JP4811995B2 - Nmr磁場安定化装置 - Google Patents

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Description

本発明は核磁気共鳴分光器(以下NMR分光器)におけるNMR磁場安定化装置(以下、ロックシステムと呼ぶ)に関する。
近年NMR分光器は、有機物や固体から生体高分子に至る幅広い試料の測定に使われている。NMR分光器は、静磁場中にある試料が持つ共鳴周波数を測定する装置であり、非特許文献1に記載のように、1ppb/hr以下の時間変動率を持つ安定した静磁場が要求される。安定した静磁場を作るために、NMR分光器の殆どが超伝導電磁石を装備しているが、それによっても時間変動率が1ppb/hr以下の安定性を達成することは困難である。そのため、フィードバック制御により静磁場を安定化するロックシステムが、NMR分光器の性能を向上させる上で重要な要素となっている。
非特許文献2に、ロックシステムに関する従来技術(以下、従来技術1)が記載されている。ロック送信器からNMR装置用磁石中に置かれた試料にラジオ周波数を持つ交流磁場を照射し、試料中の磁化ベクトルを励起させる。励起された磁化ベクトルの運動を検出用アンテナから受信し、受信回路を用いて検波する。検波の際に使われる参照信号の位相を調整することにより、分散信号(以下,u)と呼ばれる成分を得る。次に、uに予め決めた常数gを乗算し、ロック電源に渡す。ロック電源はg×u(以下,補正信号s)に比例する電流を試料の周辺に設けられたコイル(以下,ロックコイル)に追加し、上記試料の周辺にsに比例する補正磁場を追加する。補正磁場を追加した後で得られるuが0に近づくように、比例常数gを決めることにより静磁場を安定化する。
以上で述べたように、従来技術1は分散信号uに比例してロックコイルに流れる電流量を制御することで静磁場の安定化を図るので、ロック補正器が、例えばアナログ回路だけを用いても、簡単に実現できる。尚、上記ロック検波器では分散信号uと位相が90度異なる吸収信号vを求めることもできるが、補正信号sの算出には使われない。
特許文献1に、ロックシステムに使われる従来技術2が記載されている。ロック補正器から出力される補正信号sを算出するために、分散信号uと共に吸収信号vを用い、速い磁場変動を検出するために磁石周辺に変動磁場検出用の磁場センサを設け、補正信号sと磁場センサで検出した変動磁場量を演算して磁場補正を行う点で、従来技術1と異なる。
従来技術2に置いて、補正信号sはu/vと(1/v)(du/dt)に重みを付けた組み合わせである。これによれば、擾乱の周波数が低い場合に、u/vは静磁場の擾乱による周波数オフセットdfと完全に比例し、その比例常数は1/Tである。Tは信号uおよびvの減衰率に関わる時間であり、横緩和時間と呼ばれる。
従来技術2によれば、Tは制御ループの中で求めることができるため、ロック制御部でdf=(1/T)(u/v)を算出し、補正信号sとして用いることもできる。dfは、また、(1/T)(u/v)+(1/v)(du/dt)とも等しい。この等式は正確であり、どんな条件にも関連しない利点と、雑音成分を含む不利な点を併せ持つ。従って、上記式は擾乱振幅が比較的に大きい場合の組調整に適する。
また、従来技術2によれば、磁石の外からの速い磁場変動は磁石外に設けた磁場センサで検出する。速い磁場変動は、原理的にdf=(1/T)(u/v)+(1/v)(du/dt)により検出できるが、この量はノイズを多く含む。この磁場センサは磁石外に置かれ、磁石の中心に位置するNMR試料と、磁場センサとの間には磁性を持つ複雑な構造物が置かれる。従って、磁場センサが検出する磁場変動量とNMR試料が受ける磁場変動量との間には、大きさと分布において差が生じる。この差は数学的なデータ処理により補正される。
従来技術2は、dfと補正信号sとが比例関係であり単調性が良いため、従来技術1に比べて少ない制御ループ数で磁場を安定値に戻すことができる。また、速い磁場変動の補正ができる点も優れている。
日本特許第2504666号 荒田洋治著 「NMRの書」丸善 2000年 Benedict W. Bangerter、認ield/frequency lock monitor for signal averaging with high resolution NMR spectrometers煤AReview of Scientific Instruments、46巻、617項、1975年 Macro Villa, Feng Tian, Pacifico Cofrancesco, Josef Halamek and Miroslav Kasal、滴igh-resolution digital quadrature detection煤AReview of Scientific Instruments、67巻、2123項、1996年
