上記のデータ更新システムでは、交通情報等の比較的情報量が少ないデータの更新を行うシステムである。そのため、サーバ装置(センタ装置)側において上記のように差分データを生成してナビゲーション装置(端末装置)に送信すれば、ナビゲーション装置側では、既存のデータを差分データに書き換えること等により、比較的容易にデータの更新を行うことが可能である。また、情報量が少なく比較的短時間でデータの更新を行うことが可能であるため、更新用の差分データ(差分情報)を受信してから比較的短時間で、当該差分データに基づく更新後の新しい情報をユーザに提供することが可能である。
しかしながら、ナビゲーション装置において用いる道路ネットワークデータを含む地図データベース等のように、データ量が多く、更に各データ同士が複雑に関連しているデータベースの更新を行う場合には、受信した差分データを用いてデータベースを更新することは容易ではない。すなわち、そのような複雑なデータでは、一つのデータを変更するために関連して変更が必要となるデータの数が多くなるため、差分データに含まれるデータ数も多くなる。また、そのような差分データに基づいてデータベースを更新するためには、差分データに含まれる多数のデータに対応する更新前のデータを、データ量が多いデータベースの中から抽出する必要がある。この際、例えば、道路ネットワークデータを格納したデータベースを更新する場合には、各データが道路ネットワークの接続順に配列されているため、差分データに含まれる各データを容易に抽出することができないため、端末装置における更新処理が非常に複雑で時間を要するものになるという問題があった。したがって、これまでは、ナビゲーション装置において用いる地図データベース等の複雑なデータベースの更新に際しては、差分更新を行わずに全データを書き換えて更新することが一般的であった。しかし、そのような方法では、更新のために必要なデータ量が膨大になるため、通信ネットワーク等を介して端末装置に更新用データを送信することが困難となる。したがって、頻繁にデータを更新することが容易でなく、高鮮度のデータを継続的に端末装置に提供することが困難であるという問題があった。
一方、ナビゲーション装置において、例えば地図データベースの差分更新を容易にするために、差分更新用のデータベースを備える構成とした場合、当該データベースの差分更新処理は比較的容易なものとすることができる。しかし、そのような構成とした場合であっても、前記差分更新用のデータベースに基づいて、動作プログラムによる参照用のデータベースを更新する際には、更新すべきデータ量が多く、全てのデータを更新するまでに長い時間を要する。そのため、差分更新用のデータベースを更新してから、参照用のデータベースを更新して当該更新後のデータベースに基づく新しい情報をユーザに提供するまでに比較的長い時間を要することになるという問題が生じ得る。
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、例えば道路ネットワークデータを含む地図データベース等のように、データ量が多く、各データ同士が複雑に関連しているデータベースの差分更新を容易に行うことを可能としつつ、当該差分更新の後に比較的短時間で更新後のデータベースに基づく新しい情報をユーザに提供することが可能なデータ更新システム、及びそのデータ更新システムに用いられる端末装置、サーバ装置、並びにデータ更新方法を提供することにある。
上記目的を達成するための本発明に係る、所定の動作プログラムに従って動作するナビゲーション装置と、このナビゲーション装置にデータベース更新用の差分データファイルを提供するサーバ装置とを有するデータ更新システムの特徴構成は、前記ナビゲーション装置が、前記動作プログラムにより参照される参照用データ形式とは異なる更新用データ形式で構成され、前記差分データファイルにより更新されるローカル保存データベースと、前記ローカル保存データベースの更新後に、前記ローカル保存データベースに格納されているグループ化された複数のデータについて、前記動作プログラムの動作状態に応じて変換優先度を決定する優先度決定手段と、前記ローカル保存データベースに格納されているデータを前記変換優先度に応じた順序で前記参照用データ形式に変換する変換手段と、を備え、前記サーバ装置が、前記ナビゲーション装置に提供するための前記差分データファイルを出力する差分データファイル出力手段を備え、前記優先度決定手段は、前記動作プログラムに従って案内経路が設定されている場合には、当該案内経路に関するデータの前記変換優先度を他のデータに対して高くする点にある。
この特徴構成によれば、前記ナビゲーション装置が、差分データファイルによる更新に適した更新用データ形式で構成されるローカル保存データベースを備え、このローカル保存データベースを差分データファイルにより更新する構成としているので、データ量が多く、各データ同士が複雑に関連しているデータベースであっても、差分更新を比較的容易に行うことが可能となる。したがって、差分データファイルにより頻繁にデータを更新することが容易になり、高鮮度のデータを継続的に前記ナビゲーション装置に提供することが可能となる。また、前記ローカル保存データベースのデータは前記変換手段により、前記動作プログラムによる参照に適した参照用データ形式に変換されて利用されるので、前記ローカル保存データベースのデータ形式を更新用データ形式としたことによる前記動作プログラムの動作への影響を抑制できる。更に、前記ローカル保存データベースの更新後に、前記変換優先度に応じた順序で前記ローカル保存データベースのデータを参照用データ形式に変換するので、前記変換優先度が高いデータを他のデータより先に参照用データ形式に変換して前記動作プログラムにより参照可能な状態とすることができる。したがって、前記動作プログラムの動作状態に応じて適切に変換優先度を決定することにより、例えば設定された案内経路や自位置周辺の案内等に関するユーザが必要とする情報について、更新後の情報を、前記ローカル保存データベースの差分更新から比較的短時間で提供することが可能となる。
更に、上記の構成によれば、前記動作プログラムに従って案内経路が設定されている場合に、当該案内経路に関するデータを他のデータより先に参照用データ形式に変換して前記動作プログラムにより参照可能な状態とすることができる。したがって、ナビゲーション装置において案内経路が設定されている場合に必要性が高い、当該設定経路の案内のために用いられる情報に関して、更新後の情報を、前記ローカル保存データベースの差分更新から比較的短時間で提供することができる。
また、前記優先度決定手段は、前記動作プログラムに従って案内経路が設定されていない場合には、自位置周辺の案内に要するデータの前記変換優先度を他のデータに対して高くすると好適である。
これにより、前記動作プログラムに従って案内経路が設定されていない場合に、自位置周辺の案内に要するデータを他のデータより先に参照用データ形式に変換して前記動作プログラムにより参照可能な状態とすることができる。したがって、ナビゲーション装置において案内経路が設定されていない場合に必要性が高い、自位置周辺の案内のために用いられる情報に関して、更新後の情報を、前記ローカル保存データベースの差分更新から比較的短時間で提供することができる。
また、前記ナビゲーション装置は、前記動作プログラムにより参照される参照用データ形式のデータが格納される参照データベースと、前記変換手段による変換後のデータにより前記参照データベースを更新する参照データベース更新手段を備える構成とすると好適である。
このように構成すれば、前記動作プログラムは、基本的には参照用データ形式のデータが格納された参照データベースを参照して動作することができる。したがって、前記動作プログラムにより参照する全てのデータを、当該参照の度に前記変換手段により変換する場合と比較して、前記変換手段による処理負荷を軽減できる。また、前記差分データファイルにより更新される前記ローカル保存データベースの内容に合わせて、前記参照データベースの内容を更新することができる。
また、前記参照データベース更新手段は、前記変換優先度が所定レベルより高いデータについて前記変換手段による変換後に優先的に前記参照データベースを更新し、前記変換優先度がそれより低いデータについては、前記動作プログラムに従った案内動作と並行して前記参照データベースを更新する構成とすると好適である。
なお、本願では「案内動作」には、自位置表示、出発地から目的地までの経路計算、目的地までの進路案内、目的地検索等のナビゲーション装置の案内機能に関する全ての動作が含まれる。
このように構成すれば、前記変換優先度が所定レベルより高いデータについて優先的に前記参照データベースが更新されることになる。したがって、例えば設定された案内経路や自位置周辺の案内等に関するユーザが必要とする情報を構成するデータの変換優先度を前記所定レベル以上に設定することにより、それらに関する更新後の情報を、前記ローカル保存データベースの差分更新から比較的短時間で参照データベースに反映させ、ユーザに提供することが可能となる。一方、前記変換優先度がそれより低いデータについては、前記動作プログラムに従った案内動作を妨げないように、当該案内動作と並行して前記参照データベースを更新する。したがって、最終的には差分データファイルにより更新された全てのデータに関してその内容を参照データベースに反映させることができる。
また、前記ローカル保存データベースに格納されているデータは道路ネットワークデータを含み、前記参照用データ形式は、前記道路ネットワークデータに関して、これを構成する各データが道路ネットワークの接続順に配列されたデータ形式であり、前記更新用データ形式は、前記道路ネットワークデータに関して、これを構成する各データがデータ種別順に配列されたデータ形式である構成とすると好適である。
このように構成すれば、前記ローカル保存データベースのデータ形式を前記差分データファイルによる更新に適した形式としつつ、前記変換手段による変換後のデータを前記ナビゲーション装置の動作プログラムによる参照に適した形式とすることができる。したがって、データ量が多く、更に各データ同士が複雑に関連している道路ネットワークデータの差分更新を比較的容易に行うことが可能となるとともに、前記動作プログラムの動作への影響を抑制でき、ナビゲーション装置の動作性能を確保することが可能となる。
また、前記差分データファイルは、更新の態様を表すデータと、更新対象となる部分の道路ネットワークデータとを含み、更新対象となる部分の道路ネットワークデータは、データ種別順に配列されたデータ形式で構成されていると好適である。
このように構成すれば、更新対象となる実体データが更新態様毎に分けられた上で、前記ローカル保存データベースの更新用データ形式と同様に、データ種別順に配列されたデータ形式となっているので、前記差分データファイルによる前記ローカル保存データベースの差分更新の処理を比較的容易に行うことが可能となる。
また、前記ローカル保存データベースに格納されているデータは、道路ネットワークデータと、複数組の出発地域から目的地域までの間の経路を予め計算した結果の事前経路計算データとを含み、前記差分データファイルは、更新の態様を表すデータと、更新対象となる部分の道路ネットワークデータと、更新対象となる部分の前記事前経路計算データとを含む構成とすると好適である。
なお、本願では、「出発地域」及び「目的地域」の「地域」は、ある程度の広がりを有する面としての地域に限定されず、一の地点又は二以上の地点の集合をも含む概念として用いることとする。
