JP4842139B2 - 皮膚瘢痕の縮小 - Google Patents

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Description

(関連する特許出願との相互参照)
本願は、全ての目的のために参考として援用される、2003年11月24日出願の米国仮特許出願第60/524,993号の優先権の利益を主張する。
(発明の背景)
過剰な皮膚瘢痕はまだ対処されていない医学的に必要とされる分野であり、そして機能的、美容上の、および心理学的な病的状態を引き起こす。例えば、非特許文献1;非特許文献2を参照のこと。臨床的な瘢痕の取り扱いは、一連の処置を通じてしばしば調節される臨床レジメンと、体の位置および患者の過去の瘢痕の病歴を含む瘢痕の継続的な物理的評価の双方の考慮に関連する。肥大性瘢痕およびケロイドの一般に容認された従来の処置は手術、副腎皮質ステロイド注射、放射線治療、シリコンゲルシート、および圧迫治療に限定される。例えば、非特許文献3を参照のこと。瘢痕の取り扱いは最近、医師にとって新たな様相を経験したが、瘢痕の転帰はなおほとんど予測不可能である。肥大性瘢痕およびケロイドの原因である生物学的機序を特異的に標的とする処置は、現存の治療を補完し、そして現在の瘢痕の転帰を改善し得る。
皮膚の瘢痕は正常な皮膚の構造および機能の巨視的な破壊として記述され、この破壊は創傷の修復の結果として生じ、そして線維増殖性(fibroproliferative)応答として進行する。例えば、非特許文献4を参照のこと。ケロイドおよび肥大性瘢痕の病原性プロフィールおよび生物学的プロフィールは完全には理解されていない。ケロイドは最初の外傷部位の縁を越えた発達によって特徴付けられ、家族性の性質に関連し、めったに退行しない。例えば、非特許文献5を参照のこと。肥大性瘢痕は、時間が経てば通常消散し、そして組織の拘縮に関連する紅斑性線維病変として生じる。例えば、非特許文献5を参照のこと。遺伝連鎖および免疫学的パラメーターにおいてケロイドは肥大性瘢痕と異なるが、双方は線維芽細胞の過剰増殖および過剰な細胞外マトリックス(ECM)沈着に関連する。例えば、非特許文献6;非特許文献7;非特許文献8を参照のこと。
Hunt,T.K.、World J Surg、1980年、第4巻、第3号、p.271−7 Nicolai,J.P.ら、Aesthetic Plast Surg、1987年、第11巻、第1号、p.29−32 Mustoe,T.A.ら、Plast Reconstr Surg、2002年、第110巻、第2号、p.560−71 Clark,R.A.F.著、R.A.F.Clark編、"Wound Repair:Overview and General Considerations"、THE MOLECULAR AND CELLULAR BIOLOGY OF WOUND REPAIR、1988年、p.3−35 Tredget,E.E.、Ann N Y Acad Sci、1999年、第888巻、p.165−82 Rockwell,W.B.ら、Plast Reconstr Surg、1989年、第84巻、第5号、p.827−37 Tsao,S.S.ら、Semin Cutan Med Surg、2002年、第21巻、第1号、p.46−75 Nemeth,A.J.、J Dermatol Surg Oncol、1993年、第19巻、第8号、p.738−46
明らかに、瘢痕は多くの局面で避けることが困難である問題を残す。本発明はこの問題および他の問題を扱う。
(発明の概要)
本発明は瘢痕を減少させるための方法を提供する。いくつかの実施形態において、この方法は発現カセットを含むポリヌクレオチドを皮膚に投与する工程を包含し、この発現カセットはp21WAF1/Cip1をコードするポリヌクレオチドに作動可能に連結されたプロモーターを含む。いくつかの実施形態において、このポリヌクレオチド(必要に応じてベクターに含まれる)は被験体の皮膚上の創傷に投与される。
いくつかの実施形態において、このDNAはベクターの一部として投与される。いくつかの実施形態において、このベクターはウイルスベクターである。いくつかの実施形態において、このウイルスベクターはアデノウイルスベクターである。いくつかの実施形態において、このアデノウイルスベクターは複製能欠失アデノウイルスベクターである。
いくつかの実施形態において、上記投与する工程の結果、未処置の創傷における瘢痕と比較して、上記瘢痕においてケロイドまたは肥大性瘢痕が縮小する。いくつかの実施形態において、上記アデノウイルスベクターは創傷1cmあたり10〜10粒子数(PN)の用量で投与される。
いくつかの実施形態において、このベクターは生体適合性マトリックス中で投与される。いくつかの実施形態において、このマトリックスは膠原性の成組成物、金属組成物、ヒドロキシアパタイト組成物、バイオガラス組成物、アルミン酸塩組成物、バイオセラミック物質組成物、精製されたタンパク質の組成物または細胞外マトリックス組成物を含む。いくつかの実施形態において、このマトリックスは膠原マトリックスである。
いくつかの実施形態において、上記皮膚は火傷している。
本発明はまた、発現カセットおよび薬学的に受容可能な賦形剤を含む薬学的組成物を提供し、この組成物は局所的投与に適し、そしてこの発現カセットはp21WAF1/Cip1をコードするポリヌクレオチドに作動可能に連結されたプロモーターを含む。いくつかの実施形態において、この発現カセット(必要に応じてベクターの一部)は生体適合性マトリックスに含まれる。
いくつかの実施形態において、上記マトリックスは上記発現カセットを含むウイルスベクターを含む。いくつかの実施形態において、このウイルスベクターはアデノウイルスベクターである。いくつかの実施形態において、このアデノウイルスベクターは複製能欠失アデノウイルスベクターである。
いくつかの実施形態において、上記マトリックスは膠原質形成組成物、金属組成物、ヒドロキシアパタイト組成物、バイオガラス組成物、アルミン酸塩組成物、バイオセラミック物質組成物、精製されたタンパク質の組成物または細胞外マトリックス組成物を含む。いくつかの実施形態において、このマトリックスは膠原マトリックスである。
(定義)
本明細書で用いられる場合、「p21WAF1/Cip1」は野生型の全長p21WAF1/Cip1タンパク質、その活性断片、その活性改変体、および全長p21WAF1/Cip1タンパク質、またはその活性断片、またはその活性改変体を含む融合物をいい、この融合物はp21WAF1/Cip1活性を保持する。この野生型p21WAF1/Cip1タンパク質は細胞制御機能を有する164アミノ酸のタンパク質である。例えば米国特許第5,302,706号を参照のこと。p21WAF1/Cip1は科学文献においてp21、p21sdi、p21waf1、p21cip1、およびp21pic1としても公知である。用語「p21WAF1/Cip1ポリヌクレオチド」はp21WAF1/Cip1をコードするポリヌクレオチド配列をいい、例えばヒト野生型タンパク質および他の生物体由来の相同配列、ならびに野生型p21WAF1/Cip1タンパク質と本質的に同じ機能を示すその任意の突然変異または短縮体(truncation)、あるいは融合体を含む。
「p21WAF1/Cip1」活性は、p21WAF1/Cip1突然変異を相補する能力、そしてサイクリン依存性キナーゼ活性のインヒビターとして作用し(Harper,J.W.ら、Cell 75:805−816(1993))、そして/または細胞周期進行を阻害する能力をいう。例えば、Harper,J.W.ら、前出;Xiong,Y.ら、Cell 71:505−514(1992)を参照のこと。
用語「遺伝子」はポリペプチド鎖の生成に関するDNAのセグメントを意味し;コード領域に先行および引き続く領域(リーダーおよびトレーラー)ならびに個々のコードセグメント(エキソン)の間の介在性配列(イントロン)領域を含む。
用語「核酸」は、一本鎖形態または二本鎖形態のいずれかにおける、デオキシリボヌクレオチドまたはリボヌクレオチドおよびそれらのポリマーをいう。特に限定されない限り、この用語は、参照核酸と類似した結合性質を有し、そして天然に生じるヌクレオチドと類似した様式で代謝される、天然のヌクレオチドの公知のアナログを含む核酸を包含する。他に示されない限り、特定の核酸配列はまた暗黙のうちに、その保存的に改変された改変体(例えば縮合コドン置換)および相補的配列ならびに明白に示された配列を包含する。具体的には、縮合コドン置換は、選択された1つ以上の(または全ての)コドンの第3位が混合塩基および/またはデオキシイノシン残基で置換される配列の生成によって達成され得る(Batzerら、Nucleic Acid Res.19:5081(1991);Ohtsukaら、J.Biol.Chem.260:2605−2608(1985);およびCassolら(1992);Rossoliniら、Mol.Cell.Probes 8:91−98(1994))。
用語「ポリペプチド」、「ペプチド」および「タンパク質」は本明細書中で交換可能に用いられ、アミノ酸残基のポリマーをいう。この用語は、1つ以上のアミノ酸残基が対応する天然に生じるアミノ酸の人工的な化学的模倣物(mimetic)であるアミノ酸ポリマー、ならびに天然に生じるアミノ酸ポリマーおよび非天然に生じるアミノ酸ポリマーに適用される。本明細書で用いられる場合、この用語は、アミノ酸残基が共有ペプチド結合で連結される任意の長さのアミノ酸鎖を包含し、これは全長タンパク質(すなわち抗原)を含む。
用語「アミノ酸」は天然に生じるアミノ酸および合成アミノ酸、ならびに天然に生じるアミノ酸と類似した様式で機能するアミノ酸アナログおよびアミノ酸模倣物をいう。天然に生じるアミノ酸は遺伝暗号でコードされるアミノ酸、ならびに後で改変される(例えば、ヒドロキシプロリン、γ−カルボキシグルタメート、およびO−ホスホセリン)それらのアミノ酸である。アミノ酸アナログは、天然に生じるアミノ酸と同じ基本的化学構造(すなわち、水素に結合されるα炭素、カルボキシル基、アミノ基、およびR基)を有する化合物(例えば、ホモセリン、ノルロイシン、メチオニンスルホキシド、メチオニンメチルスルホニウム)をいう。このようなアナログは改変されたR基(例えばノルロイシン)または改変されたペプチド骨格を有するが、天然に生じるアミノ酸と同じ基本的化学構造を保持する。「アミノ酸模倣物」は、アミノ酸の一般的な化学構造とは異なる構造を有するが、天然に生じるアミノ酸と類似した様式で機能する化学的化合物をいう。
アミノ酸は本明細書中で、一般に公知の三文字記号、またはIUPAC−IUB生化学命名委員会によって推奨される一文字記号のいずれかによって参照され得る。同様にヌクレオチドはその一般に許容される一文字コードで参照され得る。
「発現カセット」は、宿主細胞中での特定の核酸の転写を許容する一連の特定の核酸エレメントを有する、組換え的にまたは合成的に生成された核酸である。この発現カセットは、プラスミドの一部であってもウイルスの一部であっても他の核酸の一部であっても良い。代表的には、この発現ベクターは転写される核酸に作動可能に連結されたプロモーターを含む。
