JP4830966B2 - 不活化アルカリフォスファターゼの製造方法及び酵素免疫測定用の精度向上剤 - Google Patents

不活化アルカリフォスファターゼの製造方法及び酵素免疫測定用の精度向上剤 Download PDF

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Description

本発明は、不活化アルカリフォスファターゼの製造方法、酵素免疫測定用の精度向上剤、及び酵素免疫測定方法に関する。
臨床検査の分野においては、安全で簡便な酵素免疫測定方法(以下、EIAと略記することがある)が多用されている。さらに近年の技術の発展によって、発光基質を用いる高感度のEIA法が開発されている。しかしながら、高感度EIAでは、従来は見出されなかった微量の非特異反応の影響が問題となっている。
EIAに用いる標識用酵素の一つにアルカリフォスファターゼ(以下、ALPと略記することがある)があるが、標識酵素にALPを用いて体液、例えば血清や血漿、尿中の被検物質を測定する場合、体液中に含まれる物質に起因するALP関連非特異反応が測定値に影響を与え、異常な高値又は低値を示し、正しい測定値が得られないことがある。そのような非特異反応を引き起こす原因物質としては、血清試料の場合にはALP結合性免疫グロブリン(非特許文献1、2)や高分子ALP(非特許文献3)等が、また、ALP活性に影響を与える要因として、甲状腺ホルモン(非特許文献4、5)やグルコース(非特許文献6)等が知られている。ALP活性を化学発光基質のような高感度で検出する近年のEIAでは、ALP関連非特異反応によるALPの微量な変化まで検出されるようになり、ALP関連非特異反応が測定値に与える影響が大きくなっている。
このような、種々の原因物質によるALP関連非特異反応を抑制して、より高精度にEIAを行なうための方法としては、ALPの酵素活性を消失させた不活化ALPを免疫反応時に共存させてEIAを行なう方法が知られている(特許文献1)。しかしながら、特許文献1記載の方法では、測定対象物の種類によっては異常値が見られるため、ALP関連非特異反応を抑制する方法として必ずしも満足できるものではない。また、非特許文献7には、血清検体の免疫学的測定法において、IgG性異好抗体の干渉によって偽高値が生じること、及びウシ免疫グロブリンを用いて偽高値を回避する方法が記載されている。しかしながら、非特許文献7の方法では、特定の原因物質による非特異反応しか回避できず、それぞれに原因の異なるALP関連非特異反応の全てを除去する方法に応用することはできない。
Ann. Intern. Med.、Vol.90、No.1、p30-35、1979 Clin. Chem. Acta, Vol.30、No.135、p41-48、1983 Ann Clin. Biochem.、Vol.26、p151-157、1989 Bone Miner、Vol.4、p355-363、1988 Endcrinology、Vol.120、p1873-1981、1987 Clin Chem Acta、Vol.133、p15-24、1983 臨床病理Vol.153, No.12, p1103-1108, 2005 特開2000-193666号公報
従って、本発明の目的は、従来の方法よりも効果的にALP関連非特異反応の影響を排除し、正確なEIAを可能にするための手段を提供することである。
本願発明者らは、鋭意研究の結果、ALPを用いたEIAにおける免疫反応系に共存させるべき不活化ALPの製造過程において、ALPの不活化処理の際にプロテアーゼインヒビターを共存させることにより、得られる不活化ALPのEIAにおける異常値抑制効果が向上し、より高精度のEIAが可能になることを見出し、本願発明を完成した。また、免疫反応系に共存させる不活化ALPにプロテアーゼインヒビターを配合することによっても、同様に、より高精度のEIAが可能になることを見出し、本願発明を完成した。
すなわち、本発明は、プロテアーゼインヒビターの共存下でアルカリフォスファターゼの不活化処理を行なう工程を含んでなることを特徴とする、不活化アルカリフォスファターゼの製造方法を提供する。また、本発明は、上記本発明の方法で製造された不活化アルカリフォスファターゼを含む酵素免疫測定用の精度向上剤を提供する。さらに、本発明は、不活化アルカリフォスファターゼ及びプロテアーゼインヒビターを含む、酵素免疫測定用の精度向上剤を提供する。さらに、本発明は、標識酵素にアルカリフォスファターゼを用いる酵素免疫測定方法において、反応系内に、不活化アルカリフォスファターゼ及びプロテアーゼインヒビターを共存させること、又は、プロテアーゼインヒビターの共存下でアルカリフォスファターゼの不活化処理を行なうことを含む方法により製造された不活化アルカリフォスファターゼを共存させることを特徴とする酵素免疫測定方法を提供する。
