JP4822284B2 - 水銀含有量測定素子、水銀含有量測定装置及び水銀の含有量測定方法 - Google Patents

水銀含有量測定素子、水銀含有量測定装置及び水銀の含有量測定方法 Download PDF

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Description

本発明は、水銀含有量測定素子、水銀含有量測定装置及び水銀の含有量測定方法に関するものである。
人体にとって有害であるとされ、公害の元凶であるとされる物質の1つである水銀の濃度を測定する技術は大変重要である。
かつては、河川や海水中に含まれる水銀量の測定とか、水中の水銀が米などに取り込まれている水銀量の測定などが必要とされていた。この場合に水銀の測定方法は現地で検体を採取し、測定施設に持ち込んで測定することが行われていた。そして、今でもこのような方法が行われている。
最近では、乾電池等の水銀を含む物質が都市ごみに混入する等の事実やごみ焼却処理場等の焼却施設の排ガス中には水銀が含まれる恐れがあることが指摘され、この場合には焼却設備に併設されている装置や施設で時系列的に測定し、直ちにその変動に対応するなどの必要があるなどの、従来の測定方法とは相違する局面での水銀の測定方法が要求される。結果、従来とは相違する手段により、採取場所で直ちに測定し、その結果をもとに対応することが要請される。
又、水銀による土壌汚染など深刻化し、土壌を採取し、土壌に含まれる水銀を効果的に取り出し、測定装置に導入するための工夫が必要とされる。
このように測定する目的にこたえることができる水銀の測定方法が要求されることとなる。また、公害が進んだことにより、産業立地から変更された住宅地では土壌汚染が進行し、土壌中に含まれる水銀の検出が要求されることもある。多様な状況下における汚染状況調査などが要求され、それに対応する新しい水銀の測定方法が要求されている。
水銀濃度を測定する装置として、従来から原子吸光分析法を用いた水銀濃度測定装置が利用されている。水銀濃度測定装置は、測定セルへ導入した試料ガス(試料が液体または固体の場合は、この試料を気化したガス)に光を照射して特定波長の光の吸収量を検出し、試料ガスに含まれる水銀の濃度を求めるものである(例えば、特許文献1、特許文献2)。また、基準ガスを導入する際に水銀と直接接触させるアマルガムを形成するハニカム構造体を用いることが知られている(特許文献3)。
又、プラズマ化して発生したプラズマ光を分光器で分光し、微量成分の水銀を分析することも知られている(特許文献4、特許文献5)。
無機や有機水銀の状態となっているような場合は、試料を分解せずに試薬による変色を検出することも知られている(特許文献6)。又水銀の検出にアマルガムの存在を利用することも知られている(特許文献7特開2004−28114号)。また、ヨウ化第二銅と水銀の反応を利用した、ガス検知管による測定法が簡便な手法であるため、現場環境においては多く利用されている手法である。
しかしながら、原子吸光法等を代表とする上記分析装置による測定は、高感度測定は可能であるものの、装置自体が非常に高価であり、利用に際しても分析の専門知識を有する熟練経験者が分析を行う必要があるため、測定現場で簡便に取り扱うことは困難である。また、大型の装置であるため、現場環境下で容易に移動して、いつでもどこでも自由に測定しようとすることは困難である。
現場で使用する手段として従来から用いられてきたガス検知管は、工場現場などの環境では測定可能であるが、本来、検知感度が低く、環境基準等の極低濃度の測定手段とはされていない。測定範囲が検知管の反応薬剤の長さで決まるため、ダイナミックレンジの制限がある。さらに、二酸化炭素や塩素などの干渉ガスの影響を受けて検出感度に誤差が生じる可能性もある。
以上の通りであり、水銀の検出方法として、正確に、かつ簡便に測定でき、容易に移動できる新規な測定装置及び測定方法が求められている。
