JP4841231B2 - 組織増殖能診断用薬剤 - Google Patents
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Description
したがって、本発明の他の局面によれば、上記式(I)で表される18F標識化合物又はその医薬として許容できる塩の有効量を哺乳動物に投与した後、その生体内における分布を撮像することからなる細胞増殖の画像診断方法が提供される。ここにおいて、哺乳動物にはヒトも含まれる。
本発明において、上記式(I)で示される18F標識化合物は、塩又はこれらの水和物もしくは溶媒和物の形態であってもよい。塩としては、塩酸もしくは硫酸塩などの鉱酸または酢酸などの有機酸との塩のような医薬として許容できるものが挙げられる。また、水和物または溶媒和物としては、本発明の18F標識化合物またはその塩に対して水分子または溶媒分子が付着したものを意味する。さらに、互変異性体などの各種異性体も本発明化合物に包含されうる。
また、上記式(I)の化合物中、R1がフルオロエチル基、R2が水素、R3が酸素、R4が水素の化合物の化学構造及び抗ウイルス剤としての用途は既に公知である(Griengel H.ら、J. Med. Chem.30、1199−1204頁(1987))。加えて、R1がフルオロメチル基またはフルオロエチル基で、R2が水素、R3が硫黄、R4に水素を導入した上記式(I)の化合物の化学構造及び抗ウイルス剤としての用途は既に公知である(国際公開WO9104982号公報;特表平5−505791号公報;Rahim S.G.ら、J. Med. Chem.39、789−795頁(1996))。しかし、これらの放射性フッ素標識化合物ならびに放射性画像診断薬としての用途は知られていない。
式(II)中、R2は、好ましくは、水素又はトシル基、メシル基及びトリフレート基からなる群より選ばれた脱離基を有する炭素原子1〜6個のアルキル置換基であり、中でも脱離基を有するエチル基、脱離基を有するプロピル基、及び脱離基を有するペンチル基からなる群より選ばれたアルキル置換基がより好ましく、脱離基を有するエチル基が特に好ましく、脱離基としてはトシル基が好ましい。
また、式(II)中、R3は酸素が、R4は水素が好ましい。
本発明の画像診断用薬剤の投与量や投与経路などは対象疾患や使用目的に応じて選択されるべきであるが、組織増殖能診断用薬剤として使用する場合は、例えば37MBq〜740MBq、好ましくは111MBq〜370MBqの放射能を投与する。通常は静脈内に投与するが、場合により動脈内や腹腔内または直接腫瘍等の患部内に投与するなど静脈内以外の投与経路を選択してもよい。
病的増殖を伴う増生の診断としては、例えば、増殖性炎症、良性腫瘍又は悪性腫瘍の診断が挙げられる。増殖性炎症の診断としては、例えば、慢性関節リウマチの活動度および治療効果の判定に関する診断が挙げられる。良性腫瘍の診断としては、例えば、局在診断・活動度および治療効果の判定に関する診断が挙げられる。悪性腫瘍の診断としては、例えば、原発性および転移性悪性腫瘍の局在診断・進展度診断・悪性度および治療効果の判定に関する診断が挙げられる。良性腫瘍としては、例えば、前立腺増生症、子宮内膜増生症(嚢胞性腺増生症・子宮腺筋症・子宮筋腫)、卵巣腫瘍(嚢胞腺腫)、乳腺(乳腺症・乳腺繊維腺腫)、下垂体腺腫、頭蓋咽頭腫、甲状腺腺腫、副腎皮質腺腫・クロム親和性細胞腫が挙げられる。悪性腫瘍としては、例えば、悪性リンパ腫(ホジキン病・非ホジキンリンパ腫)、咽頭癌、肺癌、食道癌、胃癌、大腸癌、肝癌、膵臓癌、腎臓腫瘍(腎臓癌・腎芽細胞腫)、膀胱腫瘍、前立腺癌、精巣腫瘍、子宮癌、卵巣癌、乳癌、甲状腺癌、神経芽細胞腫、脳腫瘍(原発性脳腫瘍・転移性脳腫瘍)、横紋筋肉腫、骨腫瘍(骨肉種・転移性骨腫瘍)、カポジ肉腫、悪性黒色腫が挙げられる。
DMF:ジメチルホルムアミド、
TBAF:テトラ−n−ブチルアンモニウムフルオライド、
THF:テトラヒドロフラン、
DMAP:4−ジメチルアミノピリジン、