本発明により、新規な不活化ALPの製造方法が提供された。本発明の方法で製造される不活化ALPは、従来の方法で製造される不活化ALPよりも、EIAにおける異常値の発生をより効果的に抑制することができる。従って、本発明によれば、ALPを用いたEIAでより正確な測定値を得ることが可能になる。また、本発明により、新規な酵素免疫測定用の精度向上剤が提供された。本発明の精度向上剤によれば、従来の不活化ALPを用いた場合であっても、EIAにおける異常値の発生をより効果的に抑制することができ、EIAの精度をより高めることができる。
本発明の不活化ALPの製造方法は、プロテアーゼインヒビターの共存下でALPの不活化処理を行なうことを特徴とする。プロテアーゼインヒビターを共存させることで、不活化処理中のALPの分解を抑制することができ、不活化ALPの分解による性能劣化を効果的に防止することができる(下記実施例参照)。
ここで、「ALPの不活化」とは、ALPの酵素活性を実質的に消失させることをいい、具体的には、例えば、下記実施例に記載されるように、3-(4-メトキシスピロ(1,2-ジオキセタン-3,2'-トリシクロ[3.3.1.13,7]デカン)-4-イル)フェニルホスフェート2ナトリウム(例えば商品名AMPPD)を基質として用い、0.2mg/mL濃度の基質液200μLに対し、1.0mg/mLの不活化ALPを10μL添加し37℃で5分間反応させた後のシグナルをフォトンカウンターで測定したときのシグナルが、1ng/mLの精製ALP溶液を10μL添加し37℃で5分間反応させた後のシグナルをフォトンカウンターで測定した際のシグナル(以下、「シグナル基準値」という)以下となるレベルまで、ALPの酵素活性を低下させることをいう。従って、ALPが不活化されたか否かは、3-(4-メトキシスピロ(1,2-ジオキセタン-3,2'-トリシクロ[3.3.1.13,7]デカン)-4-イル)フェニルホスフェート2ナトリウム(例えばAMPPD(商品名))を基質として用いる上記アッセイ方法により、シグナルが上記シグナル基準値以下まで低くなったか否かを調べることにより確認することができる。3-(4-メトキシスピロ(1,2-ジオキセタン-3,2'-トリシクロ[3.3.1.13,7]デカン)-4-イル)フェニルホスフェート2ナトリウム基質液としては、例えば、下記実施例に記載されるように、AMPPD(商品名)(アプライドバイオシステムズ社製)を用いて調製した基質液等を好ましく用いることができる。また、上記精製ALPとしては、ウシ小腸由来ALPや公知の各種組換えALP等を用いることができ、例えばALP24(オリエンタル酵母社製)等のような市販品を好ましく用いることができる。フォトンカウンターは、公知の市販品(ALOKA社製等)を好ましく用いることができる。
ALPを不活化させる方法としては、例えば、酸処理、熱処理及びキレート試薬処理等(Enzymologia, Vol.35, p157, 1968; J.B.C., Vol.233, p1121, 1958; B.B.A., Vol.52, p36, 1961)が挙げられる。本発明における不活化処理は、これらのいずれの方法であってもよく、ALPを不活化できる処理方法であれば特に限定されない。また、不活化処理は、単独の処理方法を適用してもよいし、複数の処理方法を組み合わせて適用してもよい。
酸処理により不活化を行う場合、処理条件としては、系内のALP濃度は低く、pHは低く、処理時間は長い方が、ALPの酵素活性をより望ましく低下させることができる。例えば、ウシ小腸由来のALPを酸処理により不活化させる場合には、ALP濃度を1μg/mL〜100 mg/mL程度、好ましくは0.1mg/mL〜1mg/mL程度、pHを1.0〜5.0程度、好ましくは1.0〜3.0程度、処理温度を0℃〜40℃程度、好ましくは0℃〜10℃程度、処理時間を3分間〜5日間程度、好ましくは1日間〜3日間程度の条件で酸処理を行なうことにより、ALPを好ましく不活化することができる。
なお、酸処理を加温条件下で行なう場合には、処理時間はより短時間とすることができ、例えば、処理温度を40℃〜80℃程度とする場合、処理時間を3分間〜6時間程度、好ましくは0.5時間〜4時間程度とし、その他の条件は上記と同様とした処理条件で酸処理を行なうと、ALPを好ましく不活化することができる。
熱処理により不活化を行う場合、不活化させるべきALPの種類に応じ、処理温度及び処理時間は適宜選択される。ALPの酵素活性を失活させるために適した加熱温度及び加熱時間は、ALPの種類に応じて異なるが、そのような加熱温度及び加熱時間は公知であり、当業者であれば容易に定めることができる。例えば、ウシ小腸由来のALPを熱処理により不活化させる場合には、40℃〜80℃で3分間〜4時間程度の熱処理を行なうことで、容易に失活させることができる。
キレート試薬処理により不活化を行なう場合、例えば、緩衝溶液に含まれる金属イオンの総濃度よりキレート剤が高濃度の条件で行なうことで、ALPの分子中に含まれる活性化に必要な亜鉛を除去することができ、これによりALPを不活化することができる。
