以下、本願発明の実施形態を図面を参照して詳細に説明する。
図1は、本願発明に係る投写型映像表示装置の一実施形態としての液晶プロジェクタを前面側斜め上方から見た斜視図、図2はその上ケースや前ケース,メイン制御基板等を取り外して後面側斜め上方から見た斜視図である。
図1に示すように、この液晶プロジェクタ1の外郭を成す外装ケース2は、上ケース2aと下ケース2bと前ケース2cとから成り、上ケース2aや前ケース2c,図示しないメイン制御基板等を取り外すと図2に示すように内部が現れる。
前ケース2cの前面側から見て左側には、投写レンズ3が露出する投写窓4が形成されており、右側には多数の小さな丸孔から成る排気口5が形成されている。上記投写窓4は、図2に示すレンズカバー6によって開閉可能に構成されている。
また、上ケース2aの上面の左側前部には、上記投写窓4に対応して、投写レンズ3のズームやフォーカスを調整する調整ダイヤル3aが露出する操作窓7が形成されており、上面中央部には操作表示部8が設けられている。上記操作窓7は、レンズカバー6と一体に形成された操作窓用カバー部6aによって開閉可能に構成されている。
さらに、図1では図示されないが、前面側から見て上ケース2aの右側面には排気口が形成され、後面右側には吸気口が形成されている。また、下ケース2bの底面前端部の両側端には、高さ調整可能な脚部(図示せず)が設けられている。
外装ケース2の内部には、図2に示すように、前面側から見て右側奥部に光源9が配置されると共に、この光源9から上記投写レンズ3に至る光学系10が略L字状に配置されている。光源9の前方には電源部11が配置されている。
上記光源9の背面側には吸気ファン12が配置され、側面側には排気ファン13が配置されている。また、電源部11の側面側には上記排気ファン13の排気側に一部が重ねられた排気ファン14が配置されていると共に、前面側にも排気ファン15が配置されている。
図3は、上記光学系10の構成例を示す図である。なお、光学系10は図3に示したものに限定されるものではなく、本願発明は各種の光学系を備えたものに適用できる。
図3において、光源ランプ16からの白色光は、コンデンサーレンズ20、第1インテグレータレンズ21、第2インテグレータレンズ22、偏光ビームスプリッタ(PBS)23及びコンデンサレンズ24等を経て、第1ダイクロイックミラー25に導かれる。
上記第1インテグレータレンズ21及び第2インテグレータレンズ22は、複数の単レンズをマトリクス状に配列して成る耐熱ガラス製のフライアイレンズから構成され、光源ランプ16から発せられる白色光の照度分布を均一化する機能を有している。また、偏光ビームスプリツタ23は、光のP波及びS波の内、一方の成分波のみを抽出する機能を有している。
上記偏光ビームスプリッタ23を通過した光は、コンデンサレンズ24を経て、第1ダイクロイックミラー25に至る。第1ダイクロイックミラー25は、光の青色成分のみを反射すると共に、赤色及び緑色成分を通過させる機能を有し、通過した赤色及び緑色成分の光はフィルタ26を介して第2ダイクロイックミラー27に至る。第2ダイクロイックミラー27は、光の緑色成分を反射すると共に、赤色成分を通過させる機能を有している。従って、光源ランプ16から発せられた白色光は、第1及び第2ダイクロイックミラー25,27によって、青色光,緑色光及び赤色光に分光される。
第1ダイクロイックミラー25で反射された青色光は、フィルタ28を介して全反射ミラー29によって反射され、第2ダイクロイックミラー27で反射された緑色光はそのまま、第2ダイクロイックミラー27を通過した赤色光はフィルタ30,31,32やリレーレンズ33,34等を介して全反射ミラー35,36で反射されて、それぞれ映像生成光学系37に導かれることになる。
映像生成光学系37には、立方体状の色合成プリズム38の3つの側面に、それぞれ赤色用液晶パネル39r、緑色用液晶パネル39g及び青色用液晶パネル39b等が取り付けられたプリズム組み立て部品40が着脱可能に配置されている。色合成プリズム38と赤色用液晶パネル39rの間には偏光板41rが配置され、色合成プリズム38と緑色用液晶パネル39gの間には偏光板41gと前置偏光板42gが配置され、色合成プリズム38と青色用液晶パネル39bの間には偏光板41bと前置偏光板42bが配置されている。また、3枚の液晶パネル39r,39g,39bの光入射側にはそれぞれ偏光板43r,43g,43bとコンデンサレンズ44r,44g,44bが配置されている。
従って、第1ダイクロイックミラー25及び全反射ミラー29によって反射された青色光は、青色用のコンデンサレンズ44bに導かれ、入射側偏光板43b、青色用液晶パネル39b及び出射側前置偏光板42b,偏光板41b等を経て、色合成プリズム38へ至る。また、第2ダイクロイックミラー27によって反射された緑色光は、緑色用のコンデンサレンズ44gに導かれ、入射側偏光板43g、緑色用液晶パネル39g及び出射側前置偏光板42g,偏光板41gを経て、色合成プリズム38へ至る。同様に、第1ダイクロイックミラー25及び第2ダイクロイックミラー27を透過し、2枚の全反射ミラー35,36によって反射された赤色光は、赤色用のコンデンサレンズ44rに導かれ、入射側偏光板43r、赤色用液晶パネル39r及び出射側偏光板41rを経て、色合成プリズム38へ至る。
色合成プリズム38に導かれた3色の映像光は、色合成プリズム38により合成され、これによって得られるカラー映像光が、投写レンズ3を経て前方のスクリーンへ拡大投写されることになる。
図4〜図8は、本実施形態における光学パネル調整機構を示す図で、図4,図5は斜視図、図6は側面図、図7は上面図、図8は要部拡大斜視図である。
本実施形態の光学パネル調整機構は、第1インテグレータレンズ21に適用され、第2インテグレータレンズ22は固定されている。
第1インテグレータレンズ21は、図8に示すように、略正方形の第1インテグレータレンズ21に対応する開口が形成された保持枠45に装着固定されて保持されており、この保持枠45が同様な形状の第1取付枠46に両側をガイドされて上下(Y軸)方向に移動可能に取り付けられている。なお、第1取付枠46は、左右(X軸)方向に移動可能に第2取付枠47に取り付けられ、第2取付枠47は光軸(Z軸)方向に移動可能に第3取付枠48(図4〜図7に図示)に取り付けられ、この第3取付枠48が光源ハウジング49の前側に着脱可能に装着されるようになっている。左右(X軸)と光軸(Z軸)方向の調整機構は、直接関係ないので図示はしないが、一般的なガイド長孔とネジによるものである。
