JP4785814B2 - 累進屈折力レンズの製造方法 - Google Patents

累進屈折力レンズの製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP4785814B2
JP4785814B2 JP2007271949A JP2007271949A JP4785814B2 JP 4785814 B2 JP4785814 B2 JP 4785814B2 JP 2007271949 A JP2007271949 A JP 2007271949A JP 2007271949 A JP2007271949 A JP 2007271949A JP 4785814 B2 JP4785814 B2 JP 4785814B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
lens
value
progressive
spectacle
distance
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2007271949A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2008070894A (ja
Inventor
哲馬 山梶
隆志 畑中
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Hoya Corp
Original Assignee
Hoya Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Hoya Corp filed Critical Hoya Corp
Priority to JP2007271949A priority Critical patent/JP4785814B2/ja
Publication of JP2008070894A publication Critical patent/JP2008070894A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4785814B2 publication Critical patent/JP4785814B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Images

Description

本発明は、眼球回旋中心と眼鏡レンズとの距離を眼鏡装用者個別に考慮して設計製造した眼鏡レンズ及びその製造方法に関する。
眼鏡レンズは、単焦点レンズ、多焦点レンズ(累進多焦点レンズも含む)等異なる光学特性を備えているにもかかわらず一定の平均的使用条件に基づき設計されるのが一般的であるが、個々の使用条件を考慮した例としては、特開平6ー18823号公報に開示の方法が知られている。該公報には、個々の使用条件を考慮した累進多焦点レンズが提案されており、処方面に点対称及び軸対象性を伴わない非球面を使用することが開示されている。なお、ここでいう使用条件とは、眼鏡レンズの裏面(目側の面)と角膜頂点との距離やフレームの傾き等であり、これらの情報をレンズ設計に使用して処方面の最適化をはかろうとするものである。
しかしながら、前記公報に開示の手法は、遠用部と近用部とその中間部とを有し、遠用及び近用の両方の処方面を有する累進多焦点レンズにおける最適化を目的とするものであり、特に累進多焦点レンズのような老視眼における近用の調節力を補う処方を有する眼鏡レンズの場合での使用条件の重要性を考慮したものである。即ち、累進多焦点レンズは補正処方の条件を決定する一因である近業目的距離の正確な調整が特に必要とされるからである。従って、この公報開示の手法は、近用処方の正確性を強調するに留まり、球面設計のレンズや非球面単焦点レンズ、二重焦点レンズ等の場合についての眼鏡としての全般的な装用条件について言及するものではない。
本発明は、上述の背景のもとでなされたものであり、従来注目されなかった眼鏡レンズ全体における装用条件について、再度見直すとともに個々の装用条件を考慮してより最適化された処方面を有する眼鏡レンズ及びその製造方法を提供することを目的とするものである。
上述の課題を解決する手段として、第1の発明は、
眼鏡レンズ設計に必要なデータの1つである眼鏡装用時における眼鏡レンズの裏面の基準点から眼鏡装用者の眼球の角膜頂点までの距離VCの値と前記角膜頂点から眼球の回旋中心までの距離CRとを加えた、眼鏡レンズの裏面の基準点から眼球の回旋中心までの距離VRの値を、個別の眼鏡装用者に対して測定もしくは指定により決定して、その値を用いて眼鏡レンズ設計を行い、その設計仕様に基づいて製造したことを特徴とする眼鏡レンズである。
第2の発明は、
前記角膜頂点から眼球の回旋中心までの距離CRの値は、眼鏡装用者の眼軸長COを測定し、その測定データに基づいて得られる値を用いることを特徴とする第1の発明にかかる眼鏡レンズである。
第3の発明は、
前記眼球の回旋中心を、遠方視のとき、あるいは近方視のとき、あるいは特定の距離を見るとき、もしくは、それらの組み合わせの視野状態について求めておいて、レンズの光学特性に基づいて選択して使用するか、又は、眼鏡レンズの視野領域によって使い分けて使用することを特徴とする第1の発明または第2の発明のいずれかにかかる眼鏡レンズで
ある。
第4の発明は、
眼鏡レンズ情報、眼鏡枠情報及び眼鏡装用者個別のVR値の関連データを含む処方値、レイアウト情報、並びに、加工指定情報を含む情報の中から必要に応じて選択される設計及び/又は加工条件データ情報によりシミュレーションされた装用条件の光学モデルに基づき最適化されたレンズ形状を得て、加工されたことを特徴とする眼鏡レンズである。
第5の発明は、
前記VR値に基づき近方視の内寄せ量が決定されたことを特徴とする第4の発明にかかる眼鏡レンズである。
第6の発明は、