不活化処理を組み合わせて適用する場合、組み合わせ方は特に限定されず、自由に選択することができる。例えば、上記条件で酸処理を行なう前又は行った後に、上記条件で熱処理を行なうことができる。また、熱処理の際に、熱処理に供するALP溶液のpHを低く(例えばpH 1.0〜5.0)調製し、熱処理と酸処理を同時に行なってもよい。
不活化処理の際に共存させるプロテアーゼインヒビターは、不活化処理の系内に存在し得るプロテアーゼに応じて適宜選択することができる。上記系内に存在し得るプロテアーゼの種類は、不活化させるべきALPの由来、すなわち臓器由来か組換え体か、臓器由来であればいずれの臓器であるかに基づき、ALPの精製度を勘案して推察することができる。例えば、ALPが小腸由来である場合、抽出されたALP溶液中には、膵臓由来のトリプシノーゲン、キモトリプシノーゲン、プロエラスターゼ、プロカルボキシペプチダーゼなどのプロテアーゼ前駆体や、活性化したトリプシン、キモトリプシン、エラスターゼ及びカルボキシペプチダーゼなどのセリンプロテアーゼが含まれ得るため、不活化処理系内にはこのようなセリンプロテアーゼ及びその前駆体が存在し得る。抽出ALP溶液中に血液が混入し得る場合には、該ALP溶液中にはセリンプロテアーゼが含まれ得る。ALPが胃組織由来の場合又は抽出ALP溶液中に胃液が混入し得る場合には、抽出されたALP溶液中にはアスパラギン酸プロテアーゼが含まれ得る。ALPが細胞膜に富む溶液(例えば細胞培養液等)に由来する場合、抽出されたALP溶液中にはメタロプロテアーゼが含まれ得る。従って、小腸由来ALPや血液混入ALPを不活化処理する場合にはセリンプロテアーゼインヒビターを、胃組織由来ALPを不活化処理する場合にはアスパラギン酸プロテアーゼインヒビターを、細胞膜に富む溶液のALPを不活化処理する場合にはメタロプロテアーゼインヒビターを共存させることが好ましい。ただし、不活化処理系内に存在しないプロテアーゼに対するインヒビターを共存させても、不活化処理に特段の悪影響はないため、該系内に存在しないと考えられるプロテアーゼに対するインヒビターを共存させても差し支えはない。従って、多種類のプロテアーゼインヒビターを同時に用いてもよく、例えば市販のプロテアーゼインヒビターカクテル(ナカライテスク社製等)等を好ましく用いることができる。
プロテアーゼインヒビターの使用量は、厳密には、不活化させるべきALPの溶液中にどの程度のプロテアーゼが混入しているかで異なり得るが、厳密にプロテアーゼ混入量を測定する必要はなく、通常、不活化処理に供するALP溶液中に10μg/mL〜50 mg/mL程度の濃度(複数種類のプロテアーゼインヒビターを用いる場合はその合計濃度を指す)で添加して用いれば、望ましくプロテアーゼを阻害することができる。なお、プロテアーゼは加熱やpH変動に対する耐性が強く、そのため、プロテアーゼよりも先にインヒビターの方が活性低下や分解等を生じる場合もある。従って、必要に応じ、ALP不活化処理中にプロテアーゼインヒビターを追加して添加してもよい。
各種プロテアーゼ及びプロテアーゼインヒビターの具体例はこの分野において公知である。例えば、セリンプロテアーゼとしてはトリプシンやキモトリプシン等;アスパラギン酸プロテアーゼとしてはペプシン、カテプシンD等;メタロプロテアーゼとしてはサーモライシン等;システインプロテアーゼとしてはパパイン、カスパーゼ等が挙げられるが、これらに限定されない。また、例えば、セリンプロテアーゼインヒビターとしてはベンズアミジン、PMSF、ABESF、PMSF、ロイペプシン、タンパク質性の大豆/膵臓由来トリプシンインヒビター及びα1アンチトリプシン等;アスパラギン酸プロテアーゼインヒビターとしてはペプスタチン及びフォスフォラミディン等;メタロプロテアーゼインヒビターとしてはフォスフォラミドン及びEDTA等;システインプロテアーゼインヒビターとしてはアンティパイン等が挙げられるが、これらに限定されない。
本発明の方法で不活化されるALPは、いずれの種類のALPであってもよい。各種のALPがこの分野において周知であり、例えばウシ小腸由来ALP(CIAP)、ウシ肝臓由来ALP、ウシ膵臓由来ALP、エビ由来ALP(SAP)、細菌由来ALP(BAP)、ヒト由来ALP(HAP)及び公知の各種組換えALP等が挙げられる。ALPは、周知の常法により各種組織等から抽出して得ることもできるし、また、種々の市販品が存在するので、入手は容易である。後述する通り、本発明の方法で製造される不活化ALPは、ALP標識を用いたEIAにおいて非特異反応を抑制するための試薬として有用であるため、特に限定されないが、好ましくは、本発明の方法で不活化されるALPは、EIAで標識として通常用いられるALPである。そのようなALPとしては、ウシ小腸由来ALP(CIAP)や各種組換えALPが挙げられるが、これらに限定されない。