近年、水晶振動子を用いるセンサーを用いる測定方法の開発が進められている。
この方法では水晶振動子の表面や、それに付着して形成された電極表面に何らかの物質が付着すると、その質量の変化によって、水晶振動子の周波数特性が変化することを利用するものである。この性質を利用して、極めて微量な物質の付着を検出し計測するセンサーが実現されており、これはQCMセンサー(水晶振動子センサー)と呼ばれている。また、このQCMセンサーの表面に物質の付着特性に選択性のある膜を形成して、特定の物質の検出や計測を行うことも行われている(特許文献8、特許文献9、特許文献10)。しかしながら、これらは水銀以外の物質の検出を目的としており、水銀については其の例を見ない。
さらには、QCMセンサーの表面電極に水銀蒸気の検知物質として、一般的な薄い金膜を設けることが知られている(非特許文献1)。しかしながら、金膜は、水分も同時に付着するため、鋭敏に水銀蒸気を計測することが出来なかった。
特開平06−241990号公報 特開2002−168773号公報 特開2005−77355号公報 特開2004−53294号公報 特開2003−202290号公報 特開2006−98400号公報 特開2004−28114号公報 特開2001−153777号公報 特開2005−189076号公報 特開2005−189133号公報 American Industrial Hygiene Journal December,1975 p897-p901
本発明の課題は、水分の存在下でも鋭敏に水銀を正確に、簡便に測定でき、容易に移動できる新規な水銀含有量測定素子、水銀含有量測定装置及び水銀の含有量測定方法を提供することである。
本発明者らは鋭意前記課題を解決すべく以下のことを見出して、本発明を完成させた。
(1)水晶振動子の電極表面が水銀と合金(アマルガム)を形成する金属により被覆され、又は電極が水銀と合金(アマルガム)を形成する金属により構成され、かつ、被覆された電極表面若しくは電極表面が鏡面加工されていることを特徴とする水銀含有量測定素子である。その結果、水銀の吸着を十分に行うことができるので、正確に水銀の含有量を測定することができる。
又、電極表面、(及び水晶振動子表面)を少なくとも0.06μm以下の粗さで鏡面加工した素子を用いると、湿分(水分)の影響を受けることなく測定対象である水銀を吸着させることができ、接触させることにより測定対象である水銀は金属表面に吸着され、水銀を吸着したことによる質量変化による水晶振動子の周波数特性を、電極を通じて取り出して、水銀を吸着した場合と吸着しない場合の周波数特性の変化から水銀の濃度を算出することができる水銀濃度の測定手段となる。
(2)前記水銀と合金を作る金属を金とすることが有効である。
(3)前記水銀と合金を作る金属を銀とすることが有効である。
(4)前記水銀と合金を作る金属により電極表面を形成するにあたっては、水晶板に対する金属電極の大きさも測定に支障がない範囲とし、好ましくは2〜7mm程度とする。
(5)電極金属の厚さは、蒸着もしくはスパッタ法による薄膜の均質で緻密な薄膜の場合には比較的表面積が小さいので通常1〜200nm、好ましくは1〜100nmとする。
(6)前記水晶振動子の電極表面又は電極材料を、気体状の水銀を含む気体と接触させて気体中の水銀濃度を測定する手法とする。
(7)土壌または液相中の水銀化合物(無機水銀、有機水銀等)を、公知の還元反応を利用して水銀を分離し後、水銀を気化させて、気体状の水銀を含む気体と接触させて気体中の濃度を測定する手法とする。
(1)水晶振動子及びこれをはさんで両側に設置されている電極から構成され、その電極表面が水銀と合金(アマルガム)を形成する金属により被覆され、又は電極が水銀と合金(アマルガム)を形成する金属により構成され、かつ、被覆された電極表面若しくは電極表面が鏡面加工されていることを特徴とする水銀含有量測定素子。
