JP2019085344A - 放射性フッ素標識化合物 - Google Patents

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崇仁 中島
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Abstract

【課題】新規な放射性フッ素標識化合物を提供することを課題とする。【解決手段】下記式(I)で表される化合物又はその塩。【選択図】なし

Description

本発明は、新規放射性フッ素標識化合物、同化合物を含む造影剤、同化合物の製造方法、同化合物の標識前駆体化合物に関する。
ポジトロン放出核種を含有する放射性薬剤を用いた陽電子放射断層撮影(PET)検査は、がんの画像診断において重要な役割を果たしており、その中でもグルコース誘導体である18F-フルオロデオキシグルコース(FDG)は、グルコース代謝機能が亢進しているがん組織を明瞭に画像化することができるため、臨床の現場において広く使用されている。しかし[18F]-FDGは腫瘍組織だけでなくグルコース代謝が盛んな炎症組織にも集積してしまうため、腫瘍と炎症性疾患の区別が難しいという問題点がある。
一方、悪性腫瘍と炎症病変を鑑別するためのPET検査用薬剤として、アミノ酸製剤が開発されている。天然アミノ酸の標識体である11C-メチオニンは、現在臨床で最も多く使用されているアミノ酸製剤であり、悪性腫瘍と炎症病変の鑑別診断に役立っている。しかし、11Cの半減期が20分と短いことから、新たなアミノ酸製剤として、半減期が110分と11Cよりも半減期の長い18Fで標識した薬剤の開発研究が盛んに行われている。既にいくつかの18F標識アミノ酸製剤が臨床応用され、その有用性が報告されている(非特許文献1)。しかし、それらの18F標識アミノ酸製剤も、がん細胞にのみ発現しているアミノ酸トランスポーターに対して特異的ではないため、正常臓器にも集積してしまう、また排泄臓器である腎臓への高い集積が認められる、等の問題があり、これらの正常臓器への非特異的な集積を低減することが大きな課題である。また、本発明者等は先に、PET検査用薬剤として76Br-ブロモ-αメチルフェニルアラニン([76Br]-BAMP)を開発している(非特許文献2)。しかし、[76Br]-BAMPは、76Brの核種製造が難しく製造原料も高価であることから臨床使用は難しい等の問題があった。また、造影能力についてもさらなる向上が求められており、新たなPET検査用薬剤の開発が望まれていた。
特許文献1には、18Fで標識されたタンパク質又はペプチドの製造方法として、18F-アセチルハイポフルオライト等を用いて芳香族アミノ酸を含むタンパク質又はペプチドを標識することを含む方法が開示されている。しかしながら、αメチルフェニルアラニンを標識する方法は開示されていない。
特開2003−342293号公報
Inoue T et al. Radiology 2001; 220: 54-62, Kaira K et al. J Nucl Med 2009; 50: 1770-6 Hanaoka H, et al. J Nucl Med 2015; 56: 791-797
本発明は、新規な放射性フッ素標識化合物を提供することを課題とする。また、本発明は、腫瘍に対する特異性が高く正常臓器への集積が少ないがん診断薬剤として利用できる、新規PET用アミノ酸造影剤を開発することを目的とする。
本発明者等は、上記課題を解決すべく鋭意検討を行った。すなわち、(1)腫瘍への特異性を担保するために、多くの腫瘍細胞において高発現し、正常細胞にはほとんど発現がないことが知られているアミノ酸トランスポーター L-type amino acid transporter1 (LAT1)選択的に細胞内に取り込まれること、(2)腎臓から速やかに排泄されること、の2点を考慮して、アミノ酸造影剤の開発を行った。
その結果、18F-フルオロ-αメチルフェニルアラニン([18F]-FAMP)の製造に成功し、同化合物を用いて上記の課題に合致した造影剤が達成されることを知見し、また、最も腫瘍集積性及び体内動態に優れていた2-[18F]-L-FAMPの新規大量合成法を開発し、本発明を完成した。
すなわち、本発明は以下の通りである。
[1] 下記式(I)で表される化合物又はその塩。
[2] 前記化合物が、下記式(II)、(III)又は(IV)で表される、[1]に記載の化合物又はその塩。
[3] 前記化合物がL体である、[1]又は[2]に記載の化合物又はその塩。
[4] 前記化合物がD体である、[1]又は[2]に記載の化合物又はその塩。
[5] [1]〜[4]の何れかに記載の化合物又はその塩を含む、陽電子放射断層撮影造影剤。
[6] αメチルフェニルアラニンと、18F-アセチルハイポフルオライトを反応させる工程を含む、[1]〜[4]の何れかに記載の化合物の製造方法。
[7] 下記式(V)で表される、αメチルフェニルアラニン標識前駆体化合物。
式中、R1はアミノ基の保護基を表す;R2は水酸基の保護基を表す;X-はハロゲン化物イオン、テトラフルオロボレートイオン、ヘキサフルオロホスフェートイオン又はスルホン酸イオンから選ばれるアニオンを表す。
[8] [7]に記載の化合物と、18F-イオンを反応させる工程を含む、[1]〜[4]の何れかに記載の化合物の製造方法。
[9] [1]〜[4]の何れかに記載の化合物又はその塩が投与された被検体を撮像することを含む、陽電子放射断層撮像方法。
