JP4814842B2 - Icタグユニット - Google Patents
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前記パッシブタグはメモリを内蔵している。リーダ・ライタと呼ばれる無線通信装置は,前記パッシブタグが内蔵するメモリに対してデータの書き込みや読み出しを行う。
また,前記パッシブタグは,自らは電源(バッテリー)を備えていない。前記パッシブタグは,前記リーダ・ライタが放つ無線信号(電波)によって発生させた電力により動作する。このため,前記パッシブタグは,電源(バッテリー)を内蔵するアクティブタグと異なり,電池切れの心配がなく,また,製造コストも低廉である。
一方,前記パッシブタグは,前記リーダ・ライタとの間で交信可能な距離が短い。例えば,電磁誘導方式の前記パッシブタグの交信可能距離は1m未満,2.45GHz帯やUHF帯の無線信号を用いる電波方式の前記パッシブタグの交信可能距離は数メートル程度までである。また,一般に,前記パッシブタグは,前記リーダ・ライタと交信可能な方向の範囲(以下,指向範囲という)にほとんど制限がなく,ほぼ無指向である。
例えば,前記パッシブタグが取り付けられる物品のサイズが大きい場合や,その物品が高温である場合など,前記リーダ・ライタを前記パッシブタグに対して交信可能な範囲内に近づけることが難しい場合に,従来よりも交信可能距離が長いパッシブタグが必要とされる。従来の前記パッシブタグは,前記リーダ・ライタとの交信可能距離が短いため,製造現場や物流現場等での使用の阻害要因となるという問題点があった。
また,前記パッシブタグの交信可能距離が長くなるほど,複数の前記パッシブタグそれぞれの交信可能範囲が重複する状況が発生する頻度が高くなる。そのような状況において,1台の前記リーダ・ライタと複数の前記パッシブタグとの混信を回避するためには,前記パッシブタグの指向範囲が狭いことが求められる。しかしながら,従来の前記パッシブタグは,前記指向範囲にほとんど制限がない。さらに,交信可能距離が長い前記パッシブタグを提供することができた場合,そのようなパッシブタグは,他のパッシブタグと識別しにくいという問題点を有することになる。
また,特許文献2には,RFIDタグのアンテナの指向性を調整するため,直線状の素子からなる放射器と,その両側に平行に配置した導波器とが配置されたRFIDデータキャリアが示されている。しかし,前記特許文献2に示される技術は,金属製品(物品)が段積みされたような状況の製造現場や物流現場においては,その金属製品の影響を受けてタグの通信距離や指向性等の特性が変化してしまうという問題点があった。
さらに,前記リーダ・ライタに対するRFIDタグの向きが変化すると,RFIDタグの交信可能距離が変化する。そこで,特許文献3では,RFIDタグの向きを一定に保持するための構成が提案されている。具体的には,外殻の内部で揺動可能な内殻に,RFIDタグが設けられている。そして,その内殻に,RFIDタグの向きを一定に保持するための錘が設けられている。
ところで,前記金属部材の中に電気的絶縁体である誘電体を充填すれば,該金属部材内におけるエネルギーの増幅率を増加させることができる(例えば,非特許文献1参照)。これにより,前記金属部材のサイズを小さくしても同様の効果を得ることができる。具体的に,前記金属部材内に誘電体を充填する場合には,充填しない場合に比べて√ε(ε:比誘電率)程度,該金属部材の管径を縮小することができる。例えば,前記金属部材内に誘電体を充填しない場合に該金属部材の管径として最適な寸法が19cmであるとする。この場合,前記金属部材内に比誘電率が9である誘電体を充填すると,前記金属部材の管径として最適な寸法は,19cm/√ε=6.3cm程度となり,該金属部材を小さくすることができる。
そのため,前述したように,前記金属部材の中に誘電体を充填することで該金属部材の管径を小さくすることが可能であっても,その金属部材の中に前記パッシブタグを配置することができなくなる場合がある。そのため,前記金属部材を小さくするためには,前記パッシブタグを外部に配置する必要がある。しかしながら,前記パッシブタグを前記金属部材の外側に配置すると,交信可能距離を十分に長くすることができず,また指向範囲を十分に狭くすることができないという問題が生じる。
したがって,本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり,その目的とするところは,パッシブタグの交信可能距離の延長及び指向範囲の狭小化を図りつつ,ユニットサイズを縮小することのできるICタグユニットを提供することにある。
(1)相互に対向する対向面と該対向面各々の端部から略垂直方向外側に突出した前記パッシブタグを保持するための突出面とを有する金属部材。
(2)前記金属部材の前記対向面の間に設けられた電気的絶縁体である誘電体。
本発明に係るICタグユニットでは,前記パッシブタグを前記金属部材の前記突出面で保持する。即ち,前記パッシブタグは,前記金属部材の前記対向面の外側に設置される。そのため,前記金属部材における前記対向面の間の寸法は,前記パッシブタグのサイズによって制限されない。したがって,前記対向面の間に前記誘電体を設けて前記対向面の間隔を狭くすることによって,当該ICタグユニットのユニットサイズの縮小化を実現することができる。
ここで,本発明に係るICタグユニットが,該ICタグユニットを動作させるための無線信号(以下,タグ動作用無線信号という)の放射範囲内に入ると,前記金属部材の前記対向面では,前記タグ動作用無線信号のエネルギーが蓄積される。即ち,前記タグ動作用無線信号は,前記金属部材の前記対向面で増幅される。また,前記ICタグユニットでは,前記突出面各々の間にも電界や磁界が発生することになる。この電界や磁界は,前記突出面に設置された前記パッシブタグを含む領域で発生する。
したがって,前記パッシブタグには,前記対向面で増幅された電界や磁界と,前記突出面各々の間で発生する電界や磁界とが作用することになる。これにより,前記パッシブタグは,前記ICタグユニットに到達した前記タグ動作用無線信号の強度が比較的弱い場合でも動作する。即ち,本発明によれば,従来のパッシブタグを用いて,そのパッシブタグと前記タグ動作用無線信号を出力するリーダ・ライタとの間の交信可能距離を従来よりも延長することができる。
さらに,本発明に係るICタグユニットでは,前記金属部材の前記対向面の間に入射される前記タグ動作用無線信号のみが増幅されることになる。また,前述したように,本発明に係るICタグユニットにおける前記対向面の間の寸法は,前記パッシブタグを前記対向面の間に配置する場合に比べて小さくすることが可能である。したがって,本発明に係るICタグユニットでは,前記対向面の間の寸法を狭くすることによって,従来よりも前記パッシブタグの指向範囲を狭くすること(指向性の向上)が可能である。そのため,1台の前記リーダ・ライタと複数の前記パッシブタグとの識別をより確実に行うことができる。
なお,本発明の具体例としては,前記金属部材が,その内面の一部が前記対向面を形成する断面が円形の管状(即ち,円筒状)の金属部材であって,前記突出面が,前記金属部材の端部に設けられたフランジであることが考えられる。
ところで,前記ICタグユニットにおける前記パッシブタグの向きが変化すると,前記リーダ・ライタとの間の交信可能距離が大幅に変化することが考えられる。そこで,前記金属部材を揺動可能に支持する支持部材を更に設けておき,前記誘電体を前記パッシブタグが所定の向きで保持されるように前記金属部材の重心位置を定めるものとして利用することが考えられる。これにより,前記ICタグユニットの向きが変化した場合,前記金属部材は,前記パッシブタグが所定の向きに保持されるように揺動するため,交信可能距離の変化を防止することができる。
ここに,図1は本発明の実施の形態に係るICタグユニットXの概略構成図,図2は前記ICタグユニットXに設けられたパッシブタグ3の一例を示す図,図3は前記ICタグユニットXにおいて生じる電界A及び磁界Bを模式的に表した図である。また,図4は前記ICタグユニットXに設けられた共振金属部材1の形状と最大読取距離Dとの関係を示す図,図5は前記共振金属部材1の形状と最小送信電力Wとの関係を示す図,図6は前記共振金属部材1の形状と最大読取距離Dとの関係を示す図である。なお,各図面において破線で表される形状は,各図面における視点からは外観上視認できない部分の形状である。
本発明の実施形態に係るICタグユニットXは,完成品や生産途中の中間製品等の各種の物品(以下「管理対象物品」という)を管理するために,その管理対象物品に装着される。前記ICタグユニットXは,後述するように,パッシブ型の無線ICタグであるパッシブタグ3を備えている。前記パッシブタグ3は,通常,ICチップとして提供されるものである。
前記パッシブタグ3は,それぞれメモリを内蔵し,リーダ・ライタ(不図示)と呼ばれる無線通信装置が,前記パッシブタグ3が内蔵するメモリに対してデータの書き込みや読み出しを行う。
前記パッシブタグ3は,自らは電源(バッテリー)を備えておらず,前記リーダ・ライタが放つ無線信号(以下,タグ動作用無線信号という)によって電力を発生させ,その電力により動作する。前記タグ動作用無線信号は,例えば,13.56MHz帯の電波,950MHz帯(UHF帯)の電波,2.45GHz帯の電波などであるが,それらの無線信号に限定されるものではない。なお,前記リーダ・ライタ及び前記パッシブタグ3は周知のものであるので,その詳細についての説明は省略する。
図1に示すように,前記ICタグユニットXは,共振金属部材1,誘電体2及びパッシブタグ3を備えている。
前記共振金属部材1は,その共振周波数が前記パッシブタグ3の前記タグ動作用無線信号の周波数と等しい金属部材である。前記共振金属部材1の材質は,例えば,鉄,ステンレス,アルミニウム,銅などである。
前記共振金属部材1は,断面が管軸S1を中心とする円形の管状の部材である円筒部11と,前記円筒部11の一端に設けられたフランジ12(突出面の一例)と,前記円筒部11の他端に設けられた底板部13とを有している。前記円筒部11,前記フランジ12及び前記底板部13は,一体形成されている。なお,これに限られず,前記円筒部11,前記フランジ12及び前記底板部13は,個別の部材であってもよい。この場合,その個別の部材を接合することによって前記共振金属部材1が構成される。
また,本発明に係るICタグユニットの形状は,ここで説明する前記ICタグユニットXの形状に限られない。例えば,前記円筒部11に換えて,断面が多角形(四角形など)である角形管を採用してもよい。また,前記円筒部11及び前記フランジ12に換えて,対向する平板状や湾曲板などの二つの対向面と,その対向面各々から略垂直外側方向に突出する突出面とを有する二つのアングル部材を用いてもよい。
なお,図1に示すような形状の前記共振金属部材1の共振周波数は,前記パッシブタグ3の影響を無視すれば,解析的に求めることができる。なお,前記共振金属部材1の厚みは,その共振周波数に与える影響が小さく,構造体としての変形を防止できる強度を確保するために必要な厚みにすればよい。
なお,本発明に係るICタグユニットXにおいて,前記共振金属部材1は,その共振周波数が必ずしも前記タグ動作用無線信号の周波数と全く同一である必要はない。即ち,前記共振金属部材1が,前記タグ動作用無線信号に対して共振するものであれば,前記共振金属部材1の共振周波数が前記タグ動作用無線信号の周波数と多少ずれているとしても,それらは実質的に等しいといえ,本発明に含まれる。また,前記共振金属部材1及び前記誘電体2を含む筐体の全体の共振周波数が,前記タグ動作用無線信号の周波数と略等しくなるように設計することも他の実施例として考えられる。
前記底板部13は,前記円筒部11の前記フランジ12と逆側の端部開口を塞ぐものである。前記底板部13によって,前記円筒部11への信号入力は,前記フランジ12側の端部開口からに限定される。もちろん,前記底板部13を省略する構成も他の実施例として考えられる。
前記誘電体2は,空気よりも誘電率の高い電気的絶縁体である。例えば,前記誘電体2は,塩化ビニル,テフロン(デュポン社の登録商標),ポリスチレン,アクリル,ベークライト等である。また,前記誘電体2は,他に,アルミナであることも考えられる。前記誘電体2としてアルミナを用いる場合には,前記円筒部11に多数のアルミナを充填すればよい。
このように,前記ICタグユニットXでは,前記円筒部11内に前記誘電体2が充填されることにより,該円筒部11におけるエネルギーの蓄積効率が高められている。これにより,前述したように,前記共振金属部材1内に前記誘電体2を充填する場合には,充填しない場合に比べて√ε(ε:比誘電率)程度,該共振金属部材1の円筒直径d1(図1(b)参照)を縮小することができる。
また,前記ICタグユニットXでは,前記パッシブタグ3が前記円筒部11外に配置されている。そのため,前記パッシブタグ3のサイズにかかわらず前記円筒部11の円筒直径d1を縮小することができる。したがって,前記ICタグユニットXのユニットサイズの縮小化を実現することができる。
図2(a)に示す前記パッシブタグ3は,メモリや集積回路が搭載されたICチップ31と,該ICチップ31に接続された電界型のロッドアンテナ32とを有している。前記ロッドアンテナ32は,前記ICチップ31から上下に直線状を成している。
一方,図2(b)に示す前記パッシブタグ3は,メモリや集積回路が搭載されたICチップ31と,該ICチップ31に接続された電界型のロッドアンテナ33とを有している。前記ロッドアンテナ33は,前記ICチップ31の両側それぞれに前記タグ動作用無線信号の波長λの4分の1の長さ(両方合わせてλ/2の長さ)で矩形波状に形成されている。この構成では,前記パッシブタグ3の長手方向の長さを,直線状の前記ロッドアンテナ32を備える構成(図2(a)参照)よりも短くすることができる。本実施の形態に係る前記ICタグユニットXでは,図2(b)に示す前記パッシブタグ3の構成を採用する。
図3に示すように,前記共振金属部材1が例えばTE11モードの共振モードで共振すると,該共振金属部材1では高周波の電界A(図示する太線矢印)が発生する。前記電界Aは,前記円筒部11内において前記対向面11a,11bの一方から他方へ向かう電界A1と,前記円筒部11外において前記フランジ12の間に発生する電界A2とを含んでいる。また,前記共振金属部材1では,前記電界A1,A2の周りに環状の磁界Bが発生する。
なお,前記共振金属部材1では,前記底板部13近傍における電界はゼロとなり,前記フランジ12近傍における電界が最大となる。したがって,前記フランジ12に配置された前記パッシブタグ3では大きな電力を受信することができる。
さらに,前記パッシブタグ3は,前記ロッドアンテナ33の長手方向と前記円筒部11の直径方向とが一致する向きであって,前記電界Aの方向に沿う向きに保持されている。これにより,前記タグ動作用無線信号が前記ロッドアンテナ33によって高感度で受信される。
したがって,前記パッシブタグ3には,前記円筒部11で増幅された前記タグ動作用無線信号の電界A1と,前記フランジ12の間で発生する電界A2とが作用することになる。そのため,前記パッシブタグ3は,前記ICタグユニットXに到達した前記タグ動作用無線信号の強度が比較的弱い場合でも動作する。したがって,前記ICタグユニットXは,従来の一般的な前記パッシブタグ3を用いているにもかかわらず,そのパッシブタグ3と前記リーダ・ライタとの間の交信可能距離を従来よりも延長できる。具体的に,ある種の前記パッシブタグ3が単体で存在する場合に比べて,同じ前記パッシブタグ3を有する前記ICタグユニットXでは,交信可能距離が2倍になることを確認することができた。
一方,前記管軸S1方向に直交する方向から,或いはそれに近い方向から当該ICタグユニットXに到達した前記タグ動作用無線信号は,前記共振金属部材1によって遮られ,前記円筒部11内に入力されない。そのため,そのタグ動作用無線信号は,前記パッシブタグ3によって受信されない。即ち,前記ICタグユニットXにおけるパッシブタグ3の指向範囲は,前記管軸S1に沿う方向を中心とした比較的狭い範囲に限られ,従来のパッシブタグよりも狭い。したがって,1台の前記リーダ・ライタが複数の前記パッシブタグ3の識別をより確実に行うことができる。
特に,前記ICタグユニットXでは,前記円筒部11内に前記パッシブタグ3を収納する場合に比べて,前記円筒部11の円筒直径d1(図1(b)参照)を縮小することが可能である。
(1)高誘電率を有するアルミナ材料からなるアルミナ球(φ12mm)を前記誘電体2として用い,前記円筒部11に充填している。
(2)前記共振金属部材1の材質はアルミである。
(3)前記タグ動作用無線信号は950MHz帯(UHF帯)の電波である。
(4)前記パッシブタグ3の長さはロッドアンテナ33を含めて14cmである。
まず,図4は,前記円筒部11の円筒直径d1(図1(b)参照)を変えたときの前記パッシブタグ3による最大読取距離Dを測定した実験結果を示している。前記最大読取距離Dは,前記リーダ・ライタと前記パッシブタグ3との離間距離を,前記パッシブタグ3の記憶情報の読み出しが可能な所定の距離から徐々に大きくした場合に,前記パッシブタグ3の記憶情報の読み出しが可能な最大の距離である。当該実験では,前記円筒部11の円筒長さd2(図1(b)参照)は5cm,前記フランジ12のフランジ長さd3(図1(b)参照)は0cm(即ち,前記フランジ12を有しない構成)である。また,前記リーダ・ライタによる前記タグ動作用無線信号の送信電力は所定値で一定である。
このような実験条件で実験を行った結果,図4に示すように,前記ICタグユニットXでは,前記円筒部11の円筒直径d1が8cmのときに最大読取距離Dが最大の約200cmとなった。即ち,前記円筒部11の円筒直径d1が8cmのときが交信可能距離の延長に最適である。そこで,以下の実験では,前記円筒部11の円筒直径d1を8cmとする。
このような実験条件で実験を行った結果,図5に示すように,前記ICタグユニットXでは,前記円筒部11の円筒長さd2が5cmのときに最小送信電力Wが最小となった。即ち,前記円筒部11の円筒長さd2が5cmのとき,電送効率が最適である。そこで,以下の実験では,前記円筒部11の円筒長さd2を5cmとする。
このような実験条件で実験を行った結果,図6に示すように,前記ICタグユニットXでは,前記フランジ12のフランジ長さd3が8cmのときに最大読取距離Dが最大の約280cmとなった。一方,前記フランジ12のフランジ長さd3が0cmの場合には,最大読取距離Dは200cmである。これは,前記フランジ12が無い場合(フランジ長さd3=0cm)に比べて,交信可能距離が延長していることを示している。具体的に,前記フランジ12のフランジ長さd3が8cmのときは,前記フランジ12が無い場合に比べて,約1.4倍程度,交信可能距離を延長することができる。したがって,前記ICタグユニットXは,前記パッシブタグ3が取り付けられる管理対象物品のサイズが大きい場合や,その管理対象物品が高温である場合など,前記リーダ・ライタを前記パッシブタグ3に対して近づけることが難しい場合に好適に用いることができる。なお,換言すると,前記フランジ12を有する構成では,前記リーダ・ライタとの距離が同じである場合の最小送信電力Wを,前記フランジ12を有しない構成に比べて低くすることが可能である。
以下,実施例1〜3では,前記パッシブタグ3の向きを一定に維持するための具体的な構成例について説明する。
ここに,図7は,本発明の実施例1に係るICタグユニットX1の斜視図である。なお,前記ICタグユニットXと同様の構成には同じ符号を付してその説明を省略する。
図7に示すように,本発明の実施例1に係るICタグユニットX1は,前記フランジ12における前記パッシブタグ3の長手方向上の一方の端部に錘4が設けられている。前記錘4は,前記パッシブタグ3が所定の向きで保持されるように前記共振金属部材1の重心位置を定めるものである。例えば,前記錘4は,前記パッシブタグ3の長手方向が鉛直方向と略一致するように,前記共振金属部材1の重心位置を定めるものである。
また,前記共振金属部材1の前記円筒部11の外周には,前記管軸S1を中心とする断面円状の円筒支持部材21が設けられている。前記円筒支持部材21(支持部材の一例)は,前記円筒部11を軸支することによって前記共振金属部材1を揺動可能(回動可能)に支持するものである。
このように構成されたICタグユニットX1は,管理対象物品に前記円筒支持部材21を固定することによって,該管理対象物品に装着される。このとき,前記ICタグユニットX1では,前記共振金属部材1が,前記パッシブタグ3が所定の向きに保持されるように,前記円筒支持部材21によって揺動可能に支持されることになる。したがって,前記ICタグユニットX1が管理対象物品に装着される際に,前記円筒支持部材21に前記管軸S1を中心とする周方向の向きにズレが生じても,前記パッシブタグ3は,前記共振金属部材1の揺動によって所定の向きに保持される。これにより,前記ICタグユニットX1の交信可能距離の変化を防止することができる。
図8に示すように,本発明の実施例2に係るICタグユニットX2は,前記円筒部11及び前記フランジ12を有する共振金属部材1aと,前記誘電体2が充填された断面円状の共振金属部材1bとを有している。なお,前記共振金属部材1aには,前記底板部13(図1参照)が設けられていない。前記パッシブタグ3は,前記共振金属部材1aの前記フランジ12に接着されている。
また,前記ICタグユニットX1と同様に,前記フランジ12における前記パッシブタグ3の長手方向上の一方の端部には錘4が設けられている。前記錘4は,前記パッシブタグ3が所定の向きで保持されるように前記共振金属部材1aの重心位置を定めるものである。
前記共振金属部材1bは,前記管軸S1を中心とする断面円状の部材である。前記共振金属部材1bは,前記共振金属部材1aの前記円筒部11の内部に配置されている。前記共振金属部材1bは,前記共振金属部材1aを軸支することによって前記共振金属部材1aを揺動可能に支持している。また,前記共振金属部材1bには,一方の端部に底板部1cが設けられている。
このように構成されたICタグユニットX2は,管理対象物品に前記共振金属部材1bの底板部1cを固定することによって,該管理対象物品に装着される。このとき,前記ICタグユニットX2では,前記共振金属部材1aが,前記パッシブタグ3が所定の向きに保持されるように,前記共振金属部材1bによって揺動可能に支持されることになる。したがって,前記ICタグユニットX1が管理対象物品に装着される際に,前記共振金属部材1bに前記管軸S1を中心とする周方向の向きにズレが生じても,前記パッシブタグ3は,前記共振金属部材1aの揺動によって所定の向きに保持される。これにより,前記ICタグユニットX2の交信可能距離の変化を防止することができる。
本発明の実施例3に係るICタグユニットX3では,前記錘4に換えて,前記誘電体2を,前記パッシブタグ3を所定の向きに保持するべく前記共振金属部材1の重心位置を定めるものとして利用している。これにより,前記錘4を新たな構成要素として追加することなく,前記パッシブタグ3を所定の向きに保持する構成を具現することができる。
具体的に,図9(a)に示したICタグユニットX3は,前記円筒部11内における前記パッシブタグ3の長手方向上の一方の端部側の半分程度の領域だけに,前記誘電体2を充填する構成である。これにより,前記錘4を設けた場合と同様に,前記パッシブタグ3を所定の向きに保持するように前記共振金属部材1の重心位置を定めることができる。
また,図9(b)に示したICタグユニットX3は,前記誘電体2としてアルミナ球を用い,前記円筒部11内の半分程度の領域に相当する量のアルミナ球を該円筒部11内に充填する構成である。
図9(a),(b)に示すように構成された前記ICタグユニットX3では,該ICタグユニットX3が管理対象物品に装着される際に,前記円筒支持部材21(支持部材の一例)に前記管軸S1を中心とする周方向の向きにズレが生じても,前記パッシブタグ3は所定の向きに保持される。具体的には,前記共振金属部材1が前記誘電体2によって定められた重心位置によって揺動することにより,前記パッシブタグ3は所定の向きに保持される。したがって,前記ICタグユニットX3の交信可能距離の変化を防止することができる。なお,前記誘電体2の充填量は,前記パッシブタグ3を所定の向きに保持することができれば,前記円筒部11内の半分程度に限られず,それよりも多くても少なくともよい。
また前記実施例1及び本実施例3では,前記円筒部11を揺動可能に支持する場合を例に挙げて説明したが,前記フランジ12を揺動可能に支持する構成も他の実施例として考えられる。
1…共振金属部材
2…誘電体
3…パッシブタグ
31…ICチップ
32,33…ロッドアンテナ
11…円筒部
12…フランジ
13…底板部
A(A1,A2):電界
B:磁界
Claims (5)
- パッシブ型の無線ICタグであるパッシブタグを備えてなるICタグユニットであって,
相互に対向する対向面を形成する円筒部と,前記円筒部の一端部から略垂直方向外側に突出した前記パッシブタグを保持するための突出面と,前記円筒部の前記突出面とは多端側に設けた底板部とを有する金属部材と,
前記金属部材の前記対向面の間に設けられた電気的絶縁体である誘電体と,
を備え,
前記パッシブタグの少なくとも一方向の長さが前記円筒部の外径よりも大きいことを特徴とするICタグユニット。 - 前記金属部材の共振周波数が前記パッシブタグを動作させるためのタグ動作用無線信号の周波数と略等しいものである請求項1に記載のICタグユニット。
- 前記金属部材及び前記誘電体を含む筐体の共振周波数が前記パッシブタグを動作させるためのタグ動作用無線信号の周波数と略等しいものである請求項1に記載のICタグユニット。
- 前記突出面が,前記金属部材の端部に設けられたフランジである請求項1〜3のいずれかに記載のICタグユニット。
- 前記金属部材を揺動可能に支持する支持部材を更に備えてなり,
前記誘電体が,前記パッシブタグが所定の向きで保持されるように前記金属部材の重心位置を定めるものである請求項4に記載のICタグユニット。
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