JP4831730B2 - 培養液貯留用器具、シャーレの蓋 - Google Patents
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Description
また、シャーレ本体に貯留されている培養液を置換する、所謂置換培養を行う場合には、シャーレ本体に貯留された培養液内に2本のホースを入れて、一方のホースから培養液を吸引し、他方のホースから培養液を供給する。この培養液吸引用ホースと培養液供給用ホースはシャーレ本体と蓋との間の隙間からシャーレ本体内へ差し込むようにしている。
置換培養において用いられるホースは柔軟なプラスチック等によって構成されているため、シャーレ本体に差し込んだホースの一端部が不用意に湾曲してしまい、この一端部の位置を正確に管理することは不可能である。培養液吸引用ホースの一端部開口がシャーレ本体に貯留された培養液に浸かっていないと培養液を吸引することができないため、培養液をどうしても多めに入れて水位を必要以上に高くしてしまうことになる。このため、所謂置換培養においては、特に培養液を無駄にすることになる。
培養液の種類によっては極めて高価なものがあり、上記のような培養液の無駄な使用は実験コスト上において無視できない問題である。
本発明は上記従来の課題に着目して為されたものであり、培養液の無駄な使用を抑えることができる培養液貯留用器具、シャーレの蓋及びシャーレを提供することを課題とする。
前記器具本体の底面に形成された吸着用の凹部と、前記器具本体内に形成され前記穴または凹部の周面から上面に延びた一対の保持スリットと、前記保持スリットに保持され、前記穴または凹部に一端が連通し他端が外方に引き出されるホースとが備えられていることを特徴とする培養液貯留用器具である。
本発明のシャーレ及びシャーレの蓋によれば、培養液貯留用器具の穴または凹部に連通するホースをシャーレ外に引き出すことができる。
培養液貯留用器具1の構造について説明する。
符号5は器具本体を示し、この器具本体5は透明なシリコーンによって構成されており、弾性変形可能である。器具本体5は後述するシャーレ本体19の内径より僅かに小さい直径Pが33mm、厚さTが5mmの円盤状で、中心部に直径8mmの培養液貯留用の丸穴6が形成されている。また、図2に示すように器具本体5の底面には吸着用の凹部7が設けられている。
蓋3は、シャーレ本体19の上面開口を覆うものであり、シャーレ本体19と蓋3とによってシャーレ2が構成される。このシャーレ本体19は、その底面部65が平面視円形に形成されており、内径P2が35mm、深さT2が9mmである。シャーレ2は透明プラスチックによって構成されている。
蓋3には、その上面部20から周面部22にかけて連続する一対の切り欠き21、23が形成され、切り欠き21、23は互いに対向して配置されている。切り欠き21、23は周面部22の下端が開放されている。
尚、蓋3の内面には3つの凸部4が形成されている。
顕微鏡観察用培養器33は、加温プレート35、上下面が開口する水槽ユニット47及び蓋39等によって構成されている。
加温プレート35はハウジング41と、このハウジングに保持されるヒーター43とから成り、ヒーター43の中心には丸穴45が形成されている。
また、水槽ユニット47には薄い金属板によって構成される一対の押さえ板58が設けられており、この押さえ板58の一端部は水槽49に固定されたブロック61に回動自在に支持されている。
蓋39はハウジング59と、このハウジング59に保持された透明ガラスヒーター61とによって構成されている。
加温プレート35を顕微鏡のステージSの開口Saに嵌め、ハウジング41の段差部を開口Saの周縁部に係止させる。そして、この加温プレート35に対応するように水槽ユニット47をステージS上に設置して、更に水槽ユニット47の上面開口を覆うように蓋39を備える。
顕微鏡観察用培養器33に備えられた温度センサー等の検知結果に基づき、ヒーター43、ガラスヒーター61等が制御され、顕微鏡観察用培養器33内の温度等が所定の条件に保たれる。
また、器具本体5の底面には凹部7が形成されているので、器具本体5をシャーレ本体19の底面部65に押し付けて弾性変形させ、凹部7内の空気を排出させれば、凹部7内が負圧になり、器具本体5はシャーレ本体19の底面部65に吸着して固定される。
