以下に添付図面を参照して、この発明にかかる方位補正装置、方位補正方法、方位補正プログラムおよびコンピュータに読み取り可能な記録媒体の好適な実施の形態を詳細に説明する。
(実施の形態)
(方位補正装置の機能的構成)
図3を用いて、この発明の実施の形態にかかる方位補正装置の機能的構成について説明する。図3は、この発明の実施の形態にかかる方位補正装置の機能的構成の一例を示すブロック図である。
図3において、方位補正装置300は、検知部301と、検出部302と、算出部303と、比較部304と、補正部307と、から構成されている。
検知部301は、移動体が直進していることを検知する。また、検知部301は、たとえば、周回移動における直進を検知することとしてもよい。具体的には、たとえば、直進の検知は、図示しないセンサによって、移動体が一定区間移動している間の方位変化が所定値以下の出力であった場合に直進を検知することとしてもよい。
また、検知部301は、さらに、移動体の現在位置に関する情報の電波の受信状態を示すパラメータによって、移動体が屋内駐車場の内に位置していることを検知してもよい。受信状態は、たとえば、移動体周囲の電波受信を妨害する構造物の有無などに起因して、電波の受信がしやすいか否かなど受信に関する状態である。すなわち、屋内駐車場は、たとえば、立体駐車場の内部や地下駐車場など電波受信を妨害する構造物に囲まれた駐車場などである。
具体的には、たとえば、屋内駐車場内の検知は、電波の受信強度(レベル)、GPS衛星に関する仰角および捕捉衛星数のそれ自体にくわえて、所定時間における電波の受信強度(レベル)、GPS衛星に関する仰角および捕捉衛星数の変化量を用いて検知することとしてもよい。また、検知部301は、移動体に設けられた方位センサや加速度センサを用いてスロープの上がり走行、または下り走行の検知によって移動体が屋内駐車場内に位置していることを検知してもよく、さらには、屋内駐車場の入口や出口に設置された駐車料金システムなどの設備の通過を検知して屋内駐車場内に位置していることを検知してもよい。また、地図情報の一部である道路データに屋内駐車場の所在位置を対応つけてデータとして紐つけておき、移動体の現在位置がその所在位置に到達したことを検知することによって、屋内駐車場内に位置していることを検知してもよい。
検出部302は、検知部301によって直進を検知した場合、移動体の移動方向に関する移動方位を検出する。また、検出部302は、検知部301によって屋内駐車場の内で移動体の直進を検知した場合、移動方位を検出することとしてもよい。
算出部303は、検知部301によって直進を検知した場合、移動体の周辺道路の敷設方向に関する道路方位を算出する。算出部303は、たとえば、移動方位と道路方位との方位差が所定の範囲内となる周辺道路の道路方位を算出することとしてもよい。また、算出部303は、たとえば、移動体と周辺道路との距離が最も近い周辺道路の道路方位を算出することとしてもよい。換言すれば、算出部303は、たとえば、移動方位と平行に近く、かつ、より近接する周辺道路の道路方位を算出する構成でもよい。
さらに、算出部303は、検知部301によって屋内駐車場の内で前記移動体の直進を検知した場合、道路方位を算出することとしてもよい。
比較部304は、特定部305と、方位差比較部306と、から構成されており、検出部302によって検出された移動方位と、算出部303によって算出された道路方位とを比較する。
具体的には、たとえば、比較部304は、特定部305によって、移動方位と、道路方位とを比較することによって、移動方位と、道路方位との間の初期方位差を特定する。そして、比較部304は、方位差比較部306によって、特定部305によって特定された初期方位差と、周回移動における直進の際の移動方位と道路方位との間の方位差(以下、「周回方位差」という)とを比較することとしてもよい。
補正部307は、比較部304によって比較された結果に基づいて、移動方位を補正する。具体的には、たとえば、補正部307は、比較部304によって比較された結果、移動方位と、道路方位との方位差が所定のしきい値以下だった場合、移動方位を道路方位となるように補正することとしてもよい。
また、補正部307は、たとえば、方位差比較部306によって比較された結果、初期方位差と、周回方位差との差分が、所定の補正範囲内であった場合、周回方位差が初期方位差となるように、移動方位を補正する構成でもよい。
(方位補正装置の処理の内容)
