以下、本発明に係る撮像装置の第1の実施形態について説明する。図1は、撮像装置の第1の実施形態の構成を示す正面図、図2は、撮像装置の構成を示す背面図、図3は、撮像装置の内部構成を示す図である。なお、図1〜図3において、同一の部材等については、同一の符号を付している。
図1,図2に示すように、本実施形態に係る撮像装置1は、箱形の装置本体1Aに交換レンズ(レンズユニット)2が交換可能(着脱可能)に取り付けられる一眼レフレックスタイプのカメラである。
撮像装置1は、装置本体1Aの前面略中央に取り付けられる交換レンズ2と、上面適所に配設された第1モード設定ダイヤル3と、上方角部に配設されたシャッターボタン4と、背面に配設されたLCD(Liquid Crystal Display)5と、LCD5の下方に配設された設定ボタン群6と、LCD5の側方に配設された方向キー7と、方向キー7の内側に配設されたプッシュボタン8と、LCD5の上方に配設された光学ファインダー9と、光学ファインダー9の側方に配設されたメインスイッチ10と、メインスイッチ10の近傍に配設された第2モード設定ダイヤル11と、光学ファインダー9の上方に配設された接続端子部12とを備えている。
交換レンズ2は、レンズを鏡胴内において図1の紙面に垂直な方向に複数配置して構成されている。交換レンズ2に内蔵されるレンズとして、変倍を行うズームレンズ13(図6参照)と、焦点の調節を行うためのフォーカスレンズ14(図6参照)とが備えられており、それぞれ光軸方向に駆動されることで、変倍や焦点調節が行われる。
交換レンズ2には、その鏡胴の外周適所に該鏡胴の外周面に沿って回転可能な図略の操作環が備えられており、ズームレンズ13は、前記操作環の回転方向及び回転量に応じて光軸方向に移動し、その移動先の位置に応じたズーム倍率(撮影倍率)に設定される手動式のズームレンズである。なお、交換レンズ2は、図略の取外しボタンを押圧操作することで、装置本体1Aから取り外すことができる。
第1モード設定ダイヤル3は、撮像装置1の上面と略平行な面上で回動可能な略円盤状の部材であり、静止画や動画を撮影する撮影モードや記録済みの画像を再生する再生モード等、撮像装置1に搭載されたモードや機能を択一的に選択するためのものである。図示はしないが、第1モード設定ダイヤル3の上面には、各機能を示すキャラクターがそれぞれその外周縁に沿って所定の間隔で表記されていて、装置本体1A側の適所に設けられた指標と対向する位置にセットされたキャラクターに対応する機能が実行される。
シャッターボタン4は、途中まで押し込む半押し操作と完全に押し切る全押し操作との2段階で押圧操作されるボタンであり、主に後述する撮像ユニット19(図3、図4、図6参照)による露光動作のタイミングを指示するためのものである。シャッターボタン4の半押し操作が行われることで、露出制御値(シャッタースピード及び絞り値)等の設定が行われる撮像待機状態に設定され、全押し操作が行われることで、後述する外部記憶部66(図6参照)に記録する被写体の画像を生成するための撮像ユニット19による露光動作が開始される。
シャッターボタン4の半押し操作は、図略のスイッチS1がオンされることにより検出され、シャッターボタン4の全押し操作は、図略のスイッチS2がオンされることにより検出される。
LCD5は、カラー液晶パネルを備えてなり、撮像ユニット19により撮像された画像の表示や記録済みの画像の再生表示等を行うとともに、撮像装置1に搭載される機能やモードの設定画面を表示するものである。設定ボタン群6は、撮像装置1に搭載された各種の機能に対する操作を行うボタンである。
方向キー7は、円周方向に一定間隔で配置された複数の押圧部(図中の三角印の部分)を備える環状の部材を有し、各押圧部に対応して備えられた図略の接点(スイッチ)により押圧部の押圧操作が検出されるように構成されている。また、プッシュボタン8は、方向キー7の中央に配置されている。方向キー7及びプッシュボタン8は、LCD5に再生する記録画像のコマ送り、及び撮影条件(絞り値、シャッタースピード、フラッシュ発光の有無等)の設定等の指示を入力するためのものである。
光学ファインダー9は、被写体が撮影される範囲を光学的に表示するものである。メインスイッチ10は、左右にスライドする2接点のスライドスイッチからなり、左にセットすると撮像装置1の主電源がオンされ、右にセットすると主電源がオフされる。
第2モード設定ダイヤル11は、第1モード設定ダイヤル3と同様の機械的構成を有し、撮像装置1に搭載された各種の機能に対する操作を行うものである。接続端子部12は、図略のフラッシュ等の外部装置を当該撮像装置1と接続するための端子である。