このように構成すれば、前記道路ネットワークデータに加えて、複数組の出発地域から目的地域までの間の経路を予め計算した結果の事前経路計算データに関しても、前記ローカル保存データベースの差分更新が可能となる。
また、前記優先度決定手段は、前記事前経路計算データについては、前記動作プログラムに従って案内経路が設定されている場合には、当該案内経路の出発地域と目的地域とを結ぶデータの前記変換優先度を他のデータに対して高くすると好適である。
このように構成すれば、ナビゲーション装置が前記事前経路計算データを備える場合であって前記動作プログラムに従って案内経路が設定されている場合に、当該案内経路に関する事前経路計算データを他の事前経路計算データより先に参照用データ形式に変換して前記動作プログラムにより参照可能な状態とすることができる。したがって、ナビゲーション装置において案内経路が設定されている場合に必要性が高い事前経路計算データを、前記ローカル保存データベースの差分更新から比較的短時間で利用可能な状態にすることができる。
また、前記サーバ装置は、前記ローカル保存データベースと同じ内容を有する対照用ローカル保存データベースと、新規データの入力を受け付ける新規データ受付手段と、前記対照用ローカル保存データベースと前記新規データとに基づいて前記差分データファイルを生成する差分データファイル生成手段と、を備える構成とすると好適である。
このように構成すれば、前記サーバ装置において、入力された新規データに基づいて、前記ナビゲーション装置のローカル保存データベースの内容を基準とする差分データファイルを容易に生成することができる。
また、前記サーバ装置は、前記対照用ローカル保存データベースと前記新規データとに基づいて、前記対照用ローカル保存データベースと同じデータ形式であって前記新規データの内容で更新された新ローカル保存データベースを生成する新ローカル保存データベース生成手段を更に備え、前記差分データファイル生成手段は、前記対照用ローカル保存データベースと前記新ローカル保存データベースとの差分に基づいて前記差分データファイルを生成する構成とすると好適である。
このように構成すれば、前記ナビゲーション装置が備える前記ローカル保存データベースと同じデータ形式の更新前と更新後のデータベースに基づいて差分データファイルを生成するので、前記ローカル保存データベースの更新に適した形式の差分データファイルを比較的容易に生成することができる。
また、本発明に係る、サーバ装置からデータベース更新用の差分データファイルの提供を受けるとともに、所定の動作プログラムに従って動作するナビゲーション装置の特徴構成は、前記動作プログラムにより参照される参照用データ形式とは異なる更新用データ形式で構成され、前記差分データファイルにより更新されるローカル保存データベースと、前記ローカル保存データベースの更新後に、前記ローカル保存データベースに格納されているグループ化された複数のデータについて、前記動作プログラムの動作状態に応じて変換優先度を決定する優先度決定手段と、前記ローカル保存データベースに格納されているデータを前記変換優先度に応じた順序で前記参照用データ形式に変換する変換手段と、を備え、前記優先度決定手段は、前記動作プログラムに従って案内経路が設定されている場合には、当該案内経路に関するデータの前記変換優先度を他のデータに対して高くする点にある。
この特徴構成によれば、この特徴構成によれば、ナビゲーション装置は、差分データファイルによる更新に適した更新用データ形式で構成されるローカル保存データベースを備え、このローカル保存データベースを差分データファイルにより更新する構成としているので、データ量が多く、各データ同士が複雑に関連しているデータベースであっても、差分更新を比較的容易に行うことが可能となる。したがって、差分データファイルにより頻繁にデータを更新することが容易になり、高鮮度のデータを継続的に前記ナビゲーション装置に提供することが可能となる。また、前記ローカル保存データベースのデータは前記変換手段により、前記動作プログラムによる参照に適した参照用データ形式に変換されて利用されるので、前記ローカル保存データベースのデータ形式を更新用データ形式としたことによる前記動作プログラムの動作への影響を抑制できる。更に、前記ローカル保存データベースの更新後に、前記変換優先度に応じた順序で前記ローカル保存データベースのデータを参照用データ形式に変換するので、前記変換優先度が高いデータを他のデータより先に参照用データ形式に変換して前記動作プログラムにより参照可能な状態とすることができる。したがって、前記動作プログラムの動作状態に応じて適切に変換優先度を決定することにより、例えば設定された案内経路や自位置周辺の案内等に関するユーザが必要とする情報について、更新後の情報を、前記ローカル保存データベースの差分更新から比較的短時間で提供することが可能となる。
ここで、上記のナビゲーション装置に関する各構成を更に付加すると好適である。なお、その場合の作用効果は、上記のとおりである。
また、本発明に係る、サーバ装置からナビゲーション装置に差分データファイルを提供してデータベースの更新を行うデータ更新方法の特徴構成は、前記サーバ装置と、所定の動作プログラムにより参照される参照用データ形式とは異なる更新用データ形式で構成されるローカル保存データベースを備える前記ナビゲーション装置とを用い、前記サーバ装置は、前記ナビゲーション装置に提供するための前記差分データファイルを出力し、前記ナビゲーション装置は、前記差分データファイルを受け付け、前記差分データファイルにより前記ローカル保存データベースを更新し、前記ローカル保存データベースの更新後に、前記ローカル保存データベースに格納されているグループ化された複数のデータについて、前記動作プログラムの動作状態に応じて変換優先度を決定し、前記ローカル保存データベースに格納されているデータを前記変換優先度に応じた順序で前記参照用データ形式に変換し、変換後のデータを前記動作プログラムにより参照可能にし、前記変換優先度の決定に際して、前記動作プログラムに従って案内経路が設定されている場合には、当該案内経路に関するデータの前記変換優先度を他のデータに対して高くする点にある。
この特徴構成によれば、前記ナビゲーション装置が、差分データファイルによる更新に適した更新用データ形式で構成されるローカル保存データベースを差分データファイルにより更新する構成としているので、データ量が多く、各データ同士が複雑に関連しているデータベースであっても、差分更新を比較的容易に行うことができる。したがって、差分データファイルにより頻繁にデータを更新することが容易になり、高鮮度のデータを継続的に前記ナビゲーション装置に提供することが可能となる。また、前記ローカル保存データベースのデータを参照用データ形式に変換して前記動作プログラムにより参照可能にするので、前記ローカル保存データベースのデータ形式を更新用データ形式としたことによる前記動作プログラムの動作への影響を抑制できる。更に、前記ローカル保存データベースの更新後に、前記変換優先度に応じた順序で前記ローカル保存データベースのデータを参照用データ形式に変換するので、前記変換優先度が高いデータを他のデータより先に参照用データ形式に変換して前記動作プログラムにより参照可能な状態とすることができる。したがって、前記動作プログラムの動作状態に応じて適切に変換優先度を決定することにより、例えば設定された案内経路や自位置周辺の案内等に関するユーザが必要とする情報について、更新後の情報を、前記ローカル保存データベースの差分更新から比較的短時間で提供することが可能となる。
更に、上記の構成によれば、前記動作プログラムに従って案内経路が設定されている場合に、当該案内経路に関するデータを他のデータより先に参照用データ形式に変換して前記動作プログラムにより参照可能な状態とすることができる。したがって、ナビゲーション装置において案内経路が設定されている場合に必要性が高い、当該設定経路の案内のために用いられる情報に関して、更新後の情報を、前記ローカル保存データベースの差分更新から比較的短時間で提供することができる。
また、前記動作プログラムに従って案内経路が設定されていない場合には、自位置周辺の案内に要するデータの前記変換優先度を他のデータに対して高くすると好適である。
このように構成すれば、前記動作プログラムに従って案内経路が設定されていない場合に、自位置周辺の案内に要するデータを他のデータより先に参照用データ形式に変換して前記動作プログラムにより参照可能な状態とすることができる。したがって、ナビゲーション装置において案内経路が設定されていない場合に必要性が高い、自位置周辺の案内のために用いられる情報に関して、更新後の情報を、前記ローカル保存データベースの差分更新から比較的短時間で提供することができる。
また、前記ナビゲーション装置は、前記動作プログラムにより参照される参照用データ形式のデータが格納される参照データベースを備え、前記参照用データ形式への変換後のデータにより前記参照データベースを更新する構成とすると好適である。
このように構成すれば、前記動作プログラムは、基本的には参照用データ形式のデータが格納された参照データベースを参照して動作することができる。したがって、前記動作プログラムにより参照する全てのデータを、当該参照の度に前記参照用データ形式に変換する場合と比較して、当該変換のための処理負荷を軽減できる。また、前記差分データファイルにより更新される前記ローカル保存データベースの内容に合わせて、前記参照データベースの内容を更新することができる。
また、前記変換優先度が所定レベルより高いデータについて前記参照用データ形式への変換後に優先的に前記参照データベースを更新し、前記変換優先度がそれより低いデータについては、前記動作プログラムに従った案内動作と並行して前記参照データベースを更新する構成とすると好適である。
このように構成すれば、前記変換優先度が所定レベルより高いデータについて優先的に前記参照データベースが更新されることになる。したがって、例えば設定された案内経路や自位置周辺の案内等に関するユーザが必要とする情報を構成するデータの変換優先度を前記所定レベル以上に設定することにより、それらに関する更新後の情報を、前記ローカル保存データベースの差分更新から比較的短時間で参照データベースに反映させ、ユーザに提供することが可能となる。一方、前記変換優先度がそれより低いデータについては、前記動作プログラムに従った案内動作を妨げないように、当該案内動作と並行して前記参照データベースを更新する。したがって、最終的には差分データファイルにより更新された全てのデータに関してその内容を参照データベースに反映させることができる。
また、前記ローカル保存データベースに格納されているデータは、道路ネットワークデータと、複数組の出発地域から目的地域までの間の経路を予め計算した結果の事前経路計算データとを含み、前記事前経路計算データについては、前記動作プログラムに従って案内経路が設定されている場合には、当該案内経路の出発地域と目的地域とを結ぶデータの前記変換優先度を他のデータに対して高くする構成とすると好適である。
このように構成すれば、ナビゲーション装置が前記事前経路計算データを備える場合であって前記動作プログラムに従って案内経路が設定されている場合に、当該案内経路に関する事前経路計算データを他の事前経路計算データより先に参照用データ形式に変換して前記動作プログラムにより参照可能な状態とすることができる。したがって、ナビゲーション装置において案内経路が設定されている場合に必要性が高い事前経路計算データを、前記ローカル保存データベースの差分更新から比較的短時間で利用可能な状態にすることができる。