上記保持枠45の上部中央には、棒状の調整治具(マイナスドライバー50)の先端部50aが挿入可能な横長の長方形状の挿入孔45aが形成されている。また、その両側には固定用ネジ51,51が図示しない縦長孔を介して第1取付枠46に取り付けられている。一方、第1取付枠46には、保持枠45の挿入孔45aに対応して同幅でより縦長の挿入孔46aが形成されている。
なお、上記保持枠45と第1取付枠46のそれぞれの上部両側には、マイナスドライバー50の先端部50aが挿入可能な横向きの略凸字状の挿入孔45b,46bが互いに逆向きに重なるように形成されている。
一方、図4〜図7に示すように、光源ハウジング49の上面前端の中央部には、リブ52が立設されており、このリブ52にマイナスドライバー50の挿入孔52aが形成されている。この挿入孔52aは、マイナスドライバー50を挿入して、その先端部50aを保持枠45の挿入孔45aに挿入した状態でマイナスドライバー50の操作部50cを上下方向に操作する際の支点部となる。この挿入孔52aは、マイナスドライバー50の先端部52a及び軸部52bが挿入可能な大きさに形成されている。
以上の構成において、第1インテグレータレンズ21の上下方向位置を調整する場合は、調整治具としてのマイナスドライバー50の先端部50aを支点部となる挿入孔52aに挿入してから、保持枠45の上部中央に形成された挿入孔45aに挿入し、支点部となる挿入孔52aを支点としてマイナスドライバー50の操作部50cを上下方向に操作すれば、第1インテグレータレンズ21は光軸回りに傾くことなく梃子の作用で上下方向に微調整することができる。従って、第1インテグレータレンズ21の上下方向位置調整が簡単になって、生産性が向上すると共に、品質向上も図れる。
なお、左右(X軸)方向と光軸(Z軸)方向の調整機構は、一般的なガイド長孔とネジによる横方向移動の調整機構であるので、傾きが生じることはない。
また、調整する第1インテグレータレンズ21が光源9の近傍に配置され、支点部となる挿入孔52aを光源ハウジング49の上面に立設されたリブ52に形成したので、光源ハウジング49を有効利用して、低コストで操作性の優れた調整機構を実現することができる。
また、保持枠45に、調整治具としてのマイナスドライバー50の先端部50aが挿入可能な挿入孔45aを形成し、支点部としてマイナスドライバー50の先端部50a及び軸部50bが挿入可能な挿入孔52aを形成したので、一般的なマイナスドライバー50を有効利用して、さらに低コストで操作性の優れた調整機構を実現することができる。
また、保持枠45と第1取付枠46の上部両側に設けられた横向きの略凸字状の挿入孔45b,46bは、従来からのもので光軸廻りの傾きが生じるので基本的には不要であるが、万一何らかの原因で第1インテグレータレンズ21に光軸廻りの傾きが生じた場合に用いれば、マイナスドライー50の先端部50aを挿入孔45b,46bに挿入して回転すれば、容易に光軸廻りの傾きが調整できるので、従来の欠点を逆に有効利用できる。
以上のように、本実施形態の液晶プロジェクタ1には、上述したような調整機構が備えられているので、インテグレータレンズ21の調整が簡単になって、生産性が向上すると共に、品質向上も図れ、さらには低コストで操作性の優れた調整機構を具備した液晶プロジェクタ1が実現できる。
図9は、本実施形態における光源ランプ冷却機構を示す要部拡大断面図であり、光源ランプ及びその近傍は分かりやすくするため横断面で示してある。
本実施形態では、光源の高出力化と装置の小型軽量化を図るため、光源ランプ16に出力300Wの超高圧水銀ランプを用いると共に、小型軽量の吸気ファン12を用いる等の各種の工夫を施して、装置の小型軽量化を実現している。すなわち、これまでは出力200Wの光源ランプが限度であった装置筐体サイズに、出力300Wの光源ランプ16を搭載している。
光源ランプ16は、超高圧水銀ランプから成る発光管161と、この発光管161を覆うように配置され、内面に放物面状の反射面が形成されて前面が開口するリフレクタ162と、このリフレクタ162の前面開口を閉塞する耐熱性のガラス板163とを備えている。発光管161の基部側の略球状部分は、放電電極があって放電発光する発光部161aである。上記リフレクタ162には、前面開口縁に吸気口164と排気口165が対向して形成されている。
上記のように構成された光源ランプ16は、アルミ製ランプホルダー166を介して樹脂製ランプホルダー167に装着されて、図1に示した下ケース2bに形成された図示しない開口から、前述した光源ハウジング49内に着脱可能に取り付けられるようになっている。上記アルミ製ランプホルダー166には、リフレクタ162の吸気口164と排気口165に対応して、多数の小孔から成る通風網168が形成されて、発光管161の破裂時にその破片が外部に飛散しないように構成されている。
上記光源ランプ16の側方には、冷却ファン12からの送風を光源ランプ16の側方から照射方向に向けて案内するダクト121が備えられており、このダクト121に、ダクト内の送風方向を光源ランプ16の開口縁に形成された吸気口164に向けて円弧状に曲げる折曲部122が形成されている。
さらに、上記ダクト121内には、上記折曲部122からの送風方向を光源ランプ16の発光管161の先端部161bから発光部161aにわたって拡幅するガイド板123が備えられている。このガイド板123は、ダクト121内の送風を光源ランプ16の外面から基部16aに分岐させる通気口124に向けて配置されている。
以上のように構成することで、ダクト121に形成した円弧状の折曲部122とガイド板123の協働作用によって、ダクト121からの送風を光源ランプ16の発光管161の先端部161bから発光部161aにわたって分散することができるので、吸気ファン12に大きなパワーを必要とせずに、光源ランプ16の発光管161の先端部161b及び発光部161aを効率良く冷却できて、光源の高出力化と装置の小型軽量化を同時に実現することができる。