[10] [1]〜[4]の何れかに記載の化合物又はその塩を、撮像が必要な対象に投与する工程を含む、陽電子放射断層撮影造影方法。
本発明により、新規な放射性フッ素標識化合物が提供される。本発明の化合物は、腫瘍に対する特異性が高く正常臓器への集積が少なく、造影能力に優れたPET造影剤として利用できる。また、本発明により、本発明の放射性フッ素標識化合物の標識前駆体化合物が提供される。本発明の標識前駆体化合物は、本発明の放射性フッ素標識化合物の大量合成に利用できる。
図1は、実施例1で製造した[18F]-FAMP及びαメチルフェニルアラニン(出発物質)のHPLCチャートを示す図である。 図2は、[18F]-FAMP、18F-フルオロ-αメチル-L-チロシン([18F]-FAMT)及び2-77Br-ブロモ-αメチル-L-フェニルアラニン(2-[77Br]-L-BAMP)の健常マウスにおける体内動態を測定した結果を示す図である。Aは、血液中の各[18F]-FAMP、[18F]-FAMT及び2-[77Br]-L-BAMPの体内動態を示す。Bは、腎臓中の各[18F]-FAMP、[18F]-FAMT及び2-[77Br]-L-BAMPの体内動態を示す。Cは、膵臓中の各[18F]-FAMP、[18F]-FAMT及び2-[77Br]-L-BAMPの体内動態を示す。 図3は、[18F]-FAMP、[18F]-FAMT及び2-[77Br]-L-BAMPの担がんマウスにおける体内動態を測定した結果を示す図である。 図4は、[18F]-FAMP、[18F]-FAMT及び2-[77Br]-L-BAMPの腫瘍と他の臓器における集積比を測定した結果を示す図である。 図5は、2-[18F]-L-FAMP、[18F]-FDG及び2-[76Br]-L-BAMPのPETイメージングの結果を示す図(写真)である。 図6は、2-[18F]-L-FAMPのLAT1発現細胞株(LS 180)への細胞内取り込み試験の結果を示す図である。 図7は、各種インヒビターによる2-[18F]-L-FAMPの細胞内取り込み阻害試験の結果を示す図である。 図8は、従来の合成法である18F-アセチルハイポフルオライト(CH3COO18F)を用いて作製した2-[18F]-L-FAMPと新規合成法である18F-を用いて作製した2-[18F]-L-FAMPの健常マウスにおける体内動態を測定した結果を示す図である。
以下、本発明の実施の形態について、説明する。
(1)化合物
本発明の一態様は、下記式(I)で表される化合物(以下、「式(I)の化合物」又は「本発明の化合物」ということがある)である18F-フルオロ-αメチルフェニルアラニン及びその塩に関する。
式(I)の化合物としては、下記式(II)の化合物2-18F-フルオロ-αメチルフェニルアラニン、式(III)の化合物3-18F-フルオロ-αメチルフェニルアラニン及び式(IV)の化合物4-18F-フルオロ-αメチルフェニルアラニンが挙げられる。
式(I)〜(IV)の化合物としては、L体、D体、ラセミ体が存在するが、いずれも本発明の範囲に含まれ、PET造影剤として使用できる。好ましい化合物としては、腫瘍集積性及び正常臓器への集積低減の観点から2-18F-フルオロ-αメチル-L-フェニルアラニン(2-[18F]-L-FAMP)が挙げられる。
式(I)の化合物の塩としては、薬学的に許容される塩を用いることができ、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム等の金属塩、アンモニウム塩などが挙げられる。なお、式(I)の化合物は水和物であってもよい。
式(I)の化合物及びその塩は、本明細書の記載に基づき、当業者が製造することができる。
(2)製造方法
本発明の一態様は、式(I)の化合物の製造方法に関する(以下、「本発明の製造方法」ということがある)。具体的には、出発物質となるαメチルフェニルアラニンと、フッ素化剤となる18F-アセチルハイポフルオライト(CH3COO18F)を反応させ、式(I)の化合物を得る。
本発明の製造方法におけるαメチルフェニルアラニンと、18F-アセチルハイポフルオライトを反応させる方法としては、例えば、溶媒に溶解した5〜20 mg/mLのαメチルフェニルアラニンに対し、4〜30℃で5〜10分間、18F-アセチルハイポフルオライトガスを流速150〜500 mL/minで吹き込んで、気液反応させる方法が挙げられる。
αメチルフェニルアラニンは、合成したもの、又は、市販されているものを使用できる。18F-アセチルハイポフルオライトは、例えば、サイクロトロンにより生成した[18F]F2を用いて、常法により合成したものを使用することができる。
αメチルフェニルアラニンと18F-アセチルハイポフルオライトの割合は、モル比で、例えば1:2〜5:1、好ましくは2:3〜2:1とすることができる。
αメチルフェニルアラニンを溶解する溶媒としては、αメチルフェニルアラニンを溶解でき、αメチルフェニルアラニンと18F-アセチルハイポフルオライトとの反応が可能であれば、特に限定されず、例えば、トリフルオロ酢酸(TFA)、酢酸及びそれらの混合物等を使用できる。
生成した式(I)の化合物は、反応液から減圧留去し、HPLC等により分離精製、分画すること等により、精製、単離できる。
本発明において、式(I)の化合物の新たな製造方法として、標識前駆体である下記式(V)で表されるαメチルフェニルアラニン誘導体(以下、「新規標識前駆体」ということがある)とフッ素化剤となる18F-イオンを反応させることで、式(I)の化合物を得ることができる。