(2)前記の鏡面加工が、少なくとも0.06μm以下の粗さである(1)記載の水銀含有量測定素子。
(3)前記水銀と合金(アマルガム)を形成する金属が金又は銀である(1)又は(2)記載の水銀含有量測定素子。
(4)(1)〜(3)いずれか1項に記載の水銀含有量測定素子が、電極表面に水銀が吸着されることによる水銀含有量測定素子の周波数を測定する周波数測定装置に接続している水銀含有量測定装置。
(5)特定量の気体状の水銀を含む気体による前記電極表面に水銀が吸着されることによる水銀含有量測定素子の周波数を測定する周波数測定装置により測定し、その測定結果から水銀含有量と発振周波数変化の関係を予め求めて、この関係を記憶し、及び気体状の水銀を含まない純粋な気体による前記電極表面に水銀が吸着されていないときの周波数を測定する周波数測定装置により測定し、その測定結果を記憶し、測定対象の気体状の水銀を含む気体による前記電極表面に水銀が吸着されることにより変化した水銀含有量測定素子の周波数を測定する周波数測定装置により、発振周波数変化を測定し、前記水銀含有量と発振周波数変化の関係、及び純粋な気体による水銀が吸着されていないときの周波数を参照し、気体状の水銀を含む気体と前記水銀含有量測定装置の水銀含有量測定素子とを接触させて水銀含有量を算出する(1)〜(3)のいずれか1項に記載の水銀含有量測定素子を含む水銀含有量測定方法。
(6)水銀を含む気体は、無機水銀や有機水銀を還元して水銀単体の状態としたのち気体状としたものであることを特徴とする(5)記載の水銀含有量測定方法。
本発明によれば、水晶振動子の電極表面または電極材料として、水銀と合金(アマルガム)を作る金属を用いて、これに測定対象である水銀を接触させると、測定対象である水銀は金属表面に吸着されて、水銀を吸着したことによる質量変化による水晶振動子の周波数特性が変化するので、これにより気体中、液体中又は固体中の水銀の濃度を簡便に短時間で容易に定めることができる。また、一般的に酸素や窒素、その他の通常の環境に存在するガスの種類、そのガス濃度域に対して、使用する電極金属のみでは吸着量はほとんど無いため、通常の環境に存在するガスは検知しない。なお、さらに金属表面形状を鏡面状とした素子を用いることによって、湿度の影響をほとんど受けない測定が可能となる。
以上説明したように、このような水銀濃度測定法では、金属電極と水銀の直接反応を利用している。一般的に水晶振動子を利用した重量変化を測定する手法において、その測定原理上、水晶振動子の基本発振周波数を高くすることによって重量変化に比例した発振周波数の変化量が大きくなることが知られている。そこで、本手法で用いられている水晶振動子の基本発振周波数よりも高い基本発振周波数(一例として、9MHzの水晶振動子よりも30MHzの水晶振動子のように)を用いるなど公知の技術を利用することによって、さらに高感度な測定が可能である。また、現場環境に携行し、そこでの迅速な測定も可能となるため、省力化、低コスト化の効果が挙げられる。
本発明は、水晶振動子及びこれをはさんで両側に設置されている電極から構成され、その電極表面が水銀と合金(アマルガム)を形成する金属により被覆され、又は電極が水銀と合金(アマルガム)を形成する金属により構成されている水銀含有量測定素子である。
水晶振動子は、種々の電子機器では周波数、時間などの基準として圧電振動子、特に、周波数の精度、安定度に対して優れた性能を有していることから、多用されている。この水晶振動子の共振周波数は、外形形状により決定される。例えば、数MHz乃至数十MHzの周波数帯で一般的に用いられているATカットの厚み滑り水晶振動子の場合、棒状の人工水晶を結晶軸に対して所定の角度板状に切断し、丸板、矩形、短冊などの水晶片としている。このようなATカットの水晶振動子では、水晶片の厚みによって共振周波数が決定される。水晶片の板面を、所望の共振周波数に応じた厚みに研磨する。