JP4795819B2 - バルーン切開装置 - Google Patents
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Description
本発明の別な目的は、かかる解剖空間をそれに対して直交方向の力を付与することにより拓き、最も脆弱な平面にこの解剖空間を設け、作業するのにより自然で、より外傷と出血が少ない領域を設ける装置および方法を提供することである。
本発明の別な目的は、腹膜前空間に外科手術用露出部を得るための装置および方法を提供することである。
本発明の別な目的は、バルーン切開具を利用して、腹膜外作業空間を設けるための装置および方法を提供することである。
本発明の別な目的は、上述の特徴を有し、解剖空間を拓いて、この解剖空間を通して腹腔鏡検査によるヘルニア修復術を達成する装置および方法を提供することである。
本発明の別な目的は、腹膜前作業空間を設けることに付随する時間と危険を低減する装置および方法を提供することである。
本発明の別な目的は、上述の特徴を有し、解剖空間を拓いて、この解剖空間を通して腹腔鏡検査によるヘルニア修復術を達成する装置および方法を提供することである。
本発明の別な目的は、上述の特徴を有し、観血を最小限に抑えた処置手順を必要とする装置および方法を提供することである。
本発明の別な目的は、上述の特徴を有し、全身麻酔を採用せずに達成することができる装置および方法を提供することである。
本発明の別な目的は、上述の特徴を有し、脊椎麻酔または硬膜外麻酔との併用で達成することができる装置および方法を提供することである。
本発明の別な目的は、上述の特徴を有し、医療費を実質的に低減するとともに患者の回復時間を大いに低減する装置および方法を提供することである。
本発明の別な目的は、上述の特徴を有し、比較的簡単かつ小型の装置を提供することである。
本発明の別な目的は、上述の特徴を有し、医者が容易に利用することができる装置および方法を提供することである。
本発明の別な目的は、上述の装置で用いて、ヘルニア修復術の間、堅固に固着されるパッチグラフトを提供することである。
本発明の別な目的は、バルーンカバーが塞栓具に取外し自在に固着されて、バルーン切開装置が比較的堅固になるようにして、切開作業中にバルーン切開装置を作動させるハンドルで同装置を把持することができるようにしたバルーン切開装置を提供することである。
本発明の別な目的は、上述の特徴を有し、塞栓具からバルーンカバーを取り外すのに厳密な解放機構が設けられ、バルーンカバーが、バルーンを取り外すために除去される前に解放されることを医者が確実に行えるようにするバルーン切開装置を提供することである。
本発明の別な目的は、上述の特徴を有し、ガイドロッドまたは塞栓具が適所に留まって腹膜外作業空間への容易な接近を維持するバルーン切開装置を提供することである。
本発明の別な目的は、上述の特徴を有し、他の部品と相対的に移動させられることになる部品のうちの或る物が色コード化されて、上述の装置を使用する際に医者を補佐するバルーン切開装置を提供することである。
本発明の別な目的は、傾斜表面を有している先端が設けられた導入装置部材を提供することである。
本発明の別な目的は、カニューレ管の直径よりも短い径の鈍先端が設けられたバルーン切開装置を提供することである。
本発明の別な目的は、上述の特徴を有し、少なくとも一部が殺菌処理されて再利用されるバルーン切開装置を提供することである。
本発明の別な目的と特徴とは、好ましい実施形態が添付の図面と関連して詳細に明示される下記の説明から明瞭となる。
特に、図面に例示されているように、腹腔鏡を用いる処置手順で利用するためにかかる解剖空間を設ける装置すなわちデバイス31(図1を参照のこと)は、導入装置スリーブすなわちデバイス32を備えており、このスリーブはその長さを貫いて延在する穿孔34が設けられた、プラスチックのような好適な材料から形成された管状部材33を備えている。ハンドル部36は管状部材33の一方端に取付けられており、プラスチックのような好適な材料から形成される。これには、穿孔33と連絡状態にある穿孔37が設けられている。フラッパ弁38が部分36の内部に取り付けられ、部分36の外側に搭載された指で作動させるアクチュエータ39により、自らが穿孔37を閉鎖する位置と穿孔37から外れた位置との間で可動となる。止め栓41が部分36に取付けられて、通路37と連絡状態にある。レバー42は止め栓41を開閉するために設けられている。
導入装置部材51は掘削シャフトすなわちロッド47に滑動自在に取付けられるが、プラスチックのような好適な材料から形成される。導入装置部材51は図示のように実質的に中空であり、穿孔52が設けられ、掘削シャフト47がこの穿孔を通って延在する。導入装置部材51には実質的に半球状先端53が設けられて、丸み付けされた突出部すなわち第1の塞栓部材を形成しており、この中を通ってロッド47が延在する。導入装置部材51は、導入装置スリーブの穿孔34に導入された時に、特に図1に例示されているように、導入装置スリーブ32の遠位末端部から延びて外へ出るような長さを有している。導入装置部材51のこの直径は、穿孔34の内部に滑動自在に取付けられるような寸法に設定されている。導入装置部材51の他方端には食いつき部54が設けられている。
中央開口部を有している円盤型シール43が部分36に穿孔37と整列状態で設けられており、その中を通して導入装置部材51を導入することができるようにしている。
ハンドル56は別な端部71も備えており、これは第3部分として特長づけることもできるが、掘削シャフトすなわちロッド47の近位末端部に固着されている。1対のラッチ72は端部71に設けられており、ピン73に旋回自在に取付けられている。ラッチ72には中間部57に設けられた突出部76に係合するようにされたラッチ部74が設けられている。ラッチ72を突出部76と係合状態に塑性変形的に維持する手段が設けられており、端部71内部に取付けられてラッチ72と係合するU字型スプリング77を備えている。ラッチ72には、外方向に拡張し、かつ、手の指で把持するようにされた刻み付き部分72aが設けられているため、スプリング77の力に抗して突出部76との係合から外れてラッチ部74を移動させることができるようになる。
腹腔鏡検査装置31は、図2、図5、図6に例示されているバルーンアセンブリ86も備えている。図5に例示されているように、バルーンアセンブリ86はバルーン87を備えており、これは平面図では収縮時には洋ナシ形状を有している。バルーンは、PVCのような好適なタイプの非エラストマーの医療品等級の材料から形成されているのが好ましい。従って、バルーン87は2枚のシート88,89から形成されており、これらは、平坦なバルーン87の外辺部の附近に延在する熱シール91などの好適な手段により、それぞれの外側ヘリ部分が一緒に接着されるような材料から構成されている。バルーン87には頚部94が設けられており、この中へと可撓性管状部材96が延在し、粘着剤などにより好適な気密様式でその内部に固着されている。管状部材96には管腔97が設けられており、これはバルーンの内部と連絡状態にあるとともに、管状部材96の自由端に取付けられたルアー型の取付け具98によりバルーンを膨張させるために使用することができる。
