JP4792022B2 - 袋詰め土砂の沈設方法およびその装置 - Google Patents

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Description

本願発明はダムや湖沼などの水底および海底に築堤を構築する際の袋詰め土砂の沈設方法およびその装置に関するものである。
従来、ダムや湖沼などの水底および海底に潜堤を構築するには、図18に示すように、土砂などを充填した袋体48、すなわち袋詰め土砂49を水底50に投入して積み上げていた。この袋詰め土砂49の水底50への投入は水面51近くから行っていた。また、この他の袋詰め土砂の沈設方法としては、特公平6−43688号公報の発明がある。
特公平6−43688号公報
しかし、上記の袋詰め土砂の水底への投入は水面近くから行っていたため、沈設すべき箇所に正確に投入することができなかった。また、水面近くから投入すると、着底時に袋体に無理な力がかかって、袋体が破裂する恐れがあった。
本願発明は上記のような問題に鑑みてなされたものであり、その目的は、袋体に無理な力をかけずに、沈設すべき箇所に正確に投入することができる袋詰め土砂の沈設方法およびその装置を提供することである。
以上の課題を解決するための袋詰め土砂の沈設方法は、台船において水面まで貫通した開口部にガイドレグをガイドにして昇降する沈設用バケットを収容し、該沈設用バケットに設置した袋体を水中に沈めて水面下において袋体内に土砂を充填し、沈設用バケットをガイドレグのガイドによって沈めた後、沈設用バケットの底板を開いて袋体を落下させることを特徴とする。また袋体内には複数の土砂充填口から土砂を均等に充填することを含む。また沈設用バケットは、沈設用バケットに接続された昇降ウインチからの昇降ワイヤーと、沈設用バケットの底板に接続された開閉ウインチからの開閉ワイヤーとの繰り出しまたは巻き戻しとによって昇降するとともに、底板は開閉ウインチからの開閉ワイヤーの繰り出しまたは巻き戻しで開閉することを含む。また昇降ワイヤーと開閉ワイヤーとを繰り出して、沈設用バケットを水中に沈降させて所定の深度で停止させた後、開閉ワイヤーを開閉ウインチから繰り出して底板を開くか、または昇降ワイヤーだけを巻き戻して沈設用バケットを引き上げることにより、底板を開くことを含む。また昇降ワイヤーと開閉ワイヤーとを繰り出して沈設用バケットを水中に沈降させて、水底に着底させた後、昇降ワイヤーだけを巻き戻して沈設用バケットを引き上げることにより、底板を開くことを含むものである。
また袋詰め土砂の沈設方法は、台船において水面まで貫通した開口部にガイドレグをガイドにして昇降する吊下用枠体を収容し、該吊下用枠体に把持具で袋体を吊り下げ、該袋体を水中に沈めて水面下において袋体内に土砂を充填した後、吊下用枠体をガイドレグのガイドによって沈めて袋体を水底に着底させた後、把持具を袋体から外すことを特徴とする。また袋体内には複数の土砂充填口から土砂を均等に充填することを含むものである。
また袋詰め土砂の沈設装置は、台船において水面まで貫通した開口部を設け、該開口部にガイドレグをガイドにして昇降する沈設用バケットを収容し、該沈設用バケットには台船上の昇降ウインチからの昇降ワイヤーが接続されるとともに、沈設用バケットの底板にも開閉ウインチからの開閉ワイヤーが接続されたことを特徴とする。また台船は、二隻の台船を開口部が形成できるように双胴に組み立てたことを含むものである。
また袋詰め土砂の沈設装置は、台船において水面まで貫通した開口部を設け、該開口部にガイドレグをガイドにして昇降する沈設用バケットを収容し、該沈設用バケットには台船上の昇降ウインチからの昇降ワイヤーが接続され、沈設用バケットの底板にも開閉ワイヤーが、沈設用バケットに設置した油圧シリンダーのシリンダーロッドの先端を介して接続され、該シリンダーロッドの伸縮によって底板が開閉することを特徴とする。また台船は、二隻の台船を開口部が形成できるように双胴に組み立てたことを含むものである。
