JP4824130B1 - 車両用ドアハンドルの静電センサー - Google Patents

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Abstract

【課題】 構造が簡単で製造が容易、かつ個体ごとの品質のバラツキが生じにくい車両用ドアハンドルの静電センサーを提供する。
【解決手段】
車両の樹脂製ドアハンドルに内蔵され、静電容量の変化により該ドアハンドルに対するユーザーの手を感知して車両のドアロック装置をロック状態とアンロック状態との間で切り替えるために使用される車両用ドアハンドルの静電センサーである。この静電センサーは、平板状の樹脂基板と、その樹脂基板の表面に、金属層が所定の形態でパターン印刷された静電センサー電極と、その静電センサー電極の端子につながるリード線と、を備え、前記パターン印刷された静電センサー電極と車両の金属製ドアパネルとの間の静電容量が変化することにより前記ユーザーの手を感知することを特徴とする。
【選択図】 図4

Description

この発明は、車両用ドアハンドルの静電センサーに関する。
車両、主に自動車のドアを開閉するための車両用ドアハンドルに関するスマートキーシステムの一種に、ユーザーがスマートキーを携帯して車両に接近すると、車両とスマートキーとの間の通信によりユーザーのIDが確認され、その後、ユーザーがドアハンドルに触れる(通常は把持する)と、ドアロック装置がアンロックされるものが知られている。このシステムは、ドアハンドルに内蔵された静電センサーにより、その静電センサー電極と車両ドアとの間の静電容量が、その間に入る人の手により(ドアハンドルを握る動作により)変化することを検出して、ドアロックを解除するものである。この種のシステムにおける静電センサーとして、特許文献1の技術が知られている。
特開2006−97230
特許文献1の図5を参照すれば、樹脂被覆金属線材(以下、ハーネスという)を繰り返し折り返すように連続させてハーネスの直線部の集合からなる帯状部を形成し、その帯状部を樹脂でモールドして固め、これを静電センサー電極としてドアパネルとの間に所定の静電容量が生じるようにドアハンドルに内蔵した構造が開示されている。
しかしながら、ハーネスを繰り返し折り返して帯状にすることや、その帯状部分を樹脂モールドすることは、複雑で面倒な製造工程を必要とし、コストが高くなり、また個体ごとの品質にバラツキが生じやすい欠点がある。
本発明の課題は、構造が簡単で製造が容易、かつ個体ごとの品質のバラツキが生じにくい車両用ドアハンドルの静電センサーを提供することにある。
課題を解決するための課題及び効果
本発明は、車両の樹脂製ドアハンドルに内蔵され、静電容量の変化により該ドアハンドルに対するユーザーの手を感知して車両のドアロック装置をロック状態とアンロック状態との間で切り替えるために使用される車両用ドアハンドルの静電センサーであって、
平板状の樹脂基板と、
その樹脂基板の表面に、金属層が所定の形態でパターン印刷された静電センサー電極と、
その静電センサー電極の端子につながるリード線と、を備え、
前記パターン印刷された静電センサー電極と車両の金属製ドアパネルとの間の静電容量が変化することにより前記ユーザーの手を感知することを特徴とする。
このようにすれば、ハーネスを何回も折り返して帯状に加工する等、電極形状を得るのに面倒な機械加工が必要なく、電子基板を生産する容易さで静電センサー電極を形成することができ、また印刷技術を用いるため量産がしやすく、そのため個々に品質的なバラツキの少ないセンサー電極を提供できる。
また本発明は、前記樹脂基板の表面にパターン印刷された金属層を第1の金属層として、該樹脂基板の裏面に第2の金属層が形成され、それら表裏の第1及び第2の金属層により前記樹脂基板は両面基板構造とされる。
また本発明では、前記樹脂基板の表面にパターン印刷された金属層又は第1の金属層は、直線状かつ所定の間隔で平行に延びる複数の直線部がそれらの端で方向転換して隣りの直線部に一筆書状に連続するパターンで形成され、その一筆書状に連続するパターンの一端が第1の端子部、他端が第2の端子部とされる。
また本発明において、前記金属層のパターンにおける隣り合う直線部間のピッチはすべての直線部相互においてほぼ一定で差があるとしても10%以下とされ、その直線部のピッチpと、前記樹脂基板の板厚tとの関係が、p=t~3tの範囲に設定される。