「生体適合性マトリックス」は、このマトリックスが投与される宿主被験体において重大なアレルギー反応または他の有害な反応を生じることの無いマトリックスをいう。
用語「作動可能に連結された」は、核酸発現制御配列(例えばプロモーター、または転写因子結合部位のアレイ)と第二の核酸配列との間の機能的な連結を言及し、ここでこの発現制御配列は第二の配列に対応する核酸の転写を支配する。
用語「プロモーター」または「制御エレメント」は転写の開始点の上流または下流に位置し、転写を開始するRNAポリメラーゼおよびその他のタンパク質の認識および結合に関与する領域または配列の決定子をいう。「構成的」プロモーターは、ほとんどの環境条件および発達的条件において活性であるプロモーターである。「誘導性」プロモーターは環境的調節または発達調節において活性であるプロモーターである。
(発明の詳細な説明)
(I.導入)
本発明は傷つけられた皮膚における瘢痕の縮小および処置のための方法および組成物を提供する。本発明は、創傷部位へのp21WAF1/Cip1の送達と発現が肉芽組織および線維芽細胞の発達を減少させることを提供する。本発明の範囲を限定することを意図することなく、結果として別のやり方で創傷治癒の間の過剰な瘢痕および細胞の増殖につながる炎症性細胞(例えば、好中球、マクロファージおよびリンパ球、線維芽細胞など)の影響を、p21WAF1/Cip1が阻害すると考えられる。
本発明の方法は、p21WAF1/Cip1またはその活性断片を含むポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを創傷部位に送達する工程を包含する。創傷部位におけるp21WAF1/Cip1の発現の結果、さもなければ起きるであろう瘢痕の縮小を伴う創傷の閉鎖につながる。本発明は、肥大性瘢痕およびケロイドの発生および増殖の防止または寛解に特に有用である。
(II.創傷)
本発明は、皮膚への任意の創傷に由来する瘢痕の縮小に用いられ得る。本発明の範囲を限定することなく、例えば火傷、穿刺、切断および/または磨耗に起因する皮膚の損傷は本発明の方法に従って処置され得る創傷を含む。本発明の方法は、美容手術を含む手術後の瘢痕の縮小に有用である。
理想的には、創傷はその創傷が生じた後可能な限り即座に処置される。例えば、いくつかの場合では、創傷はその創傷が生じた後72時間、48時間、24時間、18時間、12時間、6時間、3時間または1時間以内に処置される。外科手術の瘢痕の場合、本発明の方法および組成物は手術と同時に投与される。しかし、創傷の発生に続く延長された期間の後の処置によって、抗瘢痕効果が認められ得る。一般に、創傷に適用されるp21WAF1/Cip1ベクターの量は、創傷の発生とこのベクターの投与の間の時間が長いほど増加されるべきである。遺伝子が、本明細書中で例示されるようなサイトメガロウイルス最初期(「CMV」)プロモーターのような強力な構成的プロモーターの制御の下にある複製能欠失アデノウイルスベクターの場合、その用量は代表的には約1×10PN/cm〜約1×10PN/cm、約1×10PN/cm〜約1×10PN/cm、または約1×10PN/cm〜約1×10PN/cmの範囲である。代表的な用量は約5×10PN/cmである。上記の参照用量が、創傷が生じた直後に(すなわち1日以内)創傷部位に投与される。このアデノウイルスベクターが有意により遅く(例えば、創傷が生じた1週間後)に投与される場合、同様の効果を認めるためには約10〜100倍のベクターの用量の増加が必要であり得る。代表的な組織中の効果的なp21WAF1/Cip1の濃度は、約80〜100活性ユニットの標的濃度と共に、WAF1 ELISAキット(Oncogene Research Products、San Diego、CAから市販される、カタログ番号QIA18)を用いて決定される、約50〜150活性ユニットである。
代表的には、本発明の方法は瘢痕を阻害または縮小するが、創傷の閉鎖は阻害しない。十分な量が発現される場合、p21WAF1/Cip1は創傷の閉鎖を阻害し得る。例えば、p21WAF1/Cip1ポリヌクレオチドを含む2×1011PN/cmのアデノウイルスベクターは、動物モデルにおいて再上皮化を遅延させるに十分である。さらにこのような用量において、創傷の引っ張り強さに対する効果が観察される。従って、瘢痕の阻害または縮小のために十分な量のp21WAF1/Cip1ポリヌクレオチドを含むベクターを用いるが、再上皮化を遅延させ、または目に見えるほどに引っ張り強さを減少させるほど過剰に投与しないことが望ましい。
(III.遺伝子送達)
p21をコードするポリヌクレオチド配列を導入するために、p21ポリヌクレオチドに作動可能に連結されたプロモーターを含む裸のプラスミドを、創傷中の細胞に組み込むことが可能である。あるいは、このp21WAF1/Cip1ポリヌクレオチドをウイルス送達システムまたは非ウイルス送達システムに組み込み、次いで創傷に導入する。
(1.非ウイルス送達システム)
創傷へp21WAF1/Cip1ポリヌクレオチドの発現を支配し得る非ウイルス送達システムは発現プラスミドを含む。発現プラスミドは自律的に複製する染色体外の環状DNA分子であり、正常なゲノムとは異なり、そして標的細胞中でのDNA配列の発現に影響し得る非選択的条件下では細胞の生存に非必須である。プラスミドは細菌中で自律的に複製して細菌の生産を促進するが、サイクリン依存性キナーゼ遺伝子を含むこのようなプラスミドが治療効果を達成するために標的細胞中で複製することは必要ではない。導入遺伝子はまた組織特異的プロモーター領域の制御下にあり得、特定の細胞種(例えば、炎症性細胞(例えば、好中球、マクロファージおよびリンパ球が挙げられる)、ならびに線維芽細胞およびケラチノサイト)においてのみ導入遺伝子の発現が許容される。本発明の実施に有用であり得る種々の発現プラスミドを、当業者は容易に理解する。
この発現プラスミドはまた、プロモーター、エンハンサーまたはp21ポリヌクレオチドの発現を助ける他の配列を含み得る。CMVのような構成的プロモーターが使われ得るが、pFascin(Sudoweら、Molecular Therapy 8(4):567(2003))およびケラチン−12プロモーター(Ikawaら、Molecular Therapy 8(4):666(2003))のような、標的細胞において特異的な活性を有するプロモーターを用いることが有用であり得る。化学物質またはその他の刺激に応答して特定の条件下で機能する誘導性プロモーターもまた、p21WAF1/Cip1の効果的な制御発現のために用いられ得る。誘導性プロモーターの例は、科学文献中に公知である。例えば、YoshidaおよびHamada、Biochem.Biophys.Res.Comm.230:426−430(1997);Iidaら、J.Virol.70(9):6054−6059(1996);Hwangら、J.Virol 71(9):7128−7131(1997);Leeら、Mol.Cell.Biol.17(9):5097−5105(1997);およびDreherら、J.Biol.Chem.272(46):29364−29371(1997)を参照のこと。放射線誘導性プロモーターの例としては、EGR−1プロモーターが挙げられる。例えば、Boothmanら(1994)volume 138 supplement pages S68−S71を参照のこと。
薬物抵抗性をコードする遺伝子のようなさらなる遺伝子が、組換えベクターの存在の選択またはスクリーニングを可能にするために導入され得る。例えば、このようなさらなる遺伝子としては、ネオマイシン抵抗性、複数の薬物抵抗性、チミジンキナーゼ、β−ガラクトシダーゼ、ジヒドロ葉酸還元酵素(DHFR)、およびクロラムフェニコールアセチルトランスフェラーゼをコードする遺伝子が挙げられ得る。
p21WAF1/Cip1ポリヌクレオチドを含む発現プラスミドは、リポソーム中にカプセル化され得る。リポソームとしては、乳濁液、気泡、ミセル、不溶性単層、液晶、リン脂質分散、層状層(lamellar layer)などが挙げられる。リポソームキャリアを用いたDNA配列の標的細胞への送達は当該分野で周知である。例えば、Szokaら、Ann.Rev.Biophys.Bioeng.9:467(1980)、米国特許第4,394,448号;同第4,235,871号;同第4,501,728号;同第4,837,028号;および同第5,019,369号に記載されるように、リポソームを調製するために種々の方法が利用可能である。本発明の実行に有用なリポソームは、1つ以上の標準的な小胞を形成する脂質から形成され得、このような脂質としては一般に、中性の電荷を有するリン脂質および陰性の電荷を有するリン脂質、およびコレステロールのようなステロールが挙げられる。
このような小胞を形成する脂質の例としては、DC−chol、DOGS、DOTMA、DOPE、DOSPA、DMRIE、DOPC、DOTAP、DORIE、DMRIE−HP、n−スペルミジンコレステロールカルバメート、および米国特許第5,650,096号に開示されるような他の陽イオン性脂質が挙げられる。脂質の選択は、例えばリポソームの大きさ、酸不安定性、および血流中でのそのリポソームの安定性を考慮することによって一般に導かれる。米国特許第5,013,556号および同第5,213,804号に記載されるように、例えばポリエチレングリコールコーティング(それゆえ「PEG化」と呼ばれる)のようなさらなる成分がリポソーム処方物に加えられて、血清中の半減期を増加し得る。
特定の組織または器官への治療遺伝子の送達を促進するために、細胞ターゲッティングを促進するエレメントを非ウイルス送達システムに組み込むことが有利であり得る。
(2.ウイルス送達システム)
他の例では、このDNA配列は、標的細胞への感染が可能なウイルスゲノムにp21WAF1/Cip1ポリヌクレオチドを組み込み、そしてp21WAF1/Cip1ポリヌクレオチドを発現配列および制御配列に作動可能に連結して、このポリヌクレオチドが適切な条件下で標的細胞内で発現されるようにしたウイルス送達システムによって送達される。本発明の実行に有用なベクターはまたウイルスゲノムに由来する。用いられ得るベクターとしては、好ましくはバキュロウイルス類、パルボウイルス類、ピコルナウイルス類、ヘルペスウイルス類、ポックスウイルス類またはアデノウイルス類から選択される、組換え的に改変された、エンベロープを持つまたは持たないDNAウイルスおよびRNAウイルスが挙げられる。親ベクターの性質のそれぞれの有利なエレメントを利用するキメラベクターもまた利用され得る。例えば、Fengら、Nature Biotechnology 15:866−870(1997)を参照のこと。このようなウイルスゲノムは組換えDNA技術によってp21WAF1/Cip1ポリヌクレオチドを含むように改変され得、そして複製能欠失、条件的に複製する、または複製適格になるように操作され得る。代表的には、このベクターは複製能を欠失しているか、または条件的に複製する。例示的なベクターはアデノウイルスゲノム、アデノ関連ウイルスゲノム、およびレトロウイルスゲノムに由来する。いくつかの実施形態では、このベクターはヒトアデノウイルスゲノム由来の複製不能ベクターである。導入遺伝子はまた組織特異的プロモーター領域の制御下におかれ、特定の細胞種でのみこの導入遺伝子が発現され得る。
