(第1の実施形態)
図1〜図5は、本発明の第1の実施形態の携帯電話機1の外観斜視図であり、図1は、携帯電話機1の通話時の使用状態であって筐体が回転不可能な状態(通常状態)を示しており、図2は、図1の状態から携帯電話機1の筐体を回転可能とした状態を示しており、図3は、図2の状態から筐体を回転させている途中の状態を示しており、図4は、図3の状態から筐体の回転が終了した状態を示しており、図5は、図4の状態から筐体を回転不可能とした状態を示している。なお、携帯電話機1は本発明の電子機器の一例である。
携帯電話機1は、全体として、いわゆるストレートタイプの携帯電話機として構成されており、薄型で長尺状の直方体状の外形を有している。携帯電話機1は、長手方向(図1のz軸方向)に配列された表示筐体2及び操作筐体3を備えている。表示筐体2と、操作筐体3とは、連結部4により、携帯電話機1の長手方向に平行な回転軸回りに相対回転可能に連結されている。なお、表示筐体2及び操作筐体3は、第一筐体及び第二筐体の一例である。
表示筐体2は、概ね薄型直方体に形成されており、通話時においてユーザが耳をあてがう側(正面側)の正面側ケース5と、その背面側の背面側ケース6とを合体させて構成されている。正面側ケース5及び背面側ケース6は例えば樹脂により形成されている。
表示筐体2には、表示筐体2の正面側に画像を表示する表示部11が設けられている。表示部11は、例えば液晶表示ディスプレイ(LCD)により構成されている。また、表示筐体2の正面側には、連結部4とは反対側の筐体端部側の位置に、通話用のスピーカ49(図13参照)により出力された音を筐体外部へ放音するための放音孔12が開口している。
操作筐体3は、概ね薄型直方体に形成されており、通話時において口元を近づける側(正面側)の正面側ケース7と、その背面側の背面側ケース8とを合体させて構成されている。正面側ケース7及び背面側ケース8は例えば樹脂により形成されている。なお、操作筐体3の幅(x軸方向)及び厚さ(y軸方向)は、表示筐体2の幅及び厚さと同等である。
操作筐体3には、操作部14、カメラ15、ストロボ16が設けられている。操作部14は、例えば、操作筐体3の正面側に露出するダイヤルキー14a、カーソルキー14b、決定キー14c等の押圧ボタンを備えており、ユーザの入力操作を受け付ける。
カメラ15は、操作筐体3の正面側であって、連結部4寄り位置において、正面側ケース7に形成された開口から撮影窓15aが露出するように設けられており、操作部14への入力操作に応じて操作筐体3の正面側の被写体を撮像する。ストロボ16は、カメラ15に隣接して設けられており、正面側ケース7に形成された開口から露出している。ストロボ16の露出位置は、カメラ15の操作筐体3からの露出位置と、z軸方向の位置が同じである。また、表示筐体2の正面側には、連結部4とは反対側の筐体端部側の位置に、通話用のマイクロフォン50(図13参照)へ音を導くための導音孔17が開口している。
携帯電話機1は、表示筐体2及び操作筐体3の相対回転を許容又は規制するためのスライドカバー25を備えている。スライドカバー25は、例えば透光性を有さない樹脂により形成されている。スライドカバー25は、表示筐体2及び操作筐体3の外周に嵌合可能の中空部材であり、表示筐体2及び操作筐体3が挿通される方向の平面がない直方体状に形成されている。
スライドカバー25は、図1に示す表示筐体2及び操作筐体3の相対回転を規制する位置P2と、図2に示す表示筐体2及び操作筐体3の相対回転を許容する位置P1との間で、z軸方向に沿って往復移動可能である。
回転を規制する位置P2は、スライドカバー25が表示筐体2及び操作筐体3の双方に跨る位置である。すなわち、スライドカバー25が回転を規制する位置P2にあるとき、スライドカバー25は、表示筐体2及び操作筐体3の双方に嵌合している。従って、スライドカバー25が回転を規制する位置P2にあるとき、表示筐体2及び操作筐体3は、双方ともスライドカバー25に対して相対回転できず、ひいては、表示筐体2と操作筐体3との相対回転が規制される。
一方、回転を許容する位置P1は、回転を規制する位置P2よりも表示筐体2側の位置であり、スライドカバー25が回転を許容する位置P1にあるとき、スライドカバー25は、表示筐体2のみに嵌合している。従って、操作筐体3はスライドカバー25に対して相対回転可能であり、ひいては、表示筐体2と操作筐体3との相対回転が許容される。