前記VR値に基づき凸面のベースカーブが決定されたことを特徴とする第4の発明にかかる眼鏡レンズである。
第7の発明は、
前記VR値に基づき予め設定された基準の処方面に対して度数誤差補正が行われたことを特徴とする第4の発明にかかる眼鏡レンズである。
第8の発明は、
眼鏡レンズの発注者側に設置された端末装置と、眼鏡レンズの加工者側に設置されているとともに前記端末装置に通信回線で接続された情報処理装置とを有し、前記発注者側の端末装置を通じて前記情報処理装置に送信される情報に基づいて眼鏡レンズを設計して製造する眼鏡レンズの製造方法において、
前記端末装置を通じて、眼鏡レンズ情報、眼鏡枠情報及び眼鏡装用者毎のVR値の関連データを含む処方値、レイアウト情報、並びに、加工指定情報を含む情報の中から必要に応じて選択される設計及び/又は加工条件データ情報を前記情報処理装置に送信し、前記情報処理装置によりシミュレーションされた装用条件の光学モデルに基づき最適化されたレンズ形状を得て、加工条件を決定し、眼鏡レンズを製造することを特徴とする眼鏡レンズの製造方法である。
第9の発明は、
眼鏡レンズの発注者側に設置された端末装置と、眼鏡レンズの加工者側に設置されているとともに前記端末装置に通信回線で接続された情報処理装置とを有し、前記発注者側の端末装置を通じて前記情報処理装置に送信される情報に基づいて眼鏡レンズを設計して製造する眼鏡レンズの製造方法において、
前記端末装置を通じて、眼鏡レンズ情報、眼鏡枠情報及び眼鏡装用者毎のVR値の関連データを含む処方値、レイアウト情報、並びに、加工指定情報を含む情報の中から必要に応じて選択される設計及び/又は加工条件データ情報を前記情報処理装置に送信し、
前記情報処理装置によりシミュレーションされた装用条件の光学モデルに基づき最適化されたレンズ形状を求めるとともに、
前記情報処理装置によって、前記眼鏡装用者毎のVR値ではなく規格化されたVR値を用いるほかは前記端末を通じて送信された設計及び/又は加工条件データを用いて規格化されたレンズ形状を求め、
前記最適化されたレンズ形状の光学特性と、前記規格化されたレンズ形状の光学特性とを比較し、その比較結果に基いて、前記いずれかのレンズ形状を選定し、その選定されたレンズ形状の加工条件を決定して眼鏡レンズを製造することを特徴とする眼鏡レンズの製造方法である。
第10の発明は、
眼鏡レンズの発注者側に設置された端末装置と、この発注側コンピュータに情報交換可能に接続された製造側コンピュータとで、互いに情報交換しながら眼鏡レンズを設計して製造する眼鏡レンズの製造方法において、
前記端末装置を通じて、眼鏡レンズ情報、眼鏡枠情報及び眼鏡装用者のVR値の関連データを含む処方値、レイアウト情報、並びに、加工指定情報を含む情報の中から必要に応じて選択される設計及び/又は加工条件データ情報を入力し、
その入力情報に基づきシミュレーションされた装用条件の光学モデルに基づき最適化されたレンズ形状を得て、加工条件を決定し、眼鏡レンズを製造することを特徴とする眼鏡レンズの製造方法である。
本発明は、眼鏡レンズ設計に必要なデータの1つである眼鏡装用時における眼鏡レンズの裏面の基準点から眼球の回旋中心までの距離VRの値として、眼鏡装用者個々人毎に求めた値を用いて眼鏡レンズ設計を行い、その設計仕様に基づいて製造することにより、より高性能な眼鏡レンズを得ることを可能にしているものである。
従来の考え方は、VR値は、標準の値を用いれば十分であり、VR値の個人差がレンズ性能に与える影響はほとんど無視できるものと考えられていた。すなわち、上述の特開平6−018823号公報に示すように、従来の技術では、眼球回旋中心から角膜頂点までの距離として標準的な値を使用して眼鏡レンズを設計、製造していた。しかし、この標準距離に基づいて求めたVR値は、個人、個人で異なる値であることが知られているが、その差異がどのように光学的影響に、つまり眼鏡レンズのレンズ設計では影響があるのかについては正確に熟知および検証されていなかったのが実情である。即ち、眼鏡レンズの光学面には種々の設計方法があり、そこの設計の最適化が中心であって、その設計毎のVR値の影響の検証やシミュレーションを行うことまでは考えられなかった。また、当然のようにその値をどのように設計・製造にフィードバックしなければならないかさえも十分には検討されていなかった。
本発明者等が、VR値の個人差を調査し、また、最近開発された光線追跡法等のシミュレーション方法等を駆使して研究したところ、VR値の個人差は意外に大きく、また、そのレンズ性能への影響も予想以上に大きいことが判明した。この研究結果に基づき、共通の基本仕様のレンズについて、VR値の個人差を考慮したレンズとそうでないレンズとを実際に設計製造しての性能を比較した結果、従来の予測をはるかに越える結果が得られた。
すなわち、標準的なVR値に基づいて設計、製造された眼鏡レンズを標準的なVR値とは異なるVR値を持った個人に使用した場合の眼鏡レンズの光学性能は大きく異なり、補正をする必要量まで及ぶことがつきとめられた。具体的には、単焦点非球面レンズの収差、バイフォーカルレンズ、多焦点レンズの左右の眼鏡レンズ遠用部頂点屈折力が異なる場合の小玉高さの配置、累進屈折力レンズの近用部寄せ量(内寄せ量)、近用部高さに関する光学的レイアウトに関する影響等である。本発明は、この解明結果に基づいてなされたものである。
ここで、VRの値として、眼鏡装用時における眼鏡レンズの裏面の基準点から眼鏡装用者の眼球の角膜頂点までの距離VCの値と該角膜頂点から眼球の回旋中心までの距離CRの値との和の値を用いることができる。
特に本発明では最も重要なファクターはCR値でCR値は個人により生理学的に異なるものであるので、測定により正確に算出されることが好ましい。但し、場合により、すべて個別ではなく、例えば、CR値として、簡便に2種類〜5種類にグループ化してそれぞ