他の例では、p21WAF1/Cip1ポリヌクレオチドの特定の組織または器官への効果的な送達を保証するために、細胞ターゲッティングを促進するエレメントをウイルス送達システムに組み込むことが有利であり得る。本発明の構築物をパッケージするために用いられるウイルスエンベロープは、特定の細胞へのレセプター媒介性エンドサイトーシスを許容するレセプター特異的なレセプターリガンドまたは抗体の付加によって修飾され得る(例えば、国際公開第93/20221号、同第93/14188号;同第94/06923号)。本発明のいくつかの実施形態では、本発明のDNA構築物はウイルスタンパク質(アデノウイルス粒子)と連結されて、例えば、エンドサイトーシスを促進する。例えば、Curielら、Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.88:8850−8854(1991)を参照のこと。細胞種特異性または細胞種ターゲッティングはまた、ウイルスエンベロープタンパク質の改変により特徴的に広い感染力を有するウイルス由来のベクターにおいて達成され得る。例えば細胞ターゲッティングは、独特の細胞表面レセプターとの特異的な相互作用を有する改変された小隆起(knob)ドメインおよび線維(fiber)ドメインの発現を達成するために、ウイルスゲノムの小隆起コード配列および線維コード配列を選択的に改変することでアデノウイルスベクターにより達成された。このような改変の例は、Wickhamら、J.Virol.71(11):8221−8229(1997)(RGDペプチドのアデノウイルス線維タンパク質への組み込み);Arnbergら、Virology 227:239−244(1997)(アデノウイルスの線維遺伝子を改変して、眼および生殖器官への向性を達成);HarrisおよびLemoine、TIG 12(10):400−405(1996);Stevensonら、J.Virol.71(6):4782−4790(1997);Michaelら、Gene Therapy 2:660−668(1995)(ガストリン放出ペプチド断片のアデノウイルス線維タンパク質への組み込み);およびOhnoら、Nature Biotechnology 15:763−767(1997)(Protein A−IgG結合ドメインのSindbisウイルスへの組み込み);ならびに米国特許第5,721,126号および同第5,559,099号に記載される。細胞特異的ターゲッティングの他の方法は、エンベロープタンパク質への抗体または抗体断片の結合体化によって達成された。例えば、Michaelら、J.Biol.Chem.268:6866−6869(1993)、Watkinsら、Gene Therapy 4:1004−1012(1997);Douglasら、Nature Biotechnology 14:1574−1578(1996)を参照のこと。あるいは、特定の部分がウイルス表面と結合体化されてターゲッティングを達成し得る。例えば、Nilsonら、Gene Therapy 3:280−286(1996)(EGFのレトロウイルスタンパク質への結合体化)を参照のこと。
特定の細胞種における選択的な発現を達成するが、都合の悪い広範囲の感染を避けるために、条件的に複製するウイルスベクターが用いられる。条件的に複製するベクターの例は、Bischoffら、Science 274:373−376(1996);Pennisi,E.、Science 274:342−343(1996);Russell,S.J.、Eur.J.of Cancer 30A(8):1165−1171(1994)に記載される。
いくつかの例では、条件的に複製するベクターまたは複製適格なベクターを用いる場合に特に、ウイルスベクターにp21WAF1/Cip1ポリヌクレオチドに加えて自殺遺伝子を含ませることが望ましくあり得る。自殺遺伝子は、発現することでその細胞を外因的要素によって死に得るようにするか、または細胞における毒性条件を引き起こす核酸配列である。自殺遺伝子の周知の例はチミジンキナーゼ(TK)遺伝子(例えば、米国特許第5,631,236号および同第5,601,818号を参照のこと)であり、TK遺伝子産物を発現する細胞はガンシクロビルの投与により選択的に死に得る。これにより、広範囲の感染性を有する完全に複製適格なウイルスベクターの自発的な産生に起因する広汎な感染を阻止するための、ウイルスベクター送達システムの「安全弁」が提供される。
本発明のいくつかの実施形態において、このベクターはアデノウイルス類に由来する。特に好ましいベクターは、ヒト2型アデノウイルスまたはヒト5型アデノウイルスに由来する。このようなベクターは代表的にはE1aコード領域および/またはE1bコード領域における修飾または欠失により複製能を欠失している。特定の発現特性を達成するための、あるいは反復投与またはより低い免疫応答を容易にするための、ウイルスゲノムへの他の修飾が好ましい。
いくつかの実施形態において、組換えアデノウイルスベクターは、必要に応じてE4 ORF6およびORF6/7を保持する(または欠失する)、E4コード領域の完全な欠失または部分的な欠失を有する。E3コード配列は非必須であることが立証され、そしてアデノウイルスベクターから除かれ得るが、好ましくは保持される。いくつかの実施形態において、治療ベクターにとってより有利な免疫学的プロフィールを達成するために、E3のプロモーターオペレーター領域が改変されてE3の発現が増加される。いくつかの実施形態において、用いられるベクターは、サイトメガロウイルスプロモーター領域の制御下にあるp21WAF1/Cip1ポリヌクレオチド、そしてCMVプロモーターの制御下にあるE3、ならびにE4 ORF6およびORF6/7を保持するがE4コード領域の欠損を有する3部からなるリーダー配列を含むヒト5型アデノウイルスベクターである。
いくつかの実施形態において、このアデノウイルス発現ベクターはタンパク質IXの部分的な欠失または全体の欠失を含む。例えば、米国特許出願公開第2003/0091534号を参照のこと。他のアデノウイルスベクターとしては、例えば米国特許出願公開第2003/0192066号および同第2003/0157688号に記載のアデノウイルスベクターが挙げられる。
(IV.薬学的処方物)
本発明はさらに、投与のためのウイルス送達システムまたは非ウイルス送達システムにおけるp21WAF1/Cip1ポリヌクレオチドを含む薬学的処方物を提供する。本発明の組成物は、哺乳動物被験体、好ましくはヒトへの投与が許容可能な当該分野で公知の様式による投与のために処方される。特に、局所的投与のための送達システムが処方され得る。
本発明の組成物は、局所的処方物またはポリマーマトリックス、ヒドロゲルマトリックス、ポリマーインプラント、あるいはこの組成物の徐放(slow or sustained release)を可能とするカプセル化された処方物において投与され得る。本発明に従って、p21WAF1/Cip1をコードするDNAを含む任意の生体適合性マトリックス物質が処方されて、そして用いられ得る。
本発明の遺伝子活性化マトリックスは任意の生体適合性物質に由来し得る。このような物質としては、細胞の付着および増殖を支持する骨格に処方された生物分解性物質または非生物分解性物質、粉末またはゲルが挙げられ得るが、これらに限定されない。マトリックスは合成ポリマーまたは天然に生じるタンパク質(例えば、膠原、他の細胞外マトリックスタンパク質、または他の構造的高分子)に由来し得る。
本発明の組成物、デバイスおよび方法において用いられ得るマトリックスの型は事実上無制限であり、そして生物学的マトリックスおよび合成マトリックスの双方を含み得る。哺乳動物宿主に投与される場合、有害な反応、アレルギー性反応または他の都合の悪い反応を生じない形態であるという点で、このマトリックスは「生体適合性」であることに一般に関連する全ての特徴を有する。このようなマトリックスは天然物質または合成物質から形成され得る。このマトリックスは代表的には生物分解性である。このマトリックスは、スポンジ、インプラント、チューブ、Telfa(登録商標)パッド、Band−Aid(登録商標)商標の粘着絆創膏、絆創膏、パッド、凍結乾燥された成分、ゲル、パッチ、人工皮膚、粉末または微小粒子の形態を取り得る。さらに、マトリックスは徐放を可能とし、そして/または細胞が移動し得て、そして形質転換され得る枠組みを提供し、そして治癒を促進する構造的枠組みを提供するように設計され得る。
用いられ得る生体適合性生物分解性ポリマーは当該分野で周知であり、そして限定しないが例として、ポリエステル(例えばポリグリコライド)、ポリラクチドおよびポリ乳酸ポリグリコール酸コポリマー(「PLGA」)(LangerおよびFolkman、Nature 263:797−800(1976);ポリエステル(例えばポリカプロラクトン(「PCL」));ポリ無水物;ポリアルキルシアノアクリレート(例えばn−ブチルシアノアクリレートおよびイソプロピルシアノアクリレート);ポリアクリルアミド;ポリ(オルトエステル);ポリホスファゼン(polyphosphazene);ポリペプチド;ポリウレタン;およびこれらのポリマーの混合物が挙げられる。ポリエチレングリコール(PEG)、シクロデキストリンおよび誘導体化されたシクロデキストリン、および膠原(天然の供給源からかまたは組換えから得られる)もまた用いられ得る。
このマトリックスからの核酸の放出を制御する1つの方法は、このポリマーおよびこのマトリックスの化学的組成物の分子量の制御に関連する。例えば、PLGAマトリックスについて乳酸/グリコール酸の組成物比は放出期間に影響する。一般に、高い乳酸/グリコール酸比(例えば75/25)は核酸の徐放のより長い制御期間を提供し、一方より低い乳酸/グリコール酸比は核酸のより早い放出を提供する。
適切な物質の別の特定の例は繊維性膠原であり、これは組織からの抽出および部分生成に続いて凍結乾燥され得、次いで滅菌される。マトリックスはまた種々の市販元(例えば、Sigma and Collagen Corporation)から得られ得るような、腱膠原または皮膚膠原から調製され得る。膠原マトリックスはまた米国特許第4,394,370号および同第4,975,527号に記載されるように調製され得る。
さらに、膠原およびグリコサミノグリカン(GAG)から作られる格子(例えば米国特許第4,505,266号または同第4,485,097号に記載される格子)が本発明の実行において用いられ得る。この膠原/GAGマトリックスは、修復細胞(repair cell)が移動し得る支持体または「骨格形成」構造として効果的に役立ち得る。米国特許第4,485,097号に記載される膠原マトリックスのような膠原マトリックスもまたマトリックス物質として用いられ得る。