スライドカバー25が回転を規制する位置P2にあるときは、カメラ15及びストロボ16はスライドカバー25に被覆され、スライドカバー25が回転を許容する位置P1にあるときは、カメラ15及びストロボ16は露出する。
なお、スライドカバー25は、本発明の可動部及び被覆部の一例であり、可動部及び被覆部を兼ねている。また、位置P1は、回転を許容する第一位置及び外装部を露出させる第四位置の一例であり、位置P2は、回転を規制する第二位置及び外装部を被覆させる第三位置の一例である。
図6は、携帯電話機1を一部分解して示す連結部4周辺の拡大斜視図、図7(a)は、図2のVIIa−VIIa線矢視方向における断面図、図7(b)は、図7(a)のa領域の拡大図、図7(c)は図7(a)のVIIc−VIIc線矢視方向における断面図である。ただし、図7(a)では、同一断面にない部材も示している。
連結部4は、表示筐体2及び操作筐体3を相対回転可能に連結するヒンジ27を備えている。ヒンジ27は、表示筐体2及び操作筐体3の互いに対向する面の中央において、当該互いに対向する面に挿通されており、表示筐体2及び操作筐体3はヒンジ27を回転軸として相対回転する。
ヒンジ27の構成は従来利用されている適宜なものとしてよい。例えばヒンジ27は、操作筐体3に固定されるとともに表示筐体2に軸支されることにより、操作筐体3と表示筐体2とを互いに相対回転可能に連結するように構成されていてもよい。ヒンジ27は、表示筐体2及び操作筐体3の相対回転を図1の状態(0度)から図4の状態(180度)までの範囲でのみ許容する係合部やクリック感を生じさせるクリック機構等を備えて構成されていてもよい。ヒンジ27は概略円筒状に形成されており、ヒンジ27には表示筐体2内部の電子回路と操作筐体3内部の電子回路とを接続する信号線が挿通される。
図6、図7(a)及び図7(b)に示すように、スライドカバー25は、内側に突出する凸部29をx軸方向の両端側に備えている。凸部29は、断面T字に形成されるとともに、z軸方向に延びる突条に形成されている。凸部29は、z軸方向において、スライドカバー25の全体に亘る長さを有している。
一方、表示筐体2及び操作筐体3には、凸部29が嵌合し、z軸方向に延びる溝部30が形成されている。図6に示すように、溝部30は、表示筐体2の正面側ケース5及び背面側ケース6に形成された表示筐体側溝部30aと、操作筐体3の正面側ケース7及び背面側ケース8に形成された操作筐体側溝部30bとが、表示筐体2と操作筐体3との相対回転が0度(図1の状態)又は180度(図4の状態)の状態において直接的に位置するように構成されている。
表示筐体側溝部30aは、凸部29と同等以上の長さを有している。従って、スライドカバー25は、操作筐体3との嵌合が解除される位置まで表示筐体2側へ移動し、当該位置あるいは当該位置から更に移動したときに、図7(c)に示されるように、凸部29が表示筐体側溝部30aの端部に当接して表示筐体2側への移動が規制される。
一方、操作筐体側溝部30bは、凸部29の長さよりも短い。従って、スライドカバー25は、表示筐体2及び操作筐体3の双方に跨る位置にて、凸部29が操作筐体側溝部30bに当接し、操作筐体3側への移動が規制される。
図6及び図7(c)に示すように、凸部29の内側面には、第1凹部32A、第2凹部32B、第3凹部32C(以下、単に「凹部32」といい、これらを区別しない場合がある。)がz軸方向に配列されている。一方、表示筐体2には、凹部32に嵌合するボール33と、ボール33を凹部32へ向けて付勢するバネ34とが設けられている。ボール33は、スライドカバー25のz軸方向への移動に伴って、凹部32へ係脱し、クリック感を生じさせる。
なお、ボール33は、スライドカバー25が図2に示す位置P1にあるときに第3凹部32Cに嵌合し、スライドカバー25が図2に示す位置P1と、図1に示す位置P2との略中間となる位置P12(図10参照)にあるときに第2凹部32Bに嵌合し、スライドカバー25が図1に示す位置P2にあるときに第1凹部32Aに嵌合する。