図6に例示されているように、スリーブ101はバルーンの側部端部から等距離に配置され、後述されるようにバルーンを膨張させることができるようにし、また、図6に点線で示されてもいるようにバルーンをロッド47の周囲で膨張させることができるようにする。収縮すると、バルーン87の側部端部は、図6に破線で示されているように、ロッド47に向けて内方向に巻かれ、図2に例示されているようにバルーンを略円筒形状に畳むことができるようにするとともに、掘削シャフトすなわちロッド47により搬送されている着脱自在なスリーブ106の内部に封入することができるようにしている。着脱自在なスリーブ106は、その長さの分だけ長軸線方向に延在している壁に弱化された領域108を有している、テフロン(登録商標)のような好適な材料の比較的壁を薄く巡らせた管状部材107から形成されている。この弱化領域108は図示されたようなスリットの形状を採ることも出来るし、或いは、壁に形成された一連の穿孔またはスリットであってもよいし、それらの組み合わせであってもよい。管状部材107の近位末端部には互いに分離された、または、互いに分離可能な端部107a、107bが設けられており、両端部にはプラスチックのような好適な材料のフィンガーリング109が固着されるが、両端部には締め具111により固定されている。
切開部126が前述の態様で設けられた後で、医者は一方の手で腹腔鏡検査装置31を取って、ハンドル56を把持しながら、他方の手を使って丸み付けされた鈍先端79の切開部126への挿入を容易にする。鈍先端79は筋膜131のスリットに入れられ、腹直筋の間で(横方向に)腹膜132の前まで通されて、腹腔鏡を用いた処置手順のために設けられることになる潜在的腹膜前空間136に入れられる。次いで、鈍先端79が医者によって掘削装置として利用されるが、その場合、医者は一方の手56を使って鈍端部79を患者の恥部領域に向けて前進させながら、他方の手を腹部に置いて装置すなわちデバイス31が前進している時にその感触を得る。デバイス31の前進は、鈍先端79が図8に例示されるように恥骨結合部137の真下に位置するまで継続され、恥骨結合部137と膀胱138の間に配置されるのが好ましい。
バルーンアセンブリ86が除去された後で、導入装置デバイス32は掘削シャフトすなわちロッド47の上を遠位方向に前進させられて、図11に例示されているように、腹膜前空間36の中まで良好に延びているようにすることができる。次いで、指を部分72aと絡ませることでラッチ72を押し下げて、ラッチ部74をハンドル56の中間部57から係合離脱させることにより、ハンドル56の端部71が取り外される。次に、端部71が図11に例示されているように近位方向に牽引されて、管状部材33の遠位末端部に配置された塞栓具53とオリーブ状先端79を係合状態にさせ、先端79と塞栓具53とが引き出される、すなわち、後退させられる。導入装置部材51が引き出されてゆくにつれて、その食いつき部54がラッチ61のカム面を叩き、ラッチを端部ピース36から係合離脱させ、図3に例示されているように、導入装置部材51と一緒に端部ピースを搬送することになる。従って、掘削シャフトアセンブリ46は医者の手の1度の動きだけで容易に除去することができるのが分かる。その後、従来の腹腔鏡144(図16を参照のこと)が導入装置スリーブ32を通して導入されて、医者が腹膜前空間136を見ることができるようにすることができる。
ヘルニア修復処置手順で利用される本発明のパッチ151は、図12、図13、図14に詳細に例示されている。パッチ151はヘルニアパッチまたはヘルニアグラフトとして特長づけることができるが、エシコン(Ethicon, Inc.)により製造されているプロレーン(Prolene)メッシュのような好適なプラスチック製メッシュから作成されている。パッチ151はどのような所望の構成であってもよい。例えば、パッチは図示のとおりの略円形であってもよいし、例えば2インチといった、好適な直径の円盤であってもよい。テール153は円盤の実質的に中心に好適な態様で固着される。例えば、図示のように、テール153には分岐部153a、153bが設けられて、これらが互いに分離し、互いに関して枝分かれし、円盤152と同じ材料から形成され、かつ、外科手術用縫合糸(図示せず)のような好適な手段により円盤152に固着された、より小型の補強円盤154に固着される。テール153は円盤152、154と同一材料から形成されており、或いは、ゴアテックスのような異なる材料から形成されていてもよい。テールは、約2分の1インチの幅と約2分の11インチの長さを有するような寸法にされる。特に図14に例示されているように、円盤152の側部端部はテール153に隣接した中心に向けて内方向に巻かれ、図14に例示されているように、テール153が外へ延び出た状態の円筒状ロール156を形成するようにしてもよい。ロール156は、ロールの両端に隣接してテール153の両側に配置される縫合糸157により、巻上げ状態に維持することができる。
ロール156は、腹膜前空間に設置された後で操作されて、図17に例示されているように、ロールのテール153がヘルニア嚢161の頚部162の横に配置される。次いで、従来のステープル装置166が套管針146を通して導入されて、ステープルを頚部162に設置することにより、テール153をそこに鉤留めする。これらステープル167はヘルニア嚢の頚部を遠位部162aと近位部162bに分割するように作用する。このステープル作業が完了するとすぐに、吹き込みガスの圧力のせいで2つの部分162a、162bが互いから分断され、パッチ151のテール153が上方向に引張られて鼠径輪の中に入るようにし、それと一緒に円盤152も引張る。縫合糸157は切断分離されて、円盤152を巻き解いて、修復されているヘルニアの発生を許している腹膜の主たる脆弱部を生じている鼠径輪163を横断して円盤を設置することができるようにする。頚部162の近位部162bは、図18に例示されているように、ステープル173により一緒に鉤留めされる。次いで、近位部16を腹部内部の所望の解剖位置内へ畳み直しすることができるようにする。
収縮が達成された後、套管針146、147はもとより、導入装置デバイス32も同様に除去することができる。次に、小規模縫合を利用して、腹壁に設けられていた多様な小さい切開部を閉鎖し、治癒時には、この処置手順による目立った傷が最小限になるようにする。通例、臍またはヘソの傷は概ねほとんど見えないも同然である。
グラフトすなわちパッチ182は、図20に例示されているように例えば円形などの所望の形状を有していてもよい。これは、エシコン(Ethicon Inc.)により製造されているポリプロピレンなどの非吸収性合成外科手術用メッシュから形成されている。図示のように、メッシュパッチ182がシート187の上に載置されている。
メッシュグラフト201が上に置かれたバルーン202は、バルーンの外側端部をメッシュ材料の頂面で内方向に巻いてロール211、212を設けることにより、実質的に円筒状のロール211に巻き上げることができるが、2つのロールは図26に例示されているように互いに隣接した状態にされている一方で、メッシュグラフト201がそれらと一緒に巻き上げられている。この状態で、2つのロール211、212は管状鞘部材214に挿入することができる。次に、鞘部材214は、前述した態様で套管針を通して導入されてから、鞘部材から押出されて腹部空洞に入れることができる。次いで、バルーンが生理食塩水溶液で膨張させられて、2つのロール211、212に反対方向に巻を解かせてから、バルーンが膨張して、バルーンが保有していたパッチ201を移動させてヘルニアを有している筋膜の部分と係合させる。その後、バルーンは収縮させられ、套管針は除去され、バルーンは除去され、切開された腹膜前空間は萎まされ、大型メッシュグラフト201が筋膜と腹膜の間に配置されるとともに、両者の間で適所に維持されるようにする。
