JP4812318B2 - 走査型電子顕微鏡を用いたパターン寸法の計測方法 - Google Patents

走査型電子顕微鏡を用いたパターン寸法の計測方法 Download PDF

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本発明は,微小パターンの寸法計測を行う為の走査型電子顕微鏡装置に係り,特に装置間や装置の経時変化による計測寸法の違いを管理する機能を備えた走査型電子顕微鏡及びそれを用いたパターン計測方法並びに走査型電子顕微鏡の機差補正装置に関するものである。
半導体製造工程においては,パターンの微細化に伴い,より計測精度の高い寸法計測装置が求められている。計測精度に対する要求は,計測装置単体での計測精度の向上のみならず,生産ラインにある複数台の装置間での計測寸法差を低減することや,装置の経時変化による計測寸法の変動を低減することにまで及ぶ。
数十ナノメートルオーダの微細パターンの幅を計測する寸法計測ツールとしては,それらのパターンを10万から20万倍の拡大倍率で撮像可能なパターン幅計測用の走査電子顕微鏡(測長SEM(ScAnning Electron Microscope)またはCD(CriticAl Dimension)SEM)が従来から用いられている。
このような走査電子顕微鏡装置において,複数台の装置間での計測寸法差や装置の経時変化による寸法変動を低減する手法として,(1)あらかじめ同一箇所のパターンを複数の装置で一回ずつ計測することで,装置間の計測寸法の差を求めておき,(2)各装置でパターン寸法を計測する際に,(1)で求めておいた装置間の計測寸法の差分を加算することで,装置間での計測寸法を合わせ込むといった方法が使われている。
またこの他に,装置間での計測寸法差や装置の経時変化による寸法変動を計測する手法として,各装置で同一箇所のパターンを複数回計測し,各装置から得られた計測値の外挿値の差を算出する手法が,非特許文献1で提案されている。
Measurement Precision of CD-SEM for 65nm Technology Node, Hideaki Abe et.al, Metrology, Inspection and Process Control for Microlithography XVIII, Proceedings of SPIE Vol.5375, pp.929
パターンの寸法計測を行う走査電子顕微鏡装置において,従来技術による複数台の装置間での計測寸法差および経時変化による計測寸法差の評価法では,各装置間で同一箇所を一回ずつ計測し,その計測寸法差を装置間での計測寸法差および経時変化による計測寸法差としている。ところが,走査電子顕微鏡には,(A)繰り返し寸法計測時の計測寸法ばらつきが存在する,(B)同一箇所を複数回撮像する場合,寸法計測毎に対象パターンの形状および材料特性が変化する,という特性があるため,先に述べたような,各装置で同一箇所のパターンを一回ずつ計測した場合の計測結果には,装置の違いによる計測寸法差の他に,計測誤差や計測対象パターン自体の変形による寸法差が混入してしまう。
また,従来技術において,複数台の装置間での計測寸法差および経時変化による計測寸法差の評価および合わせ込みに用いるのは,画像プロファイル(画像の断面波形)より得られるパターン計測寸法である。これに対し,走査電子顕微鏡装置のように有限サイズのビームを照射して画像を取得し,その画像を用いて寸法計測を行う寸法計測装置において,装置間で計測寸法差が発生する大きな要因として,装置間での電子ビームの形状の違いが挙げられるが,この場合,計測寸法差が計測パターン形状により異なるという特性がある。
図6に,3種類の寸法計測対象パターン0601,0602,0603における,ビーム径とCD値の関係を模式的に表したものを示す。図6(a)に示すように,走査電子顕微鏡装置においては,装置によって電子ビームのビーム径が異なる場合,寸法計測対象パターンの形状により異なった画像プロファイル(画像の断面波形)が得られ、その結果、図6(b)に示すように、その寸法差0605,0606,0607が異なるという特性を有する。
以上の理由により,従来技術においては,計測パターン形状ごとに,計測寸法差の評価,すなわち合わせ込みに必要なパラメータの算出と,該算出パラメータを用いた計測寸法差の合わせ込みを行う必要があった。
本発明は、より高精度な配線パターンの寸法管理を可能とする走査型電子顕微鏡及びそれを用いたパターン計測方法並びに走査型電子顕微鏡の機差補正装置に関するものである。
また,本発明は、より簡便に,装置間での計測寸法差を低減することができる走査型電子顕微鏡及びそれを用いたパターン計測方法並びに走査型電子顕微鏡の機差補正装置に関するものである。
上記課題を解決するため,本発明では,以下の二つの機能を有する走査電子顕微鏡装置もしくは走査電子顕微鏡装置を含む装置システムを提供する。
(1)複数台の装置間での計測寸法差、または1台の特定の装置における経時変化による計測寸法差の評価法として,各装置または特定の装置で同一箇所のパターンを複数回計測し,各装置または特定の装置から得られた計測値の外挿値の差を算出する機能。これにより,(A)ばらつきを持つ計測寸法値から,より真値に近い値を得ること,(B)計測対象パターン自体の変形による寸法変化分を算出し計測寸法から差し引くことで,装置が異なることによる計測寸法差,または特定の装置における経時変化による計測寸法差をより正確に得ることが可能となる。
(2)複数台の装置間での計測寸法差、または1台の特定の装置における経時変化による計測寸法差を合わせ込む機能。具体的には,計測寸法差の評価には一個以上のプロファイル特徴量を用い,計測寸法差の低減は画像プロファイル(画像の断面波形)の合わせ込みにより行う機能である。プロファイル特徴量とは,図5(d)に示すような画像プロファイル情報から得られる形状指標値であり,例えば,前述のパターン寸法0505や,プロファイル左右ピーク間の距離0506,プロファイル左右ピークのスペース0507,プロファイルピーク部の太さ0508,プロファイルの傾斜0509等の他,プロファイルピークの先鋭度,プロファイルそのものの形状などが挙げられる。これにより,装置間でのビーム径の違いを模擬するようなオペレータ(関数)により,複数台の装置から得られた画像プロファイルを合わせ込むことで,寸法計測パターン形状および画像プロファイル上での寸法計測位置に依存せず,装置間での計測寸法差を低減することが可能となる。また、1台の特定の装置におけるビーム径の経時的な変化を模擬するようなオペレータ(関数)により,特定の装置における初期と現時点で得られる画像プロファイルを合わせ込むことで,寸法計測パターン形状および画像プロファイル上での寸法計測位置に依存せず,経時的な変化による計測寸法差を低減することが可能となる。