図3に示すように、装置本体1Aの内部には、光学ファインダー9と、AF駆動ユニット15と、撮像ユニット19と、シャッターユニット40と、ミラーボックス41と、AFモジュール46と、全体制御部50とが備えられている。
AF駆動ユニット15は、AFアクチュエータ16と、エンコーダ17と、出力軸18とを備えてなる。AFアクチュエータ16は、駆動源を発生するDCモータ、ステッピングモータ、超音波モータ等のモータ及びモータの回転数を減速するための図略の減速系を含むものである。
エンコーダ17は、詳細には説明しないが、AFアクチュエータ16から出力軸18に伝達される回転量を検出するものであり、検出した回転量は、交換レンズ2内の撮影光学系51の位置算出に用いられる。出力軸18は、AFアクチュエータ16から出力される駆動力を交換レンズ2内の後述するレンズ駆動機構53に伝達するものである。
図4(a)は、撮像ユニット19の構造を示す側面図、図4(b)は、撮像ユニット19の一部の部材の構造に係る正面図、図4(c)は、同じく撮像ユニット19の一部の部材の構造に係る平面図、図4(d)は、図4(a)の下側からみた撮像ユニット19の底面図である。
撮像ユニット19は、装置本体1Aの背面側の領域において該背面に沿って基板20上に設置されており、図4に示すように、放熱板21と、撮像素子22と、平行平面板23(光学部材の一例)と、密閉部材24と、カバー部材25と、圧電素子26(駆動素子の一例)と、板バネ27(付勢部材の一例)とを備えて構成されている。
放熱板21は、基板20の前面側に設置されており、ペルチェ素子を備えて構成され、撮像素子22で発生した熱を放出する。撮像ユニット19における放熱板21以外の部材は、この放熱板21上に設置されている。
撮像素子22は、例えばフォトダイオード等で構成される複数の光電変換素子がマトリックス状に2次元配列され、各光電変換素子の受光面に、それぞれ分光特性の異なる例えばR(赤),G(緑),B(青)のカラーフィルタが1:2:1の比率で配設されてなるベイヤー配列のCMOS(Complementary Metal-Oxide Semiconductor)カラーエリアセンサである。撮像素子22は、直方平板形状を有し、その受光面が撮影光学系51(図3参照)の光軸に直交する平面と略平行となるように放熱板21上に設置され、撮影光学系51により結像された被写体の光像をR(赤),G(緑),B(青)各色成分のアナログの電気信号(画像信号)に変換し、R,G,B各色の画像信号として出力する。
平行平面板23は、例えば、所定の結晶軸方向が調整された水晶等を材料とする複屈折型ローパスフィルターや、必要とされる光学的な遮断周波数特性を回折効果により実現する位相型ローパスフィルター等からなる光学的ローパスフィルターを備えてなり、撮像素子22に導く光学像のうち所定の高周波成分をカットするものである。
平行平面板23は、直方平板形状を有し、光学面23a,23bが前記撮像素子22の撮像面22aと略平行となるように、前記撮像素子22のうち撮像面側に後述の密閉部材24を介して設置されている。なお、平行平面板23は、光学的ローパスフィルターに代えて又はそれに加えて、撮像素子22の画像信号に含まれるノイズを低減するために赤外線カットフィルター等を搭載する形態であってもよい。
本実施形態の撮像装置1は、装置本体1Aに対して交換レンズ2が交換可能であり、例えばその交換レンズ2の着脱時に、装置本体1Aの内部に塵埃が侵入する場合がある。この塵埃としては、例えば、地面からの土ほこり、工場における燃焼対象の燃焼による燃焼灰、自動車等からの排気ガスに含有している燃焼灰、衣服等から発生する繊維状の綿ほこり等がある。
平行平面板23は、撮影光学系51と撮像素子22との間の光路上に配置されているため、交換レンズ2の着脱時に装置本体1Aの内部に侵入してきた塵埃がこの平行平面板23の表面に付着すると、撮影画像にその塵埃の陰影が映し出されることとなり、撮影画像の品質低下を招来することとなる。
そこで、本実施形態では、平行平面板23の表面への塵埃の付着を抑制又は防止すべく、平行平面板23の表面に、静電気力の発生を低減する酸化インジウム錫(ITO)などの導電性コーティング層や、フッ素樹脂やシリコン樹脂などの透明の塵埃付着防止用コーティング層を形成し、平行平面板23の表面への塵埃の付着力が小さくなるようにしている。
密閉部材24は、前記撮像素子22と平行平面板23との間に介設され、前記撮像素子22と平行平面板23とを一定の距離だけ離間させるスペーサとして機能するものであり、中空の四角形状を有する部材である。また、密閉部材24は、前記撮像素子22に対してその撮像領域の周期で密着するとともに、平行平面板23の一方(内側)の光学面における外周部分に密着し、これにより、撮像素子22の撮像領域を密閉する密閉空間Sが形成されている。密閉部材24は、この密閉空間Sを形成する密閉構造の構成要素としての機能も有しており、前記密閉構造により前記撮像素子22の撮像領域への塵埃の侵入が防止される。
