JP4792519B2 - ハイブリッド駆動装置及びハイブリッド駆動装置の走行制御方法 - Google Patents
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Description
燃費を優先してエンジン動作点と回転電機動作点が決められる燃費優先走行モードで走行可能なハイブリッド駆動装置に関するとともに、そのような構成のハイブリッド駆動装置における走行制御方法に関する。
このような回転電機(特にモータとして働く回転電機)の発熱を回避する方法として、特許文献1では、モータの温度を検出して、その回転電機の負荷を低減する走行モードに切り換えている。
「発熱温度」を切替指標とする走行モードの切替にあっては、発熱温度限界(第2限界温度MAX2)と、発熱回避温度(第1限界温度MAX1)とが規定されており、発熱温度限界は、「回転電機の発熱温度が徐々に上昇する場合の限界温度」とされており、発熱回避温度は、「第2限界温度MAX2より低い値、例えば、所定時間継続すると第2限界温度に達する温度」とされている。
発熱温度限界(第2限界温度MAX2)≧発熱温度>発熱回避温度(第1限界温度MAX1)の条件下で、走行モードを、燃費優先無段階モードからモータ効率優先無段階モードに移行させることが提案されており、発熱温度>発熱温度限界(第2限界温度MAX2)の条件下で、固定変速比モードに移行することが提案されている。
温度を示している。車両は、積載物を積載せず、牽引物を牽引していない単車状態で走行しており、水平路から登坂路に移っていることを示している。
さて、これまで説明してきたモータ出力制限制御を開始する温度であるモータ出力制限開始温度を、牽引の場合にも同様に使用した場合のモータ温度の変化を、同図に破線で示した。この温度変化からも判明するように、牽引状態では、モータ出力制限開始温度を固定としておいた場合、モータ限界温度を超える状況が発生することを示している。
前記回転電機の温度が負荷制限開始温度を超えた場合に、回転電機にかかる負荷が制限される負荷制限制御を開始する負荷制限制御手段と、
車両の積載状態もしくは牽引状態を検出する積載・牽引検出手段とを備え、
前記積載・牽引検出手段により検出される積載状態もしくは牽引状態に基づいて、前記負荷制限開始温度を決定する制限開始温度決定手段を備えたことにある。
このハイブリッド駆動装置は、燃費優先走行モードと、それ以外の走行モードで走行可能であるが、回転電機にかかる負荷を制限する負荷制限制御を行うことが可能とされている。この負荷制限制御では、回転電機にかかる負荷を制限するため、この制御がかかる状態では、回転電機の温度上昇を抑えることとなる。
態より大きい場合は制限開始温度を単車状態における負荷制限温度より低い側に決定する。さらに、牽引量間の関係では、牽引量が大きい場合は、牽引量が小さい場合よりもさらに、低い側に決定する。
このようにしておくと、回転電機として、その耐え得る限界温度である発熱限界温度が決まっている状況においても、例えば、牽引物の牽引に伴って走行抵抗が増加し、温度上昇率が上昇した場合でも、回転電機の温度を発熱限界温度内に維持することができる。
回転電機にかかる負荷が制限される負荷制限制御を施す負荷制限制御手段を備えるとともに、
車両の積載状態もしくは牽引状態を検出する積載・牽引検出手段を備え、
前記積載・牽引検出手段により検出される積載状態もしくは牽引状態に基づいて、前記負荷制限制御手段が前記負荷制限制御を施すことにある。
例えば、積載・牽引検出手段により牽引状態が検出された場合は、一律に負荷制限制御を施すのである。従って、このハイブリッド駆動装置は、積載状態あるいは牽引状態にあっては、回転電機の発熱を抑制できることとなり、回転電機が発熱限界温度に達するのを予備的に避けることができる。
一方、積載状態、牽引状態にない場合は、燃費優先走行モードを採用することができ、燃費優先の走行を行うことができる。
前記回転電機の温度が負荷制限開始温度を超えた場合に、前記回転電機にかかる負荷が制限される負荷制限制御を開始する負荷制限制御手段と、
走行状態で車両が受ける走行抵抗を検出する走行抵抗検出手段とを備え、