即ち、本発明では、走査型電子顕微鏡を用いてパターンの寸法を計測する方法において、表面にパターンが形成された試料に収束させた電子線を照射して走査し、収束させた電子線の照射により試料から発生する2次電子を検出して試料表面に形成されたパターンの画像を取得し、予め記憶手段に記憶しておいた装置間での画像プロファイルの特徴量を合わせこむためのフィルタパラメータ(関数)を読み出し、読み出したフィルタパラメータを用いて取得したパターンの画像から画像プロファイルを作成し、作成した画像プロファイルから前記パターンの寸法を計測するようにした。そして、この装置間での画像プロファイルの特徴量を合わせ込むためのフィルタパラメータは、試料上に形成された同一のパターンを計測した時の装置間でのパターンの画像プロファイルの特徴量の差を小さくするためのパラメータである。
また、本発明では、走査型電子顕微鏡を用いてパターンの寸法を計測する方法において、パターン寸法計測の基準となる走査型電子顕微鏡を指定し、指定した基準となる走査型電子顕微鏡に寸法計測用パターンの画像プロファイルを合わせ込む校正用の走査型電子顕微鏡を指定し、指定した基準となる走査型電子顕微鏡で寸法計測用パターンを撮像して寸法計測用パターンの画像プロファイルの特徴量を求め、校正用の走査型電子顕微鏡で寸法計測用パターンを撮像して寸法計測用パターンの画像プロファイルの特徴量を求め、指定した基準となる走査型電子顕微鏡で撮像して求めた寸法計測用パターンの画像プロファイルの特徴量と校正用の走査型電子顕微鏡で撮像して求めた寸法計測用パターンの画像プロファイルの特徴量とを合わせ込むためのパラメータを求め、求めた画像プロファイルの特徴量を合わせ込むためのパラメータを用いて校正用の走査型電子顕微鏡で撮像して得た試料の画像を補正し、補正した画像から前記試料のパターンの寸法を求めるようにした。
さらに本発明では、パターンの寸法を計測する複数の走査型電子顕微鏡の機差を補正する走査型電子顕微鏡の機差補正装置を、パターン寸法計測の基準となる走査型電子顕微鏡と基準となる走査型電子顕微鏡に寸法計測用パターンの画像プロファイルを合わせ込む校正用の走査型電子顕微鏡とを指定する指定手段と、指定手段で指定した基準となる走査型電子顕微鏡で寸法計測用パターンを撮像して求めた寸法計測用パターンの画像プロファイルの特徴量を記憶する第1の記憶手段と、指定手段で指定した校正用の走査型電子顕微鏡で寸法計測用パターンを撮像して求めた寸法計測用パターンの画像プロファイルの特徴量を記憶する第2の記憶手段と、第1の記憶手段に記憶した寸法計測用パターンの画像プロファイルの特徴量と第2の記憶手段に記憶した寸法計測用パターンの画像プロファイルの特徴量とを合わせ込むためのパラメータを算出するパラメータ算出手段と、パラメータ算出手段で算出した合わせ込むためのパラメータを用いて校正用の走査型電子顕微鏡で撮像して得た試料の画像を補正する画像補正手段と、画像補正手段で補正した画像から前記試料のパターンの寸法を求める寸法計測手段とを備えて構成した。
本発明による走査電子顕微鏡装置によれば,複数台の装置間における計測寸法差をより正確に計測することができ,その結果,装置間における計測寸法の合わせ込み精度も高くなるため,結果としてより高精度な配線パターンの寸法管理が可能となり,計測対象製品の性能向上につながる。
また,装置間における計測寸法差を低減するために,計測寸法そのものではなく画像より得られる画像プロファイル(画像の断面波形)を合わせ込むことで,寸法計測対象パターン毎に合わせ込みパラメータを持つ必要がなくなり,より簡便に,装置間での計測寸法差を低減することができる。
以下に本発明の実施例を説明する。
本実施例では,微小パターンを走査電子顕微鏡装置により撮像して得られた画像から,パターンの寸法を計測する走査電子顕微鏡装置システムにおいて,装置間の計測寸法差を低減することを目的とする。
(1)本発明の概要
試料上に電子ビームを走査させて画像を取得する走査電子顕微鏡装置においては,装置によるビーム形状の違いが,装置間での計測寸法差を発生させる主要因だと考えられる。装置間での画像プロファイル(画像の断面波形)の違いを模式的に示したものを図16に示す。図は装置Aより装置Bの方がビーム径が大きい場合を想定している。同一の試料を装置Aで取得した画像プロファイル1601と,装置Bで取得した画像プロファイル1602の形状は異なっており,それぞれの画像プロファイルより求めたCD値(CD1603およびCD1604)も異なっている。
本実施例では,装置間のビーム形状の差を考慮したフィルタを各々の装置から得られた画像プロファイルに作用させることで,複数台の装置から取得する画像プロファイルを合わせ込むことを行う。例えば図16に示すように,装置Aから取得した画像プロファイル1601に対してフィルタパラメータS01605のフィルタをかけ,装置Bから取得した画像プロファイル1602に対しては,装置間でのビーム形状の差を考慮したフィルタパラメータSk1606のフィルタをかけることにより,両装置から同一の画像プロファイル1607が得られるようにする。
以下,本実施例では,上述のような手法を用いて装置間での計測寸法差を低減することができる走査電子顕微鏡および走査電子顕微鏡装置システムについて説明する。
(2)走査電子顕微鏡装置単体の構成図1に本発明にかかる走査電子顕微鏡装置単体の構成を示す。
本装置は大別して電子線画像を取得するための電子光学系と,それらの画像を処理することで対象パターンの計測を行う情報処理系の2つの部位からなる。電子光学系の主な構成は,試料0102を搭載するステージ0101,電子ビーム0108を放出する電子源0103,電子ビーム0108を偏向する偏向レンズ0104,対物レンズ0105,試料から発生した2次電子を電気信号に変換する機能を持つ2次電子検出器0106, 検出された電気信号をデジタル信号に変換するA/D変換機0107,上記の各部を制御するための制御部0111である。