ALPを標識として用いる高感度EIAでは、検体中に含まれる測定対象物質以外の種々の物質が原因となって、EIAにおいて測定される標識ALPにより生じるシグナルが、正当な免疫反応によらずに増減する反応が生じ(これを本発明において「ALP関連非特異反応」という)、測定値が偽高値又は偽低値すなわち異常値を示すことがしばしば問題となる。従来、このようなALP関連非特異反応を抑制するため、不活化ALPをEIAにおける免疫反応系内に共存させる方法が採られているが、その効果は必ずしも満足のいくものではなかった。本発明の方法により製造された不活化ALPは、下記実施例に示される通り、従来の不活化ALPよりも、EIAにおける異常値の発生を効果的に抑制することができる(実施例4参照)。すなわち、本発明は、上記本発明の方法により製造された不活化ALPを含む、酵素免疫測定用の精度向上剤をも提供する。
なお、上記ALP関連非特異反応の具体的な例としては、ALP結合グロブリン等のALP結合性成分の標識ALPへの結合、ALP部分を介したALP標識体の固相等への非特異吸着等が挙げられる。前者の非特異反応では、通常、ALP標識体中の標識ALPの活性が低下するため、EIAの測定値は偽低値となる。後者の非特異反応では、ALP標識体が過剰に固相等へ結合してしまうため、EIAの測定値は偽高値となる。ただし、ALP関連非特異反応とは上記定義の通りであり、これらの具体例に限定されない。
不活化ALPがEIAの測定精度を向上させる作用の機序については、以下のことが考えられる。特許文献1が開示する通り、不活化ALPは、異常値を示す検体の希釈倍率に関わらず、異常値の発生を抑制する効果を奏する。しかしながら、この異常値検体は、ALP標識抗体の抗体部分を介した固相への結合を競合的に抑制できる抗体成分の添加によっては、異常値の発生は抑制されない。従って、EIAの反応系内に添加された不活化ALPは、ALP標識体のALP部分を介した固相への非特異吸着等のようなALP関連非特異反応を競合的に抑制し、これによりEIAにおける異常値の発生を抑制しているものと考えられる。本発明により製造される不活化ALPは、従来の不活化ALPよりもEIAの精度向上効果が高いが、基本的な作用機序は、従来の不活化ALPと同様に、ALP関連非特異反応を競合的に抑制することにあると考えられる。
上記した本発明の精度向上剤は、上記本発明の方法により製造された不活化ALPのみから成るものであってもよく、また、不活化ALPの安定化等に有用な界面活性剤、緩衝剤、保存剤等をさらに含んでいてもよい。また、後述するとおり、本発明の方法で製造された不活化ALPに加え、プロテアーゼインヒビターをさらに含んでいてもよい。
本発明はまた、本発明の製造方法により製造された不活化ALPを含む精度向上剤の他、不活化ALPとプロテアーゼインヒビターとを含むEIA用の精度向上剤をも提供する(以下、便宜的に前者を「第1の精度向上剤」、後者を「第2の精度向上剤」とよぶ)。下記実施例に記載される通り、従来法により製造した不活化ALPの溶液にプロテアーゼインヒビターを加えてEIA用の精度向上剤を調製すると、調製後の精度向上剤中に含まれる不活化ALPの分解が顕著に抑制される。下記実施例3及び4に記載される通り、不活化ALPの分解が抑制されているものほど、EIAにおける偽高値の発生を抑制できるので、プロテアーゼインヒビターを含む本発明の第2の精度向上剤は、従来の不活化ALPから成る精度向上剤よりも効果的にEIAの異常値発生を抑制できる。不活化ALPとして、上記本発明の方法により製造された不活化ALPを用いれば、さらなる精度向上効果が期待できる。
本発明の第2の精度向上剤は、不活化ALP及びプロテアーゼインヒビターのみから成るものであってもよく、また、第1の精度向上剤と同様に、不活化ALPの安定化等に有用な界面活性剤、緩衝剤、保存剤等をさらに含んでいてもよい。
第2の精度向上剤に含有させるプロテアーゼインヒビターの種類は、不活化後のALP溶液中に残存するプロテアーゼの種類に応じて適宜選択することができる。残存するプロテアーゼの種類は、上記した不活化処理に供されるALPの溶液に含まれ得るプロテアーゼの種類とほぼ同様である。従って、精度向上剤に含有させるプロテアーゼインヒビターとしては、該精度向上剤中に含まれる不活化ALPを不活化処理した際に用いたプロテアーゼインヒビターと同じものを用いることができる。ここで用いられるプロテアーゼインヒビターの具体的な例は、ALPの不活化処理で用いられるプロテアーゼインヒビターについて上述した具体例と同様であり、1種類ないし複数種類のプロテアーゼインヒビターを精度向上剤に含有させることができる。ただし、ここで用いられるプロテアーゼインヒビターの種類及び濃度は、該精度向上剤が用いられるEIAのアッセイ系への影響を極力抑えるように選択することが望ましく、かかる観点からは、タンパク質性のプロテアーゼインヒビターを用いることが好ましい。タンパク質性のプロテアーゼインヒビターとしては、例えば、セリンプロテアーゼインヒビターである大豆/膵臓由来トリプシンインヒビター及びα1アンチトリプシン等;システインプロテアーゼインヒビターであるシスタチン等が挙げられるが、これらに限定されない。