また袋詰め土砂の沈設装置は、台船において水面まで貫通した開口部を設け、該開口部にガイドレグをガイドにして昇降する吊下用枠体を収容し、該吊下用枠体には台船上の昇降ウインチからの昇降ワイヤーが接続されるとともに、該吊下用枠体には複数の把持具が設置されたことを特徴とする。また把持具は複数を一つにまとめてユニットにしたものであることを含む。また台船は、二隻の台船を開口部が形成できるように双胴に組み立てたことを含むものである。
ガイドレグをガイドにして袋体を沈設するため、潮流のある海域においても沈設するべき箇所に正確に沈設することができる。また水底に近づけて底板の開放を行うため、袋体の落下高さを小さくすることができ、袋体の破損の危険性を小さくすることができる。また水面下において袋体に土砂を充填するため、袋体に浮力が働いて沈設用バケットへの負荷を小さくすることができるので、昇降設備を小さくすることができる。また沈設用バケットや吊下用枠体を気中まで引き上げることができるので、そのメンテナンスが容易に行える。また袋体内には複数の土砂充填口から土砂を均等に充填することにより、袋体に無理な力がかからず、沈設用バケットなどの昇降設備に作用する荷重が平均化して構造的に無理な偏荷重がかからない。また昇降ウインチと開閉ウインチとによって沈設用バケットの昇降および底板の開閉を行うため、昇降装置が機構的に簡潔になる。また昇降ワイヤーと開閉ワイヤーとを繰り出して沈設用バケットを水中に沈降させて、水底に着底させた後、昇降ワイヤーだけを巻き戻して沈設用バケットを引き上げて底板を開くことにより、袋体の落下高さをさらに小さくすることができる。また吊下用枠体をガイドレグのガイドによって沈めて袋体を水底に着底させた後、把持具を袋体から外すことにより、袋体を落下させる必要がなく、袋体を破損させる危険が全くなく、沈設位置も正確になる。またガイドレグをガイドにして昇降する吊下用枠体の下側には複数の把持具を設置したことにより、昇降設備を簡潔かつ軽量にできる。
以下、本願発明の袋詰め土砂の沈設方法およびその装置の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。はじめに、袋詰め土砂の沈設装置(以下、沈設装置という)について説明し、次に、この沈設装置を使用した袋詰め土砂の沈設方法(以下、沈設方法という)について説明するが、各実施の形態において同じ構成は同じ符号を付して説明し、異なった構成にのみ異なった符号を付して説明する。
図1〜図7は第1の実施の形態の沈設装置1である。この沈設装置1は、台船(例えば約44×55m)2の中央部に海面まで貫通した平面長方形の開口部(例えば約14×34m)3が開口され、該開口部3に沈設用バケット(例えば約12×32m)4が収容されて構成されている。この台船2は、曳舟によって所定の箇所まで曳航されて、操船ウインチ18からの操船ワイヤー20の繰り出し、または巻き戻しによって袋体の沈設箇所の位置決めを行うものである。
この沈設用バケット4は前記開口部3に収容できる大きさの枠体5と、中央部で開閉する二枚(二つ割り)の底板6とからなり、枠体5の上面四隅にはガイドレグ(昇降用ガイドの脚柱)7が立設され、この四本のガイドレグ7が、開口部3両側の甲板上に立設した支持脚8の上板9および下板9aに昇降自在に設置され、このガイドレグ7によって沈設用バケット4が支持脚8に支持されている。なお、このガイドレグ7は四本に限定されるものではない。
また、沈設用バケット4の枠体5の短辺側が、支持脚後方の甲板上に設置された一対の昇降ウインチ10からの昇降ワイヤー11で吊り下げられた状態になっている。この昇降ワイヤー11の一端は、支持脚8上面の二つの滑車12、および枠体5の短辺側上面の滑車12を介して支持脚8に固定されている。
