を受信コイルで検出し、検出した前記磁気共鳴信号から磁気共鳴スペクトル画像を算出する磁気共鳴スペクトル画像算出方法であって、
    前記受信コイルは複数の小型コイルL(i)(ここで、iはコイル番号を表す1以上I以下の整数:i=1,2,…,I)からなるマルチアレイコイル(MAC)であり、
    2次元k空間もしくは3次元k空間(kx(a),ky(b),kz(c))(ここで、aはkx軸方向の計測番号を表すA以下の整数、bはky軸方向の計測番号を表すB以下の整数、cはkz軸方向の計測番号を表すC以下の整数、2次元の場合はA,B,Cのいずれか1つが1で他の2つは2以上の整数、3次元の場合はA,B,Cのいずれもが2以上の整数)の非水抑圧時のスペクトル情報を計測する第一の計測ステップと、
    前記第一の計測ステップにおいて、前記各小型コイルで得られたk空間の磁気共鳴信号Sw1(L(i))(kx(a),ky(b),kz(c))(t(j))(ここで、jは時間軸(t軸)方向のデータ番号を表すJ以下の整数)に対して、各k空間軸(kx,ky,kz)方向にk空間成分と実空間成分とを変換し、2次元実空間もしくは3次元実空間(x(a),y(b),z(c))の磁気共鳴信号を算出する第一のk空間−実空間変換ステップと、
    前記第一のk空間−実空間変換ステップで算出された実空間の磁気共鳴信号Sw2(L(i))(x(a),y(b),z(c))(t(j))に対して、各小型コイルの実空間点毎に、先頭からN番目の信号Sw2(L(i))(x(a),y(b),z(c))(t(N))の位相値φw(L(i))(x(a),y(b),z(c))(t(N))を算出し、算出結果から補正値を求める位相値算出ステップと、
    2次元k空間もしくは3次元k空間(kx(a),ky(b),kz(c))の水抑圧時のスペクトル情報を計測する第二の計測ステップと、
    前記第二の計測ステップにおいて、前記各小型コイルで得られたk空間の磁気共鳴信号Sm1(L(i))(kx(a),ky(b),kz(c))(t(j))に対して、各k空間軸方向にk空間成分と実空間成分とを変換し、2次元実空間もしくは3次元実空間(x(a),y(b),z(c))の磁気共鳴信号を算出する第二のk空間−実空間変換ステップと、
    前記第二のk空間−実空間変換ステップで算出された実空間の磁気共鳴信号Sm2(L(i))(x(a),y(b),z(c))(t(j))に対して、各小型コイルの実空間点毎に、全点の位相値φm(L(i))(x(a),y(b),z(c))(t(j))を前記位相値算出ステップで算出した補正値を用いて位相補正し、位相補正後の磁気共鳴信号Sm3(L(i))(x(a),y(b),z(c))(t(j))を算出する位相値補正ステップと、
    前記位相値補正ステップで算出された各小型コイルの実空間点毎の磁気共鳴信号Sm3(L(i))(x(a),y(b),z(c))(t(j))を、実空間点毎に複素数加算し、加算後の信号Sm4(x(a),y(b),z(c))(t(j))を、MACで得られた複数の画像を足し合わせるMAC合成を行った磁気共鳴信号(MAC合成後磁気共鳴信号)とするMAC合成ステップと、
    前記MAC合成ステップで算出されたMAC合成後磁気共鳴信号の実空間点毎の磁気共鳴信号Sm4(x(a),y(b),z(c))(t(j))に対して、時間軸方向に時間成分と周波数成分とを変換し、周波数軸(f軸)方向の情報を有する2次元実空間もしくは3次元実空間の磁気共鳴スペクトル画像Sm5(x(a),y(b),z(c))(f(j))を算出する時間−周波数変換ステップと、を含むこと
    を特徴とする磁気共鳴スペクトル画像算出方法。
  2. 請求項1記載の磁気共鳴スペクトル画像算出方法であって、
    前記時間−周波数変換ステップで算出した周波数軸(f軸)方向の情報を有する2次元実空間もしくは3次元実空間の磁気共鳴スペクトル画像Sm5(x(a),y(b),z(c))(f(j))に対してスペクトル軸方向の位相補正を施し、2次元実空間もしくは3次元実空間の磁気共鳴スペクトル画像Sm6(x(a),y(b),z(c))(f(j))を算出する第二の位相値補正ステップをさらに備えること