FMAU:1−(2−デオキシ−2−フルオロ−β−D−アラビノフラノシル)チミン、
PPh3:トリフェニルホスフィン、
NBS:N-ブロモコハク酸イミド、
HPLC:高速液体クロマトグラフィー。
W.F. Edgellらの方法(J. Am. Chem. Soc., 77, 4899 (1955))に従い合成した化合物1(3.6g、17mmol)と炭酸カリウム(4.6g、33mmol)のアセトン(acetone)とDMFの混合溶液(1:1)500mLに、チミジン(2.0g、8.3mmol)を加え、50℃で7時間攪拌した。溶媒を濃縮した後、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー (SiO2、クロロホルム:メタノール=5:1)により精製した。白色固体として化合物2(2.2g、94%)を得た。
アルゴン気流下、市販の化合物3(5.0g、36mmol)とTBAF(1M THF溶液 62mL、62mmol)のTHF40mLに、チミジン(1.5g、6.2mmol)を加え、室温で1時間攪拌した。溶媒を濃縮した後、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー (SiO2、クロロホルム:メタノール=5:1)により精製した。白色固体として化合物2(2.0g、100%)を得た。
アルゴン雰囲気下、塩化トシル(TsCl)(4.91g、2.5mmol),DMAP(3.05g、25mmol)のアセトニトリル溶液(50mL)に1,6-ヘキサンジオール(1,6-hexanediol)(1.18mg、10mmol),トリエチルアミン(3.48g、25mmol)のアセトニトリル溶液を加え、室温で2時間攪拌した。析出した固体をろ過し、ろ液を酢酸エチル(ca.500mL)により希釈し、水(500mL)、飽和食塩水(500mL)で洗浄した。無水硫酸ナトリウムにより乾燥し、濃縮した後、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(SiO2、ヘキサン:酢酸エチル=2:1)により精製した。白色固体として化合物6(2.4g、5.6mmol、56%)を得た。
アルゴン雰囲気下、フッ化カリウム(50mg、0.6mmol),クリプトフィックス[2.2.2](226mg、0.6mmol)をアセトニトリル(1.5mL)に溶かし、化合物6(231mg、0.5mmol)のアセトニトリル溶液(1.0mL)を加え、80℃で1時間攪拌した。この溶液に、チミジン(121mg、0.5mmol),炭酸セシウム(195mg、0.6mmol)のDMF溶液を加え、80℃でさらに1.5時間攪拌した後、放冷し、濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(SiO2、クロロホルム:メタノール=20:1)により精製し、白色固体として化合物7(80mg、0.23mmol、46%)を得た。
M.R. Dysonらの方法およびG.P. Otter らの方法(Carbohydrate Research, 216, 237 (1991): J. Chem. Soc. Perkin. Trans., 2, 2343 (1998))に従って合成した化合物8(129mg、0.5mmol)と、炭酸セシウム(195mg、0.6mmol)のDMF溶液に市販の2−フルオロ−1-ブロモエタン(2−fluoro−1−bromoehtane)(127mg、1mmol)を加え、80℃で10時間攪拌した後、放冷し、濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(SiO2、クロロホルム:メタノール=20:1)により精製し、白色固体として化合物9(122mg、0.4mmol、80%)を得た。
