JP4841803B2 - 組換えゼラチン様タンパク質の血漿増量剤としての使用法及び代用血漿に適した組成物 - Google Patents

組換えゼラチン様タンパク質の血漿増量剤としての使用法及び代用血漿に適した組成物 Download PDF

Info

Publication number
JP4841803B2
JP4841803B2 JP2003320045A JP2003320045A JP4841803B2 JP 4841803 B2 JP4841803 B2 JP 4841803B2 JP 2003320045 A JP2003320045 A JP 2003320045A JP 2003320045 A JP2003320045 A JP 2003320045A JP 4841803 B2 JP4841803 B2 JP 4841803B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
gelatin
protein
plasma
composition
recombinant
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2003320045A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2005082584A (ja
Inventor
バスティアーン ボウストラ ヤン
雄三 戸田
Original Assignee
フジフィルム マニュファクチャリング ユーロプ ビー.ブイ.
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by フジフィルム マニュファクチャリング ユーロプ ビー.ブイ. filed Critical フジフィルム マニュファクチャリング ユーロプ ビー.ブイ.
Priority to JP2003320045A priority Critical patent/JP4841803B2/ja
Publication of JP2005082584A publication Critical patent/JP2005082584A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4841803B2 publication Critical patent/JP4841803B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Medicines That Contain Protein Lipid Enzymes And Other Medicines (AREA)
  • Peptides Or Proteins (AREA)