図8は、スライドカバー25の移動に伴って、カメラ15のオン、オフが切り換えられることを説明する図である。図8は、携帯電話機1を一部分解して示す連結部4付近の斜視図であり、図8(a)はオフ状態を、図8(b)はオン状態を示している。
表示筐体2内部には、表示部11の動作を制御するための電子回路等が配置される基板36が設けられている。基板36は、正面側ケース5及び背面側ケース6(図8では不図示)に沿って配置されており、背面側ケース6側の主面にはスイッチ37が設けられている。
スイッチ37は例えば押圧されることにより接点が接触してオン信号を出力する押圧スイッチにより構成されており、スイッチ37が押圧されている間、カメラ15はオン状態となり、スイッチ37が押圧されていない間、カメラ15はオフ状態となる。
スライドカバー25は、スイッチ37を押圧する押圧部38を備えている。押圧部38は、例えば、表示筐体2の側面側から内部側へ(x軸方向へ)突出し、基板36に対向する板状に形成されており、スライドカバー25の移動に伴って、図8(a)に示すスイッチ37上から退避した位置と、図8(b)に示すスイッチ37上に位置してスイッチ37を押圧する位置との間をz軸方向に沿って移動する。
具体的には、押圧部38の配置位置及びz軸方向の長さは、ボール33が第1凹部32Aに嵌合するとき(スライドカバー25が図1に示す位置P2にあるとき)にスイッチ37を押圧せず、ボール33が第2凹部32Bに嵌合するときからボール33が第3凹部32Cに嵌合するときまで(スライドカバー25が図10に示す位置P12から図1に示す位置P1までのいずれかにあるとき)にスイッチ37を押圧するように設定されている。
なお、スイッチ37は、表示筐体2と操作筐体3とが連結される側に対して傾斜する傾斜面37aを有するキートップ37bを備えており、押圧部38がスイッチ37上から退避した位置からスイッチ37上へ移動する際には、押圧部38の縁部38aがスイッチ37のキートップ37bの傾斜面37aに対して摺動し、キートップ37bを押し下げることにより、円滑にスイッチ37の押圧が行われる。
図9は、表示筐体2と操作筐体3との相対位置が、図1に示す状態(0度の状態、通常状態)であるか、図4に示す状態(180度の状態、反転状態)であるかを検出する方法を説明する図である。図9は、携帯電話機1の一部を分解して連結部4付近を示す斜視図であり、図9(a)は通常状態を、図9(b)は反転状態を示している。
操作筐体3内部には、無線通信を行うための高周波回路等が配置される基板40が設けられている。基板40は、正面側ケース7及び背面側ケース8(図9では不図示)に沿って配置されており、背面側ケース8側の主面には磁気センサ41が設けられている。
磁気センサ41は、例えば永久磁石及びMR素子等の磁電変換素子を含んで構成され、磁気センサ41周囲の磁束密度の変化を電気信号に変換する。磁気センサ41は、操作筐体3内部において、表示筐体2と操作筐体3とが連結される端部のx軸方向の一方端に設けられている。
一方、ボール33は、鉄等の磁性材により形成されており、また、表示筐体2内部において、表示筐体2と操作筐体3とが連結される端部のx軸方向の一方端に設けられている。
従って、図9(a)及び図9(b)に示すように、携帯電話機1が通常状態又は反転状態になると、ボール33と磁気センサ41とは離間又は近接する。磁気センサ41は、ボール33の近接、離間に伴う磁気センサ41の磁束密度の変化を電気信号に変換する。例えば、ボール33が近接して磁束密度が閾値を超えた場合にはON信号を出力する。
図10は、使用者が携帯電話機1により自らを撮影する、いわゆる自分撮りをする場合における、携帯電話機1の使用状態の一例(自分撮影状態)を示す正面図である。
図10の自分撮影状態では、表示部11及びカメラ15が同一方向を向いている。すなわち、カメラ15を自分に向けるとともに、カメラ15により撮影されている画像を表示部11により視認可能な状態になっている。そして、決定キー14cは、シャッタを切るためのレリーズボタンとして機能する。なお、自分撮影状態では、後述するサイドキー14dを操作してもシャッタは切られない。ただし、サイドキー14dによりシャッタを切ることを可能としてもよい。