アルゴン気流下、W. F. Edgellらの方法(J. Am. Chem. Soc., 77, 4899 (1955))に従い合成した化合物1(541mg、2.5mmol)と炭酸カリウム(630mg、4.6mmol)のアセトンとDMFの混合溶液(1:1)30mLに、C.J.WildsとM. J. Damhaらの方法(Nucleic Acids Research, 28, 3625 (2000))により合成したFMAU(323mg、1.2mmol)を加え、50℃で8時間攪拌した。溶媒を濃縮した後、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー (SiO2、クロロホルム:メタノール=5:1)により精製した。白色固体として化合物10(272mg、72%)を得た。
3´,5´−ジ−O−トルオイル―N 8 ―(2―p―トルエンスルホキシエチル)−チミン(3´,5´-Di-O-toluoyl-N 8 -(2-p-toluenesulfoxyethyl)-thymine)
アルゴン雰囲気下、チミジン(1.95g、8mmol)のピリジン(pyridine)溶液(80mL)に塩化トルイル(TolCl)(2.1mL、16.1mmol)を加え、室温で16時間攪拌した。反応液を氷水にあけ5分攪拌した後、析出した固体をろ取した。水で洗浄した後、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(SiO2、ヘキサン:酢酸エチル=3:1)により精製した。白色固体として化合物12(3.4g、7.1mmol、89%)を得た。
アルゴン雰囲気下、化合物12(3.7g、8mmol)をTHF(120mL) に溶かし、TBAF(1.0M in THF、80mL、80mmol)、2-ブロモエタノール(2−bromoethanol)(14mL、0.2mol)を加え室温で2時間攪拌した。反応液を氷水にあけ5分攪拌した後、析出した固体をろ取した。固体を水に入れ15分攪拌した後、再びろ取し、デシケーターにより乾燥させ白色固体として化合物13(3.3g、6.5mmol、81%)を得た。
アルゴン雰囲気下、化合物13(522mg、1.0mmol)のピリジン溶液(10mL)に塩化トシル(229mg、1.2mmol)を加え、0℃で16時間攪拌した。クロロホルム(ca.50mL)により希釈し、1N塩酸(40mL)、水(40mL)、飽和重曹水(40mL)さらに飽和食塩水(40mL)で洗浄した。無水硫酸ナトリウムにより乾燥し、濃縮した後、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(SiO2、ヘキサン:酢酸エチル=1:1)により精製した。白色固体として化合物14(500mg、0.74mmol、74%)を得た。
3´,5´−ジ−O−トルオイル−N 8 −(2−メタンスルホキシエチル)−チミジン(3´,5´-Di-O-toluonyl-N 8 -(2-methansulfoxyethyl)-thymidine)
アルゴン雰囲気下、化合物13(350mg、0.67mmol)のピリジン溶液(6.7mL)に塩化メシル(MsCl)(63μg、0.81mmol)を加え、0℃で16時間攪拌した。クロロホルム(ca.50mL)により希釈し、1N塩酸(40mL)、水(40mL)、飽和重曹水(40mL)さらに飽和食塩水(40mL)で洗浄した。無水硫酸ナトリウムにより乾燥し、濃縮した後、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(SiO2、ヘキサン:酢酸エチル=3:1)により精製した。白色固体として化合物15(312mg、0.52mmol、78%)を得た。
3´,5´−ジ−O−トルオイル−N 8 −(2−p−メトキシフェニルスルホキシエチル)−チミジン(3´,5´-Di-O-toluoyl-N 8 -(2-p-methoxyphenylsulfoxyethyl)-thymidine)