    を特徴とする磁気共鳴スペクトル画像算出方法。
  3. 静磁場中に置かれた検査対象に高周波磁場を少なくとも1回照射し、前記高周波磁場の照射の後に、前記検査対象に傾斜磁場を少なくとも1回印加し、前記傾斜磁場の印加の後に、前記検査対象から発生する磁気共鳴信号を受信コイルで検出し、検出された前記磁気共鳴信号から磁気共鳴スペクトル画像を算出する磁気共鳴スペクトル画像算出方法であって、
    前記受信コイルは複数の小型コイルL(i)(ここで、iはコイル番号を表す1以上I以下の整数:i=1,2,…,I)からなるマルチアレイコイル(MAC)であり、
    2次元k空間もしくは3次元k空間(kx(a),ky(b),kz(c))(ここで、aはkx軸方向の計測番号を表すA以下の整数、bはky軸方向の計測番号を表すB以下の整数、cはkz軸方向の計測番号を表すC以下の整数、2次元の場合はA,B,Cのいずれか1つが1で他の2つは2以上の整数、3次元の場合はA,B,Cのいずれもが2以上の整数)の非水抑圧時のスペクトル情報を計測する第一の計測ステップと、
    前記第一の計測ステップにおいて、前記各小型コイルで得られたk空間の磁気共鳴信号Sw1(L(i))(kx(a),ky(b),kz(c))(t(j))(ここで、jは時間軸(t軸)方向のデータ番号を表すJ以下の整数)に対して、各k空間軸(kx,ky,kz)方向にk空間成分と実空間成分を変換する演算を施し、2次元実空間もしくは3次元実空間(x(a),y(b),z(c))の磁気共鳴信号を算出する第一のk空間−実空間変換ステップと、
    前記第一のk空間−実空間変換ステップで算出された実空間の磁気共鳴信号Sw2(L(i))(x(a),y(b),z(c))(t(j))に対して、各小型コイルの実空間点毎に、先頭からN番目の信号Sw2(L(i))(x(a),y(b),z(c))(t(N))の絶対値Aw(L(i))(x(a),y(b),z(c))(t(N))と位相値φw(L(i))(x(a),y(b),z(c))(t(N))とを算出し、両算出結果をそれぞれ補正用絶対値および補正用位相値とする絶対値位相値算出ステップと、
    前記第一のk空間−実空間変換ステップで算出された実空間の磁気共鳴信号Sw2(L(i))(x(a),y(b),z(c))(t(j))に対して、所定数の点の絶対値信号から、各小型コイルの実空間点毎に、ノイズ平均値Na(L(i))(x(a),y(b),z(c))とノイズ標準偏差Nd(L(i))(x(a),y(b),z(c))とを算出するノイズ算出ステップと、
    前記絶対値位相値算出ステップで算出した補正用絶対値と、前記ノイズ算出ステップで算出したノイズ平均値Na(L(i))(x(a),y(b),z(c))およびノイズ標準偏差Nd(L(i))(x(a),y(b),z(c))とから、各小型コイルの実空間点毎に、信号雑音比SNR(L(i))(x(a),y(b),z(c))を算出する信号雑音比算出ステップと、
    2次元k空間もしくは3次元k空間(kx(a),ky(b),kz(c))の水抑圧時のスペクトル情報を計測する第二の計測ステップと、
    前記第二の計測ステップにおいて、前記各小型コイルで得られたk空間の磁気共鳴信号Sm1(L(i))(kx(a),ky(b),kz(c))(t(j))に対して、各k空間軸方向にk空間成分と実空間成分とを変換し、2次元実空間もしくは3次元実空間の磁気共鳴信号を算出する第2(x(a),y(b),z(c))のk空間−実空間変換ステップと、
    前記第二のk空間−実空間変換ステップで算出された実空間の磁気共鳴信号Sm2(L(i))(x(a),y(b),z(c))(t(j))に対して、各小型コイルの実空間点毎に、全点の位相値φm(L(i))(x(a),y(b),z(c))(t(j))を前記絶対値位相値算出ステップで算出した補正用位相値を用いて位相補正し、位相補正後の磁気共鳴信号Sm3(L(i))(x(a),y(b),z(c))(t(j))を算出する位相値補正ステップと、
