JP4832800B2 - セラミック製装飾部材およびその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、セラミック製装飾部材とその製造方法に関するものであり、例えばペンダント、時計用文字板、ボタン若しくはイヤリングなどに用いられるセラミック製装飾部材とその製造方法に関する。
従来から、セラミック製装飾部材の表面に装飾模様を形成する方法として、印刷、メッキ、蒸着など、様々な方法が提案されてきた。
例えば、特許文献1には、表示板の表面にワイヤーブラシとの摺り合わせで目付が設けられ、上記目付はピッチが1μm〜6μm、深さが0.1μm〜1.5μmの範囲であることを特徴とする表示板が示されている。そして、ワイヤーブラシを用いた所定の条件で加工することにより、表示板の表面に均一で柔らかく、且つ光沢のある高級感溢れる目付を施せることが示されている。
特許文献2には、薄板状の自然貝、石材、セラミックスからなる装飾板上に所定パターンを有するマスクが配置され、このマスクの上から微細なガラスビーズが吹き付けられ、それにより模様が形成された時計用文字板とその製造方法が示されている。この製造方法では、薄く脆い装飾板でもその表面に立体的な模様を形成できるという利点が示されている。
特許文献3には、所定の形状に成形したセラミック成形体の表面に、焼結前の段階でレーザ加工機あるいは打刻機で文字、記号などを形成した後に焼結させたセラミック製品とその製造方法が示されている。このセラミック製品の製造方法では、焼結前のセラミック成形体の表面に予めレーザや打刻機などにより模様を形成するため、焼結後に加工する場合と比較し、低コストで精度の高い凹凸加工を行えることが示されている。
特開2003−014507号公報 特開2000−098059号公報 特開2003−137660号公報
しかしながら、従来から用いられてきた印刷による方法では、印刷された塗料の変色や剥離といった問題があり、メッキや蒸着による方法では、装飾部材の表面に模様が形成されたマスクを形成する必要があり、工程数が増加しコストが上昇するという問題があった。
また、特許文献1に示されている時計用文字板は、目付の深さが0.1μm〜1.5μmの範囲であり凹凸が小さいため、材質や時計用文字板の色調によっては模様を視認し難いという問題があった。また、ワイヤーブラシを用いて時計用文字板に目付を施すため、時計用文字板がセラミックスのような硬い材質の場合、目付を施すことが困難であるという問題もあった。
また、特許文献2に示されている方法は、装飾板の上に噴射加工用のマスクを配置するため、マスクされた部分とマスクされていない部分との境界が明確となり、微妙な風合いの模様を有するセラミック製装飾部材を形成しにくいという問題があった。さらに、マスクに微小な細線の集合パターンを形成することが困難であるため、エッチング技法のような微小な細線の集合体模様を形成できないという問題もあった。
さらに、特許文献3に示されているセラミックス製品の製造方法は、例えば、腕時計用文字板のように高い平面度が必要な薄板部材に凹凸模様を形成する際、強度の弱い成形体にレーザ加工機や打刻機で図柄を形成すると、成形体にクラックが発生するという問題があった。また、成形体の密度が部分的に変化するため焼結時に均一に収縮せず反りが発生するという問題があった。
よって、本発明は、装飾性が良好であって、かつ製造コストの低いセラミック製装飾部材、及びその製造方法を提供することを目的とする。
課題を解決するための手段および作用・効果
本発明者らは、上記事情に鑑み鋭意研究を行った結果、装飾を施されるべきセラミック基板、及び研削用ツールをそれぞれ異なる回転速度で回転させながら、上記セラミック基板に研削用ツールを接触させ、さらに研削用ツールを上記セラミック製装飾部材の主面と水平方向の成分を含む微小振動を加えると、セラミック基板若しくはツールの回転数により、また両者間の回転数の比率により、さらにはツールの形状、番定、回転数等により、上記セラミック基板上に高級感のあるパターンを形成することができ、またセラミック基板上に形成されたパターンの断面曲線における輪郭曲線要素の高さZtを2μm〜50μmとしたならば、視認性の観点から最も良好な装飾性部材とすることができることを見出し、本発明を完成するに至った。
