本発明に係る移動管理方法は、ドメインネットワークを構成するサブネットに配置されるアクセスポイント装置と通信を行い、同一のドメインネットワーク内における他のサブネット間ならびにサービス形態の異なるドメインネットワーク間を移動する移動端末が移動端末の位置管理を行うメインホームエージェント装置を、メインホームエージェント装置の候補となるホームエージェント装置に関する情報に基づき所定の基準により選択するメインホームエージェント選択ステップと、移動端末が、移動先ドメインネットワーク内のサブネットに配置されたルータからホームプレフィクス情報を取得して、同一のドメインネットワーク内におけるサブネット間の移動であるかまたはサービス形態の異なるドメインネットワーク間の移動であるかを判定する判定ステップと、移動端末がサービス形態の異なるドメインネットワーク間を移動したと判定した場合に、移動端末が移動端末のメインホームアドレスとサブホームアドレスとをメインホームエージェント装置に登録する第1の登録ステップとを有している。
これにより、移動端末がドメインネットワーク間を移動した際にも、外部からは常に同じアドレス、すなわちメインホームアドレスを用いて移動端末へのアクセスが可能となり、従来のようにドメインネットワーク間を移動することによってホームアドレスが変化する場合に生じた混乱を解消することができ、一貫性のある移動通信を実現することができる。 さらに、メインホームエージェント装置の候補となるホームエージェント装置に関する情報に基づき所定の基準により選択することにより、ホームエージェント故障時の対応や、ホームエージェントにおける負荷分散対策に柔軟に対応できる。
また、本発明に係る移動管理方法は、移動端末が第一のホームエージェント装置の候補となるホームエージェント装置に関する情報をあらかじめ記憶している。
これにより、移動端末がIPアドレスなどのメインホームエージェントに関する情報やメインホームアドレスをあらかじめ取得しておくことにより、移動先での迅速な位置登録処理を実現できる。
また、本発明に係る移動管理方法は、前記移動端末がドメインネットワークから前記第一のホームエージェント装置の候補となるホームエージェント装置に関する情報を取得するステップをさらに有している。
これにより、移動先ドメインネットワークで必要な情報のみをその都度取得するので、移動端末のメモリの消費を抑えることができる。
また、本発明に係る移動管理方法は、ホームエージェント決定ステップにおいて、移動端末がホームエージェント装置に関する情報の中から第一のホームエージェント装置を、情報の一つである優先度に基づいて決定している。
これにより、ネットワークおよびホームエージェントに対する負荷を予測でき、ネットワーク管理における優位性を確保できるものである。
また、本発明に係る移動管理方法は、ホームエージェント決定ステップにおいて、移動端末がホームエージェント装置にアクセスする頻度に基づいて、ホームエージェント装置に関する情報の中から第一のホームエージェント装置を決定する。
これにより、移動端末の移動特性に適したメインホームエージェントを選択することができ、特に位置登録時の伝送遅延の削減を図ることができ、処理効率の向上を達成することができる。
また、本発明に係る移動管理方法は、移動端末が有するリンクレイヤのうち少なくとも一つが無効状態から有効状態になり、IPアドレスを取得することができたことを契機に、有効状態になったリンクレイヤを通じて接続されるドメインネットワークに配置されているホームエージェント装置に登録を要求する登録要求ステップをさらに有し、ホームエージェント装置による前記登録要求の許諾がされたときに、サブホームアドレス登録ステップを行う。
これにより、IPアドレスの変化を検知して移動検知を行う場合に比べ、短時間での移動検知処理を実現することができる。
本発明に係る移動端末は、ドメインネットワークを構成するサブネットに配置されるアクセスポイント装置と通信を行い、同一のドメインネットワーク内における他のサブネット間ならびにサービス形態の異なるドメインネットワーク間を移動する移動端末の位置管理を行うメインホームエージェント装置を、前記メインホームエージェント装置の候補となるホームエージェント装置に関する情報に基づき所定の基準により選択するメインホームエージェント選択部と、移動先ドメインネットワーク内のサブネットに配置されたルータからホームプレフィクス情報を取得して、同一のドメインネットワーク内における前記サブネット間の移動であるかまたはサービス形態の異なるドメインネットワーク間の移動であるかを判定するネットワーク層通信処理部と、サービス形態の異なるドメインネットワーク間を移動したと判定した場合に、前記移動端末のメインホームアドレスとサブホームアドレスとを前記メインホームエージェント装置に登録するホームエージェント登録部とを具備している。
これにより、移動端末がドメインネットワーク間を移動した際にも、外部からは常に同じアドレス、すなわちメインホームアドレスを用いて移動端末へのアクセスが可能となり、従来のようにドメインネットワーク間を移動することによってホームアドレスが変化する場合に生じた混乱を解消することができ、一貫性のある移動通信を実現可能である。さらに、メインホームエージェント装置の候補となるホームエージェント装置に関する情報に基づき所定の基準により選択することにより、ホームエージェント故障時の対応や、ホームエージェントにおける負荷分散対策に柔軟に対応できる。
また、本発明に係る移動端末は、第一のホームエージェント装置の候補となるホームエージェント装置に関する情報であるホームエージェントリストを記憶するホームドメイン記憶部をさらに具備し、メインホームエージェント選択部がホームエージェントリストの中から第一のホームエージェント装置を選択する。
これにより、移動端末がIPアドレスなどのメインホームエージェントに関する情報やメインホームアドレスをあらかじめ取得しておくことにより、移動先での迅速な位置登録処理を実現できる。
また、本発明に係る移動端末は、メインホームエージェント選択部がドメインネットワークからホームエージェント装置に関する情報を取得し、ホームドメイン記憶部に記憶している。
これにより、移動先ドメインネットワークで必要な情報のみをその都度取得するので、移動端末のメモリの消費を抑えることができる。
また、本発明に係る移動端末は、メインホームエージェント選択部が、ホームドメイン記憶手段に記憶されたホームエージェントリストの中から、ホームエージェント装置に関する情報の一つである優先度に基づいて、第一のホームエージェント装置を選択する。
これにより、ネットワークおよびホームエージェントに対する負荷を予測でき、ネットワーク管理における優位性を確保できる。