そして、このように所望の厚みとして、真空蒸着などの公知の手段を用いて、相対する面に励振電極を形成し、この励振電極を両側縁部へ導き出すようにしている。そして、水晶片の両側縁部をベースとした部分に設けた一対の端子の先端部に固着した保持部材で挟持し、ここに導電性接着剤などを塗布して固着し、機械的に保持し、励振電極と端子との電気的な接続を行っているものが一般的な様式である。そして、水晶振動子を検知素子としてではなく、通信機器や電気機器などの基準周波数として利用するためなどにこの素子を利用するような、最も標準的な使用方法としている場合などは、全体をカバーで覆い、真空或いは不活性ガスの雰囲気で気密に封止することが、一般的に用いられる。
水晶振動子を挟んで両側に設置されている電極表面は、水銀と合金(アマルガム)を形成する金属により被覆され、又は電極が水銀と合金(アマルガム)を形成する金属により構成されている。
電極表面を水銀と合金(アマルガム)を形成する金属を用いる場合には、電極の材料としては、金、銀等を用いることができる。
水銀と合金(アマルガム)形成する金属は、金、銀、鉛、スズ、又は亜鉛等から選ばれる金属である。
その結果、含まれる水銀を十分に吸着することができる。
電極金属を形成する場合には、薄膜を形成することができる手段であれば任意に採用することができ、さらに周波数変化を検知できる限り特に制限されない。一般的には、蒸着もしくはスパッタ法を用いることができる。その結果均質で緻密な薄膜を形成することができる。薄膜の厚みは通常1〜500nm程度、好ましくは1〜100nm程度であればよい。
水銀との反応を促進する目的で水晶振動子の電極表面状態や加工・製作等は公知の手法を利用することも可能である。また、水晶板に対する金属電極の大きさ(面積)も測定に支障がない範囲であれば任意で構わないが、好ましくは2〜7mm程度である。
電極の形成方法と被覆方法として、一般的な手法として、真空蒸着などの公知の手段を用いて、相対する面に励振電極を形成し、この励振電極を両側縁部へ導き出すようにし、その後、水晶片の両側縁部をベースとした部分に設けた一対の端子の先端部に固着した保持部材で挟持し、ここに導電性接着剤などを塗布して固着し、機械的に保持し、励振電極と端子との電気的な接続を行っている。その後、電極金属の形成過程において、蒸着もしくはスパッタ法を用いて、金や銀などの電極材料を用いて、均質で緻密な薄膜を形成する。
本発明では、上記金属の他に、本発明の効果を損なわない範囲内で他の成分(有機成分、金属塩等)が含まれていても差し支えない。
水晶振動子電極表面を鏡面加工することにより鏡面状態とした場合、水分子(水分)の物理吸着が、一般的な電極表面状態よりも著しく低下する。その結果、対象ガスに水分が含まれている場合であっても水分の影響を排除することができる。したがって、電極表面を鏡面加工することが好ましい。
水晶振動子の電極表面を鏡面加工する方法として、公知の事実を利用した加工法を利用することが可能である。一例として、水晶片の板面を、所望の共振周波数に応じた厚みに研磨して水晶振動子素子を作製するが、その際に水晶片(板)の表面状態(表面粗さ)は、最大高さが、好ましくは0.06μm以下のものである。
このような条件で製作された水晶片(板)に対して、蒸着もしくはスパッタ法など公知の事実を用いて、金や銀などの最適な金属を水晶振動子板に均質で緻密な薄膜として電極を作製し、水晶振動子素子とする。この素子の電極表面の加工に関しては、公知の事実によって製造・製法されるもので構わない。
一例としての次表のように、このような条件で製作した水晶振動子(鏡面)と、一般的な作成法で製作した水晶振動子(粗面)の電極表面形状の違いによる湿度(水分子)の影響として、鏡面加工の素子はほとんど水分の影響を受けないことが示された。
Figure 0004822284
