JP4792152B2 - 経皮薬物供給装置用粘着剤組成物 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、薬剤を徐放させるための経皮薬物供給装置であって、明確に規定された濃度のシラノールを含み、皮膚に対する粘着性を維持できる粘着剤組成物からなる皮膚接触型シリコーン系粘着剤を含む経皮薬物供給装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
粘着剤(pressure sensitive adhesive(PSA);感圧型接着剤)組成物はよく知られており、市販されているものも多い。シリコーン系粘着剤は、通常、シリコーン樹脂とポリジオルガノシロキサンとを混合ないし縮合することによって製造される。このようなシリコーン系粘着剤は、米国特許明細書第2736721号、第2814601号、第2857356号及び3528940号等に開示されている。ポリジオルガノシロキサンに対する樹脂状物質中の単位または樹脂の割合を変えることによって、このような粘着剤の粘着性を変えることができる。
シリコーン系粘着剤を経皮薬物供給装置に用いることもよく知られている。このような装置は、例えば、米国特許明細書第3731683号、第3797494号、第4031894号及び第4336243号に記載されている。前記装置は粘着剤によって皮膚との接触を保つものであり、通常、24時間以上皮膚にはったままで使用することを意図している。長時間皮膚に接触しているという観点から、前記粘着剤は、少なくとも前記期間は皮膚に粘着し続けることができ、しかも皮膚に対して刺激性や感作性を持たないものであるべきである。
シリコーン系粘着剤は皮膚に対して刺激性や感作性を持たないことが知られており、例えばニトログリセリンの徐放装置などのある種の装置の粘着剤として用いられてきた。シリコーン系粘着剤はこの分野で知られており、市販もされている。
米国再発行特許明細書第35474号には、アミノ官能性を有する薬物の制御放出用経皮薬物供給装置が教示されている。アミノ官能性を有する薬物は、ケイ素結合ヒドロキシル(シラノール)基の反応を触媒し、前記粘着剤材料の剪断性を増加させ、保存中のタック(被着体に対する濡れ性)を低下させて、粘着剤の特性を損なう。前記文献には、粘着剤を処理剤で化学処理してそのシラノール含有量を低下させることによって、この悪影響を防止することが教示されている。しかし前記文献は、粘着剤の処理に用いる処理剤がシラノール基1モルあたり0.8モル以上のトリオルガノシリル単位を含まなければならないと教示している。この量の処理剤を用いると、通常、粘着剤中のシラノール濃度を7700ppm以下にすることができる。しかし、本発明者らは、シラノール含量が低すぎると、粘着性の網状組織の架橋が抑制され、この架橋不足の網状組織が可塑性になって浸出し、粘着剤の品質が損なわれることを見いだした。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
従って、本発明の目的は、明確に規定された範囲で低濃度のシラノールを含有し、経皮薬物供給装置用として有用なシリコーン系粘着剤を提供することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明は、有効薬剤を経皮的に制御して供給するための経皮薬物供給装置を提供する。前記装置は、(A)有効薬剤と前記薬剤を経皮的に制御供給するための手段とからなる薬物供給装置;及び(B)前記装置と装着者の皮膚との接触を保つためのシリコーン系粘着剤からなる。前記シリコーン系粘着剤は、(i)式R3SiO1/2(但し、前記式中Rはそれぞれ独立して炭素数1〜6の一価の炭化水素基を示す)で表されるトリオルガノシロキシ単位と式SiO4/2で表される四官能性シロキシ単位とを、前者/後者(モル比)=0.6〜0.9の割合で含む少なくとも一種の樹脂共重合体40〜70重量部;及び(ii)末端をTRASiO1/2単位で封鎖されたARSiO単位からなる少なくとも一種のポリジオルガノシロキサン(但し、前記ポリジオルガノシロキサンの25℃における粘度が100〜30000000mPa・sであり、式中Rは前記と同じ意味を有し、基Aはそれぞれ独立してR又は炭素数1〜6のハロゲン化炭化水素基から選ばれ、基Tはそれぞれ独立してR、OH、H又はOR’からなる群より選ばれ、前記R’はそれぞれ独立して炭素数1〜4のアルキル基である)30〜60重量部からなる。前記シリコーン系粘着剤組成物のシラノール含量は、少なくとも成分(i)又は(ii)の一部若しくは(i)及び(ii)の混合物の一部を、ケイ素結合ヒドロキシル基と反応する少なくとも一種の化学処理剤(iii)で処理することによって低下している。すなわち、この処理により前記組成物中のケイ素結合ヒドロキシル基含量は8000〜13000ppmの範囲に低下している。
また、本発明は、前記シリコーン系粘着剤組成物の製造方法を教示する。
【0005】
【発明の実施の形態】
本発明者らは、特定の用途に有用であるためには、シリコーン系粘着剤(PSA)組成物のケイ素結合ヒドロキシル基(シラノール)の濃度を特定の範囲にしなければならないことを見いだした。すなわち、シリコーン系粘着剤を経皮薬物供給装置に用いる場合、粘着力をある期間にわたって満足できるレベルに保つためには、前記有効薬剤に対する粘着剤中のシラノール含量を調整する必要がある。粘着剤のシラノール含量が高すぎると、薬物によってシラノールの縮合が起こり、その結果、粘着剤の剪断性が増加して粘着力が低下する。一方、粘着剤のシラノール含量が低すぎると、粘着性の網状組織の架橋が不足し、可塑化(軟化)しすぎて流れ(低温塑性流れ)を起こすので好ましくない。
【0006】
本発明で用いられる経皮薬物供給装置は特に限定されず、公知のあるいは市販の各種の装置を用いることができる。一般的に前記装置は、有効薬剤(薬物)とそれを経皮的に制御して供給するための手段とからなる。一般的な実施態様において、前記装置は、薬物を保持するための適当な貯留部と薬物を徐放するための手段とからなる。他の態様において、前記装置は、例えば薬物と粘着剤とを含むマトリックス、或いは粘着剤層とマトリックスとからなる層状マトリックスで構成されていてもよい。同様に、前記装置は薬物を含浸したエラストマー体(本質的に粘着性を有する)であって、前記エラストマーマトリックスが薬物の放出を制御するものであってもよい。
【0007】
一般的に、前記経皮薬物供給装置の片面にシリコーン系粘着剤が塗布されていて、装置と装着者の皮膚との接触を保つ。所望により、保存中に、慣用のシリコーン系粘着剤用剥離剤が塗布された慣用の薬物不透過性フィルムからなる裏装材で前記シリコーン系粘着剤を被覆してもよい。
シリコーン系粘着剤を塗布した装置が皮膚に接触すると、粘着剤を含む装置から薬物が制御された速度で拡散し、表皮を介して真皮へと浸透する。この拡散・浸透作用によって、薬物の治療濃度が24時間以上持続できる。この時、薬物がシリコーン系粘着剤と接触し、好ましからざる作用を引き起こす場合がある。
勿論、他の種類の経皮薬物供給装置を用いてもよい。そのような装置は、後述のように薬物とシリコーン系粘着剤とを組み合わせて用いていれば良く、経皮薬物供給装置の形態や薬物の供給を制御する手段は特に限定されない。例えば、前記エラストマー体の替わりに、薬物の皮膚への放出速度を制御する半透過性膜からなる容器に入った被供給薬物の溶液を用いてもよい。前記米国特許明細書には、粘着剤を用いた他の種類の経皮薬物供給装置が記載されている。
【0008】
本発明では、生体適合性が高いのでシリコーン系粘着剤を用いている。このシリコーン系粘着剤組成物は、(i)式R3SiO1/2(但し、前記式中Rはそれぞれ独立して炭素数1〜6の一価の炭化水素基を示す)で表されるトリオルガノシロキシ単位と、式SiO4/2で表される四官能性シロキシ単位とを、前者/後者(モル比)=0.6〜0.9の割合で含む少なくとも一種の樹脂共重合体40〜70重量部;及び(ii)末端をTRASiO1/2単位で封鎖されたARSiO単位からなる少なくとも一種のポリジオルガノシロキサン(但し、前記ポリジオルガノシロキサンの25℃における粘度が100〜30000000mPa・sであり、式中Rは前記と同じ意味を有し、基Aはそれぞれ独立してR又は炭素数1〜6のハロゲン化炭化水素基から選ばれ、基Tはそれぞれ独立してR、OH、H又はOR’からなる群より選ばれ、前記R’はそれぞれ独立して炭素数1〜4のアルキル基である)30〜60重量部からなる。そして、少なくとも成分(i)又は(ii)の一部若しくは(i)及び(ii)の混合物の一部を、ケイ素結合ヒドロキシル基と反応する少なくとも一種の化学処理剤(iii)で処理することによって、前記シリコーン系粘着剤組成物のシラノール含量、すなわち前記組成物中のケイ素結合ヒドロキシル基含量が8000〜13000ppmの範囲に低下しており、そのために長期間にわたって十分な粘着性が確保できる。
