JP4798220B2 - 継目無管の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、継目無管の製造方法に関し、さらに詳しくは、穿孔機を用いてビレットを穿孔圧延して継目無管にする継目無管の製造方法に関する。
継目無管は一般的に、中実の丸ビレットを穿孔機で穿孔圧延することにより製造される。穿孔機は、その入側にパスラインに沿って配設されるプッシャと、その出側にパスラインに沿って配設されるプラグと、プラグを挟んで対向して配設される複数の傾斜ロールとを備える。
まず、加熱炉で過熱されたビレットは、パスライン上に配置される。次に、ビレットの後端がプッシャで押され、複数の傾斜ロールの間に向かってパスラインに沿って搬送される。要するに、プッシャはビレットを搬送する役割を有する。ビレットが複数の傾斜ロールに噛み込まれたとき、プッシャは動作を停止する。複数の傾斜ロールに噛み込まれたビレットは、螺旋状に前進しながら穿孔圧延され、中空素管になる。
上述の穿孔圧延では、回転鍛造効果及び付加的なせん断変形により、穿孔圧延後の中空素管の内面に葉状、ひれ状又はラップ状の疵(以下、内面に発生するこれらの疵を内面疵という)が発生するという問題がある。そのため、従来から、内面疵の発生を抑制するための対策が検討されている。
穿孔圧延において内面疵の発生を抑制する方法が、特開2000−246311号公報(以下、特許文献1という)、特開2001−162306号公報(以下、特許文献2という)及び特許第3503552号公報(以下、特許文献3という)に開示されている。これらの文献では、従来よりも小さい圧下率でビレットを穿孔圧延することにより、内面疵の発生を抑制するとしている。小さい圧下率で穿孔圧延すれば、ビレットの傾斜ロールへの噛み込みが不安定になるが、これらの文献では、噛み込みが不安定になった場合、プッシャでビレットを後方から押すことにより、噛み込み不良を防止するとしている。要するに、これらの文献では、圧下率を小さくすることにより発生し得るビレットの噛み込み不良を改善するために、プッシャを利用している。
具体的には、図7(特許文献1の図4及び特許文献2の図4(c)に相当)に示すように、時刻t1でビレットが傾斜ロール及びプラグと接触したとき、図中実線で示されたロール荷重(傾斜ロールの圧延方向に掛かる荷重)と、図中破線で示されたプラグ荷重(プラグのスラスト荷重)が増大する。しかしながら、ビレットの噛み込みが不安定であるため、時刻t1〜t3においてロール荷重及びプラグ荷重が低下している。すなわち、この期間は噛み込み不良が生じ、ビレットがスリップしている状態となっている。ビレットの噛み込みが不安定であるため、時刻t3において、プッシャでビレットを後方から押す。これにより、ビレットが傾斜ロールに噛み込まれ、ロール荷重及びプラグ荷重が増大する。噛み込みが安定した時刻t6にて、プッシャによりビレットを押すのを終了する。ビレットは既に傾斜ロールに安定して噛み込まれているため、その後徐々にロール荷重及びプラグ荷重が増大し、時刻t7及びt8以降で、ロール荷重及びプラグ荷重はほぼ一定となり、穿孔圧延が定常状態となる。これらの文献では、プッシャの移動速度を、穿孔圧延が定常状態であるときのビレットの圧延方向速度未満にするとしている。プッシャの利用は噛み込み不良を改善するためであり、噛み込み不良によりビレットの前進効率が低いとき、つまり、噛み込み不良によりビレットの進行速度が低下又は停滞しているときに、プッシャによりビレットを押せば足りるからである。
このような穿孔圧延方法では、図8(特許文献1の図5に相当)に示すように、ビレットの圧延方向速度は、噛み込み開始時からプッシャが押し込みを開始する時刻t3までの間、ほとんど上昇せず、時刻t3でプッシャがビレットの押し込みを開始してから、徐々に上昇する。そして、プッシャの押し込みによりビレットが安定して噛み込まれたら、ビレットはプッシャから離れ、圧延方向速度は上昇する。そして、穿孔圧延が定常状態に至った後、圧延方向速度は一定となる。
しかしながら、これらの文献に開示された方法によりビレットを穿孔圧延して中空素管にしても、中空素管の中央部分と比較して、中空素管の先端部分で、内面疵がより多く発生するという問題が生じる。内面疵が発生した先端部分を切断装置により切り捨てれば、継目無管に残存する内面疵を減らすことができるが、切り捨てた分だけ歩留りが低下する。したがって、内面疵が発生した先端部分を切り捨てるのではなく、先端部分の内面疵の発生自体を抑制できる方が好ましい。
本発明の目的は、穿孔圧延後の中空素管先端部の内面疵の発生を抑制できる継目無管の製造方法を提供することである。
