以下、この発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1〜図23は第1の実施形態を示し、図1は生体組織の結紮装置のクリップユニット1の斜視図である。クリップユニット1はクリップ2、連結部材3及び締付部材としての押え管4とから構成されている。
クリップ2は、図2(a)〜(c)に示すように、例えばステンレス等の板バネ材等の金属製板材を中央部で折り曲げてループ部2aが形成されている。さらに、ループ部2aの近傍位置で交叉させたのちに、拡開習性を持つ一対のアーム2bをそれぞれ先端部が離間する状態で延出させたものであり、先端部には組織把持部2cが形成されている。
また、クリップ2のアーム2bの交叉部は先端部側より狭幅に形成され、組織把持部2cが互いに対向するようになっている。さらに、アーム2bのループ部2aの近傍には板幅方向に突出する鋸刃状の突起2dが設けられている。すなわち、突起2dはクリップ2を押え管4に引き込む方向に対しては押え管4の内面を摺動するが、引き込む方向と逆方向には押え管4の内面に食い込むように、組織把持部側は鋭角な斜面、ループ部側は鈍角な斜面に形成されている。
また、アーム2bの先端部近傍の両側縁部2eは、後述する導入管の内部を滑りやすいようにC面取りが0.05mm以上またはR面取りが0.05mm以上に形成されている。さらに、組織把持部2cは内側に向かって略90°〜150°に折曲され、組織把持部2cの一方は略三角形の凸部2fに、他方は凸部2fと噛み合う略三角形の凹部2gに形成されている。
ここで、クリップ2の寸法について説明すると、生体組織の把持能力、内視鏡への挿通を考慮して大きさが設定されており、例えば、厚みは0.1mm〜0.5mm、全長は5mm〜10mmである。また、ループ部2aは、長径が1mm〜5mm、短径が1mm〜5mmの円形または楕円形である。さらに、組織把持部2cは長さが1mm程度、幅が1mm〜2mm程度である。また、突起2dは押え管4及び後述する先端管に引き込み可能な幅と厚みに設定されている。
前記連結部材3は、図3(a)(b)に示すように、例えば、液晶ポリマーやナイロンなどの高強度な樹脂材料を射出成形することにより製作され、円柱棒状で、その先端部には突出部3aが設けられている。この突出部3aの基部3bは略円盤状で、基部3bより先端側には軸方向に長い扁平楕円形状の突起部3cが形成されている。そして、この突起部3cはクリップ2のループ部2aが引っ掛けられてクリップ2と連結部材3が係合するようになっている。
さらに、連結部材3の他端部には二股状に分岐され、分岐部に切欠部3dを有して後述する矢尻フックを把持する把持部3eが形成されている。また、連結部材3の中間部は先端側から後端側に向かって破断部としての細径部3f、中径部3g及び太径部3hに形成され、細径部3fは20N〜60Nの破断力量が加わったとき、破断するように寸法が設定されている。さらに、太径部3hは前記押え管4の内周面と密に嵌合する外径に設定され、この外周面の一部には係止突起3iが設けられている。
ここで、連結部材3の寸法について説明すると、全長は10mm程度で、突起部3cは、高さが0.2mm以上、幅が0.2mm以上である。また、把持部3eは内径φが0.6mm程度である。細径部3fの外径φが0.3mm以上で、太径部3hがφ1mm〜φ1.3mmである。さらに、係止突起3iは高さが0.1mm以上に設定されている。
前記押え管4は、クリップ2より柔らかい材質、例えば、PPA(ポリフタルアミド)、PA(ポリアミド)等の適度な弾性を持つ高剛性の樹脂を射出成形することにより製作されている。この押え管4は、クリップ2のアーム2bに嵌着して装着することによりクリップ2のアーム2bを閉脚するものである。
押え管4の先端部にはステンレス等の高強度の金属からなる先端管4aが嵌着されている。この先端管4aの外径は押え管4と同一外径であり、内径は基端部の最小内径部4bから先端部に向かうに従って漸次大径となるように内径傾斜部4cに形成されている。さらに、先端管4aの外径は、後述する導入管の内部を滑りやすいように先端部に向かうに従って漸次小径となるように外径傾斜部4c’に形成されている。
押え管4の外周部には径方向に弾性的に突没自在な一対の突没ウイング4dが設けられ、また、押え管4の後端部には後端傾斜部4eが設けられている。押え管4の内径は先端側が僅かに大径に形成され、後端側の内径との間に内径段差部4fが形成されている。
ここで、押え管4の寸法について説明すると、全長、内外径はクリップ2の大きさによって設定されている。先端管4aの内径傾斜部4cは角度15〜90°で、入口径φ1.6mm程度であり、クリップ2が組織把持するために引き込まれるのに好適な入口径及び角度を持っている。外径傾斜部4c’は角度5〜120°で、湾曲した導入管に面接触するようになっている。突没ウイング4dは略三角形で、最大突出幅4gは2mm以上で、導入管の内径以上に設定されている。
さらに、押え管4の後端傾斜部4eは連結部材3の太径部3hとの間の段差部が0.5mm以下であり、内径段差部4fは高さが0.1mm以上に設定されている。
ここで、クリップユニット1の組立てについて説明すると、図3(a)(b)に示すように、押え管4の後端側から連結部材3を挿入し、連結部材3の突起部3cを押え管4の先端管4aから突出させる。この状態で、突起部3cにクリップ2のループ部2aを引掛けると、クリップ2と連結部材3が係合する。次に、連結部材3を手元側へ引っ張ると、クリップ2のループ部2aが押え管4の先端管4aの内径傾斜部4cに当接する。このとき、連結部材3の係止突起3iが押え管4の後端側端面と係合し、クリップ2、連結部材3、押え管4が係合状態となり、図3(a)(b)に示したような組立てが完了する。
この状態で、連結部材3を手元側に引くと、クリップ2のループ部2aが押え管4の先端管4aから押え管4の内部に引き込まれる。従って、クリップ2のループ部2aが押し潰されるため、アーム2bが開脚する。
連結部材3をさらに手元側へ引っ張ると、図4(a)〜(c)に示すように、クリップ2の突起2dが押え管4の内径段差部4fに当接してクリップ2の押え管4内への引き込みが止まり、アーム2bが最大開脚状態に保持される。
この状態から連結部材3をさらに手元側に引っ張ると、クリップ2の突起2dが押え管4の内径段差部4fを乗り越えてクリップ2が押え管4の内部に引き込まれるため、図5(a)(b)に示すように、クリップ2のアーム2bが閉脚する。
このとき、押え管4はクリップ2より柔らかい適度な弾性を持つ樹脂で形成されているため、クリップ2の突起2dは押え管4の内壁に食い込み、クリップ2が押え管4の内部で軸方向に移動することが拘束され、閉脚状態に維持されるようになっている。クリップ2の突起2dはループ部2aの板幅方向に突出する鋸刃状に形成されているため、クリップ2は締付側(アーム2bの閉脚方向)には軽く動くが、クリップ2は戻り側(アーム2bの開脚方向)には突起2dが押え管4の内壁に食い込んで動くことはない。
次に、図6(a)(b)(c)に示す導入管5及び操作ワイヤ6について説明する。導入管5はステンレス等のバネ性材料を密巻きした可撓性を有する手元側コイル5aと、この手元側コイル5aの先端部に接続されたステンレス等のバネ性材料を密巻きした可撓性を有する先端側コイル5bとから構成されている。
手元側コイル5aは、内視鏡のチャンネルに挿通可能な外径、例えばφ2mm〜φ6mmで、操作ワイヤ6を挿通可能な内径に形成され、その肉厚は0.25〜0.7mm程度である。先端側コイル5bは、内視鏡のチャンネルに挿通可能な外径、例えばφ2mm〜φ6mmで、クリップユニット1や操作ワイヤ6を挿通可能な内径に形成され、その肉厚は0.25〜0.7mm程度である。さらに、先端側コイル5bの先端近傍には薄肉部5cが研削等の後加工によって形成され、長さは1mm〜10mm程度、肉厚は0.2mm〜0.65mm程度である。
先端側コイル5bの先端近傍に薄肉部5cを設けることにより、可撓性が増し、シース先端の回頭性がよくなるため、内視鏡のチャンネルへの挿入性や抜去性が向上する。また、先端側コイル5bは熱処理され略茶色の表面となっているが、熱処理後に研削加工して薄肉部5cを形成している。従って、薄肉部5cは他の部分と異なる金属光沢面となるため、マーキングの効果があり、内視鏡の先端部から突出したときに、その突出量を内視鏡によって確認できる。