    前記位相値補正ステップで算出された各小型コイルの実空間点毎の磁気共鳴信号Sm3(L(i))(x(a),y(b),z(c))(t(j))に対して、前記信号雑音比算出ステップで算出した前記各小型コイルの実空間点毎の信号雑音比SNR(L(i))(x(a),y(b),z(c))を用いて算出した加算係数を乗算する信号雑音比乗算ステップと、
    前記信号雑音比乗算ステップで算出された各小型コイルの実空間点毎の磁気共鳴信号Sm4(L(i))(x(a),y(b),z(c))(t(j))を、実空間点毎に複素数加算し、加算後の信号Sm5(x(a),y(b),z(c))(t(j))をMACで得られた複数の画像を足し合わせるMAC合成を行った磁気共鳴信号(MAC合成後磁気共鳴信号)とするMAC合成ステップと、
    前記MAC合成ステップで算出されたMAC合成後磁気共鳴信号の実空間点毎の磁気共鳴信号Sm5(x(a),y(b),z(c))(t(j))に対して、時間軸方向に時間成分と周波数成分を変換する演算を施し、周波数軸(f軸)方向の情報を有する2次元実空間もしくは3次元実空間の磁気共鳴スペクトル画像Sm6(x(a),y(b),z(c))(f(j))を算出する時間−周波数変換ステップと、を含むこと
    を特徴とする磁気共鳴スペクトル画像算出方法。
  4. 請求項3記載の磁気共鳴スペクトル画像算出方法であって、
    前記ノイズ算出ステップでは、前記第一のk空間−実空間変換ステップで算出された実空間の磁気共鳴信号Sw2(L(i))(x(a),y(b),z(c))(t(j))に対して、後部のM点分の絶対値信号を用いて前記ノイズ平均値Na(L(i))(x(a),y(b),z(c))と前記ノイズ標準偏差Nd(L(i))(x(a),y(b),z(c))とを算出すること
    を特徴とする磁気共鳴スペクトル画像算出方法。
  5. 請求項3記載の磁気共鳴スペクトル画像算出方法であって、
    前記時間−周波数変換ステップで算出した周波数軸(f軸)方向の情報を有する2次元実空間もしくは3次元実空間の磁気共鳴スペクトル画像Sm6(x(a),y(b),z(c))(f(j))に対してスペクトル軸方向の位相補正を施し、2次元実空間もしくは3次元実空間の磁気共鳴スペクトル画像Sm7(x(a),y(b),z(c))(f(j))を算出する第二の位相値補正ステップをさらに備えること
    を特徴とする磁気共鳴スペクトル画像算出方法。
  6. 請求項1記載の磁気共鳴スペクトル画像算出方法であって、
    前記第一の計測ステップにおいて各小型コイルで得られた磁気共鳴信号を用いて各小型コイルの感度分布を算出する感度算出ステップをさらに含み、
    前記MAC合成ステップに代えて、
    前記位相値補正ステップで算出された各小型コイルの実空間点毎の磁気共鳴信号と、前記感度算出ステップで算出された各小型コイルの感度分布とを用いて、画像の折り返しを除去する演算を行ない、各小型コイルで得られた複数の画像を合成する合成ステップを含むこと
    を特徴とする磁気共鳴スペクトル画像算出方法。
  7. 請求項3記載の磁気共鳴スペクトル画像算出方法であって、
    前記第一の計測ステップにおいて各小型コイルで得られた磁気共鳴信号を用いて各小型コイルの感度分布を算出する感度算出ステップをさらに含み、
    前記MAC合成ステップに代えて、
    前記位相値補正ステップで算出された各小型コイルの実空間点毎の磁気共鳴信号と、前記感度算出ステップで算出された各小型コイルの感度分布とを用いて、画像の折り返しを除去する演算を行ない、各小型コイルで得られた複数の画像を合成する合成ステップを含むこと
    を特徴とする磁気共鳴スペクトル画像算出方法。
JP2008553988A 2007-01-17 2007-12-17 磁気共鳴スペクトル画像算出方法 Active JP4845972B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2008553988A JP4845972B2 (ja) 2007-01-17 2007-12-17 磁気共鳴スペクトル画像算出方法

