JP4795689B2 - 植物または植物細胞において遺伝子発現を制御する方法 - Google Patents

植物または植物細胞において遺伝子発現を制御する方法 Download PDF

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Description

本発明は遺伝子改変された植物または植物細胞を制御する方法、特に遺伝子改変された植物または植物細胞において目的の細胞プロセスを制御する方法に関する。本発明の方法は例外的な生物学的安全性を有する。本発明はさらに、該方法に適合させた遺伝子改変された植物、そして本発明の方法に従って制御されている遺伝子改変された植物に関する。さらに、本発明は目的の細胞プロセスを制御することにより、遺伝子改変された植物において産物を製造する方法に関する。本発明の方法は、過渡的にまたは安定に遺伝子改変された植物における導入遺伝子発現の選択的制御を可能にし、それにより、該植物において、それ以前には機能不可能である目的の細胞プロセスに、任意の所定の時間に、選択的にスイッチを入れることができる。
植物において制御可能な導入遺伝子発現システム
植物バイオテクノロジーにおける1つの主要な問題は、導入遺伝子発現の信頼可能な制御の達成である。植物における遺伝子発現の厳重な制御は、もし導入遺伝子の下流産物が、例えば、生分解性プラスチック(Nawrath、Poirier&Somerville、1994、Proc.Natl.Acad.Sci.91、12760−12764;John&Keller、1996、Proc.Natl.Acad.Sci.93、12768−12773;US6103956;US5650555)またはタンパク質毒素(US6140075)のように、生長抑止的または毒性であるとすれば必須である。植物における遺伝子発現を制御するために現存している技術は、通常、組織特異的および誘導可能プロモーターに基づいており、そして実際的にはそれらのすべては、誘導されない場合でさえも基礎発現活性を示すのが欠点であり、即ち、それらは「漏出性」である。組織特異的プロモーター(US05955361;WO09828431)は強力な道具の代表であるが、それらの使用は、応用の非常に特異的領域、例えば、繁殖不能植物を産生するため(WO9839462)、または種子中で目的の遺伝子を発現するため(WO00068388;US05608152)に限定されている。誘導可能プロモーターはそれらの誘導条件に従って、2つの範疇に分割することができる:非生物的因子(温度、光、化学物質)により誘導されるもの、そして、例えば、病原体または害虫攻撃のような生物学的因子により誘導可能であるもの。第1の範疇の例は熱誘導可能(US05187287)および低温誘導可能(US05847102)プロモーター、銅誘導性システム(Mettら、1993、Proc.Natl.Acad.Sci.90、4567−4571)、ステロイド誘導性システム(Aoyama&Chua、1997、Plant J.11、605−612;McNellsら、1998、Plant J.14、247−257;US06063985)、エタノール誘導性システム(Caddickら、1997、Nature Biotech.16、177−180;WO09321334)およびテトラサイクリン誘導性システム(Weinmannら、1994、Plant J.、559−569)である。植物のための化学的誘導性システムの領域における、最新の開発の1つは、グルココルチコイド デキサメタゾンによりスイッチを入れ、そしてテトラサイクリンによりスイッチを切ることが可能であるキメラプロモーターである(Bohnerら、1999、Plant J.19、87−95)。化学的に誘導可能なシステムについての総説は、Zuo&Chua(2000、Current Opin.Biotechnol.11、146−151)を参照されたい。誘導可能プロモーターの他の例は、植物における病原性関連(PR)遺伝子の発現を制御するプロモーターである。これらのプロモーターは、病原体攻撃に応答した植物シグナル伝達経路の重要な成分であるサリチル酸、もしくは、PR遺伝子発現の引金を引くことができる他の化学化合物(ベンゾ−1,2,3−チアジアゾールまたはイソニコチン酸)で、植物を処理することにより誘導することが可能である(US05942662)。
ウイルス感染により提供されるウイルスRNA/DNAポリメラーゼを使用する、制御可能導入遺伝子発現システムが報告されている(例えば、US6093554;US5919705を参照されたい)。これらのシステムにおいて、組換え植物DNA配列は、ウイルスRNA/DNAポリメラーゼにより認識されるウイルスゲノムからのヌクレオチド配列を含んでいる。これらのシステムの有効性は、トランスでの機能を提供する、ウイルスポリメラーゼの低い能力、およびRNA増幅以外のプロセスを制御することついて無力であることにより制限される。別の方法は、遺伝子改変された植物における生化学的プロセスのためのスイッチをコードしている異種核酸を提供する、遺伝子改変されたウイルスを使用することにより、トランスジェニック植物で目的のプロセスの引金を引くことである(WO02068664)。
上に説明したシステムは、導入遺伝子発現の所望のパターンを得るための機会としては非常に興味のあるところではあるが、誘導剤(銅)またはその類似体(ステロイド制御可能システムの場合ではブラシノステロイド)は残留発現を起こすのに十分なレベルで植物組織中に存在することが可能であるので、発現パターンの厳密な制御が不可能である。加えて、化学誘導剤としての抗生物質およびステロイドの使用は望ましいものではなく、そして大規模応用は経済的に実行不可能である。導入遺伝子の制御手段として、PR遺伝子またはウイルスRNA/DNAポリメラーゼを使用する場合、偶然の病原体感染またはストレスが発現を起こすことができるので、導入遺伝子発現の厳密な制御に対する要求も満たされない。組織または器官特異的プロモーターは、特異的な器官または植物生長の段階に発現が限られ、スイッチを入れるべき導入遺伝子は随意に可能ではないので、非常に狭い領域の応用に制限されている。WO02/068664に記載されているような組換えウイルススイッチは、これらの問題に取り組んでいるが、ウイルスベクター中の異種核酸は組換わることが可能であるため、厳密な環境安全要求を保証していない。
ウイルス遺伝子またはウイルスRNAの変異型の発現によるウイルス耐性植物の設計を記載している、特許出願を含んだ多くの文献が存在する(例えば、US5792926;US6040496)。しかしながら、挑戦しているウイルスおよびトランスジェニックウイルスRNAまたはDNA間の組換えによる新規ウイルス形成の可能性のため、こうしたウイルスの使用に付随する環境リスクが存在する(Adair&kearney、2000、Arch.Virol、145、1867−1883)。
Hooykaasおよび共同研究者(2000、Science、290、979−982;WO01/89283)は、植物細胞内へのアグロバクテリウム仲介レコンビナーゼ移行のため、Creレコンビナーゼとvir遺伝子断片の翻訳融合の使用を記載している。Cre仲介植物内組換え事象は、選択可能表現型を生じた。Creレコンビナーゼの移行は、植物細胞中で目的のプロセスの引金を引くためのスイッチとして、移行タンパク質の最初の使用である。しかしながら、移行は必ずしもDNA転移を伴わないにもかかわらず、植物病原性の遺伝子改変された微生物(アグロバクテリウム)はスイッチングタンパク質Creレコンビナーゼの完全コード配列を所有しているので、このアプローチは高レベルの安全性を保証しない。さらに、目的のプロセスは、スイッチングタンパク質を受け取った細胞中でのみ引金を引くことができる。もし大きな集団の細胞を処理しなければならないならば、細胞の総数に対して、スイッチングタンパク質を受け取っている細胞の比は非常に小さくなる。Hooykaasの方法はそれ故、植物全体へ応用することができない。その代わりとして、その有用性は組織培養または細胞培養中の細胞へ限定される。さらに、この方法は細胞培養(実験室規模)に限定されているので、大規模または農場応用としての環境安全性の心配は生じない。
それ故、植物における目的の細胞プロセスのスイッチを入れる、環境的に安全な方法を提供するのが本発明の1つの目的であり、それにより、細胞プロセスは任意の所定の時間に、選択的にスイッチを入れることができる。植物全体で目的の細胞プロセスのスイッチを入れる方法を提供するのが、本発明の別の目的である。トランスジェニック植物において産物を生産する方法を提供するのが本発明の別の目的であり、ここにおいて産物の生産は、植物が所望の段階へ生長した後に選択的にスイッチを入れることができ、それにより、該細胞プロセスに必要な遺伝子材料および制御機能をコードしている遺伝子材料が一緒に環境中に広がらないという点において、本プロセスは環境的に安全である。
発明の一般的説明
前記の目的は、遺伝子改変された植物または植物細胞を制御する方法により達成され、該方法は以下の工程を含む:
(a)遺伝子改変された植物または植物細胞を提供し、該植物または植物細胞は、タンパク質の第1の断片を含有するかまたはそれから成る第1のポリペプチドをコードしている異種核酸を含有する、
(b)該遺伝子改変された植物または植物細胞の細胞内へ第2のポリペプチドを導入する、該第2のポリペプチドは
(i)該タンパク質の第2の断片および
(ii)該遺伝子改変された植物または植物細胞の細胞内への該第2のポリペプチドの導入を可能にするペプチド配列、を含有し、
それにより該第1の断片および該第2の断片は、共同して存在している場合にのみ、該タンパク質の所定の機能を共同して発生させる。好ましくは、この方法は植物細胞に対立するものとして、植物に対して実施する。
本発明はまた、本発明の方法により得られたまたは得ることが可能な遺伝子改変された植物またはその部分も提供する。該植物の好ましい部分は葉および種子である。種子は、最も好ましい植物の部分の例である。
本発明はまた、タンパク質の第1の断片を含有するかまたはそれから成る第1のポリペプチドをコードする異種核酸を含有する、遺伝子改変された植物または植物細胞の細胞も提供し、それにより該遺伝子改変された植物または植物細胞および該タンパク質の第1の断片が、該タンパク質の該第1の断片および第2の断片の所定の機能を発生するように適合され、それにより、該第2の断片を含有するかまたはそれから成る第2のポリペプチドを導入することにより、該第2の断片を、該遺伝子改変された植物または植物細胞の細胞へ提供することが可能である。
さらに、本発明は遺伝子改変された植物または植物細胞を制御するためのシステムを提供し、該システムは上に定義したような遺伝子改変された植物または植物細胞を含み、それにより、該第1の断片および第2の断片が共同して、該タンパク質の所定の機能を発生することが可能なように、該遺伝子改変された植物または植物細胞および該第2のポリペプチドは設計されている。
本発明は、全植物において有効であり、そして同時に、温室または農場でのように大規模で使用される場合においてさえ環境的に安全である、遺伝子改変された植物またはその細胞を制御する方法を最初に提供する。本発明は、タンパク質の第1の断片を含有するかまたはそれから成る第1のポリペプチドをコードしている異種核酸を含有する細胞内へ、第2のポリペプチドを導入することにより、遺伝子改変された植物またはその細胞を制御することを可能にする。該第2のポリペプチドは該タンパク質の第2の断片を含有し、それにより該第1の断片および該第2の断片は、共同して存在する場合にのみ、該タンパク質の所定の機能を共同して発生させる。該タンパク質の該所定の機能は、タンパク質の任意の機能であることができる。好もしくは、該機能は酵素活性である。該所定の機能は、該第1および該第2のポリペプチドが植物中に、好ましくは該植物の少なくとも1つの細胞中に一緒に存在する場合にのみ現れる。該タンパク質の該所定の機能は、該第2のポリペプチドが、該第1のポリペプチドをコードしている該異種核酸を含有していない植物または植物細胞に導入されても発生されない。さらに、該タンパク質の該所定の機能は、該植物の細胞に該第2のポリペプチドが導入されない限り、該第1にポリペプチドをコードしている該異種核酸を含有する植物では発生しない。
本発明の方法の工程(a)において、遺伝子改変された植物または遺伝子改変された植物細胞を提供する。植物が好ましい。高等植物、特に高等農作物植物が最も好ましい。該植物は、該植物の細胞が該遺伝子改変された植物を制御することに関与している異種核酸を含有するように遺伝子改変されている。工程(a)において提供された該植物は、トランスジェニック植物であることができ、それにより、該植物のほとんどまたは全ての細胞は、該細胞のゲノム内へ安定的に組み込まれている該異種核酸を含有する。該異種核酸は、核ゲノムまたはミトコンドリアまたは、好ましくは色素体のごとき細胞小器官のゲノム内へ安定的に組み込むことができる。色素体ゲノムへの該異種核酸の組み込みは、生物学的安全性の点から都合がよい。本発明の方法は、好ましくは、トランスジェニック植物で実施される。しかしながら、代わりに該植物は過渡的に修飾されてもよく、および/または該異種核酸は細胞(しかし他の細胞ではない)の分画に存在してもよい。過渡的に修飾された植物中の異種核酸は、細胞の該分画のゲノム中に安定的に組み込まれるか、またはエピソームに存在することができる。該植物の細胞の分画への該異種核酸の取り込みは、例えば、ウイルストランスフェクションまたはアグロバクテリウム仲介形質転換を使用して、該生物体を過渡的にトランスフェクトすることにより達成することができる。
該異種核酸は本発明の該第1のポリペプチドをコードしている。該第1のポリペプチドは、タンパク質の第1の断片を含有するかまたはそれから成っている。この目的のためには、該異種核酸は、該第1のポリペプチドを発現するためのプロモーターおよび発現に必要な他の制御要素を有していなければならない。該プロモーターは誘導可能、組織特異的または構成的プロモーターであることができる。もしそれが構成的プロモーターであるならば、該所定の機能は工程(b)の実施により発生させることができる。もしプロモーターが誘導可能であるならば、該所定の機能を発生させるためには、該第2のポリペプチドに加えてさらなるシグナルを必要とすることができる。さらに、該第1のポリペプチドの発現は、さらなる要素に依存するように作製することができ、それにより本発明の方法の環境安全性をさらに増加させることができる。
本発明の方法の工程(b)において、該第2のポリペプチドを、該遺伝子改変された植物または植物細胞の細胞内へ導入する。好ましくは、それは該異種核酸を含有する該植物の細胞内へ導入する。もし該植物がトランスジェニックであるならば、該第2のポリペプチドは、植物の任意の部分または任意の細胞へ原則として応用することができる。しかしながら、葉への応用が好ましい。もし該植物の細胞の分画のみが該異種核酸を含有しているとすれば、該第2のポリペプチドを、該第2のポリペプチドが該異種核酸を含有する細胞へ到達可能であるように植物へ応用する。