このマトリックスの創傷部位への適用に先立ち、損傷した皮膚または生命活力の弱められた組織が除かれ得る。本発明のマトリックスは、創傷の治癒を改善し、ならびに炎症、感染および/または過剰増殖反応を最小化するさらなる要素または化合物を含み得る。このような因子の例としては、硝酸銀および抗生物質が挙げられる。
(V.キャリア)
送達システムが溶液または懸濁液として処方される場合、この送達システムは許容可能なキャリア、好ましくは水性キャリア中にある。種々の水性キャリアが用いられ得る(例えば、水、緩衝化された水、0.9%生理食塩水、0.3%グリシン、ヒアルロン酸など)。これらの組成物は、従来の周知の滅菌技術によって滅菌されるか、または滅菌濾過され得る。結果として得られる水性溶液は、投与の前に滅菌溶液と合わせられる凍結乾燥調製物として使用のためにパッケージされるか、または凍結乾燥され得る。
この組成物は、生理的条件に近似するために必要であるような薬学的に許容可能な補助的物質(例えば、pH調製剤および緩衝剤、張性調整剤、湿潤剤など、例えば、酢酸ナトリウム、乳酸ナトリウム、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化カルシウム、ソルビタンモノラウレート、オレイン酸トリエタノールアミンなど)を含み得る。
この薬学的処方物における本発明の組成物の濃度は広く変化し得(すなわち、約0.01体積%未満、通常または少なくとも約2体積%〜ほぼ20体積%〜50体積%以上)、選択された特定の投与様式に従って、主に流体体積、粘性などによって選択される。
(VII.送達エンハンサー)
本発明の薬学的処方物は、必要に応じて1つ以上の送達を亢進させる因子を含み得る。用語「送達亢進因子(delivery enhancing agent)」は、核酸分子またはタンパク質分子の標的細胞への移送を促進する因子を含む。このような送達亢進因子の例としては、洗浄剤、アルコール、グリコール、界面活性剤、胆汁酸塩、ヘパリンアンタゴニスト、シクロオキシゲナーゼインヒビター、高張性塩溶液、およびアセテートが挙げられる。アルコールとしては例えば脂肪族アルコール(例えば、その全体の教唆が本明細書で参考として援用される、米国特許第5,789,244号に記載されるような、エタノール、N−プロパノール、イソプロパノール、ブチルアルコール、アセチルアルコール)が挙げられる。グリコールとしてはグリセリン、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、および他の低分子量グリコール(例えばグリセロールおよびチオグリセロール)が挙げられる。
酢酸、グルコン酸および酢酸ナトリウムのようなアセテートは、送達亢進因子のさらなる例である。
界面活性剤の例はドデシル硫酸ナトリウム(SDS)およびリゾレシチン、ポリソルベート80、ノニルフェノキシポリオキシエチレン、リゾホスファチジルコリン、ポリエチレングリコール400、ポリソルベート80、ポリオキシエチレンエーテル、ポリグリコールエーテル界面活性剤およびDMSOである。胆汁酸塩(例えばタウロコール酸塩、タウロ−デオキシコール酸ナトリウム、デオキシコール酸塩、ケノデオキシコール酸塩、グリココール酸、グリコケノデオキシコール酸、および硝酸銀のような他の収斂剤)が用いられ得る。四級アミンのようなヘパリンアンタゴニスト(例えば硫酸プロタミン)もまた用いられ得る。シクロオキシゲナーゼインヒビター(例えば、サリチル酸塩、サリチル酸、およびインドメタシン、ナプロキセン、ジクロフェナクのような非ステロイド性抗炎症薬(NSAID))が用いられ得る。
SYN3は遺伝子送達を亢進させる界面活性剤様分子であり、そしてその全ての教唆が本明細書で全ての目的のために参考として援用される米国特許第6,392,069号に記載される。さらなる化合物もまた、本明細書で参考として援用される米国特許出願第2003/0170216号に記載される。
遺伝子の送達はまた、その全体の教唆が本明細書で参考として援用される米国特許第6,165,779号に記載されるような洗浄剤の使用によって亢進される。洗浄剤としては、陰イオン性洗浄剤、陽イオン性洗浄剤、両性イオン性洗浄剤および非イオン性洗浄剤が挙げられる。例示的な洗浄剤としては、タウロコール酸、デオキシコール酸、タウロデオキシコール酸、セチルピリジウム、ベナルコニウムクロリド(benalkonium chloride)、ZWITTERGENTTM3−14洗浄剤、CHAPS(3−{(3−コールアミドプロピル(Cholamidopropyl))ジメチルアンモニオル}−1−プロパンスルホネート水和物、Aldrich)、Big CHAP、Deoxy Big CHAP、TRITONTM−X−100洗浄剤、C12E8、オクチル−B−D−グルコピラノシド、PLURONICTM−F68洗浄剤、TWEENTM20洗浄剤、およびTWEENTM80洗浄剤(CALBIOCHEMTMBiochemicals)が挙げられるがこれらに限定されない。
送達亢進因子の濃度は、用いられる特定の送達亢進因子、緩衝液、pH、標的組織または器官、および投与の様式のような、当業者に公知の多数の要素に依存する。送達亢進因子の濃度は、1%〜50%(v/v)の範囲、好ましくは10%〜40%(v/v)、そして最も好ましくは15%〜30%(v/v)である。
リン酸緩衝化生理食塩水(PBS)は、これらの化合物の利用可能な可溶化剤である。しかし、種々の薬学的処方物についてこれらの薬剤の可溶化特性を達成するためには、特定のさらなる賦形剤および添加物が望ましくあり得ることを当業者は認識する。例えば、洗浄剤、脂肪酸エステル、界面活性剤のような周知の可溶化剤の添加が、用いられる種々の溶媒中の化合物の可溶化を促進するような適切な濃度で添加され得る。溶媒がPBSである場合、好ましい可溶化剤は約0.15%の濃度のTween80である。
これらの送達亢進化合物は単独で用いられても、互いに組み合わせて用いられても、他の送達亢進因子と組み合わせて用いられてもよい。
(実施例)
(実施例1)
発明者らは、rAd−p21WAF1/Cip1がヒト一次線維芽細胞の増殖およびI型プロコラーゲンの沈着を効果的に弱め得ることを示す。さらに発明者らは、rAd−p21WAF1/Cip1がラットPVAスポンジ創傷治癒モデルにおける肉芽組織およびECMの沈着を弱めることを示す。発明者らの結果は、p21WAF1/Cip1の外因性の発現が、過剰な瘢痕を調節するための治療的選択肢であることを示唆する。
(方法および材料)
(組換えアデノウイルスベクターの構築および精製)
ヒトp21WAF1/Cip1を含む組換えアデノウイルスは過去に記載された(Perkins,T.W.ら、Arch Ophthalmol.120(7):941−9(2002))。手短に言うと、Willsら、Hum Gene Ther.5(9):1079−88(1994)に記載される方法を用いて、構成的なサイトメガロウイルス最初期プロモーター(CMV)の制御下にあるp21WAF1/Cip1コード領域を、E1/部分的なE3を欠失した組換えアデノウイルスにクローン化した。発現カセット中に導入遺伝子を工作しない点を除いてrAd−p21WAF1/Cip1と同様の形式で、rAd−空コントロールアデノウイルスベクターを構築した。rAd−PDGF−Bは、E1欠失部位にクローン化されたCMV−PDGF−B発現カセットを含む、E1/部分的なE3を欠失したアデノウイルスベクターである。PDGF−B cDNAをヒト胎盤cDNAライブラリー(Clonetech、Palo Alto、CA)からPCR増幅し、そしてGenbankクローンM12738との配列アラインメントにより100%の相同性を確認した。CMVプロモーターおよびE1BpIXポリ−A発現カセットを含むアデノウイルスE1移行プラスミドにこのcDNAをクローン化した。Chartierらの方法によるE.coli BJ5183株における相同組換えを用いて感染性ウイルスDNAを産生し、続いてヒト腎臓293細胞にトランスフェクトしてウイルスを産生かつ増殖させた(Chartier,C.ら、J.Virol、70(7):4805−10(1996))。カラムクロマトグラフィーによりウイルス粒子を精製し(Shabram,P.W.ら、Hum Gene Ther、8(4):453−65(1997))、定量し、そして食品医薬品局の指導(Guidance for Human Somatic Cell Therapy and Gene Therapy、Center for Biologics Evaluation and Research、1998年3月)に基づく粒子数(PN)によって投薬した。
(細胞)
正常成人ヒト皮膚線維芽細胞をCambrex Bio Science(Rutherford、NJ)から入手し、そして推奨される増殖培地中に維持した。継代数が4以下の細胞を用いて実験を行った。
(細胞のアデノウイルス感染およびブロモデオキシウリジンパルス標識)
ウシ胎仔血清(FBS)欠失培地に2日間プレートすることで細胞をG0/G1期に同期化し、引き続いてFBS欠失培地中の変化する用量(1×10〜3×10PN/ml)のrAd−p21WAF1/Cip1またはrAd−空のいずれかで処理した。24時間後に培地を除き、そして20%FBSを含む培地を加えて細胞をG0/G1期の拘束から開放した。解放の24時間後に細胞を10μMブロモデオキシウリジン(BrdU;Boeheringer−Mannheim、Indianapolis、IN)で4時間パルス標識し、そして70%エタノール中での固定によって二変数BrdU/DNAフローサイトメトリー解析のために収集し、続いて0.08%ペプシンで37℃にて30分間消化した。細胞を1500RPMで遠心分離し、2NのHClに再懸濁し、そして37℃で20分間インキュベートした。1Mホウ酸ナトリウムを加え、そして細胞をIFA/Tween20(0.01MのHEPES、0.005%のアジ化ナトリウム、0.5%のTween20、5%のFBS、0.15MのNaCl)中で洗浄し、そしてTween20を含まない1:10希釈の抗BrdU抗体(Becton−Dickinson、Franklin Lakes、NJ)と共に30分間インキュベートした。最後に、細胞をIFA/Tween20中で洗浄し、IFA/Tween20/RNase中で37℃にて15分間インキュベートし、ヨウ化プロピジウム(50μg/ml)で染色し、そしてCellQuest(Becton Dickinson)ソフトウェアを用いてFACS canフローサイトメーター(Becton Dickinson)によってFL−1チャネル上で解析した。
(ヒト1型プロコラーゲンC−ペプチド(PIP)の検出のための酵素結合免疫測定法)
細胞を10%のFBSを含む完全培地にプレートし、コンフルーエンシーまで増殖させ、そしてFBSを欠く培地中で24時間アデノウイルス構築物と感染させた。次いで細胞を洗浄し、PIP解析に先立ってFBSを含まない培地中で24時間培養した。PIPの検出を、製造者の指示書に従って1×10細胞を含む細胞溶解物に対してELISA(TaKaRa Bio Inc.、Japan)によって評価した。