また、ガイド板123が、ダクト121内の送風を光源ランプ16の外面から基部16aに分岐させる通気口124に向けて配置されているので、さらに光源ランプ16の基部16aも効率良く冷却できる。
光源ランプ16の要所を冷却した排気は、前述した排気ファン13,14によって装置外に排出される。
なお、リフレクタ162の吸気口164に備えられた通風網168は、送風方向に対して直交するように配置することが好ましく、このように構成すれば、通風網168の多数の小孔が送風方向を向けて開口した状態となるので、少ない通風抵抗で、発光管破裂時にその破片が光源ランプ16外へ飛び散るのを防ぐことができる。
以上のように、本実施形態の液晶プロジェクタ1は、上述したような光源ランプ冷却機構を備えているので、吸気ファン12に大きなパワーを必要とせずに、光源ランプ16の要所を効率良く冷却できて、光源の高出力化と装置の小型軽量化を同時に実現した液晶プロジェクタ1が得られる。
図10は、上記吸気ファン12に対応して形成された吸気口125の通気機構を示す図であり、(a)は上ケース2aの背面側に形成された吸気口125を示す図、(b)は吸気口125の内側に貼り付けられる遮光シート126を示す図である。
上記吸気口(通気用開口部)125には、格子状に多数の通気孔125aが形成されており、前述した光源9からの漏れ光が外部に出たり、外部から内部が見えてしまう畏れがある。
一方、遮光シート126は、ヒメロン(アンビック株式会社の登録商標)と呼ばれる黒色の不織布から成る通気性を有するもので、不織布であるので通気性は有しているが、そのまま使用すると通風抵抗となるので、空気の流れが悪くなり、内部温度が高くなる。
そこで、本実施形態では、上記遮光シート126に、吸気口125の通気孔125aが形成された位置に対応したスリット126aを切り込みによって形成している。これらのスリット126aは、通気孔125aの形状や大きさに対応した略H字状に形成されている。すなわち、横長の格子状通気孔125aであるので、遮光シート126には、図10(b)に示すような横長の略H字状のスリット126aが形成されている。
また、上記遮光シート126には、前述した吸気ファン12の吸込口12a等に対応した切欠き126bが形成されており、通風抵抗のより一層の低減が図られている。
なお、上記スリット126aは遮光シート126の全面に形成しても良いが、図10に示すように、装置内部の状況に対応して必要に応じて形成すれば良い。
上述したように構成することで、スリット126aを介しても通風が行われ、通風抵抗が少なくなって空気の流れがよりスムーズになるので、低コストで、遮光できると共に内部温度が高くなるのを抑えることができる。
また、スリット126aは切り込みによって形成されているので、遮光性はほとんど変わらずに上述した効果が得られる。
さらに、スリット126aは通気孔125aの形状や大きさに対応した略H字状に形成されているので、スリット126aが開きやすくなって通風抵抗がより少なくなり、内部温度が高くなるのを更に抑えることができる。
以上のように、本実施形態の液晶プロジェクタ1は、上述しような通気機構を備えているので、低コストで遮光できると共に内部温度が高くなるのを抑えることができる液晶プロジェクタ1を実現できる。
なお、上記実施形態では、上述した通気機構を光源9を冷却するための吸気口125に適用した場合について説明したが、他の吸気口や排気口に適用しても、ほぼ同様な作用効果が得られる。
図11は、本実施形態における光源ランプ取付機構を示す分解斜視図であり、前述した光源ランプ冷却機構の図9と同一部分には同一符号を用いている。
従来、光源ランプは樹脂製ランプホルダーに直接装着されており、樹脂製ランプホルダーは光源ランプの熱で高温になるので、劣化が早く、冷却用のファンも大きなパワーが必要であった。さらに、光源の高出力化と装置の小型軽量化が同時に求められるようになってきており、光源ランプを樹脂製ランプホルダーに直接装着すると、樹脂製ランプホルダーが高温になって溶ける畏れがあるので、高出力の光源ランプを冷却するのに、ファンに大きなパワーが必要となってファンが大型化し、騒音も増大して、光源の高出力化と装置の小型軽量化を同時に実現することは困難である。
そこで、本実施形態では、光源ランプ16と樹脂製ランプホルダー167との間に、放熱性に優れたアルミ製で一部が樹脂製ランプホルダー167から露出するアルミ製ランプホルダー166を介在させている。
上記アルミ製ランプホルダー166は、光源ランプ16の前面,両側面,底面及び上面にそれぞれ対応する前面部166a,側面部166b,底面部166c及び上面部166dが一体形成されて成っている。さらに、上面部166dは前面部166aの上端縁に幅狭の折曲部166eを介して折曲可能に形成されている。従って、光源ランプ16を上面部166dが折曲されていないアルミ製ランプホルダー166に上方から装着して、前端縁が図示しない装着溝に嵌合するように、上面部166dを光源ランプ16の上面側に折曲することにより、光源ランプ16をアルミ製ランプホルダー166に装着して位置決め固定することができる。
さらに、アルミ製ランプホルダー166の上面部166dの両側縁には、下方に折曲形成されて先端部に内側に突出する係止部166fが形成された係止片166gが形成されている。また、樹脂製ランプホルダー167の両側上部には、上記アルミ製ランプホルダー166の係止部166fが係合する係合孔167aが形成されている。従って、光源ランプ16が装着されたアルミ製ランプホルダー166を、樹脂製ランプホルダー167に上方から装着して下端側を図示しない装着溝に嵌合させ、アルミ製ランプホルダー166の上面部166dの両側に形成された係止部166fを樹脂製ランプホルダー167の両側上部に形成された係合孔167aに弾性的に係合させることにより、光源ランプ16を樹脂製ランプホルダー167に光学的に位置決め固定することができる。このようにして樹脂製ランプホルダー167に位置決め固定された光源ランプ16は、図1に示した下ケース2b裏面に形成された図示しない開口から前述した光源ハウジング49内に着脱可能に取り付けられるようになっている。
また、前述したように、アルミ製ランプホルダー166には、光源ランプ16のリフレクタ162の開口縁に形成された吸気口164と排気口165に対応して多数の小孔から成る通風網168が形成されている。