密閉部材24は、弾力性を有する材質で構成されているため、後述するように圧電素子26が振動した場合でも、平行平面板23に密着し、平行平面板23と密閉部材24との間に間隙がほとんど発生しないように構成されている。これにより、密閉空間S内に塵埃が侵入するのを防止することができる。
カバー部材25は、前記撮像素子22、平行平面板23及び密閉部材24で構成されるユニットを覆ってこれらの部材を保護するように構成された部材であり、放熱板21から直立する直立部25aと、該直立部25aから前記平行平面板23に向かって該平行平面板23の板面に略平行に延びる平面部25bとを備えて構成されている。
圧電素子26は、セラミックなどから構成される圧電板を積層してなる例えば積層型圧電素子からなり、印加される電圧に応じて伸縮するものである。圧電素子26の電極部には、図略の駆動回路部からの信号線が接続されており、該駆動回路部から出力される駆動信号に応じて圧電素子26が充電又は放電(逆方向充電)されることで、圧電素子26による当該伸縮においては、高速伸長と低速縮小とが、若しくは低速伸長と高速縮小とが交互に繰り返される。
圧電素子26は、平行平面板23の表面に設置されており、特に、本実施形態では、平行平面板23の表面のうち、前記密閉空間Sを構成する内壁面と、密閉部材24との接触面とを除く外表面に設置されている。
また、図4(a)の下側に位置する側壁部23cの一部位(前記外周端部における一部位に相当)において、2つの伝達ブロック28が所定の距離だけ離間して固着されているとともに、圧電素子26は、圧電板の積層方向(分極方向)が該側壁部23cの壁面と略平行となるように前記伝達ブロック28間に設置されている。そして、伝達ブロック28が、駆動力が付与される作用点となり、圧電素子26の伸縮動作を駆動力として平行平面板23に伝達するように構成されている。この構成により、圧電素子26の駆動力(変位力)を効率よく前記平行平面板23に伝達することができる。なお、圧電素子26を構成する圧電板は、前記側壁部23cに非接触とされている。
そして、駆動回路部から出力される駆動信号に応じて圧電素子26が充電又は放電されることで前記圧電素子26が高速伸縮を繰り返すと、図4(b)及び図5に示すように、平行平面板23には、その幅方向(圧電素子26の分極方向に平行な方向)における所定の位置P1,P2を節として、前記幅方向における中央部分が下側に湾曲する湾曲状態(図5の実線で示す状態)と、前記中央部分が上側に湾曲する湾曲状態(図5の点線で示す状態)とを高周波で繰り返す振動が発生する。
なお、平行平面板23の厚み方向に着目したとき、前記節の位置P1,P2は、その厚み方向における中央部分となる。ここで、節の位置P1,P2では、基本的に変位は発生しないが、平行平面板23は所定の厚みを有するため、平行平面板23の幅方向において節の位置P1,P2と同一位置となる表面上の部位では、それ以外の部位における変位量に比して小さいものの所定の変位は発生する。したがって、節の位置P1,P2に対応する表面上の位置に付着した塵埃も除去することができる。
圧電素子26の図略の電極部は、前記基板20に配設された後述の全体制御部50(図6参照)と図略の信号線で接続されており、該信号線を介して全体制御部50から前記駆動パルスが印加される。圧電素子26は、前述の特性を用いて平行平面板23に急速な変位(振動)を与えることにより、平行平面板23に前記塵埃付着防止用コーティング層を形成してもなお該平行平面板23の表面に付着している塵埃を平行平面板23の表面から落下させる。
すなわち、一般に、粉体粒子(サイズの小さい塵埃)の付着は、静電気力、分子間力、液架橋力等により発生するといわれており、その粒子のサイズが小さくなると、該粒子の質量に対する表面積の比が大きくなり、また、前述の静電気力等はこの表面積に比例することから、サイズの小さい塵埃は平行平面板23に付着しやすい。
そして、平行平面板23に急速な変位を付与すると、該平行平面板23に付着していた塵埃には現状の位置に留まろうとする慣性力が作用する。この慣性力の大きさは、粒子の質量と加速度に比例するから、塵埃に作用する慣性力が前記付着力より大きくなるような加速度の変位(振動)を平行平面板23に与えることで、該塵埃を落下させることができる。
