JP4844050B2 - 車両の操舵軸回転異常範囲判定装置および操舵軸回転異常範囲判定方法 - Google Patents

車両の操舵軸回転異常範囲判定装置および操舵軸回転異常範囲判定方法 Download PDF

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本発明は、操舵軸に回転トルクを付与するアクチュエータを備えた車両の操舵軸回転異常範囲判定装置および操舵軸回転異常範囲判定方法の技術分野に属する。
ハンドルと操向輪との間の機械的な連結を解き、操舵伝達系の一部を電気的な経路で構成する、いわゆるステア・バイ・ワイヤ(SBW)システムでは、異常が生じた場合のフェールセーフ対策が重要である。例えば、反力用アクチュエータの異常を検出した場合、反力制御部による反力制御を中止してハンドルと操向輪とを機械的に連結するメカバックアップ機構を作動させ、操舵制御部を操舵補助のための制御に切り替えて操舵用アクチュエータを制御し、通常の電動パワーステアリング(EPS)装置としての機能を実現する構成が提案されている(特許文献1参照)。このようなメカバックアップ機構を有する構成においては、安全上および性能上、メカバックアップ機構が確実に動作する必要があり、メカバックアップ機構を含めた異常の検出が重要と考えられる。
また、SBWシステムの制御において、例えば、目標転舵角度と実際の転舵角度との間に生じる定常偏差や位相遅れを補償するため、比例・積分(PI)制御によるフィードバック制御系を構成するものが知られている(特許文献2参照)。このように、いわゆる角度サーボ系を構成することで、外乱などによる影響に強い制御、すなわち、目標転舵角と実際の転舵角とが常に一致するような制御が可能となる。
特開2004−090783号公報 特開2002−337711号公報
しかしながら、このような制御系を構成した場合、外乱抑制効果が強いため、例えばSBWシステムのメカバックアップ機構や転舵用アクチュエータに、フリクション増大等、転舵自体は可能な異常が生じたとき、異常が発生していないときと同様に動作する場合が想定される。これは、異常による外乱をフィードバック制御が吸収し、実際の転舵には変化が現れないことに起因している。
このような状況では、ドライバが異常に気付かないばかりでなく、ディーラーなどでの定期点検の際にも、目視点検では異常の発見が難しいため、角度サーボ系が対応できない状態まで異常が進行して初めて異常が発見されることになる。ここで、走行中のサーボ系の電流値に基づいてシステムの異常を検出する方法も考えられるが、走行中は常に路面状況の変化などを外乱として捉え抑制するための電流が刻一刻と変化するだけではなく、走行条件に応じて角度指令値も変化するため、システム異常による電流変化を区別して検出ことは難しいという問題があった。
本発明は、上記問題に着目してなされたもので、その目的とするところは、操舵軸上の異常がアクチュエータ位置と操舵軸回転角検出手段位置との間の範囲に発生しているか否かを判定することができる車両の操舵軸回転異常範囲判定装置および操舵軸回転異常判定方法を提供することにある。
上述の目的を達成するため、本発明の操舵軸回転異常判定方法では、
ハンドルと操向輪とを結ぶ操舵軸の回転角を検出する操舵軸回転角検出手段と、前記操舵軸の回転角を目標回転角と一致させる回転トルクを前記操舵軸に付与するアクチュエータと、を備えた車両において、
前記アクチュエータで前記操舵軸を回転させた際、前記アクチュエータの電流値が想定電流値に対して所定電圧以上高い場合、
前記操舵軸の回転角と前記アクチュエータの回転角との偏差が所定偏差以上のときには前記操舵軸上における前記アクチュエータ位置と前記操舵軸回転角検出手段位置との間の範囲で前記操舵軸の回転異常があると判定し、
前記偏差が前記所定偏差未満のときには前記操舵軸上における前記アクチュエータ位置と前記操舵軸回転角検出手段位置との間以外の範囲で前記操舵軸の回転異常があると判定することを特徴とする。
本発明にあっては、アクチュエータで操舵軸を回転させたときの、アクチュエータの電流値と、操舵軸の回転角とアクチュエータの回転角との偏差とに基づいて、操舵軸の回転異常範囲が判定される。すなわち、操舵軸の回転角を目標回転角に一致させる角度サーボ系では、アクチュエータの電流値が想定電流値に対して所定電圧以上高いとき、操舵軸の回転異常があると判定できるため、このときの操舵軸の回転角とアクチュエータの回転角との偏差を見ることで、その異常がアクチュエータ位置と操舵軸回転角検出手段位置との間の範囲に発生したものであるか否かを判定することができる。そして、操舵軸の回転角とアクチュエータの回転角との偏差が小さい場合には、操舵軸上におけるアクチュエータ位置と操舵軸回転角検出手段位置との間以外の部位で異常(例えば、フリクション増大)が発生していると判断できる。一方、操舵角の回転角とアクチュエータの回転角との偏差が大きい場合には、操舵軸上におけるアクチュエータ位置と操舵軸回転角検出手段位置との間の範囲で異常が発生していると判断できる。この結果、操舵軸上の異常がアクチュエータ位置と操舵軸回転角検出手段位置との間の範囲に発生しているか否かを判定することができる。

以下、本発明の車両の操舵軸回転異常範囲判定装置および操舵軸回転異常判定方法を実施するための最良の形態を、実施例1,2に基づいて説明する。
まず、構成を説明する。
図1は、実施例1の車両の操舵軸回転異常範囲判定装置を適用したステア・バイ・ワイヤ(SBW)システムの全体構成図である。