従来技術1は、速い磁場変動の補正において課題を残している。従来技術1で用いている分散信号uと磁場変動量との関係は、分散信号と吸収信号の時間変化率du/dtとdv/dtが0の定常状態で導かれているためである。そのため、従来技術1によるロックシステムは、超電導電流の減衰による磁場ドリフトを補正する目的には適しているものの、du/dtとdv/dtが大きい値を持つ速い磁場変動を補正することは困難である。
従来技術2は、速い磁場変動の検出において課題を残している。従来技術2によれば、ロックシステムに新たに磁場センサを追加する必要があり、その校正作業も必要となる。また、磁場センサで検出した磁場変動量からNMR試料が受ける磁場変動量に換算するデータ処理が必要となる。更に、前記ロック補正器から出力される補正信号sと磁場センサによる補正量との重みを調整する操作も必要になる。
本発明の目的は、上記従来技術の問題点に鑑み、新たな装置の追加や校正作業が低減でき、かつ速い磁場変動を補正することのできるNMR磁場安定化装置及びそれを用いた高性能のNMR装置を提供することにある。
上記課題を解決するために、本発明のNMR磁場安定化方法は、分散信号u、吸収信号vの測定量から誤差磁場δを求め、そのδ値にフィードバック・ゲインを乗算して磁場補正値とするNMR磁場安定化方法であって、dv/dt、u、vに加え,du/dtを引数として持つ関数と、NMR磁場安定化装置で測定したuとvと前記uとvを統計的に処理して求めたdv/dtとdu/dtを用い、前記関数の値を前記δ値とすることを特徴とする。
本発明によるNMR磁場安定化装置は、前記プローブと電気的に接続され交流信号を送受信する交流信号送信部および交流信号受信部とを有し、NMR信号を測定し前記磁石の磁場強度を測る探索モードと磁石の磁場強度を予め指定された値に保つ補正モードを持つものであって、前記交流信号受信部に1チャンネルの交流信号入力を受けるディジタル検波器を有し、前記ディジタル検波器はその内部にアナログ/ディジタル変換を行うAD変換部と1チャンネルのディジタル信号を2チャンネルに分岐し直交検波を行い分散信号と吸収信号とを得る直交検波部を持ち、前記分散信号と前記吸収信号を別々にアナログ/ディジタル変換した場合に両信号のAD変換部の差により生ずる磁場補正の誤差を低減することを特徴とする。
また、NMR磁場安定化装置は、直交検波後のデータ量が、予め決めた帯域幅を再現するためにナイキスト(Nyquist)定理が要求するデータ量の8倍以上とする。
また、信号の時間変化率を求めるために、線型回帰の統計的データ処理を用いる。また、分散信号u、吸収信号vの測定量から誤差磁場δを求める関数として、du/dtとdv/dt、uとvの因数を持つ関数を用いる。また、誤差磁場δをu/(u2+v2)と(u×dv/dt−v×du/dt)/(u2+v2)の線型結合で求める。また、振幅を正規化し、S/Nによりフィードバック・ゲインを調整する。また、受信器のADCおよびディジタル検波器と位相の同期を確保するため、送信にディジタル信号合成器(DDS)を用いる。また、単一周波数源からクロックを上記DDS、ADCおよびディジタル検波器に供給することで、位相誤差を45度/スキャン以下に抑える。また、周波数掃引で共鳴周波数探索を行う。また、ロック外れの発生時に、観測を続行しながら周波数掃引でロックオンに復帰する。
本発明によれば、NMR磁場安定化装置に対する装置追加と校正作業が低減でき、かつ速い磁場変動を補正することができる効果がある。また、本NMR磁場安定化装置を用いた高性能のNMR装置を提供することができる。
本発明のNMR磁場安定化装置は、速い磁場変動を補正でき、かつ装置の追加や校正作業を最小限に抑えることが出来る。以下、本発明の実施の形態を図面を参照しながら説明する。
図1はNMR装置の概念的な構成図を示す。NMR装置は高周波の照射と検出を行うプローブ6、静磁場を発生させる磁石7、ロック制御に使われるロックコイル8及び試料管9を備えている。また、ユーザーインタフェースであるユーザーコンピュータ201、NMR装置の制御を担当するコントローラ202、NMR信号の観測を担当する観測システム203、磁場安定化を担当する磁場安定化装置であるロックシステム204を有している。
ユーザーは、プローブ6を磁石7の中に挿入する。観測対象の核とロック制御用の核とを含む物質が入った試料管9は、プローブ6中に挿入される。プローブ6を磁石7の中に入れた後に、試料管9をプローブ6中に挿入することが好ましいが、試料管9を予め挿入したプローブ6を磁石7中に挿入することも可能である。
続いて、ユーザーコンピュータ201とコントローラ202を通じて、ロックシステム204を稼動させる。ロックシステム204は、プローブ6に予めユーザーが決めた周波数の電気信号を送る。プローブ6は電気信号を同じ周波数の磁場に変え試料管9に照射する。照射される磁場の周波数は試料管9中のロック制御用核が持つ共鳴周波数に近いように決められているため、試料管9中のロック制御用核は照射された磁場と共鳴し回転する。ロック制御用核の回転はプローブ6で電気信号として検出され、ロックシステム204に送られる。ロックシステム204は、プローブ6で検出された前記電気信号を用いて試料管9が受ける磁場強度を測定し、磁場安定化制御を行う。
