JP4803344B2 - 液晶の流動による液晶分子場歪み発生機構並びにこの機構を用いた速度・変位量センサ並びに歪み速度・歪み量センサ - Google Patents
液晶の流動による液晶分子場歪み発生機構並びにこの機構を用いた速度・変位量センサ並びに歪み速度・歪み量センサ Download PDFInfo
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Description
液晶は、その構成分子の配向状態により、「ネマティック液晶」、「コレステリック液晶」、「スメクティック液晶」の3種類に大別される。
このような「液晶状態」をとる物質、即ち、液晶は液晶ディスプレイを筆頭に様々な工業製品に応用されている。近年になり、液晶における圧電効果が発見され圧電材料としての利用用途が期待されている。
ある物質は、特定の方向に力を加えると応力に応じた電気分極を生じ、一対の物質表面に正負の電荷が生ずる。この現象は、圧電効果或いは正圧電効果と呼ばれる。また、このような物質に電場をかけると電場に応じた歪みが発生する。この現象は、逆圧電効果と呼ばれる。
このような圧電効果は、気体や液体の状態にある物質においては、該物質を構成する分子がたとえ永久双極子モーメントを有するものであったとしても、自由な分子運動のためにその分子の向きはランダムとなり、巨視的な分極を生じ得ない。また、結晶状態の物質においても、その構成分子が反転対称中心を有する場合には、その分子配列の対称性から巨視的な分極を生ずるものとはならない。
液晶は、流動性を有するものの、短距離とはいえ分子配向の秩序を有する。したがって、液晶分子の配向場に歪みを与えると、巨視的な分極を生ずるものとなる。これは、フレクソエレクトリック効果と呼ばれる。
本発明は上記実情を鑑みてなされたものであって、液晶分子場を歪ませ、該歪み発生現象から得られるさまざまな物理的変動を利用するための機構並びに該機構を利用した応用装置を提供することを目的とする。
前記第1配向面が配向処理により形成され、
該配向処理の方向が、前記第2部材の移動方向に対して平行であり、
時間変動しない液晶配向場の歪みを発生することができることを特徴とする液晶の流動による液晶分子場歪み発生機構である。
請求項2記載の発明は、液晶に対する配向処理を施された第1配向面を有する第1部材 と、 前記第1配向面に対向する面に該第1配向面と異なる強さの液晶配向に対する束縛 力を有する第2配向面を備える第2部材と、前記第1配向面と前記第2配向面の間に形成 される空間内に流動可能に封入される液晶からなり、前記第1部材と前記第2部材との間 の速度差によって、前記液晶の配向場に歪みを生じせしめ、前記第1配向面が配向処理により形成され、該配向処理の方向が、前記第2部材の移動方向に対して平行ではなく、一 定周期で変動する液晶配向場の歪み発生することができることを特徴とする液晶の流動による液晶分子場歪み発生機構である。
請求項3記載の発明は、前記第1部材及び前記第2部材が平行平板であることを特徴とする請求項1記載の液晶分子場歪み発生機構である。
請求項4記載の発明は、前記第1部材及び前記第2部材が平行平板ではないことを特徴とする請求項2記載の液晶分子場歪み発生機構である。
請求項6記載の発明は、前記電位差測定手段が、前記第1配向面と前記第2配向面のそれぞれ対向する位置に配設される導電体と、該導電体と電気的に接続する電圧計からなることを特徴とする請求項5記載の速度・変位量センサである。
請求項8記載の発明は、前記光測定手段が、前記液晶配向場に光線を照射する光源と、前記光源からの光線を受光する受光器からなることを特徴とする請求項7記載の速度・変位量センサである。
請求項9記載の発明は、前記光測定手段が、前記光源からの光の光量を測定することを特徴とする請求項8記載の速度・変位量センサである。
請求項10記載の発明は、前記光測定手段が、前記光源からの光の波長を測定することを特徴とする請求項8記載の速度・変位量センサである。