該第2のポリペプチドは(i)該タンパク質の第2の断片を含有している。さらに、該第2のポリペプチドは最も好ましくは(ii)該遺伝子改変された植物または植物細胞の細胞内への該第2のポリペプチドの導入を可能にするペプチド配列を含有している。項目(i)および(ii)のペプチド配列は重複することができる。
該第2のポリペプチドは、最も好ましくは工程(b)において、該遺伝子改変された植物の細胞内へ、該第2のポリペプチドまたはその機能的部分をコードしている核酸が導入されないように導入する。もし該第2のポリペプチドの部分が該第1のポリペプチドと共同して該所定の機能を発生可能であるならば、それは機能的である。該第2のポリペプチドは、該植物の細胞へ直接に応用することができる。直接応用とは、第2のポリペプチドを応用するため、工程(b)で使用される組成物中に、該第2のポリペプチドまたはその機能性部分をコードする核酸が含有されていないような、該第2のポリペプチドの応用を意味している。
該第2のポリペプチドを直接に応用することは、(i)粒子(微粒子)銃、(ii)該植物の少なくとも一部への該ポリペプチドの応用により、または(iii)該植物の組織中へ、該ポリペプチド含有溶液を注入することにより、行うことができる。方法(ii)および(iii)において、該ポリペプチドは典型的には、植物の部分へ応用される液体(好ましくは水性)組成物(または溶液)に含まれている。こうした組成物は、例えば、ポリペプチドを含有する該組成物を該植物へ噴霧することにより応用することができる。さらに、該組成物は(iii)に従って注入することができる。
方法(ii)および(iii)のためには、該第2のポリペプチドは好ましくは、該遺伝子改変された植物または植物細胞の細胞内への、該第2のポリペプチドの導入を可能にするペプチド配列として、膜移行配列(MTS)を含む。該膜移行配列は、該第2のポリペプチドへ共有結合でまたは非共有結合で結合することができる。該膜移行配列は、該第2のポリペプチドへ、該植物の細胞の原形質膜を通過する能力を授けるペプチドであることができる。多くのこうした膜移行配列が当該分野で知られている。しばしば、それらはいくつかの塩基性アミノ酸、特にアルギニンを含む。膜移行配列のサイズは大きく変化することができる、しかしながら、それらは典型的には3〜100のアミノ酸、好ましくは5〜60のアミノ酸を有することができる。該第2のポリペプチドは標準タンパク質発現技術により、例えば、大腸菌中で産生することができる。その発現後、該第2のポリペプチドの精製は好ましくは、特に該ポリペプチドをコードする核酸の除去または破壊により行う。核酸は、加水分解、好ましくはデオキシリボヌクレアーゼ(DNase)またはリボヌクレアーゼ(RNase)のごとき酵素で触媒することにより除去または破壊することができる。さらに、または加えて、該第2のポリペプチドから核酸を除去するために、クロマトグラフィー技術を使用することができる。該第2のポリペプチドは、例えば、該第2のポリペプチドを含有する液体組成物、好ましくは水性溶液で該植物を噴霧することにより、植物へ応用することができる。好ましくは、植物の細胞内へ該第2のポリペプチドが入ることを容易にするため処置、特に、植物細胞壁および/または外側植物層の通過を可能にする処置を講じる。こうした処置の例は、例えば、機械的にかき傷をつけることにより、植物の一部をわずかに傷つけることである。別の例は、植物細胞壁を弱くするかまたは穴を開けるための、セルロース分解酵素の使用である。
工程(b)で細胞内へ該第2のポリペプチドを導入するために使用することができるさらなる技術は、宿主細胞内へポリペプチドを搬送することが可能な分泌システムを有する病原性微生物の使用である。該直接法におけるように、該第2のポリペプチドは、該第2のポリペプチドまたはその機能的部分をコードする核酸が導入されないように導入される。該第2のポリペプチドが該病原微生物中で発現でき、そして該植物の細胞内へ搬送できるように、該第2のポリペプチドは該微生物の核酸に発現可能なようにコードすることができる。こうした病原微生物の例は病原性または非病原性アグロバクテリウムであり、それにより、該第2のポリペプチドはTi−プラスミドのT−DNAにはコードされてなく、好ましくは該第2のポリペプチドは用いられたアグロバクテリウムのTi−プラスミド上にはコードされていない。病原微生物を使用して該遺伝子改変された植物または植物細胞の細胞内への該第2のポリペプチドの導入を可能にする、最も研究されたペプチド配列の例は、細菌細胞から植物細胞内へのタンパク質移行に必要とされるアグロバクテリウムのvirE2およびvirFタンパク質またはその断片である(Vergunstら、2000、Science、290、979−982;WO0189283)。さらに、ボウデテラ属、エルウィニア属、シュードモナス属、ザントモナス属、エルシニア属の病原微生物を使用することができる。エルシニア属に基づいた分泌システムは、例えば、WO9952563に記載されている。
上に説明したような本発明の方法の工程(b)を実施することにより、植物は該所定の機能を発生させることができる遺伝子材料と接触することがないため、非常に高レベルの生物学的安全性が達成される。その代わり、該所定の機能のための少なくとも1つの必須の成分が、該第2のポリペプチドとして(ゆえにコードしている遺伝子材料なしで)植物に好ましく提供される。
本発明の方法の工程(b)を実行した後、該第1のポリペプチドの該第1の断片および該第2のポリペプチドの該第2の断片は、共同して存在する場合、該タンパク質の該所定の機能を共同して発生する。該所定の機能の発生は、該ポリペプチドまたは断片間の共有結合的または非共有結合的結合の形成により達成することができる。非共有結合的結合の形成は、お互いに特異的親和性を有する該ポリペプチドにより助力されることができる。好ましくは、インテイン仲介トランススプライシングにより、またはインテイン仲介親和性相互作用により、該第1のポリペプチドおよび該第2のポリペプチドは共同して該所定の機能を発生する。それ故、発生された所定の機能を有しているタンパク質は、本明細書においてまた「タンパク質スイッチ」とも称される。該タンパク質スイッチの該所定の機能は、例えば、目的の該細胞プロセスを制御するための他の成分に作用することができる、結合活性または酵素活性であってもよい。該タンパク質スイッチのさらなる所定の機能または活性は以下に説明されている。
該第1の断片および該第2の断片は一般に、機能が本発明の方法において(再)発生されるべきタンパク質の断片である。本発明の方法を実施することは典型的には、該第1(特に工程(a)を実施するための)および第2のポリペプチドをコードする核酸の産生を必要とする。該第1のポリペプチドをコードする配列は、工程(a)の該異種核酸にコード化されている。該第2のポリペプチドは別に、例えば、大腸菌のような細菌中で発現することができる。
該第1および第2の断片をコードする核酸を産生することは、該タンパク質をコードするヌクレオチド配列を2以上の断片に分割することを含むことができる。好ましくは、該タンパク質をコードする該ヌクレオチド配列は2つの断片に分割され、それ故、ヌクレオチド配列の5’および3’部分が得られる。該5’部分は該第1の断片に本質的に対応することができる。該5’および該3’部分はまた、該タンパク質をコードしている遺伝子から誘導することができる調節配列を含有することもできる。該ヌクレオチド配列は典型的には、所定の機能を有するタンパク質のコード配列(または読み取り枠)である。該断片を得るため、該ヌクレオチド配列は好ましくは、発現により得られる各々の断片が、他の断片の非存在下では該所定の機能を発生できないように分割される。各々の断片は、所定の機能を有するタンパク質の機能に必要な配列部分を含有する。例えば、もし該タンパク質が酵素であるならば、各々の断片は好ましくは、酵素の触媒または基質結合に必要なアミノ酸を含有する。もし該所定の機能の発生がすべての該断片を必要とすれば、該所定の機能を有するタンパク質は多くの方法で該断片へ分割することができる。該タンパク質について知られている構造的および機能的情報は、該ヌクレオチド配列の適した分割部位を見出すための助けとなることができる。どの場合においても、無作為に選択された部位で分割することにより発生された断片が、該ヌクレオチド配列によりコードされている所定の機能を発現できるかどうかを、容易に実験的に決定することができる。
もし所定の機能の発生がインテイン仲介トランススプライシングにより行われるならば、該第1および該第2の断片をコードしているヌクレオチド配列は、次ぎにインテイン断片をコードしている核酸と繋ぎ合わされる。その結果、該第1のポリペプチドをコードしている核酸および該第2のポリペプチドをコードしている核酸が得られる。該ポリペプチドはタンパク質トランススプライシングが可能であろう。該トランススプライシングにより、該第1および該第2の断片は、ペプチド結合形成により連結される。本発明で使用するためのトランススプライシングインテインは、真核生物、古細菌および真正細菌を含む、異なった生物体の核小体および細胞小器官ゲノムから選択することができる。本発明の実施のために使用することができるインテインは、http://www.neb.com/neb/inteins.htmlに掲げられている。また、本明細書に援用した文献に述べられているインテインも使用することができる。インテインの選択は、コンセンサス配列ならびに有効なトランススプライシングに必要とされる条件に依存してもよい。
目的の該細胞プロセスは、しばしば、該細胞プロセスが制御されるかまたはスイッチが入れられるべき該植物の細胞において、1以上の追加の異種核酸を必要とする(図8を参照されたい)。該タンパク質の該所定の機能は、該追加の異種核酸に作用し、目的の該細胞プロセスのスイッチを入れる。該追加の異種核酸は、該植物の全ての細胞または細胞の分画に存在することができる。それは、該生物体の核または細胞小器官ゲノムに安定に取り込まれることができる。本発明の該異種核酸に関するものは、一般に該追加の異種核酸にも適用される。好ましくは、該植物は該追加の異種核酸に関して、そして該異種核酸に関してトランスジェニックである。該異種核酸および該追加の異種核酸は、例えば、それら両方を含有する大きな異種構築物上で、本発明の工程(a)において一緒に該植物細胞内へ導入されることができる。
目的の該細胞プロセスに関しては、特定の制限は存在せず、そして本発明は非常に広範な応用性を有している。目的の該細胞プロセスは、該追加の異種核酸からの、または該追加の異種核酸を含む、DNA、RNAまたはタンパク質の形成であることができ、または含むことができる。目的の該DNA、該RNAまたは該タンパク質の形成を達成するためには、多くの可能性が存在する。発生される所定の機能を有する該タンパク質は、例えば、該追加の異種核酸、例えば、プロモーターに対して結合活性を有しているセグメントを含むことができる。該セグメントは次ぎに、例えば、該異種核酸の転写を誘導する転写因子として働くことができ、従ってRNAおよび目的のタンパク質形成の引き金を引くことができる。
好ましくは、該タンパク質は、目的の該DNA、該RNAまたは該タンパク質の形成の引き金を引くことが可能な酵素活性を有しているセグメントを有する。こうした活性の例は、部位特異的レコンビナーゼ、フリッパーゼ、リゾルバーゼ、インテグラーゼ、ポリメラーゼまたはトランスポザーゼの活性のようなDNAまたはRNA修飾活性である。該酵素活性は該追加の異種核酸を修飾することができ、例えば、組換えにより、目的のタンパク質の発現を導いている。該タンパク質(該タンパク質スイッチ)がポリメラーゼ活性を有する態様において、該セグメントは、該追加の異種核酸のプロモーターに作用するDNA依存性RNAポリメラーゼであることができる。該プロモーターは好ましくは、該植物の自然のポリメラーゼには認識されない。こうしたプロモーター−ポリメラーゼシステムの例は、T7プロモーター−T7ポリメラーゼのような、細菌、ウイルスまたはバクテリオファージプロモーター−ポリメラーゼシステムである。さらに、目的の該細胞プロセスは、該追加の異種核酸から、または該追加の異種核酸のRNA発現産物から、発現可能なオペロンの形成を導くこともできる。
さらに、該追加の異種核酸から形成された目的の該DNA、該RNAまたは該タンパク質は、該植物の他の細胞へ伝搬することが可能であることもできる(例えば、DNAまたはRNAウイルスベクター)。こうした細胞プロセスの重要な例は、該追加の異種核酸から、または該追加の異種核酸のRNA発現産物からの発現可能アンプリコンの形成である。該アンプリコンは、その活性化または形成が起こる細胞内で増幅することが可能である(増幅ベクター)。該アンプリコンは、目的の該細胞プロセスで発現されるべき目的の遺伝子を含有する、発現可能アンプリコンであることができる。さらに、該アンプリコンは、本発明の植物における細胞間移行または浸透移行が可能である。アンプリコンは、植物DNAまたはRNAウイルスに基づくことができる。トバモウイルスのような植物RNAウイルスが好ましい。伝搬することが可能な目的の該タンパク質の増幅特性(下記参照)および該アンプリコンは、相乗的に挙動することができ、従って、該植物の重要な部分に伝搬する、非常に強い目的の細胞プロセスを可能にしている(例えば、該アンプリコンからの目的のタンパク質の非常に強い発現を導いている)。トバモウイルスに基づいたアンプリコンの工学は当該分野で既知である(例えば、Dawsonら、1989、Virology、172、285−293;Yusibovら、1999、Curr.Top.Microbiol.Immunol.240、81−94を参照されたい;総説としては「植物ウイルスを用いた遺伝子操作」、1992、WilsonおよびDavies編、CRC Press,Inc.を参照されたい)。