一方,画像データから撮像パターンの計測を行う情報処理系の主な構成要素は,画像処理などを行う処理部0113,画像データや,その他の処理で用いられる各種のデータを記憶する記憶部0112,ユーザが撮像条件や画像処理のパラメータを入力したり得られた結果を出力する機能を持つ入出力部0114であり,これらの各部位はデータバス0110を通じて互いにデータが送受信されるようになっている。また,記憶部0112はデータバス0708を通じて他の走査電子顕微鏡装置やデータ処理装置等外部の装置とデータの送受信ができるようになっている。また,本図における制御部0111は電子光学系の制御を行うのみならず,撮像画像からパターンの寸法計測を行う際の制御も行うものとする。
(3)走査電子顕微鏡装置でのパターン寸法計測方法
パターンの寸法計測処理の全体のシーケンスを図2に示す。全体のシーケンスは、まず画像を取得し(ステップ0201)、次に、画像プロファイルを作成し(ステップ0202)次に、画像プロファイル0504からの寸法計測(ステップ0203)を行い、評価を終了する。
はじめに,図2の第1ステップである画像取得シーケンス(ステップ0201)を,図3に従って説明する。まず,ステージ0101上に寸法計測対象パターンを含んだ試料0102をセットする(ステップ0301)。次に,制御部0111から指示を出し,電子線照射により寸法計測対象パターンの画像を取得できる位置に,ステージ0101を移動させる(ステップ0302)。
次に,電子銃0103から電子線0108を放出し,一次電子線偏向器0104により電子線0108を偏向させることで,ステージ0101上の試料0102上に電子線を走査させる(ステップ0303)。このとき,合焦点位置で画像を撮像するために対物レンズを制御する。
次に,電子線走査により試料0102から放出される2次電子信号を2次電子検出器0106で取得する(ステップ0304)。また,その際,対物レンズ0105の設定値(実際に画像撮像を行った際の対物レンズ制御値)を制御部0111から読み取り,記憶部0112にて画像の撮像倍率を記憶する。この値を記憶する理由は,対物レンズの設定により取得画像の倍率が微妙に変化するため,この微妙な倍率変動値を,後の寸法算出処理に反映させることが,正しい寸法値を計算する上で必須だからである。次に,取得した2次電子信号をA/D変換機0107によりA/D変換し,ノイズ処理などの前処理を行った後に2次元デジタル画像の形で,記憶部0112に記憶する。(ステップ0305)。ここまでの処理により,寸法計測対象パターン部の画像を含んだ走査型電子顕微鏡画像0501を取得する。
次に,図2の第2ステップである画像プロファイル作成シーケンス(ステップ0202)を図4に従って説明する。まず,図5(A)に示す,取得した走査電子顕微鏡画像0501においてプロファイル作成に必要な画像範囲0502を選択する(ステップ0401)。必要な画像選択範囲0502とは,寸法計測方向(以後,X方向とする)には少なくとも寸法計測対象パターン部が全て含まれる範囲であり,これに垂直な方向(以後,Y方向とする)には走査電子顕微鏡特有のノイズを低減させるために,各X座標の画素値をY方向に平均化する処理に必要な画素数の範囲(数百画素)であり,画素値の平均化に用いる画素数が多ければ走査型電子顕微鏡特有のノイズ成分を低減することができる。なお,X,Y両方向の選択範囲は,寸法計測対象パターンの形状により適宜変更することができる。次に,選択した画像範囲0502において,各X座標の画素値をY方向に平均化する処理を施し,図5(B)に示すようなX方向の1ライン波形0503を作成する(ステップ0402)。最後に,指定されたフィルタパラメータ(ステップ0403)のフィルタを,得られた1ライン波形に作用させて平滑化することで(ステップ0404),図5(c)に示すような画像プロファイル0504を作成する。ここで,フィルタ処理(ステップ0404)は必要に応じて行っても,行わなくても良い。
次に,図2の第3ステップである画像プロファイル0504からの寸法計測(ステップ0203)を行う。パターン寸法の算出法は様々なものがあるが,例えば図5(d)のように,画像プロファイルの最大,最小値に対し中間の値をとるX方向座標を画像プロファイルの左右外側傾斜部より算出し,2点間の座標の幅をCD値0505とする。
以上が,走査電子顕微鏡装置による寸法計測対象パターンの寸法計測処理内容である。
本発明にかかる走査電子顕微鏡装置においては,取得した寸法計測対象パターンの走査型電子顕微鏡画像0503から画像プロファイル0504を作成し,後述の装置間のプロファイル合わせ込み処理を該寸法計測対象パターンの画像プロファイル0504に適用し,パターン計測を行う。
本発明において,用いられる装置間のプロファイル合わせ込み処理のためのオペレータは,予め当該装置間のプロファイル特徴量の差を評価し,合わせ込み処理オペレータを定めておくことで,寸法計測時にこれを適応するものとする。ここでプロファイル特徴量とは,図5(d)に示すような画像プロファイル情報から得られる形状指標値を指す。例えば,図5(d)に示すような左右二つの凸形状(プロファイルピークとする)を有する場合,形状指標値には,先出のCD値0505や,プロファイル左右ピーク中心間の距離0506,プロファイル左右ピークの距離0507,各プロファイルピーク部の太さ0508,プロファイルの傾斜0509等の他,プロファイルピークの先鋭度,プロファイルそのものの形状などが挙げられる。
本発明の具体的内容について,以下に説明する。まず,(4)で本発明にかかる走査電子顕微鏡装置システムの構成について説明した後,(5)で上記装置間プロファイル特徴量差の評価およびプロファイル合わせ込み処理用オペレータの設定シーケンスについて説明し,(6)で設定されたプロファイル合わせ込み手法を適応した寸法計測シーケンスについて説明する。
(4)走査電子顕微鏡装置システムの構成図7に本発明にかかる走査電子顕微鏡装置システムの構成示す。本システムは,図1に示した走査電子顕微鏡装置が1台以上と,これらの装置間における寸法差を評価し,寸法差低減に必要な処理を行う情報処理系からなる。走査電子顕微鏡0701-0704,各走査電子顕微鏡で取得した画像および取得画像より得られる各種データを記憶する記憶部0705,各走査電子顕微鏡で取得した画像から各装置での寸法差の評価などを行う処理部0706,およびユーザが必要なパラメータを入力したり結果が出力される機能を持つ入出力部0707の各部位はデータバス0708を通じて互いにデータが送受信されるようになっている。また,各走査電子顕微鏡装置0701-0704とは,各装置の記憶部を通じて,データの送受信が可能となっている。ここにおいて,記憶部0705および処理部0706は各々,いづれかの走査電子顕微鏡装置0701-0704内の記憶部0112および処理部0113が兼ねても良い。