一方、沈設用バケット4の枠体5の下面に設置された二枚の底板6にも、開閉ウインチ13からの開閉ワイヤー14が接続されている。また昇降ウインチ10の隣に設置された開閉ウインチ13からの開閉ワイヤー14の一端が、支持脚8上面における二つの滑車12、および開閉アーム15の連結板16の滑車12を介して支持脚8に固定されている。
なお底板6は二枚に限らず、一枚板であってもよい。
また連結板16に回転自在に設置された二本の開閉アーム15の先端が、底板6の先端部(底板の中央部)に回転自在に設置されている。この開閉アーム15は枠体5内の短辺側に位置することにより、底板6の短辺方向の両側に設置されている。そのため開閉アーム15が上下動すると、底板6が蝶番17を中心に回転して中央部から開くようになっている。すなわち、開閉アーム15を下げると底板6が観音開きとなり、この開いた状態から開閉アーム15を引き上げると底板6が閉じるようになっている。
したがって、沈設用バケット4は、昇降ワイヤー11と開閉ワイヤー14との繰り出しまたは巻き戻しによって、ガイドレグ7をガイドとして昇降するようになっている。例えば、図6に示すように、昇降ウインチ10からの昇降ワイヤー11の繰り出しと、開閉ウインチ13からの開閉ワイヤー14の繰り出しによって、沈設用バケット4がガイドレグ7をガイドにして水中を沈降し、所定の深さに達したところで昇降ワイヤー11と開閉ワイヤー14との繰り出しを止めると、沈設用バケット4の沈降が止まる。そして開閉ウインチ13から所定量の開閉ワイヤー14を繰り出すと、底板6が自重によって蝶番17を中心に回転して中央部から開くようになる。
またその他、昇降ワイヤー11と開閉ワイヤー14との繰り出しを止めて、沈設用バケット4の沈降を停止させた後、この状態から沈設用バケット4だけを上昇させると、所定量の開閉ワイヤー14が繰り出された状態になるため、底板6が蝶番17を中心に回転して中央部から開くようになる。
一方、図7に示すように、昇降ウインチ10からの昇降ワイヤー11と開閉ワイヤー14との繰り出しによって、沈設用バケット4がガイドレグ7をガイドにして水中を沈降して、水底に着底させたところで昇降ワイヤー11と開閉ワイヤー14との繰り出しを止める(昇降ウインチ10と開閉ウインチ13とは停止状態)。次に、昇降ウインチ10に昇降ワイヤー11だけを巻き戻して沈設用バケット4を上昇させて、開閉ウインチ13は停止状態のままにすると、所定量の開閉ワイヤー14が繰り出された状態になるため、底板6が蝶番17を中心に回転して中央部から開くようになる。
このような昇降ウインチ10、開閉ウインチ13および操船ウインチ18などの操作は操作・管理室19からの遠隔操作で行うほか、この操作・管理室19においては、沈設用バケット4に設置した袋体への土砂の充填操作なども行うものである。
また沈設装置1には、この他にも、図示はしないが、ウインチからのワイヤーの繰り出し量よる沈設用バケットの深度計、ワイヤーの端部に設置した荷重計、電動機負荷による昇降荷重計、音響測深機とGPS位置計測装置による海底深度および地盤計測装置、GPS装置による船体位置計測システムなどが設置されている。
また、図8および図9は第2の実施の形態の沈設装置21である。この沈設装置21は、沈設用バケット4の底板6の開閉を油圧シリンダー22で行うようにしたものであり、これ以外は上記の第1の実施の形態の沈設装置1と同じ構成である。
これは、図8に示すように、沈設用バケット4の枠体5の短辺側の両端部に二本の油圧シリンダー(合計四本)22を上側に向けて内側に傾斜して設置し、この各油圧シリンダー22のシリンダーロッド23に開閉ワイヤー14を引っ掛けたものである。すなわち、開閉ワイヤー14の一端部を枠体5の上面に固定し、他端部をシリンダーロッド先端の滑車12を介して底板6の先端側(中央部側)に固定したものである。