(FACSによるp21WAF1/Cip1検出)
75%エタノール/PBS中で4℃にて30分間細胞を固定し、そして0.1%BSA/PBSと共に37℃にて30分間非特異的抗体結合をブロックした。FITC(Ab−1、Oncogene、San Diego、CA)と結合体化した抗p21WAF1/Cip1抗体2μg/mlを細胞と共に室温で60分間インキュベートした。細胞を0.1%のBSAで洗浄し、PBSに再懸濁し、そしてFL−1チャネル上のFACSで解析した。
(PVAスポンジモデル)
National Institutes of Health Guide for the Care and Use of Laboratory Animalsに従って動物の世話および実験を行い、そして適切な監査委員会の認可を受けた。350〜400gの体重の雄性のSprague−Dawley系ラット(Harlan、Indianapolis、IN)をケタミン/キシラジンで麻酔し、そしてそれぞれのラットの腹部表面に6つの完全な厚さの5mmの直線切開を作製した。単一の滅菌ポリビニルアルコール(PVA)スポンジ(グレード3:12.7mm×3mm;M−PACT、Eudora、KS)をそれぞれの切開中に皮下に挿入し、そして創傷クリップで閉じた。スポンジの移植4日後に、200μlの膠原溶液(Cohesion Technologies、Palo Alto、CA)または200μlのビヒクルコントロール中に処方された1×10PNのrAd−PDGF−BまたはrAd−空を、それぞれのスポンジの内部に注入した。最初の注入の3日後、100μlのvPBS(PBS、3%のショ糖(v/v))中に処方した1×10PN、1×1010PNまたは5×1010PNのrAd−p21WAF1/Cip1をそれぞれのスポンジに注入した。第二の注入の5日後に動物を安楽死させ、そしてそれぞれのスポンジの中心部分を収集し、4%のパラホルムアルデヒド中で固定し、パラフィンで包埋し、そして6μmの厚さを切り出した。増殖インデックス研究のために、安楽死の24時間前に50mg/kgのBrdU(Calbiochem−Novabiochem Corp.、San Diego、CA)をラットの腹腔内に注入した。
(免疫組織学)
p21WAF1/Cip1タンパク質の検出のために、6μmのPVAスポンジパラフィン切片を−20℃のエタノール/酢酸(2:1)中に10分間浸し、次いで、高pH緩衝液(Dako、Carpinteria、CA)中で20分間蒸すことにより抗原を回復した。内因性ペルオキシダーゼを3%(v/v)のHとのインキュベートでクエンチした。スライドを20%(v/v)のヤギ血清中でブロックし、次いでマウスモノクローナル抗ヒトp21WAF1/Cip1抗体(1:100、BD−PharMingen、San Diego、CA)と共に1時間インキュベートした。PBS中で洗浄した後(5分間×3回)、スライドをビオチン化ヤギ抗マウスIgG二次抗体(1:200、Zymed、San Francisco、CA)と共に30分間インキュベートした。スライドをPBS中でリンスし(5分間×3回)、ストレプトアビジン/HRP結合体(Dako)と共に10分間インキュベートし、そしてAEC クロマゲン(chromagen)/基質(Dako)で発色させ、続いてヘマトキシリン対比染色を行った。BrdU検出のために、ZymedのBrdU染色キットおよびVectastain Elite ABCキット(Vector Labs、Burlingame、CA、)からの合わせたプロトコールおよび試薬を用いた。手短に言うと、組織切片をシアライト化した(sialyted)スライドガラスに置き、そして5分間50%の出力でマイクロ波をあてた。切片を予熱したクエン酸緩衝液(pH6.0)中で20分間蒸し、リンスし、そして3%(v/v)のHで10分間、内因性ペルオキシダーゼをクエンチした。Zymedのキットのプロトコールを続け、そしてこれはビオチン化マウス抗BrdU一次抗体とのインキュベートを包含した。続いてスライドをPBS中でリンスし、Vectastain Elite ABC試薬と共に30分間インキュベートし、再度リンスし、そしてVector Nova red クロマゲン/基質(Vector Labs)で5〜15分間発色させた。Ki67の検出のために、パラフィン組織切片に、10mMクエン酸緩衝液(pH6.0)中にて最大出力でマイクロ波をあて、PBS中で洗浄し(5分間×3回)、そして20%(v/v)のヤギ血清で30分間ブロックした。切片をマウス抗ヒトKi67一次抗体(1:100;PharMingen)と共に1時間インキュベートし、PBS中でリンスし(5分間×3回)、そして1:200希釈のビオチン化ヤギ抗マウスIgG(PharMingen)で30分間反応させた。キットの指示書を通してジアミノベンジジン(DAB;Vector Labs)をKi67陽性細胞のクロマゲン検出のために用い、続いてヘマトキシリンにより対比染色した。
(定量的画像解析)
肉芽組織充填(fill)の程度の評価のために、PVAスポンジの組織学的切片をMasson Trichrome染色法を用いて加工処理した。Nikon E600顕微鏡および4倍Plan−Fluor対物レンズ(Nikon USA、Melville、NY)で得た目盛りを定めたデジタル写真と共にImage Pro PlusTMソフトウェア(Media Cybernetics、Silver Spring、MD)を用いて、コンピューターで補助した定量解析を行った。解析は、肉芽組織充填のパーセントのための、スポンジの内部に含まれる肉芽組織領域を全体のスポンジ領域内部で割り100を掛けたものを定量する工程からなる。サンプルの大きさは1処理群あたり6スポンジの平均にある。インビボでの増殖インデックスのために、BrdUおよびKi67の免疫組織化学的切片からの画像を40倍または4倍の顕微鏡対物レンズでデジタル的に取得し、そしてAdobe Photoshop 5.0ソフトウェア(Adobe Systems Inc.、San Jose、CA)に読み込んだ。観察されたそれぞれの視野について陽性の細胞の数(赤または茶)および全ての細胞の数(紫の核)をスコアづけした。BrdUについて、1組織切片あたり3つの400倍の視野(最小で1500細胞)を、それぞれの群から計数した。Ki67について、1つの群あたり3つの全体の組織切片(最小で13,000細胞/切片)を評価した。染色強度にかかわらず、BrdUまたはKi67の核染色は陽性と考えられた。増殖インデックスのパーセントを、赤色または茶色の細胞集団数を、赤色または茶色+紫色の細胞集団数で割り、100を掛けることで計算した。
(統計学的解析)
データを、記述される算術平均±SDまたは平均±SEMとして示す。データの統計学的解析を、独立スチューデントt−検定(StatView、SAS Institute Inc、Cary、NC)を用いて行った。差異を、pが0.05以下の場合有意であると考えた。
(結果)
(ヒト皮膚線維芽細胞は外因性p21WAF−1/Cip−1タンパク質を発現し、そしてrAD−p21WAF1/Cip1に応答して細胞周期の拘束を示す)
p21WAF−1/Cip−1遺伝子発現を、漸増する用量のrAd−p21WAF1/Cip1またはrAd−空で48時間処理したヒト一次皮膚線維芽細胞中にて評価した。FACS解析(図1A)により決定されるように、rAd−p21WAF1/Cip1に応答してp21WAF−1/Cip−1の発現は用量に依存する様式で増加したが、rAd−空には応答しなかった。1×10PN/mlに応答して、p21WAF1/Cip1の発現は未処理細胞を超えて、4.1±1.0(未処理)から6.0±0.2(p=0.005)まで増加した。最も高い用量である1×10PN/mlのrAd−p21WAF1/Cip1に応答して、発現は未処理細胞を超えて、4.1±1.0から35.1±1.5(p=0.001)まで増加した。従って、p21WAF−1/Cip−1を用量に依存する様式で一次皮膚線維芽細胞中で効率的に発現し得た。
次に発明者らは、外因性p21WAF−1/Cip−1の発現がヒト皮膚線維芽細胞中での細胞周期の拘束を誘導し得るかどうかを決定するために、インビトロの用量応答研究を行った。1×10PN/ml〜1×10PN/mlのrAd−p21WAF1/Cip1で処理した細胞は、BrdU取り込み解析およびFACS解析(図1B)により測定されるように、細胞増殖における用量依存的な減少を示した。S期の細胞のパーセントは、未処理細胞集団における平均64.4±5.7%から、1×10PN/mlのrAd−p21WAF1/Cip1に応答した20.6±2.6%まで減少した。最も高いrAd−p21WAF1/Cip1の用量である1×10PN/mlにおいて、S期の細胞のパーセントの減少が観察され、たった0.6±0.1%の陽性細胞が検出された。検出可能な細胞周期阻害は、2つの最も高い用量のrAd−空で観察された。具体的には、1×10PN/mlのrAd−空において、56.9±1.0%の細胞がBrdUを取り込み、一方1×10PN/mlにおいて34.4±10.7%の細胞がBrdUを取り込んだ。高い用量のコントロールアデノウイルスに応答する増殖の減衰は過去に記載されている(Brand,K.ら、Gene Ther、6(6):1054−63(1999))。BrdUの取り込みは、rAd−p21WAF1/Cip1を1×10PN/mlおよび1×10PN/mlのrAd−空と比較した場合、有意に減少した(p<0.05)。これらのデータは、高用量の組換えアデノウイルス処理が一般的な抗増殖効果を誘導する一方で、発明者らが、創傷標的細胞におけるrAd−p21WAF1/Cip1に応答する増殖におけるp21WAF1/Cip1特異的用量依存的減少を示したことを示唆する。
(ヒト皮膚線維芽細胞はrAd−p21WAF1/Cip1に応答するPIP生成を減少する)
p21WAF1/Cip1の送達後にPIPペプチドが減少するかどうかを決定するために、ヒト皮膚線維芽細胞を漸増する用量のrAd−p21WAF1/Cip1またはrAd−空で48時間処理した(図1C)。当量の細胞由来の溶解物に対するELISAを行い、細胞内のPIPレベルを定量した。このデータは、コントロール群と比較してrAd−p21WAF1/Cip1でヒト皮膚線維芽細胞を処理した後に、2分の1より大きいPIPの減少を示した。PIPの減少は、未処理細胞と比較した場合、最も高い濃度のrAd−p21WAF1/Cip1(3.0×109PN/ml)での処理において検出された(それぞれ、60.0±6.3ng/mlのタンパク質対165.1±9.0ng/mlのタンパク質)。最も高い用量のrAd−空処理では170.2±10.3ng/mlの細胞内PIPを示し、未感染細胞と変わらなかった。発明者らの過去の研究は、FACS解析で評価したように、100%のヒト皮膚線維芽細胞がこのアッセイ系における導入遺伝子発現について陽性であることを示している(データは示さず)。アネキシンV染色およびFACSによるアポトーシスアッセイを行い、細胞の生存度を決定し、そしてそのデータは細胞がアポトーシスしないことを示した(データは示さず)。これらのデータは、細胞外関連ペプチドがrAd−p21WAF1/Cip1処理の後に減弱されることを示す。