また、本発明に係る移動端末は、メインホームエージェント選択部が、ホームドメイン記憶部に記憶されたホームエージェントリストの中から、アクセスする頻度が所定値以上のホームエージェント装置を、第一のホームエージェント装置として選択する。
これにより、移動端末の移動特性に適したメインホームエージェントを選択することができ、特に位置登録時の伝送遅延の削減を図ることができ、処理効率の向上を達成することができる。
また、本発明に係る移動端末は、ホームエージェント登録部が無効状態から有効状態になったリンクレイヤを通じて第二のホームエージェント装置への登録要求を行い、第二のホームエージェント装置による登録要求の許諾を受信したときに、第一のホームエージェント装置へ第二のホームアドレスの通知を開始する。
これにより、IPアドレスの変化を検知して移動検知を行う場合に比べ、短時間での移動検知処理を実現することができる。
また、本発明に係る移動端末は、モバイルIP処理部が、多重にカプセル化されたパケットを受信したとき、最も内側のヘッダに記載された送信元アドレスを位置登録先とする。
これにより、既に登録が済んでいるホームエージェント装置やアクセスポイント装置のアドレスを重複して登録することがないので、ホームエージェント装置のリソースの無駄な消費を防止することができる。
以下、本発明の実施の形態について、図面を用いて説明する。なお、同一の構成要素は、同一の符号をつけて示している。
(実施の形態1)
本発明の実施の形態1について、図1から図22を用いて説明する。
図1乃至図3、図14は本発明による移動通信システムにおけるネットワークの構成を示す図である。図1乃至図3において、ドメインネットワーク1、2、3は異なるサービス形態のドメインネットワークであり、特にドメインネットワーク1は移動端末(MN)10が選択して決定したホームドメインネットワークであり、ドメインネットワーク2、3は外部ドメインネットワークである。ホームエージェント装置(HA)50−1、50−2、50−3はそれぞれドメインネットワーク1、2、3を管理するものであり、特にホームエージェント装置50−1は移動端末10のホームドメインネットワークを管理するメインホームエージェント装置(M−HA)である。また、ホームエージェント装置50−2、50−3はホームドメインネットワーク以外のドメインネットワークに配置されたサブホームエージェント装置(HA−1、HA−2)である。また、ドメインネットワークシステムサーバ(DNS)20はインターネット上のホスト名とIPアドレスを対応させるものであり、ドメインネットワーク1に属するホームエージェント装置50−1や移動端末10のIPアドレスとホスト名とを対応して管理すると共に、ドメインネットワーク2、3を外部ドメインネットワークとして定義し、さらに外部ドメインネットワークにおけるホームエージェント装置をサブホームエージェント装置50−2、50−3として定義する機能を有する場合もある。
さらに、それぞれのドメインネットワーク1、2、3は、図14に示す構成を有している。
図14において、アクセスポイント装置(AP)60は、移動端末10と無線通信を行うが、これに限らず、有線回線を用いて通信を行ってもよく、本発明はそれを制限するものではない。また、ローカルネットワーク100はドメインネットワーク内に敷設されたサブネットワークである。
さらに、ホームエージェント情報提供サーバ装置(HIS)70は、ドメインネットワーク1に置かれたホームエージェント装置50に関する情報を移動端末10に提供する機能を有する。
上記のように構成された移動通信システムにおける移動管理方法について、以下その動作および作用について説明する。
まず、移動端末10は、複数のドメインネットワーク1、2、3の中から、ドメインネットワーク1をホームドメインネットワークとして指定し、ホームエージェント装置50−1を移動端末10のアドレス管理を行うメインホームエージェントとして選択する。このメインホームエージェントが第一ホームエージェント装置に相当する。
次に、ホームエージェント装置50−1はこのドメインネットワークで使用できるホームアドレスを移動端末10に割り当てる。そして、バインディングキャッシュに、この割り当てたホームアドレスをメインホームアドレスとして定義する。このメインホームアドレスが第一のホームアドレスに相当する。
また、移動端末10はDNS20にこのホームアドレスの登録を要求する。DNS20はこの要求を受けて、要求のあった移動端末10の名称とホームアドレスを対応づけて登録する。
次に、図1を用いて移動端末10がホームドメインネットワーク内を移動する場合(サブネット間移動)を説明する。
まず、移動端末10は新たに移動したサブネットにおいて、新しく取得したケアオブアドレスCoA−MとメインホームアドレスHoA−Mとを少なくとも含み、モバイルIP手順に従った登録要求電文をメインホームエージェント装置50−1にパケット送信する。
次に、メインホームエージェント装置50−1は、有効な登録要求電文を受信する(A1)と、自局のバインディングキャッシュの移動端末10に該当するエントリ内容を更新し、登録応答電文を移動端末10にパケット返信する(A2)。
以後、移動端末10のホームアドレスHoA−M宛のデータパケットは、メインホームエージェント装置50−1がバインディングキャッシュに登録された移動端末10のケアオブアドレスCoA−Mにトンネル転送する(A2)ことにより正しく移動端末10に転送される。
次に、図2を用いて、移動端末10がホームドメインネットワークであるドメインネットワーク1を退出し、サブホームエージェント装置50−2管轄の外部ドメインネットワーク2に移動した(201)ときの動作について説明する。
まず、移動端末10は外部ドメインネットワーク2内のサブネットに接続し、移動したサブネットのネットワーク情報をもとにケアオブアドレスCoA−1を生成する。ネットワーク情報は、例えばルータ・アドバタイズメント(Router Advertisement)パケットによって配信される。そして、移動端末10は接続したドメインネットワーク2がホームドメインネットワークではないことを認識すると、サブホームアドレスHoA−1を取得する。このサブホームアドレスは第二のホームアドレスに相当する。
なお、ケアオブアドレスCoA−1は上記のように移動端末10がネットワーク情報から生成してもよいし、DHCP(Dynamic Host Configuration Protocol)などのプロトコルを用いてネットワークからの割り当てを受けてもよい。