(5) 装置間プロファイル特徴量差の評価およびプロファイル合わせ込み処理用オペレータの設定シーケンス図8に示す,装置間プロファイル特徴量差の評価シーケンスおよび装置間でのプロファイル合わせ込みオペレータの設定シーケンスについて説明する。本実施例においては,評価対象である複数台の装置を装置A0701および装置B0702の2台とする。
(5-1)装置間プロファイル特徴量差の評価用の画像取得方法
はじめに,図8の第1ステップである,装置間プロファイル特徴量差の評価用に同一パターンの画像を複数回取得するための画像取得シーケンス(ステップ0801)について説明する。
装置間でのプロファイル特徴量の合わせ込みをするには,同一試料,同一箇所の画像を全装置で取得することが望ましいが,走査電子顕微鏡装置を用いて画像を取得する場合,画像取得ごとに試料へのコンタミ付着が発生するため,同一箇所のパターンの画像を複数回取得している間に撮像パターン自身が変形してしまうという問題がある。この場合,図9(A)に示すように画像取得する度に同一パターンのプロファイル特徴量が変化してしまうため,装置間におけるプロファイル特徴量差を評価する際には,装置によるプロファイル特徴量の差異と計測対象パターン自身の変形を切り分けて評価する必要がある。
コンタミ付着による計測対象パターンのプロファイル特徴量変化には図9(A)に示すような傾向が見られるため,同一装置で同一箇所を複数回計測することで計測対象パターン自体の変形量を推定することができる。また,走査電子顕微鏡装置においては繰り返し寸法計測時の計測寸法ばらつきが存在するため,計測寸法の信頼性を高めるには,同一装置における同一箇所の計測回数は多い方が良い(例えば10回)。以上の理由により,同一試料,同一箇所の画像を各装置において複数回取得する。
その具体的な画像取得シーケンスを図10に従って説明する。まずはじめに,装置Aでの画像取得回数Nを指定する(ここで,先に述べたとおりNは2回以上である)(ステップ1001)。次に,指定された画像取得回数分,画像取得位置X=Pにおいて計測対象パターンの画像を取得する(ステップ1002-1005)。このとき,計測対象パターンの形状は任意であるが,装置間の計測寸法差を低減することが目的であるので,一般的な寸法計測対象である,図5(A)のような一方向に伸びるラインパターンやホールパターンが望ましい。
また図5(e)のように同一画像中に類似のパターンが繰り返し存在していると,図5(e)に示すように各パターンに対応する同じ箇所の間隔から,パターンの繰り返しピッチ0511を計測することができ,装置間の相対的な倍率の誤差も評価できるので,より望ましい。
また,同一箇所の画像を続けて取得する場合に画像取得時間間隔が短いと,試料の材質等により試料表面に帯電が発生し,非帯電時とは異なる画像が得られることがあるため,画像取得時間間隔は十分大きくする必要がある(例えば最初の画像を取得してから次の画像の取得を開始するまでに10秒以上あける)。また,試料表面に紫外光を照射して表面の帯電を除去するようにしてもよい。このように,装置間の機差とは関係のない画像変動要因をできるだけ取り除いた画像取得条件で画像を取得することが望ましい。
以上のようにして,装置Aにおいて同一箇所の画像を複数回取得した後,当該試料を装置Bへ移動させる(ステップ1006)。
次に,装置Bでの画像取得回数Nを指定する(ここで,先に述べたとおりNは2回以上である)(ステップ1007)。次に,指定された画像取得回数分,画像取得位置X=Pにおいて計測対象パターンの画像を取得する(ステップ1008-1011)。ここで,装置Aおよび装置Bにおいて画像を取得するのは同一箇所であり,また,装置Aと装置Bでの画像取得数は同じでも,異なっていても構わない。以上により,装置Aおよび装置Bでの装置間プロファイル特徴量差の評価および装置間でのプロファイル合わせ込み手法設定に必要な画像が取得される。
(5-2)装置間プロファイル特徴量差の算出方法
次に,図8の第2ステップである,装置間のプロファイル特徴量差の算出シーケンス(ステップ0802)について,図11に従って説明する。まずはじめに装置Aでのプロファイル特徴量を外挿により算出する(ステップ1101)。ここで,このプロファイル特徴量の外挿法について図12に従って説明する。
まず,同一装置での画像取得数を設定する(ステップ1201)。本実施例において,装置Aでの画像取得数はNである。次に,外挿に用いない画像を選択する(ステップ1202)。本実施例において,装置Aでの取得画像のうち外挿に用いないのは0〜NU回目の画像である。ここで,外挿に用いない画像とは,図9(B)に示すような同一箇所を複数回撮像した場合にはじめの数回0902にみられる,プロファイル特徴量が不安定な画像である。このような場合にはその間のデータを省いた方がより正確に外挿値を求められるため,外挿には用いないこととする。また,はじめの数回のデータを省く代わりに,予め当該箇所に電子ビームを照射しておき,プロファイル特徴量の変化が安定な画像を得るようにしても良い。
次に,外挿により求めるプロファイル特徴量は画像取得何回目に当たるかを設定する(ステップ1203)。本実施例において,装置Aでのプロファイル特徴量は画像取得T回目(Tは任意の整数)にあたる。次に,プロファイル作成時のフィルタパラメータを設定する(ステップ1204)。本実施例において,装置AでのフィルタパラメータはS0である。以上,各パラメータを設定後,NU+1回目からN回目の画像についてプロファイルを作成した後,各画像プロファイルから一個以上のプロファイル特徴量0903を算出する(ステップ1205-1210)。
最後に,図9(B)に示すように,画像取得回数とプロファイル特徴量の関係を一次近似0904し,近似直線上の画像取得T回目に当たるプロファイル特徴量0905を装置Aでのプロファイル特徴量として外挿により算出する(ステップ1211)。以上により,図12に示す処理によって,装置Aにおいて同一箇所の画像を複数回取得した場合のプロファイル特徴量の外挿値が算出される。