本発明に組み込まれている腹腔鏡検査装置の別な実施形態は、導入装置スリーブすなわちデバイス32まで図29に例示されているような腹腔鏡検査装置231である。腹腔鏡検査装置231は、前述のものと同一の導入装置スリーブすなわちデバイス32を備えている。この装置は、掘削シャフトすなわちロッド47と近位末端部49が設けられた掘削シャフトアセンブリ46も備えている(図32を参照のこと)。腹腔鏡装置の先の実施形態では、掘削シャフトアセンブリには、掘削シャフト47の遠位末端部49に固着されたオリーブ形状または弾丸形状の先端49が設けられている。導入装置スリーブすなわちデバイス32まで一貫して図29に例示されている装置のこの実施形態では、塞栓具先端79aが掘削ロッド47の遠位末端部49に取外し自在に搭載されている。先端79aの近位末端部にはスロット236が設けられており、このスロットは、近位末端部の一方側を貫いて先端79aの近位末端部の中心部まで延びている。スロット236は、掘削ロッド47の遠位末端部49に設けられた丸み付けされた末端部237を受容するようになっている(図32を参照のこと)。着脱自在なスリーブ241は腹腔鏡検査装置231の一部として設けられており、多くの点で前述の着脱自在スリーブすなわち鞘部材106に類似している。着脱自在なスリーブ241は前述のようにテフロン(登録商標)のような好適な材料から形成され、比較的薄い壁243が設けられ、壁には弱化された部分がその長軸線方向にスリット244の様式で延びている(図31を参照のこと)。管状部材には近位末端部246と遠位末端部247が設けられている。近位末端部246は、図31および図32に例示されているように、遠位末端部247よりも厚い断面を有している。近位末端部246には、陥凹部248が壁に形成されて設けられており、この陥凹部はスリット244とは正反対の対向位置にあって、可動スリーブ241がバルーンから除去された時に分離することが出来るようにする解放領域として働く。
近位末端部246には、スリット244から正反対の方向に90°の間隔で延びているウイング状部材251、252が設けられている。これら外に延びるウイング251、252は、腹腔鏡検査装置231利用している最中に医者がその配向を決めるのを助けるように作用する。近位末端部246にはハンドル256も設けられており、ハンドルは末端部と一体形成されているとともに、管状部材242から半径方向に延びている。ハンドル256にはその中を貫通している指穴が設けられており、この指穴に指を挿入して、先の実施形態と関連して説明されたように、バルーンから離すように着脱自在なスリーブ241を容易に引張ることができるようにする。
腹腔鏡検査処置手順を実施する際の腹腔鏡検査装置231の用途は前述の用途と実質的に同一であるが、着脱自在なスリーブ241がバルーン87から除去された時に、着脱自在なスリーブを前方に押して先端79aを掘削シャフト47から切り離すことができるという点を例外とする。次いで、着脱自在なスリーブ241は後方に引張られて、スリーブをバルーンからスリット244に沿って分離することができる。これが発生すると直ぐに、先端79はスリーブから自由になって、図34に例示された矢印266の方向に回転し始める。バルーンが膨張してその機能を前述のように実施し、ここでバルーン87を除去するのが望ましいという時には、前述の態様でバルーン87を引き出すことが可能であり、先端79aはバルーン87自体に繋留されており、或いは、バルーンに付着している可撓性の細長い要素261がバルーンから出て近位方向に延びているので、先端79aはバルーンと一緒に引き出される、或いは、引き出すことができる。
この腹腔鏡検査装置231はその取外し自在な塞栓具先端79aと共に、本発明の或る特定の応用例で有用となる。前述の腹腔鏡検査装置を用いた場合、塞栓具先端79が引き出されると、小動脈などのような重要な構造体が、先端79と導入装置デバイス32の管状部材の遠位末端部との間で予測に反して切開されてしまう可能性がある。バルーンが引き出されると引き出される取外し自在な先端79aを備えていることで、この可能性は排除される。
巻かれたバルーン272は、前述のものと類似している着脱自在なスリーブ281の内部に包囲されている。スリーブには管状部材282が設けられており、この部材は、その長さ分だけ長軸線方向に延びるスリット283の様式の弱化された領域を有している。着脱自在なスリーブ281は、先の実施形態におけるように端部で開いているというよりはむしろ、閉鎖端になった弾丸形状またはオリーブ形状の先端286が設けられているという点で、前述のものとは異なっている。スリット283には弾丸形状の先端286を貫いて延びる湾曲部293aが設けられているため、指穴289を有しているハンドル288を引張ることで、前述の態様で、スリーブはバルーン272から剥離することができる。着脱自在なスリーブ281がバルーン272から剥離され、或いは、分離されている間、穿孔が形成されたスリーブ273の端部276に係合している掘削ロッド47により、バルーンは適所に保持されている。バルーンの膨張後に、バルーンを引張って、その遠位末端部が持ち上がって穿孔の位置で破断され、図38に例示されているように、掘削シャフト47の丸み付けされた末端部47aから剥離されるようにすることにより、バルーンは掘削ロッド47から分離することができる。引き続きバルーン272を引張り続けることで、バルーンを掘削ロッド47から分離させ、バルーン272は前述のように除去することができる。従って、着脱自在なスリーブ281の一部として第2の塞栓具を設けることにより掘削ロッド47の遠位末端部により搬送される塞栓具の必要が排除されている、本発明の腹腔鏡検査装置の実施形態が提供されているのが分かる。上記以外の全ての局面で、腹腔鏡検査装置271の動作と用途は前述のものと同様である。
前述のように、この装置および方法は、腹腔鏡を用いたヘルニア修復術を実施するのに特に適切であり、直接ヘルニアおよび間接ヘルニアについて利用することのできるグラフトとパッチを使用することができるようにし、患者に与える苦痛を最小限にして、また、数日のうちに患者が仕事に復帰できるようにしている。
カニューレ302は、合成プラスチックから形成された、近位末端部322および遠位末端部323を有しているカニューレ管321を備えている。流路324は近位末端部322から遠位末端部323まで延在している。カニューレハウジングすなわちハンドル326は近位末端部に取付けられるが、これは同部材をその部位に直接成形するといったような好適な手段によって行われる。同時係属中の出願連続番号第07/968,201号、すなわち、1992年10月29日に出願された米国特許第5,324,270号に開示されているように、ハンドル326は第1の弁部材と第2の弁部材(図示せず)を有しており、この場合、一方の弁部材はダックビル(家鴨の嘴状)弁として作用し、他方の弁は円形機具または器材シールとして作用する。ハウジングにはルアー型の取付け具327が設けられており、これはダックビル弁の外部にあるハウジングの内部と連絡状態にあるとともに、カニューレ管321の通路324と連絡状態にある。