したがって、図8の(1)に示すように、シリンダーロッド23が伸びているときは底板6が閉まっており、シリンダーロッド23が縮んだときには、底板6の中央部が開くように蝶番17を中心に自重で回転する。このように油圧シリンダーのシリンダーロッド23の伸縮によって底板6の開閉を行うようにしたものであり、上記のような開閉ウインチ13からの開閉ワイヤー14で行うものではない。
また、図9は沈設用バケット4の枠体5の短辺側の中央部に一本の油圧シリンダー(合計二本)22を下側に向けて設置し、このシリンダーロッド23に開閉ワイヤー14を引っ掛けたものである。すなわち、開閉ワイヤー14の一端部を一方の底板6の先端側(中央部側)に固定すると共に、他端部をシリンダーロッド先端の滑車12を介して他方の底板6の先端部に固定したものである。
したがって、図9の(1)に示すように、シリンダーロッド23が縮んでいるときは底板6が閉まっており、シリンダーロッド23が伸びたときには、底板6の中央部が開くように蝶番17を中心に回転して(自重で)、シリンダーロッド23の伸縮による底板6の開閉が行われる。なお、これらの油圧シリンダー22の伸縮操作も上記と同じように、操作・管理室19からの遠隔操作で行うものである。
また図10〜図13は第3の実施の形態の沈設装置25である。この沈設装置25は、図10に示すように、沈設用バケット4の枠体5から底板6を撤去した吊下用枠体26に把持具である把持クランプ27を複数設けて構成したものであり、これ以外は第1の実施の形態の沈設装置1と同じ構成である。この沈設装置25は、袋体28を把持クランプ27で吊下用枠体26に吊り下げて投入するものである。
この把持クランプ27は、図11の(1)に示すように、袋体28の両側を把持するために、吊下用枠体26の長辺側の下面に吊り下げワイヤー29によって(片方が17個で合計34個)吊り下げられている。また把持クランプ27は、同図の(2)〜(4)に示すように、コ字形のクランプ30に移動自在なピン31が設置されて構成され、このピン31が袋体の把持帯32における差込孔33に差し込まれている。
このように袋体28を把持するときには、作業者がピン31を把持帯32の差込孔33に手作業で差し込むが、差込孔33からのピン31の引き抜きは操作・管理室19からの遠隔操作によって自動的に行われる。なお、把持クランプ27の数は上記のものに限定されず任意に選択することができ、把持具も把持クランプに限定されるものではない。
また図14は第4の実施の形態の沈設装置35である。この沈設装置35は、図に示すように、複数の把持クランプ27を一つにまとめて、一辺側を三個のユニット36にしたものであり、これ以外は第3の実施の形態の沈設装置25と同じ構成である。この三個のユニット36の両端は五個の把持クランプ27を一つにしたものであり、中央部は四個の把持クランプ27を一つにしたものである。このように複数の把持クランプ27を一つにまとめてユニット36にすると、取り扱いが容易になるため、クランプ27の取り付けおよび取り外しが簡単になる。なお、ユニット36の数も上記のものに限定されず任意に選択することができ、把持具も把持クランプ27に限定されるものではない。
また図16および図17は第5の実施の形態の沈設装置38である。この沈設装置38は一隻の台船2ではなく、二隻の台船2を開口部3が形成できるように双胴に組み立てて構成したものであり、これ以外は第1の実施の形態の沈設装置1と同じ構成である。
この沈設装置38は、二隻の台船2を前後の二つの支持脚8で双胴に連結し、この二隻の台船2の間に開口部3を形成し、この開口部3に沈設用バケット4を収容したものである。また、沈設用バケット4のガイドレグ7が前後二つの支持脚8に昇降自在に支持されている。
このように、大きな一隻の台船2の中央部に開口部3を開口しなくても、二隻の台船2を連結することにより、これらの間に大きな開口部3を簡単に形成することができる。なお、この沈設装置38は、上記の第2、第3および第4の実施の形態の沈設装置21、25、35にも適用することができる。