前記走行抵抗検出手段により検出される走行抵抗に基づいて、前記負荷制限開始温度を決定する制限開始温度決定手段を備えたことにある。
このようにしておくと、回転電機として、その耐え得る限界温度である発熱限界温度が決まっている状況においても、牽引物の牽引に伴って走行抵抗が増加し、温度上昇率が上昇した場合でも、回転電機の温度を発熱限界温度内に維持することができる。
1 変速閾値の低下
前記エンジン及び回転電機から駆動力を得て、複数の変速段間で変速して当該駆動力を車輪に伝達する変速機を備えたハイブリッド駆動装置にあっては、前記負荷制限制御手段により負荷制限制御を施すに、前記変速機における降段移行の変速閾値を、当該負荷制限制御を伴わない前記燃費優先走行モードにおける降段移行の変速閾値より駆動力の低い側に設定するものとすることができる。
燃費優先走行モードでは、エンジンは燃費優先の動作点にその動作点が選択され、エンジンからの駆動力では不足する駆動力をモータとして働く回転電機が補うように動作される。複数の変速段間で変速を行う変速機の変速マップを示したのが、図5である。同図の横軸は車速(Km/h)を、縦軸は駆動力(N)を示している。同図は、低速側である変速第1段でカバーする駆動力範囲(細実線より下側の範囲)、及び変速第1段より高速側の変速第2段でカバーする駆動力範囲(太実線より下側の範囲)を示したものである。
、黒丸●で示す運転ポイントでは、このポイントが「2−1Down線」の下側に位置するため、未だ変速第2段から変速第1段への変速は行われない。
これに対して、例えば、図13に示すように、前記「2−1Down線」の下側に、新たな変速閾値を設定しておくと、降段変速が早い段階で行われることとなり、この走行ポイントで必要となる駆動力のほぼ全てを、エンジンで賄うことが可能となる。
結果、回転電機にかかる負荷を制限することができるようになり、回転電機の温度が上昇するのを防止することができる。
以上の説明からも判明するように、単に変速閾値を駆動力の低い側に設定するのではなく、直接、変速段を低い側に導くものとしてもよい。
即ち、前記変速機の変速段を、負荷制限制御を伴わない前記燃費優先走行モードにおいて選択されている変速段より低い変速段とすることも、好ましい態様である。このようにすることによって、エンジンが受持つ負荷を増加させて、回転電機側の負荷を制限もしくは低下させることができる。
上記のように変速段の変更を伴う制御を施す外、エンジン出力一定のまま、エンジントルクを前記燃費優先走行モードにおけるトルクより上昇させるものとしてもよい。
この構成の場合は、エンジンの動作点を最適燃費ラインから外すこととなるが、直接エンジントルクを上昇させることで、回転電機で受持つべき負荷を制限することが可能となり、回転電機の温度上昇を回避することが可能となる。
また、本来制限したい側である、回転電機に対してその出力制限をかけることとしてもよい。この場合も、回転電機の温度上昇を回避することができる。
以上、説明してきた構成にあっては、負荷制限制御の適用順は、変速段の選択、エンジントルクの上昇、あるいは回転電機の出力制限を採用する場合、以下の順とするのが好ましい。
即ち、まず、前記変速機の変速段を、負荷制限制御を伴っていない前記燃費優先走行モードにおいて選択されている変速段より低い側の変速段として走行し、
なお回転電機の温度が上昇する場合に、
前記回転電機に対する出力制限、もしくは、エンジン出力一定のままエンジントルクを前記燃費優先走行モードにおけるトルクより上昇させるものとする。
複数の変速段を実現する変速機を備えたハイブリッド駆動装置にあっては、変速段を、現状で走行している変速段より低い側の変速段へ変速するだけで、なお、燃費優先走行モードで、回転電機にかかる負荷を制限した状態の走行が可能となる。この状況は、先に図
5を用いて説明した、変速第2段から変速第1段への変速状況と同じである。従って、この手法を最初に取るのが好ましい。
一方、回転電機の出力を直接的に制限すると、確実に回転電機の温度上昇を防止できる。
さて、前記負荷制限制御手段により負荷制限制御を施すに、回転電機の効率を優先してエンジンの動作点及び回転電機の動作点が決められる回転電機効率優先モードが取られるようにしておくと、回転電機において発生する発熱を抑えることが可能となり、本願の目的を達成できる。