つぎに、図4を用いて、この発明の実施の形態にかかる方位補正装置300の処理の内容について説明する。図4は、この発明の実施の形態にかかる方位補正装置の処理の内容を示すフローチャートである。図4のフローチャートにおいて、まず、検知部301によって、移動体の直進を検知したか否かを判断する(ステップS401)。直進の検知は、たとえば、移動体が屋内駐車場の内に位置している場合に、移動体が一定区間移動している間の方位変化が所定値以下の出力であることを検知する構成でもよい。
ステップS401において、直進を検知するのを待って、検知した場合(ステップS401:Yes)は、検出部302によって、移動体の移動方向に関する移動方位を検出する(ステップS402)。
つづいて、算出部303によって、移動体の周辺道路の敷設方向に関する道路方位を算出する(ステップS403)。
つぎに、比較部304によって、ステップS402において検出された移動方位と、ステップS403において算出された道路方位とを比較する(ステップS404)。
そして、補正部307によって、ステップS404において比較された結果に基づいて、移動体の移動に関する移動方位を補正して(ステップS405)、一連の処理を終了する。
以上説明したように、この発明によれば、移動体の直進を検知して、周辺道路の道路方位と移動方位との比較結果に応じて移動方位を補正できるため、方位誤差の蓄積を防ぐとともに、方位補正の最適化を図ることができる。特に、複雑な形状の道路を周回移動している場合であっても、周回移動のズレ量を取得しなくても容易に方位補正をおこなうことができる。
以下に、この発明の実施例について説明する。本実施例では、たとえば、車両(四輪車、二輪車を含む)などの車両に搭載されるナビゲーション装置によって、この発明の方位補正装置を実施した場合の一例について説明する。
(ナビゲーション装置のハードウェア構成)
図5を用いて、この発明の実施例にかかるナビゲーション装置のハードウェア構成について説明する。図5は、この発明の実施例にかかるナビゲーション装置のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
図5において、ナビゲーション装置500は、車両などに搭載されており、ナビゲーション制御部501と、ユーザ操作部502と、表示部503と、位置取得部504と、記録媒体505と、記録媒体デコード部506と、音声出力部507と、通信部508と、経路探索部509と、経路誘導部510と、音声生成部511と、スピーカ512と、から構成されている。
ナビゲーション制御部501は、ナビゲーション装置500全体を制御する。ナビゲーション制御部501は、たとえば所定の演算処理を実行するCPU(Central Processing Unit)や、各種制御プログラムを格納するROM(Read Only Memory)、および、CPUのワークエリアとして機能するRAM(Random Access Memory)などによって構成されるマイクロコンピュータなどによって実現することができる。
ナビゲーション制御部501は、経路誘導に際し、位置取得部504によって取得された現在位置に関する情報と、記録媒体505から記録媒体デコード部506を経由して得られた地図情報に基づいて、地図上のどの位置を走行しているかを算出し、算出結果を表示部503へ出力する。また、ナビゲーション制御部501は、経路誘導に際し、経路探索部509、経路誘導部510、音声生成部511との間で経路誘導に関する情報の入出力をおこない、その結果得られる情報を表示部503および音声出力部507へ出力する。
また、ナビゲーション制御部501は、方位補正部513を含み構成されている。方位補正部513は、地図情報や、後述する位置取得部504を構成するGPSレシーバの出力および各種センサの出力に基づいて、車両の移動する移動方位を補正する。移動方位は、たとえば、位置取得部504におけるジャイロセンサの示す移動方位(以下、「センサ方位」ともいう)などである。
詳細は図6〜図9を用いて説明するが、センサ方位の補正は、たとえば、位置取得部504によって車両の直進を検知した場合に算出される、車両の周辺道路の道路方位と、センサ方位とを比較した結果に基づいて、センサ方位を補正することとしてもよい。
ここで、直進の検知は、たとえば、位置取得部504によって検出された車両の現在位置を用いて、車両の所定時間の間の移動に対して、方位変化をしていないとみなされた場合などである。また、道路方位は、たとえば、車両の周辺道路の敷設方向に関する方位であり、センサ方位と道路方位との方位差が所定の範囲内となる周辺道路や車両との距離が最も近い周辺道路の方位をセンサ方位の補正に用いる道路方位とする構成でもよい。