また、前記サーバ装置は、前記ローカル保存データベースと同じ内容を有する対照用ローカル保存データベースを備え、新規データの入力を受け付け、前記対照用ローカル保存データベースと前記新規データとに基づいて前記差分データファイルを生成する構成とすると好適である。
このように構成すれば、前記サーバ装置において、入力された新規データに基づいて、前記ナビゲーション装置のローカル保存データベースの内容を基準とする差分データファイルを容易に生成することができる。
また、前記サーバ装置は、前記対照用ローカル保存データベースと前記新規データとに基づいて、前記対照用ローカル保存データベースと同じデータ形式であって前記新規データの内容で更新された新ローカル保存データベースを生成し、前記対照用ローカル保存データベースと前記新ローカル保存データベースとの差分に基づいて前記差分データファイルを生成する構成とすると好適である。
このように構成すれば、前記ナビゲーション装置が備える前記ローカル保存データベースと同じデータ形式の更新前と更新後のデータベースに基づいて差分データファイルを生成するので、前記ローカル保存データベースの更新に適した形式の差分データファイルを比較的容易に生成することができる。
本発明の実施形態について図面に基づいて説明する。図1は、本実施形態に係るデータ更新システムの全体の構成を模式的に示すブロック図である。本実施形態においては、データ更新システムは、差分データ生成サーバ2により生成された差分データファイルDfを差分データ配信サーバ3からナビゲーション装置1に提供し、ナビゲーション用の地図データベースとしての参照データベース19の更新を行うシステムとなっている。そのため、本実施形態に係るデータ更新システムは、主な構成として、ナビゲーション装置1と、差分データ生成サーバ2と、差分データ配信サーバ3と、を有している。ここで、差分データ生成サーバ2及び差分データ配信サーバ3が本発明におけるサーバ装置を構成する。
ここで、ナビゲーション装置1、差分データ生成サーバ2、及び差分データ配信サーバ3を構成する各手段は、CPU等の演算処理装置を中核部材として、入力されたデータに対して種々の処理を行うための機能部がハードウエア又はソフトウエア(プログラム)或いはその両方で実装されて構成されている。また、ナビゲーション装置1、差分データ生成サーバ2、及び差分データ配信サーバ3が備える各データベースは、例えば、ハードディスクドライブ、フラッシュメモリ等の書き換え可能な記憶媒体とその駆動手段とを有する装置をハードウエア構成として備えている。なお、本願の各図においては、簡略化のために「データベース」は「DB」と省略して表すこととする。以下、各装置の構成について順に説明する。
1.ナビゲーション装置1の案内機能を実現するための構成
ナビゲーション装置1は、自位置表示、出発地から目的地までの経路計算、目的地までの進路案内、目的地検索等のナビゲーション装置1としての基本的な案内機能を実現するための構成として、ナビゲーション用演算手段20、参照データベース19、自位置検出手段21、ドライバ22、表示操作部23、及び音声出力部24を備えている。
ナビゲーション用演算手段20は、動作プログラムとしてのナビゲーションプログラムPGに従って動作する演算処理手段である。図2は、ナビゲーションプログラムPGの構成を模式的に示す図である。この図に示すように、ナビゲーションプログラムPGは、複数のアプリケーションプログラムPG1〜PG5を有して構成される。本実施形態では、ナビゲーションプログラムPGは、経路計算プログラムPG1、マップマッチングプログラムPG2、表示プログラムPG3、案内プログラムPG4、及び検索プログラムPG5の5つのアプリケーションプログラムを有している。ここで、経路計算プログラムPG1は、例えば自位置等の出発地から表示操作部23により入力された目的地までの案内経路等を探索する経路計算を行うためのプログラムである。マップマッチングプログラムPG2は、自位置検出手段21により検出された自位置を地図の道路上に合わせるマップマッチング処理を行うためのプログラムである。表示プログラムPG3は、表示操作部23の表示画面に自位置や目的地等の周辺の地図表示や当該地図上への自位置表示等を行うためのプログラムである。案内プログラムPG4は、経路計算プログラムPG1により決定された目的地までの経路に従って、表示操作部23の表示画面による案内表示や音声出力部24による音声案内等により、ユーザに対して適切な進路を案内する処理を行うためのプログラムである。検索プログラムPG5は、目的地や地図表示のための地点等を、住所、電話番号、施設名称、ジャンル等に基づいて検索するためのプログラムである。なお、経路計算プログラムPG1による経路計算処理の概要については後に説明する。またその他の各アプリケーションプログラムPG2〜PG5によるナビゲーション装置1の動作処理は公知であるので詳細な説明は省略する。そして、これらの各アプリケーションプログラムPG1〜PG5において、道路ネットワークデータRn及び事前経路計算データPr等の参照データベース19に格納されたデータ(情報)が用いられる。
参照データベース19は、ナビゲーション装置1の上記基本的な案内機能を実現するために、ナビゲーションプログラムPGにより参照される参照用データ形式のデータが格納されているデータベースであり、道路ネットワークデータRn及び事前経路計算データPr等のナビゲーション用の地図データが格納されている。本実施形態では、参照データベース19は、道路ネットワークデータRn及び事前経路計算データPrを含むナビゲーション用の地図データベースとして機能する。また、この参照データベース19は、ナビゲーションプログラムPGを構成する複数の機能毎のアプリケーションプログラムに応じて、複数のアプリケーションプログラム用データベースを備えている。図3は、この参照データベース19の構造の例を示す説明図である。この図に示すように、参照データベース19に格納されている道路ネットワークデータRn及び事前経路計算データPr等の各データは、各アプリケーションプログラムPG1〜PG5に応じて格納されており、それぞれがアプリケーションプログラム用データベース(以下、簡略化のため「アプリ用データベース」とする。)19a〜19eとなっている。すなわち、本実施形態においては、参照データベース19内には、経路計算プログラム用データベース19a、マップマッチングプログラム用データベース19b、表示プログラム用データベース19c、案内プログラム用データベース19d、及び検索プログラム用データベース19eが格納されている。
図3では一部を省略しているが、各アプリ用データベース19a〜19eのそれぞれに、各アプリケーションプログラムPG1〜PG5に応じた参照用データ形式の道路ネットワークデータRnが少なくとも格納されている。また、経路計算プログラム用データベース19aには、道路ネットワークデータRnに関連して、事前経路計算データPrが格納されている。この事前経路計算データPrの内容に関しては、後に詳細に説明する。更に、図示は省略するが、各アプリ用データベース19a〜19eには、道路ネットワークデータRn及び事前経路計算データPr以外にも、各アプリケーションプログラムPG1〜PG5で用いる、表示、案内、検索等のための各種のデータ(案内用データ)が格納されている。これらのデータは、具体的には、画像データ、音声データ、POI(Point of Interest)データ等を含んで構成され、各データが、道路ネットワークデータRnに含まれるリンクやノード等(図5参照)に関するデータに関連付けられて格納されている。
図3に示すように、本実施形態では、参照データベース19内の各アプリ用データベース19a〜19eの道路ネットワークデータRnは、格納される道路情報の詳細度に応じて複数のレイヤ(階層)に分けられている。本例では、道路ネットワークデータRnは3つのレイヤを有しており、下位から上位に向かって順に、レイヤ1、レイヤ2、レイヤ3とする。ここで、下位のレイヤほど詳細な道路情報を含んでいる。具体的には、道路情報として格納される道路種別に関して、各レイヤには、例えば以下の道路種別の情報が格納されている。すなわち、レイヤ1には、a)高速道路及び有料道路、b)国道、c)県道、d)主要地方道、e)一般道路の情報が格納されている。レイヤ2には、e)一般道路の情報が除外され、a)高速道路及び有料道路、b)国道、c)県道、d)主要地方道の情報が格納されている。レイヤ3には、更にc)県道及びd)主要地方道の情報が除外され、a)高速道路及び有料道路、b)国道の情報が格納されている。
また、図3に示すように、各レイヤは、複数の区画に分割されている。この際、上位のレイヤほど、広い領域に対応した区画が設定されている。図4は、一つの区画の道路ネットワークデータRnの異なるレイヤ間での関係を示す図である。この図に示すように、上位のレイヤの一つの区画には、それより下位のレイヤの複数の区画に対応する領域が含まれる。そして、図3に示すように、各アプリ用データベース19a〜19eに格納されている道路ネットワークデータRnは、各レイヤを分割してなる複数の区画毎の道路ネットワークデータRnの集合で構成されている。各レイヤの各区画には、それぞれ異なる区画IDが付与されており、この区画IDにより、一つのレイヤの中の一つの区画の道路ネットワークデータRnを特定することが可能となっている。以下、単に「区画」というときには、各レイヤを分割してなる複数の区画のそれぞれを指すこととする。
図5は、各区画の道路ネットワークデータRnにより表される道路ネットワークの具体例を示す図である。この図に示す例では、リンク列A及びリンク列Bの2つのリンク列があり、各リンク列A、Bが、ノードA1〜A3、B1〜B3(図5の黒丸)と、2個のノード間を結ぶリンクA1、A2、B1、B2(図5の実線)と、各リンクの形状を規定する形状補間点群A1、A2、B1、B2(図5の白丸)とを有して構成されている。道路ネットワークデータRnは、これらの各リンク列を構成する情報を表すデータとなる。なお、リンク列AのノードA2と、リンク列BのノードB2とは、図5上では位置を異ならせて表しているが、同じ交差点を表すノードである。道路ネットワークデータRnでは、各ノードに対応するデータはリンク列A、B毎に管理されるため、同じ交差点を表すノードに対応するデータは、各リンク列A、B毎に備えられる。なお、そのようなノードに対応するデータには、同じ交差点を表す他のノードに対応するデータの配置情報が含まれる。