精度向上剤中に含有させるプロテアーゼインヒビターの濃度は、特に限定されないが、通常、10μg/mL〜50mg/mL程度(複数種類のインヒビターを用いる場合はその合計濃度を指す)とすれば、不活化ALPの分解を望ましく抑制することができる。
ALP標識を用いたEIA自体は周知であり、本発明の精度向上剤は、ALP標識を用いた周知のいずれのEIAにも用いることができる。例えば、EIAを測定形式で分類すれば、サンドイッチ法、競合法、ウエスタンブロット法などがあるが、本発明の精度向上剤は、これらいずれの測定形式のEIAにも用いることができる。また、本発明の精度向上剤は、ALP関連非特異反応の生じ易い検体を用いたEIAにおいて特に効果的であるため、特に限定されないが、例えば血液、血漿、血清、尿、組織液、細胞・組織抽出物、痰、便、鼻腔液等のような生体由来の物質を検体とするEIAに好ましく用いられる。
本発明の精度向上剤は、EIAで測定される標識ALPからのシグナルを正常な強度にする観点から、EIAの反応系内にALP標識体(すなわち、ALP標識抗体若しくは抗原結合性断片又はALP標識抗原など)が添加される時点で該反応系内に存在し、且つ、ALPのシグナルを検出する最終工程まで反応系内に存在することが好ましい。従って、本発明の精度向上剤の使用方法としては、ALP標識体がEIA反応系内に添加される前又は添加と同時に、精度向上剤を単独で反応系内に添加し、その後の各工程においても反応系内に単独で添加して用いる方法の他、EIAで用いられる各種試薬類、例えばALP標識体溶液、検体希釈液、洗浄液、抗体若しくは抗体結合性断片又は抗原の溶液又はこれらの結合固相の希釈(懸濁)液、基質液、反応停止液等と混合して用いる方法が挙げられるが、これらに限定されない。
本発明の精度向上剤の使用量は、用いるALP標識体の量に応じて適宜定めることができ、特に限定されないが、ALP標識体に対し、不活化ALP相当量で10〜5000重量倍程度用いれば、EIAにおける異常値の発生を好適に抑制することができる。
本発明はまた、標識酵素としてALPを用いる新規な酵素免疫測定方法を提供する。本発明の酵素免疫測定方法は、反応系内に、不活化ALP及びプロテアーゼインヒビターを共存させること、又は、プロテアーゼインヒビターの共存下でALPの不活化処理を行なうことを特徴とする方法により製造された不活化ALPを共存させることを特徴とする。本発明のEIAによれば、不活化ALPを使用した従来のEIAよりも異常値の発生が抑制され、より正確な測定が可能となる。
「反応系内」とは、検体と免疫測定試薬との反応が開始され、標識ALPと基質との反応を終了させるまでの工程が行なわれる反応系内をいう。例えば、抗体を固相に結合させたサンドイッチ法による酵素免疫測定方法の場合、固相と検体とを接触させる工程から、ALP標識体上のALPと基質との反応を停止させる工程までの各工程が行なわれる反応系内をいう。不活化ALP等は、反応系内に当初から共存させ続けてもよいし、また、いずれかの反応工程から共存させることとしてもよい。ただし、不活化ALPによるアッセイ精度の向上効果を高める観点からは、EIAの反応系内にALP標識体が添加される時点で該反応系内に共存し、且つ、ALPのシグナルを検出する最終工程まで反応系内に共存し続けることが好ましい。不活化ALP等をEIA反応系内に共存させる方法としては、例えば、不活化ALP等を単独で反応系内に添加させる方法、各種免疫測定試薬類にあらかじめ不活化ALP等を添加させておく方法等が挙げられるが、これらに限定されない。また、上記した本発明の精度向上剤を用いたEIAは、本発明のEIAの1つの態様として、本発明のEIAに包含される。
不活化ALPを共存させる量は、EIAにおいて用いられるALP標識体の量に応じて適宜定めることができ、特に限定されないが、ALP標識体に対し、通常、不活化ALP相当量で10〜5000重量倍程度である。不活化ALPの製造方法は公知であり、また、上記した本発明の製造方法によって得ることもできる。
反応系内に共存させるプロテアーゼインヒビターの例は、上記した本発明の第2の精度向上剤中に含まれるプロテアーゼインヒビターの例と同様であり、1種類ないし複数種類のインヒビターを用いることができる。また、EIAアッセイ系に悪影響を及ぼさないとの観点から、タンパク質性のプロテアーゼインヒビターを用いることが好ましい。プロテアーゼインヒビターを共存させる量は、特に限定されないが、例えば、プロテアーゼインヒビターと不活化ALPとの混合溶液を反応系内に添加することにより共存させる場合、不活化ALP濃度が0.5mg/mL〜100mg/mLの溶液中にプロテインインヒビターが10μg/mL〜50mg/mL程度(複数種類用いる場合にはその合計濃度を指す)で含まれるものを用いればよい。