式中、R1はアミノ基の保護基を表す;R2は水酸基の保護基を表す;X-はハロゲン化物イオン、テトラフルオロボレートイオン、ヘキサフルオロホスフェートイオン又はスルホン酸イオンから選ばれるアニオンを表す。
R1が表すアミノ基の保護基としては、通常のアミノ基の保護基を用いることができる。
アミノ基の保護基として、例えばtert-ブトキシカルボニル基、ベンジルオキシカルボニル基、9-フルオレニルメチルオキシカルボニル基等のカルバメート系保護基;ピバロイル基、ベンゾイル基等のアシル系保護基;p−トルエンスルホニル基、p−ニトロベンゼンスルホニル基等のスルホン系保護基等が挙げられる。立体配置の維持等の観点から、ピバロイル基(Piv)を好ましく用いることができる。
R2が表す水酸基の保護基としては、通常の水酸基の保護基を用いることができる。水酸基の保護基として、例えばトリメチルシリル基、トリエチルシリル基、tert-ブチルジメチルシリル基、tert-ブチルジフェニルシリル基等のシリル系の保護基;メチル基、トリフェニルメチル基等のエーテル系の保護基;アセチル基、ピバロイル基、ベンゾイル基等のアシル系の保護基等が挙げられる。簡便性等の観点から、メチル基を好ましく用いることができる。
X-が表すアニオンとしては、塩化物イオン等のハロゲン化物イオン、テトラフルオロボレートイオン、ヘキサフルオロホスフェートイオン又はスルホン酸イオン等が挙げられ、テトラフルオロボレートイオンを好ましく用いることができる。
式(V)で表されるαメチルフェニルアラニン誘導体として、下記式(VI)〜(VIII)で表される化合物が挙げられる。
式中、R1、R2、X-は、式(V)における定義と同義である。
式(VI)〜(VIII)の化合物としては、L体、D体、ラセミ体が存在するが、いずれも本発明の範囲に含まれ、式(I)の化合物の標識前駆体として使用できる。
式(VI)〜(VIII)で表される化合物として具体的には、例えば(メシチル)(N-(tert-ブトキシカルボニル)-αメチル-L-フェニルアラニン-メチルエステル)-2-ヨードニウム-テトラフルオロボラート)、(メシチル)(N-(tert-ブトキシカルボニル)-αメチル-L-フェニルアラニン-メチルエステル)-3-ヨードニウム-テトラフルオロボラート);(メシチル)(N-(tert-ブトキシカルボニル)-αメチル-L-フェニルアラニン-メチルエステル)-4-ヨードニウム-テトラフルオロボラート)、(メシチル)(N-(tert-ブトキシカルボニル)-αメチル-D-フェニルアラニン-メチルエステル)-2-ヨードニウム-テトラフルオロボラート)、(メシチル)(N-(tert-ブトキシカルボニル)-αメチル-D-フェニルアラニン-メチルエステル)-3-ヨードニウム-テトラフルオロボラート);(メシチル)(N-(tert-ブトキシカルボニル)-αメチル-D-フェニルアラニン-メチルエステル)-4-ヨードニウム-テトラフルオロボラート)が挙げられる。
以下、(メシチル)(N-(tert-ブトキシカルボニル)-αメチル-L-フェニルアラニン-メチルエステル)-2-ヨードニウム-テトラフルオロボラート)を例として、新規標識前駆体
の合成方法を説明する。
新たな化合物製造に用いる新規標識前駆体の合成の出発物質としては、例えば、通常の有機化学的手法を用いて合成した、又は、市販のヨード-αメチルフェニルアラニンを用いることができる。ヨード-αメチルフェニルアラニンのC末及びN末に対して適当な保護基を導入し、ヨウ素を超原子価ヨウ素置換基とすることで、各新規標識前駆体を得る。
上述により合成した新規標識前駆体に対して18F-イオン(18Fフッ化物イオン)を反応させることにより、式(I)の化合物を製造する。
18F-イオンは常法に従い、サイクロトロンによって製造したものを用いることができる。製造された18F-イオンと新規標識前駆体を反応し、N末端及びC末端の保護基を脱保護することで目的とする式(I)の化合物を得る。
本発明の製造方法における新規標識前駆体を18F-イオンを用いて18F標識する方法としては、不活性溶媒中、塩基触媒、金属触媒等の触媒の存在下で行うのが好ましい。例えば、18F-イオンに、炭酸カリウム/クリプトフィックス222等の塩基を反応させ、これを不活性溶媒中、銅触媒等の金属触媒存在下の新規標識前駆体に加え、60〜115℃で5〜45分間反応させる方法が挙げられる。
新規標識前駆体と18F-イオンの割合は、モル比で、例えば1000:1程度とすることができる。
反応に用いる溶媒としては、新規標識前駆体及び18F-イオンを溶解でき、新規標識前駆体と18F-イオンとの反応が可能であれば、特に限定されず、例えば、(無水)N,N-ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド又はN-メチルピロリドン等の非プロトン性溶媒等を使用できる。
生成した式(I)の化合物は、HPLC等により分離精製、分画すること等により、精製、単離できる。
(3)造影剤
本発明の一態様は、式(I)の化合物又はその塩を含む、PET造影剤(以下、「本発明の造
影剤」ということがある)に関する。本発明の更なる一態様は、本発明のPET造影剤を用いたPET造影方法(以下、「本発明の造影方法」ということがある)に関する。