Description

本発明は、組換えゼラチン様タンパク質(又はポリペプチド)の血漿増量剤としての使用法、及びかかる血漿増量剤を含み、代用血漿として好適な組成物に関する。
ゼラチンの利用法として確立しているのは、コロイド溶液として代用血漿に用いる方法である。このような代用血漿は、例えば緊急な出血や火傷などによるショックに対処するため、循環血流量を制御することに利用できる。無菌、パイロジェンフリー及び無抗原となるようにゼラチン溶液を作製すること、また分子サイズを平均化して所望のコロイド浸透圧の維持を可能とすることに留意しなければならない。十分量の血液循環を得るのに十分なコロイド浸透圧を維持するため、そして適当な期間にわたり十分に有効な血圧を得るために、ゼラチン分子のサイズは、ゲル化が起こりにくいものにする。
ゼラチンを血漿増量剤として適したものにするために、ゲル化能を著減させる目的で化学修飾が施されてきた。この目的のために、ゼラチンを分解と同時に架橋すること、ゼラチン分子から分枝したあるいは分子内ブリッジを形成することが知られている。最も成功を収めている修飾は恐らく米国特許第2827419号(特許文献1)に記載のあるサクシニル化ゼラチン調製物である。サクシニル化ゼラチンに基づく商業用調製物が、ゲロフシン(登録商標)(Gelofusine)として知られ、現在市販されている。これに使用されているゼラチンはウシ由来ゼラチンを単離したものであり、その平均分子量は30000である。この他にゲロプラズマ(登録商標)(Geloplasma;‘ポリゼラチン’)及びゲリフンドール(登録商標)(Gelifundol;‘オキシポリゼラチン’)が修飾ゼラチンとして市販されている。
WO01/34646A2号(特許文献2)には、種々の分子量及び種々の段階のヒドロキシル化を有する組換えゼラチン構造についての記載がある。組換えゼラチンの可能な使用法がその請求項に多数クレームされている中に、血漿増量剤としての使用法がある。しかし上記発明には、血漿増量剤に適した構造についての定義がなく、かつ血漿増量剤としての使用に関して具体的な組換えゼラチンについても一切記載されていない。さらに、血漿増量剤のコロイド浸透効果持続期間を予想して制御する方法についての記載も皆無である。
市販使用されているゼラチン誘導体の欠点は、投与されたゼラチンの少なくとも一部が血管壁を通り抜けて循環系から逸脱し、安定的な臨床パターンに寄与し得なくなることである。
市販使用されているゼラチン誘導体が抱える別の欠点として、使用されるゼラチンが動物の骨や皮などの動物材料から単離されるという事実、特にウシ材料由来であるということが挙げられる。不純物が存在すること、また組成物の特性が明確に定義されないので再現性がないことが、動物材料の欠点である。そのため、誘導体化プロセスにより所望の特性を備えた産物が確実に得られたかどうかを調べる追加スクリーニングが必要になり、また入念な精製工程が必要とされる。ウシ海綿状脳症(BSE;Bovine Spongiform Encephalitis)の発症に関与している要因を含むゼラチンによる汚染リスクが、特にウシ材料から単離されたゼラチンに関して、さらなる欠点として現下の問題とされている。このため、代用血液製品におけるゼラチンの使用が禁止される可能性がある。現時点で少なくとも一種類の製品、ウシ由来修飾ゼラチンが予防的措置として既に市販されていない。
市販使用に供されるゼラチン誘導体が抱える欠点としては他にも、意図するサイズを有するゼラチンフラグメントを調製する際に、完全に均一な材料が得られるわけではなく、目的とする平均分子量におおよそ相当するゼラチンフラグメントからなる不均一混合物として得られることが挙げられる。その中でより小さいフラグメントは、早期に(望ましくない)浄化されて(高いクリアランス速度)血液循環系から逸脱するために安定的な臨床パターンに寄与することなく、腎臓系に負の負担がかかる。
代用血漿組成物におけるコロイド状添加物として現在用いられているゼラチン誘導体の欠点としてはこの他にも、対象者に過敏反応が生じることがある。特にアレルギー若しくは自己免疫疾患をもつ対象者、又はこれら以外の何らかの理由で抗体価(特にIgE抗体価)が上昇している対象者にはリスクがある。血漿増量剤の投与が必要とされる高度救急症例は、ショック症状、より具体的には大量出血や水分の過剰損失や不十分な水分摂取に誘起される血液量減少性ショック症状を呈した対象者に対してのものである。かかる状況下では、アレルギー体質であるか否かなどの考え得るリスク要因を考慮する時間はとにかくない。対象者にアレルギーがあることが判明している場合には、予防的に抗ヒスタミン薬の投与が検討される。しかし、高度救急症例においては、いかなる予防措置もとりようがない。現在使用されているゼラチン誘導体の適用に伴って発症する直接的過敏症の症状は、アナフィラキシーショックとして知られている。この症状は生命維持が不能になるほど血圧が低下するという、生命を危機に陥れるものであり、血漿増量剤による対応が実際に必要とされる症状である。血漿増量剤を投与される対象者は既に急性トラウマを呈しているため、アナフィラキシーショック症状は、多くの場合致命的となる。
米国特許第2827419号明細書 国際公開第01/34646号パンフレット
本発明の目的は、血漿増量剤を含み、血液循環系におけるクリアランス速度が低い代用血漿として好適な代替組成物を提供することにある。
また、これまでのものより良好かつ予測可能なクリアランス速度調節機能を有する血漿増量剤を含み、代用血漿として好適な代替組成物を提供することも本発明の目的である。
本発明の別の目的として、タンパク質分解に対する感受性が一層低下した血漿増量剤を含み、代用血漿として好適な代替組成物を提供することが挙げられる。
さらに本発明の目的には、免疫反応、特にアナフィラキシーショックの発生を減少させる血漿増量剤を含み、代用血漿として好適な代替組成物を提供することも含まれる。
驚くべきことに、少なくとも10000ダルトン〜25000ダルトン又は最大50000ダルトンまでの分子量を有し、等電点が8未満である組換えゼラチン様タンパク質は、従来のゼラチンに比べてクリアランス速度が低いことが明らかになっている。本発明の文脈においては、このようなゼラチン様タンパク質をモノマー(単量体)又はモノマー単位と呼ぶ。組換え法により、上記モノマー又はモノマー単位の反復から構成されるゼラチン様タンパク質を調製することが可能である。本発明の文脈においては、このようなゼラチン様タンパク質をマルチマー(多重合体)又はポリマー(重合体)、特にダイマー(二量体)、トリマー(三量体)若しくはテトラマー(四量体)と呼ぶ。
また意外なことに、ポリマーにおけるモノマー単位の反復回数を増やすと、クリアランス速度が漸減することが明らかになった。GlnをGluで置換する結果、或いはAsnをAspで置換する結果、ゼラチン様タンパク質の電荷密度が上昇すると、クリアランス速度及びコロイド浸透効果の低下が認められることも意外な結果である。
さらに、意外なことに、ヒドロキシプロリンを実質的に含まない組換えゼラチン様タンパク質は、IgE抗体含有血液試料と免疫反応を起こさない。
従って本発明請求項に定義する組成物は、本発明の目的に適うものであり、かかる組成物は、生理学的に許容される濃度の生理食塩水溶液及びコロイド浸透作用を有するタンパク質を含み、かかるタンパク質コロイド浸透作用を有する化合物が、8未満の等電点と少なくとも10000ダルトン〜25000ダルトン又は最大50000ダルトンまでの分子量とを有する組換えゼラチン様タンパク質であることを特徴としている。さらなる特徴として本発明は、8未満の等電点と少なくとも10000ダルトン〜25000ダルトン又は最大50000ダルトンまでの分子量とを有する組換えゼラチン様タンパク質のダイマー、トリマー若しくはテトラマーにも関する。
本発明は、8未満の等電点と少なくとも10000ダルトン〜25000ダルトン又は最大50000ダルトンまでの分子量とを有する組換えゼラチン様タンパク質のモノマー、ダイマー、トリマー、テトラマー又はこれら以外のマルチマーの血漿増量剤としての使用法にも関する。
本発明は、8未満の等電点を有する組換えゼラチン様タンパク質のモノマー、ダイマー、トリマー、テトラマー又はマルチマーを、コロイド浸透作用をもつ化合物として有する組成物において、上記モノマーの分子量が少なくとも10000ダルトン〜25000ダルトン又は最大50000ダルトンである組成物を提供する。モノマーの分子量は10000から最大25000までが好ましく、15000から最大25000までであることがより好ましく、最大分子量を20000までとすることが、なお一層好ましい。
ゼラチン様タンパク質を、特に微生物を用いて組換え法で作製することにより、プリオンに関連する健康被害のリスクなしに、組成の一定したタンパク質を再現性よく作出することが可能になる。
実施例2は、市販の組成物に比べて本発明組成物のクリアランス速度が低いことを示すものである。さらに、ポリマーにおいて本発明組換えゼラチンモノマーを多数回にわたり反復させることにより、クリアランス速度が予期せぬ低下をみせたことも示している。総浸透圧にコロイドが関与する部分は、コロイド浸透圧(colloid osmotic pressure又はoncotic pressure)として知られている。本発明の組成物には明らかに高張効果があるが、分子量が異なる以外は同じである組換えゼラチン様分子において、かかる高張効果の持続時間が延長されることから、高張効果持続時間の調節に分子量が利用できることが示される。この優れた効果は、コロイド浸透効果持続期間を良好に制御することが過去において探求されてきた臨床分野と極めて実践的に関係している。