次に,図11の次のステップ1102に進み,装置Bでの取得画像についても,同様に図12のシーケンスに従いプロファイル特徴量の外挿値0907を算出する。ここで,重要なのはフィルタパラメータが装置Aと同じであること,および外挿により求めるプロファイル特徴量が装置Bで取得したT-N回目(装置Aでの画像取得数がN回,外挿値が画像取得T回目)の画像に当たることの2点である。これは,各装置で求めるプロファイル特徴量が,同一ウエハの同一箇所において同一回数画像を取得したことを想定して算出した価である必要があるからである。
本実施例における図9(B)では,装置Aでの画像取得数N=10回,プロファイル特徴量の外挿値を求める画像取得回数T=10回目より,装置Bでの画像取得回数がT-N=10-10=0回目でのプロファイル特徴量の外挿値を求めている。最後に,装置Aおよび装置Bそれぞれのプロファイル特徴量の外挿値の差0908を算出すれば(ステップ1103),該計測対象パターンでの装置間のプロファイル特徴量差となる。これを各プロファイル特徴量について算出する。
(5-3)装置間でのプロファイル合わせ込みオペレータの算出方法
次に,図8の第3ステップである,装置間でのプロファイル合わせ込み処理のためのオペレータ算出シーケンス(ステップ0803)について,図13に従って説明する。
本実施例においては,プロファイル合わせ込みオペレータが,画像プロファイル作成時に用いる平滑化のためのフィルタである場合を例にとり、基準とする装置Aにおいて画像プロファイル作成時に作用させるフィルタ(パラメータS0)に対し,装置Bにおいて画像プロファイル作成時に作用させるフィルタのパラメータを変更させることでプロファイルの合わせ込みを行っている。
まずはじめに,装置Aでのプロファイル指標値を外挿により算出する(ステップ1301)。このとき,プロファイル作成時のフィルタパラメータはS0である。次に装置Bのプロファイルが装置Aのプロファイルに最もよく合わせ込まれるようなフィルタパラメータの検索範囲を設定する(ステップ1302)。以下,検索範囲内の各フィルタパラメータを用いた時の装置間でのプロファイル特徴量差を算出する(ステップ1303-1309)。まず,フィルタパラメータS(k)での装置Bでのプロファイル特徴量を外挿により求める(ステップ1305)。
次に,装置Aと装置Bでの各プロファイル特徴量の差ΔE(i,k)を算出する(ステップ1307)。次に,各プロファイル特徴量の装置間差ΔE(i,k)の二乗和を求め,評価対象パターンでの装置Aおよび装置Bでの機差ΔE(k)とする(ステップ1308)。以上の処理を各フィルタパラメータについて行った後,機差ΔE(k)が最小となるようなフィルタパラメータを検索する(ステップ1310)。
図14にフィルタパラメータ検索のイメージ図を示す。装置Aでのフィルタパラメータは固定値としてプロファイル特徴量を算出し,装置Bでの取得画像についてフィルタパラメータを振ってプロファイル特徴量を算出し,その差が小さくなるような装置Bでのフィルタパラメータを検索する。このとき,機差が最小となるフィルタパラメータの検索において,最小となる1点を検索結果としても,最小値の周辺数点のデータから,補間により最小値を求めても良い。最後に,検索されたフィルタパラメータを,装置間プロファイル特徴量差を低減させる最適フィルタパラメータとして記憶部0705に格納する(ステップ1311)。以上により,装置Aと装置Bの間でのプロファイル合わせ込みオペレータが算出される。算出されたオペレータは,各装置の記憶部0112に格納され,必要な時に適宜読み出すことができる。
以上の処理を,装置Aと装置C,および装置Aと装置Dについても同様に実施し,プロファイル合わせ込みオペレータを算出する。なお,本実施例においては装置Aを基準とし,これに他の装置を合わせ込む処理を行ったが,この他に装置Aと装置Bを合わせこんだ後の装置Bを基準として装置Cを合わせ込み,さらに合わせ込み後の装置Cを基準にして装置Dを合わせ込む処理を行うこともできる。
(6)装置間プロファイル合わせ込み処理用オペレータを用いた寸法計測シーケンス
次に,設定されたオペレータを適用した寸法計測シーケンスについて図15に従って説明する。
まずはじめに,任意の寸法計測パターンを含む画像を取得する(ステップ1501)。次に,本実施例において設定されたプロファイル合わせ込みオペレータである,フィルタパラメータを記憶部0112から読み込む(ステップ1502)。次に,読み込んだフィルタパラメータを用いて取得した画像から画像プロファイルを作成する(ステップ1503)。最後に,作成した画像プロファイルから,寸法を計測する(ステップ1504)。以上により,装置間寸法差を低減した寸法計測を行うことができる。
(7)補足および変形実施例
(7-1)評価用画像取得シーケンス
装置間のプロファイル特徴量差の評価および,装置間のプロファイル特徴量合わせ込みオペレータの算出に必要な画像取得方法は,先に図10で説明した評価装置間で同一箇所の計測対象パターンの画像を各々複数回取得する方法に代わり,評価装置間でそれぞれ異なる,多数箇所の計測対象パターンの画像を一回ずつ取得し,装置ごとに各計測対象パターンでのプロファイル特徴量の平均を求めて当該装置のプロファイル特徴量としても良い。
この場合,計測対象パターンそのもののプロファイル特徴量のばらつきを含むため,充分な数の計測対象パターンを選ぶ必要がある。また,先に図10で説明した評価装置間で同一箇所の計測対象パターンの画像を各々複数回取得する方法において,装置間での画像取得順序は,装置Aと装置Bを交互に行ってもよい。
(7-2)プロファイル特徴量
本発明におけるプロファイル特徴量とは,図5(d)に示すような画像プロファイル情報から得られるプロファイル形状指標値であり,例えば,前述のパターン寸法0505や,プロファイル左右ピーク間の距離0506,プロファイル左右ピークのスペース0507,プロファイルピーク部の太さ0508,プロファイルの傾斜0509等の他,プロファイルピークの先鋭度などがある。また,プロファイル特徴量にはプロファイルそのものも含み,装置間でのプロファイルの差異をプロファイルの正規化相関値で評価してもよい。
評価に用いるプロファイル特徴量の中には,コンタミ等の影響を受けて図9(A)に示すように計測回数によって増減するものもあるが,より増減の小さい特徴量をあらかじめ調べておき,これを用いることが望ましい。
(7-3)プロファイル特徴量取得手法
本実施例において,プロファイル特徴量は,2次元デジタル画像より算出した画像プロファイルから求めている。2次元デジタル画像の代わりに,図24に示すデータバス2401を通って得られた2次電子信号情報から直接プロファイルを算出し,得られたプロファイルから特徴量を求めてもよい。