以上のように構成したことにより、光源ランプ16からの熱がアルミ製ランプホルダー166を介して、前述した吸気ファン12から送風される空気中に効率良く放熱されて、樹脂製ランプホルダー167に伝わりにくくなるので、吸気ファン12に大きなパワーを必要とせずに、樹脂製ランプホルダー167の温度を低減でき、騒音も低減して、光源の高出力化と装置の小型軽量化を同時に実現できる。
さらに、アルミ製ランプホルダー166が、光源ランプ16の前面,両側面,底面及び上面にそれぞれ対応する前面部166a,側面部166b,底面部166c及び上面部166dが一体形成されているので、更に熱が伝わりやすくなって放熱効果が向上する。
また、アルミ製ランプホルダー166の上面部166dは、前面部166aの上端縁に折曲可能に形成されて、光源ランプ16をアルミ製ランプホルダー166に上方から装着して上面部166dを光源ランプ16の上面側に折曲することにより、光源ランプ16がアルミ製ランプホルダー166に装着固定されるので、光源ランプ16をアルミ製ランプホルダー166に位置決め固定することができる。
また、アルミ製ランプホルダー166の上面部166dの両側縁に、下方に折曲形成されて先端部に内側に突出する係止部166fが形成された係止片166gを備えると共に、樹脂製ランプホルダー167の両側上部に、アルミ製ランプホルダー166の係止部166fが係合する係合孔167aを形成したことにより、光源ランプ16が位置決め固定されたアルミ製ランプホルダー166を樹脂製ランプホルダー167に装着してアルミ製ランプホルダー166の係止部166fを樹脂製ランプホルダー167の係合孔167aに係合させることで、光源ランプ16が位置決め固定されたアルミ製ランプホルダー166を樹脂製ランプホルダー167に位置決め固定することができ、この樹脂製ランプホルダー167を光源ハウジング49内に取り付けることで、光源ランプ16を光学的に位置決め固定することが可能となる。
さらに、アルミ製ランプホルダー166に、光源ランプ16のリフレクタ162の開口縁に形成された吸気口164と排気口165に対応して、多数の小孔から成る通風網168を形成したことにより、アルミ製ランプホルダー166を有効利用して、発光管破裂時の破片が光源ランプ16外へ飛散するのを防ぐことができる。
以上のように、本実施形態の液晶プロジェクタ1は、上述したような光源ランプ取付機構を備えているので、吸気ファン12に大きなパワーを必要とせずに、樹脂製ランプホルダー167の温度を低減でき、騒音も低減して、光源の高出力化と装置の小型軽量化を同時に実現できる液晶プロジェクタ1が得られる。
図12〜図15は、本実施形態における電源冷却機構を示す図で、図12は電源部の分解斜視図、図13は電源ホルダーに装着された電源部の斜視図、図14は電源ホルダーを除いた電源部の斜視図、図15は配線が分かりやすいように電源ホルダーを除いた電源部の他方向からの斜視図である。
電源部11は、前述した光源ランプ16以外の各部に電源を供給する回路部品が搭載された電源回路基板111と、光源ランプ16に電源を供給する回路部品が搭載されたバラスト回路基板112とを互いの回路部品搭載面を対向させて配置して、電源ホルダー113に収容され、両回路基板111,112間に排気ファン14,15による冷却風を流すように構成されている。
従来は、電源回路基板とバラスト回路基板を接続する配線が電源回路基板とバラスト回路基板間に配線されるため、ファンの送風による基板上の回路部品や放熱板の冷却が阻害されていた。また、基板間に配線が存在することにより、磁界による発振等が起きて電気的性能にも悪影響を及ぼしていた。さらに、基板間の配線は組み立て時に配線の挟み込みに気を付ける必要があった。
そこで、本実施形態では、図15に示すように、電源回路基板111とバラスト回路基板112間の配線用のコネクタ111a,112aを各基板111,112の外周側に設けて、各コネクタ111a,112a間を接続するリード線114を各基板111,112間の外側に配線するようにしている。なお、図15では配線を分かりやすく示すため電源ホルダー113を図示省略しているが、実際には、リード線114は図12,図13に示した電源ホルダー113の外側に配線されている。
なお、電源回路基板111には、AC電源用のリード線115と、図示しないメイン制御基板用のリード線116aが接続される。また、バラスト回路基板112には、光源ランプ16に電源を供給するためのリード線117と、メイン制御基板用のリード線116bが接続されている。これらのリード線115〜117も基板111,112間の外側に引き出されて電源ホルダー113の外側に配線されている。
一方、電源回路基板111の部品搭載面には、図13,図14に示すように、フィン形成面が対向配置されたヒートシンク118,118の下面にアルミ製の放熱板119が取り付けられている。そして、上記放熱板119の延長方向と側方に排気ファン14,15が位置するように構成されている。
以上のように構成することにより、排気ファン14,15による冷却風が配線によって阻害されることがなくなって冷却風の流れが改善するので、電源回路とバラスト回路の冷却効率の向上が図れると共に、電気的性能の向上,配線の挟み込みの解消による組み立ての容易化等を実現できる。
また、各リード線114〜117は電源ホルダー13の外側に配線されるので、各基板111,112間の外側に配線されたリード線114〜117が基板111,112間に入り込むこともなくなるので、上述した効果を確実に実現することができる。
さらに、電源回路基板111上に放熱板119を備えたことにより、放熱板119への冷却風が配線によって阻害されることがなくなって、放熱板119への冷却風の流れが改善するので、更なる冷却効率の向上が図れる。
また、放熱板119の延長方向と側方に排気ファン14,15が位置するように構成されているので、配線によって阻害されることがなくなった冷却風が放熱板119に集中して、更に効率良く放熱板119を冷却することができる。
以上のように、本実施形態の液晶プロジェクタ1は、上述したような電源冷却機構を備えているので、電源回路とバラスト回路の冷却効率の向上,電気的性能の向上,配線の挟み込みの解消による組み立ての容易化等を実現した液晶プロジェクタ1が得られる。