本発明のPET造影剤においては、式(I)の化合物又はその塩を一種又は二種以上組み合わせて用いることができる。また、本発明のPET造影剤においては、式(I)の化合物又はその塩と、式(I)の化合物又はその塩以外の造影剤とを組み合わせて用いることもできる。本発明のPET造影剤は、式(I)の化合物又はその塩以外に、通常造影剤に用いられる成分、例えば溶媒、賦形剤、安定化剤等を含んでもよい。
すなわち、以下の工程を有する本発明のPET造影方法に用いることができる。
(A)本発明の造影剤を被検体に投与する工程。
(B)被検体から放射されるγ線を計測して画像化する工程。
本発明の化合物は、がん細胞において特異的に発現上昇が認められるアミノ酸トランスポーターであるLAT1の基質であるフェニルアラニンをベース化合物としており、がん細胞に特異的な集積性を有する。したがって、本発明の化合物又はその塩を含む本発明の造影剤は、がん又は腫瘍の検査及び診断のためのPET造影方法に用いることができる。本発明の造影剤は、がん又は腫瘍(例えば、脳、胸部、前立腺、結腸、肺、肝臓、膵臓、胃、腸、リンパ腫、子宮、子宮頸部、上下肢、肉腫及び黒色腫)を造影するのに有用である。
本発明の造影剤を被検体に投与する方法としては、撮像する部位に、本発明の化合物を効果的に導入できるルートを選択することができる。特に限定されないが、例えば、血中に投与する方法等が挙げられる。本発明の造影剤の適切な投与量は、目的(投与対象、撮像範囲、造影の程度等)に応じて、当業者によって適宜決定される。
本発明の造影方法において、被検体は、撮像を必要とするヒトを含む哺乳類動物やその組織とすることができる。例えば、がん又は腫瘍の検査及び診断のためのPET撮像を必要とするヒトを含む哺乳動物に、本発明の撮像方法を適用することができる。あるいは、がん又は腫瘍の検査及び診断のためのPET撮像を必要とするヒトを含む哺乳動物から採取された組織に対して、本発明の撮像方法を適用することもできる。
本発明の造影剤を被検体に投与した後、被検体から放射されるγ線を計測して画像化する。γ線の計測及び画像化のための装置は、公知のPETスキャナー装置等を使用できる。
以下、実施例により、本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り、これらの実施例に限定されるものではない。
<材料及び方法>
(材料)
L-αメチルフェニルアラニン及びD-αメチルフェニルアラニンは、長瀬産業より購入した。18Fは、バイオメディカルサイクロトロンCYPRIS HM-18 (住友重機械工業)で製造した。[18F]-FAMTをTomiyoshi et al. (Nucl Med Commun. 1997;18:169-175)の改変法により調製した。2-[77Br]-L-BAMPおよび2-[76Br]-L-BAMPを非特許文献2に記載の方法により調製した。[18F]-FDGはFDG合成装置F200(住友重機械工業)を用いてフッ素イオン法により製造した。[18F]F2を、酢酸ナトリウム三水和物を封入したカラム中を通過させることにより、18F-アセチルハイポフルオライトを調製した。
(HPLC)
逆相高速液体クロマトグラフィー(RP-HPLC)分析は、C-18カラム(Capcell Pak C18 AQ,
10×250 mm;資生堂)にて、流速5 mL/minで、0.1% トリフルオロ酢酸含有水及び0.1% トリフルオロ酢酸含有アセトニトリルを95:5から90:10のリニアグラジエントで30分間溶出した。
(統計解析)
統計解析は、SYSTAT 13ソフトウェア(Systat)を用いて行った。結果は、平均±SDで示される。結果は、2群の相違の比較について独立t検定(unpaired t test)で解析し、複数群間の相違の比較について1-way ANOVAを行い、チューキーのHSD検定(Tukey honestly significant difference test)を行い、解析した。P値が<0.05であれば、相違は有意であると考えられる。
<実施例1>[18F]-FAMPの製造
L-αメチルフェニルアラニン又はD-αメチルフェニルアラニンに対して、18F-アセチルハイポフルオライトを反応させることにより、[18F]-FAMPを製造した。L体又はD体と反応させると、それぞれ2位、3位又は4位に18Fが導入されたL体又はD体の[18F]-FAMPができる。3つの位置にそれぞれ18Fが導入された[18F]-FAMPの混合物は、HPLCを用いて分離可能である。
具体的には、トリフルオロ酢酸と酢酸を1:1に混合した溶媒に溶解したL-αメチルフェニルアラニン及びD-αメチルフェニルアラニン(10 mg/mL)をそれぞれ2.5 mLガラス製容器にゴム栓で密封した。25℃にて5分間、18F-アセチルハイポフルオライトガス(流速500 mL/min)をシリンジで吹き込んだ後、さらに5分間反応させた。次に反応液を減圧留去して、残渣を生理食塩液に溶解させた。続いて、RP-HPLC 、UV 検出器(254 nm)で分離精製し、非放射性のフルオロαメチルフェニルアラニン(長瀬産業)とHPLCにおける保持時間の一致を確認することにより、それぞれの[18F]-FAMPを同定した(図1)。分取した分画を再び減圧留去し、残渣を再度、リン酸緩衝生理食塩液に溶解させることで、6つの[18F]-FAMP (2-L-[18F]-FAMP, 2-D-[18F]-FAMP, 3-L-[18F]-FAMP, 3-D-[18F]-FAMP, 4-L-[18F]-FAMP及び4-D-[18F]-FAMP)を得た。
<実施例2>[18F]-FAMPの健常マウスにおける体内動態