板バネ27は、平行平面板23を撮像素子22側へ押し付ける(付勢する)ための部材であり、本実施形態では、前記圧電素子26が設置されている前記側壁部23cと対向する(前記側壁部23cと反対側の)側壁部23d側に取り付けられている。
板バネ27は、カバー部材25の平面部25bに密着する長尺平板状の第1部位27aと、該第1部位27aの一端部から該部位27aに略直交する方向に延びる第2部位27bと、該第2部位27bのうち第1部位27aと反対側に位置する端部から、第1部位27aと反対側に且つ該部位27aに略平行に延びる第3部位27cとを備えて構成されている。
第3部位27cは、前記平行平面板23に対向する部位であり、平行平面板23に対向する面には、突起27c1,27c2が形成されている。突起27c1,27c2は、前記節の位置P1,P2間の離間距離と略同一の距離を介してそれぞれ形成されており、平行平面板23に発生する振動の減衰を抑制するべく、板バネ27が平行平面板23に該突起27c1,27c2のみで前記節の位置P1,P2に接触するように形成されたものである。
この板バネ27の作用により、平行平面板23を密閉部材24に押し付けて前記密閉空間Sに塵埃が侵入するのをより確実に防止するとともに、平行平面板23の振動をできるだけ減衰することなく、高い伝達効率で圧電素子26の伸縮動作を駆動力として平行平面板23に伝達することができる。
なお、平行平面板23の固有振動周波数と、圧電素子26に印加する駆動信号の周波数とを一致させて共振を利用すると、平行平面板23の大きな振動振幅が得られ、塵埃の高い除去能力を確保することができる。
図3に戻り、シャッターユニット40は、フォーカルプレーンシャッター(以下、単にシャッターという)を有してなり、ミラーボックス41の背面と撮像ユニット19との間に配設されている。
光学ファインダー9は、装置本体1Aの略中央に配設されたミラーボックス41の上部に配設されており、焦点板42と、プリズム43と、接眼レンズ44と、ファインダー表示素子45とを備えて構成されている。プリズム43は、焦点板42上の像の左右を反転させ接眼レンズ44を介して撮影者の眼に導き、被写体像を視認できるようにするものである。ファインダー表示素子45は、ファインダー視野枠9a内(図2参照)に形成される表示画面の下部に、シャッター速度、絞り値、露出補正値等を表示する。
AFモジュール46は、ミラーボックス41の底部に配設されており、周知技術である位相差検出方式により合焦位置を検出するものである。ミラーボックス41は、クイックリターンミラー47とサブミラー48とを備えて構成されている。クイックリターンミラー47は、回動支点49を中心として、図3の実線で示すように、撮影光学系51の光軸Lに対して略45度傾斜した姿勢(以下、傾斜姿勢という)と、図3の仮想線で示すように、装置本体1Aの底面と略平行な姿勢(以下、水平姿勢という)との間で回動自在に構成されている。
サブミラー48は、クイックリターンミラー47の背面側(撮像ユニット19側)に配設されており、図3の実線で示すように、傾斜姿勢にあるクイックリターンミラー47に対して略90度傾斜した姿勢(以下、傾斜姿勢という)と、図3の仮想線で示すように、水平姿勢にあるクイックリターンミラー47と略平行な姿勢(以下、水平姿勢という)との間で、クイックリターンミラー47に連動して変位可能に構成されている。クイックリターンミラー47及びサブミラー48は、後述のミラー駆動機構59(図6参照)により駆動される。
シャッターボタン4の全押し操作が行われるまでの期間、クイックリターンミラー47及びサブミラー48が傾斜姿勢となり、クイックリターンミラー47は、撮影光学系51による光束の大部分を焦点板42の方向に反射するとともに残りの光束を透過させ、また、サブミラー48は、クイックリターンミラー47を透過した光束をAFモジュール46に導く。このとき、光学ファインダー9による被写体像の表示とAFモジュール46による位相差検出方式の焦点調節動作とが行われる一方、撮像ユニット19には光束が導かれないため、LCD5による被写体の画像の表示は行われない。
一方、シャッターボタン4が全押しされたとき(記録用画像の撮像中)には、クイックリターンミラー47及びサブミラー48が水平姿勢となり、クイックリターンミラー47及びサブミラー48は光軸Lから退避するため、撮影光学系51を透過した光束は略全て撮像ユニット19に導かれる。このとき、LCD5による被写体の画像表示が行われる一方、光学ファインダー9による被写体の画像表示やAFモジュール46による位相差検出方式の焦点調節動作は行われない。
全体制御部50は、例えば制御プログラムを記憶するROMや一時的にデータを記憶するフラッシュメモリ等の後述する図略の記憶部が内蔵されたマイクロコンピュータからなるものであり、詳細な機能については後述する。