【0009】
本明細書における「十分な粘着性」とは、皮膚へ装置を貼着後直ちに皮膚に粘着し、かつ装置を皮膚に粘着するのに必要以上の圧力を要しない、十分な指触粘着性を有することを意味する。
【0010】
治療を目的として供給される有効薬剤としては、経皮的に供給可能であり、シリコーン系粘着剤と相互作用して長期間にわたりその粘着性に影響しうるものが採用できる。そのような薬剤には、例えば、ニトログリセリン、フェンタニル、スコポラミン、エストロゲンやテストステロンなどのホルモン類、クロニジン、ニコチン、テトラカインなどが含まれる。勿論、その他経皮薬物供給システムに用いられる公知ないし慣用の薬物を用いることができる。経皮供給に適した薬物に関する更に詳しい情報として、例えば、前記米国特許明細書や、Yie Chien著の論文「新規薬物供給システム」(Drugs and the Pahrmaceutical Sciences, 14巻、Marcel Dekker社、New York, N.Y. 10016(1982))などを参照することができる。
【0011】
特定の理論に限定するわけではないが、ある種の薬物は、シリコーン系粘着剤中のケイ素結合ヒドロキシル基の縮合に対して触媒として作用するという説がある。このような薬物は、例えばカナダ特許明細書第575664号や英国特許明細書第859511号に記載されている。これらの薬物は、シリコーン系粘着剤が十分量のケイ素結合ヒドロキシル基を含有する場合、前記ヒドロキシル基の縮合を引き起こし、劣化(老化)に伴ってその粘着性と皮膚に対する十分なタックを維持する能力とを低下させる可能性がある。皮膚の損傷を避けるために比較的低いタック値(100g/cm2未満)の接着剤が用いられている場合に、タックの低下が著しい。タック値の低い粘着剤(「乾燥型粘着剤」、ここで「乾燥」とは軽い指触で粘着性を示さないことをいう)を含み、かつ樹脂共重合体含量が高い粘着剤組成物の場合には、タックなどの組成物の物性に対する悪影響が更に強くなる。
【0012】
同様に、本発明者らは、シラノール含量を低下させることによってこの相互作用を緩和しようとしたところ、濃度が低すぎる場合には低温塑性流れが生じることを見いだした。
その結果、本発明者らは、ある薬物の場合には明確に規定されたシラノール濃度を有するシリコーン系粘着剤が望ましいことを見いだした。樹脂共重合体、ポリジオルガノシロキサンやそれらの混合物を化学的に処理することによって、これらの粘着剤中のシラノール濃度を調整できる。また、後述のように、シラノール濃度の高い粘着剤と、シラノール濃度を低下させた粘着剤とを混合することによってもシラノール濃度を好ましい範囲に調整することができる。
【0013】
本発明の装置及び方法において使用するシリコン系粘着剤組成物として好ましいものは、米国特許明細書第4591622号、第4584355号及び第4585836号に記載されている。なお、この目的で用いる粘着剤はいずれも生体適合性があり、標準試験法で評価可能でなければならない。
米国特許明細書第4591622号に記載された好ましいシリコーン系粘着剤を調製する方法を用いて、本発明で規定した範囲のシラノール濃度を有するシリコーン系粘着剤を調製できる。また、前記方法を用いて、シラノール濃度を大幅に低下させたシリコーン系粘着剤を調製することもできる。前記低シラノール濃度の粘着剤をシラノール濃度が高いシリコーン系粘着剤と混合することによって、得られる混合物のシラノール濃度を本発明の規定する範囲にできる。これらの詳細及び組成例は前記米国特許明細書を参照できる。
【0014】
シリコーン系粘着剤組成物の一例として、下記の方法で得られた組成物が挙げられる。すなわち、(I)(i)ケイ素結合ヒドロキシル基を含み、必須成分として式R3SiO1/2で表されるトリオルガノシロキシ単位と式SiO4/2で表される四官能性シロキシ単位とを、前者/後者(モル比)=0.6〜0.9の割合で含有する少なくとも一種の樹脂共重合体40〜70重量部と、(ii)末端をTRASiO1/2単位で封鎖されたARSiO単位からなる少なくとも一種のポリジオルガノシロキサン(但し、前記ポリジオルガノシロキサンの25℃における粘度が100〜30000000mPa・sであり、式中Rはそれぞれ炭素数1〜6の炭化水素基から選ばれた一価の有機基であり、基Aはそれぞれ独立してR又は炭素数1〜6のハロゲン化炭化水素基から選ばれ、基Tはそれぞれ独立してR、OH、H又はOR’からなる群より選ばれ、前記R’はそれぞれ独立して炭素数1〜4のアルキル基である)を30〜60重量部と、(iii)末端封鎖トリオルガノシリル単位を生成して、シラノール濃度を8000〜13000ppmの範囲にできる、少なくとも一種の有機ケイ素系末端封鎖剤十分量と、前記成分(ii)ではシラノールの縮合が生じない場合には、所望により更に触媒量のシラノール縮合触媒(作用の穏和なもの)(iv)と、必要に応じて、前記成分(i)、(ii)、(iii)及び(iv)の混合物の粘度を低下させるため前記成分(i)、(ii)、(iii)及び(iv)に対して不活性な溶媒(v)有効量とを混合する工程、及び(II)少なくとも十分量の末端封鎖トリオルガノシリル単位が前記成分(i)及び(ii)中のケイ素結合ヒドロキシル基及びT基と反応するまで、前記成分(i)、(ii)、(iii)及び(iv)の混合物を縮合させる工程によって、前記組成物が得られる。末端封鎖トリオルガノシリル単位を生成できる有機ケイ素系末端封鎖剤としては、例えば、米国特許明細書第4591622号及び米国再発行特許明細書第35474号に記載されたものが挙げられる。
【0015】
本発明の粘着剤組成物は、シリコーン樹脂共重合体(i)40〜70重量部と、ポリジオルガノシロキサン(ii)30〜60重量部とを用いて、本発明の方法により製造できる。前記ポリジオルガノシロキサン(ii)は、組成物の製造に従来用いられたものであればよい。樹脂共重合体(i)50〜65重量部及びポリジオルガノシロキサン(ii)35〜50重量部からなる組成物がより好ましい。
【0016】
シリコーン樹脂共重合体(i)は周知の物質である。これらの樹脂は、通常、ケイ素結合ヒドロキシル基を1〜4重量%含有し、式R3SiO1/2で表されるトリオルガノシロキシ単位と式SiO4/2で表される四官能性シロキシ単位とを、前者/後者(モル比)=0.6〜0.9の割合で含む。これらの共重合体を二種以上混合して用いてもよい。ポリジオルガノシロキサン成分が、樹脂共重合体と共重合し、及び/又は、シリコーン系粘着剤組成物を化学処理するために添加される前記末端封鎖剤と反応するためには、ある量の、好ましくは0.5%以上のケイ素結合ヒドロキシル基が含まれているべきである。これらの樹脂共重合体は、通常、ベンゼン可溶性の樹脂状物質であって、多くは室温で固体であり、通常有機溶媒に溶解して溶液として用いられる。但し、必ずしも溶液として用いる必要はない。樹脂共重合体(i)を溶解するための有機溶媒の代表的なものとしては、ベンゼン、トルエン、キシレン、塩化メチレン、ペルクロロエチレン、ナフサミネラルスピリット、及びこれらの溶媒の混合物が挙げられる。
【0017】
樹脂共重合体(i)は、SiO4/2単位に対してモル比で0.6〜0.9のR3SiO1/2単位を必須成分として含有する。なお、得られる最終生成物である粘着剤としての性能を損なわない限り、数モル%のR2SiO単位が共重合体中に含まれていてもよい。前記式中のRは、それぞれ独立して、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ヘキシル、シクロヘキシル、ビニル、アリル、プロペニル、フェニルなどの炭素数1〜6の一価の炭化水素基を示す。前記R3SiO1/2単位は、好ましくはMe3SiO1/2単位及び/又はMe2R1SiO1/2単位(但し、R1はビニル(Vi)又はフェニル(Ph)基を示す)である。より好ましくは、樹脂共重合体(i)中のR3SiO1/2単位のうち10モル%以下がMe2R2SiO1/2単位(但し、R2はビニル基を示す)であり、残部がMe3SiO1/2単位である。前記R3SiO1/2単位が全てMe3SiO1/2単位からなる共重合体が最も好ましい。