また、道路方位と、センサ方位との比較は、たとえば、センサ方位と、道路方位との間の初期方位差を特定し、その初期方位差と、車両の周回移動における直進の際のセンサ方位と道路方位との間の方位差(以下、「周回方位差」という)とを比較することとしてもよい。
さらに、方位補正部513は、位置取得部504によって取得されるGPS衛星からの電波の受信強度(以下、GPSシグナルレベルとする)に基づいて、車両が位置する駐車場の種別を判定してもよい。駐車場の種別は、たとえば、立体駐車場の内部や地下駐車場など電波受信を妨害する構造物に囲まれた駐車場か否かを判定することとしてもよく、GPSシグナルレベルの変化量や、GPS衛星からGPSシグナルレベルについてGPS衛星の仰角や捕捉衛星数などに重みを付けて点数化することで判定してもよい。
また、ナビゲーション制御部501は、このように補正されたセンサ方位を用いて、駐車場内などの車両の現在位置をマッチング(マップマッチング処理)させて車両の現在位置を設定することとしてもよい。
ユーザ操作部502は、ユーザがリモコンやスイッチ、タッチパネルなどの操作手段を操作して入力した情報を取得してナビゲーション制御部501に対して出力する。
表示部503は、たとえば、CRT(Cathode Ray Tube)、TFT液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ、プラズマディスプレイなどを含む。表示部503は、具体的には、たとえば、映像I/F(インターフェース)や映像I/Fに接続された映像表示用のディスプレイ装置によって構成することができる。
映像I/Fは、具体的には、たとえば、ディスプレイ装置全体の制御をおこなうグラフィックコントローラと、即時表示可能な画像情報を一時的に記憶するVRAM(Video RAM)などのバッファメモリと、グラフィックコントローラから出力される画像情報に基づいて、ディスプレイ装置を表示制御する制御ICなどによって構成される。
そして、表示部503は、ナビゲーション制御部501の出力に関する制御にしたがい、交通情報や地図情報や経路誘導に関する情報や、その他各種情報を表示する。
位置取得部504は、GPSレシーバおよび速度センサや方位センサ(ジャイロセンサ)や加速度センサなどの各種センサから構成され、車両の現在位置(ナビゲーション装置500の現在位置)の情報を取得する。
GPSレシーバは、GPS衛星からの電波(以下、GPSシグナルとする)を受信し、GPS衛星との幾何学的位置を求める。なお、GPSとは、Global Positioning Systemの略称であり、4つ以上の衛星からのGPSシグナルを受信することによって地上での位置を正確に求めるシステムである。
GPSレシーバは、GPS衛星からのGPSシグナルを受信するためのアンテナ、受信したGPSシグナルを復調するチューナーおよび復調した情報に基づいて現在位置を算出する演算回路などによって構成される。速度センサは、車両の速度を検出する。方位センサ(ジャイロセンサ)は車両の進行方位の変化量を検出する。加速度センサは、車両の加速度を検出する。
記録媒体505には、各種制御プログラムや各種情報がコンピュータに読み取り可能な状態で記録されている。この記録媒体505は、たとえば、HD(Hard Disk)やDVD(Digital Versatile Disk)、CD(Compact Disk)、メモリカードによって実現することができる。なお、記録媒体505は、記録媒体デコード部506による情報の書き込みを受け付けるとともに、書き込まれた情報を不揮発に記録するようにしてもよい。
また、記録媒体505には、経路探索および経路誘導に用いられる地図情報が記録されている。記録媒体505に記録されている地図情報は、建物、河川、地表面などの地物(フィーチャ)をあらわす背景データと、道路の形状をあらわす道路形状データとを有しており、表示部503の表示画面において2次元または3次元に描画される。ナビゲーション装置500が経路誘導中の場合は、記録媒体デコード部506によって記録媒体505から読み取られた地図情報と位置取得部504によって取得された車両の位置を示すマークとが表示部503に表示されることとなる。
なお、この実施例では地図情報などを記録媒体505に記録するようにしたが、これに限るものではない。地図情報などは、ナビゲーション装置500外部のサーバなどに記録されていてもよい。その場合、ナビゲーション装置500は、たとえば、通信部508を通じて、ネットワークを介してサーバから地図情報を取得する。取得された情報はRAMなどに記憶される。
記録媒体デコード部506は、記録媒体505に対する情報の読み取りの制御をおこなう。