実施例3では、被験者から得て試料中にIgE抗体の存在が認められた60試料からなるパネル中の2血液試料において、試験した市販調製物のうち2種類についてIgE抗体がそれらゼラチン誘導体と特異的に結合していたが、本発明の組成物の場合、全試料について過敏症反応のリスクが認められなかった。試験結果がポジティブを示した2試料の採取元である被験者に、市販のゼラチンベースの代用血漿組成物を必要に応じて投与する場合、これら被験者はアナフィラキシーショック症状を発症する可能性が高い。
天然型ゼラチン分子の一次アミノ酸配列は、基本的にGly−Xaa−Yaaトリプレットの反復からなり、従って総アミノ酸数のおよそ1/3がグリシンということになる。通常ゼラチンの分子量は大きく、その分子量は、10000〜300000ダルトンの範囲内で推移する。天然型ゼラチン分子の主画分の分子量は、約90000ダルトンである。平均分子量は90000ダルトンを超える。
さらにゼラチンの特徴として、プロリン残基が極めて多く含まれていることが挙げられる。より一層特徴的なのは、天然型ゼラチンでは多数のプロリン残基がヒドロキシル化されていることである。ヒドロキシル化が最も顕著なのは4位であり、その結果、通常存在しないアミノ酸4−ヒドロキシプロリンがゼラチン分子に存在することになる。トリプレットにおいて4−ヒドロキシプロリンは常にYaa位置に認められる。ごく稀に3位でヒドロキシル化されるプロリン残基がある。4−ヒドロキシプロリンとは対照的に、3−ヒドロキシプロリンは常にグリシン残基のカルボキシル側、すなわちトリプレットのXaa位置で見出される。種々の酵素が3−又は4−ヒドロキシプロリンの形成に関与している。
既知のアミノ酸組成に基づき、哺乳動物由来のゼラチン分子においては、アミノ酸の約22%がプロリン残基又はヒドロキシプロリン残基であると推定されている。しかし魚類、特に冷水魚においては、プロリン及びヒドロキシプロリンがこれより低い組成で存在していることがわかっている。概算上は、プロリン残基とヒドロキシプロリン残基がおおよそ同量含まれることから、哺乳動物由来ゼラチン分子では、アミノ酸の約11%がプロリンであり、約11%がヒドロキシプロリンである。実質的に全てのヒドロキシプロリンがYaa位置に存在しているため、ゼラチン分子における全トリプレットの約1/3にヒドロキシプロリンが含まれていると推定される。ヒドロキシプロリン残基が存在していることによって、ゼラチン分子はその二次構造においてへリックス構造をとることができるのである。
さらに、別のタンパク質には殆ど存在せずに天然型ゼラチンに存在する上記以外のアミノ酸は5−ヒドロキシリシンである。かくの如く修飾されたリシン残基は、常にトリプレットのYaa位置において認められる。
本発明で使用するゼラチン様タンパク質は、総アミノ酸数の少なくとも5%がプロリン残基であるタンパク質として理解される。ゲル化特性としてではなく、好ましくない三次元球状ドメインの不在として定義される本発明の目的に鑑みて、ゼラチン様としての特徴は、上記割合のもとで確保される。ゼラチン様タンパク質においては、総アミノ酸数の少なくとも10%がプロリン残基であることが好ましく、少なくとも15%がプロリン残基であることがより好ましい。タンパク質におけるプロリンの割合が低ければ低いほど、そのタンパク質におけるプロリン残基の分布が適切になる(relevant)。従って総アミノ酸数の5%がプロリン残基であるタンパク質では、これらのプロリン残基が均一に分布していることが好ましい。好適なタンパク質を設計するに際し、当業者であれば例えばコンピューターモデルシステムの助けを得て、球状ドメインを生起しないプロリン残基を含む配列を設計することは可能である。球状ドメインの形成を防ぐ指標として、本発明で用いるゼラチン様タンパク質に、プロリン残基が不在のままに20アミノ酸を超えるストレッチが含まれないようにすべきことが好ましい。
ゼラチンの特色は、Gly−Xaa−Yaaのトリプレットが存在することである。かかるトリプレットは、本発明に用いるゼラチン様タンパク質にも存在していることが好ましい。しかし、Gly−Xaa−Yaaトリプレットが、又はGly−Xaa−Yaaトリプレットが連続するストレッチが、1若しくは2以上のアミノ酸により分断されているタンパク質を設計することは可能である。「中断された」トリプレット又はトリプレットの連続ストレッチを有するゼラチン様タンパク質においては、上記に定義したゼラチン様の特徴が該当する。上述の本発明に有用なゼラチン様タンパク質の定義は、完全にGly−Xaa−Yaaトリプレットのみから構成されるタンパク質に関して、少なくとも15%のトリプレットにプロリン残基が含まれるタンパク質として説明される。かかるゼラチン様タンパク質には、プロリン残基が不在のままに6トリプレットを超える長さのストレッチが含まれないことが好ましい。本発明に用いるゼラチン様タンパク質には、少なくとも10、好ましくは少なくとも20、より好ましくは30を超えるGly−Xaa−Yaaトリプレットの連続反復からなるストレッチが含まれることが好ましい。
被験者に投与したときに、血液循環系からの目的とするクリアランス速度と共に好適なコロイド浸透圧を維持するため、本発明に用いるゼラチン様分子の分子量は、少なくとも10000ダルトンあることが必要で、20000ダルトンを超えることが好ましく、30000ダルトンを超えることがより好ましい。より一層好ましい分子量は、約30000ダルトン〜120000ダルトンである。50000ダルトンを超える分子量とするためには、請求項1に定義するゼラチン様タンパク質のマルチマー、少なくともダイマーを調製する必要があることは明らかである。本発明で使用するゼラチン様分子におけるヒドロキシプロリン残基数は少ないことが好ましく、これはヒドロキシプロリン残基がポリペプチド中のアミノ酸残基の10%未満であることを意味する。ヒドロキシプロリンの量は、組換えゼラチンのゲル化を防ぐために制限される。血漿増量剤の適用濃度が制限され、また血漿増量剤の溶液を投与前に温めることが必要となるので、ゲル化は回避することが好ましい。
ヒドロキシプロリンの量は、標準的なアミノ酸分析法であればいずれの方法で測定してもよいが、例えば、HP AminoQuant Series II, operators handbook, 1990, Hewlett-Packard GmbH, Federal Republic of Germany, Waldbronn Analytical Division, HP Part No. 01090-90025に記載の方法が用いられる。
アレルギー疾患又は自己免疫疾患を抱える者のように、ゼラチン誘導体をベースとする市販の代用血漿調製物に非寛容な被験者も存在する。この問題と直面したときの改良点としてまず、ゼラチンタンパク質の精製度を高めることが考慮された。アプローチの一環として、天然型ゼラチンの単離工程をより一層最適化すること、或いは誘導体化とそれに続く精製工程を最適化することが挙げられる。もう一つの可能性は、ゼラチンに取って代わる材料又は別のゼラチン製造方法を見出すことにある。今日みるバイオテクノロジーの発達や、ゼラチン及びコラーゲンの組換え作製法の進歩に関する知識をもってすれば、組成の一定したタンパク質を再現性よく作製するには、上記の方向性を志向することが考慮される。
上述したとおり、ゼラチンはアレルギー疾患若しくは自己免疫疾患を有する被験者にとっては致命的となり得る。ゼラチンを組換えにより作製するアプローチをとる場合、かかるゼラチンにおいては、現在使用されているウシ由来ゼラチンに比べてヒト被験者における免疫原性がさらに低くなければならないことを考慮すると、組換えヒトゼラチンの製造が採用されるのは明らかである。さらに、ゼラチンの基本構造に著しい変化を誘起してはならないことも明らかである。
実施態様のひとつにおいて、組換えゼラチン様タンパク質に含まれるヒドロキシプロリンは10%未満である。天然型ゼラチンにヒドロキシプロリン残基が存在すると、その分子にへリックス構造が生じる。ヒドロキシプロリン残基を減らすことにより、ゼラチン様タンパク質におけるへリックス構造の形成が回避され、低温範囲下にあっても上記タンパク質におけるゲル化が回避される。
ゼラチン様タンパク質の免疫性や抗原性に関する特質について本発明に有用な情報は、先行技術の中にはみられない。本発明に用いるゼラチン様タンパク質が、天然型ゼラチンと化学的及び構造的に相違することを根拠として、かかるタンパク質を代用血漿組成物に用いることに反対する意見がある。しかし意外なことに、本発明に用いるゼラチン様タンパク質には、IgE抗体価が上昇した血液との免疫原性相互作用が認められないのである。
ゼラチン様タンパク質は、合成核酸配列からデノボで作出できる。この方法により、タンパク質をオーダーメードで設計することが可能となる。設計した合成
核酸配列を公知の組換え技術により、好適微生物において発現させることができる。
