JP4833641B2 - 紡績用ローラー - Google Patents

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本発明は、紡績におけるコーマー工程、練篠工程、粗紡工程、精紡工程等で使用される紡績用ローラーに関する。
従来、この種紡績用ローラーとしては、図4に示すように、アルミニウム等の金属製パイプ(32)の外周面に接着剤を塗布した上、押出成形した未加硫のゴムコット(31)を嵌め被せて、該ゴムコット(31)を加硫接着したローラー(30)が知られている。そして、該紡績ローラー(30)における前記金属製パイプ(32)内には芯金(33)が圧入されていた。
また、他の紡績用ローラーとして、図5に示すように、芯金(41)の外周に接着剤を介して、チューブ状の軟質ゴムコット(42)を固定し、更に軟質ゴムコット(42)の外周に、該ゴムコット(42)より硬度が高いポリウレタンゴムチューブ(43)を嵌め被せたり、或いは接着剤で固定したローラー(40)も知られている。
実公昭39−30312号 実公昭39−30313号 特開昭50−89644号
紡績用ローラーは、その使用に伴って外周面が磨耗することから、該磨耗を抑制するためにはゴム硬度を高くするのが好ましいが、硬度が高くした場合、繊維の把持力が低下し、いわゆる糸斑が発生し易くなる。そのため、紡績用ローラーは、その外周面の磨耗を抑制しつつ、しかも繊維の十分な把持力が確保されるものでなければならない。
前述した従来の紡績用ローラーのうち、前者は金属製パイプ(32)の外周に一層のゴムチューブ(31)が接着された構造であるため、耐磨耗性と繊維の把持力の両方の性質を兼ね備えたものを得るのは実際上、非常に困難であった。
一方、後者の紡績用ローラーでは、軟質ゴムコット(42)の外周に、該ゴムコット(42)より硬度が高いポリウレタンゴムチューブ(43)が被着されているため、外側のポリウレタンゴムチューブ(43)層によって耐磨耗性が得られ、内側の軟質ゴムコット(42)層によって、繊維の把持力が得られ易いが、軟質ゴムコット(42)の内周面を接着剤で芯金(41)の外周面に直接接着する構造であるため、使用済ゴムローラーの交換作業が面倒であるという問題がある他、内側の軟質ゴムコット(42)層と外側のポリウレタンゴムチューブ(43)層とを複合した見かけ硬度を制御するものではなかったため、期待した効果を得難いのが実情であった。
本発明の目的は、使用済みゴムローラーの交換作業が容易に行え、且つ耐磨耗性と繊維の十分な把持力を容易に得ることができる紡績用ローラーを提供することにある。
請求項1記載の本発明は、芯金が挿入される金属または合成樹脂製のパイプと、パイプの外周面に形成された接着剤層と、接着剤層を介してパイプの外周側に接着された第一ゴム層と、第一ゴム層の外周側に接着された第二ゴム層とを含み、第二ゴム層の硬度が第一ゴム層の硬度より高く設定されており、且つ第一ゴム層の硬度が35°〜50°、第二ゴム層の硬度が60°以上およびローラー表面の見かけ硬度が60°〜70°となされており、前記第二ゴム層は、第一ゴム層の外周面に形成された第二接着剤層を介して前記第一ゴム層の外周側に接着されているものである。
請求項2記載の本発明は、芯金が挿入される金属または合成樹脂製のパイプと、パイプの外周面に形成された接着剤層と、接着剤層を介してパイプの外周側に接着された第一ゴム層と、第一ゴム層の外周側に接着された第二ゴム層とを含み、第二ゴム層の硬度が第一ゴム層の硬度より高く設定されており、且つ第一ゴム層の硬度が35°〜50°、第二ゴム層の硬度が60°以上およびローラー表面の見かけ硬度が60°〜70°となされており、前記第二ゴム層が、第一ゴム層と同時に押し出し成形することで第一ゴム層の外周側に接着されているものである。
なお、本明細書において、硬度はJISK6253に定義されるタイプAデュロメータ硬さである。
請求項記載の本発明は、前記請求項1または請求項2記載の紡績用ローラーについて、第二ゴム層の厚みが0.5〜5mmの範囲であることを特徴とするものである。
第二ゴム層の厚みが0.5mm未満である場合には、当該紡績用ローラーが少し磨耗しただけで当該ローラー表面の見かけ硬度が急激に低下してしまい、見かけ硬度の制御が困難となる。一方、第二ゴム層の厚みが5mmを超える場合には、相対的に低硬度である第一ゴム層の影響をほとんど受けなくなり、その結果、当該紡績用ローラー表面の見かけ硬度低下効果が期待できなくなるので好ましくない。
なお、前述した本発明に係る紡績用ローラーは、紡績におけるコーマー工程、練篠工程、粗紡工程、精紡工程等のいずれにおいても使用し得るものである。
本発明の紡績用ローラーにおける第一ゴム層と第二ゴム層の原料としては、NBRの他、天然ゴム、SBR、BR、IIR等、種々のものが用いられる。
本発明の紡績用ローラーは、金属または合成樹脂製のパイプと、パイプの外周面に形成された第一接着剤層と、第一接着剤層を介してパイプの外周側に被着された第一ゴム層と、第一ゴム層の外周面に、第二接着剤層を介するか、または直接に第二ゴム層を設けた構造であるため、前記パイプ内に芯金を圧入することで当該紡績用ローラーの取付が行え、従来の接着剤を用いた芯金への取付が不要となることから、使用済ゴムローラーの交換作業が容易であると共に、接着剤使用による作業環境の悪化が防止される。また、本発明の紡績用ローラーは、前述した通り、パイプをベースとして、その外周側に第一接着剤層、或いは更に第二接着剤層を介して第一ゴム層と第二ゴム層を設けた有機的な多層構造であって、第一ゴム層よりも硬度が高い第二ゴム層によって、紡績時の耐磨耗性が得られると共に、繊維の捲き付きが防止できる一方、第二ゴム層よりも柔軟な第一ゴム層が、第二ゴム層と一体となっていることにより、当該ローラーの見かけ硬度を適切に下げるため、繊維の十分な把持力が得られ、しかもこれら耐磨耗性、繊維の捲き付き防止および繊維把持力のすべての機能が安定的に維持されることから、いわゆる糸斑の発生が確実に防止され、高品質で均整な糸を生産することができる。
次に、本発明に係る紡績用ローラーの実施形態を図面にしたがって説明するが、本発明は係る実施形態に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で種々の変形実施が可能である。
(実施形態1)
図1および図2に示すように、本実施形態の紡績用ローラー(1)は、アルミニウム製パイプ(2)と、パイプ(2)の外周面に形成された第一接着剤層(3)と、第一接着剤層(3)を介してパイプ(2)の外周側に被着されたNBR製の第一ゴム層(4)と、第一ゴム層(4)の外周面に形成された第二接着剤層(5)と、第二接着剤層(5)を介して第一ゴム層(4)の外周側に被着されたNBR製の第二ゴム層(6)とからなり、第二ゴム層(6)の硬度が第一ゴム層(4)の硬度より高く設定されているものである。具体的には、第二ゴム層(6)は、硬度75°厚み1.35mm、第一ゴム層(4)は、硬度40°、厚み1.15mmであり、また当該紡績用ローラー(1)表面の見かけ硬度は、70°となされている。なお、パイプ(2)内には芯金(7)が圧入されている。
次に、本実施形態に係る紡績用ローラー(1)の製造方法について述べると、パイプ(2)の外周面に第一接着剤層(3)となる接着剤を均一に塗布した後、その外周に未加硫の第一ゴム層(4)を押出成形した後、該第一ゴム層(4)を加硫し、その後、第一ゴム層(4)の外周面を研磨し、次にその外周面に第二接着剤層(5)となる接着剤を均一に塗布した後、その外周側に予め成形しておいた第二ゴム層(6)となる未加硫のゴムチューブを嵌め被せた後に加硫し、最終的に第二ゴム層(6)の外周面を研磨する。
(実施形態2)
図3に示すように、本実施形態の紡績用ローラー(21)は、アルミニウム製パイプ(22)と、パイプ(22)の外周面に形成された接着剤層(23)と、接着剤層(23)を介してパイプ(2)の外周側に被着されたNBR製の第一ゴム層(24)と、第一ゴム層(24)の外周側に形成されたNBR製の第二ゴム層(25)とからなり、第二ゴム層(25)の硬度が第一ゴム層(24)の硬度より高く設定されているものである。具体的には、第二ゴム層(25)は、硬度70°、厚み1.0mmであり、第一ゴム層(24)は、硬度50°、厚み1.5mmであり、また当該紡績用ローラー(21)表面の見かけ硬度は、65°となされている。なお、パイプ(22)内には前記実施形態1と同様に、芯金が圧入される。
次に、本実施形態に係る紡績用ローラー(21)の製造方法について述べると、押出成形機において、アルミニウム製パイプ(22)を所定速度で送り出すと共に、その外周側に接着剤を介して第一ゴム層(24)となる未加硫のNBRと第二ゴム層(25)となる未加硫のNBRを同時に押し出した後、加硫し、更に表面研磨することにより、紡績用ローラー(21)を製造する。
本発明の紡績用ローラーは、紡績におけるコーマー工程、練篠工程、粗紡工程、精紡工程等の各工程で使用できるため、幅広い利用が期待できる。
実施形態1に係る紡績用ローラーに芯金を圧入した状態を示す斜視図である。 同実施形態に係る紡績用ローラーの断面図である。 実施形態2に係る紡績用ローラーの断面図である。 従来の紡績用ローラーの一部切欠斜視図である。 他の従来例を示す紡績用ローラーの一部切欠斜視図である。
(1)(21) 紡績用ローラー
(2)(22) アルミニウム製パイプ
(3) 第一接着剤層
(4)(24) 第一ゴム層
(5) 第二接着剤層
(6)(25) 第二ゴム層
(23) 接着剤層