先端コイル5bの先端部にはステンレス等の金属からなる先端チップ7が設けられている。この先端チップ7は、内視鏡のチャンネルに挿通可能な外径、例えばφ2mm〜φ6mmで、クリップユニット1や操作ワイヤ6を挿通可能なように内径がφ2mm以上に形成されている。この先端チップ7の外周面には先端に向かって漸次細径となるように角度が5°〜90°のチップ斜面部7aが形成されている。
前記操作ワイヤ6は、ステンレス、NiTi等の適度な弾性を有する金属線の芯ストランドと側ストランドからなる撚り線で形成されている。この操作ワイヤ6は、例えば導入管5の内径がφ2mm程度の場合では、外径がφ1.2mm〜φ1.8mmで、先端側コイル5bの内径とのクリアランスが0.4mm以下であり、さらに外表面にテフロン(登録商標)コートが施されている。操作ワイヤ6を太くして先端側コイル5b及び手元側コイル5aの内径とのクリアランスを0.4mm以下に小さくすることにより、手元側コイル5a、先端側コイル5bのコイルのずれを規制する役割を果たし、手元側コイル5a及び先端側コイル5bの変形、座屈を防止することができる。
また、クリアランスを小さく設定することにより、操作ワイヤ6を先端側に押した時の操作ワイヤ6の撓みを小さくでき、効率良く押し力量を伝えることができる。また、操作ワイヤ6の表面にテフロン(登録商標)コートを被覆して導入管5との滑り抵抗を小さくしている。
操作ワイヤ6の先端部にはステンレス等の金属材料からなる円筒状のワイヤ固定部8aが嵌着され、このワイヤ固定部8aには軸部8cを介して一体に矢尻フック8が設けられている。ワイヤ固定部8aには固定穴8eが設けられ、この固定穴8eにろう材を流し込んで操作ワイヤ6に固定している。
矢尻フック8は、円錐形状で、角度が10°〜120°の矢尻斜面部8bを有しており、矢尻大径部8dは、φ0.8mm〜φ1.2mm程度である。軸部8cの径は、φ0.6mm程度。矢尻フック8には、略垂直な押出し面8fがあり、導入管5からクリップユニットを突出させる時に効率良く力を加えることができる。
図7(a)(b)は、操作ワイヤ6の先端部に設けられる矢尻フック8の固定構造の変形例を示す。操作ワイヤ6は1本の芯ストランド22と複数本の側ストランド23からなる撚り線で形成されている。そして、芯ストランド22の1本を側ストランド23の端面より突出させて突出部24を形成している。
一方、矢尻フック8のワイヤ固定部8aには突出部24が挿入される挿入穴25及びこれと直角に固定穴26が設けられ、突出部24を挿入穴25に挿入した状態で、固定穴26にろう材を流し込むことにより操作ワイヤ6に固定している。本変形例によれば、操作ワイヤ6とワイヤ固定部8aとを同一外径に形成することができ、第1の実施形態のような段差をなくすことができ、導入管5内での操作ワイヤ6の作動をよりスムーズにすることができる。
図8(a)に示すように、矢尻フック8は、前記連結部材3の把持部3eに着脱可能に係合するようになっており、軸部8cの長さ8c’は把持部3eの長さより0.5mm以上長く形成されている。従って、図8(b)で示すように、矢尻フック8が連結部材3の把持部3eに係合した状態で、把持部3eの後端面とワイヤ固定部8aの先端当接面との間に間隔8gが形成されるようになっている。
また、図8(a)に示すように、連結部材3の把持部3eは、矢尻フック8と容易に結合できるように、矢尻斜面部8bの傾斜面に倣って円錐穴3jが形成されている。さらに、把持部3eには円錐穴3jと連続して軸部3dに嵌合する凹溝3kが形成されている。そして、矢尻フック8が把持部3eに係合したとき、切欠部3dに嵌合し、矢尻大径部8dが把持部3eの段部3mに係合するようになっている。
従って、連結部材3の把持部3eに形成された円錐穴3jに矢尻フック8の先端部を押し当て、矢尻フック8を把持部3eに押し込むことにより、把持部3eと矢尻フック8とが結合される。また、矢尻フック8から連結部材3を取り外す際には、図8(a)(b)に示すように、操作ワイヤ6の軸線oに対して連結部材3を切欠部3dの開口方向に沿って矢印方向に回動することにより、矢尻フック8が連結部材3の切欠部3dから抜き取ることができる。このとき、把持部3eの後端面とワイヤ固定部8aの先端当接面との間に間隔8gが形成されているため、把持部3eがワイヤ固定部8aと干渉することはない。
図9〜図11は操作部9を示し、操作部本体10は、先端側の筒状部10aと、この筒状部10aと一体に後端側へ延長する軸状部10b及びこの軸状部10bの基端部に回転自在に設けられた指掛けリング10cとから構成されている。操作部本体10の軸状部10bには軸方向にスリット10dが設けられ、スリット10dには外周面に指掛け凹部11aを有するスライダ11が進退自在に設けられている。
スライダ11の内腔11bには操作部本体10の筒状部10aに挿通された前記操作ワイヤ6の基端部が導入されている。スライダ11の内腔11bの基端側へ偏倚した位置には2分割されたワイヤ固定部材12が設けられている。そして、操作ワイヤ6の基端部6bは2分割されたワイヤ固定部材12によって挟持固定されている。また、このワイヤ固定部材12はスライダ11にビス13によって固定された蓋体14によって固定されている。
従って、操作部本体10に対してスライダ11を進退することによって操作ワイヤ6が導入管5の内部を進退するようになっている。また、スライダ11の内腔11bの先端側は開口しているため、スライダ11を最も前進させたときには操作部本体10の筒状部10aの基端大径部10a’が図10(a)に示したように、嵌合するようになっており、操作部9の長さを短くしつつスライダ11のストロークを大きく取れるようにしている。
なお、スライダ11の内腔11bの基端側へ偏倚した位置にワイヤ固定部材12を設けたが、スライダ11の内腔11bの先端側へ偏倚した位置にワイヤ固定部材12を設けて操作部本体10の基端側と嵌合するようにしても同様の効果がある。
操作部本体10の筒状部10aに挿通されている操作ワイヤ6にはステンレスからなるパイプ15が嵌合されている。また、筒状部10aの先端部には内周拡径部16が形成され、この内周拡径部16には筒状部10aに対して固定されたコイル継ぎ管17が固定されている。
コイル継ぎ管17には折止め管18が連結されている。この折止め管18はステンレス等のバネ性材料あるいはシリコン熱収縮チューブ等の適度な軟性を持つ樹脂材料によって形成され、同じくコイル継ぎ管17に、操作ワイヤ6に被嵌する形で連結されている、導入管5の手元側コイル5aに嵌合されている。折止め管18は折れ易いコイル継ぎ管17と折止め管18の結合部を保護する目的で設けられているが、さらにコイル継ぎ管17と折止めコイル18との結合部を操作部本体10の内部に設けることにより、強度の弱い結合部を操作部本体10で保護することができ、耐性を大幅に向上できる。
図12〜図17はクリップユニット1を収納するクリップケース30を示し、同一寸法、同一形状の上部ケース31と下部ケース32とから構成され、同一の成形用金型で成形できるようになっている。上部ケース31及び下部ケース32は、例えば、ABS,PC,PP,PS,アクリル、シクロオレフィンポリマー等の適度な硬さがあり、かつ透明樹脂を射出成形して製造されている。クリップケース30の幅は10mm〜20mm程度、長さは50mm程度、厚さは5mm程度で、手に持ち易い大きさに形成されている。
上部ケース31及び下部ケース32の長手方向の一端部にクリップユニット収納部33が設けられ、他端部に圧搾部34が設けられている。圧搾部34は20mm×20mm程度で、手指で摘むのに適した大きさに形成されている。そして、クリップユニット収納部33と圧搾部34との連結部33aから上部ケース31と下部ケース32の圧搾部34が互いに離間するように屈曲され、圧搾部34相互間には間隔34aが形成されている。
上部ケース31と下部ケース32におけるクリップユニット収納部33の内面には3個の係合爪35が突設されているとともに、3個の係合孔36が設けられている。そして、上部ケース31の係合爪35は下部ケース32の係合孔36に係合し、下部ケース32の係合爪35は上部ケース31の係合孔36に係合して上部ケース31と下部ケース32が組立てられるようになっている。