従って、本発明は、セラミック基板の少なくとも一方の主面に、研削痕の集合体からなるパターンが形成され、上記研削痕の集合体は、断面曲線における輪郭曲線要素の高さZtが2μm〜50μmとなる領域を含み、上記パターンが形成された面の少なくとも一部がイオンミリングにより処理されてなることを特徴とするセラミック製装飾部材にある。
ここで、輪郭曲線要素の高さZtとは、1つの輪郭曲線要素、即ち1つのパターンにおける山部と谷部との間の高さをいう。Ztが2μm未満となると、微細な研削痕が多数集合しても、美しい装飾模様として目視で確認することが困難となる。例えば、金属の場合は表面にZtが2μm未満の傷が付いても目立つが、セラミックの場合は傷が目立ちにくく光の反射も比較的鈍いため、模様を形成する主要な研削痕のZtは2μm以上とする必要がある。但し、通常は図9に示すように研削痕のZtは大小混在しており、Ztが2μm未満の研削痕がパターン内に存在しても構わない。装飾部材の強度を考慮するとZtを50μm以下とすることが望ましい。この範囲であれば、薄い時計用文字板などに用いても組み付け時に文字板が割れてしまうという問題も殆ど発生しない。また、上記Ztは5μm〜40μmであることがさらに好ましい。Ztが5μm以上の研削痕で形成された模様は非常に鮮明であり、Ztを40μm以下とすればツールの損耗を低減できるためである。例えば、中心付近のZtが約5μmである研削痕で形成された模様は、柔らかな風合いとなり、半径方向外周に向かうに従って、Ztを大きくすると、鮮明で力強い風合いを有する模様を連続的に形成することができる。
また、本発明に係るセラミック製装飾部材は、上記パターンが、セラミック基板の中心部から外周部に向かって連続的に又は断続的に形成された鱗片状の模様であることを特徴とする。このように、鱗片状の模様をセラミック基板上に形成することにより、高級感のある柔らかな模様とすることができる。
本発明に係るセラミック製装飾部材は、上記パターンが、セラミック基板の中心部から外周部に向かって拡がる放射状の模様であることを特徴とする。
また、本発明に係るセラミック製装飾部材は、上記パターンが形成された面の少なくとも一部がイオンミリングにより処理されてなることを特徴とする。研削痕からなる装飾模様を形成した後、イオンミリング処理を行うことにより、研削痕の鋭い突起状の先端を丸めることができ、光の反射を柔らかくすることができる。図9はセラミック製装飾部材の表層部に形成された研削痕の断面図であるが、(a)に示すように装飾模様を形成する個々の研削痕の先端90が鋭い突起状の場合、光の反射方向が突起の先端を境として急激に変化するため装飾模様は明快な陰影を有するようになり、(b)に示すように研削痕の先端91が丸い場合、光の反射方向は突起の先端付近で徐々に変化するため装飾模様は柔らかな陰影を有するようになる。
さらに、本発明に係るセラミック製装飾部材は、上記パターンが形成された面の少なくとも一部に薄膜が形成されてなることを特徴とする。研削痕からなる装飾模様を形成した後、薄膜を形成することにより、膜による光の干渉と装飾模様の相互作用により、鮮やかな光の反射効果を得ることができる。例えば、セラミック製装飾部材に形成するような研削痕からなる装飾模様を、金やクロムなどの軟質な金属表面に直接形成することは部材に変形やバリが生じるため困難であるが、本発明はセラミック特有の研削痕の集合体による模様と金属光沢を同時に有する装飾部材を提供できる。さらに、アモルファスアルミナ等のように透明な薄膜を形成したセラミック製装飾部材は、薄膜の厚みを調整することにより、装飾模様の見る角度により虹色の干渉縞を発生させることが可能となり、装飾効果を一層高めることができる。