実施例1のSBWシステムは、ハンドル1と、操舵角センサ(操舵軸回転角検出手段)2と、反力モータ3と、バックアップ機構連結/遮断用クラッチ(以下、クラッチ)4と、バックアップケーブル5と、転舵モータ(アクチュエータ)6と、転舵角センサ7と、舵取り機構8と、前輪(操向輪)9,9と、反力コントローラ10と、転舵コントローラ11と、通信ライン12と、を備えている。
実施例1のSBWシステムは、クラッチ4によりハンドル1、反力モータ3等を備え、ハンドル1に操舵反力を付与する操舵部と、舵取り機構8、転舵モータ6等を備え、ハンドル操舵に応じて前輪9,9を転舵する転舵部とが機械的に分離されているが、クラッチ4を締結することで、操舵部と転舵部とを機械的に連結することができる。実施例1では、クラッチ4を締結して操舵部と転舵部とをバックアップケーブル5を介して機械的に連結した場合の、ハンドル1から前輪9,9に至る操舵トルク伝達経路を、操舵軸として説明する。
ハンドル1の回転操作を操舵角センサ2で検出し、転舵コントローラ11で転舵モータ6の駆動指令値が演算され、転舵モータ6の駆動により舵取り機構8が駆動されることで、前輪9,9の転舵動作が行われる。転舵モータ6はブラシレスモータ等で構成される。また、ハンドル1に操舵反力を与えるための反力モータ3は、転舵モータ6と同様にブラシレスモータ等で構成されており、反力コントローラ10で演算された駆動指令値に基づいて駆動される。反力コントローラ10および転舵コントローラ11で演算される駆動指令値は、反力モータ3および転舵モータ6への電流指令値となる。
転舵コントローラ11で演算される電流指令値は、指令転舵角(目標回転角)に実転舵角を一致させるように制御演算する角度サーボ系により算出される。角度サーボ系は、例えば、図2に示すようなロバストモデルマッチング手法を用いて構成される。この方法は、モデルマッチング補償器11aと、ロバスト補償器11bとを備え、ロバスト補償器11bにより外乱成分に応じて補償電流が演算されるため、外乱発生時においても実転舵角を指令転舵角に近づけることが可能な、耐久性に優れた制御系である。
次に、作用を説明する。
[異常診断制御処理]
図3は、実施例1の角度サーボ系を利用したSBWシステムの診断手法を示すフローチャートであり、以下、各ステップについて説明する。なお、この診断はディーラーでの定期点検、工場での生産時点検など、専用の設備を有する場所で、停車時に実施することを前提としている。また、実施例1では、転舵モータ6で転舵動作を行い、反力モータ3で回転方向と反対方向のトルクを発生させる場合の動作を説明する。
ステップS1では、診断準備として車両のジャッキアップを行い、前輪9,9を路面より浮かせる。これは、診断時に前輪9,9を実際に転舵するため、路面とタイヤ間の摩擦係数の変動による影響を排除するためである。ジャッキアップすることで、診断場所の路面状態(アスファルト舗装、コンクリート、耐油塗装床など)や、タイヤの摩耗、サイズや性能の異なるタイヤへの交換などの影響を排除できる。ターンテーブルのように前輪9,9の転舵動作時の負荷が常に一定の条件となるような装置を利用してもよい。
ステップS2では、転舵コントローラ11にあらかじめ設定した転舵パターンの転舵角指令値を与える。この転舵角指令値に基づいて、転舵モータ6の電流指令値が算出される。ここで、転舵モータ回転角度は舵取り機構8のギア比により機械的に決まる。例えば、転舵モータ6とピニオンギア間のギア比が10で、ピニオン回転角度(=ハンドル1の回転角度)と転舵角のギア比が15の場合、転舵角が5°動くには転舵モータ回転角は750°動くことになる。
また、バックアップケーブル5に対し適度な負荷を加えるために、反力コントローラ10により反力モータ3に回転方向と反対方向の一定トルクが発生するような電流指令値を与える。このときのトルクの大きさは、一般的なパワーアシストが作動しているときの最大操舵トルク相当を目安とする。
このような状態で、転舵パターンに基づき転舵動作を行い、この間の転舵モータ電流(転舵モータ6の電流指令値と実際の電流は、ほぼ一致する。)と、転舵モータ回転角度、反力モータ回転角度を計測する。
ステップS3では、転舵モータ電流が正常であるか否かの確認を行う。あらかじめ前記転舵パターンで動かした場合の正常電流値(想定電流値)の範囲を設定しており、今回計測した値が正常電流値の範囲内であるか否かを確認する。転舵モータ電流が設定範囲内の場合は、転舵モータ電流が正常と判断し、ステップS4へ移行し、設定範囲を超える場合は、転舵モータ電流が異常と判断し、ステップS5へ移行する。
ステップS4では、転舵モータ電流が正常であると判断されたため、SBWシステムに異常が発生していないと判断し、診断を終了する。
ステップS5では、反力モータ回転角度が正常であるか否かの確認を行う。正常時、反力モータ3はクラッチ4のガタ、バックアップケーブル5のガタやたるみ分遅れて、転舵モータ6の回転に追従する。反力モータ回転角度はハンドル1の回転角度(=ピニオンギア回転角度)に一致する(ギア比=1)とすれば、転舵モータ6とピニオンギア間のギア比が10の場合、転舵モータ6が10回転すると反力モータ3が1回転することになる。転舵モータ回転角度を反力モータ相当に換算(この場合は1/10)した値と反力モータ回転角度との誤差を求め、その値が前記ガタを考慮しあらかじめ設定した範囲内であるか否かを確認する。前記誤差が設定範囲内の場合は、反力モータ回転角度が正常と判断し、ステップS6へ移行し、設定範囲を超える場合は、反力モータ回転角度が異常と判断し、ステップS7へ移行する。