図6は、図5に示すような道路ネットワークを表す、参照用データ形式の道路ネットワークデータRnの構成の具体例を示す図である。この図に示すように、参照用データ形式は、各データが道路ネットワークの接続順に配列されたデータ形式となっている。本実施形態では、上記のとおり、各レイヤの各区画には、それぞれ異なる区画IDが付与されており、各区画の道路ネットワークデータRnには、対応する区画を示す区画IDデータが先頭に配置されている。また、この道路ネットワークデータRnは、これを構成する実体的なデータとして、交差点データ、接続データ、道路データ、及び形状データを有している。ここで、交差点データは、交差点を表すノードの座標情報、信号機や案内標識の有無等を表す交差点の属性情報、当該交差点(ノード)が複数のレイヤ(レイヤ1〜3)の何れのレイヤにまで含まれるかを示す階層情報等を含んでいる。接続データは、交差点を表すノードにどの道路(リンク)が接続されているかの情報、交差点での進行方向に応じた案内の要否や規制の有無の情報等を含んでいる。道路データは、道路を表すリンクの両端ノードの情報、道路種別情報、幅員情報、車線数情報、当該道路(リンク)が複数のレイヤ(レイヤ1〜3)の何れのレイヤにまで含まれるかを示す階層情報等を含んでいる。形状データは、道路を表すリンクの形状を規定する形状補間点群の座標情報等を含んでいる。ところで、交差点データ及び道路データの階層情報に関して具体的に説明すると、本例では、a)高速道路及び有料道路、並びにb)国道に関する交差点(ノード)及び道路(リンク)のデータはレイヤ1〜3の全てに含まれ、c)県道、及びd)主要地方道に関する交差点(ノード)及び道路(リンク)のデータはレイヤ1及び2に含まれ、e)一般道路に関する交差点(ノード)及び道路(リンク)のデータはレイヤ1のみに含まれる。なお、これらの交差点データ、接続データ、道路データ、及び形状データと、後述するローカル保存データベース15に格納される更新用データ形式の道路ネットワークデータRnや差分データファイルDfに含まれる道路ネットワークデータRnに関連するデータにおける交差点データ、接続データ、道路データ、及び形状データとは、同種の内容を表すデータであるが、その具体的内容や配列等についてはある程度の相違がある。例えば、更新用データ形式の道路ネットワークデータRnにおける道路拡張データや交差点拡張データの内容は、参照データベース19に格納される道路ネットワークデータRnでは、独立の項目として分離されておらず、関連するデータ毎に交差点データ、接続データ、道路データ、及び形状データのいずれかに含まれている。
そして、これらの各データの配列は、道路ネットワークの接続順とされ、より具体的には、リンク列毎に各リンク列を構成するノード及びリンクの接続順とされている。例えば図5に示すリンク列Aを表すデータに関して説明すると、図6に示すように、先頭から、ノードA1に対応する交差点データA1及び接続データA1、ノードA1に接続するリンクA1に対応する道路データA1、リンクA1の形状補間点群A1に対応する形状データA1の順に配列されている。またその次には、リンクA1の他方端に接続するノードA2に対応する交差点データA2及び接続データA2、ノードA2に接続するリンクA2に対応する道路データA2、リンクA2の形状補間点群A2に対応する形状データA2の順に配列されている。また、リンク列B等の他のリンク列についても同様のデータ配列となっている。なお、各アプリ用データベース19a〜19eのいずれに格納されているかにより、道路ネットワークデータRnを構成する各データの具体的内容等は相違するが、図6に示すような分け方でのデータの配列に関してはいずれのアプリ用データベース19a〜19eについても同様となる。
ナビゲーション用演算手段20は、経路計算プログラムPG1に従い、上記のような道路ネットワークデータRnを用いて出発地から目的地までの経路計算を行う。図7は、経路計算プログラムPG1に従った経路計算処理の概略を説明するための説明図である。この図には、図中左下の出発地psから目的地pgまでの経路計算処理を行った場合の例を示している。この図に示すように、経路計算処理では、出発地psの周辺では、詳細な道路情報を含むレイヤ1の道路ネットワークデータRnを用いて、レイヤ2の道路ネットワークデータRnにも共通に含まれている交差点(ノード)p1に至るまでの経路が探索される。次に、レイヤ2の道路ネットワークデータRnを用いて、レイヤ3にも共通に含まれている交差点(ノード)p2に至るまでの経路が探索される。一方、目的地pgの周辺では、詳細な道路情報を含むレイヤ1の道路ネットワークデータRnを用いて、レイヤ2の道路ネットワークデータRnにも共通に含まれている交差点(ノード)p3に至るまでの経路が探索される。次に、レイヤ2の道路ネットワークデータRnを用いて、レイヤ3にも共通に含まれている交差点(ノード)p4に至るまでの経路が探索される。そして、レイヤ3の道路ネットワークデータRnを用いて、a)高速道路及び有料道路、並びにb)国道等の主要道路を探索対象として交差点(ノード)p2とp4とを結ぶ経路が探索される。以上のようにして、出発地psから目的地pgまでの経路計算処理が行われる。
事前経路計算データPrは、複数組の出発地域から目的地域までの間の経路を、経路計算プログラムPG1に従って予め計算した結果のデータである。本実施形態では、出発地域又は目的地域となる「地域」は、道路ネットワークデータRnにおけるレイヤ2の「区画」を単位とする。すなわち、出発地ps(図7参照)を含むレイヤ2の区画が出発地域となり、目的地pg(図7参照)を含むレイヤ2の区画が目的地域となる。そして、事前経路計算データPrは、レイヤ2の互いに隣接しない2つの区画間を結ぶ経路を、レイヤ3の道路ネットワークデータRn上において予め計算した結果のデータとする。
図8は、事前経路計算データPrの具体例を示す図である。この図に示すように、出発地域又は目的地域となるレイヤ2の区画A1と区画A2との間の事前経路計算データPrは、区画A1のレイヤ3にも共通に含まれている交差点(ノード)pcと、区画A2のレイヤ3にも共通に含まれている交差点(ノード)pdとをそれぞれ結ぶ経路をレイヤ3の道路ネットワークデータRnを用いて探索した結果の複数の経路が事前経路計算データPrとなる。図8に示す例では、区画A1にはレイヤ3にも共通に含まれている交差点(ノード)pcが2つ存在し、区画A2にはレイヤ3にも共通に含まれている交差点(ノード)pdが3つ存在するので、6つの経路が事前経路計算データPrとして計算される。但し、これら6本の経路は一部又は全部が他の経路と重複する場合もある。以上のように、この事前経路計算データPrは、レイヤ3の道路ネットワークデータRnに含まれるノード及びリンク(図5参照)の接続順を表すデータとして構成される。
この事前経路計算データPrは、レイヤ2の全ての区画の組み合わせに関して同様に計算される。ここで、レイヤ2の一つの区画と、それに隣接しないレイヤ2の全ての区画との間の経路計算結果を当該一つの区画についての事前経路計算データPrとする。例えば、図8の区画A1についての事前経路計算データPrは、区画A1と、区画A1に隣接しないレイヤ2の他の全ての区画との間の事前経路計算データPrの集合とする。そして、レイヤ2の全ての区画についての事前経路計算データPrが、区画毎に参照データベース19の経路計算プログラム用データベース19a(図3参照)に格納される。経路計算プログラム用データベース19a内では、事前経路計算データPrは、経路計算プログラムPG1による経路計算の際に容易に読み出すことができるように、道路ネットワークデータRnと関連付けられた参照用データ形式で格納される。
以上のような事前経路計算データPrを用いることにより、ナビゲーション用演算手段20は、レイヤ3の道路ネットワークデータRnを用いて行う出発地psから目的地pgまでの経路計算のための演算処理を省くことができる。すなわち、図7に示すように、出発地psから交差点(ノード)p2に至るまでの経路が探索され、目的地pgから交差点(ノード)p4に至るまでの経路が探索された後、ナビゲーション用演算手段20は、参照データベース19から、交差点(ノード)p2とp4とを結ぶ経路についての事前経路計算データPrを抽出する。これにより、レイヤ3の道路ネットワークデータRnを用いて、交差点(ノード)p2とp4とを結ぶ経路を探索する処理を省略することができ、経路計算処理の時間短縮と演算負荷の軽減を図ることが可能となる。
自位置検出手段21は、ナビゲーション装置1の現在位置を検出するための手段である。そのため、自位置検出手段21は、図示は省略するが、例えば、GPS受信機、方位センサ、及び距離センサ等を備える。そして、これらにより取得された情報に基づいて現在の位置を示す座標や進行方位等の情報を取得して、ナビゲーション用演算手段20に出力する。表示操作部23は、液晶表示装置等の表示画面と、この表示画面に連動するタッチパネルや操作スイッチ等を備えて構成される。また、音声出力部24は、スピーカ及びアンプ等を備えて構成される。そして、表示操作部23及び音声出力部24は、ドライバ22を介してナビゲーション用演算手段20に接続され、ナビゲーション用演算手段20の動作に従って自位置表示、2地点間の経路計算、進路案内、目的地検索等のための表示や音声出力等を行う。また、表示操作部23は、ユーザによる操作入力を受け付けてナビゲーション用演算手段20にその内容を出力する。
2.ナビゲーション装置1の更新機能を実現するための構成
ナビゲーション装置1は、上述した基本的な案内機能を実現するための構成に加えて、参照データベース19の更新機能を実現するための構成として、図1に示すように、通信手段11、メディア再生手段12、差分データファイル受付手段13、ローカル保存データベース更新手段14、ローカル保存データベース15、優先度決定手段16、変換手段17、及び参照データベース更新手段18を備えている。そして、このナビゲーション装置1では、差分データ配信サーバ3から提供された差分データファイルDfに基づいてローカル保存データベース15を差分更新し、更新後のローカル保存データベース15のデータを参照用データ形式に変換して参照データベース19の更新を行う。以下、これらの各構成について詳細に説明する。
差分データファイル受付手段13は、差分データ配信サーバ3から提供される差分データファイルDfを受け付ける手段である。本実施形態では、通信手段11又はメディア再生手段12を介して差分データファイルDfを受け付ける構成となっている。通信手段11は、無線基地局4との間で無線により差分データファイルDfを受信することが可能に構成されている。このような無線通信方法としては、例えば携帯電話網や無線LAN(Local Area Network)等の公知の通信網を用いることができる。また、通信手段11は、ユーザやナビゲーション装置1の取扱い業者等の有する更新用端末5との間で通信を行い、更新用端末5にインターネット等の通信ネットワーク6を介して送信された差分データファイルDfを受信することが可能に構成されている。ここで、更新用端末5としては、パーソナルコンピュータ等を用いることができ、通信手段11と更新用端末5との間の通信方法としては、公知の有線又は無線の各種通信方法を用いることができる。また、メディア再生手段12は、差分データ配信サーバ3において作成された記録メディアを再生し、そこに記録された差分データファイルDfを読み出すことが可能に構成されている。なお、この差分データファイル受付手段13は、通信手段11を介して差分データ配信サーバ3から差分データファイルDfを受信する際、或いはメディア再生手段12により記録メディアから差分データファイルDfを読み出す際に、ローカル保存データベース15に格納されている道路ネットワークデータRnのバージョンよりも新しいバージョンの差分データファイルDfのみを受け付ける構成となっている。
差分データファイルDfは、ナビゲーション装置1の参照データベース19に格納されているデータの内容に対して、実際の道路や施設の状態等に合わせて更新されるべきデータの内容を差分データとしてまとめたファイルである。この差分データファイルDfは、後述するように、差分データ生成サーバ2において、ナビゲーション装置1のローカル保存データベース15と同じ内容を有する対照用ローカル保存データベース33と新規データとに基づいて生成される。