上部ケース31及び下部ケース32は、同一形状であるため、その一方の下部ケース32について説明すると、クリップユニット収納部33の内面にはクリップユニット1のクリップ2が開脚状態で収納される略T字状の凹部からなるクリップ収納部37が設けられ、このクリップ収納部37と連続して円弧溝からなる押え管収納部38及び連結部材収納部39が設けられている。押え管収納部38の底部は突没ウイング4dが収納される突没ウイング収納凹部38aを有している。また、連結部材収納部39の底部には把持部3eが矢尻フック8と係合する際に変形できるように把持部逃げ凹部39aを有している。
さらに、圧搾部34の内面には連結部材収納部39と連続して円弧溝からなる導入管挿入部40が設けられ、外面にはφ1mm〜φ3mm程度の半球状の複数個の凹部40bが設けられ、滑り止めを形成している。
また、連結部材収納部39と導入管挿入部40との境界部には先端チップ突き当て部41a及び5°〜90°程度の斜面からなる突没ウイング縮径部41が設けられ、押え管4が突没ウイング縮径部41を通過するときに、突没ウイング4dが内側に押し込まれるようになっている。
さらに、導入管挿入部40は入口42に向かって漸次拡径するように斜面部43が設けられ、入口42はφ3mm以上で、平面視で半円状の円弧面44が形成されている。また、導入管挿入部40の底面には長さ1mm〜5mmの凸部が形成され、この凸部によって導入管5を上下方向から押圧固定する導入管固定部45が形成されている。
また、クリップ収納部37の両側壁には互いに対向して係合凹部46が設けられている。この係合凹部46にはクリップ突き当て部材47の両端に設けられた係合凸部48が着脱自在に係合されている。このクリップ突き当て部材47はクリップ2が前方に移動するのを阻止するために前後に突き当て面47a,47bを有しており、係合凸部48は突き当て面47a,47bに対して偏倚して設けられている。
従って、クリップ収納部37に収納されるクリップ2が小さいサイズの場合には、図16(a)に示すように突き当て面47aがクリップ2に突き当たるようにクリップ突き当て部材47の係合凸部48を係合凹部46に係合するようにすることができる。クリップ収納部37に収納されるクリップ2が中位のサイズの場合には、図16(b)に示すように突き当て面47bがクリップ2に突き当たるようにクリップ突き当て部材47を反転して係合凸部48を係合凹部46に係合するようにすることができる。さらに、クリップ収納部37に収納されるクリップ2が大きいサイズの場合には、図16(c)に示すようにクリップ突き当て部材47を取り外し、クリップ収納部37の前面壁37aにクリップ2が突き当たるようにすることができる。
なお、クリップ突き当て部材47の変形例として、図17に示すようにクリップ収納部37の底部に突起状のクリップ突き当て部材49を設けたものである。この場合、クリップ2の大きさに関係なく、クリップ2のアーム2bの交叉部がクリップ突き当て部材49に突き当たってクリップ2が前方に移動するのを阻止できる。
次に、前述のように構成された生体組織の結紮装置の作用について説明する。
クリップケース30の上部ケース31と下部ケース32との間にはクリップユニット1が収納されており、クリップ2はクリップ収納部37に、押え管4は押え管収納部38に、連結部材3は連結部材収納部39にセットされている。
この状態からクリップユニット1を結紮装置に取り付けるには、まず、図18(a)に示すように、導入管5の先端部をクリップケース30の入口42から導入管挿入部40に挿入し、先端チップ7を先端チップ突き当て部41aに突き当てる。
次に、クリップケース30の圧搾部34を手指で摘むと、圧搾部34が弾性変形し、図18(b)に示すように導入管固定部45によって導入管5を軸方向に移動不能に挟持固定する。
この状態で、操作部9のスライダ11を先端側に移動すると、図18(c)に示すように、操作ワイヤ6を介して矢尻フック8が導入管5の先端部から突き出る。従って、連結部材3の把持部3eに形成された円錐穴3jに矢尻フック8の先端部が当接し、スライダ11をさらに先端側に移動すると、把持部3eが矢尻斜面部8bによって外側に押し広げられる。その後、さらに矢尻フック8を把持部3eに押し込むと、把持部3eが矢尻フック8を通り過ぎたところで、弾性力により閉塞し、図19(a)に示すように、軸部8aは把持部3eに挟持される。この状態のとき、矢尻フック8の矢尻大径部8dが把持部3eの段部3mに係合するため、矢尻フック8は把持部3eから抜けなくなり、クリップユニット1は操作ワイヤ6に結合される。
この状態で、スライダ11を基端側へ移動すると、操作ワイヤ6を介してクリップユニット1が導入管5内に引き込まれるが、このとき、図19(b)に示すように、押え管4の突没ウイング4dが突没ウイング縮径部41の斜面によって内側に押し込まれ、押え管4の内部に引き込まれる。従って、図19(c)に示すように、突没ウイング4dが先端チップ7の端面に引っ掛かることなくクリップユニット1が導入管5内に引き込まれる。
このとき、クリップ2のアーム2bは導入管5の内径に合わせて閉脚される。また、押え管4の突没ウイング4dは導入管5の内面に接触しているため、弾性的に変形して押え管4内に収納された状態を保つ。
クリップユニット1が導入管5に引き込まれた後、クリップケース30の圧搾部34を摘む力量を弱めると、圧搾部34が弾性復元力によって上下方向に広がり、図20に示すように、導入管5をクリップケース30の導入管挿入部40から抜き取ることができる。
次に、図21に示すように、予め体腔内に挿入された内視鏡20のチャンネル21を介して導入管5を体腔内に導入し、内視鏡20により体腔内を観察しながら導入管5の先端を対象部位まで導く。
図22及び図23は生体組織をクリップ2によって結紮する手順を示す。スライダ11を先端側に押し出す操作により、図22(a)に示すように、操作ワイヤ6を介してクリップユニット1が導入管5の内部を前進する。このとき、押え管4の先端管4aの外径は、導入管5の内部を滑り易いように先端部に向かうに従って漸次小径となるように外径傾斜部4c’に形成されているため、導入管5の内部をスムーズに移動する。特に、図21に示したような、内視鏡が強く湾曲している場合に有効である。
スライダ11によって操作ワイヤ6をさらに前進させると、図22(b)に示すように、クリップユニット1が導入管5から突き出る。このとき、押え管4の突没ウイング4dは先端側に向かって下り勾配の傾斜面になっているため、クリップユニット1はスムーズかつ抵抗がなく押し出される。そして、押え管4の突没ウイング4dは導入管5の内面との接触状態から開放され、押え管4の外周方向に突出する。また、図23(a)に示すように、クリップ2の一対のアーム2bは拡開習性を持っているため、導入管5から突き出ると同時にある程度開脚する。
その後、スライダ11を基端側に移動すると、図22(c)に示すように、操作ワイヤ6が基端側へ引き戻され、押え管4の突没ウイング4dの基端側端面が先端チップ7の端面に係合する。
スライダ11をさらに基端側に移動して操作ワイヤ6を引き戻すと、連結部材3を介してクリップ2のループ2aが押え管4内に引き込まれ、さらにクリップ2が開脚する。そして、クリップ2の突起2dが押え管4の内径段差部4fに当接し、図4(c)及び図23(b)に示すようにアーム2bが最大に開脚する。
この状態で、内視鏡20によって観察しながら生体組織の目的部位にクリップ2をアプローチし、クリップ2の組織把持部2cを押し当てる。このとき、操作部9の指掛けリング10cに親指を挿入し、人差指と中指によってスライダ11を挟み込んで操作するが、指掛けリング10cは操作部本体10に対して回転自在である。従って、クリップ2を回転して向きを変更する際には、操作部本体10を回転させるが、指掛けリング10cに親指を挿入したままでも操作部本体10を回転させることができる。
そして、スライダ11をさらに基端側に移動すると、操作ワイヤ6が後退し、連結部材3を介してクリップ2のアーム2bが押え管4内に引き込まれる。従って、クリップ2の突起2dが押え管4の内径段差部4fを乗り越え、図5(a)(b)及び図23(c)に示すようにクリップ2のアーム2bが閉脚される。生体組織をクリップ2のアーム2b間に確実に挟み込んだ状態となる。このとき、押え管4はクリップ2より柔らかい適度な弾性を持つ樹脂で形成されているため、クリップ2の突起2dは押え管4の内壁に食い込み、クリップ2が押え管4の内部で軸方向に移動することが拘束され、閉脚状態に維持される。
スライダ11をさらに基端側に移動して操作ワイヤ6を後退させると、クリップ2の連結部材3の破断部として細径部3fが図23(d)に示されるように破断して、クリップ2は連結部材3との結合が解除され、クリップ2は結紮装置から離脱して生体組織を把持したまま体腔内に留置される。