交換レンズ2は、撮影光学系51と、鏡胴52と、レンズ駆動機構53と、レンズエンコーダ54と、記憶部55とを備える。
撮影光学系51は、前記ズームレンズ13(図6参照)、フォーカスレンズ14(図6参照)、装置本体1Aに備えられる後述の撮像ユニット19等へ入射される光量を調節するための絞り56が、鏡胴52内において光軸L方向に保持されてなり、被写体の光像を取り込んで該光像を撮像ユニット19等に結像するものである。焦点調節動作は、撮影光学系51が装置本体1A内のAFアクチュエータ16により光軸L方向に駆動されることで行われる。
レンズ駆動機構53は、例えばヘリコイド及びヘリコイドを回転させる図略のギヤ等で構成され、カプラー57を介してAFアクチュエータ16からの駆動力を受けて、撮影光学系51を一体的に光軸Lと平行な矢印A方向に移動させるものである。撮影光学系51の移動方向及び移動量は、それぞれAFアクチュエータ16の回転方向及び回転数に従う。
レンズエンコーダ54は、撮影光学系51の移動範囲内において光軸L方向に複数個のコードパターンが所定ピッチで形成されたエンコード板と、このエンコード板に摺接しながら鏡胴52と一体的に移動する図略のエンコーダブラシとを備えてなり、撮影光学系51の焦点調節時の移動量を検出するためのものである。
記憶部55は、当該交換レンズ2が装置本体1Aに装着され、装置本体1A内の全体制御部50からデータの要求があった場合に、該装置本体1A内の全体制御部50に記憶内容を提供するものである。記憶部55は、レンズエンコーダ54から出力される撮影光学系51の移動量の情報や絞り56の現在の開口径等を記憶する。
次に、本実施形態に係る撮像装置1の電気的な構成について説明する。図6は、装置本体1Aに交換レンズ2が装着された状態での撮像装置1全体の電気的な構成を示すブロック図である。また、図1〜図5と同一の部材等については、同一の符号を付している。また、図6の点線は、交換レンズ2内に搭載される部材等であることを示している。
図6に示すように、撮影光学系51は、図3に示す撮影光学系51に相当するものであり、前述のズームレンズ13及びフォーカスレンズ14を鏡胴52内に備えてなる。AFアクチュエータ16、出力軸18、レンズ駆動機構53及びレンズエンコーダ54は、それぞれ図3に示すAFアクチュエータ16、出力軸18、レンズ駆動機構53及びレンズエンコーダ54に相当するものである。記憶部55は、図3に示す記憶部55に相当するものである。ミラーユニット58は、クイックリターンミラー47及びサブミラー48を備え、AFモジュール46は、図3に示すAFモジュール46に相当するものである。
撮像ユニット19は、図3,4に示す撮像ユニット19に相当するものであり、後述のタイミング制御回路62により、撮像素子22の露出動作の開始及び終了や、撮像素子22における各画素の出力信号の読出し(水平同期、垂直同期、転送)等の撮像動作が制御される。
ミラー駆動機構59は、クイックリターンミラー47やサブミラー48を傾斜姿勢と水平姿勢との間で駆動するものであり、その動作は、全体制御部50により制御される。
信号処理部60は、撮像ユニット19から出力されるアナログの画像信号に所定のアナログ信号処理を施すものである。信号処理部60は、CDS(相関二重サンプリング)回路とAGC(オートゲインコントロール)回路とを有し、CDS回路により画像信号のノイズの低減を行い、AGC回路により画像信号のレベル調整を行う。
A/D変換部61は、信号処理部60により出力されたアナログのR,G,Bの画素信号を、複数のビット(例えば10ビット)からなるデジタルの画素信号にそれぞれ変換するものである。以下、このA/D変換部61によるA/D変換処理後の画素信号を、アナログの画素信号と区別するため、画素データというものとする。
タイミング制御回路62は、全体制御部50から出力される基準クロックCLK0に基づいてクロックCLK1,CLK2を生成し、クロックCLK1を撮像ユニット19に、また、クロックCLK2をA/D変換部61にそれぞれ出力することにより、撮像ユニット19及びA/D変換部61の動作を制御する。
画像メモリ63は、撮影モード時には、画像処理部64から出力される画像データを一時的に記憶し、この画像データに対し全体制御部50により各種の処理を行うための作業領域として用いられるとともに、再生モード時には、全体制御部50が後述の外部記憶部66から読み出した画像データが一時的に記憶されるメモリである。