【0018】
R3SiO1/2単位とSiO4/2単位とのモル比は、R3SiO1/2単位におけるR基の種類と樹脂共重合体の炭素含有量が判れば容易に算定できる。Me3SiO1/2単位とSiO4/2単位とからなり、そのモル比が前者/後者(モル比)=0.6〜0.9である好ましい樹脂共重合体において、炭素含量の分析値は19.8〜24.4%となる。
【0019】
樹脂共重合体(i)は、米国特許明細書第2676182号に記載の方法で調製してもよい。この方法によれば、低pH条件下、シリカヒドロゾルをR3SiO1/2単位源となる物質で処理することによって樹脂共重合体が得られる。前記物質には、Me3SiOSiMe3、ViMe2SiOSiMe2Vi、MeViPhSiOSiPhViMeなどのヘキサオルガノジシロキサン類や、Me3SiCl、Me2ViSiClやMeViPhSiClなどのトリオルガノシラン類などが含まれる。このような方法で得られた樹脂共重合体は、一般的にケイ素結合ヒドロキシル基を1〜4重量%含有する。或いは、R基を含有しない適当な加水分解性のシランを共加水分解及び縮合に供してもよい。この方法の場合、得られた共重合体を更に適当なシリル化剤で処理して共重合体生成物中のケイ素結合ヒドロキシル基含量を1重量%未満に低下させる場合が多い。前記シリル化剤にはヘキサメチルジシラザンやジビニルテトラメチルジシラザンなどが含まれる。この処理工程は必ずしも必要ではないが、本方法で採用してもよい。用いる樹脂共重合体は1〜4重量%のケイ素結合ヒドロキシル基を含有することが好ましい。
【0020】
成分(ii)も周知の物質であり、TRASiO1/2単位により末端が封鎖されたARSiO単位を含む一種以上のポリジオルガノシロキサンである。前記ポリジオルガノシロキサンの粘度はいずれも100〜30000000mPa・s(25℃)である。周知のように、粘度は、同一の末端封鎖単位を有するとともに分子量が異なるポリジオルガノシロキサン中のジオルガノシロキサン単位の平均数に直接的に関連する。粘度が100〜100000mPa・s(25℃)の範囲にあるポリジオルガノシロキサンは、液体から幾らか粘稠な重合体に及ぶ形態をとる。これらのポリジオルガノシロキサンは、後述のように、末端封鎖剤(iii)の存在下縮合を行う前に樹脂共重合体(i)で前処理することが好ましい。
この前処理によって得られる粘着剤のタックや粘着性が向上する。粘度が1000000mPa・s(25℃)を超えるポリジオルガノシロキサンは、前処理することなく本発明の縮合・末端封鎖工程(II)に供することができる場合が多い。粘度が1000000mPa・s(25℃)を超えるポリジオルガノシロキサンは、非常に粘稠なのでゴムと呼ばれる場合が多く、その粘度は、ウィリアムス可塑度で表される場合が多い。なお、粘度が1000000mPa・sを超えるポリジオルガノシロキサンゴムは、50ミル(1.27mm)以上のウィリアムス可塑度(25℃)を有する場合が多い。
【0021】
前記ポリジオルガノシロキサン(ii)はARSiO単位(但し、Rはそれぞれ前記と同じ意味を有する)を必須成分として含む。基AはそれぞれRや炭素数1〜6のハロゲン化炭化水素基などの基から選ばれる。前記ハロゲン化炭化水素基には、クロロメチル、クロロプロピル、1-クロロ-2-メチルプロピル、3,3,3-トリフルオロプロピル、F3C(CH2)5基などが含まれる。そのため、ポリジオルガノシロキサンは、Me2SiO単位、PhMeSiO単位、MeViSiO単位、Ph2SiO単位、メチルエチルシロキシ単位、3,3,3-トリフルオロプロピル単位、1-クロロ-2-メチルプロピル単位などを含む場合がある。好ましいポリジオルガノシロキサンにおいて、ARSiO単位は、R2SiORR’SiO単位及び/又はPh2SiO単位(但し、R及びR’は前記と同義)から選ばれ、ポリジオルガノシロキサン(ii)中のR’基の50モル%以上がメチル基であり、成分(ii)の各ポリジオルガノシロキサンにおけるARSiO単位の総量の50モル%以下がPh2SiO単位である。より好ましくは、各ポリジオルガノシロキサン中のARSiO単位の10モル%以下がMeRSiO単位(但し、Rは前記と同義)であり、残部がMe2SiO単位である。前記ARSiO単位が実質的に全てMe2SiO単位であることが最も好ましい。
【0022】
各ポリジオルガノシロキサン(ii)は、末端に式TRASiO1/2で表される末端封鎖単位を有する。但し、前記式中、R及びAは前記と同義であり、基TはそれぞれR、OH、H又はOR’基であり、R’はメチル、エチル、n-プロピル、イソブチル基などの炭素数1〜4のアルキル基を示す。H、OH及びOR’基は成分(iii)が末端封鎖性トリオルガノシリル単位と反応する際の反応部位となり、また、ポリジオルガノシロキサン(ii)内の他の基との縮合反応部位、又は樹脂共重合体(i)中のケイ素結合ヒドロキシル基との縮合反応部位となる。TがOH基であるポリジオルガノシロキサン類は、樹脂共重合体(i)との共重合性が高いので、これを用いることが最も好ましい。なお、クロロシラン類を用いた場合にはHClが生成し、オルガノシラザン類を用いた場合にはアンモニアが生成するが、これらのHClやアンモニアなどの適切な触媒を末端封鎖剤として用いる場合は、トリオルガノシロキシ[例えば、(CH3)3SiO1/2、CH2CH(CH3)3SiO1/2などのR3SiO1/2]単位を末端に有するポリジオルガノシロキサン類を用いることができる。これは、縮合反応を加熱下で行う場合にトリオルガノシロキシ単位の一部が開裂しうるからである。前記開裂によってケイ素結合ヒドロキシル基が露出し、その露出したケイ素結合ヒドロキシル基が、樹脂共重合体中のケイ素結合ヒドロキシル基、末端封鎖性トリオルガノシリル単位又はH、OH又はOR’基若しくは開裂反応によって露出したケイ素結合ヒドロキシル基を含有する他のポリジオルガノシロキサンと縮合する。異なる置換基を有するポリジオルガノシロキサン類を混合して用いてもよい。
【0023】
このようなポリジオルガノシロキサン類の製造方法は周知であり、例えば米国特許明細書第2490357号、第2542334号、第2927907号、第3002951号、第3161614号、第3186967号、第3509191号、第3697473号等に記載されている。
【0024】
過酸化物により、若しくは樹脂共重合体(i)又はポリジオルガノシロキサン(ii)中に存在する不飽和脂肪族基により硬化する粘着剤を得るためには、樹脂共重合体(i)が不飽和脂肪族基を含有する場合はポリジオルガノシロキサン(ii)が不飽和脂肪族基を含んではならず、また、逆の場合も同様である。前記二成分が共に不飽和脂肪族基を含有する場合には、そのような基による硬化で得られる生成物は粘着剤として作用しない場合がある。
【0025】
本発明は、シリコーン系粘着剤のシラノール濃度が8000〜13000ppmという明確に規定された範囲内であるという特徴がある。これは、本発明の前記組成物をシラノールと反応する薬剤で処理するか、前記シリコーン系粘着剤をシラノール含量の低いシリコーン系粘着剤と混合することによって達成できる。前記シラノール含量の低いシリコーン系粘着剤としては、例えば米国再発行特許明細書第35474号に記載されたものが挙げられる。
【0026】
組成物を化学処理してシラノール含量を低下させる場合には、樹脂共重合体(i)を処理するか、ポリジオルガノシロキサン(ii)を処理するか、樹脂共重合体(i)とポリジオルガノシロキサン(ii)とを両方処理するか、或いは、樹脂共重合体(i)とポリジオルガノシロキサン(ii)の混合物を処理すればよい。また、これらの処理を組み合わせてもよい。
【0027】
前記化学処理は、末端封鎖トリオルガノシリル単位を生成しうる少なくとも一種の有機ケイ素系末端封鎖剤(iii)の存在下、樹脂共重合体(i)とポリジオルガノシロキサン(ii)とを縮合させて行うことが好ましい。このような末端封鎖剤の例は米国特許明細書第4591622号及び米国再発行特許明細書第35474号に記載されている。
【0028】
