JP4839888B2 - 車両の挙動制御装置 - Google Patents

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Description

本発明は、制動力及び/又は駆動力等を制御して車両の挙動を制御する車両の挙動制御装置に関する。
従来から、車両の挙動を表す車両モデルに対し検出された車速及びタイヤ切れ角等を適用して目標ヨーレートを求め、この目標ヨーレートとヨーレートセンサから検出される実際のヨーレート(実ヨーレート)との偏差が所定の基準値(不感帯)を超えた場合、同偏差の大きさに基づくヨーモーメントを車両に発生させるための制動力等の制御量を決定し、その制御量を用いて車両の挙動を制御する車両の挙動制御装置が知られている。このような装置において採用される車両モデルは、一般に、車両のホイールベース長さ、車重、標準的なタイヤ装着時における前輪及び後輪コーナリングパワー、並びに車両重心から前輪及び後輪軸までの距離等を含む車両の諸元に基づいて構築されている。
特開2005−206005号公報
しかしながら、例えば、現実の車両のアライメントが車両モデルを構築した際のアライメントからずれた場合、又は、特定のタイヤの偏磨耗若しくは空気圧の低下が生じてコーナリングパワーが車両モデルを構築した際のコーナリングパワーからずれた場合、即ち、車両諸元が車両モデルを構築したときの車両諸元と相違した場合、その車両モデルに基づいて得られる車両の挙動(目標ヨーレート)と実際の車両の挙動を表す車両モデルとの間に乖離が生じる。このため、車両挙動制御が早期に開始されたり、車両挙動制御により発生させられるヨーモーメントが大きくなったりする場合がある。
本発明による車両の挙動制御装置は、上記課題に対処するために為されたものであり、
所定の基準タイヤ切れ角と実際のタイヤの切れ角との差に相当する制御用タイヤ切れ角を取得する制御用タイヤ切れ角取得手段と、
車両の目標とする旋回状態を表す目標車両旋回状態量を前記制御用タイヤ切れ角に基づいて取得する目標車両旋回状態量取得手段と、
前記車両の実際の旋回状態である実車両旋回状態量を取得する実車両旋回状態量取得手段と、
前記目標車両旋回状態量と前記実車両旋回状態量との偏差の大きさが小さくなるように前記車両の旋回状態を変更するための車両旋回状態制御量を取得するとともに同車両旋回状態制御量に応じた力を同車両に与える車両旋回状態制御を実行する車両旋回状態制御手段と、
を備える。
更に、この車両の挙動制御装置は、
前記車両旋回状態制御手段による前記車両旋回状態制御が実行されていないときに前記取得された実車両旋回状態量に基づいて前記車両の前後方向からのタイヤ切れ角に相当する推定タイヤ切れ角相当値(例えば、推定される操舵角)を推定するとともに、同車両の前後方向からの実際のタイヤ切れ角に相当する実タイヤ切れ角相当値(例えば、実際の操舵角)を取得し、同推定タイヤ切れ角相当値と同実タイヤ切れ角相当値との差に相当するタイヤ切れ角偏差相当値(例えば、操舵角ズレ)を取得するタイヤ切れ角偏差相当値取得手段と、
前記取得されたタイヤ切れ角偏差相当値に基づいて前記車両旋回状態制御手段が用いる前記車両旋回状態制御量を変更する車両旋回状態制御量変更手段と、
を備える。
本明細書において、「あるパラメータに相当する値」とは、そのパラメータの大きさが大きくなるほど大きくなる値であって、且つ、そのパラメータの正負を表す符合と同じ符号又は反対の符号を有する値であると定義される。本明細書における「パラメータ」には、例えば、上記の「所定の基準タイヤ切れ角と実際のタイヤの切れ角との差」及び「車両の前後方向からの実際のタイヤ切れ角」等が挙げられる。
これによれば、所定の基準タイヤ切れ角(例えば、車両を直進させるために必要なタイヤ切れ角であって、通常は車両の前後方向に対して0度)と実際のタイヤの切れ角との差に相当する制御用タイヤ切れ角が、例えばステアリングホイールの中立位置からのステアリング操作角(即ち、操舵角)に基づいて取得される。
一方、車両の目標とする旋回状態を表す目標車両旋回状態量が前記制御用タイヤ切れ角に基づいて取得されるとともに、その目標車両旋回状態量と実車両旋回状態量との偏差が算出され、同偏差の大きさが小さくなるように前記車両の旋回状態を変更するための車両旋回状態制御量が取得される。そして、取得された車両旋回状態制御量に応じた力が同車両に与えられる車両旋回状態制御が実行される。
更に、前記車両旋回状態制御手段による前記車両旋回状態制御が実行されていないときに前記取得された実車両旋回状態量に基づいて前記車両の前後方向からのタイヤ切れ角に相当する推定タイヤ切れ角相当値が推定されるとともに、同車両の前後方向からの実際のタイヤ切れ角に相当する実タイヤ切れ角相当値が取得される。そして、推定タイヤ切れ角相当値と実タイヤ切れ角相当値との差に相当するタイヤ切れ角偏差相当値が取得され、このタイヤ切れ角偏差相当値に基づいて前記車両旋回状態制御手段が用いる前記車両旋回状態制御量が変更される。
車両旋回状態制御が実行されていないときに実車両旋回状態量に基づいて推定される「車両の前後方向からのタイヤ切れ角」に相当する推定タイヤ切れ角相当値は、アライメント(キャスター角、キャンバ角及びトー角等)の変化、特定のタイヤの偏磨耗及び特定のタイヤの空気圧低下等の車両諸元(車両の挙動に影響を及ぼす因子)の変化が発生していないと想定される場合において、その実車両旋回状態量が得られるであろうと推定される「車両の前後方向を基準とするタイヤ切れ角」に相当する値である。