音声出力部507は、接続されたスピーカ512への出力を制御することによって、案内音や映像や音楽などの音声を出力する。スピーカ512は、一つであってもよいし、複数であってもよい。この音声出力部507は、たとえば、音声デジタル情報のD/A変換をおこなうD/Aコンバータと、D/Aコンバータから出力される音声アナログ信号を増幅する増幅器と、から構成することができる。
通信部508は、各種情報を外部から取得する。たとえば、通信部508は、FM多重チューナー、VICS(登録商標)/ビーコンレシーバ、無線通信機器およびその他の通信機器や、携帯電話、PHS、通信カードおよび無線LANなどの通信媒体を介して他の通信機器との通信をおこなう。あるいは、ラジオ放送による電波やテレビ放送による電波や衛星放送により通信をおこなうことのできる機器などでもよい。
通信部508によって取得される情報は、道路交通情報通信システムセンターから配信される渋滞や交通規制などの交通情報や、事業者が独自の方式で取得した交通情報や、その他インターネット上の公開データなどである。通信部508は、たとえば、全国の交通情報やコンテンツを蓄積しているサーバに対しネットワークを介して、交通情報を要求し、要求した情報を取得するようにしてもよい。
経路探索部509は、記録媒体505から記録媒体デコード部506を介して取得される地図情報や、通信部508を介して取得される交通情報などを利用して、出発地点から目的地点までの最適経路を探索する。ここで、最適経路とは、ユーザの要望に最も合致する経路である。
経路誘導部510は、経路探索部509によって探索された最適経路情報、位置取得部504によって取得された車両の位置情報、記録媒体505から記録媒体デコード部506を経由して得られた地図情報に基づいて、ユーザを目的地点まで誘導するための経路誘導情報の生成をおこなう。経路誘導部510で生成された経路誘導情報は、ナビゲーション制御部501を介して表示部503へ出力される。
音声生成部511は、案内音などの各種音声の情報を生成する。すなわち、経路誘導部510で生成された経路誘導情報に基づいて、案内ポイントに対応した仮想音源の設定と音声ガイダンス情報の生成をおこない、ナビゲーション制御部501を介して音声出力部507へ出力する。
なお、実施の形態にかかる方位補正装置300の機能的構成である検知部301は位置取得部504によって、検出部302、算出部303、比較部304(特定部305、方位差比較部306)および補正部307は方位補正部513(ナビゲーション制御部501)によって、それぞれその機能を実現する。
つぎに、図6および図7を用いて、この発明の実施例にかかる車両の周辺道路の道路方位を用いた屋内駐車場におけるセンサ方位の方位補正について説明する。図6は、この発明の実施例にかかる屋内駐車場の構内道路と平行な周辺道路があった場合の方位補正について示す説明図である。
図6は、屋内駐車場600および屋内駐車場600の周辺に敷設された周辺道路601,606を示す真上からの鳥瞰図となっている。図6において、屋内駐車場600は、複数階から構成されており、内部には構内道路605が螺旋状に敷設されている。また、屋内駐車場600は、近接する周辺道路601と、出入口602を介して接続されており、車両603は、周辺道路601を右折して、屋内駐車場600へ入場することができる。
周辺道路601,606は、それぞれ道路方位622a,622bの方向に敷設されている。なお、図6の説明では、道路方位622a,622bの矢印の向きを、図示したように、後述する構内移動経路610上の車両603a,603bのセンサ方位621a,621bにあわせたが、180度反転させた向きであってもよい。
移動経路604は、屋内駐車場600外において、車両に搭載されたナビゲーション装置500における位置取得部504およびナビゲーション制御部501によって取得される自車位置の軌跡であり、図6では点線で示す。
構内移動経路610は、屋内駐車場600に入場した車両603が構内道路605を周回移動した際に、ナビゲーション装置500における位置取得部504およびナビゲーション制御部501によって取得される自車位置の軌跡であり、移動経路604と同様に点線で示す。
具体的には、たとえば、構内移動経路610は、車両603が屋内駐車場600に入場して、構内道路605を周回移動することによって示される、直進時のセンサ方位621aとする車両603aや直進時のセンサ方位を621bとする車両603bなどの軌跡である。