また、本発明に係るセラミック製装飾部材の製造方法は、セラミック基板を回転させ、上記セラミック基板の主面に対して平行な微小振動を加えながら、上記セラミック基板の外周部から回転中心までの区間を連続的または断続的に研削加工する工程と、上記研削加工する工程によりパターンが形成された面の少なくとも一部をイオンミリングにより処理する工程と、を有することを特徴とする。引用文献2に示されているような、装飾板に所定パターンのマスクを配置し、このマスクの上から噴射加工を行って模様を施す方法では、マスクされた部分とマスクされていない部分の境界が明確となり、微妙な風合いの模様とすることが困難である。しかし、本発明に係るセラミック製装飾部材では、セラミック製装飾部材上に形成されるパターンにおいて急峻な段差が形成されることが無く、1つのパターンの山部と谷部との間で傾斜角が緩やかに変化した柔らかい風合いのパターンとすることができる。しかも、上記のようなマスキングの工程を経る必要がないので、セラミック製装飾部材を安価に短時間で作製することができる。本発明において、「柔らかい風合いのある」とは、パターンの傾斜が緩やかであるために、パターンから反射される光が散乱拡散された状態をいうものとする。
以下、本発明に係るセラミック製装飾部材の実施の形態を図面を参照しながら詳細に説明する。図1に、本発明に係るセラミック製装飾部材1の鱗片状のパターンを示している。セラミック製装飾部材1には、セラミック基板の少なくとも一方の主面に研削痕の集合体からなる鱗片状のパターンが形成されている。このパターンをより詳細に説明すると、鱗片状の部分が円形のセラミック製装飾部材1の同一円周上に形成され、さらに同一円周上に配列された鱗片状の部分の群が、円形のセラミック製装飾部材1の外周部からその中心まで連続的に又は断続的に形成されている。また、便宜上、図1では鱗片状のパターンを形成する主要な研削痕のみを描画しているが、パターンの空白部分に研削痕が存在しても構わない。
図2に鱗片状の模様2のパターンの模式図を示す。複数の鱗片状の部分が並列して形成されている。図3は、図2に示す鱗片状の部分の一部Aを拡大したものであり、研削痕3が集合体となり鱗片状の模様のパターンを形成していることが判る。また、図2、図3においても図1と同様に空白部に前記パターンを損ねない程度の研削痕が存在しても構わない。この鱗片状の模様のパターンは、例えば、ツールの番定を#120、軸の突出部の長さを10mm、軸径を3mmとする電着ダイヤモンドツールを用い、セラミック製装飾部材の回転速度を350rpm、上記ツールの回転速度を20000rpm、ツールをセラミック製装飾部材の主面の外周部から中心部まで0.5mm/minの速度で直線移動させることにより、形成することができる。
次に、図4に本発明に係るセラミック製装飾部材1の放射状のパターンを示す。円形のセラミック製装飾部材の中心から外周部へ向かって放射状にパターンが形成されている。この放射状のパターンは、例えば、砥石の番定を#60とし、外径を300mmとし、セラミック製装飾部材の回転速度を150rpm、ツールの回転速度を2500rpm、外周部から中心部まで0.5mm/minの速度でツールを直線移動させることにより形成することができる。
上述した断面曲線を測定する時は、触針式の表面形状測定器を用い、この触針式の表面形状測定器を研削痕の筋目に対しできるだけ直角方向に保った状態で測定することが望ましいが、複雑な鱗片状模様などの場合は、その限りではなく、任意の箇所を数点測定し平均的な値を求め、その値で装飾加工を行えば、装飾模様の品質を一定に保つことができる。また、触針の先端半径は2μmのものを用いればよい。
また、本発明において、パターンが形成された面の少なくとも一部を熱処理しても良い。研削痕からなる装飾模様を形成した後、約1000〜1750℃で1〜5時間アニールすることにより、研削痕の鋭い突起の先端が丸まると同時にセラミック表面の結晶粒が僅かに丸みを帯び、光を散乱、拡散して、光の反射を柔らかくすることができる。また、アニールを大気、真空、不活性ガスなどの雰囲気で行うことによりセラミック製装飾部材の色調を調整することも可能である。
