JP4788853B2 - 堆肥化処理施設 - Google Patents

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  • Processing Of Solid Wastes (AREA)
  • Treatment Of Sludge (AREA)
  • Fertilizers (AREA)

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、外部へ臭気を発散させることのない堆肥化処理施設に関する。
【0002】
【従来の技術】
農業で生成される廃棄物は農地の片隅に堆積して堆肥とし、畜産場で生成する動物糞尿は大屋根付き建屋の屋内又は屋外のオープン式貯溜場に生のまま堆積し、自然熟成後有機肥料として販売している。また、河川や湖沼に沈殿している有機汚泥は浚渫(しゅんせつ)後に貯溜場へ放置し、又は工場へ搬入して新建材等の再生原料としている。
【0003】
近年では、市街地で有機系物質の醗酵処理を行うと、悪臭を漂わせて公害の発生源となるので、有機系物質を集中的に搬入して醗酵処理を行う堆肥化処理施設が多数建設されてきている。
【0004】
特開平10-203885号公報に開示されている有機コンポスト生産施設では、鉄筋コンクリート製カルバート式(暗渠式)の複数のレーンを地上に並設し、各レーンの入口と出口にそれぞれレーン内を密閉するためのシャッタを開閉自在に設けた施設であり、有機系物質を密閉したカルバート式のレーン内で醗酵熟成させるため、外部へ臭気を発散させないものである。また、懸垂式攪拌装置又はキャタピラを設けているから、静粛に、且つ、無振動状態で上記混合物を押進させることができ、混合物を攪拌しながら吸排気してコンポストを乾燥し、汚濁水がレーンの外部へ漏出するおそれがなく、近隣の住民に対し無害であるものである。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
上記提案されている有機コンポスト生産施設は、外部への臭気の発散を防止しながら、有機系物質を醗酵熟成させるものである。しかしながら、ダンプカーなどの車両で有機系物質を搬入する際、レーンを密閉するシャッタを開放したままの状態で有機系物質の搬入を行うので、レーン内で醗酵途中の有機系物質の悪臭が外部へ漏れ出たり、車両からの荷降しの段階の有機系物質の悪臭が漏れ出るおそれがある。つまり、荷受作業を瞬間的に素早く行わなければ周囲に悪臭を発散させてしまうという問題が生じる。
【0006】
また、上記の有機コンポスト生産施設は臭気の発散防止を目的に設計されているが、既存の堆肥化生産施設であれば臭気の発散を防止する施策が取られていないのが現状であった。
【0007】
本発明は、上記問題点にかんがみ、既存の堆肥化生産施設に附設することが可能で、しかも、有機系物質の荷降ろしの段階で外部への臭気の発散を防止することが可能な堆肥化処理施設を提供することを技術的課題とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するため本発明は、原料である有機系物質に木質系物質と微生物などの醗酵材を混合・攪拌する前処理室と、該前処理室で混合された混合物に新鮮な空気を送気して有機系物質を醗酵分解処理する少なくとも1個の醗酵槽と、を備えた堆肥化処理施設であって、前記前処理室と外部との間に設けられる原料荷受室は、該原料荷受室内に設けた消臭用の消臭剤噴出装置と、原料荷受室内の内部空気を吸引する吸引ファンと、前記前処理室側及び外部側に各々設けられる開閉シャッタと、原料運搬車両により原料を荷受けする際、外部側シャッタを開閉して原料運搬車両を進入させると共に、消臭剤噴出装置及び吸引ファンを作動させ、その後、前処理室側シャッタを開放して原料運搬車両から原料の荷降しを行い、荷降しが終了すると、前処理室側シャッタを閉鎖して消臭剤噴出装置及び吸引ファンを作動させ、その後、外部側シャッタを開放させて原料運搬車両を退出させる荷受室制御装置と、を備える、という技術的手段を講じた。
【0010】