本発明に用いるゼラチン様タンパク質の設計に関連してゼラチン様タンパク質の特徴をいくつか示す。例えば、ゼラチン様タンパク質の具体的なサイズや具体的なサイズ範囲を特定することにより、そのゼラチン様タンパク質におけるクリアランス速度を、「デザインイン(design-in)」することができる。これを、ゼラチン様タンパク質を投与する被験者について判明している腎臓系の特性(例えばクリアチニンクリアランスパターンで測定する)と併用すると、さらに有利である。ゼラチン様タンパク質のサイズは、例えば天然型ヒトコラーゲンの特定部分を表す特定のモノマー(ブロックポリマーとみなすことも可)をマルチマー化することにより設計することができる。ゼラチン様タンパク質の1、2、3、4若しくは5以上のモノマーからなるマルチマー化した完全血漿増量剤におけるモノマーの数を段階的に増加させることにより、それぞれのクリアランス特性がよく定義付けられた一連の血漿増量剤を設計できる。モノマーのアミノ酸(AA)配列は、ヒトコラーゲン配列から、ポリペプチドの等電点(IEP)が低く、かつ例えば酵母や真菌等の目的単細胞産生系に存在するいかなるタンパク質分解活性に対しても低感受性を示すAAドメインを選択することにより、選ぶことができる。ゼラチン様タンパク質のサイズは、本明細書に述べるように、コロイド浸透圧にとって一層の重要性がある。さらにまた等電点、及びイオン化し得る残基グループを有するアミノ酸の数も、ゼラチン様タンパク質における酸性及び塩基性アミノ酸残基の組成に基づいて調節することができる。
本発明の組換えゼラチン様タンパク質の等電点は、8未満である。pH8では、リシン及びアルギニンは正に電荷しており、グルタミン酸及びアスパラギン酸は負に電荷しており、グルタミン及びアスパラギンは中性である。グルタミン及びアスパラギンは、発現配列における点変異により、或いは発現後の組換え構造の脱アミド化により、その酸と置き換えることができる。アスパラギン酸残基又はグルタミン酸残基等の負電荷グループは、組換えゼラチン様タンパク質全体にわたってランダムに分散していることが好ましい。所望する場合は、抗原性が上昇しない限りにおいて負電荷残基グループを有するアミノ酸の数を増やしてデザインインしてもよい。
本発明にとって重要なことは、組換えゼラチン様タンパク質が適切な等電点をもつように選択され、或いは設計され、血液循環におけるクリアランス速度を大幅に低下させることである。このような組換えゼラチン様タンパク質のマルチマーを調製することにより、所望の等電点を保持しつつ上記効果に一層の改良が得られることになる。等電点は8未満とし、7未満が好ましく、6未満がさらに好ましく、5未満がなお一層好ましい。さらに好ましいのは、ゼラチン様タンパク質の等電点が少なくとも3を超えることであり、4を超えることが一層好ましい。従って本発明における好適範囲は、(少なくとも)〜(最大);3〜8、4〜8、3〜7、4〜7、3〜6、4〜6、3〜5及び4〜5の等電点を有するゼラチン様タンパク質である。
一実施例において、アスパラギン及び/又はグルタミンをアスパラギン酸及び/又はグルタミン酸に変換する脱アミド化により、pH8未満における負電荷グループの量を増加させている。
実施例のひとつにおいて、本発明の組成物には、本来単分散性を示すゼラチン様タンパク質が含まれる。単分散性とは、組成及び分子量が一定していることを意味する。組換えによる作製過程で生じる組成変化は許容される。分子量との関連において単分散性の有用な定義は、組成物中のゼラチン様タンパク質総量の少なくとも75%における分子量が、選択した分子量の±10%の範囲に収まることである。選択する分子量は、所望のコロイド浸透圧及び血液循環系からの所望のクリアランス速度に依存する。別の実施例において本発明の組成物には、いずれも本来単分散性でありながら分子量が異なる2種若しくは3種以上のゼラチン様タンパク質が含まれる。分子量が異なると、循環血液におけるクリアランスパターンも異なったものとなる。上記組成に基づくと、組成物の血漿増量活性を長期にわたり調節することが可能となる。
本発明に用いるゼラチン様タンパク質の出発点は、自然に発生するゼラチン分子をコードする単離遺伝子であってもよく、かかる遺伝子に組換え手法を用いてさらに処理を施す。本発明に用いるゼラチン様タンパク質は、ヒドロキシプロリン残基がアミノ酸残基の10%未満であるという違いはありつつもヒト天然アミノ酸配列に類似していることが好ましい。
本発明で用いるゼラチン様タンパク質に含まれる点変異が1%未満であるとき、かかるタンパク質は、ヒト天然アミノ酸配列に類似していることになる。但し、アスパラギンのアスパラギン酸への置換及びグルタミンのグルタミン酸への置換は、点変異とみなさない。
本発明に用いるゼラチン様タンパク質は、欧州特許出願公開第0926543号、同1014176号、及びWO01/34646号に開示されている組換え手法により作製できる。また、本発明の組成物に好適に用いられるゼラチン様タンパク質の産生及び精製を実施可能とするために、欧州特許出願公開第0926543号及び同1014176号の実施例を参照した。従ってゼラチン様タンパク質は、かかるポリペプチドをコードする核酸配列を、好適微生物を用いて発現させることにより作出できる。この方法には、真菌細胞又は酵母細胞が好適に用いられる。宿主細胞としては、Hansenula、Trichoderma、Aspergillus、Penicillium、Neurospora、又はPichia等の高発現宿主細胞が適当である。真菌及び酵母細胞は、反復配列の不適切な発現に対して細菌より低感受性であることから細菌より好ましい。最も好ましいのは宿主が、発現されたコラーゲン構造を分解するプロテアーゼを高レベルにもたないことである。この観点からPichia又はHansenulaが非常に好適な発現系として例示される。Pichia pastorisを発現系として使用する方法については欧州特許出願公開第0926543号及び同1014176号に開示されている。この微生物には、とりわけプロリンのヒドロキシル化及びリシンのヒドロキシル化などの活性な翻訳後プロセシング機構が存しないことが好ましい。使用する宿主にプロリル−4−ヒドロキシラーゼを発現させる遺伝子が含まれていなくてもよい。宿主にリシル−ヒドロキシラーゼが存在しなくてもよいことが好ましい。宿主細胞や発現させる配列に関する知識とあわせ、本明細書に示すパラメーター要件に基づいて既知の産業用の酵素産生真菌宿主細胞、特に酵母細胞のなかから適切な宿主細胞を選択して、本発明の組成物に適した組換えゼラチン様タンパク質を発現させるのに好適な宿主細胞を提供することは当業者には可能である。
今日利用可能な分子バイオテクノロジー技術を用いることにより、テトラマー(四重体)までのマルチマーは既に調製されている。本発明は、モノマー単位の4回を超える反復、例えば5、6、7、8、9、10及び11回以上の反復からなるマルチマーも包含するものである。
組換え法により本発明に用いるタンパク質を作製した場合、特に酵母において組換え遺伝子を発現させる方法で作製した場合、かかるタンパク質がシステイン又は他のメルカプトアミノ酸を含まず、また1−4位(Met−Xay−Xaz−Arg)にメチオニンとアルギニンをあわせもたないことが好ましい。なぜなら、そのような配列は酵素によるタンパク質分解に感受性を示すからである。本発明に従いアミノ酸配列を設計若しくは選択する際に、上記以外にタンパク質分解に感受性を示す可能性を有する部位、すなわち特異的アミノ酸ストレッチは、当業者には明らかであり、当業者であればそうした部位を組換えゼラチン様タンパク質に含めることはしない。
本発明に用いるタンパク質は、DNA発現による方法以外にも例えば化学的タンパク質合成法により、部分的に若しくは全体的に作製することもでき、その場合、上記タンパク質には非天然型アミノ酸も含まれていてよい。
本発明の組成物を得るために、生理学的pHを有し、かつ生理学的に許容される濃度の生理食塩水にゼラチン様タンパク質を溶解する。生理食塩水とは、Na+イオンとCl-イオンが水に溶けた溶液である。代用血漿組成物は大量投与される可能性が非常に高いので、希釈効果が電解質バランスを崩さないように注意を払う必要がある。本発明の組成物を調製するにあたり、当業者であればNa+イオン及びCl-イオンを適切濃度で用いることが可能である。実施有効範囲は、Na+イオンが120〜170mmol/l、Cl-イオンが90〜140mmol/lである。所望する場合は、通常血液に含まれる成分がさらに1若しくは2以上、本発明組成物に含まれていてもよい。例えば本発明の組成物には、Mg2+、K+、Ca2+、HPO4 2-、H2PO4 -及びグルコースから選択される1若しくは2以上の成分が生理学的な許容濃度で含まれる。当業者であれば、各成分について生理学的に許容される濃度を決定することが可能である。本発明の組成物が、好ましくはHCO3 -及び乳酸からなるグループから選択される緩衝化合物をも含むことが好適である。緩衝剤について、組成物を生理学的に許容されるpH下に維持するための適切量を決定することは、当業者には可能である。
本発明の組成物が、ヒト被験者の血液とほぼ等張又は等浸透性であることが好ましく、従って組成物の浸透圧が270〜300mOsmの範囲にあることが好ましい。
ゼラチン様タンパク質の目的は、コロイド浸透圧を適切なものに維持して十分量の血液循環を確保することにある。本発明の一実施例において、使用するタンパク質が非ゲル化を特徴とすることは、循環系から速やかに浄化されることのない、かなり大きなサイズの高分子を用いることが可能になる点で有利である。血漿増量剤として有効に機能するために、ゼラチン様モノマーの分子量は少なくとも10000ダルトンあることが必要だが、50000を超えてはならない。モノマーとして好ましい分子量は、10000から最大で25000であり、15000から最大で25000がより好ましく、最大で20000がさらに好ましい。