末端封鎖性のトリオルガノシリル単位を生成し得る末端封鎖剤は、通常シリル化剤として用いられ、種々の種類のものが知られている。粘着剤フィルムの物性を調整するため、ヘキサメチルジシラザンなどの封鎖剤を単独で用いてもよく、例えばヘキサメチルジシラザンとsym-テトラメチルジビニルジシラザンとの組み合わせのように、二種以上を混合して用いてもよい。例えば、前記樹脂共重合体(i)が基Rを含み、かつポリジオルガノシロキサン(ii)が実質的に全てメチル基からなる場合には、[(CF3CH2CH2)Me2Si]2NHなどのフッ化トリオルガノシリル単位を含有する末端封鎖剤を本発明の方法において用いると、得られる粘着剤の成膜後の炭化水素溶媒に対する耐性が向上する。また、前記フッ化トリオルガノシリル単位が粘着剤のタック及び粘着性に影響する。末端封鎖剤が、炭素数のより高いケイ素結合有機基、例えば、エチル、プロピル又はヘキシル基を含有する場合、有機系粘着剤に対するシリコーン系粘着剤の相溶性が向上するので、これらの粘着剤を配合して、得られる粘着剤組成物の特性を向上できる。アミド、エステル、エーテル、シアノ基などの有機官能基を有するトリオルガノシリル単位を含有する末端封鎖剤を用いると、本発明にかかる粘着剤の放出特性を変えることができる。同様に、例えばROOCR基を加水分解してHOOCR-基に転換し、このHOOCR-基をMOOCR基(但し、Mはリチウム、カリウム、ナトリウムなどの金属カチオンを示す)にするなどして粘着剤組成物中の有機官能基を変えることができる。得られた組成物は、RCOOR-基を含有する元の組成物とは放出特性や他の特性が異なる場合がある。
【0029】
ビニル基などの不飽和有機基含有トリオルガノシリル単位を含む末端封鎖剤を用いると、これらの基を介して架橋可能なシリコーン系粘着剤が得られる。例えば、本発明の方法で得られたPhMeViSi-やMe3Si-などの末端封鎖トリオルガノシリル単位を含有するシリコーン系粘着剤組成物に、ケイ素結合水素ラジカルを含有する有機ケイ素系架橋化合物と、白金族金属、ロジウム属金属などの貴金属触媒とを加えることができる。前記貴金属を触媒としてケイ素結合水素ラジカルがケイ素結合ビニル基へ付加し、得られた粘着剤組成物が硬化する。フェニル基含有トリオルガノシリル単位を有する末端封鎖剤を用いると、粘着剤の耐熱性を改善できる。
【0030】
このように、末端封鎖剤は本発明においていくつかの役割を果たしている。すなわち、得られる粘着剤の薬物に対する安定性に影響することのあるケイ素結合水素ラジカルを、末端封鎖剤によって除去できる。末端封鎖剤の量を適切に設定することによって、樹脂共重合体とポリジオルガノシロキサンを実質的に変更することなく粘着剤の特性を調整できる。また、トリオルガノシリル単位が末端封鎖単位として作用するので、樹脂共重合体(i)とポリジオルガノシロキサン(ii)との縮合物の分子量、ひいてはその特性を変えることができる。
【0031】
これらの効果を達成するためには、一種以上の末端封鎖剤を十分量添加し、シラノール濃度を8000〜13000ppmの範囲にしなければならない。樹脂共重合体(i)とポリジオルガノシロキサン(ii)とに含有されるケイ素結合ヒドロキシ基の総量の大部分は樹脂共重合体(i)に含まれている場合が多い。
特定の基を有する末端封鎖剤を配合することによって粘着剤の特性を変える場合、ケイ素結合ヒドロキシル基含量の高い(例えば、1〜4重量%)樹脂共重合体(i)を用いて、それらの基が結合したトリオルガノシリル単位のより多くを反応させて樹脂共重合体(i)とポリジオルガノシロキサン(ii)との縮合物とすることが望ましい。
【0032】
末端封鎖剤としては、例えば、(Me3Si)2NH,(ViMe2Si)2NH,(MePhViSi)2NH,(CF3CH2CH2Me2Si)2NH,(Me3Si)2NMe,(ClCH2Me2Si)2NH,Me3SiOMe,Me3SiOC2H5,Ph3SiOC2H5,(C2H5)3SiOC2H5,Me2PhSiOC2H5,(i-C3H7)3SiOH,Me3Si(OC3H7),MePhViSiOMe,Me3SiCl,Me2ViSiCl,MePhViSiCl,(H2CCHCH2)Me2SiCl,(n-C3H7)3SiCl,(F3CCF2CF2CH2CH2)3SiCl,NCCH2CH2Me2SiCl,(n-C6H13)3SiCl,MePh2SiCl,Me3SiBr,(t-C4H9)Me2SiCl,CF3CH2CH2Me2SiCl,(Me3Si)2O,(Me2PhSi)2O,BrCH2Me2SiOSiMe3,(p-FC6H4Me2Si)2O,(CH3COOCH2Me2Si)2O,[(H2CCCH3COOCH2CH2)Me2Si]2O,[(CH3COOCH2CH2CH2)Me2Si]2O,[(C2H5OOCCH2CH2)Me2Si]2O,[(H2CCHCOOCH2)Me2Si]2O,(Me3Si)2S,(Me3Si)3N,Me3SiNHCONHSiMe3,F3CH2CH2Me2SiNMeCOCH3,(Me3Si)(C4H9)NCON(C2H5)2,(Me3Si)PhNCONHPh,Me3SiNHMe,Me3SiN(C2H5)2,Ph3SiNH2,Me3SiNHOCCH3,Me3SiOOCCH3,[(CH3CONHCH2CH2CH2)Me2Si]2O,Me3SiO(CH2)4OSiMe3,Me3SiNHOCCH3,Me3SiCCH,[HO(CH2)4Me2Si]2O,(HOCH2CH2OCH2Me2Si)2O,H2N(CH2)3Me2SiOCH3,CH3CH(CH2NH2)CH2Me2SiOCH3,C2H5NHCH2CH2S(CH2)6Me2SiOC2H5,HSCH2CH2NH(CH2)4Me2SiOC2H5,HOCH2CH2SCH2Me2SiOCH3などが挙げられる。
【0033】
前記末端封鎖剤としては(Me3Si)2NHが好ましい。
【0034】
前記トリオルガノシリル単位が、樹脂共重合体(i)及びポリジオルガノシロキサン(ii)中のケイ素結合ヒドロキシル基及び/又はH、OH又はOR’基と反応すると、これらの末端封鎖剤からシラノール縮合触媒が生成する場合が多い。このような触媒には、塩酸などの酸、アンモニアやアミン類などの塩基が含まれる。後述するように、本発明方法の縮合工程(II)は加熱下行うことが好ましく、前記触媒が存在することによって、前記末端封鎖性トリオルガノシリル単位が末端を封鎖するのと同時に、樹脂共重合体(i)とポリジオルガノシロキサン(ii)との縮合が起こる。用いる製造方法によっては、樹脂共重合体(i)及び/又はポリジオルガノシロキサン(ii)中に十分量の触媒が残留して縮合と末端封鎖に影響を与える場合がある。このため、必要に応じて、更に「穏和な」シラノール縮合触媒(iv)を追加的な触媒量添加してもよい。なお、「穏和な」とは、当該触媒が、末端封鎖剤と樹脂共重合体(i)及びポリジオルガノシロキサン(ii)との縮合を引き起こすが、シロキサン結合の転位を引き起こしにくいことを意味する。「穏和な」触媒としては、粘着剤組成物の硬化剤として用いられているものが挙げられる。そのような硬化剤には、例えば、トリエチルアミンなどのアミン類;2-エチルカプロン酸テトラメチルグアニジン、2-エチルヘキサン酸テトラメチルグアニジン、2-エチルカプロン酸n-ヘキシルアミンなどの有機化合物が含まれる。追加的に用いられる前記触媒(iv)としては、縮合反応中に樹脂共重合体(i)及び/又はポリジオルガノシロキサン(ii)中のシロキサン結合の過剰な開裂を引き起こさないものを選ぶべきである。例えば有機スズ触媒や強酸などを用いた場合のように、このような過剰な開裂が起きると、得られる組成物がゲル化したり、その粘着特性(接着特性)がかなり低下したりする。末端封鎖剤(iii)によって触媒が生成しない場合にのみ触媒(iv)を用いることが好ましい。特定の末端封鎖性トリオルガノシリル単位と、樹脂共重合体(i)及びポリジオルガノシロキサン(ii)中のオルガノシロキシ基のケイ素結合ヒドロキシル基との反応を触媒する適切な触媒の例、その中から特定の触媒を選ぶこと、及びその量は当業者にとって公知のことである。前記のように、R3SiO1/2末端封鎖性単位がポリジオルガノシロキサン(ii)中に存在する場合は、クロロシラン系末端封鎖剤を用いて、封鎖剤から生成するHClを触媒として用いることが好ましい。基TがRである場合は、シラザン系末端封鎖剤を用いてもよく、ポリジオルガノシロキサン(ii)中のTがHである場合は、前記シラザン系末端封鎖剤を用いることが好ましい。ポリジオルガノシロキサン(ii)中のTがOHである場合は、シラザン系末端封鎖剤を用いることが特に好ましい。この場合触媒を追加する必要はなく、生成するアンモニア化合物は通常揮発性なので、不揮発性の固体触媒に比べて容易に除去できる。前記参考文献に記載されているように樹脂共重合体(i)を酸性条件下で調製する場合は、生成した樹脂共重合体中に十分量の酸触媒が存在することが多いので、更に縮合触媒を添加しなくても、アルコキシ又はOH型の基Yを含有する末端封鎖性単位を利用できる。