1 積載物の積載
積載物を積載した場合に増加する走行抵抗を検出しようとする場合、車両に積載される積載物の有無と積載重量を検出する積載検出手段を備え、
前記積載・牽引検出手段が、前記積載検出手段の検出結果に基づいて、前記積載状態を検出する構造とすることが好ましい。
この種の積載検出手段としては、例えば、トラックにおける荷台に積載される積載物を検出する検出装置を挙げることができる。
牽引物を牽引した場合に増加する走行抵抗を検出しようとする場合は、車両が牽引する牽引物の有無を検出する牽引物検出手段と、走行状態で車両が受ける走行抵抗を検出する走行抵抗検出手段とを備え、
前記積載・牽引検出手段が、前記牽引物検出手段により検出される牽引物の有無と、前記走行抵抗検出手段により検出される走行抵抗に基づいて、前記牽引状態を検出する構造とすることが好ましい。
この種の牽引検出手段としては、例えば、本願に係るハイブリッド駆動装置を備えた牽引車に、動力源を備えないトレーラ等が牽引されて走行を行う場合に、トレーラが牽引車に連結されているか否か、及び、どのようなトレーラが牽引されているかを検出する牽引物検出装置を挙げることができる。
以上説明してきた構成においては、積載状態、牽引状態を検出するのに、積載もしくは牽引用の特別の検出手段を設けて検出するものとしたが、積載状態もしくは牽引状態を、車両に発生する加速度から検出するものとしてもよい。
このような構成の提案が以下の例である。
即ち、車両が水平路を走行しているか否かを判定する水平路走行検出手段と、走行状態で車両が受ける走行抵抗を検出する走行抵抗検出手段とを備え、
前記水平路走行検出手段により水平路上での走行が検出された状態で、
前記積載・牽引検出手段が、前記走行抵抗検出手段により検出される実走行抵抗と、単車状態で、水平路上を走行する場合の走行抵抗である水平路単車走行抵抗との関係に基づいて、前記積載状態あるいは牽引状態を検出する。
この形態の場合は、予め水平路上での単車状態の走行抵抗を得ておくことで、同じく水平路上での実走行抵抗とを比較し、積載状態あるいは牽引状態を走行抵抗から検出することができる。
これら手段により検出されるアクセル開度と、車両加速度に基づいて求めることもできる。
エンジン及び少なくとも1つの回転電機から駆動力を得、
燃費を優先してエンジン動作点と回転電機動作点が決められる燃費優先走行モードで走行可能なハイブリッド駆動装置の走行制御方法として、
前記回転電機の温度が負荷制限開始温度を超えた場合に、前記回転電機にかかる負荷が制限される負荷制限制御を開始するに、
車両の積載状態もしくは牽引状態を検出し、
検出される積載状態もしくは牽引状態に基づいて、前記負荷制限開始温度を決定するものとなっている。
エンジン及び少なくとも1つの回転電機から駆動力を得、
燃費を優先してエンジン動作点と回転電機動作点が決められる燃費優先走行モードで走行可能なハイブリッド駆動装置の走行制御方法として、
車両の積載状態もしくは牽引状態を検出し、積載状態もしくは牽引状態を検出した場合に、前記回転電機にかかる負荷が制限される負荷制限制御を施すものとなっている。
エンジン及び少なくとも1つの回転電機から駆動力を得、
燃費を優先してエンジン動作点と回転電機動作点が決められる燃費優先走行モードで走行可能なハイブリッド駆動装置の走行制御方法として、
前記回転電機の温度が負荷制限開始温度を超えた場合に、前記回転電機にかかる負荷が制限される負荷制限制御を開始するに、
走行状態で車両が受ける走行抵抗を検出し、前記検出される走行抵抗に基づいて、前記負荷制限開始温度を決定するものとなっている。
本発明の第1の実施形態について図面に基づいて説明する。
図1は、本実施形態に係るハイブリッド駆動装置Hのシステム構成を示す模式図である。この図において、二重の実線は駆動力の伝達経路を示し、二重の破線は電力の伝達経路を示し、白抜きの矢印は作動油の流れを示している。また、実線の矢印は各種情報の伝達経路を示している。
この負荷制限制御としては、本願が回転電機高効率制御と呼ぶ、変速段変更制御、エンジン動作点変更制御、回転電機出力制限制御を実行するように構成されている。