該所定の機能を有している該タンパク質は、以下のように、該追加の異種核酸からの、目的のDNA、RNAまたはタンパク質の形成のスイッチを入れることができる。該追加の異種核酸の配列部分は、該タンパク質の作用により転写プロモーターへ機能可能であるように連結することができ、例えば、目的の該タンパク質をコードしている配列またはRNAアンプリコンとプロモーターを機能可能なように連結することにより、例えば、該追加の異種核酸から、目的のタンパク質の発現、またはRNAウイルスアンプリコンの転写のスイッチを入れることを可能にする。実施するためにこの態様を減少させるいくつかの方法が存在する。該追加の異種核酸において、1つの選択肢は、下記の配列間の機能的連結を排除する配列遮断により、RNAアンプリコンをコードしている配列(または目的のタンパク質をコードしている配列)およびプロモーターを分離することである。該配列遮断は、該遮断が該所定の機能を有している該タンパク質のレコンビナーゼ機能により取り除くことが可能なように、組換え部位に隣接することができ、それによりレコンビナーゼは該組換え部位を認識することができる。それにより、RNAアンプリコンをコードしている配列の転写のための機能的連結を確立することができ、発現のスイッチを入れることができる。別の選択肢は、フリップ(flip)された配向での、および組換え部位に隣接した転写(例えば、プロモーターまたはプロモーター部分)に必要な配列部分を有することである。適した所定のレコンビナーゼ機能を有している該タンパク質の発生後、該レコンビナーゼは該配列部分をフリップさせて正しい配向へ戻すことができ、それにより機能的連結を確立することができる。
本発明の主たる態様において、目的の該細胞プロセスは、該追加の異種核酸からの目的のタンパク質の形成を含んでおり、それにより、目的の該タンパク質は植物内に伝搬することが可能である、即ち、その形成された細胞を離れそして該植物の他の細胞へ入ることが可能である(「伝搬性タンパク質」;もし伝搬性タンパク質がスイッチング機能を発揮することができれば、用語「タンパク質スイッチ」が伝搬性タンパク質にも適用される)。他の細胞において、該タンパク質(タンパク質スイッチ)は、特に追加の異種核酸を制御することにより、目的の細胞プロセスのスイッチを入れることができる。該細胞を離れることおよび他の細胞に入ることは、好ましくは、該植物中における、またはその部分における、細胞間移行または浸透移行を含む。該タンパク質(タンパク質スイッチ)は、好ましくは、該タンパク質スイッチが該細胞を離れることおよび他の細胞に入ることを可能にするタンパク質部分を含有する。該タンパク質部分は、ウイルス移動タンパク質またはウイルスコートタンパク質のドメインであることができる。さらに、該タンパク質部分は、細胞間移行または浸透移行が可能な、植物または動物転写因子、または植物または動物転写因子のドメインであることができる。さらに、該タンパク質部分は、植物または動物ペプチド細胞内メッセンジャー、または植物または動物ペプチド細胞内メッセンジャーのドメインであることができる。さらに、該タンパク質部分は、細胞間移行または浸透移行を可能にすることができる人工ペプチドであることができる。しかしながら、好ましくは、該タンパク質部分は、ウイルス移動タンパク質またはウイルスコートタンパク質またはウイルス移動タンパク質またはウイルスコートタンパク質のドメインであるかまたはそれらを含む。
伝搬可能な該タンパク質スイッチが、該異種核酸または該追加の異種核酸を含有する他の細胞へ入った場合、(追加の)異種核酸からの該タンパク質の発現のスイッチを入れる(誘導する)ことが可能であるのが好ましい(図8参照)。このタンパク質(タンパク質スイッチ)を使用することにより、本方法の方法は、該第2のポリペプチドにより外部から提供されたスイッチングシグナルを該植物中で増幅および伝搬することを可能にする。特に、もし該第2のポリペプチドが到達した細胞の数が少なければ、スイッチングシグナルは、該植物中のさらなる細胞へ効果的に運ばれる。該タンパク質スイッチが、該異種核酸からのそれら自身の発現を制御することを可能にするには、多くの方法が存在する。これらの方法は、前記工程(b)の該ポリペプチドで用いることができる方法に対応している。
それ自身の発現を制御する能力は別にして、タンパク質スイッチ(該所定の機能を有している該タンパク質または該追加の異種核酸から発現された該タンパク質)は、好ましくは目的の細胞プロセスのスイッチを入れる能力を有している。細胞プロセスのスイッチを入れることが好ましいが、スイッチが入れられた細胞プロセスの最終結果はまた、植物の細胞プロセスを抑制またはスイッチを切ることでもあることができることは、当業者には明らかである。目的の該細胞プロセスのスイッチを入れることが可能であるために、該タンパク質スイッチは、該細胞プロセスを制御することが可能であるセグメントを有することができる。該セグメントは目的の該細胞プロセスに必要な核酸(特に、追加の異種核酸)を制御する、結合活性または酵素活性を有することができる。本発明の方法において、該タンパク質スイッチは、追加の異種核酸からのそれ自身の発現を制御することと同様に、該細胞プロセスのスイッチを入れることを達成することができる。この目的のため、該タンパク質スイッチは、該細胞プロセスを制御するためのセグメント、そして該タンパク質の該発現を起こすためのセグメントを有することができ、そのため、該2つのセグメントの制御機構は異なっていることができる。好ましくは、2つの制御機構は類似しているか同一であり、該制御タンパク質の1つのセグメントが、該細胞プロセスのスイッチを入れるため、および該タンパク質の発現を制御するために十分であることができる。従って、簡素化のため、該タンパク質スイッチは、最も好ましくは、細胞を離れそして該植物の他の細胞に入る能力を該タンパク質に賦与する、該1つのセグメントおよび部分を含有している。
しかしながら、本明細書に記載したようにスイッチが入れられた目的の細胞プロセスは、全植物に影響しなくてもよい。代わりに、目的の該細胞プロセスは、種子または葉のような該植物の一部へ制限されていてもよい。しかしながら、好ましくは、目的の細胞プロセスは該植物の実質的部分に影響する。該細胞プロセスのスイッチが入れられる植物の部分は、該第2のポリペプチドが応用される場所に、とりわけ依存している。一般に、目的の該細胞プロセスは、該第2のポリペプチドが応用される場所の近辺で最も強く、そして該場所からの距離が増加するにつれて減少することができる。該減少は、一般に異方性であり、該第2のポリペプチドが応用された該植物の組織の構造に依存することができる。例えば、もし目的の細胞プロセスのスイッチを入れるべき(例えば、目的の遺伝子の発現のスイッチが入れられるべき)であり、そして該第2のポリペプチドが植物の葉の分画に応用されるなら、目的の該細胞プロセスは典型的には、該葉の該分画内で、および該葉の該分画の近辺で生じる。好ましくは、目的の該細胞プロセスは該葉の主要な部分で起こる。より好ましくは、目的の該細胞プロセスはまた、新芽および他の葉でも起こる。より好ましくは、目的の該細胞プロセスは、該植物の主要な部分で起こる。目的の該細胞プロセス(例えば、目的の遺伝子の発現)の程度は、例えば、細胞型または組織型により、該植物内で変化することができる。明らかに、該第2のポリペプチドの応用は、植物の表面上の単一地点には通常限定されない。好ましくは、該第2のポリペプチドは該植物のいくつかの部分に応用される(さらに以下を参照されたい)。
本発明に従った細胞プロセスは、植物の細胞中における多工程生合成経路のような目的の全生化学的カスケードを含むかまたは起こすことができる。目的の細胞プロセスまたは生化学的カスケードは、該第2のポリペプチドへ暴露されるより前には、植物中で機能的ではない。本発明の方法は、これまで達成できなかった技術的精度および環境的安全性で、目的の細胞プロセスまたは生化学的カスケードに対する制御を提供することができる。その結果、一般にバイオテクノロジー、特に植物バイオテクノロジーにおける新規出願は、植物における基礎導入遺伝子発現、特に毒性物質または生分解性ポリマーを産生する場合のように、慣用的な技術により解決できなかった問題を解決するために利用可能である。さらに、本発明に従った正確な制御は、トランスジェニック植物が所望の段階まで生長することを可能にし、そこでは例えば、植物の生長を遅延させる基礎発現活性で植物に負担をかけることなく目的の細胞プロセスを実施するために、植物は最適である。細胞プロセスを効率的に実施するための植物の準備が整ったら、目的のプロセスのスイッチを入れることができ、そして高い効率で実施することができる。従って、本発明の方法は、多細胞生物体、特にトランスジェニック植物の生長時期および産生時期を安全に切り離すことを可能にする。さらに、目的の多細胞プロセスまたは生化学的カスケードのための多成分システムを設計することが可能であり、それにより、1以上の所望のプロセスまたはカスケードを、選択的にスイッチを入れることが可能である。
発明の詳細な説明
本発明の基礎は、好ましくは細菌仲介された、タンパク質スイッチ断片をコードしている核酸配列の搬送を伴わない、該タンパク質スイッチ断片の植物細胞内への搬送の使用である。本発明の一般的原理は図1に示されている。
本明細書において、前に記載したようなスイッチング機能を有しているタンパク質は、タンパク質スイッチと称される。従って、例えば、該第1および該第2の断片により共同して発生される、該所定の機能を有している該タンパク質、または該追加の異種核酸から発現される、目的の該タンパク質のような、本明細書に記載した多様なタンパク質がタンパク質スイッチと称される。これらのタンパク質スイッチのスイッチング機能は異なっていてもよい(例えば、酵素活性は異なっていてもよい)。好ましくは、目的のプロセスを最も効率的に制御することが可能であるので、スイッチング機能は同一のものであることができる(例えば、すべてのタンパク質スイッチは特異的レコンビナーゼ活性を有することができる)。特に、タンパク質スイッチのスイッチング機能は共通に、即ち、連続的よりもむしろ平行して作用することができる。
「スイッチ」機能のためのタンパク質の選択
本発明の該所定の機能または該タンパク質またはタンパク質スイッチにより不可逆的に引き金を引くことができる、数え切れない数の目的の細胞プロセスが存在する。タンパク質スイッチは、例えば、多くの異なった方法で目的の導入遺伝子の発現を制御できる。例えば、それはDNA組換えまたは転写、RNAプロセッシングまたは翻訳、タンパク質翻訳後修飾などの引き金を引くことができる。加えて、それは植物細胞内への搬送すると同時に導入遺伝子により活性化でき、そしてその後スイッチとして機能することが可能である。本発明において、活性タンパク質スイッチは、アグロバクテリウム−搬送タンパク質スイッチ断片(該第2の断片)および植物細胞によりコードされている該タンパク質スイッチの別の断片(該第1の断片)間の親和性相互作用により形成することができる。該相互作用は、該断片間のペプチド結合形成により(図2Aおよび3B)またはなしで(図2Bおよび3B)、タンパク質スイッチ活性を回復することが可能である。明らかに、タンパク質スイッチの選択は、該植物中で制御されるべき細胞プロセスの設計/選択に依存している。該細胞プロセスは、該タンパク質スイッチが存在する細胞における、または該タンパク質スイッチにより侵入された細胞における、核酸再編成または修飾により制御、特にスイッチを入れることが可能である。こうした場合において、タンパク質スイッチは、部位特異的エンドヌクレアーゼ、レコンビナーゼ、メチラーゼ、インテグラーゼ、トランスポザーゼ、ポリメラーゼなどのようなDNAまたはRNA修飾酵素を含むことができる。
本発明における他の可能な所定の機能には、DNA制限および/またはDNA複製のごとき反応の引き金を引くことが含まれる。制限により引き金を引くことができる生化学的カスケードの例は2成分システムであり、ここにおいて、複製の起点を含み、そして核ゲノム内へ組み込まれているDNA配列が、DNA切断頻度が小さい制限酵素により特異的に切り出されそして常染色体複製プラスミド内へ転換されて、タンパク質スイッチとして働いており、従ってカスケードの引き金を引いている。
本発明に従った細胞プロセスのための、有効な引き金を引く装置として使用することができるRNA分子に影響する、多くの反応(所定の機能)が存在する。これらには、なかでも、RNA複製、逆転写、編集、サイレンシングまたは翻訳のごとき反応が含まれる。例えば、部位特異的レコンビナーゼ、インテグラーゼまたはトランスポザーゼがどのようにして、細胞、特に植物細胞において、DNA切除、反転または挿入により目的のプロセスの引き金を引くことができるかを詳細に記載している豊富な従来の技術が存在する(Zuo、Moller&Chua、2001、Nat.Biotech.19、157−161;Hoff、Schnorr&Mundy、2001、Plant Mol.Biol.45、41−49;US5225341;WO9911807;WO9925855;US5925808;US6110736;WO0140492;WO0136595)。バクテリオファージおよび酵母からの部位特異的レコンビナーゼ/インテグラーゼは、インビトロおよび植物および動物においてDNAを操作するために広く使用されている。本発明での使用のために好ましいレコンビナーゼ−組換え部位は以下のようである:Creレコンビナーゼ−LoxP組換え部位、FLPレコンビナーゼ−FRT組換え部位、Rレコンビナーゼ−RS組換え部位、ファージC31インテグラーゼ認識attP/attB部位など。トランスポゾンは、植物における遺伝子機能の発見に広く使用されている。本発明での使用のために好ましいトランスポゾンシステムには、Ac/Ds、En/Spm、「マリナー」ファミリーに属しているトランスポゾンなどが含まれる。
異種転写因子およびRNAポリメラーゼもまた、本発明に従ったタンパク質スイッチに使用することができる。例えば、T7プロモーターの制御下の導入遺伝子を運んでいる植物の細胞内へのT7ポリメラーゼの搬送は、こうした導入遺伝子の発現を誘導することができる。
バクテリオファージプロモーター(例えば、T3、T7、SP6、K11)の制御下にある目的の植物導入遺伝子の、植物の細胞中で組み立てられた対応するDNA/RNAポリメラーゼによる発現は、本発明で企図されているタンパク質スイッチの開発のための別の有効なアプローチであることができる。別の有用なアプローチはその活性化に異種または操作された転写因子を必要とする、異種またはキメラまたは他の人工プロモーターの使用であることができる。異種転写因子はまた、該転写因子−認識可能プロモーターの制御下にある目的の導入遺伝子の発現を誘導するために使用することも可能である。こうした転写因子の例には、限定されるわけではないが、酵母MT(メタロチオネイン)プロモーター中の酵母金属応答性ACE1転写因子結合特異的配列(Mettら、1993、Proc.Natl.Acad.Sci.90、4567−4571)、融合した6−亜鉛フィンガータンパク質2C7およびヘルペス単純ウイルスVP6転写因子活性化ドメインを有している転写因子のような、配列特異的DNA結合ドメインおよび活性化ドメインを有している、異なったキメラ転写因子(Ordiz、Barbas&Beachy、2002、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、99、13290−13295)、完全長434リプレッサーおよびVP16転写活性化因子のC末端80アミノ酸を有している転写因子(Wildeら、1994、Plant Mol.Blol.24、381−388)、ステロイド誘導性システムに使用される転写因子(Aoyama&Chua、1997、Plant J.11、605−612;McNellisら、1998、Plant J.14、247−257;US06063985)またはテトラサイクリン誘導性システムに使用される転写因子(Weinmannら、1994、Plant J.、559−569)であることが可能である。いくつかの場合、導入遺伝子発現のために存在する誘導性システムを使用することができる。もしくは、転写因子が活性状態へ駆動されるために、活性化リガンド誘導剤が必要とされないであろうように、異種転写因子を修飾することができる。キメラ転写因子は、高度に配列特異的なDNA結合因子および高度に有効な活性化ドメインを併用することを可能にし、従って、植物細胞内へのこうした因子の搬送後に最大の所望の効果を可能にしているので、本発明での使用のためにはこれらは都合がよいであろう。