所望により、有効量の有機溶媒(v)を、樹脂共重合体(i)(固体又は有機溶媒の溶液として)、ポリジオルガノシロキサン(ii)、末端封鎖剤(iii)及び触媒(iv)の混合物に加えて、前記混合物の粘度を低下させてもよく、成分(i)及び/又は(ii)を溶媒に溶解した溶液として添加して、その結果として混合物中に有機溶媒が存在してもよい。前記有機溶媒は混合物中の他の成分に対して不活性で、かつ縮合工程中に他の成分と反応しないものでなければならない。前記のように、樹脂共重合体(i)はトルエン又はキシレンに溶解した溶液として調製される場合が多い。ポリジオルガノシロキサン(ii)が高粘度のガム状の場合、有機溶媒を用いる必要がある場合が多い。というのは、そのような高粘度のポリジオルガノシロキサンを添加すると、混合物を例えば100〜150℃の処理温度に加熱しても混合物の粘度が高くなりすぎるからである。水分を共沸により除去できるような有機溶媒が好ましい。
【0035】
前記「有機溶媒」には、ベンゼン、トルエン、キシレン、トリクロロエチレン、ペルクロロエチレン、ケトン類、ジクロロジフルオロメタンなどのハロゲン化炭化水素、ナフサミネラルスピリットなどの単一溶媒や、二種以上の有機溶媒を混合した混合有機溶媒などが含まれる。ポリジオルガノシロキサン(ii)中のシロキサン又はシリル単位の大部分がフッ素化された基である場合は、相溶性の問題から、前記溶媒の少なくとも一部としてメチルイソブチルケトンなどのケトン類を用いることが好ましい。好ましくは、前記混合物はベンゼン、トルエン及びキシレンから選ばれた炭化水素溶媒を含む。
【0036】
本発明の工程(I)によれば、樹脂共重合体(i)、ポリジオルガノシロキサン(ii)、及び必要に応じて添加される有機溶媒(v)を混合する。2-エチルヘキサン酸テトラメチルグアニジンなどの適当な反応性を有する触媒を添加し、必要に応じて副生物を減圧除去すれば、縮合反応は室温で進行する。しかし、縮合反応は加熱下、より好ましくは100〜120℃で行うことが好ましい。成分(i)、(ii)及び(v)を均一になるまで混合し、次いで末端封鎖剤(iii)を添加し、最後に必要に応じて末端封鎖反応用縮合触媒(iv)を添加する方法が好ましい。
【0037】
縮合工程(II)の開始時点は、反応を室温で行う場合にはシラザン類などの適当な反応性末端封鎖剤を添加した時であり、反応を加熱下行う場合は、混合物を80〜160℃、好ましくは100〜120℃に加熱した時である。縮合反応は、少なくとも水などの縮合副生物の発生がほぼ一定速度になるまで進行させることが好ましい。次いで、粘度、タックや他の粘着特性などの物性値が所望の値になるまで加熱を続ける。縮合副生物の発生がほぼ一定速度に達した時点から更に1〜4時間、混合物を環流させる場合が多い。組成物中のポリジオルガノシロキサン(ii)及び/又は末端封鎖剤がフッ素化された基などの有機官能基を有する場合には、縮合反応時間を長くしなければならない場合がある。これらの基は、共重合体(i)中の基よりも相溶性に劣るからである。
【0038】
縮合反応が完了したら、縮合副生物を共沸により除去すると同時に、或いは除去した後に、過剰の溶媒を除去することによって残留した末端封鎖剤を溶媒除去する。得られたシリコーン系粘着剤組成物の不揮発性固形分は、溶媒を添加又は除去することによって調整できる。残留する溶媒を完全に除去してから別の有機溶媒を添加してもよく、縮合物の粘度が十分低い場合には、溶媒を完全に除去してもよい。また、混合物を回収してそのまま使用することもできる。得られた粘着剤組成物は、有機溶媒の溶液とすることが好ましい。特に、ポリジオルガノシロキサン(ii)の粘度が100000mPa・s(25℃)を超える場合は、前記有機溶媒溶液中の成分(i)、(ii)、(iii)、(iv)及び(v)の濃度が30〜70重量%の範囲にあることが好ましい。
【0039】
ポリジオルガノシロキサン(ii)の粘度が100000mPa・s(25℃)を超える場合、前記の方法が好ましい。ポリジオルガノシロキサン(ii)の粘度が100000mPa・s(25℃)未満の場合は、得られる粘着剤の物性のうち、タックや粘着性が所望の値に達しない場合があるとともに、基体間の接着剤移動が起こりやすくなる(前記Pailの特許などを参照)。
【0040】
上記の理由から、本発明の方法においてポリジオルガノシロキサン(ii)成分の大部分の粘度が100000mPa・s(25℃)未満の場合は、末端封鎖剤の存在下における縮合工程の前に、前記Pailの特許で用いられたような初期縮合工程を行うことが好ましい。この場合、本発明方法の工程(I)には、(Ia)前記の種類のシラノール縮合触媒(無水アンモニアガスが好ましい)の存在下、樹脂共重合体(i)、ポリジオルガノシロキサン(ii)及び必要に応じて有機溶媒(v)を混合する工程、(Ib)例えば環流条件下1〜10時間加熱するなどして、成分(i)及び(ii)を縮合して縮合物を生成する工程、及び(Ic)工程(Ib)で得られた縮合物を、成分(iii)及び(iv)並びに、必要に応じて本発明法の工程(II)を進行させるのに必要量の有機溶媒(v)と混合する工程を含む。この初期縮合工程によって工程(Ib)で得られた生成物の分子量が増加するが、前記生成物中にはケイ素結合ヒドロキシル基が残留しており、前記ヒドロキシル基は本発明方法によって末端封鎖を行えるので、得られる粘着剤組成物の物性が向上する。得られたシリコーン系粘着剤組成物を次いで工程(II)に供し、その工程では前記のように溶媒を調整してもよく、最終生成物であるシリコーン系粘着剤組成物を得る。
【0041】
得られた粘着剤組成物は医療用に使用されるので、ケイ素結合ヒドロキシル基との反応によってアンモニアを生成する末端封鎖剤、例えば(Me3Si)2NHを用いる場合は、末端封鎖剤から生成するアンモニアのうち残留するものを除去することが好ましい。この残留アンモニアの除去は、米国特許明細書4584355号に記載の方法によって行える。但し、前記方法において、前記アンモニア生成末端封鎖剤を採用すると共に、遊離したアンモニアが触媒として作用するので、末端封鎖剤の存在下縮合を行う工程中に追加的な縮合触媒(iv)を使用しない。また、下記のように水を成分として添加する。
【0042】
米国特許明細書第4584355号に記載の方法によって組成物を調製する場合は、組成物中の全末端封鎖剤のNH1モルに対して0.5〜10モルの水を添加する。特に、ケイ素結合ヒドロキシル基成分が樹脂共重合体(i)に由来する場合、組成物からアンモニアを十分除去するためには、最低限0.5モル、好ましくは1.0モル以上、より好ましくは、例えば3.0モル以上の水を添加する。NH1モル当たり10モル以上の水を用いると不経済なので好ましくない。
前記アンモニア生成末端封鎖剤を用いてシリコーン系粘着剤組成物を製造するに当たっては、米国特許明細書第4585836号に教示された方法を用いるのが最も好ましい。しかし、例えば溶媒を置換するなどして処理中に粘着剤組成物の揮発性溶媒を除去する場合には、米国特許明細書第4585836号に記載されたようにアルコールを用いる必要はない。粘着剤組成物中の残留アンモニアを除去するために水を用いる米国特許明細書4584355号に記載の方法は、本発明を実施するに当たって有効な場合が多い。前記米国特許明細書第4585836号記載の方法は、上記米国特許明細書4584355号に記載の方法と同様であり、組成物中の全末端封鎖剤(iii)に由来するNH1モルに対して0.1〜10モルの水を配合する。水の添加量は特に限定的ではないが、NH1モル当たり水0.1モルが有効な最低量であり、10モル以上では不経済であると思われる。
【0043】