ハイブリッド駆動装置Hは、エンジンEに接続された入力軸Iと、車輪Wに接続された出力軸Oと、第1回転電機MG1と、第2回転電機MG2と、入力軸Iの駆動力を中間軸Mと第1回転電機MG1とに分配する動力分配機構P1とを備えて構成されている。当該中間軸Mには、第2回転電機MG2が接続され、さらに、この中間軸Mの回転速度を変速して出力軸Oに伝達する変速機P2が備えられている。
図1に示すように、入力軸IはエンジンEに接続されている。ここで、エンジンEとしては、ガソリンエンジンやディーゼルエンジン等の公知の各種エンジンを用いることができる。本例では、入力軸IはエンジンEのクランクシャフト等の出力回転軸と一体的に接続されている。なお、入力軸IがエンジンEの出力回転軸との間にダンパやクラッチ等を介して接続された構成としても好適である。
図1に示すように、コントローラとしての制御装置ECUは、車両の各部に設けられたセンサSe1〜Se7で取得される情報を用いて、エンジンE、第1回転電機MG1、第2回転電機MG2、油圧制御装置OCを介して変速機P2の各摩擦係合要素、並びに電動オイルポンプEP等の動作制御を行う。
第2回転電機回転速度センサSe2は、第2回転電機MG2のロータの回転速度を検出するためのセンサである。
アクセル開度検出センサSe5は、アクセルペダル18の操作量、即、アクセル開度を検出するためのセンサである。
牽引センサSe6は、車両が牽引物を牽引しているか否かを検出するためのセンサである。
傾斜センサSe7は、車両が水平路を走行しているか否かを検出するためのセンサである。
この回転電機制御手段32には、走行制御手段40から各回転電機MG1,MG2の動作点が、その指令情報として送られてくるため、その動作点として指定された、回転速度、出力トルクを回転電機MG1,MG2側で実現すべくインバータInを働かせる。
エンジン回転検出手段37は、エンジン回転速度センサSe3からの出力に基づいて、エンジンEの出力回転軸及び入力軸Iの回転速度を検出する。
牽引検出手段45は、牽引センサSe6からの出力に基づいて、車両が牽引物を牽引しているか否かを検出する。
水平路走行検出手段39は、傾斜センサSe7からの出力に基づいて、車両が水平方向に走行しているか、否かを検出する。
以上は、図1に示す本願に係るハイブリッド駆動装置Hの基本的な制御構造に関する説明であるが、図1、図2に示すように、制御装置ECUには、走行制御手段40が設けられており、この走行制御手段40が、エンジン制御手段31、回転電機制御手段32、変速機切替制御手段33に対して、適切なエンジンE及び回転電機MG1,MG2の動作点および変速機P2に対する変速段を出力できるように構成されている。
燃費優先走行制御手段41は、燃費を優先してエンジン動作点と回転電機動作点を求める手段である。図2に示すように、燃費優先走行制御手段41には、燃費優先指標41aが備えられており、この指標41aに基づいて燃費優先制御下のエンジン動作点Poが導出される。
この燃費優先指標41aは、例えば、図4に示す燃費優先動作線R上の動作点Poを、エンジン回転数とエンジントルクとの関係指標として予め求めたものである。図4は、横軸をエンジン回転数Neとし、縦軸をエンジントルクTeとし、概略楕円形状となる燃費率等高線Sと、等出力線Pを図示したものである。この図面において、燃費率は3次元の
分布となるが、燃費優先動作線Rは、燃費率等高線分布の峰を接続した線である。従って、この燃費優先動作線R上の動作点として、エンジンにおける燃費優先の動作点Poを、エンジン回転数とエンジントルクとの組み合わせとして得ることができる。
先に、図5において説明した太破線は、燃費優先走行制御を行う場合に得られるエンジントルクである。従って、上記の燃費優先指標41aは、変速機P2が取りうる各変速段について、それぞれ予め用意されている。
この燃費優先指標41aは、車両の単車状態(積載物を積載せず、牽引物を牽引しない状態)において予め用意されているものである。
回転電機高効率制御手段42は、上記の燃費優先走行制御手段41で実現する走行状態に対して、モータとして働く回転電機(例えばMG2)にかかる負荷が低減される制御を実現する、変速段、エンジン動作点、回転電機動作点を導出する手段である。