例えば、体腔内の出血部位の生体組織をクリップ2のアーム2b間で挟み込んで圧迫し、その状態のままクリップ2を留置することによって、出血部位の血管を圧迫し出血を止めることができる。生体組織をクリップ2によって把持した状態で出血が止まるまで数日放置されるが、クリップ2の突起2dは押え管4の内壁に食い込み、クリップ2が押え管4の内部で軸方向に移動することが拘束され、閉脚状態に維持される。
クリップ2の留置後、結紮装置を内視鏡20のチャンネル21内から抜去する。クリップユニットを再装填するために、矢尻フック8から連結部材3を取り外す際には、図8(a)(b)に示すように、操作ワイヤ6の軸線に対して連結部材3を切欠部3dの開口方向に沿って矢印方向に回動することにより、矢尻フック8が連結部材3の切欠部3dから抜き取ることができる。このとき、把持部3eの後端面とワイヤ固定部8aの先端当接面6bとの間に間隔8gが形成されているため、把持部3eがワイヤ固定部8aと干渉することはない。
図24〜図26は第2の実施形態を示し、滅菌されたクリップケース30を収納するピールパック50を示す。図24に示すように、ピールパック50は高密度ポリエチレンにポリエチレンコーティングの台紙に、ポリエチレンとPETの積層フィルムを組み合わせたものであり、矩形袋状で、三角形の切欠き部51を有している。従って、図25に示すように、手指によって切欠き部51から切り裂くことにより、開口部52を形成することができる。
クリップケース30を収納するピールパック50に開口部52を設けた後、クリップユニット1を結紮装置に取り付けるには、まず、図26(a)に示すように、導入管5の先端部をピールパック50の開口部52から導入管5の先端部を挿入し、図26(b)に示すように、導入管5をクリップケース30の導入管挿入入口44から導入管挿入部40に挿入する。そして、ピールパック50の上からクリップケース30の圧搾部34を手指で摘み、前述した図18及び図19の手順によってクリップユニット1を結紮装置に取付けることができる。
図27〜図34は第3の実施形態を示し、第1の実施形態と同一構成部分は同一番号を付して説明を省略する。従来技術の項で述べた特開平8−280701号公報は、操作ワイヤによってクリップを締付リング内に引き込み、クリップのアームを閉脚して生体組織を結紮する。しかし、締付リングは、両端が開口した円筒状の管状体で、この内部に連結部材が挿入された構造である。そして、連結部材の先端部にクリップのループ部を係合し、連結部材を手元側に引き込んでクリップを締付リングの内部に閉脚状態に収納している。
従って、クリップケースの内部や導入管の内部で連結部材が締付リングの軸方向に移動してクリップと連結部材との係合が外れ、クリップが連結部材から分離する虞がある。本実施形態は、前述のような問題を解決したものである。
図27に示すように、クリップユニット1を構成するクリップ2のループ部2aの基端部は他の部分より狭幅に形成され、基端部から連続するループ部2aの両側部には係止部材としてのループ段差部2hが形成されている。また、アーム2bの略中間部には板幅方向に突出する鋸刃状の突起2dが設けられている。すなわち、突起2dはクリップ2を押え管4に引き込む方向に対しては押え管4の内面を摺動するが、引き込む方向と逆方向には押え管4の内面に食い込むようになっている。
ここで、クリップ2の寸法について説明すると、ループ段差部2hは0.1mm以上であり、突起2dは押え管4及び後述する先端管に引き込み可能な幅、1mm以上に設定されている。
前記連結部材3は、図28(a)(b)〜図31(a)〜(d)に示すように、例えば、液晶ポリマーやナイロンなどの高強度な樹脂材料を射出成形することにより製作され、円柱棒状で、その先端部には突起部3kが設けられている。この突起部3kは基部3bから側方へ突出している。この突起部3kの幅wは0.6mm〜1.2mm程度であり、突起部3kにクリップ2のループ部2aを引っ掛けてクリップ2を押え管4内に引き込んだとき、クリップ2が押え管4の内周面に圧接状態で摺動、つまり大きな摺動抵抗でゆっくりとクリップ2が引き込まれるように設計されている。
さらに、連結部材3の太径部3hの相反する面には軸方向に亘って係合部としての平面部3jが形成され、太径部3hは非円形に形成されている。この平面部3jの端末部における太径部3hの外周面の一部には係止突起3iが設けられている。
ここで、連結部材3の寸法について説明すると、全長は10mm程度で、把持部3eは内径φが0.6mmである。細径部3fの外径φが0.3mm以上で、太径部3hがφ1mm〜φ1.3mmである。さらに、係止突起3iは高さが0.1mm以上に設定されている。
前記押え管4は、クリップ2より柔らかい材質、例えば、PPA(ポリフタルアミド)、PA(ポリアミド)等の適度な弾性を持つ高剛性の樹脂を射出成形することにより製作されている。この押え管4は、クリップ2のアーム2bに嵌着して装着することによりクリップ2のアーム2bを閉脚するものであり、先端部にステンレス等の高強度の金属からなる先端管4iが嵌着されている。
この先端管4iの内径は押え管4に被嵌できる内径であり、外径は押え管4の外径と同等程度で、押え管4の先端嵌合部4jよりも短く形成されている。そして、先端管4iが先端嵌合部4jの先端より後方に位置して疑似テーパ部を形成していることにより、先端管4iが湾曲した導入管5の内壁に引っ掛かることなく、スムーズに移動できるようになっている。
押え管4の基端部のおける内径は前記連結部材3の太径部3hと密に嵌合するように後端縮径部4cを有し、段差の高さが0.1mm以上の係止部材としての内径段差部4hが形成されている。そして、前記クリップ2が押え管4内に引き込まれたとき、クリップ2のループ段差部2hと内径段差部4hとが係合(当接)してクリップ2が閉脚位置を越えて押え管4内に引き込まれるのを防止するようになっている。
ここで、クリップユニット1の組立てについて説明すると、図32(a)(b)に示すように、押え管4の基端部側から連結部材3の先端部を挿入し、連結部材3の先端部の突起部3kを押え管4の先端部から突出させる。このとき、連結部材3の太径部3hが押え管4の内部に圧入されるが、太径部3hは平面部3jによって非円形に形成されているため、押え管4がスムーズに略楕円形に変形する。従って、太径部3hに設けられた係止突起3iが押え管4により削れることはない。
この状態で、突起部3kにクリップ2のループ部2aを引掛けると、クリップ2と連結部材3が係合する。次に、クリップ2のループ部2aが押え管4の先端に当接するまで連結部材3を手元側へ引っ張ると、連結部材3の係止突起3iが押え管4の基端側端部から突出した状態となり押え管4の基端側端部に係合する。
前述した第3の実施形態によれば、係止突起3iと押え管4の基端側端部が係合することで、連結部材3の押え管4の内部での軸方向先端側への移動が規制され、かつクリップ2のループ部2aと押え管4の先端側端部が係合することで、連結部材3の押え管4の内部での軸方向基端側への移動が規制されるため、連結部材3が押え管4の内部で不用意に軸方向に移動することはなく、クリップケース30や導入管5の内部でクリップ2が連結部材3から分離するのを防止できる。
なお、第3の実施形態においては、クリップ組立て時に、係止突起3iが削れてしまわないように、連結部材3の軸部に平面部3jを形成したが、連結部材3の軸部を多角形にしてもよく、楕円形状にしても良く、その形状は限定されるものではない。
図33は押え管4の変形例を示し、押え管4の内周部に連結部材3に設けられた係止突起3iに対応してキー溝4jを設けたものである。本変形例によれば、クリップユニット1の組立て時に係止突起3iがキー溝4jに係合して連結部材3が押え管4の内部で軸方向及び周方向の移動を拘束することができる。
図34はクリップ2の変形例を示し、クリップ2のアーム2bの先端部に設けられた組織把持部2cを90°の角度で折曲するとともに、アーム2bの長さを板厚分だけ異ならせ、閉脚時に組織把持部2cが前後に重なるようにしたものである。この変形例によれば、閉脚時におけるアーム2bの閉脚幅を小さくでき、導入管4内をスムーズに移動できる。