請求項12記載の発明は、前記電位差測定手段が、前記第1配向面と前記第2配向面のそれぞれ対向する位置に配設される導電体と、該導電体と電気的に接続する電圧計からなることを特徴とする請求項11記載の歪み速度・歪み量センサである。
請求項14記載の発明は、前記光測定手段が、前記液晶配向場に光線を照射する光源と、前記光源からの光線を受光する受光器からなることを特徴とする請求項13記載の歪み速度・歪み量センサである。
請求項15記載の発明は、前記光測定手段が、前記光源からの光の光量を測定することを特徴とする請求項14記載の歪み速度・歪み量センサである。
請求項16記載の発明は、前記光測定手段が、前記光源からの光の波長を測定することを特徴とする請求項14記載の歪み速度・歪み量センサである。
請求項2記載の発明によれば、一定周期で変動する液晶配向場の歪みを発生させることができる。
請求項3記載の発明によれば、第1部材と第2部材間の相対速度によって、第1配向面 と第2配向面に挟まれる液晶配向場に歪みを生じさせることができる。また、比較的単純なディレクタの運動を伴う液晶配向場の歪みを得ることができる。
請求項4記載の発明によれば、第1部材並びに第2部材の材料選択に制限を受けない液晶分子場歪み発生機構を得ることが可能である。
請求項7乃至10記載の発明によれば、第1部材と第2部材間の速度差によって歪まされた液晶配向場を通過する光を計測可能となり、第1部材と第2部材間の相対的速度並びに第1部材と第2部材間の相対的変位量を求めることができる。
請求項13乃至16記載の発明によれば、第1部材と第2部材間の速度差によって歪まされた液晶配向場を通過する光を計測可能となり、第1部材と第2部材間の液晶分子場の歪み速度並びに歪み量を求めることができる。
図2に示す液晶分子場歪み発生機構(1)は、一対の平板からなり、下側に配される平板が第1部材(2)であり、上側に配される平板が第2部材(3)である。
第1部材(2)上面は、ラビング処理が施され、液晶分子を強く束縛(anchoring)する第1配向面(21)とされる。第1配向面(21)に対向する第2部材(3)の下面は、軽いラビング処理が施される或いはラビング処理が施されない第2配向面(31)であり、第2配向面(31)は液晶分子をほとんど或いは全く束縛しない。尚、第1配向面(21)並びに第2配向面(31)に対して施される処理は、ラビング処理に限られるものではなく、液晶を一定方向に配向させるための全ての処理が適用可能である。
第1部材(2)と第2部材(3)の間の空間には液晶が配設され、該液晶は該空間内を流動可能である。図2において、矩形状に示される複数のディレクタ(4)が示されている。上述の如く、ディレクタ(4)は液晶分子の局所的平均配向方向を表す。
図2に示す液晶分子場歪み発生機構(1)の第2部材(3)は、X軸方向に平行移動可能とされている。一方、第1部材(2)は静止状態を維持するものとされる。ここで、第2部材(3)がX軸正方向に速度Uで移動すると、第1配向面(21)と第2配向面(31)との間に配設された液晶にせん断歪みを生じ、液晶配向場に歪みを生ずる(図2(b)参照)。
第2部材(3)をX軸正方向に移動させると、第1配向面(21)と第2配向面(31)の間にある液晶が流動する。液晶の流動に伴い、ディレクタ(4)はディレクタ(4)として表される局所領域の重心位置を軸として回転運動する。図2(b)に示す例においては、第2部材(3)の移動方向はX軸正方向であるので、各ディレクタ(4)は時計回りに回転する。尚、第2部材(3)をX軸負方向に移動させると、各ディレクタ(4)は反時計回りに回転する。
第1配向面(21)は、その束縛作用により、各ディレクタ(4)の回転量に影響を与え、第1配向面(21)近傍にあるディレクタ(4)はほとんど回転せず、第1配向面(21)から離れるほど、ディレクタ(4)の回転量は増加する。