スライドカバー25は、ボール33が第2凹部32Bに嵌合しており(図6及び図7)、図1に示す位置P2と、図2に示す位置P1との間の位置P12に位置している。このとき、カメラ15及びストロボ16はスライドカバー25が被覆されておらず、露出している。ただし、スライドカバー25は、表示筐体2及び操作筐体3の双方に嵌合しており、表示筐体2及び操作筐体3の相対回転は規制されている。
図11は、使用者が携帯電話機1により自分以外の被写体を撮影する場合における、携帯電話機1の使用状態の一例(相手撮影状態)を示す正面図である。
図11の相手撮影状態では、表示部11とカメラ15(図11では不図示)とは互いに反対方向を向いている。すなわち、カメラ15を自分と正対する被写体に向けるとともに、カメラ15により撮影されている画像を表示部11により視認可能な状態になっている。そして、操作筐体3の側面に設けられたサイドキー14dは、シャッタを切るためのレリーズボタンとして機能する。なお、相手撮影状態では、決定キー14cを操作してもシャッタは切られない。ただし、決定キー14cによりシャッタを切ることを可能としてもよい。
スライドカバー25は、図10の自分撮影状態と同様に、位置P12に位置している。従って、カメラ15及びストロボ16はスライドカバー25が被覆されておらず、露出しており、また、スライドカバー25は、表示筐体2及び操作筐体3の双方に嵌合しており、表示筐体2及び操作筐体3の相対回転は規制されている。
図12は、携帯電話機1の使用状態の遷移を示す図表である。
「状態」の欄は各状態に割り振った便宜上の番号を示している。
「LCD面」の欄は、表示筐体2の正面(表示部11が設けられている側の面)が、操作筐体3の正面(ダイヤルキー14aが設けられている面)と同一方向を向いている状態を「表」、表示筐体2の正面が操作筐体3の背面を向いている状態を「裏」として示している。
「スライドカバー(ボール位置)」の欄は、ボール33が第1凹部32A、第2凹部32B、第3凹部32Cに嵌合する状態を、それぞれ「凹部1」、「凹部2」、「凹部3」として示している。
「回転」の欄は、表示筐体2及び操作筐体3の回転がスライドカバー25により規制されている状態、許容されている状態を、それぞれ「ロック」、「フリー」として示している。
「回転検知」の欄は、ボール33が磁気センサ41に近接して磁気センサ41からON信号が出力される状態、ボール33が磁気センサ41から離間して磁気センサ41からOFF信号が出力されている状態を、それぞれ「ON」、「OFF」として示している。
「カメラ」の欄は、スライドカバー25によってカメラ15が被覆されている状態、被覆されておらず露出している状態を、それぞれ「使用不可」、「使用可」として示している。
「スライドスイッチ」の欄は、スイッチ37が押圧部38により押圧されている状態、押圧されていない状態を、それぞれ「ON」、「OFF」として示している。
「モード」は、自分撮りに適した状態、相手撮りに適した状態を、それぞれ「自分撮り」、「相手撮り」として示している。
「状態1」は、図1に示す状態である。すなわち、表示部11はカメラ15と同一方向を向いており、表示筐体2及び操作筐体3の相対回転は規制されている。また、カメラ15はスライドカバー25により被覆されるとともに、スイッチ37によりオフ状態となっている。
「状態1」では、決定キー14cは、電話を掛ける相手先の電話番号の確定や表示部11に表示された選択肢の選択確定等、通常の決定操作に利用され、カメラ15のレリーズボタンとしては機能しない。すなわち、「状態1」は、通話機能、メール機能、音楽再生等、カメラ15による撮影以外の機能を利用する際に適した使用状態である。
「状態2」は、「状態1」から、スライドカバー25を位置P12に移動させた状態である。すなわち、図10の状態である。この状態では、表示筐体2及び操作筐体3の相対回転は規制されたままであるが、スライドカバー25はカメラ15上から退避し、また、スイッチ37によりカメラ15はオン状態となる。そして、この状態は自分撮りに適している。
「状態3」は、「状態2」から、スライドカバー25を図2に示す位置P1へ移動させた状態である。この状態では、表示筐体2及び操作筐体3の相対回転が許容される。また、カメラ15はスライドカバー25により被覆されていないとともに、スイッチ37によりオン状態とされており、カメラ15により撮影することも可能である。