本発明に従えば、所望のコロイド浸透圧及び/又は血液循環系からの所望のクリアランス速度に鑑みて好ましいと思われる場合に、モノマー単位をマルチマー化して、より一層大きなゼラチン様タンパク質を利用することが可能となる。従来のゼラチンと比べてプロリン(Pro)のヒドロキシル化が減少している場合に、ゲル化のリスクや、粘度があまりに高くなりすぎるリスクなしに高分子量のゼラチン様タンパク質を含む組成物を用いることができる。しかし、分子量が200000ダルトンを超えるゼラチン様タンパク質を本発明組成物に用いることは好適でないと考えられる。分子量が100000ダルトンを超えることは好ましくないが、これまではヒドロキシプロリンが多く含有されてゲル化を誘発するという理由で分子量が制限されてきた。
本発明のゼラチン様タンパク質は、ヒト血液のpH値(約pH8)より低い等電点を有する。かかるゼラチン様タンパク質の等電点は、少なくとも約4、最大で約7が好ましい。
本発明の組成物に用いることができ、かつ好適なゼラチン様タンパク質の設計に、当業者であれば市販及び無料のソフトウエアを利用できる。既知のアミノ酸配列を有する構造の等電点は、例えば、Molecular Biology Laboratory(ハイデルベルグ)のL.I.G. ToldoのプログラムであるJaMBW 1.1によって計算できる。
本発明の組成物及び使用法に関する実施例のひとつにおいて、組換えゼラチン様タンパク質におけるpH8での負電荷アミノ酸残基の数から、該組換えゼラチン様タンパク質におけるpH8での正電荷アミノ酸残基の数を引いた値は、少なくとも2であり、少なくとも3であることが好ましい。
多くの血液血漿タンパク質は輸送機能をもつ。等電点が低いと、ゼラチン様タンパク質がこれら血液血漿タンパク質と相互作用する機会が減少し、よって上記血液血漿タンパク質機能が阻害される機会も減少する。
本発明のゼラチン様タンパク質におけるクリアランス速度が低い理由としては、血管壁を覆うグリコカリックス(glycocalyx)のバリア性による説明が可能である。グリコカリックスは、血管と周辺組織との間における溶解物やタンパク質等の物質の輸送を調節している。こうした機能が発揮される所以であるグリコカリックスの正確な機能及びその機構については未だ解明されていない。従って、グリコカリックスと、血漿増量剤におけるゼラチン等の外来タンパク質との相互作用は回避することが適当である。本発明のゼラチン様タンパク質はグリコカリックスとの相互作用性が低いので、ゼラチン様タンパク質の血液から周辺組織への移動を軽減することになる。例えばGlnをGluで置換し、或いはAsnをAspで置換してpH8におけるゼラチン様血漿増量剤の負電荷の総余剰量を増加させる方法は、血漿増量剤とグリコカリックスがさらに相互作用することを減じ、血漿増量剤の血管内における半減期を延長させる手法である。また、本発明のゼラチン様タンパク質によりグリコカリックスが(一時的に)損傷を受けることは、グリコカリックスに対するゼラチン様タンパク質の反発作用によって回避できる。このような(一時的な)損傷は、血漿増量剤を含む循環血液量の増加につながり、血圧低下という望ましくない結果をみることになる。
本発明の組成物には、血液中のヒト血清アルブミンの浸透圧と匹敵する、若しくはそれを若干上回る浸透圧を展開する量のゼラチン様タンパク質が含まれる。組成物におけるコロイド浸透圧の測定は、例えば20000ダルトンで遮断する適切な半透過性膜を備えた市販の膜浸透圧計(membrane osmometer)を使用することにより、当業者には日常的な作業である。当業者には、所望の浸透圧に適したゼラチン様タンパク質の量を正しく決定することが可能である。適用可能範囲のゼラチン様タンパク質の量は、通常2〜8重量%である。
所望する場合には、本発明の代用血漿組成物と同時に薬理学的に活性な化合物を導入することができる。例えば血液凝固過程に関与する薬剤を同時導入することが有利な場合もある。かかる組成物は、手術中や手術前の血液希釈において血漿増量剤を適用する際に特に有用である。従って本発明組成物の別の実施態様には、薬理学的に活性な化合物が含まれる。
血漿内において循環時間が持続するというゼラチン様タンパク質の長所を利用するために、薬理学的に活性な化合物をゼラチン様タンパク質に共有結合させることが具体的に考慮される。本発明組成物のさらなる実施態様には、ゼラチン様タンパク質に共有結合させた薬理学的に活性な化合物が含まれる。
薬理学的に活性な化合物をタンパク質に共有結合させることは、平均的な有機化学者にとって日常的な事柄である。例えば、薬剤中のカルボキシル官能基を、タンパク質中のリシンのアミノ基に結合させるには、遊離アミンと反応するDCC若しくはEDC及びNHSを用いて上記カルボキシル基をその活性エステルに転化させればよい。
タンパク質におけると同様に、他の分子における共有結合でもリシン残基は残基の選択肢にはいる。それゆえに実質的にリシン残基を含まないタンパク質は望ましくないのである。逆にリシン残基は含まれていなければならず、存在するリシン残基の数がわかっていることが好ましい。その数が判明していると、薬理学的に活性な化合物がいくつタンパク質に結合しているかの推定が可能となり、ひいては適量の薬剤投与が可能になる。合成核酸配列をデノボに設計することにより、今やリシン残基を特定量導入するという有利な可能性がもたらされ、よって薬理学的に活性な化合物を有する、よく定義されたゼラチン様タンパク質の作製が可能となる。タンパク質が浄化される時間と薬剤の投与量との間に明確な相関関係が示される。
タンパク質に結合した薬剤は、投与後に循環血液から間質へと拡散することはない。このことは、血管内で作用しなければならない薬剤にとって特に好都合な点である。薬剤が間質液に拡散して被験者の体内に広がることによる望ましくない副作用が回避される。血管外活性プロフィール同様に血管内活性プロフィールを有する薬剤もまた、活性が血管内に集中されることによる恩恵を受ける。
肝臓及び腎臓におけるクリアランスは最小限とし、薬剤の血漿レベルをより一定に確保する。ゼラチン様タンパク質に結合した薬剤の半減期は延長される。
血管内投与され、本発明に用いるタンパク質と結合させるのに好適な薬剤としては、血液凝固抑制、血管拡張、赤血球や血小板や白血球の機能、血栓症、免疫応答、及びホルモン等のメッセンジャー分子の血中レベルに関与する薬剤が例示される。具体的には、ヘパリン、β−ブロッカー、アンジオテンシン拮抗剤等の血圧調整剤、及び抗生物質がある。
本発明組成物に用いるゼラチン様タンパク質の修飾は、薬理学的に活性な化合物との結合に限定されない。その特性を改良するため、ゼラチン様タンパク質を組換えにより作製して単離した後に、上記以外の修飾を施すことが可能である。例えば、等電点又は可溶性又はその他の関係ある特性に影響するような修飾が有利である。これらの修飾により、免疫反応又は抗原反応を誘起する可能性のある要素が導入されないように留意すべきである。
ヒト組換えゼラチン様ポリペプチドであるHu−1、Hu−3、Hu−4及びHu−deamは、欧州特許出願公開第0926543号及び同1014176号に開示されている組換え法により作製した。
コードされた成熟(処理済)Hu−1アミノ酸配列は以下のとおり。
Figure 0004841803
分子量:18.4kDa、等電点:5.35
同様にして、Hu−1のトリマーであるHu−3も作製した。
Figure 0004841803
同様にして、Hu−1のテトラマーであるHu−4も作製した。
Figure 0004841803
同様にして、グルタミン残基がグルタミン酸残基に置換され、アスパラギン残基がアスパラギン酸残基に置換されて等電点が8.7から4.6に低下したHu−deamを作製した。
Figure 0004841803
タンパク質分解を防ぐために、108、318及び336の各残基位置においてアルギニンをプロリンに置換した。
ラットを用いたゼラチン溶液の前臨床評価
血管系の充填は、インビボでのコロイド浸透活性と関連している。コロイド浸透活性は、ゼラチンを所定量投与したときの血漿量の増加を調べることにより測定できる。実施に際しては、良好な測定可能効果を得るために、例えば体重換算で20ml/kg(血液量の約30%)を抜き取り、所定濃度(推定される等コロイド浸透(iso-oncotic)濃度に近い濃度)でゼラチンを含有する溶液と等量交換することが可能である。所定量のゼラチン溶液を投与することによるインビボでのコロイド浸透効果は、赤血球数にみる実際の効果と予想効果とを比較することにより測定できる。
高分子が循環系から浄化されると血漿量は減少し、赤血球数又はヘマトクリット値が増加する。従って、赤血球数の変化を測定することにより、コロイド浸透効果の持続期間が明らかになる。比較的小さい高分子(電荷及び形状依存で30kD未満)は、腎臓で浄化される。腎臓からの排出量は、尿を回収してそのゼラチン濃度を調べることにより測定できる。多量のゼラチンが排出されれば、尿細管にゼラチンが沈殿して細管閉塞が生じることもある。これについては光学顕微鏡下での観察が可能である。
ゼラチン溶液の成分、特に酵母からの不純物が炎症反応を誘発することがある。その結果、何よりも血管の活性化及び/又は好中球の活性化が生じる。
時間単位で半減期を迎えると予想されるため、初期実験に要する時間は4時間で十分であると考えられる。すなわち実験全体を麻酔下で実施することができるので、血圧測定及び血液採取が容易となり、またラットの苦痛を最小限にすることが可能となる。
等コロイド浸透活性は血漿濃度を測定することなく求められるが、クリアランスの測定には、血漿中及び尿中のゼラチンを測定するアッセイ法を用いる。或いは、標識により性状が変化するかもしれないという欠点はあるものの、標識ゼラチンを使用することもできる。
プロトコール:
動物データ
種:ラット
系統/性別:Wister HsdCpb:WU、雌
手順
1.試験溶液の投与
血液の回収:10分間に20ml/kg