ステップS6では、転舵モータ電流が異常で反力モータ回転角度が正常であると判断されたため、故障Bと診断する。故障Bは、転舵モータ6から反力モータ3間以外の部位での異常である。
ステップS7では、転舵モータ電流が異常で反力モータ回転角度も異常であると判断されたため、故障Aと診断する。故障Aは、転舵モータ6から反力モータ3間の異常である。
ステップS1〜ステップS7により、アクチュエータ(転舵モータ6)の電流値と、操舵軸の回転角とアクチュエータの回転角との偏差とに基づいて、操舵軸の回転異常範囲を判定する回転異常範囲判定手段が構成される。
[異常診断制御作動]
操舵軸を転舵モータ6で回転させたとき、転舵側と操舵側の回転関係が一致していない状態で、フリクションが発生している場合には、図3のフローチャートにおいて、ステップS1→ステップS2→ステップS3→ステップS5→ステップS7へと進む流れとなり、ステップS7では、転舵モータ6から反力モータ3間でフリクションが発生していると判定する。
実施例1のSBWシステムでは、いずれかの部位でフリクションが発生している場合でも、角度サーボ制御により転舵モータ電流が増加することで、転舵モータ回転角度は指令値通りに動く。このとき、転舵モータ6から反力モータ3間に、バックアップケーブル5のほつれによる引っ掛かり等の異常があれば、反力モータ回転角度は転舵モータ回転角度に基づき決まる値(両モータのギア比換算後の角度)と一致しない。したがって、転舵側の回転角度と操舵側の回転角度の関係が一致していない状態で、転舵モータ電流があらかじめ設定したシステム正常時の電流範囲を超える場合には、転舵モータ6と反力モータ3間で異常(フリクション増大)が発生していると判断できる。
また、操舵軸を転舵モータ6で回転させたとき、転舵側と操舵側の回転関係が一致している状態で、フリクションが発生している場合は、図3のフローチャートにおいて、ステップS1→ステップS2→ステップS3→ステップS5→ステップS6へと進む流れとなり、ステップS6では、転舵モータ6と反力モータ3間以外の部位でフリクションが発生していると判定する。
転舵モータ6と反力モータ3間で異常がなければ、反力モータ回転角度は転舵モータ回転角度に基づき決まる値(両モータのギア比換算後の角度)に一致する。したがって、転舵側の回転角度と操舵側の回転角度の関係が一致している状態で、転舵モータ6があらかじめ設定したシステム正常時の電流範囲を超える場合は、転舵モータ6と反力モータ3間以外の部位で異常(フリクション増大)が発生していると判断できる。
このように、転舵コントローラ11であらかじめ設定した転舵パターンで転舵動作を行い、転舵モータ電流と反力モータ回転角度および転舵モータ回転角度を計測することで、SBWシステムの異常を判断することができる。また、転舵モータ電流と反力モータ回転角度の状態により、SBWシステムの異常部位が、転舵モータ6から反力モータ3間であるのか、もしくはそれ以外の部位であるのかという異常部位の範囲を特定することができる。
[異常診断作用]
(正常時)
図4に示すタイムチャートに基づいて、診断動作を時系列で説明する。
まず、時点t1から時点t2にかけて、0からθ1への転舵角指令値を出力する。時点t1から時点t2間は、十分に長い時間(例えば、1分)とする。これは、SBWシステムのイナーシャ成分やダンピング成分の影響を排除し、確実な異常検出を可能とするためである。このとき、反力モータ3へは回転方向と反対方向の一定トルクが発生するような電流指令値を与える。
時点t2から時点t3では、転舵角指令値をθ1で保持する。これは、すぐに反対方向への転舵動作を開始すると、転舵モータ電流値の変動が大きくなるため、これを抑える処置である。このとき反力モータ3への電流指令値は0とする。
次に、時点t3から時点t4にかけて、θ1からθ2への転舵角指令値を出力する。ここでは、時点t1から時点t2間と同様、十分に長い時間(例えば、2分)とする。
時点t4から時点t5では、時点t2から時点t3と同様に転舵角指令値をθ2で保持する。
次に、時点t5から時点t6にかけて、θ2から0への転舵角指令値を出力する。ここでは、時点t1から時点t2間と同様、十分に長い時間(例えば、1分)とする。
このような転舵パターンの転舵角指令値で動作させ、時点t1から時点t2、時点t3から時点t4、時点t5から時点t6の間の転舵モータ電流値が、あらかじめ設定した正常電流値の範囲内(図4のハッチング部分)であるか否かを確認する。同時に、転舵モータ回転角度を反力モータ相当に換算した値と、反力モータ回転角度の誤差(転舵モータ回転角度の反力モータ相当換算値−反力モータ回転角度)を求め、その値があらかじめ設定した範囲内(図4のハッチング部分)であるか否かを確認する。
図4のタイムチャートは、SBWシステムに異常がなく、正常に動作した場合、すなわち、転舵モータ電流値および換算角度誤差が設定範囲内である場合を示している。
θ1を右フル転舵相当、θ2を左フル転舵相当にすれば、アクチュエータの部分的な破損(ギア欠けなど)や、バックアップ機構の部分的な破損(バックアップケーブルのほつれによる引っ掛かりなど)が作動範囲全域のどこで発生している場合でも、検出することができる。