図9は、差分データファイルDfの構成の具体例を示す図である。本実施形態では、差分データファイルDfは、道路ネットワークデータRn及び事前経路計算データPrの各区画(図3、図4、図8参照)に対応して作成されており、対応する区画を示す区画IDデータdaが先頭に配置されている。また、差分データファイルDfは、更新のバージョンを示すバージョンデータdbを有している。そして、差分データファイルDfは、更新対象となるデータを更新の態様毎に分けて配列している。そのため、更新の態様毎のデータの先頭に、「追加」、「変更」、「削除」の別を表す更新態様データdcが配置されている。更に、差分データファイルDfは、更新の態様毎に分けられたデータの各データをデータ種別順に配列している。そのため、データ種別毎のデータの先頭に、当該データのデータ種別を表すデータ種別IDデータddが配置されている。そして、このデータ種別IDデータddの後に、各データのパーマネントIDデータ及びそれに結び付けられた実体データが配列されている。なお、更新の態様が「削除」となっているデータに関しては、新たな実体データは必要ないのでパーマネントIDデータのみが配列されている。ここで、パーマネントIDは、道路ネットワークデータRnや事前経路計算データPrを構成する各実体データに固有の地図データベース上でユニークなIDであり、参照データベース19及びローカル保存データベース15においても共通に用いられる。
ここで、差分データファイルDfを構成するデータには、主に道路ネットワークデータRnを構成する各種データ、事前経路計算データPrを構成するデータ、及び表示、案内、検索等のための各種のデータ(案内用データ)が含まれる。具体的には、道路ネットワークデータRnを構成する主要なデータであるネットワーク系データに関するデータ種別としては、「交差点データ」、「接続データ」、「道路データ」、「形状データ」等がある。また、これらネットワーク系データに関連付けられ、道路ネットワークデータRnを構成する付加的なデータとして道路拡張データ及び交差点拡張データがある。そして、道路拡張データに関するデータ種別としては、「道路名称データ」、VICS等の交通情報を道路データに関連付けるための「交通情報関連データ」等があり、交差点拡張データに関するデータ種別としては、「交差点名称データ」、交差点での案内の要否及びその案内内容を構成する案内用データのパーマネントIDデータ等を表す「交差点案内データ」等がある。このように本実施形態では、道路ネットワークデータRnを構成する各種データを「交差点データ」、「接続データ」、「道路データ」、「形状データ」、「道路名称データ」、「交通情報関連データ」、「交差点名称データ」、「交差点案内データ」等の各要素種別に分類し、これら要素種別毎のデータをデータ種別順に配列することとしている。なお、ここでは差分データファイルDfについて説明しているが、この点はローカル保存データベース15に格納される道路ネットワークデータRnについて同様である。また、事前経路計算データPrは、「事前経路計算データ」という一つのデータ種別に分類される。そして、これらの各データ種別についてデータ種別IDが付与されており、データ種別IDデータddとして差分データファイルDf内に配置されている。
図1に戻り、ローカル保存データベース15は、道路ネットワークデータRn及び事前経路計算データPr等のナビゲーション用の地図データの差分更新用のデータベースである。そのため、ローカル保存データベース15に格納されるデータは、参照データベース19に格納される参照用データ形式とは異なる更新用データ形式で構成されている。図10は、更新用データ形式の道路ネットワークデータRnの構成の具体例を示す図である。この図に示すように、更新用データ形式は、各データがデータ種別順に配列されたデータ形式となっている。本実施形態では、参照データベース19と同様に、ローカル保存データベース15内の道路ネットワークデータRnは、区画毎に分けられており、対応する区画を示す区画IDデータdfが先頭に配置されている。また、この道路ネットワークデータRnは、更新のバージョンを示すバージョンデータdgを有している。更に、この道路ネットワークデータRnは、これを構成する実体的なデータの配置を示すアドレスデータが格納されたヘッダ部dhを有している。そして、このヘッダ部dhの後に実体データがデータ種別順に配列されている。
ローカル保存データベース15に格納される更新用データ形式の道路ネットワークデータRnは、これを構成するデータの種別として、差分データファイルDfと同様に、ネットワーク系データに関して「交差点データ」、「接続データ」、「道路データ」、「形状データ」等があり、道路拡張データに関して「道路名称データ」、「交通情報関連データ」等があり、交差点拡張データに関して「交差点名称データ」、「交差点案内データ」等がある。そして、これらの各データの配列は、データ種別順とされ、同じデータ種別のデータが連続的に配列されている。具体的には、図10に示すように、先頭から、道路データA1、道路データA2・・・と全ての道路データが連続的に配列され、次に、交差点データA1、交差点データA2・・・と全ての交差点データが連続的に配列され、以降も全てのデータ種別について同様に配列されている。そして、ヘッダ部dhには、データ種別毎のデータの配置領域及び同じデータ種別内での各データの配列を示すアドレスデータが格納されている。したがって、ローカル保存データベース更新手段14は、ヘッダ部dhに格納されている情報を参照することにより、ローカル保存データベース15内の各データの配置情報を取得することができる。
また、ローカル保存データベース15には、事前経路計算データPrも格納されている。図11は、ローカル保存データベース15に格納されている事前経路計算データPrの構成の具体例を示す図である。本実施形態では、事前経路計算データPrは、道路ネットワークデータRnとは独立した形式で格納されている。事前経路計算データPrに関しては、このような形式が更新用データ形式となる。事前経路計算データPrは、レイヤ2の区画毎に分けられたデータとされており、対応するレイヤ2の区画を示す区画IDデータdjが先頭に配置されている。ここで、一つの区画についての事前経路計算データPrは、経路計算プログラム用データベース19aに格納された事前経路計算データPrと同様に、当該区画に隣接しないレイヤ2の他の全ての区画との間の事前経路計算データPrの集合となっている。また、この事前経路計算データPrは、更新のバージョンを示すバージョンデータdkを有している。更に、この事前経路計算データPrは、これを構成する実体データの配置を示すアドレスデータが格納されたヘッダ部dmを有している。そして、このヘッダ部dmの後に実体データが配列されている。ここでは、実体データは、区画IDデータdjに示されるレイヤ2の区画と組をなす区画毎に分けられて順に配置されている。すなわち、実体データは、区画IDデータdjに示されるレイヤ2の区画と組をなす区画の区画IDを表す組合せ区画IDデータdnに続いて、これらの区画の間(区画IDデータdjに示される区画と組合せ区画IDデータdnに示される区画との間)の経路を構成するノード及びリンク(図5参照)の接続順を表す接続順データA1、A2、・・・が配置されて構成される。ここで、一つの接続順データは、一つの経路を表すデータとなっている。更に、図示は省略するが、画像データ、音声データ、POI(Point of Interest)データ等の各種のデータ(案内用データ)についても、データ種別順にローカル保存データベース15に格納されている。
また、ローカル保存データベース15には、図12に示すように、道路ネットワークデータRn及び事前経路計算データPr等のナビゲーション用の地図データを構成する各データのレコード符号とパーマネントIDとの対照テーブルが格納されている。この対照テーブルが存在することにより、差分データファイルDfに格納されているパーマネントIDデータ及びそれに結び付けられた実体データと、ローカル保存データベース15に格納されている各データとを対応させ、差分データファイルDfに基づいてローカル保存データベース15の各データを更新することが可能となる。なお、ローカル保存データベース15は、参照データベース19とは異なり、アプリケーションプログラムに応じて分かれておらず、一つのデータベースとなっている。
ローカル保存データベース更新手段14は、差分データファイルDfに含まれるデータに基づいて、ローカル保存データベース15の内容を更新する手段である。ここで、上記のとおり差分データファイルDfは区画IDデータdaを有し(図9参照)、ローカル保存データベース15内の道路ネットワークデータRn及び事前経路計算データPrには、区画IDデータdf、dj(図10及び図11参照)が付与されている。したがって、ローカル保存データベース更新手段14は、区画IDデータda、df、djが一致する差分データファイルDfを用いて道路ネットワークデータRn及び事前経路計算データPrの更新を区画毎に行う。更新の方法は、差分データファイルDfに格納されている更新対象となるデータの更新態様が、「追加」、「変更」、「削除」のいずれであるかによって異なる。
ローカル保存データベース更新手段14は、更新態様が「追加」である場合、道路ネットワークデータRn又は事前経路計算データPrにおける、差分データファイルDfのデータ種別IDddに対応するデータ種別のデータが格納されている領域に当該更新対象のデータを追加し、ヘッダ部dh、dm(図10及び図11参照)のアドレスデータに当該追加したデータの配列を示す情報を追加する。また、対照テーブルも更新し、当該追加したデータのレコード符号とパーマネントIDの情報を追加する。ローカル保存データベース更新手段14は、更新態様が「変更」である場合、まず図7に示すような対照テーブルに基づいて、差分データファイルDfに格納されている更新対象となるデータのパーマネントIDから対応するデータのレコード符号の情報を取得する。そして、ローカル保存データベース15の道路ネットワークデータRn及び事前経路計算データPrが備えるヘッダ部dh、dmのアドレスデータを参照して、更新対象となるデータの格納位置の情報を取得し、更新対象となるデータを書き換える。ローカル保存データベース更新手段14は、更新態様が「削除」である場合、まず図7に示すような対照テーブルに基づいて、差分データファイルDfに格納されている更新対象となるデータのパーマネントIDから対応するデータのレコード符号の情報を取得する。そして、ローカル保存データベース15の道路ネットワークデータRn及び事前経路計算データPrが備えるヘッダ部dh、dmのアドレスデータを参照して、更新対象となるデータの格納位置の情報を取得し、更新対象となるデータ及びそのアドレスデータを削除する。また、対照テーブルも更新し、当該削除したデータのレコード符号とパーマネントIDの情報を削除する。
また、ローカル保存データベース更新手段14は、ローカル保存データベース15を差分データファイルDfにより更新した場合には、ローカル保存データベース15の当該更新した区画の道路ネットワークデータRnのバージョンデータdg(図10参照)及び事前経路計算データPrのバージョンデータdk(図11参照)を、当該差分データファイルDfのバージョンデータdb(図9参照)と同じバージョンとするように更新する。
優先度決定手段16は、ローカル保存データベース15の更新後に、このローカル保存データベース15に格納されている区画毎に分けられた複数の道路ネットワークデータRn及び事前経路計算データPrについて、ナビゲーションプログラムPGの各アプリケーションプログラムPG1〜PG5の動作状態に応じて変換優先度を決定する手段である。本実施形態では、区画毎に分けられた複数の道路ネットワークデータRn及び事前経路計算データPrが、本発明における「グループ化された複数のデータ」に相当する。そして、本実施形態では、優先度決定手段16は、区画毎に分けられた複数の道路ネットワークデータRn及び事前経路計算データPrのそれぞれの変換優先度を、「高」、「中」、「低」の3段階のレベルのいずれかに決定する処理を行う。