これにより、該原料荷受室内の前処理室側及び外部側に各々設けられた開閉シャッタを閉鎖して、略密閉状態で消臭しながら原料の荷受が行われるから、原料運搬車両に積んだ家畜糞などの有機系物質を荷降しする段階で、悪臭が外部に漏れ出るおそれはない。また、この荷受段階では、前処理室側のシャッタは開放しているが、外部側のシャッタは閉鎖しているので、前処理室や醗酵槽での醗酵処理中に発生する悪臭が外部に漏れ出るおそれもない。さらに、荷降しが終了して原料運搬車両を外部へ退出させる際も、前処理室側のシャッタは閉鎖しているが、外部側のシャッタは開放しているので、悪臭が外部に漏れ出るおそれがない。
【0011】
【発明の実施の形態】
図1は本発明の堆肥化処理施設を示す平面図であり、堆肥化処理施設1は原料である有機系物質に木質系物質と微生物などの醗酵材を混合・攪拌する前処理室2と、前処理室2の混合物に1〜2週間程度送気して有機系物質に含まれている腐敗菌の減菌処理と腐臭を除去すると共に木質系物質に含まれる有害物質を分解除去(有機物好気分解)する一次醗酵槽3と、一次醗酵槽3で生成された微有臭の生成物に1ヵ月程度新鮮な空気を送気することにより更に有機系物質の分解と微生物脱臭を行う後熟槽4と、後熟槽4で生成された無臭ではあるが熟成中の上記生成物を完熟させる生成物置場脱臭槽5と、完熟させた生成物を出荷まで待機させる生成物置場6と、生成物置場6の製品を袋詰して出荷する製品出荷場7とにより主要な処理工程を形成する。符号8は木質系物質となるオガ屑を貯留して所定水分まで乾燥しておく廃オガ乾燥槽であり、床面には乾燥用の空気を噴出する送気パイプ9が張り巡らされている。また、符号10は前記生成物置場脱臭槽5からの臭気を吸引して脱臭した後、外部へ排気を行う脱臭室であり、該脱臭室10には水洗及び薬液洗浄による脱臭機器を配設してある(図示せず)。さらに、符号11は格納庫であり、後述するホイルローダなどの運搬用車両が格納されている。
【0012】
前処理室2には、床下に牛、豚、鶏などの家畜から得られる生糞や、下水処理、し尿処理によって得られた原料となる有機系物質を受ける有機物受入ピット12が埋設してあり、該有機物受入ピット12の底部に有機系物質搬送用の搬送用スクリューコンベア13を横設してある。また、有機物受入ピット12に併設して水分調整材としてオガ屑を投入するオガ屑投入ピット14を埋設し、該オガ屑投入ピット14の底部にオガ屑搬送用の搬送用スクリューコンベア15を横設してある。該オガ屑搬送用スクリューコンベア15の終端と前記有機系物質搬送用スクリューコンベア13の終端は、落とし口16,17を介して直交する混合用スクリューコンベア18に接続してあり、該混合用スクリュコンベア18により泥状の有機系物質と水分調整用の木質系物質となるオガ屑とを混合することができる。このとき、必要に応じて微生物などの醗酵材を混合・攪拌することもできる。さらに、混合用スクリューコンベア18の終端側は、落とし口19を介して横断面がV字状となるベルトコンベア20に接続される。そして、ベルトコンベア20の終端には、混合用スクリューコンベア18により混合された混合物を集積するヤード21に接続している。
【0013】
前記ヤード21には運搬用車両としてのホイルローダ22を待機させておき、ヤード21に堆積された混合物を次工程の一次醗酵槽3へ運搬する。一次醗酵槽3の床面には新鮮な空気を混合物に送気する送気パイプ23が張り巡らされており、必要に応じてヒータにより加温した空気を送気することもできる。そして、ヤード21に堆積された混合物を一次醗酵槽3へ運搬する際は、コンベアなど他の搬送手段も考えられるが、混合物の切り返し作業等を行うのに便利なため、ホイルローダ22を使用するのである。つまり、切り返しの際、ホイルローダ22のバケット22aを小刻みに振動させると、混合物が細かく砕かれ、作業能率が向上するので好適である。ヤード21から一次醗酵槽3への運搬が終了すると、1〜2週間山型に野積み状態で放置しておくが、必要に応じてホイルローダ22による切り返し(積み替え)を行うと、通気効率がよくなり好気性細菌の繁殖が促進される。
【0014】