(インビボでのrAd−PDGF−B刺激に続いて、rAd−p21WAF1/Cip1は肉芽組織を減弱させる)
インビボでのrAd−p21WAF1/Cip1の肉芽組織に対する効果を決定するために、ラットPVAスポンジモデルを用いた(Buckley,A.ら、Proc Natl Acad Sci U S A、82(21):7340−4(1985))。肉芽組織の刺激物質として1スポンジあたり1×10PNのrAd−PDGF−Bをラット中のPVAスポンジに注入し(Liechty,K.W.ら、J Invest Dermatol、113(3):375−83(1999))、そして3日後にrAd−p21WAF1/Cip1をスポンジあたり5.0×1010PN投与した(図2)。rAd−空ウイルスもまたrAd−PDGF−BおよびrAd−p21WAF1/Cip1と同じ用量レベルでスポンジに送達し、組換えアデノウイルスがこのモデル系に寄与し得る一般的な効果について照らし合わせた。rAd−p21WAF1/Cip1送達後5日におけるPVAスポンジ中のトリクローム染色から評価して、rAd−PDGF−B/rAd−p21WAF1/Cip1処理スポンジでは量および細胞密度の双方において肉芽細胞が減少した(図3)。ビヒクル/ビヒクル群(図3)およびrAd−空/rAd−空群(示さず)は、rAd−PDGF−B/rAd−p21WAF1/Cip1処理群(図3)と同様の肉芽組織形態を有した。公開された報告と一致して、最も高い肉芽組織充填はrAd−PDGF−B/ビヒクル処理群において観察され(77%;図3)、刺激物質であるPDGF−Bがこのモデルにおいて増殖応答を亢進することを示した(Liechty,K.W.ら、J Invest Dermatol、113(3):375−83(1999))。発明者らは、rAd−PDGF−B/rAd−空処理群において53%の肉芽組織充填を、rAd−PDGF−B/rAd−p21WAF1/Cip1処理群において28%の肉芽組織充填を、ビヒクル/ビヒクル処理群において24%の肉芽組織充填を、そしてrAd−空/rAd−空処理群において18%の肉芽組織充填を観察した(図3)。rAd−PDGF−B/ビヒクル処理およびrAd−PDGF−B/rAd−空処理と比較して、rAd−PDGF−B処理に続くrAd−p21WAF1/Cip1処理は、それぞれ2.7倍および1.9倍の肉芽組織充填の減弱を誘導した(p<0.001およびp=0.05)。対照的に、ビヒクル/ビヒクル処理群、rAd−空/rAd−空処理群、およびrAd−PDGF−B/rAdp21WAF1/Cip1処理群の間では有意な差異は観察されなかった(p>0.3)。ビヒクル/ビヒクル処理群、rAd−PDGF−B/ビヒクル処理群、およびrAd−PDGF−B/rAd−空処理群は、全て互いに有意に異なった(それぞれ、p<0.001およびp=0.01)。別個の研究において、rAd−p21WAF1/Cip1の用量応答を1×10PN/ml〜5×1010PN/mlの間で行った(表1)。1×10PN/mlにおいて、rAd−PDGF−B/ビヒクルにおける最大の充填と比較したとき23%の肉芽含量の低下があり、1.0×1010PN/mlにおいては37%の減少があり、そして5×1010PN/mlにおいては47%の減少があった。これらのデータは、rAd−p21WAF1/Cip1処理後の肉芽組織の量的および質的な減少を示す。
Figure 0004842139
(インビボでのp21WAF−1/Cip−1タンパク質の発現)
インビボでの形質転換を確認し、そしてp21WAF−1/Cip−1の発現と肉芽組織の減少を関連付けるために、発明者らは抗ヒトp21WAF−1/Cip−1特異的抗体を用いて、ラットPVAスポンジモデルにおけるp21WAF−1/Cip−1発現細胞を同定した。rAd−p21WAF1/Cip1による処理の5日後、p21WAF−1/Cip−1タンパク質は肉芽組織細胞に局在化し、形態学的に炎症細胞(図5C、小さい矢印)および線維芽細胞様細胞に類似した。発明者らは、ビヒクル/ビヒクル処理群またはrAd−PDGF−B/ビヒクル処理群のいずれにおいても、p21WAF−1/Cip−1陽性染色細胞を認めなかった。p21WAF−1/Cip−1発現細胞の優勢な集団が、rAd−p21WAF1/Cip1投与の5日後に強い染色を示したが、発明者らは現在のところ、このモデルにおけるp21WAF−1/Cip−1タンパク質発現の応答最高点および持続を明らかにしていない。しかし、RT−PCRによるrAd−p21WAF1/Cip1の発現は、緑内障濾過手術のウサギモデルにおいて1週間以内に最高点に達し、そして30日を越えて持続した(Perkins,T.W.ら、Arch Ophthalmol、120(7):941−9(2002))。これらのデータは、肉芽組織の減少とp21WAF−1/Cip−1のインビボでの発現との間の関連付けを支持する。
(インビボにおけるrAd−p21WAF1/Cip1処理の後、増殖インデックスは減弱される)
rAd−p21WAF1/Cip1送達後の肉芽組織の増殖状態を決定するために、PVAスポンジ組織上にてBrdU免疫組織化学的染色およびKi67免疫組織化学的染色を行った。ビヒクル/ビヒクル処理群、rAd−PDGF−B/ビヒクル処理群、rAd−PDGF−B/rAd−空処理群およびrAd−PDGF−B/rAd−p21WAF1/Cip1処理群におけるBrdU陽性細胞およびKi67陽性細胞のパーセントを図4に示す。最も高いBrdU染色をrAd−PDGF−B/ビヒクル処理群およびrAd−PDGF−B/rAd−空処理群において認め(それぞれ25%および24%)、rAd−PDGF−Bが組織増殖を促進することを示し、そしてまたrAd−空処理がインビボにおける増殖状態に対して最小限の影響しか有しないことを示唆した。最も低いBrdU染色細胞のパーセントを、rAd−PDGF−B/rAd−p21WAF1/Cip1処理群において同定した(9%)。rAd−PDGF−B/rAd−p21WAF1/Cip1処理群におけるBrdUの取り込みは、rAd−PDGF−B/ビヒクルおよびrAd−PDGF−B/rAd−空と比較した場合に有意に低かった(それぞれの比較についてp<0.01)。さらに、ビヒクル/ビヒクル処理群は、rAd−PDGF−B/rAd−p21WAF1/Cip1処理群と比較した場合に2倍を超える数のBrdU陽性細胞を有した(それぞれ18%対9%)。
BrdU取り込みはS期の開始を必要とするが、Ki67抗原またはMib1抗原はGを除く全ての細胞周期において発現される(Barnard,N.J.ら、J Pathol、152(4):287−95(1987)。Ki67染色の解析は、BrdU染色と同様の陽性細胞の割合を示した(図4B)。ビヒクル/ビヒクル処理群およびrAd−PDGF−B/ビヒクル処理群の増殖インデックスはそれぞれ22%および34%であった。対照的に、rAd−PDGF−B/rAd−p21WAF1/Cip1処理群は、rAd−PDGF−B/ビヒクル処理群およびビヒクル/ビヒクル処理群と比較した場合、有意に低い増殖細胞のパーセント(11%)を示した(全ての比較についてp<0.001)。これらのデータは、rAd−p21WAF1/Cip1処理が、細胞増殖の減少によってインビボにおける肉芽組織を減弱させることを示す。
(要旨)
肥大性瘢痕およびケロイドの病因は未知であるが、正常な創傷の治癒応答における調節不全から起きるようである。正常な創傷治癒は、線維性瘢痕に発達する線維増殖的応答として進む。重要なことには、最良の場合においてすら、傷害部位は「回復される」よりは「パッチ状に」なり、そして形態および機能の双方が、組織再生に対する(verses)置換の原因である機序によって影響を受ける。正常な創傷の治癒カスケードは、炎症、増殖および再構築を含む、3つの経過順の重なる応答を含む。全ての期において、増殖促進因子および増殖反応の下方制御の原因となる因子に関与する異化プロセスと代謝プロセスの間の平衡状態が存在する。重要な進歩が治癒のために創傷刺激をすることに関与する因子を明らかにするためになされたが、正常な創傷の治癒反応に関連する細胞周期制御およびプログラム細胞死を含む分子的プロセスについてはほとんどなされていない。本明細書に示したデータは、創傷修復および瘢痕形成に関与するプロセスにおいて細胞周期制御が有する重要な役割を強調する。
発明者らの研究は、ヒト一次皮膚線維芽細胞の細胞周期が組換えアデノウイルスを介して送達されたp21WAF−1/Cip−1を有するヒト一次皮膚線維芽細胞において効果的に阻害され得ることを示す。発明者らは、インビトロにおけるBrdU染色によって証拠付けられるように、p21WAF−1/Cip−1タンパク質発現の用量依存的な増加が増殖状態の用量依存的な減少と相関することを示した。最も高い用量におけるコントロールアデノウイルス処理によって検出可能な抗増殖効果が観察されたが、ヨウ化プロピジウム染色から、rAd−p21WAF−1/CIP−1で処理した細胞の場合と同様に、G1期でなくG2/M期にこのような細胞が蓄積することが明らかになった(データは示さず)。高用量の組換えアデノウイルスベクター単独の形質転換が細胞増殖の減弱を引き起こすという知見は過去に記載されており、そしていくつかの研究がレポーター遺伝子を含む高用量の組換えアデノウイルスによる抗腫瘍効果を報告している(Erhardt,J.A.およびR.N.Pittman、Oncogene、16(4):443−51(1998);Pierce,G.F.ら、J Exp Med.167(3):974−87(1988);Teramoto,S.ら、Hum Gene Ther.6(8):1045−53(1995))。レベルの漸増する細胞性p21WAF−1/Cip−1タンパク質は、ヒト皮膚一次線維芽細胞における増殖応答の減少と相関する。
細胞外マトリックス(すなわち膠原)の過剰な蓄積および解体が、ケロイドおよび肥大性瘢痕の特徴である(Rockwell,W.B.ら、Plast Reconstr Surg、84(5):827−37(1989))。2つの化学療法因子であるマイトマイシンCおよびドキソルビシンが、ECMおよび細胞毒性の減少を包含する作用機作によって創傷治癒応答を阻害することが報告されている(Saika,S.ら、Ophthalmic Res.29(2):91−102(1997))。発明者らの研究は、皮膚一次線維芽細胞におけるp21WAF−1/Cip−1のレベルの上昇がインビトロにおけるPIPレベルを減少させることを示す。興味深いことに、PIPレベルは減弱されたがしかし除去はされず、このことは生存可能な細胞集団において基礎的なPIP生成レベルが維持されていることを示唆した。対照的に、マイトマイシンCおよびドキソルビシンの双方がPIP分泌を減少させるが、用量依存的な細胞生存性の減少が認められ、そして創傷治癒の動物モデルにおいて観察される創傷の裂開の原因であるようであった(Saika,S.ら、Ophthalmic Res.29(2):91−102(1997))。さらに、PIPレベルはrAd−空処理によって影響を受けず、このことはPIPの減弱がp21WAF−1/Cip−1特異的であることを示唆した。形質転換された細胞は転写的に活性であり(データは示さず)、このことはPIPの減少が細胞内の全体的な転写の抑制の結果ではないことを示した。発明者らは、p21WAF−1/Cip−1の外因的な発現の結果としての細胞外マトリックスの生成の減少がインビボにおける肉芽組織生成に対して減弱効果を有することを仮定した。