ディレクタ(4)は上述の如く回転動作をするため、第1部材(2)側に、ディレクタ(4)のプラス若しくはマイナスの電荷を備えるディレクタ(4)端部が集まり、第2部材(3)側に、ディレクタ(4)のマイナス若しくはプラスの電荷を備えるディレクタ(4)端部が集まる。これにより、第1部材(2)と第2部材(3)との間に電位差が生ずる。
図3(a)に示す状態において、ディレクタ(45乃至47)は初期状態(図2(a)に示す状態)から90°以上の回転量で傾斜している。その他のディレクタ(41乃至44)は初期状態から90°未満の回転量で傾斜した状態である。
この状態で、第2部材(3)の移動動作を停止させると、ディレクタ(41乃至47)は、傾斜した状態から、第1配向面(21)に平行になろうとする。このとき各液晶分子(41乃至47)は、平行状態となるために最も近い経路を辿ろうとするので、傾斜角度が90°以上であったディレクタ(45乃至47)は、初期状態に対して、略反転した状態(即ち、180°回転した状態)となり、他のディレクタ(41乃至44)は初期状態に戻る。
次に第2部材(3)を、図3(a)で示す第2部材の移動動作と反対方向に且つ同じ速度で移動させると、ディレクタ(4)は、図3(a)と逆方向の回転動作をする。そして、第2部材(3)を停止させると、整列したディレクタ(4)全てが同一の方向となり、初期状態に戻る。
尚、図3(b)に示すように、略180°回転した状態のディレクタ(45乃至47)は若干の傾斜を有している。これは、液晶分子の長距離弾性力により、初期状態側に引っ張られるためである。これら略180°回転した状態のディレクタ(45乃至47)の傾斜により生ずる電位差を計測することによって、液晶分子場歪み発生機構(1)にメモリ機能及びスイッチング機能を持たすことができる。
尚、上記において、ディレクタ(4)が略180°回転したときの状態を示したが、これに限られるものではなく、略180°の倍数(360°、540°、720°など)であれば、メモリ機能及びスイッチング機能を備える装置に適用可能である。
上述において、単純化のために平行平板を用いた液晶分子場歪み発生機構(1)について説明してきたが、本発明はこれに限定されるものではない。
例えば、図4(a)に示すような形態を採用してもよい。図4(a)に示す円筒型の液晶分子場歪み発生機構(1)は、小径に形成された円筒形状の第1部材(2)と第1部材(2)外周面に対して所定間隔を空けて覆うように配設される大径に形成された円筒形状の第2部材(3)を備える。第1部材(1)外周面は、その周方向にラビング処理が施され、第1配向面(21)を形成している。第1配向面(21)に対向する第2部材(3)内壁面は、液晶分子をほとんど或いは全く束縛しない第2配向面(31)である。第1配向面(21)と第2配向面(31)との間には液晶が流動可能に配されている。
ここで、第1部材(2)を固定し、第2部材(3)をその中心軸周りに回転させると、図2を用いて説明したのと同様に、第1配向面(21)と第2配向面(31)との間の液晶配向場に歪みを生じ、第1配向面(21)と第2配向面(31)との間に電位差を生ずる。該電位差或いは液晶配向場の歪みに起因する光の透過率及び/又は波長の変化を測定することにより、第2部材(3)の回転速度を計測可能となる。
或いは、第2部材(3)を一方向に回転させた後停止させ、次に逆方向に第2部材(3)を他の方向に同速度で回転させた後停止させ、それぞれの停止状態における光の透過率及び/又は波長或いは第1配向面(21)と第2配向面(31)間の電位差を計測可能とすることで、円筒形状をしたメモリ素子或いはスイッチング素子とすることができる。
円盤型の液晶分子場歪み発生機構(1)は、一対の円盤状板からなり、下側に配設される円盤状板は第1部材(2)であり、上側に配設される円盤状板は第2部材(3)である。第1部材(2)上面には環状にラビング処理が施され、第1配向面(21)を形成している。第2部材(3)下面は、液晶分子をほとんど或いは全く束縛しない第2配向面(31)である。第1配向面(21)と第2配向面(31)の間には、液晶が流動可能に配されている。