画像処理部64は、A/D変換部61の出力データに対し、黒レベルを基準の黒レベルに補正する処理、光源に応じた白の基準に基づいて、R(赤),G(緑),B(青)の各色成分の画素データのレベル変換を行うホワイトバランス処理、R(赤),G(緑),B(青)の各色の画素データのγ特性を補正するγ補正処理等を行うものである。
VRAM65は、LCD5の画素数に対応した画像信号の記録容量を有し、LCD5に再生表示される画像を構成する画素信号のバッファメモリである。LCD5は、図2に示すLCD5に相当するものである。外部記憶部66は、半導体記憶素子からなるメモリカードやハードディスクなどからなり、全体制御部50で生成された画像を保存するものである。
入力操作部67は、前述の第1モード設定ダイヤル3、シャッターボタン4、設定ボタン群6、方向キー7、プッシュボタン8、メインスイッチ10及び第2モード設定ダイヤル11等を含み、操作情報を全体制御部50に入力するためのものである。
本実施形態の撮像装置1は、前述したように、平行平面板23に付着した塵埃を除去する機能に加えて、平行平面板23上の塵埃の有無を検出する機能を備えており、その機能を実現するための構成として、以下に説明する補助光照射部69が備えられている。図7は、補助光照射部69の構成を示す斜視図である。
図7に示すように、補助光照射部69は、ミラーボックス41の下方に配設された、例えばLED(Light Emitting Diode)等からなる発光部70と、該発光部70とクイックリターンミラー47との間に配設され、該発光部70からの光を拡散させるレンズ71と、クイックリターンミラー47の背面(図3の矢印Sで示す面)に設けられた小ミラー72とを備えて構成されている。発光部70により出力された光は前記レンズ71により拡散され、その拡散された光が小ミラー72により撮像素子22に向けて反射されて、その反射光が撮像素子22の受光面に導かれる。
発光部70は、その大きさが十分に小さく点光源とみなせるものであり、クイックリターンミラー47が傾斜姿勢となったときに(記録用撮像動作を行う期間以外のときに)、その発光部70からの光が撮像素子22の受光面(撮像面)全体に照射されるように、発光部70、レンズ71及び小ミラー72の配置位置が設定されている。なお、発光部70から出力される光の光量は、後述する塵埃検出時において行われる撮像素子22の撮像動作で得られる画像が白飛び(輝度が大き過ぎて画像が白くなる現象)しない程度に設定されているとともに、その分光分布は略白色に設定されている。なお、小ミラー72は、撮影光学系51からクイックリターンミラー47を介して導かれた光については、サブミラー48に向けて透過させるようになっている。
図6に戻り、全体制御部50は、図3に示す撮像装置1内の各部材の駆動を関連付けて撮影動作や再生動作の制御を行うものである。また、全体制御部50は、塵埃の検出及び除去動作に関連して、機能的に、光透過率算出部73及び塵埃除去制御部74を備えている。
ところで、前述した塵埃の中には、その種類や付着量によっては、撮影光学系51から導かれた被写体光を完全に遮断する(光の透過率が0%)場合も考えられるが、一般的には、若干の光が該塵埃を透過することから、撮影画像に生じた塵埃像は、撮影光学系51から導かれた光が該塵埃の存在によって減衰してなる像と考えることができる。本実施形態では、検出及び除去対象の塵埃は、該撮像素子22の受光面への光を完全に遮断するものではなく、一部の光を透過するものであるという前提で説明することとする。
光透過率算出部73は、撮像ユニット19(平行平面板23)への入射光の光量をその受光面全体に対して均一にした状態において、各画素への実際の入射光量が、塵埃の影響を受けていない場合の光量に対してどれだけの割合であるか、換言すれば、前記の状態において、撮像素子22の各画素によりそれぞれ撮像された各画像の画素値の、塵埃の影響を受けていない場合の画素値に対する割合を各画素の位置についてそれぞれ算出するものである。以下、この割合を光透過率という。
すなわち、光透過率算出部73は、撮像装置1の出荷時等(塵埃が平行平面板23にほとんど付着していないと考えられるとき)に、外光を遮断した状態で、補助光照射部69の発光部70を点灯し、このときの各画素の画素値(以下、基準画素値という)を記憶する。その後、光透過率算出部73は、撮像装置1の主電源が投入されると発光部70を点灯し、撮像素子22に1回だけ撮像動作を行わせて各画素の画素値を得る。そして、光透過率算出部73は、各画素の画素値を当該画素の前記基準画素値で除算し、この除算値を百分率に変換して光透過率を算出する。
塵埃除去制御部74は、光透過率算出部73により算出された光透過率について、所定の閾値以下の光透過率を有する画素が所定数以上存在した場合に、平行平面板23に付着した塵埃を除去するべく、圧電素子26の動作を制御するものである。