皮膚シール部材311は一般に、1993年9月20日に出願され、目下のところ出願破棄されてしまった同時係属出願連続番号第08/124,333号に記載されているタイプのものであってもよいが、該出願に記載されているように、プラスチックのような好適な材料から形成され、螺旋状ねじ山351とホタテ貝状フランジ352を有しているスクリュー本体350を備えている。弾性挿入体353はスクリュー本体351に配置されており、シリコーンのような好適な弾性材料から形成されている。挿入体353には、そこを貫いて延びている穿孔354が設けられている。スロット358を有しているコレット357は挿入体353を包囲しており、また、スクリュー本体351の軸線方向に移動可能であるとともに、コレットを移動させて挿入体353を圧縮するようにされているカラー356によりコレットは係合状態になっているため、穿孔354を通って延びているカニューレ管321が皮膚シールアセンブリ311に関して所望の長軸線方向の位置にカニューレ302を維持している維持位置と、皮膚シール311に関して長軸線方向に内向きと外向きに滑動自在にカニューレ302を移動させることができる解放位置との間で挿入体を移動させる。カラー356には、後述する目的で使用される周方向に間隔を設けたスロット360を有している環状ショルダー部359が設けられている。1993年9月20日に出願された同時係属出願連続番号第08/124,333号に説明されているように、コレット357に関するカラー356の回転を抑制する手段が設けられており、この手段は長軸線方向に延びる、互いに180°の間隔を設けたキー355を備えている。
生理食塩水溶液のような液体などの好適な媒体と、2枚のシート363、364の間でバルーン内部に延びているとともにシートで液体密封シールを形成している可撓性の管366とを用いて、バルーンを膨張させる手段が設けられている。バルーンの内部は、管366を通して流体を導入することにより、膨張状態および収縮状態にすることができる。管366はY字型アダプタ367に接続されており、このアダプタは、Y字型部の一方分岐部がルアー取付け具を有している逆止弁368に接続されており、他方分岐部が、テーパ状取付け具371に接続されている管369に接続されている。従来型のピンチオフクランプ372が管369に搭載されている。管366は、ショルダー359のスロット360に着脱自在に保持されるのに適合するようになっている。
バルーンカバーアセンブリ316は、プラスチックのような好適な材料から形成された半剛性の管381であり、近位末端部382および遠位末端部383が設けられている。これには、近位末端部382から遠位末端部383まで延在している穿孔384(図42を参照のこと)が設けられている。管381には部分スリット386の様式の弱化された領域が設けられており、この領域は、図40で分かるように、管381の底面側で遠位末端部383から近位末端部382まで延在している(図44も参照のこと)。管381には好適な角度で延びている近位端壁387が設けられており、例えば、穿孔384の軸線に関して近位方向に45°の角度で延びている。
上向きに延びているフィン397は、本体393上でウイング396から実質的に等距離に、ウイング396が存在している平面に概ね直交する方向に形成される。フィン397は比較的幅が狭く、ノッチ401、402を有している上面378が設けられている。垂直方向に延びている壁406はフィン397の一部として形成されており、ウイング396の平面に概ね直交する方向に延びている。壁406はフィン397に対して直角な方向に延在しており、壁の頂部から底部に向かう厚さが徐々に増大している(図46を参照のこと)。本体393には1対の互いに間隔を設けた穴407が設けられており、これらは互いに約90°の間隔だけ離してフィン397の各側から約45°の位置にある。細長いスロット408は本体393に形成されており、フィン397と概ね整列状態にある。1対のカム機能スロット411が本体393の両側のウイング396に、本体に隣接しているウイングの遠位末端部部の附近に設けられている。カム機能スロット411には傾斜したカム面412が設けられている。
本体393には1対の、正反対方向に配置された突起部413が設けられており、これら突起部は、陥凹部394の中に延びており、かつ、導入装置部材342の遠位末端部に設けられた1対の正反対方向に対向する穴に載置されるのに適合するようになっている。
その後、バルーンカバーハンドル391は、図49Bに例示されているように、医者の同じ右手に絡まされて、クランプ部材すなわちラッチ部材416の上部末端を近位方向に移動させてラッチ部426が移動により、フィン397に保有されているノッチ402と係合状態になるようにすることにより、親指を用いて横断方向に突出する丸み付けされた部分428に係合させる。これが起こっている時には、中央本体部417により保有されているレッグ418、419が図44に例示されている位置から図46に例示されている位置へと移動させられ、この間に、カム面412に嵌合することにより、本体393に固着されているウイング396の各部が外方向にカム変換作用し、突起部413が穴414との係合状態から外れる方向に移動させられる。ラッチ部材すなわちクランプ部材416の運動の方向は、図49Bに矢印454により示されている。ハンドル391を手放してすぐに、ウイング396を握っている手の2本の指でハンドル391を近位方向に移動させ、ウイングを上向きの近位方向に引上げて、バルーンカバーアセンブリ316を取り外させる。掘削シャフトすなわちロッド336によりバルーン361は適所に保持されており、破り取り鞘部材として作用する管状カバー381の底面に設けられたスリットを通って外に出る。バルーン膨張管366はショルダー359内側のスロット360のうちの1つの中に保持されるため、バルーン膨張管は、バルーンカバーアセンブリ316が除去される時にウイング396で縺れてしまうことはない。これにより、バルーン361は、その一方側の端部が内向きに巻かれてロール461状態になったまま剥き出しとなるが、この時、ロールの一方は反時計方向に巻いた状態であり、他方のロールは時計方向に巻いた状態であるため、両方のロールは、図50に例示されているように、掘削ロッド333の下に位置するようになる。また、後述する最適な切開部を設けるためにも、巻上げが起こる前に、前方に延びている突出部362は折畳み線471に沿って内側に折畳むことができ、横方向に延びているローブ部も折畳み線472に沿って内側に折畳むことができる。バルーンを膨張させるために、ピンチオフクランプ372は閉鎖され、生理食塩水溶液を包含している従来型の60cc容量の注射器476が逆止弁368に接続される。次いで、注射器476は矢印477によって示されているように作動させられて、注射器476から生理食塩水溶液を管状部材366に導入し、更にバルーン361の内部に導入して、バルーンを徐々に膨張させてゆく。逆止チェック弁368は、注射器476が除去された時に生理食塩水溶液がそこから出られないことを確実にする。注射器476は、空にされた後で除去され、生理食塩水溶液で充填することができるが、この溶液は同じ態様でバルーンに導入されて、掘削ロッド333の両側で図50に例示されているような両方向にバルーン461の側部端部の巻を解いてゆき、最後には端部が完全に巻きを解かれた状態となる。通例、バルーン361の巻を完全に解いて、図50に例示されているような膨張状態に移行させるには、約10本程度の注射器分の生理食塩水溶液が必要となる。バルーンが充満して巻が解かれてゆくにつれて、バルーンは腹膜の上に存在している組織を分離し、すなわち、切開し続けてゆき、横筋筋膜と腹直筋との間に腹膜外作業空間を設けてゆく。