ロックシステム204により磁場が一定変動範囲内、典型的には1Hz内、に保たれる状態になる。ユーザーは、磁場安定性が保たれたことを確認した後に、ユーザーコンピュータ201とコントローラ202を通じて、観測システム203を稼動させる。
図2は本発明の一実施例によるロックシステムの詳細な構成図を示す。コントローラ1はロックシステム204の制御を行うと共に、ユーザーコンピュータ201とロックシステム204とのインタフェースの機能も持つ。すなわち、コントローラ1は、ユーザーコンピュータ201からの入力により、ロックシステム204のロック送受信器2とディジタル検波器3を設定し、ディジタル検波器3から出力されるロック信号データをユーザーコンピュータ201に送信する。
コントローラ1は、図1記載のコントローラ202と同じであっても良いし、異なってもよい。コントローラ1とコントローラ202が一致する場合は、装置構成が単純になる反面、コントローラの処理負荷が大きくなる。
ロック送受信器2とコントローラ1とのインタフェースはCPU11である。CPU11は、また、ディジタル信号合成器(DDS:Direct Digital Synthesizer)14の設定、送信ゲート19と送受信切替回路21とディジタル直交検波を行うディジタル直交検波部(FPGA:Field Programmable Gate Array)42の動作トリガーの役割も行う。ロックシステム全体の同期は周波数合成器(FRQSYN:Frequency Synthesizer)13により保たれる。
FRQSYN13は外部の周波数源12から種クロックを受け、ロックシステムの動作に必要な周波数の信号を生成する。DDS14とFPGA42には素子の動作クロックを供給する。また、送信部ミキサ16と16'、受信部ミキサ32に、局部発振信号を供給する。局部発振信号の周波数はfrf−fifであり、frfはプローブ6から照射される高周波信号の周波数、fifはDDS14が出力する中間周波数信号の周波数である。
DDS14は、90度異なる位相を持つ2つの中間周波数信号、IF−QとIF−Iを出力する。IF−Q信号とIF−Iは送信部ミキサ16と16'で局部信号LOと混合され、合成器(combiner)17で合成される。合成器17の出力信号はfrfの周波数を持つ。局部信号LOは2つに分けられ、その1つは90度位相変換器15を経由し送信部ミキサ16に入る。
位相変換器15とミキサ16、16'、合成器17の組合せはイメージ・リジェクション・ミキサ(Image Rejection Mixer)と呼ばれ、フィルタを使わない信号分離に使われている。イメージ・リジェクション・ミキサの代わりに、ミキサとフィルタを用いる単純な構成も可能である。
合成器17の出力信号は、増幅器18と送信ゲート19と送受切替回路21を経由し、プローブ6から試料管9に照射される。試料管9中の核が高周波照射により示す挙動は、プローブ6で中心周波数frfを持つ電気信号の形で検出され送受切替回路21を経由し低ノイズ増幅器22で増幅される。増幅された信号はミキサ31で再び増幅される。ミキサ31の前か後にはフィルタを入れてもよい。受信信号は、受信部ミキサ32で局部信号LOと混合され、フィルタ33で濾過される。フィルタ33から出力される信号IFは中心周波数fifを持ち、ディジタル検波器3に入力される。
ディジタル検波器3は、入力されるアナログ信号IFをディジタルデータに変換するADC(Analog Ditial Converter)41と、ADC41からディジタルデータを受けディジタル直交検波を行うFPGA42と、ディジタル直交検波で得られる分散信号uと吸収信号vを受けて補正信号sを出力するDSP(Digital Signal Processor)43を含む。FPGA42の代わりに、ディジタル検波機能を実装できる他の電子素子、例えばASIC(Application Specific Integrated Circuit)などを用いてもよい。
ディジタル検波器3は、この他に電源回路、増幅回路、フィルタ回路、データ・バスとの接続を担当するブリッジ回路、メモリなどを含むが、本発明の内容と直接関連がないため、これらの回路は説明しない。
直交検波を行うディジタル検波器は非特許文献3に開示されている。非特許文献3によれば、1978年Hewlett Packard社の技術者により提案されたディジタル直交検波は、1984年Dieter ZiessowによりNMR装置に最初に適用された。
ディジタル直交検波では、分岐されてない単一の中間周波数(IF:Intermediate Frequency)のアナログ入力信号が単一のADCによりディジタル信号に変換され、uとvの信号への分離はディジタルデータの状態でディジタル信号処理器により行われる。一方、アナログ直交検波では、例えば従来技術2に開示されたように、アナログ入力信号を位相の90度異なるuとvの2つに直交検波された後にADCに入れる。ディジタル直交検波は、アナログ直交検波に比べて、uとv間の相対位相精度と振幅バランスが良好である。