優先度決定手段16は、ナビゲーションプログラムPGに従って案内経路が設定されている場合には、当該案内経路に関するデータの変換優先度を他のデータに対して高くするように決定する。具体的には、優先度決定手段16は、案内経路が設定されている場合には、各レイヤ1〜3における当該案内経路が含まれる全ての区画についての道路ネットワークデータRnの変換優先度を「高」とする。また、当該案内経路の出発地を含むレイヤ2の区画(すなわち出発地域)と目的地を含むレイヤ2の区画(すなわち目的地域)との間の事前経路計算データPrの変換優先度を「高」とする。次に、変換優先度が「高」とされた区画に隣接する区画の道路ネットワークデータRnの変換優先度を「中」とする。また、設定された案内経路の出発地域と目的地域以外の区画との間の事前経路計算データPr、及び目的地域と出発地域以外の区画との間の事前経路計算データPrの変換優先度を「中」とする。そして、残りの道路ネットワークデータRn及び事前経路計算データPrの変換優先度を「低」とする。
一方、優先度決定手段16は、ナビゲーションプログラムPGに従って案内経路が設定されていない場合には、自位置周辺の案内に要するデータの変換優先度を他のデータに対して高くするように決定する。具体的には、優先度決定手段16は、案内経路が設定されていない場合には、各レイヤ1〜3における自位置が存在する区画についての道路ネットワークデータRnの変換優先度を「高」とする。次に、変換優先度が「高」とされた区画に隣接する区画の道路ネットワークデータRnの変換優先度を「中」とする。また、自位置が存在するレイヤ2の区画と他の全ての区画との間の事前経路計算データPrの変換優先度を「中」とする。そして、残りの道路ネットワークデータRn及び事前経路計算データPrの変換優先度を「低」とする。
変換手段17は、ローカル保存データベース15に格納された道路ネットワークデータRn及び事前経路計算データPrのデータ形式を、前記優先度決定手段16により決定された変換優先度に応じた順序で更新用データ形式から参照用データ形式に変換する手段である。具体的には、変換手段17は、まず、変換優先度が「高」とされた道路ネットワークデータRn及び事前経路計算データPrのデータ形式の変換を行い、次に変換優先度が「中」、「低」の順で同様にデータ形式の変換を行う。この際、変換手段17は、道路ネットワークデータRnについては、図10に示すように各データがデータ種別順に配列された更新用データ形式のデータを、図6に示すように各データが道路ネットワークの接続順に配列された参照用データ形式のデータに変換する。また、事前経路計算データPrについては、図11に示すように道路ネットワークデータRnから独立した更新用データ形式から、道路ネットワークデータRnに関連付けられた参照用データ形式に変換する処理を行う。
ところで、上記のとおり参照データベース19は複数のアプリ用データベース19a〜19eに分かれており、各アプリ用データベース19a〜19eのそれぞれに各アプリケーションプログラムPG1〜PG5に応じた参照用データ形式の道路ネットワークデータRnが格納されている。本実施形態においては、変換手段17は、ローカル保存データベース15に格納された一つの更新用データ形式の道路ネットワークデータRnを変換し、各アプリケーションプログラムPG1〜PG5に応じた複数種類の参照用データ形式の道路ネットワークデータRnを生成することが可能に構成されている。また、各アプリ用データベース19a〜19e内において、道路ネットワークデータRnは所定の区画毎に分けられたデータとされている。したがって、変換手段17は、更新用データ形式から参照用データ形式への道路ネットワークデータRnの変換処理を所定の区画毎に行う構成となっている。
参照データベース更新手段18は、変換手段17による変換後の道路ネットワークデータRn及び事前経路計算データPrに基づいて参照データベース19を更新する手段である。そして、この参照データベース更新手段18は、変換手段17による変換順序に従って、すなわち変換優先度に応じた順序で、変換後のデータに基づく参照データベース19の更新処理を行う。ここで、変換手段17により、ローカル保存データベース15内の全てのデータについての変換処理を完了するまでには長い時間を要するため、参照データベース19内のデータの更新を全て完了するまでには長い時間を要する。そこで、本実施形態では、参照データベース更新手段18は、変換優先度が所定レベルより高いデータ、本例では変換優先度が「高」とされたデータについて変換手段17による変換後に優先的に参照データベース19を更新する。これにより、変換優先度が高いデータについての参照データベース19の更新を短い時間で済ませ、更新後の新しい情報を早くユーザに提供できるようにしている。そして、参照データベース更新手段18は、変換優先度がそれより低いデータ、本例では変換優先度が「中」及び「低」とされたデータについては、目的地の変更等がない限りナビゲーションプログラムPGにより参照されることもないので、ナビゲーションプログラムPGに従った案内動作と並行して参照データベース19を更新する。このような参照データベース更新手段18によるナビゲーション装置1の動作処理については、後に図15に示すフローチャートを用いて詳細に説明する。参照データベース更新手段18による更新処理は、具体的には、変換手段17により、各アプリケーションプログラムPG1〜PG5に応じた参照用データ形式に変換された道路ネットワークデータRn及び事前経路計算データPrを、変換が行われた区画毎に、参照データベース19内の対応するデータと置き換えることにより行う。
3.差分データ生成サーバ2の構成
差分データ生成サーバ2は、差分データファイルDfを生成し、それを差分データ配信サーバ3に提供する処理を行うサーバ装置である。このような処理を実行するための構成として、差分データ生成サーバ2は、新規データ受付手段としての入力端末31、データ種別判定手段32、対象用ローカル保存データベース33、新ローカル保存データベース34、新ローカル保存データベース生成手段35、及び差分データファイル生成手段36を備えている。
入力端末31は、新規データの入力を受け付けるための端末である。ここで入力される新規データは、ナビゲーション装置1の参照データベース19に格納された道路ネットワークデータRnや案内用データ等に対して新たに追加、変更、削除等されるべき内容の具体的なデータとなる。例えば、現実に新たな道路が作られた場合、当該道路に関する部分の道路ネットワークデータRnを構成する交差点データ、接続データ、道路データ、及び形状データ等や、当該道路の新設に伴って必要となる案内用データを構成する各種の画像データ、音声データ、POIデータ等が、新規データとして入力端末31から入力される。また、例えば、道路が撤去されてなくなった場合には、当該道路の撤去に伴って不要となる部分の道路ネットワークデータRnを構成する各種データや案内用データ等を指定する情報が入力される。このようなデータを指定する情報としては、例えば、各データのパーマネントIDや識別符号等を用いることができる。この入力端末31としては、具体的には、キーボード、マウス、モニタ等を備えたパーソナルコンピュータ等を用いることができる。
対象用ローカル保存データベース33は、ナビゲーション装置1のローカル保存データベース15と同じ内容を有するデータベースである。すなわち、対照用ローカル保存データベース33には、例えば図10及び図11に示すような、道路ネットワークデータRn及び事前経路計算データPr等のナビゲーション用の地図データが更新用データ形式で所定の区画毎に格納されている。また、ローカル保存データベース15と同様に、対象用ローカル保存データベース33には、図12に示すように、道路ネットワークデータRn及び事前経路計算データPr等の各データのレコード符号とパーマネントIDとの対照テーブルが格納されている。そして、この対照用ローカル保存データベース33の内容は、差分データファイルDfを生成した後に、新ローカル保存データベース34の内容と一致するように更新されることにより、差分データファイルDfにより更新されるナビゲーション装置1のローカル保存データベース15と常に同じ内容になるよう維持される。但し、本実施形態では、後述するように、新ローカル保存データベース34には、新規データにより更新された区画についての道路ネットワークデータRn及びそれにより変更される事前経路計算データPrのみが格納される。したがって、対象用ローカル保存データベース33に格納されている道路ネットワークデータRnの更新も、新ローカル保存データベース34に格納されている道路ネットワークデータRn及び事前経路計算データPrについてのみ行われる。また、このような対象用ローカル保存データベース33の更新の際には、更新された道路ネットワークデータRn及び事前経路計算データPrについてのバージョンデータdg、dk(図10及び図11参照)が、生成した差分データファイルDfのバージョンデータdb(図9参照)と同じバージョンとなるように更新される。
新ローカル保存データベース34は、対照用ローカル保存データベース33と同じデータ形式であって、入力端末31から入力された新規データの内容で更新された内容を有するデータベースである。すなわち、新ローカル保存データベース34には、対照用ローカル保存データベース33と同様に、例えば図10及び図11に示すような、更新用データ形式の道路ネットワークデータRn及び事前経路計算データPr等のナビゲーション用の地図データと、図12に示すような、道路ネットワークデータRn及び事前経路計算データPr等の各データのレコード符号とパーマネントIDとの対照テーブルとが格納されている。但し、後述するように、新ローカル保存データベース生成手段35は、所定の区画毎に道路ネットワークデータRn及び事前経路計算データPrを更新して新ローカル保存データベース34に格納する。したがって、新ローカル保存データベース34には、更新された区画についての道路ネットワークデータRn及び事前経路計算データPrが格納され、更新されていない区画についてのデータは格納されない。また、対照テーブルについては、その内容は、対照用ローカル保存データベース33に対して、新規データの内容で更新された部分が相違するものとなっている。
新ローカル保存データベース生成手段35は、対照用ローカル保存データベース33と入力端末31から入力された新規データとに基づいて、新ローカル保存データベース34を生成する手段である。具体的には、新ローカル保存データベース生成手段35は、入力端末31から入力された、追加、変更、削除等されるべき道路ネットワークデータRnの部分に関するデータを、対照用ローカル保存データベース33に格納されているのと同様の更新用データ形式に変換する。そして、新ローカル保存データベース生成手段35は、対照用ローカル保存データベース33から更新対象となる区画の道路ネットワークデータRnを読み出し、当該変換後のデータを用いてその道路ネットワークデータRnの内容に、追加、変更、削除等を行って更新する。そして、更新後の当該区画の道路ネットワークデータRnを新ローカル保存データベース34に格納する。また、新ローカル保存データベース生成手段35は、更新後の各区画の道路ネットワークデータRnに基づいて、当該道路ネットワークデータRnの更新に伴って変更される可能性がある事前経路計算データPrの再計算を行い、その計算結果としての更新後の事前経路計算データPrを区画毎に新ローカル保存データベース34に格納する。ここでは、道路ネットワークデータRnが更新されたレイヤ2の区画を少なくとも一方の区画とする事前経路計算データPrについて再計算を行い、その計算結果を更新後の事前経路計算データPrとする。更にこれらに対応して、新ローカル保存データベース生成手段35は、対照テーブル(図7参照)の内容についても追加、変更、削除等を行って更新し、更新後の対照テーブルを新ローカル保存データベース34に格納する。