すなわち、塵埃除去制御部74は、前述したように、圧電素子26にパルス状の駆動信号を出力することにより、平行平面板23の急速な変位を生じさせ、これにより、平行平面板23上の塵埃を落下させる。
なお、一般に、灰色などの均一な被写体の画像を撮像した場合に、ムラとして検知できる画素値の低下度合いは、3〜5%程度と言われている、すなわち、画素の画素値が他の画素値より約3〜5%低いとき、その画素により撮像された画像は人間の眼でムラとして視認されることから、塵埃除去制御部74による塵埃除去処理の要否判断に用いる前記光透過率についての前記閾値は、塵埃像を受光していない画素の画素値に対して95〜97%の画素値の範囲内で設定するとよい。
また、塵埃除去制御部74による塵埃除去処理は、光透過率が前記閾値以下の画素が1つでも存在した場合に実行するようにしてもよい。さらに、平行平面板23の急速な変位を生じさせる時間は、適宜設定するとよい。
以下、本実施形態の塵埃除去処理について説明を行う。図8は、全体制御部50により行われる塵埃除去処理を示すフローチャートである。
図8に示すように、撮像装置1の主電源が投入されると(ステップ♯1でYES)、全体制御部50は、平行平面板23に塵埃が付着しているか否かを検出する処理を実行し(ステップ♯2)、塵埃を検出しなかった場合には(ステップ♯3でNO)、撮影を許可する(ステップ♯4)。
一方、全体制御部50は、塵埃を検出した場合には(ステップ♯3でYES)、光透過率算出部73により算出された各画素の光透過率が前記閾値以下となるか否かを判断し(ステップ♯5)、光透過率が前記閾値以下となる画素が所定数以上存在しない場合には(ステップ♯5でNO)、撮影画像の画質に与える影響が小さいものと判断して、塵埃除去動作を行うことなく撮影を許可する(ステップ♯4)。
一方、ステップ♯5において、光透過率が前記閾値以下となる画素が所定数以上存在した場合には(ステップ♯5でYES)、全体制御部50は、圧電素子26を用いて、平行平面板23から塵埃を除去する処理を実行する(ステップ♯6)。そして、全体制御部50は、塵埃の除去動作回数が所定回数に達したか否かを判断し(ステップ♯7)、前記除去動作回数が前記所定回数に達していない場合には(ステップ♯7でNO)、ステップ♯2〜♯7の処理を繰り返し実行する。また、全体制御部50は、前記除去動作回数が前記所定回数に達した場合には(ステップ♯7でYES)、例えばLCD5に「装置内にゴミが存在します。装置内の清掃を行ってください。」とか「装置内のゴミにより撮影画像の画質が劣化します。」等の警告表示を行う(ステップ♯8)。
以上のように、基板20上に設置された撮像素子22の撮像領域を、平行平面板23及び密閉部材24で密閉する密閉空間Sを構成し、平行平面板23のうち、前記密閉空間Sを構成する内壁面と、密閉部材24との接触面とを除く外表面に圧電素子26を設置するようにしたので、従来のように、圧電素子26の表面に塵埃が付着している場合や、圧電素子26自身から塵埃が発生した場合であっても、該塵埃が密閉空間S内に侵入し、撮像素子22の撮像領域や平行平面板23の内側の光学面23bに塵埃が付着するのを防止することができる。その結果、前記塵埃による撮影画像の品質の低下を防止又は抑制することができる。
また、圧電素子26が所定の部材で挟み込まれる構造ではないため、圧電素子26の振動が大きく阻害(減衰)されるという問題も回避することができる。
さらに、圧電素子26を密閉構造の一部として利用するものではないため、従来のように矩形状の撮像素子22を囲むことができるような円環状の圧電素子26を採用する必要はなくなり、従来に比して小型の圧電素子を採用することができる。
すなわち、円環状の圧電素子を密閉構造の一部として利用する従来の構成では、図9(a)に示すように、該圧電素子と撮像素子との間に無駄なスペースXが生じていた。これに対し、本実施形態では、圧電素子26を平行平面板23の側壁部23cに設置するとともに、前記平行平面板23、密閉部材24及び圧電素子26は、撮像素子22の撮像面の面方向において該撮像面から逸脱しないようオーバーラップさせて配置されるため、図9(b)に示すように、カバー部材25を撮像素子22から大きな間隙を設けることなく該撮像素子22の周縁部に略沿って形成することができる。その結果、平行平面板23に振動を発生させる構造を撮像素子22の撮像面の面方向において従来より小型化することができる(L2<L1)。
なお、本発明は、前記実施形態に加えて、あるいは前記実施形態に代えて次の形態[1]〜[2]に説明する変形形態も採用可能である。