ヒトのケロイドおよび肥大性瘢痕の生化学的パラメーターおよび病態生理学的パラメーターを正確にシミュレートする動物モデルは存在しない。本報告において、発明者らはp21WAF−1/Cip−1の上昇のインビボにおける肉芽組織への影響を扱うために動物モデル系を用いた。肉芽組織は線維芽細胞、新しい毛細血管、炎症細胞および細胞外マトリックスから構成され、そして創傷の修復に必要かつ必須の要素である。肉芽組織の正常な時間的および空間的な形成の崩壊は、肥大性瘢痕およびケロイドへの原因となる効果として関係する。PDGF−BBは肉芽組織形成の強力な刺激因子であり、そして最近の報告が創傷傷害モデルにおける強力な前創傷治癒効果(pro−wound healing effect)を示した(Liechty,K.W.ら、J Invest Dermatol.113(3):375−83(1999);Pierce,G.F.ら、J Exp Med.167(3):974−87(1988);Pierce,G.F.ら、J Cell Biochem.45(4):319−26(1991);Doukas,J.ら、Hum Gene Ther.12(7):783−98(2001))。興味深いことに、瘢痕の無い胎仔モデルへのPDGF−BBの添加は創傷線維形成につながり、そしてPDGF−BBレベルの上昇は肝硬変に関連した(Haynes,J.H.ら、J Pediatr Surg.29(11):1405−8(1994);Peterson,T.C.およびR.A.Isbrucker、Hepatology 15(2):191−7(1992))。発明者らは細胞流入、増殖および肉芽組織沈着を亢進するためにrAd−PDGF−Bを用い、続いてp21WAF−1/Cip−1がこれらの刺激性効果をインビボで減弱させ得るかどうかを決定するために、ラットPVAスポンジモデルにおいてrAd−p21WAF1/Cip1処理を行った。
発明者らの結果は、rAd−PDGF−B処理単独と比較した場合、rAd−p21WAF1/Cip1が質的にも定量的にも肉芽充填を減弱させたことを示す。rAd−空処理後の肉芽充填の減少はインビトロにおける発明者らの結果と一致しており、そしてrAd−p21WAF1/Cip1処理と比較した場合、効果が見劣りする。最初に発明者らは、宿主におけるrAd送達ビヒクルの十分に記載された免疫調節性効果を介して、rAd−空処理単独が肉芽組織の転帰を阻害し得ることを仮定した(Nielsen,L.L.、Oncol Rep 7(1):151−5(2000);Kajiwara,K.ら、Hum Gene Ther、8(3):253−65(1997);St George,J.A.ら、Gene Ther、3(2):103−16(1996);Brody,S.L.ら、Hum Gene Ther、5(7):p.821−36(1994))。発明者らは、PDGF−BBおよびp21WAF−1/Cip−1それぞれの刺激性効果および阻害性効果が、組換えアデノウイルス由来応答の間の、またはその前の肉芽組織活性を調節することを繰り返し観察した。この知見に重大であるのは、rAd−p21WAF1/Cip1用量依存的な肉芽組織のインビボにおける減弱を発明者らが示したことであり、このことはこのモデル系における遺伝子特異的な活性を支持する。
発明者らは、rAd−p21WAF1/Cip1で処理したスポンジにおけるヒトp21WAF−1/Cip−1タンパク質の発現を示し得、従ってヒトp21WAF−1/Cip−1と肉芽組織の減少を関連付けた。発明者らはまた、p21WAF−1/Cip−1処理したスポンジにおける2つの別々のアッセイから増殖の減少を示し、このことはインビボにおけるp21WAF−1/Cip−1の直接的な抗増殖効果を支持する。細胞特異的なタンパク質発現はこれらの研究では決定されなかったが、形態学的には、発明者らの結果はマクロファージおよび線維芽細胞の双方が外因性のp21WAF−1/Cip−1タンパク質を発現し得ることを示唆する。
体の最も大きな器官である皮膚は、限定された全身性曝露によって局所的−領域性の送達を提供し、アクセス可能であり、そして非侵襲的に調べられ得る。ウイルス性のアプローチおよび非ウイルス性のアプローチの双方が遺伝子移行を示した(Khavari,P.A.ら、J Intern Med、252(1):1−10(2002))。発明者らは本明細書にて、組換えアデノウイルスを介して送達された外因的に発現された細胞周期制御因子であるp21WAF−1/Cip−1が、過剰な瘢痕に関連する増殖応答を減弱させることの証拠を示す。適切な設計および適用スケジュールによって、p21WAF−1/Cip−1は、病態生理学が増殖応答の調節不全に由来するケロイドおよび肥大性瘢痕のような皮膚の障害における治療的用途を有する。
(実施例2)
本実施例は、創傷におけるrAd−p21の送達およびp21WAF−1/Cip−1の発現を説明する。
rAd−p21遺伝子の送達および期間を通した発現を、以下のような単一の皮内注入の後ウサギ耳過剰瘢痕モデルにおいて特徴付けた:
Figure 0004842139
(方法:)
ウサギの耳ごとに、2〜4つの直径6mmの創傷を誘導した。解析のサンプルの大きさは、処理群ごとに3〜8つの創傷からなった。両耳の同じ創傷部位由来の2つの創傷をプールし、そして単一のチューブにおいて、組織をRT−PCRアッセイおよびPCRアッセイの必要条件に合わせた。このチューブは2つの創傷および1つのアッセイサンプルの平均を表した。PCRアッセイおよびRT−PCRアッセイのために、8時間、1、3、5、7および10日目の収集時点において、N=1または4は全てで2または8創傷を表す。14日目に、1つの創傷を1つのサンプルとして単一のチューブに入れ、したがってN=1または4は、群あたり全てで1または4創傷を表した。形態学的評価のために、1つの創傷は1サンプルをあらわし、そして2〜4サンプルを群ごとに評価した。
vPBS処理群を、PCR/RT−PCRアッセイおよび形態学的評価の双方のためのビヒクルコントロールとして役立てた。rAd−空処理群を本研究におけるアデノウイルス効果のコントロールとして役立てた。
(試験試薬調製:)
rAd−p21およびrAd−空:本研究の0日目にストックウイルスをvPBS希釈剤中に希釈し、氷上で維持した。動物への皮下注入の半時間前に、希釈したウイルスを室温に移した。
(ウサギの調製:)
雌性のニュージーランドホワイトラビットを、体重1kgあたり70mgのケタミン、5mgのキシラジン、および0.1mgのブトルファノールの筋肉内注射で麻酔した。脱毛剤(NairTM)を耳に適用して毛を除き、そして耳を暖かい水道水でリンスし、そして手術領域をベータダインおよびイソプロパノールで洗った。動物を手術前室から手術室に移した。
(手術手順および処理:)
滅菌条件下において、トレフィンを用いてそれぞれの耳の腹側に軟骨の深さまで2〜4つの6mmの創傷を作った。それぞれの創傷から軟骨および覆う皮膚を止血鉗子を用いて除いた。創傷の縁の領域をMastisol(登録商標)で調製し、そして創傷をOpSite(登録商標)包帯で覆って乾燥を防いだ。研究の期間の間包帯を創傷に残した。1創傷あたり2×10PNまたは2×1010PNのrAd−p21を、28G1/2インシュリン注射シリンジを用いて創傷あたり100μLの総量にて創傷の縁の領域の周りに皮下注射した。創傷の注射部位は、創傷の縁の領域の3時、6時、9時および12時方向の点に2〜3mm以内であった。第1群、第3群および第4群の全てのウサギの両耳に、手順を繰り返した。1日目、3日目および10日目の時点でrAd−空処理群においてウサギごとに1つの耳を傷つけた。動物をケージに戻し、そして適宜食餌および水を与えた。
(終点解析:)
特定の屠殺時点において、動物を過量のEuthasol CIII 200mg/kg,ivにて安楽死させ、ウサギの耳を基部で切断した。完全な厚さの創傷を10mmの組織生検パンチを用いて切除し、そして250μLのQIAGEN RNAlaterTM(RNA安定化試薬)を含む微量遠心分離チューブに入れた。全ての組織をこのRNA安定化試薬に浸し、そしてPCR解析およびRT−PCR解析のために4℃で保存した。14日目の時点で、同じ耳の創傷部位由来の1つの創傷を微量遠心分離チューブに入れて1つのサンプルを表す点を除いて、全ての手順を上記と同じようにした。形態学的な評価のために、創傷を二分し、創傷の半分を最適凍結切片温度化合物(Optimum Cryosection Temperature Compound)(OCT)中で凍結させ、そして残りの半分を4℃にて4時間、4%パラホルムアルデヒド中で固定し、70%EtOHに移し、そしてトリクローム染色のために処理した。形態学的検査を創傷組織切片において炎症応答および創傷治癒応答について行った。
(定量的PCR/定量的RT−PCRおよび標準曲線の調製:)
定量的PCRおよびRT−PCR(QPCRおよびQRT−PCR)手順を用いて、Wenら、Exp Eye Res.77(3):355−65(2003)によって過去に記載されたようにrAd−p21 DNAおよび導入遺伝子発現を数量化した。Tri−Reagent(登録商標)を用いて、約50〜100mgの組織からDNAおよびRNAを共抽出した。
(結果:)
rAd−p21の送達およびヒトp21WAF−1/Cip−1遺伝子の発現を、ウサギ耳過剰瘢痕モデルにおいて、単一の皮内用量を創傷後即座に送達した後に、期間を通して特徴付けた。QPCR技術およびQRT−PCR技術を実行して、創傷領域におけるrAd−p21 DNAおよびヒトp21WAF−1/Cip−1遺伝子の発現を数量化した。
(QPCRおよびQRT−PCRの評価:)
創傷あたり2×10PNまたは2×1010PNのrAd−p21を、ウサギ耳創傷へ単一の皮内注射によって送達した。それぞれのrAd−p21解析サンプルは、合わせられた2つの創傷それぞれごとに2×10PNまたは2×1010PNであり、従ってそれぞれ合計4×10PNまたは4×1010PNになった。14日目にサンプルごとにたった1つの創傷があった。