また、定常的に発生しているフリクションの増加(バックアップケーブルのインナーとアウターの擦れ、ケーブルプーリの偏芯など)の検出であれば、左右フル転舵する必要はなく、θ1,θ2を構成部品のガタや経時劣化などによる状態変化によって発生し得る角度変化以上とすることで、異常の検出が可能である。θ1,θ2は、診断の目的に応じて設定すればよい。
(転舵モータ6から反力モータ3間の部分的な異常が発生した場合)
次に、図5に示すタイムチャートに基づいて転舵モータ6から反力モータ3間(例えば、バックアップケーブル5)に異常が発生した場合の診断動作を説明する。
図5は、図4と同様に0からθ1への転舵角指令値に応じて動作している際に、時点teで異常が発生した際の各波形を示している。時点teでケーブルの引っ掛かりを検出したとすると、転舵モータ6へは転舵角度を維持するように大きな電流が流れる。この電流増加があらかじめ設定した正常電流値の範囲(ハッチング部分)を超えているため、転舵モータ電流異常と判断する。さらに、時点te以降ではケーブルが引っ掛かった分だけ反力モータ回転角度が動かないため、換算角度誤差が増加することになる。この換算角度誤差があらかじめ設定した範囲(ハッチング部分)を超えているため、反力モータ回転角度が異常と判断する。転舵モータ電流異常かつ反力モータ回転角度異常なので、転舵モータ6から反力モータ3間に異常が発生したと判断されることになる。
(転舵モータ6から反力モータ3間に定常的な異常が発生した場合)
図6は図5と同様に、転舵モータ6から反力モータ3間(例えば、バックアップケーブル5)に異常が発生した場合であるが、定常的にフリクションが増加するような異常の場合を示している。定常的に生じるフリクション増加では、転舵パターンの全域で転舵動作に必要な転舵モータ電流が増加する。また、反力モータ3もフリクション増加の影響で回転し難いため、換算角度誤差が増加することになる。この結果、図5と同様に、転舵モータ電流異常かつ反力モータ回転角度異常となり、転舵モータ6から反力モータ3間に異常が発生したと診断される。
(転舵モータ6から反力モータ3間以外の部位に部分的な異常が発生した場合)
次に、図7に示すタイムチャートに基づいて転舵モータ6から反力モータ3間以外の部位(例えば、ラックギア)に異常が発生した場合の診断動作を説明する。
図7は、図4と同様に0からθ1への転舵角指令値に応じて動作している際に、時点teで異常が発生した際の各波形を示している。時点teでラックギアの異常を検出したとすると、転舵モータ6へは転舵角度を維持するように大きな電流が流れる。この電流増加があらかじめ設定した正常電流値の範囲(ハッチング部分)を超えているため、転舵モータ電流異常と判断する。このとき、転舵モータ6から反力モータ3間には異常がないため、転舵モータ6の動きに反力モータ3は正常に追従する。したがって換算角度誤差はあらかじめ設定した範囲(ハッチング部分)を超えることはないため、反力モータ回転角度は正常と判断する。転舵モータ電流異常かつ反力モータ回転角度正常なので、転舵モータ6から反力モータ3間以外の部位に異常が発生したと判断されることになる。
(転舵モータ6から反力モータ3間以外の部位に定常的な異常が発生した場合)
図8は、図7と同様に、転舵モータ6から反力モータ3間以外の部位(例えば、ラックギア)に異常が発生した場合であるが、定常的にフリクションが増加するような異常の場合を示している。定常的に生じるフリクション増加では、転舵パターンの全域で転舵動作に必要な転舵モータ電流が増加する。このとき、転舵モータ6から反力モータ3間に異常がないため、転舵モータ6の動きに反力モータ3は正常に追従する。この結果、図7と同様に、転舵モータ電流異常かつ反力モータ回転角度正常となり、転舵モータ6から反力モータ3間以外の部位に異常が発生したと判断されることになる。
[SBWシステムの回転異常診断作用]
実施例1では、角度サーボ制御を行う転舵モータ6を、所定角度範囲で回転させたとき、回転させた転舵モータ6の電流検出値と各回転角からフリクションの発生を判定する。SBWシステムにおいて、どこかの部位の異常によりフリクションが発生していても、角度サーボ制御により転舵モータ電流または反力モータ電流が増加することによって、転舵モータ回転角度または反力モータ回転角度は指令値通りに動くことが可能である。転舵モータ6から反力モータ3の間に異常がなければ、一方のモータの回転に応じて他方のモータが回転し、両者の回転関係は一致する。この場合、転舵モータ6から反力モータ3間以外の部位で異常(フリクション増大)が発生していると判断できる。転舵モータ6から反力モータ3間にフリクションが発生している場合には、角度サーボ制御により転舵モータ電流または反力モータ電流が増加する。この場合は、両モータ3,6の回転関係が一致しないため、転舵モータ6から反力モータ3間で異常(フリクション増大)が発生していると判断できる。このように、角度サーボ制御を行うモータ電流値と、モータの回転角度に基づいて、SBWシステムの異常が検出できる。
[反力モータによる転舵モータ駆動負荷付与作用]
また、実施例1では、操舵軸を転舵モータ6で回転させたとき、反力モータ3は回転方向と反対方向へのトルクを付加する。反力モータ3で回転させる場合には、転舵モータ6から反力モータ3間には、転舵モータ6から先の部分(ラック軸周りのギア,タイヤ)が負荷となるため、異常検出に必要な適度な負荷がかかるが、転舵モータ6で回転させる場合は、反力モータ3から先の部分(ハンドル1)が負荷となるため、転舵モータ6から反力モータ3間の操舵軸に、異常検出のために必要な適度な負荷が掛らない。そこで、反力モータ3に回転方向と反対方向のトルクを付加し、適度な負荷(EPSの最大操舵トルク相当)を加えることで、反力モータ3で回転させる場合と同様に異常検出が可能となる。