図16,図17は、本実施形態における光学パネル冷却機構を示す斜視図で、図16はプリズム組み立て部品40が配置された図、図17は吹出口を示すためプリズム組み立て部品40を取り外した図である。
従来、色合成プリズムの各面に配置される液晶パネルや偏光板等の光学パネルの冷却は、冷却の必要な光学パネルにファンからの送風を直接吹き付ける吹出口を設けて、光学パネル自体に冷却風を集中して冷却している。しかしながら、液晶プロジェクタ等の投写型映像表示装置は、光源の高出力化による高輝度化が求められており、直接吹き付けだけでは、液晶パネルや偏光板等の光学パネルの冷却が充分に行えなくなってきている。
そこで、本実施形態では、第1の吹出口として、前述したプリズム組み立て部品40の各液晶パネル39r,39g,39bの光入射側と光出射側に、3台の吸気ファン61〜63からの送風を直接吹き付ける入射側吹出口64r,64g,64bと出射側吹出口65r,65g,65bを備えると共に、色合成プリズム38及び当該色合成プリズム38が取り付けられたアルミ製のベース部38aに吸気ファン61からの送風を吹き付ける第2の吹出口66を形成している。
第1の吸気ファン61は、主に青色用液晶パネル39bの入射側吹出口64bと出射側吹出口65bに対応し、第2の吸気ファン62は、緑色用液晶パネル39gの入射側吹出口64gと出射側吹出口65gに対応し、第3の吸気ファン63は、主に赤色用液晶パネル39rの入射側吹出口64rと出射側吹出口65rに対応しているが、第1の吸気ファン61が、送風能力が最も高いので(他の約2倍)、この第1の吸気ファン61による送風を第2の吹出口66に分岐させている。なお、第1の吸気ファン61は、後述する偏光ビームスプリッタ冷却用にも用いられるので、この第1の吸気ファン61からの送風を吹き出す入射側吹出口64bと出射側吹出口65bには第3の吸気ファン63からの送風も供給されている。
以上のように構成することにより、直接吹き付けによって冷却にされる液晶パネル39r,39g,39bや偏光板等が、色合成プリズム38及び当該色合成プリズム38が取り付けられたベース部38aを介して更に冷却されるので、液晶パネル39r,39g,39bや偏光板等の冷却効果が向上する。これにより、液晶パネル39r,39g,39bや偏光板等の更なる冷却性改善が図れるため、液晶パネル39r,39g,39bや偏光板等の高性能化や長寿命化を図ることができる。
また、各液晶パネル39r,39g,39bの光入射側と光出射側に直接吹き付けることにより、液晶パネル39r,39g,39bの両面と入射側と出射側の偏光板を直接冷却できると共に、放熱効果が高いアルミ製のベース部38aを介して効率良く冷却できるので、各液晶パネル39r,39g,39bと両側の偏光板等の冷却効果が更に向上する。
また、主に各液晶パネル39r,39g,39bの入射側吹出口64r,64g,64bと出射側吹出口65r,65g,65bに対応した3台の吸気ファン61〜63を備えると共に、これらの3台の吸気ファン61〜63のうち送風能力の高い第1の吸気ファン61による送風を第2の吹出口66に分岐させたことにより、ファンの台数を増やすことなく対応できるので、低コスト、省スペースで上述した効果が得られる。
以上のように、本実施形態によれば、上述したような光学パネル冷却機構を備えたので、液晶パネル39r,39g,39bや偏光板等の光学パネルの冷却効果が向上した液晶プロジェクタ1を実現できる。
図18は、本実施形態における光学パネル取付機構を示す要部拡大斜視図であり、ここでは、プリズム組み立て部品40の緑色用液晶パネル39gの光出射側に配置される偏光板41gと前置偏光板42gの取付機構を示している。なお、図18では、分かりやすくするため、緑色用液晶パネル39gは取り外した状態を示している。
従来、色合成プリズムの光入射面に偏光板を接着剤により貼り付けるようにしたものがあるが、色合成プリズムや偏光板のメンテナンスや再利用が困難になる。それを避けるため、偏光板等の光学パネルの取付金具に、光学パネルを上下方向と横方向に弾性的に押さえる押さえ片を設けて、同じ押さえ片で同時に上下方向と横方向を押さえると、上下方向と横方向の付勢力が影響し合って、どうしてもガタツキが生じてしまう。ガタツキが生じると、温度のバラツキや取付精度の低下による画素ズレ等が生じて、品質低下をきたす。
そこで、本実施形態では、一つの取付金具70に、前置偏光板42gを下端に形成された取付部(図示せず)に向かって下方向に弾性的に押さえる押さえ片71と、色合成プリズム38側に形成された取付部(図示せず)に向かって横方向に弾性的に押さえる押さえ片72,73を個別に形成すると共に、偏光板41gを下端に形成された取付部(図示せず)に向かって下方向に弾性的に押さえる押さえ片74,75と、色合成プリズム38側に形成された取付部(図示せず)に向かって横方向に弾性的に押さえる押さえ片76,77を個別に形成している。
上記のように構成することにより、下方向と横方向の付勢力が影響し合わなくなるので、接着剤を用いずにガタツキ無しに取付部に取り付けることができる。これにより、温度のバラツキや取付精度の低下による画素ズレ等を防いで、品質向上を図ることができる。
また、前置偏光板42gと偏光板41gの2枚を、接着剤を用いずに一つの取付金具70でガタツキ無しに取付部に取り付けることができ、低コストで上述した効果を実現できる。
また、取り付ける光学パネルが、色合成プリズム38の光入射面に配置される偏光板であるので、色合成プリズム38や偏光板のメンテナンスや再利用が容易になる。
以上のように、本実施形態においては、上述したような光学パネル取付機構を備えているので、偏光板等の光学パネルを接着剤を用いずにガタツキ無しに取付部に取り付けることができ、取付精度が上がって、品質向上が図れる液晶プロジェクタ1を実現できる。
図19〜図21は、本実施形態における光学パネル冷却機構の他の例を示す図で、偏光ビームスプリッタ(PBS)の冷却機構を示しており、図19は全体斜視図、図20は偏光ビームスプリッタを取り外して示す要部拡大図、図21は偏光ビームスプリッタが取り付けられた状態を示す要部拡大図である。
