JP4841835B2 - 吸着剤 - Google Patents

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Description

本発明は、微細な平板状ゼオライトからなる吸着剤に関する。
近年、生活環境、住環境の面で、シックハウス症候群等が問題視され、アルデヒド、トルエン、キシレン等の臭気性の有機化合物を吸着さらには分解したり、さらには、喫煙に伴って発生する一酸化炭素ガスなどの有害ガス、タールなどの有機物等を除去することが求められている。
このような抗菌性組成物として、ゼオライトやシリカゲル、酸化チタンなどの粉末に抗菌性を有する金属成分を担持した抗菌性組成物が知られている。しかしながら、従来公知の粉末状の抗菌性組成物には、次のような問題点があった。
・樹脂、塗料、繊維、化粧品などに添加したときの分散性が悪い。
・抗菌性が効果的に発現しにくく、所望の抗菌活性を得るためには、多量の抗菌性組成物を添加する必要がある。
・添加量が多くなると粉末の凝集が生じ易く、また、金属成分の含有量も多くなるので、銀などの抗菌性金属成分を用いた組成物では変色が起こる。
・繊維の原料樹脂に抗菌性組成物を混合して紡糸する場合には、粒子径の大きい粉末状の組成物では糸切れを引き起こす原因となる。
・樹脂などの材料の表面に粉末状の抗菌性組成物を含有する塗料を塗布して塗膜を形成し、抗菌性を付与する場合には、塗膜が厚くなり膜強度の低下を生じ、また、剥離が起きやすい。さらに透明性が要求される場合には適用できない。
本発明者等は、粉末状の抗菌性組成物あるいは消臭剤組成物に特有な問題点を解決するために、新規な抗菌性無機酸化物コロイド溶液からなる抗菌剤を提案している。
たとえば、特許文献1(特開平6−80527号公報)には、負の電荷を有する無機酸化物コロイド粒子に抗菌性金属成分を付着させた抗菌性無機酸化物コロイド溶液からなる抗菌剤が提案されている。
また、特許文献2(特開平7−33616号公報)には、抗菌性金属成分と該抗菌性金属成分以外の無機酸化物とから構成される微粒子が分散してなる抗菌性無機酸化物コロイド溶液であり、当該コロイド溶液中の抗菌性金属成分の重量をA、該コロイド溶液を超遠心分離処理して遊離した抗菌性金属成分の重量をBとしたとき、B/Aで表される抗菌性金属成分の結合力指数Iの値が1.0×10-3以下であるものが提案されている。
特開平6−80527号公報 特開平7−33616号公報
しかしながら、従来より提案されていた抗菌剤は、有機化合物の種類によっては吸着性能、消臭性能が不充分な場合があり、生活環境、住環境の改善、向上のためにはさらに充分な吸着性能、消臭性能を有する吸着剤が求められていた。
本発明は、硫黄および窒素から選ばれる1種以上の化合物、特に酸素、硫黄および窒素
から選ばれる1種以上の元素を含む有機化合物を効率的に吸着することのできる平板状ゼオライトからなる吸着剤を提供することを目的としている。
上記した、従来の抗菌剤では、無機酸化物が使用されており、とりわけ、ゼオライトが種々の化合物に対して高い吸着性能を有することは良く知られている。なお、フォージャサイト型ゼオライトは、クラッキング反応、ハイドロクラッキング反応、その他、炭化水素変換反応などの触媒や、吸着剤などに広く使用されている。
そこで、本発明者らはこのようなゼオライトを吸着剤として使用することで、高い抗菌性を有する組成物が得られると考え、さらに検討を行った。
しかしながら、ゼオライトは通常ミクロンオーダー、サブミクロンオーダーのキュービック(立方体、サイコロ状)で、透明性がないために用途が制限されたり、成形体として用いる場合には、バインダー(結合材)を必要にするためにゼオライトの割合が減少して吸着性能が低下するだけでなく、結合材が吸着性能を阻害する問題があった。
本発明者等は先に、特定の酸化物モル比の水性SiO2−Al23復合酸化物ゾルと特定
の酸化物モル比のゲル状凝集物懸濁液と混合して加熱することにより平板状の微細なゼオライトが得られることを提案している。(特開2004-315338号公報)
さらに、鋭意検討した結果、前記ゼオライトをイオン交換した後、スチーム処理し、ついで一部のアルミナを除去した平板状の微細なゼオライトがヘテロ元素含有有機化合物に対するの吸着性能が向上することを見いだして本発明を完成するに至った。
すなわち本発明に係る吸着剤は以下のとおりである。
(1)平均粒子径(D)が0.05〜1.0μmの範囲にあり、
平均厚み(T)が0.01〜0.25μmの範囲にあり、
(D)/(T)が4以上であり、
Al23含有量が26.0重量%以下、Na2O含有量が15.0重量%以下である平板
状ゼオライトを含む。
(2)前記ゼオライトがフォージャサイト型ゼオライトである。
(3)前記Al23含有量が22.0重量%以下であり、SiO2/Al23モル比が5.5以
上である。
(4)前記ゼオライトの比表面積が300〜1000m2gの範囲にある。
(5)前記平板状ゼオライトを含む薄膜形成用塗料。
本発明の吸着剤は、特定の微細な平板状ゼオライトからなり、酸素、硫黄および窒素から選ばれる1種以上の元素を含む有機化合物の吸着性能に優れている。また、基材への塗布性、密着性、膜形成性に優れるとともに、薄膜を形成した場合にも透明性を有している。このような吸着剤は、消臭剤、抗菌剤、ダニなどの忌避剤として好適に使用可能である。
以下、本発明の好適な実施形態を説明する。
平板状ゼオライト
まず、本発明に係る吸着剤を構成する平板状ゼオライトについて説明する。
本発明で使用されるゼオライトは、(1)平均粒子径(D)が0.05〜1.0μmの範囲にあり、平均厚み(T)が0.01〜0.25μmの範囲にあり、