第2部材(3)をその軸心周りに回転させると、上述と同様に、第1配向面(21)と第2配向面(31)との間に形成される液晶配向場に歪みが生ずる。該歪みによって生ずる第1配向面(21)と第2配向面(31)との間の電位差或いは光の透過率及び/又は波長を計測することで第2部材(3)の回転速度を計測可能となる。
或いは、第2部材(3)を一方向に回転させた後停止させ、次に逆方向に第2部材(3)を他の方向に同速度で回転させた後停止させ、それぞれの停止状態における光の透過率及び/又は波長或いは第1配向面(21)と第2配向面(31)間の電位差を計測可能とすることで、円筒形状をしたメモリ素子或いはスイッチング素子とすることができる。
図5(a)に示す速度・変位量センサ(10)は、図3で示した平行平板型の液晶分子場歪み発生機構(1)を用いている。しかしながら、上述の円筒型或いは円盤型の液晶分子場歪み発生機構(1)若しくはその他形状の液晶分子場歪み発生機構(1)も同様に適用可能である。第1部材(2)は透明なガラス板(22)とガラス板(22)上面に配設された配向膜(23)から形成されている。配向膜(23)は例えばポリイミド等の高分子物質からなり、その上面には第2部材(3)移動方向に平行な方向にラビング処理が施され、第1配向面(21)を形成するものとなる。配向膜(23)には金属箔(5a)が埋設されている。
尚、ここでは、第1部材(2)は固定されている。
また第1部材(2)と第2部材(3)の間に配される液晶には、MBBA(4-methoxybenzylidene-4'-butylaniline)が用いられているが、回転可能な液晶分子を有する液晶であれば適用可能である。
光源(7)には、小型赤外線レーザ等の光源装置が適用可能である。受光器(71)は光源(7)からの光を受光し、その受光量を測定する。この受光量は第2部材(3)の速度と相関関係があるので、第2部材(3)の移動速度が検知可能となる。
尚、光量を測定する以外にも、受光される光の波長を検出することによっても、第2部材(3)の移動速度が検知可能となる。また、得られた速度データから第2部材(3)の変位量を求めることも可能となる。
上記速度・変位量センサ(10)の構成に演算装置を加える。演算装置は、第1部材(2)と第2部材(3)との間の速度差に対する液晶分子の分極によって発生する電位差、或いは液晶分子場の歪みにより変化する透過光の光量或いは透過光の波長のキャリブレーション・データを備える。速度・変位量センサ(10)から得られる入力値、即ち、電圧データ、光量データ或いは波長データが、演算装置に入力される。また演算装置は、第1配向面(21)と第2配向面(31)との間の間隔、即ち液晶分子場の厚さのデータが入力可能とされる。
演算装置は、上記速度・変位量センサ(10)から得られる入力値に応じて、キャリブレーション・データから第1部材(2)と第2部材(3)との間の速度差を算出する。そして、液晶分子場の厚さの値で、算出された速度差を除する。この除された結果が液晶分子場の歪み速度となる。演算装置は、算出された液晶分子場の歪み速度を出力する。この出力された歪み速度を時間で積分した値により、液晶分子場の歪み量の算出値を得ることが可能となる。このように、上記速度・変位量センサ(10)を応用して、液晶分子場の歪み速度並びに歪み量を検知可能な歪み速度・歪み量センサを構築可能である。
例えば、シリンダ(6)が収縮状態にあるときの電圧計(51)の計測する電圧値に応じて、電圧計(51)と接続する回路をオン状態とし、シリンダ(6)が伸長状態にあるときの電圧計(51)の計測する電圧値に応じて、電圧計(51)と接続する回路をオフ状態としてもよい。或いは、電圧値に代えて、受光器(71)の計測する受光量或いは受光される光の波長に応じて受光器(71)に接続する回路のオン・オフの切換を行うことも可能である。