本発明で企図された別のタンパク質スイッチは、異種核酸の1以上の発現産物の翻訳後修飾を実行することができ、それは発現産物の活性化を導くことができる。ポリペプチド折り畳み、オリゴマー形成、標的化シグナルの除去、プロ酵素の酵素への変換、酵素活性の遮断などのごとき工程を制御することにより機能する、こうしたタンパク質スイッチの多くの可能な実行が存在する。例えば、もし遺伝子操作された宿主がプロ酵素を特異的に切断、従ってそれを活性な酵素へ変換するならば、もし、標的化モチーフを切断または修飾する宿主の能力のため、生成物が特定の細胞区画を標的化するならば、またはもし、特異的結合配列の除去のため、生成物が特異的に動員されるとすれば、植物の細胞内への部位特異的プロテアーゼの搬送は、目的の細胞プロセスの引き金を引くことができる。翻訳融合タンパク質の切断は、ウイルス部位特異的プロテアーゼにより認識されるペプチド配列を経て、または触媒ペプチドを経て達成することが可能である(Doljaら、1992、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、89、10208−10212;Gophathら、2000、Virology、267、159−173;US5162601;US5766885;US5491076)。本発明に応用可能な特異的プロテアーゼの他の例は、哺乳動物エンテロキナーゼ、例えば、配列DDDK−Iを認識し、そしてLys−Ile結合を特異的に切断するヒトエンテロキナーゼ軽鎖(Kitamotoら、1994、Proc.Natl.Acad.Sci.91、7588−7592);Gly−Glyジペプチド間のタンパク質分解を触媒するが、切断部位の認識のために4アミノ酸を必要とする、Hc−Proのようなウイルスプロテアーゼ(Carrington JC&Herndon KL、1992、Virology、187、308−315);セムリキ森林ウイルスの部位特異的プロテアーゼ(Vasijevaら、2001、J Biol Chem.276、30786−30793);およびポリユビキチンプロセッシングに関与するプロテアーゼ、ユビキチン−カルボキシ末端ヒドロラーゼ(OSavaら、2001、Biochem.Biophys Res Commun.283、627−633)である。
該第2のポリペプチド(タンパク質スイッチ断片)の植物細胞内への病原体仲介搬送
植物病原体は、植物細胞内へエフェクタータンパク質を搬送するための非常に有効なシステムを有している。多くの植物および動物の病原性細菌は、植物細胞内へ直接エフェクタータンパク質を搬送するための特殊化した分泌システムを使用する。こうした分泌システムに関する多くの記述が文献に存在する、例えば、グラム陰性細菌のIII型分泌システム(Binetら、1997、Gene、192、7−11;Thanassi&Hultgren、2000、Curr.Opin.Cell Biol.12、420−430;Buttner&Bonas、2002、Trends Microbiol.10、186−192;Buttner&Bonas、2003、Curr.Opin.Plant Biol.、312−319)、プロテオバクテリアのタイプII分泌システム(Sandkwist、2001、Mol.Microbiol.40、271−283)。細菌からのタンパク質分泌の複数の経路がThanassiおよびHultgrenの総説に記載されている(2000、Curr.Opin.Cell Biol.12、420−430)。異なった植物病原性細菌のIII型分泌システムを、植物細胞内へ目的の異種タンパク質の搬送のために使用することが可能である。例えば、Hrp遺伝子クラスター(III型タンパク質分泌)がエルウィニア クリサンテミからクローン化されており(Hamら、1998、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、95、10206−10211);本発明に使用するために十分なシュードモナス シリンゲ分泌システムが詳細に説明されている(総説として、Jinら、2003、Microbes Infect.、301−310、を参照されたい);ザントモナス カンペストリスの分泌システムは徹底的に研究されている(Maroisら、2002、Mol.Plant.Microbe Interact.15、637−646;Szurekら、2002、Mol.Microbiol.46、13−23)。
好ましくは、宿主植物にほとんど損傷を与えない植物病原体を、本発明のために使用する。より好ましくは、宿主植物にどんな病気も起こさずに、目的の異種タンパク質を移送することができるように植物病原体を操作する。いくつかの非病原性細菌は、植物細胞内への目的の異種タンパク質の搬送に必要である、III型分泌システムの一部のみを所有するように操作することが可能である。アグロバクテリウム ツメファシエンスおよびアグロバクテリウム リゾゲネスのようないくつかのグラム陰性細菌がよく研究されており、そして植物細胞内へ組換えDNAを導入するために広く使用されている(Zambryski、1988、Annu.Rev.Genet.22、1−30;Hiei、Komari&Kubo、1997、Plant Mol.Biol.35、205−18;Newell、2000、Mol.Biotechnol.16、53−65)。これらはT−DNAを多くの植物種の核内へ搬送することが可能であり、そしてこうした輸送の機構は合理的によく研究されている(Hooykaas&Beijersbergen、1994、Annu.Rev.Phytopathol.32、157;Zupan&Zambryski、1995、Plant Physiol.107、1041−1047;Hansen&Chilton、1996、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、93、1478−1483)。アグロバクテリアはおそらく、本発明での使用のために最も研究されている。Hooykaasグループの論文(2000、Science、290、979−982)は異種タンパク質Creレコンビナーゼの宿主細胞内へのアグロバクテリウム仲介輸送の可能性を示している。輸送は、Creと、アグロバクテリウムとの接触の間に、植物細胞内へのタンパク質移送に関与するビルレンス(Virulence)タンパク質またはその一部との翻訳融合物を使用することにより達成された。Creレコンビナーゼ搬送は、該レコンビナーゼをコードするDNAの輸送とは共役していなかったが、操作された標的細胞における組換え事象の引き金を引くには十分であった。植物細胞内へのポリペプチド(該第2のポリペプチド)の細菌仲介搬送のプロセスは、該タンパク質の遺伝子を運んでいる、操作された細菌細胞の利用能を必要とする(WO0189283)。こうしたプロセスは、影響された植物細胞中での選択可能な変化の引き金を引くには十分に有効であるが、該発明の応用可能性を著しく制限するいくつかの重大な欠点を有している。第1に、該ポリペプチドの全コード配列が植物病原性細菌中に存在しているので、導入遺伝子分離の制御が提供されない。第2に、タンパク質スイッチにより引き金が引かれる変化が、該ポリペプチドの主レセプターである細胞に限定されているので、実用的応用を有するのに十分なほど有効ではない。
タンパク質スイッチをコードしている導入遺伝子分離の制御
それ故、標的植物の各々のまたはほとんどの細胞へ該第2のポリペプチドを搬送する非常に有効な方法かまたは、タンパク質スイッチにより引き金が引かれる事象の有効な伝搬、または両方のアプローチの組み合わせが必要とされる。また、タンパク質スイッチシステムを安全にすること、該タンパク質タンパク質スイッチをコードする異種核酸の厳密な制御も望まれる。このことは、直接ポリペプチド応用(例えば、植物を該第2のポリペプチドを含んでいる溶液で処理すること)を使用することにより、または該第2のポリペプチドの細菌搬送を使用すること、それにより該タンパク質スイッチの一部のみが細菌により供給されるが、別の部分(該第1のポリペプチド)は標的化植物細胞によりコードされている、により達成することが可能である。
これらの問題に取り組むため、該タンパク質スイッチ、特に該所定の機能を有しているタンパク質の分離を制御するための、「開裂(split)遺伝子」(または「開裂タンパク質」)アプローチを使用することが本明細書において提供される。この態様において、活性(機能性)タンパク質スイッチは、該第1および該第2のポリペプチドの、各々該第1および該第2の断片から、インテイン仲介タンパク質トランススプライシング(図2Aおよび図3A)、かまたは親和性相互作用(図2Bおよび図3B)により組み立てる。このことは、スイッチング機能を有するタンパク質の植物病原体仲介搬送に、特に重要な問題である。
本発明の実施例1において、図5に示された構築物を使用した、植物細胞における植物内インテイン仲介GUSトランススプライシングの有効性が示されている。トランススプライシングはGUS活性を非常に有効に回復し、それは対照実験からの活性に匹敵する。本発明の実施例2において、virFタンパク質のC末端との翻訳融合物として、植物細胞内へGUSタンパク質の一部を搬送することによる本アプローチの有効性が示されている(図6)。アグロバクテリウム分泌システムの助けによる、こうした融合物の搬送は、もしGUSタンパク質の別の断片が、安定的に組み込まれたT−DNAにより植物細胞内でコードされているとしたら、またはアグロバクテリウムの別の株により同時搬送されていても、インテイン仲介トランススプライシングにより機能性GUSタンパク質の形成を導いている。両方の場合、タンパク質スイッチは連続的DNA配列としては存在せず、そしてその使用はより良好に制御され、そして生物学的に安全である。
その活性の回復を伴うインテイン仲介トランススプライシングは、従来の技術で知られており、多くの刊行物に詳細に記載されている。タンパク質親和性相互作用および/またはトランススプライシングは、操作されたインテインを使用することにより達成することが可能である(図2A)。インテインは、最初はタンパク質前駆体内の、フレーム内に埋め込まれたタンパク質配列として同定され、そしてタンパク質成熟過程の間に除去される(Perlerら、1994、Nucleic Acids Res.22、1125−1127;Perler,F.B.1998、Cell、92、1−4)。自己スプライシング反応に必要な全ての情報および触媒基は、インテインおよび2つの隣接するアミノ酸に存在する。タンパク質スプライシングの化学機構は、Perlerおよび共同研究者(1997、Curr.Opin.Chem.Biol.、292−299)により、およびShao&Kent(1997、Chem.Blol.、187−194)により詳細に記載されている。インテインは通常、NおよびC末端スプライシング領域および中心ホーミング(homing)エンドヌクレアーゼ領域または小さなリンカー領域を有している。これまで100を超えるインテインが知られており、それは真核生物、古細菌および真正細菌を含む、異なった生物体の核および細胞小器官ゲノム中に分布している(http://www.neb.com/neb/inteins.html)。インテインはトランススプライシングが可能であることが示された。中心ホーミングエンドヌクレアーゼ領域の除去は、インテイントランススプライシングには何の影響も与えなかった。このことは、インテインのN末端およびC末端断片が、別々の断片として同時発現され、そしてエクステイン(インテインの助けをかりて一緒に連結されるタンパク質断片)と融合された場合、インビボでトランススプライシングを実行することが可能な、トランススプライシングシステムを設計することを可能にした(Shingledeckerら、1998、Gene、207、187−195)。また、結核菌RecAインテインのNおよびC末端セグメントを用い、タンパク質トランススプライシングをインビトロで起こすのが可能であることも示されている(Millsら、1998、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、95、3543−3548)。この現象はまた、シネコシスチス種株PCC6803のDnaEタンパク質でも同定された(Wuら、1998、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、96、9226−9231)。逆のDNA鎖上、700Kbp以上離れて位置している2つの異なった遺伝子がこのタンパク質をコードしている。これらの遺伝子によりコードされた2つのインテイン配列が開裂ミニインテインを再構築し、そして大腸菌細胞中で試験した場合、タンパク質トランススプライシング活性を媒介できることも示された。同一起源のインテイン(シネコシスチス種株PCC6803のDnaEインテイン)が、大腸菌中、2つの非連結断片(Sunら、2001、Appl.Environ.Microbiol.67、1025−29)および5−エノールピルビルシキメート−3−ホスフェートシンターゼ(EPSPS)(Chenら、2001、Gene、263、39−48)から機能性除草剤耐性アセトラクテートシンターゼを産生するために使用された。