サブホームアドレスHoA−1の取得は、接続したアクセスポイント装置60から取得した情報をもとに行ってもよいし、ネットワークに接続されたホームエージェント情報提供サーバ装置70から取得した情報をもとに行ってもよい。具体的には、移動端末10がアクセスポイント装置60あるいはホームエージェント情報提供サーバ装置70に対して問合せパケットを送信し、その応答としてアクセスポイント装置60あるいはホームエージェント情報提供サーバ装置70が移動端末10に図15に示すようなホームエージェントリストの内容を含む応答パケットを返信する。あるいは、アクセスポイント装置60あるいはホームエージェント情報提供サーバ装置70が定期的にブロードキャストあるいはマルチキャストするホームエージェントリストの内容を含むデータパケットを、移動端末10が受信して利用する。ここで、図15に示すホームエージェント装置に関する情報について以下に説明する。
IPアドレス141はホームエージェント装置のアドレスであり、プリファレンス142はそのホームエージェント装置の残り資源や負荷状態から判断された選択に適する優先度であり、ライフタイム143はホームエージェント装置50の残存稼動時間であり、ホームプレフィクス144はホームエージェント装置50が管理するホームプレフィックスの一覧を示している。また移動端末10にホームアドレス割り当てを行う場合は、割り当てられたホームアドレスが記載されていてもよい。
このような移動端末10が取得する情報は、あくまでもホームエージェントリストに相当する内容の情報であり、具体的にはホームエージェント装置50に関する情報が取得できる。移動端末10は、この優先度142に基づいて選択するか、リストの最上位のものを選択するか、あるいはランダムに選択するか、のいずれかの方法によって、一つのホームエージェント装置50を選択する。
図15のように、ホームエージェントリストにホームプレフィクス情報が含まれる場合、該当するホームプレフィクスをもとに、ホームアドレスHoA−1を生成取得してもよい。ホームプレフィクス情報は、従来のモバイルIP手順が規定するホームエージェントリストの記載項目に、本発明によって追加されるものであり、各ホームエージェントが管理する一つ以上のホームプレフィクスをホームエージェントリストのホームプレフィクス欄に記載されている。
なお、この方法に限らず、移動端末10は、モバイルIP手順によるモバイル・プリフィックス・ソリシテーション/アドバタイズメント(Mobile Prefix Solicitation/Advertisement)方式や、ダイナミック・ホーム・エージェント・アドレス・ディスカバリ(Dynamic Home Agent Address Discovery)プロトコルを用いて、ホームエージェントリストを取得して、ホームアドレスHoA−1を生成取得してもよい。
次に、移動端末10は、新たに取得したケアオブアドレスCoA−1を、サブホームアドレスHoA−1とともにホームエージェント装置50−2に登録する(B1)。さらに、移動端末10はサブホームアドレスHoA−1をケアオブアドレスとして、メインホームアドレスHoA−Mとともに、メインホームエージェント装置50−1に登録する(B2)。
次に、メインホームエージェント装置50−1およびサブホームエージェント装置50−2はサブネット間移動の場合と同じ手順により、移動端末10から登録要求電文を含むパケットを受信すると、自局のバインディングキャッシュを更新し、移動端末10に登録応答電文を含むパケットを送信する。
以降、移動端末10のメインホームアドレスHoA−M宛のパケットは、最初にメインホームエージェント装置50−1が代理受信し、メインホームエージェント装置50−1が、自局のバインディングキャッシュを参照した結果、ケアオブアドレスCoAとして登録されたサブホームアドレスHoA−1宛に転送する(B3)。
このサブホームアドレスHoA−1宛のパケットは、サブホームエージェント装置(HA−1)50−2が代理受信し、サブホームエージェント装置50−2は、自局のバインディングキャッシュを参照した結果、ケアオブアドレスCoA−1宛に転送し(B4)、最終的にドメインネットワーク2内の移動端末10に正しく転送される。
この間のパケットの転送形態について、図19を用いて以下に説明する。
まず、外部端末(CN)80が送信する、移動端末10のメインホームアドレスHoA-M宛パケット(ヘッダ1(201)が付与されている)は、メインホームエージェント装置50−1によって代理受信され、バインディングキャッシュに登録された在圏ドメインのホームアドレスHoA-Sに宛ててトンネル転送される。
このとき、ヘッダ2(203)が付与される。
次に、トンネル転送されたパケットは、在圏ドメインのホームエージェント装置50−2に代理受信され、移動端末10のCoAに宛ててトンネル転送される。このとき、ヘッダ3(206)がさらに付与される。
次に、移動端末10は二重にカプセル化された転送パケットを受信し、最も内側のヘッダ1(204)に記載された送信元アドレスを外部端末CNのものであると認識し、必要に応じてメインホームエージェント装置に登録処理を要求する。それ以外のヘッダ2(205)とヘッダ3(206)から得られたアドレスについては、既に登録済みであるため登録要求しない。これにより、移動端末10およびホームエージェント装置50におけるリソースの浪費を抑制することができる。
なお、移動端末10が外部ドメインネットワーク2内を移動する場合(サブネット間移動)は、サブホームエージェント装置50−2だけに登録要求電文を送信する。以降、外部ドメインネットワーク内の移動においては、そのドメインを管理するホームエージェント装置にだけ登録要求を行う。
次に、図3を用いて、移動端末10が外部ドメインネットワーク2を退出し、ホームエージェント50−3の管轄である外部ドメインネットワーク3に移動した(301)ときの動作について説明する。
まず、移動端末10は外部ドメインネットワーク3内のサブネットに接続し、移動したサブネットのネットワーク情報をもとにケアオブアドレスCoA−2を生成する。また、移動端末10は接続した外部ドメインネットワーク3がホームドメインネットワークではなく、かつこれまで在圏していた外部ドメインネットワーク2でもないことを認識すると、サブホームアドレスHoA−2を取得する。
なお、ケアオブアドレスCoA−2はドメインネットワーク2への移動と同様に、移動端末10がネットワーク情報から生成してもよいし、DHCP(Dynamic Host Configuration Protocol)などのプロトコルを用いてネットワークからの割り当てを受けてもよい。
また、サブホームアドレスHoA−2は、ドメインネットワーク2において取得したのと同様の方法で取得できる。
次に、移動端末10は新たに取得したケアオブアドレスCoA−2を、サブホームアドレスHoA−2とともにホームエージェント装置50−3に登録する(C1)。さらに、移動端末10はサブホームアドレスHoA−2をケアオブアドレスとして、メインホームアドレスHoA−Mとともに、メインホームエージェント装置50−1に登録する(C2)。メインホームエージェント装置50−1およびサブホームエージェント装置50−3はドメインネットワーク2への移動と同じ手順により、移動端末10から登録要求電文を含むパケットを受信すると、自局のバインディングキャッシュを更新し、移動端末10に登録応答電文を含むパケットを送信する。