本発明者らは、中空素管の中央部分よりも先端部分で内面疵が多発する原因を検討するため、穿孔圧延時のビレットの進行速度(圧延方向速度)及び穿孔圧延時のビレットの周方向への回転速度を測定した。
試験材として、外径70mm、S45Cの中実丸ビレットを準備した。準備したビレットを1200℃に加熱後、穿孔機により加熱されたビレットを穿孔圧延した。具体的には、傾斜ロールの傾斜角度を10°、傾斜ロールのゴージ部のロール間隔を61mm、傾斜ロールのゴージ部からプラグ先端までの軸方向距離であるプラグ先進量を38mmとしてビレットを穿孔圧延し、外径75mm、肉厚6mmの中空素管にした。このとき、プッシャによるビレットの押し込みは行わなかった。
穿孔圧延中のビレットの進行速度は、以下の方法で測定した。穿孔機の入側にパスラインに沿って目盛り板を設置した。穿孔圧延中、目盛り板によりビレット後端の単位時間当たりの移動距離が分かるように、ビレット後端と目盛板とをビデオカメラで撮影した。撮影された画像データに基づいて、ビレットの進行速度を算出した。
一方、穿孔圧延中のビレットの回転速度は、以下の方法で測定した。ビレット後端面の外周縁近傍に、マークとなるピンを付け、穿孔圧延中のビレット後端面におけるピンの移動をビデオカメラで撮影した。撮影された画像データに基づいて、単位時間当たりのピンの周方向への移動量を求め、ビレットの回転速度を算出した。
ビレットの進行速度の測定結果を図1に示す。横軸は、ビレットが傾斜ロールに接触した位置(噛み込み位置)からのビレットの移動距離(mm)を示す。また、縦軸は、ビレットの進行速度比を示す。進行速度比とは、穿孔圧延が定常状態であるときのビレット進行速度の平均値に対する、各移動距離でのビレット進行速度の比である。図1に示す通り、ビレット進行速度は、ビレットが傾斜ロールに接触し(LE0)、噛み込まれるにしたがい急速に低下した。そして、ビレット先端がプラグ先端に接触して穿孔され始めた距離LE1でビレット進行速度が最も低くなった。その後、ビレットが安定して噛み込まれ(つまり、ビレットがスリップすることなく進行して)、徐々に穿孔されるに従い、進行速度も徐々に増加した。そして、穿孔圧延が定常状態となった距離LE2で進行速度がほぼ一定となった。つまり、図8と同様に、傾斜ロールに噛み込まれプラグにより穿孔され始めてから定常状態に至るまでのビレットの進行速度は、定常状態での進行速度よりも低かった。
一方、ビレットの回転速度は、ビレットが傾斜ロールに接触してから、穿孔圧延が定常状態に至り、穿孔圧延が終了するまでほぼ同じであった。
以上の調査結果より、本発明者らは、次に示す知見を得た。ビレットが傾斜ロールに噛み込まれてプラグにより穿孔され始めてから穿孔圧延が定常状態に至るまでの間、つまり、図1中の距離LE1から距離LE2までの間、ビレットの進行速度は、定常状態(図1中の距離LE2以降)での進行速度よりも低い。一方、ビレット回転速度は、穿孔圧延中ほぼ一定である。そのため、ビレットの進行方向への単位移動量当たりの回転鍛造回数は、LE1〜LE2間の方がLE2以降(定常状態)よりも多くなる。ビレット先端部は、LE1〜LE2の間で穿孔されるため、定常状態で穿孔されるビレット中央部及び後端部よりも、回転鍛造効果がより顕著に作用する。その結果、穿孔されたビレット先端部に相当する中空素管先端部で内面疵が多発する。
以上の知見より、本発明者らは、中空素管先端部の内面疵の発生を抑制するためには、定常状態に至るまでのビレットの進行速度を従来よりも大きくすればよいと考えた。進行速度を大きくすれば、ビレットの1回転当たりの移動量が大きくなるため、回転鍛造回数が減少する。その結果、回転鍛造効果が抑制されて、内面疵の発生を抑制できるからである。さらに、穿孔圧延が定常状態に至るまでのビレットの進行速度を定常状態での進行速度以上とすれば、中空素管先端部の内面疵の発生を中空素管中央部及び後端部と同程度又はそれ以下に抑えることができると考えた。
以上の検討に基づいて、本発明者らは以下の発明を完成させた。
本発明による継目無管の製造方法は、パスラインに沿って入側に配設されたプッシャと、パスラインに沿って出側に配設されたプラグと、プラグを挟んで対向して配設された複数の傾斜ロールとを備えた穿孔機を用いて中実の丸ビレットを穿孔圧延する。本発明による継目無管の製造方法は、ビレットをプッシャとプラグとの間のパスライン上に配置する工程と、ビレットを前進させ複数の傾斜ロールに噛み込ませる工程と、少なくとも噛み込まれたビレットがプラグに接触してから穿孔圧延が定常状態に達するまでの間、ビレットの進行速度が、定常状態においてプッシャでビレットを押し進めることなく穿孔圧延する場合のビレットの定常状態での進行速度以上となるように、プッシャによりビレットを押し進める工程とを備える。