タンパク質断片のトランススプライシング(エクステイン共有結合形成を含む)は、開裂タンパク質の本来の機能を回復するのに必ずしも必要とされない。多くの場合、ペプチド結合形成を伴わないタンパク質断片間の親和性相互作用は、タンパク質機能を回復するために十分である(図2B)。このアプローチは、2以上の機能性ドメインを有しているタンパク質で最も成功する(インテイン仲介トランススプライシングの場合のように)。この場合、ドメインは2つの転写ベクター間のコード配列を開裂させることによりお互いに分離することが可能であり、タンパク質仲介親和性相互作用を通して一緒にする(図3B)。タンパク質ドメインは、相互作用するインテインを使用する必要なく相互作用することが可能である。タンパク質分解感受性リンカー領域により連結された、2つの構造ドメインから成っているIS10トランスポザーゼの活性を再構築する例が存在する(Kwon、Chalmers&Kleckner、1995、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、92、8234−8238)。ドメインの各々は別々には、トランスポザーゼ機能を提供することが不可能である。しかしながら、一緒に加えられた場合、それらはたとえリンカー領域により連結されていなくても転位を提供することが可能である。ペプチド結合形成なしで、単離された断片から再構築された機能性タンパク質の多くの他の例が存在する。機能性インシュリンレセプター結合部位の効率的な組み立てが、非機能性断片の単純な混合により達成された(Kristensenら、2002、J.Biol.Chem.277、18340−18345)。2つの不活性ペプチド断片の単純な混合による活性タンパク質の再構築は、ロイシンデヒドロゲナーゼ(Oikawaら、2001、Biochem.Biophys.Res.Commun.280、1177−1182)、Ca2+結合タンパク質カルビンジンD28k(Berggardら、2000、Protein Sci.、2094−2108;Berggardら、2001、Biochemistry、40、1257−1264)、シロイヌナズナ発育制御因子COP1(Staceyら、2000、Plant Physiol.124、979−990)、ジオパミンDレセプター(Scarselliら、2000、Eur.J.Pharmacol.397、291−296)、マイクロプラスミノーゲン(De Los Santos、Wang&Reich、1997、Ciba Found.Symp.212、76−83)および他の多くで示された。
ロイシンジッパードメインは、目的のタンパク質断片へ融合すれば、タンパク質ヘテロ2量体を形成することが特に興味深い(Riecker&Hu、2000、Methods Enzymol.328、282−296;Liuら、2001、Curr.Protein Pept.Sci.、107−121)。興味深い例は、小さな分子とのタンパク質−タンパク質相互作用の制御である。例えば、Creレコンビナーゼは、2つの不活性断片に開裂された場合、2つの不活性断片間のヘテロ2量体化を通して活性補完の引き金を引く、小分子ラパマイシンの存在下、そのレコンビナーゼ活性の100%を回復することが可能であるように操作された(Jullienら、2003、Nucleic Acids Res.31、e131)。ラパマイシンおよびその非毒性類似体はまた、条件的タンパク質スプライシングのためにも使用することが可能であり、それにより、それらはトランススプライシング反応の引き金を引く(Mootzら、2003、J.Am.Chem.Soc.125、10561−10569)。ラパマイシンまたはラパマイシン類似体のごとき小分子の助けを借りた、タンパク質−タンパク質相互作用調節のための同様のアプローチはいくつかの論文に記載されている(Amaraら、1997、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、94、10618−10623;Pollockら、2000、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、97、13221−13226;Pollockら、2002、Nat.Biotechnol.20、729−733)。デキサメタゾンおよびメトトレキセートのごとき多くの他の化学2量体化剤を、不活性タンパク質断片から活性ホモまたはヘテロ2量体を組み立てるために使用することが可能である(総説として:Pollock&Clackson、2002、Curr.Opin.Biotechnol.13、459−467、を参照されたい)。
親和性相互作用は、天然に存在する相互作用タンパク質ドメインを使用することにより、または2−ハイブリッド(Fields&Son、1989、Nature、340、245−246;Chienら、1991、Proc.Natl.Acad.Sci.USA,88、9578−9582;Yeast Protocol Handbook、Clontech Laboratories,inc.2000)またはファージディスプレイシステムの助けを借りてそうしたドメインを同定することにより、効率的に操作可能である。例えば、ファージディスプレイは、目的のタンパク質断片へ高い親和性を有する5〜12−merオリゴペプチドを選択するために使用することができる。いくつかのこうしたシステムは現在、商業的に入手可能である。ファージディスプレイは、短い可変5〜12−merオリゴペプチドがバクテリオファージのコートタンパク質内へ挿入されている選択技術である。この可変オリゴペプチドをコードする配列は、バクテリオファージのコートタンパク質の対応する遺伝子中に含有されている。通常、7−merファージディスプレイライブラリーは、少なくとも10の独立した、可変オリゴペプチド中に異なった組み合わせの7−merアミノ酸を運んでいるクローンを有している。ファージディスプレイは、バクテリオファージおよび目的のタンパク質間の親和性複合体を作製するために使用されてきており、「パニング」と呼ばれるインビトロ選択過程により、既定の標的タンパク質に対するペプチドリガンドの迅速同定を可能にしている(Parmley、Smith、1988、Gene 73、305−318;Corteseら、1995、Curr.Opin.Biotechnol、、73−80)。パニング過程後の作製されたファージ−タンパク質複合体は解離させることが可能であり、そして標的タンパク質に親和性を有するファージを増殖させることが可能である。通常、高い親和性を有するバクテリオファージを選るには、3つのパニングサイクルを必要とする。3回のラウンド後、個々のクローンは、ゲノムDNA中の可変領域の配列決定により特徴付けできる。該システムは、短いオリゴペプチドを同定するため、そしてタンパク質断片を結び合わせるための親和性タグとしてそれらを使用するために有効に応用することが可能である。
別のアプローチには、ロイシン−リッチリピート(Kobe&Deisenhofer、1994、Trends Biochem Sci.19、415−421;Kobe&Kajava、2001、Curr.Opin.Struct.Biol.11、725−732)、亜鉛ジッパー(Grossley、Merika&Orkin、1995、Mol.Cell.Biol.15、2448−2456)、アンキリンリピート(Thompson、Brown&McKnight、1991、Science、253、762−768)、クロモ(chromo)ドメイン(Paro&Hogness、1991、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、88、263−267;Singhら、1991、Nucleic Acids Res.19、789−793)、そしてタンパク質−タンパク質相互作用に関与する多くの他のもの、のような天然に存在する相互作用ドメインの使用が含まれる。しかしながら、タンパク質−タンパク質相互作用に関与する可能性は、輸送性融合物を含む、操作されたタンパク質断片のみではなく、内在性タンパク質もまた考慮しなければならない。
遺伝子発現のような、目的の細胞プロセスのスイッチを入れるためのタンパク質−タンパク質相互作用の使用は、なかでも以下のような利点を有している:第1に、本システムは、目的の機能が高度に特異的なタンパク質−タンパク質またはタンパク質−核酸相互作用の結果であるので、高度に特異的にすることが可能であり、それはゼロレベルの非誘導状態および非特異的漏出性の不在により特徴付けられる。このことは、本質的に特異性が低く、そして特定の程度の漏出性を常に示す、小分子に基づいたスイッチのごとき従来のシステムとは対照的である。第2に、タンパク質スイッチまたはその断片は、該タンパク質または該断片をコードしている核酸ベクターを伴わずに、植物の細胞内へ直接搬送することが可能であり、それ故、該タンパク質の正確な投与量を可能にする。このことは、細胞内への直接タンパク質スイッチ搬送を、細胞中の必要とされるプロセスの引き金を引くために小分子を使用することの利点に匹敵するものにする。第3に、本システムは、問題の生物体が機能性タンパク質の発現に必要な完全遺伝子情報を含有しないことを可能にするので、目的のタンパク質またはタンパク質スイッチの完全遺伝子情報(線状核酸かまたは該核酸の断片の形で)を含有する従来の技術のシステムよりも、本質的に環境に安全である。分子生物学のセントラルドグマに従うと、生物学システムはタンパク質を核酸に逆翻訳できない。それ故、生きている生物体による、機能性特性の発現に十分な遺伝子情報の「逆操作」は不可能である。第4に、本システムはシステムの許可されていない使用を禁じるために使用することが可能な、特異的ロック(lock)を提供する。該ポリペプチドまたは該タンパク質断片を発現している生物体から抽出された粗タンパク質の成分としてのタンパク質スイッチ(特に、該第2のポリペプチド)の使用は、該抽出物の活性成分を同定することを実際的に非常に困難にしている。
目的の細胞プロセスの引き金を引くための植物内でのタンパク質スイッチの伝搬
ここでは、外部的に応用された第2のポリペプチドが到達できる植物の細胞数が少ない問題を克服するためのアプローチを提供する:該第2のポリペプチドは、植物細胞において、細胞間移行または浸透移行が可能なタンパク質スイッチの形成を導くことができる。さらに、該第2のポリペプチドは、目的の遺伝子またはその一部を発現し、そして該植物において細胞間移行または浸透移行が可能である、ウイルスに基づいたベクター(アンプリコン)の形成を導くことができる。これらのアプローチにおいて、ウイルスベクターかまたはタンパク質スイッチまたは両方の移動は、該植物の主要な部分、そして遺伝子改変された植物全てにわたった、細胞プロセスおよび/または生化学的カスケードの伝搬を導くことが可能である。
本発明の実施例3において、タンパク質スイッチは、ウイルスベクターの前駆体ベクターをウイルスベクターへ変換するためのインテグラーゼphC31を含有する。インテグラーゼは、インテグラーゼの2つの断片のインテイン仲介トランススプライシングにより機能性タンパク質を形成する2つの不活性断片へ開裂させる。該断片の1つは、アグロバクテリウムのタンパク質転位システムの助けを借りて、virE2断片とのタンパク質融合物(pICH15085−INT、図12)として植物細胞内へ搬送し、一方、別の断片(pICH15099、図12)は植物細胞によりコードされている。ウイルスベクターは増幅、細胞間移行および浸透移行が可能である。pICHGFPinvのattPおよびattB部位(図7A)およびpICH10921(図13)間のインテグラーゼ仲介組換えは、該組換え部位に隣接したDNA断片の反転、そして目的の遺伝子(GFP)(図7B)の増幅および発現が可能なウイルスベクターの形成を導く。このことは、本実施例におけるアクチン2プロモーターのような、問題とする植物中で活性なプロモーターに関してセンス配向で、ベクター増幅および浸透移行性輸送に必要なウイルス成分(3’NTR−3’非翻訳領域;CP−コートタンパク質)を置くことの結果として達成される。それ故、他のウイルスベクター成分(RdRpおよびCP)と一緒に、それはcDNAを形成し、それはアクチン2プロモーター駆動転写により、増幅、細胞間移行および浸透移行が可能であるRNAウイルスベクターを形成する。随意に、該ベクターはさらに、CP(コートタンパク質)遺伝子を除去することにより修飾することが可能である。CP遺伝子を欠くこうしたベクターは、それでもなお細胞間移行が可能であろう。
植物における非ウイルス遺伝子の発現のための、植物ウイルスに基づいた発現システムの構築は、いくつかの論文(Dawsonら、1989、Virology、172、285−293;Brissonら、1986、Methods in Enzymology、118、659;MacFariane&Popovich、2000、Virology、267、29−35;Gopinathら、2000、Virology、267、159−173;Voinnetら、1999、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、96、14147−14152)および総説(Porta&Lomonossoff、1996、Mol Biotechnol、、209−221;Yusibovら、1999、Curr.Top.Microbiol.Immunol.240、81−94)に記載されており、そして当業者には容易に実行することが可能である。ウイルスベクターに基づいた発現システムは、植物核導入遺伝子と比較して著しく高い導入遺伝子産物の収率を与える。例えば、導入遺伝子的にコードされたタンパク質のレベルは、ウイルスベクターから発現した場合、全細胞性植物タンパク質含量の5〜10%に達することが可能である(Kumagaiら、2000、Gene、245、169−174;Shivprasadら、1999、Virology、255、312−323)。RNAウイルスは、DNAウイルスと比較してより高い発現レベルを与えるので、RNAウイルスが最も適している。植物における導入遺伝子材料の浸透移行性発現に適したウイルスベクターを記載している、いくつかの公開された特許がある(US531693T;US5589367;US5866785)。一般に、これらのベクターは、ウイルスタンパク質との翻訳融合物として(US5491076;US5977438)、追加のサブゲノムプロモーターから(US5466788;US5670353;US5866785)、または独立したタンパク質翻訳のためのIRES(内部リボソーム侵入部位)要素を使用する多シストロン性ウイルスRNAから(ドイツ特許出願DE10049587)、外来遺伝子を発現することが可能である。第1のアプローチ−組換えタンパク質とウイルス構造タンパク質の翻訳融合(Hamamotoら、1993、Bio Technology、11、930−932;Gopinathら、2000、Virology、267、159−173;JP6169789;US5977438)は、組換えタンパク質産物のかなりの収率を与える。しかしながら、組換えタンパク質がウイルスタンパク質から容易には分離できないので、このアプローチの有用性は限定されている。このアプローチの代替法は、ウイルス部位特異的プロテアーゼにより認識されるペプチド配列を経た、または触媒ペプチドを経た翻訳融合物を用いている(Doljaら、1992、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、89、10208−10212;Gopinathら、2000、Virology、267、159−173;US5162601;US5766885;US5491076)。異種サブゲノムプロモーターに組み込まれたウイルスベクターを利用する発現プロセスは、現在までで最も高いレベルのタンパク質産生を提供する(US5316931)。ウイルスベクターおよび多くの他の最も重大な欠点は、増幅されるべきDNAのサイズに関してそれらの限定された収容力である。通常、安定な構築物は1kbを超えない挿入物に適応する。G.della Cloppaら(WO993651)が内在性遺伝子をサイレンシングする目的で、植物cDNAライブラリーを発現するためのTMVに基づいたウイルスベクターの使用を記載しているように、植物機能性ゲノム科学のいくつかの領域においては、このことはそうした重大な制限ではないことができる。ヘルパーウイルスの使用する、2成分増幅システムは、わずかに良好な収容力を与えることができる(US5889191)。植物ゲノム内へ安定に組み込まれている発現カセットに基づいた他のシステムは、アンプリコンに基づいたウイルスベクターの発現を駆動する、強力な35Sプロモーターを含有している。これらのシステムは通常、転写後遺伝子スプライシング(PTGS)を受けやすい(Angell&Baulcombe、1997、EMBO J.16、3675−3684)。こうしたサイレンシングを克服するため、PTGSサプレッサーの使用は必要である(WO0138512)。こうしたシステムの助けを借りて目的のタンパク質の大規模産生を達成するためには、サイレントされたアンプリコンを運んでいる植物と、PTGSサプレッサーの起源を運んでいる植物の交雑を実行することが必要である(Malloryら、2002、Naure Blotechnol.20、622−625)。明らかに、こうしたシステムは融通性および導入遺伝子発現の厳密な制御を有せず、そして植物生長および発育を損なわないタンパク質の産生に限定されている。