さらに本発明において、前記樹脂基板の裏面に生成された第2の金属層は、その樹脂基板の裏面の全面を被う金属箔で形成される。
ドアハンドル装置を備えた車両の概略図。 ドアハンドル装置の概略的な平面図。 ハンドル本体内の静電センサーの位置関係を示す平面図。 本発明の一実施例である静電センサーの簡略な平面図。 図4の簡略な横断面図。 その静電センサーの機能を示す概念図。 その静電センサーを含む制御系のブロック図。 本発明の別の実施例を示す、図5に対応する簡略な横断面図。 図8に示す静電センサーの機能概念図。 図8に示す静電センサーの等価概念図。 図5又は図8に示す静電センサーのハンドル本体に対する組付け例を簡略に示す説明図。
以下、この発明の実施例を説明する。本実施例の静電センサーは、図1に示す車両のドアハンドル装置1におけるドアハンドル内に組み込まれる。図2に示すようにドアハンドル装置1は使用者により把持される、ドアパネル2の外面に露出するハンドル本体3と、ドアパネル2の内側(車体の内側)に固定されて外部からは見えないベース部材4とを備える。この例では、ハンドル本体4の一端部がベース部材4に対して軸5周りに回動するように引き起こされてドアが開放されるタイプが示され、ハンドル本体3及びベース部材4はいずれも樹脂製であり、ハンドル本体3ひいてはドアは、ドア内部のドアロック装置6によって施錠・解錠される。
ハンドル本体の3のユーザーの手で把持される把持部3aの内部には、図3に概念的に示すように、本実施例の静電センサー8が組み込まれ、把持部3aがユーザーの手で握られるとき(厳密にはユーザーの手とハンドル本体3内の静電センサーとの距離が接近するとき)の静電容量の変化を検知して、ドアロック装置6を解錠する(又は施錠する)。言い換えれば、ドアロック装置6をロック状態とアンロック状態との間で切り替える。ドアのトリガを外すには、ドアロック装置6の解錠状態で、ドア本体3のノブ3bを押し、ハンドル本体3を引き起こすことによりドアを開けられる。
なお、この例の静電センサー8はスマートキーシステムを前提とするもので、ハンドル本体3の内部にはアンテナ10が組み込まれ、アンテナ10はスマートキー(無線携帯機)9を所持したユーザーが車両に接近するとき、発信する電波によりスマートキー9を検知し、またスマートキー9からの応答電波を受信することができる。スマートキーのID情報が正規のものと判定された状態で、ユーザーによりハンドル本体3が把持されると、ドアロック装置6が解錠される仕組みが一般的である。なお、図3においては、静電センサー8との関係でアンテナ10を概念的に示すもので、実際の位置関係や組付け状態を示すものではない。またアンテナ10が送信用と受信用とに共通のものか、別々に設けられるか、その設置位置がハンドル装置かそれ以外か等は、適宜選択することができる。
静電センサー8は、図4に概略的に示すように、平板状(この例では細長い長方形状)の樹脂基板11と、その樹脂基板11の表面に、金属層12が所定の形態でパターン印刷された静電センサー電極13と、静電センサー電極13の端子部14、15につながるリード線16、17とを備え、パターン印刷された静電センサー電極13と車両の金属製ドアパネル2との間の静電容量が変化することによりユーザーの手を感知するものである。
より具体的には、樹脂基板11は例えばエポキシ樹脂基板であり、その表面にパターン印刷された金属層13は例えば銅箔によるパターンであって、それは、直線状かつ所定の間隔で平行に延びる複数の直線部がそれらの端で方向転換して隣りの直線部に一筆書状に連続するパターンである。この例では、樹脂基板11の長手方向と直線部12a(の長手方向)とはほぼ平行となっている。その一筆書状に連続するパターンの一端が第1の端子部14、他端が第2の端子部15とされる。このようなパターンにより、印刷回路を作成するのと同様の手法で平板状の電極が得られる。パターン印刷の方法としては、銅箔等の金属箔に対するパターン印刷によるマスキング後のエッチング、あるいはその金属箔に形成されたフォトレジストに対する感光後のエッチング、さらにはエッチングによらないで、金属ペースト、金属粉あるいは金属を含むインクによる直接的なパターン印刷等、公知の回路パターン印刷手法のいずれでも利用できる。