れのグループで代表化した値を設定し、その値を使用することもできる。本発明では、広義に、測定値も含めた意味として発注側が指定した値をCR値としてレンズ設計に使用する。
CR値の測定方法としては、例えば、AMERICAN JOURNAL OF OPTOMETRY and ARCHIVES of AMERICAN ACADEMY
OF OPTOMETRY(vol.39 November,1962発行)に題名「THE CENTER OF ROTATION OF THE EYE」で記載されたG.A.FRY and W.W.Hill氏らに提唱されている眼球回旋点測定装置を利用できる。また、更に、異なった方向の視線の交差点から演算により求める方法がある。
さらに、簡易的な方法で実用的な方法としては、一般的に普及している眼軸長測定装置を利用する方法である。つまり、眼軸長を測定して、そこから眼球回旋中心点を計算により見つけ出す方法である。例えば、予め、実測された眼軸長に対する眼球回旋点の相対的位置の一般的統計データを利用する方法である。例えば、平均的データとして眼軸長24ミリ、角膜頂点から回旋中心点までの距離(CR)を13ミリとすると、13/24=0.54が使用比率となる。従って、眼軸長が27ミリと検出された人の場合は、この相対位置係数 0.54を使用して、この人のCRの値を、27ミリ×0.54=14.6ミリとする。また、その他、種々の方法を使用して、眼軸長との相関関係を探しだして眼球回旋点を設定してもよい。
眼軸長の測定装置は種々あり、例えば超音波測定装置、視線方向検出装置等がある。また、眼球回旋中心点位置は眼球において固定点ではなく、遠方視の時と近方視の時等のように、見ようとする方向や距離によって微妙に変化するものと考えられている。従って、好ましくは、設計するレンズの性質に伴って異なる処理を行って設計に利用することが好ましい。例えば、累進多焦点レンズの場合、レンズの遠用領域では遠方視の時の、近用領域では近方視の時の異なる回旋中心点位置の値をそれぞれ使用し、遠方視用の単焦点レンズの場合には遠方視の時の、老視用の単焦点レンズの場合には近方視の時の眼球回旋中心点位置を使用するといったような方法である。また、一つの方向のから測定デ−タを基礎データとしてそれに補正値を加えて種々に展開して使用することもできる。
また、VC値はCR値のような特殊な測定装置はないが、正確に把握することは重要である。ただ、この値はCR値と異なり純粋に生理学的な値でなく、フレームの装着状態との相関性もあるので、処方値を発信する側(検眼医者、オプティシャンなど)で調整し、ある所定の値(例えばオプティシャンが決めた値)に調整できる場合もあるので、本発明では広義に測定値も含んだ意味として指定値として取り扱うものとする。
このように本発明では、個人個人の左右眼それぞれに対して、眼鏡レンズの裏面の基準点から眼鏡装用者の眼球の角膜頂点までの距離VC値と角膜頂点から眼球の回旋中心までの距離CR値を用いて眼鏡レンズ設計を行うが、その結果として設計された眼鏡レンズが、既存の設計手法により設計製造される規格化された眼鏡レンズと比較してどのような違いがあるのかという比較情報を与えることも重要である。
すなわち、個人個人の左右眼それぞれのVC値やCR値を用いた眼鏡レンズの設計を行ったレンズは、一品一品毎に製作される個別設計の製品であるため、大量に生産される規格化された製品(規格製品)よりも製造コストがかかるので製品の価格は割高なものとなる。
しかし、例え個人個人の左右眼それぞれのVC値やCR値を用いた眼鏡レンズの設計を
行ったレンズであっても、規格製品と同一になる場合もあるし、違いがあってもわずかな違いでしかない場合もある。このような場合には、一品一品毎に製作する割高な製品を選択して購入することは最終ユーザーの不利益になる。当然、その製品を購入して使用した場合でも、個人個人の情報に基いた設計による眼鏡レンズの性能は、規格製品と比較しても大きな違いは無いことは明らかである。つまり、新しく作成した眼鏡が今まで使用していた眼鏡と比べてあまり違いが無いと感じられ、割高な製品を選択して購入したことに対して不満を持つことが考えられる。
そのため、眼鏡レンズの発注前に、選択しようとしているところの個人個人の情報に基づいた設計による眼鏡レンズと規格製品との光学特性(非点収差、平均度数、パワーエラー等)の違いを明らかにする必要がある。
そのため、眼鏡店から眼鏡レンズ情報、眼鏡枠情報及び眼鏡装用者毎のVR値の関連データを含む処方値、レイアウト情報、並びに加工指定情報などの発注情報が眼鏡店側の端末装置から眼鏡の加工業者側の情報処理装置に送信された際に、加工業者側の情報処理装置において発注された、もしくは問い合わせされた個人個人の情報に基いた設計による眼鏡レンズと規格化された製品との違いを算出して眼鏡店側の端末装置に返信し、非点収差分布図や平均度数分布図等の光学特性情報を表示する必要がある。
このように比較情報を与えることによって、個別設計の製品が規格化された製品とあまり違わない時にはその選択を中止して、規格化された製品を購入することが出来るようになる。
以下、本発明の実施の形態について図面に基づき説明する。図1は本発明の実施の形態にかかる眼鏡レンズの製造方法の説明図であり、図2は発注画面の説明図であり、図3は眼鏡レンズの製造工程のフロー図であり、図4は眼鏡装用の光学モデルの説明図である。
図1において、符号1は眼鏡店の店頭(発注者側)であり、符号2は眼鏡の加工業者(加工者側)である。この実施の形態の眼鏡レンズ製造方法は、眼鏡店の店頭(発注者側)1に設置された端末装置を通じて加工業者(加工者側)2に設置された情報処理装置に送信される情報に基づいて眼鏡レンズ3を設計して製造するものである。