一次醗酵槽3により1〜2週間熟成させた生成物は、ホイルローダ22により後熟槽4に運搬される。後熟槽4は一次醗酵槽3と同様、新鮮な空気を混合物に送気する送気パイプ24が張り巡らされており、必要に応じてヒータにより加温した空気を送気することもできる。後熟槽4では、熟成中の微有臭の生成物へ新鮮な空気を送気することにより更に有機系物質の分解と微生物脱臭が行われる。生成物は後熟槽4において1ヵ月程度送気が行われる。なお、必要に応じてホイルローダ22による切り返し(積み替え)を行うと、通気効率がよくなり好気性細菌の繁殖が促進される。
【0015】
次に、後熟槽4において無臭ではあるが熟成中の生成物は、ホイルローダ22により該生成物を完熟させる生成物脱臭槽5に運搬される。ここで、生成物を2〜3ヵ月待機させて熟成中の生成物を完熟させる。後熟槽5からの臭気は、配管25を介して脱臭室10に吸引し、脱臭した後、外部への排気が行われる。
【0016】
後熟槽で完熟した生成物は堆肥化物として出荷されるまで生成物置場6に待機され、堆肥化物を製品として出荷する際は、製品出荷場7に設けられた袋詰装置26に搬送し、袋詰加工を行った後、製品27として出荷される。なお、符号28は予備室である。
【0017】
以上のような堆肥化処理施設1において、前処理室2と外部との間には、原料荷受室29が設けられる。図2は原料荷受室29及び前処理室2の概略を示す縦断面図であり、図1及び図2を参照すると、符号29は原料荷受室であり、前処理室2と外部との間に位置して設けられる。該原料荷受室29には外部との間を開閉するシャッタ30A,30Bと、前処理室2との間を開閉するシャッタ31A,31Bとが設けられ、内部には消臭用の消臭剤噴出装置32及び内部空気を吸引する吸引ファン33が取り付けられている(図2参照)。また、シャッタ30の外側及びシャッタ31の原料荷受室29側の各々には各シャッタ30,31の直前にダンプカーなどの荷受車両34が存在することを検知するセンサー35,36を設けるとよい。また、各シャッタ30,31の基部には各シャッタ30,31を開閉駆動するシャッタ駆動装置37,38が取り付けられている。そして、原料荷受室29の任意箇所には、センサー35,36からの検知信号に基づいて各シャッタ30,31の開閉を行うとともに、消臭剤噴出装置32のオン・オフ作動及び吸引ファン33のオン・オフの作動を制御する荷受室制御装置39が取り付けられている。
【0018】
次に、荷受制御装置39における制御内容を図2〜図5を参照して説明する。まず、ダンプカーなどの荷受車両34が原料荷受室29に進入する際は(図2乃至図4参照)、シャッタ30の直前に荷受車両34が存在することをセンサー35により検知し、荷受制御装置39がこの検知信号に基づいて、シャッタ30を所定時間開放し、荷受車両34を原料荷受室29内に導き入れた後閉鎖する。そして、シャッタ30が閉じたことが確認されると、原料荷受室内29を略密閉状態にして、吸引ファン33を所定時間作動させて悪臭を脱臭室へ排気するとともに、消臭剤噴出装置32を所定時間作動させて消臭を行う。吸引ファン33による排気及び消臭剤噴出装置32による脱臭が終了すると前処理室2側のシャッタ31を開放し、荷受車両34から荷降ろしを行う。すなわち、荷受車両34を後退させて前処理室2内の有機物受入ピット12に近付け、荷受車両34の荷台40を傾斜させることにより、荷降しを行う。
【0019】
一方、荷降しが終了して荷受車両34を原料荷受室29から退出させる際は(図5参照)、荷受車両34の荷台40の傾斜を元に戻し、荷受車両34をわずかに前進させる。これにより、センサー36のオフ検知により前処理室2側のシャッタ31が閉鎖される。そして、シャッタ31が閉じたことが確認されると、前述と同様に原料荷受室29内を略密閉状態にして、吸引ファン33を所定時間作動させて悪臭を脱臭室10へ排気するとともに、消臭剤噴出装置32を所定時間作動させて消臭を行う。吸引ファン33による排気及び消臭剤噴出装置32による脱臭が終了すると外部側のシャッタ30を開放し、荷受車両34を前進させて原料荷受室29から退出させる。
【0020】
以上のように、原料荷受室29内の前処理室2側及び外部側に各々設けられた開閉シャッタ30,31を閉鎖して、略密閉状態で消臭しながら原料の荷受が行われるから、荷受車両34に積んだ家畜糞などの有機系物質を荷降しする段階で、悪臭が外部に漏れ出るおそれはない。また、この荷受段階では、前処理室2側のシャッタ31は開放しているが、外部側のシャッタ30は閉鎖しているので、前処理室2や一次醗酵槽3での醗酵処理中に発生する悪臭が外部に漏れ出るおそれもない。さらに、荷降しが終了して荷受車両34を外部へ退出させる際も、前処理室2側のシャッタ31は閉鎖しているが、外部側のシャッタ30は開放しているので、悪臭が外部に漏れ出るおそれがない。