さらに、パターンが形成された面の少なくとも一部をイオンミリングにより処理しても良い。イオンミリングは、研削痕からなる装飾模様を形成した後、真空容器の中にワーク支持台を配置し、アルゴンや酸素などのイオンを衝突させて表面を微少量ずつ除去することにより行う。イオンミリング処理を行うことにより、パターン形成面の光沢をぼかすことができ、装飾用部材表面の風合いを出すことができる。実際の方法として、試料を真空容器内にセットし真空引きした後、真空容器内をアルゴンガスで約1Paに置換し、1000〜2000Wの出力でミリングすればよい。
さらにまた、パターンが形成された面の少なくとも一部に薄膜を形成しても良い。薄膜を形成することにより、装飾効果を高めることができる。薄膜は、メッキ処理により金、銀、クロムなどの金属をパターン上に形成する方法や、アモルファスアルミナのような透明の薄膜をスパッタ法により形成しても良い。金属を時計文字盤のように厚みの薄い装飾部材として用いた場合、材質が柔らかく変形やバリが発生するため、研削痕により表面にパターンを形成することは困難であるが、本発明においてはセラミック基板上にパターンを形成しこの上に金属薄膜を形成するため、装飾部材が薄いにも関わらず金属部材に装飾模様を施したような装飾部材とすることができる。即ち金属光沢を有する美しいパターンを薄い板状体に形成することができる。特に、アモルファスアルミナのような透明の薄膜をパターン上に形成すると光沢が増し、さらに膜厚を調整し、膜による光の干渉と装飾模様とを相互作用させることにより、鮮やかな光の反射効果が得られる。金属薄膜をパターン上に形成するにはスパッタ法もしくはメッキ法を用いと良い。
本発明に用いられるセラミック材料としては、ジルコニア、アルミナなどの主成分に、酸化コバルト、酸化クロム、酸化マンガン、酸化エルビウムなどの顔料を添加したものや、炭化チタン、窒化チタンなどを主成分とするサーメットであることが好ましい。
また、本発明において、セラミック基板の形状は任意であり、例えばペンダント、イヤリング、ボタン、エンブレム、時計用文字板等には、少なくとも一方の主面に装飾模様が形成されており、上記装飾模様は微細な研削痕の集合体からなるパターンである。ここで、少なくとも一方の主面に装飾模様を形成すれば充分であるが、ペンダントやイヤリングなどのように両面とも見える装飾部材には両面とも装飾模様を形成することが望ましい。
(セラミック製装飾部材の製造方法)
次にセラミック製装飾部材の製造方法に関して説明する。まず、一般的なセラミック製装飾部材の製造方法にあるように、例えばジルコニア等のセラミック材料の原料粉末を圧縮して成形体を形成し、焼成炉でこの成形体を焼成しセラミック焼結体とする。次に、このセラミック焼結体を機械加工により円板に加工しセラミック製装飾部材を得る。
次に、図5に示すように、上記のように作製されたセラミック製装飾部材1をワーク支持台11にワックスで貼り付け、加工装置(不図示)のチャック12に固定する。また、先端にダイヤモンド砥粒が電着されたツール13をチャック14に固定する。
続いて、上記セラミック製装飾部材1とツール13を加工装置に設置する。その後、セラミック製装飾部材1及びツール13を互いに回転させ、ツール13にセラミック製装飾部材1の主面1aに対して平行な成分を含む微小振動を生じせしめながら、セラミック製装飾部材の外周部から中心付近まで移動させる。このとき、ツール13の移動方向と微小振動の方向は略垂直であることが好ましい。この微小振動は、付加的な振動手段を設けることにより、例えばツールの支持部にカムや圧電素子などの振動手段を設置することにより与えても良い。他方、外部手段を設けることなく、セラミック基板の回転をダイヤモンドツールの振動に変えることにより与えても良い。セラミック基板の回転をダイヤモンドツールの振動に変えるとは、ツールをツールチャックから長く突き出した状態でこれに固定し、セラミック製装飾部材の回転によりツールに発生するモーメントを大きくし、それによりツールをチャックを支点として左右首振り方向に振動させることをいう。また、ツールの中心軸とツールチャックの中心軸をずらして偏心回転させてツールに微小振動を加えても良い。