バルーンが収縮した後、図示のように、手の指で管状部材366を把持して、収縮したバルーン361を切開部452を通して、図49に矢印481で示されている方向に引っ張り出すことができる。必要ならば、ハンドルアセンブリ337は他方の手で保持されてもよい。バルーン361は、引き出されている最中に、そのスリーブ376を、線378に沿って存在している線形穿孔群による破断によって、掘削ロッドすなわちガイドロッド31から分離させる。ガイドロッド331は適所に残留して、既に設けられた腹膜外空間内への容易な入口を保存する。バルーン361はこの時点で廃棄することができる。
バルーン361が除去された後、左手を用いて下位の第2ハンドル部338を把持しながら、右手をハンドルアセンブリ337の上位ハンドル部すなわち第1ハンドル部336に絡ませる。次いで、右手の指をラッチ部材339の両側に絡ませて、第2部分338から第1部分336を取外し、左手で図49Eに例示された矢印482の方向に第2部分338を移動させることができるようにする。第2部分338にはそこに一緒に装着されたカニューレ302と、その中を貫通して延びて皮膚シールアセンブリ311がカニューレ管321に取付けられた導入装置デバイス307とを保有している。これがガイドロッド333上を前進し続けて、最終的には、導入装置部材342の遠位末端部343が所望の位置まで前進させられる。これが達成されるとすぐに、皮膚シールが切開部452に近づくまで、皮膚シールアセンブリ311が滑動しながらカニューレ管321に取付けられたまま一緒に前進させられる。次に、スクリュー本体351はフランジ352に絡ませた、かつ/または、ショルダー359にまで絡ませた手の指で回転させられ、切開部452にねじ込まれ、患者の皮膚と一緒に気密皮膚シールを形成する。良好な皮膚シールが確立されてしまうとすぐに、カラー356を概ね下方向に押してコレット357に係合させて、エラストマー挿入体353とカニューレ管321の間に摩擦グリップを形成することにより、導入装置デバイス307が皮膚シールアセンブリ311に関して固定位置にクランプされる。
これが達成されてしまった後で、二酸化炭素のようなガス源が止栓弁328に接続される。止栓便328を開いて、図49Gに例示されている破線476で示されているような切開された腹膜外作業空間を二酸化炭素で膨張させることができる。次いで、カニューレ302を利用して、切開された腹膜外作業空間に多様なタイプの機具を導入することができる。膨張ガスは、カニューレ302のハンドル326に設けられた弁機能のせいで逃れることはできない。
本発明の装置を用いて腹膜外作業空間を形成することに関連して、ガイドロッド333を適所に位置させて、ロッドがバルーン361の上に在るのが望ましいことが分かっているが、その理由としては、バルーンが膨張しながら巻きを解いている最中でさえ恥骨結合部の下に在る鈍先端331が所望の位置に維持されるため、バルーン切開が適切な領域で起こることを確実にするのに役立つからである。ガイドロッド333をこの態様で位置決めすると、バルーン361はロッドから両方向に外に転がり、膨張している間にもバルーンが下方向に押し下げられるのにも役立つことが確実となる。
装置がユーザーに対して一層親切設計となるようにするために、他の部品に関して手術のために移動させられる部品は色コードが付されており、例えば、移動させるべき部品は黒に着色され、残りの部品は灰色や白色のような別な色にしてもよい。従って、クランプ部材すなわちラッチ部材416は、バルーンカバーアセンブリ316のラッチを解除するために取り外されなければならないので、黒色になっている。同様に、皮膚シールアセンブリ311のカラー356は、カニューレ302を所望の位置にクランプするように移動させなければならないので、黒色になっている。同様に、ラッチ部339、349は、ハンドル部を分離させるのに移動させられなければならないため、黒色である。
前述のように、導入装置部材342には塞栓具端面または塞栓具先端が設けられており、これが正常な挿入方向とは反対方向に或る角度で傾斜しており、切開の間に先端が組織を通って前進させられるにつれて、先端が組織の上で動きがとれなくなるような傾向を抑止している。
鈍塞栓具先端331がカニューレ管321の内径よりも小さくなるように寸法設定すると、先端331とカニューレ管321の間で組織が捕縛状態になったり圧迫状態になることがないことを確実にするのに役立つ。更に、前述のように、塞栓具先端331は両方向に先細りにされて中心から遠ざかるにつれて小径となり、先端331とカニューレ管321の間で組織が捕縛状態になる可能性も最小限に抑制することにより、剪断動作が起こらないことを確実にしている。
プラスチックのような好適な材料から形成されている第1挿入体526および第2挿入体527は、部分506および部分507に取付けられている。金属のような好適な材料から形成された第1ラッチ部材531および第2ラッチ部材532が設けられているが、これらは、挿入体526、527に設けられた陥凹部533、534に載置されている。ラッチ部材531、532は概ねU字型であり、互いに係合状態になるように可塑変形可能に付勢されて、それらの中を貫いて延びる細長いスロット536を形成している。挿入体526、527と一体形成されている直立式レッグ538が挿入体526、527の矩形空間539に設けられて、図54の破線で例示されているように、ラッチ部材531、532の運動により、レッグ538の上末端部を屈曲させることができる。
押しボタン556には穿孔561が設けられており、これは、ガイドロッド541の遠位末端部542を受容することができるような寸法に設定されている。押しボタンには横方向に延びるスカート部562が設けられており、スカート部は互いに180°の方向に延びているとともに遠位方向内向きに延びるカム機能面563が設けられており、このカム機能面は、図51に例示されているように、略V字型である先端564で終端している。先端564は、U字型部材531、532により形成されているスロット536に入るのに適しているように形成されている。従って、押しボタン556を押し下げると、先端564が前進する態様でスロット536に入り、U字型部材が互いから遠ざかるように付勢し、先端が保有しているカム機能面563をガイドロッド541の真上の領域と真下の領域でU字型ラッチ部材531、532に係合させるようにしているため、ガイドロッド541はU字型ラッチ部材531、532から解放されて、ガイドロッドをハンドル部503から引き出せるようにしている。ガイドロッド541の解放により、バルーン切開装置501の残余の部分からガイドロッド541が分離させられるようになり、ハンドルアセンブリ502とこのアセンブリが保持している他の部分をガイドロッドから分離させることができるようになっている。その後、ガイドロッド541、バルーン361、バルーンカバーアセンブリ316は廃棄処理することができる。他の部分が殺菌処理に耐えるのを確実にするために、ポリスルホンのような好適な可塑材からなるプラスチック製の再生利用部品を形成するのが望ましいかもしれない。
前述の内容と関連して、構成にちょっとした変更を施すことにより、バルーン切開装置のかなり多数の部品を節約して、殺菌処理後の再利用に付すことが可能となることが分かる。清浄にするのが極めて困難である部品のみが、1回きりの使用後に廃棄される。