低いrAd−p21用量群および高いrAd−p21用量群の双方から、8時間および1日目に最も高いrAd−p21 DNAレベルを認めた。rAd−p21の低用量群および高用量群において、DNAレベルは14日の期間を通して、それぞれlog1.0およびlog3.0だけ減少した。最も高いrAd−p21 RNAレベルを、高用量群において皮内注射の3日後に認めた。3日目の最高レベルと比較して、7日目、10日目および14日目にはRNAレベルは約log0.5〜log1.0だけ低下した。低用量のrAd−p21群におけるRNAレベルは、処理後8時間および1日では検出不可能だった(検出限界未満;BQL)。低用量のrAd−p21群における検出可能なRNAの発現の開始を3日目に認めた。最大のRNAレベルを3日目および14日目に認め、低用量群における3日目と14日目の間には有意な差は無かった(p<0.5;Fisher’s Post Hoc ANOVA)。低用量のrAd−p21群における3日目および14日目のRNAレベルと比較した場合、5日目、7日目および10日目に約log0.5〜log1.0だけRNAレベルが低かった。予期されたように、全てのvPBSサンプルは陰性であり、このことはサンプルの相互汚染の無いこと、またはヒトp21プライマー配列と内因性ウサギ配列との相互反応性がないことを確証した。期間を通した低用量におけるこのRNA発現プロフィールは、高用量のrAd−p21群と類似した発現傾向を示す。
(形態学的評価:)
ウサギの創傷の形態学的変化を、迅速な創傷治癒プロセスの典型的な期の次に行った。手短に言うと、創傷後8時間において創傷への炎症細胞の侵入を認めた。炎症細胞流入は全ての創傷において1日目および3日目に増加した。5日目までに、肉芽組織が創傷ベッドを充填し始め、そして創傷の縁の周りに上皮性移動舌(epithelial migrating tongue)を認めた。7日目、10日目および14日目に創傷ベッドを肉芽組織が充填し、そして上皮が覆った。10日目および14日目に残りの群と比較した場合、低rAd−p21用量処理群においてはより薄い肉芽組織および上皮層を認めた。しかし、低用量のrAd−p21群は14日目において高用量群よりも緻密な細胞充実性を示した。このデータは、rAd−p21が創傷瘢痕における肉芽組織の体積および上皮の厚さを減弱し得ることを示唆する。
(考察:)
ウサギ耳の創傷における高用量および低用量のrAd−p21処理群の双方において、ヒトrAd−p21 DNAの送達およびp21WAF−1/Cip−1RNAの発現を検出した。高用量群および低用量群の双方において、14日間の期間を通してp21WAF−1/Cip−1RNAのレベルは維持された。
(実施例3)
本実施例は、rAd−p21処理が瘢痕の厚さを阻害することを例証する。
過剰瘢痕ウサギモデルを用いて、rAd−p21処理の瘢痕の厚さへの効果を決定した。過去に記載されたように、ウサギ耳創傷へのPDGF−BBタンパク質(2μg)の注射によって、瘢痕の亢進が誘導された。rAd−p21またはrAd−空のいずれかの2×1010PNの2回目の注射を7日後に続けた。処理に応答して瘢痕の厚さを計測し、そしてrAd−p21処理後約11日目に効果を最大に認めた。瘢痕組織を(最初の創傷から)18日〜35日に計測し、そして組織を最初のPDGF−BB注射後35日目に収集した。
図5は、ウサギ耳過剰瘢痕モデルにおいて皮内送達後にrAd−p21処理が瘢痕の厚さを減弱させることを示す。このデータは、正常な瘢痕環境において低用量のrAd−p21(例えば創傷ごとに2×10PN(7×10PN/cm))が、このモデルにおいて瘢痕の高さを減少させるのに効果的であるという過去の知見を支持する。PDGF−BBを用いて瘢痕形成の亢進を誘導した場合、より多くのrAd−p21がこれらの瘢痕効果を克服するために必要である。
本明細書に引用された全ての刊行物および特許出願は、個々の刊行物または特許出願それぞれが具体的におよび個々に参考として援用されることを意図するように、本明細書にて参考として援用される。
前述の発明は、明快な理解の目的のための例示および例示としていくらか詳細に記載されたが、添付される特許請求の範囲の精神または範囲を離れることなく特定の変化および改変がそこになされ得ることは、本発明の教唆に照らして当業者にとって容易に明白である。
図1Aは、rAd−p21WAF1/Cip1処理後の一次ヒト皮膚線維芽細胞における増殖効果およびプロコラーゲンIタンパク質の検出を図示する。この図は、一次ヒト皮膚線維芽細胞におけるp21WAF−1/Cip−1タンパク質の発現を図示する。細胞を濃度の漸増するrAdで48時間処理し、抗p21WAF1/Cip1−FITC抗体で標識し、そしてFACSで解析した。このヒストグラムでは、線(A、破線)は未処理細胞における染色を表す。線(B)は1×10PN/mlのrAd−p21WAF1/Cip1で処理した細胞における染色を表す。線(C)は1×10PN/mlのrAd−p21WAF1/Cip1で処理した細胞における染色を表す。線(D)は1×10PN/mlのrAd−p21WAF1/Cip1で処理した細胞における染色を表す。ヒストグラムは3回の実験を代表する。 図1Bは種々のアデノウイルスベクターの投与後の細胞周期拘束を図示する。細胞を濃度の漸増するrAd(X軸)で48時間処理し、BrdUでパルス標識し、そしてFACSで解析した。データをBrdUを取り込んだ細胞のパーセントとしてY軸上にプロットした(中実のヒストグラム)。それぞれのバーは三つ組のウェルの平均±1つの標準偏差を表す。1×10PN/mlおよび1×10PN/mlの用量のrAd−空処理群とrAD−p21WAF1/Cip1処理群との間での比較が有意である(p<0.05)。 図1Cは種々のアデノウイルスベクターの投与後のPIPタンパク質レベルを図示する。細胞を濃度の漸増する組換えアデノウイルス(X軸)とともに48時間インキュベートした。細胞溶解物を収集し、そしてELISAによってPIPについて解析した。データを総溶解物タンパク質1mlあたりのPIPのngとしてプロットした(Y軸)。それぞれのバーは三つ組のウェルの平均±1つの標準偏差を表す。3×10PN/mlのrAD−p21WAF1/Cip1処理群と他の全ての群の間での比較が有意である(p<0.05)。 図2はラットPVAスポンジモデルにおける注入スケジュールを図示する。PVAスポンジを0日目に移植し、そしてrAd−PDGF−B前処理をスポンジ移植4日後に送達した。rAd−p21WAF1/Cip1をrAd−PDGF−B前処理3日後に送達し、そして全てのスポンジを5日後に収集した。 図3は肉芽組織充填に対するrAd−p21WAF1/Cip1処理の影響を図示する。PVAスポンジを移植12日後(rAd−p21WAF1/Cip1処理の5日後)に収集し、そしてトリクローム染色を行った。肉芽組織充填の平均パーセントを、材料と方法に記載されるような定量的画像解析によって評価した。rAd−PDGF−B/rAd−p21WAF1/Cip1受容群対rAd−PDGF−B/ビヒクル受容群およびrAd−PDGF−B/rAd−空受容群の間での比較が有意である(それぞれ、p<0.001およびp=0.05)。しかし、rAd−PDGF−B/rAd−p21WAF1/Cip1受容群対ビヒクル/ビヒクル受容群およびrAd−空/rAd−空受容群では有意な差異は認められなかった(p>0.3)。それぞれの処理群ごとにN=7である。 図4Aおよび図4BはインビボでのrAd−p21WAF1/Cip1処理後の増殖インデックスを図示する。BrdU陽性細胞およびKi67陽性細胞の平均パーセント。ビヒクル/ビヒクル処理スポンジ、rAd−PDGF−B/ビヒクル処理スポンジ、rAd−PDGF−B/rAd−空処理スポンジ、およびrAd−PDGF−B/rAd−p21WAF1/Cip1処理スポンジにおいて、抗BrdU抗体および抗Ki67抗体を用いて免疫組織化学を行った。rAd−PDGF−B/rAd−p21WAF1/Cip1処理群対rAd−PDGF−B/ビヒクル処理群およびrAd−PDGF−B/rAd−空処理群の間での比較(p<0.01)、ならびにrAd−PDGF−B/rAd−p21WAF1/Cip1処理群対rAd−PDGF−B/ビヒクル処理群およびビヒクル/ビヒクル処理群の間で(**p<0.001)の比較が有意である。BrdUについては、処理群あたり3スポンジから9フィールドを計数した。Ki67については、処理群あたり4スポンジを計数した。 図5は、ウサギ耳過剰瘢痕モデルにおけるrAd−p21の皮内送達後に、瘢痕の厚さの上昇をp21発現が阻害することを図示する。

Claims (18)

  1. 創傷を有する被験体の皮膚において瘢痕を減少させるための組成物であって、該組成物は、発現カセットを含むポリヌクレオチドを含み、該発現カセットはp21WAF1/Cip1をコードするポリヌクレオチドに作動可能に連結されたプロモーターを含む、組成物。
  2. 前記DNAがベクターの一部であることを特徴とする、請求項1に記載の組成物。
  3. 前記ベクターがウイルスベクターである、請求項2に記載の組成物。
  4. 前記ウイルスベクターがアデノウイルスベクターである、請求項3に記載の組成物。
  5. 前記アデノウイルスベクターが複製能欠失アデノウイルスベクターである、請求項4に記載の組成物。
  6. 前記組成物の投与が、未処置の創傷における瘢痕と比較して、前記創傷におけるケロイドまたは肥大性瘢痕を減少させることを特徴とする、請求項1に記載の組成物。
  7. 前記アデノウイルスベクターが前記創傷1cmあたり10〜10粒子数(PN)の用量で投与されることを特徴とする、請求項4に記載の組成物。
  8. 前記ベクターが生体適合性マトリックス中で投与されることを特徴とする、請求項1に記載の組成物。
  9. 請求項8に記載の組成物であって、ここで前記マトリックスは、膠原性の組成物、金属組成物、ヒドロキシアパタイト組成物、バイオガラス組成物、アルミン酸塩組成物、バイオセラミック物質組成物、精製されたタンパク質の組成物または細胞外マトリックス組成物を含む、組成物。
  10. 前記マトリックスが膠原マトリックスである、請求項8に記載の組成物。
  11. 前記皮膚が火傷をしている、請求項1に記載の組成物。
  12. 創傷の閉鎖を阻害せずに、創傷を有する被験体の皮膚において瘢痕を減少させるための薬学的組成物であって、該薬学的組成物は、発現カセットおよび薬学的に受容可能な賦形剤を含、ここで該発現カセットはp21WAF1/Cip1をコードするポリヌクレオチドに作動可能に連結されたプロモーターを含む、薬学的組成物。
  13. 前記発現カセットが生体適合性マトリックスに含まれる、請求項12に記載の薬学的組成物。
  14. 前記マトリックスが前記発現カセットを含むウイルスベクターを含む、請求項12に記載の薬学的組成物。
  15. 前記ウイルスベクターがアデノウイルスベクターである、請求項14に記載の薬学的組成物。
  16. 前記アデノウイルスベクターが複製能欠失アデノウイルスベクターである、請求項15に記載の薬学的組成物。
  17. 請求項12に記載の薬学的組成物であって、前記マトリックスが、膠原性の組成物、金属組成物、ヒドロキシアパタイト組成物、バイオガラス組成物、アルミン酸塩組成物、バイオセラミック物質組成物、精製されたタンパク質の組成物または細胞外マトリックス組成物を含む、薬学的組成物。
  18. 前記マトリックスが膠原マトリックスである、請求項12に記載の薬学的組成物。
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