以降、移動端末10のメインホームアドレスHoA−M宛のパケットは、ドメインネットワーク2への移動と同様に、最初にメインホームエージェント装置50−1が代理受信したのち、ケアオブアドレスCoAとして登録されたサブホームアドレスHoA−2宛に転送される(C3)。サブホームエージェント装置50−3がこれを代理受信したのち、ケアオブアドレスCoA−2宛に転送し(C4)、最終的に移動端末10に正しく転送される。
また、移動端末10は、それまで在圏していた外部ドメインネットワーク2でないことを認識した時点で、先に在圏していた外部ドメインネットワーク2のサブホームエージェント装置50−2に対して、モバイルIP手順において規定される登録削除要求電文を含むパケットを送信して、サブホームエージェント装置50−2が管理するバインディングキャッシュの移動端末10に該当するエントリを削除するように要求する。あるいは、メインホームエージェント装置50−1に対して登録したのと同様に、サブホームエージェント装置50−2に対しても、ホームアドレスとしてサブホームアドレスHoA−1、ケアオブアドレスとしてサブホームアドレスHoA−2の組を登録する(C5)。これにより、時間差を伴ってサブホームエージェント装置50−2に到着した移動端末10のサブホームアドレスHoA−1宛パケットを、漏れなく移動端末10に転送することが可能になる(C6)。
また、すべての移動に際して、モバイルIP手順の規定にしたがって、接続するサブネットにおいて有効なケアオブアドレス(例えばCoA−1、CoA−2)をケアオブアドレスCoAとしてメインホームエージェント装置50−1あるいは、必要に応じて先に属していたサブホームエージェント装置(上記例ではサブホームエージェント装置50−2)に登録することも可能である。しかし、その場合、サブネットを移動するたびにホームエージェント装置50への登録が発生するため、効率が良くない。従って、本実施の形態のように、在圏するドメインネットワークで有効なホームアドレス(例えばHoA―1、HoA−2)をケアオブアドレスとしてメインホームエージェント装置50−1に登録することが望ましい。
次に、各装置の構成およびその動作について、図を用いて説明する。
初めに、移動端末10の構成および基本的な動作について説明する。
図4、は移動端末10がホストとして機能する場合の移動端末10の構成を示すブロック図である。図5は移動端末10がルータとして機能する場合の移動端末10の構成を示すブロック図である。
図4と図5において、L1/2処理部11、16は物理層とデータリンク層の通信処理を行うものであり、L3処理部12はネットワーク層の通信処理を行うものであり、上位層処理部13はTCPやUDPなどの上位層の処理を行うものであり、モバイルIP処理部14はモバイルIP手順に基づいて移動端末の移動管理を行うものであり、アプリケーション処理部15はアプリケーションの制御を行うものであり、ホームドメイン記憶部17はメインホームエージェント装置やホームドメインネットワークに関する情報や、メインホームアドレスを記憶するものであり、メインホームエージェント選択部18はメインホームエージェント装置50の選択を行い、DNS20にメインホームアドレスの登録を要求するものであり、ホームエージェント登録部19はメインホームエージェント装置50に、移動先のホームアドレス(サブホームアドレス)の登録要求を行うものである。
なお、図5において、ネットワークと接続するL1/2処理部11、16は二つしか図示していないが、さらに多くのL1/2処理部を具備する構成であってもよく、本発明はその具備する数を制限するものではない。L1/2処理部を三つ以上具備する場合であっても、同様の構成および以下説明する手順によってその動作を実現することができる。
上記のように構成された移動端末10の基本的な動作について、以下説明する。
図4に示す構成の移動端末10の送信動作は、以下の通りである。
アプリケーション処理部15が生成する送信データは、ソケットやTCPまたはUDP等のプロトコルにしたがった処理を行う上位層処理部13を経由して、IPプロトコル処理を行うL3処理部12に転送される。その後、L3処理部がIP処理を実施すると同時に、モバイルIP処理部14が、モバイルIPに関する付加的なIPヘッダ処理を行う。これらの処理がされた送信データは、L1/2処理部11にてデータリンクプロトコル処理と物理層プロトコル処理をさらに行った後に、アクセスしているネットワーク(以下、「アクセスネットワーク」という)に送信される。
図4に示すホスト機能を有する移動端末10の受信動作は、以下のように送信動作と逆の操作となる。
すなわち、L1/2処理部11がアクセスネットワークからパケットを受信し、物理層プロトコルとデータリンクプロトコル処理を行う。その後、L3処理部がIPプロトコル処理を行う中で、同時にモバイルIP処理部14がモバイルIPに関する付加的なIPヘッダ処理を行う。続いて上位層処理部13が上位層の処理を行った後、アプリケーション処理部15にデータを転送する。
次に、図5に示すルータ機能を有する移動端末の動作を以下に説明する。
まず、L1/2処理部16が内部のネットワーク(以下、「内部ネットワーク」という。)から受信したパケットを物理層プロトコル処理、データリンクプロトコル処理を行う。その後、L3処理部がルーティング処理を含むIPプロトコル処理を行い、L1/2処理部11もしくはL1/2処理部16のいずれかに転送する。L1/2処理部11がアクセスネットワークから受信したパケットについても、L3処理部12におけるルーティング処理の結果、L1/2処理部11もしくはL1/2処理部16のいずれかに転送する。ここで、モバイルIP処理部14は、内部ネットワークの移動透過性を実現するために、モバイルIP手順の応用である標準的なモバイルルータ処理も実施する。
移動端末10の移動に際しては、同一のドメインネットワーク内のサブネットをまたがる移動と、異なるドメインネットワーク間の移動とにおいてそれぞれ異なる動作を示す。いずれにおいても、移動後に取得したケアオブアドレスCoAをホームアドレスHoAとともに在圏するドメインネットワークのホームエージェント装置50に登録する点は共通である。
初めに、移動端末10が、同一ドメインネットワーク1内でサブネットをまたがる移動を行った場合の動作について、図1と、図10を用いて説明する。図10は移動端末10が実施する本発明に関する処理手順を示すフロー図である。