アルゴン雰囲気下、化合物13(816mg、1.56mmol)のピリジン溶液(15mL)に塩化パラメトキシフェニルスルホニル(p-MeOPhSO2Cl)(387mg、1.87mmol)を加え、0℃で16時間攪拌した。クロロホルム(ca.150mL)により希釈し、1N塩酸(140mL)、水(140mL)、飽和重曹水(140mL)さらに飽和食塩水(140mL)で洗浄した。無水硫酸ナトリウムにより乾燥し、濃縮した後、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(SiO2、ヘキサン:酢酸エチル=3:1)により精製した。白色固体として化合物16(227mg、0.33mmol、21%)を得た。
アルゴン雰囲気下、化合物13(552mg、1.0mmol)のピリジン溶液(10mL)にPPh3(314mg、1.2mmol)、NBS(213mg、1.2mmol)を加え、室温で30分攪拌した。クロロホルム(ca.100mL)により希釈し、飽和重曹水(100mL)さらに飽和食塩水(100mL)で洗浄した。無水硫酸マグネシウムにより乾燥し、濃縮した後、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(SiO2、ヘキサン:酢酸エチル=1:1)により精製した。白色固体として化合物17(150mg、0.26mmol、26%)を得た。
N 8 −(2−[ 18 F]フルオロエチル)−チミジンの合成(Radiosynthesis of N 8 −(2−[ 18 F]fluoroethyl)−thymidine([ 18 F]NFT202)
[18F]フルオライド(Fluoride)水溶液(1580MBq)、40mmol/Lクリプトフィックス[2.2.2]アセトニトリル溶液(0.25mL、10μmol)、66mmol/L炭酸カリウム水溶液(750μL、5μmol)の混合溶液をアルミブロック(110℃)を用いて濃縮しアセトニトリル(1mL)を用いて2回共沸した。標識前駆体14(13.5mg、20μmol)のアセトニトリル溶液(1mL)を加え、130℃で5分攪拌した(step1)。次に、0.24Mナトリウムエトキシド/エタノール溶液1.0mL(240μmol)を加え、室温で10分間放置した後、1.0M酢酸ナトリウム水溶液(0.3mL、300μmol)を加えて中和した(step2)。アルミブロック(110℃)を用いてアセトニトリル、エタノールを蒸散させ、水(2.5mL)で希釈し濾過(0.45μ)した後、濾液をHPLCを用いて精製し、[18F]NFT202(73.2MBq)を合成した。
移動相: 水:エタノール=3:1 (v/v)
流速 :6 .0 mL/min
検出器:NaI (Tl) シンチレータ−, UV検出器 (254 nm)
3´,5´−ジ−O−トルオイル−N 8 −(3−p−トルエンスルホキシ−1−プロピル)−チミジン(3´,5´-Di-O-toluoyl-N 8 -(3-p-toluenesulfoxy-1-propyl)-thymidine)
アルゴン雰囲気下、化合物12(485mg、1.0mmol)をTHF(10mL)に溶かし、TBAF(1.0M in THF、10mL、10mmol)、3−ブロモ−1―プロパノール(3−bromo−1−propanol)(2.8mL、30mmmol)を加え室温で2時間攪拌した。反応液を氷水にあけ5分攪拌した後、析出した固体をろ取した。 固体を水に入れ15分攪拌した後、再びろ取し、デシケーターにより乾燥させ 白色固体として化合物18(414mg、0.77mmol、77%)を得た。
アルゴン雰囲気下、化合物18(267mg、0.5mmol)のピリジン溶液(5mL)に塩化トシル(117mg、0.6mmol)を加え、0℃で16時間攪拌した。クロロホルム(ca.20mL)により希釈し、1N塩酸(15mL)、水(15mL)、飽和重曹水(15mL)さらに飽和食塩水(15mL)で洗浄した。無水硫酸ナトリウムにより乾燥し、濃縮した後、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(SiO2、ヘキサン:酢酸エチル=1:1)により精製した。白色固体として化合物19(205mg、0.30mmol、60%)を得た。