図35及び図36は第4の実施形態を示し、第1の実施形態と同一構成部分は同一番号を付して説明を省略する。従来技術の項で述べた特開平8−280701号公報のものは、操作ワイヤによってクリップを締付リング内に引き込むと、クリップのループ部が締付リングの内周面で押圧されてクリップのアームが最大に開脚してからアームを生体組織に押し付けた状態で、クリップを締付リング内にさらに引き込むと、クリップのアームが締付リングの内部に引き込まれてアームが閉脚して生体組織を結紮する。
しかし、締付リングは、両端が開口した円筒状の内面に段差のない管状体であるため、操作ワイヤによってクリップを締付リング内に引き込んでクリップのアームを一旦開脚する際に、クリップのアームの開脚した状態を内視鏡観察下で注意深く見ていないと、最大に開脚したか否かが判り難く、少し力を加えすぎると最大開脚状態を過ぎて閉じてしまい開脚状態で保持することができない。従って、意図した把持量が得られないとともに操作性が悪いという問題がある。本実施形態は、前述のような問題を解決したものである。
図35及び図36に示すように、クリップ2のループ部2aの近傍には板幅方向に突出する鋸刃状の突起2dが設けられている。この突起2dはクリップ2を押え管4に引き込む方向に対しては押え管4の内面を摺動するが、引き込む方向と逆方向には押え管4の内面に食い込むようになっている。
また、押え管4は、クリップ2のアーム2bに嵌着して装着することによりクリップ2のアーム2bを閉脚するものである。押え管4の内径は先端側が僅かに大径に形成され、後端側の内径との間にはクリップ2の突起2dと係止する内径段差部4fが形成されている。
従って、図35(a)(b)に示すように、連結部材3を手元側へ引っ張ると、クリップ2のループ部2aが押え管4の先端管4aから押え管4の内部に引き込まれる。従って、クリップ2のループ部2aが押し潰されるため、アーム2bが開脚する。
連結部材3をさらに手元側へ引っ張ると、図36(a)〜(c)に示すように、クリップ2の突起2dが押え管4の内径段差部4fに当接し、クリップ2の引き込みが一旦停止してアーム2bが最大に開脚した状態になる。
この状態で、内視鏡によって観察しながら生体組織の目的部位にクリップ2をアプローチし、クリップ2の組織把持部2cを押し当てる。このとき、クリップ2の突起2dが押え管4の内径段差部4fに当接し、クリップ2の引き込みが一旦停止してアーム2bが最大に開脚した状態に保持されている。
本実施形態によれば、クリップ2が最大に開脚した状態に保持され、この状態でクリップ2を生体組織に押し当て、クリップ2を閉脚することにより、クリップ2によって生体組織を意図した把持量にすることができる。従って、クリップ2による生体組織の把持量をアップさせることができ、しかもアーム2bが最大に開脚した状態に保持されることから操作性を向上できる。
図37は第5の実施形態を示し、第1の実施形態と同一構成部分は同一番号を付して説明を省略する。従来技術の項で述べた特開平8−280701号公報のものは、クリップ、締付リング及び連結部材のすべてがステンレス材料によって形成されている。また、先願の特願2001−244402号は、クリップのみステンレス材料で、他の部材は合成樹脂材料によって形成されている。
また、特に、締付リングがステンレス材料によって形成されていたり、白色系の樹脂を着色せず、自然色のままで形成したりすると、白色に近い色であり、内視鏡の照明光が照射されると、ハレーションを起こし、視認性がさらに悪くなるという問題がある。
また、着色するときに、体腔内組織の色と略同色に着色した場合には内視鏡視野内で、クリップ、クリップ締付リング及び連結部材の視認性が悪く、クリップを生体組織の目的部位にアプローチし、生体組織を確実に結紮することが困難であるとともに、結紮後、組織の残されているクリップ、押え管を見分けることが困難である。本実施形態は、前述のような問題を解決したものである。
図37に示すように、クリップユニット1を構成する押え管4の外周面は、内視鏡視野内で視認性の良い色に着色されている。視認性の良い色とは、例えば、青色、緑色等の体腔内組織とは異なる色に着色されている。例えば、赤色あるいはそれに近い色は体腔内組織と略同色であり、視認性が悪く、また白色の場合には内視鏡の照明光が照射されるとハレーションを起こしてしまうため、赤色、白色は避けることが望ましい。さらに、連結部材3の外周面もしくは素材全体にも、内視鏡視野内で視認性の良い色に着色されている。
前記実施形態では、連結部材3及び押え管4の両方に内視鏡視野内で視認性の良い色に着色したが、連結部材3と押え管4の少なくとも一方に着色しても良く、連結部材3と押え管4とを異なる色に着色しても良い。なお、連結部材3と押え管4のいずれか一方に着色しても効果はあるが、押え管4はクリップ2とともに体内に留置されるため、押え管4に着色した方が効果的である。
前述のように構成されたクリップユニット1によれば、内視鏡20によって観察しながら生体組織の目的部位にクリップ2をアプローチし、クリップ2の組織把持部2cを押し当てる際、連結部材3及び押え管4は内視鏡視野内で視認性が良い色、例えば青色、緑色に着色されているため、体腔内組織との識別がしやすく、また、内視鏡からの光によりハレーションを起こすことなく、クリップ2を生体組織の目的部位に押し当てることができる。従って、生体組織の目的部位にクリップ2をアプローチし、生体組織を確実に結紮することができる。
図38は第6の実施形態を示し、第1の実施形態と同一構成部分は同一番号を付して説明を省略する。従来技術の項で述べた特開平8−280701号公報は、導入管が可撓性を有するコイルシースからなり、この導入管内を撚り線からなる操作ワイヤが進退自在に挿通されている。そして、手元操作部によって操作ワイヤを前進することにより、連結部材を介してクリップと締付リングを導入管の先端開口から突出させてクリップのアームを開脚し、また操作ワイヤを後退させることにより、クリップを締付リング内に引き込み、クリップのアームを閉脚して生体組織を結紮するようになっている。
しかし、操作ワイヤの外径は、導入管の内部で容易に進退できるように導入管の内径より十分に小さく形成されている。従って、導入管の内径と操作ワイヤの外径との間にクリアランスがあり、手元操作部によって操作ワイヤを進退させたとき、導入管がクリアランスの分だけ座屈し、操作ワイヤの進退をクリップに確実に伝達させることができない場合がある。
内視鏡は、湾曲状態で使用される場合が多く、湾曲部に沿って導入管も湾曲した状態となる。この状態で、クリップの閉脚及び連結部材の破断を繰り返し行うことにより導入管が座屈してしまう。また、クリップを導入管から突出させるとき、操作ワイヤが導入管内で蛇行し、突出量が十分にシース先端まで伝達しないという問題がある。本実施形態は、前述のような問題を解決したものである。
図38に示すように、導入管5の先端コイル5bの先端部にはステンレス等の金属からなる先端チップ7が設けられている。この先端チップ7は、内視鏡のチャンネルに挿通可能な外径、例えばφ2mm〜φ6mmで、クリップユニット1や操作ワイヤ6を挿通可能なように内径がφ2mm程度に形成されている。この先端チップ7の外周面には先端に向かって漸次細径となるように角度が5°〜90°のチップ斜面部7aが形成されている。
前記操作ワイヤ6は、ステンレス、NiTi等の適度な弾性を有する金属線の芯ストランドと側ストランドからなる撚り線で形成されている。この操作ワイヤ6は、先端側コイル5bの内径とのクリアランスCが0.3mm以下になるようにφ1.2mm以上の外径を有しており、さらに外表面にテフロン(登録商標)コートが施されている。このように操作ワイヤ6を太くして先端側コイル5bの内径とのクリアランスCを0.3mm以下に小さくすることにより、導入管5の変形、座屈を防止することができる。
本実施形態によれば、導入管5の内径と操作ワイヤ6の外径のクリアランスCが少ないため、操作ワイヤ6の蛇行が少なくスライダ11を押した力量が効率良く先端側に伝わるという効果がある。
また、連結部材3の破断力量は、20N〜60Nであり、破断時は導入管5にも同様の圧縮力量が印加されるが、操作ワイヤ6とのクリアランスCが0.3mm以下と小さく設定されているため、操作ワイヤ6が補強材として働き、導入管5の座屈を防止できる。
図39〜図42は第7の実施形態を示し、第1の実施形態と同一構成部分は同一番号を付して説明を省略する。従来技術の項で述べた特開平8−280701号公報及びWO 01/10321A1は、クリップ、スネアを操作部の操作によって回転させ、向きを変更できるが、操作ワイヤを回転させる構造であり、大きなトルクを得ることができないとともに、基本的にシース内に挿通されている操作ワイヤを外側から固定し、回転させる必要があり、構造的に複雑である。