従って、上記タイヤ切れ角偏差相当値は、車両緒元の変化を反映した値となるから、タイヤ切れ角偏差相当値の大きさが大きくなるほど目標車両旋回状態量の正しさの程度が低下する。そこで、上記構成のようにタイヤ切れ角偏差相当値に基づいて車両旋回状態制御量を変更すれば、車両挙動制御が早期に実行されたり、或いは、車両挙動制御によって発生させられるヨーモーメントが大きくなったりすることを回避することができる。
より具体的に述べると、
前記目標車両旋回状態量取得手段は、
前記目標車両旋回状態量として目標ヨーレートを取得するように構成され、
前記実車両旋回状態量取得手段は、
前記実車両旋回状態量として前記車両の実際のヨーレートである実ヨーレートを取得するように構成され、
前記車両旋回状態制御手段は、
前記目標ヨーレートと前記実ヨーレートとの差であるヨーレート偏差の大きさが所定閾値以上の場合に前記車両旋回状態制御量を取得するように構成され、
前記車両旋回状態制御量変更手段は、
前記取得されたタイヤ切れ角偏差相当値の大きさが大きくなるほど前記所定閾値を大きくすることにより前記車両旋回状態制御量を変更するように構成される
これによれば、目標ヨーレート及び実ヨーレートからヨーレート偏差が取得され、そのヨーレート偏差が所定の閾値以上であった場合に、車両旋回状態制御量が取得されることにより、車両旋回状態制御量に基づく車両の旋回状態が制御される。一方、前記所定の閾値は、タイヤ切れ角偏差相当値の大きさが大きくなるほど大きくなるようにタイヤ切れ角偏差相当値に基づいて求められる。
この結果、タイヤ切れ角偏差相当値の大きさが大きくなればなるほど、即ち、車両緒元が本来の車両諸元から乖離しているほど、車両旋回状態制御量が求められ難くなることにより車両旋回状態制御が開始され難くなるので、車両旋回制御が早期に開始されるのを防ぐことができる。
この場合
記タイヤ切れ角偏差相当値取得手段は、
前記取得されたヨーレートに基づいて前記車両が直進状態にあるか否かを判定し、同車両が直進状態にあると判定される場合に、前記推定タイヤ切れ角相当値を、前記タイヤの向きが同車両の前後方向に一致しているときの同車両の前後方向からのタイヤ切れ角に相当する値であると推定するとともに、前記タイヤ切れ角偏差相当値を取得するように構成されることが好ましい。
これによれば、前記実車両旋回状態量として車両のヨーレートが取得され、取得された前記ヨーレートに基づいて車両が直進状態にあるかどうかが判定される。
ところで、車両が直進状態にないときには、例え車両旋回状態制御が実行されていない場合であっても、タイヤの横すべり量及び路面摩擦係数等の影響を考慮する必要があるため、車両諸元の変化が発生していないと想定される場合における前記推定タイヤ切れ角相当値を車両の挙動に基づいて求めることは容易ではない。これに対し、車両が直進状態にあるときには横すべり量等を考慮する必要はなく、且つ、一般に車両旋回状態制御は実行されていない。従って、車両が直進状態にあるとき、車両緒元の変化が発生していないと想定される場合におけるタイヤ切れ角は車両の前後方向に向う基準角度(即ち、タイヤの向きが車両の前後方向に一致しているときの同車両の前後方向からのタイヤ切れ角=0度)となる。
従って、上記構成のように、車両が直進状態と判定される場合、前記推定タイヤ切れ角相当値を、前記タイヤの向きが同車両の前後方向に一致しているときの同車両の前後方向からのタイヤ切れ角に相当する値であると推定するとともに、その推定値と実タイヤ切れ角相当値との偏差を上記タイヤ切れ角偏差相当値として取得すれば、そのタイヤ切れ角偏差相当値は車両諸元の変化が車両挙動に与えている影響を精度良く表す値となる。この結果、上記構成によれば、車両挙動制御が早期に開始されること、又は、車両挙動制御によってヨーモーメントが大きくなることをより確実に回避することが可能となる。
或いは、
前記目標車両旋回状態量取得手段は、
前記目標車両旋回状態量として目標ヨーレートを取得するように構成され、
前記実車両旋回状態量取得手段は、
前記実車両旋回状態量として前記車両の実際のヨーレートである実ヨーレートを取得するように構成され、
前記車両旋回状態制御手段は、
前記目標ヨーレートと前記実ヨーレートとの差であるヨーレート偏差の大きさが大きいほど大きさが大きくなる前記車両旋回状態制御量を同ヨーレート偏差に基づいて取得するように構成され、
前記車両旋回状態制御量変更手段は、
前記取得されたタイヤ切れ角偏差相当値の大きさが大きくなるほど前記車両旋回状態制御量の大きさを小さくするように構成されることが好ましい。
これによれば、目標ヨーレート及び実ヨーレートからヨーレート偏差が取得され、そのヨーレート偏差が大きいほど車両旋回状態制御量の大きさが大きくなるように同車両旋回状態制御量が求められる。一方、タイヤ切れ角偏差相当値が大きいほど、即ち、車両緒元が本来の車両諸元から乖離しているほど、車両旋回状態制御量の大きさが小さくなるように同車両旋回状態制御量が変更される。従って、車両諸元が本来の車両諸元から乖離していることに起因して車両旋回制御により発生させられるモーメントが大きくなってしまうことを回避することができる。
或いは、
前記目標車両旋回状態量取得手段は、
前記目標車両旋回状態量として目標ヨーレートを取得するように構成され、
前記実車両旋回状態量取得手段は、
前記実車両旋回状態量として前記車両の実際のヨーレートである実ヨーレートを取得するように構成され、
前記車両旋回状態制御手段は、
前記目標ヨーレートと前記実ヨーレートとの差であるヨーレート偏差に基づいて同ヨーレート偏差の大きさが大きいほど前記車両旋回状態制御量の大きさが大きくなるように同車両旋回状態制御量を取得するように構成され、
前記車両旋回状態制御量変更手段は、