従来、これらの光学パネルの冷却は、冷却の必要な光学パネルにファンからの送風を吹出口からそのまま吹き付けて冷却している。しかしながら、液晶プロジェクタ等の投写型映像表示装置は、光源の高出力化による高輝度化が求められており、上述した従来技術だけでは、偏光ビームスプリッタ等の光学パネルの冷却が充分に行えなくなってきている。ファンの能力(回転速度)を最大限に上げて冷却することも考えられるが、騒音が増大する。
そこで、本実施形態では、偏光ビームスプリッタ(PBS)23に2台の吸気ファン12,61による送風を吹き付ける吹出口231を備えると共に、吹出口231に各吸気ファン12,61からの送風流路を仕切る仕切板232を形成している。
さらに、仕切板232が、吹出口231を2台の吸気ファン12,61からの送風量に応じた面積に仕切る位置に形成されている。すなわち、ここでは、前述した吸気ファン12の光源ランプ16へのダクト121より分岐させたダクト128からの送風量に比べて、前述した青色用液晶パネル39b等を冷却する吸気ファン61よりのダクト68からの送風量が2倍ほど多いので、これに対応して図20,図21に拡大図示したように吹出口231を仕切板232で約1対2の割合に仕切っている。
また、仕切板232は、図20に示すように、吹出口231の開口縁に達しない位置まで形成されている。
以上のように構成することにより、各吸気ファン12,61からの送風が吹出口231で合流すると共に、仕切板232により各吸気ファン12,61からの送風がいずれかに片寄ることなく偏光ビームスプリッタ23の全面に送風されるので、偏光ビームスプリッタ23の冷却効果が向上すると共に、吸気ファン12,61の能力(回転速度)を最大限にあげる必要もなくなるので騒音低減も図れる。
また、光学パネルとして、温度上昇によって性能が低下したり、劣化しやすい偏光ビームスプリッタ23を冷却するので、偏光ビームスプリッタ23を効率良く冷却して、偏光ビームスプリッタ23の性能向上と長寿命化を図ることができる。
さらに、仕切板232が吹出口231を2台の吸気ファン12,61からの送風量に応じた面積に仕切る位置に形成されているので、偏光ビームスプリッタ23を均等に冷却することができる。
また、2台の吸気ファン12,61を用い、吹出口231に2台の吸気ファン12,61からの送風流路を仕切る1枚の仕切板232を備えるだけで良いので、比較的簡単な構成で、上述した効果が得られる。
さらに、仕切板232が吹出口231の開口縁に達しない位置まで形成されているので、各吸気ファン12,61からの送風が分離するのを防ぐことができる。
以上のように、本実施形態によれば、上述したような光学パネル冷却機構を備えているので、偏光ビームスプリッタ23の冷却効果が向上すると共に、騒音低減も図れる液晶プロジェクタ1が実現できる。
図22〜図24は、本実施形態における排気機構を示す図であり、図22は全体上面図、図23は要部上面図、図23は要部斜視図である。
従来より、液晶プロジェクタ等の投写型映像表示装置においては、電源部よりも高温になる光源を有しているので、排気ファンの能力(回転速度)を最大限に上げたり、あるいは排気ファンを大きくしたり、複数台備えて対処している。また、2台隣接して備えたものもある。
しかしながら、排気ファンの能力(回転速度)を最大限に上げると、騒音が大きくなる。また、排気ファンを大きくしたり、2台隣接して配置すると、スペースをとるので、装置が大型化してしまう。
また、液晶プロジェクタ等の投写型映像表示装置は、光源の高出力化と装置の小型化が同時に求められるようになってきており、上述したような従来技術では、装置内部の温度を低減して、排気温度を下げると共に、騒音を低減することは困難になってきている。
そこで、本実施形態では、主に光源9からの排気を外部に排出する第1の排気ファン13と、主に電源部11からの排気を外部に排出する第2の排気ファン14を備えると共に、第1の排気ファン13の排気側に第2の排気ファン14を一部二層に重ねて配置している。
さらに、上記第1,第2の排気ファン13,14を、側壁に形成された排気口80から排気を斜め前方に向けて排出するように傾斜して配置している。また、第2の排気ファン14は第1の排気ファン13より出力が小さくなるように設定している。
以上のように構成することにより、光源9からの高温の排気は第1の排気ファン13から排出されると共に、その一部が第2の排気ファン14に引き込まれるようにして、第2の排気ファン14からも外部に排出されるようになる。
従って、排気ファンを大きくしたり、排気ファンの能力(回転速度)を最大限に上げなくても、装置内で一番高温になる光源9からの排気をより広い範囲に分散して強力に排気することができ、光源9からの高温の排気を促進することができる。これにより、装置内部の温度を効率良く低減して、排気温度を下げると共に、騒音を低減でき、光源9の高出力化と装置の小型化を同時に実現できる。
また、第2の排気ファン14が、主に電源部11からの排気を外部に排出するものであるから、光源9ほど高温ではないが重要な電源部11の排気も同時に行うことができる。
さらに、第1,第2の排気ファン13,14を排気口80に対して傾斜して配置したことにより、その分だけ排気口80に近接した部分が少なくなるので、騒音を更に低減できるようになる。
また、第1,第2の排気ファン13,14を側壁に形成された排気口80から排気を斜め前方に向けて排出するように傾斜して配置したことにより、温度の高い排気が操作者等のいる方向に吹き出すのを防ぐことができる。
また、第2の排気ファン14は第1の排気ファン13より出力が小さくなるようにしたことにより、圧力差が生じて第1の排気ファン13からの高温の排気が第2の排気ファン14側により移行しやすくなる。
以上のように、本実施形態によれば、上述したような排気機構を備えているので、装置内部の温度を効率良く低減して、排気温度を下げると共に、騒音を低減でき、光源の高出力化と装置の小型化を同時に実現した液晶プロジェクタ1が得られる。
図25〜図28は、本実施形態におけるレンズカバースライド機構の構成及び作用を示す図で、図25はレンズカバーが開いた状態を前面側から見た斜視図、図26はレンズカバーが開いた状態を裏面側から見た斜視図、図27はレンズカバーが閉じた状態を裏面側から見た斜視図、図28(a)〜(f)は作用を示す図である。