実施例1で得た6つの18F標識体の健常マウスにおける、投与10分後、30分後、60分後、180分後の体内動態を比較検討した。
具体的には、以下のようにして実験を行った。
18F標識体(200 kBq, <2 μmol)を健常ddYマウス(日本SLC)の尾静脈より投与し、各時間後に血液を回収、各臓器を摘出し、重量及び放射活性を測定した。結果を図2に示す。Y軸の単位「% dose/g」は各臓器における放射能の投与放射能に対する割合(%)を、各臓器の重さで割った値であり、単位重量辺りの薬剤の集積量を示す。
比較として、現在臨床使用されている[18F]-FAMT、並びに優れた体内分布及び腫瘍集積性を報告している2-[77Br]-L-BAMP(非特許文献2)を用いた結果も合わせて提示した。
各臓器において、投与10分後には、全ての18F標識体が到達したことが認められた。時間の経過に伴い、18F標識体の血液クリアランス、腎臓からのクリアランス、膵臓への集積が認められたが、血液クリアランス、腎臓への集積性及びクリアランス、膵臓への集積性について、6つの18F標識体で大きな差異が認められた。
L体の3つを比較した場合、2-[18F]-L-FAMPが血液クリアランス及び腎臓からのクリアランスが最も早かった。なお、[18F]-L-FAMPは、血液クリアランスに関しては[18F]-FAMTや2-[77Br]-L-BAMPと比較するとゆっくりであったが、標的分子LAT1発現臓器である膵臓への集積は大きく向上した。
一方、D体の3つに関しては、どの[18F]-D-FAMPも[18F]-FAMTや2-[18F]-L-BAMPと同等の速やかな血液クリアランスを示し、腎臓からのクリアランスも速やかであった。しかしな
がら3つの[18F]-D-FAMPは膵臓からもクリアランスされ、全体として2-[77Br]-L-BAMPとほぼ同様の体内動態を示した。
<実施例3>[18F]-FAMPの担がんマウスにおける体内動態
実施例2で、血液及び腎クリアランスが速やかであった2-L-FAMP及び3つのD-FAMPの18F標識体について、ヒト大腸がん細胞株LS180を皮下に移植した担がんマウスにおける投与1時間後の体内分布を比較検討した。ヒト大腸がん細胞株LS 180はアメリカンタイプカルチャーコレクション(American Type Culture Collection)より購入した。
具体的には、以下のようにして実験を行った。担がんマウスは、BALB/cヌードマウス(日本SLC)の側腹部にLS180細胞(5×106cells/頭)を移植することで作製した。触知できるがんが形成された後、マウスを体内分布実験に使用した。体内分布実験には、[18F]-FAMT及び各[18F]-FAMP (100 kBq, <3 μmol, 100 μL生理食塩水中)を、担がんマウスの尾静脈より投与した。投与1時間後に血液を回収、各臓器を摘出し、重量及び放射活性を測定した。
その結果、2-[18F]-L-FAMPが最も高い腫瘍集積性を示した(図3、P<0.05)。[18F]-FAMTと比較しても腫瘍集積性は大きく向上し(P<0.05)、腎集積性が大きく低下した(P<0.05)。また、2-[77Br]-L-BAMPと比較しても腫瘍集積性は大きく向上した。
また腫瘍と他の臓器との集積比を検討したところ、比較した3つの臓器に対する集積比は、腫瘍/血液比及び腫瘍/筋肉比に関しては、4つの化合物は[18F]-FAMTと比較して大きな違いはなかったが、腫瘍/腎臓比は[18F]-FAMTに比べて大きく向上した(図4、P<0.05)。一方、2-[77Br]-L-BAMPと比較すると腫瘍/臓器比に大きな違いは認められなかった。
以上の体内分布実験の結果から、L体の2位に18Fが導入された2-18F-L-フルオロ-αメチルフェニルアラニン(2-[18F]-L-FAMP)が、非常に有望なPET用アミノ酸イメージング剤であることが示された。
<実施例4>2-[18F]-L-FAMPを用いたPETイメージング
動物用PET装置を用いて、2-[18F]-L-FAMPを投与したLS180担がんマウスの撮像を行った。
具体的には、以下のようにして実験を行った。
PETイメージングは、動物用PETスキャナー(Inveon;シーメンス)を用いて行った。担がんマウスは、マウスの肩部にLS180細胞(5×106cells/頭)を移植することで作製した。[18F]-FDG又は2-[18F]-L-FAMP (7 MBq, 10 μmol)を担がんマウスの尾静脈より投与し、1時間後にイソフルラン麻酔下においてPET撮像を行った。また、以前に撮像を行った2-[76Br]-L-BAMPの画像との比較を行った。
図5のように、投与1時間後において腫瘍を明瞭に描出することができた。同じマウスの[18F]-FDG画像と比較して、他臓器への集積が少なく、より高いコントラストで腫瘍を描出できた。また、2-[76Br]-L-BAMPの画像と比較して画像が明瞭であった(腫瘍の輪郭や不均一な集積も描出)。これは18Fと76Brの核種の違いに起因すると考えられた。
<実施例5>2-[18F]-L-FAMPの細胞内取り込み試験
2-[18F]-L-FAMPの、腫瘍細胞に特異的に発現しているアミノ酸トランスポーター、LAT1に対する特異性を確認するために、LAT1発現細胞株(LS 180)を用いた取り込み実験を行った。
具体的には、以下のようにして実験を行った。
αメチル-L-チロシン(AMT)及びαメチル-アミノイソブチル酸(MeAIB)は、シグマ−アルドリッチより購入した。2-アミノビシクロ-(2,2,1)-ヘプタン-2-カルボン酸(BCH)は、ナード研究所より入手した。