次に、上記の沈設装置を使用した沈設方法について説明する。まず、第1の実施の形態の沈設装置1を使用した、第1の実施の形態の沈設方法を図1〜図7に基づいて説明する。これは、例えば、図15に示すように、土砂を充填した袋体40、すなわち袋詰め土砂を海底41に沈設し、これをピラミッド形に積み上げて潜堤42を構築するものである。
まず、図1〜図3に示すように、沈設装置1の台船2の開口部3に沈設用バケット4を収容し、この沈設用バケット4に、ジオテキスタイルからなる透水性の袋体40を設置する。この袋体40は、上面に土砂充填口43が等間隔ごとに三個設置された、沈設用バケット4に収納可能な円筒形のものであるが、この時点では中に何も入っていないため、沈設用バケット4内に展張した状態、すなわち大きく広げた状態で設置する。
次に、この袋体40の三個の土砂充填口43に土砂の圧入配管44を接続する。そして、これらの作業と並行して、台船2を袋体40の沈設箇所に曳舟で曳航して、操船ウインチ18からの操船ワイヤー20の繰り出し、または巻き戻しによって袋体40の沈設箇所の位置決めを行う。このように操船ワイヤー20によって台船2の位置決めができるため、船体の動揺を小さくして正確な位置への袋体40の沈設が可能となる。
次に、圧送ポンプ(図示せず)により土砂(またはスラリー)45を土砂充填口43から袋体40内に圧入するが、袋体40のバランスを保持するために、三本の圧入配管44から均等に圧入する。この土砂45の圧入は、袋体40に浮力が働くように、沈設用バケット4を降下させて水面下で行うようにする。この沈設用バケット4の降下は、昇降ウインチ10から所定量の昇降ワイヤー11を繰り出すと、自重によってガイドレグ7をガイドとして行われる。
次に、計画した量の土砂45が袋体40に充填されたことを確認した後、圧送ポンプを停止して、三個の土砂充填口43から圧入配管44を全て引き抜いて、土砂充填口43を閉じる。このとき土砂45が充填された袋体40は、約30m位の長さの円筒形になり、かなりの重さになっているが、水面下にあって浮力を利用しているため、沈設用バケット4には大きな力がかからずに開閉ワイヤー14で保持が可能となる。
次に、図4および図5に示すように、ガイドレグ7をガイドとして沈設用バケット4を沈降させる。これは、上記したように、昇降ウインチ10と開閉ウインチ13とを操作・管理室19からの遠隔操作で駆動させて、昇降ウインチ10からの昇降ワイヤー11の繰り出しと、開閉ウインチ13からの開閉ワイヤー14の繰り出しとによって行うものである。そして、沈設用バケット4が所定の深度、すなわち底板6が回転できる箇所(底板6が回転できる距離Hが確保できる箇所)に位置したところで、昇降ウインチ10と開閉ウインチ13との駆動を止めて、沈設用バケット4の沈降を停止する。
次に、袋体の沈設位置を再確認した後、図6に示すように、開閉ウインチ13を操作・管理室19から遠隔操作で駆動させて、開閉ワイヤー14を所定量繰り出すと、袋体40の重量によって底板6が中央部から開いて、袋体40が海底41に投下される。これはわずかな距離、すなわち底板6の回転できる距離Hであるため、袋体40が損傷して破れるという危険性が少なくなる。
また、上記のように、沈設用バケット4を、底板6が回転できる箇所に位置したところで止めるのではなく、海底41からわずかな距離(数十センチ)のところで止めた後(この時点で昇降ウインチ10と開閉ウインチ13とはともに停止した状態になっている)、昇降ワイヤー11だけを昇降ウインチ10に巻き戻して沈設用バケット4を上昇させると、所定量の開閉ワイヤー14が繰り出された状態になるため、底板6が袋体40の重さで開放されて、袋体40が海底41に投入される。