従来の手動のレンズカバーは、手動のみで全開から全閉の間の任意の位置にスライド可能になっているので、手を離すとその位置で停止してしまい、レンズカバーを全開,全閉位置までしっかりとスライド操作しなければならず操作性に問題がある。レンズカバーをモータで開閉するようにもできるが、コスト高になる。
そこで、本実施形態では、レンズカバー6を、図1に示したように投写レンズ3が露出する投写窓4が形成された前ケース2cの内側に内装している。具体的には、前ケース2c内側に装着され、投写窓4に対応した開口4aを有してレンズカバー6を保持する保持板601に、上下に並行に2本のガイド孔602,603を形成し、レンズカバー6の裏面側には上記ガイド孔602,603を摺動するガイド突起604,605を形成している。
そして、付勢手段としてのトーションバネ606の一端を保持板601の裏面側におけるガイド孔602,603間のほぼ中間に形成されたバネ固定部607に取り付け、他端は、下側のガイド孔603を摺動するガイド突起605に取り付けている。これにより、レンズカバー6は、トーションバネ606によって、図25,図26及び図28(a),(b)に示す全開状態と、図27及び図28(e),(f)に示す全閉状態間の途中位置,すなわち図28(c),(d)に示す略中間位置を境にいずれか一方に付勢され、スナップアクション機構が構成される。
また、上記レンズカバー6の全閉状態と全開状態の略中間位置に対応させて、保持板601にトーションバネ606の一片側が摺接する山形状の凸部608を形成している。さらに、保持板601には、トーションバネ606の上記一片側を凸部608側に押さえ込む押さえ片609を設けている。
また、レンズカバー6には、前述したように、投写レンズ3のズームやフォーカスを調整する調整ダイヤル3aを操作するための操作窓7を開閉する操作窓用カバー部6aが一体に形成されている。
以上のように構成することにより、レンズカバー6を全開又は全閉の途中まで操作すればトーションバネ606により自動的に全開又は全閉状態にスライドされるので、投写レンズ3を埃等から保護できると共に、低コストで操作性に優れたレンズカバースライド機構が実現できる。
また、レンズカバー6に、投写レンズ3のズームやフォーカスを調整する調整ダイヤル3aを操作するための操作窓7を開閉する操作窓用カバー部6aが一体に形成されているので、投写レンズ3と共に、そのズームやフォーカスを調整する調整ダイヤル3a等も同時に埃等から保護することができる。
また、レンズカバー6を、投写レンズ3が露出する投写窓4が形成された前ケース2c内側に内装したことにより、レンズカバー6のガイド部等が外部に露出したり、ガイド部に塵埃が付着しにくくなるので、外観性やメンテナンス性にも優れたレンズカバースライド調整機構を実現できる。
さらに、ガイド部が、前ケース2c内側に装着されてレンズカバー6を保持する保持板601に形成されたガイド孔602,603と、レンズカバー6に形成されてガイド孔602,603を摺動するガイド突起604,605とから成るものであるから、比較的簡単な構成で確実なスライド動作を実現できる。
また、トーションバネ606の一端を保持板601に固定し、他端をレンズカバー6のガイド突起605に取り付けてスナップアクション機構を構成したことにより、比較的簡単な構成で確実なスナップアクション動作を実現できる。
さらに、レンズカバー6の全閉状態と全開状態の略中間位置に対応させて、保持板601にトーションバネ606の一片側が摺接する山形状の凸部608を形成したことにより、トーションバネ606によるスナップアクション動作の不作動領域を少なくすることができる。
また、保持板601にトーションバネ606の上記一片側を山形状の凸部608側に押さえ込む押さえ片609を設けたことにより、山形状の凸部608に摺接するトーションバネ606の一片側の浮き上がりを防いで、トーションバネ606によるスナップアクション動作の不作動領域をより確実に少なくすることができる。
以上のように、本実施形態によれば、上述したようなレンズカバースライド機構を備えているので、投写レンズ3等を保護できると共に、低コストで操作性、さらには外観性やメンテナンス性等に優れた液晶プロジェクタ1を実現できる。
ところで、従来より、レンズカバーの開放のし忘れ、或いは故障などによりレンズカバーが投写窓を閉塞した状態のまま投写レンズから光が投写されても、レンズカバーが熱により変形しないようにするため、投写レンズから投写された光の一部を透過させるようにシボ加工により微少な凹凸が形成されたレンズカバーがある。
しかしながら、液晶プロジェクタ等の投写型映像表示装置では、光源の更なる高出力化(高輝度化)が求められるようになってきており、上述したようなシボ加工により単に微細な凹凸を形成して光の一部を透過させるようにしたものでは、透過しない光は熱になるので、レンズカバーを開放し忘れたまま長時間点灯すると、高温になって溶けやすくなる。
そこで、本実施形態では、上述したレンズカバー6に、凹凸の頂角が、投写レンズ3からの光が凹凸のいずれの位置に照射されても全反射しない角度になるように凹凸を形成している。
図29は、本実施形態におけるレンズカバー6に形成する凹凸の説明図である。
レンズカバー6の光入射側の媒質の屈折率をn1(空気=1)、レンズカバー6の材料の屈折率をn2(ポリカーボネイト=1.586)とし、光の入射角をθ1、屈折角をθ2、レンズカバー6に形成された凹凸の頂角の1/2をαとすると、次の式(1),(2)が成り立つ。
n1・sinθ1=n2・sinθ2 ・・・(1)
θ1=90°−α ・・・(2)
ここで、上述したように、凹凸の頂角2αが、投写レンズ3からの光が凹凸のいずれの位置に照射されても全反射しない角度になる条件は、
2α>90°−θ2 ・・・(3)
で表される。
また、凹凸であるので、上記式(3)の条件では平坦面(2α=180°)も含んでしまう。この条件としては、レンズカバー6を開放するのを忘れて映像が投写された場合に、スクリーンに表示される映像の不鮮明さからレンズカバー6の開放し忘れを気付く程度(例えば120°)として、次の式(4)の条件を満たす凹凸を形成することが望ましい。
120°>2α>90°−θ2 ・・・(4)