(D)/(T)が4以上の平板状である。
このような形状のものは、塗料用樹脂に分散させて塗料を調製し、これを基材上に塗布したときに、各種基材への密着性、付着性が高く、また膜の強度が高い。
平均粒子径(D)と平均厚み(T)との比(D/T)が4未満の場合は、通常のサイコロ状のゼオライトと代わるところがなくなり、このようなゼオライト粒子を用いて薄膜を形成しても膜形成性が低下するとともに各種基材への密着性、付着性が不充分となり、膜の強度が不充分となることがある。(D/T)の上限は特に制限はないが、大きくなればそれだけ脆くな
るので、通常、10以下であればよい。
平板状ゼオライトの平均粒子径(D)が1.0μmを超えるものは、同時に平均厚み(T)が0.25μmを超えることとなり、微細な平板状のゼオライトを得ることが困難であり、得られたとしても通常の多面体(8面体等)のゼオライトと代わるところがなくなり、このようなゼオライト粒子を用いて薄膜を形成しても、各種基材への密着性、付着性が不充分となり、膜の強度が不充分となることがある。
平板状ゼオライトの平均粒子径(D)が0.05μm未満のものは得ることが困難である
。得られたとしても結晶性が低く、吸着性能が不充分となることがある。
平板状ゼオライトの平均粒子径(D)はより好ましくは0.05〜0.5μm、さらには
0.1〜0.5μmの範囲にあることが望ましい。
平板状ゼオライトの平均厚み(T)は、上記平均粒子径(D)および(D/T)比に応じて適宜
選択されるが、粒径および0.25μmを超えると、前記したように通常のサイコロ状の吸着剤と代わるところがなくなる。また、平均厚み(T)が0.01μm未満のものは得る
ことが困難である。
また、ゼオライトの形状観察および(D/T)は電子顕微鏡写真から少なくとも100個の形状観察および(D)、(T)を測定してその平均値として求められる。本発明では、全ゼオライト粒子のうち六角形板状体様の形状をもつゼオライトが60%以上、好ましくは80%以上、更に好ましくは90%以上であることが望ましい。
本発明で使用される平板状ゼオライトは、シリカ・アルミナからなるフォージャサイト型ゼオライトであることが好ましく、Al23含有量が26.0重量%以下、好ましくは
22.0重量%、特に好ましくは10.0重量%以下、また、Na2O含有量が15.0重量%以下、好ましくは10.0重量%以下である。(残りは、SiO2である)
なお、フォージャサイト型ゼオライトは分子篩効果があり、さらには、平板状のものが得られやすい。
上記範囲であれば、疎水性が高く、吸着性能に優れている。
なお、Al23含有量が26.0重量%を超えると、疎水性が不充分となるためか、後
述する吸着質の充分な吸着性能が得られないことがある。なお、Al23含有量の下限は
特に制限されるものではないものの、少ないほど好ましい。通常、1.0重量%以下のもの
は得ることが困難である。
なお、Al23を極端に少なくさせて、SiO2のみに近いものであってもよい。
また、Na2O含有量が15.0重量%を超えると、充分な吸着性能が得られないことがある。なお、Na2O含有量の下限は特に制限されるものではないものの、少ないほど好ましい。通常0.1重量%以下のものは得ることが困難である。また、得ようとすると結晶構
造が破壊されることがある。
前記Al23含有量が22.0重量%以下の場合は、SiO2/Al23モル比が5.5以上であることが好ましい。SiO2/Al23モル比が5.5以上であると疎水性が高くな
り、後述する吸着質の吸着量が高くなる傾向がある。
なお、吸着性能を向上させるために、金属イオンをイオン交換したり、あるいはこれらを還元して金属を担持させてもよい。
前記ゼオライトの比表面積が300〜1000m2/g、さらには500〜1000m2/gの範囲にあることが好ましい。この比表面積の範囲にあれば、充分に高い吸着性能を有している。なお、比表面積はBET法によって測定される。
なお、ゼオライトの比表面積が300m2/g未満の場合は、充分な吸着性能が得られ
ないことがある。ゼオライトの比表面積が1000m2/gを超えるものは得ることが困
難である。
このような平板状のゼオライトは、前記平均粒子径、組成等を有していれば特に制限はないが、例えば、特開2004-315338号公報に記載された以下の方法によって得ることがで
きる。
(a)水性SiO2-Al23複合酸化物ゾルであるマトリックスと、(b)特定のSiO2-Al23複合酸化物からなるゲル状凝集物懸濁液とを、(c)全Al23に対するアルカリ金属酸化物(M2O/Al23)のモル比が8.0〜12.0の範囲となるように
、アルカリ金属酸化物が不足する場合には不足のアルカリ源を加えて混合し、
(d)得られる混合物を、結晶化が生起する温度で結晶化に充分な時間、加熱熟成することによって得ることができる。
前記マトリックスである水性SiO2-Al23複合酸化物ゾルは、分散質の微粒子が酸化物モル組成比で、
2O/Al23 = 2.0〜5.0 好ましくは2.5〜4.5
SiO2/Al23 = 5〜16 好ましくは8〜11
2O/Al23 = 2000〜5000 好ましくは3000〜4000
(ここで、Mはアルカリ金属を示す)
の範囲にあり、分散質濃度が酸化物として0.1〜40重量%の範囲にあることが望ましい。
分散質の微粒子の酸化物モル組成比が前述の範囲から外れたSiO2-Al23複合酸化物ゾルでは、所望のゼオライトが得られないことがある。
なお、前記水性SiO2-Al23複合酸化物ゾルは、シリカおよびアルミナを含有する微粒子が水に分散したゾルであって、ゾルの分散質濃度を1.5重量%に調整した後、遠心分離機により回転数3500rpmで10分間処理した際に、沈降した固形分量が0.5体積%以下のものである。