また、内視鏡の鉗子孔付近で回転させることがトルクの伝達や操作性を考えると必要になってくるが、前記公報の場合には回転ハンドルの位置が固定されているため、各種長さを持つ内視鏡に対して回転ハンドルの位置を変えた複数の製品を用意する必要があり、製造コストアップやユーザに混乱を与えてしまう。本実施形態は、前述した問題を解決したものである。
図39(a)(b)に示すように、操作部本体10と筒状部10aとの連結部の内周部には環状溝116が設けられている。この環状溝116には導入管5の手元側端部5xと操作部本体10とを繋ぐステンレス材料からなるコイル継ぎ管117の鍔部117aが係合されている。このコイル継ぎ管117は操作部本体10に対して回転自在に設けられている。
操作部本体10の筒状部10aの先端側の内周部には拡径部10bが形成され、この内周部には導入管5に嵌合するシリコンゴム等のOリング118が設けられ、回転操作部と操作部本体10の固定機能を持たしている。
さらに、操作部本体10の筒状部10aより先端側にはクリップ回転操作部119が設けられている。このクリップ回転操作部119は、図40に示すように、導入管5に嵌合されたシリコンゴム等の把持チューブ120と、周方向に複数の把持爪121a及びこれら把持爪121a間に軸方向にすり割溝121bを有し、前記把持チューブ120に嵌合された合成樹脂材料からなる把持管体121と、この把持管体121の先端部に嵌合される第1のグリップ122と、把持管体121の基端部に嵌合され、かつ第1のグリップ122にねじ込まれる第2のグリップ123とから構成されている。
第1のグリップ122には把持管体121の把持爪121aが嵌合されるテーパ内腔122a及び雌ねじ部122bを有し、外周面にはローレット加工が施されている。また、第2のグリップ123の先端部には雌ねじ部122bに螺合される雄ねじ部123aが設けられている。第2のグリップ123の基端部には前記筒状部10aの拡径部10bに挿入可能な円筒部123bが設けられ、この円筒部123bにはOリング118と係合する凹溝123cが設けられている。さらに、第2のグリップ123の外周面にはローレット加工が施されている。
前述のように構成されたクリップ回転操作部119によれば、第1のグリップ122を把持して第2のグリップ123を回転させ、雄ねじ部123aを雌ねじ部122bに対して締付けると、把持管体121は縮径され、把持チューブ120を介して導入管5を把持することができる。従って、導入管5に対してクリップ回転操作部119が固定状態となり、グリップ回転操作部119を回転させると、導入管5及び操作ワイヤ6が回転し、クリップ2の向きを変更させることができる。
また、クリップ回転操作部119は、雄ねじ部123aを雌ねじ部122bに対して緩めると、把持管体121は拡径されるため、導入管5に対してクリップ回転操作部119は軸方向に移動自在となり、クリップ回転操作部119を任意の位置に移動できる。従って、図41に示すように、内視鏡20の鉗子口125から導入管5をチャンネル内に挿通した状態で、クリップ回転操作部119を操作部本体10に移動させたり、図42に示すように、鉗子口125の近傍の導入管5に移動して把持することができる。
特に、クリップ回転操作部119を鉗子口125の近傍の導入管5に把持することにより、トルクの損失がなく、クリップ2の向きを微妙に調整でき、目的部位に容易にアプローチできる。
次に、前述のように構成された生体組織の結紮装置の作用について説明する。第1の実施形態と同様に、予め体腔内に挿入された内視鏡20のチャンネル21を介して導入管5を体腔内に導入し、内視鏡20により体腔内を観察しながら導入管5の先端を対象部位まで導く。そして、スライダ11を先端側に押し出す操作により、操作ワイヤ6を介してクリップユニット1が導入管5の内部を前進する。スライダ11によって操作ワイヤ6をさらに前進させると、クリップユニット1が導入管5をコイルパイプ8から突き出る。このとき、押え管4の突没ウイング4dは先端側に向かって下り勾配の傾斜面になっているため、クリップユニット1はスムーズにかつ抵抗がなく押し出される。そして、押え管4の突没ウイング4dは導入管5の内面との接触状態から開放され、押え管4から外周方向に突出する。また、クリップ2の一対のアーム2bは拡開習性を持っているため、導入管5から突き出ると同時に開脚する。
その後、スライダ11を基端側に移動すると、操作ワイヤ6が基端側へ引き戻され、押え管4の突没ウイング4dの基端側端面が先端チップ7の端面に係合する。
スライダ11をさらに基端側に移動して操作ワイヤ6を引き戻すと、連結部材3を介してクリップ2のループ2aが押え管4内に引き込まれる。そして、クリップ2の突起2dが押え管4の内径段差部4fに当接し、アーム2bが最大に開脚する。
この状態で、内視鏡20によって観察しながら生体組織の目的部位にクリップ2をアプローチし、クリップ2の組織把持部2cを押し当てる。この状態で、突没ウイング4dと先端チップ7は互いに押し付けられているため、大きな摩擦抵抗が発生しており、導入管5が回転すれば、クリップユニット1も追従して回転する。さらに、大きな摩擦抵抗を得るため、先端チップ7の表面を粗面にするか凹凸を設けても良い。
このとき、クリップ2を回転して向きを変更する際には、クリップ回転操作部119を把持して回転させることにより、導入管5及び操作ワイヤ6を回転させクリップ2の向きを微妙に調整でき、目的部位に容易にアプローチできる。
図43及び図44は第8の実施形態を示し、第7の実施形態と同一の目的であり、図43及び図44は、操作部9を示し、操作部本体10は、先端側の筒状部10aと、この筒状部10aと一体に後端側へ延長する軸状部10b及びこの軸状部10bの基端部に回転自在に設けられた指掛けリング10cとから構成されている。操作部本体10の軸状部10bには軸方向に亘ってスリット10dが設けられ、スリット10dには外周面に指掛け凹部11aを有するスライダ11が進退自在に嵌合されている。
スライダ11の内腔11bには操作部本体10の軸状部10aに挿通された前記操作ワイヤ6の基端部が導入されている。スライダ11の内腔11bの基端側へ偏倚した位置には2分割されたワイヤ固定部材12が設けられている。そして、操作ワイヤ6の基端部6bは2分割されたワイヤ固定部材12によって挟持固定されている。また、このワイヤ固定部材12はスライダ11にビス13によって固定された蓋体14によって固定されている。
操作部本体10の筒状部10aに挿通されている操作ワイヤ6にはステンレスからなるパイプ15が嵌合されている。また、筒状部10aの先端部には同心的に嵌合凹部10bが設けられ、この嵌合凹部10bには回転グリップ126の嵌合凸部126aが回転自在に嵌合されている。嵌合凸部126aの外周面には環状溝126bが設けられ、この環状溝126bには筒状部10aの外周から径方向に突設された固定ピン127が係合されている。従って、筒状部10aに対して回転グリップ126が回転自在に嵌合されている。さらに、回転グリップ126の外周面にはローレット加工が施されている。
回転グリップ126の先端部には内周拡径部128が形成され、この内周拡径部128には回転グリップ126に対して固定されたコイル継ぎ管129が固定されている。コイル継ぎ管129は導入管5の手元側コイル5aと連結されている。
図45及び図46は第9の実施形態を示し、第7の実施形態と同一の目的であり、本実施形態は、操作部本体10の筒状部10aの先端部に導入管5の基端部が固定され、導入管5に挿通された操作ワイヤ6はスライダ11まで延長されている。
スライダ11の内腔11bには2分割されたワイヤ固定部材12が設けられている。そして、操作ワイヤ6の基端部6bに一体に結合された扁平状のワイヤ受け部材6cは2分割されたワイヤ固定部材12によって挟持固定されている。また、このワイヤ固定部材12はスライダ11にビス13によって固定された蓋体14によって固定されている。
従って、操作部本体10を回転することにより、導入管5及び操作ワイヤ6が一体的に回転できるため、導入管5単体で回転させるよりも、より大きなトルクが発生できるし、クリップ2の向きを微妙に調整でき、目的部位に容易にアプローチできる。