ここで、定常状態とは、たとえば、穿孔圧延されたビレットの先端が傾斜ロール後端の間から抜け出た時からビレット後端が傾斜ロールに接触した時までの期間をいう。
本発明による継目無管の製造方法では、少なくとも、ビレットが傾斜ロールに噛み込まれてプラグに接触してから穿孔圧延が定常状態となる迄の間(以下、この期間を非定常状態という)、プッシャによりビレットを押し進める。つまり、ビレットが傾斜ロールに安定して噛み込まれた後も、少なくとも穿孔圧延が定常状態になるまでプッシャによりビレットを押し進める。このとき、非定常状態でのビレットの進行速度を、定常状態においてプッシャでビレットを押し進めることなく穿孔圧延する場合(以下、プッシャ未使用穿孔という)のビレットの定常状態での進行速度以上とする。そのため、中空素管先端部が受ける回転鍛造効果は、中空素管中央部及び後端部が受ける回転鍛造効果と同程度又はそれ以下となる。したがって、中空素管先端部の内面疵の発生を抑制できる。
ここで、非定常状態でのビレットの進行速度とは、たとえば、非定常状態でのビレットの進行速度の平均値である。また、定常状態での進行速度とは、たとえば、プッシャ未使用穿孔時のビレットの定常状態での進行速度の平均値である。
好ましくは、押し進める工程では、少なくとも噛み込まれたビレットがプラグに接触してから穿孔圧延が定常状態に至るまでの間、プラグに作用するスラスト荷重が、定常状態においてプッシャでビレットを押し進めることなく穿孔圧延する場合に定常状態でプラグに作用するスラスト荷重以上となるように、プッシャによりビレットを押し進める。
ここで、プラグのスラスト荷重とは、プラグの軸方向に掛かる作用する荷重(通称、プラグ荷重)をいう。
この場合、非定常状態でのビレットの進行速度は、プッシャ未使用穿孔時の定常状態でのビレットの進行速度以上になる。そのため、非定常状態での回転鍛造回数を従来よりも少なくすることができる。その結果、中空素管先端部の内面疵が減少する。
好ましくは、本発明による継目無管の製造方法はさらに、穿孔圧延前に、式(1)及び式(2)を満たすように傾斜ロールの位置を設定する工程を備える。
Dg/d≧4.5 (1)
−0.01053EL+0.8768≦DFT≦−0.01765EL+0.9717 (2)
ここで、Dgは傾斜ロールのゴージ部のロール径(mm)、dは前記ビレットの外径(mm)である。式(2)中のDFTはゴージドラフト比、ELは穿孔圧延比であり、以下の式(3)及び(4)により定義される。
DFT=Rg/d (3)
EL=L1/L0 (4)
ここで、Rgはゴージ部での最短距離となるロール間隔(mm)、L0はビレットの長さ(mm)、L1はビレットを穿孔圧延して製造される中空素管の長さ(mm)である。
この場合、式(2)を満たすことにより、定常状態におけるビレットの前進効率の低下を抑制できる。つまり、定常状態でビレットがスリップするのを抑制できる。そのため、穿孔圧延中にビレットがスリップして止まったり、ビレット後端部が傾斜ロール間で詰まる、いわゆる尻抜け不良が起きるのを防止できる。さらに、定常状態におけるスリップを防止できるため、スリップによる回転鍛造効果の増大を抑制でき、定常状態での内面疵の発生を抑制できる。
好ましくは、本発明による継目無管の製造方法はさらに、穿孔圧延が定常状態となったとき、プッシャでビレットを押し進めるのを停止する工程を備える。
この場合、定常状態であると判断した後、プッシャ動作を停止することにより、穿孔圧延中のプラグ及びビレットにプッシャによる過剰な荷重が継続して付与されるのを防止できる。
好ましくは、穿孔機はさらに、出側に配設され、中空素管の先端が傾斜ロール後端の間を通過したか否かを検知する検知装置を備える。停止する工程では、検知装置が傾斜ロール後端の間を通過した中空素管の先端を検知したとき、プッシャでビレットを押し進めるのを停止する。
従来の穿孔圧延では、上述の図7に示すように、穿孔圧延中のプラグのスラスト荷重を監視すれば、穿孔圧延が定常状態になったか否かを判断できる。なぜなら、プラグのスラスト荷重は、非定常状態で徐々に上昇し、定常状態でほぼ一定となるからである。したがって、定常状態時のプラグのスラスト荷重を予め測定しておけば、その測定値に基づいて定常状態か否かを判断できる。
しかしながら、本発明では上述の方法により定常状態を判断することができない。なぜなら、本発明では、非定常状態でプラグに掛かるスラスト荷重が、プッシャ未使用穿孔時の定常状態で掛かるスラスト荷重以上になるからである。
そこで、本発明では、穿孔圧延されている素材の先端部分が傾斜ロール後端を通過したか否かで判断する。素材の先端部分が傾斜ロール後端を通過すれば、穿孔圧延が既に定常状態になっているからである。定常状態であると判断した後プッシャ動作を停止することにより、穿孔圧延中のプラグ及びビレットに過剰な荷重が継続して付与されるのを防止できる。