前記取得されたタイヤ切れ角偏差相当値が大きくなるほど前記車両旋回状態制御において前記車両旋回状態制御量を取得するために用いられる前記ヨーレート偏差の大きさを小さくすることにより同車両旋回状態制御量を変更するように構成されることが好ましい。
これによれば、目標ヨーレート及び実ヨーレートからヨーレート偏差(以下、便宜上「実ヨーレート偏差」と呼称する。)が取得され、その実ヨーレート偏差が大きいほど車両旋回状態制御量の大きさが大きくなるように同車両旋回状態制御量が求められる。一方、タイヤ切れ角偏差相当値が大きいほど、前記車両旋回状態制御において車両旋回状態制御量を求める際に用いられるヨーレート偏差(以下、「制御用ヨーレート偏差」と呼称する。)の大きさが小さくなるように、制御用ヨーレート偏差が実ヨーレート偏差及びタイヤ切れ角偏差相当値に基づいて求められる。
この結果、車両諸元が本来の車両諸元から乖離しているほど制御用ヨーレート偏差の大きさが小さくなるから、車両旋回状態量の大きさが小さくなる。従って、車両旋回制御により発生させられるモーメントが大きくなってしまうことを回避することができる。
更に、例えば制御用ヨーレート偏差の大きさが、実ヨーレート偏差の大きさからタイヤ切れ角偏差相当値に基づいて定まる値(不感帯)を減じることにより小さく変更される場合には、実ヨーレート偏差の大きさがタイヤ切れ角偏差相当値に応じて定まる値以上に大きくなるまで車両旋回状態量が取得されない。この結果、車両諸元が本来の車両諸元から乖離しているほど、車両旋回状態制御が開始されにくくなるため、車両旋回制御が早期に開始されるのを防ぐことができる。
また、前記タイヤ切れ角偏差相当値取得手段は、
前記車両が直進状態にあると判定された場合の同車両のステアリングホイールの中立位置からの操舵角を前記タイヤ切れ角偏差相当値として取得するように構成されることが好ましい。
これによれば、タイヤ切れ角偏差相当値を操舵角センサ等のステアリング操作量を検出する手段から簡単に取得することができる。
なお、上述した制御用タイヤ切れ角を定める際の所定の基準タイヤ切れ角が「車両を直進させるために必要な基準タイヤ切れ角」である場合、その基準タイヤ切れ角は、通常、タイヤの向きが車両の前後方向に一致しているときの同車両の前後方向からのタイヤ切れ角(即ち、0度であり、以下「中立タイヤ角」と言う。)である。ただし、車両のアライメント等の車両挙動に影響を及ぼす車両諸元が変化することにより、「車両を直進させるために必要な基準タイヤ切れ角」が中立タイヤ角とは相違する場合もある。このような場合、制御用タイヤ切れ角は、例えば、車両が直進状態に維持されたいるときの車両の前後方向からのタイヤ切れ角に相当する「操舵角(ステアリングホイールの中立位置からの操舵角)」を取得しておき、その操舵角と車両の前後方向からの実際のタイヤ切れ角に相当する「実操舵角(ステアリングホイールの中立位置からの操舵角)」との差に基づいて求められる。
以下、本発明による車両挙動制御装置の実施形態について図面を参照しながら説明する。図1は、この実施形態に係る車両挙動制御装置10の概略構成を示している。
この車両挙動制御装置10は車両(自動車)11に搭載されている。車両11は右前輪12FRと、左前輪12FLと、右後輪12RRと、左後輪12RLと、ステアリングホイール14と、ステアリング装置16と、右タイロッド18Rと、左タイロッド18Lと、油圧回路22と、右前ホイールシリンダ24FRと、左前ホイールシリンダ24FLと、右後ホイールシリンダ24RRと、左後ホイールシリンダ24RLと、ブレーキぺダル26と、マスタシリンダ28と、を備えている。
また、この車両挙動制御装置10は、電子制御装置(以下、ECU)30、右前車輪速度センサ32FR、左前車輪速度センサ32FL、右後車輪速度センサ32RR、左後車輪速度センサ32RL、操舵角センサ34、警告灯36、ヨーレートセンサ38及び横加速度センサ40を備えている。
操舵輪である右前輪12FR及び左前輪12FLは運転者によるステアリングホイール14の転舵に応答して駆動されるラック・アンド・ピニオン式のステアリング装置16により右タイロッド18R及び左タイロッド18Lを介して操舵されるようになっている。また、各車輪の制動力は、オイルリザーバ、オイルポンプ及び種々の電磁弁等によって構成されている油圧回路22により、各ホイールシリンダの制動圧が制御されることによって制御されるようになっている。マスタシリンダ28は運転者によるブレーキペダル26の操作に応じて駆動され、油圧回路22を通じて各ホイールシリンダの制動圧を制御するようになっている。
ECU30は、互いに接続されたCPU、CPUが実行するプログラム及びマップ(ルックアップテーブル)等を予め記憶したROM、CPUが必用に応じてデータを一時的に格納するRAM、電源が投入された状態でデータを格納するとともに同格納されたデータを電源が遮断されている間も保持するバックップRAM及びADコンバータを含むインターフェース等からなるマイクロコンピュータである。
ECU30は右前車輪速度センサ32FR、左前車輪速度センサ32FL、右後車輪速度センサ32RR、左後車輪速度センサ32RL、操舵角センサ34、ヨーレートセンサ38及び横加速度センサ40と接続され、CPUに各センサからの信号を供給するようになっている。また、ECU30は警告灯36と接続され、CPUの指示に応じて警告灯36に警告灯点灯信号を送出するようになっている。更に、ECU30は、油圧回路22に備えられた図示しない電磁弁と接続され、CPUの指示に応じてこれらの電磁弁に駆動信号を送出することによって各マスターシリンダの制動圧を制御するようになっている。