すなわち、前記端末装置を通じて、眼鏡レンズ情報、眼鏡枠情報及び眼鏡装用者毎のVR値の関連データを含む処方値、レイアウト情報、並びに、加工指定情報を含む情報の中から必要に応じて選択される設計及び/又は加工条件データ情報を前記情報処理装置に送信される。前記情報処理装置は、これらの情報を処理して、シミュレーションされた装用条件の光学モデルに基づき最適化されたレンズ形状を得て、加工条件を決定し、眼鏡レンズを製造するものである。以下、これらの工程を詳細に説明する。
(処方データ及びレンズデータの作成)
眼鏡店において、眼鏡装用者の処方データ及びレンズデータの作成がなされる。まず、本実施の形態の特徴である個々人のVR値(処方データの1つ)を求めるために、CR測定装置を使用して顧客毎の左眼、右眼のCR値をそれぞれ測定する。但し、本実施の形態では簡易な方法として、市販されて普及している眼軸長測定装置を使用して、左右眼それぞれの眼軸長をまず測定し、次に、眼軸長に対する眼球回旋中心点(上下方向)の相対的位置の比較係数を使用して、演算によりCR値を算出し、これを左眼、右眼のCR値とする。
次に、顧客の眼科医からの検眼データ(球面度数、乱視度数、乱視軸、プリズム値、基
底方向、加入度数、遠用PD、近用PD等)、もしくは必要とあればその検眼データに基づき、眼鏡店に設置検眼機器を使用して再度処方の確認を行う。そして、レンズの種類(単焦点(球面、非球面)、多焦点(二重焦点、累進)等)及び度数やレンズの材質種類(ガラス種、プラスチック種)、表面処理の選択(染色加工、耐磨耗コート(ハ−ドコート)、反射防止膜、紫外線防止等)の指定や中心厚、コバ厚、プリズム、偏心等を含めたレンズ加工指定データ及びレイアウト指定データ(例えば、二重焦点レンズの小玉位置の指定や内寄せ量等)を顧客との対話方式のもとに決定し、レンズデータを作成する。また、レンズの種類や表面処理の選択はレンズメーカの指定とその型名を指定することにより代用できる。
(フレームデータの作成)
次に、フレームデータの作成がなされる。眼鏡店1にはフレームメーカーから仕入れたフレームが在庫されており、顧客は好みのフレーム4を選択する。眼鏡店では設置の3次元のフレーム形状測定装置(例えば、HOYA(株)製GT−1000、3DFT)でその選択されたフレームに対して形状測定を行い、フレームデータ(例えば、形状、FPD、鼻幅、フレームカーブ、リム厚、フレームの材質、種類(フルリム、リムロン、縁なし等)、その他等)を作成する。
ただし、フレームデータの入手は、フレームメーカー毎に表記方法が異なり、入手方法も種々ある。前記の方法は実際のフレーム形状を実測する方法を示したものであるが、既に、予めフレームに形状データがバーコードタグ等で情報が付与されているものはそのデータを読み込むことによりフレームデータを入手する。また、フレームの型式からすべてのフレーム情報が取り出せる場合はその型式データから取り出す。
次に、実際、顧客の頭部形状やレンズデータ、フレームの形状特性、装用条件等を考慮し、フレーム傾斜角を決定し、角膜頂点とレンズ凹面との距離(VC値)を決定する。このVC値と上記で求めたCR値との和からVR値を求める。
(パソコンによる眼鏡店とレンズメーカとの情報通信)
次に、眼鏡店では店頭に設置してあるパソコン(端末)を用いてレンズメーカーのホストコンピュータとの間で情報通信を行う。この情報通信には、眼鏡業界では通常採用されている眼鏡レンズの発注・問い合わせシステム(例えば、代表的なシステムとして、HOYA株式会社製のHOYAオンラインシステムがある)を適用できる。この情報通信は、上記眼鏡店で求めた眼鏡レンズの設計製造に必要な各種の情報をホストコンピュータに送るために、所定の発注画面を通じて行われる。図2はそのシステムの発注画面である。
VR値を含む各種の情報が発注画面を通じてホストコンピュータに送られる。
(設計及び製造)
工場側(加工者側)においては、ホストコンピュータが上記端末から送られた各種の情報を入力して演算処理し、レンズ設計のシミュレーションを行う。図3は眼鏡レンズの製造工程のフロー図であり、その処方レンズの製造までのシミュレーションを含む工程を示す図である。
図3において、まず所定の入力項目がチェックされる。前述の眼鏡店からの送信データで光学レンズ設計に関連するその主たる項目は、レンズ物性データ(屈折力、アッベ数、比重等)、処方関連データ(レンズ度数、乱視軸、加入度、プリズム、基底方向、偏心、外径、遠用PD、近用PD、レンズ厚、VR値(CR値+VC値))、フレームデータ(形状、DBL、FPD、フレームカーブ、フレームカーブ等)、フレーム前傾角、ヤゲン種、その他加工指定データである。特に、レンズデータやフレームデータは予め製造メーカーから物性や設計の基礎データを入手しておくことが好ましい。
そして、これらのデータからレンズ設計のための装用時の光学モデルが総合的にシミュレーションされる。図4は眼鏡装用の光学モデルの説明図であり、光学モデルの概略を側方から部分的に示した図である。図4に示されるように、フレームの前傾角を想定して、眼前にレンズが配置される。その場合、VR値は眼球1の回旋中心点Rから角膜11の頂点Cまでの距離、即ち、CR値と角膜頂点Cからレンズ2の裏面21の基準点V(直線CRの延長線とレンズ裏面21との交点)までの距離(VC値)とを加えたものである。特に、近年の体格的向上や個々人の骨格の相異、眼部の形状相異、フレームの大型化、多様化等の影響の要因も加えると、VR値は一般的に約15ミリから44ミリぐらいの範囲と想定され、相当幅があることが調査によって判明した。なお、図4においてOは、眼軸と網膜との交点を示す。
次いで、コンピュータによるレンズ設計プログラムの計算により最適化計算が行われ、凹面、凸面の面形状及びレンズ肉厚が決定され、処方レンズが決定される。ここにおいては、処方レンズは、眼鏡形状を非球面、球面、二重焦点、累進多焦点、屈折率、曲率等のバリエ−ションを踏まえた選択肢を考慮して、1種類、もしくは複数種類の候補が示される。