プッシャによるビレットの押し込みを行わない穿孔圧延におけるビレット進行速度の測定結果を示す図である。 本発明の実施の形態における穿孔機の構成を示す上面図である。 図2の穿孔機の構成を示す側面図である。 図2の穿孔機の傾斜ロール間隔を説明するための図である。 本発明による継目無鋼管の製造方法における穿孔圧延時のビレット進行速度を示す図である。 実施例2で測定したゴージドラフト比と穿孔圧延比との関係を示す図である。 従来の穿孔圧延時におけるプラグ荷重の推移を示す図である。 従来の穿孔圧延時におけるビレット進行速度の推移を示す図である。
以下、図面を参照し、本発明の実施の形態を詳しく説明する。図中同一又は相当部分には同一符号を付してその説明は繰り返さない。
[穿孔機]
図2及び図3を参照して、穿孔機10は、2つのコーン型傾斜ロール(以下、単に傾斜ロールという)1と、プラグ2と、芯金3と、プッシャ4と、穿孔機10の出側に配設されたHMD(Hot Metal Detector:熱鋼検知器)51とを備える。
2つの傾斜ロール1は、パスラインX−Xを挟んで互いに対向して配置される。各傾斜ロール1は、パスラインX−Xに対して、傾斜角δ及び交叉角γを有する。プラグ2は2つの傾斜ロール1の間であって、パスラインX−X上に配設される。芯金3は、穿孔機10の出側のパスラインX−Xに沿って配設され、その先端はプラグ2の後端と接続される。
プッシャ4は、穿孔機10の入側前方に、パスラインX−Xに沿って配設される。プッシャ4は、シリンダ本体41と、シリンダ軸42と、接続部材43と、ビレット押し棒44とを備える。ビレット押し棒44は、接続部材43により、周方向に回転可能にシリンダ軸42と連結される。シリンダ本体41は、油圧式又は電動式であり、シリンダ軸42を前進及び後退させる。プッシャ4は、ビレット押し棒44の先端面をビレット20の後端面に当接させ、シリンダ本体41によりシリンダ軸42及びビレット押し棒44を前進させることで、ビレット20を後方から押す。
プッシャ4は、ビレット20を圧延方向に押し進め、傾斜ロール1に噛み込ませる。プッシャ4はさらに、少なくとも噛み込まれたビレット20がプラグ2の先端に接触してから穿孔圧延が定常状態となるまでの間、つまり、非定常状態の間、ビレット20を押し続ける。
検知装置であるHMD51は、穿孔機10の出側であって、傾斜ロール1の後端近傍に配設される。HMD51は、穿孔圧延された中空素管の先端部が傾斜ロール1間を通過したか否かを検知する。HMD51の検知結果に基づいて、中空素管の先端部が傾斜ロール1間を通過したとき、プッシャ4はビレット20を押すのを停止する。
[継目無管の製造方法]
上述した穿孔機10を用いた継目無管の製造方法について説明する。
[第1の工程]
まず、ゴージ部のロール径が式(1)を満たす傾斜ロール1を準備する。
Dg/d≧4.5 (1)
ここで、Dgはゴージ部のロール径(mm)であり、dは穿孔圧延されるビレット20の外径(mm)である。
Dg/dが4.5未満となれば、ビレット20が傾斜ロール1に噛み込まれるときの回転方向(ビレット周方向)における噛み込み角が大きくなり、スリップが生じやすくなる。ここで、噛み込み角とは、傾斜ロール1表面上で最初にビレット20と接触した点を含み、パスラインX−Xを法線とする横断面において、ビレット20と接触を開始する傾斜ロール表面上の点と傾斜ロールの中心軸上の点とを結ぶ線分と、パスラインX−X上の点と傾斜ロールの中心軸上の点とを結ぶ線分とがなす角度である。噛み込み角の増大によるスリップの発生を抑制するため、式(1)を満たす傾斜ロール1を準備し、準備された傾斜ロール1を穿孔機10に配設する。
[第2の工程]
次に、2つの傾斜ロール1の位置を設定する。図4を参照して、傾斜ロール1のゴージ部での最短距離となるロール間隔をRgとするとき、以下の(2)式を満足するように、傾斜ロール1の位置を設定する。
−0.01053EL+0.8768≦DFT≦−0.01765EL+0.9717 (2)
式(2)中のDFTはゴージドラフト比、ELは穿孔圧延比であり、以下の式(3)及び(4)により定義される。
DFT=Rg/d (3)
EL=L1/L0 (4)
ここで、L0は、穿孔前のビレット20の長さ(mm)である。L1は、ビレット20を穿孔圧延して製造される中空素管の長さ(mm)である。ビレット20の外径d(mm)と長さL0(mm)、穿孔後の中空素管の外径及び肉厚が決まっていれば、中空素管の長さL1(mm)は計算により算出できる。