ディジタルデータの分離は数学的な2進演算によりコンピュータと同様に安定的に実施できる反面、アナログ信号の分岐と位相遅延は素子のばらつきや環境変化による変動に弱い。従来技術では、素子の性質がばらつくため装置毎に異なる調整が必要である。これは、装置温度が変わると分岐したuとv信号の相対位相や振幅が変動するためである。u信号とv信号の相対位相および振幅の精度と安定性は、後述する本発明による補正信号sの演算効果を高めるために重要である。
以下、本発明におけるディジタル検波器3の構成と動作を説明する。アナログ入力信号は分岐されてない単一の入力部からADC41に入る。アナログ入力信号は、中間周波数IFを中心周波数として持ち、典型的には1kHz以下の帯域幅を持つ。ADC41はアナログ入力信号の変換で得たディジタルデータをFPGA42へ出力する。
ADC41の動作周波数、即ち1秒の間にADC41がアナログ信号からサンプルを採取し変換するディジタルデータの数は、入力信号の帯域幅の8倍若しくは8倍以上である。ADCの動作周波数が入力信号の帯域幅の2倍を超える点は、非特許文献3記載のオーバーサンプリングに類似しているが、オーバーサンプリングとは目的及び後処理の面で異なる。
オーバーサンプリングの目的はディジタル化に伴う変換誤差を低減することであり、後処理ではナイキスト定理により規定された数のデータだけが演算に用いられる。ナイキスト定理によれば、ADCの動作周波数が入力信号の帯域幅より2倍以上であれば、ディジタルデータから本来のアナログ信号を再現することができる。オーバーサンプリングにおいて、ナイキスト定理で規定される入力信号の帯域幅以上に変換したディジタルデータは、間引き(decimation)により捨てられる。
しかし、本発明によるADC41の動作周波数は、後述する補正信号sの演算方法の効果を高めるために、ナイキスト定理の最低値より4倍以上と設定されている。また、変換されたデータに対する処理も以下で述べるように、非特許文献3記載のオーバーサンプリングと異なる。
図3は本発明におけるディジタル検波器のデータ処理を示す機能構成図である。この機能構成は、公知であるADC41からディジタルフィルタ(DF:Digital Filter)105までのディジタル直交検波の基本操作と、線形フィルタ(LF:Linear Filter)106から出力OUT117までの本発明に固有の誤差磁場の制御操作からなる。
ADC41で変換されたディジタルデータsadは、以下の操作からなるディジタル直交検波を受ける。ディジタルデータsadは2つに複製されディジタル乗算器(Mult)102に入力される。ディジタル乗算器102は、複製されたディジタルデータsadに、NCO(Numerically Controlled Oscillator)103が入力クロック信号CLKに同期して出力する正弦波データsncoを乗算する。正弦波データsncoの一方は位相をπ/2遅延させる遅延回路104を経由する。乗算されたデータumとvmはディジタルフィルタDF(Digital Filter)105で濾過され、必要な周波数帯域の情報のみを持つがudfとvdfとなる。以上がディジタル直交検波の基本操作であり、非特許文献3の記載と類似する。
udfとvdfに対する処理は、従来のディジタル直交検波と本発明とでは異なる。従来のディジタル直交検波では、間引き処理により、ユーザーが予め決めた周波数帯域幅を再現するために必要なデータだけを残す。例えば、100Hzの帯域幅を再現するために必要なデータは、ナイキスト定理によれば、200点/秒である。従来のディジタル直交検波において、間引き処理で残されるデータは多くてもナイキスト定理で定められた量の8倍未満である。
一方、本発明では線形フィルタ(LF)106によりudfとvdfを重みつき平均する。平均は移動平均でもよい。LF106から出力されるulfとvlfは、ナイキスト定理で定められる量の8倍以上のデータ量を有する。例えば、100Hzの帯域幅に対し、ulfとvlfは800点/秒以上のデータ量を持つ。ulfとvlfは位相補正器(PhCorr:Phase Corrector)107により位相補正されたuphとvphになる。θラジアンを補正するため、PhCorr107では式(1)の処理を行う。
Figure 0004811995
位相補正を、アナログ回路に比べ安定度の高いディジタル信号処理で行うことで、位相の安定性が改善できる。また、アナログ回路の複雑度を低減できるメリットもある。
正規化器(Nrm:Normalizer)108は、uphとvphに式(2)の正規化処理を加え、UとVを出力する。
Figure 0004811995
vph 0は、当該設定における吸収信号の最大値であり、ロックシステム204を用いた実測により容易に決定できる。式(2)の如く、分散信号と吸収信号を吸収信号の最大値で正規化することにより、ロック用溶媒と図3の109、110、114、115の演算に含まれるフィード・バック制御パラメータとの対応を保つことができる。