尚、蓋3の内面には3つの凸部4が形成されているので、この凸部4がシャーレ本体19の上端部に当接する。従って、シャーレ本体19の上端部と蓋3の内面との間に隙間ができ、シャーレ本体19に蓋3をした状態でも、シャーレ2の通気性が保たれる。
そして、一対の押さえ板58を蓋3に弾接させて、シャーレ2を固定する。
尚、シャーレ2と器具本体5は透視できる材料によって構成されているので、顕微鏡観察用培養器33に収容した状態でも、培養液貯留用凹部66内の培養液Cや生体細胞Dの状態が外部から明瞭に目視することができる。
培養液貯留用器具71は実施の形態1に係る培養液貯留用器具1とほぼ同じ構造を有し、その使用方法も同様であるので、その相違点についてのみ説明することとし、同じ構造部分については実施の形態1で用いた符号を付して説明を省略する。
実施の形態2以下においては、顕微鏡観察用培養器33の構造、顕微鏡観察用培養器33を顕微鏡のステージSに設置する手順及びその動作について、実施の形態1において用いた符号を付して、その説明を省略する。
培養液貯留用器具71の器具本体73の中心には、底部75を有する凹部77が形成されている。器具本体73と底部75は透明なシリコーンによって構成されている。凹部77の直径は8mmで、厚さTは5mmであり、底部75の厚さは0.5mmである。
培養液貯留用器具81は実施の形態1に係る培養液貯留用器具1とほぼ同じ構造を有し、その使用方法も同様であるので、その相違点についてのみ説明することとし、同じ構造部分については実施の形態1で用いた符号を付して説明を省略する。
ホース13の穴6に連通する一端部は、ホース15の穴6に連通する一端部より高所に配置されている。
培養液貯留用凹部66内の培養液Cをホース13介して吸引し、また培養液貯留用凹部66内へホース15を介して培養液Cを供給し、所謂置換培養を行う。
尚、培養液貯留用凹部66に貯留される培養液Cの水は一定に保つ必要がある。
このように、実施例3に係る培養液貯留用器具81を用いれば、培養液貯留凹部66内の培養液Cの水位を容易且つ確実に管理することが可能となる。
シャーレ101は透明プラスチック製で、シャーレ本体19と、このシャーレ本体19の上面開口を覆う蓋103とによって構成されている。シャーレ本体19は平面視円形の底面部65を有しており、その内径Pは35mm、深さTは9mmである。
尚、蓋103の内面には3つの凸部4が形成されている。
ホルダー122、123には、連通部材としてのL字状に曲げられたパイプ126、127が保持されている。パイプ126、127は硬質材料としてのステンレススチールによって構成されている。パイプ126、127の一端部は嵌合凸部125の下面から突出して下方を向いており、他端部は主部124の側面から突出してほぼ水平方向へ延びている。
丸穴111、112及び嵌合筒部116、117に嵌合された嵌合凸部125は任意の位置で止めることができる。従って、ホルダー122、123の嵌合凸部125を嵌合筒部116、117に入れる深さを変えることによって、パイプ126、127の一端部の突出量を変更することができる。よって、パイプ126、127の一端部開口126a、127aを任意の位置に備えることができる。
ホルダー122、123は互いに対向して配置され、よってパイプ126、127は互いに対向して配置されている。パイプ126、127の一端部は後述するように、シャーレ本体19に蓋103を被せた状態でシャーレ本体19の底面部65に向かって突出し、他端部は外部に露出してほぼ水平方向へ延びる姿勢となる。前記パイプ126、127の外部に露出する他端部にはホース13、15が接続される。
また、前述したように、パイプ126、127の一端部の突出量を変更することができるので、パイプ126、127の一端部開口126a、127aとシャーレ本体19の底面部65との距離を調節することが可能である。
尚、蓋103の凸部4がシャーレ本体19の上端部に当接することによって、シャーレ本体19の上端部と蓋103の内面との間に隙間ができる。
シャーレ101をヒーター43上に設置して、その中心部とヒーター43の丸穴45の中心部に対応するように位置させる。そして、一対の押さえ板58を蓋103に弾接させて、シャーレ101を固定する。
尚、シャーレ101は透視できる材料によって構成されているので、顕微鏡観察用培養器33に収容した状態でも、シャーレ本体19内の培養液Cや生体細胞Dの状態が外部から明瞭に目視することができる。