セラミック製装飾部材1及びツール13を例えば矢印の方向に回転させ、ツール13を微小振動させながら、セラミック製装飾部材1とツール13とを接触させることにより、研削痕に浅い部分と深い部分が周期的に現れ、鱗片状の模様とすることができる。セラミック製装飾部材1の中心部付近では鱗片模様が細かく形成されている。ここで、セラミック製装飾部材の主面に対して平行な成分を含む振動を与えると、模様の制御が容易になる。微小振動の方向も任意に設定できるので模様のパターンの数も増やすことができる。また、セラミック製装飾部材1の主面1aに曲面や段差がある場合、曲面や段差の形状に沿ってツールの軌道をプログラムすればよく、曲面や段差の接線方向の成分を含む微小振動を加えることにより、研削痕の集合体からなる鱗片状の模様を形成することができる。
さらに、模様が形成されたセラミック製装飾部材1を分割するか外辺に加工を施すことなどにより、模様を形成する時の中心部と、最終製品の中心部の位置が異なるデザインとすることも可能であり、この場合も本発明の範囲内である。
他方、図6に示すように、上記のように作製されたセラミック製装飾部材1をワーク支持台11にワックスで貼り付け、加工装置(不図示)のチャック12に固定する。また、砥石15を砥石台(不図示)に固定する。
続いて、上記セラミック製装飾部材1と砥石15を例えば矢印方向に互いに回転させ、砥石15を図7のようにセラミック製装飾部材1の主面1aに対して平行に外周部から中心付近まで移動させながら研削加工を行う。中心付近まで研削加工が終了した後、砥石15を主面1aから離すと、主面1aには図4に示す研削痕の集合体からなる放射状の模様が形成されている。
(装飾加工装置)
次に、上述の装飾部材の製造方法に用いられる装飾加工装置に関して説明する。この装飾加工装置は、装飾部材を固定し保持するためのチャック部と、上記チャックに固定された装飾部材に対してパターンを形成するためのツールと、上記チャック部を回転させるための回転手段、及び上記ツールを回転させるための回転手段とを備える。
このチャック部は、図8に示すように、互いに垂直に設定されたX、Y及びZ軸方向、及びZ軸に対して左右首振り方向、並びにチャックの軸に対する回転方向に動くことができる。
上記チャックの回転数は、0〜500rpmで調整可能であり、通常350rpmで使用することが好ましい。また、上記ツールの回転数は、0〜25000rpmで調整可能であり、通常20000rpmで使用することが好ましい。また、X軸、Y軸方向のツール送り速度は、0.01〜10000mm/minの範囲で調整可能であり、好ましくは0.2〜0.3mm/minである。
次に、ツール及び砥石に関して説明する。ツールは先端形状が円柱状、球状、三角錐など様々な形状であっても良いが、好ましくは円柱状である。この先端部分にダイヤモンドの砥粒が電着されてなる。砥石の場合はダイヤモンド砥粒をメタルボンドやレジンボンドで固定したものが切刃の再生の点から好ましく、外径が100〜500mm程度のものを用いればよい。また、ツール及び砥石の番定は、♯60〜♯1000であることが好ましく、模様の視認性と模様形成面のチッピングなどを考慮すると、♯120〜♯400がさらに好ましい。
次に本発明の実施例を説明する。
セラミック製装飾部材の材質にはイットリア安定化ジルコニアを用いた。そして、イットリア安定化ジルコニア粉末に水と成形用の水溶性バインダーを加えて回転ミルで撹拌混合し、スプレードライで噴霧乾燥し成形用の顆粒とした。次いで、メカプレスを用いてイットリア安定化ジルコニアの顆粒を約98MPaの圧力で押圧し外径50mm×厚み1.5mmの成形体とし、その後電気炉で成形体を1400〜1450℃で焼成し、外径約37mm×厚み約1.1mmのセラミック焼結体とした。次に、セラミック焼結体を機械加工により外径30mm×厚み0.5mmの円板に加工しセラミック製装飾部材の素材を得た。
図5に示すようにセラミック製装飾部材1をワーク支持台11にワックスで貼り付け、加工装置(不図示)のチャック12に固定した。ツール13は番定が#120、軸長が40mm、軸径が3mmと4mmの電着ダイヤモンドを用いた。そして、軸の突出部13aの長さを10mm、30mmとしチャック14に固定した。