金属層13のパターンにおける隣り合う直線部間のピッチpはすべての直線部相互においてほぼ一定で差があるとしても10%以下とされ(望ましくは1%以下)、その直線部のピッチpと、前記樹脂基板の板厚tとの関係が、p=t~3tの範囲に設定され、例えばpをtの2倍程度とすることができる。これは、公知のハーネス(金属線)を絶縁樹脂(例えばポリ塩化ビニル:PVC)で被覆した線材を繰り返し密着するよう往復させて帯状の静電センサー電極を形成する場合(その場合の基板の板厚が絶縁樹脂の肉厚とほぼ等しいことを前提とする)と同様の機能を付与することに対応する。それにより、絶縁樹脂で被覆された金属線材を繰り返し密着するように往復させて帯状にする面倒な手法に比べて、樹脂基板へのパターン印刷による簡単な手法及び構造より同等の機能の静電センサー電極を得ることができる。ハンドル本体3内への静電センサー8の設置に当たっては、樹脂基板11の長手方向がハンドル本体3の長手方向に沿い、かつ樹脂基板11の一面にパターン印刷により形成されたセンサー電極13が車両のドアパネル2側(内側)を向くように、言い換えれば樹脂基板11のセンサー電極13が形成された側とは反対側も板面がドアパネル2とは反対側(外側)を向くように配置される。なお上記とは逆向きに静電センサー8を配置することもできる(樹脂基板11の誘電率を考慮する等して)。
そして図6に等価的に示すように、静電センサー8の上記パターン印刷によるセンサー電極13とドアパネル(金属板)2とが所定の間隔で対向して、センサー電極13とドアパネル2による一種の平行平板コンデンサが形成され、両者間にはその間隙の誘電率により所定の静電容量Aが保持される。ハンドル本体3がユーザーの手で把持される等、ユーザーの手が接近ないし接触すると、その手の存在によりドアパネル2とセンサー電極13との間の静電容量が変化する。
図7に概念的に示すように、その静電容量の変化の信号は、静電センサー1が接続された制御部14に出力され、制御部14ではその静電容量の変化量が閾値を超えたかどうかを判定し、超えていればユーザーの手でハンドル本体3が把持された又は触れられ若しくは接近したと判断して、制御部14がドアロック装置6に解錠信号を出力してドアロックを解除する。もっとも上記閾値を超えていれば、制御部14がドアロック装置6へ施錠信号を出力してドアロック装置6を施錠するシステムとすることもできる。なお、スマートキーシステムを前提とすれば、例えばドアロック解除の場合、アンテナ10とスマートキーとの交信の結果が制御部14へ送られ、制御部14でスマートキー9のIDが正しいと認識されたこと、及び静電センサー13から制御部14へ送られた静電容量の変化が閾値を超えたと制御部14で判定されたことのアンド条件によって、制御部14がドアロック装置6を解錠する。
図8に示す静電センサー18は、図5に示した静電センサー8の、パターン印刷によるセンサー電極13が形成された板面(表面)とは反対側の板面(裏面)に金属層15が形成されたもので、樹脂基板11の両面に金属層を有する両面基板構造をなす。ここでセンサー電極13を構成する、往復して一筆書き状にターンを繰り返す金属層12を第1の金属層とすれば、樹脂基板11の反対側の面(裏面)に形成された金属層15が第2の金属層となる。この第2の金属層15は例えば銅箔であり、銅箔等の金属層15が樹脂基板11の裏面の全体を被うように樹脂基板11と一体化される。
なお、第2の金属層15が樹脂基板11の裏面の全面に形成されるのに対し、第1の金属層としてのセンサー電極13が往復一筆書き状のパターン印刷により形成される理由のひとつに、静電センサーとしての特性、効率を高めることが挙げられるが、前述のアンテナ10との関係では、アンテナ10との電気的な干渉を回避する上で有効になる場合がある。
表面にパターン印刷によるセンサー電極13が、また裏面に第2の金属層15が全面に形成された両面基板構造の静電センサー18は、図5の静電センサー8と同様、図9に概念的に示すように、センサー電極13がドアパネル2に対向するようにハンドル本体3内に配置される。それに伴い、樹脂基板11の裏面の全体に形成された金属層15(銅箔等)はドアパネル2とは反対側(外側)を向くこととなる。なお、これとは逆向きに静電センサー18を配置することもできる。