このようなSiO2-Al23複合酸化物ゾルは、例えば、特開平5−132309号公報に記載されている方法で製造される。即ち、アルカリ金属、アンモニウムまたは有機塩基の珪酸塩と、アルカリ可溶のアルミナ化合物とを、それぞれ所定の割合でpH10以上のアルカリ水溶液中に同時に添加し、この反応液のpHを制御せずにコロイド粒子を生成させて、SiO2-Al23複合酸化物ゾルを調製することができる。
前記水性SiO2-Al23複合酸化物ゾルの分散質である微粒子は、その粒子径が0.005〜0.2μmの範囲にあるのが望ましい。該微粒子の粒子径が0.005μmよリ小さい場合には、該複合酸化物ゾルは安定性が劣ることがあり、また、0.2μmよリ大きい場合には、所望のゼオライトが得られないことがある。該微粒子の望ましい粒子径は0.01〜0.1μmの範囲である。
また、前記ゲル状凝集物懸濁液(以下、ゲル状物水溶液ということがある)は、酸化物
モル組成比で、
2O/Al23 = 15±3 好ましくは14±2
SiO2/Al23 = 17±3 好ましくは16±2
2O/Al23 = 100〜2000 好ましくは200〜1000
(ここで、Mはアルカリ金属を示す)の範囲にある、シリカ源(たとえば珪酸ナトリウム水溶液、シリカ・アルミナゾル)、アルミナ源(たとえばアルミン酸ナトリウム、シリカ・アルミナゾル)およびアルカリ源(たとえば水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム)の液状反応混合物を、好ましくは10〜80℃の温度、さらに好ましくは、20〜40℃の温度で、好ましくは2時間以上さらに好ましくは6〜24時間、好ましくは攪拌することなく熟成して調製されたゲル状凝集物(ゲル状微小粒子がもやもやと凝集した凝集物)の水性懸濁液である。該ゲル状物水溶液は、酸化物モル組成が前述の範囲にあり、粒子径0.5〜10μmの範囲であることが好ましい。ゲル状凝集物懸濁液の酸化物モル組成が前述の範囲外である場合、所望のゼオライトが得られないことがある。
水性SiO2-Al23複合酸化物ゾルと、前記ゲル状物水溶液とを混合し、さらに、全Al23に対するアルカリ金属酸化物(M2O/Al23)のモル比が8.0〜12.0の
範囲となるように、アルカリ金属酸化物が不足する場合には、不足のアルカリ源を加えて混合し、得られた混合物を結晶化が生起する温度で結晶化に充分な時間加熱熟成する。
アルカリ源としては、水酸化ナトリウム、アルミン酸ソーダや水酸化カリウムなどが例示される。なお、マトリックスとしての前述のSiO2-Al23複合酸化物ゾルと、前述のゲル状物水溶液とを混合して、全Al23に対するアルカリ金属酸化物(M2O/Al2
3)のモル比が8.0〜12.0の範囲内にある場合には、アルカリ源を加える必要はない。
前述の混合物で、全Al23に対するアルカリ金属酸化物(M2O/Al23)のモル比
が8.0〜12.0の範囲外である場合には、p型ゼオライトやグメリナイトなど後述する吸着質を吸着できないゼオライトが副生することがある。
前記ゲル状物水溶液と水性複合酸化物ゾルとの混合割合はゲル状物水溶液中のAl23とマトリックス中の複合酸化物ゾル中のAl23とのモル比が1:0.5〜1:1.5の範囲であることが望ましい。この割合が1:0.5を下廻った場合は、ゼオライトの結晶化に長時間を要し、また1:1.5を上廻った場合は、結晶化は短時間でできるもののゼオライトのシリカ・アルミナ源を多量に使用することになり経済的ではない。
前記水性SiO2-Al23複合酸化物ゾルと、前述のゲル状物水溶液およびアルカリ源とを混合して得られた反応混合物を、周知の方法で結晶化が生起する温度で結晶化に充分な時間加熱熟成する。一般的には80℃以上、好ましくは95〜98℃の温度で1〜200時間加熱熟成する。
反応混合物の酸化物モル組成比は、次の範囲にあることが望ましい。
2O/Al23 = 5.0〜15.0 好ましくは7.0〜12.0
SiO2/Al23 = 6〜20 好ましくは8〜18
2O/Al23 = 1000〜3000好ましくは1500〜2500。
該反応混合物の加熱熟成により結晶化されたゼオライトは、周知の方法により濾液を分離し、洗浄乾燥して回収される。このようにして得られるゼオライトは、通常NaYゼオライトと言われる。
こうして得られたゼオライトのイオン交換容量は、SiO2/Al23比によって異な
るものの、約3〜6meq/gの範囲にある。
ついで、NaYゼオライトをアンモニウムなどにイオン交換してナトリウムイオンを低減する。イオン交換方法は従来公知の方法を採用することができ、例えば、塩化アンモニウム、硫酸アンモニウムなどの水溶液に分散させ、必要に応じて加温する。このイオン交換されたゼオライトは、通常NH4NaYゼオライトと言われる。
ついで、NH4NaYゼオライトを500〜700℃で焼成し、再び前記と同様にして
イオン交換する。このときのゼオライトは通常NH4Yゼオライトと言われる。なお、N
4NaYを焼成することなくイオン交換をさらに2回以上繰り返して行うことによって
も、NH4Yゼオライトが得られる。
ついで、必要に応じてNH4Yゼオライトをスチーム処理する。スチーム処理する方法
としては、水分を約5〜70重量%含むNH4Yゼオライトを耐熱性容器に充填し、約2
00℃〜700℃の加熱炉中で加熱する方法、あるいはNH4Y粉体を耐熱性容器に充填
し、スチーム雰囲気下、約200℃〜700℃の加熱炉中で加熱する方法等がある。このときのゼオライトは通常USYと言われる。スチーム処理を行うことで、骨格からAlが
脱離し、そこにSiが入り、結晶骨格のSiO2/Al23比が高くなり、その結果、酸処