前記のように、パイプ126、127の一端部開口126a、127aとシャーレ本体19の底面部65との距離Kは3mmに設定されているので、培養液Cの水位を4mmまで低くしても、パイプ126からシャーレ本体19内の培養液Cの吸引を行うことが可能である。従って、培養液Cをパイプ126から吸引可能なぎりぎりの水位となるように貯留することができる。よってシャーレ本体19に培養液Cを余分に入れてしまうのを防止でき、培養液Cの使用量を抑えることができる。
上記のように、ホルダー122、123の嵌合凸部125を嵌合筒部116、117に入れる深さを調節することによって、後述するようにパイプ126、127の一端部開口126a、127aとシャーレ本体19の底面65との距離Kを調節することができる。
このように、シャーレ本体19内の培養液Cの水位を容易且つ確実に管理することが可能となる。
シャーレ171は実施の形態4に係るシャーレ101とほぼ同様の構造を有しているので、同様の構造部分については実施の形態4で用いた符号を付してその説明を省略し、その相違点についてのみ説明する。
シャーレの蓋173には実施の形態4の嵌合筒部116、117は設けられておらず、丸穴111、112だけが形成されている。
直管状のパイプ126bはホルダー122の主部124の一側面の開口から連通穴128へ差し込まれ嵌合している。また、直管状のパイプ126cは嵌合凸部125の下面の開口から連通穴128へが差し込まれ嵌合している。
直管状のパイプ127bはホルダー123の主部124の一側面の開口から連通穴128へ差し込まれ嵌合している。また、直管状のパイプ127cは嵌合凸部125の下面の開口から連通穴128へ差し込まれ嵌合している。
パイプ126b、126c、127b、127cは硬質材料としてのステンレススチールによって構成されている。
これら連通穴128を有するホルダー122、123、パイプ126b、127b及びパイプ126c、127cによって連通部材が構成されている。また、パイプ126c、127cのホルダー122、123から突出する部分が連通部材の一端部となり、シャーレの蓋173をシャーレ本体19に被せて上面開口を覆った状態では、パイプ126c、127cの一端部がシャーレ本体19の底面65へ向かって突出する。また、パイプ126b、127bが連通部材の他端部となる。
パイプ126bのホルダー122から突出する部分にはホース13が接続され、パイプ127bのホルダー123から突出する部分にはホース15が接続されている。
このシャーレ171では、シャーレ本体19に貯留された培養液Cはパイプ126c、連通穴128、パイプ126b及びホース13を介して吸引され、またホース15、パイプ127b、連通穴128及びパイプ127cを介して培養液Cがシャーレ本体19内へ供給される。
尚、実施の形態4と同様に、ホルダー122の穴111に対する取り付け位置を、ホルダー123の穴112に対する取り付け位置より高くして、パイプ126cの一端部開口126dをパイプ127cの一端部開口127dより高所に位置させて、シャーレ本体19内の培養液Cの水位を管理することが可能である。
例えば、実施の形態1から3において、器具本体5、73、81にスリット9、11、ホース13、15を設けない構成としてもよい。この構成では所謂置換培養には使用しない。
また、器具本体5は全体を透視できる材料によって構成したが、これに限定されず透明でない材料によって構成してもよい。また、器具本体77は少なくとも底部75を透視できる材料によって構成すればよく、それ以外の部分を透視できない材料によって構成してもよい。
更に、器具本体5、73、81を弾性変形しない例えば硬質のプラスチック、ガラス等によって構成してもよい。またホース13、15は3本以上備えるようにしてもよい。
器具本体5、73、81の直径、厚さ寸法及び丸穴6、凹部77の直径、深さ寸法は、上記したものに限定されず、シャーレの大きさ、培養する微生物や生体細胞の種類等によって適宜設定されるものである。
上記実施の形態では器具本体5、73にスリット9、11を形成し、スリット9、11にホース13、15を挟み込むことによって保持したが、スリット9、11を形成する代わりに穴を形成して、この穴にホース13、15を通して、一端部が器具本体5の穴6または器具本体73の凹部77に連通するように備えてもよい。