図6に、図2で示す平行平板型の液晶分子場歪み発生機構(1)の第2部材(3)を平行移動させたときのディレクタ(4)の傾斜角度を計算したシミュレーション結果を示す。尚、シミュレーションにおいて、初期条件として、ディレクタ(4)の長軸はY軸に平行とされている。また、図6に示すシミュレーション結果は、第2部材(3)が移動動作を開始して、液晶の流動が定常状態となったときのディレクタ(4)の傾斜角度を現わしている。
図6(a)はエリクセン数Erを1000としたときのシミュレーション結果であり、図6(b)はエリクセン数Erを500としたときのシミュレーション結果である。尚、ここで、エリクセン数Erは粘性力と弾性力の比を表す液晶固有の無次元数である。高いErは第2部材(3)の速度が高いことを意味する。
また図6に示す結果は、第2部材(3)下面に形成される第2配向面(31)の液晶に対する束縛力を変化させたときのディレクタ(4)の傾斜状態の変化を示し、該束縛力は図6中、Aeで示されている。Aeは壁面におけるディレクタ(4)の束縛力と弾性力の比を表し、Aeの値が大きくなるほど、第2配向面(31)の束縛力が増加する。
図6において、横軸には第1配向面(21)と第2配向面(31)間の距離Hを無次元化した値y*を用い、「y*=0」は第1配向面(21)上にあることを示し、「y*=1」は第2配向面(31)上にあることを示す。また、縦軸にはディレクタ(4)の角度θを取り、「θ=90」はY軸に平行であることを示し、「θ=0」はY軸に対して直角であることを示す。
また、図6(a)と図6(b)に示すグラフ曲線の形状の差異から、第2部材(3)の速度がディレクタ(4)の傾斜角度に影響を与えることが分かる。例えば、「Er=1000」(即ち、高速度で第2部材(3)を移動させたとき(図6(a)参照))のときは、「y*>0.2」の領域にあるディレクタ(4)の傾斜角度が略一定となっているのに対し、「Er=500」(即ち、低速度で第2部材(3)を移動させたとき(図6(b)参照))のときは、「y*>0.4」の領域にあるディレクタ(4)の傾斜角度が略一定となっている。このことは、第2部材(3)の速度を増加させると、より広い領域で、ディレクタ(4)のより大きな回転量を得ることが出来るということを意味する。このように、ディレクタ(4)の傾斜角度分布が、第2部材(3)の移動速度によって影響を受けるので、上述のように液晶配向場に生ずる電位差を測定し、或いは液晶配向場を通過する光の透過量を計測することによって、第2部材(3)の移動速度を測定することが可能である。
図7は、3次元配向場のモデル図である。上述と同様に、下方に第1配向面(21)が形成された第1部材(2)を配設し、第1部材(2)と平行に第2部材(3)を配設している。第2配向面(31)が第2部材(3)の下面に形成されている。第1配向面(21)と第2配向面(31)との間には、液晶が流動可能に満たされている。尚、図7中には1つのディレクタ(4)が示されているが、初期状態において、ディレクタ(4)はY軸に沿って複数整列している。
ディレクタ(4)は、X−Y平面においてその長軸はY軸に平行であるが、Y−Z平面において僅かにZ軸方向に傾斜している。この場合、第1配向面(21)に施されるラビング処理の方向は、X−Z平面上で、X軸及びZ軸方向に正方向に増加する方向である。尚、ここで用いられる液晶は8CB(4'-n-Octyl-4-cyanobiphenyl)であるが、回転可能な液晶分子を有する液晶であれば、特に制限されるものではない。
図8に示す如く、上式第1項の値P1 *と第2項P2 *の値は周期的変動を示す。第2項の値P2 *の周期は、第1項の値P1 *の周期の2倍である。この周期的変動は時間経過に関わらず一定であり、減衰しない。したがって、上記のようにモデル化された3次元配向場においては、ディレクタ(4)は常に回転運動を続けることが分かる。また、分極の大きさは周期的変動を示す。この周期は、第2部材(3)の移動速度によって変化し、第2部材(3)の移動速度の増加は、変動周期を短縮させる。