式(2)を満たすことにより、穿孔圧延が定常状態に達してから穿孔圧延が終了するまで、ビレット20の前進効率が低下するのを抑制できる。そのため、定常状態において回転鍛造効果を防止でき、定常状態における内面疵の発生を抑制できる。要するに、ビレット20の中央部及び後端部の内面疵を低減できる。以下、この点について詳述する。
ゴージドラフト比DFTが小さいほど、ロール間隔Rgが小さくなる。そのため、穿孔中のビレット20では、横断面形状の楕円率が大きくなり、傾斜ロール1への回転方向の噛み込み角度が大きくなる。噛み込み角度の増大は、ビレット20のスリップを引き起こす。
一方、ゴージドラフト比DFTが大きいほど、ロール間隔Rgが大きくなるため、傾斜ロール1とビレット20との接触面積が小さくなり、スリップを引き起こす。したがって、ゴージドラフト比は、噛み込み角度及び接触面積を考慮して、適切な値に設定する必要がある。
また、穿孔圧延比ELが大きいほど、穿孔圧延されるビレットとプラグ2との接触面積が大きくなる。接触面積が大きくなれば、プラグ2から受ける抗力が大きくなり、スリップしやすくなる。なぜなら、穿孔圧延比ELを大きくするためには、プラグ2の外径を大きくして中空素管の肉厚を薄くする必要があるためである。
以上より、定常状態から穿孔圧延終了までの期間中におけるビレット20のスリップの発生には、ゴージドラフト比DFTと穿孔圧延比ELとが関係する。したがって、定常状態に達してから穿孔圧延が終了するまでの間、ビレット20の前進効率の低下を防止するために、穿孔圧延比ELを考慮しつつ、ゴージドラフト比DFTを設定する必要がある。
DFTが式(2)を満たせば、ビレット20の前進効率の低下を抑制でき、定常状態に達してから穿孔圧延が終了するまでの間で内面疵が発生するのを抑制できる。DFTが式(2)の範囲外となれば、ビレット20がスリップしやすくなり、前進効率が低下する。そのため、穿孔圧延中のビレット20がスリップしたり、尻抜け不良が発生したりする。また、スリップ等の発生に起因して、内面疵も発生しやすくなる。
[第3の工程]
傾斜ロール1の配置位置を調整した後、ビレット20が搬送され、プッシャ4とプラグ2との間に配置される。
続いて、配置されたビレット20が穿孔圧延される。まず、プッシャ4がビレット20を傾斜ロール1間に押し進め、ビレット20を2つの傾斜ロール1に噛み込ませる。具体的には、プッシャ4は、ビレット押し棒44の先端面をビレット20の後端面と当接させ、シリンダ本体41の駆動力によりビレット押し棒44を穿孔機10の入側に向かって前進させる。
[第4の工程]
ビレット20が傾斜ロール1に噛み込まれ、穿孔圧延が開始される。ここで、噛み込まれたビレット20の先端がプラグ2の先端と接触してから定常状態に至るまで、つまり、非定常状態において、ビレット20の進行速度が、プッシャ未使用穿孔時のビレットの定常状態での進行速度以上となるように、プッシャ4はビレット20を押し進める。ここで、非定常状態での進行速度は、非定常状態におけるビレット20の進行速度の平均値であり、プッシャ未使用穿孔時のビレットの進行速度とは、ビレット20と略同じ外径及び同じ鋼種のビレットの定常状態での進行速度の平均値である。
好ましくは、非定常状態でプラグ2に掛かるスラスト荷重が、プッシャ未使用穿孔時の定常状態でプラグ2に掛かるスラスト荷重以上となるように、プッシャ4は、ビレット20に押力を与えてビレット20を押し進める。
これにより、非定常状態でビレット20がスリップするのを防止できる。また、非定常状態でのビレット20の進行速度は、従来の非定常状態での進行速度よりも速いため、非定常状態での回転鍛造効果は従来よりも抑制される。そのため、中空素管先端部に内面疵が発生するのを抑制できる。
さらに、非定常状態でのビレット20の進行速度が、定常状態での進行速度以上であるため、非定常状態での回転鍛造効果を、定常状態での回転鍛造効果と同程度、又は、それ以下に抑制できる。そのため、中空素管先端部に内面疵が発生するのを抑えることができる。
なお、定常状態でのプラグのスラスト荷重は、予め測定されていてもよいし、傾斜ロール回転速度やビレットの形状等の種々の条件から計算により求めてもよい。測定又は計算により求めた定常状態でのプラグのスラスト荷重に基づいて、プッシャ4がビレットに与える押力(プッシャ圧力)及びビレット押し棒44の進行速度を設定する。
また、プラグ未使用穿孔での定常状態におけるビレット進行速度は、予め測定されていてもよいし、傾斜ロール回転速度やビレットの形状等の種々の条件から計算により求めてもよい。非定常状態でのビレット20の進行速度が、定常状態での進行速度以上となるように、プッシャ4でビレット20を押し進める場合、予め測定又は算出された定常状態でのビレット20の進行速度に基づいて、プッシャ圧力及びビレット押し棒44の進行速度を設定する。