N 8 −(3−[ 18 F]フルオロプロピル)−チミジンの合成(Radiosynthesis of N 8 −(3−[ 18 F]fluoropropyl)−thymidine)([ 18 F]NFT203)
[18F]フルオライド(Fluoride)水溶液(1666MBq)、40mmol/Lクリプトフィックス[2.2.2]アセトニトリル溶液(1.0mL、40μmol)、66mmmol/L炭酸カリウム水溶液(0.3μL、20μmol)の混合溶液をアルミブロック(110℃)を用いて濃縮しアセトニトリル(1.0mL)を用いて2回共沸した。標識前駆体19(27.6mg、40μmol)のアセトニトリル溶液(1.0mL)を加え、80℃で10分攪拌した(step1)。次に、0.24Mナトリウムエトキシド/エタノール溶液1.0mL(240μmol)を加え、室温で10分間放置した後、1.0M酢酸ナトリウム水溶液(0.3mL、300μmol)を加えて中和した(step2)。アルミブロック(110℃)を用いてアセトニトリル、エタノールを蒸散させ、水(2.5mL) で希釈し濾過(0.45μ)をした後HPLCを用いて精製し、[18F]NFT203(167.2MBq)を合成した。
移動相:水:エタノール= 3:1 (v/v)
流速 :5.0 ml/ml
検出器:NaI (Tl) シンチレータ−, UV検出器 (254 nm)
アルゴン雰囲気下、塩化トシル(4.91g、2.5mmol),DMAP(3.05g、25mmol)のアセトニトリル溶液(50mL)に1,6-ヘキサンジオール(1,6-hexanediol)(1.18mg、10mmol),トリエチルアミン(3.48g、25mmol)のアセトニトリル溶液を加え、室温で2時間攪拌した。析出した固体をろ過し、ろ液を酢酸エチル(ca.500mL)により希釈し、水(500mL)、飽和食塩水(500mL)で洗浄した。無水硫酸ナトリウムにより乾燥し、濃縮した後、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(SiO2、ヘキサン:酢酸エチル=2:1)により精製した。白色固体として化合物20(2.4g、5.6mmol、56%)を得た。
N 8 −(6−[ 18 F]フルオロヘキシル)−チミジンの合成(Radiosynthesis of N 8 −(6−[ 18 F]fluorohexyl)−thymidine)([ 18 F]NFT401)
[18F]フルオライド(Fluoride)水溶液(3630MBq)、40mmol/Lクリプトフィックス[2.2.2]アセトニトリル溶液(1.2mL、53μmol)、66mmol/L炭酸カリウム水溶液(0.3mL、20μmol)の混合溶液をアルミブロック(110℃)を用いて濃縮しアセトニトリル(1mL)を用いて2回共沸した。標識前駆体20(17.0mg、40μmol)のアセトニトリル溶液(1mL)を加え、80℃で10分攪拌した(step1)。次に、チミジン(Thymidine)(19.3mg、80μmol)のDMF溶液(0.5mL)及び炭酸セシウム(52.1mg、160μmol)のDMF懸濁液(0.5mL)を加えて、80℃で15分攪拌した(step2)。アルミブロック(110℃)を用いてアセトニトリルを蒸散させ、水(2.5mL)で希釈しHPLCを用いて精製し、[18F]NFT401(145.1MBq)を合成した。
移動相: 水:エタノール=3:1 (v/v)
流速 :5 .0 mL/min
検出器:NaI (Tl) シンチレータ−, UV検出器 (254 nm)
N 8 −(フルオロメチル)−チミジン(N 8 −(fluoromethyl)−thymidine)(21:NFT201)
K. K. Ogiliveらの方法(Nucleic Acids Research, 6, 1695 (1979))に従い,市販のチミジン11から1工程でNFT201(21)を合成した。
5−(2−フルオロエチル)−2’-デオキシウリジン(5−(2−Fluoroethyl)−2’−deoxyuridine)(22:FT202)