理を行うことで、Al23が除去され、疎水性の高いゼオライトが得られる。
ついで、USYゼオライトを酸処理してUSYゼオライトからAl23の一部(または全部)を除去する。このときNa2Oの一部(または全部)も除去される。酸処理は、硫
酸などのアルミ溶解性の高い酸水溶液にゼオライトを混合し、必要に応じて加熱すればよい。
得られたゼオライトは、必要に応じて、不純物を除去され、乾燥、焼成されてもよい。
このようにして得られたゼオライトは、平均粒子径(D)が0.05〜1.0μmの範囲
にあり、平均厚み(T)が0.01〜0.25μmの範囲にあり、(D)/(T)が4以上であり
、Al23含有量が26.0重量%以下、Na2O含有量が15.0重量%以下の平板状ゼ
オライトである。
さらに、本発明の吸着剤は、前記のようにして得られたゼオライトをそのまま用いることもできるし、バインダー、担体と混合して成型体として用いることもできる。また、前記吸着剤用ゼオライトと塗料用樹脂、必要に応じて溶剤とからなる塗料を調製し、ガラス、プラスチック、繊維、壁、建材等の基材に塗布、硬化させたり、さらには薄膜に成形して用いることもできる。
塗料用樹脂
塗料用樹脂は公知の熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂等のいずれも採用することができる。
具体的には、ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアミド樹脂、ポリフェニレンオキサイド樹脂、熱可塑性アクリル樹脂、塩化ビニル樹脂、フッ素樹脂、酢酸ビニル樹脂、シリコーンゴムなどの熱可塑性樹脂、ウレタン樹脂、メラミン樹脂、ケイ素樹脂、ブチラール樹脂、反応性シリコーン樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、熱硬化性アクリル樹脂などの熱硬化性樹脂などが挙げられる。さらにはこれら樹脂の2種以上の共重合体や変性体であってもよい。
これらの樹脂は、エマルジョン樹脂、水溶性樹脂、親水性樹脂であってもよい。さらに、熱硬化性樹脂の場合、紫外線硬化型のものであっても、電子線硬化型のものであってもよく、熱硬化性樹脂の場合、硬化触媒が含まれていてもよい。
本発明の吸着剤用ゼオライトは、このような樹脂への分散性に優れ、得られる薄膜は透
明性、平坦性、基材との密着性等に優れている。
溶剤
溶剤としては、塗料用樹脂を溶解するとともに、容易に揮発しうるものであれば特に制限されない。塗料用樹脂が熱硬化性樹脂の場合は、必要に応じて硬化剤が配合されていてもよい。
溶剤としては、水;メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、ジアセトンアルコール、フルフリルアルコール、テトラヒドロフルフリルアルコール、エチレングリコール、ヘキシレングリコール、イソプロピルグリコールなどのアルコール類;酢酸メチルエステル、酢酸エチルエステルなどのエステル類;ジエチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルなどのエーテル類;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、アセチルアセトン、アセト酢酸エステルなどのケトン類などが挙げられる。これらは単独で使用してもよく、また2種以上混合して使用してもよい。また、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、トルエン、シクロヘキサノン、イソホロン等も用いることができる。さらに、界面活性剤を含んでいてもよい。
塗料中のゼオライトの濃度は、固形分として0.1〜45重量%、さらには0.2〜30重量%の範囲にあることが好ましい。この範囲であれば、有効な吸着性能を有するとともに、均一での強度の高い被膜を形成することができる。
塗料中のゼオライトの濃度が少なすぎると、実質的に有用な吸着性能が得られないことがある。塗料中のゼオライト濃度が多すぎても、薄膜の形成性が低下し、得られる被膜の透明性、平坦性および密着性が低下することがある。
また、塗料中の樹脂の濃度は、樹脂を固形分として0.1〜55重量%、さらには0.2〜40重量%の範囲にあることが好ましい。塗料中の樹脂の濃度が少なすぎると基材との密着性が不充分となることが、多すぎても得られる薄膜の厚さが不均一になる傾向がある。
また、塗料中のゼオライトと樹脂の合計濃度は、固形分として1重量%以上、さらには5重量%以上であることが好ましい。固形分が少ないと、被膜の厚さが薄すぎて充分な吸着性能、長期にわたる吸着性能の維持ができない場合がある。
本発明に係る吸着剤の対象とする吸着質は、酸素、硫黄および窒素から選ばれる1種以上の元素を含む有機化合物に好適である。
酸素を含む有機化合物としては、アセトアルデヒド、ホルムアルデヒド、ノネナール、イソ吉草酸などが挙げられ、硫黄を含む有機化合物としてはメチルメルカプタン、エチルメルカプタンなどがあげられる。なお、本発明の吸着剤は硫化水素に対しても有効である。
また、窒素を含む有機化合物としては、トリメチルアミン、トリエチルアミン、ピリジン、インドールなどが挙げられる。なお、アンモニアに対しても有効である。
[実施例]
以下、本発明を実施例により詳細に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り、以下の実施例により限定されるものではない。
参考例1
吸着剤用フォージャサイト型ゼオライト(A)の調製
(ゲル状物水溶液の調製)
Na2O17重量%、Al2322重量%を含有するアルミン酸ナトリウム溶液57.