なお、視力測定時において用いたVC値と、実際に測定して求めたVC値(レンズ形状設計に用いる値)とが大きく異なった場合で、フレームの形状補正(パッド、テンプル、フロント等の調整)、フィッティング調整(鼻、耳などの位置調整等)などで対応できない場合がある。このような場合には、視力測定による度数は、眼鏡装用時の度数を示しているということはできないので、補正が必要となる場合がある。以下、この点を説明する。
通常視力検眼機は固定のVC値(以下この値をVC0とする。通常は14mmである。)を使用している。そして、その検眼機を使用して、検眼者(眼鏡店、眼科医、オプチシャン)は矯正度数値(D0)を得ている。本実施例の場合には、さらに、検眼者はフレーム形状と患者の顔形、検眼で得られた矯正度数値(D0)、レンズの種類などを考慮し、VC値を決定する。例えば、具体的には患者の顔相で眼球が奥まったような状態で、マイナスレンズ裏面カーブが深いレンズ場合ではVC値は通常採用値のVC0(14mm)ではなく、実測した大きなVC値(例えば20mm)を処方VC値として採用する場合がある。
このような場合には、測定時の矯正度数値(D0)を更に、補正する必要があり、上記の処方VC値、上記VC0値、D0値から以下の関係式を使用し、処方レンズ度数値(D)を算出する。
D=D0/(1+(VC−VC0)・D0/1000)
また、レンズ度数補正量(ΔD)は、
ΔD=D0/(1+(VC−VC0)・D0/1000)−D0
となり、たとえばD0=−4ディオプター、VC=33mm、VC0=27mmの場合にΔD=−0.098ディオプターと計算される。
眼鏡レンズ設計時この補正度数は眼鏡全面に一様に補正されることが好ましい。ΔDは好ましくは0.005未満である。
なお、本実施例では注文者側が工場側にVC値、CR値、D値(度数)等を供給(指定)する発注方式を採用しているが、注文者側が初期の情報を工場側に発信することにより、工場側で補正計算を行い発注者側に設計レンズ情報を返信し、発注者側はその情報を参
考にして発注情報を作成して再度工場側に送るようにすれば、発注者の負担を軽減することができる。
以下、レンズ設計プログラムで行われる基本的内容を説明する。この内容は単焦点レンズの場合と多焦点レンズの場合とで多少異なる。しかし、いずれの場合も、以下の点で基本的考え方は同じである。
すなわち、まず、最初に採用候補としてのレンズ曲面形状を選び、そのレンズの光学特性を光線追跡法等を用いて求める。次に、そのレンズ曲面形状に対して所定の規則に基づいて曲面を異ならしめたレンズ曲面形状を次の候補として選び、そのレンズの光学特性を同様に光線追跡法等を用いて求める。そして、両者の光学特性を所定の方法で評価し、その結果に基づいて次の候補をあげるか又はその候補を採用するかを決める。候補たるレンズ曲面形状が採用決定に至るまで上記工程を次々と繰り返していわゆる最適化を行う。なお、ここで、上記光線追跡法の実行の際に適用する眼鏡装用の光学モデルのVR値として個人について求めた値を用いる。
単焦点レンズの設計は、以下のようにして行われる。なお、光線追跡法自体は周知技術であるので、詳細は省略する。
図3のフローに基づき説明すると、まず、VRを含む設計関連データを設計入力データとする。この入力データに基づいて図4の眼鏡光学モデルを想定し光線追跡計算を行う。図4で、光線追跡の出発点は回旋点(R)である。レンズ2の全面に光線追跡計算を行う点を設定する。設定する点の数は多ければより精度が高い設計ができるが、例えば、眼鏡レンズで約3〜30000点を使用することができる。そして、その設定されたレンズ面の位置での光線がその回旋点(R)を通り、かつ、光軸レンズ中心で距離VR離れた眼鏡レンズ裏面21、次に眼鏡レンズ表面22を通過できるように射出された状態での、それぞれの光線についての光学量(通常、湾曲収差、非点収差等)を計算していく。ここで、本実施例の光線追跡計算では角膜頂点(C)に関するVC値、CR値はそれぞれ単独では使用せず、両者の和であるVRの値が用いられる。
ここで、非球面レンズの設計の場合は、予め非球面レンズ面は関数化された非球面係数からなる式により表されている。その基本的な非球面式については光学レンズ分野では周知であり、更に、それをベースにその応用としても様々なレンズ設計思想のもとに関数化された光学表面を決定する式が知られている。具体的な非球面式として、例えば、特開昭52−115242号、特開昭58−24112号、特開昭61−501113号、特開昭64−40926号公報、WO97/26578号などを挙げることができる。これらは、開示された式中の非球面係数を決定することにより、レンズ面が決定されることができるようになっている。
本実施例では、非球面係数を決定するために、すなわち、図3のフローにおける処方レンズ決定のため、それぞれの光線に沿った前記計算された光学量の重み加重の掛かった2乗和(メリット関数と言われる)を減らす方向に非球面係数を変化させる最適化計算(減衰最小2乗法)を行う。そして、所望の設定光学量以下になったとき、最適化計算を終える。その時点で非球面係数が決定され、レンズ形状が決定される。なお、上記光学量は、図4の光学モデルでも明らかであるが、VR値の2つの要素であるVC値、CR値に個々に関数依存するのではなく、VC値、CR値の和であるVR値と関数関係にある。
図5は上述の設計手法により決定したVR値27mmの処方レンズの光学データを示す図である。この処方レンズの基本仕様は、近視用の処方で、レンズ度数:−4.00ディオプター(D)、屈折率(nd):1.50,外径:70mmの単焦点非球面プラスチッ
クレンズ(ジエチレングリコールビスアリルカーボネート)である。
図6はVR値27mmの処方レンズ(図5参照)をVR値27mmの人物が装用した場合の性能データを示す図である。図6に示されるように、いずれの視線角度においても度数誤差(平均度数誤差)がほとんどなく、平均度数において最適化が図られたレンズ設計がなされており、極めて優れた性能を有することが分かる。