米国特許明細書第4585836号記載の方法では、更に、樹脂共重合体(i)及びポリジオルガノシロキサン(ii)の合計量100重量部に対して0.001〜10重量部の、少なくとも一種の「アンモニア捕集性化合物」を用いている。「アンモニア捕集性化合物」とは、ヒドロキシル基などの極性部と非極性部とをそれぞれ一つ以上有する有機官能性化合物、例えばアルコールなどをいう。特定の作用理論に限定するわけではないが、組成物のシリコーン部位よりも前記アンモニア捕集性化合物の極性部の方が末端封鎖剤由来のアンモニアに対する会合性が強いので、アンモニアが不要になった時点でアンモニアを組成物から除去できる。アンモニア捕集性化合物は非極性部も十分に有していなければならない。これは、前記化合物の非極性部をシリコーン系粘着剤組成物の非極性部と会合させることによって、化合物の極性部を末端封鎖剤から遊離したアンモニアと会合させるためである。アンモニア捕集性化合物は十分な揮発性をも有していなければならない。粘着剤組成物を処理する温度(通常、80〜160℃)で粘着剤組成物から除去できなければならないからである。アンモニア捕集性化合物は添加された水と相乗的に作用して、重ね剪断安定性を非常に向上させるようである。特に、米国軍用規格T-81287に記載の厳しい方法で測定した場合の米国特許明細書4591622号記載のシリコーン系粘着剤の耐クリープ性が著しく向上する。このため、重ね剪断安定性を低下させる要因の一つであるアンモニアを前記アンモニア捕集性化合物が効率的に除去しているものと考えられる。アンモニア捕集性化合物は、例えば樹脂共重合体(i)とポリジオルガノシロキサン(ii)の合計量100重量部に対して0.001重量部程度のごく少量であっても重ね剪断安定性を著しく向上できる。但し、10重量部以上の添加は不経済である。本シリコーン系粘着剤は医療装置に用いられるものなので、粘着剤中のアンモニアなどの副生物及び製造に使用した反応原系や触媒の残留量はできる限り少ないことが望ましい。
【0044】
アンモニア捕集性化合物としては、例えばエタノール、イソプロパノール、n-ブタノール、イソブタノールなどの式HOCmH2m+1(但し、mは2〜4である)で表されるアルコール類;エチレングリコール、プロピレングリコール、へキシレングリコール、HOCH2CH2OCH2CH3、HO(CH2)6O(CH2)6OH、HO(CHCH3CH2O)3Hなどの式HOCxH2x(OCxH2x)y(O)vH(但し、xは2〜6、yは0〜3、及びvは0又は1である)で表されるグリコールエーテル類;C2H5OC2H5,C2H5OCH2CH2OC2H5,C2H5O(CHCH3CH2)OC2H5,C4H9O(CHCH3CH2)OC4H9,C2H5O(CH2CH2O)3C2H5,C2H5O(CH2CH2O)2C2H5などの式CwH2w+1(OCxH2x)yOCwH2w+1(但し、wは1〜0であり、x及びyは前記と同じ)で表されるエーテル類;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸アミル、酢酸ヘキシル、ギ酸エチル、プロピオン酸エチルなどの式CwH2w+1C(O)OCnH2n+1及びHC(O)OCnH2n+1(但し、w及びnは前記に同じ)で表されるエステル類が挙げられる。アンモニア捕集性化合物として最も好ましいのはアルコール類である。第一級アルコールが最も効果的で、次いで第二級アルコール、第三級アルコールの順である。第二級アルコールの中ではイソプロパノールが効果的である。水を単独で使用した場合にアンモニアを除去することによって重ね剪断安定性が改善されるのと同様に、アンモニア捕集性化合物単独でもアンモニアを除去することによって重ね剪断安定性を改善できるものと思われる。
【0045】
上記米国特許明細書4584355号又は米国特許明細書第4585836号に記載の好ましい方法によれば、工程(I)において樹脂共重合体(i)及びポリジオルガノシロキサン(ii)を、水のみ又は水及びアンモニア捕集性化合物、並びに必要に応じて有機溶媒と混合する。末端封鎖剤(iii)から生成するアンモニアを効果的に除去するために、成分(i)、(ii)及び(iii)の縮合反応を80〜160℃、より好ましくは100〜120℃に加熱して行うことが好ましい。このように、成分(i)、(ii)、水又は水及びアンモニア捕集剤、縮合触媒(iv)及び有機溶媒を添加混合した後に、アンモニア生成末端封鎖剤(iii)を混合物に添加する。必要に応じてトリフルオロ酢酸などの末端封鎖反応用の縮合触媒を、末端封鎖剤(iii)の添加後に添加する。得られた混合物を室温で撹拌して全成分を十分混合する。操作を簡単にするため、水又は水とアンモニア捕集性化合物とをこの工程の最初で添加してもよい。なお、これらの成分は下記の縮合工程(II)中のいずれの時点で添加してもよく、前記工程終了後に添加してもよい。これらの成分は粘着剤組成物の製造中に生成するアンモニアを除去するために添加するからである。例えば、水又は水とアンモニア捕集性化合物は、後述する追加的な除去工程(III)の直前に添加してもよい。この時、低沸点の水及びアンモニア捕集性化合物(使用する場合)を添加する前に反応混合物を冷却する必要がある場合がある。末端封鎖反応用縮合触媒(iv)を用いる場合、前記縮合触媒は末端封鎖剤(iii)の添加後かつ下記の縮合工程(II)の前に添加すべきである。
【0046】
縮合工程(II)は、アンモニア生成末端封鎖剤(iii)を室温で添加した時点から開始する。混合物を80〜160℃、好ましくは100〜120℃に加熱すると縮合反応が持続する。縮合反応は、少なくとも水などの縮合副生物の発生がほぼ一定速度になるまで進行させることが好ましい。次いで、粘度、タックや粘着特性などの物性値が所望の値になるまで加熱を続ける。縮合副生物の発生がほぼ一定速度に達した時点から更に1〜4時間、反応混合物を環流させる場合が多い。組成物中のポリジオルガノシロキサン(ii)及び/又は末端封鎖剤が、フッ素化された基などの有機官能基を有する場合には、縮合反応時間を長くしなければならない場合がある。これらの有機官能基は、共重合体(i)中の基よりも相溶性に劣るからである。縮合工程と必要により行われる環流工程では、少なくとも定期的に縮合副生物を反応混合物から除去する。副生物の除去は、例えば共沸除去や、定期的に溶媒の一部を反応混合物から除去するなどして行える。
【0047】
粘着剤組成物からアンモニアを最大限除去するためにアンモニア捕集性化合物を用いる場合、水、末端封鎖剤(iii)及び縮合触媒(iv)を成分(i)及び(ii)と共に添加して、前記縮合工程(II)を行うことが好ましい。工程(II)が終了したら、アンモニア捕集性化合物を添加し、反応生成物を適当な時間(3時間が好ましいが、1〜5時間であってもよい)環流温度に保って、除去工程(III)が開始する前のアンモニアの除去効率を上げておく。この操作を行うことによって、反応混合物からアンモニアを最大限に除去できるようである。
【0048】
米国特許明細書4584355号又は第4585836号記載の縮合反応がほぼ完了した時点で工程(III)を開始する。この工程(III)では、工程(II)中又は工程(II)終了後に過剰の溶媒を除去することによって、残留する末端封鎖剤、水又は水とアンモニア捕集性化合物、及び残留アンモニアを溶媒除去する。なお、この除去には縮合副生物の共沸除去も含まれる。溶媒を除去する過程で、より揮発性の高い成分が溶媒の一部として又は溶媒と共に独立した成分として除去される。得られたシリコーン系粘着剤組成物の不揮発性固形分量は上記のように調整できる。同様に、アンモニア生成末端封鎖剤の存在下に縮合を行う前に、上記のような初期縮合工程を行ってもよい。医療用製品に用いる粘着剤ではできる限り揮発性成分を除去することが好ましいので、上記のように、米国特許明細書4584355号及び第4585836号に記載の方法を用いることが好ましい。
【0049】
好ましさの点では劣るがおそらく有用なシリコーン系粘着剤組成物として、下記の方法で得られる組成物が挙げられる。この方法では、含有するケイ素結合ヒドロキシル基含量を最大限低下させるため、前記樹脂共重合体(i)を前記末端封鎖剤と縮合させる。この化学処理した樹脂共重合体を、前記ポリジオルガノシロキサン(ii)において説明した高分子量のポリジオルガノシロキサンゴムとそのまま常温混合するか加熱下混合して粘着剤組成物を得る。得られた粘着剤組成物は、ケイ素結合ヒドロキシル基含量が非常に低い。ケイ素結合ヒドロキシル基は主に樹脂共重合体(i)に由来するが、この樹脂共重合体(i)があらかじめ化学処理されており、一方前記高分子量ポリジオルガノシロキサンでは、末端のシロキシ単位中にのみケイ素結合ヒドロキシル基が存在するので、そのケイ素結合ヒドロキシル基含量が非常に低いからである。
【0050】