0gに攪拌しながら37.2重量%の水酸化ナトリウム水溶液187.4gを加えた。この溶液を攪拌しながら、シリカ濃度24重量%の3号水硝子549.8gを純水205.8g中に加えた溶液に20℃、8.1g/minで添加した。その組成は酸化物モル比で
Na2O/Al23 = 16.0
SiO2/Al23 = 17.9
2O/Al23 = 332 であった。
これを約1時間攪拌した後30℃で16時間静置してゲル状凝集物を含んだ水溶液を得た。この場合のゲル状凝集物の粒子径は1.0〜5.0μmの範囲であった。
(複合酸化物ゾルの調製)
平均粒子径50Å、シリカ濃度20重量%のシリカゾル40.4gを純水2864.0gで希釈したものを80℃に加温した。この希釈ゾルにSiO2として24.0重量%の
3号水硝子279.5gを純水3356.4gで希釈したものとAl23として22.0重量%のアルミン酸ナトリウム62.9gを純水3574.0gで希釈したものを、4時間かけて同時添加した。さらに、Na2Oとして3重量%の水酸化ナトリウム111.0
gを1時間かけて添加した。その間希釈ゾルの温度を80℃に保持した。添加終了後、このゾルを室温まで冷却し、SiO2-Al23複合酸化物ゾル9000gを得た。
この複合酸化物ゾルの分散質微粒子を化学分析法に基づいて測定した結果・次の組成であった。なお、水分量は、1000℃で1時間の灼熱減量から求めた。
Na2O/Al23 = 4.3
SiO2/Al23 = 9.3
2O/Al23 = 3660
この場合の複合酸化物ゾルの粒子径は0.02〜0.04μmであった。
(反応混合物の調製)
SiO2-Al23複合酸化物ゾル9000gを攪拌しながら、前記ゲル状物水溶液1000gを加え30分室温で攪拌混合した。このようにして得られたゲル状反応混合物の組成は酸化物モル比で
Na2O/Al23 = 9.9
SiO2/Al23 = 13.4
2O/Al23 = 2072
であった。
このゲル状反応混合物を結晶化槽に移して攪拌することなく95〜98℃で72時間加温熟成を行って結晶化させた。熟成終了後、結晶生成物を取り出し、濾過、洗浄してNaY型ゼオライトを得た。
このとき、固形分中のAl23含有量21.4重量%、SiO2含有量65.5重量%
、Na2O含有量13.0重量%、SiO2/Al23モル比5.20であった。(NaY=121.6g)
このフォージャサイト型ゼオライト50gを水950gに分散させ、硫酸アンモニウム30.9gを加え、90℃まで昇温し、1時間撹拌してイオン交換した。その後、濾過、洗浄し、110℃で12時間乾燥した後、600℃で2時間焼成した。ついで、水950
gに分散させ、硫酸アンモニウム30.9gを加え、90℃まで昇温し、1時間撹拌してイオン交換した。ついで、濾過、洗浄した後、再び、水950gに分散させ、硫酸アンモ
ニウム30.9gを加え、90℃まで昇温し、1時間撹拌してイオン交換し、濾過、洗浄、乾燥し、400℃で2時間加熱処理して吸着剤用フォージャサイト型ゼオライト(A)を得た。
フォージャサイト型ゼオライト(A)について、化学分析による組成、BET法による比表面積、電子顕微鏡による形状観察および粒子径、粒子の厚みを求め、結果を表1に示した。また得られたゼオライトの電子顕微鏡写真を図1に示す。
塗料組成物(P-1)の調製
アクリル系樹脂としてアロマテックスE(三井化学(株)製:Z112、不揮発分45%)95.6重量部、フォージャサイト型ゼオライト(A)2.2重量部、界面活性剤(北興化学(株)製:ホクスターHP)2.2重量部を混合して塗料組成物(P-1)を調製し
た。
塗膜(F-1)の形成
充分に水で洗浄して乾燥した厚さ2.0mmの硝子基材表面に、塗料組成物(P-1)をバ
ーコーター法により塗布し、120℃で2分間乾燥した後、200℃で20秒間加熱処理して硬化させて塗膜(F-1)を形成した。このとき、膜厚は5μmであった。
吸着試験(1)
ガラス表面に形成した塗膜(F-1)の一部を剥離し、剥離した塗膜(F-1)10.8gを2Lのテトラパックに入れ、臭気ガスとして濃度100ppm(希釈剤:N2)のアンモニアガ
ス1Lを封入し、2時間放置後、検知管にて臭気濃度を測定し、結果を表1に示した。
吸着試験(2)
ガラス表面に形成した塗膜(F-1)の一部を剥離し、剥離した塗膜(F-1)10.8gを2Lのテトラパックに入れ、臭気ガスとして濃度20ppm(希釈剤:N2)の硫化水素ガス1
Lを封入し、2時間放置後、検知管にて臭気濃度を測定した。結果を表1に示した。
吸着試験(3)
ガラス表面に形成した塗膜(F-1)の一部を剥離し、剥離した塗膜(F-1)10.8gを2Lのテトラパックに入れ、臭気ガスとして濃度20ppm(希釈剤:N2)のアセトアルデヒド
ガス1Lを封入し、2時間放置後、検知管にて臭気濃度を測定した。結果を表1に示した。
密着性
JIS K 5400に基づく基盤目試験にて評価した。密着性は10x10の升目100個中の剥離しなかった升目の数測定し、結果を表1に示した。
平坦性
触針式表面荒さ計(東京精密(株)製サーフコフ)で表面の平均荒さを評価し、結果を表1に示した。
透明性の評価
分光光度計(日本分光社製:Ubest−55)により波長が500nmでの透過率を測定し、結果を表1に示した。