ここで、センサ方位621aの方位補正について説明する。具体的には、たとえば、センサ方位621aと、道路方位622aとの方位差が所定のしきい値以下の場合、センサ方位621aを道路方位622aにあわせて補正する。すなわち、センサ方位621aと、道路方位622aとの方位差が所定のしきい値以下の場合は、構内道路605における直進と、周辺道路601とが平行であるとみなして、センサ方位621aを道路方位622aとする構成でもよい。
所定のしきい値は、たとえば、道路の敷設方向に関する方位誤差の許容範囲と、方位センサ(ジャイロセンサ)のセンサ誤差の許容範囲を足しあわせた値であってもよい。すなわち、この所定のしきい値を用いて方位補正をおこなうことによって、周辺道路601の道路方位622aと、構内道路605におけるセンサ方位621aとの誤差が所定のしきい値以内であれば、周辺道路601と、構内道路605とを平行とみなしてセンサ方位621aを補正する構成としてもよい。
また、車両603aにおける方位補正は、たとえば、屋内駐車場600内おける車両603(603a,603b)の周回移動について、1周ごとに補正することとしてもよく、センサ誤差は蓄積されることなく、小さく見積もることができる。換言すれば、このように方位補正をおこなえば、車両603(603a,603b)が構内道路605を周回移動しても、常に方位センサのセンサ誤差を小さい状態に保つことができる。
この方位補正は、たとえば、一般的に、屋内駐車場における構内道路が屋内駐車場の敷地面積を大きく確保するために、周辺道路と平行になっている場合が多いことを利用した補正である。なお、構内道路と周辺道路とが平行でない場合は、車両603bや図7を用いて説明する。
ここで、車両603aにおいて方位補正の基準となる周辺道路601は、たとえば、車両603aに最も近く、かつ、平行な道路あるいは平行に近似した道路である。具体的には、たとえば、周辺道路601は、車両603aから所定の範囲に敷設されている道路に対して垂線を引き、垂線の距離が短く、かつ、センサ方位621aとの方位差が所定以内の(平行に近い)道路である。
換言すれば、方位補正は、たとえば、車両603aにおいて直進を検知したら、車両603aとの距離が短く、直進時のセンサ方位621aと平行に近い道路方位622aとなる周辺道路601を選択する。そして、選択された周辺道路601の道路方位622aと、センサ方位621aとを比較した結果に基づいて、前述のように方位補正をおこなうこととしてもよい。
つぎに、センサ方位621bの方位補正について説明する。具体的には、たとえば、センサ方位621bと、道路方位622bとの方位差が所定のしきい値より大きい場合、センサ方位621bと道路方位622bとは平行でないとみなして、センサ方位621bの方位補正はおこなわないこととしてもよい。すなわち、方位補正は、平行でない周辺道路606にあわせて誤った方位補正をおこなわない構成である。この場合であっても、車両603bは、周回移動によって車両603aにおいて直進した場合に、方位補正がおこなわれることとしてもよい。
ここで、周辺道路606は、車両603bから所定の範囲に敷設されている道路に対して垂線を引き、垂線の距離が短かったものの、センサ方位621bとの方位差が所定よりも大きい(平行でない)道路である。
なお、図6の説明では、車両603aにおいて、平行な周辺道路601にあわせてセンサ方位621aの方位補正をおこなって、車両603bにおいて、周辺道路606は平行でないためにセンサ方位621bの方位補正をおこなわない構成としたが、車両603bにおいて、周辺道路606が平行あるいは平行に近い場合は、車両603aおよび車両603bの双方で方位補正をおこなうこととしてもよい。また、毎周方位補正をおこなわなくても、処理を簡素化するために、1周おきや2周おきに方位補正をおこなうこととしてもよい。
つづいて、図7を用いて、この発明の実施例にかかる車両の周辺道路の道路方位を用いた屋内駐車場におけるセンサ方位の方位補正について、平行な周辺道路がない場合について説明する。図7は、この発明の実施例にかかる屋内駐車場の構内道路と平行な周辺道路がない場合の方位補正について示す説明図である。
図7は、屋内駐車場700および屋内駐車場700の周辺に敷設された周辺道路701を示す真上からの鳥瞰図となっている。図7において、屋内駐車場700は、複数階から構成されており、内部には構内道路705が螺旋状に敷設されている。また、屋内駐車場700は、近接する周辺道路701と、出入口702を介して接続されており、車両703は、周辺道路701を右折して、屋内駐車場700へ入場することができる。
周辺道路701は、道路方位722の方向に敷設されている。なお、図7の説明では、道路方位722の矢印の向きを、図示したように、後述する構内移動経路710上の車両703aのセンサ方位721にあわせたが、180度反転させた向きであってもよい。