縦軸はディレクタの変化角度を表し、横軸には図8に関連して説明された「t*」が用いれ、横軸は、第2部材(3)の移動時間を示している。
図9中、L1で示す曲線は、Ae=50,Er=500の条件であり、L2で示す曲線は、Ae=100,Er=500の条件であり、L3で示す曲線は、Ae=125,Er=500の条件であり、L4で示す曲線は、Ae=200,Er=500の条件であり、L5で示す曲線は、Ae=250,Er=500の条件であり、L6で示す曲線は、Ae=300,Er=500の条件である。
このように束縛力Aeを変更することによって、ディレクタ(4)の配向量の変化状態を変えることができる。このことは、第2配向面(31)の束縛力Aeによって、例えば、液晶分子場歪み発生機構(1)がセンサとして用いられた場合、センサの感度を変えることが可能である。即ち、束縛力Aeを小さくすればセンサの感度を上昇させることができ、逆に束縛力Aeを大きくすればセンサの感度を下げることができる。
図10に示す如く、ディレクタ(4)の配列は、第2部材(3)の移動につれて、ねじれていく。尚、このねじれ形態にもかかわらず、第1配向面(21)及び第2配向面(31)上にあるディレクタ(4)は、束縛されているため、その配向は略一定である。
図10中、「t*=2000」でよく表されるように、ディレクタ(4)の変化の影響を受けて、液晶の流速分布が影響を受ける。
2・・・・・第1部材
21・・・・第1配向面
3・・・・・第2部材
31・・・・第2配向面
4・・・・・液晶分子
5・・・・・金属箔
51・・・・電圧計
7・・・・・光源
71・・・・受光器
Claims (16)
- 液晶に対する配向処理を施された第1配向面を有する第1部材と、
前記第1配向面に対向する面に該第1配向面と異なる強さの液晶配向に対する束縛力を有する第2配向面を備える第2部材と、
前記第1配向面と前記第2配向面の間に形成される空間内に流動可能に封入される液晶からなり、
前記第1部材と前記第2部材との間の速度差によって、前記液晶の配向場に歪みを生じせしめ、
前記第1配向面が配向処理により形成され、
該配向処理の方向が、前記第2部材の移動方向に対して平行であり、
時間変動しない液晶配向場の歪みを発生することができる
ことを特徴とする液晶の流動による液晶分子場歪み発生機構。 - 液晶に対する配向処理を施された第1配向面を有する第1部材と、
前記第1配向面に対向する面に該第1配向面と異なる強さの液晶配向に対する束縛力を有する第2配向面を備える第2部材と、
前記第1配向面と前記第2配向面の間に形成される空間内に流動可能に封入される液晶からなり、
前記第1部材と前記第2部材との間の速度差によって、前記液晶の配向場に歪みを生じせしめ、
前記第1配向面が配向処理により形成され、
該配向処理の方向が、前記第2部材の移動方向に対して平行ではなく、一定周期で変動する液晶配向場の歪み発生することができる
ことを特徴とする液晶の流動による液晶分子場歪み発生機構。 - 前記第1部材及び前記第2部材が平行平板であることを特徴とする請求項1記載の液晶分子場歪み発生機構。
- 前記第1部材及び前記第2部材が平行平板ではないことを特徴とする請求項2記載の液晶分子場歪み発生機構。
- 液晶に対する配向処理を施された第1配向面を有する第1部材と、
前記第1配向面に対向する面に該第1配向面と異なる強さの液晶配向に対する束縛力を有する第2配向面を備える第2部材と、
前記第1配向面と前記第2配向面の間に形成される空間内に流動可能に封入される液晶と前記第1部材と前記第2部材との間の速度差によって誘起される液晶の配向場の時間変動しないか、又は一定周期で変動する歪みにより生ずる第1配向面と第2配向面間の電位差を計測する電位差測定手段を備えることを特徴とする速度・変位量センサ。 - 前記電位差測定手段が、前記第1配向面と前記第2配向面のそれぞれ対向する位置に配設される導電体と、