加工装置にセラミック製装飾部材1とツール13をセットし、セラミック製装飾部材1の回転速度を350rpm、ツール13の回転速度を20000rpm、切り込み量を1μm、5μm、10μm、15μmとし、ツール13をセラミック製装飾部材1の主面1aの外周部から中心部まで0.5mm/minの速度で直線移動させながら加工した。
ツール13には、セラミック製装飾部材1に例えば5μmの設定量を切り込んだ際、研削力によりチャック14を支点とした曲げモーメントが生じ、ツール13の先端がセラミック製装飾部材1の回転方向側に変位し、持ち上げられ切り込み量が0〜5μmに減少した。そして、切り込み量が一定量減少するとツール13の先端がセラミック製装飾部材1から受ける研削力とそこから生じた曲げモーメントの大きさも減少し、ツール13の先端は軸の弾性により元の設定切り込み位置に戻ろうとするが、切り込み量が増加すると再び研削力と曲げモーメントも増加するため先端が持ち上がり、それらの繰り返しによる微小振動が発生した。
その結果、図1に示す装飾部材の概略図のように、主面1aに研削痕の集合体からなる鱗片状の装飾模様が形成され、鱗片状の模様は外周部から中心部に向けて細かくなった。装飾模様は全ての条件において、鱗片状の模様となった。
また、研削痕の断面曲線における輪郭曲線要素の高さZtを表1に示した。ZtはJIS B 0601に基づいて計測でき、表面粗さ計を用いて測定し、測定個所は装飾部材の中心部、外周部、それらの中間部の3個所とし、測定長さはそれぞれ4mmとし、測定方向は半径方向とし、触針の先端径は2μmとした。視認性の判定は、裸眼視力で0.6以上の被検者が机上で28ワットの蛍光灯の下で試料を目から20〜50cm離した状態で観察することにより行い、主面1a全面で装飾模様の視認性が良好なものを◎、部分的に良好な部位を含むものを○、全面で視認性が悪いものを×とした。
Figure 0004832800
*は本発明の範囲内の実施例
本発明の実施例である、No.3、4、12は外周部、外周部と中心部の中間部においては模様の視認性が良好であったが、中心部では視認性が低下していた。この場合は、外周部から中心部に向けて装飾模様を薄くするデザインの装飾部材に用いるとよい。本発明の実施例である、No.5、6、7、8、14、15はセラミック製装飾部材1の回転中心近傍を除いたほぼ全面にわたり視認性のよい装飾模様が形成されていた。但し、No.8、15は視認性に関しては十分であるが、ツールの損耗が早いため、Ztは40μm以下とすることが好ましい。
本発明の比較例である、No.1、2、9、10、11、13は研削痕のZtが小さく、全面にわたり装飾模様の視認性が悪いことがわかった。本発明の比較例であるNo.16は装飾模様の視認性は十分であるが、研削加工中にセラミック製装飾部材1が破損し装飾部材として用いることはできなかった。本実施例では、セラミックの中でも強度の大きいジルコニアを用いたが、強度の低いアルミナ等を用いる場合を考慮すると、Ztは最大でも70μm以下とすることが好ましい。
図6はセラミック製装飾部材1をワーク支持台11にワックスで貼り付け、加工装置(不図示)のチャック12に固定し、砥石15で主面1aを研削加工している状態を示しており、図7はその断面図である。砥石15は番定を#60、#120、#400、#800とし、外径は300mmのものを用いた。
加工条件は、セラミック製装飾部材1の回転速度を150rpm、砥石15の回転速度を2500rpm、切り込み量を1μm、5μm、10μm、15μmとし、砥石15を主面1aの外周部から中心部まで0.5mm/minの速度で直線移動させながら加工した。
その結果、図4に示す装飾部材の概略図のように、主面1aに研削痕の集合体からなる放射状の装飾模様が形成された。
また、研削痕の断面曲線における輪郭曲線要素の高さZtを表2に示した。Ztは表面粗さ計を用いて測定し、測定個所は装飾部材の中心部、外周部、それらの中間部の3個所とし、測定長さはそれぞれ4mmとし、測定方向は半径と垂直方向とした。視認性の判定は、主面1a全面で装飾模様の視認性が良好なものを◎、部分的に良好な部位を含むものを○、全面で視認性が悪いものを×とした。