まず、移動端末10がサブネットを移動し、移動先サブネットに配置されたルータからL1/2処理部11を介してL3処理部12がネットワーク情報を受信する。そして、L3処理部12が受信したネットワーク情報から、そのサブネットにおいて有効なケアオブアドレスCoAを生成するとともに、受信したネットワーク情報と、現在記憶している先に接続していたサブネットのネットワーク情報とを比較し、移動したか否かを検知する(ステップS11)。この移動検知処理は、モバイルIP処理部14が行うことも可能である。
次に、モバイルIP処理部14がL3処理部12からの移動検知処理(ステップS11)の結果としてサブネット間を移動したか否かを判定する(ステップS12)。
なお、移動検知(ステップS11)の開始条件としては、上記の方法の他に、下位レイヤー、すなわちL1/2処理部11が実施するハンドオーバ処理の開始あるいは完了トリガを利用してもよい。その際、L1/2処理部11とモバイルIP処理部14は結線される必要がある。
次に、移動を検知したがサブネットが変わっていない場合、すなわち、新たに取得したネットワーク情報が先に取得したものと同じである場合は、ステップS11に戻る。
一方、移動がサブネットにまたがるものである場合、ネットワーク情報などから取得できるドメインIDやプレフィクス情報、また認証手続きなどを通じて、移動した先のサブネットが同一ドメイン内であるか否かを判定する(ステップS13)。同一ドメイン内である場合、モバイルIP処理部14は、そのサブネットにおいて取得した新しいケアオブアドレスCoA−Mとドメインネットワーク1において有効なホームアドレスHoA−Mをホームエージェント装置50―1に登録する(ステップS14)。
なお、モバイルIP処理部14が行う登録処理は、モバイルIP手順に規定された登録要求電文(例えば図21に示すバインディングアップデートメッセージ(Binding update message)1000)を含むパケットをホームエージェント装置50−1に送信する動作(A1)と、ホームエージェント装置50−1から有効な登録応答電文(例えば図22に示すバインディングアックメッセージ(Binding acknowledge message)1010)を含むパケットを受信(A2)し、モバイルIP処理部14が処理を正しく完了できるまでの動作を含む。このパインディングアップデータメッセージ1000および、バインディングアックメッセージ1010内のモビリティオプションに、上記のケアオブアドレスCoA−MとホームアドレスHoA−Mとが記載され、ホームエージェント装置50−1に通知される。
また、移動端末10は、移動先のサブネットが異なるドメインネットワークであるかの決定(ステップS13)を、図5のように異なるリンクレイヤあるいは通信メディアを持つ場合には、実際に通信で使用するリンクレイヤあるいは通信メディアが変更されたか否かにより行ってもよい。すなわち、移動端末10が図5に示す構成を有し、L1/2処理部16がL1/2処理部11とは異なるドメインネットワーク配下のアクセスネットワークに接続するものである場合は、L3処理部12が送受信のために転送する先がL1/2処理部11からL1/2処理部16に変更された時点をもって、異なるサブネットへの移動と異なるドメインネットワークへの移動であることを同時に検知することができる。
なお、上記説明では、メインホームエージェント装置50−1の管轄ドメインであるドメインネットワーク1を例としたが、同一ドメインネットワーク内の移動に関しては、その他のドメインネットワーク2あるいは3においても、登録先のホームエージェント装置がホームエージェント装置50−2あるいは50−3に変更されるだけで、それ以外は同様の処理にて実施できる。
次に、移動端末10が異なるドメインネットワーク間を移動した際の動作について、ドメイン1から2への移動を例に、図2と図10を用いて説明する。
移動端末10はステップS13で移動したサブネットが異なるドメインであるとモバイルIP処理部14が認識すると、モバイルIP処理部14はドメインネットワーク2において有効なホームアドレスHoA−1を取得し(ステップS15)、先に取得したケアオブアドレスCoA−1とともにドメインネットワーク2に配置されたホームエージェント装置50―2に登録する(ステップS16)。
次に、ホームエージェント登録部19が、メインホームアドレスHoA―Mと、ドメイン2において取得したホームアドレスHoA−1をメインホームエージェント装置50−1に登録する(ステップS17)。
このとき、ホームドメイン記憶部17が登録要求情報を管理するためのバインディングアップデートリストを記憶してもよく、モバイルIP処理部14が保持するバインディングアップデートリストにホームエージェント登録部19がメインホームアドレスHoA−MとサブホームアドレスHoA−1の対応を示すエントリを追加更新してもよい。このバインディングアップデートリストは、図18に示すような形態をとり、少なくともドメインネットワーク2のホームエージェント装置50−2(HA-1)に対するエントリ170と、ドメイン1のメインホームエージェント装置50−1(M-HA)に対するエントリ180とからなる。
なお、ステップS16とステップS17で行う各ホームエージェント装置50への登録は、ステップS14での登録処理と同様に登録要求電文を送信する動作と、ホームエージェント装置50から有効な登録応答電文を受信しモバイルIP処理部14が処理を正しく完了できるまでの動作を含む。また、ホームエージェント登録部19は、独自にモバイルIP手順に従う登録要求電文を生成送信してもよいし、モバイルIP処理部14に対して登録要求電文の生成送信を依頼してもよい。
ここで、モバイルIP処理部14は、メインホームエージェント装置50−1への登録要求電文を在圏ドメインのホームエージェント装置50−2を経由して送信してもよい。この際、移動端末10とホームエージェント装置50−2間にリバーストンネルが適用される。また、このとき、登録要求電文の送信元アドレスは、在圏ドメインで割り当てられたホームアドレスとなる。これに対して、メインホームエージェント装置50−1は登録応答電文を、移動端末10の在圏ドメインでのホームアドレスに対して送信するが、この登録応答電文は、ホームエージェント装置50−2によって代理受信され、移動端末10のケアオブアドレスCoA−1に宛ててトンネル転送される。
上記したように、移動端末10は、少なくとも一つのホームドメインネットワークに属し、ホームドメインネットワークにおいて有効なメインホームアドレスHoA−Mを有する。移動端末10はあらかじめホームドメインネットワークや、メインホームエージェント装置を特定し、これらの情報やメインホームアドレスをホームドメイン記憶部17に記憶させておくこともできるが、前述したように、メインホームエージェント選択部18がアクセスポイント装置60あるいはホームエージェント情報提供サーバ装置70から図15に示したようなホームエージェントリストを取得し、その中から最適なものを選択することがより好ましい。そして、メインホームエージェント選択部18が取得したホームエージェントリストをホームドメイン記憶部17に記憶させておき、必要に応じて、そのホームエージェントリスト中のプリファレンス(優先度)142や各ドメインネットワークに対する在圏頻度などをもとに、あるいはランダムに選定する。