該導電体と電気的に接続する電圧計からなることを特徴とする請求項5記載の速度・変位量センサ。 - 液晶に対する配向処理を施された第1配向面を有する光透過性の第1部材と、
前記第1配向面に対向する面に該第1配向面と異なる強さの液晶に対する束縛力を有する第2配向面を備える光透過性の第2部材と、
前記第1配向面と前記第2配向面の間に形成される空間内に流動可能に封入される液晶と、
前記第1部材及び前記第2部材に光を照射し、前記第1部材及び前記第2部材との間に
形成される液晶配向場を通過する光を測定する光測定手段を備え、
前記第1部材と前記第2部材との間の速度差によって、前記液晶の配向場に時間変動しないか、又は一定周期で変動する歪みを生じせしめることを特徴とする速度・変位量センサ。 - 前記光測定手段が、前記液晶配向場に光線を照射する光源と、
前記光源からの光線を受光する受光器からなることを特徴とする請求項7記載の速度・変位量センサ。 - 前記光測定手段が、前記光源からの光の光量を測定することを特徴とする請求項8記載の速度・変位量センサ。
- 前記光測定手段が、前記光源からの光の波長を測定することを特徴とする請求項8記載の速度・変位量センサ。
- 液晶に対する配向処理を施された第1配向面を有する第1部材と、
前記第1配向面に対向する面に該第1配向面と異なる強さの液晶配向に対する束縛力を有する第2配向面を備える第2部材と、
前記第1配向面と前記第2配向面の間に形成される空間内に流動可能に封入される液晶と、
前記第1部材と前記第2部材との間の速度差によって誘起される液晶の配向場の歪みにより生ずる第1配向面と第2配向面間の電位差を計測する電位差測定手段と、
前記計測された電位差から、前記第1部材と前記第2部材との間の速度差を算出し、該速度差を前記第1配向面と前記第2配向面との間の間隔で除する演算装置からなり、
前記第1部材と前記第2部材との間の速度差によって、前記液晶の配向場に時間変動しないか、又は一定周期で変動する歪みを生じせしめることを特徴とする液晶の流動による歪み速度・歪み量センサ。 - 前記電位差測定手段が、前記第1配向面と前記第2配向面のそれぞれに対向する位置に配設される導電体と、
該導電体と電気的に接続する電圧計からなることを特徴とする請求項11記載の歪み速度・歪み量センサ。 - 液晶に対する配向処理を施された第1配向面を有する光透過性の第1部材と、
前記第1配向面に対向する面に該第1配向面と異なる強さの液晶に対する束縛力を有する第2配向面を備える光透過性の第2部材と、
前記第1配向面と前記第2配向面の間に形成される空間内に流動可能に封入される液晶と、
前記第1部材及び前記第2部材に光を照射し、前記第1部材及び前記第2部材との間に形成される液晶配向場を通過する光を測定する光測定手段と、
前記計測された光から、前記第1部材と前記第2部材との間の速度差を算出し、該速度差を前記第1配向面と前記第2配向面との間の間隔で除する演算装置からなり、
前記第1部材と前記第2部材との間の速度差によって、前記液晶の配向場に時間変動しないか、又は一定周期で変動する歪みを生じせしめることを特徴とする液晶の流動による歪み速度・歪み量センサ。 - 前記光測定手段が、前記液晶配向場に光線を照射する光源と、
前記光源からの光線を受光する受光器からなることを特徴とする請求項13記載の歪み速度・歪み量センサ。 - 前記光測定手段が、前記光源からの光の光量を測定することを特徴とする請求項14記載の歪み速度・歪み量センサ。
- 前記光測定手段が、前記光源からの光の波長を測定することを特徴とする請求項14記載の歪み速度・歪み量センサ。
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