前記フィード・バック制御パラメータに対応するフィード・バック制御系は、NMR信号から誤差磁場を検出し誤差磁場量に対応する電流をロック電源から試料管周囲のロックコイルへ流すことにより磁場安定化を行うロックシステム全体である。
正規化しなければ、ロックシステム204の設定により分散信号および吸収信号の強度が変わった場合に、フィード・バック制御パラメータを設定し直さなければならない。例えば、図2の送信増幅器18のゲインを上げ送信信号パワーを大きくし、取得される分散信号および吸収信号の強度が大きくなった場合に、正規化なしではフィード・バックのゲインを下げなければ制御が不安定になる。
正規化は、図3の定常関数演算器109以下の演算に入る前に、その入力の大きさを式(2)により整えることにより、不安定の問題を低減する。なお、正規化により雑音成分がより大きくなる場合に備え、最終ゲインを調整するGAIN116を設ける。GAIN116は、Nrm108から受けるnorm= vph 0を基に、補正信号の大きさを調整する。調整は、例えば単純な比例調整、閾値カットオフ調整から、より高次の関数を用いた調整まで可能である。また、正規化の代わりに、フィード・バック制御パラメータを変えることも可能であり、その場合、図3に示す110、115を調整すればよい。
正規化されたUとVは定常関数演算器109により、分散信号と吸収信号から誤差磁場値を求める、誤差磁場マッピング処理に入る。以下では、表記を簡単にするために、UとVをuとvと書く。
誤差磁場マッピングのために、本発明ではuとvとを用いる定常関数処理109と、uとvと共にdu/dt、dv/dtを用いる過渡関数処理114を実施する。du/dtおよびdv/dtは、時間変化率計算処理112と113で求められ、過渡関数処理114に入力される。時間変化率計算処理112と113は、線型フィルタ106でナイキスト定理による必要量の8倍以上の量で残したデータを対象に統計的なデータ処理を行うことで、du/dtおよびdv/dtの誤差を著しく軽減できる。
前記データ処理は、例えば、線型回帰がある。ある時点に時間変化率計算処理112に保持されるu値がN個であるとし、{u1, u2,…,uN}と表す。{u1,u2,…,uN}が1つの直線上にあると仮定し、線型回帰によりその直線の傾斜率を求めれば、その値はdu/dtと等しい。線型回帰の手法としては、最小2乗法や中間値法など種々の手法がある。du/dtを計算し出力する周期は、図2の送受切替スイッチ回路21の切替周期と等しくすればよいが、その他にも種々の変形が可能である。
定常関数処理109および過渡関数処理114の出力は各々スカラー量になり、定常関数重みWs(Weight−Static)110と過渡関数重み(Wt:Weight-Transient)115を乗算し、ディジタル合成器111で足し合わされる。ディジタル合成器111の出力はGAIN116でフィード・バック・ゲインの調整を受け、出力回路117で図2に示したLock電源4に適合する形式で出力される。
次に、誤差磁場マッピングにおける定常関数109と過渡関数114の具体例を示す。そのために、以下では分散信号および吸収信号と誤差磁場との関係をモデル化したBloch方程式を用いる。
Bloch方程式は、磁化ベクトルの成分{u0、v0、Mz}と共鳴周波数オフセットδとの方程式であり、式(3)〜(5)の連立微分方程式で表す。
Figure 0004811995
但し、α=1/T1、β=1/T2、δ=γB−ω、ω=γBであり、T1とT2は各々縦と横緩和時間、γは核の磁気回転率(magnetogyric ratio)、Bはマグネットの磁場強度、Bはプローブから照射される高周波磁場の振幅である。またMは磁化ベクトルの大きさである。分散信号uと吸収信号vは、各々、上記u0とv0に比例する。また、誤差磁場はδと等しい。u0、v0と分散信号u、吸収信号v間の比例係数は、以下の議論で不要なため、今後1とし、u0とv0の代わりにuとvと書く。実際においても、ディジタル検波器3の内部で正規化し、比例係数の影響をなくす。
誤差磁場マッピング関数は、uおよびvからδを求める関数である。特に、du/dt、dv/dt、dMz/dtが小さい場合のマッピング関数は、式(3)〜(5)の時間微分項を0とした定常解から得ることができる。その定常解は、微分項を含まない簡単な連立方程式を解くことで、以下の式(6)〜(8)の如く得られる。
Figure 0004811995
従来技術1は式(6)のみを用いる。以下の式(9)を満たす場合、
Figure 0004811995
式(6)は式(10)に書き換えることができる。
Figure 0004811995
誤差磁場予測量Sは、単純に式(11)でよい。
Figure 0004811995
適切なゲインc=β/Moωを選択すれば、S=δとなる。一方、従来技術2の誤差磁場予測量Sは、式(12)である。
Figure 0004811995
適切なゲインcを選択することで、S=δとなる。