図2に示すように、回転電機高効率制御手段42には、変速段変更手段42a、エンジン動作点変更手段42b、回転電機出力制限手段42cが備えられている。
変速段変更手段42aにあっては、回転電機高効率制御を実現するのに、変速機P2の変速段を、負荷制限制御を伴わない燃費優先走行モードにおいて選択されている変速段より低い変速段とする。
例えば、燃費優先走行モードでの走行状態で、変速段として変速第2段が選択されて走行している状態で、負荷制限制御が必要となった場合には、変速段として変速第1段を選択するのである。
エンジン動作点変更手段42bにあっては、回転電機高効率制御を実現するのに、エンジン出力一定のまま、前記エンジントルクを前記燃費優先走行モードにおけるトルクより上昇させる。図4を使用して説明すると、図上Poで示すエンジン動作点で走行している状態で燃費優先の状態から逸脱させ、等出力線P上でエンジントルクが上昇する動作点Pnを選択するのである。
回転電機出力制限手段42cにあっては、回転電機高効率制御を実現するのに、回転電機MG2に対して出力制限をかける。この出力制限に伴って、不足する不足分はエンジン動作点を制御して補うこととなる。この場合、予め設定された回転電機MG2の出力制限値まで、回転電機MG2の出力を制限する回転電機の動作点を選択する。このようにして、回転電機MG2の昇温を防止することができる。
るとともに、この負荷制限制御手段43には制限開始温度決定手段43aが備えられている。
負荷制限制御手段43
負荷制限制御手段43は、通常の燃費優先走行制御手段41で決定される走行状態で走行している状態において、回転電機高効率制御手段42により決定される走行状態に移行するか、否かを判断する。そして、この負荷制限制御手段43では、回転電機の温度が負荷制限開始温度を超えた場合に、回転電機MG2にかかる負荷が制限される負荷制限制御を開始する。
この負荷制限制御手段43には、制限開始温度決定手段43aが備えられている。この制限開始温度決定手段43aは、上記の負荷制限開始温度として、回転電機出力制限開始温度T3に対して、さらに、この温度より低い変速段変更温度T1,エンジン動作点変更温度T2を決定する。
即ち、本願に係るハイブリッド駆動装置Hでは、負荷制限開始温度として、図6に示すように、変速段変更温度T1、エンジン動作点変更温度T2、回転電機出力制限開始温度T3(図にはモータ出力制限開始温度と記載)の3の温度が設定可能とされている。
エンジン動作点変更温度T2は、先に説明したエンジン動作点変更制御手段42bによるエンジン動作点変更制御を開始する温度である。
回転電機出力制限制御温度T3は、先に説明した回転電機出力制限手段42cによる回転電機出力制限制御を開始する温度である。
牽引検出手段45は、車両の運転者等により操作される牽引検出センサSe6(このセンサは、車両に牽引物が連結された場合に、運転者等により操作されるスイッチ、或いは、牽引物の連結部位に設けられ、牽引物が連結された状態で、自動的に連結状態を検出するスイッチ等)からの出力に従って、車両に牽引物が連結されているか否かを検出する手段である。
走行抵抗検出手段50は、アクセル開度検出手段38により検出されるアクセル開度(必要駆動力)と、加速度導出手段35aにより検出される車両加速度との関係に基づいて、現状の車両にかかっている走行抵抗を検出する。
この走行抵抗の検出は、車両が水平路を走行している状態で行う必要がある場合もあるため(牽引している場合の車重の増加量を求める場合に必要となる)、先に説明した水平路走行検出手段39を備え、水平路上で得られる情報からその状態における走行抵抗をも検出する。
そして、積載・牽引検出手段44が、前記走行抵抗検出手段50により検出される実走行抵抗と、積載状態及び牽引状態にない単車状態で水平路上を走行する場合の走行抵抗である水平路単車走行抵抗との関係に基づいて、走行抵抗の増加を検出する。結果、牽引物の牽引に伴う、走行抵抗の増加量が判明する。
積載・牽引に伴う車重の増加量=(変速機入力トルク×ギヤ比×デフ比/タイヤ半径−水平路単車走行抵抗−ギヤ損失)/加速度−単車での車重
ここで、水平路単車走行抵抗は車速に基づいて、ギヤ損失はギヤ段にてマップより求め、単車での車重は別途記憶しておく。