LS180細胞(1.0×105 cells/well)を24-ウェルプレートにまいた。増殖培地で24時間インキュベート後、細胞を3回ナトリウムフリー(Na+-free)ハンクス液(Hank’s balanced salt solution :HBSS) (Na+-free HBSS; 137 mM 塩化コリン, 5.3 mM KC1, 1.3 mM CaCl2,
0.49 mM MgCl2, 0.41 mM MgSO4, 0.35 mM K2HPO4, 0.44 mM KH2PO4, 4.2 mM KHCO3, 5.6
mM D-グルコース (pH 7.4))で洗浄した後、Na+-free HBSS中で10分間インキュベートした。細胞を2-[18F]-L-FAMP (100 kBq, 最終濃度: 1 μM)と共に、37℃で1分間インキュベートした。インキュベーション後、細胞を氷冷Na+-free HBSSで3回洗浄し、500 μLの0.1
M NaOHで溶解し、放射活性を測定した。
図6に示すように、2-[18F]-L-FAMPを添加後1分で細胞内への放射活性の取り込みが確認され、またNa存在下及び非存在下における取込量に変化が認められなかったことから、2-[18F]-L-FAMPの取り込みはNa非依存性であることが明らかとなった。
続いて、取り込み溶液中に様々な種類の非標識アミノ酸誘導体を1 mMとなるように添加し、2-[18F]-L-FAMPの取り込み量にどのような変化が生じるかを、非標識アミノ酸誘導体を何も加えていないcontrol群と比較検討した。
具体的には、以下のようにして実験を行った。
阻害測定のため、細胞を、1 mMの各種インヒビター(アミノ酸又はそれらのアナログ)及び2-[18F]-L-FAMP (100 kBq, 最終濃度: 1 μMを添加したNa+-free HBSS中で1分間インキュベートした。インキュベーション後、先と同様に、放射活性を測定した。
その結果、LAT1の基質となる中性の大型アミノ酸によって取り込み量は大きく減少し(図7)、その阻害傾向はLAT1に特異的なアミノ酸製剤として知られているFAMTと同様の傾向であった。またFAMTの添加によって、取り込みが大きく阻害されほとんど認められなくなった。以上より2-[18F]-L-FAMPの取り込みはLAT1に対して特異的であると考えられる。
以上、6種類の18F-フルオロ-αメチルフェニルアラニン([18F]-FAMP)を新規に設計・合成することに成功し、体内動態に優れLAT1に特異的なアミノ酸製剤として2-[18F]-L-FAMPを見出した。2-[18F]-L-FAMPは既存のアミノ酸製剤に比べて、がん細胞に発現しているLAT1に対して特異的であり、体内動態も優れている。
<実施例6>18F-を用いた標識を可能とする新規2-[18F]-L-FAMPの新規標識前駆体合成
18F-を用いて標識を行うための新規標識前駆体として、(メシチル)(N-(tert-ブトキシカルボニル)-αメチル-L-フェニルアラニン-メチルエステル)-2-ヨードニウム-テトラフルオロボラート)(4)の合成を行った。
2-ヨード-αメチル-L-フェニルアラニン-メチルエステル(1)
長瀬産業より購入した2-ヨード-αメチル-L-フェニルアラニン (319 mg, 1.0 mmol) をメタノール10 mLに懸濁した。氷冷した懸濁液に塩化チオニル (0.96 mL, 13.2 mL) を緩徐に加え、室温に戻し2時間攪拌した後、50時間還流した。溶媒を減圧留去し、得られた残渣に飽和炭酸水素ナトリウム溶液15 mLを加え、クロロホルム(20 mL×3)で抽出した。
有機層に無水硫酸マグネシウムを加えて乾燥した後、溶媒を留去することで化合物(1) (350 mg, quant.)を薄茶色固体として得た。
1H NMR (CD3CN): δ1.74 (3H, s, CH3), 3.53-3.78 (2H, dd, CH2), 3.75 (3H, s, OCH3), 7.03-7.93 (4H, aromatic), 8.54 (2H, s, NH2). ESI-MS Calcd for C11H15INO2(M+H)+: m/z 320.0, found: 320.0.
N-(tert-ブトキシカルボニル)-2-ヨード-αメチル-L-フェニルアラニン-メチルエステル(2)
化合物(1) (320 mg, assume 1.0 mmol)をピリジン2 mLに溶解した。ピバロイルクロリド(256 μL, 2.05 mmol)を滴下し、室温で20時間攪拌した。反応溶液に2 Mの塩酸水溶液を加え、酢酸エチル(10 mL×3)で抽出した。有機層を水、飽和食塩水で洗浄した後、無水硫酸ナトリウムを加え乾燥した。溶媒を留去して得られた残渣をヘキサン:酢酸エチルを溶出溶媒とするフラッシュカラムクロマトグラフィーにより精製を行うことで化合物(2)(175 mg, 43.4 %)を白色固体として得た。
1H NMR (CDCl3): δ1.19 (9H, tert-butyl), 1.61 (3H, s, CH3), 3.53 (2H, dd, CH2), 3.74 (3H, s, OCH3), 6.13 (1H, s, NH2), 6.92-7.86 (4H, aromatic). ESI-MS Calcd for C16H22INO3 (M+H)+: m/z 404.1, found: 404.1.