カニューレ302は、近位末端部322および遠位末端部323を有している剛性プラスチックから形成されたカニューレ管321を備えている。流路324すなわち管腔が近位末端部322から遠位末端部323まで延びている。カニューレハウジングすなわちハンドル326は、近位末端部に直接成形するといったような好適な手段で近位末端部に取付けられている。米国特許第5,324,270号に開示されているように、また、その開示内容は本明細書に引例として援用されているが、ハンドル326は第1の内部シール部材と第2の内部シール部材(図示せず)を備えており、この場合、一方のシール部材はダックビル弁として作用し、他方のシール部材は機具シールとして作用する。ハウジングにはルアー型の取付け具327が設けられており、この取付け具はダックビル弁から遠位にあるハウジングの内部と連絡状態にあり、また、カニューレ管321の通路324とも連絡状態にある。
皮膚シールバルーン702に流体を容易に入れさせ、皮膚シールバルーンの収縮が望まれるような時まで膨張状態の皮膚シールバルーンから流体の流出を防止するために、どのような好適な装置を皮膚シールポート704に接続してもよいし、どのような装置をそれと一体成形してもよいものと思われる。機械的に開くことができるチェック弁がこの目的で有用となる。このような装置としては、図58に例示されているように、1つの可能なコネクタ手段としてのホースコネクタ棘状体、管ピンチオフ装置、または、注射器を有している止栓弁328があるが、これには限定されない。
米国特許第5,324,270号に記載されているように、カニューレ302は掘削装置306を受容するようになっている。
掘削装置306には、図示されているように(図62を参照のこと)概ねオリーブ形状でプラスチックのような好適な材料から形成された鈍先端331が設けられている。オリーブ形状の先端331は、ステンレス鋼のような好適な材料から形成された掘削ロッドすなわちシャフト333の遠位末端部332上に成形されている。鈍先端331は、外径がカニューレ管321の内径よりもわずかに短くなるような寸法に設定されている。
ロッドすなわちシャフト333の近位末端部334はハンドル部336がその上に取付けられている。ハンドル部336はカニューレハウジング326の近位端のハンドル部と嵌合するようになっている。ハンドル部336およびカニューレハウジング326は、ラッチ手段(図示せず)の使用により取外し自在に接続することが可能であり、ラッチ手段は、ハンドル部336の両側に配置された付勢されたラッチ部材339により作動されるようになっており、更に、ハンドル部を握っている手の指を絡めてラッチ解除するようになっている。
従って、カニューレハウジング326には、ハンドル部336を取外し自在に接続するようにしたラッチ手段(図示せず)が設けられている。カニューレハウジング326はカニューレハウジングの両側に配置されたラッチ受容部材349を有しており、このラッチ受容部材がハンドル部336のラッチと嵌合してハンドル部をカニューレハウジングと取外し自在に接続させることができる。
スリーブ602は、掘削ロッド333の外径よりも僅かに大きい内径を有している中空の管部を備えている。スリーブは、掘削ロッド333の長さに沿って長軸線方向に自由に移動する。装置の使用前と、装置の使用中で掘削装置306を除去する前までは、スリーブ602はカニューレ302の内部に広く載置されている。スリーブ602の直径は掘削ロッド333の直径よりも僅かだけ長いのが有利である。このように、スリーブの直径は十分に小さいので、殺菌処理と貯蔵の間にカニューレ302のダックビルガスシールが永久ひずみを生じることはない。ダックビルシールの塑性変形により、吹き込みガスは外科手術処置手順の後段で患者体内から逃げ出ることができる。
スリーブ602の遠位端部にはテーパ状端部カラー604が搭載されている。テーパ状端部カラー604は図62から図63に最良に例示されている。図示されているように、テーパ状端部カラー604はスリーブ602の遠位端に恒久的に接続されている。テーパ状カラー604の内径はスリーブ602の外径と概ね同一である。掘削ロッド333を後退させている間、掘削ロッドの遠位端上の鈍先端331がテーパ状端部カラー604に接触し、それにより、スリーブ602をカニューレ302から近位方向に引き出す。掘削ロッドガイド600の動作を以下により詳細に論じる。
図64および図65を参照すると、拡張可能なフィンガー610を備えている可動ガイドカラー608は端部カラー604と内側カラー606との概ね中間に載置されており、同様に、掘削ロッド333を包囲している。可動ガイドロッド608は、近位端にフィンガー610を有している中空の管状部を備えている。ガイドカラー608の内径には段差が設けられており、近位の内径618は端部カラー620の外径よりも短くなるようにしている。ガイドカラー608の遠位の内径618は端部カラー604の外径よりも長い。このような段差を設けた構成により、ガイドカラーは、内側カラー606で第2ショルダー614の段差を設けた端縁に接触しているフィンガー610によりガイドカラーが近位方向へそれ以上移動するのが防止されている第1の位置と、端部カラー604の近位端縁に接触しているガイドカラー606の内径618をより短くすることにより設けられた棚部によりガイドカラーが遠位方向にそれ以上移動するのが防止されている第2の位置との間で移動することができる。この第1の位置と第2の位置の重要性は、以下により詳細に論じられている。
ガイドカラー608の運動は、一般に、接続状態にあるスリーブ602と、ガイドカラーに関連している端部カラー604との運動により達成される。このような運動は、掘削ロッド331をカニューレ302を通して近位方向に移動させている時に鈍先端331の近位端332により及ぼされる力により達成されるが、この間、ガイドカラー608はカニューレ管の第1ショルダー614上のフィンガー610により近位方向に動くのを阻止されている。掘削ロッド333に近位方向へ十分な力を付与した後、鈍先端331はスリーブ602と、そこに接続された内側カラー606とを移動させるが、この時、十分な距離によりガイドカラーフィンガー610を第1ショルダー614から第2ショルダー616へと滑らせる。第2のショルダー616は第1のショルダー614よりも外径が小さいので、ガイドカラー608の外径は、カニューレ管(管腔)321の内部のその管を通って滑動するのに十分なだけ低減されている。
生理食塩水溶液のような液体などの好適な媒体で切開バルーンを膨張させる手段が設けられており、該手段は、2種のシート363、364の間でバルーンの中へ延びている可撓性の管366から構成されており、この管と一緒に流体密封シールを形成している。バルーンの内部は、管366を通して流体を導入することにより膨張および収縮させることができる。従来のピンチオフクランプ372が管369に取付けられて、流体流を制御する。管366は、任意で、アセンブリ上の1個以上のスロット(図示せず)の中で取外し自在に維持されるようになっている。代替の実施形態では、ピンチオフクランプ372は、要素328として例示されているような止栓弁と置換されてもよいし、或いは、管の内部で流体の流れを制御することのできるどのような他の弁様の装置で代用してもよい。一実施形態では、止栓弁は端部が棘状にされたコネクタまたはスクリュー型のコネクタを有しており、医療用管または他の医学装置に効率的かつ経費削減に役立つ接続を得るようにしている。
バルーンカバー316は上述のバルーンカバーと概ね同一である。図57および図58に例示されているように、バルーンカバーアセンブリ316は、プラスチックのような好適な材料から形成されている半剛性管381を備えており、更に、近位末端部382と遠位末端部383が設けられている。該アセンブリには穿孔384が設けられており、この穿孔は近位末端部382から遠位末端部383まで延在している。管381には弱化された領域が設けられており、図57と図58で分かるように、この領域は管381の底面側で遠位末端部383から近位末端部382まで延びている部分スリットの様式を呈している。管381な切頭状に成形され、穿孔384の軸線に関して、例えば45°などの好適な角度で延びている。