参考例2
吸着剤用フォージャサイト型ゼオライト(B)の調製
(ゲル状物水溶液の調製)
Na2O17重量%、Al2322重量%を含有するアルミン酸ナトリウム溶液7.8
gに攪拌しながら37.2重量%の水酸化ナトリウム水溶液112.6gを加えた。この溶液を攪拌しながらシリカ濃度24重量%の3号水硝子379.6gを純水375.0g中に加えた溶液に20℃、8.1g/minで添加した。その組成は酸化物モル比で
Na2O/Al23 = 1.6
SiO2/Al23 = 4.3
2O/Al23 = 90.4 であった。
これを約1時間攪拌した後30℃で16時間静置してゲル状凝集物を含んだ水
溶液を得た。この場合のゲル状凝集物の粒子径は1.0〜5.0μmの範囲であった。
(複合酸化物ゾルの調製)
平均粒子径50Å、シリカ濃度20重量%のシリカゾル40.4gを純水2864.0gで希釈したものを80℃に加温した。この希釈ゾルにSiO2として24.0重量%の
3号水硝子279.5gを純水3356.4gで希釈したものとAl23として22.0重量%のアルミン酸ナトリウム62.9gを純水3574.0gで希釈したものを、4時間かけて同時添加した。さらに、Na2Oとして3重量%の水酸化ナトリウム111.0
gを1時間かけて添加した。その間希釈ゾルの温度を80℃に保持した。添加終了後、このゾルを室温まで冷却し、SiO2-Al23複合酸化物ゾル9000gを得た。
この複合酸化物ゾルの分散質微粒子を化学分析法に基づいて測定した結果・次の組成であった。なお、水分量は、1000℃で1時間の灼熱減量から求めた。
Na2O/Al23 = 4.3
SiO2/Al23 = 9.3
2O/Al23 = 3660
この場合の複合酸化物ゾルの粒子径は0.02〜0.04μmであった。
(反応混合物の調製)
SiO2-Al23複合酸化物ゾル9000gを攪拌しながら、前記ゲル状物水溶液1000gを加え30分室温で攪拌混合した。
得られたゲル状反応混合物の組成は酸化物モル比で、以下のとおりであった。
Na2O/Al23 = 9.9
SiO2/Al23 = 13.4
2O/Al23 = 2072
このゲル状反応混合物を結晶化槽に移して攪拌することなく95〜98℃で72時間加温熟成を行って結晶化させた。熟成終了後、結晶生成物を取り出し、濾過、洗浄、乾燥してフォージャサイト型ゼオライトを得た。このとき、固形分中のAl23含有量21.8重量%、SiO2含有量64.9重量%、Na2O含有量13.3重量%、SiO2/Al23モル比5.05であった。
ついで、参考例1と同様にしてイオン交換および焼成を行い、吸着剤用フォージャサイ
ト型ゼオライト(B)を得た。フォージャサイト型ゼオライト(B)について、化学分析による組成、BET法による比表面積、電子顕微鏡による形状観察および粒子径、粒子の厚みを求め、結果を表1に示した。また得られたゼオライトの電子顕微鏡写真を図2に示す。
塗料組成物(P-2)の調製
参考例1において、フォージャサイト型ゼオライト(B)2.2重量部用いた以外は同
様にして塗料組成物(P-2)を調製した。
塗膜(F-2)の形成
参考例1において、塗料組成物(P-2)を用いた以外は同様にして塗膜(F-2)を形成した。
得られた塗膜(F-2)について、膜厚の測定、各吸着試験、密着性、平坦性および透明性の
評価を行い、結果を表1に示した。
実施例3
吸着剤用フォージャサイト型ゼオライト(C)の調製
参考例1と同様にして、イオン交換したのち、2度目の400℃で2時間焼成する前の
濾過、洗浄したフォージャサイト型ゼオライト(A)を得た。
このフォージャサイト型ゼオライト(A)の水分含有量を50重量%に調整し、これをステンレス製容器に充填し、600℃のマッフル炉中で3時間加熱処理(スチーム処理)をした。ついで、これを水500gに分散させ、撹拌しながら濃度25重量%の硫酸25gを添加し、60℃で1時間脱アルミ処理(酸処理)し、その後、限外モジュール洗浄により固形分の300倍の水で洗浄する操作を3回繰り返した後、乾燥して、400℃で2時間加熱処理して吸着剤用フォージャサイト型ゼオライト(C)を得た。
フォージャサイト型ゼオライト(C)について、化学分析による組成、BET法による比表面積、電子顕微鏡による形状観察および粒子径、粒子の厚みを求め、結果を表1に示した。
塗料組成物(P-3)の調製
参考例1において、フォージャサイト型ゼオライト(C)2.2重量部用いた以外は同
様にして塗料組成物(P-3)を調製した。
塗膜(F-3)の形成
参考例1において、塗料組成物(P-3)を用いた以外は同様にして塗膜(F-3)を形成した。
得られた塗膜(F-3)について、膜厚の測定、各吸着試験、密着性、平坦性および透明性の
評価を行い、結果を表1に示した。
実施例4
吸着剤用フォージャサイト型ゼオライト(D)の調製
実施例3において、濃度25重量%の硫酸50gを添加した以外は同様にして脱アルミ処理して吸着剤用フォージャサイト型ゼオライト(D)を得た。
フォージャサイト型ゼオライト(D)について、化学分析による組成、BET法による
比表面積、電子顕微鏡による形状観察および粒子径、粒子の厚みを求め、結果を表1に示した。
塗料組成物(P-4)の調製
参考例1において、フォージャサイト型ゼオライト(D)2.2重量部用いた以外は同