移動経路704は、屋内駐車場700外において、車両に搭載されたナビゲーション装置500における位置取得部504およびナビゲーション制御部501によって取得される自車位置の軌跡であり、図7では点線で示す。
構内移動経路710は、屋内駐車場700に入場した車両703が構内道路705を周回移動した際に、ナビゲーション装置500における位置取得部504およびナビゲーション制御部501によって取得される自車位置の軌跡であり、移動経路704と同様に点線で示す。
具体的には、たとえば、構内移動経路710は、車両703が屋内駐車場700に入場して、構内道路705を周回移動することによって示される、直進時のセンサ方位721とする車両703aの軌跡である。
ここで、センサ方位721の方位補正について説明する。具体的には、たとえば、センサ方位721と、道路方位722との方位差が所定のしきい値より大きい場合、センサ方位721と道路方位722とは平行でないとみなされる。すなわち、図7に示すように、センサ方位721と道路方位722とは、角度差θを有している。
この場合、車両703aにおいて直進検出時のセンサ方位721と、道路方位722との角度差θ(以下、「初期方位差」ともいう)を記憶しておき、周回ごとにほぼ同じ角度差θが検出された場合、これをオフセットとして道路方位722に角度差θを足した値にセンサ方位721を補正してもよい。
換言すれば、周回移動における初期の角度差θを記憶しておいて、2周目以降も角度差θに近い値であれば、周回移動は同じ軌跡であり、センサ方位721の誤差によって角度差θがずれたことと判断できる。したがって、2周目以降も角度差θとなるようにセンサ方位721を補正することとしてもよい。
なお、角度差θにおけるほぼ同じ値は、たとえば、方位補正は、たとえば、毎周おこなう構成や、センサ誤差の許容範囲を超える度におこなうこととしてもよい。
具体的には、たとえば、毎周おこなう方位補正は、センサ誤差の許容範囲を5度、1周目の角度差θが30度の場合、2周目の角度差θが33度となると、その値が30度となるようにセンサ方位721を補正する。また、許容範囲を超える度の方位補正は、たとえば、センサ誤差の許容範囲を5度、1周目の角度差θが30度の場合、2周目の角度差θが33度であると方位補正はおこなわず、3周目の角度差θが37度となると、その値が30度となるようにセンサ方位721を補正することとしてもよい。
また、2周目以降の角度差θが、センサ誤差の許容範囲を超えている場合は、構内道路705の周回移動が一定の軌跡ではなく、方位補正はおこなわないこととしてもよい。このように、構内道路705が縦横無尽である場合に、誤った方位補正をおこなうことを防ぐことができる。
また、周辺道路701が平行でない場合は、周辺道路701とは異なる他の図示しない道路を選択して、他の道路の道路方位が平行であった場合に、センサ方位721を方位補正してもよい。
(屋内駐車場の概要)
つぎに、図8を用いて、この発明の実施例にかかる屋内駐車場の概要について説明する。図8は、この発明の実施例にかかる屋内駐車場の概要を示す説明図である。
図8において、駐車場群800は、周辺道路810に近接した青空駐車場801と、屋上駐車場802と、地下駐車場803と、立体駐車場804と、から構成されている。また、青空駐車場801、屋上駐車場802、地下駐車場803および立体駐車場804は、それぞれ車両811が駐車できる駐車スペースを備えている。
青空駐車場801は、周辺道路810と隣接し、位置取得部504によってGPS衛星からの電波を受信可能な駐車スペースを備えている。また、屋上駐車場802は、立体駐車場804の屋上に設置され、青空駐車場801と同様に、位置取得部504によってGPS衛星からの電波を受信可能な駐車スペースを備えている。
地下駐車場803および立体駐車場804のような屋内駐車場は、周囲に電波受信を妨害する構造物を有しており、位置取得部504によってGPS衛星からの電波の受信が困難である駐車スペースを備えている。また、地下駐車場803および立体駐車場804は、たとえば、柱が規則的に設置されており、内部を走行する車両811は、ある程度規則的な周回移動を伴って構内を移動する。すなわち、地下駐車場803および立体駐車場804では、GPS衛星からの電波の受信が困難であっても、図6および図7に示した方位補正をおこなうことができる。
(ナビゲーション装置500の処理の内容)