一方、図7は、他の沈設方法を示したものであり、沈設用バケット4を一旦海底41に着底させた後に、底板6を開放するものである。まず、上記と同じ方法で沈設用バケット4を沈降させて海底41に着底させたところで、昇降ワイヤー11と開閉ワイヤー14の繰り出しを止める。この時点で、昇降ウインチ10と開閉ウインチ13とは、ともに停止した状態になっている。次に、昇降ワイヤー11だけを昇降ウインチ10に巻き戻して沈設用バケット4を上昇させると、所定量の開閉ワイヤー14が繰り出された状態になるため、底板6が袋体40の重さで開放されて、袋体40が海底41に投入される。
これは一旦、袋体40を海底41に着底させてから、袋体40をわずかに上げて落下させるため、袋体40の損傷をさらに少なくすることができる(ほとんど損傷を与えることがない)。これは袋体40の投入というよりも、袋体40をわずかに動かすだけなので、袋体40の設置といってもよい。この設置が終了した後は、空になった沈設用バケット4を上昇させながら底板6を閉じ、次の投入工程の作業に入る。
また、上記のように、沈設用バケット4を海底41に着底させるのではなく、海底41からわずかな距離(数十センチ)のところで止めた後に、上記と同じ方法で底板6を開放して袋体40を投入することもできる。このような作業を順次繰り返すことにより、図15に示すような、潜堤42を構築する。
次に、第2の実施の形態の沈設装置21を使用した、第2の実施の形態の沈設方法を図8および図9に基づいて説明する。
まず、図8の沈設装置21における沈設用バケット4の沈降を、昇降ワイヤー11の繰り出しのみにより行う(沈設用バケット4には開閉ウインチ13からの開閉ワイヤー14が接続されていない)。そして、図8の(1)に示すように、沈設用バケット4が所定の深度、底板6が回転できる箇所(底板6が回転できる距離Hが確保できる箇所)に位置したところで、その沈降を停止する。
次に、図8の(2)に示すように、油圧シリンダーのシリンダーロッド23を操作・管理室19からの遠隔操作で縮めると、底板6が中央部から開いて、袋体40が海底41に投下される。これはわずかな距離、すなわち底板6の回転できる距離Hであるため、袋体40が損傷して破れるという危険性が少なくなる。この設置が終了した後は、空になった沈設用バケット4を上昇させながら底板6を閉じ、次の投入工程の作業に入る。このような作業を順次繰り返すことにより、図15に示すような、潜堤42を構築する。
また、沈設用バケット4を一旦海底41に着底させた後に、底板6を開放する方法、および沈設用バケット4を海底41に着底させるのではなく、海底41からわずかな距離(数十センチ)のところで止めた後に、底板6を開放する方法も、上記の沈設装置21において行うことができる。なお、上記の沈設方法は、図9の沈設装置21にも適用することができる。
次に、第3の実施の形態の沈設装置25を使用した、第3の実施の形態の沈設方法を図10〜図13に基づいて説明する。
まず、図11に示すように、沈設装置25の開口部3に吊下用枠体26を収容し、この吊下用枠体26に袋体28の展張用の仮設足場(図示せず)を設置し、この仮設足場上に袋体28を設置する。この袋体28は上記と同じものであるが、長さ方向の両辺に、差込孔33が等間隔ごとに開口された把持帯32が形成されている。この袋体28には、この時点では何も入っていないため、仮設足場上に展張した状態、すなわち大きく広げた状態で設置される。
そして、図11の(1)に示すように、吊下用枠体の把持クランプ27で袋体28の把持帯32を把持する。これは、同図の(2)および(3)に示すように、把持クランプ27のピン31を把持帯32の差込孔33に差し込むものである。この把持クランプ27で把持帯32が把持されると、袋体28が吊下用枠体26に吊り下げられた状態になる。
次に、図12の(1)に示すように、この袋体28の三個の土砂充填口43に土砂の圧入配管44を接続するとともに、吊下用枠体26を上記と同じ方法で降下させて袋体28を水面下に位置させる。また、これらの作業と並行して、台船2を曳舟で沈設箇所に曳航して、上記と同じ方法で位置決めを行う。