式(12)は、式(6)を式(7)で除算することで直ちに得られる。式(9)のような近似条件がないことは、式(12)の長所である。一方、式(12)は、式(11)に比べノイズと位相誤差に対するロバスト性が低い短所を持つ。また、係数が物理量β=1/T2に依存する点も短所である。βは、原理的には横緩和時間を測定し、その逆数を用いればよいが、横緩和時間を簡単に測定することは難しい。横緩和時間は、溶媒の物性だけでなく、磁場均一度や温度などの測定環境にも依存するためである。測定環境が変わる度に横緩和時間を測定し、係数を補正することは実用的ではない。
上記の式(11)と(12)は、式(3)〜(5)の時間微分項を全て0にして得られたため、以下では定常型関数と呼ぶことにする。定常型関数は、その基本条件のため、定常解周辺の領域を離れると誤差磁場の予測量Sと真の誤差磁場量δとの差が大きくなる。この制約は、しかし、ロックシステムで補正しようとする誤差磁場が超電導磁石内部の永久電流の減衰による磁場ドリフトなら問題にならない。磁場ドリフトによる磁場変動率は1ppb/時間に過ぎないため、式(3)〜(5)の時間微分項を0にする近似は適切である。
磁場変動率が大きい場合、定常型関数の精度は低下する。即ち、急激な磁場変動が加わり定常解から遠く離れた状態になると、上記定常型関数ではSと誤差磁場量との差が増加する。この点を改善するため、時間微分項を0にしない新たな誤差磁場マッピング関数を開発した。新たなマッピング関数の特徴を、従来技術2と比較して説明する。従来技術2は、δが大きい場合に式(3)の変形である。
Figure 0004811995
式(13)による誤差磁場マッピング関数は式(14)となる。
Figure 0004811995
式(14)の右辺第1項は式(12)と同じ定常状態を表す項である。第2項はdu/dtを含み過度状態を表す。定常状態に到達すればdu/dtが小さくなり、式(14)は式(12)に近くなる。係数はc2とcω/c2で定義する。c2はフィード・バックの安定度などにより選択し、cω/c2はβと等しく選択すれば、S=δとなる。
式(14)は磁場変動率の大きい場合でも適用できる長所を持つ。しかし、吸収信号vによる除算を含むため、ノイズと位相誤差に対する低いロバスト性と、困難な係数調整の面では式(12)と同じ短所を持つ。また、du/dtの計算方法によっては、ノイズが増大する新たな問題もある。
過度状態にも対応する新しい誤差磁場マッピング関数は、式(3)と(4)を連立して得た式(15)の関係を用いる。
Figure 0004811995
式(15)は近似を含まないδとu、v間の厳密な関係である。しかし、式(15)は観測できない磁化ベクトルのz成分Mを含む問題がある。この問題は式(5)を用いることで解決する。式(5)を変形すると式(16)になる。
Figure 0004811995
右辺第3項はdMz/dtを含む。Z方向に大きな静磁場B0が存在する条件において、Mzの変化はエネルギーの逸散を必要とする。そのため、dMz/dtはdu/dt、dv/dtに比べ著しく小さいと考えられる。そして、ロックオン状態の時分割送受信は、Mzを常に一定な値に戻す。
従って、本発明のマッピング関数では式(16)の第3項は無視する。式(16)の第1項と第2項は何れも観測可能な量である。本発明のマッピング関数では第1項を用いた誤差磁場マッピング関数を実装しテストした。ロックオン送信では核の飽和を避けることが重要であり、ω=γBを小さくすることが一般的になっているためである。
式(15)に式(16)の第1項を代入すると、式(17)の誤差磁場マッピング関数を得る。
Figure 0004811995
定常型関数の場合と同じく、式(17)は式(14)に比べ、ノイズと位相誤差に対するロバスト性の面で有利である。また、振幅により係数を決めるため、横緩和時間から係数を決める式(14)に比べ、係数調整の自動化の面でも有利である。
図3に示したディジタル検波器の機能はソフトウェアでも実現できる。ソフトウェアは、例えば、コントローラ1に実装すればよい。
図4はディジタル検波器の機能をソフトウェアで実現した例を示すフローチャートである。検波処理の最初にデータ読込み処理s101がA/D変換されたデータd102を読み込む。s101に読み込まれたデータは、IとQの2つに分岐され乗算処理s103とs103'に入る。
乗算処理s103とs103'は、図3に示した102ブロックに相当する処理であり、角度とその角度での正弦波値を収納したテーブルd104および余弦波値を収納したテーブルd104'から正弦波値および余弦波値を読み出してs101から入力されたデータに乗算する。d104およびd104'は、図3に示した103、104ブロックに相当する。
乗算されたIとQのデータは、ディジタル・フィルタリングs105、線形フィルタリングs106、位相補正s107、正規化s108を受ける。s105からs108までの処理は、各々、図3の105、106、107、108ブロックに対応する。
続いて、s109、s110、s111、s112、s113、s114の処理は、s108処理で正規化された分散信号および吸収信号を用い、式(17)の計算を行う。処理s109とs110は式(17)の第1項を求める処理であり、処理s112とs113は式(17)の第2項を求める処理である。処理s111は、du/dtとdv/dtを求める処理である。処理s114は式(17)の第1項と第2項とを足し合せる処理である。