様にして塗料組成物(P-4)を調製した。
塗膜(F-4)の形成
参考例1において、塗料組成物(P-4)を用いた以外は同様にして塗膜(F-4)を形成した。
得られた塗膜(F-4)について、膜厚の測定、各吸着試験、密着性、平坦性および透明性の
評価を行い、結果を表1に示した。
実施例5
吸着剤用フォージャサイト型ゼオライト(E)の調製
参考例2と同様にして、400℃で2時間焼成する前の濾過、洗浄したフォージャサイト型ゼオライト(B)を得た。
このフォージャサイト型ゼオライト(B)の水分含有量を50重量%に調整し、これをステンレス製容器に充填し、600℃のマッフル炉中で3時間加熱処理(スチーム処理)をした。ついで、これを水500gに分散させ、撹拌しながら濃度25重量%の硫酸50gを添加し、60℃で1時間脱アルミ処理し、その後、限外モジュール洗浄により固形分の300倍の水で洗浄する操作を3回繰り返した後、乾燥して、400℃で2時間焼成して吸着剤用フォージャサイト型ゼオライト(E)を得た。
フォージャサイト型ゼオライト(E)について、化学分析による組成、BET法による比表面積、電子顕微鏡による形状観察および粒子径、粒子の厚みを求め、結果を表1に示した。
塗料組成物(P-5)の調製
参考例1において、フォージャサイト型ゼオライト(E)2.2重量部用いた以外は同
様にして塗料組成物(P-5)を調製した。
塗膜(F-5)の形成
参考例1において、塗料組成物(P-5)を用いた以外は同様にして塗膜(F-5)を形成した。
得られた塗膜(F-5)について、膜厚の測定、各吸着試験、密着性、平坦性および透明性の
評価を行い、結果を表1に示した。
比較例1
吸着剤用フォージャサイト型ゼオライト(F)の調製
(ゲル状物水溶液の調製)
Na2O17重量%、Al2322重量%を含有するアルミン酸ナトリウム溶液463
.6gに、攪拌しながら21.35重量%の水酸化ナトリウム水溶液3771.2gを加えた。この溶液をシリカ濃度24重量%の3号水硝子3675g中に、攪拌しながら加えてゲル状凝集物を発生させた。このゲル状凝集物を含有する液の組成は酸化物モル比で
Na2O/Al23 = 15.9
SiO2/Al23 = 14.7
2O/Al23 = 330
であった。さらに、これを約1時間攪拌した後30℃で12時間静置して、ゲル状凝集物を含有する液を得た。この場合のゲル状凝集物の粒子径は1.0〜5.0μmの範囲であった。
(マトリックスとしての複合酸化物ゾルの調製)
SiO2として30重量%を含有するシリカゾル809.3gを純水295.9gで希
釈し、このゾルとシリカ濃度24重量%の3号水硝子1023.4gとを混合した。次いで、この液に、攪拌しながら、Na2O17重量%、Al2322重量%を含有するアル
ミン酸ソーダ溶液455.5gを加えて、次の酸化物組成を有するゲル状反応物を得た。この場合のゲル状反応物の粒子径が5.0〜10.0μmであった。
Na2O/Al23 = 2.56
SiO2/Al23 = 8.29
2O/Al23 = 103.9
(反応混合物の調製)
前述のゲル状反応物に、攪拌しながら、前述のゲル状凝集物を含有する液139.5gを加え3時間室温で撹絆混合した。このようにして得られたゲル状反応混合物の組成は酸化物モル比で
Na2O/Al23 = 2.8
SiO2/Al23 = 8.4
2O/Al23 = 108
であった。
これを結晶化槽に移して95〜98℃で50時間加温熟成を行った。熟成終了後、結晶生成物を取り出し、濾過、洗浄してNaY型ゼオライトを得た。このとき、固形分中のAl23含有量21.7重量%、SiO2含有量65.1重量%、Na2O含有量13.2重量%、SiO2/Al23モル比5.10であった。
このフォージャサイト型ゼオライト50gを水950gに分散させ、硫酸アンモニウム30.9gを加え、90℃まで昇温し、1時間撹拌してイオン交換した。その後、濾過、洗浄し、110℃で12時間乾燥した後、600℃で2時間焼成した。ついで、水950gに分散させ、硫酸アンモニウム30.9gを加え、90℃まで昇温し、1時間撹拌してイオン交換した。ついで、濾過、洗浄した後、再び、水950gに分散させ、硫酸アンモニウム30.9gを加え、90℃まで昇温し、1時間撹拌してイオン交換し、濾過、洗浄
、乾燥し、400℃で2時間焼成して吸着剤用フォージャサイト型ゼオライト(F)を得た。
フォージャサイト型ゼオライト(F)について、化学分析による組成、BET法による比表面積、電子顕微鏡による形状観察および粒子径、粒子の厚みを求め、結果を表1に示した。
塗料組成物(P-6)の調製
参考例1において、フォージャサイト型ゼオライト(F)2.2重量部用いた以外は同
様にして塗料組成物(P-6)を調製した。
塗膜(F-6)の形成
参考例1において、塗料組成物(P-6)を用いた以外は同様にして塗膜(F-6)を形成した。
得られた塗膜(F-6)について、膜厚の測定、各吸着試験、密着性、平坦性および透明性の
評価を行い、結果を表1に示した。
比較例2
吸着剤用フォージャサイト型ゼオライト(G)の調製
比較例1と同様にして、400℃で2時間焼成する前の濾過、洗浄したフォージャサイト型ゼオライト(F)を得た。