J.D. Fissekisらの方法およびH. Grienglらの方法(J. Org. Chem., 29, 2670 (1964): J. Med. Chem., 30, 1199 (1987))に従い,市販のγ−ブチロラクトン(γ−Butyrolactone)から9工程でFT202を合成した。
1−(2−デオキシ−4−チオ−エリスロ−ペントフラノシル)−5−(2−フルオロエチル)−ウラシル(1−(2−Deoxy-4−thio-erythro-pentofuranosyl)-5−(2−fluoroethyl)-uracil)(23:FTS202)
S.G.Rahimらの方法およびJ.A.Secristらの方法(J. Med. Chem., 39, 789 (1996): J. Med. Chem., 34, 2361 (1991))に従い,市販のD-エリスロ-ペントフラノシド(D-erythro-pentofuranoside)から12工程でFTS202(23)を合成した。
2−[ 14 C]−NFT202の合成
実施例1と同様に、アルゴン気流下、W. F. Edgellらの方法(J. Am. Chem. Soc., 77, 4899 (1955))に従い合成したフルオロトシロキシエタン(Fluorotosyloxyethane)(6.8mg、33.8μmol)、K2CO3(9.3mg、67.6μmol)、2−[14C]−チミジン(thymidine) (37MBq、16.9μmol)を5mLのAcetone/DMF溶媒中で50℃一晩反応させた。反応液を10mLのetherで希釈し、SepPak Silicaカートリッジカラムを通して、未反応のフルオロトシロキシエタン(Fluorotosyloxyethane)を吸着させ、10mLのCHCl3/MeOH=5/1で目的物を溶出した。溶出画分の溶媒を留去後、TLC(Silicagel 60)にて精製を行い。2−[14C]−NFT202を得た(35.2MBq、95%)。
フルオロチミジン誘導体のインビトロにおけるリン酸化能の検討
フルオロチミジン誘導体の組換え型ヒトチミジンキナーゼ1(rTK1)に対するリン酸化活性を測定した。rTK1は、Lunato AG ら、(J. Med. Chem. 42、3378−3389頁(1999))の方法に従い、調製した。リン酸化活性はγ-33P−ATPのリン酸転移反応により得られる、放射性リン酸化モノヌクレオシドを薄相クロマトグラフによって分離定量した。すなわち、反応溶液(50mM Tris−HCl(pH7.6)、5mM MgCl2、15mM NaF、125mM KCl、10mM DTTと0.5%BSA)に1mMのγ-33P−ATPおよび基質100μMを加え、615ng/mLのrTK1を添加する事により、反応を開始させた。酵素反応は、37℃、15分間行い、引き続き100℃、3分の加熱処理によって反応を停止させた。反応停止後の反応溶液を、遠心し、上清を回収して、PEI−cellulose plate(Merack)に2μLづつ添加した。薄相板は、イソ酪酸/水酸化アンモニウム/水(isobutylic acid/ammonium hydroxide/water)=66/1/33で12時間展開し、BAS−1500にて放射性ピーク成分の割合を解析した。
フルオロチミジン誘導体のヌクレオシドトランスポーター輸送活性の検討