図7はVR値27mmの処方レンズ(図5参照)をVR値33mmの人物が装用した場合の性能データを示す図(目的距離は無限大で設定。以下同様)である。図7に示されるように、視線角度によっては、大きな度数誤差(平均度数誤差)が生じていることが分かる。すなわち、レンズが中心から離れた側方の視野、例えば30度や35度方向にいくと度数誤差が生じていることがわかる。その量は、35度では、0.245(D)であり、極めて大きいことがわかる。眼鏡レンズは一般的に0.25(D)ピッチで度数区分がされており、この度数誤差の値はもはや許容される量ではなく、別の処方レンズを選択する必要性を示唆している。通常、眼鏡レンズは一つのレンズアイテムに対してはすべて同一設計であるのでこの図7に示されるケースは日常的に出現するモデルケースと考えられる。
図8はVR値33mmの処方レンズの光学データを示す図である。VR値27mmの処方レンズの光学データ(図5参照)に比較すると、凸面カーブ値の差は、光学中心からの距離が0.0mmの時に0.0ディオプターであり、15mmで、−0.184ディオプターとなっている。これは、非球面レンズ設計であるため、球面レンズ設計と異なり、レンズ径方向に沿って不均一な凸カーブ補正を行っているものであり、度数補正処理の一様なカーブ補正と異なっている。
図9はVR値33mmの処方レンズ(図8参照)をVR値33mmの人物が装用した場合の性能データを示す図である。図9に示されるように、いずれの視線角度においても度数誤差(平均度数誤差)がほとんどなく、平均度数において最適化が図られたレンズ設計がなされており、極めて優れた性能を有することが分かる。
図10は度数が遠視用の処方で、+4.00(D)である場合におけるVR値27mmの処方レンズの光学データを示す図、図11はVR値27mmの処方レンズ(図10参照)をVR値27mmの人物が装用した場合の性能データ(目的距離は無限大に設定。以下同様)を示す図、図12はVR値27mmの処方レンズ(図10参照)をVR値33mmの人物が装用した場合の性能データを示す図、図13は度数が+4.00(D)である場合におけるVR値33mmの処方レンズの光学データを示す図、図14はVR値33mmの処方レンズ(図13参照)をVR値33mmの人物が装用した場合の性能データを示す図である。これの図に示される例も、図5〜図9に示される場合と同様の結果が得られていることが分かる。
図15は単焦点球面レンズでVR値を27mmに設定した場合において凸面カーブ(ベースカーブ)の値とレンズ度数の値との種々の組み合わせにおける度数誤差を求めて示した表であり、図16は図15に示した関係を度数誤差の等高線で示したグラフである。なお、これらの図に示した例は、視線方向を30度方向とした例である。また、図16においては、縦軸が凸面カーブ(ベースカーブ)で横軸がレンズ度数である。この表から、レンズ度数が−6.00(D)の人は、ベースカーブが2(D)のものを選択すれば、度数誤差のすくない良い設計のレンズが得られることがわかる。
図17は単焦点球面レンズでVR値を33mmに設定した場合において凸面カーブ(ベースカーブ)の値とレンズ度数の値との種々の組み合わせにおける度数誤差を求めて示し
た表であり、図18は図17に示した関係を度数誤差の等高線で示したグラフである。なお、これらの図に示した例は、視線方向を30度方向とした例である。また、図18においては、縦軸が凸面カーブ(ベースカーブ)で横軸がレンズ度数である。この表から、レンズ度数が−6.00(D)の人は、ベースカーブが1(D)のものを選択すれば、度数誤差のすくない良い設計のレンズが得られることがわかる。
上述の結果から、VR値が27mmの場合に比較して、VR値が33mmになると−0.098ディオプターだけ度数の高いレンズが必要になることがわかる。すなわち、上述の例では、VR値が27mmから33mmになると絶対値で度数の強いレンズが必要となる。上記同条件での度数補正値は−0.098ディオプター、即ち、−4ディオプター(27mm)のレンズが補正され−4.098ディオプター(33mm)のレンズが必要となる。一方、レンズカーブについては、VRが27mmから33mmになった場合、図15、図17の該当個所をみると、D=−4ディオプターで、収差が、ほぼないカーブは、VR=27mmで約3.3カーブ、VR=33mmで約2.3カーブと読みとれる。すなわちVRの違いにより、レンズカーブがベンディングを起こし、約1カーブ浅いカーブが採用される。ここでもVR値を使用しレンズ設計を行う効果が認められる。尚、近業作業を目的として近用専用の単焦点眼鏡を求める場合には、近用PDはもちろんであるが、近用VR値を使用することが好ましい。
次に、累進多焦点レンズの場合を説明する。累進多焦点レンズの設計も基本的には単焦点レンズと同じであるが、その構造上から、異なる点もある。以下、図19ないし図25を参照にしながら近用部のレイアウトの内寄せ量を決定(補正)する方法を中心に説明する。
累進多焦点レンズは遠方視のための遠用部と近方視のための近用部とその遠用部と近用部を滑らかにつなぐ中間視のための累進部とから構成されている。レンズ設計上、一般的に遠用部及び近用部は球面設計が採用され(但し、非球面設計もある)、累進部は非球面設計が採用される。従って、端的には設計上は、前述の単焦点レンズの球面設計と非球面設計を組み合わせた面といえる。
また、累進多焦点レンズは老視用のレンズであるので、VRの相違により、最も顕著に影響を受けるのは累進部から近用部であり、本実施例ではその近用部を中心にそのレイアウト状態について説明する。
まず、本実施例で基本となる累進多焦点レンズの設計部分について説明する。尚、累進屈折面そのものの設計は多様であり、種々採用できるので、本実施例では基本構造部分について説明する。