s115処理は、正規化処理s108の結果に応じてフィード・バック・ゲインをs114処理の出力値に乗算するもので、図3に示した116ブロックに対応する。s116処理は、磁場補正値データd117をロック電源4へ出力する処理である。図3の117ブロックに相当する。
図2から明らかなように、本発明のロックシステム構成は、中間周波数fifに1つの局部信号LOを混ぜ最終的な高周波周波数frfを得る、1段周波数変換方式である。送信部においてはイメージ・リジェクション・ミキサ15〜17が、受信部においてはミキサ32とフィルタ33が、各々周波数変換部である。
1段周波数変換方式は、温度などの環境変動に弱くまた素子毎のばらつきの大きいアナログ回路を減らすことができるため、多段周波数変換方式よりシステムの安定性と保守性、コストの面でメリットを持つ。
一方、1段周波数変換方式では、周波数変換における周波数選択性に限界があるため、fifはfrfに比べ一定程度以上の高い周波数でなければならない制約がある。例えば、frfが92MHzの時、fifが1MHz、LOの周波数fLOが93MHzなら、周波数変換部では92MHz、93MHz、94MHzが混ざった信号の中から92MHz信号だけを選び出さなければならない。
しかし、中心周波数に対する選択帯域の比が1%になるような周波数変換は、不可能ではないにしても実現が非常に困難である。回路として容易に実現するためには、前記比が10%以上であることが好ましい。回路の実現が容易であることは、安定性や保守性、コストの面で有利である。回路を容易に実現でき、かつ1段周波数変換方式を用いるためには、中間周波数fifを高くしなければいけない。
高い周波数の信号を高速でアナログ/ディジタル変換を行う本発明の構成において、DDS14を用いて中間周波数信号を発生させることは位相の長時間安定性に重要な利点を持つ。
ところで、中間周波数fifがFPGA42中のNCO103が作る信号周波数と1mHzのオフセットを持ったら、10秒に3.6度の位相差が生じることになる。位相差は分散信号uと吸収信号vを式(1)により混ぜることになり、ロックシステムの動作に致命的な障害となる。fifが高い周波数、例えば10MHzなら、1mHzのオフセットは10の−10乗の小さい量であり制御が極めて困難である。
本発明では、NCO103と同じ周波数表示ビット数とクロック周波数を持つDDS14を採用し中間周波数信号を出力することで、この問題を解決する。また、DDS14とADC41およびNCO103のクロックを同じ周波数源FRQSYN13から供給することで、位相誤差は如何なる場合でも45度/スキャン以下に抑えることができる。
中間周波数fifの出力にDDS14を用いる本発明の構成は、更に、ロックシステムの掃引動作において大きな利点を持つ。掃引とは、ロックオンに入る前に、ロックオンする周波数を決めるための操作である。
掃引は、磁場もしくは送受信周波数を次々と変えながら、ユーザーが「掃引幅」として指定した周波数帯域全体に渡ってNMR信号を取得する操作である。従来、掃引は磁場を変えて行う磁場掃引が一般的だった。磁場掃引はロック電源の指令値を一定に変えるだけで簡単に実現できるためである。一方、周波数を変える周波数掃引は、送信と受信の周波数を短い時間で変える必要があるため、周波数と位相の精度を実現することは複雑である。しかし、DDSは周波数を1μ秒未満の時間で変えることができるため、DDS14を用いる本発明の構成では周波数掃引をシステムの構成を複雑にすることなく実現できる。
周波数掃引はロックシステム204の送受信周波数を変えるだけであり、その影響はロックシステム内に限定される。一方、磁場掃引はマグネットの磁場を変えるため、NMRシステムの全体に影響を及ぼす。磁場を変えると、ロック信号だけでなく、観測核からのNMR信号も周波数が変わるためである。
本発明の構成によれば、NMR信号の観測に影響を与えることなく、掃引で共鳴周波数を探すことができる。本発明のシステムは、ロック外れの発生時に、観測を続行しながら周波数掃引でロックオンに復帰する動作を行うことができる。
本発明の磁場安定化装置は、NMRの他にも、MRIやEPR(Electron Paramagnetic Resonance)など、磁場の安定性を必要とする分野で利用できる。
NMR装置の概念図。 本発明の一実施例によるロックシステムを示す構成図。 一実施例によるロックシステムのディジタルデータ処理を示す機能構成図。 一実施例によるロックシステムのディジタルデータ処理を示すフローチャート。
符号の説明