[1]前記第1の実施形態では、平行平面板23の側壁部23c(図4参照)に設置する圧電素子として、平行平面板23の幅方向と略同一長さを有する1の圧電素子26を採用したが、これに限らず、図10(a)に示すように、平行平面板23の側壁部23cにおいて、前記圧電素子26より短尺の2の圧電素子26’を伝達ブロック28を用いて平行平面板23の幅方向に並べて設置してもよいし、図10(b)に示すように、図10(a)に示す構成に対して一方の圧電素子26’の設置を省略した構成であってもよい。
前記側壁部23cに2の圧電素子26’を平行平面板23の幅方向に並べて設置する図10(a)の形態の場合には、各圧電素子26’の長さ方向における中心位置が前記振動の節の位置P1,P2に略一致するように設置するとよい。また、一方の圧電素子26’を縮小させるときには他方の圧電素子26’も縮小させ、一方の圧電素子26’を伸張させるときには他方の圧電素子26’も伸張させるというように、両圧電素子26’の振動を同期させて駆動するとよい。
なお、図10(a),(b)では、圧電素子26’の積層方向(伸縮方向)と平行平面板23の幅方向とが平行でない形態を示しているが、これらが平行となる形態も採用可能である。
また、図10(a),(b)に示す形態とは別に、図11〜図14に示す形態も本発明に含まれる。
図11に示す形態は、平行平面板23の形状と圧電素子26の設置場所が前記第1の実施形態と異なるものであり、本実施形態の平行平面板23’は、第1の実施形態における平行平面板23に対して、一端部(図11では下端部)に前記光学面23aと平行な段差を形成し、この段差により形成される圧電素子取付面23dが平行平面板23の幅方向に亘って形成されている点が異なる。そして、圧電素子26は、この圧電素子取付面23dに、圧電素子26の積層方向(伸縮方向)と平行平面板23の幅方向とが略平行な状態で設置されている。
なお、平行平面板23がLPFである場合、複数のフィルタが積層された構造を有することから、圧電素子取付面23dは、それらのフィルタのうち一部のフィルタを拡大することで構成することができる。
図12に示す形態は、第1の実施形態に対して、一部位(図12では下側の部位)が延設された平行平面板23’が採用されており、該平行平面板23’の光学面23aのうち被写体光の透過領域外の領域(撮像素子22に導くべき光を阻害しない領域)において、圧電素子26の積層方向(伸縮方向)と平行平面板23の幅方向とが略平行な状態で設置された形態である。
図13、図14に示す形態は、図12に示す形態における平行平面板23’についてさらに前記一部位(図13では下側の部位)が延設された平行平面板23”が採用されており、この平行平面板23”の光学面23bに圧電素子26を設置した形態である。
図13では、圧電素子26が、前記光学面23bのうち撮像素子22との当接を回避した位置に、圧電素子26の積層方向(伸縮方向)と平行平面板23の幅方向とが略平行な状態で設置され(図13(b)参照)、図14では、圧電素子26が、前記光学面23bのうち撮像素子22との当接を回避した位置に、圧電素子26の積層方向(伸縮方向)と平行平面板23の幅方向とが略直交する状態で設置されている(図14(a)参照)。
なお、図14に示す形態では、図14(b)に示すように、平行平面板23の幅方向に所定の距離を介して複数の圧電素子26が設置されており、各圧電素子26の端部のうち平行平面板23と反対側の端部は、伝達ブロック28’により固定されている。
以上の各実施形態は、基板100上に設置された撮像素子103の撮像領域を所定の部材101と光学部材102とで密閉する密閉構造を構成し、圧電素子等の駆動素子104を、前記光学部材102の表面のうち、前記密閉構造により形成される密閉空間S外の外表面、換言すれば、所定の部材101と光学部材102との密着面と、前記密閉空間Sを構成する内壁面とを除く表面(図15の太線で示す面X1,X2,X3)のいずれかの一部位に設置するという基本的な技術思想を応用して構成されたものである。
したがって、図16に示すように、前記所定の部材101が、前記光学部材102と密着する部位に切欠き101a’を有する場合には、前記光学部材102の表面のうち、前記切欠き101a’を構成する面に対向する部位(図16の太線で示す部位)X4に圧電素子等の駆動素子104を設置する形態も本件に含まれる。なお、図15に示す構成においては、基板100も密閉部材として機能するものである。
[2]前記実施形態では、駆動素子の一例として圧電素子を採用したが、前述のような振動を平行平面板に発生させるものであれば、前記圧電素子に限らず、静電気力や電磁力を用いて構成されるものも採用可能である。