本発明の水銀と電極金属との合金反応による周波数変化が水銀濃度変化に応じて変化する理由として以下の機構が考えられる。気化した、または水晶振動子の電極金属と容易に反応可能な状態にある場合、電極金属と水銀が化学反応によって合金を作る反応の過程において、電極金属の重量変化(金属膜厚が増大)が生じ、それに伴って比例的に周波数変化が増大する。
本発明のような水晶振動子による測定法では、電極上での重量変化を周波数変化という形態で数値化されているため、分析者毎の生じる測定値の読み取り誤差は著しく小さくできる。しかも、水晶振動子は電気機器などに使用されている汎用品であり、携帯型の小型、低価格の測定器が製作可能である。
水晶振動子による従来の測定手段として、これまでポリアミド等や脂質、アミン系などの有機系または高分子系膜を検知膜として利用する手法がある。しかし、これらの物質を検知膜とした使用した水晶振動子による測定法では、測定対象物としての水銀以外の測定対象中に含まれるガスや水分(水分子)でも吸着反応(主に物理吸着)が起こるため、水銀だけを選択的に測定することが非常に困難であり、高感度かつ選択的な測定を実現することは難しい状況であった。
これに対し、金や銀など水晶振動子の電極材料との合金反応を利用した測定法では、検知膜を作製するための工程を大幅に省略することが可能であり、測定対象試料中に含まれる水銀以外のガスによる吸着反応もほとんど起こらないため、高効率かつ水銀のみを選択的に検知、測定することが可能になる。
水銀の含有量は以下のようにして行う。
水銀含有量測定装置には、前記水銀含有量測定素子が電極を介して周波数電極に水銀が吸着されることによる水銀含有量測定素子の周波数を測定する周波数測定装置を接続する。
その測定結果より水銀の含有量を定めることができる。
又、水銀の含有量を定めるには以下のようにする。
特定量の気体状の水銀を含む気体による前記電極表面に水銀が吸着されることによる水銀含有量測定素子の周波数を測定する周波数測定装置により測定し、その測定結果から水銀含有量と発振周波数変化の関係を予め求めて、この関係を記憶し、気体状の水銀を含む気体による前記電極表面に水銀が吸着されることによる水銀含有量測定素子の周波数を測定する周波数測定装置により、発振周波数変化を測定し、前記水銀含有量と発振周波数変化の関係から水銀含有量を算出する。
又、以下のようにして測定することも行われる。
気体状の水銀を含む気体による前記電極表面に水銀が吸着されることによる水銀含有量測定素子の周波数を測定する周波数測定装置により測定し、その測定結果を記憶させた結果と、気体状の水銀を含まない気体による前記電極表面に水銀が吸着されていないときの周波数を測定する周波数測定装置に測定し、その測定結果を記憶させた結果より、周波数の変化を求め水銀の含有量を算出する。
測定対象である水銀は気体で水銀含有量測定装置に供給される場合には、前記の水銀含有量測定装置を用いることができる。しかしながら、土壌や地下水中に含まれる水銀を測定する場合、含まれる水銀は水銀単体で存在するほか、塩化物や硫化物等無機水銀の状態である場合や有機水銀として存在するなど、水銀は多様な性状で存在する。
そのような無機水銀や有機水銀を測定する場合は、従来から知られている気化手法(バブリング)を適用しても水銀は全て気体に変化させることができず、高感度に測定することは困難である。
このような場合は、無機水銀や有機水銀を還元して水銀単体の状態とする前処理を行うことが必要である。
還元方法としては、以下の方法を適用することができる。還元法の一例を紹介する。始めに、試料のpHを1.0〜11.5の範囲に調整する。次に、硫化物イオンの影響を抑えるために、容量分析用として利用されている水酸化ナトリウム溶液、好ましくは5mol/Lの適当な任意の量の試薬を試料に対して使用する。その後、その試料に対して硫酸銅や塩化スズを還元効率が良い任意の試薬濃度溶液として利用する。この場合、好ましくは塩化スズは0.7mol/L、硫酸銅は0.01mol/L、硫酸は0.25mol/Lの濃度である。なお、この濃度以外でも還元反応に対して支障がない範囲であればよい。