また,プロファイル特徴量の代わりに,図25に示すように2次元デジタル画像0501に例えばラプラシアンフィルタ2501,2502を畳み込んで得られる,エッジ強度分布2503の平均2504などの画像特徴量を算出し,これを用いてもよい。
(7-4)プロファイル合わせ込み処理方法
本実施例においては,プロファイルの合わせ込み処理方法は,図13に示すように画像プロファイル作成時に用いるフィルタのフィルタパラメータを装置によって変更することにより行っているが,プロファイルを合わせ込む目的で使われる,他の手法でもよい。この場合,本実施例におけるフィルタの適用の代わりに,該当する手法を用いるか,各装置で均一パラメータのフィルタを適用した後に,該当する手法を適用すればよい。
また,装置パラメータを変更することでプロファイルの合わせ込みを行ってもよい。この場合,(1)本実施例の図8に示す装置間での計測寸法差評価までのシーケンス(0801-0802)により,計測寸法差をより正しく計測したのち,(2)装置Bの装置パラメータを変更する,という処理を繰り返し,プロファイルを合わせ込んでいけばよい。さらに,プロファイル合わせ込みオペレータより,装置間での計測寸法差の低減に必要な装置パラメータの必要調整量が求まる場合には,これを装置にフィードバックしてもよい。
装置パラメータの例としては,加速電圧,電子ビームの収差を調整するパラメータ,フォーカスパラメータ,電磁レンズを調整するパラメータなどが挙げられる。
また,プロファイルの合わせ込み処理によりプロファイルを合わせ込む部位は,プロファイル全体であっても,パターンの寸法計測に必要なプロファイルの一部であってもよい。また,プロファイルを合わせ込むためにフィルタを適用する対象は,画像から作成された画像プロファイルではなく,画像プロファイルの空間周波数でも,画像そのものでも良い。
(7-5)フィルタの種類
本実施例において,装置間でのプロファイルを合わせ込むためのフィルタは,図4のプロファイルを平滑化するフィルタとしたが,プロファイルを平滑化するフィルタとは別に,フィルタを作用させてもよい。この場合,図4でのプロファイル作成シーケンスにおいて,平滑化フィルタ適用(ステップ0404)の前か後に,プロファイル合わせ込みフィルタを適応するステップを加えればよい。
また,これに従って,各装置でのプロファイル平滑化のためのフィルタパラメータは一定とし,本実施例におけるフィルタパラメータSをプロファイル合わせ込みフィルタのパラメータと置き換えればよい。さらに,この場合,プロファイル合わせ込みフィルタのみを適用させ,平滑化フィルタを適用しなくてもよい。
また,フィルタの演算は,コンボリューションフィルタ,デコンボリューションフィルタのいずれでもよい。また,フィルタの種類も,平均化フィルタ,鮮鋭化フィルタ,ぼかしフィルタなど,プロファイルを合わせ込む目的で使われるいずれのフィルタでもよい。具体的なフィルタのひとつとして,(数1)に示すガウスフィルタが挙げられる。式中のσはフィルタパラメータである。
Figure 0004812318
また,フィルタの演算は,コンボリューションフィルタ,デコンボリューションフィルタのいずれでもよい。また,フィルタの種類も,平均化フィルタ,鮮鋭化フィルタ,ぼかしフィルタなど,プロファイルを合わせ込む目的で使われるいずれのフィルタでもよい。
(7-6)装置間での計測寸法差を低減させる手法
本実施例の図8に示す装置間での計測寸法差評価までのシーケンス(0801-0802)により,計測寸法差をより正しく計測したのち,従来手法である計測寸法での合わせ込みにより装置間での計測寸法差を低減させてもよい。
(7-7)装置間での寸法計測倍率を合わせ込む手法
装置間での計測寸法差評価に用いる画像が,図5(e)のような同一画像中に類似のパターンが繰り返し存在するものである場合,各装置で同一箇所の繰り返しピッチを計測することで,その比を各装置での相対的な倍率誤差として得ることができる。得られた装置間での倍率誤差は,装置間での計測寸法差評価時に考慮できる他,この結果に従って装置パラメータを変更することで,複数台の装置間における相対的な倍率誤差を低減するようにしてもよい。
(7-8)条件入力GUI例
各装置で取得した画像を用いて,上記一連の処理を行うための入力GUI例を図17に示す。図17(A)に示すように,プロファイルを合わせ込む基準となる装置,およびこれに合わせ込む装置を入力もしくは選択する部分1701と,各装置においてプロファイル合わせ込み用に取得した画像を入力もしくは選択する部分1702を有することができる。
また,図17(B)に示すように,指定した各装置における現状のプロファイル合わせ込み用フィルタサイズを表示1703し,必要であれば,基準となる装置でのフィルタサイズを変更を決定するボタン1704を表示できる。ここでフィルタサイズを変更するとした場合,図17(c)に示すような新たな基準となる装置でのフィルタサイズを入力する部分1705を表示できる。
(7-9)結果出力GUI例
各装置でのプロファイル特徴量および装置間でのプロファイル特徴量差の出力GUIの例を図18に示す。
図18(A)に示すように,各装置でのプロファイル合わせ込み前後の計測寸法および装置間での計測寸法差を画面上に表示1801し,このときのプロファイル合わせ込みオペレータの算出結果を,今後の寸法計測シーケンスに採用するか否かを選択するボタン1802も同じ画面上に表示できる。
また,図18(B)に示すように,プロファイル合わせ込み前のプロファイル合わせ込みオペレータと,算出した新たなプロファイル合わせ込みオペレータを表示1803してもよい。
さらに,図18(c)に示すように,装置間でのプロファイル特徴量合わせ込みを行う前の各プロファイル特徴量,合わせ込みを行ったあとの各プロファイル特徴量を装置ごとに表示し,さらに合わせ込み前後の各プロファイル特徴量差を表示1804することができる。また,合わせ込み前後における,ステップ1308で算出した各プロファイル特徴量差の二乗和を表示1805できる。
(7-10)アラーム機能
装置間でのプロファイル特徴量差または算出したプロファイル合わせ込みオペレータが所定の範囲を超える場合には,図21に示すようなGUI上への表示2101や音声による警告などを行うことも可能である。
(7-11)装置の経時変化による計測寸法差の低減への応用