「状態4」は、「状態3」から、表示筐体2を操作筐体3に対して180度反転させた状態であり、図4に示す状態である。反転により、磁気センサ41の出力信号はオフ信号からオン信号に切り換えられる。そして、磁気センサ41の出力信号が切り換えられることにより、カメラ15のレリーズボタンとして機能するキーが、決定キー14cからサイドキー14dに切り換えられる。
「状態5」は、「状態4」から、スライドカバー25を位置P12に移動させた状態である。すなわち、図11の状態である。この状態では、表示筐体2及び操作筐体3の相対回転が規制されることになるが、カメラ15はまだスライドカバー25により被覆されておらず、また、スイッチ37はオン状態のままである。そして、この状態は相手撮りに適している。
「状態6」は、「状態5」から、スライドカバー25を位置P2へ移動させた状態であり、図5に示す状態である。この状態では、カメラ15はスライドカバー25により被覆され、また、スイッチ37によりオフ状態になる。なお、表示筐体2及び操作筐体3の相対回転も規制されたままである。この状態は、スライドカバー25を位置P2から位置P12へ移動させるだけで相手撮りに適した状態へ遷移させることができ、相手撮りの待機状態として適した状態である。
なお、当然に、「状態6」、「状態5」、「状態4」、「状態3」、「状態2」、「状態1」の順に遷移させることもできる。
図13は、携帯電話機1の信号系の構成を示すブロック図である。
携帯電話機1は、制御部45、通信処理部46、アンテナ47、音声処理部48、スピーカ49、マイクロフォン50、撮像素子51、撮像処理部52、画像処理部53を備えている。なお、制御部は本発明の切換手段の一例である。
撮像素子51は、例えばCCDやCMOSにより構成されており、図示しないレンズ15cにより結像された光像を電気信号に変換して撮像処理部52に出力する。撮像処理部52は、例えばICを含んで構成され、撮像素子51からのアナログ信号をデジタル信号に変換するとともに、画像データに変換して制御部45に出力する。また、撮像処理部52は、適宜なタイミングで撮像素子51の電荷を放出して撮像素子51のリセットを行い、制御部45からの制御信号に基づいてメカニカルシャッタ又は電子シャッタを切る。なお、カメラ15は、撮影窓15a及びレンズ15cとともに撮像素子51及び撮像処理部52を含んで構成されている。
制御部45は、例えばCPU、RAM、ROM等を含んだICにより構成されている。制御部45は、各種手段からの信号に基づく各種手段の動作等の各種処理を実行する。例えば、以下のような処理を実行する。
制御部45は、スイッチ37からオン信号が出力されているときは、操作部14からの信号に基づく撮像処理部52の動作制御を行い、また、撮像処理部52からの信号に基づいて、カメラ15により撮像した画像を画像処理部53を介して表示部11に表示させる。また、レリーズボタンとして機能するキーへの操作に応じて、カメラ15により撮像した画像をRAMあるいは外部記憶装置へ記録する。一方、スイッチ37からオフ信号が出力されているときは、制御部45は上記の処理を行わない。これにより、スイッチ37によるカメラ15のオン状態及びオフ状態の切換が行われる。
スイッチ37からオン信号が出力されている場合、制御部45は、センサ41からオフ信号が出力されているときは、決定キー14cの押圧に応じてカメラ15により撮像した画像をRAMあるいは外部記憶装置へ記録するとともに、サイドキー14dの押圧によっては当該記録を行わず、センサ41からオン信号が出力されているときは、サイドキー14dの押圧に応じてカメラ15により撮像した画像をRAMあるいは外部記憶装置へ記録するとともに、決定キー14cの押圧によっては当該記録を行わない。これにより、レリーズボタンの切換が行われる。
通信処理部46は、高周波回路を含んで構成され、電波を利用した無線通信を行うために、制御部45で処理された音声データ、画像データ等の各種データを変調して、アンテナ47を介して送信する。また、通信処理部46は、アンテナ47を介して受信した信号を復調して制御部45に出力する。音声処理部48は、制御部45からの音声データを音声信号に変換してスピーカ49に出力し、又、マイクロフォン50からの音声信号を音声データに変換して制御部45に出力する。画像処理部53は、制御部53からの映像データを映像信号に変換して表示部11に出力する。