図47は第10の実施形態を示し、第7の実施形態と同一の目的であり、図47に示す、内視鏡130の挿入部に内蔵されたチャンネル131の基端部は、操作部本体132の内部で分岐管133に接続され、分岐管133の一方は操作部本体132の押しボタン134に連通し、他方は鉗子口135に連通している。そして、分岐管133の分岐部133aと鉗子口135との間の接続管136は内径が太く形成されている。
そこで、導入管5の基端部に接続管137を介して前記接続管136に挿入可能な太径導入管138を接続し、この太径導入管138と操作部本体132とを接続したものである。
本実施形態によれば、操作部本体132を回転することにより、太径導入管138を介して大きなトルクで導入管5に回転を伝達させることができ、導入管5及び操作ワイヤ6が一体的に回転し、クリップ2の向きを微妙に調整でき、目的部位に容易にアプローチできる。
前述した第7〜第10の実施形態によれば、導入管の手元操作部側に設けられたクリップ回転操作部によって導入管を回転して前記クリップの向きを変更することにより、クリップを回転させて目的部位にアプローチできる。また操作ワイヤを回転させる場合に比較し、構造が簡単であるとともに、より大きなトルクを発生させることができるという効果がある。
図48及び図49は第11の実施形態を示し、従来項で述べた特願2001−244402号のクリップケースは、透明な合成樹脂材料によって成形されており、クリップユニットは、クリップケースに格納された状態で滅菌される。そして、クリップケースに格納された状態で、手指に触れることなく導入管に挿通された操作ワイヤと接続できるようになっている。
しかし、前述したクリップケースは、導入管をクリップケースに設けられた弾性押圧部の弾性復元力によって押える構造であり、導入管の保持力が不十分である。従って、操作ワイヤを前進させて矢尻フックを連結部材に弾性的に係合する際の反力によって導入管がクリップケースの導入管挿入部から抜ける方向に移動してしまい、矢尻フックと連結部材との係合がワンタッチで行えないという問題がある。
また、弾性押圧部の弾性復元力を大きくすると、導入管の挿入力量も大きくなり、繰り返しクリップの取付けを行うことで導入管に過度の負荷がかかり、導入管の座屈を誘発することがあった。本実施形態は前述のような問題を解決したものである。
図48(a)〜(c)及び図49は、クリップユニット1を収納するクリップケース230を示し、同一寸法、同一形状の上部ケース231と下部ケース232とから平面視で略台形状に構成され、同一の成形用金型で成形できるようになっている。上部ケース231及び下部ケース232は、例えば、ABS,PC,PP,PS,アクリル、シクロオレフィンポリマー等の適度な硬さがあり、かつ透明樹脂を射出成形して製造されている。クリップケース230の幅は10mm〜20mm程度、長さは50mm程度、厚さは5mm程度で、手に持ち易い大きさに形成されている。
上部ケース231及び下部ケース232の長手方向の一端部にクリップユニット収納部233が設けられ、他端部に圧搾部234が設けられている。クリップユニット収納部233に対応する部分には台形状の開口部からなるクリップ確認窓235が設けられている。また、圧搾部234は手指でつかむのに適した大きさの台形状で、一辺部に連結部234aを残して残りの三辺部には連続したスリット234bが形成されている。そして、連結部234aから上部ケース231と下部ケース232の圧搾部234が互いに離間するように屈曲され、圧搾部234相互間には間隔234cが設けられている。
従って、上部ケース231と下部ケース232の圧搾部234を手指によって摘むことにより、圧搾部234が連結部234aを支点として弾性変形するようになっている。
上部ケース231及び下部ケース232は、同一形状であるため、その一方の下部ケース232について説明すると、クリップユニット収納部233の内面にはクリップユニット1のクリップ2が開脚状態で収納されるクリップ収納部237が設けられ、このクリップ収納部237と連続して円弧溝からなる押え管収納部238及び連結部材収納部239が設けられている。押え管収納部238の底部は突没ウイング4dが収納される突没ウイング収納凹部238aを有している。
さらに、圧搾部234の内面には連結部材収納部239と連続して円弧溝からなる導入管挿入部240が設けられ、外面には複数の凸条240bが設けられ、滑り止めを形成している。また、導入管挿入部240の内方端部には圧搾部234の内面に突出するストッパ234dが設けられ、導入管挿入部240の外方端部には挿入孔242が設けられている。この挿入孔242は挿入入口に向かって拡径するテーパ部242aを有しており、導入管挿入部240の位置が一目で判り、しかも導入管5が挿入孔242に挿入案内されるようになっている。
このように構成されたクリップケース230は、図49に示すように、中央部が肉厚で略円弧状に形成され、両端部が肉薄に形成されている。従って、クリップケース230をテーブル等に載置したとき、クリップケース230の両端部とテーブルとの間に間隔Hが1mm以上となり、クリップケース230を手指で摘み上げ易い形状に形成されている。
次に、前述のように構成されたクリップケースの作用について説明する。クリップケース230の上部ケース231と下部ケース232との間にはクリップユニット1が収納されており、クリップ2はクリップ収納部237に、押え管4は押え管収納部238に、連結部材3は連結部材収納部239にセットされている。
この状態からクリップユニット1を結紮装置に取り付けるには、まず、図48(b)に示すように、クリップケース230の圧搾部234を手指によって摘んで間隔をある程度狭める。この状態で、導入管5の先端部をクリップケース230の挿入孔242から導入管挿入部240に挿入し、先端チップ7をストッパ241に突き当てる。
次に、圧搾部234を手指で摘むと、圧搾部234が弾性変形し、図48(c)に示すように圧搾部234の内面によって導入管5を軸方向に移動不能に挟持固定する。
この状態で、操作部9のスライダ11を先端側に移動すると、操作ワイヤ6を介して矢尻フック8が導入管5の先端部から突き出る。従って、連結部材3の把持部3eに形成された円錐穴3jに矢尻フック8の先端部が当接し、スライダ11をさらに先端側に移動すると、把持部3eが矢尻斜面部8bによって外側に押し広げられる。その後、さらに矢尻フック8を把持部3eに押し込むと、把持部3eが矢尻フック8を通り過ぎたところで、弾性力により閉塞し、軸部8cは把持部3eに挟持される。この状態のとき、矢尻フック8の矢尻大径部8dが把持部3eの段部3mに係合するため、矢尻フック8は把持部3eから抜けなくなり、クリップユニット1は操作ワイヤ6に結合される。この状態で、スライダ11を基端側へ移動すると、操作ワイヤ6を介してクリップユニット1が導入管5内に引き込まれる。
このとき、クリップ2のアーム2bは導入管5の内径に合わせて閉脚される。また、押え管4の突没ウイング4dは導入管5の内面に接触しているため、弾性的に変形して押え管4内に収納された状態を保つ。
クリップユニット1が導入管5に引き込まれた後、クリップケース230の圧搾部234を摘む力量を弱めると、圧搾部234が弾性復元力によって上下方向に広がり、導入管5をクリップケース230の導入管挿入部240から抜取ることができる。
図50は第12の実施形態を示し、(a)は平面図、(b)はT−T線に沿う断面図であり、第11の実施形態と同一構成部分は同一番号を付して説明を省略する。
本実施形態のクリップケース250を構成する上部ケース251と下部ケース252は梨地状で、半透明に形成されている。さらに、圧搾部253は導入管挿入部240の挿入方向に対して直角方向に設けられている。圧搾部253は手指で摘むのに適した大きさの矩形状で、一辺部に連結部253aを残して残りの三辺部には連続したスリット253bが形成されている。そして、連結部253aから上部ケース251と下部ケース222の圧搾部253が互いに離間するように屈曲され、圧搾部253相互間には間隔253cが設けられている。
従って、上部ケース251と下部ケース252の圧搾部253を手指によって摘むことにより、圧搾部253が連結部253aを支点として弾性変形するようになっている。すなわち、圧搾部253を手指で摘むと、圧搾部253が弾性変形し、圧搾部253の内面によって導入管5を軸方向に移動不能に挟持固定することができる。
図51は第13の実施形態を示し、(a)は平面図、(b)は側面図である。本実施形態のクリップケース60を構成する上部ケース61と下部ケース62は、例えば、ABS,PC,PP,PS,アクリル、シクロオレフィンポリマー等の適度な硬さがあり、かつ透明樹脂を射出成形して製造されている。