水銀を検知する場合、前記した水銀を気化させてから測定する方法による測定によらず、水晶振動子の電極金属と容易に反応が可能な構造で、かつ反応による重量変化(周波数変化)を検知可能であればよい。これらの構造および手法は、公知の事実を利用することが可能である。
水銀の含有量を測定する場合において、水晶振動子の電極材料との合金反応を利用した測定法において、環境の影響、特に温度や湿度の影響を受ける場合がある。前記したように、湿度の影響を受けないようにするためには、鏡面加工された素子を用いる。
このような場合は、以下の手段により補正することができる。公知の事実を利用してその影響を除去することも可能である。一例として、公知の事実の原理としての白金温度センサーやサーミスタによる温度センサー、鏡面加工された素子を用いて影響を受けないようにした上でさらに、高分子膜やセラミックを利用した湿度センサーからの信号をもとに、水晶振動子の電極材料との合金反応を利用した測定法によって得られた出力から差分または平衡変化等の公知の演算によって、水晶振動子の電極材料との合金反応のみの出力を得る手法である。この他に、同様な公知の事実による水晶振動子による温度センサー、湿度センサーの発振周波数変化から周波数の差分等による公知の事実の演算によって、水晶振動子の電極材料との合金反応のみの出力を得る手法もある。
以下に具体例で本発明を説明する。本発明はこれに限定されるものではない。
図1を参照して本発明の一実施形態を説明する。この場合、実験室内において密閉瓶に水銀を入れ空気(窒素)によって任意の一定濃度の気化した水銀を発生させることによって測定を行う例を示している。
今回の実験では、吸引ポンプ6や発振周波数測定器7等、実験時に温度の影響を無視できる機器以外は、一定の温度状態を保持可能な市販の恒温装置(槽)3を利用して実験を行った。特に、より安定した測定を行う場合などは、水晶振動子の振動周波数を安定した一定の信号として得るため、加熱及び/または冷却が可能な恒温装置(槽)3を使用して温度を制御する構造が望ましい。
供給用ガス(空気)として、今回は市販の窒素を用いた。
まず、窒素をテトラバック等の密封容器1に適量封入し、水銀が入っている密封瓶2に接続されている。ここで、水銀が入っている密封瓶内では、恒温装置3の温度に依存した飽和水銀濃度となっている。そこで、この飽和した状態の気化した水銀は、測定を行うための水晶振動子素子が設置されたQCM測定部4と接続されている。その後段には、検量を行うための水銀測定用ガス検知管5が接続され、さらに外部に置かれた吸引ポンプ6に接続されている。水銀濃度を測定するためには、吸引ポンプ6は、吸引手法によって、窒素が適量封入された密封容器1を接続した水銀が入っている密封瓶2から適量の気化した水銀が接続パイプを経由してQCM測定部4で水晶振動子の電極金属と合金反応によって重量変化が生じ、発振周波数測定器7でその変化量を周波数変化に変換して測定する原理である。なお、その周波数変化は公知の測定器としてのカウンター等によっても測定が可能である。さらに、必要に応じてパーソナルコンピュータと接続することで測定結果をリアルタイムで表示、記録することが可能である。
一例として、今回ここで使用した金電極素子は、ATカット、9MHzのものである。ここで、水銀が水晶振動子の電極金属(金)と合金反応によって重量変化が生じ、発振周波数変化した値と、実際の水銀濃度を比較するため、QCM測定部4の後段に接続されたガス検知管の指示値を読み取り求めた。ガス検知管の指示値の読み取りは実験終了後、またはその途中など実験に影響を及ぼさない方法で行う。また、ガス検知管は測定原理上、温度や測定流量によって読み取り値の補正が必要であるため、公知のデータに従って補正を行う。さらに、任意の水銀濃度を得るために、密閉瓶2とQCM測定部4の間に、窒素をテトラバック等の密封容器8に適量封入、または外部の窒素ボンベ等から供給するなど実験に影響を及ぼさない工程とし、流量計9によって一定の流量で気化した水銀と混合する混合部分10において任意の水銀濃度に希釈する。なお、必ずしもこのような希釈する構造である必要はなく、実験に影響がない範囲で公知の最適な任意の手法によって希釈することも可能である。