フルオロチミジン誘導体のヌクレオシドトランスポーターに対する親和性を測定した。材料として、ICRマウス(雌♀、7〜8週齢、体重30g)の赤血球を用いた。ケタミン(100mg/kg)+キシラジン(10mg/kg)の腹腔内投与により麻酔をほどこし、心臓採血により、静脈血を 3.2%クエン酸三ナトリウム水溶液中に採取した。採取した血液を、4℃、3,000rpm×10分遠心処理し、血漿と白血球層を取り除いた。その後、緩衝液(140mM NaCl、1.4mM MgSO4、18mM Tris−HCl pH7.4)で4回洗浄して赤血球を得た。フルオロチミジン誘導体の核酸輸送担体に対する親和性は、Gati WP ら、(Biochem Pharmacol. 33、3325−3331頁(1984);Molecular Pharmacol.23、146−152頁(1982))の方法を参考に実施した。すなわち、赤血球を緩衝液にてヘマトクリット値が11%になるように希釈した。2−[14C]−チミジン(Thymidine)(37KBq/mL)を含む0.05-0.50mM(0.05、0.1、0.25、0.50)のチミジン(thymidine)溶液ならびに、フルオロチミジン誘導体を0.0−2.0mM(0、0.5、1.0、2.0)含む計16通りのアッセイ溶液を調製した。それぞれ0.2mLのアッセイ溶液を、予め1.5mLチューブに入れた0.2mLの赤血球溶液に加え、3秒間取り込ませた。その後、ヌクレオシドトランスポーターの選択的阻害剤である、0.02mM ニトロベンジルチオイノシン(nitrobenzylthioinosine(NBMPR))溶液を 0.4mL加えることにより、2−[14C]−チミジン(Thymidine)の取り込みを停止させた。試料は、すばやく12,800gで1分間遠心処理し、再度1.0mLのNBMPR溶液で洗浄後、0.5mLの5%過塩素酸溶液で2−[14C]−チミジン(Thymidine)を抽出した。過塩素酸処理後のチューブを再度遠心し、上清を0.15mL分取後、10mLの液体シンチレータ(ACS−II;Amersham Bioscience)を加え、放射能を液体シンチレーションカウンター(LSC−5000;Aloka)にて測定した。測定は、各サンプルに付き2回実施し、平均値を求め、初速度:V(pmoles thymidine/μg packed erythrocyte/sec)を求めた。フルオロチミジン誘導体のKi値は、Lineweaver−Burk plot(1/v〜1/s plot)より得られたプロットの勾配 (Kmapp/Vmax)を各フルオロチミジン誘導体(阻害剤と解釈される)の濃度に対してプロットする2次プロット(replot、Kmapp/Vmax〜i)により求めた(大西正健著、酵素反応速度論実験入門:学会出版センター)。
フルオロチミジン誘導体のインビトロにおける代謝分解感受性に関する検討
フルオロチミジン誘導体のチミジンホスホリラーゼに対する分解感受性を評価した。20 nmolの基質を含む0.1 Mリン酸カリウム緩衝液(pH7.4)に0.015 unitの酵素液(大腸菌由来,Sigma社製)を添加することにより,反応を開始させた。酵素反応は,25℃, 60分間行い,次いで2 Nの過塩素酸水溶液を加えることにより停止させた。反応停止後の反応溶液を遠心し,回収した上清に一定量の水酸化カリウム水溶液を加えて中和させた。中和した試料を遠心し,上清を回収した。回収した上清中の親化合物濃度を,高速液体クロマトグラフィーを用いて,絶対検量線法にて定量した(カラム:Mightysil RP-18 GP Aqua(関東化学),移動相:メタノール/水/TFA混液)。
チミジンキナーゼ1依存的な2−[ 14 C]−NFT202の細胞取り込み
2−[14C]−NFT202のチミジンキナーゼ1依存的な細胞への取り込みに関して、チミジンキナーゼ欠損細胞株L−M(TK−)及びその親株であるL−M細胞との取り込みを比較検討した。対数増殖期のL−M及びL−M(TK−)細胞を2.0×105個ずつ24穴プレートに植え、一晩培養後に2−[14C]−NFT202 1.85KBq(0.8nmol)加えて1時間細胞に取りこませた。細胞を3回氷冷リン酸緩衝液で洗い、細胞を0.5mLの0.2N NaOHで溶解後、10mLの液体シンチレータ(ACS−II;Amersham Bioscience)を加え、細胞に取り込まれた放射能を液体シンチレーションカウンター(LSC−5000;Aloka)にて測定した。その結果、2−[14C]−NFT202はL−M細胞へ24.70±1.71(pmol/106cells/h)とL−M(TK−)細胞の3.06±1.22(pmol/106cells/h)に比べて、8倍以上の高集積を示した(Student‘s t−test;p<0.000005)。