(メシチル)(N-(tert-ブトキシカルボニル)-αメチル-L-フェニルアラニン-メチルエステル)-2-ヨードニウム-トシレート)(3)
反応に先立ちシグマアルドリッチより購入した1-クロロメチル-4-フルオロ-1,4-ジアゾニアビシクロ[2.2.2]オクタン ビス(テトラフルオロボラート) (Slectfluor(登録商標))を無水ジクロロメタンにて洗浄し、ろ取した後デシケーター内で一晩真空乾燥した。窒素置換したグローブボックス内で化合物(2) (175 mg, 0.43 mmol)を無水アセトニトリル1.5 mLに溶解した。同グローブボックス内で、別容器に乾燥したSelectfluor(登録商標) (200 mg, 0.57 mmol) を秤量し、無水アセトニトリル 7 mLに懸濁し、酢酸トリメチルシリル(TMSOAc, 0.173 g, 1.29 mmol) を緩徐に加えた。Selectfluor(登録商標)/ TMSOAc混合液を化合物(2)溶液に30秒掛けて滴下し、ガラス栓をした後、室温で24時間攪拌した。反応溶液に粉末状の2,4,6-トリメチルフェニルトリフルオロボラート・カリウム塩 (98 mg,
0.43 mmol)を加え、続いて無水アセトニトリル2 mLを加えた。無水アセトニトリル400 μLに溶解したトリフルオロメタンスルホン酸トリメチルシリル(TMSOTf, 92 μL, 0.43 mmol)を滴下し、5分間室温で攪拌した後、反応容器をグローブボックスより取り出した。溶媒を減圧留去した後、デシケーター内で一時間真空乾燥した。得られた残渣にジクロロメタンを加え、懸濁液をろ過することで不溶物をろ去し、ろ液を0.5 M 酢酸ナトリウム緩衝液 (pH 5.0) (5 mL×3)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムを加え乾燥した。溶媒を留去し、デシケーター内で15 分間減圧乾燥した。得られた残渣をアセトニトリル1 mLに溶解し、ヘキサリン酸ナトリウム水溶液 (0.13 mg/ 4 mL)に加え、激しく振盪した後、ジクロロメタン(4 mL×3)で抽出した。有機層に無水硫酸ナトリウムを加え乾燥した後、溶媒を留去し、デシケーター内で15分減圧乾燥した。残渣をアセトニトリル:水 (9:1)溶液に溶解し、陰イオン交換樹脂に通じた。溶媒を留去したのち、残渣にアセトニトリル10 mLを加え共沸により水分を除去し、デシケーター内で真空乾燥させることにより化合物(3) (165
mg, 57 %)を粗生成物として得た。
1H NMR (CD3OD): δ1.06 (9H, tert-butyl), 1.65 (3H, s, CH3), 2.36 (3H, s, CH3, mesitylene), 2.58 (6H, s, mesitylene), 3.59-3.75 (2H, dd, CH2), 3.74 (3H, s, OCH3), 7.21-7.83 (6H, aromatic). ESI-MS Calcd for C25H33INO3(M-OTs-)+: m/z 522.2, found: 522.2.
(メシチル)(N-(tert-ブトキシカルボニル)-αメチル-L-フェニルアラニン-メチルエステル)-2-ヨードニウム-テトラフルオロボラート)(4)
化合物(3) (165 mg, assume 0.25 mmol)をジクロロメタン2 mLに溶解し、飽和テトラフルオロほう酸リチウム水溶液(2 mL)を加え室温で2.5時間激しく攪拌した。水層の比重を有機層よりも小さくするため水を必要最小量添加した後、ジクロロメタン(2 mL×3)で抽出し、無水硫酸ナトリウムを加え乾燥した。溶媒を留去して得られた残渣をジクロロメタン:イソプロパノールを溶出溶媒とするフラッシュカラムクロマトグラフィーにより精製を行うことで油状物質を得た。油状物質を最小量のジクロロメタンに溶解し、ヘキサンを過剰に加えることにより固体化させ、ろ取し、デシケーター内で真空乾燥させることにより化合物(4) (99.8 mg, 65.6 %)を白色固体として得た。
1H NMR (CD3OD): δ1.06 (9H, tert-butyl), 1.65 (3H, s, CH3), 2.36 (3H, s, CH3, mesitylene), 2.58 (6H, s, mesitylene), 3.59-3.75 (2H, dd, CH2), 3.74 (3H, s, OCH3), 7.21-7.54 (6H, aromatic). ESI-MS Calcd for C25H33INO3(M-OTs-)+: m/z 522.2, found: 522.6.