ゼラチン溶液の注入:10分間に20ml/kg(4〜6ml)
2.血液試料
血液:0.2〜1.5mlの血液試料を静脈カニューレからシリンジに採取し、0、60、120及び240分後にEDTAの入ったポリプロピレン薬瓶に速やかに移した。
3.実験期間
試験溶液の投与240分後に致死量のペントバルビタールを投与して実験を終了させた。
Figure 0004841803
実験課題
a)ガラスキャピラリーを用いて10000gで5分間血液の遠心分離を行い、ヘマトクリットを測定した。
b)電子細胞計数器(model ZF; Coulter Electronics社製)を用いて赤血球数を計数した。
計算
各時点におけるヘマトクリット(hct)を、それぞれの時点における赤血球(rbc)数から計算する。t=0におけるrbc数から、t=0におけるヘマトクリットを計算する。
予想される(仮定の)容量は以下のように計算する。
i)液体移動がないものとして予想血液量(BV)を計算する:
t=0のとき(ml) : 65(ml/kg)×体重(kg)
t≧20のとき : (BVt=0)−除去量+注入量
ii)予想血漿量(PV)は、液体移動がないものとして、また体ヘマトクリットが抹消血におけるヘマトクリットと等しいものとしてmlで計算する:
t=0のとき(ml): (BVt=0)×(1−hct t=0)
t≧20のとき : (PVt=0)−除去血漿量+注入量
iii)予想ヘマトクリットは、(BV−PV)/BVとして計算する。
真(real)の容量は以下のように推定される:
i)t=0で予想される推定の真のBV、それ以降はヘマトクリットの予想値と観察値の比率から推定する:
t=0のとき(ml) : 65(ml/kg)×体重(kg)
t≧20のとき : BV予想値×予想hct/観察hct
ii)t=0で予想される推定の真のPV、それ以降は計算された真のBVと観察ヘマトクリットから推定する:
t=0のとき(ml) : (BVt=0)×(1−hctt=0)
t≧20のとき :推定された真のBV×(1−hct)
注入量と、推定された真の血漿量と予想血漿量との差から、注入試験溶液によるt=60での増加量を推定した。:
i)t=60における増加量: 注入量−(予想PVt=60)+(推定された真のPVt=60)
ii)コロイド1g毎の増加量(ml/g)
結果とディスカッション
血漿量の増量
図1は、生理食塩水溶液添加後、及び5%ヒト血清アルブミン(HSA)溶液添加後の増加量を示している。ヘマトクリット値から算出したところ、生理食塩水溶液は短時間しか持続しない限定的な効果を示したが、HSAは非常に長く持続するコロイド浸透効果を示す。上記ヘマトクリット値は、全観察期間にわたり予想より低値を示していた。このモデルにアルブミンを注入した場合、注入1時間後に、1gのアルブミンにつき30mlの増量が認められた。
図2は、組換えゼラチンHu−3及びHu−4の4%溶液を注入した効果としての増加量を示している。
いずれの溶液においても高張効果が明瞭に認められるが、Hu−3の高張効果は240分後に消失し、Hu−4の高張効果は、さらに長時間持続する(最高6時間、本実験には示さず)。Hu−3とHu−4の違いは分子量の違いだけであることから、高張効果の持続期間の調節に分子量が利用できることがわかる。コロイド浸透効果の持続期間を良好に制御する方法が臨床使用面で過去求められてきたが、上述した顕著な効果は、臨床使用と密接に関係している。分子量が55.2kDから73.6kDへと増加すると、高張効果が4時間から6時間へと延長される。
図3は、Hu−deamのコロイド浸透効果を経時測定した結果を示す図である。Hu−deamは完全天然型のアミノ酸配列を有しており、該アミノ酸配列においては、GlnとAsnの両アミノ酸がGluとAspの両アミノ酸にそれぞれ置換されており、その結果、等電点(IEP)が9.7から4.6に低下している。この脱アミド化は、コラーゲンをゼラチンへと転化させる化学修飾に特徴的な化学的脱アミド化と類似している。免疫原性に及ぼす効果は、ゲリフンドールや、従来ゼラチンに基づく他の血漿増量剤を長期にわたり臨床使用した結果から、限定的或いは不在であることが示された。
上述の脱アミド化は、天然型コラーゲンタンパク質の等電点を低下させ、電荷密度を増加させるための安全な方法である。図3は、高張効果が6時間を超えて持続することを示しているが、これは、Hu−3の場合より長い。Hu−3の分子量は55.2kDであり、Hu−deamのそれは48kDであるが、この例から、高張効果を操作するために組換えゼラチンの電荷密度が重要な要素であることが示される。電荷密度が増加することにより、高張効果の持続時間が延長される。天然型配列に比し、Hu−deamには、さらに3個の点変異(Arg→Pro)が、108、318及び336の各残基位置にあり、タンパク質分解のリスクを軽減している。これは、発酵過程において各アルギニン残基が、タンパク質分解開裂(細胞内又は細胞外)を生じさせる一定のリスク要因であることが知られていることによる。
図4は、ゲリフンドールを4g/100mlの濃度で添加したときのコロイド浸透効果を示す図である。ゲリフンドールの容積効果持続期間は極めて短い(図4)。また、ラットの尿にゲリフンドールの小画分が認められた。
以上の結果から、組換えゼラチンの分子量を利用してコロイド浸透効果を操作できること、また基礎となるモノマーのマルチマー化が、実際にコロイド浸透効果を高める有効な手段であることが明らかに示される。Hu−2(分子量36.8kDのダイマー)のコロイド浸透効果は、トリマーのコロイド浸透効果より短く、ゲリフンドールのそれより長いことが示された(データは示さず)。
さらに、Gln及びAsnを、Glu及びAspで置換することは、電荷密度を増すための有効な方法であると考えられる。電荷密度が上昇することにより、コロイド浸透効果が一層高まることが明らかになっている。
放射アレルゲン吸着試験(RAS試験又はRAST)
ある特定のアレルゲン又はタンパク質に対するIgE抗体の存在を明らかにするためにRAS試験が用いられる。RAS試験の詳細に関しては、Aalberse et al. J. Allergy Clin. Immunol., 1981, vol.68: 356-364を参照した。
試験したゼラチンを含有する組成物は以下のとおり:
ゲロフシン(登録商標)、ゲリフンドール(登録商標)、Hu−3含有組成物、Hu−4含有組成物及びHu−deam含有組成物
ゲロフシン(登録商標)(修飾ゼラチン40g/l、Na+154mmol/l、Cl-125mmol/l)、及びゲリフンドール(登録商標)(修飾ゼラチン55g/l、Na+145mmol/l、Cl-100mmol/l、NaEDTA0.19g/l、Ca2+0.5mmol/l、HCO3 -30mmol/l)は、市販されている状態で使用した。
Hu−3、Hu−4及びHu−deamについては実施例1に記載がある。PBS(Na+164mmol/l、Cl-140mmol/l、HPO4 2-10.9mmol/l、H2PO4 -1.8mmol/l)中にゼラチン様タンパク質のHu−3、Hu−4及びHu−deamをそれぞれ55g/l含む組成物を調製した。
特定の食品に対してアレルギーを起こすことがわかっている被験者の血清を試験した。血清は、食品、特に牛肉、豚肉及び卵に対するIgE抗体の存在がわかっているものを選択した。上記食品に対するIgE抗体をもつ被験者は、ゼラチンに対するIgE抗体も有している可能性がある。さらに、プラズマフェレーゼ(plasmaferese)から得て、既知のアレルギーに対するIgE抗体の存在を基準にして選択した49血漿試料を試験した。
製造者の指示に基づく標準的な結合プロトコールに従って、ゼラチン誘導体又はゼラチン様タンパク質をCNBr活性化セファロースビーズ(Amersham Pharmacia Biotech社製、Uppsala, Sweden)に結合させた(1mgのビーズに対して約1μgのタンパク質)。ヒト血清アルブミン含有緩衝液を用いて、1mlあたり2mgのビーズの濃度とした。
ゼラチン誘導体又はゼラチン様タンパク質に結合させたセファロースビーズ250μlを血清又は血漿試料50μlの共存下において室温で一晩インキュベーションした。これらのビーズを4回洗浄して過剰の血清又は血漿を除去し、250μlの培地に再懸濁した。
上記ビーズを、125Iで標識した抗ヒトIgE抗体50μlの共存下において室温で一晩インキュベーションする。この標識抗IgE抗体は、クロラミンTを用いる標準的な手法で調製する。
ビーズを4回洗浄し、過剰の125I標識抗ヒトIgE抗体を取り除く。試料中の反応性を計数する(ポジティブ及びネガティブ対照群を用いて)。試料に反応性が認められることは、血清又は血漿中においてIgEがゼラチン誘導体若しくはゼラチン様タンパク質に結合したことを示しており、よって過敏症反応が誘発されたことを示すものである。
結果
Figure 0004841803
対照実験においては、ポジティブと判定された試料を、ゲロフシン(登録商標)及びゲリフンドール(登録商標)の共存下で事前インキュベーションする。事前インキュベーション後に行ったRAS試験において放射活性は全く認められなかった。免疫反応は、使用するゼラチン誘導体に特異的である。
生理食塩水及びヒト血清アルブミン(HSA)注入後の時間経過と血漿増加量との関係を示す図である。 Hu−3及びHu−4注入後の時間経過と血漿増加量との関係を示す図である。 Hu−deam注入後の時間経過と血漿増加量との関係を示す図である。 ゲリフンドール注入後の時間経過とゼラチン血漿濃度との関係を示す図である。