ここで、図9を用いて、この発明の実施例にかかるナビゲーション装置500の処理の内容について説明する。図9は、この発明の実施例にかかるナビゲーション装置の処理の内容を示すフローチャートである。図9のフローチャートにおいて、まず、位置取得部504によって、車両が道路外を走行中か否かを判断する(ステップS901)。道路外か否かの判断は、たとえば、位置取得部504によって取得された現在位置に関する情報と、記録媒体505から記録媒体デコード部506を経由して得られた地図情報に基づいて、地図上の道路を走行しているか否かを判断する構成でもよい。
ステップS901において、道路外を走行している場合(ステップS901:Yes)は、位置取得部504によって、自車位置が屋内駐車場内に位置するか否かを判断する(ステップS902)。自車位置が屋内駐車場内に位置するかの判断は、たとえば、電波の受信強度(レベル)、GPS衛星に関する仰角および捕捉衛星数のそれ自体にくわえて、所定時間における電波の受信強度(レベル)、GPS衛星に関する仰角および捕捉衛星数の変化量を用いて判断してもよい。また、自車位置が屋内駐車場内に位置するかの判断は、たとえば、方位センサや加速度センサを用いてスロープの上がり走行、または下り走行の検知により判断してもよく、さらには、屋内駐車場の入口や出口に設置された駐車料金システムなどの設備を自車位置が通過したことを検知して判断してもよい。また、地図情報の一部である道路データに屋内駐車場の所在位置を対応つけてデータとして紐つけておき、自車位置の現在位置がその所在位置に到達した場合に、屋内駐車場内に位置すると判断するようにしてもよい。なお、自車位置が屋内駐車場内に位置するかの判断はこれらに限ることなく、様々な態様が適用されることは言うまでもない。
また、ステップS901において、道路外を走行していない場合(ステップS901:No)は、ナビゲーション制御部501によって、すべての情報を初期化して(ステップS916)、一連の処理を終了する。すべての情報は、たとえば、ステップS903以降の処理で検出や算出などされる距離や方位などで、詳細は後述する。
ステップS902において、自車位置が屋内駐車場であった場合(ステップS902:Yes)は、位置取得部504によって、車両の直進を検知したか否かを判断する(ステップS903)。直進の検知は、たとえば、位置取得部504によって、車両が一定区間移動している間の方位変化が所定値以下の出力であった場合に検知することとしてもよい。
また、ステップS902において、自車位置が屋内駐車場でない場合(ステップS902:No)は、ナビゲーション制御部501によって、すべての情報を初期化して(ステップS916)、一連の処理を終了する。
ステップS903において、車両の直進を検知した場合(ステップS903:Yes)は、位置取得部504によって、センサ方位(以下、「Sns Dir」とする)を検出する(ステップS904)。センサ方位は、たとえば、位置取得部504における方位センサ(ジャイロセンサ)の示す移動方位でもよい。また、センサ方位は、たとえば、ステップS903において直進を検知した際、所定時間におけるセンサ方位の平均値を用いてもよい。
また、ステップS903において、車両の直進を検知しない場合(ステップS903:No)は、ステップS901へ戻って処理を繰り返す。
つぎに、方位補正部513によって、自車位置から最寄りの周辺道路を選出する(ステップS905)。周辺道路の選出は、たとえば、ステップS903において直進が検知された際の自車位置から、近接する道路に垂線を引き、垂線の距離が最も短い道路を周辺道路として選出(以下、「選出道路」ともいう)することとしてもよい。
つづいて、方位補正部513によって、ステップS905において選出された選出道路までの距離(以下、「Rd Dist」とする)および道路方位(以下、「Rd Dir」とする)を算出する(ステップS906)。
そして、方位補正部513によって、ステップS906において算出されたRd Distはしきい値以下か否かを判断する(ステップS907)。しきい値は、たとえば、後述する方位補正に用いる道路として、自車位置から十分近いか否かを判断するための値でもよく、数十メートル〜数百メートルに設定してもよい。これは、自車位置から距離の離れた道路を選出道路とすると、道路方位の誤差などの影響によって方位補正が正確にできない可能性があるからである。すなわち、道路方位の誤差が極小であれば、しきい値を大きく設定することとしてもよい。
ステップS907において、Rd Distがしきい値以下だった場合(ステップS907:Yes)は、方位補正部513によって、Sns DirとRd Dirとの差(以下、「Dir Er」とする)を算出する(ステップS908)。Dir Erは、たとえば、下記式(1)によって算出できる。