各車輪速度センサ(32FR、32FL、32RR、32RL)は、各車輪(12FR、12FL、12RR、12RL)の近傍に設けられ、各車輪の車輪速度(回転速度)(Vwfr、Vwfl、Vwrr、Vwrl)を検出するようになっている。操舵角センサ34はステアリングホイール14と連結されたステアリングコラムに設けられ、ステアリングホイールの意匠の予め定まった中立の向き(ステアリングホイール14の中立位置)からの回転角に基づいて操舵角θを検出する絶対角センサである。ヨーレートセンサ38は車両11のヨーレートYrを検出し、検出値を信号としてECU30に送出するようになっている。横加速度センサ40は車両の横加速度Gyを検出し、検出値を信号としてECU30に送出するようになっている。
(作動の概要)
次に上記のように構成された車両挙動制御装置10の作動の概要について説明する。
なお、以下の説明において、ヨーレートは、車両が同車両の重心軸周りに左回転している場合に正の値となり、右回転している場合に負の値となるものとする。タイヤ切れ角は、特に指定されない限り、車両の前後方向からのタイヤ切れ角(車両の前後方向前向きを0度とし、その向きに対するタイヤ回転角度)であって、車両を左方向に旋回させようとする場合に正、右方向に旋回させようとする場合に負の値となるものとする。横加速度は、加速度が車両の左方向へ向う場合に正の値となり、加速度が車両の右方向へ向う場合に負の値となるものとする。操舵角(ステアリングホイール14の操作角)は、ステアリングホイール14が中立位置にあるときに0、運転者が車両を左方向に旋回させるためにステアリングホイール14を中立位置から回転操作したとき正の値、運転者が車両を右方向に旋回させるためにステアリングホイール14を中立位置から回転操作したとき負の値となるものとする。
理解を容易にするために、先ず、従来の車両挙動制御装置の作動から説明する。従来の車両挙動制御装置は、車両が安定した旋回を行うために以下の説明に示すような手順で車両の挙動を制御している。先ず、車両挙動制御装置は、車両に安定した旋回を行わせるための目標となる車両のヨーレートである目標ヨーレートYrstdを下記に示した(1)及び(2)式を用いることにより算出する。
Figure 0004839888
Figure 0004839888
ここでVは車速であり、δはタイヤ切れ角であり、Lはホイールベースの大きさである。
また、Mは車重、lfは車両の重心から前輪車軸までの距離、lrは車両重心から後輪車軸まで距離、Cfは前輪コーナーリングパワー、Crはコーナーリングパワーであり、車両諸元として予め定まっている値である。なお、本実施形態においては、(1)式のδには制御用タイヤ切れ角が代入される。制御用タイヤ切れ角とは、所定の基準タイヤ切れ角と実際のタイヤの切れ角との差である。その基準タイヤ切れ角は、通常、タイヤの向きが車両の前後方向に一致しているときの同車両の前後方向からのタイヤ切れ角(即ち、0度、中立タイヤ角)である。
次に、車両挙動制御装置は、ヨーレートセンサ38により車両の実際のヨーレート(実ヨーレート)Yrを検出し、目標ヨーレートと実ヨーレートとの偏差であるヨーレート偏差Yrerr(Yrerr=Yrstd−Yr)を算出する。そして、車両挙動制御装置は、算出されたヨーレート偏差Yrerrと図2に示したマップとから車両旋回状態制御量VFを取得し、取得された車両旋回状態制御量VFに応じて各車輪の制動力を決定し、各輪のホイールシリンダ油圧を制御する。
これに対し、本実施形態の車両挙動制御装置10は、以下の説明に示すような手順で車両の挙動を制御する。先ず、車両挙動制御装置10は、車両が直進走行状態にあるかどうかの判定をヨーレートセンサ38によって検出される実ヨーレートYr及び横加速度センサ40によって検出される横加速度Gy等に基づいて行う。装置10は、車両が直進走行状態であると判定した場合、車両前後方向に向うタイヤの角度(中立タイヤ角)と実際のタイヤ切れ角との差であるタイヤ切れ角偏差δerr(又は、タイヤ切れ角偏差相当値θerr=操舵角ズレθerr)を取得する。タイヤ切れ角偏差δerrはアライメント(キャスター角、キャンバ角及びトー角)の変化、特定のタイヤの偏磨耗及び特定のタイヤの空気圧低下等の車両諸元(車両の挙動に影響を及ぼす因子)の変化を反映した値である。
次に車両挙動制御装置10は、タイヤ切れ角偏差δerr(又は、タイヤ切れ角偏差相当値θerr)の大きさが大きいほど、車両旋回状態制御量VFが「0」となるの不感帯(図2に示したdeadzone、但し、deadzone>0)が大きくなり、且つ、同じヨーレート偏差Yrerrに対する車両旋回状態量VFが小さくなるように、車両旋回状態制御量VFを求める。即ち、車両挙動制御装置10は、図3に示したように車両旋回状態制御量VFを取得する。そして、車両挙動制御装置10は旋回車両状態制御量VFに基づいて各車輪の制動力を決定し、各輪のホイールシリンダ油圧を制御する。
以上のように本実施形態は、車両モデルを構築したときの車両諸元と現時点での車両諸元との相違がタイヤ切れ角偏差δerr(操舵角ズレθerr)に反映されることに注目し、タイヤ切れ角偏差δerr(操舵角ズレθerr)に基づいて車両旋回状態制御を行う。これによれば、タイヤ切れ角偏差δerr(操舵角ズレθerr)の大きさが大きいほど不感帯deadzoneが大きくなるため、車両旋回状態制御が開始されにくくなる。また、車両旋回状態制御が開始されたとしても、タイヤ切れ角偏差δerr(操舵角ズレθerr)の大きさが大きいほど車両旋回状態制御量VFは従来の両挙動制御装置と比べて小さくなる。よって、車両挙動制御が早期に開始されてしまったり、車両挙動制御により発生させられるヨーモーメントが大きくなってしまったりという課題を解決することができる。