前記シリコーン系粘着剤組成物は、そのまま公知の方法により成膜して経皮薬物供給装置用の粘着剤フィルムとすることができる。或いは、必要に応じて前記組成物を更に硬化させ、粘着剤フィルムの架橋密度を増加させてフィルムの物性を改善してもよい。未硬化の粘着剤は一般に硬化粘着剤よりも凝集力が低い。公知の方法により、粘着剤固形分に対して0.5〜3重量%の過酸化物触媒を組成物に添加し、110〜200℃で1〜10分間フィルムの硬化を行ってもよい。前記過酸化物触媒としては、過酸化ベンゾイル、2,4-ジクロロ過酸化ベンゾイルなどが挙げられる。電子線照射や化学作用光線照射などの他のフリーラジカル架橋法も粘着剤フィルムの硬化に有用な場合がある。特に、シリコーン系粘着剤組成物がビニル基などの不飽和脂肪族基を含有する場合にはこれらの方法が有用である。シリコーン系粘着剤中の樹脂共重合体(i)及び/又は成分(iii)の末端封鎖性トリオルガノシリル単位がビニル基などの不飽和脂肪族基を含有する場合、前記粘着剤はSiH含有共反応原系を塩化白金酸触媒と共に用いる公知の方法によって、常温又は加熱下硬化できる。
【0051】
所望により、本発明のシリコーン系粘着剤を、シリコーン系粘着剤、有機系粘着剤などの他の粘着剤と併用又は混合してもよい。本発明の粘着剤と混合して用いる他の粘着剤としては、例えば、官能性を有さないかOH又はCOOH官能基を有するアクリル系粘着剤、及び天然ゴム、ポリイソブチレン、ポリブタジエンなどのゴム系粘着剤などが挙げられる。これらの混合物における他の粘着剤に対する本発明の粘着剤の重量比は、例えば、前者:後者=10:90〜90:10程度である。
【0052】
組成物の粘着特性や粘着剤の生体適合性を損なわない範囲で、充填材や顔料などの他の公知の成分を本発明にかかるシリコーン系粘着剤組成物に添加してもよい。また、二種以上のシリコーン系粘着剤組成物を常温混合して中間の特性を有する組成物を調製してもよい。例えば、樹脂共重合体(i)70〜90重量部及びポリジオルガノシロキサン(ii)10〜30重量部からなり、接着強さの高い(例えば、512g/cm)シリコーン系粘着剤組成物を本発明のシリコーン系粘着剤組成物と混合してもよい。得られるシリコーン系粘着剤組成物は接着強さが向上している。このような改質剤(調整剤)は、前記のように化学処理することが望ましい。ケイ素結合ヒドロキシル基含量が極めて高い改質剤を用いると、得られる粘着剤のタックが低下しすぎるおそれがある。前記改質剤は粘着剤でなくてもよく、樹脂共重合体(i)1〜100重量部及びポリジオルガノシロキサン(ii)0〜99重量部を含有していればよい。
【0053】
本発明で有用なシリコーン系粘着剤組成物を上記に詳述したが、これらの組成物を用いて経皮薬物供給装置を改良できる。すなわち、前記化学処理を施していないシリコーン系粘着剤を用いた場合に比べて、本発明にかかる組成物を用いると装置を装着者の皮膚により長時間接触させておくことができる。また、本発明の経皮薬物供給装置は貯蔵安定性が高い。前記粘着剤組成物が、未処理の同種組成物に比べて、タックや皮膚に対して瞬間的に接着する能力を貯蔵中経時的に失いにくいからである。化学処理を施していない同種組成物がタックや皮膚に対して瞬間的に接着する能力を経時的に失いやすいのは、大半の装置において、装置の組立の直後に薬物が徐放手段から遊離して粘着剤と接触するからである。
【0054】
【実施例】
以下実施例を挙げて本発明を更に詳細に説明するが、これらの実施例は本発明の範囲を限定するものではない。なお、下記実施例中「部」及び「%」は特に断らない限り、それぞれ「重量部」及び「重量%」を意味する。
試験方法:
試料の不揮発性固形分(NVC)は下記の方法で測定した。試料3〜5g(A)をアルミホイル製皿(直径60mm、深さ15mm)に入れ、空気循環型オーブン中で200℃で1時間加熱した。加熱した試料を室温まで冷却し、重量を再測定して不揮発分の重量(B)を求めた。不揮発性固形分(%)=(B/A)×100である。
試料の溶液粘度は、No.5シャフトを用いたRVT型ブルックフィールド(Brookfield(商品名))粘度計により25℃、回転数20rpmで測定した。ケイ素結合ヒドロキシル基含量は、29Si-核磁気共鳴(NMR)法及びフーリエ変換赤外分光分析(FTIR)法を用いて求めた。29Si-NMRで得られたデータとFTIRで得られたデータとの関係を求めた。29Si-NMR分光法では、0.04Mアセチルアセトンクロム(III)を含有する約50体積%のCDCl3溶液として試料を調製し、定量条件を整えた。溶液状態29Si-NMR分光法は、79.458MHzに同調させた16mmプローブを備えたバリアン型400MHzNMR分光分析装置を用いて行った。ゲートデカップリング、45°パルス幅13.0μ秒、及び緩和遅延時間(at+dl)4.6秒(at=1.6秒、dl=3秒)の条件で測定を行った。1024個の過渡事象を信号平均して、適切な信号対雑音比に調整した。
FTIR分光では、粘着剤溶液を適当な剥離ライナー上に流し込み、溶媒を除去して粘着剤フィルムとし、これを試料とした。前記粘着剤フィルムを塩ディスク上に移して分析に供した。赤外スペクトルは、パーキンエルマー1600分光光度計を用いて測定した。バックグランド走査とスペクトル走査は、吸光度モード、16走査、弱アポディゼーション、4cm-1解像度の条件で行った。試料を走査し、A1/(A2×100)ピーク比を計算した。領域A1はシラノール基からのO-H結合の二量体伸長振動のピークに相当する。領域A2はポリジメチルシロキサン(PDMS)メチル基の水素原子の変形の上音ピーク領域に相当する。
ケイ素結合ヒドロキシル基含量が異なる粘着剤試料を29Si-NMR及びFTIR分光法で分析した。両データの関係(図1)を下記の式として設定した:
シラノール(ppm、29Si-NMR)=19426.6×[A1/(A2×100)]-1029.2
FTIRデータを用いて実施例における試料のシラノール含量(ppm)を算出した。粘着剤を混合して用いた場合は、シラノール含量の高値のものと低値のものの値を採用し、重量%基準での線形補間によりFTIR値を算出した。
静的剪断試験に用いた試料は下記の方法で作成した。シリコーン系粘着剤溶液、アクリル系接着剤溶液及び薬物を混合した。得られた混合物を適当な剥離ライナー上に溶媒を用いて流し込み、溶媒を除去して乾燥粘着剤層を得た。得られたフィルムを適当な下地フィルムに積層し、最終的にマトリックス体を得た。この粘着剤マトリックスを厚さ約1.5ミル、接触面積0.75インチ×0.50インチの細片とし、これをステンレス鋼板に貼付し、90°F(皮膚温度に近い)のオーブンに入れて30分間保持した。ステンレス鋼板を垂直から2°傾け、その上の細片に1000gの錘を接着した。鋼板を2°傾けたのは、得られる剪断データから剥離による影響を除くためである。測定値は粘着剤の細片が鋼板から完全に剥がれるまでの時間を分単位で示したものである。
【0055】
実施例1
本実施例では、(CH3)3SiNHで化学処理することによってシリコーン系粘着剤のケイ素結合ヒドロキシル基含量を低下させた。なお、前記化学処理は、シラノール基1モルに対してシリル単位が0.3〜0.8モルとなるように(CH3)3SiNH濃度を変えて行った。
[初期縮合工程]
(A)三次元構造を持つトリメチルシロキシ及びヒドロキシで末端封鎖されたシリケート樹脂65部(100%固形分基準)と、粘度が13500cp(25℃)のヒドロキシで末端封鎖されたポリジメチルシロキサン35部と、充分量のキシレンとを混合し、見かけ固形分70%の混合物を得た。得られた混合物を三つ口フラスコに入れた。なお、フラスコは、底部吐出口、温度計、水冷凝縮器が装着されたディーンスタークトラップ、撹拌パドル及び加熱マントルを備えている。
[縮合工程]
(B)前記混合物を115℃に加熱した。縮合触媒として無水アンモニアを反応混合物に吹き込み、所定の溶液粘度(25℃)に達するまで反応を続けた。
[部分封鎖反応]
(C)下記の表に記載の所定量のヘキサメチルシラザンを処理剤として反応容器に加えた。封鎖反応中は温度を115℃に保った。FTIR測定でケイ素結合ヒドロキシル基含量の変化が検出されなくなるまで封鎖反応を持続した。
[環流工程]
(D)反応混合物を140℃まで加熱して環流し、残留する処理剤とアンモニアを除去した。溶液のpHが中性になった時点で環流を終了した。
[揮発分除去工程]
(E)得られた組成物を適当な剥離ライナー上に置き、溶媒が除去されるまでオーブン中に放置することによって揮発分を除去した。
[再溶解工程]
(F)十分量の酢酸エチルを粘着剤に加え不揮発性固形分60%の溶液を得た。なお、混合物(溶液)が均一になるまで混合容器を回転させた。
得られた粘着剤をアクリル系粘着剤及びアミン系薬物と混合した。下記表に末端封鎖の程度が異なる粘着剤に関するシラノール含量と剪断試験のデータを示す。
【0056】
【表1】
【0057】
実施例2