図3に示されるフローは、車両に牽引物が連結されている状態での走行制御(図左側のフロー)と、連結されていない状態での走行制御(図右側のフロー)とに別れる。
フローに示すように、走行制御手段40にあっては、積載・牽引検出手段44を介して牽引検出手段45から送られてくる情報に基づいて、牽引物が連結されているか否かを検出する。そして、牽引していない場合(ステップ#1:no)には、図5に示す変速マップに従った燃費優先走行制御が施される(ステップ#10)。即ち、負荷制限制御を施すことなく、燃費優先走行制御手段41が通常の状態で働く。
一方、牽引している場合(ステップ#1:yes)には、負荷制限制御手段43により負荷制限制御をかけることとなる。
2aにより実行され、発明者らは回転電機高効率制御の一種としている。
第1の実施形態においては、牽引物の牽引に伴って、登坂状態で顕著となる走行抵抗の増加を、新たな制限開始温度T2,T3の設定により吸収するものとしたが、走行抵抗の増加に従って、制限開始温度を適切に設定するように構成することもできる。
この構成を示すのが、図7である。この図は、第1実施形態の図2に対応する走行制御手段40周りの構成を示した図面である。さらに、この実施形態におけるフローを図8に示し、図9に、この例で採用する、走行抵抗と制限開始温度T1,T2,T3との関係を示した温度マップである。
そして、負荷制限制御手段43に備えられる制限開始温度決定手段43aでは、走行抵抗に従って制限開始温度T1,T2,T3が図9に示す温度マップに従って設定される。この温度マップにあっては、走行抵抗が第一走行抵抗R1より低い範囲では、全ての制限開始温度T1,T2,T3は、モータ出力制限開始温度T3に等しい温度とされており、第一走行抵抗R1から第二走行抵抗R2までは、変速段変更温度T1,エンジン動作点変更温度T2が走行抵抗の増加とともに低下するものとされ、第二走行抵抗R2以上では、制限開始温度T1,T2,T3は、それぞれ低い側の固定値とされている。この例の場合も、変速段変更温度T1、エンジン動作点変更温度T2,モータ出力制限開始温度T3の順に温度が高く設定される。
図8に示されるフローは、車両に働く走行抵抗が所定値未満である状態の走行制御(図右側のフロー)と、所定値以上である状態の走行制御(図左側のフロー)を示したものである。
フローに示すように、走行制御手段40にあっては、走行抵抗検出手段50により走行抵抗が検出され(ステップ#20)、検出された走行抵抗に従って制御が分けられる。そして、所定未満である場合(ステップ#21:no)には、図5に示す変速マップに従った燃費優先走行制御が施される(ステップ#29)。即ち、負荷制限制御を施すことなく
、燃費優先走行制御手段41が通常の状態で働く。
一方、所定値以上である場合(ステップ#21:yes)には、負荷制限制御手段43により負荷制限制御を実行する。即ち、牽引の有無を検出するとともに、水平路走行において、第1の実施形態と同様の手法に従って、別途牽引重量を求めておき、牽引に伴う車重の増加を加味した走行抵抗を求める。
第1の実施形態においては、牽引物の牽引に伴って、登坂状態で顕著となる走行抵抗の増加を、制限開始温度の低下により吸収するものとした。一方、第2の実施形態においては、直接走行抵抗の増加をみて制限開始温度を低下させることとした。
この第3の実施形態は、車両が積載物を積載することにより、登坂状態で顕著となる走行抵抗の増加を、吸収するための構成である。
この構成を示すのが、図10、図11である。これらの図面は、第1実施形態に関する図1、図2に対応する図面である。さらに、この実施形態における処理フローを示したのが図12である。
図12に示されるフローは、積載に伴って発生する車両に働く走行抵抗が所定量未満である状態の走行制御(図右側のフロー)と、所定量以上である状態の走行制御(図左側のフロー)を示したものである。
フローに示すように、走行制御手段40にあっては、積載検出手段51により積載の有無及びその量が検出され(ステップ#30、31)、その積載物を積載しているか否かによって制御が分けられる。積載量が所定量未満である場合(ステップ#32:no)には、図5に示す変速マップに従った燃費優先走行制御が施される(ステップ#34)。即ち、負荷制限制御を施すことなく、燃費優先走行制御手段41が通常の状態で働く。