実際には、車両挙動制御装置10は、上記の手順による場合と同内容の結果を得るために、実ヨーレート偏差Yrerrに対して、不感帯処理を行った制御用ヨーレート偏差(不感帯処理済みヨーレート偏差)Xを求め、その制御用ヨーレート偏差Xと図4に示したマップとを用いて車両旋回状態制御量VFを取得する。不感帯処理とは、実ヨーレート偏差Yrerrの大きさから不感帯deadzoneを減算した値であって実ヨーレート偏差Yrerrと同じ符号を有する値を制御用ヨーレート偏差Xとすることである。即ち、不感帯処理においては、ヨーレート偏差Yrerrが0以上であれば、Yrerr−deadzoneが制御用ヨーレート偏差Xとして求められ、ヨーレート偏差Yrerrが0より小さければYrerr+deadzoneが制御用ヨーレート偏差Xとして求められる。
一方、車両挙動制御装置10は不感帯deadzoneをタイヤ切れ角偏差δerr(又は、操舵角ズレθerr)の大きさが大きいほど大きくなるように求める。以上の結果、図4に示したマップと制御用ヨーレート偏差Xとを用いることにより、実質的に図3に示したマップの車両旋回状態制御量VFが得られる。
なお、車両挙動制御装置10は、操舵角が決まればタイヤ切れ角も一意に決定されるという操舵角とタイヤ切れ角との関係を使用し、操舵角に基づいて上記車両挙動制御を行う。即ち、車両挙動制御装置10は、タイヤ切れ角に相当する値(タイヤ切れ角相当値)として操舵角を使用する。例えば、車両が直進状態にあると判定される場合、タイヤの向きは車両の前後方向に一致しているときの同車両の前後方向からのタイヤ切れ角であり、そのタイヤ切れ角に相当する値である操舵角は0度(中立位置)と推定される。従って、タイヤ切れ角偏差δerrに相当する値は、車両が直進状態にあると判定される場合における操舵角に等しいとして求められる。
以下、場合に分けて、車両挙動制御装置10の実際の作動について説明する。
(車両挙動制御・横力制御)
ECU30は、図5にフローチャートによって示した、車両の横力を制御するためのルーチン(横力制御ルーチン)を所定時間が経過する毎に実行するようになっている。従って、所定のタイミングになると、ECU30はステップ501から本ルーチンの処理を開始し、ステップ502に進んで、車速Vを各車輪速度センサ(32FR、32FL、32RR、32RL)からの各車輪の車輪速度(Vwfr、Vwfl、Vwrr、Vwrl)に基づいて周知の方法により取得するとともに、操舵角センサ34により操舵角θを取得し、ヨーレートセンサ38によって車両の実際ヨーレートYrを取得する。なお、ステップ502は、車両の実際の旋回状態である実車両旋回状態量(Yr、V等)を取得する実車両旋回状態量取得手段の一部を構成している。
次に、ECU30はステップ503に進み、下記の(3)式に示した関数に従って制御用タイヤ切れ角δを取得する。すなわち、操舵角θから後述の図6に示した不感帯算出ルーチンによって導かれる操舵角ズレθerrを減じた値(θ−θerr)を所定の関数f(本例では一次関数)に代入することによりタイヤ切れ角δを算出する。このステップ503は、所定の基準タイヤ切れ角と実際のタイヤの切れ角との差に相当する制御用タイヤ切れ角δを取得する制御用タイヤ切れ角取得手段を構成している。
δ=f(θ−θerr)…(3)
操舵角ズレθerrは車両11が直進状態に維持されるために必要な「ステアリングホイール14の中立位置を基準(0度)とした場合の操舵角」である。車両のアライメントが設計上のアライメントからずれていない場合、又は、特定のタイヤの偏磨耗若しくは空気圧の低下が生じていない場合等、車両諸元が車両モデルを構築したときの車両諸元と相違していない場合、ステアリングホイール14を中立位置に維持すれば車両は直進するはずである。しかしながら、車両諸元が車両モデルを構築したときの車両諸元と相違すると、車両を直進させるためにはタイヤ切れ角を車両の前後方向に向う角度とは相違する角度に維持する必要があり、その場合、操舵角ズレθerrが0でない値となる。
このとき、操舵角ズレθerr(即ち、タイヤ切れ角偏差δerr)を考慮せず、操舵角θに基づいて求められるタイヤ切れ角(例えば、δ’=f(θ))から目標ヨーレートを決定すると、その目標ヨーレートは車両に求められているヨーレートと乖離する恐れがある。そこで、本実施形態においては、操舵角θから操舵角ズレθerrを減じた値(θ−θerr)に基づいて制御用タイヤ切れ角δを求め、その制御用タイヤ切れ角δを用いて目標ヨーレートYrstdを算出することにより、より正確な目標ヨーレートを求めている。
ただし、操舵角ズレθerrがどのような値であっても、実際のタイヤ切れ角と操舵角θとの相対関係(上記関数f)は実質的に変化しないと考えられる。従って、操舵角θから操舵角ズレθerrを減じた値(θ−θerr)から求められる制御用タイヤ切れ角δは、操舵角θに応じて変化する実タイヤ切れ角に基づいた値となっている。
次に、ECU30はステップ504に進み、目標となる車両のヨーレートである目標ヨーレートYrstdを、上述の(1)及び(2)式にステップ502にて取得された車速V及びステップ503にて取得された制御用タイヤ切れ角δを適用することにより算出する。このステップ504は、車両の目標とする旋回状態を表す目標車両旋回状態量(目標ヨーレートYrstd)を制御用タイヤ切れ角δに基づいて取得する目標車両旋回状態量取得手段に相当している。
次いで、ECU30はステップ505に進み、下記の(4)式に示したように目標ヨーレートYrstdから実ヨーレートYrを減ずることでヨーレート偏差Yrerrを算出する。
Yrerr=Yrstd−Yr…(4)
次いで、ECU30はステップ506から510のうちの所定のステップの処理を行うことにより以下の不感帯処理を実行する。
1.