例えば、現実に新たな道路が作られた場合、当該道路に関する部分の道路ネットワークデータRnを構成する交差点データ、接続データ、道路データ、及び形状データ等が入力端末31から入力される。そこで、新ローカル保存データベース生成手段35は、それらのデータ形式を更新用データ形式に整え、各データの座標情報や接続データの内容等に基づいて、対照用ローカル保存データベース33から更新対象となる区画の既存の道路ネットワークデータRnを読み出し、当該道路ネットワークデータRnに新たな道路に関するデータを追加する処理を行う。この際、既存の道路ネットワークデータRnを構成するデータの中の関連するデータに対しても必要な変更等を行う。また、そのような道路ネットワークデータRnの更新に伴って変更される可能性がある事前経路計算データPrの再計算を行い、その計算結果としての更新後の事前経路計算データPrのデータ形式を更新用データ形式に整え、区画毎に新ローカル保存データベース34に格納する。更に、新ローカル保存データベース生成手段35は、新たに追加されたデータについて新たなパーマネントIDを付与し、対照テーブル(図7参照)に追加する処理も行う。また、例えば、道路が撤去されてなくなった場合には、当該道路の撤去に伴って不要となる部分の道路ネットワークデータRnを構成する各種データを指定する情報が入力端末31から入力される。そこで、新ローカル保存データベース生成手段35は、対照用ローカル保存データベース33から更新対象となる区画の既存の道路ネットワークデータRnを読み出し、不要となる道路ネットワークデータRnの部分を構成するデータを既存の道路ネットワークデータRnから削除するとともに、関連するデータに対して必要な変更等を行う。また、そのような道路ネットワークデータRnの更新に伴って変更される可能性がある事前経路計算データPrの再計算を行い、その計算結果としての更新後の事前経路計算データPrのデータ形式を更新用データ形式に整え、区画毎に新ローカル保存データベース34に格納する。更に、新ローカル保存データベース生成手段35は、削除されたデータについてのパーマネントIDを対照テーブル(図7参照)から削除する処理も行う。
差分データファイル生成手段36は、対照用ローカル保存データベース33と新ローカル保存データベース34との差分に基づいて差分データファイルDfを生成する手段である。上記のとおり、対照用ローカル保存データベース33は、ナビゲーション装置1のローカル保存データベース15と同じ内容を有するデータベースとなっており、新ローカル保存データベース34は、対照用ローカル保存データベース33と同じデータ形式であって入力端末31から入力された新規データの内容で更新された内容を有するデータベースとなっている。したがって、これら2つのデータベースの内容を比較し、これらの差分を抽出することにより、差分データファイルDfの内容を構成する道路ネットワークデータRn及び事前経路計算データPr等に関するデータを取得することができる。そこで、差分データファイル生成手段36は、対照用ローカル保存データベース33と新ローカル保存データベース34との差分として取得した道路ネットワークデータRn及び事前経路計算データPr等に関するデータをまとめ、所定の差分データファイルDfのデータ形式にすることで差分データファイルDfを生成する。なお、この差分データファイルDfは、新ローカル保存データベース34に格納された更新した区画についての道路ネットワークデータRn及び事前経路計算データPrに合わせて、所定の区画毎に生成される。
差分データファイルDfの具体的内容については、既に説明したとおりであるので詳しい説明はしないが、本実施形態では、図9に示すように、差分データファイルDfは、区画IDデータda及びバージョンデータdbの後に、「追加」、「変更」、「削除」といった更新態様毎に分けて、各データをデータ種別順に配置して構成されている。区画IDデータdaは、当該差分データファイルDfによる更新対象となる道路ネットワークデータRn及び事前経路計算データPrの区画を表すデータであり、当該差分データファイルDfを生成する元となった道路ネットワークデータRn及び事前経路計算データPrの一方又は双方の区画を示すデータとされる。また、差分データファイル生成手段36は、これまでの差分データファイルDfの生成回数を計数して図示しないバージョンデータ保存手段に記憶しておき、当該生成回数に応じた連番等をバージョンデータdbとして付与する。なお、本実施形態では、このような差分データファイルDfの生成回数は、道路ネットワークデータRn及び事前経路計算データPrの区画に合わせて区画毎に計数し、区画毎の連番等をバージョンデータdbとする。各実体データに関連付けられるパーマネントIDは、新ローカル保存データベース34に格納された対照テーブル(図12参照)に基づいて付与される。また、更新態様を表す更新態様データdcや、データ種別IDデータddは、差分データファイル生成手段36が備える図示しないテーブルに基づいて付与される。そして、差分データファイル生成手段36により生成された差分データファイルDfは、差分データ配信サーバ3に送信され、差分データベース41に格納される。
4.差分データ配信サーバ3の構成
差分データ配信サーバ3は、差分データ生成サーバ2により生成された差分データファイルDfをナビゲーション装置1に提供するための処理を行うサーバ装置である。このような処理を実行するための構成として、差分データ配信サーバ3は、差分データベース41と、ナビゲーション装置1に提供するための差分データファイルDfを出力する差分データファイル出力手段44としての配信手段42及びメディア作成手段43とを備えている。
差分データベース41は、差分データ生成サーバ2により生成された差分データファイルDfを格納するデータベースである。この差分データベース41内には、差分データ生成サーバ2によりこれまでに生成された全ての差分データファイルDfが格納されている。すなわち、差分データベース41には、道路ネットワークデータRn及び事前経路計算データPrに合わせた区画毎に、1又は2以上のバージョンの差分データファイルDfが格納されている。
配信手段42は、ナビゲーション装置1に対して差分データファイルDfを配信するための手段である。本実施形態では、配信手段42は、無線基地局4を介して、或いは通信ネットワーク6及び更新用端末5を介してナビゲーション装置1に差分データファイルDfを配信することが可能に構成されている。また、メディア作成手段43は、差分データ配信サーバ3の図示しない操作手段から指示等に従い、差分データベース41に格納された差分データファイルDfを記録メディアMeに記録可能に構成されている。この差分データ配信サーバ3による差分データファイルDfの提供方法については、後にフローチャートを用いて詳細に説明する。
5.差分データファイルの生成方法
次に、差分データ生成サーバ2による、差分データファイルDfの生成方法について図13に示すフローチャートに基づいて説明する。差分データ生成サーバ2では、まず、入力端末31により新規データの入力を受け付けた場合には(ステップ#01:Yes)、受け付けられたデータと対照用ローカル保存データベース33とに基づいて、新ローカル保存データベース生成手段35が、新ローカル保存データベース34を生成する(ステップ#02)。次に、差分データファイル生成手段36が、対照用ローカル保存データベース33と新ローカル保存データベース34との差分に基づいて差分データファイルDfを生成する(ステップ#03)。そして、生成した差分データファイルDfを差分データ配信サーバ3に送信して差分データベース41に格納する(ステップ#04)。その後、対照用ローカル保存データベース33の内容を、新ローカル保存データベース34の一致させるように更新する(ステップ#05)。以上で、差分データ生成サーバ2による差分データファイルDfの生成処理を終了する。
6.差分データファイルの提供方法
次に、差分データ配信サーバ3による、ナビゲーション装置1への差分データファイルDfの提供方法について図14に示すフローチャートに基づいて説明する。差分データ配信サーバ3では、まず、配信手段42が、ナビゲーション装置1との間で通信が可能な状態にあるか否かを判定する(ステップ#11)。なお、配信手段42は、上記のとおり、無線基地局4や通信ネットワーク6及び更新用端末5を介してナビゲーション装置1との通信を行う。そして、ナビゲーション装置1との間で通信可能である場合には(ステップ#11:Yes)、次に、配信手段42が、ナビゲーション装置1に対してローカル保存データベース15に格納されている道路ネットワークデータRn及び事前経路計算データPrのバージョン情報を要求する(ステップ#12)。この際、ナビゲーション装置1側では、ローカル保存データベース15に格納されている区画毎の道路ネットワークデータRn及び事前経路計算データPrのそれぞれのバージョンデータdg、dk(図10及び図11参照)を読み出し、区画毎の道路ネットワークデータRn及び事前経路計算データPrのバージョン情報として差分データ配信サーバ3に送信する。
一方、配信手段42は、差分データベース41内に格納されている各差分データファイルDfのバージョンデータdbに基づいて、各区画の差分データファイルDfの最新のバージョン情報を取得する(ステップ#13)。そして、配信手段42が、ステップ#13で取得した各区画の差分データファイルDfの最新のバージョン情報と、ナビゲーション装置1から受信した区画毎の道路ネットワークデータRn及び事前経路計算データPrのバージョン情報と比較して、バージョンが同じであるか否かを判定する(ステップ#14)。この際、バージョンの比較は、同じ区画IDデータda、df、dj(図9、図10及び図11参照)をもつ差分データファイルDfと道路ネットワークデータRn及び事前経路計算データPrとで区画毎に行う。そして、バージョンが同じでない場合(ステップ#14:No)、すなわち同じ区画についての差分データファイルDfの最新のバージョンが、ナビゲーション装置1の道路ネットワークデータRn及び事前経路計算データPrのバージョンよりも新しい場合には、道路ネットワークデータRn及び事前経路計算データPrのバージョンより新しい全ての差分データファイルDfをナビゲーション装置1に送信する。一方、バージョンが同じである場合(ステップ#14:Yes)、すなわち同じ区画についての差分データファイルDfの最新のバージョンが、ナビゲーション装置1の道路ネットワークデータRn及び事前経路計算データPrのバージョンと同じである場合には、差分データファイルDfによる更新を行う必要がないので、差分データファイルDfを送信することなく処理は終了する。
また、差分データ配信サーバ3では、配信手段42がナビゲーション装置1との間で通信が可能な状態にない場合には(ステップ#11:No)、次に、差分データ配信サーバ3の図示しない操作手段からのメディア作成要求があるか否かについて判定する(ステップ#16)。そして、メディア作成要求がある場合には、差分データベースに格納されている全ての差分データファイルDfを記録メディアMeに記録する(ステップ#17)。このように作成された差分データファイルDfを記録した記録メディアMeは、郵送等によりナビゲーション装置1のユーザや取扱い業者等に送付される。以上で処理は終了する。