[操舵軸回転範囲設定作用]
実施例1では、転舵モータ6を回転させる所定角度範囲は、操舵軸が回転を発生するように、構成部品のガタや経時劣化等による状態変化によって発生し得る角度変化以上とする。構成部品のガタや経時劣化などによる状態変化によって発生し得る角度変化以上の角度まで回転させて診断を行うことで、定常的に発生しているフリクションの増加が検出できる。すなわち、ガタの範囲内で回転させた場合は、転舵モータ6と反力モータ3の角度差が生じる場合があり、この差が異常により生じたものなのか、あるいはガタにより生じたものなのか、の区別が困難である。
また、実施例1では、操舵軸を回転させる所定角度範囲を、左右フル転舵時の左右ラックエンド範囲とした。例えば、ギア欠け等、アクチュエータの部分的な破損や、例えば、バックアップケーブル5のほつれによる引っ掛かりなど等、メカバックアップ機構(クラッチ4、バックアップケーブル5)の部分的な破損が作動範囲全域のどこで発生した場合でも検出することができる。すなわち、定常的に発生しているフリクション増加のような異常とは異なり、部分的な異常は作動可能領域すべてで確認する必要がある。左右フル転舵することで、作動範囲のどこで異常が発生しているかを特定できる。
[操舵角回転速度設定作用]
実施例1では、転舵モータ6を所定角度範囲で回転させる場合、回転速度は所定速度以下とする。十分遅い所定速度以下で動かすことで、イナーシャ成分やダンピング成分の影響を防ぐことができ、より確実な異常検出が可能となる。
次に、効果を説明する。
実施例1の車両の操舵軸回転異常範囲判定装置にあっては、以下に列挙する効果が得られる。
(1) ハンドル1と前輪9,9とを結ぶ操舵軸の回転角を検出する操舵角センサ2と、実転舵角を指令転舵角と一致させる回転トルクを付与する転舵モータ6と、を備えた車両において、転舵モータ6で操舵軸を回転させたとき、転舵モータ6の電流値と、転舵モータ回転角度を反力モータ相当に換算した値と反力モータ回転角度との誤差とに基づいて、操舵軸の回転異常範囲を判定する回転異常範囲判定手段(ステップS1〜ステップS7)と、を備える。よって、操舵軸上の異常が転舵モータ6と反力モータ3間に発生しているか否かを判定することができる。
(2) 回転異常範囲判定手段は、転舵モータ6の電流値が想定電流値(正常電流値)に対して所定値以上高いとき、操舵軸の回転異常があると判定するため、操舵軸の回転異常を正確に検出することができる。
(3) 回転異常範囲判定手段は、誤差が所定値以上のとき、転舵モータ6と反力モータ3間に回転異常があると判定するため、転舵モータ6と反力モータ3間に発生したフリクション増大等の回転異常を正確に検出することができる。
(4) 操舵角センサ2を有し、ハンドル1に操舵反力を付与する操舵部と、転舵モータ6を有し、ハンドル操作に応じて前輪9,9を転舵する転舵部と、備え、回転異常範囲判定手段は、転舵部の転舵モータ6で操舵軸を回転させる。よって、SBWシステムにおいて、転舵モータ6と反力モータ3間のメカバックアップ機構にフリクション増大等の異常が発生しているか否かを正確に判定することができる。
(5) 操舵部は、反力モータ3が操舵軸を回転させる方向と反対方向へ所定トルクを付与するため、転舵モータ6により回転軸を回転させるとき、適度な負荷を掛けることで、異常検出を正確に行うことができる。
(6) 回転異常範囲判定手段は、転舵モータ6により操舵軸を回転させるとき、操舵軸回転角が発生する所定角度範囲以上で回転させるため、定常的に発生しているフリクション等の異常を検出することができる。
(7) 回転異常範囲判定手段は、転舵モータ6により操舵軸を回転させるとき、左右ラックエンドまで回転させるため、すべての操舵域における異常検出が可能である。
(8) 回転異常範囲判定手段は、転舵モータ6により操舵軸を回転させるとき、回転速度を所定速度以下とする。すなわち、十分に遅い速度で動かすことで、イナーシャ成分やダンピング成分の影響を防ぐことができ、より確実な異常検出が可能となる。
実施例2は、SBWシステムにおいて、反力モータ3を回転させて回転異常を判定する例である。なお、構成については図1に示した実施例1と同じであるため、説明を省略する。
次に、作用を説明する。
[異常診断制御処理]
図9は、実施例2の角度サーボ系を利用したSBWシステムの診断手法を示すフローチャートであり、以下、各ステップについて説明する。なお、ステップS11は、図3のステップS1と同一であるため、説明を省略する。
ステップS12では、反力コントローラ10にあらかじめ設定した操舵パターンの操舵角指令値を与える。この操舵角指令値に基づいて、反力モータ(アクチュエータ)3の電流指令値が算出される。反力モータ3はハンドル1と同軸上にあり、操舵角(ハンドル角)=反力モータ回転角度となる。実施例2では、実施例1と異なり、バックアップケーブル5には適度な負荷(ラック軸周りのギア、タイヤ)が掛るため、転舵モータ6に回転方向と反対方向の一定トルクが発生するような電流指令値を与える必要はない。このような状態で、操舵パターンに基づき操舵動作を行い、この間の反力モータ電流(反力モータ3の電流指令値と実際の電流は、ほぼ一致する)と、転舵モータ回転角度、反力モータ回転角度を計測する。