クリップケース60の一端部にはクリップユニット収納部63が設けられ、他端部には圧搾部64が設けられている。クリップユニット収納部63は円環状のフレーム65を有しており、このフレーム65にはレンズからなるクリップ確認窓66が設けられている。そして、クリップユニット収納部63に収納されたクリップユニット1を拡大して観察できるようになっている。
前記圧搾部64は平面視で略台形状をなし、クリップユニット収納部63との連結部67から上部ケース61と下部ケース62の圧搾部64が互いに離間するように屈曲され、圧搾部64相互間には間隔64aが設けられている。
従って、上部ケース61と下部ケース62の圧搾部64を手指によって摘むことにより、圧搾部64が連結部67を支点として弾性変形するようになっている。圧搾部64を手指で摘むと、圧搾部64が弾性変形し、圧搾部64の内面によって導入管5を軸方向に移動不能に挟持固定することができる。
前記第11〜第13の実施形態によれば、操作部材を挿通した導入管をケース本体の挿入部に挿入した後、手指によって圧搾部を圧搾すると、導入管がケース本体に固定される。この状態で、操作部材を前進させると、操作部材の先端部がケース本体の内部に格納されたクリップユニットの連結部材と係合して操作部材とクリップユニットが連結され、操作部材とクリップユニットとをワンタッチで接続することができる。
前記各実施の形態によれば、次のような構成が得られる。
(付記1)生体組織を把持するアームを有するクリップと、このクリップに嵌着して装着することによりクリップのアームを閉脚する締付部材と、この締付部材内に挿入可能で、前記クリップと係合する連結部材と、この連結部材に設けられ前記締付部材に嵌着した状態で、締付部材と連結部材とを直接係合する係合部とを具備することを特徴とする生体組織の結紮装置。
(付記2)前記係合部は、前記連結部材の軸部に形成した非円形部であることを特徴とする付記1記載の生体組織の結紮装置。
付記1,2によれば、クリップユニットの組立て時に締付部材の内部に連結部材を挿入し、この連結部材の先端部にクリップを係合した状態で、連結部材を締付部材内に引き込むと、クリップが締付部材内に収納されるとともに、締付部材と連結部材が直接係合し、連結部材が締付部材の内部で不用意に軸方向に移動することはなく、クリップケースや導入管の内部でクリップが連結部材から分離するのを防止できる。
(付記3)生体組織を把持するアームを有するクリップと、このクリップに嵌着して装着することによりクリップのアームを閉脚する締付部材と、この締付部材内に挿入可能で、前記クリップと係合する連結部材と、前記クリップと前記締付部材の両方に設けられ直接係合することによりクリップのアームを開脚状態に保持する係止部とを具備することを特徴とする生体組織の結紮装置。
(付記4)前記係止部は、前記クリップに設けられた突起と前記締付部材に設けられた内径段差部であることを特徴とする付記3記載の生体組織の結紮装置。
付記3,4によれば、操作部材によってクリップを締付部材内に引き込むと、クリップのアームが最大に開脚したとき、クリップの係止部と締付部材の係止部とが係止し、クリップが最大に開脚した状態に保持され、この状態でクリップを生体組織に押し当て、クリップを閉脚することにより、クリップによって生体組織を把持することができる。
(付記5)生体組織を把持するアームを有するクリップと、このクリップに嵌着して装着することにより該クリップのアームを閉脚する締付部材とからなり、経内視鏡的に体腔内に挿入し、生体組織をクリップによって結紮する生体組織の結紮装置において、前記締付部材を内視鏡視野内で視認性の良い色に着色したことを特徴とする生体組織の結紮装置。
(付記6)前記締付部材を体腔内組織とは異なる色に着色したことを特徴とする付記5記載の生体組織の結紮装置。
(付記7)前記締付部材を青色もしくは緑色に着色したことを特徴とする付記5記載の生体組織の結紮装置。
(付記8)前記締付部材を白色以外の色に着色したことを特徴とする付記5記載の生体組織の結紮装置。
(付記9)生体組織を把持するアームを有するクリップと、このクリップに嵌着して装着することにより該クリップのアームを閉脚する締付部材と、前記クリップと連結される連結部材とからなり、経内視鏡的に体腔内に挿入し、生体組織をクリップによって結紮する生体組織の結紮装置において、前記連結部材を内視鏡視野内で視認性の良い色に着色したことを特徴とする生体組織の結紮装置。
(付記10)前記連結部材を体腔内組織とは異なる色に着色したことを特徴とする付記9記載の生体組織の結紮装置。
(付記11)前記連結部材を青色もしくは緑色に着色したことを特徴とする付記9記載の生体組織の結紮装置。
(付記12)前記連結部材を白色以外の色に着色したことを特徴とする付記9記載の生体組織の結紮装置。
付記5〜付記12によれば、締付部材、連結部材が体腔内組織とは異なる色に着色されているため、内視鏡視野内における締付部材、連結部材の視認性が向上する。従って、生体組織の目的部位にクリップをアプローチし、生体組織を確実に結紮することができる。
(付記13)生体組織を把持するアームを有するクリップと、このクリップに嵌着して装着することによりクリップのアームを閉脚する締付部材と、この締付部材内に挿入可能で、前記クリップと係合する連結部材と、前記クリップと締付部材とを収納可能な導入管と、前記連結部材に係合され前記導入管内に進退自在に挿通される操作部材とからなり、前記導入管の内径と操作部材の外径とのクリアランスを0.3mm以下としたことを特徴とする生体組織の結紮装置。
(付記14)前記導入管はバネ性材料を密巻きした可撓性を有するコイルシースであることを特徴とする付記13記載の生体組織の結紮装置。
(付記15)前記操作部材は、撚り線からなる操作ワイヤであることを特徴とする付記13記載の生体組織の結紮装置。
付記13〜付記15によれば、導入管の内径と操作部材の外径とのクリアランスが極僅かであるため、操作部材の進退操作時に導入管が座屈することはなく、操作部材の進退動作をクリップに確実に伝達することができる。
(付記16)生体組織を把持するアームを有するクリップと、このクリップに嵌着して装着することによりクリップのアームを閉脚する締付部材と、この締付部材内に挿入可能で、前記クリップと係合する連結部材と、前記クリップと締付部材とを収納可能な導入管と、この導入管内に進退自在に挿通された操作部材と、前記導入管の手元操作部側に設けられ導入管を回転して前記クリップの向きを変更するクリップ回転操作部とを具備することを特徴とする生体組織の結紮装置。
(付記17)前記クリップ回転操作部は、導入管の軸方向に移動可能であることを特徴とする付記16記載の生体組織の結紮装置。
請求項16,17によれば、クリップ回転操作部を回転することにより、導入管及び操作部材が回転し、クリップを回転させて目的部位にアプローチできる。
(付記18)生体組織を把持するアームを有するクリップと、このクリップに嵌着して装着することにより該クリップのアームを閉脚する締付部材と、この締付部材内に挿入可能で、前記クリップと係合する連結部材とからなるクリップユニットを格納する生体組織結紮用クリップのケースであって、クリップユニット収納部を有するケース本体と、このケース本体に設けられ前記連結部材と接続される導入管を挿入する挿入部と、前記ケース本体の一部に設けられ前記挿入部に挿入された導入管を圧搾することで導入管を固定する圧搾部とを具備したことを特徴とする生体組織結紮用クリップのケース。
(付記19)前記ケース本体は、中央部の厚さが両端部より厚い形状であることを特徴とする付記18記載の生体組織結紮用クリップのケース。
(付記20)前記挿入部は、入口側が拡径したテーパ形状の挿入孔を有していることを特徴とする付記18記載の生体組織結紮用クリップのケース。
(付記21)前記ケース本体は、その一部に内部に格納されたクリップを確認できる開口窓を有していることを特徴とする付記18記載の生体組織結紮用クリップのケース。
付記18〜21によれば、操作部材を挿通した導入管をケース本体の挿入部に挿入した後、手指によって圧搾部を圧搾すると、導入管がケース本体に固定される。この状態で、操作部材を前進させると、操作部材の先端部がケース本体の内部に格納されたクリップユニットの連結部材と係合して操作部材とクリップユニットが連結される。