次に、図12の(2)および(3)に示すように、圧送ポンプにより土砂(またはスラリー)45を土砂充填口43から袋体28内に圧入するが、袋体28のバランスを保ちながら三本の圧入配管44から均等に圧入する。そして、計画した量の土砂45が袋体28に充填されたことを確認した後に、圧送ポンプを停止して、三個の土砂充填口43から圧入配管44を全て引き抜いて土砂充填口43を閉じる。このとき土砂45が充填された袋体28は、約30m位の長さの半円筒形になり、かなりの重さになっているが、水面下において浮力を利用しているため、吊下用枠体26には大きな力がかからずに、把持クランプ27での保持が可能となっている。
次に、図13の(1)に示すように、吊下用枠体26をガイドレグ7によって沈降させる。これは、上記したように、昇降ウインチ10を操作・管理室19からの遠隔操作により駆動させて、昇降ウインチ10から昇降ワイヤー11を繰り出して行うものである。そして、袋体28が海底40に着底した後に、昇降ウインチ10の駆動を止めて吊下用枠体26の沈降を停止する。
次に、袋体の沈設位置を再確認した後、図13の(2)に示すように、操作・管理室19からの遠隔操作によって把持クランプ27のピン31を差込孔33から引き抜いて、把持クランプ27を把持帯32から取り外すして、袋体28を海底41に設置する。これは袋体28の海底41への投下ではなく、袋体28の海底41への設置であるため、袋体28を損傷させることがない。この設置が終了した後、袋体28が取り外された吊下用枠体26を上昇して、次の投入工程の作業に入る。このような作業を順次繰り返すことにより、図15に示すような、潜堤42を構築することができる。
次に、第4の実施の形態の沈設装置35を使用した、第4の実施の形態の沈設方法を図14に基づいて説明するが、この沈設方法は把持クランプ27がユニット36になった点のみが異なり、それ以外は第3の実施の形態の沈設方法と同じ方法である。
また、上記の第1〜第4の実施の形態の沈設方法による一連の作業は、作業者による一部の手作業を除いて操作・管理室19からの遠隔操作によって行うものである。
なお、上記の第1〜第4の実施の形態の沈設方法は、図15および図16に示す第5の実施の形態の沈設装置38にも適用することができる。
第1の実施の形態の沈設装置の平面図である。 第1の実施の形態の沈設装置の要部の斜視図である。 (1)は沈設用バケットの平面図、(2)は沈設用バケットの断面図である。 第1の実施の形態の沈設装置の側面図である。 第1の実施の形態の沈設装置の正面図である。 (1)〜(3)は沈設用バケットによる袋体の投入を示す断面図である。 (1)〜(3)は沈設用バケットによる袋体の投入を示す断面図である。 (1)および(2)は第2の実施の形態の沈設装置の沈設用バケットの正面図である。 (1)および(2)は第2の実施の形態の沈設装置の沈設用バケットの正面図である。 第3の実施の形態の沈設装置の正面図である。 第3の実施の形態の沈設装置の吊下用枠体であり、(1)は平面図、(2)は把持クランプの平面図、(3)および(4)は同側面図である。 (1)〜(3)は吊下用枠体による袋体の投入を示す断面図である。 (1)および(2)は吊下用枠体による袋体の投入を示す断面図である。 第4の実施の形態の沈設装置の吊下用枠体であり、(1)は平面図、(2)は把持クランプの平面図、(3)は同側面図である。 海底に構築された潜堤の断面図である。 第5の実施の形態の沈設装置の平面図である。 第5の実施の形態の沈設装置であり、(1)は正面図、(2)は沈設バケットが沈降した断面図である。 従来の沈設方法の断面図である。
符号の説明
1、21、25、35、38 沈設装置
2 台船
3 開口部
4 沈設用バケット
5 枠体
6 底板
7 ガイドレグ
9 上板
9a 下板
10 昇降ウインチ
11 昇降ワイヤー
12 滑車
13 開閉ウインチ
14 開閉ワイヤー