Claims (3)

  1. 芯金が挿入される金属または合成樹脂製のパイプと、パイプの外周面に形成された接着剤層と、接着剤層を介してパイプの外周側に接着された第一ゴム層と、第一ゴム層の外周側に接着された第二ゴム層とを含み、第二ゴム層の硬度が第一ゴム層の硬度より高く設定されており、且つ第一ゴム層の硬度が35°〜50°、第二ゴム層の硬度が60°以上およびローラー表面の見かけ硬度が60°〜70°となされており、前記第二ゴム層は、第一ゴム層の外周面に形成された第二接着剤層を介して前記第一ゴム層の外周側に接着されている、紡績用ローラー。
  2. 芯金が挿入される金属または合成樹脂製のパイプと、パイプの外周面に形成された接着剤層と、接着剤層を介してパイプの外周側に接着された第一ゴム層と、第一ゴム層の外周側に接着された第二ゴム層とを含み、第二ゴム層の硬度が第一ゴム層の硬度より高く設定されており、且つ第一ゴム層の硬度が35°〜50°、第二ゴム層の硬度が60°以上およびローラー表面の見かけ硬度が60°〜70°となされており、前記第二ゴム層が、第一ゴム層と同時に押し出し成形することで第一ゴム層の外周側に接着されている、紡績用ローラー。
  3. 第二ゴム層の厚みが0.5〜5mmの範囲であることを特徴とする、請求項1または請求項2記載の紡績用ローラー。
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