Applications Claiming Priority (4)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2007008008 2007-01-17
JP2007008008 2007-01-17
PCT/JP2007/074205 WO2008087822A1 (ja) 2007-01-17 2007-12-17 磁気共鳴撮影装置および磁気共鳴スペクトル画像算出方法
JP2008553988A JP4845972B2 (ja) 2007-01-17 2007-12-17 磁気共鳴スペクトル画像算出方法

Related Child Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2011222934A Division JP5479427B2 (ja) 2007-01-17 2011-10-07 磁気共鳴撮影装置

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPWO2008087822A1 JPWO2008087822A1 (ja) 2010-05-06
JP4845972B2 true JP4845972B2 (ja) 2011-12-28

Family

ID=39635827

Family Applications (2)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2008553988A Active JP4845972B2 (ja) 2007-01-17 2007-12-17 磁気共鳴スペクトル画像算出方法
JP2011222934A Active JP5479427B2 (ja) 2007-01-17 2011-10-07 磁気共鳴撮影装置

Family Applications After (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2011222934A Active JP5479427B2 (ja) 2007-01-17 2011-10-07 磁気共鳴撮影装置

Country Status (3)

Country Link
US (1) US8258785B2 (ja)
JP (2) JP4845972B2 (ja)
WO (1) WO2008087822A1 (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2012035097A (ja) * 2007-01-17 2012-02-23 Hitachi Medical Corp 磁気共鳴撮影装置

Families Citing this family (8)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2010100474A (ja) * 2008-10-23 2010-05-06 Covalent Materials Corp シリコン単結晶引上げ水平磁場の最適化方法およびシリコン単結晶の製造方法
CN101963657B (zh) * 2009-07-24 2012-12-05 西门子(深圳)磁共振有限公司 边带抑制方法和边带抑制装置
US9389289B2 (en) 2010-10-28 2016-07-12 Hitachi Medical Corporation Magnetic resonance imaging device
US9678187B2 (en) 2011-08-24 2017-06-13 Hitachi, Ltd. Magnetic resonance imaging device, phase value correction method and program
WO2013063302A1 (en) * 2011-10-25 2013-05-02 New York University Apparatus, systems and methods which are based on magnetic resonance imaging for evaluation(s) of radio frequency emitting device(s)
CN104220873B (zh) 2012-02-10 2017-12-22 儿童医疗中心公司 基于nmr的代谢物筛选平台
JP6084420B2 (ja) * 2012-10-02 2017-02-22 株式会社日立製作所 多チャンネル画像合成方法及び磁気共鳴イメージング装置
US9008399B2 (en) * 2013-01-28 2015-04-14 Wisconsin Alumni Research Foundation System and method for joint reconstruction of spatial and spectral imaging data

Citations (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH1176191A (ja) * 1997-09-09 1999-03-23 Hitachi Medical Corp 磁気共鳴診断装置
JP2002315732A (ja) * 2001-04-23 2002-10-29 Toshiba Corp 磁気共鳴装置及び磁気共鳴装置における信号処理方法
JP2005537896A (ja) * 2002-09-13 2005-12-15 ウニヴェルジテート ブレーメン スペクトロスコピック・イメージ撮像方法、その方法を実行する手段を備えた装置、並びにその方法の材料特性分析における利用