以上の本発明の実施形態によれば、表示筐体2と操作筐体3との回転を許容する位置P1と回転を規制する位置P2との間で移動可能で、その移動に応じてカメラ15を被覆又は露出させるスライドカバー25が設けられていることから、筐体の相対回転の許容及び規制を任意に設定することができるとともに、スライドカバー25の移動に伴って自動的に被覆又は露出して、不使用時におけるカメラ15の防護を実現できる。また、スライドカバー25は、表示筐体2及び操作筐体3の外周に嵌合して回転を規制するから、両筐体間の連結部4の補強にもなる。
カメラ15はスライドカバー25により被覆された場合にはオフ状態となり、露出されたときにはオン状態となるから、スライドカバー25を移動させるだけでカメラ15のオン状態又はオフ状態を切り替えることができ便利である。また、カメラ15の被覆及び露出と連動しているから、カメラ15の動作のオン又はオフを把握しやすい。
スライドカバー25が回転を許容する位置P1及び回転を規制する位置P2の一方から他方へ移動すると、スライドカバー25は被覆される状態及び露出する状態の一方から他方へ移動する。従って、筐体の回転の許容又は規制の切り替わりと、カメラ15の被覆又は露出の切り替わり(カメラ15の動作状態の切り替わり)が連動して行われるため、携帯電話機1の動作の理解が容易であるとともに便利である。
スライドカバー25が回転を許容する位置P1から規制する位置P2に移動すると、カメラ15は露出した状態から被覆された状態に移動し、その移動の途中では、スライドカバー25は、筐体の相対回転を規制しつつ、カメラ15を露出させる位置P12をとる。従って、スライドカバー25が位置P1にあるときは、表示部11を自分に向けたまま、操作筐体3を回転させてカメラ15を任意の方向へ向けて撮像ができ、さらに、スライドカバー25を位置P12へ移動させて回転を規制し、自分撮りや相手撮りに適した状態に筐体位置を保持することができ、スライドカバー25が位置P2にあるときは、回転を規制して通話等に適した状態に保持するとともにカメラ15を被覆して、カメラ15の保護及び誤操作防止ができる。
(変形例)
図14及び図15は、第1の実施形態の変形例の携帯電話機1′を示す斜視図であり、図14は相手撮影状態を、図15は自分撮影状態を示している。
この変形例では、カメラ15′及びストロボ16′は、操作筐体3′のダイヤルキー14aや決定キー14cが設けられる面とは反対側の面に設けられている。従って、表示筐体2の正面(表示部11が設けられている側の面)が、操作筐体3の正面(ダイヤルキー14aが設けられている面)と同一方向を向いている状態が相手撮りに適した状態であり、決定キー14cがレリーズボタンとして機能し、表示筐体2の正面と操作筐体3の正面とが反対方向を向いている状態が自分撮りに適した状態であり、サイドキー14dがレリーズボタンとして機能する。
図16は、携帯電話機1の使用状態の遷移を示す図表である。図12に示した図表とは、「モード」の欄が異なっているだけであり、他は図12と同様である。
(他の実施形態)
第1の実施形態では、スライドカバー25が回転を許容する位置P1から規制する位置P2に移動すると、カメラ15は露出した状態から被覆された状態に移動し、その移動の途中では、スライドカバー25は、筐体の相対回転を規制しつつ、カメラ15を露出させる位置P12をとった。
しかし、回転を許容する位置P1及び規制する位置P2と、露出する状態及び被覆する状態との組み合わせは2組あり、移動の途中においては、回転の許容及び規制の切り替わりと露出及び被覆の切り替わりとのいずれが先になるかの組み合わせも2組あり、第1の実施形態も含めて合計4通りの態様が考えられる。
図17は、上記4通りを示す図表である。当該図表では、上記4通り毎のスライドカバー25の位置(状態)を示している。各組み合わせの欄において、上欄は、スライドカバー25が移動範囲の一方端、途中、他方端へ移動するときに、回転を許容するか(1)、規制するか(2)を示しており、下欄は、スライドカバー25が移動範囲の一方端、途中、他方端へ移動するときに、カメラ15を被覆するか(3)、露出させるか(4)を示している。