Figure 0004832800
*は本発明の範囲内の実施例
本発明の実施例である、No.17〜24、26〜28は主面1a全面において模様の視認性が良好であった。本発明の実施例であるNo.25は、中心部付近では視認性が低下していた。この場合は、外周部から中心部に向けて装飾模様を薄くするデザインの装飾部材に用いるとよい。本発明の実施例である、No.19、20はセラミック製装飾部材1の外辺部にチッピングが見られた。本実施例では、セラミックの中でも強度の大きいジルコニアを用いたが、強度の低いアルミナ等を用いる場合を考慮すると、砥石15の番定は#120以上とすることが好ましい。
本発明の比較例である、No.29〜32は研削痕のZtが小さく、全面にわたり装飾模様の視認性が悪いことがわかった。砥石15の番定が小さいため研削痕の視認性が低下したものと考えられ、番定は#400以下とすることが好ましい。
実施例1の試料No.6を用いて装飾模様が形成された主面1aにアルゴンイオンによるイオンミリングを行った。イオンミリングは真空容器内に試料をセットし、真空度を2×10−3Paとした後、真空容器内にアルゴンガスを1Paまで導入し、1000〜2000Wの範囲でミリングを実施した。その結果、装飾模様が全体的にぼかされて柔らかな風合いをおびることがわかった。これは、図9(b)に示すようにイオンミリングにより個々の研削痕の先端が丸みを帯び個々の研削痕の陰影が弱くなったためと考えられる。
実施例2の試料No.23を用いて装飾模様が形成された主面1aにスパッタ装置により透明のアモルファスアルミナ膜を約0.3〜10μmの厚みで形成した。そして、膜厚約0.3〜2.0μmの試料は概ね研削痕の凹凸形状に沿って成膜されており、模様の光沢が増していることが判った。また、膜厚が約6〜10μmの試料はアモルファスアルミナ膜が研削痕の凹凸を全体的に埋めていることが判った。膜厚が約6〜10μmの試料の表面をポリシュ加工で平坦にすると、模様の光沢が増し、虹色の干渉縞が現れ装飾模様に鮮やかさが加わった。
本発明に係る、鱗片状のパターンを有するセラミック製装飾部材の概略図である。 鱗片状のパターンの一部を示した概略図である。 図2に示したパターンの一部を拡大したものの概略図である。 本発明に係る、放射状のパターンを有するセラミック製装飾部材の概略図である。 研削パターンを設けるための加工装置を示した概略図である。 別の加工装置を示した概略図である。 図6の加工装置の断面図である。 加工装置のチャック部の可動方向を示した概略図である。 研削痕の断面の一部を示した概略図である。

Claims (5)

  1. セラミック基板の少なくとも一方の主面に、研削痕の集合体からなるパターンが形成され、上記研削痕の集合体は、断面曲線における輪郭曲線要素の高さZtが2μm〜50μmとなる領域を含み、
    上記パターンが形成された面の少なくとも一部がイオンミリングにより処理されてなることを特徴とするセラミック製装飾部材。
  2. 上記パターンは、セラミック基板の中心部から外周部に向かって連続的に又は断続的に形成された鱗片状の模様であることを特徴とする請求項1に記載のセラミック製装飾部材。
  3. 上記パターンが、セラミック基板の中心部から外周部に向かって拡がる放射状の模様であることを特徴とする請求項1に記載のセラミック製装飾部材。
  4. 上記パターンが形成された面の少なくとも一部に薄膜が形成されてなることを特徴とする請求項1〜のいずれかに記載のセラミック製装飾部材。
  5. セラミック基板を回転させ、上記セラミック基板の主面に対して平行な微小振動を加えながら、上記セラミック基板の外周部から回転中心までの区間を連続的または断続的に研削加工する工程と、
    上記研削加工する工程によりパターンが形成された面の少なくとも一部をイオンミリングにより処理する工程と、を有することを特徴とするセラミック製装飾部材の製造方法。
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