本実施例の累進多焦点レンズは所定の光学設計思想に基づきレンズ設計され、その基本累進屈折面は、レンズ設計プログラムにおいては、所定の数式で関数化された面として設定してあり、処方度数等の所定の形状決定要素パラメータを入力することにより処方レンズ面が設定できるようになっている。(特に、近年、レンズ面を関数化した面と表して、プログラミングしたコンピュータを使用したレンズ設計システムは公知であるので(例えば、WO98/16862号など)、本実施例では特にその設計方法の詳細な説明は省略する。)
また、この基本累進屈折面は、遠用部、累進部、近用部のレンズ全面にわたって度数分布を決定することにより、レンズ面が設定される。そして、その度数分布を決定する要素としては、遠用部のベースカーブ値、加入度数、遠用部及び近用部の水平方向度数分布、遠用部、近用部、累進部のレイアウト、累進帯度数変化分布、主子午線または主注視線の
配置、非点収差分布の配置、平均度数分布の配置等がある。そして、個々の設計思想に基づき、これらの要素に重み付けを加えたり、変化させたりすることによって、所定の累進屈折面が設定される。その設計の事例としては、例えば、具体的には、本件出願人の出願にかかる特開昭57−210320公報、特開平8−286156公報、特開平9−90291公報などを挙げることができる。
そして、このようなある所定の設計思想に基づき創生された累進多焦点レンズは、その処方の度数に応じて複数のベースカーブ(D)(例えば2〜8カーブ)からなる基本累進屈折面があらかじめ用意されている。さらに、各々には、標準的な近用部内寄せ量INSET0が初期値(例えば2.5mm)として設定されている。
この近用部の内寄せ量は、正面遠方を見ているときの視線のレンズ第1面通過点(例えば、累進多焦点レンズの主子午線上の点)を基準にして、基本累進屈折面上に設定される近用部の内側への寄せ量であり、累進多焦点レンズの主子午線から近用光学中心までの水平方向の距離である(図25参照)。
上記複数のベースカーブの中から処方の度数に対応した所定のベースカーブ(例えば、SPH+3.00ディオプターでADD2.00の場合は7カーブ)の基本累進屈折面を選択し、この基本累進屈折面の近用部に初期値のINSET0を設定する。
次に、この基本累進屈折面を第1面とし、レンズのもう一方の面として、このレンズが処方通りの度数(プリズム処方を必要とする場合はプリズムを含む)を満足するようなレンズ第2面の形状と位置(第1面に対する光軸上での相対位置)とをレンズ設計プログラムを使用して求める。
この時に好ましくは、フレーム枠形状とフレームの種類、フレームに対するレンズのレイアウトからこのレンズの厚さを最も薄くするようなレンズ第2面を設定する。今日、このような最適肉厚を有するレンズ第2面を求める方法は眼鏡業界ではそのレンズ受注システムで実施され公知技術(例えば、特開昭59−55411、HOYA METSシステムなど)であるので本実施例ではその説明は省略する。
次に、基準となるレンズの凹面と凸面との両面の形状と位置が求められたので、このレンズに対して光線追跡法を用いて、近用部の視線の位置を求める。
その場合、図3に示すように、近用部の内寄せ量を正確に求めるため、所定の近方の物体距離(近業目的距離:目的とする近方の作業距離)と左右眼との位置、本件発明の個別の装用者毎に測定して得られたVR値、遠用PD、フレームデータ、フレーム前傾角を基に装用状態での仮の光学モデルを設定し、光線追跡計算を行う。
即ち、前記光学モデルに基づき実際に左右眼が近方の物体を同一視しているときの視線がレンズ第1面を通過する点の位置をシミュレーションにより求め、次にその位置における、遠方視線から近方視線に輻輳するときの内寄せ量である水平方向成分(INSET1:レンズの主子午線から近用中心までの水平距離)を求める。
次に、基本累進屈折面に設定されていた初期値内寄せ量INSET0と、ここで求められた第1の内寄せ量 INSET1 が等しいかどうかを判定する。INSET0とINSET1が等しくない場合には、初期値として与えられていたINSET0の値をINSET1の値に置き換える。そして、図19のフローチャートに示すように、再度、基本累進屈折面の近用部に新たに置き換えられた 内寄せ量(INSET1)を設定し直し、近用部の光学的レイアウトが変化した新たなる累進面でシミュレーションを行い、前述の処理を繰り返す。
一般的に、最初の光線追跡で内寄せ量が決定されることはまれである。これは、VR値の変化により光学モデルが変化し、装用状態でのレンズ上の視線位置と処方の度数やプリズムによって近方の物体を見る時のレンズ上での視線位置が大きく変化するからである。図24は、INSET0とINSET1との視線のずれを説明する図で、実際にレンズを通過して近方物体に向かう視線はレンズによって屈折するため、標準的な内寄せ量として設定したINSET0とは異なる位置を視線が通過するためである。
即ち、内寄せ量を変化させることにより近用部の光学的レイアウトがかわり、それに対応して、累進部、遠用部も変化して、基本累進設計面は維持されつつ、新たなる累進屈折面が創り出されていくことになるので、そこにおいて、近方の視線が所定の近方物体距離に通過できるように光学条件を満足させるまで、好適な内寄せ量を探し、最適化を行っていく。そして、INSET(n−1)=INSET(n)となったところでこの繰り返し処理(最適化)を終了して、最終的な処方レンズとしての累進屈折面とレンズ第2面が決定する。
特に、累進屈折面のような複雑な面形状を含んだレンズを光線追跡するという場合には、このような繰り返し処理により、INSET(n−1)=INSET(n)となるように正しい内寄せ量を求めることが必要である。
次に、上記の内寄量の最適化を実施した例について図面に基づき説明する。
図20−1、図20−2、図20−3 は、標準的な値としてVR=27.0mmを条件として与えたときの、累進多焦点レンズの加入屈折力2.00Dの累進屈折面の設計例である。