Family Cites Families (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US5709208A (en) * 1994-04-08 1998-01-20 The United States Of America As Represented By The Department Of Health And Human Services Method and system for multidimensional localization and for rapid magnetic resonance spectroscopic imaging
JP3427059B2 (ja) 2001-04-13 2003-07-14 株式会社東芝 磁気共鳴診断装置
US6995560B2 (en) * 2003-03-20 2006-02-07 Duerk Jeffrey L Chemical species suppression for MRI imaging using spiral trajectories with off-resonance correction
CN100396239C (zh) * 2005-02-28 2008-06-25 西门子(中国)有限公司 磁共振多通道成像水脂分离重建算法
US7298144B2 (en) * 2005-05-06 2007-11-20 The Board Of Trustee Of The Leland Stanford Junior University Homodyne reconstruction of water and fat images based on iterative decomposition of MRI signals
WO2008087822A1 (ja) * 2007-01-17 2008-07-24 Hitachi Medical Corporation 磁気共鳴撮影装置および磁気共鳴スペクトル画像算出方法

Patent Citations (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH1176191A (ja) * 1997-09-09 1999-03-23 Hitachi Medical Corp 磁気共鳴診断装置
JP2002315732A (ja) * 2001-04-23 2002-10-29 Toshiba Corp 磁気共鳴装置及び磁気共鳴装置における信号処理方法
JP2005537896A (ja) * 2002-09-13 2005-12-15 ウニヴェルジテート ブレーメン スペクトロスコピック・イメージ撮像方法、その方法を実行する手段を備えた装置、並びにその方法の材料特性分析における利用

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2012035097A (ja) * 2007-01-17 2012-02-23 Hitachi Medical Corp 磁気共鳴撮影装置

Also Published As

Publication number Publication date
JPWO2008087822A1 (ja) 2010-05-06
US8258785B2 (en) 2012-09-04
JP2012035097A (ja) 2012-02-23
JP5479427B2 (ja) 2014-04-23
WO2008087822A1 (ja) 2008-07-24
US20100013481A1 (en) 2010-01-21

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5479427B2 (ja) 磁気共鳴撮影装置
US9766313B2 (en) MR imaging using apt contrast enhancement and sampling at multiple echo times
JP5189203B2 (ja) 磁気共鳴装置
CN105308469B (zh) 一种mr成像方法、mr设备以及相关数据载体
US9223001B2 (en) MR imaging using navigators
JP4889791B2 (ja) 磁気共鳴撮影装置
US9709641B2 (en) Magnetic resonance imaging apparatus, image processing apparatus, and susceptibility map calculation method
EP3635425B1 (en) Mr imaging using a stack-of-stars acquisition with variable contrast
JP6038654B2 (ja) 磁気共鳴イメージング装置及び振動誤差磁場低減方法
JP4564015B2 (ja) 磁気共鳴撮影装置及び磁気共鳴撮影方法
JP4781120B2 (ja) 磁気共鳴撮影装置および磁気共鳴スペクトル計測方法
JP5536358B2 (ja) 磁気共鳴イメージング装置及び感度補正方法
JP5214209B2 (ja) 磁気共鳴イメージング装置
JP4980662B2 (ja) 磁気共鳴イメージング装置
JP5636058B2 (ja) 磁気共鳴撮影装置
JP5156958B2 (ja) 磁気共鳴イメージング装置
US20150253402A1 (en) Metabolite detection system and operation thereof
JP2007260425A (ja) 核磁気共鳴撮影装置
Geraghty et al. Partial Fourier reconstruction for improved resolution in 3D hyperpolarized 13C EPI
JP6718764B2 (ja) 磁気共鳴イメージング装置及びその制御方法
JP2008099717A (ja) 磁気共鳴イメージング装置

Legal Events

Date Code Title Description
A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20110614

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20110719

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20110913

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20111011

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20141021

Year of fee payment: 3

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 4845972

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

S111 Request for change of ownership or part of ownership

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313111

S533 Written request for registration of change of name

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313533

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

S111 Request for change of ownership or part of ownership

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313111

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250