本実施例において,装置間の計測寸法差を評価する複数台の装置を,異なる2台の装置としたが,この複数台の装置は時系列の異なる同一の装置でも良い。この場合,X月Y日の装置が本実施例における装置Aになり,そのZ日後の装置が本実施例における装置Bとなる。
また、機差を測定するタイミングは、装置の空き時間、又は一日の計測開始前又は毎回の計測開始前に行うようにしても良い。更に、検査サンプルを計測装置の試料を載置するテーブルに装着しておいて、毎回そのサンプルを計測して計測寸法の変動を評価するようにしても良い。
(7-12)履歴表示GUI例
装置間での計測寸法差および装置の経時変化による計測寸法差の計測履歴を表示するGUIの例を図22に示す。図22(A)に示すように,各装置間での計測寸法差をまとめて表2201およびグラフ2202で表示できる。また,図22(B)に示すように,第1軸に時間軸,第2軸にある装置間での計測寸法差をとったグラフ2203により,装置間での計測寸法差の経時変化を表示できる。また,図22(c)に示すように,第1軸に時間軸,第2軸に同一の装置による計測寸法差をとったグラフ2204により,計測寸法差の経時変化をわかりやすく表示できる。また,計測寸法差の他に,プロファイル特徴量差やプロファイル合わせ込みオペレータ等を表示してもよい。
また、図22の(A)〜(c)のグラフ2202,2203及び2204には、計測寸法差の許容値(上限値2212,2213,2214及び下限値2222,2223,2224)も一緒に示してある。計測寸法差が許容範囲(上限値2212,2213,2214と下限値2222,2223,2224との間の範囲)を越えたときには、GUI上で正常な値の場合異なる色で表示したり、警報音を発するようにしても良い。
この計測寸法差の許容値(上限値2212,2213,2214及び下限値2222,2223,2224)は、値を入力したり又はGUI上のカーソルでラインを移動させることにより、設定を変えることができる。
(7-13)装置状態表示GUI例
また、図23に示すように、装置本体の計測結果や計測条件等を入力する画面2300の一部に、機差に関する情報2301〜2305を常時又は必要に応じて表示させることができる。即ち、計測した機差に関する情報として、図24に示すような,2303としてプロファイル合わせ込み前後の装置間での計測寸法差、又は、同一のパターンを計測したときの装置の経時変化による計測寸法差、最終計測日2301、その計測結果2302,合わせ込み対象装置2303の情報を、全て又はそれらのいくつかを組合せて又は単独で、図23に示すような計測結果や計測条件等を入力する画面の一部に表示できる。またプロファイル合わせ込みにより計測寸法差を低減させる機能が,動作しているかどうか2304を表示できる。
さらに,プロファイル合わせ込み前後の,装置間での計測寸法差、又は装置の経時変化による計測寸法差を,その大きさにより予め設定した分類にレベル分けし,その時のレベル2305を表示することができる。また,計測寸法差の他に,プロファイル特徴量差やプロファイル合わせ込みオペレータ等を表示させてもよい。これらの情報を、図23に示すような計測結果や計測条件等を入力する画面の一部に常時、又は必要に応じて表示させることにより、機差に関する情報を随時確認することができる。
(7-14)他の装置への応用
本実施例は,走査電子顕微鏡装置について述べるものであるが,他の有限サイズのビームを照射して画像を取得し,その画像を用いて寸法計測を行う寸法計測装置や,光を照射して画像を取得し,その画像を用いて寸法計測を行う装置においても,同様の手法により装置間の寸法計測差を低減することが可能である。
(7-15)評価に用いる計測パターン数本実施例において,装置間でのプロファイル特徴量差を評価し,プロファイル合わせ込みオペレータの算出に用いる計測パターン数は複数でもよい。また,寸法計測誤差を低減するためには計測パターン数は多いことが望ましい。この場合,各パターンから求めたプロファイル特徴量の平均値を,各装置のプロファイル特徴量とすればよい。
(7-16)プロファイル合わせ込み方向
本実施例において,電子線走査方向と同じX方向のプロファイルを合わせ込む処理について説明した。この他に,Y方向にプロファイルを作成しプロファイルを合わせ込むことが可能なほか,図19に示すような円形パターンの画像より周方向1901に直行する任意の方向1902のプロファイル1903を作成し,各方向でのプロファイル特徴量差の評価および合わせ込みを行ってもよい。
(7-17)装置構成
本実施例において,装置構成は図7に示すように,複数台の装置が各装置の外部にある記憶部0705,処理部0706,入出力部0707を介してデータバス0708でつながったものとなっており,各装置で取得した画像を記憶部0705に保存し,処理部0706において装置間での計測寸法差の算出およびプロファイル合わせ込みオペレータの算出を行った後,算出結果を図1に示す各装置上の記憶部0112に格納するという処理を行っている。
この他の装置構成例として,図20に示すように,図1に示す装置複数台2001−2003がデータバス2004でつながったものでもよい。このとき,上記各装置で取得した画像の記憶および各演算処理は,いづれかの装置上にある記憶部0112および処理部0113で行うことができる。また,図7および図20に示す装置構成において,データの受け渡しを行うデータバス0708,2004の代わりに,記憶媒体を用いて各装置,記憶部,処理部間でのデータの受け渡しを行ってもよい。
また,(7-11)にて説明したように同一装置の経時変化を評価する場合には,装置構成は図1に示す装置単体でもよい。このとき,上記画像の記憶は記憶部0112で行い,各演算処理は処理部0113で行うことができる。