以下では、組み合わせ2〜4に係る第2〜第4の実施形態を例示する。
(第2の実施形態)
図18は、第2の実施形態における回転の規制及び許容と、カメラの被覆及び露出との関係を示す模式図である。
第2の実施形態では、スライドカバー125は、図18(a)に示す回転を許容するとともにカメラ115を露出させる位置P101から、図18(b)に示す回転を許容するとともにカメラ115を被覆する位置P112を経由して、図18(c)に示す回転を規制するとともにカメラ115を被覆する位置P102へ移動する。もちろん、その反対方向への移動も可能である。
なお、カメラ115が露出する面は、操作筐体103において、ダイヤルキーや決定キーが設けられる面でもよいし、その背面でもよい。
第2の実施形態によれば、スライドカバー125が位置P101にあるときは、第1の実施形態の位置P1と同様に、表示部111を自分に向けたまま、操作筐体103を回転させてカメラ115を任意の方向へ向けて撮像ができる。スライドカバー125が位置P112にあるときは、カメラ115を被覆させたまま(カメラ115をオフ状態としたまま)、表示筐体102と操作筐体103とを相対回転させることもできるから、例えば、回転時のカメラ115の誤操作を防止させたい場合や、映画再生などにおいて操作筐体103に設けられたスピーカを適宜な位置に向けたい場合(カメラ115とは関係のないモジュールの向きを変えたい場合)に便利である。スライドカバー125が位置P102にあるときは、第1の実施形態の位置P2と同様に、回転を規制して通話等に適した状態に保持するとともにカメラ115を被覆して、カメラ115の保護及び誤操作防止ができる。
(第3の実施形態)
図19は、第3の実施形態における回転の規制及び許容と、カメラの被覆及び露出との関係を示す模式図である。
第3の実施形態では、スライドカバー225は、図19(a)に示す回転を許容するとともにカメラ215を被覆する位置P201から、図19(b)に示す回転を規制するとともにカメラ215を被覆する位置P212を経由して、図19(c)に示す回転を規制するとともにカメラ215を露出させる位置P202へ移動する。もちろん、その反対方向への移動も可能である。
なお、カメラ215が露出する面は、操作筐体203において、ダイヤルキーや決定キーが設けられる面でもよいし、その背面でもよい。
第3の実施形態によれば、スライドカバー225が位置P201にあるときは、第2の実施形態の位置P112と同様に、カメラ215を被覆させたまま(カメラ215をオフ状態としたまま)、表示筐体202と操作筐体203とを相対回転させることができるから、例えば、回転時のカメラ215の誤操作を防止させたい場合や、映画再生などにおいて操作筐体203に設けられたスピーカを適宜な位置に向けたい場合(カメラ215とは関係のないモジュールの向きを変えたい場合)に便利である。スライドカバー225が位置P212にあるときは、第1の実施形態の位置P2と同様に、回転を規制して通話等に適した状態に保持するとともにカメラ215を被覆して、カメラ215の保護及び誤操作防止ができる。スライドカバー225が位置P202にあるときは、第1の実施形態の位置P12と同様に、自分撮りや相手撮りに適した状態に筐体位置を保持することができる。
(第4の実施形態)
図20は、第4の実施形態における回転の規制及び許容と、カメラの被覆及び露出との関係を示す模式図である。
第4の実施形態では、スライドカバー325は、図20(a)に示す回転を許容するとともにカメラ315を被覆する位置P301から、図20(b)に示す回転を許容するとともにカメラ315を露出させる位置P312を経由して、図20(c)に示す回転を規制するとともにカメラ315を露出させる位置P302へ移動する。もちろん、その反対方向への移動も可能である。
なお、カメラ315が露出する面は、操作筐体303において、ダイヤルキーや決定キーが設けられる面でもよいし、その背面でもよい。