以下にこの選択方法を説明する。
まず、メインホームエージェント選択部18が各ドメインネットワークに滞在した時間や回数、またアクセスパケット量などを監視、計測しておき、その集計値をホームエージェントリストに併記した上でホームドメイン記憶部17に記憶しておく。メインホームエージェント選択部18は、滞在時間が所定時間に達した時点で、その時に在圏するドメインネットワークをホームドメインネットワークとする。そして、メインホームエージェント選択部18は、そのドメインネットワークに存在するホームエージェント装置の中から、負荷や残りリソースの大きさから算出されたプリファレンス142の最も高いホームエージェント装置を、新たにメインホームエージェント装置として選択する。なお、上記滞在時間の集計値の記憶先としてホームエージェントリストを用いなくてもよく、その場合は、ホームドメインとして選択したドメインに属するホームエージェント装置のリストを新たに取得するか、既に取得したホームエージェントリストから選択したホームドメインの情報(プレフィックス等)に該当するエントリを抽出して、メインホームエージェント装置を選択することができる。
次に、メインホームエージェント選択部18がモバイルIP処理部14を介して、そのドメインネットワークのアドレスを管理するDNSにホームアドレスの登録を要求する。
以上のように、本発明の移動端末は、ドメインネットワークを移動した際に、ホームドメインネットワークのホームエージェント装置50−1に対し、モバイルIP手順に従ってメインホームアドレスと在圏するドメインネットワークにおけるサブホームアドレスとを一組にしてバインディング登録を実施する。これにより、外部端末からの通信データはメインホームエージェント装置とサブホームエージェント装置とをリレーして転送されるので、サービス形態の異なるドメインネットワークを移動していても受信することができる。また、この移動したことの各ホームエージェント装置への通知は移動端末からされるので、サービス形態の異なるドメインネットワーク上のホームエージェント装置が相互に調整を取りながら行う必要がない。
さらに、移動端末がホームドメインネットワークとメインホームエージェント装置とを選択できるので、移動した地点で最適なサービスを受けられるドメインネットワークをホームドメインネットワークとすることが可能となり、ユーザの利便性が向上する。これは、特にサービス形態の異なるドメインネットワーク間を移動する場合に効果が大きい。
次に、ホームエージェント装置50の構成および基本的な動作について説明する。
図6と図7はホームエージェント装置50の構成図であり、L1/2処理部51、56は物理層処理、データリンク層処理を行うものであり、L3処理部52はネットワーク層処理を行うものであり、上位層処理部53はTCPやUDPなどの上位層の処理を行うものであり、モバイルIP処理部54は移動端末の移動管理を行うものであり、アプリケーション処理部55はアプリケーションの制御を行うものである。
なお、図7において、ネットワークと接続するL1/2処理部51、56は二つまでしか図示していないが、さらに多くのL1/2処理部を具備する構成であってもよく、本発明はその具備する数を制限するものではない。L1/2処理部を三つ以上具備する場合であっても、同様の構成および以下説明する手順によってその動作を実現することができる。
上記のように構成されたホームエージェント装置50の基本的な動作について、以下に説明する。
図11はホームエージェント装置50のモバイルIP処理部54が実施する処理手順である。
まず、モバイルIP処理部54は、移動端末10の位置管理をモバイルIP手順に従って実施する。すなわち、モバイルIP処理部54は、L1/2処理部51、L3処理部52経由で移動端末10からのパケットを受信し(ステップS51)、そのパケットに有効な登録要求電文が含まれているか否かを判定する(ステップS52)。パケットに有効な登録要求電文が含まれている場合には、モバイルIP処理部54はバインディングキャッシュの更新処理を行う(ステップS53)。
このバインディングキャッシュの更新(ステップS53)では、以下の処理を行う。ホームエージェント装置50が管理するバインディングキャッシュに、移動端末10のエントリがある場合は、その内容を更新し、エントリが存在しない場合には登録要求電文に含まれる情報、例えば移動端末10のホームアドレスや、ケアオブアドレス、ライフタイム等を用いて新規にエントリを作成する。ここで、バインディングキャッシュのデータ構成について説明する。図17(a)は従来のバインディングキャッシュエントリ150を示し、図17(b)は本発明によって生成されるバインディングキャッシュエントリ160を示す。
モバイルIP処理部54は各フィールド、すなわち移動端末10のホームアドレス(Home Address)151とケアオブアドレス(Care of Address)152、登録要求のライフタイム(BU Lifetime)153、本エントリのライフタイム(BC Lifetime)154、登録要求電文のシーケンス番号(BU Seq. Number)155、登録要求のフラグ(BU Flag)156等の必要事項を記載する。従来のエントリ150は、ホームアドレスフィールド151にホームアドレス(HoA-1)を、ケアオブアドレスフィールド152にアクセスしているサブネットのアドレス(CoA-1)を記載していたのに対し、本発明によるエントリ160では、ホームアドレスフィールド151にメインホームアドレス(HoA-M)、ケアオブアドレスフィールド152にアクセス先ドメインネットワークのホームアドレス(HoA-1)を記載している点が異なる。さらに、本発明の特徴は、上記バインディングキャッシュエントリへの記載内容に関して、モバイルIP処理部54が何ら新たな処理を追加する必要がない点にあり、標準的なモバイルIPが規定するホームエージェント装置50をそのまま使用できる点にある。
次に、モバイルIP処理部54がこのバインディングキャッシュの更新完了後、モバイルIP処理部54がL3処理部52、L1/2処理部51を介して移動端末10宛にバインディングキャッシュ更新の成否を含む、登録応答電文をパケット送信する(ステップS54)。
一方、受信したパケットに有効な登録要求電文が含まれていない場合、モバイルIP処理部54はL3処理部52においてモバイルIP手順を含まない通常のIP層処理を行う(ステップS57)。