我々のアプローチは、上記ウイルスベクターシステムの制限、特に、発現されるべき遺伝子のサイズのための制限された収容力、そして発現の制御における融通性の欠如を克服することを可能にする。我々の発明において、ウイルスベクター前駆体(またはプロベクター)は好ましくは、トランスジェニック植物の各々の細胞に存在する。大きな遺伝子(1kb以上)の発現の場合には、タンパク質スイッチ移動がウイルスベクター移動より好まれる。ウイルスベクターは細胞で効率的に増幅することが可能であり、そしてウイルスベクター挿入物のサイズは主として細胞間移行または浸透移行の能力に影響する。それ故、多くの細胞へまたは宿主植物の全ての細胞へまでも、ウイルスベクターを活性化することができる移動可能なタンパク質スイッチを提供することは、上記の問題を解決するであろう。加えて、宿主植物の全てではなくともほとんどの細胞において、こうしたウイルスベクターの増幅を開始させることが可能である効率的なスイッチング機能を有するシステムを提供するため、細胞間移行/浸透移行が可能なタンパク質スイッチが使用されている。
この目的のため、タンパク質スイッチは、該タンパク質の細胞間移行および/または浸透移行を可能にするタンパク質部分を含むことができる。細胞間輸送(trafficking)が可能なこうしたタンパク質部分の例は、当該技術分野で既知である。植物転写因子、防御関連タンパク質およびウイルスタンパク質が原形質連絡を通して輸送することが可能であることの証拠が存在する(総説として:Jackson&Hake、1997、Curr.Opin.Genet.Dev.、495−500;Ding,B.1998、Plant Mol.Biol.38、279−310;Jorgensen RA.2000、Sci STKE、58、PE2;Golz&Hudson、2002、Plant Cell、14、S277−S288、を参照されたい)。GFPを有するキュウリモザイクウイルスの3a移動タンパク質の融合物は、原形質連絡を通して隣接する細胞へ輸送することが可能なことが示されている(Itayaら、2002、Plant Cell、14、2071−2083)。こうした融合物はまた、師部を通したトランスジェニック台木から非トランスジェニック穂木内への移動も示した。タバコモザイクウイルス(TMV)の移動タンパク質、P30は、原形質連絡を通して輸送し、そして原形質連絡のサイズに影響することにより、こうした移動が明記されていない、多くの他の大きな巨大分子の移動を容易にしている(Citovskyら、1999、Phil.Trans、R Soc.London B Biol.Sci.354、637−643;Ding、Itaya&Woo、1999、Int.Rev.Cytol.190、251−316)。P30:GFP融合物は、生理学的条件とは独立した細胞間の移動を示し、一方、原形質連絡を通した非標的化GFP拡散は、植物細胞の生理学的状態に大きく依存した(Crawford&Zambryski、2001、Plant Physiol.125、1802−1812)。GFPと転写因子結節(knotted)1との融合物はまた、細胞間輸送の能力を示した。GFP:KN1融合タンパク質は、タバコ植物の、葉の内部組織から表皮への、表皮間および茎頂成長点内への移動を示した(Kimら、2002、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、99、4103−4108)。原形質連絡は、こうした輸送に重要な役割を果たしており、そしてその生理学的状態および構造は、こうした輸送の効率に重要である。例えば、単純な原形質連絡は、タバコの葉の発育において非特異的輸送を可能にしているが、一方、分岐したものはそうではない(Oparkaら、1999、Cell、98、5−8)。タンパク質を含む巨大分子の輸送を可能にしていることは、原形質連絡の正常の機能のようであり、それが該分子の細胞間伝搬のための植物ウイルスの使用を行わせた(Fujiwaraら、1993、Plant Cell、、1783−1794)。一般に、原形質連絡および師部が、情報巨大分子(タンパク質および核酸)の輸送および搬送に重要な役割を果たしていることは明らかである(Ruiz−Medranoら、2001、Curr.Opin.Plant Biol.、202−209)。ククルビタ マキシマおよびリシヌム コムニスからの師部液汁タンパク質は、原形質連絡を通した細胞間輸送の能力を有している(Balachandranら、1997、Proc.Natl.Acad.Sci.USA.94、14150−14155)。
図8は、本発明のタンパク質スイッチの細胞間移動が達成する可能性をスキーム的に示している。外部から搬送されたタンパク質スイッチ断片(即ち、該第2のポリペプチド)および細胞内で合成されるタンパク質スイッチは、転位または輸送シグナルのための、同一または異なったタンパク質セグメントの融合物であることが可能である。我々の実施例において(図8)、同一のタンパク質セグメント、例えば、レコンビナーゼまたはその断片は、トランススプライシングを仲介するためのインテイン断片と、または細胞間輸送のために提供されたタンパク質部分(TP)と融合される。小さなタンパク質(GFPのような、およびより小さい)に対しては、それらは単純な拡散を通した高度に効率的な細胞間移行が可能であってもよいので、TPへの融合は必要ないであろうことは非常にもっともらしい。しかしながら、より大きなタンパク質スイッチに対しては、TPまたはその活性断片との融合は都合がよい。細胞間輸送に関与するすべてのタンパク質の内、ウイルスタンパク質が最もよく研究されていることは明らかである。これらはタンパク質スイッチに含まれているべき最も好ましい候補である。図8に示されているように、外部から搬送されたタンパク質スイッチ断片は、細胞内タンパク質スイッチ断片による機能性補完後、同一の酵素活性を有しているが、しかし細胞間輸送が可能であるタンパク質スイッチ(レコンビナーゼ:TP)をコードしている導入遺伝子の発現の引き金を引く。輸送が可能である該タンパク質スイッチは、すべての影響を受けた細胞においてタンパク質スイッチ発現の引き金を引き、連鎖反応を示している。細胞における該タンパク質スイッチの入手可能性は、ウイルスベクターに基づいたアンプリコン形成を起こすDNA再配置による、細胞中での目的の遺伝子(GOI)の発現の引き金を引くための必須条件である。アンプリコン安定性および細胞間移行は本システムでは必要ではないので、ウイルスプロベクターは各々の植物細胞中に存在することができ、そしてタンパク質スイッチの伝搬は、これらの細胞の各々において目的の遺伝子の発現の引き金を引くことができるので、こうしたアンプリコンから発現された目的の遺伝子のサイズは、効率的なGOI発現の制限因子ではない。しかしながら、好ましくは、アンプリコンの伝搬は効率的なGOI発現へ寄与している。
本明細書において企図されたタンパク質スイッチシステムの最終的目的は、植物生産システムにおける目的の細胞プロセスまたは目的の生化学反応カスケードの、操作上の制御である。生化学的カスケードは、最終的に特別な目的の生成物、効果または特性を得る、宿主産生システムにおける生化学反応の連鎖である。本明細書に記載されているアプローチは、融通が利くそして漏出がないことに加え、効率的な生産制御法を提供する。前に説明した2成分プロセスは、本質において「鍵−ロック」システムであり、それにより会社は、タンパク質スイッチ成分を販売することにより、生産するための利用手段を有効に制御することが可能である。
本発明における使用に好ましい植物には、既定の農業経済学的におよび園芸学的に重要な種が優先されるが、任意の植物種が含まれる。本発明で使用するための普通の農作物植物には、アルファルファ、大麦、インゲン豆、アブラナ、ササゲ、ワタ、トウモロコシ、クローバ、ハス、ヒラマメ、ルピナス、キビ、オート麦、ハマエンドウ、ピーナツ、米、ライ麦、シナガワハギ、ヒマワリ、スイートピア、大豆、モロコシライ小麦、クズイモ、ハッショウマメ、カラスノエンドウ、小麦、フジおよび堅果植物が含まれる。本発明の実施に好ましい植物種には、限定するわけではないが以下のものが含まれる:イネ科、キク科、ナス科およびバラ科を代表するもの。
さらに、上で特定したものに加えて本発明の使用に好ましい種は、以下の属の植物である:アラビドプシス(Arabidopsis)、アグロスチス(Agrostis)、アリウム(Allium)、アンチルリナム(Antirrhinum)、アピウム(Apium)、アラキス(Arachis)、アスパラガス(Asparagus)、アトローパ(Atropa)、アヴェナ(Avena)、バンブサ(Bambusa)、ブラッシカ(Brassica)、ブロムス(Bromus)、ブロワーリア(Browaalia)、カメリア(Camellia)、カンナビス(Cannabis)、カプシクム(Capsicum)、シセル(Cicer)、ケノポジウム(Chenopodium)、キコリウム(Chichorium)、シトラス(Citrus)、コフェア(Coffea)、コイックス(Coix)、ククミス(Cucumis)、クルクビタ(Curcubita)、シノドン(Cynodon)、ダクチリス(Dacrylis)、ダチュラ(Datura)、ダウカス(Daucus)、ジギタリス(Digitalis)、ジオスコレア(Dioscorea)、エラエイス(Elaeis)、エロイシネ(Eleusine)、フェスチュカ(Festuka)、フラガリア(Fragaria)、ゲラニウム(Geranium)、グリシネ(Glycine)、ヘリアンサス(Helianthus)、ヘテロカリス(Heterocallis)、ヘヴェア(Hevea)、ホルドイム(Hordeum)、ヒオスシアムス(Hyoscyamus)、イポモエア(Ipomoea)、ラクツカ(Lactuca)、レンス(Lens)、リリウム(Lilium)、リナム(Linum)、ロリウム(Lolium)、ロータス(Lotus)、リコペルシコン(Lycopersicon)、マジョラナ(Majorana)、マラス(Malus)、マンギフェラ(Mangifera)、マニホット(Manihot)、メジカゴ(Medicago)、ネメシア(Nemesia)、ニコチアナ(Nicotiana)、オノブリキス(Onobrychis)、オリザ(Oryza)、パニカム(Panicum)、ペラルゴニウム(Pelargonium)、ペニセタム(Pannisetum)、ペチュニア(Petunia)、ピサム(Pisum)、ファセオラス(Phaseolus)、フロイム(Phleum)、ポア(Poa)、プルナス(Prunus)、ラヌンキュラス(Ranunculus)、ラファナス(Raphanus)、リベス(Ribes)、リシナス(Ricinus)、ルーバス(Rubus)、サッカラム(Saccharum)、サルピグロッシス(Salpiglossis)、セカレ(Secale)、セネシオ(Senecio)、セタリア(Setaria)、シナピス(Sinapis)、ソラナム(Solanum)、ソルグム(Sorghum)、ステノタフルム(Stenotaphrum)、テオブロマ(Theobroma)、トリフォリウム(Trifolium)、トリゴネラ(Trigonella)、トリチカム(Triticum)、ヴィシア(Vicia)、ヴィグナ(Vigna)、ヴィチス(Vitis)、ゼア(Zea)、およびオリレアエ(Olyreae)、ファロイデアエ(Pharoideae)および多くの他のもの。
本発明の範囲内の植物種内で、食物または飼料連鎖内に含まれないものが、医薬および実用タンパク質産生のために特に好ましい。これらの中で、タバコ種は、うまく開発された発現ベクター(特にウイルスベクター)システムで容易に形質転換でき、そして培養できるので最も好ましい。