15 開閉アーム
16 連結板
17 蝶番
18 操船ウインチ
19 操作・管理室
20 操船ワイヤー
22 油圧シリンダー
23 シリンダーロッド
26 吊下用枠体
27 把持クランプ
28、40、48 袋体
29 吊り下げワイヤー
30 クランプ
31 ピン
32 把持帯
33 差込孔
36 ユニット
41 海底
42 潜堤
43 土砂充填口
44 圧入配管
45、49 土砂
50 水底
51 水面

Claims (11)

  1. 台船において水面まで貫通した開口部にガイドレグをガイドにして昇降する沈設用バケットを収容し、該沈設用バケットに設置した袋体を水中に沈めて水面下において袋体内に土砂を充填し、沈設用バケットをガイドレグのガイドによって沈めた後、沈設用バケットの底板を開いて袋体を落下させることを特徴とする袋詰め土砂の沈設方法。
  2. 台船において水面まで貫通した開口部にガイドレグをガイドにして昇降する吊下用枠体を収容し、該吊下用枠体に把持具で袋体を吊り下げ、該袋体を水中に沈めて水面下において袋体内に土砂を充填した後、吊下用枠体をガイドレグのガイドによって沈めて袋体を水底に着底させた後、把持具を袋体から外すことを特徴とする袋詰め土砂の沈設方法。
  3. 袋体内には複数の土砂充填口から土砂を均等に充填することを特徴とする請求項1または2に記載の袋詰め土砂の沈設方法。
  4. 沈設用バケットは、沈設用バケットに接続された昇降ウインチからの昇降ワイヤーと、沈設用バケットの底板に接続された開閉ウインチからの開閉ワイヤーとの繰り出しまたは巻き戻しとによって昇降するとともに、底板は開閉ウインチからの開閉ワイヤーの繰り出しまたは巻き戻しで開閉することを特徴とする請求項1に記載の袋詰め土砂の沈設方法。
  5. 昇降ワイヤーと開閉ワイヤーとを繰り出して沈設用バケットを水中に沈降させて所定の深度で停止させた後、開閉ワイヤーを開閉ウインチから繰り出して底板を開くか、または昇降ワイヤーだけを巻き戻して沈設用バケットを引き上げることにより、底板を開くことを特徴とする請求項4に記載の袋詰め土砂の沈設方法。
  6. 昇降ワイヤーと開閉ワイヤーとを繰り出して沈設用バケットを水中に沈降させて、水底に着底させた後、昇降ワイヤーだけを巻き戻して沈設用バケットを引き上げることにより、底板を開くことを特徴とする請求項4に記載の袋詰め土砂の沈設方法。
  7. 台船において水面まで貫通した開口部を設け、該開口部にガイドレグをガイドにして昇降する沈設用バケットを収容し、該沈設用バケットには台船上の昇降ウインチからの昇降ワイヤーが接続されるとともに、沈設用バケットの底板にも開閉ウインチからの開閉ワイヤーが接続されたことを特徴とする袋詰め土砂の沈設装置。
  8. 台船において水面まで貫通した開口部を設け、該開口部にガイドレグをガイドにして昇降する沈設用バケットを収容し、該沈設用バケットには台船上の昇降ウインチからの昇降ワイヤーが接続され、沈設用バケットの底板にも開閉ワイヤーが、沈設用バケットに設置した油圧シリンダーのシリンダーロッドの先端を介して接続され、該シリンダーロッドの伸縮によって底板が開閉することを特徴とする袋詰め土砂の沈設装置。
  9. 台船において水面まで貫通した開口部を設け、該開口部にガイドレグをガイドにして昇降する吊下用枠体を収容し、該吊下用枠体には台船上の昇降ウインチからの昇降ワイヤーが接続されるとともに、該吊下用枠体には複数の把持具が設置されたことを特徴とする袋詰め土砂の沈設装置。
  10. 把持具は複数を一つにまとめてユニットにしたものであることを特徴とする請求項9に記載の袋詰め土砂の沈設装置。
  11. 台船は、二隻の台船を開口部が形成できるように双胴に組み立てたことを特徴とする請求項7〜10のいずれかに記載の袋詰め土砂の沈設装置。
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