Claims (8)

  1. 生理学的に許容される濃度の生理食塩水溶液及びコロイド浸透作用を有するタンパク質を含み、代用血漿として好適な組成物であって、上記コロイド浸透作用を有するタンパク質が、組換えゼラチン様タンパク質のモノマーのダイマー若しくはトリマー若しくはテトラマーであり、前記モノマーが少なくとも10000ダルトンから最大50000ダルトンまでの分子量及び4〜6の等電点を有することを特徴とする組成物。
  2. 組換えゼラチン様タンパク質のモノマーが、少なくとも15000ダルトンから最大25000ダルトンまでの分子量を有することを特徴とする請求項1に記載の組成物。
  3. 組換えゼラチン様タンパク質のモノマーにおけるpH8下での負電荷アミノ酸残基数から、該組換えゼラチン様タンパク質におけるpH8下での正電荷アミノ酸残基数を引いた数字が少なくとも2であることを特徴とする請求項1又は2に記載の組成物。
  4. 4〜6の等電点を有する組換えゼラチン様タンパク質のモノマーが、グルタミンをグルタミン酸で置換することによって、及び/又は、アスパラギンをアスパラギン酸で置換することによって得られることを特徴とする請求項1〜のいずれかに記載の組成物。
  5. コロイド浸透作用を有するタンパク質が、Hu−3(配列番号2)又はHu−4(配列番号3)の配列であることを特徴とする請求項1〜のいずれかに記載の組成物。
  6. 請求項1〜のいずれか記載のコロイド浸透作用を有するタンパク質の、代用血漿組成物の調製における使用。
  7. 少なくとも10000ダルトンから最大50000ダルトンまでの分子量及び4〜6の等電点を有するGly−Xaa−Yaaトリプレットを含む、組換えゼラチン様タンパク質のモノマーのダイマー若しくはトリマー若しくはテトラマーである組換えタンパク質。
  8. Hu―3(配列番号2)又はHu−4(配列番号3)であることを特徴とする請求項に記載の組換えタンパク質。
JP2003320045A 2003-09-11 2003-09-11 組換えゼラチン様タンパク質の血漿増量剤としての使用法及び代用血漿に適した組成物 Expired - Fee Related JP4841803B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2003320045A JP4841803B2 (ja) 2003-09-11 2003-09-11 組換えゼラチン様タンパク質の血漿増量剤としての使用法及び代用血漿に適した組成物