目的の細胞プロセスとして発現可能であり、そして本発明を使用して単離される、目的の遺伝子、その断片(機能性または非機能性)およびそれらの人工誘導体には、限定するわけではないが以下のものが含まれる:デンプン修飾酵素(デンプンシンターゼ、デンプンホスホリラーゼ、脱分岐酵素、デンプン分岐酵素、デンプン分岐酵素II、顆粒結合デンプンシンターゼ)、スクロースリン酸シンターゼ、スクロース ホスホリラーゼ、ポリガラツロナーゼ、ポリフルクタン スクラーゼ、ADPグルコース ピロホスホリラーゼ、シクロデキストリン グリコシルトランスフェラーゼ、フルクトシル トランスフェラーゼ、グリコーゲン シンターゼ、ペクチン エステラーゼ、アプロチニン、アビジン、細菌レバンスクラーゼ、大腸菌glgAプロテイン、MARK4およびオルソログ、窒素同化作用/代謝酵素、グルタミン シンターゼ、植物オスモチン、2Sアルブミン、タウマチン、部位特異的レコンビナーゼ/インテグラーゼ(FLP、Cre、Rレコンビナーゼ、Int、SSVIインテグラーゼR、インテグラーゼphiC31、またはそれらの活性断片または変異体)、イソペンテニル トランスフェラーゼ、Sca M5(大豆カルモジュリン)、コレオプテランタイプ毒素または殺虫性の活性断片、ユビキチン複合体化酵素(E2)融合タンパク質、脂質、アミノ酸、糖、核酸およびポリサッカリドを代謝する酵素、スパーオキシドジスムターゼ、プロテアーゼの不活性プロ酵素形、植物タンパク質毒素、繊維産生植物における特質改変繊維、バチルス・スリンギエンシスからのコレオプテラン活性毒素(Bt2毒素、殺虫性結晶タンパク質(ICP)、CrylC毒素、デルタエンドトキシン、ポリオペプチド毒素、プロトキシンなど)昆虫特異性毒素AaIT、セルロース分解酵素、アシドテルムス セルロチカス(Acidothermus celluloticus)からのE1セルラーゼ、リグニン修飾酵素、シンナモイル アルコール デヒドロゲナーゼ、トレハロース−6−リン酸 シンターゼ、サイトキニン代謝経路の酵素、HMG−CoAリダクターゼ、大腸菌無機ピロホスファターゼ、種子保存タンパク質、エルウィニア ヘルビコーラ(Erwinia herbicola)リコペン シンターゼ、ACCオキシダーゼ、pTOM36コードタンパク質、フィターゼ、ケトヒドラーゼ、アセトアセチルCoAリダクターゼ、PHB(ポリヒドロキシブタノエート)シンターゼ、アシルキャリアタンパク質、ナピン、EA9、非高等植物フィトエン シンターゼ、pTOM5コードタンパク質、ETR(エチレンレセプター)、色素体ピルビン酸リン酸ジキナーゼ、線虫−誘導可能膜貫通細孔タンパク質、植物細胞の特質促進光合成または色素体機能、スチルベン シンターゼ、フェノールを水酸化可能な酵素、カテコール ジオキシゲナーゼ、カテコール 2,3−ジオキシゲナーゼ、クロロムコネート サイクロイソメラーゼ、アントラニレート シンターゼ、ブラッシカAGL15タンパク質、フルクトース 1,6−ジホスファターゼ(FBPase)、AMV RNA3、PVYレプリカーゼ、ポチウイルスコートタンパク質、CMVコートタンパク質、TMVコートタンパク質、ルテオウイルス レプリカーゼ、MDMVメッセンジャーRNA、突然変異体ゲミニウイルスレプリカーゼ、ウンベルラリア カリフォルニカ(Umbellularia californica)C12:0優先性アシル−ACPチオエステラーゼ、植物C10またはC12:0優先性アシル−ACPチオエステラーゼ、14:0優先性アシル−ACPチオエステラーゼ(luxD)、植物シンターゼ因子A、植物シンターゼ因子B、D6−デサチュラーゼ、植物細胞中の脂肪酸のペルオキシソームβ−酸化に酵素活性を有するタンパク質、アシル−CoAオキシダーゼ、3−ケトアシル−CoAチオラーゼ、リパーゼ、トウモロコシアセチル−CoA−カルボキシラーゼ、5−エノールピルビルシキメート−3−リン酸シンターゼ(EPSP)、ホスフィノトリシン アセチル トランスフェラーゼ(BAR、PAT)、CP4タンパク質、ACCデアミナーゼ、翻訳後切断部位を有するタンパク質、スルホンアミド耐性を与えるDHPS遺伝子、細菌ニトリアーゼ、2,4Dモノオキシゲナーゼ、アセチルアセトン シンターゼまたはアセトヒドロキシ酸シンターゼ(ALS、AHAS)、ポリガラクツロナーゼ、Taqポリメラーゼ、細菌ニトリアーゼ、制限エンドヌクレアーゼを含む、細菌またはファージの多くの他の酵素、メチラーゼ、DNAおよびRNAリガーゼ、DNAおよびRNAポリメラーゼ、逆転写酵素、ヌクレアーゼ(DNaseおよびRNase)、ホスファターゼ、トランスフェラーゼなど。
我々の発明はまた、工業的酵素(セルラーゼ、リパーゼ、プロテアーゼ、フィターゼなど)および繊維性タンパク質(コラーゲン、クモ絹タンパク質など)を含む、商業的に価値のあるおよび医薬的に重要なタンパク質の分子農業および精製の目的のためにも使用することが可能である。任意のヒトおよび動物健康タンパク質を、我々の発明アプローチを使用して、発現そして精製することが可能である。目的のこうしたタンパク質の例には、なかでも、免疫応答性タンパク質(モノクローナル抗体、単鎖抗体、T細胞レセプターなど)、病原性微生物から誘導されるものを含む抗原、コロニー刺激因子、リラキシン、ソマトトロピン(HGH)およびプロインシュリンを含むポリペプチドホルモン、サイトカインおよびそのレセプター、インターフェロン、成長因子および凝固因子、酵素的に活性なリソソーム酵素、線維素溶解性ポリペプチド、血液凝固因子、トリプシノーゲン、a1−アンチトリプシン(AAT)、ヒト血清アルブミン、グルコセレブロシダーゼ、天然コレラ毒素Bならびに機能保存タンパク質様融合物、前記のタンパク質の突然変異体および合成誘導体、が含まれる。
DE10254166およびDE10254165およびそこから派生したPCT特許出願は、本発明と組み合わせることができるさらなる実施例および開示を含んでいる。
植物細胞におけるアグロバクテリウム仲介過渡的発現後の、GUSのインテイン仲介トランススプライシング
GUS遺伝子の5’末端を、プラスミドpICBV33(35S−オメガリーダー−gusコード配列−Icon GeneticsバイナリーベクターpICBV2(図9))からのプライマーgusint5(atg gaa gca gta ctc gac gtc gcc taa aga gag gtt a)およびguspr3(ggc ctg tgg gca ttc agt ctg)を使用するPCRにより増幅した。GUS遺伝子の3’末端は、プラスミドpICBV33(図9)からのプライマーgusint6(gtc gag tac tgc ttc cat ggc aaa gaa ctg tac agc g)およびnosterrev(tca tcg caa gac egg caa cag g)を使用するPCRにより増幅した。これらの断片を合わせ、そしてプライマーguspr3およびnosterrevを使用して、PCRによる第2の増幅を行った。このPCRの生成物をBspHIおよびXbaIで消化し、そしてpICBV33にクローン化すると、プラスミドpICH8983(付表2)を得た。このプラスミドにおいては、天然のアミノ酸Ile370−Pro376が、シネコシスチス(Synechocystis)DnaEエクステイン−インテインジャンクションから誘導された配列Asp−Val−Glu−Tyr−Cys−Phe−His−Glyにより置換され、そしてAatIIおよびNcoI部位が、各々、この修飾の始まりおよび終わりに導入されていた。
シネコシスチスからのDnaEインテインのN末端を含有するDNA断片を、プライマーintNpr1(gc aagctt gacgtc aag ttt gcg gaa tat tgc ctc agt)およびintNpr2(tcc ctgcag tta ttt aat tgt ccc agc gtc aag)を使用してゲノムDNA(American Type Culture Centerからの株PCC6803)から増幅した。PCR生成物はHindIII−PstI断片として、pUC19にクローン化すると、プラスミドpICH8901を得た。インテインのC末端部分は、プライマーintCpr1(gg tctaga atcgat g gtt aaa gtt atc ggt cgt cg)およびintCpr2(cg ctgcag ccatgg tt aaa aca att ggc ggc gat cgc)を使用して増幅し、そしてPstI−XbaI断片として、pUC19にクローン化した(pICH8912、図11を参照されたい)。
GUS遺伝子の5’−部分へのN−インテインの融合は、pICH8901からのAatII−XbaI断片のpICH8983(図10)へのクローニングにより行われ、プラスミドpICH93038、図5)を得た。C−インテインはGUSの3’部分へ、ClaI−NcoI断片として融合し、プラスミドpICH9311(図5)を得た。両方の構築物はアグロバクテリウム仲介過渡的発現(Vaqueroら、1999、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、96、11128−11133)を使用して、ニコチアナ ベンタミアナ(Nicotiana benthamiana)葉において過渡的に同時発現させた。GUS発現は、色素生産性基質X−gluc(5−ブロモ−4−クロロ−3−インドリル グルクロニド)を含んでいる溶液で葉を染色することにより検出した(Jefferson、1987、Plant Mol.Biol.Rep.、387−405)。GUS活性を示している青色は、両方の構築物を同時発現させた場合にのみ認識されたが、構築物を個々に発現させた場合は観察されなかった。
インテインC−GUS3’融合タンパク質のAgro−搬送
GUS遺伝子の開裂およびシネコシスチス開裂DnaEインテインへの融合は上記のように行った。インテインC−GUS3’融合物の終止コドンに先だっているXhoI部位をpICH9723(付表3)に導入した。アグロバクテリウム ツメファシエンスvirFタンパク質の37のC末端アミノ酸をコードしているDNAを、2つの重複しているオリゴvirFpr3(gct ctc gag gtt atg gca gaa gtt cgg ccc ata gcc cga tcc att aaa acg gct cac gac gat gcg cga gcg ga)およびvirFpr4(cac gga tcc tca tag acc gcg cgt tga tcg agg tct gtc cgc cga cat taa ttc cgc tcg cgc atc gtc gtg ag)を使用して合成した。断片をXhoI−BamHIで消化し、そしてインテインC−GUS3’融合物のフレーム内へライゲートし、プラスミドpICH10181を得た。
pICH10181(図6)(35S−promインテインC−GUS3’−virF)のHindIII(平滑末端化)−XbaI断片をpICBV12(図9)XhoI(平滑末端化)−XbaI内にクローン化すると、プラスミドpICH10655(図6)、どんなT−DNA配列も含んでいない小さなバイナリーベクター、を生じた。陰性対照として、virF配列を含んでいないインテインC−GUS3’のために、同じことを行った(pICH10666、図6を参照されたい)。
エレクトロポレーションにより、pICH10655(図6)およびpICH10666でアグロバクテリウム株GV3101を形質転換した。両方の構築物をニコチアナ ベンサミアナ葉内へ、pICH9303(T−DNA境界間に35S−prom GUS5’−インテインN nos−term、図6参照)と一緒にagro−浸潤させた(Vaqueroら、1999、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、96、11128−11133)。従って、GUS5’−インテインN部分はDNAとして搬送され、そして植物細胞中で発現され、およびインテインC−GUS3’−virF部分はタンパク質として搬送される。インテイン仲介タンパク質スプライシングが植物細胞内で起こり、そして機能性GUS酵素を細構築する。GUS発現は、色素生産性基質X−gluc(5−ブロモ−4−クロロ−3−インドリル グルクロニド)を含んでいる溶液で葉を染色することにより検出した(Jefferson、1987、Plant Mol.Biol.Rep.、387−405)。GUS活性を示している青色は、5’および3’−GUS両方を同時浸潤させた場合にのみ認識され、構築物を個々に発現させた場合、または陰性対照構築物(pICH10666)を使用した場合には観察されなかった。
植物ゲノム内へ安定に組み込まれたプロベクター部分から増幅ベクターを組み立てるための部位特異的DNA組換えの使用:GFP発現
2つのプロベクター部分を含むT−DNAを運んでいるバイナリーベクターpICHFPinv(図7)を、標準分子生物学技術(Maniatisら、1982、分子クローニング:実験室マニュアル、コールドスプリングハーバー研究所、ニューヨーク)を使用して設計した。プロベクター要素およびそれらの構築の基本的原理および機能化の説明は、特許出願PCT/EP02/03476(WO0288369)およびDE10121283に詳細に記載されている。ベクターは形質転換マーカー(NPTII遺伝子)、アラビドプシス アクチン2遺伝子の植物プロモーター(Anら、1996、Plant J.10、107−121)が先立った、TMVの5’末端を運んでおり、そしてRNA依存性RNAポリメラーゼ(RdRp)および移動タンパク質(MP)を含み、そしてサブゲノムプロモーターが続いている。ベクターはまた、目的の遺伝子(GFP)を含んでいるプロベクターの3’末端、浸透移行を提供するウイルスコートタンパク質(CP)、およびウイルスベクターの3’非翻訳領域(3’NTR)も含んでいる。3’プロベクターは2つの転写終止シグナルと一緒に、ファージインテグラーゼphiC31(Thomason、Calendar&Ow、2001、Mol.Genet.Genomics、265、1031−1038)により認識される組換え部位により隣接されている。
インテグラーゼphiC31、最初のシステインの位置で2つの部分に開裂され、そしてDnaEインテイン部分に融合された。異なったオーバーハングを有する2つのBsaI−部位を導入しているインテイン挿入部位を、Cys−405のコドンのすぐ近くに先立つPCRにより本来の構築物からのインテグラーゼ(Thomason、Calendar&Ow、2001、Mol.Genet.Genomics、265、1031−1038)内へクローン化した。対応するBsaI部位もまた、DnaEインテイン−N(図10)およびインテイン−C(図11)へ導入した。インテイン−Nを、BsaI−BamHI断片としてインテグラーゼ−Nへ融合し(pICH15085)、そしてインテイン−Cは、SmaI−BsaI断片として、PstI(T4ポリメラーゼ平滑末端化)−BsaI内で、インテグラーゼ−Cと融合した(pICH15099、図12)。
A.ツメファシエンス株GV3101(Gene Bank 寄託番号003065)からの完全virE−オペロンをPCRにより増幅し、XhoI−XbaI断片としてpICBV39(図9)、境界配列を有しない、従ってDNA輸送が妨げられているバイナリーベクター、内へクローン化した(構築物pICH15530)。開裂インテグラーゼのクローニングのための制限部位は、同時に、開始(NcoI)およびvire2の末端に近接して(bsrGI)導入した。対応する制限部位をまた、開裂インテグラーゼ−インテインの両方の部分に、PCR反応により導入した。開裂インテグラーゼ部分を、このベクター内へクローン化し、タンパク質輸送に必要であるvirE2タンパク質の47のC末端アミノ酸への融合物を導いた。
実験で使用された、別のベクターのT−DNA領域の配列、pICH10921(図13)は付表1に配列番号1として示されている。