2−[ 14 C]−NFT202の細胞取り込みと増殖度との相関
2−[14C]−NFT202の細胞集積が、増殖度の違いを反映するか否かを明らかにする目的で、増殖状態の異なるA549ヒト肺がん細胞株への2−[14C]−NFT202取り込みと細胞増殖マーカーであるS期画分の割合の変化を比較検討した。A549細胞への2−[14C]−NFT202取り込みアッセイ方法は、実施例22と同様に行った。S期画分の測定は、取り込み実験と同様に培養したA549細胞株をトリプシン処理によって回収し、15mL遠心チューブに集めた。細胞を遠心処理によって沈殿させ、CycleTESTTM PLUS DNA Reagent Kit(Beckton Dickinson)を用いてKit添付の手順書にしたがってDNA分析のための試料を調製した。 試料の細胞あたりのDNA含量はフローサイトメトリー(FACS Caliber;Beckton Dickinson)によってヒストグラムで表され、S期画分の割合(%S−Phase)はMod−Fit LT software(Beckton Dickinson)を用いて算出した。
[ 18 F]NFT202の正常マウスを用いた体内分布
4週齢のddYマウス(平均体重28.9g,各群4匹)にラボナール麻酔を施し、[18F]NFT202を1匹あたり約1.48MBq尾静脈投与した。各時間経過後に心採血により屠殺し、臓器重量と放射能量をシングルチャンネルアナライザーにて測定した。組織への放射能取りこみは、時間に対する組織gあたりの投与量の百分率で算出した(表7)。その結果、増殖組織である小腸における放射能の取りこみは、非増殖組織である脳及び筋肉より明らかに高かった。また、下肢骨(増殖組織の骨髄を含む)への放射能集積も認められた。
[ 18 F]NFT202の腫瘍移植マウスを用いた体内分布
ルイス肺癌細胞株を皮下移植したC57BL/6マウスにおける体内分布を実施例24と同様に実施した。その結果(表8)、増殖組織である小腸における放射能の取りこみは、非増殖組織である筋肉より明らかに高かった。また、下肢骨(増殖組織の骨髄を含む)への放射能集積も認められた。腫瘍における放射能の取りこみは、非増殖組織である筋肉より高かった。
[ 18 F]NFT203の腫瘍移植マウスを用いた体内分布
ルイス肺癌細胞株を皮下移植したC57BL/6マウスにおける体内分布を実施例24と同様に実施した。その結果(表9)、増殖組織である小腸における放射能の取りこみは、非増殖組織である筋肉より明らかに高かった。また、下肢骨(増殖組織の骨髄を含む)への放射能集積も認められた。腫瘍における放射能の取りこみは、非増殖組織である筋肉より高かった。
[ 18 F]NFT401の腫瘍移植マウスを用いた体内分布
ルイス肺癌細胞株を皮下移植したC57BL/6マウスにおける体内分布を実施例24と同様に実施した。その結果(表10)、増殖組織である小腸における放射能の取りこみは、非増殖組織である筋肉より明らかに高かった。また、下肢骨(増殖組織の骨髄を含む)への放射能集積も認められた。腫瘍における放射能の取りこみは、投与後30分において、非増殖組織である筋肉より高かった。
[ 18 F]NFT202のインビボ代謝
[18F]NFT202の生体内での安定性を確認する目的で、マウス血漿及び尿中代謝物の分析を行った。[18F]NFT202投与後マウスの血漿TLCラジオクロマトグラムでは5つの放射化学的成分が確認された(図3)。放射化学的成分比(%)を表11に示す。30分点では、血漿中放射能の74.8、80.1%が未変化体の[18F]NFT202であった.2時間点では5成分のすべてが検出され、血漿中放射能の40%強が未変化体であり、同程度の割合で原点成分(A)が観察された。
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