なお、EIAについては上述したとおりであり、EIAを測定形式で分類すれば、サンドイッチ法、競合法、ウエスタンブロット法などがあるが、本発明のEIAはいずれの測定形式をも包含する。本発明のEIAに供される検体は、通常のEIAに供される検体であればいかなるものであってもよいが、本発明のEIAの異常値抑制効果は、ALP関連非特異反応の生じ易い検体を用いる場合に特に好ましく発揮される。従って、特に限定されないが、本発明のEIAに供される検体としては、上記したALP関連非特異反応の生じ易い検体、すなわち、例えば血液、血漿、血清、尿、組織液、細胞・組織抽出物、痰、便、鼻腔液等のような生体由来の物質が好ましい。
以下、実施例に基づき本発明をより具体的に説明する。ただし、本発明は下記実施例に限定されるものではない。
実施例1、2 不活化ALP及び精度向上剤の調製(プロテアーゼインヒビター使用)
0.1Mクエン酸水溶液(pH 2.0)2.5mLに、100倍濃度のプロテアーゼインヒビターカクテル(一般用、シグマ社製)25μL及びEIAグレードのALP(ウシ小腸由来ALP、分子量14〜15万、オリエンタル酵母工業社製)1.25mgを添加して溶解し、0.5 mg/mLのALP溶液とした。これを4℃で2日間放置することにより、ALPの不活化処理を行なった。上記プロテアーゼインヒビターカクテルは合計で5種類のプロテアーゼインヒビターを含んでおり、不活化処理に供したALP溶液中のプロテアーゼインヒビターの合計濃度は2.25mmol/Lであった。なお、上記プロテアーゼインヒビターカクテルは、ABTSF、アプロチニン、E-64、ロイペプチンヘミ硫酸塩一水和物、エチレンジアミン四酢酸二水素二ナトリウム二水和物を含むものであった。
不活化処理後の溶液を二つに分け、一方はPD-10カラム(GE社製)を用いて0.1Mトリス/HCl(pH 7.2)にバッファー交換後濃縮管などで濃縮し、精度向上剤とした(実施例1)。もう一方は、PD-10カラム(GE社製)を用いて0.1Mトリス/HCl(pH 7.2)にバッファー交換および濃縮した後、最終濃度が2.0mg/mLとなるように大豆トリプシンインヒビターを添加し、プロテアーゼインヒビターを含む精度向上剤として調製した(実施例2)。調製した精度向上剤中の不活化ALP濃度は0.5mg/ml〜100mg/mlであった。
不活化処理後のALPについては、以下の方法により酵素活性を評価した。バッファー交換及び濃縮後の不活化ALP溶液を1.0 mg/mLに調製した。該不活化ALP溶液10μL又は対照として1 ng/mLのALP24(オリエンタル酵母社製)10μLを、AMPPD(商品名)基質液(0.2mg/mL AMPPD(アプライドバイオシステムズ社製))200μLに添加した。37℃で5分間反応させた後、シグナルをフォトンカウンター(ALOKA社製)で測定した。その結果、上記不活化処理後のALPでは、対照のALP24よりも測定されるシグナルが低かった。これにより、上記不活化処理によって、ALPの酵素活性を実質的に消失できたことが確認された。
比較例1 不活化ALP及び精度向上剤の調製(プロテアーゼインヒビター不使用)
実施例1及び2で用いたものと同様のオリエンタル酵母工業社製のALPを0.1Mクエン酸水溶液(pH 2.0)に溶解し、0.5mg/mLのALP溶液とした。これを4℃で2日間放置することにより、ALPの不活化処理を行なった。不活化処理後のALP溶液は、0.1Mトリス/HCl(pH 7.2)にバッファー交換・濃縮し、精度向上剤とした(比較例1)。バッファー交換・濃縮後の不活化ALPについて、実施例1及び2と同様の方法により酵素活性を評価し、ALPの酵素活性を実質的に消失できたことを確認した。
実施例3 精度向上剤の品質評価
実施例1、2及び比較例1で作製した精度向上剤を4℃にて2週間保存し、その後、SDS-PAGEに供した。電気泳動像を図1に示す。下記表1は、上記で調製した各精度向上剤のプロテアーゼインヒビター使用条件をまとめたものである。
Figure 0004830966
ALPは分子量14〜15万の二量体構造をとっており、SDS-PAGEにおいては分子量7万程度の位置に特徴的なメインバンドを確認することができる。図1によると、比較例1の精度向上剤では、分子量7万の位置にバンドが見られず、低分子側にラダー状にバンドが見られ、不活化ALPの分解が進行していることが確認された。実施例1及び2の精度向上剤では、いずれも分子量7万の位置に主バンドが見られ、不活化ALPの分解が抑制されていることが確認された。
実施例4 精度向上剤の偽高値の低減性能
(1) 偽高値を示す検体の同定
検体として、ヒト由来の血清を用いた。抗PIVKA II抗体を結合した0.025%(v/v)磁性粒子(富士レビオ社製)250μLに対し、検体液20μLを加え、37℃で10分間反応させた。ルミパルスシステム洗浄液(富士レビオ社製)で洗浄後、2.5μg/mLのALP50(オリエンタル酵母社製)200μLを加え、37℃で5分間反応させた。反応後、該粒子を洗浄液で洗浄し、該粒子に発光基質を加え、37℃で5分間反応させた後にフォトンカウンターで発光測定した。この時の発光シグナル測定値がバックグラウンド値と比較して有意に大きな値となった検体をALP基因の偽高値を示す検体と同定した。