また、ステップS51において、モバイルIP処理部54の受信したパケットが移動端末10からのものでない場合は、移動端末10宛のものか否かを判定する(ステップS55)。
移動端末10宛のパケットである場合、モバイルIP処理部54は、バインディングキャッシュの移動端末10に関するエントリについてホームアドレスHoAをキーとして検索し、エントリがある場合は、登録されているケアオブアドレスCoAを宛先とするIPヘッダで受信パケットをカプセル化してL3処理部52、L1/2処理部51の順に送信する。また、エントリがなかった場合は、ホームエージェント装置50に接続されたホームネットワークに受信パケットをルーティングする(ステップS56)。例えば、ホームエージェント装置50が図6の構成の場合には、L3処理部52、L1/2処理部51の順にネットワークへ送信し、図7の構成の場合には、L3処理部52、L1/2処理部56の順にホームネットワークへ送信する。
一方、移動端末10のホームアドレス宛のパケットで無い場合は、ステップS57へ移行する。
また、ホームエージェント装置50が図6に示す構成の場合、ステップS55において、L3処理部52がモバイルIP処理部54の受信したパケットを移動端末10宛のものでなく、ホームエージェント装置50宛のものであると判断した場合は、上位層処理部53を経てアプリケーション処理部55へと転送されてアプリケーション処理が行われる。さらにまた、ホームエージェント装置50宛のものでもない場合は、再度L1/2処理部51を経てネットワークへ再送信する。
また、ホームエージェント装置50が図7のように複数の物理リンクを有する場合、L3処理部52が管理するルーティングテーブルに基づいて、受信パケットをL1/2処理部51、56のいずれかに転送し、再びネットワークに送信する。
なお、図7に示した構成において、さらにL3処理部52に接続された上位層処理部53と、上位層処理部53に接続されたアプリケーション処理部55を具備する構成としてもよく、その場合は、上記図6ならびに図7に関して説明した動作を複合的に実施することで、その処理を実現することができる。すなわち、L3処理部52が自局宛のパケットであることを判断すると、上位層処理部53を経てアプリケーション処理部55に転送される。また、受信したパケットが収容する移動端末10のホームアドレスHoA宛のものでなく、かつ自局宛のパケットでないと判断すると、L3処理部52が管理するルーティングテーブルに基づいて、受信パケットをL1/2処理部51、56のいずれかに転送し、ネットワークに再送信する。
以上のように、ホームエージェント装置50は移動端末10からの位置情報をバインディングキャッシュに登録し、以降に受信した移動端末宛のパケットを、その登録されたパインディングキャッシュに基づいて送信するので、移動端末宛のデータを正確に転送することができる。
次に、アクセスポイント装置60の構成および動作について説明する。
図8はアクセスポイント装置60がブリッジとして機能する場合の構成であり、図9はアクセスポイント装置60がルータとして機能する場合の構成である。また、第一のネットワークは移動端末10が接続される側のネットワークである。
図8において、L1処理部61、63は物理層処理を行うものであり、L2処理部62は送受信パケットのデータリンク層処理を行うとともに、L1処理部61、63間のパケット中継(ブリッジング)を行うものであり、ホームエージェント情報処理部64はIPパケットを用いてホームエージェント情報の取得および提供を行うものであり、レイヤー3(L3)以上の上位層処理を行っている。なお、上位層処理については、L2処理部62との間にL3以上の上位層処理を行う上位層処理手段を具備することも可能である。
図9はアクセスポイント装置60の第二の構成図であり、L1/2処理部65、67は物理層処理とデータリンク層を行うものであり、L3処理部66は送受信パケットのネットワーク層処理を行うとともに、L1/2処理部65、67間のパケット中継(ルーティング)を行うものであり、ホームエージェント情報処理部68は、IPパケットを用いてホームエージェント情報の取得および提供を行うものであり、レイヤー4(L4)以上の上位層処理を行っている。なお、上位層処理については、L3処理部66との間にL4以上の上位層処理を行う上位層処理手段を具備することも可能である。
上記のように構成されたアクセスポイント装置60の動作について、以下説明する。
図13はアクセスポイント装置60が、定期的にホームエージェント情報を取得して保持情報を更新する処理手順を示している。
図13において、ホームエージェント情報処理部64、68は常時、情報更新タイミングであるか否かをチェックし(ステップS64)、情報更新タイミングである場合、問合せパケットを生成し、L2処理部62、L1処理部63を経由して、あるいはL3処理部66、L1/2処理部67を経由して第二のネットワークに向けて送信する(ステップS65)。この際の送信先としては、モバイルIP手順に規定されるようにホームエージェント装置50に対するエニーキャストアドレスであってもよいし、ホームエージェント装置50に対するユニキャストアドレスであってもよい。なお、問合せパケットは、必要に応じて第一のネットワークに送信してもよいし、第一と第二のネットワークともに送信してもよい。
あるいは、ホームエージェント情報処理部64、68が送信する宛先にネットワーク全体を指定してブロードキャストしてもよいし、あらかじめ記憶しているホームプレフィクス情報から生成したホームエージェント装置宛のユニキャストアドレスを指定してもよい。あるいは、ホームエージェント装置50にユニキャスト送信してもよい。また問合せパケットは、モバイルIP手順にて規定されるDynamic Home Address Discoveryに従うものであってもよい。なお、この情報更新をするタイミングは、タイマーを用いて管理してもよいし、手動にて管理してもよい。
次に、ホームエージェント情報処理部64、68は、L1処理部63、L2処理部62を経由して、あるいはL1/2処理部67、L3処理部66を経由して少なくとも一つ以上のホームエージェント装置50から有効な応答パケットを受信し、その内容を記憶保持する(ステップS66)。ホームエージェント情報処理部64、68は、一つ以上のホームエージェント装置50から図15に示したホームエージェント装置50に関する情報を取得して、各々のホームエージェント装置50に関するエントリ110乃至130を作成する。
なお、記憶保持する情報は、次の情報更新のタイミングまでは少なくとも保持され、更新後も、一定期間予備的に保持してもよい。
以上のように、アクセスポイント装置60は、接続するドメインネットワークを管轄するホームエージェント装置50に関する情報を定期的に取得することにより、常に最新のホームエージェント情報を保持しておくができる。
また、アクセスポイント装置60は、移動端末10に対してホームエージェント情報の提供を行う。