ステップS13では、反力モータ電流が正常であるか否かの確認を行う。あらかじめ所定の操舵パターンで動かした場合の正常電流値の範囲を設定しており、今回計測した値が正常電流値の範囲内であるか否かを確認する。反力モータ電流が設定範囲内の場合は反力モータ電流が正常と判断し、ステップS14へ移行し、設定範囲を超える場合は、反力モータ電流が異常と判断し、ステップS15へ移行する。
ステップS14では、反力モータ電流が正常であると判断されたため、SBWシステムに異常が発生していないと判断し、診断を終了する。
ステップS15では、転舵モータ回転角度が正常であるか否かの確認を行う。正常時、転舵モータ6はクラッチ4のガタ、バックアップケーブル5のガタやたるみ分遅れて、反力モータ3の回転に追従する。反力モータ回転角度はハンドル1の回転角度に一致する(ギア比=1)ため、転舵モータ6とピニオンギア間のギア比が10の場合、反力モータ3が1回転すると、転舵モータ6が10回転することになる。反力モータ回転角度と転舵モータ回転角度を反力モータ相当に換算した値との誤差を求め、その値が前記ガタを考慮しあらかじめ設定した範囲内であるか否かを確認する。前記誤差が設定範囲内の場合は、転舵モータ回転角度が正常と判断し、ステップS16へ移行し、設定範囲を超える場合は、転舵モータ回転角度が異常と判断し、ステップS17へ移行する。
ステップS16では、反力モータ電流が異常で転舵モータ回転角度が正常であると判断されたため、故障Bと診断する。故障Bは、転舵モータ6から反力モータ3間以外の部位での異常である。
ステップS17では、反力モータ電流が異常で転舵モータ回転角度も異常であると判断されたため、故障Aと診断する。故障Aは、転舵モータ6から反力モータ3間での異常である。
ステップS11〜ステップS17により、アクチュエータ(反力モータ3)の電流値と、操舵軸の回転角とアクチュエータの回転角との偏差とに基づいて、操舵軸の回転異常範囲を判定する回転異常範囲判定手段が構成される。
[異常診断制御作動]
操舵軸を反力モータ3で回転させたとき、転舵側と操舵側の回転関係が一致していない状態で、フリクションが発生している場合は、図9のフローチャートにおいて、ステップS11→ステップS12→ステップS13→ステップS15→ステップS17へと進む流れとなり、ステップS17では、転舵モータ6と反力モータ3間でフリクションが発生していると判定する。
実施例2のSBWシステムでは、いずれかの部位でフリクションが発生している場合でも、角度サーボ制御により反力モータ電流が増加することで、反力モータ回転角度は指令値通りに動く。このとき、転舵モータ6と反力モータ3間に、バックアップケーブル5のほつれによる引っ掛かり等の異常があれば、転舵モータ回転角度は反力モータ回転角度に基づき決まる値(両モータのギア比換算後の角度)と一致しない。したがって、転舵側の回転角度と操舵側の回転角度の関係が一致していない状態で、反力モータ電流があらかじめ設定したシステム正常時の電流範囲を超える場合には、転舵モータ6と反力モータ3間で異常(フリクション増大)が発生していると判断できる。
また、操舵軸を反力モータ3で回転させたとき、転舵側と操舵側の回転関係が一致している状態で、フリクションが発生している場合は、図3のフローチャートにおいて、ステップS11→ステップS12→ステップS13→ステップS14→ステップS15→ステップS16へと進む流れとなり、ステップS16では、転舵モータ6と反力モータ3間以外の部位でフリクションが発生していると判定する。
転舵モータ6と反力モータ3間で異常がなければ、転舵モータ回転角度は反力モータ回転角度に基づき決まる値(両モータのギア比換算後の角度)に一致する。したがって、転舵側の回転角度と操舵側の回転角度の関係が一致している状態で、反力モータ3があらかじめ設定したシステム正常時の電流範囲を超える場合は、転舵モータ6と反力モータ3間以外の部位で異常(フリクション増大)が発生していると判断できる。
このように、反力コントローラ10であらかじめ設定した操舵パターンで操舵動作を行い、反力モータ電流と反力モータ回転角度および転舵モータ回転角度を計測することで、SBWシステムの異常を判断することができる。また、反力モータ電流と転舵モータ回転角度の状態により、SBWシステムの異常部位を転舵モータ6から反力モータ3間、またはそれ以外の部位のいずれかに特定することができる。
[異常診断作用]
(正常時)
次に、図10に示すタイムチャートに基づいて診断動作を時系列で説明する。
まず、時点t1から時点t2にかけて、0からθ1への操舵角指令値を出力する。時点t1から時点t2間は、十分に長い時間(例えば、1分)とする。これは、SBWシステムのイナーシャ成分やダンピング成分の影響を排除し、確実な異常検出を可能とするためである。
時点t2から時点t3では、操舵角指令値をθ1で保持する。これは、すぐに反対方向への操舵動作を開始すると、反力モータ電流値の変動が大きくなるため、これを抑える処置である。
次に、時点t3から時点t4にかけて、θ1からθ2への操舵角指令値を出力する。ここでは、時点t2から時点t2間と同様、十分に長い時間(例えば、2分)とする。
時点t4から時点t5では、時点t2から時点t3と同様に操舵角指令値をθ2で保持する。
次に、時点t5から時点t6にかけて、θ2から0への操舵角指令値を出力する。ここでは、時点t1から時点t2間と同様、十分に長い時間(例えば、1分)とする。