一方、所定量以上である場合(ステップ#32:yes)には、負荷制限制御手段43により負荷制限制御、即、本願にいう回転電機高効率制御を施すのである(ステップ#33)。この例における回転電機高効率制御は、回転電機高効率制御をかける場合の変速マップとして、図5に示した変速マップに対して、降段制御を実行する閾値(2−1Down線)を駆動力の低い側に設定した回転電機高効率変速マップ42d(図13参照)を採用する。即、燃費優先制御に対して、この回転電機高効率制御では、変速第2段から変速第1段への変速が低い駆動力側で早期に行なわれることとなり、結果的に、モータとして働く回転電機MG2に過度の負荷をかけることを避けることができ、回転電機MG2の温度の上昇を避けることができる。
(1) 上記の第1の実施の形態においては、回転電機高効率制御として、3種の制御(変速段変更制御・エンジン動作点変更制御・回転電機出力制限制御)を実行する例を示しが、回転電機高効率制御として、これら1種または、その二つを実行するものとし、牽引物あるいは積載物の有無、走行抵抗に従って、制限開始温度を低下させるものとしてもよい。例えば、回転電機出力制限温度(モータ出力制限温度)のみを設定して回転電機出力制限制御を行う構造を採用する場合に、牽引物あるいは積載物が有る場合は回転電機出力制限温度をこれまでより低く、無い場合はこれまでどうりに設定したり、走行抵抗が上昇するに従って、回転電機出力制限温度を低下させるようにしてもよい。
(2) 上記の実施形態にあっては、燃費優先制御に対する回転電機の負荷を制限する制御形態として、基本的に燃費優先制御において回転電機にかかる負荷より負荷が低減される制御形態となっていればよいとして説明したが、モータとして働く回転電機の温度が問題となる状況にあっては、回転電機の効率に注目し、回転電機の効率を優先するマップを用意しておき、回転電機の効率を優先してエンジンの動作点及び回転電機の動作点が決められる回転電機効率優先モードでの走行が可能としてもよい。
32: 回転電機制御手段
33: 変速機切替制御手段
35a: 加速度導出手段
38: アクセル開度検出手段
39: 水平路走行検出手段
40: 走行制御手段
41: 燃費優先走行制御手段
41a: 燃費優先指標
42: 回転電機高効率制御手段
42a: 変速段変更手段
42b: エンジン動作点変更手段
42c: 回転電機出力制限手段
43: 負荷制限制御手段
43a: 制限開始温度決定手段
44: 積載・牽引検出手段
45: 牽引検出手段
50: 走行抵抗検出手段
51: 積載検出手段
Claims (6)
- エンジン及び少なくとも1つの回転電機から駆動力を得ると共に、当該駆動力を複数の変速段間で変速して車輪に伝達する変速機を備え、燃費を優先してエンジン動作点と回転電機動作点が決められる燃費優先走行モードで走行可能なハイブリッド駆動装置であって、
前記回転電機の温度が負荷制限開始温度を超えた場合に、前記回転電機にかかる負荷が制限される負荷制限制御を開始する負荷制限制御手段と、
車両の積載状態もしくは牽引状態を検出する積載・牽引検出手段と、
前記積載・牽引検出手段により検出される積載状態もしくは牽引状態に基づいて、前記負荷制限開始温度を決定する制限開始温度決定手段と、を備え、
前記負荷制限制御手段により負荷制限制御を施すに、前記変速機における降段移行の変速閾値を、当該負荷制限制御を伴わない前記燃費優先走行モードにおける降段移行の変速閾値より駆動力の低い側に設定し、又は、前記変速機の変速段を、当該負荷制限制御を伴わない前記燃費優先走行モードにおいて選択されている変速段より低い変速段とするハイブリッド駆動装置。 - エンジン及び少なくとも1つの回転電機から駆動力を得ると共に、当該駆動力を複数の変速段間で変速して車輪に伝達する変速機を備え、燃費を優先してエンジン動作点と回転電機動作点が決められる燃費優先走行モードで走行可能なハイブリッド駆動装置であって、
前記回転電機にかかる負荷が制限される負荷制限制御を施す負荷制限制御手段と、
車両の積載状態もしくは牽引状態を検出する積載・牽引検出手段と、を備え、