ヨーレート偏差Yrerrの絶対値が不感帯deadzone以上であり(ステップ506)、かつ、ヨーレート偏差Yrerrが正の値である場合(ステップ507);下記の(5)式に示した不感帯処理の演算を行い制御用ヨーレート偏差Xを算出する(ステップ509)。
X=Yrerr−deadzone…(5)
2.ヨーレート偏差Yrerrの絶対値が不感帯deadzone以上であり(ステップ506)、かつ、ヨーレート偏差Yrerrが負の値である場合(ステップ507);以下の(6)式に示した不感帯処理の演算を行い制御用ヨーレート偏差Xを算出する(ステップ510)。
X=Yrerr+deadzone…(6)
3.ヨーレート偏差Yrerrの絶対値が不感帯deadzoneより小さい場合(ステップ506);制御用ヨーレート偏差Xに0を代入する(ステップ508)。
次に、ECU30はステップ511へと進み制御用ヨーレート偏差Xに基づいて車両旋回状態制御量VFを取得する。具体的には、ECU30は制御用ヨーレート偏差Xと車両旋回状態制御量VFとの関係を規定した図4に示したテーブル(マップ)を予めECU30に含まれるROM内に格納していて、求められた制御用ヨーレート偏差Xと前記テーブルとを用いて車両旋回状態制御量VFを算出する。次に、ECU30はステップ512に進み、下記の(7)式を用いて演算を行うことにより、車両旋回状態制御量VFの大きさを操舵角ズレθerrの大きさに応じて変更する。
VF=VF・g(θerr)…(7)
なお、この関数gは図5に示したように操舵角ズレθerrの大きさが大きいほど車両旋回状態制御量VFの大きさを小さくするような関数である。
次に、ECU30はステップ513に進み、車両旋回状態制御量VFに基づいて車両の制動制御を実行し、ステップ514へと進んで本ルーチンを一旦終了する。具体的には、ECU30は車両旋回状態制御量VFに基づいて各車輪に加えるべき制動力を周知の方法により演算し、その制動力が各車輪に加えられるように油圧回路22の電磁弁に制御信号を送出することによって、各ホイールシリンダの制動圧を制御する。
以上の処理により、目標車両旋回状態量としての目標ヨーレートYrstdと実車両旋回状態量に相当する実ヨーレートYrとの偏差の大きさが小さくなるように求められた車両の旋回状態を変更するための車両旋回状態制御量VFに応じた力が同車両に与えられる。即ち、車両旋回状態制御(車両の挙動制御)が実行される。
なお、ステップ506乃至ステップ513までの処理は、目標車両旋回状態量と実車両旋回状態量との偏差(Yrerr)の大きさが小さくなるように車両の旋回状態を変更するための車両旋回状態制御量VFを取得するとともに、車両旋回状態制御量VFに応じた力を同車両に与える車両旋回状態制御を実行する車両旋回状態制御手段を構成するとともに、車両旋回状態制御手段が車両旋回状態制御に用いる前記車両旋回状態制御量VFをタイヤ切れ角偏差相当値θerrに基づいて変更する車両旋回状態制御量変更手段を構成している。
(不感帯算出)
ECU30は、図6にフローチャートによって示した車両旋回状態制御の際に必要な不感帯deadzoneを算出するためのルーチン(不感帯算出ルーチン)を所定時間毎に実行するようになっている。いま、車両が直進走行状態であるとして説明を続ける。所定のタイミングになると、ECU30はステップ601から本ルーチンの処理を開始し、ステップ602に進んで右前車輪速度センサ32FRによって検出される右前車輪速度Vwfrと、左前車輪速度センサ32FLによって検出される左前車輪速度Vwflとの差の絶対値が所定の値αより小さいか否かの判定を行う。車両が直進状態にあれば、右前車輪速度Vwfrと左前車輪速度Vwlとの差の絶対値はαより小さくなる。よって、前述の仮定に従うとECU30はステップ602において「Yes」と判定し、ステップ603に進む。
ステップ603においてECU30は、右後車輪速度センサ32RRによって検出される右後車輪速度Vwrrと、左後車輪速度センサ32RLによって検出される左後車輪速度Vwrlとの差の絶対値が所定の値βより小さいか否かの判定を行う。車両が直進状態にあれば、右前車輪速度Vwfrと左前車輪速度Vwlとの差の絶対値はβより小さくなる。よって、前述の仮定に従うとECU30はステップ603において「Yes」と判定し、ステップ604に進む。
ステップ604においてECU30は、横加速度センサ40によって検出される横加速度Gyの絶対値が所定の値γより小さいか否かの判定を行う。車両が直進状態にあれば、横加速度Gyの絶対値はγより小さくなる。よって、前述の仮定に従うとECU30はステップ604において「Yes」と判定し、ステップ605に進む。
ステップ605においてECU30は、ヨーレートセンサ38よって検出される実ヨーレートYrの絶対値が所定の値εより小さいかどうかの判定を行う。車両が直進状態にあれば、実ヨーレートYrの絶対値はεより小さくなる。よって、前述の仮定に従うとECU30はステップ605において「Yes」と判定し、ステップ606に進む。