[第5の工程]
穿孔圧延が定常状態へと移行した後、傾斜ロール1の後方に配設されたHMD51が、傾斜ロール1の後端を通過した中空素管の先端を検知したとき、プッシャ4はビレット20を押し進めるのを終了する。中空素管の先端が傾斜ロールの後端を通過したとき、穿孔圧延は定常状態へと移行しているため、プッシャ4の動作を停止しても、ビレットは一定の速度で穿孔圧延される。
以上の方法により、本発明による継目無管の製造方法では、少なくとも、噛み込まれたビレット20がプラグ2の先端に接触してから穿孔圧延が定常状態に至るまでの間(非定常状態)、プッシャ4がビレット20を押し進める。そのため、非定常状態でビレット20がスリップするのを抑制でき、回転鍛造効果を抑制できる。その結果、中空素管先端部の内面疵の発生を抑制できる。
図5に、本発明の一例として、プッシャ4で、非定常状態においてプラグ2に掛かるスラスト荷重が、プッシャ未使用穿孔時の定常状態でプラグ2に掛かるスラスト荷重以上となるように、ビレット20を押し進めたときのビレット20の進行速度の推移を示す。図5を得るための試験では、距離LE2以降もプッシャにより押し進めた。その他の条件は図1と同じとした。
図5の縦軸のビレット進行速度比は、プッシャ未使用穿孔時の定常状態での進行速度の平均値に対する、各移動距離でのビレット進行速度の比である。図5中の距離LE1〜距離LE2の間のほぼ全区間で、ビレット進行速度は、図1中の距離LE2以降、つまりプッシャ未使用穿孔時の定常状態での進行速度以上となっており、図5の非定常状態でのビレット進行速度の平均値は、図1のプッシャ未使用穿孔時の定常状態でのビレット進行速度の平均値以上となっている。つまり、図5の非定常状態でのビレット進行速度は、図1と比較して、非定常状態での進行速度が速くなっている。このように、本発明は、非定常状態での進行速度を従来よりも速くできるため、非定常状態での回転鍛造効果を抑制でき、中空素管先端部の内面疵の発生を抑制できる。
さらに、式(1)及び式(2)を満たすことで、定常状態中のビレット20の前進効率の低下を抑制でき、定常状態におけるスリップの発生を防止できる。また、スリップの発生を防止できるため、穿孔圧延が定常域に達してから穿孔圧延が終了するまでの期間中に、穿孔圧延される中空素管中央部及び後端部で内面疵が発生するのを抑制できる。
さらに、定常状態へと移行した後、プッシャ4がビレット20を押し込むのを停止すれば、プラグ2や傾斜ロール1に過剰な負荷が継続して付与されるのを防止できる。一般的に、穿孔圧延中にプラグ2に掛かるスラスト荷重を監視すれば、穿孔圧延が定常状態になったか否かを判断できる。なぜなら、図7に示すように、従来の穿孔圧延では、プラグ2のスラスト荷重は、非定常状態で徐々に上昇し、定常状態でほぼ一定となるからである。したがって、従来の穿孔圧延では、定常状態でのプラグ2のスラスト荷重を予め測定しておけば、その測定値に基づいて定常状態か否かを判断できる。しかしながら、本発明では、この方法により定常状態を判断できない。なぜなら、本発明では、非定常状態のプラグ2のスラスト荷重が定常状態のスラスト荷重以上となるためである。
そこで、本発明では、穿孔機10の出側であって傾斜ロール1の後端近傍に検知装置であるHMD51が設置される。そして、HMD51により、穿孔圧延された中空素管の先端部分が傾斜ロール1の後端を通過したか否かが判断される。中空素管の先端部分が傾斜ロール1を通過すれば、穿孔圧延が既に定常状態になっているからである。
なお、本実施の形態では、検知装置をHMDとしたが、フォトセンサやレーザセンサ等、他の検知装置であってもよい。傾斜ロール1の後端を通過した中空素管の先端を検知できるものであればよい。
本実施の形態では、第1の工程〜第5の工程まで実施したが、中空素管先端部の内面疵を抑制するためには、少なくとも第3及び第4の工程を実施すればよい。また、第5の工程で、定常状態において、プッシャ4の動作を停止するとしたが、図5に示すように、定常状態においてもプッシャでビレット20を押し続けてもよい。この場合、非定常状態及び定常状態の回転鍛造効果を抑制できる。
また、ビレット20が傾斜ロール1に噛み込まれる前からプッシャ4によりビレット20を押し進めてもよいし、ビレット20が傾斜ロールに噛み込まれてからプッシャ4によりビレット2を押し進めてもよい。要するに、少なくとも非定常状態を含む期間中、プッシャ4によりビレット20を押し進めれば、中空素管先端部の内面疵の発生を抑制できる。