前記積載・牽引検出手段により検出される積載状態もしくは牽引状態に基づいて、前記負荷制限制御手段が前記負荷制限制御を施すに、前記変速機における降段移行の変速閾値を、当該負荷制限制御を伴わない前記燃費優先走行モードにおける降段移行の変速閾値より駆動力の低い側に設定し、又は、前記変速機の変速段を、当該負荷制限制御を伴わない前記燃費優先走行モードにおいて選択されている変速段より低い変速段とするハイブリッド駆動装置。 - エンジン及び少なくとも1つの回転電機から駆動力を得ると共に、当該駆動力を複数の変速段間で変速して車輪に伝達する変速機を備え、燃費を優先してエンジン動作点と回転電機動作点が決められる燃費優先走行モードで走行可能なハイブリッド駆動装置であって、
前記回転電機の温度が負荷制限開始温度を超えた場合に、前記回転電機にかかる負荷が制限される負荷制限制御を開始する負荷制限制御手段と、
走行状態で車両が受ける走行抵抗を検出する走行抵抗検出手段と、
前記走行抵抗検出手段により検出される走行抵抗に基づいて、前記負荷制限開始温度を決定する制限開始温度決定手段と、を備え、
前記負荷制限制御手段により負荷制限制御を施すに、前記変速機における降段移行の変速閾値を、当該負荷制限制御を伴わない前記燃費優先走行モードにおける降段移行の変速閾値より駆動力の低い側に設定し、又は、前記変速機の変速段を、当該負荷制限制御を伴わない前記燃費優先走行モードにおいて選択されている変速段より低い変速段とするハイブリッド駆動装置。 - エンジン及び少なくとも1つの回転電機から駆動力を得ると共に、当該駆動力を複数の変速段間で変速して車輪に伝達する変速機を備え、燃費を優先してエンジン動作点と回転電機動作点が決められる燃費優先走行モードで走行可能なハイブリッド駆動装置の走行制御方法であって、
前記回転電機の温度が負荷制限開始温度を超えた場合に、前記回転電機にかかる負荷が制限される負荷制限制御を開始するに、車両の積載状態もしくは牽引状態を検出し、検出される積載状態もしくは牽引状態に基づいて、前記負荷制限開始温度を決定し、
前記負荷制限制御を施すに、前記変速機における降段移行の変速閾値を、当該負荷制限制御を伴わない前記燃費優先走行モードにおける降段移行の変速閾値より駆動力の低い側に設定し、又は、前記変速機の変速段を、当該負荷制限制御を伴わない前記燃費優先走行モードにおいて選択されている変速段より低い変速段とするハイブリッド駆動装置の走行制御方法。 - エンジン及び少なくとも1つの回転電機から駆動力を得ると共に、当該駆動力を複数の変速段間で変速して車輪に伝達する変速機を備え、燃費を優先してエンジン動作点と回転電機動作点が決められる燃費優先走行モードで走行可能なハイブリッド駆動装置の走行制御方法であって、
車両の積載状態もしくは牽引状態を検出し、積載状態もしくは牽引状態を検出した場合に、前記回転電機にかかる負荷が制限される負荷制限制御を施し、
当該負荷制限制御を施すに、前記変速機における降段移行の変速閾値を、当該負荷制限制御を伴わない前記燃費優先走行モードにおける降段移行の変速閾値より駆動力の低い側に設定し、又は、前記変速機の変速段を、当該負荷制限制御を伴わない前記燃費優先走行モードにおいて選択されている変速段より低い変速段とするハイブリッド駆動装置の走行制御方法。 - エンジン及び少なくとも1つの回転電機から駆動力を得ると共に、当該駆動力を複数の変速段間で変速して車輪に伝達する変速機を備え、燃費を優先してエンジン動作点と回転電機動作点が決められる燃費優先走行モードで走行可能なハイブリッド駆動装置の走行制御方法であって、
前記回転電機の温度が負荷制限開始温度を超えた場合に、前記回転電機にかかる負荷が制限される負荷制限制御を開始するに、走行状態で車両が受ける走行抵抗を検出し、前記検出される走行抵抗に基づいて、前記負荷制限開始温度を決定し、
前記負荷制限制御を施すに、前記変速機における降段移行の変速閾値を、当該負荷制限制御を伴わない前記燃費優先走行モードにおける降段移行の変速閾値より駆動力の低い側に設定し、又は、前記変速機の変速段を、当該負荷制限制御を伴わない前記燃費優先走行モードにおいて選択されている変速段より低い変速段とするハイブリッド駆動装置の走行制御方法。
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