Dir Er=Sns Dir−Rd Dir (1)
また、ステップS907において、Rd Distがしきい値よりも大きかった場合(ステップS907:No)は、そのまま一連の処理を終了する。
つぎに、方位補正部513によって、ステップS908において算出されたDir Erはしきい値以下か否かを判断する(ステップS909)。このしきい値は、たとえば、ステップS903において直進を検知した時点のSns Dirと選出道路のRd Dirが平行に近いと判断できる値などで、図6に示した方位誤差の許容範囲と、方位センサ(ジャイロセンサ)のセンサ誤差の許容範囲を足しあわせた値でもよい。
ステップS909において、Dir Erがしきい値以下だった場合(ステップS909:Yes)は、方位補正部513によって、ステップS908において算出されたDir Erでセンサ方位を補正して(ステップS910)、一連の処理を終了する。センサ方位の補正は、たとえば、下記式(2)によって算出できる。
センサ方位=現在のセンサ方位−Dir Er (2)
また、ステップS909において、Dir Erがしきい値よりも大きかった場合(ステップS909:No)は、方位補正部513によって、ステップS905において選出された選出道路は初めての比較対照だったか否かを判断する(ステップS911)。
ステップS911において、選出道路が初めての比較対照だった場合(ステップS911:Yes)は、記録媒体505によって、ステップS908において算出されたDir Erを保存して(ステップS912)、一連の処理を終了する。すなわち、ステップS911では、図9のフローチャートの繰り返し処理によって、記録媒体505によって保存されたDir Er(以下、「Mem Dir Er」とする)があるか否かを判断することとしてもよい。
また、ステップS911において、選出道路が初めての比較対照でなかった場合(ステップS911:No)は、方位補正部513によって、Dir ErとMem Dir Erとの差(以下、「Er Er」とする)を算出する(ステップS913)。Er Erは、たとえば、下記式(3)によって算出できる。
Er Er=Dir Er−Mem Dir Er (3)
そして、方位補正部513によって、ステップS913において算出されたEr Erはしきい値以下か否かを判断する(ステップS914)。このしきい値は、たとえば、車両の周回移動によるセンサ誤差を示す値などで、図7に示した方位センサ(ジャイロセンサ)のセンサ誤差の許容範囲でもよい。
ステップS914において、Er Erがしきい値以下だった場合(ステップS914:Yes)は、方位補正部513によって、ステップS913において算出されたEr Erでセンサ方位を補正して(ステップS915)、一連の処理を終了する。センサ方位の補正は、たとえば、下記式(4)によって算出できる。
センサ方位=現在のセンサ方位−Er Er (4)
また、ステップS914において、Er Erがしきい値よりも大きい場合(ステップS914:No)は、そのまま一連の処理を終了する。換言すれば、Er Erがしきい値よりも大きいと、周回移動による同じ軌跡ではないと判断できるため、方位補正をおこなわないこととする構成でもよい。
以上説明したように、この発明の実施例によれば、自車位置における周辺道路の道路方位を用いて、簡便かつ適切にセンサ方位の方位補正をおこなうことができるため、高精度なセンサを用いなくても、正確なセンサ方位の出力を図ることができる。
特に、立体駐車場や地下駐車場など、車両が周回移動を繰り返す場合であっても、直進を検知した時点でセンサ方位を補正できるため、センサ誤差を蓄積することなく、正確なセンサ方位の出力ができる。
また、直進を検知した時点でセンサ方位を補正する構成であるため、屋内駐車場内の構内道路が長方形や円形ではなく、たとえば凸部を含む非長方形のような複雑な形状である場合であっても、的確な方位補正をおこなうことができる。
なお、本実施の形態で説明した方位補正方法は、あらかじめ用意されたプログラムをパーソナル・コンピュータやワークステーションなどのコンピュータで実行することにより実現することができる。このプログラムは、ハードディスク、フレキシブルディスク、CD−ROM、MO、DVDなどのコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録され、コンピュータによって記録媒体から読み出されることによって実行される。またこのプログラムは、インターネットなどのネットワークを介して配布することが可能な伝送媒体であってもよい。