走査電子顕微鏡装置単体の装置構成を示した図である。 走査電子顕微鏡装置での,パターン寸法計測シーケンスを示すフロー図である。 走査電子顕微鏡装置での,画像取得シーケンスを示すフロー図である。 取得画像からの画像プロファイル作成シーケンスを示すフロー図である。 (a)走査電子顕微鏡画像,(b)画像選択範囲0502の二次電子信号波形を加算平均した信号波形、(c)加算平均した信号波形を平滑化した画像プロファイル、(d)画像プロファイル上で寸法計測位置を説明する図、(e)類似パターンが繰返し存在する走査電子顕微鏡画像、(f)類似パターンが繰返し存在する走査電子顕微鏡画像の画像プロファイルである。 (a)3種類のパターン1〜3を2台の走査電子顕微鏡AとBとで計測したときのそれぞれの画像プロファイルを示す図、(b)3種類のパターン1〜3を2台の走査電子顕微鏡AとBとで計測したときのそれぞれのビーム径とCD値との関係を示すグラフである。 走査電子顕微鏡装置システムの概略構成を示したブロック図である。 装置間での計測寸法差を低減するオペレータの算出シーケンスを示すフロー図である。 (a)同一箇所で複数回画像を取得した時の,プロファイル特徴量の変化特性を示すグラフ、(b)同一箇所を装置Aで複数回画像を取得した後、装置Bで複数回画像を取得した時の,プロファイル特徴量の変化特性を示すグラフである。 装置間での計測寸法差を評価,低減するために必要な画像取得シーケンスを示すフロー図である。 装置間での計測寸法差の評価シーケンスである。 同一箇所を複数回撮像して得られたプロファイル特徴量の算出シーケンスを示すフロー図である。 装置間での計測寸法差を低減するフィルタパラメータの算出シーケンスを示すフロー図である。 装置間での計測寸法差を低減するフィルタパラメータの算出処理を模式的に示した図である。 装置間での計測寸法差を低減させるパターン寸法計測シーケンスを示すフロー図である。 画像プロファイルの合わせ込み処理を模式的に示した図である。 (a)合わせ込み装置と評価用画像ホルダを入力する画面、(b)機差合わせ込み用現行フィルタサイズを表示し、変更の要否を入力する画面、(c)機差合わせ込み用基準フィルタサイズを入力する画面である。 (a)各装置でのプロファイル合わせ込み前後の計測寸法および装置間での計測寸法差を表示する画面、(b)プロファイル合わせ込み前のプロファイル合わせ込みオペレータと,算出した新たなプロファイル合わせ込みオペレータを表示する画面、(c)装置間でのプロファイル特徴量合わせ込みを行う前の各プロファイル特徴量,合わせ込みを行ったあとの各装置ごとのプロファイル特徴量と合わせ込み前後の各プロファイル特徴量差、各プロファイル特徴量差の二乗和を表示をする画面である。 評価用画像例を示した図である。 走査電子顕微鏡装置のシステム構成例を示した図である。 警告を表示する画面を示した図である。 (a)各装置間での計測寸法差をまとめて表およびグラフで表示した画面、(b)第1軸に時間軸,第2軸にある装置間での計測寸法差とり,装置間での計測寸法差の経時変化を示すグラフを表示する画面、(c)第1軸に時間軸,第2軸に同一の装置による計測寸法差をとり、計測寸法差の経時変化をグラフ表示する画面である。 装置本体の計測結果や計測条件等を入力する画面の一部に、機差に関する情報を表示した画面である。 画面上に表示する機差に関する情報を示した図である。 走査電子顕微鏡装置単体の装置構成を示した図である。 画像特徴量の算出例を示した図である。
符号の説明
0101・・・ステージ 0102・・・試料 0103・・・電子銃 0106・・・二次電子検出器 0108・・・電子ビーム 0110・・・データバス 0112・・・記憶部 0113・・・処理部 0501・・・画像 0504・・・画像プロファイル 0701-0704・・・走査電子顕微鏡装置 0705・・・記憶部 0706・・・処理部 0707・・・入出力部 0708・・・データバス 2001-2003・・・走査型電子顕微鏡装置 2004・・・データバス 2401・・・データバス

Claims (3)

  1. 走査型電子顕微鏡を用いてパターンの寸法を計測する方法であって、
    パターン寸法計測の基準となる走査型電子顕微鏡を指定し、
    該指定した基準となる走査型電子顕微鏡に寸法計測用パターンの画像の断面波形を合わせ
    込む校正用の走査型電子顕微鏡を指定し、
    前記指定した基準となる走査型電子顕微鏡で寸法計測用パターンを撮像して該寸法計測用
    パターンの画像の断面波形の特徴量を求め、
    前記校正用の走査型電子顕微鏡で前記寸法計測用パターンを撮像して該寸法計測用パター
    ンの画像の断面波形の特徴量を求め、
    前記指定した基準となる走査型電子顕微鏡で撮像して求めた前記寸法計測用パターンの画
    像の断面波形の特徴量と、前記校正用の走査型電子顕微鏡で撮像して求めた前記寸法計測
    用パターンの画像の断面波形の特徴量と、を合わせ込むための複数のフィルタパラメータ
    を作成するものであり、前記複数のフィルタパラメータを作成することを、前記指定した基準となる走査型電子顕微鏡で寸法計測用パターンを複数回撮像して求めた前記寸法計測用パターンの画像の断面波形の特徴量の変化から所定の回数撮像後の前記寸法計測用パターンの画像の断面波形の特徴量を算出し,前記校正用の走査型電子顕微鏡で前記寸法計測用パターンを複数回撮像して求めた前記寸法計測用パターンの画像の断面波形の特徴量の変化から前記寸法計測用パターンを前記所定の回数撮像後の前記寸法計測用パターンの画像の断面波形の特徴量を算出し、前記算出した指定した基準となる走査型電子顕微鏡で所定の回数撮像後の前記寸法計測用パターンの画像の断面波形の特徴量に前記算出した校正用の走査型電子顕微鏡で所定の回数撮像後の前記寸法計測用パターンの画像の断面波形の特徴量を合わせ込むためのパラメータを求めることにより行い、
    前記校正用の走査型電子顕微鏡で撮像して得た試料の画像に基づいて前記試料のパターン
    の寸法を計測して計測結果を画面上に表示するものであり、
    前記作成した複数のフィルタパラメータ間の差が所定の範囲を超える場合に前記画面上で
    警告表示すること
    を特徴とする走査型電子顕微鏡を用いたパターン寸法の計測方法。
  2. 前記校正用の走査型電子顕微鏡で撮像して得た試料の画像に基づいて前記試料のパターンの寸法を計測して計測結果を画面上に表示するステップは、
    前記作成した複数のフィルタパラメータの少なくとも一つを用いて前記校正用の走査型電子顕微鏡で撮像して得た試料の画像の断面波形を修正するステップと、
    前記修正された前記校正用の走査型電子顕微鏡で撮像して得た試料の画像の断面波形に基づいて前記試料のパターンの寸法を計測するステップと、
    を有することを特徴とする請求項1記載の走査型電子顕微鏡を用いたパターン寸法の計測方法。
  3. 前記警告表示として前記複数のフィルタパラメータ値を表示することを特徴とする請求項1記載の走査型電子顕微鏡を用いたパターン寸法の計測方法。
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