プッシャ4は、高さを調整できる図示しない架台上に配設され、ビレット押し棒44の中心軸をビレットの中心軸と略一致させるようにプッシャ4の位置(垂直方向位置及び水平方向位置)が調整されてもよい。この場合、プッシャ圧力が大きく設定され、ビレットを押し込む力が強くなっても、ビレットに曲がりが発生するのを防止できる。
穿孔機10はさらに、ビレットの中心軸がパスラインX−Xからずれないように、ビレットを拘束する押さえローラを入側に備えてもよい。
本発明の実施の形態では、傾斜ロール1をコーン型としたが、バレル型であってもよい。
なお、変形能の低い鋼種のビレットや、連続鋳造法により製造させたビレット(いわゆるラウンドCCビレット)等、中心軸に沿ってポロシティが残存するビレットを穿孔圧延する場合、本実施の形態による継目無管の製造方法が実施されれば、非定常状態での進行速度の向上と同時に噛み込み性が向上される。
好ましくは、以下の式(5)で示す設定回転鍛造回数が1.5以下となるように穿孔機の傾斜ロール間隔等を設定し、穿孔圧延を実施する。この場合、ビレット20が傾斜ロール1に噛み込まれてからプラグ2先端に接触するまでの間の回転鍛造回数を低減できるため、中空素管先端部の内面疵の発生がより抑制される。なお、式(5)を満たさなくても、本発明の効果はある程度得られる。
N=Ld/(0.5×Vf×π×d/Vr) (5)
ここで、Ldは、ビレット20の先端が傾斜ロール表面に接触した位置から、ビレット20の先端がプラグ2の先端に到達するまでのパスラインX−X方向の距離(mm)である。また、Vfはビレット20の回転方向速度(mm/s)であり、Vrはビレット20の進行方向速度(mm/s)である。
プラグに掛かるスラスト荷重が異なる種々の条件で、穿孔圧延を実施し、中空素管先端部の内面疵の発生率を調査した。
連続鋳造法により製造され0.2質量%のC(炭素)を含有する外径225mmの中実丸ビレットの中心軸に沿って、外径70mmの中実丸ビレットを切り出した。切り出したビレットを加熱炉で1200℃に加熱した。
加熱したビレットを、図2に示した穿孔機を用いて穿孔圧延し、中空素管にした。具体的には、表1に示す各試験番号の条件で、試験番号ごとに100本のビレットをプッシャを用いて穿孔圧延した。表1中のプラグ荷重比は、以下の式(A)により求めた。
プラグ荷重比=非定常状態でのプラグに掛かるスラスト荷重PA(t)/プッシャ未使用穿孔時の定常状態でのプラグに掛かるスラスト荷重PB(t) (A)
本実施例では、非定常状態でプラグに作用したスラスト荷重の平均値をスラスト荷重PAとした。また、上述のビレットをプッシャ未使用穿孔により予め数本穿孔圧延し、定常状態でプラグに作用したスラスト荷重の平均値をスラスト荷重PBとした。
表1中のプッシャ押力(t)は、設定されたプッシャ押力である。非定常状態速度(mm/s)は、非定常状態でのビレットの進行速度の平均値であり、定常状態速度(mm/s)は、プッシャ未使用時の定常状態でのビレットの進行速度の平均値である。
表1以外の条件は表2のとおりであり、各試験番号で同じ条件とした。なお、表2に示すとおり、本実施例では、式(1)及び式(2)を満たした。
Figure 0004798220
Figure 0004798220
製造された中空素管の先端から200mmの範囲内で内面を目視観察し、内面疵の有無を調査した。内面疵が1つでも発生している場合、そのビレットに内面疵が発生したと判断した。各試験番号の試験について、以下の式(B)に基づいて内面疵発生率を求めた。
内面疵発生率=内面疵の発生したビレット本数/ビレット総数 (B)
ここで、ビレット総数とは、各試験番号で穿孔圧延されたビレット総数であり、本実施例では、上述のとおり100本である。本実施例では、内面発生率が5%未満のとき、内面疵を抑制できたと評価した。
求めた内面疵発生率を表1に示す。
表1を参照して、試験番号1〜4は、非定常状態の進行速度が定常状態の進行速度未満であり、本発明の範囲外であった。また、プラグ荷重比が1.0未満であり、本発明の範囲外であった。そのため、内面疵発生率が5%を超えた。
これに対し、試験番号5〜9は、プラグ荷重比が1.0以上であり、非定常状態の進行速度が定常状態の進行速度以上となった。そのため、試験番号1〜4と比較して、内面疵発生率が顕著に低くなった。なお、プラグ荷重比を1.08以上に上げ、かつ、設定鍛造回数を1.0回以下とすれば、内面疵の発生率は0%となった。
プラグ荷重比を一定とし、ゴージドラフト比DFTと、穿孔圧延比ELとが異なる種々の条件で穿孔圧延を実施し、穿孔圧延中のビレットがスリップするか否かを調査した。