7.ナビゲーション装置1における参照データベース19の更新方法
次に、ナビゲーション装置1における、参照データベース19の更新方法について図15に示すフローチャートに基づいて説明する。ナビゲーション装置1では、まず、差分データファイル受付手段13が差分データファイルDfを受け付けた場合には(ステップ#21:Yes)、受け付けた差分データファイルDf内のデータをローカル保存データベース更新手段14に送り、ローカル保存データベース更新手段14がローカル保存データベース15に格納された道路ネットワークデータRn及び事前経路計算データPr等のデータを更新する(ステップ#22)。
次に、ナビゲーション装置1は、優先度決定手段16により、ステップ#22の更新後のローカル保存データベース15に格納されている区画毎に分けられた複数の道路ネットワークデータRn及び事前経路計算データPrについて、ナビゲーションプログラムPGの動作状態に応じて変換優先度を決定する(ステップ#23)。本実施形態では、上記のとおり、優先度決定手段16は、各アプリケーションプログラムPG1〜PG5の動作状態に応じて、区画毎に分けられた複数の道路ネットワークデータRn及び事前経路計算データPrのそれぞれの変換優先度を、「高」、「中」、「低」の3段階のレベルのいずれかに決定する処理を行う。この変換優先度の決定基準については既に説明したので、ここでは説明しない。次に、変換手段17により、変換優先度が所定レベルより高いデータ、本例では変換優先度が「高」の道路ネットワークデータRn及び事前経路計算データPrを参照用データ形式に変換する(ステップ#24)。その後、ステップ#24による変換後のデータにより参照データベース19を更新する(ステップ#25)。そして、変換優先度が「高」とされたデータの全てについて終了するまでは(ステップ#26:No)、変換処理(ステップ#24)及び参照データベース19の更新処理(ステップ#25)を繰り返し行う。その後、変換優先度が「高」とされたデータの全てについて変換処理(ステップ#24)及び参照データベース19の更新処理(ステップ#25)が終了した後に(ステップ#26:Yes)、ナビゲーション用演算手段20は、ナビゲーションプログラムPGに従って案内動作を開始する(ステップ#27)。なお、この案内動作には、自位置表示、出発地から目的地までの経路計算、目的地までの進路案内、目的地検索等のナビゲーション装置の案内機能に関する全ての動作が含まれる。
具体的には、ナビゲーションプログラムPGに従って案内経路が設定されている場合には、変換優先度が「高」とされたデータの変換処理(ステップ#24)及び参照データベース19の更新処理(ステップ#25)の後(ステップ#26:Yes)、更新後の新しいデータに基づいて、例えば、目的地までの経路計算を再度行い、目的地までの進路案内や自位置表示等を行う(ステップ#27)。一方、ナビゲーションプログラムPGに従って案内経路が設定されていない場合には、変換優先度が「高」とされたデータの変換処理(ステップ#24)及び参照データベース19の更新処理(ステップ#25)の後(ステップ#26:Yes)、更新後の新しいデータに基づいて、例えば、自位置周辺の地図表示を含む自位置表示等を行う(ステップ#27)。また、案内動作を開始した後は、いずれの場合であっても、目的地検索や新たな目的地の設定等が可能な状態となる。
その後、上記のような案内動作と並行して、変換手段17により、変換優先度が「中」の道路ネットワークデータRn及び事前経路計算データPrを参照用データ形式に変換する(ステップ#28)。その後、ステップ#28による変換後のデータにより参照データベース19を更新する(ステップ#29)。そして、変換優先度が「中」とされたデータの全てについて終了するまでは(ステップ#30:No)、変換処理(ステップ#28)及び参照データベース19の更新処理(ステップ#29)を繰り返し行う。その後、変換優先度が「中」とされたデータの全てについて変換処理(ステップ#28)及び参照データベース19の更新処理(ステップ#29)が終了した後に(ステップ#30:Yes)、変換手段17により、変換優先度が「低」の道路ネットワークデータRn及び事前経路計算データPrを参照用データ形式に変換する(ステップ#31)。その後、ステップ#31による変換後のデータにより参照データベース19を更新する(ステップ#32)。そして、変換優先度が「低」とされたデータの全てについて終了するまでは(ステップ#33:No)、変換処理(ステップ#31)及び参照データベース19の更新処理(ステップ#32)を繰り返し行う。これにより、最終的には参照データベース19の全体を更新する。以上で処理は終了する。
〔その他の実施形態〕
(1)上記の各実施形態において説明した、参照用データ形式及び更新用データ形式の道路ネットワークデータRnや、差分データファイルDf等の具体的構成は単なる例示であり、これらのデータの構成を上記の各実施形態とは異なる構成とすることも当然に可能である。
(2)上記の実施形態では、道路ネットワークデータRn及び事前経路計算データPrの双方について、差分データファイルDfによりローカル保存データベース15を更新し、ローカル保存データベース15に基づいて参照データベース19を更新する場合を例として説明した。しかし、本発明の適用対象はこのような構成に限定されない。すなわち、例えば、道路ネットワークデータRn及び事前経路計算データPrのいずれか一方のみについて、差分データファイルDfによりローカル保存データベース15を更新し、ローカル保存データベース15に基づいて参照データベース19を更新する構成とすることも、本発明の好適な実施形態の一つである。
(3)上記の実施形態では、優先度決定手段16が、変換優先度を「高」、「中」、「低」の3段階のレベルのいずれかに決定する処理を行う場合を例として説明した。しかし、優先度決定手段16により決定される変換優先度の形態はこれ以外とすることも可能である。例えば、優先度決定手段16は、変換優先度を4段階以上のいずれかのレベルに決定する構成とし、或いは2段階のレベルのいずれかに決定する構成とすることも本発明の好適な実施形態の一つである。また、ローカル保存データベース15に格納されたグループ化された複数のデータのそれぞれに異なる変換優先度を決定することも可能である。
(4)上記実施形態では、優先度決定手段16が、区画毎に分けられた複数の道路ネットワークデータRn及び事前経路計算データPrのそれぞれを「グループ化された複数のデータ」とし、当該区画毎のデータを最小単位として変換優先度を決定する場合を例として説明した。しかし、優先度決定手段16により優先度を決定するデータの単位はこれに限定されない。すなわち、例えば、優先度決定手段16が、複数の区画で構成される所定の地域毎の道路ネットワークデータRn及び事前経路計算データPrを最小単位とし、或いは区画より小さい領域を最小単位として変換優先度を決定する構成とすることも可能である。
(5)上記の実施形態では、変換手段17は、案内経路が設定されている場合には、当該案内経路に関するデータの変換優先度を他のデータに対して高くし、案内経路が設定されていない場合には、自位置周辺の案内に要するデータの変換優先度を他のデータに対して高くするように決定する場合を例として説明した。しかし、このような変換優先度の決定基準は一例であり、その他の基準に従って決定することも可能である。但し、その場合であっても、ナビゲーションプログラムPGの動作に従って案内動作等のユーザへの提供のために利用される可能性が高いデータの変換優先度を高くすることが望ましい。そのようにすれば、更新後の新しい情報を迅速にユーザに提供することが可能となる。
(6)上記の実施形態では、参照データベース更新手段18は、変換手段17による変換順序に従って、すなわち変換優先度に応じた順序で、変換後のデータに基づく参照データベース19の更新処理を行う場合を例として説明した。しかし、更新順序はこれに限定されず、変換優先度に応じた順序と異なる順序で参照データベース19の更新を行うことも可能である。その場合、例えば、変換優先度に応じた順序で変換したデータを、一時的に記憶手段に格納し、全てのデータの変換後に参照データベース19を更新する構成とすることも可能である。この際、前記記憶手段に格納した変換後のデータをナビゲーションプログラムPG等の動作プログラムにより参照可能にすると好適である。
(7)上記の各実施形態では、差分データ生成サーバ2の対照用ローカル保存データベース33の内容が、差分データファイルDfを生成した後に、新ローカル保存データベース34の内容と一致するように更新される場合を例として説明した。この際、更新前の対照用ローカル保存データベース33の内容を消去することも可能であるが、その内容をバージョンデータとともに対照用ローカル保存データベース33に保存しておく構成とすることも好適な実施形態の一つである。このような構成とした場合、対照用ローカル保存データベース33には、所定の区画毎に複数のバージョンの道路ネットワークデータRn及び事前経路計算データPrが格納されることになる。
(8)上記の各実施形態では、差分データ生成サーバ2は、新規データに基づいて新ローカル保存データベース34を生成し、対照用ローカル保存データベース33と新ローカル保存データベース34との差分に基づいて差分データファイルDfを生成する構成を例として説明した。しかし、差分データ生成サーバ2の構成は、このようなものに限定されない。したがって、例えば、差分データ生成サーバ2が、新ローカル保存データベース34を生成することなく、新規データと対照用ローカル保存データベース33とから差分データファイルDfを生成する構成とすることも好適な実施形態の一つである。
(9)上記の各実施形態では、差分データ生成サーバ2により、少なくとも新規データと対照用ローカル保存データベース33とに基づいて差分データファイルDfを生成する場合を例として説明した。しかし、本発明のサーバ装置の構成は、このようなものに限定されない。したがって、例えば、入力端末31等により、差分データファイルDfに相当するデータを直接入力し、差分データベース41に格納する構成とすることも可能である。この場合、サーバ装置は、上記の各実施形態における差分データ配信サーバ3に相当する構成に加えて、差分データの受付手段を備えるだけの構成とすることができる。
(10)上記の各実施形態では、差分データ生成サーバ2と差分データ配信サーバ3とによりサーバ装置を構成する例について説明した。しかし、サーバ装置の構成はこのようなものに限定されない。例えば、差分データ生成サーバ2の機能と差分データ配信サーバ3の機能を一つのサーバ装置に集約した構成とすることも好適な実施形態の一つである。
(11)上記の各実施形態では、動作プログラムとしてのナビゲーションプログラムPGが複数のアプリケーションプログラムPG1〜PG5を備え、参照データベース19が各アプリケーションプログラムPG1〜PG5に応じたアプリ用データベース19a〜19eを備えている場合を例として説明した。しかし、本発明に係る動作プログラム及び参照データベース19の構成はこれに限定されない。したがって、参照データベース19に格納されるデータが一種類の参照用データ形式のデータにより構成されていてもよく、複数のデータベースに分かれていなくてもよい。また、動作プログラムが複数のアプリケーションプログラムを備えている必要もない。