(2) 精度向上剤の偽高値低減性能の評価
上記の通り同定した偽高値検体を用いて、実施例1、2及び比較例1で調製した精度向上剤の偽高値低減性能の評価を行なった。各精度向上剤は、4℃にて2週間保存した後のものを用いた。
抗PIVKA II抗体を結合した0.025%(v/v)磁性粒子(富士レビオ社製)250μLに対し、上記偽高値検体液20μLを加え、37℃で10分間反応させた。ルミパルスシステム洗浄液(富士レビオ社製)でB/F分離・洗浄後、該粒子に、最終濃度が100μg/mLとなるように希釈した実施例1、2又は比較例1の精度向上剤及び0.5μg/mL ALP標識抗PIVKA II抗体(エーザイ・三光純薬社製)の混合溶液250μLを加え、37℃で10分間反応させた。磁性粒子を洗浄後、該粒子に発光基質AMPPD(パーキンエルマ社製、AMPPD濃度は0.2mg/mL)200μLを加え、37℃で5分間反応させた後にフォトンカウンターで発光を測定した。測定値を表2に示す。表2中、「非添加」は精度向上剤を添加せずに免疫測定を行なった結果を示す。
Figure 0004830966
偽高値を示す検体に対し、従来のALP不活化方法を用いて調製した比較例1の精度向上剤を使用した時の測定値は、精度向上剤非添加時の測定値のおよそ40%程度まで低減された。不活化工程でプロテアーゼインヒビターを用いて調製した実施例1の精度向上剤を使用した場合には、比較例1の精度向上剤使用時よりもさらに偽高値が低減され、より効果が高かった。精度向上剤中にプロテアーゼインヒビターを含有する実施例2の精度向上剤では、偽高値の低減効果はさらに向上していた。
実施例5、比較例2 不活化ALPの調製
ウシ小腸から抽出したALPの不活化を模擬するため、以下の方法により不活化ALPの調製を行ない、得られた不活化ALPの品質を評価した。
(1) ウシ小腸抽出液の調製
ウシ小腸(JA全農フーズ社製)300gの小腸外膜に付いている脂肪を手術用ハサミにより出来るだけ取り除いた。小腸内膜を上に向け、スパーテルの平らな部分で内膜を削り取った。削り取った膜成分に20mMビストリス緩衝液pH7.5、1mM Mg−0.01mM Zn溶液25mLを加え、プロテアーゼインヒビターカクテル(ナカライ社製)を250μL加えた。高速遠心機(クボタ社製)で3,000r.p.m、20分間遠心して、上清に浮いた脂肪成分のみ取り除いた。次に、ポリトロンホモジナイザーで1分間処理し、懸濁液をスターラーで1時間、撹拌した。再び高速遠心機(クボタ社製)で12,000r.p.m、20分間遠心し、上清をビーカーに採取した。飽和硫安溶液を上清と同容量加え、4℃、1時間撹拌した。硫安沈殿成分を回収し、4℃中で20mMビストリス緩衝液pH7.5、1mM Mg−0.01mM Zn溶液で100倍量に調製して2回の透析操作を行ない、ウシ小腸抽出液を得た。該抽出液のタンパク質濃度はBCA(ピアス社製)蛋白定量キットを用いて算出した。
(2) 不活化ALPの調製及び品質評価
(1)で作製したウシ小腸抽出液(タンパク質濃度20mg/mL)50μLにALP24(18mg/mL、EIAグレード、分子量14万、オリエンタル酵母工業社製)を200μL加えた。これを0.1Mクエン酸水溶液pH2.0に添加し、タンパク濃度として0.5mg/mLの溶液に調製した。該溶液にプロテアーゼインヒビターカクテル(ナカライ社製)を25μL添加した溶液(実施例5)及びインヒビターを添加しなかった溶液(比較例2)を60℃で3時間加熱し、不活化処理を行なった。処理後のALPは、PD-10カラム(GE社製)を用いて、20mMビストリス緩衝液pH7.0にバッファー交換をした。バッファー交換後の不活化ALP溶液は、濃縮して不活化ALP濃度を1.0 mg/mLに調製後、実施例1及び2と同様の方法によりALP酵素活性を評価し、ALPの酵素活性を実質的に消失できたことを確認した。バッファー交換後の不活化ALPをSDS−PAGEに供した。電気泳動像を図2に示す。なお、上記プロテアーゼインヒビターカクテルは、セリンプロテアーゼインヒビター、エステラーゼインヒビター、システインプロテアーゼインヒビター、トリプシン様プロテアーゼインヒビター及びメタロプロテアーゼインヒビターを含むものであり、インヒビターの使用濃度は合計で1mmol/Lであった。
不活化時にインヒビターを添加しなかった比較例2では、分子量7万の位置のバンドが薄く、分解が進行していることが確認された。一方、不活化時にインヒビターを添加した実施例5では、分子量7万の位置のバンドがより濃く認められ、分解が抑制されていることが確認された。以上により、本発明の不活化ALPの製造方法によれば、ウシ小腸抽出液中のALPに対しても不活化処理時の分解を抑制できること、すなわち、ウシ小腸から抽出して得たALPを不活化処理する場合にも、本発明の不活化ALPの製造方法が有用であることが示された。
実施例6、比較例3 不活化ALPの保存条件の評価