上記のようなレンズカバー6の凹凸は、金型内面に、薬品によって腐食させたり微細な加工粉を吹き付けるなどのシボ加工によって多数の凹凸を施し、この金型によって成型することで形成することができる。具体的には、硝酸、塩化第2塩化鉄あるいはCPL等の薬品により金型内面を腐食させるエッチングによりシボ加工を施すことができる。
また、上記のような条件でも、全反射はしないが、凹凸の頂点付近に入射する光はレンズカバー6内で焦点を結び、温度上昇の原因になる。従って、凹凸の頂点をビーズ加工等で円弧状に形成したり、凹凸の大きさを出来るだけ大きくして単位面積当たりの凹凸の数を少なくすることが好ましい。具体的には、凹凸の高さHを25μmからビーズ加工で12μmにしたら、レンズカバー6の温度が6〜7℃下がった。
以上のように構成することにより、投写レンズからの光が凹凸のいずれの位置に照射されても全反射しないことにより、熱になる光エネルギーが少なくなるので、レンズカバー6を開放し忘れたまま長時間点灯しても温度が余り高くならない。
さらに、凹凸の頂点を円弧状に形成することにより、頂点付近に照射される光もレンズカバー6内で焦点を結び難くなるので、熱になる光エネルギーが更に少なくなって温度が更に高くならなくなる。
また、凹凸の大きさを大きくして単位面積当たりの凹凸の数を少なくすることにより、全体として照射される光がレンズカバー6内で焦点を結び難くなるので、熱になる光エネルギーが更に少なくなって温度が更に高くならなくなる。
以上のように、本実施形態によれば、上述したようなレンズカバー6を備えているので、レンズカバー6を開放し忘れたまま長時間点灯しても温度が余り高くならない液晶プロジェクタ1が実現できる。
図30〜図32は、本実施形態における緩衝体の構成及び作用を示す図で、図30は梱包作業前の緩衝体の斜視図、図31は梱包時の緩衝体のみを示す斜視図、図31は梱包時の分解斜視図である。
従来、液晶プロジェクタ等の投写型映像表示装置を段ボール箱等の梱包箱に梱包する場合は、装置の上下を発泡スチロール等から成る2つの容器状の緩衝体で挟むようにして、梱包箱に収納していた。
しかしながら、上記のような従来技術では、容器状の上下の緩衝体が必要となるので、部品点数が多くなるため、コストや作業工数が増大する。
そこで、本実施形態では、図30に示すような緩衝体90を使用して、本実施形態の液晶プロジェクタ1を梱包するようにしている。液晶プロジェクタ1は図1に示したような略直方体形状をしているので、これに対応して緩衝体90は略直方体形状の上面開口の箱形に形成されている。
緩衝体90の底面側には、その長手方向にわたって、取り外し可能な上部押さえ板90aが形成されている。また、上面開口縁の対向する長辺側には、底面側から取り外された上部押さえ板90aの両端縁90b,90cが嵌合する嵌合部90d,90eを形成している。上部押させ板90aの両端縁90b,90cは、方向性を持たせるために幅を異ならせており、これに対応して嵌合部90d,90eの幅も異なっている。
上部押さえ板90aは、箱形の緩衝体90の底面側に薄肉部90f,90f,90gを残して周囲に切欠部90hを形成して実現している。
本実施形態では、薄肉部として、上部押さえ板90aの一辺側の両側に形成された幅広の薄肉部90f,90fと、その対向辺側に形成された幅狭の薄肉部90gとを設けている。この幅狭の薄肉部90gは、梱包作業前に上部押さえ板90aが自重や衝撃等で脱落してしまうのを防ぐために設けている。
上部押さえ板90aは、幅狭の薄肉部90g側を手で押して、幅狭の薄肉部90gを切り離し、そのまま押し続ければ、幅広の薄肉部90f,90fも切り離されて、容易に取り外すことができる。取り外された上部押さえ板90aは、図31に示すように、上部押さえ板90aの両端縁90b,90cを、緩衝体90の上面開口縁の長辺側に形成された嵌合部90d,90eと幅合わせをして嵌合させることにより、方向性を間違わずに容易にセットすることができる。
実際の梱包時には、図32に示すように、上部押さえ板90aを取り外した緩衝体90を段ボール箱91内に入れ、そこに液晶プロジェクタ1をセットして、その上から上部押さえ板90aを上述したように両端縁90b,90cを嵌合部90d,90eに合わせて載置し、段ボール箱91の蓋を閉めて、蓋をテープ等で密閉すれば梱包が完了する。
以上のように構成したことにより、一つの緩衝体90から、その底面側に形成された上部押さえ板90aを取り外して液晶プロジェクタ1を梱包することができるので、部品点数の削減によるコストや作業工数の削減を図ることができる。
また、上部押さえ板90aが、箱形の緩衝体90の底面側に薄肉部90f,90gを残して周囲に切欠部90hが形成されて成るので、緩衝体90の底面側から上部押さえ板90aを容易に取り外すことができる。
また、薄肉部として、上部押さえ板90aの一辺側に形成された幅広の薄肉部90f,90fと、その対向辺側に形成された幅狭の薄肉部90gとを設けたことにより、梱包作業前に上部押さえ板90aが脱落するのを防ぐことができる。
さらに、緩衝体90は、被梱包物としての液晶プロジェクタ1が略直方体形状を成し、これに対応して略直方体形状の上面開口の箱形に形成されると共に、その底面側の長手方向にわたって取り外し可能な上部押さえ板90aを形成し、上面開口縁の対向する長辺側には底面側から取り外された上部押させ板90aの両端縁90b,90cが嵌合する嵌合部90d,90eを形成したことにより、略直方体形状を有効利用して、底面側の長手方向に上部押さえ板90aを形成することで、長辺間に架け渡すに充分な長さの上部押さえ板90aを容易に確保することができる。
また、被梱包物が、光源から照射された光を映像信号に基づき変調し、変調された映像光を拡大投写する液晶プロジェクタ1等の投写型映像表示装置であるので、高精度が要求される光学部品が取り付けられた投写型映像表示装置の梱包の低コスト化と作業工数の削減を図ることができる。
なお、上記実施形態では、投写型映像表示装置として光変調素子に液晶パネルを用いた液晶プロジェクタを示したが、他の映像光生成系を備える投写型映像表示装置においても本願発明を適用することができる。例えば、DLP(Digital Light Processing;テキサス・インスツルメンツ(TI)社の登録商標)方式のプロジェクタにおいても本願発明を適用することができる。