1…コントローラ、2…ロック送受信器、3…ディジタル検波器、4…ロック電源、5…プリアンプボックス、6…プローブ、7…磁石、8…ロックコイル、9…試料管、11…CPU、12… 周波数源、13…周波数合成器、14…DDS、15…90度位相変換器、16,16’… 送信部ミキサ、17…合成器、18…増幅器、19…送信ゲート、21…送受切替回路、22…低ノイズ増幅器、31…増幅器、32…受信部ミキサ、33…フィルタ、34…増幅器、41…ADC、42…FPGA、43…DSP、102…ディジタル乗算器、103…NCO、104…π/2遅延回路、105…ディジタルフィルタ、106…線形フィルタ、107…位相補正器、108…正規化器、109…定常関数演算器、110…重み付き乗算器、111…ディジタル合成器、112,113…時間変化率演算器、114…過渡関数演算器、115…重み付き乗算器、116…フィード・バック・ゲイン、117…出力回路、201…ユーザーコンピュータ、202…コントローラ、203…観測システム、204…ロックシステム。

Claims (7)

  1. 分散信号u、吸収信号vの測定量から誤差磁場δを求め、そのδ値にフィードバック・ゲインを乗算して磁場補正値とするNMR磁場安定化方法であって、
    dv/dt、u、vに加え,du/dtを引数として持つ関数と、NMR磁場安定化装置で測定したuとvと前記uとvを統計的に処理して求めたdv/dtとdu/dtを用い、前記関数の値を前記δ値とすることを特徴とするNMR磁場安定化方法。
  2. 請求項1において、誤差磁場δをu/(u2+v2)と(u×dv/dt−v×du/dt)/(u2+v2)の線形結合で求めることを特徴とするNMR磁場安定化方法。
  3. 請求項1において、前記分散信号uおよび前記吸収信号vにおいて、定常状態でのuの振幅を正規化係数として保存し、uおよびv信号の値を前記正規化係数で割算することで、uおよびvの振幅を正規化するとともに、前記uおよびvのS/Nにより請求項1のフィードバック・ゲインを調整することを特徴とするNMR磁場安定化方法。
  4. NMR用磁石に挿入されたプローブから交流信号であるNMR信号を測定し、前記磁石の磁場強度を測るとともに、前記磁場強度を予め指定された値に補正するNMR磁場安定化装置において、
    前記交流信号の受信部に1チャンネルの交流信号入力を受けるディジタル検波器を有し、前記ディジタル検波器はその内部にアナログ/ディジタル変換を行うAD変換部と1チャンネルのディジタル信号を2チャンネルに分岐し直交検波を行い分散信号uと吸収信号vとを得る直交検波部を持つことで、前記分散信号uと前記吸収信号vを別々にアナログ/ディジタル変換した場合に両信号のAD変換部の差により生ずる磁場補正の誤差を低減し、
    前記直交検波後の分散信号uおよび吸収信号vの各々のデータ量が、予め決めた帯域幅を再現するためにナイキスト定理が要求する分散信号uおよび吸収信号vの各々のデータ量の8倍以上であり、線型回帰の統計的データ処理により、前記分散信号uおよび吸収信号vの時間変化率を求め、
    前記交流信号受信部のディジタル検波器において、アナログ/ディジタル変換部(ADC)およびディジタル直交検波部に同一ビット長で周波数を記述する素子を用い、前記交流信号の送信部にも前記ADCおよびディジタル直交検波部と同じ周波数記述ビット長で周波数を表すディジタル信号合成器(DDS)を用いて、前記交流信号の送信部と受信部の間で位相の同期を確保し、
    前記ADCとディジタル検波器およびDDSの各部分は、各々の動作タイミングの基準となるクロック信号を入力として持ち、前記各部分のクロック信号を一つの信号発生器の出力から得ることと、前記ディジタル検波器は、誤差磁場δをu/(u2+v2)と(u×dv/dt−v×du/dt)/(u2+v2)の線形結合で求める、ことを特徴とするNMR磁場安定化装置。
  5. 請求項4において、
    前記DDSが出力する交流信号の周波数を時間に比例して変えながらNMR信号を測定し、NMR信号の電圧変動から磁石の磁場強度を測り、
    前記磁石の磁場強度が予め指定された値から外れた場合、ロックオンからロックオンする周波数を決める周波数掃引に切り替え、DDSが出力する交流信号の周波数を時間に比例して変えながらNMR信号を測定して磁石の磁場強度を測り、該磁場強度と前記予め指定された磁場強度との差をロックオン値にオフセットとして加えてロックオンに復帰する、ことを特徴とするNMR磁場安定化装置。
  6. 請求項5において、吸収信号の最大値を正規化係数として保存し、吸収信号の最大値を前期正規化係数で割算することで、uおよびvの振幅を正規化するとともに、前記uおよび前記vのS/Nによりフィードバック・ゲインを調整することを特徴とするNMR磁場安定化装置。
  7. 静磁場を発生するとともに試料挿入孔を持つ磁石と、試料挿入孔に挿入されるプローブと、プローブと電気的に接続され交流信号を送受信するNMR磁場安定化装置と、NMR磁場安定化装置を制御するコントローラと、コントローラとデータ伝送手段により接続されユーザーインタフェースを提供するコンピュータとを有するNMR装置において、
    前記NMR磁場安定化装置に、請求項4乃至請求項6の何れか1項に記載のNMR磁場安定化装置を用いることを特徴とするNMR装置。
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