このような操舵パターンの操舵角指令値で動作させ、時点t1から時点t2、時点t3から時点t4、時点t5から時点t6の間の反力モータ電流値が、あらかじめ設定した正常電流値の範囲内(ハッチング部分)であるか否かを確認する。同時に、反力モータ回転角度と転舵モータ回転角度を反力モータ相当に換算した値との誤差(反力モータ回転角度−転舵モータ回転角度の反力モータ相当換算値)を求め、その値があらかじめ設定した範囲内(ハッチング部分)であるか否かを確認する。
図10はSBWシステムに異常がなく、正常に動作した場合、すなわち、反力モータ電流値および換算角度誤差が設定範囲内である場合を示している。なお、θ1およびθ2の設定方法は、実施例1と同様であるため、説明を省略する。
(転舵モータ6から反力モータ3間に部分的な異常が発生した場合)
次に、図11に示すタイムチャートに基づいて転舵モータ6から反力モータ3間(例えば、バックアップケーブル5)に異常が発生した場合の診断動作を説明する。
図11は、図10と同様に0からθ1への操舵角指令値に応じて動作している際に、時点teで異常が発生した際の各波形を示している。時点teでケーブルの引っ掛かりを検出したとすると、反力モータ3へは操舵角度を維持するように大きな電流が流れる。この電流増加があらかじめ設定した正常電流値の範囲(ハッチング部分)を超えているため、反力モータ電流異常と判断する。さらに、時点te以降ではケーブルが引っ掛かった分だけ転舵モータ回転角が動かないため、換算角度誤差が増加することになる。この換算角度誤差があらかじめ設定した範囲(ハッチング部分)を超えているため、転舵モータ回転角度が異常と判断する。反力モータ電流異常かつ転舵モータ回転角度異常なので、転舵モータ6から反力モータ3間に異常が発生したと判断されることになる。
(転舵モータ6から反力モータ3間以外の部位に部分的な異常が発生した場合)
次に、図12に基づいて転舵モータ6から反力モータ3間以外の部位(例えば、ラックギア)に異常が発生した場合の診断動作を説明する。
図12は、図10と同様に0からθ1への操舵角指令値に応じて動作している際に、時点teで異常が発生した際の各波形を示している。時点teでラックギアの異常を検出したとすると、反力モータ3へは操舵角度を維持するように大きな電流が流れる。この電流増加があらかじめ設定した正常電流値の範囲(ハッチング部分)を超えているため、反力モータ電流異常と判断する。このとき、転舵モータ6から反力モータ3間には異常がないため、反力モータ3の動きに転舵モータ6は正常に追従する。したがって換算角度誤差はあらかじめ設定した範囲(ハッチング部分)を超えることはないため、転舵モータ回転角度は正常と判断する。反力モータ電流異常かつ転舵モータ回転角度正常なので、転舵モータ6から反力モータ3間以外の部位に異常が発生したと判断されることになる。
なお、実施例2では説明を省略するが、実施例1と同様に定常的にフリクションが増加するような異常でも、同様の診断が可能である。
次に、効果を説明する。
実施例2の車両の操舵軸回転異常範囲判定装置にあっては、実施例1の効果(1)〜(3)、(6)〜(8)に加え、以下に列挙する効果が得られる。
(9) 反力モータ3を有し、ハンドル1に操舵反力を付与する操舵部と、転舵角センサ7を有し、ハンドル操作に応じて前輪9,9を転舵する転舵部と、を備え、回転異常範囲判定手段(ステップS11〜ステップS17)は、操舵部の反力モータ3で操舵軸を回転させる。よって、SBWシステムにおいて、転舵モータ6と反力モータ3間のメカバックアップ機構にフリクション増大等の異常が発生しているか否かを正確に判定することができる。
(他の実施例)
以上、本発明を実施するための最良の形態を、実施例1,2に基づいて説明したが、本発明の具体的な構成は、実施例1,2に限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等があっても本発明に含まれる。
例えば、実施例1,2では、SBWシステムを搭載した車両について説明したが、本発明は、電動パワーステアリング(EPS)システムを搭載した車両にも適用することができる。本発明をEPSシステムに適用する場合には、アクチュエータをEPSシステムのアシストモータとし、操舵軸回転角をハンドルの操舵角とする。
実施例1の車両の操舵軸回転異常範囲判定装置を適用したステア・バイ・ワイヤシステムの全体構成図である。 実施例1のロバストモデルマッチング手法を用いた転舵コントローラ11の制御ブロック図である。 実施例1の角度サーボ系を利用したSBWシステムの診断手法を示すフローチャートである。 実施例1の転舵モータ6に角度指令を与えた場合の診断動作を示すタイムチャート(正常時)である。 実施例1の転舵モータ6に角度指令を与えた場合の診断動作を示すタイムチャート(転舵モータ6から反力モータ3間に部分的な異常が発生した場合)である。 実施例1の転舵モータ6に角度指令を与えた場合の診断動作を示すタイムチャート(転舵モータ6から反力モータ3間に定常的な異常が発生した場合)である。 実施例1の転舵モータ6に角度指令を与えた場合の診断動作を示すタイムチャート(転舵モータ6から反力モータ3間以外の部位に部分的な異常が発生した場合)である。 実施例1の転舵モータ6に角度指令を与えた場合の診断動作を示すタイムチャート(転舵モータ6から反力モータ3間以外の部位に定常的な異常が発生した場合)である。 実施例2の角度サーボ系を利用したSBWシステムの診断手法を示すフローチャートである。 実施例2の反力モータ3に角度指令を与えた場合の診断動作を示すタイムチャート(正常時)である。 実施例2の反力モータ3に角度指令を与えた場合の診断動作を示すタイムチャート(転舵モータ6から反力モータ3間に部分的な異常が発生した場合)である。 実施例2の反力モータ3に角度指令を与えた場合の診断動作を示すタイムチャート(転舵モータ6から反力モータ3間以外の部位に部分的な異常が発生した場合)である。