ステップ606においてECU30は、操舵角センサ34によって検出される操舵角θを操舵角ズレθerrに代入する。これは、車両が直進走行状態にあるため、本来であれば操舵角は0である(ステアリングホイールの意匠が予め定まった中立位置にある)ので、操舵角センサ34によって検出される操舵角θは操舵角ズレθerrと等しいということに基づく。
次にECU30はステップ607に進んで、不感帯deadzoneを操舵角ズレθerrと関数hとから算出する。関数hは、操舵角ズレθerrの大きさ(|θerr|)が大きくなるほど不感帯deadzone(>0)を大きくする単純増加関数である(図3を参照)。
次にECU30はステップ608に進んで操舵角ズレθerrの絶対値が所定の警告操舵角θthより大きいか否かを判定することにより運転者への警告が必要であるかどうかを判定する。操舵角ズレθerrの絶対値が警告操舵角θthの値以上であった場合は、ECU30は警告が必要であると判定し、ステップ609に進み警告灯36を点灯させ、ステップ610に進んで本ルーチンを一旦終了する。操舵角ズレθerrの絶対値が警告操舵角θth未満であった場合は、ECU30は警告が必要でないと判定し、ステップ610に直接進んで本ルーチンを一旦終了する。
一方、車両が直進走行状態になかった場合、ECU30はステップ602、ステップ603、ステップ604及びステップ605の何れかのステップで「No」と判定し、ステップ606及びステップ607を経由することなくステップ608に進む。従って、不感帯deadzoneは変更されない。
以上、説明したように、本発明の実施形態に係る車両挙動制御装置10はタイヤ切れ角偏差δerrと対応した直進走行状態におけるステアリングホイールの意匠の中立の向きからのずれである操舵角ズレθerrに基づいて、車両旋回状態制御時の不感帯deadzoneを算出し、不感帯deadzoneを考慮に入れて車両旋回状態量VFを算出する。その車両旋回状態量VFに基づいて車両挙動制御を行うことで早期に車両旋回状態を変更する車両挙動制御(横力制御)が開始されるのを防ぐことができる。また、車両旋回状態制御量VFの大きさを操舵角ズレθerrの大きさに応じて変更することで車両挙動制御により発生させられるモーメントが大きくなってしまうのを防ぐことができる。
なお、本発明は上記の実施形態に限定されることはなく、本発明の範囲内において以下に述べるような種々の変形例を採用することができる。
例えば、上記実施形態の車両挙動制御装置10は、油圧回路22を通じて各ホイールシリンダの制動圧を制御するように構成されているが、ブレーキバイワイヤシステム(BBWS)を採用し、電気回路を通じて各ホイールシリンダの制動圧を制御しても良い。また、インホイールモータ等の各輪駆動力制御を行うことが可能な車両に本発明を適用し場合、各輪の駆動力を変更して車両旋回制御を行っても良い。
また、上記実施形態の車両挙動制御装置10は、ステアリングホイール14の転舵に応答して駆動されるラック・アンド・ピニオン式のステアリング装置16を採用しているが、バリアブルギアレシオステアリング(VGS)方式のステアリング装置やステアリングバイワイヤシステム(SBWS)を採用したステアリング装置でも良い。バイワイヤシステム(SBWS)を採用した車両においては、上記操舵角θ(ステアリングホイール14の操作角)は、操舵中立位置からの操舵量(操舵指示量)と等価である。
加えて、上記実施形態の車両挙動制御装置10は、車両が直進状態にあると判定される場合に操舵角ズレθerr(従って、タイヤ切れ角偏差)を求めていたが、車両が直進状態以外の状態にある場合に操舵角ズレθerr(従って、タイヤ切れ角偏差)を求めても良い。この場合、例えば、上記車両旋回状態制御が実行されていないときに、取得される実ヨーレートYrを目標ヨーレートYrstdに代えて上記(1)式及び(2)式に適用するとともに、取得された車速Vを同(1)式及び(2)式に適用することにより、タイヤ切れ角δを算出し、このタイヤ切れ角δと上記関数fの逆関数とから推定操舵角θsを推定し、その推定操舵角θsと実際の操舵角θとの偏差から操舵角ズレθerrを求めれば良い。
更に、上記実施形態においては、ステップ602乃至ステップ605までの処理により、左右前輪の車輪速度差、左右後輪の車輪速度差、横加速度及びヨーレートに基づいて車両が直進状態にあるか否かを判定していたが、これらのパラメータのうちの一つ又は任意の二つ以上の組み合わせに基づいて、車両が直進状態にあるか否かの判定を行ってもよい。
また、上記実施形態においては、操舵角に基づいて車両の挙動制御を行っているが、操舵輪のタイヤ切れ角を取得する手段(例えば、タイヤ切れ角センサ)を設け、その手段により得られるタイヤ切れ角に基づいて車両の挙動制御を行っても良い。そのような場合、タイヤ切れ角相当値は、タイヤ切れ角そのものであるとして扱われる。
本発明の実施形態に係る車両挙動制御装置の概略図である。 ヨーレート偏差と車両旋回状態制御量との関係を示したマップである。 タイヤ切れ各偏差と車両旋回状態制御量との関係を示したマップである。 図1に示した電気制御装置のCPUが参照する制御用ヨーレート偏差と車両旋回状態制御量との関係を示したマップである。 図1に示した電気制御装置のCPUが実行するルーチンを示したフローチャートである。 図1に示した電気制御装置のCPUが実行するルーチンを示したフローチャートである。