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2003320045A JP4841803B2 (ja) 2003-09-11 2003-09-11 組換えゼラチン様タンパク質の血漿増量剤としての使用法及び代用血漿に適した組成物

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2005082584A JP2005082584A (ja) 2005-03-31
JP4841803B2 true JP4841803B2 (ja) 2011-12-21

Family

ID=34418813

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2003320045A Expired - Fee Related JP4841803B2 (ja) 2003-09-11 2003-09-11 組換えゼラチン様タンパク質の血漿増量剤としての使用法及び代用血漿に適した組成物

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP4841803B2 (ja)

Family Cites Families (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
DE2348294C3 (de) * 1973-09-26 1980-08-21 Laboratorien Hausmann Ag, St. Gallen (Schweiz) Modifizierte Gelatine mit erniedrigtem Gelschmelzpunkt
EP1238675A1 (en) * 2001-03-06 2002-09-11 Fuji Photo Film B.V. Recombinant gelatin-like proteins for use as plasma expanders

Also Published As

Publication number Publication date
JP2005082584A (ja) 2005-03-31

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP4515707B2 (ja) 血漿増量剤として用いる組換えゼラチン様タンパク質
AU2021258087B2 (en) Treatment of beta-thalassemia using ActRII ligand traps
CN102131515B (zh) 激活素‑actrii的拮抗剂及在提高红细胞水平中的用途
DE60219611T2 (de) Modifizierte annexin-proteine und verhinderung und behandlung von thrombose
CN103917554B (zh) 用于改善重构后纯化的因子viii的稳定性的方法
US7192926B2 (en) Use of recombinant gelatin-like proteins as plasma expanders and compositions suitable for plasma substitution
CN106573072A (zh) 降低血清胆固醇的方法
US20240092867A1 (en) Methods and compositions for the treatment of wounds
JPWO2004020470A1 (ja) システインプロテアーゼ処理コラーゲンの製造方法およびシステインプロテアーゼ処理コラーゲン
JP2007501224A (ja) 安定剤としての組換え又は合成ゼラチン様タンパク質の、凍結乾燥医薬組成物中の使用
JP4841803B2 (ja) 組換えゼラチン様タンパク質の血漿増量剤としての使用法及び代用血漿に適した組成物
JP2013521313A (ja) 制御送達系
Plaimauer et al. Recombinant von Willebrand factor: preclinical development
KR102329184B1 (ko) 출혈 증후군의 경우에서 출혈을 조절하고/거나, 혈소판을 대체할 수 있는 콜라겐-기반 주사가능한 제제
DK2934612T3 (en) TISSUE ADHESIVE COMPOSITIONS
JP7371208B2 (ja) von Willebrand因子含有製剤
CA2478675A1 (en) Inhibitors for use in hemostasis
US20220218833A1 (en) Platelet-facilitated delivery of therapeutic compounds
WO2022165043A2 (en) Platelet alpha-granules for delivery of multiple proteins
CN101098717A (zh) 用于修复骨折的补充的基质

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20060908

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20091026

A601 Written request for extension of time

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A601

Effective date: 20100118

A602 Written permission of extension of time

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A602

Effective date: 20100121

A601 Written request for extension of time

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A601

Effective date: 20100215

A602 Written permission of extension of time

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A602

Effective date: 20100218

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20100323

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20100628

A601 Written request for extension of time

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A601

Effective date: 20100915

A602 Written permission of extension of time

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A602

Effective date: 20100921

A601 Written request for extension of time

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A601

Effective date: 20101015

A602 Written permission of extension of time

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A602

Effective date: 20101020

A601 Written request for extension of time

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A601

Effective date: 20101116

A602 Written permission of extension of time

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A602

Effective date: 20101119

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20101215

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20110912

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20111005

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20141014

Year of fee payment: 3

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees