JP4814470B2 - 埋め込みシールドを有するケーブルチャンネル充填材およびこれを含むケーブル - Google Patents
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Description
本出願は２０００年１月１９日に出願された仮出願番号(provisional application number)６０／１７７，０６８からの優先主張出願である。
【０００１】
【発明の属する分野】
本発明はケーブルチャンネル充填材あるいは小片（cable channel filler or spline）、およびチャンネル充填材あるいは小片を有するケーブルに関する。より詳細には、本発明は箔テープで形成した埋め込みのシールドを有し、且つ複数個のチャンネル充填材／ケーブルポケットを形成するシールド脚部を含んだ複数のシールド脚部を有するケーブルチャンネル充填材に関する。
【０００２】
【発明の背景】
電子ケーブルは現代のデジタル情報の殆どが伝わるハイウエイを提供する。デジタル情報を伝送するケーブルの多くは複数の対撚線ケーブルを利用する。これらの対撚線ケーブルは高速デジタルの要件を満たすために情報を高周波で伝送する必要がある。遺憾ながら、普通きわめて低い電圧で伝送される高周波は電子的な干渉を受け易い。例えば、業界でNEXTと呼んでいる同一ケーブル内の対撚線間の近端漏話は高周波信号伝送を妨害することがある。
【０００３】
シールドされていない対撚線（UTP）ケーブルのNEXTを抑制するため、業界では漏話特性を向上させる手段として、一般的に撚りの長さをきわめて短かいものにしおよび／あるいは対撚線を物理的に分離する(isolate)働きをする中心部チャンネル充填部材を用いる。漏話抑制の最良手段は対撚線を個別的にシールドし（ISTP）、それら相互を共通シールド面（common shield plane）の接地により電気的に分離する(isolate)ことである。有効ではあるが、これらのケーブルは一般的に購入、設置にかなりの費用がかかる。
【０００４】
米国特許5,789,711、5,969,295、5,519,173は、それぞれUTP又は遮蔽(screen) 対撚線ケーブルにおいて成型した中心部充填材(shaped central filler)を用いて対撚線を物理的に分離する方法について記述している。これらの構成によれば、UTPの物理的な離隔によるある程度の分離は得られるが、対間の導電性分離部材(conductive isolating member)の役は果たさない。
【０００５】
米国特許5,952,615はシールドで取巻いた中心部棒状充填材(central rod filler)、および各対撚線を完全に分離する全体シールドを利用したISTPケーブルの実施例について記述している。この構成は一般にシールド部材を接地する必要があり、本UTPの発明とは相容れないものである。加えて、ある実施例では中心部棒状充填材のひれ（fin）の内側の２枚の金属テープを十字の形状に構成する提案をしているが、２枚の金属テープからなるこの構成は、２枚のテープの接合点間で電磁漏洩が起こり得るので好ましくない。加うるに、対撚線の全周を取巻くシールドが非常に接近しているので、ケーブルの対撚線のインピーダンスおよび減衰量に悪影響を及ぼす。要求されるインピーダンスおよび減衰値を維持するため、ISTPの設計では対撚線に付加的な絶縁材料および銅量を加える必要があり、これがケーブルの寸法およびコストを増大させることになるので好ましくない。又、シールドの接近がインピーダンス、減衰量および反射減衰量等の電気的パラミータの安定性に悪影響を与える。
【０００６】
米国特許3,819,443は、金属とプラスチック材料の積層条片を切断、折り曲げおよび組立てしてシールド部材の放射状分岐を限定した(define radial branches)シールド部材について記述している。この構成も前述と同じ問題の多くを有する。テープの組立てにより反対側の対から電磁洩れが伝わる通路ができる。
【０００７】
【発明の要約】
本発明のケーブルは、複数個の縦方向に延びる管状ポケットおよび内部金属シールドを含有するチャンネル充填材を有することで複数の対撚線の相互分離を向上させる。かなりの場合、チャンネル充填材のケーブルポケットは、それぞれのポケットに配置される電線又はケーブルの包絡面 (envelope area)の直径に等しいかそれより大きい断面積を有することが好ましい。チャンネル充填材ポケットのそれぞれを分離するため、金属シールドをチャンネル充填材に埋め込む。チャンネル充填材シールドは、チャンネル充填材の形状に一致するように折り曲げられ、且つポケット脚部のそれぞれに及んでこれに埋め込まれる１枚のテープであるのが好ましい。１枚のシールドテープを折り曲げて複数の鰭すなわち脚部を設けるので、チャンネル充填材ポケット脚部のそれぞれにシールド脚部が存在する。本発明は又、改良された２枚テープのシールド(two tape shield)を提供する。２枚テープのシールドでは、第一のシールドテープを折り曲げて複数本のシールド脚部を設け、第二のシールドテープを折り曲げて１本のシールド脚部を設ける。第二のシールド脚部の一方の側の２０−５０％−少なくとも１／１６インチが、第一のシールドテープ脚部のうちの１本の折り重なり部分に包まれる。
【０００８】
本発明のチャンネル充填材を使用して製造される通信ケーブルは、通常それぞれのポケットにシールドされていない対撚線ケーブルを有する。さらに対撚線はチャンネル充填材を含めて被覆される。
【０００９】
本発明および本発明の利点は、添付の図面と共に下記の詳細な説明を検討することにより更に明瞭になるであろう。
【００１０】
【発明の詳細な記述】
以下に図面を用いて本発明の細長のチャンネル充填材および本発明の細長のチャンネル充填材を利用したケーブルの独創的な特徴(inventive features)を更に説明する。
【００１１】
図１を参照すると、本発明の細長のチャンネル充填材シールド２０は、その横断面に沿って第一の脚部２１、第二の脚部２２、第三の脚部２３および第四の脚部２４を有する。シールドは脚部２１−２４の全部が等幅であるとき、それぞれの脚部の幅の約６倍に等しい幅を有する１枚のテ−プで作られる。シールド脚部２２および２４は、シールド脚部２１および２３の厚さの２倍の厚さとなるように折り曲げた脚部である。図１のシールドは、シールドの第一の脚部２３となる第一の切片（segment）５２を形成するべく第一の箇所５０でテープを９０度折り曲げて形成する。第一の切片５２はテープの全体の幅のほぼ１／６である。次に第二の箇所５４でテープを１８０度折り曲げて第二の切片５６および第三の切片５８を形成する。これらはシールドの第二の脚部２４を形成する。第二の切片はテープの全幅のほぼ１／６であり、第三の切片はテープの全幅のほぼ２／６である。次に第三の箇所６０でテープを１８０度折り曲げて第四の切片６２をつくり、シールドの第三の脚部２２を完成する。最後に第四の箇所６４でテープを９０度折り曲げてシールドの第四の脚部２１をつくる。第二、第三および第四の切片５６，５８および６２を圧縮し、これにより切片間の空隙を除去する。それぞれの脚部間の空間は、図９に示す対撚線ケーブル４２の配置を取り込めるようにしたポケット６６をつくる。それぞれのポケット６６は、９０度の内縁(inner edge)を有し、且つシールドの２本の脚部とケーブル外被４３によって範囲限定される。１個のシールド中に分断が全くないので、それぞれのポケットからの周波数干渉（frequency interference）が従前のシールド設計より著しく減少する。
【００１２】
図２を参照すると、本発明のシールド２５は、４本の脚部の全部が２層のシールドテープを有する。これら２層はシールドテープをチャンネル充填材に埋め込んだとき互いに係合する。１枚のシールドテープをこの形態に折り曲げることにより、図１０に示すような４本の脚部２６、２７、２８および２９の収束する箇所６８にドレンワイヤ又は強化部材４５を設置することができる。この構成の場合、それぞれの脚部２６、２７、２８および２９はテープ全幅のほぼ１／８の長さである。シールド２５の利点は、それぞれの脚部２６、２７、２８および２９が２切片のテープから成るため、より薄いテープを使用できることである。
【００１３】
図３は本発明による別のシールド３０で、１枚のテープを折り曲げて２層の“Ｔ”型 シールド脚部３１，３２、３３および３４を設けたものである。図１１に示すように、脚部３１，３２、３３および３４および“Ｔ”の頂部７０を２層化し且つチャンネル充填材の側端の形状に一致するように成型する。この設計は、対撚線ケーブルを収容するポケット７２を部分的に隔離することにより干渉を更に減少させる。１枚のシールドテープをこの形態に折り曲げることによって、４本の脚部３１，３２、３３および３４の収束する箇所にドレンワイヤ又は強化部材４５を配置することができる。
【００１４】
図４を参照すると、２枚のシールドテープで製作したシールド脚部３６，３７，３８および３９を有する本発明の別のチャンネル充填材シールド３５が示されている。脚部３６，３７および３８は、折り重ねて２層にした脚部３７を含め、１枚のシールドテープを用いて製作する。脚部３９は第二のテープによって形成し、その片側の２０−５０％−少なくとも１／１６インチをシールド脚部３７の折り重なり部分間に入れる。この少なくとも１／１６インチの挿入部分は、脚部３９が脚部３７の折り曲げ部分間からはずれるのを防止するのに必要なものである。組立て時に脚部３９が脚部３７の切片間に配置される。この設計の２枚テープシールドを用いると、２枚のテープの接合点間の電磁漏洩はテープ間が重なり合うために消失する。
【００１５】
図５〜８を参照すると、図１、２および４のシールドのいずれか一つを埋め込んだ異なる形状のチャンネル充填材が示されている。箔(foil)テープは可とう性があるので、脚部をチャンネル充填材の形状に合致する位置に曲げることができる。図１、２および４のシールドを使用することにより、テープからシールドを形成し連続作業で充填材を施すことができるので、他のケーブル設計で必要とされる諸々のステップを除外できる。
細長のチャンネル充填材に好適な材料は、粉砕抵抗（crush resistance）、破壊強度、ゼリー充填、安全性に関するユーザーの要求、および耐炎および耐煙性の要求によって決まる適切な重合体又は共重合体である。多くの適用分野において、難燃性ポリエチレン又はポリ塩化ビニルがその材料となる。充填材がポリマー材料なので、充填材をケーブル設計の要件に合わせた種々の形状にすることができる。充填材は、シールドの外形に追従し、ポケットを絶縁し、且つ完成ケーブルに全体的な強度を付加するように設計する。図５の埋め込みシールド８８を含む充填材８６の断面は、ポケット８４の範囲を限定する４本の脚部７６，７８，８０および８２を有するプラス記号状の充填材の例を示すものである。図６の埋め込みシールド９２を有する充填材９０の断面は、直角に整列した(perpendicular orientation)脚部９４、９６、９８および１００を持つシールド９２を示す。充填材９０がシールド９２を取囲んでいる。脚部９４、９６、９８および１００の先端は丸められており、ケーブルの形状と一致する。内縁(inner edges)１０２も丸められていて、曲線状のポケット１０４をつくる。図７はある種のケーブル設計の要件に合致する曲線状の先端１１０を持つシールド１０６および充填材１０８の例である。シールド１０６は可撓性なので、所望の形状に形成することができる。図８は、ポケット１１６および１１８がポケット１２２および１２４より小さな内角を有するように形成したシールド１１２および充填材１１４の例である。この充填材設計は楕円又は矩形の断面を有するケーブルに使用される。
【００１６】
図９を参照すると、心線(core)として、それぞれがシールドされていない対撚線ケーブル４２を含む直径方向で対向する第一のポケット対１２８および１３０、および同じくそれぞれがシールドされていない対撚線ケーブル４２を含む第二のポケット対１３２および１３４を持った本発明の細長のチャンネル充填材を有するケーブル４０が示されている。本発明の細長のチャンネル充填材を含む心線(core)１３６は、埋め込みシールド１３８および充填材のポケット中のケーブル４２を有する。心線はその上層に押出された外被４３に取巻かれている。外被４３は、発泡又は非発泡のポリ塩化ビニル、フッ素化重合体、ポリエチレン、難燃性組成物等のような普通に使用している適切な外被材料でよい。
それぞれのシールドされていない対撚線ケーブル４２は、適切な絶縁１４０を持つ１対の導体を有する。導体は通常、銅、錫めっき銅、又はその他の適切な導体である。導体絶縁１４０は、ポリエチレン、ポリプロピレン、フッ素化エチレンプロピレン、テトラフルオロエチレン、ポリ塩化ビニル等の発泡又は非発泡絶縁である。
【００１７】
図１０を参照すると、埋め込みシールド１５２および開口６８に位置するドレンワイヤ４５を有するチャンネル充填材１５０が示されている。チャンネル充填材は、図２のシールドと同じシールドの構成を有する。本実施例では、ドレンワイヤ４５がチャンネル充填材シールド１５２の２層間に存在する。
【００１８】
通常、４対の対撚線ケーブルを有する通信ケーブルにとって、同じサイズのものは全て異なった撚りピッチを有していても有していなくとも、本発明のシールドチャンネル充填材を使用する。チャンネル充填材は直径が約０．１５０インチ乃至約０．３５０インチである。対撚線ケーブル４２のサイズは、通常約２４AWG乃至約２２AWGである。その他の適用に関しては、チャンネル充填材は必要とされる数のポケットあるいはポケット脚部を有することになる。例えば、４対のケーブルであればチャンネル充填材は４本のポケット脚部を有し、１０対のケーブルであればチャンネル充填材は１０本のポケット脚部を有する。同様に、埋め込みシールドは、それぞれ４本および１０本のシールド脚部を有する。
【００１９】
シールドはアルミニウム又は銅テープ、BELDFOIL、DUOFOILあるいは適合する何らかの金属テープのような任意の適切なシールドで良い。重合体基材(polymer base)を使用するシールドは、重合体基材の両側面の一方にアルミニウム又は銅を有することができる。シールド上の金属の厚さは約０．０００３乃至０．００１インチである。
【００２０】
図１１を参照すると、埋め込みシールド１４４およびドレンワイヤ又は強化部材４５を有するチャンネル充填材１４２が示されている。チャンネル充填材は、図３のシールドと同じシールド構成を有する。本実施例では、ドレンワイヤがチャンネル充填材シールドの２層間に存在する。ドレンワイヤは通常、錫めっき銅、錫めっきアルミニウム等を用いて製作し、強化部材は通常ポリエチレンで製作する。
【００２１】
ここに記述した実施態様は例示的に示されたものであり、本発明が本明細書に記述された実施態様そのものに限定されるものでないことは当然理解されるであろう。添付の請求範囲に規定される本発明の範囲又は精神に背くことなく、種々の変更および修正が当業者によって実施されることがあり得ると思われる。
【図面の簡単な説明】
【図１】 ４本の脚部を有する１枚テープのシールドの拡大断面図である。
【図２】 ４本の脚部を有する１枚テープのシールドの拡大断面図である。
【図３】 ４本の脚部を有する１枚テープのシールドの拡大断面図である。
【図４】 本発明による構成の２枚テープのシールドの拡大断面図である。
【図５】 本発明の埋め込みシールドを含むチャンネル充填材の拡大部分断面図である。
【図６】 本発明の埋め込みシールドを含むチャンネル充填材の拡大部分断面図である。
【図７】 本発明の埋め込みシールドを含むチャンネル充填材の拡大部分断面図である。
【図８】 本発明の埋め込みシールドを含むチャンネル充填材の拡大部分断面図である。
【図９】 図６のチャンネル充填材を有するケーブルの拡大断面図である。
【図１０】 ドレンワイヤ又は強化部材を有する本発明の細長のチャンネル充填材の断面図である。
【図１１】 ドレンワイヤ又は強化部材を有する本発明の細長のチャンネル充填材の断面図である。
【０００１】
【発明の属する分野】
本発明はケーブルチャンネル充填材あるいは小片（cable channel filler or spline）、およびチャンネル充填材あるいは小片を有するケーブルに関する。より詳細には、本発明は箔テープで形成した埋め込みのシールドを有し、且つ複数個のチャンネル充填材／ケーブルポケットを形成するシールド脚部を含んだ複数のシールド脚部を有するケーブルチャンネル充填材に関する。
【０００２】
【発明の背景】
電子ケーブルは現代のデジタル情報の殆どが伝わるハイウエイを提供する。デジタル情報を伝送するケーブルの多くは複数の対撚線ケーブルを利用する。これらの対撚線ケーブルは高速デジタルの要件を満たすために情報を高周波で伝送する必要がある。遺憾ながら、普通きわめて低い電圧で伝送される高周波は電子的な干渉を受け易い。例えば、業界でNEXTと呼んでいる同一ケーブル内の対撚線間の近端漏話は高周波信号伝送を妨害することがある。
【０００３】
シールドされていない対撚線（UTP）ケーブルのNEXTを抑制するため、業界では漏話特性を向上させる手段として、一般的に撚りの長さをきわめて短かいものにしおよび／あるいは対撚線を物理的に分離する(isolate)働きをする中心部チャンネル充填部材を用いる。漏話抑制の最良手段は対撚線を個別的にシールドし（ISTP）、それら相互を共通シールド面（common shield plane）の接地により電気的に分離する(isolate)ことである。有効ではあるが、これらのケーブルは一般的に購入、設置にかなりの費用がかかる。
【０００４】
米国特許5,789,711、5,969,295、5,519,173は、それぞれUTP又は遮蔽(screen) 対撚線ケーブルにおいて成型した中心部充填材(shaped central filler)を用いて対撚線を物理的に分離する方法について記述している。これらの構成によれば、UTPの物理的な離隔によるある程度の分離は得られるが、対間の導電性分離部材(conductive isolating member)の役は果たさない。
【０００５】
米国特許5,952,615はシールドで取巻いた中心部棒状充填材(central rod filler)、および各対撚線を完全に分離する全体シールドを利用したISTPケーブルの実施例について記述している。この構成は一般にシールド部材を接地する必要があり、本UTPの発明とは相容れないものである。加えて、ある実施例では中心部棒状充填材のひれ（fin）の内側の２枚の金属テープを十字の形状に構成する提案をしているが、２枚の金属テープからなるこの構成は、２枚のテープの接合点間で電磁漏洩が起こり得るので好ましくない。加うるに、対撚線の全周を取巻くシールドが非常に接近しているので、ケーブルの対撚線のインピーダンスおよび減衰量に悪影響を及ぼす。要求されるインピーダンスおよび減衰値を維持するため、ISTPの設計では対撚線に付加的な絶縁材料および銅量を加える必要があり、これがケーブルの寸法およびコストを増大させることになるので好ましくない。又、シールドの接近がインピーダンス、減衰量および反射減衰量等の電気的パラミータの安定性に悪影響を与える。
【０００６】
米国特許3,819,443は、金属とプラスチック材料の積層条片を切断、折り曲げおよび組立てしてシールド部材の放射状分岐を限定した(define radial branches)シールド部材について記述している。この構成も前述と同じ問題の多くを有する。テープの組立てにより反対側の対から電磁洩れが伝わる通路ができる。
【０００７】
【発明の要約】
本発明のケーブルは、複数個の縦方向に延びる管状ポケットおよび内部金属シールドを含有するチャンネル充填材を有することで複数の対撚線の相互分離を向上させる。かなりの場合、チャンネル充填材のケーブルポケットは、それぞれのポケットに配置される電線又はケーブルの包絡面 (envelope area)の直径に等しいかそれより大きい断面積を有することが好ましい。チャンネル充填材ポケットのそれぞれを分離するため、金属シールドをチャンネル充填材に埋め込む。チャンネル充填材シールドは、チャンネル充填材の形状に一致するように折り曲げられ、且つポケット脚部のそれぞれに及んでこれに埋め込まれる１枚のテープであるのが好ましい。１枚のシールドテープを折り曲げて複数の鰭すなわち脚部を設けるので、チャンネル充填材ポケット脚部のそれぞれにシールド脚部が存在する。本発明は又、改良された２枚テープのシールド(two tape shield)を提供する。２枚テープのシールドでは、第一のシールドテープを折り曲げて複数本のシールド脚部を設け、第二のシールドテープを折り曲げて１本のシールド脚部を設ける。第二のシールド脚部の一方の側の２０−５０％−少なくとも１／１６インチが、第一のシールドテープ脚部のうちの１本の折り重なり部分に包まれる。
【０００８】
本発明のチャンネル充填材を使用して製造される通信ケーブルは、通常それぞれのポケットにシールドされていない対撚線ケーブルを有する。さらに対撚線はチャンネル充填材を含めて被覆される。
【０００９】
本発明および本発明の利点は、添付の図面と共に下記の詳細な説明を検討することにより更に明瞭になるであろう。
【００１０】
【発明の詳細な記述】
以下に図面を用いて本発明の細長のチャンネル充填材および本発明の細長のチャンネル充填材を利用したケーブルの独創的な特徴(inventive features)を更に説明する。
【００１１】
図１を参照すると、本発明の細長のチャンネル充填材シールド２０は、その横断面に沿って第一の脚部２１、第二の脚部２２、第三の脚部２３および第四の脚部２４を有する。シールドは脚部２１−２４の全部が等幅であるとき、それぞれの脚部の幅の約６倍に等しい幅を有する１枚のテ−プで作られる。シールド脚部２２および２４は、シールド脚部２１および２３の厚さの２倍の厚さとなるように折り曲げた脚部である。図１のシールドは、シールドの第一の脚部２３となる第一の切片（segment）５２を形成するべく第一の箇所５０でテープを９０度折り曲げて形成する。第一の切片５２はテープの全体の幅のほぼ１／６である。次に第二の箇所５４でテープを１８０度折り曲げて第二の切片５６および第三の切片５８を形成する。これらはシールドの第二の脚部２４を形成する。第二の切片はテープの全幅のほぼ１／６であり、第三の切片はテープの全幅のほぼ２／６である。次に第三の箇所６０でテープを１８０度折り曲げて第四の切片６２をつくり、シールドの第三の脚部２２を完成する。最後に第四の箇所６４でテープを９０度折り曲げてシールドの第四の脚部２１をつくる。第二、第三および第四の切片５６，５８および６２を圧縮し、これにより切片間の空隙を除去する。それぞれの脚部間の空間は、図９に示す対撚線ケーブル４２の配置を取り込めるようにしたポケット６６をつくる。それぞれのポケット６６は、９０度の内縁(inner edge)を有し、且つシールドの２本の脚部とケーブル外被４３によって範囲限定される。１個のシールド中に分断が全くないので、それぞれのポケットからの周波数干渉（frequency interference）が従前のシールド設計より著しく減少する。
【００１２】
図２を参照すると、本発明のシールド２５は、４本の脚部の全部が２層のシールドテープを有する。これら２層はシールドテープをチャンネル充填材に埋め込んだとき互いに係合する。１枚のシールドテープをこの形態に折り曲げることにより、図１０に示すような４本の脚部２６、２７、２８および２９の収束する箇所６８にドレンワイヤ又は強化部材４５を設置することができる。この構成の場合、それぞれの脚部２６、２７、２８および２９はテープ全幅のほぼ１／８の長さである。シールド２５の利点は、それぞれの脚部２６、２７、２８および２９が２切片のテープから成るため、より薄いテープを使用できることである。
【００１３】
図３は本発明による別のシールド３０で、１枚のテープを折り曲げて２層の“Ｔ”型 シールド脚部３１，３２、３３および３４を設けたものである。図１１に示すように、脚部３１，３２、３３および３４および“Ｔ”の頂部７０を２層化し且つチャンネル充填材の側端の形状に一致するように成型する。この設計は、対撚線ケーブルを収容するポケット７２を部分的に隔離することにより干渉を更に減少させる。１枚のシールドテープをこの形態に折り曲げることによって、４本の脚部３１，３２、３３および３４の収束する箇所にドレンワイヤ又は強化部材４５を配置することができる。
【００１４】
図４を参照すると、２枚のシールドテープで製作したシールド脚部３６，３７，３８および３９を有する本発明の別のチャンネル充填材シールド３５が示されている。脚部３６，３７および３８は、折り重ねて２層にした脚部３７を含め、１枚のシールドテープを用いて製作する。脚部３９は第二のテープによって形成し、その片側の２０−５０％−少なくとも１／１６インチをシールド脚部３７の折り重なり部分間に入れる。この少なくとも１／１６インチの挿入部分は、脚部３９が脚部３７の折り曲げ部分間からはずれるのを防止するのに必要なものである。組立て時に脚部３９が脚部３７の切片間に配置される。この設計の２枚テープシールドを用いると、２枚のテープの接合点間の電磁漏洩はテープ間が重なり合うために消失する。
【００１５】
図５〜８を参照すると、図１、２および４のシールドのいずれか一つを埋め込んだ異なる形状のチャンネル充填材が示されている。箔(foil)テープは可とう性があるので、脚部をチャンネル充填材の形状に合致する位置に曲げることができる。図１、２および４のシールドを使用することにより、テープからシールドを形成し連続作業で充填材を施すことができるので、他のケーブル設計で必要とされる諸々のステップを除外できる。
細長のチャンネル充填材に好適な材料は、粉砕抵抗（crush resistance）、破壊強度、ゼリー充填、安全性に関するユーザーの要求、および耐炎および耐煙性の要求によって決まる適切な重合体又は共重合体である。多くの適用分野において、難燃性ポリエチレン又はポリ塩化ビニルがその材料となる。充填材がポリマー材料なので、充填材をケーブル設計の要件に合わせた種々の形状にすることができる。充填材は、シールドの外形に追従し、ポケットを絶縁し、且つ完成ケーブルに全体的な強度を付加するように設計する。図５の埋め込みシールド８８を含む充填材８６の断面は、ポケット８４の範囲を限定する４本の脚部７６，７８，８０および８２を有するプラス記号状の充填材の例を示すものである。図６の埋め込みシールド９２を有する充填材９０の断面は、直角に整列した(perpendicular orientation)脚部９４、９６、９８および１００を持つシールド９２を示す。充填材９０がシールド９２を取囲んでいる。脚部９４、９６、９８および１００の先端は丸められており、ケーブルの形状と一致する。内縁(inner edges)１０２も丸められていて、曲線状のポケット１０４をつくる。図７はある種のケーブル設計の要件に合致する曲線状の先端１１０を持つシールド１０６および充填材１０８の例である。シールド１０６は可撓性なので、所望の形状に形成することができる。図８は、ポケット１１６および１１８がポケット１２２および１２４より小さな内角を有するように形成したシールド１１２および充填材１１４の例である。この充填材設計は楕円又は矩形の断面を有するケーブルに使用される。
【００１６】
図９を参照すると、心線(core)として、それぞれがシールドされていない対撚線ケーブル４２を含む直径方向で対向する第一のポケット対１２８および１３０、および同じくそれぞれがシールドされていない対撚線ケーブル４２を含む第二のポケット対１３２および１３４を持った本発明の細長のチャンネル充填材を有するケーブル４０が示されている。本発明の細長のチャンネル充填材を含む心線(core)１３６は、埋め込みシールド１３８および充填材のポケット中のケーブル４２を有する。心線はその上層に押出された外被４３に取巻かれている。外被４３は、発泡又は非発泡のポリ塩化ビニル、フッ素化重合体、ポリエチレン、難燃性組成物等のような普通に使用している適切な外被材料でよい。
それぞれのシールドされていない対撚線ケーブル４２は、適切な絶縁１４０を持つ１対の導体を有する。導体は通常、銅、錫めっき銅、又はその他の適切な導体である。導体絶縁１４０は、ポリエチレン、ポリプロピレン、フッ素化エチレンプロピレン、テトラフルオロエチレン、ポリ塩化ビニル等の発泡又は非発泡絶縁である。
【００１７】
図１０を参照すると、埋め込みシールド１５２および開口６８に位置するドレンワイヤ４５を有するチャンネル充填材１５０が示されている。チャンネル充填材は、図２のシールドと同じシールドの構成を有する。本実施例では、ドレンワイヤ４５がチャンネル充填材シールド１５２の２層間に存在する。
【００１８】
通常、４対の対撚線ケーブルを有する通信ケーブルにとって、同じサイズのものは全て異なった撚りピッチを有していても有していなくとも、本発明のシールドチャンネル充填材を使用する。チャンネル充填材は直径が約０．１５０インチ乃至約０．３５０インチである。対撚線ケーブル４２のサイズは、通常約２４AWG乃至約２２AWGである。その他の適用に関しては、チャンネル充填材は必要とされる数のポケットあるいはポケット脚部を有することになる。例えば、４対のケーブルであればチャンネル充填材は４本のポケット脚部を有し、１０対のケーブルであればチャンネル充填材は１０本のポケット脚部を有する。同様に、埋め込みシールドは、それぞれ４本および１０本のシールド脚部を有する。
【００１９】
シールドはアルミニウム又は銅テープ、BELDFOIL、DUOFOILあるいは適合する何らかの金属テープのような任意の適切なシールドで良い。重合体基材(polymer base)を使用するシールドは、重合体基材の両側面の一方にアルミニウム又は銅を有することができる。シールド上の金属の厚さは約０．０００３乃至０．００１インチである。
【００２０】
図１１を参照すると、埋め込みシールド１４４およびドレンワイヤ又は強化部材４５を有するチャンネル充填材１４２が示されている。チャンネル充填材は、図３のシールドと同じシールド構成を有する。本実施例では、ドレンワイヤがチャンネル充填材シールドの２層間に存在する。ドレンワイヤは通常、錫めっき銅、錫めっきアルミニウム等を用いて製作し、強化部材は通常ポリエチレンで製作する。
【００２１】
ここに記述した実施態様は例示的に示されたものであり、本発明が本明細書に記述された実施態様そのものに限定されるものでないことは当然理解されるであろう。添付の請求範囲に規定される本発明の範囲又は精神に背くことなく、種々の変更および修正が当業者によって実施されることがあり得ると思われる。
【図面の簡単な説明】
【図１】 ４本の脚部を有する１枚テープのシールドの拡大断面図である。
【図２】 ４本の脚部を有する１枚テープのシールドの拡大断面図である。
【図３】 ４本の脚部を有する１枚テープのシールドの拡大断面図である。
【図４】 本発明による構成の２枚テープのシールドの拡大断面図である。
【図５】 本発明の埋め込みシールドを含むチャンネル充填材の拡大部分断面図である。
【図６】 本発明の埋め込みシールドを含むチャンネル充填材の拡大部分断面図である。
【図７】 本発明の埋め込みシールドを含むチャンネル充填材の拡大部分断面図である。
【図８】 本発明の埋め込みシールドを含むチャンネル充填材の拡大部分断面図である。
【図９】 図６のチャンネル充填材を有するケーブルの拡大断面図である。
【図１０】 ドレンワイヤ又は強化部材を有する本発明の細長のチャンネル充填材の断面図である。
【図１１】 ドレンワイヤ又は強化部材を有する本発明の細長のチャンネル充填材の断面図である。
Claims (11)
- １枚の折り曲げた金属シールドテープから形成され、それぞれ前記金属シールドテープの折り重なり部分からなる少なくとも３本のシールド脚部を有するシールドと、
前記少なくとも３本のシールド脚部をそれぞれ被覆する長手方向に延びる充填材脚部と、それぞれ前記充填材脚部のうち隣接する２本から形成され、ケーブルを収容する複数の開放形ポケットとを有するチャンネル充填材本体とからなり、
前記金属シールドテープの前記折り重なり部分において空隙が生じないことを特徴とするケーブルチャンネル充填材。 - 前記金属シールドテープは０．０００３インチ（０．００７５ｍｍ）乃至０．００１インチ（０．０２５ｍｍ）の厚さを有する請求項１のケーブルチャンネル充填材。
- 前記金属シールドテープはアルミニウム、銅、および一方又は両方の側面にアルミニウム又は銅を有する重合体基材(polymer base)から選択される請求項１のケーブルチャンネル充填材。
- 前記チャンネル充填材本体が重合体又は共重合体材料から形成される請求項１のケーブルチャンネル充填材。
- 第一および第二の金属シールドテープから形成された複数本の長手方向に延びる間隔をおいたシールド脚部を有するデータ伝送ケーブル用シールドであって、
前記シールド脚部のうち少なくとも２本は前記第一の金属シールドテープから形成され、
前記シールド脚部のうち少なくとも１本は前記第二の金属シールドテープから形成され、
前記第二の金属シールドテープから形成された前記シールド脚部の２０パーセント乃至５０パーセント又は少なくとも１／１６インチ（１．６ｍｍ）が、前記第一の金属シールドテープから形成された前記シールド脚部のうち１本の折り重なり部分によって包まれることを特徴とするデータ伝送ケーブル用シールド。 - 前記第一及び第二の金属シールドテープがそれぞれ０．０００３インチ（０．００７５ｍｍ）乃至０．００１インチ（０．０２５ｍｍ）の厚さを有し、且つ前記第一及び第二の金属シールドテープはそれぞれアルミニウム、銅、および一方又は両方の側面にアルミニウム又は銅を有する重合体基材から選択される請求項５のシールド。
- 絶縁導体と、
１枚の折り曲げた金属シールドテープから形成され、前記金属シールドテープの折り重なり部分からなる少なくとも３本のシールド脚部を有するシールドと、
前記少なくとも３本のシールド脚部をそれぞれ被覆する長手方向に延びる充填材脚部と、それぞれ前記充填材脚部のうち隣接する２本から形成され、前記絶縁導体を収容する開放形ポケットとを有するチャンネル充填材本体とからなり、
前記金属シールドテープの前記折り重なり部分において空隙が生じないことを特徴とする信号伝送ケーブル。 - 前記金属シールドテープは０．０００３インチ（０．００７５ｍｍ）乃至０．００１インチ（０．０２５ｍｍ）の厚さを有する請求項７の信号伝送ケーブル。
- 前記開放形ポケットはシールドされていない対撚線ケーブルの収容に適するように構成された請求項７の信号伝送ケーブル。
- 前記金属シールドテープは金属のみからなる請求項１のケーブルチャンネル充填材。
- 前記金属シールドテープは金属のみからなる請求項７の信号伝送ケーブル。
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