符号の説明
10…車両挙動制御装置、11…車両、12R…右後輪、12FR…右前輪、12RL…左後輪、12FL…左前輪、14…ステアリングホイール、16…ステアリング装置、18R…右タイロッド、18L…左タイロッド、22…油圧回路、24RR…右後ホイールシリンダ、24FR…右前ホイールシリンダ、24RL…左後ホイールシリンダ、24FL…左前ホイールシリンダ、26…ブレーキペダル、28…マスタシリンダ、32RR…右後車輪速度センサ、32FR…右前車輪速度センサ、32RL…左後車輪速度センサ、32FL…左前車輪速度センサ、34…操舵角センサ、36…警告灯、38…ヨーレートセンサ、40…横加速度センサ。

Claims (4)

  1. 所定の基準タイヤ切れ角と実際のタイヤの切れ角との差に相当する制御用タイヤ切れ角を取得する制御用タイヤ切れ角取得手段と、
    車両の目標とする旋回状態を表す目標車両旋回状態量を前記制御用タイヤ切れ角に基づいて取得する目標車両旋回状態量取得手段と、
    前記車両の実際の旋回状態である実車両旋回状態量を取得する実車両旋回状態量取得手段と、
    前記目標車両旋回状態量と前記実車両旋回状態量との偏差の大きさが小さくなるように前記車両の旋回状態を変更するための車両旋回状態制御量を取得するとともに同車両旋回状態制御量に応じた力を同車両に与える車両旋回状態制御を実行する車両旋回状態制御手段と、
    を備えた車両の挙動制御装置であって、
    前記車両旋回状態制御手段による前記車両旋回状態制御が実行されていないときに前記取得された実車両旋回状態量に基づいて前記車両の前後方向からのタイヤ切れ角に相当する推定タイヤ切れ角相当値を推定するとともに、同車両の前後方向からの実際のタイヤ切れ角に相当する実タイヤ切れ角相当値を取得し、同推定タイヤ切れ角相当値と同実タイヤ切れ角相当値との差であるタイヤ切れ角偏差相当値を取得するタイヤ切れ角偏差相当値取得手段と、
    前記車両旋回状態制御手段が前記車両旋回状態制御に用いる前記車両旋回状態制御量を前記取得されたタイヤ切れ角偏差相当値に基づいて変更する車両旋回状態制御量変更手段と、
    を備えた車両の挙動制御装置において、
    前記目標車両旋回状態量取得手段は、
    前記目標車両旋回状態量として目標ヨーレートを取得するように構成され、
    前記実車両旋回状態量取得手段は、
    前記実車両旋回状態量として前記車両の実際のヨーレートである実ヨーレートを取得するように構成され、
    前記車両旋回状態制御手段は、
    前記目標ヨーレートと前記実ヨーレートとの差であるヨーレート偏差の大きさが所定閾値以上の場合に前記車両旋回状態制御量を取得するように構成され、
    前記車両旋回状態制御量変更手段は、
    前記取得されたタイヤ切れ角偏差相当値の大きさが大きくなるほど前記所定閾値を大きくすることにより前記車両旋回状態制御量を変更するように構成された車両の挙動制御装置。
  2. 請求項1に記載の車両の挙動制御装置において
    記タイヤ切れ角偏差相当値取得手段は、
    前記取得されたヨーレートに基づいて前記車両が直進状態にあるか否かを判定し、同車両が直進状態にあると判定される場合に、前記推定タイヤ切れ角相当値を、前記タイヤの向きが同車両の前後方向に一致しているときの同車両の前後方向からのタイヤ切れ角に相当する値であると推定するとともに、前記タイヤ切れ角偏差相当値を取得するように構成された車両の挙動制御装置。
  3. 請求項1又は請求項2に記載の車両の挙動制御装置において、
    前記車両旋回状態制御手段は、
    前記目標ヨーレートと前記実ヨーレートとの差であるヨーレート偏差の大きさが大きいほど大きさが大きくなる前記車両旋回状態制御量を同ヨーレート偏差に基づいて取得するように構成され、
    前記車両旋回状態制御量変更手段は、
    前記取得されたタイヤ切れ角偏差相当値の大きさが大きくなるほど前記車両旋回状態制御量の大きさを小さくするように構成された車両の挙動制御装置。
  4. 請求項1又は請求項2に記載の車両の挙動制御装置において、
    前記車両旋回状態制御手段は、
    前記目標ヨーレートと前記実ヨーレートとの差であるヨーレート偏差に基づいて同ヨーレート偏差の大きさが大きいほど前記車両旋回状態制御量の大きさが大きくなるように同車両旋回状態制御量を取得するように構成され、
    前記車両旋回状態制御量変更手段は、
    前記取得されたタイヤ切れ角偏差相当値の大きさが大きくなるほど前記車両旋回状態制御において前記車両旋回状態制御量を取得するために用いられる前記ヨーレート偏差の大きさを小さくすることにより同車両旋回状態制御量を変更するように構成された車両の挙動制御装置。
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