前記のようにして構成した測定装置に、ここでは水銀濃度5mg/m3、実験温度10℃、吸引時間90秒、水晶振動子の基本発振周波数9MHzの素子を用いて測定を行った。
次表にその結果を示すが、金や銀電極を除いた金属素子の発振周波数変化はごく僅かであった。しかし、金電極素子を使用した場合、73Hz、銀電極素子を使用した場合、11Hz程度(基本周波数9MHz、10℃)の検知感度が得られた。
Figure 0004822284
また、前記の構成の測定装置に、ここでは水銀濃度0〜0.3mg/m3、実験温度0℃、吸引時間600秒、水晶振動子の基本発振周波数9MHzの金電極素子を用いて測定を行った。その結果、ガス検知管の読取値(水銀濃度)と発振周波数変化の間には比例関係が成り立つことが分かり、これから水晶振動子の金属電極と水銀の合金反応を利用した水銀濃度測定が可能であることが分かった。(図2)
本発明の一実施形態による水銀濃度測定手法の構成を示す概念図である。 水銀濃度(ガス検知管読取値)と金電極素子を用いた測定結果の検量線の例を示すグラフである。
符号の説明
1 密閉容器(テトラバック)
2 密閉瓶
3 恒温装置(槽)
4 QCM測定部(水晶振動子素子設置)
5 ガス検知管(水銀測定用)
6 吸引ポンプ
7 発振周波数測定器(カウンター)
8 密閉容器(テトラバック)
9 流量計
10 混合部分

Claims (6)

  1. 水晶振動子及びこれをはさんで両側に設置されている電極から構成され、その電極表面が水銀と合金(アマルガム)を形成する金属により被覆され、又は電極が水銀と合金(アマルガム)を形成する金属により構成され、かつ、被覆された電極表面若しくは電極表面が鏡面加工されていることを特徴とする水銀含有量測定素子。
  2. 前記の鏡面加工が、少なくとも0.06μm以下の粗さであることを特徴とする請求項1記載の水銀含有量測定素子。
  3. 前記水銀と合金(アマルガム)を形成する金属が金又は銀であることを特徴とする請求項1又は2記載の水銀含有量測定素子。
  4. 請求項1〜3いずれか1項に記載の水銀含有量測定素子が、電極表面に水銀が吸着されることによる水銀含有量測定素子の周波数を測定する周波数測定装置に接続していることを特徴とする水銀含有量測定装置。
  5. 特定量の気体状の水銀を含む気体による前記電極表面に水銀が吸着されることによる水銀含有量測定素子の周波数を測定する周波数測定装置により測定し、その測定結果から水銀含有量と発振周波数変化の関係を予め求めて、この関係を記憶し、及び気体状の水銀を含まない純粋な気体による前記電極表面に水銀が吸着されていないときの周波数を測定する周波数測定装置により測定し、その測定結果を記憶し、測定対象の気体状の水銀を含む気体による前記電極表面に水銀が吸着されることにより変化した水銀含有量測定素子の周波数を測定する周波数測定装置により、発振周波数変化を測定し、前記水銀含有量と発振周波数変化の関係、及び純粋な気体による水銀が吸着されていないときの周波数を参照し、気体状の水銀を含む気体と前記水銀含有量測定装置の水銀含有量測定素子とを接触させて水銀含有量を算出することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の水銀含有量測定素子を含む水銀含有量測定方法
  6. 前記水銀を含む気体は、無機水銀や有機水銀を還元して水銀単体の状態としたのち気体状としたものであることを特徴とする請求項5記載の水銀含有量測定方法。
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