pICHGFPinv、pICH10921およびpICH15085−INTのT−DNAを含んでいるトランスジェニックニコチアナ ベンタミアナおよびN.タバクム植物は、Horsehら(1985、Science、227、129−131)により記載されているように、葉円盤のアグロバクテリウム仲介形質転換により得られた。葉円盤を、構築物pICH1754で形質転換したアグロバクテリウム株GV3101と30分インキュベートした。選択剤を含まない培地(MS培地 0.1mg/l NAA、1mg/l BAP)上で3日のインキュベーション後、形質転換体の選択は、100mg/Lカナマイシンを補給した同一のMS培地で実施した。アグロバクテリウムの生長を減じるため、培地にまた300mg/L カルベニシリンおよび300mg/L セファタキシムも補給した。再生体は、発根を誘導するため、同一の濃度の選択剤を含むが、ホルモン補給は行わないで、選択的MS培地上でインキュベートした。T2集団の分離における導入遺伝子の存在は、PCR分析により確認した。
トランスジェニック植物の葉の、細胞透過性インテグラーゼへの暴露は、attPおよびattB部位間の部位特異的組換えを起こす。こうした組換えは、3’プロベクターの復帰を導き、従って、アクチン2プロモーター制御下のウイルスアンプリコンの完全cDNAを作り出す(図7、B)。GFPを発現している、TMVに基づいたRNAアンプリコンは、細胞間移行および浸透移行が可能である。pICH10921およびpICH15099で形質転換したトランスジェニック植物間のハイブリッド子孫の葉を、pICH15085−INTを運んでいるアグロバクテリアで浸潤した。N.ベンサミアナ植物におけるGFP発現は、UVランプを使用して、またはLEICA立体蛍光顕微鏡システム下で植物組織を分析することにより(450〜490nmで励起、500〜550nmで発光)容易に検出することが可能である。我々の実験で使用したsGFPは青およびUV光により励起可能である。
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図1は本発明に従った方法のスキームである。 図2は、植物細胞中で、不活性タンパク質断片から活性タンパク質スイッチを発生させるための態様を示しているスキームである。A:タンパク質断片のインテイン仲介トランススプライシングによる活性タンパク質の発生。B:タンパク質断片の親和性結合による活性タンパク質の発生。 図3は、インテイン仲介トランススプライシング(図3A)または親和性相互作用(図3B)による、非機能性タンパク質断片からの機能性タンパク質(AB)の組み立てを示しているスキームである。断片Aは、細胞内へ導入される、本発明の第2のポリペプチドである。断片Bは異種核酸から内部で発現される。 図4は、細胞間輸送、そして他の細胞中でそれ自身の発現を起こすことが可能であるタンパク質スイッチを経て、目的の細胞プロセスのスイッチを入れることを示している一般スキームである。PSはタンパク質スイッチを表し、TPは細胞間輸送(即ち、細胞を離れそして他の細胞に入ること)が可能な輸送タンパク質を表し、PS:TPはPS−TP融合タンパク質を表し、hNAは追加の異種核酸を表している。(A)はPS:TPをコードする異種核酸、および追加の異種核酸hNAを表している。外部(第2の)ポリペプチドが導入されていないので、タンパク質スイッチは発現されず、そして目的の細胞プロセスのスイッチは入れられていない。(B)外部(細胞透過性)ポリペプチドが導入され、タンパク質スイッチPS:TPの発現を起こしている。タンパク質スイッチはそれが発現した細胞中でhNAに作用することにより細胞プロセスを制御できる。さらに、タンパク質スイッチは、該外部から導入されたポリペプチドにより引き金が引かれた細胞を離れ、そして他の細胞へ入ることが可能である。他の細胞において、タンパク質スイッチはそれ自身の発現を誘導でき、そしてまたhNAに作用することにより細胞プロセスを制御する。 図5は、GUSタンパク質のインテイン仲介トランススプライシングのために設計された構築物pICH9303およびpICH9311を表している。 図6は、トランススプライシングに必要なタンパク質成分の1つ(pICH10655によりコードされている)のアグロバクテリウム仲介搬送を用いる、植物内インテイン仲介トランススプライシングのために設計された構築物pICH10181、pICH10655、pICH10666およびpICH9393を表している。 図7は、(A)において、非機能性のTMVに基づいたプロベクター、および(B)においてインテグラーゼ仲介組換えから生じる該構築物の機能性誘導体を表している。下部の矢印は、(B)で示した構築物から形成することが可能である、配向を含むRNAおよびサブゲノム(sg)RNAを示している。sgpはサブゲノムプロモーターを表している。 図8は、細菌搬送タンパク質スイッチ断片(INT−C:RECfr.)が、内部でコードされた断片(RECfr.:INT−N)とのインテイン仲介トランススプライシングによる活性タンパク質スイッチ(レコンビナーゼ)形成後、標的化細胞内で組換え事象の引き金を引く態様を表している。該事象は、細胞間輸送が可能な細胞内タンパク質スイッチ(レコンビナーゼ:TP)の合成を導いている。細胞内タンパク質スイッチはさらに、組換え事象の引き金を引くことが可能で、植物ウイルスに基づいたプロベクターの再編成を導き、目的の遺伝子(GOI)の発現を生じる。MTS:膜移行配列;TP:細胞間輸送が可能なタンパク質;SM:選択可能マーカー;RS:部位特異的DNAレコンビナーゼ/インテグラーゼにより認識される組換え部位;ter1およびter2:転写終止領域;PROM:植物で活性なプロモーター;RdRp:ウイルスRNA依存性RNAポリメラーゼ;MP:移動タンパク質;3’NTR:植物RNAウイルスの3’非翻訳領域。矢印はコードおよび調節配列の配向を示している。 図9はバイナリーベクターpICBV2、pICBV12、pICBV33およびpICBV39を表している。 図10は、ベクターpICH8983およびpICN8901を表している。 図11は、ベクターpICH8912およびpICH9723を表している。 図12は、ベクターpICH15099、pICH15085およびpICH15085−INTを表している。Pact2−i−アラビドプシス サリアナACTIN2遺伝子の第1のイントロンを有する転写プロモーター;PhiC31−N−インテグラーゼphiC31のN末端部分;PhiC31−C−インテグラーゼphiC31のC末端部分;インテイン−N−シネコシスチス種PCC6803 DnaEインテインのN末端部分;インテイン−C−シネコシスチス種PCC6803 DnaEインテインのC末端部分;NLS−核局在化シグナル;virE−アグロバクテリアvirEオペロン配列。 図13は、ベクターpICH10921のT−DNA領域を表している。SM−選択可能マーカー(NPTII遺伝子);RdRp:ウイルスRNA依存性RNAポリメラーゼ;MP:移動タンパク質;3’NTR:植物RNAウイルスの3’非翻訳領域;Pnos−ノパリン シンターゼの転写プロモーター;Tnos−ノパリン シンターゼの転写終結領域;Pact2−アラビドプシス サリアナACTIN2遺伝子の転写プロモーター;IRESmp75(cr)−クルシフェラセアTMV下部の移動タンパク質のIRES;AttPおよびAttB−インテグラーゼphiC31により認識される組換え部位。

Claims (26)

  1. 遺伝子改変された植物または植物細胞を制御する方法であって:
    (a)タンパク質の第1の断片を含有するかまたはそれから成る第1のポリペプチドをコードする異種核酸を含有する、遺伝子改変された植物または植物細胞を提供する工程;
    (b)病原性アグロバクテリウムのTi−プラスミドのT−DNAにはコードされていない第2のポリペプチドを、発現可能なようにコードする該病原性アグロバクテリウムにより、該第2のポリペプチドまたはその機能性部分をコードする核酸が導入されないように、該遺伝子改変された植物または植物細胞の細胞内へ該第2のポリペプチドを導入する工程;
    を含み、ここで該第2のポリペプチドは
    (i)該タンパク質の第2の断片、および
    (ii)該遺伝子改変された植物または植物細胞の細胞内への該第2のポリペプチドの導入を可能にするペプチド配列、
    を含有し、
    それにより該第1の断片および該第2の断片は、共同して存在している場合にのみ、該タンパク質の所定の機能を共同して発生させる、前記方法。
  2. 該第2のポリペプチドの部分は、それが該第1のポリペプチドと共同して該所定の機能を発生することが可能である場合に、機能性である、請求項1に記載の方法。
  3. 該所定の機能が目的の細胞プロセスを制御する、請求項1または2に記載の方法。
  4. 該植物の細胞が、該所定の機能により制御されるさらなる異種核酸を含有する、請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。
  5. 該所定の機能が、該さらなる異種核酸からRNAおよび/またはタンパク質発現産物の形成を起こす、請求項4に記載の方法。
  6. 該所定の機能が、該さらなる異種核酸からまたはその発現産物から、発現可能なオペロンの形成を起こす、請求項4に記載の方法。
  7. 該所定の機能が、該さらなる異種核酸からまたはその発現産物から、発現可能なアンプリコンの形成を起こす、請求項4に記載の方法。
  8. 該タンパク質の該所定の機能が、該さらなる異種核酸からDNAまたはRNAアンプリコンの形成を起こし、それにより、該アンプリコンが1以上の以下の能力:複製、タンパク質発現、細胞間移行、浸透移行、感染性粒子組み立て、感染力、植物の遺伝子サイレンシング能力の抑制、植物の生理学的状態の修飾、を有する、請求項4または7に記載の方法。
  9. 該さらなる異種核酸が、該植物または植物細胞の核ゲノムまたは色素体ゲノム中に安定に組み込まれている、請求項4〜8のいずれか1項に記載の方法。
  10. タンパク質の該所定の機能の生成に、該第1の断片および該第2の断片の非共有結合的相互作用が含まれる、請求項1〜9のいずれか1項に記載の方法。
  11. 該非共有結合的相互作用が、互いに特異的親和性を有するポリペプチドにより補助される、請求項10に記載の方法。
  12. 該非共有結合的相互作用が、該第1の断片および該第2の断片へ融合されたロイシンジッパーポリペプチドにより補助される、請求項10に記載の方法。
  13. 該非共有結合的相互作用が、該第1の断片および該第2の断片へ融合された2量体化剤ポリペプチドにより補助され、そしてラパマイシンまたはラパマイシン類似体などの2量体化剤により調節される、請求項10に記載の方法。
  14. 該タンパク質の該所定の機能の生成に、該第1の断片および該第2の断片間の共有結合形成が含まれる、請求項1〜9のいずれか1項に記載の方法。
  15. 該共有結合形成に、該第1の断片および該第2の断片間のインテインに基づいた結合またはトランススプライシングが含まれる、請求項14に記載の方法。
  16. (b)(ii)の該ペプチド配列が、該植物細胞内への、または該遺伝子改変された植物の細胞内への、該第2のポリペプチドの導入を可能にするための膜移行配列であるかまたは該膜移行配列を含有する、請求項1〜15のいずれか1項に記載の方法。
  17. 該第2のポリペプチドが、以下の群:核、色素体、ミトコンドリア、ゴルジシステム、液胞、から選択される細胞内小器官への輸送のための、1以上の輸送ペプチドまたはシグナルペプチドを含有する、請求項1〜16のいずれか1項に記載の方法。
  18. 該タンパク質の該所定の機能が、以下の群:DNA複製、DNA組換え、転写、RNA組換え、増幅、翻訳、から選択される、請求項1〜17のいずれか1項に記載の方法。
  19. 該タンパク質が、該植物において、または該植物の一部において、細胞間移行または浸透移行が可能である、請求項1〜18のいずれか1項に記載の方法。
  20. 該タンパク質が、ウイルス移動タンパク質のドメイン、ウイルスコートタンパク質のドメイン、または細胞間移行または浸透移行が可能である植物または動物の転写因子のドメイン、を含有する、請求項18に記載の方法。
  21. 細胞間移行または浸透移行が可能である該ドメインが、人工的に設計したポリペプチドである、請求項20に記載の方法。
  22. 工程(a)で提供された該植物が、細胞の核ゲノム中に安定に組み込まれた該異種核酸を含有するトランスジェニック植物である、請求項1〜21のいずれか1項に記載の方法。
  23. 工程(a)で提供された該植物が、細胞の色素体ゲノム中に安定に組み込まれた該異種核酸を含有するトランスジェニック植物である、請求項1〜21のいずれか1項に記載の方法。
  24. 工程(a)で提供された該植物の細胞が、該異種核酸で過渡的に形質転換される、請求項1〜21のいずれか1項に記載の方法。
  25. タンパク質の第1の断片を含有するかまたはそれから成る第1のポリペプチドをコードする異種核酸;
    (i)該タンパク質の第2の断片、および、(ii)該遺伝子改変された植物または植物細胞の細胞内への該第2のポリペプチドの導入を可能にするペプチド配列、を含有する第2のポリペプチド;
    を含む、請求項1に記載の方法によって入手可能な遺伝子改変された植物または植物細胞であって、
    ここで該第1の断片および該第2の断片は、共同して存在している場合にのみ、該タンパク質の所定の機能を共同して発生させ;
    該植物または植物細胞は、該第2のポリペプチドまたはその機能性部分をコードする核酸を持たず;そして
    該遺伝子改変植物または植物細胞が、該所定の機能により制御されるさらなる異種核酸をさらに含有する、
    前記遺伝子改変された植物または植物細胞。
  26. (i)タンパク質の第1の断片を含有するかまたはそれから成る第1のポリペプチドをコードする異種核酸を含有し、さらなる異種核酸をさらに含有する、遺伝子改変された植物または植物細胞、および
    (ii)該タンパク質の第2の断片、および該遺伝子改変された植物または植物細胞の細胞内への該第2のポリペプチドの導入を可能にするペプチド配列を含有する第2のポリペプチドをその核酸中にコードするが、該第2のポリペプチドはアグロバクテリウムのTi−プラスミドのT−DNAにはコードされていない、病原性アグロバクテリウム;
    を含む、遺伝子改変植物または植物細胞を制御するためのシステムであって、
    ここで、該遺伝子改変された植物または植物細胞および該第2のポリペプチドは、該植物または該植物細胞内への該第2のポリペプチドの挿入に際し、該第1の断片および該第2の断片が該タンパク質の所定の機能を共同して発生可能なように、設計されており;ここで該さらなる異種核酸は該所定の機能により制御される、
    前記システム。
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