次に、ホームエージェント情報処理部64がホームエージェント情報を提供する処理手順について説明する。
図12(a)はアクセスポイント装置60が移動端末10からの要求に応じてホームエージェント情報を提供する処理手順を示し、図12(b)はアクセスポイント装置60が定期的にホームエージェント情報をブロードキャストあるいはマルチキャストする処理手順を示している。
図12(a)において、ホームエージェント情報処理部64、68は、L1処理部61、L2処理部62を経由して、あるいはL1/2処理部65、L3処理部66を経由して、移動端末10からの問合せ信号あるいはパケットの受信をチェックする(ステップS61)。
ホームエージェント情報処理部64、68はこれらの問い合わせを受信すると、記憶保持してあるホームエージェント装置に関する情報を読み出して応答信号あるいはパケットを生成する(ステップS62)。
そして、ホームエージェント情報処理部64、68はL2処理部62、L1処理部61を経由して、あるいはL3処理部66、L1/2処理部65を経由して移動端末10にこれらの応答信号あるいはパケットを送信する(ステップS63)。
また、図12(b)において、ホームエージェント情報処理部64、68は常時、移動端末10への情報提供のタイミングであるか否かを判断し(ステップS71)、情報提供のタイミングであった場合、先に記憶保持したホームエージェント装置に関する情報を読み出して、応答信号あるいはパケットを生成する(ステップS72)。
そして、ホームエージェント情報処理部64、68はL2処理部62、L1処理部61を経由して、あるいはL3処理部66、L1/2処理部65を経由して移動端末10を収容する第一のネットワークにブロードキャスト送信する(ステップS73)。ここで、情報提供タイミングは、タイマーを用いて管理してもよいし、手動にて管理してもよい。
以上のように、本発明のアクセスポイント装置は、ホームエージェント情報を移動端末の要求に応じて、あるいは定期的に提供することができる。これにより、移動端末は、最短距離に位置するアクセスポイント装置からホームエージェント情報を取得できるため、通信を開始するに当たっての制御データを送信する処理時間を短縮することが可能になる。
次に、ホームエージェント情報提供サーバ装置70の構成および動作について説明する。
図16は、ホームエージェント情報提供サーバ装置70の構成図であり、L1/2処理部71は物理層ならびにデータリンク層処理を行うものであり、L3処理部72はネットワーク層処理を行うものであり、ホームエージェント情報処理部73は接続するドメインネットワークを管理するホームエージェント装置50に関するホームエージェント情報を収集蓄積し、蓄積してあるホームエージェント情報を移動端末10に提供するものである。
上記のように構成されたホームエージェント情報提供サーバ装置70の動作について、以下に説明する。
ホームエージェント情報処理部73は、アクセスポイント装置60のホームエージェント情報処理部64、68と同様の動作を行う。
すなわち、ホームエージェント情報処理部73は、図13に示した処理により接続するドメインネットワークを管轄するホームエージェント装置50に関する情報を定期的に取得する。また、図12(a)および(b)で示した処理により、定期的にあるいは、移動端末10からの要求に応答してホームエージェント情報を移動端末10に提供する。
以上のように、本発明のホームエージェント情報提供サーバ装置70はホームエージェント装置に関する情報を一括して管理するので、各々のアクセスポイント装置60がホームエージェント情報を収集し、それを移動端末に提供する機能を実装する必要がなくなるので、システム全体のコスト削減を図ることができる。
なお、同一ドメイン内に配置された複数のホームエージェント装置50間を移動端末10が移動したときも、移動端末からの要求に応答して、同様にホームエージェント情報を移動端末10に提供できる。
以上のように、本実施の形態においては、移動端末が移動先ドメインネットワークで異なるホームアドレスを割り当てられる際も、メインホームアドレスとの対応をメインホームエージェントが管理するので、移動通信網間を移動(ローミング)する際に生じるホームアドレスの変更を外部端末が意識することの無いようにサポートすることができる。
さらに、移動端末がメインホームエージェントを任意に選択可能できるので、サービス形態の異なるドメインネットワークに柔軟に対応することが可能になる。
また、従来モバイルIPのようにケアオブアドレスではなく、ホームアドレスをメインホームエージェントに登録するので、メインホームエージェントにおける位置登録頻度を抑制でき、ネットワークの負荷を軽減することができる。
(実施の形態2)
図20は本発明の実施の形態2における移動通信システムのネットワークの構成を示すものである。
本実施の形態は図20のようにメインホームエージェント装置を複数(メインホームエージェント装置50−4、50−5)設定する点が実施の形態1と異なる。その他、移動通信システムを構成する装置については、実施の形態1で説明した装置と同一である。
このように構成された移動通信システムにおける移動通信方法について以下に説明する。
移動端末10はメインホームアドレスとしてHoA-M1とHoA-M2(それぞれホームエージェント装置50−4と50−5に対応)を保持している。この場合、移動端末10は移動先のドメインネットワーク6へのアクセスによって取得したホームアドレスHoA-SとケアオブアドレスCoA-Sをドメインネットワーク6のホームエージェント装置50−6に登録(D1、D4)する。これとともに、移動端末10はメインホームエージェント装置50−4にメインホームアドレスHoA-M1とドメインネットワーク6でのホームアドレスHoA-Sを登録(D2、D3、D4)し、メインホームエージェント装置50−5にメインホームアドレスHoA-M2と同じくホームアドレスHoA-Sを登録(D5、D6、D4)する。
これにより、ホームアドレスHoA−M1あるいは、ホームアドレスHoA−M2に送信された移動端末10宛の通信データは、サブホームエージェント装置50−6へ転送され、サブホームエージェント装置50−6から移動端末10へ届けられる。
このように複数のメインホームアドレスを有することにより、例えばプライベートで使用するメインホームアドレスを自宅のホームゲートウェイに搭載されたホームエージェント装置に収容し、仕事で使用するメインホームアドレスを会社のホームゲートウェイに収容することができる。これにより例えば出張先で接続したインターネットプロバイダが提供するホームエージェント装置に収容されている場合でも、プライベートで使用するメインホームアドレス宛の着信も仕事で使用するメインホームアドレス宛の着信も確保することができる。