実施例1〜5で用いたものと同様のオリエンタル酵母工業社製のALP24を0.1Mクエン酸水溶液(pH 2.0)に溶解し、0.5mg/mLのALP溶液とした。これを4℃で2日間放置することにより、ALPの不活化処理を行なった。不活化処理後のALP溶液は、0.1Mトリス/HCl(pH 7.2)にバッファー交換・濃縮した(不活化ALP濃度は0.5mg/ml〜100mg/ml)。バッファー交換・濃縮後の不活化ALPについて、実施例1及び2と同様の方法により酵素活性を評価し、ALPの酵素活性を実質的に消失できたことを確認した。濃縮後の溶液を二つに分け、一方はプロテアーゼインヒビターカクテル(ナカライ社製)を合計最終濃度が1mmol/Lとなるように添加してプロテアーゼインヒビターを含む精度向上剤(実施例6)とし、もう一方はプロテアーゼインヒビターカクテルを非添加の精度向上剤(比較例3)とした。
実施例6 精度向上剤の品質評価
実施例6及び比較例3で作製した精度向上剤を4℃にて2週間保存し、その後、SDS-PAGEに供した。電気泳動像を図3に示す。下記表3は、上記で調製した各精度向上剤のプロテアーゼインヒビター使用条件をまとめたものである。
Figure 0004830966
ALPは分子量14〜15万の二量体構造をとっており、SDS-PAGEにおいては分子量7万程度の位置に特徴的なメインバンドを確認することができる。図3によると、比較例3の精度向上剤では、分子量7万の位置にバンドが見られず、低分子側にラダー状にバンドが見られ、不活化ALPの分解が進行していることが確認された。実施例6の精度向上剤では、分子量7万の位置に主バンドが見られ、不活化ALPの分解が抑制されていることが確認された。
実施例1、2及び比較例1で調製した精度向上剤中に含まれる不活化ALPの泳動像を示す。 実施例5及び比較例2で調製した不活化ALPの泳動像を示す。「ALP」は、非処理のALPの泳動像である。 実施例6及び比較例3で調製した不活化ALPの泳動像を示す。「ALP」は、非処理のALPの泳動像である。

Claims (11)

  1. プロテアーゼインヒビターの共存下でアルカリフォスファターゼの不活化処理を行なう工程を含んでなることを特徴とする、不活化アルカリフォスファターゼの製造方法。
  2. 前記プロテアーゼインヒビターが、セリンプロテアーゼインヒビター、アスパラギン酸プロテアーゼインヒビター、エステラーゼインヒビター、システインプロテアーゼインヒビター、トリプシン様プロテアーゼインヒビター、メタロプロテアーゼインヒビター及びアミノペプチダーゼインヒビターから成る群より選択される少なくとも1種である請求項1記載の方法。
  3. 前記不活化処理が、酸処理、熱処理及びキレート試薬処理から成る群より選択される少なくとも1つである請求項1又は2記載の方法。
  4. 前記不活化処理は、
    (1) アルカリフォスファターゼ濃度が1μg/mL〜100mg/mL、pHが1.0〜5.0、処理温度が0℃〜40℃、処理時間が3分間〜5日間の条件、
    (2) アルカリフォスファターゼ濃度が1μg/mL〜100mg/mL、pHが1.0〜5.0、処理温度が40℃〜80℃、処理時間が3分間〜6時間の条件、又は
    (3) アルカリフォスファターゼ濃度が1μg/mL〜100mg/mL、処理温度が40℃〜80℃、処理時間が3分間〜4時間の条件
    で行なわれる請求項1ないし3のいずれか1項に記載の方法。
  5. 請求項1ないし4のいずれか1項に記載の方法で製造された不活化アルカリフォスファターゼを含む酵素免疫測定用の精度向上剤。
  6. 不活化アルカリフォスファターゼ及びプロテアーゼインヒビターを含む、酵素免疫測定用の精度向上剤。
  7. 前記不活化アルカリフォスファターゼが請求項1ないし4のいずれか1項に記載の方法で製造される請求項6記載の精度向上剤。
  8. 前記プロテアーゼインヒビターが、セリンプロテアーゼインヒビター、アスパラギン酸プロテアーゼインヒビター、エステラーゼインヒビター、システインプロテアーゼインヒビター、トリプシン様プロテアーゼインヒビター、メタロプロテアーゼインヒビター及びアミノペプチダーゼインヒビターから成る群より選択される少なくとも1種である請求項6又は7記載の精度向上剤。
  9. 前記プロテアーゼインヒビターがタンパク質性のプロテアーゼインヒビターである請求項6ないし8のいずれか1項に記載の精度向上剤。
  10. 標識酵素にアルカリフォスファターゼを用いる酵素免疫測定方法において、反応系内に、不活化アルカリフォスファターゼ及びプロテアーゼインヒビターを共存させること、又は、プロテアーゼインヒビターの共存下でアルカリフォスファターゼの不活化処理を行なうことを含む方法により製造された不活化アルカリフォスファターゼを共存させることを特徴とする酵素免疫測定方法。
  11. サンドイッチ法または競合法により行なわれる請求項10記載の方法。
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