本実施例6では2-L-FAMPの新規標識前駆体作製を実施したが、他の5種類のFAMPに関しても同様に標識前駆体を合成可能である。
<実施例7>18F-を用いた新規合成法による2-[18F]-L-FAMPの製造
[18F]フッ化カリウム/クリプトフィックス222([18F]KF/K[2,2,2])複合体の合成
製造した担体無添加の[18F]フッ素イオンを、超純水10 mLで洗浄したQMAカートリッジ (炭酸イオン形)に通じて吸着した。QMAカートリッジに吸着させた[18F]フッ素イオンを、クリプトフィックス222(10 mg)と炭酸カリウム(3 mg)を含む90%アセトニトリル溶液(1 mL)で溶出し、ガラスバイアルに導入した。窒素気流下で加熱し、溶媒を留去した。次に、無水アセトニトリル(0.3 mL×3)を加え、共沸 乾固させ、充分に反応容器を乾燥した。無水ジメチルホルムアミドを添加し、[18F]KF/K[2,2,2]複合体溶液を得た。
N-(tert-ブチルカルボニル)-2-[18F]フルオロ-αメチル-L-フェニルアラニン-メチルエステル(5)
反応容器に化合物(4) 3.66 mg, 6 μmolを秤量し、窒素置換された無水ジメチルホルムアミド(350 μL)に溶解した。窒素雰囲気下、銅触媒((CH3CN)4CuOTfまたはCu(OTf)2, 30 μmol) の無水ジメチルホルムアミド(150 μL)溶液を加え攪拌した。[18F]KF/K[2,2,2]複合体溶液(250 μL)を加え、85℃で25分間加熱攪拌した。反応溶液を室温に戻し、超純水 1 mLを加え反応を停止した。キレート樹脂を加え、銅イオンを吸着し、さらに超純水10 mLで希釈した後、エタノール(5 mL)、超純水(10 mL)の順で洗浄したC18カートリッジに通じて未反応の18F- を除去し、生成物を吸着させた。C18カートリッジを超純水10 mLで洗浄後、窒素気流下乾燥し、アセトニトリル(3 mL)で溶出した。溶媒を留去し、化合物(5)を混合物として得た(放射化学的収率 32-55 %)。
2-[18F]フルオロ-αメチル-L-フェニルアラニン (6)
化合物(5)を含む混合物に57% ヨウ化水素酸(300 μL)を加え、130℃で15 分間加熱した。反応溶液を室温に戻した後、アセトニトリル:水:トリフルオロ酢酸 (5:95:0.1) 溶液 (700 μL)で希釈し、アセトニトリル:水:トリフルオロ酢酸を溶出溶媒とする高速液体クロマトグラフィーにより精製を行った。アスコルビン酸溶液を 100 μL加えた後溶媒を留去し、化合物(6)を得た。精製後の2-[18F]-L-FAMPは、非放射性の2-FAMPとのHPLCにおける保持時間の一致により確認した。半減期補正後の放射化学的収率 は18.7 %であった。
他の5種類のFAMPに関しても同様に新規標識前駆体を合成し、同様に18F-を用いて各[18F]-FAMPの製造が可能である。
<実施例8>18F-を用いて作製した2-[18F]-L-FAMPの健常マウスにおける体内動態
従来の合成法である18F-アセチルハイポフルオライト(CH3COO18F)を用いて作製した2-[18F]-L-FAMPと新規合成法である18F-を用いて作製した2-[18F]-L-FAMPの健常マウスにおける体内動態比較を行った。図8に示すように、両合成法により作製した2-[18F]-L-FAMPは同様の血液クリアランスを示し、各臓器からのクリアランスもほぼ同様であった。また標的分子LAT1の発現臓器である膵臓への集積性も同様であった。このことから、18F-を用いた新規標識法により作製した2-[18F]-L-FAMPは従来法による合成品と同等の品質を有していることが示された。LAT1が発現している膵臓への集積性が同様であったことから、LAT1を標的分子として集積する腫瘍に関しても両者は同様の集積性を示し、同様にPET装置にて明瞭に画像化することが可能であると予想される。
本発明は、画像診断等の分野で有用である。
本剤には半減期が110分である18Fを用いるため、製薬企業による製造及び供給が可能になると考えられる。実際、腫瘍イメージング剤である[18F]-FDGは製薬企業による製造・供給が行われている。[18F]-FDGよりも腫瘍特異的な本発明の18F標識診断薬剤により、今後、サイクロトロンを持たない国公立病院や民間病院においても、本薬剤を使用しがんの鑑別診断ができるようになり、多くのがん患者が恩恵を受けると考えられる。

Claims (9)

  1. 下記式(I)で表される化合物又はその塩。
  2. 前記化合物が、下記式(II)、(III)又は(IV)で表される、請求項1に記載の化合物又はその塩。
  3. 前記化合物がL体である、請求項1又は2に記載の化合物又はその塩。
  4. 前記化合物がD体である、請求項1又は2に記載の化合物又はその塩。
  5. 請求項1〜4の何れか一項に記載の化合物又はその塩を含む、陽電子放射断層撮影造影剤。
  6. αメチルフェニルアラニンと、18F-アセチルハイポフルオライトを反応させる工程を含む、
    請求項1〜4の何れか一項に記載の化合物の製造方法。
  7. 下記式(V)で表される、αメチルフェニルアラニン標識前駆体化合物。
    式中、R1はアミノ基の保護基を表す;R2は水酸基の保護基を表す;X-はハロゲン化物イオン、テトラフルオロボレートイオン、ヘキサフルオロホスフェートイオン又はスルホン酸イオンから選ばれるアニオンを表す。
  8. 請求項7に記載の化合物と、18F-イオンとを反応させる工程を含む、請求項1〜4の何れか一項に記載の化合物の製造方法。
  9. 請求項1〜4の何れか一項に記載の化合物又はその塩が投与された被検体を撮像することを含む、陽電子放射断層撮像方法。
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