鋼種がJIS規格でS45Cであり、外径70mmの中実丸ビレットを準備した。準備した中実丸ビレットを加熱炉で1200℃に加熱した後、図2に示した穿孔機を用いて穿孔圧延し、中空素管にした。このとき、ゴージドラフト比DFT及び穿孔圧延比ELを、ビレットごとに異なる値とした。ゴージドラフト比DFT及び穿孔圧延比EL以外の条件は、いずれのビレットについても表3に示すとおりとした。なお、表3に示すとおり、プラグ荷重比は1.20であり、非定常状態のビレット進行速度は、プッシャ未使用時の定常状態でのビレット進行速度以上であった。
穿孔圧延時、プッシャによりビレットを押して傾斜ロールに噛み込ませ、穿孔圧延が定常状態になるまで押し続けた。ビレットが噛み込んだ位置から300mmビレットを押し込んだ後、プッシャの動作を停止した。
Figure 0004798220
プッシャを停止した後、穿孔圧延中にスリップが発生するか否かを調査した。穿孔圧延中のビレットの進行が途中で止まった場合、又は、ビレット後端を穿孔圧延中に、ビレットの進行が止まった場合(いわゆる尻抜け不良)、スリップによるミスロールが発生したと判断した。
調査結果を図6に示す。図6中の横軸は穿孔圧延比ELであり、縦軸はゴージドラフト比DFTである。図6中、「○」印はスリップによるミスロールが発生せず、安定した穿孔圧延が行えたことを示し、「●」印は穿孔圧延中にスリップが増加してミスロールとなったことを示す。図6を参照して、ゴージドラフト比DFT及び穿孔圧延比ELが式(2)を満足した場合、ミスロールが発生しなかった。一方、ゴージドラフト比DFT及び穿孔圧延比ELが式(2)を満足しなかった場合、ミスロールが発生した。
以上、本発明の実施の形態を説明したが、上述した実施の形態は本発明を実施するための例示に過ぎない。よって、本発明は上述した実施の形態に限定されることなく、その趣旨を逸脱しない範囲内で上述した実施の形態を適宜変形して実施することが可能である。
本発明による継目無管の製造方法は、穿孔機を用いて素材を穿孔圧延し中空素管とする継目無管の製造方法に利用可能である。

Claims (4)

  1. パスラインに沿って入側に配設されたプッシャと、パスラインに沿って出側に配設されたプラグと、プラグを挟んで対向して配設された複数の傾斜ロールとを備えた穿孔機を用いてビレットを穿孔圧延する継目無管の製造方法であって、
    前記ビレットを前記プッシャと前記プラグとの間のパスライン上に配置する工程と、
    前記ビレットを前進させ前記複数の傾斜ロールに噛み込ませる工程と、
    少なくとも前記噛み込まれたビレットが前記プラグに接触してから穿孔圧延が定常状態に至るまでの間、ビレットの進行速度が、定常状態においてプッシャでビレットを押し進めることなく穿孔圧延する場合のビレットの定常状態での進行速度以上となるように、前記プッシャにより前記ビレットを押し進める工程と
    穿孔圧延前に、式(1)及び式(2)を満たすように前記傾斜ロールの位置を設定する工程とを備えることを特徴とする継目無管の製造方法。
    Dg/d≧4.5 (1)
    −0.01053EL+0.8768≦DFT≦−0.01765EL+0.9717 (2)
    ここで、Dgは傾斜ロールのゴージ部のロール径(mm)、dは前記ビレットの外径(mm)である。式(2)中のDFTはゴージドラフト比、ELは穿孔圧延比であり、以下の式(3)及び(4)により定義される。
    DFT=Rg/d (3)
    EL=L1/L0 (4)
    ここで、Rgは前記ゴージ部での最短距離となるロール間隔(mm)、L0は前記ビレットの長さ(mm)、L1は穿孔後の中空素管の長さ(mm)である。
  2. 請求項1に記載の継目無管の製造方法であって、
    前記押し進める工程では、少なくとも前記噛み込まれたビレットが前記プラグに接触してから穿孔圧延が定常状態に至るまでの間、前記プラグに作用するスラスト荷重が、定常状態においてプッシャでビレットを押し進めることなく穿孔圧延する場合に前記定常状態で前記プラグに作用するスラスト荷重以上となるように、前記プッシャにより前記ビレットを押し進める工程とを備えることを特徴とする継目無管の製造方法。
  3. 請求項1に記載の継目無管の製造方法であってさらに、
    穿孔圧延が定常状態となったとき、前記プッシャで前記ビレットを押し進めるのを停止する工程を備えることを特徴とする継目無管の製造方法。
  4. 請求項の記載の継目無管の製造方法であって、
    前記穿孔機はさらに、前記出側に配設され、中空素管の先端が前記傾斜ロール後端の間を通過したか否かを検知する検知装置を備え、
    前記停止する工程では、前記検知装置が前記傾斜ロール後端の間を通過した中空素管の先端を検知したとき、前記プッシャで前記ビレットを押し進めるのを停止することを特徴とする継目無管の製造方法。
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