符号の説明
1 ハンドル
2 操舵角センサ
3 反力モータ
4 クラッチ
5 バックアップケーブル
6 転舵モータ
7 転舵角センサ
8 舵取り機構
9,9 前輪
10 反力コントローラ
11 転舵コントローラ
11a モデルマッチング補償器
11b ロバスト補償器
12 通信ライン

Claims (9)

  1. ハンドルと操向輪とを結ぶ操舵軸の回転角を検出する操舵軸回転角検出手段と、前記操舵軸の回転角を目標回転角と一致させる回転トルクを前記操舵軸に付与するアクチュエータと、を備えた車両において、
    前記アクチュエータで前記操舵軸を回転させた、前記アクチュエータの電流値が想定電流値に対して所定電圧以上高い場合、前記操舵軸の回転角と前記アクチュエータの回転角との偏差が所定偏差以上のときには、前記操舵軸上における前記アクチュエータ位置と前記操舵軸回転角検出手段位置との間の範囲で前記操舵軸の回転異常があると判定する回転異常範囲判定手段を備えることを特徴とする車両の操舵軸回転異常範囲判定装置。
  2. ハンドルと操向輪とを結ぶ操舵軸の回転角を検出する操舵軸回転角検出手段と、前記操舵軸の回転角を目標回転角と一致させる回転トルクを前記操舵軸に付与するアクチュエータと、を備えた車両において、
    前記アクチュエータで前記操舵軸を回転させた際、前記アクチュエータの電流値が想定電流値に対して所定電圧以上高い場合、前記操舵軸の回転角と前記アクチュエータの回転角との偏差が所定偏差未満のときには、前記操舵軸上における前記アクチュエータ位置と前記操舵軸回転角検出手段位置との間以外の範囲で前記操舵軸の回転異常があると判定する回転異常範囲判定手段を備えることを特徴とする車両の操舵軸回転異常範囲判定装置。
  3. 請求項1または請求項2に記載の車両の操舵軸回転異常範囲判定装置において、
    前記操舵軸回転角検出手段を有し、前記ハンドルに操舵反力を付与する操舵部と、
    前記アクチュエータを有し、前記ハンドル操作に応じて前記操向輪を転舵する転舵部と、
    を備え、
    前記回転異常範囲判定手段は、前記転舵部の前記アクチュエータで前記操舵軸を回転させることを特徴とする車両の操舵軸回転異常範囲判定装置。
  4. 請求項に記載の車両の操舵軸回転異常範囲判定装置において、
    前記操舵部は、前記アクチュエータが前記操舵軸を回転させる方向と反対方向へ所定トルクを付与することを特徴とする車両の操舵軸回転異常範囲判定装置。
  5. 請求項1または請求項2に記載の車両の操舵軸回転異常範囲判定装置において、
    前記アクチュエータを有し、前記ハンドルに操舵反力を付与する操舵部と、
    操舵軸回転角検出手段を有し、前記ハンドル操作に応じて操向輪を転舵する転舵部と、
    を備え、
    前記回転異常範囲判定手段は、前記操舵部の前記アクチュエータで前記操舵軸を回転させることを特徴とする車両の操舵軸回転異常範囲判定装置。
  6. 請求項1ないし請求項のいずれか1項に記載の車両の操舵軸回転異常範囲判定装置において、
    前記回転異常範囲判定手段は、前記アクチュエータにより前記操舵軸を回転させるとき、前記操舵軸回転角が発生する所定角度範囲以上で回転させることを特徴とする車両の操舵軸回転異常範囲判定装置。
  7. 請求項1ないし請求項6のいずれか1項に記載の車両の操舵軸回転異常範囲判定装置において、
    前記回転異常範囲判定手段は、前記アクチュエータにより前記操舵軸を回転させるとき、左右ラックエンドまで回転させることを特徴とする車両の操舵軸回転異常範囲判定装置。
  8. 請求項1ないし請求項7のいずれか1項に記載の車両の操舵軸回転異常範囲判定装置において、
    前記回転異常範囲判定手段は、前記アクチュエータにより前記操舵軸を回転させるとき、回転速度を、前記アクチュエータの電流値および前記偏差から操舵系のイナーシャ成分やダンピング成分の影響を排除可能な所定速度以下とすることを特徴とする車両の操舵軸回転異常範囲判定装置。
  9. ハンドルと操向輪とを結ぶ操舵軸の回転角を検出する操舵軸回転角検出手段と、前記操舵軸の回転角を目標回転角と一致させる回転トルクを前記操舵軸に付与するアクチュエータと、を備えた車両において、
    前記アクチュエータで前記操舵軸を回転させた際、前記アクチュエータの電流値が想定電流値に対して所定電圧以上高い場合、
    前記操舵軸の回転角と前記アクチュエータの回転角との偏差が所定偏差以上のときには前記操舵軸上における前記アクチュエータ位置と前記操舵軸回転角検出手段位置との間の範囲で前記操舵軸の回転異常があると判定し、
    前記偏差が前記所定偏差未満のときには前記操舵軸上における前記アクチュエータ位置と前記操舵軸回転角検出手段位置との間以外の範囲で前記操舵軸の回転異常があると判定することを特徴とする車両の操舵軸回転異常範囲判定方法。
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