このフォージャサイト型ゼオライト(F)の水分含有量を50重量%に調整し、これをステンレス製容器に充填し、600℃のマッフル炉中で3時間加熱処理をした。ついで、これを水500gに分散させ、撹拌しながら濃度25重量%の硫酸25gを添加し、60℃で1時間脱アルミ処理し、その後、限外モジュール洗浄により固形分の300倍の水で洗浄する操作を3回繰り返した後、乾燥して、400℃で2時間焼成して吸着剤用フォージャサイト型ゼオライト(G)を得た。
フォージャサイト型ゼオライト(G)について、化学分析による組成、BET法による比表面積、電子顕微鏡による形状観察および粒子径、粒子の厚みを求め、結果を表1に示した。
塗料組成物(P-7)の調製
参考例1において、フォージャサイト型ゼオライト(G)2.2重量部用いた以外は同
様にして塗料組成物(P-7)を調製した。
塗膜(F-7)の形成
参考例1において、塗料組成物(P-7)を用いた以外は同様にして塗膜(F-7)を形成した。
得られた塗膜(F-7)について、膜厚の測定、各吸着試験、密着性、平坦性および透明性の
評価を行い、結果を表1に示した。
比較例3
吸着剤用フォージャサイト型ゼオライト(H)の調製
比較例2において、濃度25重量%の硫酸50gを添加した以外は同様にして脱アルミ処理して吸着剤用フォージャサイト型ゼオライト(H)を得た。
フォージャサイト型ゼオライト(H)について、化学分析による組成、BET法による比表面積、電子顕微鏡による形状観察および粒子径、粒子の厚みを求め、結果を表1に示した。
塗料組成物(P-7)の調製
参考例1において、フォージャサイト型ゼオライト(H)2.2重量部用いた以外は同
様にして塗料組成物(P-7)を調製した。
塗膜(F-7)の形成
参考例1において、塗料組成物(P-7)を用いた以外は同様にして塗膜(F-7)を形成した。
得られた塗膜(F-7)について、膜厚の測定、各吸着試験、密着性、平坦性および透明性
の評価を行い、結果を表1に示した。
比較例4
吸着剤用フォージャサイト型ゼオライト(H)の調製
比較例1と同様にして、ゲル状凝集物を含むゲル状反応物を調製し、ついでゲル状凝集物280gを加えてゲル状反応混合物を調製した。このときのゲル状反応混合物の組成は、酸化物モル比で以下のとおりであった。
Na2O/Al23 = 3.4
SiO2/Al23 = 8.8
2O/Al23 = 120
ついで、比較例1と同様にして熟成し、結晶生成物を取り出し、濾過洗浄してNaY型ゼオライトを得た。このとき、固形分中のAl23含有量25.6重量%、SiO2含有
量73.9重量%、Na2O含有量15.5重量%であり、SiO2/Al23モル比4.9であった。
以下、比較例1と同様にして吸着剤用フォージャサイト型ゼオライト(I)を得た。
得られたフォージャサイト型ゼオライト(I)について、化学分析による組成、BET法による比表面積、電子顕微鏡による形状観察および粒子径、粒子の厚みを求め、結果を表1に示した。
塗料組成物(P-9)の調製
参考例1において、フォージャサイト型ゼオライト(I)2.2重量部を用いた以外は同様にして塗料組成物(P-9)を調製した。
塗膜(F-9)の形成
参考例1において、塗料組成物(P-9)を用いた以外は同様にして、塗膜(F-9)を形成した
。得られた塗膜(F-9)について、膜厚の測定、各吸着試験、密着性、平坦性および透明性
の評価を行い、結果を表1に示した。
参考例1で得られた平板状ゼオライトの電子顕微鏡写真を示す。 参考例2で得られた平板状ゼオライトの電子顕微鏡写真を示す。

Claims (5)

  1. 平均粒子径(D)が0.05〜1.0μmの範囲にあり、
    平均厚み(T)が0.01〜0.25μmの範囲にあり、
    (D)/(T)が4以上であり、
    Al23含有量が22.0重量%以下、Na2O含有量が1.51重量%以下であり、SiO2/Al23モル比が5.5以上である平板状ゼオライトを含み、吸着質が酸素、硫黄および窒素から選ばれる1種以上の元素を含む有機化合物であることを特徴とする吸着剤。
  2. 前記ゼオライトがフォージャサイト型ゼオライトであることを特徴とする請求項1に記載の吸着剤。
  3. 前記ゼオライトの比表面積が300〜1000m2/gの範囲にあることを特徴とする請求項1または2のいずれかに記載の吸着剤。
  4. 前記ゼオライトが、(a)水性SiO2-Al23複合酸化物ゾルであるマトリックスと、(b)特定のSiO2-Al23複合酸化物からなるゲル状凝集物懸濁液とを、(c)全Al23に対するアルカリ金属酸化物(M2O/Al23)のモル比が8.0〜12.0の範囲となるように、アルカリ金属酸化物が不足する場合には不足のアルカリ源を加えて混合し、(d)得られる混合物を、加熱熟成して得られたゼオライトを、
    さらに、イオン交換した後、スチーム処理し、ついで一部のアルミナを除去して得られたものであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の吸着剤。
  5. 請求項1〜4のいずれか1項に記載の平板状ゼオライトを含むことを特徴とする薄膜形成用塗料。
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