第4の実施形態によれば、スライドカバー325が位置P301にあるときは、第3の実施形態の位置P201と同様に、カメラ315を被覆させたまま(カメラ315をオフ状態としたまま)、表示筐体302と操作筐体303とを相対回転させることができるから、例えば、回転時のカメラ315の誤操作を防止させたい場合や、映画再生などにおいて操作筐体303に設けられたスピーカを適宜な位置に向けたい場合(カメラ315とは関係のないモジュールの向きを変えたい場合)に便利である。スライドカバー325が位置P312にあるときは、第1の実施形態の位置P1と同様に、表示部311を自分に向けたまま、操作筐体303を回転させてカメラ315を任意の方向へ向けて撮像ができる。スライドカバー325が位置P302にあるときは、第3の実施形態の位置P202と同様に、自分撮りや相手撮りに適した状態に筐体位置を保持することができる。
このように、本発明によれば、スライドカバー25の移動に応じて図17に示すような表示筐体2と操作筐体3の相対回転の許容/規制及びカメラ15の被覆/露出を簡単に切り替えることができ、利便性が高い。
なお、第1〜第4の実施形態は、需要等に応じて適宜に選択でき、また、例えば第1の実施形態の位置P1から位置P12を経由して位置P2へ移動し、その位置P2から、さらに、第2の実施形態の位置P112を経由して位置P101へ移動できるようにするなど、適宜に組み合わせてもよい。
本発明は以上の実施形態に限定されず、種々の態様で実施してよい。
電子機器は、連結部により相対回転可能に連結された筐体を有するものであればよく、携帯電話機に限定されない。例えば、デジタルカメラやPDAであってもよい。
実施形態では、スライドカバーが、回転を許容する第一位置と規制する第二位置との間で移動可能な可動部と、外装部を被覆する第三位置と外装部を露出させる(外装部上から退避する)第四位置との間で移動可能な被覆部とを兼ねる場合を例示したが、可動部と被覆部とは別個に設けられていてもよい。この場合であっても、例えば、可動部の運動を歯車列やソフト制御などを介して被覆部に伝達することにより、可動部の第一位置と第二位置との間の移動に応じて被覆部を第三位置と第四位置との間で移動させることができる。また、可動部と被覆部とを別個に構成した場合には、可動部の移動範囲全体に亘って、可動部の移動に連動して被覆部が移動する必要はなく、可動部の移動範囲の一部に対して、可動部の移動に連動して被覆部が移動してもよい。
可動部は、第一筐体及び第二筐体の相対回転を許容又は規制できればよく、第一筐体及び第二筐体の一方の外周に嵌合する位置と、双方の外周に嵌合する位置との間を移動可能な非円形の部材に限定されない。例えば、実施形態でいえば、スライドカバー25のうち、凸部29と溝部30だけでも回転を規制又は許容することはできるから、スライドカバー25を筐体の全周に配置せずに、スライドボタン状に形成してもよい。
外装部は、第一筐体及び第二筐体の一方の表面上に設けられるもの、あるいは、外観上視認可能に設けられているものであればよく、カメラに限定されない。例えば、カメラのレリーズボタンや、他の機器と接続するためのコネクタや、LCD等の表示装置であってもよい。
動作状態の切換は、外装部の被覆時と露出時とでその動作が異なっていればよいのであり、オン状態(動作)とオフ状態(不動作)に限定されない。例えば、実施形態のスライドカバーを、入射光の一部の光を遮断するフィルタにより構成し、カメラがスライドカバーにより被覆されている場合と、露出している場合とで、シャッタスピードを切り換えるようにしてもよい。
動作状態の切換を、動作(オン状態)と不動作(オフ状態)との切換とする場合、動作及び不動作は、適宜に定義することができる。例えば、外装部がカメラである場合、撮像素子や撮像処理部への電力供給の有無により動作及び不動作を定義してもよいし、レリーズボタンの押圧に応じた制御部から撮像処理部への制御信号の出力の有無をもって動作及び不動作を定義してもよいし、これらを組み合わせて定義してもよい。
動作状態を切り換える切換手段は、スイッチのように物理的に信号処理系を切り換えるものであってもよいし、制御部のように処理内容を切り換えるものであってもよい。例えば、実施形態では、スイッチ37からの信号に基づいて制御部45が処理内容を切り換える場合を例示したが、例えば、スイッチ37のオン、オフにより、撮像素子や撮像処理部への電源供給ラインが物理的にオン、オフされるように構成してもよい。