バルーンカバーロック/ポートシールド800にはプラスチックのような好適な材料から形成されたテーパ状本体810が設けられており、これは、図67に例示されているように、底面側で開放状態になっており、断面が半円形状である長軸線方向に延びる陥凹部812を接近可能にしている。陥凹部は凹状であって、本発明の流体ポート327および流体ポート704のうちの少なくとも一方を被覆するのに十分なだけの距離に亘って近位方向に延びている楕円形状の外郭部を形成している。好ましい実施形態では、バルーンカバーロック/ポートシールド800は両方の流体ポートを被覆している。
上述の態様でバルーンカバーロック/ポートシールド800を形成すれば、バルーンカバー381を除去する前に、流体ポートを遮断し、流体ポートへの接近を防止するという利点が得られる。このような構成は、バルーンカバー804を除去する前にカニューレ先端のバルーンが予期せず膨張するのを防止するとともに、装置のポートを損傷または汚染物から保護する。
医者が自己の手を使って患者の腹部領域を触診することにより、鈍先端331が前進させられて恥骨結合部に当たった時に鈍先端の感触を得ることで、鈍先端331の移動を確実に行うことは容易となる。次いで、バルーン切開具アセンブリ700は更に少量だけ前進させられて、鈍先端331が恥骨結合部468の下方に降りるようにする。
前述のように、平面図にした場合のバルーン361は左右対称なまんたエイのような形状を有しており、ヘルニア修復術のための所望の最適な腹膜外作業空間を設ける。前方に延びている突出部362は、バルーン361に設けられている場合には、ガイドロッド33の鈍先端331の遠位末端部から遠位方向に切開し、クーパー靭帯の領域の組織の良好な切開を施すよう作用するとともに、鼠径輪の周囲で横方向に切開するようにも作用する。左右対称のまんたエイのような形状を利用することにより、バルーン361にその幅方向両側部の端部すなわちローブ部361a、361bを設けることが可能であり、これら端部すなわちローブ部は、膨張すると、バルーンの前方向への運動によって鼠径輪の周囲を下方向に切開するとともに、バルーン361を楔のように適所に割り入らせる。前方に延びる突出部362は、膨張すると、クーパー靭帯の周囲を下方向に切開する。このように、ヘルニア嚢を減らし、ヘルニア修復術を進める前に、一度で所望の解剖学的構造の全てを露出させる腹膜外作業空間478を得ることが可能となる。このような大きな腹膜外作業空間を設けることにより、通常は、切開部を手で前に広げることは不必要である。バルーンは、処置手順が実施されることになる必要な解剖学的構造に適切に合致するような形状にされるのが好ましい。このため、バルーンは多様な異なる形状および/または寸法を採ることがある。バルーンは特定の形状を有しており、非エラストマー材から形成されているので、切開は所望の位置で起こることになるが、これは、バルーンがエラストマー材から形成されていて、一般に抵抗が最も低い経路を追従する傾向がある場合の事例には必ずしもあてはまらない。更に確実とされるのは、所望の位置で切開が起こることを確保する点であり、これは、図50に例示されているように、恥骨結合部468の下に位置している掘削ロッド333によってバルーンが適所に保持されているせいである。
バルーン361が収縮した後で、図示されているような充填管366によりバルーンアセンブリ312を把持し、切開部452を通して図69Dに矢印481で示されているような方向に収縮したバルーンを引き出すことができる。他方の手でハンドルアセンブリ337を適所に保持することができる。線378に沿って並んでいる線形の穿孔を破ることにより、バルーン361は、引っ張り出されながら、そのスリーブ376が掘削ロッドすなわちガイドロッド331から分断される。ガイドロッド331は適所に残り、設けられた腹膜外空間への容易な入口を保存する。バルーン361は廃棄処分される。
バルーン361を除去した後で、左手を使ってカニューレ302を握りながら、右手をハンドルアセンブリの上位ハンドル部すなわち第1ハンドル部336に絡ませるようにしてもよい。次いで、右手の指を両側のラッチ部材339に絡ませて、カニューレ302からハンドル336を取外し、カニューレを切開部の中へと図69Eに例示されている矢印42の方向に前進させることができる。ガイドロッド333を引き続き除去し、皮膚シールの前方運動を進めて所望の位置に到達させる。
皮膚シールバルーンが組織の2つの切開層の間に位置している場合には、図69Fに例示されているように、皮膚シールバルーンはバルブまたは注射器を用いて膨張させられ、皮膚シールアセンブリ701の弾性の皮膚接触部708は適所に移動させられて、適所にロックされる。皮膚シールバルーン702からガスが逃げ出すのを防止する措置工程が採られる。これには、止め栓の作動、または、従来型のチェック弁の使用が含まれることがあるが、これらに限定されない。
図69Fに例示されているように、矢印483で示された方向にハンドル部336を後退させ続けることで、カニューレ321と患者451からの掘削ロッド336の除去が達成される。この引張り運動を続けると、鈍先端331は掘削ロッドガイドアセンブリ600の遠位端に係合し、引出す力が端部カラー604に付与されるようにすることで、第1ショルダー部614からフィンガー610を自動的に外れさせる。これにより、掘削ロッドガイドアセンブリ600を掘削ロッド333と一緒にカニューレ管321を通して除去することができる。これが可能になるのは、フィンガーが第2ショルダー部616へと降りた時には、鈍先端331の直径が、カニューレ管321の内部を通過できるとともにハウジング326に設けられた弁を通過できる大きさになっているからである。掘削ロッドガイドアセンブリ600を保持しているガイドロッド333を引き出す際には、ロッドは継続的にガイドカラー608とガイドスリーブ602により案内され、従って、カニューレ管321に関して中心に位置決めされたままになり、カニューレ管321の遠位端323におけるどのような切断動作も回避することになるのが分かる。ガイドカラーフィンガー610は実質的に掘削ロッドガイドアセンブリ600の遠位端に位置しており、従って、医者には接近できず、掘削ロッド333の鈍先端331がカニューレ管に入りかける間際まで、医者がカニューレ管321の中にガイドカラー608を移動させない、或いは、移動させることができないことを確実にしている。
腹膜外作業空間で実施されるべき外科手術処置手順を施する目的で付加的外科手術用機具を導入する経路となる患者の腹部の多様な位置に、別なカニューレを導入することができる。腹膜外作業空間で達成されるべきヘルニア修復処置手順の残りは、前述のものと実質的に同一であるため、詳細には説明しない。例えば、ここでは、陰嚢に入って典型的な間接ヘルニアを形成することで、ヘルニア嚢が患者に形成されてしまったと想定する。ヘルニア嚢は引き出されて、前述の態様で結紮される。その後、前述のような1枚のメッシュを別な部位を通して導入し、ヘルニア嚢が先に通った領域を覆うように巻き広げることができる。次いで、例えばクーパー靭帯などに沿って、メッシュは適所にステープルで鉤留めされる。ヘルニア修復術が完了した後、止栓弁328を開き、腹膜外作業空間に入っていたCO2を大気中に放出することにより、腹膜外作業空間は収縮させられ、腹壁層をそれぞれの正常位置まで戻すことができ、ヘルニア部位を覆って設置されていたメッシュを維持するのを助けることができる。