【0021】
【発明の効果】
以上のように本発明によれば、前処理室と外部との間に設けられる原料荷受室は、該原料荷受室内に設けた消臭用の消臭剤噴出装置と、原料荷受室内の内部空気を吸引する吸引ファンと、前記前処理室側及び外部側に各々設けられる開閉シャッタと、原料運搬車両により原料を荷受けする際、外部側シャッタを開閉して原料運搬車両を進入させると共に、消臭剤噴出装置及び吸引ファンを作動させ、その後、前処理室側シャッタを開放して原料運搬車両から原料の荷降しを行い、荷降しが終了すると、前処理室側シャッタを閉鎖して消臭剤噴出装置及び吸引ファンを作動させ、その後、外部側シャッタを開放させて原料運搬車両を退出させる荷受室制御装置を備えたので、原料荷受室内の前処理室側及び外部側に各々設けられた開閉シャッタを閉鎖し、略密閉状態で消臭しながら原料の荷受が行われるから、原料運搬車両に積んだ家畜糞などの有機系物質を荷降しする段階で、悪臭が外部に漏れ出るおそれはない。また、この荷受段階では、前処理室側のシャッタは開放し、外部側のシャッタは閉鎖しているから、前処理室や醗酵槽での醗酵処理中に発生する悪臭が外部に漏れ出るおそれもない。さらに、荷降しが終了して原料運搬車両を外部へ退出させる際も、前処理室側のシャッタは閉鎖し、外部側のシャッタは開放しているから、悪臭が外部に漏れ出るおそれがない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の堆肥化処理施設を示す平面図である。
【図2】原料荷受室及び前処理室の概略を示す縦断面図である。
【図3】原料荷受室内部に設けた消臭剤噴出装置及び吸引ファンの作用図である。
【図4】荷受車両が原料荷受室へ進入する際の制御内容を示すフローチャートである。
【図5】荷受車両が原料荷受室から退出する際の制御内容を示すフローチャートである。
【符号の説明】
1 堆肥化処理施設
2 前処理室
3 一次醗酵槽
4 後熟槽
5 生成物置場脱臭槽
6 生成物置場
7 製品出荷場
8 廃オガ乾燥槽
9 送気パイプ
10 脱臭室
11 格納庫
12 有機物受入ピット
13 搬送用スクリューコンベア
14 オガ屑投入ピット
15 搬送用スクリューコンベア
16 落とし口
17 落とし口
18 混合用スクリューコンベア
19 落とし口
20 ベルトコンベア
21 ヤード
22 ホイルローダ
23 送気パイプ
24 送気パイプ
25 配管
26 袋詰装置
27 製品
28 予備室
29 原料荷受室
30 シャッタ
31 シャッタ
32 消臭剤噴出装置
33 吸引ファン
34 荷受車両
35 センサー
36 センサー
37 シャッタ駆動装置
38 シャッタ駆動装置
39 荷受室制御装置
40 荷台

Claims (1)

  1. 原料である有機系物質に木質系物質と微生物などの醗酵材を混合・攪拌する前処理室と、該前処理室で混合された混合物に新鮮な空気を送気して有機系物質を醗酵分解処理する少なくとも1個の醗酵槽と、を備えた堆肥化処理施設であって、
    前記前処理室と外部との間に設けられる原料荷受室は、
    該原料荷受室内に設けた消臭用の消臭剤噴出装置と、
    原料荷受室内の内部空気を吸引する吸引ファンと、
    前記前処理室側及び外部側に各々設けられる開閉シャッタと、
    原料運搬車両により原料を荷受けする際、外部側シャッタを開閉して原料運搬車両を進入させると共に、消臭剤噴出装置及び吸引ファンを作動させ、その後、前処理室側シャッタを開放して原料運搬車両から原料の荷降しを行い、荷降しが終了すると、前処理室側シャッタを閉鎖して消臭剤噴出装置及び吸引ファンを作動させ、その後、外部側シャッタを開放させて原料運搬車両を退出させる荷受室制御装置と、
    を備えたことを特徴とする堆肥化処理施設。
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