上記実施の形態4、5では、連通部材を2つ備えたが、3つ以上備える構成としてもよい。
また、パイプ126、127、126c、127cは不用意に湾曲せず、その姿勢を保持できる硬質材料であればステンレススチール以外の金属、例えばアルミニウム合金等によって構成してもよく、また硬質のプラスチック、ガラス等によって構成してもよい。
ホルダー122、123はシリコーン以外の弾性変形可能な合成ゴム等によって構成してもよい。
尚、ホルダー122、123は蓋103に固定して、上記したように、パイプ126、127の一端部開口126a、127aとシャーレ本体19の底面65との距離Kを調節できない構成とすることも可能である。また、ホルダー122、123をシリコーンのように弾性変形しない硬質のプラスチックによって構成することも可能である。
4 凸部 5、73 器具本体 6 丸穴 7 凹部
9、11 保持スリット 13、15 ホース 17 接続パイプ
19 シャーレ本体 20 蓋の上面部 22蓋の周面部
21、23 切り欠き 25、27 カバーハウジング
29、31 開口部 33 顕微鏡観察用培養器
35 加温プレート 37 水槽ユニット 39 蓋
41 ハウジング 43 ヒーター 45 丸穴
47 水槽ユニット 49 水槽 51 水供給管
53 給水ホース 55 ガス供給管
57 ガスホース 58 押さえ板
59 ハウジング 61 透明ガラスヒーター 63 固定ブロック
65 シャーレ本体の底面部 66 培養液貯留用凹部
67 穴 69 ホース
75 底部 77 凹部
S 顕微鏡のステージ Sa ステージの穴 C 培養液
D 生体細胞 E コンデンサー F 対物レンズ
P 培養液貯留用器具の器具本体の直径
T 培養液貯留用器具の器具本体の厚さ
P2 シャーレ本体の内径
T2 シャーレ本体の深さ
101、171 シャーレ 103、173 シャーレの蓋
109 シャーレの蓋の上面部 111、112 丸穴
116、117 嵌合筒部 119、121 嵌合丸穴
122、123 ホルダー 124 ホルダーの主部
125 ホルダーの嵌合凸部 126、27 パイプ
126a、127a パイプの一端部開口
126b、126c、127b、127c 直管状にパイプ
126d、127d パイプの一端部開口 128 連通穴
K パイプの一端部開口とシャーレ本体の底面部との距離
Claims (8)
- 弾性変形可能な材料によって構成され、シャーレ本体の底面部に設置されて収容される器具本体と、前記器具本体に形成された培養液貯留用の穴または凹部と、前記器具本体の底面に形成された吸着用の凹部と、前記器具本体内に形成され前記穴または凹部の周面から上面に延びた一対の保持スリットと、前記保持スリットに保持され、前記穴または凹部に一端が連通し他端が外方に引き出されるホースとが備えられていることを特徴とする培養液貯留用器具。
- 請求項1に記載した培養液貯留用器具において、器具本体は穴内または凹部内を外部から透視できる材料によって構成されていることを特徴とする培養液貯留用器具。
- 請求項1または2に記載した培養液貯留用器具において、器具本体は、器具本体が収容される底面部が円形のシャーレ本体の内径より僅かに小さい直径の円盤状に形成されていることを特徴とする培養液貯留用器具。
- 請求項1から3のいずれかに記載した培養液貯留用器具において、穴または凹部は器具本体の中心部に設けられていることを特徴とする培養液貯留用器具。
- 請求項1から4のいずれかに記載した培養液貯留用器具において、一方の保持スリットの穴または凹部に連通する一端部を、他方の保持スリットの前記穴または凹部に連通する一端部より高所に配置したことを特徴とする培養液貯留用器具。
- 請求項1から5のいずれかに記載した培養液貯留用器具の器具本体が収容されるシャーレ本体の上面開口を覆うシャーレの蓋において、ホースをシャーレの外部へ引き出すための引き出し口が設けられていることを特徴とするシャーレの蓋。
- 請求項6に記載したシャーレの蓋において、引き出し口はシャーレの蓋の上面部から周面部にかけて連続する切り欠きによって構成されていることを特徴とするシャーレの蓋。
- 請求項6または7に記載したシャーレの蓋において、引き出し口の上方に位置し、引き出し口の上面を覆う覆い部が設けられていることを特徴とするシャーレの蓋。
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