本実施例においては、実施例1で得られたシリコーン系粘着剤のケイ素結合ヒドロキシル基含量を低下させた。すなわち、米国再発行特許明細書第35474号記載の方法により、シラノール基1モルに対して1モルを超えるシリル基で封鎖したシリコーン系粘着剤及び未封鎖処理のシリコーン系粘着剤(処理剤を添加しない)をアクリル系接着剤及びアミン系薬物と混合した。結果を下記表に示す。
【0058】
【表2】
【0059】
これらの実施例において、未封鎖の粘着剤を有効マトリックス中に配合した場合は、薬物が未封鎖の粘着剤と反応したため、得られた積層体の初期タックが低かった。この積層体の剪断性は安定していたが、積層体を薬物供給装置として皮膚に相当時間貼付しておくことができなかった。
末端を完全に封鎖した粘着剤を使用した場合は、得られた積層体の初期タックは高かったものの経皮薬物供給装置として必要な凝集性に欠けていた。剪断値が低いことは、装置を皮膚に貼付した場合にいわゆる「浸出」が起こることを示唆している。
末端を部分的に封鎖した粘着剤を用いた場合は、初期タックと凝集力の双方に優れた積層体が得られた。
前記剪断性データは実験室レベルの試料調製に基づくことに留意しなければならない。記録された数値はn+3の平均に基づくものだが、データの変動要因の一つである粘着剤層の被覆量に関して変動は認められなかった。
【図面の簡単な説明】
【図1】 29Si-NMRシラノール値とFTIRシラノール値との関係を示すグラフである。
Claims (6)
- (A)有効薬剤と前記薬剤を経皮的に制御供給するための手段とからなる薬物供給装置;及び
(B)前記装置と装着者の皮膚との接触を保つためのシリコーン系粘着剤からなる有効薬剤の経皮制御供給のための経皮薬物供給装置であって、前記シリコーン系粘着剤が、
(i)式R3SiO1/2(但し、前記式中Rはそれぞれ独立して炭素数1〜6の一価の炭化水素基を示す)で表されるトリオルガノシロキシ単位と、式SiO4/2で表される四官能性シロキシ単位とを、前者/後者(モル比)=0.6〜0.9の割合で含む少なくとも一種の樹脂共重合体40〜70重量部;及び
(ii)末端をTRASiO1/2単位で封鎖されたARSiO単位からなる少なくとも一種のポリジオルガノシロキサン(但し、前記ポリジオルガノシロキサンの25℃における粘度が100〜30000000mPa・sであり、式中Rは前記と同じ意味を有し、基Aはそれぞれ独立してR又は炭素数1〜6のハロゲン化炭化水素基から選ばれ、基Tはそれぞれ独立してR、OH、H又はOR’からなる群より選ばれ、前記R’はそれぞれ独立して炭素数1〜4のアルキル基である)30〜60重量部からなると共に;
少なくとも成分(i)又は(ii)の一部若しくは(i)及び(ii)の混合物の一部を、ケイ素結合ヒドロキシル基と反応する少なくとも一種の化学処理剤(iii)で処理することにより、前記シリコーン系粘着剤組成物中のシラノール含量を低下させて、前記組成物中のケイ素結合ヒドロキシル基含量を8000〜13000ppmの範囲に低下させることを特徴とする経皮薬物供給装置。 - 前記化学処理が、(I)(i)ケイ素結合ヒドロキシル基を含み、式R3SiO1/2で表されるトリオルガノシロキシ単位と、式SiO4/2で表される四官能性シロキシ単位とを、前者/後者(モル比)=0.6〜0.9の割合で含む少なくとも一種の樹脂共重合体40〜70重量部と、(ii)末端をTRASiO1/2単位で封鎖されたARSiO単位からなる少なくとも一種のポリジオルガノシロキサン(但し、前記ポリジオルガノシロキサンの25℃における粘度が100〜30000000mPa・sであり、式中Rは前記と同じ意味を有し、基Aはそれぞれ独立してR又は炭素数1〜6のハロゲン化炭化水素基から選ばれ、基Tはそれぞれ独立してR、OH、H又はOR’からなる群より選ばれ、前記R’はそれぞれ独立して炭素数1〜4のアルキル基である)30〜60重量部とを含む組成物と、
(II)ケイ素結合ヒドロキシル基と反応し得る少なくとも一種の化学処理剤で化学処理された組成物とを混合することによって行なわれ、前記(i)ケイ素結合ヒドロキシル基を含み、式R3SiO1/2で表されるトリオルガノシロキシ単位と、式SiO4/2で表される四官能性シロキシ単位とを、前者/後者(モル比)=0.6〜0.9の割合で含む少なくとも一種の樹脂共重合体40〜70重量部と、(ii)末端をTRASiO1/2単位で封鎖されたARSiO単位からなる少なくとも一種のポリジオルガノシロキサン(但し、前記ポリジオルガノシロキサンの25℃における粘度が100〜30000000mPa・sであり、式中Rは前記と同じ意味を有し、基Aはそれぞれ独立してR又は炭素数1〜6のハロゲン化炭化水素基から選ばれ、基Tはそれぞれ独立してR、OH、H又はOR’からなる群より選ばれ、前記R’はそれぞれ独立して炭素数1〜4のアルキル基である)30〜60重量部とからなる組成物のケイ素結合ヒドロキシル基含量が低下していることを特徴とする請求項1記載の経皮薬物供給装置。 - 前記シリコーン系粘着剤が更に触媒量の縮合触媒を含むことを特徴とする請求項1記載の経皮薬物供給装置。
- 経皮薬物供給装置用の粘着剤組成物の製造方法であって、(I)(i)式R3SiO1/2(但し、前記式中Rはそれぞれ独立して炭素数1〜6の一価の炭化水素基を示す)で表されるトリオルガノシロキシ単位と、式SiO4/2で表される四官能性シロキシ単位とを、前者/後者(モル比)=0.6〜0.9の割合で含む少なくとも一種の樹脂共重合体40〜70重量部と、(ii)末端をTRASiO1/2単位で封鎖されたARSiO単位からなる少なくとも一種のポリジオルガノシロキサン(但し、前記ポリジオルガノシロキサンの25℃における粘度が100〜30000000mPa・sであり、式中Rは前記と同じ意味を有し、基Aはそれぞれ独立してR又は炭素数1〜6のハロゲン化炭化水素基から選ばれ、基Tはそれぞれ独立してR、OH、H又はOR’からなる群より選ばれ、前記R’はそれぞれ独立して炭素数1〜4のアルキル基である)30〜60重量部とを混合する工程、及び(II)前記成分(i)及び(ii)の混合物を、末端封鎖トリオルガノシリル単位を生成できる少なくとも一種の有機ケイ素系末端封鎖剤を含む化学処理剤(iii)の十分量と縮合して、前記組成物中のケイ素結合ヒドロキシル基含量を8000〜13000ppmの範囲に低下させる工程とを含む粘着剤組成物の製造方法。
- (I)(i)ケイ素結合ヒドロキシル基を含み、式R3SiO1/2(但し、前記式中Rはそれぞれ独立して炭素数1〜6の一価の炭化水素基を示す)で表されるトリオルガノシロキシ単位と、式SiO4/2で表される四官能性シロキシ単位とを、前者/後者(モル比)=0.6〜0.9の割合で含む少なくとも一種の樹脂共重合体40〜70重量部と、(ii)末端をTRASiO1/2単位で封鎖されたARSiO単位からなる少なくとも一種のポリジオルガノシロキサン(但し、前記ポリジオルガノシロキサンの25℃における粘度が100〜30000000mPa・sであり、式中Rは前記と同じ意味を有し、基Aはそれぞれ独立してR又は炭素数1〜6のハロゲン化炭化水素基から選ばれ、基Tはそれぞれ独立してR、OH、H又はOR’からなる群より選ばれ、前記R’はそれぞれ独立して炭素数1〜4のアルキル基である)30〜60重量部とからなる組成物と、
(II)ケイ素結合ヒドロキシル基と反応し得る少なくとも一種の化学処理剤で化学処理された組成物との混合物であって、
前記(i)ケイ素結合ヒドロキシル基を含み、式R3SiO1/2で表されるトリオルガノシロキシ単位と、式SiO4/2で表される四官能性シロキシ単位とを、前者/後者(モル比)=0.6〜0.9の割合で含む少なくとも一種の樹脂共重合体40〜70重量部と、(ii)末端をTRASiO1/2単位で封鎖されたARSiO単位からなる少なくとも一種のポリジオルガノシロキサン(但し、前記ポリジオルガノシロキサンの25℃における粘度が100〜30000000mPa・sであり、式中Rは前記と同じ意味を有し、基Aはそれぞれ独立してR又は炭素数1〜6のハロゲン化炭化水素基から選ばれ、基Tはそれぞれ独立してR、OH、H又はOR’からなる群より選ばれ、前記R’はそれぞれ独立して炭素数1〜4のアルキル基である)30〜60重量部とからなる組成物のケイ素結合ヒドロキシル基含量が低下してなるシリコーン系粘着剤組成物。 - 請求項5記載のシリコーン系粘着剤組成物を含む経皮薬物供給装置。
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