この静電センサー18の場合、図10に示すように、センサー電極13とドアパネル2との間に静電容量Aが生じ、かつセンサー電極13と金属層15との間にも一種の平行平板コンデンサを構成してそこに静電容量Bが生じる(なお、裏面の金属層20とドアパネルとの間に静電容量Cが生じるとみることもできる)。そして、センサ電極13は前記端子を介して図7の制御部14に接続され、また金属層15も図示しない端子を介して制御部14に接続される。そして、センサー電極13を基準としてドアパネル2側と金属層15側との双方に個別の静電容量が保持され、いわば二重のコンデンサが形成された形態となり、各静電容量は制御部14に入力される。
そこで、ユーザーの手がハンドル本体3を把持すると、静電容量Aの領域と静電容量Bの領域との双方で静電容量の変化が生じるから、それらの変化に対してそれぞれ閾値を設定し、制御部14で各閾値をともに超える等の条件を満足したときに、ユーザーがハンドル本体3を把持した等と判断して、ドアロック装置6をロック状態とアンロック状態との間で切り替えることができる。または、センサー電極13とドアパネルとの間の静電容量A、金属層20とドアパネルとの間の静電容量Cをパラメータとし、それぞれの静電容量の変化が各閾値をともに超えたと制御部14が判断したとき、ドアロック装置6をロック状態とアンロック状態との間で切り替えてもよい。このような二重の静電容量の判断は、静電センサーの検出精度を上げ、例えば雨天時にドアパネルに付着する水滴等の外乱により静電容量が乱れても、ユーザーの手の存在が誤検出されることを防ぐ上で有効となる。
なお、樹脂基板11の裏面に形成する金属層15を、その裏面の全体を被覆する単一膜ではなく、所定のパターン印刷による金属層としてもよい。また、樹脂基板11の表面と裏面とにそれぞれ異なるパターンの第1及び第2の金属層を形成することもできるし、その表面と裏面の双方に同様のパターン(例えば直線的に往復を繰り返す一筆書き状の印刷パターンの)金属層を形成することもできる。
なお、ハンドル本体3に対する静電センサー8又は18の取付けは、例えば図11に示すように、ハンドル本体3のインナー材3cの凹部に静電センサー8又は18が装着され固定されるようにし、アンテナ10が組み込まれる場合は、アンテナ10が静電センサー8又は18に対しアウター材3dの側に配置される構造とすることができる。インナー材3cとアウター材3dは分割構造で合体され、内部に静電センサー8又は18や、アンテナ10を設置できる空間を形成する。
1 車両用ドアハンドル装置
2 ドアパネル
3 ハンドル本体
4 ベース部材
6 ドアロック装置
7 制御部
8,18 静電センサー
9 スマートキー
10 アンテナ
11 樹脂基板
12 (第1の)金属層
12a 直線部
13 センサー電極
14,15 端子部
16,17 リード線
15 第2の金属層

Claims (3)

  1. 車両の樹脂製ドアハンドルに内蔵され、静電容量の変化により該ドアハンドルに対するユーザーの手を感知して車両のドアロック装置をロック状態とアンロック状態との間で切り替えるために使用される車両用ドアハンドルの静電センサーであって、
    平板状の樹脂基板と、
    その樹脂基板の表面に、金属層が所定の形態でパターン印刷された静電センサー電極と、
    その静電センサー電極の端子につながるリード線と、を備え、
    前記樹脂基板の表面にパターン印刷された金属層は、直線状かつ所定の間隔で平行に延びる複数の直線部がそれらの端で方向転換して隣りの直線部に一筆書状に連続するパターンで形成され、その一筆書状に連続するパターンの一端が第1の端子部、他端が第2の端子部とされ、
    前記金属層のパターンにおける隣り合う直線部間のピッチはすべての直線部相互においてほぼ一定で差があるとしても10%以下とされ、その直線部のピッチpと、前記樹脂基板の板厚tとの関係が、p=t〜3tの範囲に設定され、
    前記パターン印刷された静電センサー電極と車両の金属製ドアパネルとの間の静電容量が変化することにより前記ユーザーの手を感知することを特徴とする車両用ドアハンドルの静電センサー。
  2. 前記樹脂基板の表面にパターン印刷された金属層を第1の金属層として、該樹脂基板の裏面に第2の金属層が形成され、それら表裏の第1及び第2の金属層により前記樹脂基板は両面基板構造とされる請求項1に記載の車両用ドアハンドルの静電センサー。
  3. 前記樹脂基板の裏面に生成された第2の金属層は、その樹脂基板の裏面の全面を被う金属箔で形成される請求項2に記載の車両用ドアハンドルの静電センサー。
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