装置がユーザーに対して一層親切設計となるようにするために、他の部品に関して手術のために移動させられる部品は色コードが付されており、例えば、移動させるべき部品は黒に着色され、残りの部品は灰色や白色のような別な色にしてもよい。この例では、ラッチ部339、349は、ハンドル部を分離させるのに移動させられなければならないため、黒色である。
鈍塞栓具先端331がカニューレ管321の内径よりも小さくなるように寸法設定することと、塞栓具アセンブリ600の動作とは、先端331とカニューレ管321の間で組織が捕縛状態になったり圧迫状態になることがないことを確実にするのに役立つ。更に、前述のように、塞栓具先端331は両方向に先細りにされて中心から遠ざかるにつれて小径となり、先端331とカニューレ管321の間で組織が捕縛状態になる可能性も最小限に抑制することにより、剪断動作が起こらないことを確実にしている。
止栓弁を利用してガスの侵入と、皮膚シールバルーン702および切開バルーン312からのガス排出とを制御する場合には、先行技術のハーネスに優る幾つかの利点として、使用が簡単であること、接続がより簡単であること、経費がより低いことが挙げられるが、これらに限定される訳ではない。多様なコネクタを止栓弁の開口部に取り付けて、多様なホース、ポンプ装置、または、注射器への接続を容易にすることができる。これらは具体例として、スクリュータイプのコネクタ、棘状のコネクタ、或いは、クランプ型のコネクタを含む。弁、シール、コネクタ、クランプ、管が当業者には公知であり、それゆえに、ここではそれ程詳細には説明されていない。
Claims (24)
- 解剖空間を設ける装置であって、
遠位端および近位端を有しているカニューレを備えており、近位端は少なくとも1つのポートを有しており、カニューレはその中を通る管腔を有しており、
カニューレの遠位端の外面に配置された皮膚シールバルーンを更に備えており、皮膚シールバルーンは少なくとも1つのポートのうちの1つと流体連絡状態にあり、
遠位端および近位端を有している掘削シャフトを更に備えており、掘削シャフトは遠位端に拡大された鈍先端を有しており、拡大された鈍先端はカニューレの管腔内に嵌合するようにされており、
掘削シャフトの近位端のハンドルを更に備えており、ハンドルはカニューレの近位端に取外し自在に接続するように構成されており、
掘削シャフトの長さの一部と関連しているバルーンと、
バルーンおよび掘削シャフトを概ね包囲しているバルーンカバーと、
遠位端を有するガイドと、を備え、ガイドは、掘削シャフトが近位方向に移動されたとき、鈍先端がガイドの遠位端と係合するように、掘削シャフトとカニューレの間に移動可能に受け入れられ、
ガイドは、
遠位端を有し、掘削シャフトの周囲に配置されたスリーブと、遠位端に固定的に配置された端部カラーと、端部カラー近位のスリーブに固定的に配置された第1カラーと、スリーブにスライド可能に配置されたガイドカラーと、を備え、ガイドカラーは第1カラーと係合する近位部分を有し、ガイドカラーは、近位部分と第1の直径を有する第1カラーの第1の領域とが係合する第1の状態から、近位部分と第1の直径とは異なる第2の直径を有する第1カラーの第2の領域とが係合する第2の状態へ移行し、掘削シャフトとガイドとの間の相対近位移動は、ガイドカラーを第1の状態から第2の状態に移行させ、ガイドカラーは、第2の状態においてカニューレの管腔内で移動可能であり、ガイドカラーは、第1の状態においてカニューレと係合するように拡大可能であることを特徴とする、装置。 - 前記掘削シャフトの一部は前記カニューレの内部にあり、掘削シャフトの前記遠位端の一部はカニューレから突出している、請求項1に記載の装置。
- 前記バルーンは、前記カニューレから突出している前記掘削シャフトの周囲に概ね載置されている、請求項1に記載の装置。
- 前記カニューレに取外し自在に接続されているポートカバーを更に備えており、ポートカバーは、カニューレに接続されている時は、前記少なくとも1つのポートへの空気の接近を拒絶するように構成されている、請求項1に記載の装置。
- 前記カニューレの前記管腔を利用して前記掘削シャフトを案内するように構成された掘削シャフトガイドを更に備えている、請求項1に記載の装置。
- 前記掘削シャフトガイドは前記掘削シャフトに滑動自在に接続されているカラーを有している、請求項5に記載の装置。
- 前記バルーンは、収縮状態において前記掘削シャフトに沿って配置され、前記バルーンカバーは、バルーンからバルーンカバーを取り外すことができるように、長軸線方向に延びている弱化領域を有する、請求項1に記載の装置。
- 前記バルーンと前記近位端の中間に位置する前記カニューレのクランプを更に備えており、クランプはカニューレを患者に一時的に固着させるように構成されている、請求項7に記載の装置。
- 前記クランプは、患者の皮膚に係合させる弾性の皮膚接触部を更に有しており、それにより、弾性の皮膚接触部と前記皮膚シールバルーンの中間に位置する皮膚を圧迫する、請求項8に記載の装置。
- 前記バルーンカバーが除去された後で前記バルーンを膨張させて、解剖空間を設ける手段を更に備えている、請求項7に記載の装置。
- 前記収縮状態のバルーンは、収縮状態のバルーンに入る流体流を制御するように構成されている止栓弁を更に有している、請求項7に記載の装置。
- 前記バルーンと流体連絡状態にあるポートを更に備えている、請求項7に記載の装置。
- ハンドルは、鞘部材が前記バルーンから取り外されてしまうまで、前記ポートを被覆するように構成されている、請求項12に記載の装置。
- 前記ポートに接続された止栓弁を更に備えている、請求項12に記載の装置。
- 前記ガイドは前記管腔内で前記掘削シャフトを概ね中央に位置決めするように構成されている、請求項1に記載の装置。
- 更に、前記管腔と流体連絡状態になるように、前記カニューレに設けられた少なくとも1つの流体ポートを有し、前記ハンドルは、バルーンカバーがバルーンを包囲しているとき前記少なくとも1つの流体ポートを被覆するように構成され、バルーンカバーは、バルーンカバーのバルーンからの取り外しを容易にするように、バルーンカバーの長軸線方向に延びている弱化領域を有する、請求項1に記載の装置。
- 前記バルーンは、収縮状態で前記掘削シャフトの横に並んで配置されている、請求項16に記載の装置。
- 前記ハンドルは、前記管状部材にハンドルを固着させる顎部を有している、請求項16に記載の装置。
- 前記ハンドルは、前記少なくとも1つの流体ポートが突出して入り込んでいる概ね凹状の陥凹部を有している、請求項18に記載の装置。
- 前記ハンドルは、ハンドルの取外しを容易にするフックを有している、請求項18に記載の装置。
- 前記カニューレの端部に皮膚シールを更に備えており、皮膚シールは、前記少なくとも1つの流体ポートのうちの1つと流体連絡状態にある少なくとも1つのバルーンを有している、請求項16に記載の装置。
- 前記バルーンカバーは剛性プラスチック材から形成されている、請求項16に記載の装置。
- 前記ハンドルおよび前記バルーンカバーを前記カニューレに取外し自在に固着させる手段を更に備えている、請求項16に記載の装置。
- 前記管腔は、前記管腔を通ってガスが逃げ出すのを抑止する少なくとも1つのシールを有している、請求項16に記載の装置。
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