この時、レンズ材の屈折率は1.596、遠用部から近用部に至るまで長さ累進帯長15mm、累進屈折力は中心より上方4mmの位置を基点に増加し、中心より下方11mmの位置で加入屈折力2.00Dに達する。左右眼のPDは左右ともに32.0mm、近方物体距離33.3cmで設計している。
各図面は、各累進屈折面を面の非点収差と面の平均屈折力の分布であり、φ80mmの範囲の分布を示している。又、内部にφ50mmの補助的な円を入れている。
図20−1は、左右とも遠用部屈折力(DF)+3.00D、凸面カーブ(ABC)5.94D、幾何中心のレンズ肉厚5.1mm、幾何中心でのプリズム1.0Δベース270°で設計した累進屈折面形状、第20−2図 は、左右とも遠用部屈折力(DF)0.00D、凸面カーブ(ABC)4.72D、中心肉厚2.7mm、プリズム1.0Δベース270°で設計した累進屈折面形状、第20−3図 は、左右とも遠用部屈折力(DF)−3.00D、凸面カーブ(ABC)3.49D、中心肉厚1.5mm、プリズム1.0Δベース270°で設計した累進屈折面形状である。
これら、図20−1、図20−2、図20−3の近用部付近の非点収差と平均屈折力の分布を見ると遠用部屈折力(DF)の違いによって近用部の配置が変化していることがわかる。遠用部屈折力(DF)の−3.00D、0.00D、+3.00Dの違いに従って、順に近用部の内寄せ量が徐々に増加している。この違いは、遠用部屈折力(DF)の違いによって主として累進屈折力レンズの近用部のプリズム作用が異なるためである。
図21−1、図21−2、図21−3は、図20の設計例のVR値だけを標準的な値よりも大きな値としてVR=33.0mmとして与えたときの設計例である。
図21−1は、左右とも遠用部屈折力(DF)+3.00D、凸面カーブ(ABC)5.94D、中心肉厚5.1mm、プリズム1.0Δベース270°で設計した累進屈折面形状、第21−2図は、左右とも遠用部屈折力(DF)0.00D、凸面カーブ(ABC)4.72D、中心肉厚2.7mm、プリズム1.0Δベース270°で設計した累進屈折面形状、第21−3図 は、左右とも遠用部屈折力(DF)−3.00D、凸面カーブ(ABC)3.49D、中心肉厚1.5mm、プリズム1.0Δベース270°で設計した累進屈折面形状である。
これら図21−1、図21−2、図21−3の場合も図20の場合と同様に遠用部屈折力(DF)の違いによって近用部の配置が変化しているが、どの遠用部屈折力(DF)においても近用部の内寄せ量が図20の場合よりも図21の場合の方が大きいことがわかる。この違いは遠用部屈折力(DF)の違いによる他に、さらにVRの違いによって近方の物体を見る時の視線の累進屈折力レンズを通過する位置が大きく異なるためである。
図22−1、図22−2、図22−3 は、図20の設計例のVR値だけを標準的な値よりも小さな値としてVR=20.0mmとして与えたとき設計例である。
図22−1は、左右とも遠用部屈折力(DF)+3.00D、凸面カーブ(ABC)5.94D、中心肉厚5.1mm、プリズム1.0Δベース270°で設計した累進屈折面形状、図22−2は、左右とも遠用部屈折力(DF)0.00D、凸面カーブ(ABC)4.72D、中心肉厚2.7mm、プリズム1.0Δベース270°で設計した累進屈折面形状、第22−3図 は、左右とも遠用部屈折力(DF)−3.00D、凸面カーブ(ABC)3.49D、中心肉厚1.5mm、プリズム1.0Δベース270°で設計した累進屈折面形状である。
これら図22−1、図22−2、図22−3の場合 も図20、図21の場合と同様に遠用部屈折力(DF)の違いによって近用部の配置が変化しているが、どの遠用部屈折力(DF)においても近用部の内寄せ量が図20よりも図22の方が小さく、図21との比較では図22の内寄せ量は非常に小さいことがわかる。この違いも、図21の場合と同様に遠用部屈折力(DF)の違いによる他に、VRの違いによって近方の物体を見る時の視線の累進屈折力レンズを通過する位置が大きく異なるためである。
図23は、図20、図21、図22に示した決定された累進屈折面のそれぞれに与えられた近用部内寄せ量INSETを具体的数値として計算したものを示している。これから、VRの違いによって近用部の内寄せ量が変化していることがわかる。
尚、これは左右眼のレンズに応じて行うことが好ましい。また、この方法は、同様に、バイフォーカルの近用部の光学的レイアウト(小玉の高さ、左右位置等)を決定し、処方レンズを決定する場合にも使用できる。即ち、図26で示すようにバイフォーカルレイアウトブロックの近用の小玉部分は、境界線で区切られているので、上述の累進多焦点レンズの例と同様に近用部の位置を調整する。
また、図19のフローチャートにある、選択された基本累進屈折面あるいは補正された累進屈折面とレンズ第2面に対する光線追跡からは、近用部の内寄せ量の他にも非点収差、平均度数誤差、歪曲収差などが求められる。
そのため、近用部の内寄せ量の最適化の際には、同時に、光線追跡により求められた非点収差、平均度数誤差、歪曲収差などの値から累進屈折面の形状を補正して収差補正を行うことができる。
最適化による累進屈折面の収差補正では、あらかじめ基本累進屈折面に対して想定されていた非点収差A0、平均度数分布B0、歪曲収差C0と光線追跡により求められた非点収差A1、平均度数分布B1、歪曲収差C1とのそれぞれの偏差(ΔA1、ΔB1、ΔC1)を小さくするように最適化を行う。このとき、これらの各偏差には基本累進屈折面上の位置(中央部、側方部、遠用部、近用部など)に対応した重み加重が掛けられる。この時に、遠用部では遠方視の時と近方視の時とで異なるVR値を使用することにより、それぞれの領域において光線追跡を行い最適化を行う。尚、累進部に対してはその位置における局部的な加入屈折力に応じて遠方視のときと近方視のときの二つのVR値を補間して使用する。
また、レンズ設計によっては、遠用部あるいは近用部のみといった部分的なVR値の活用も可能である。
これらの結果は、レンズ設計プログラムに備えてある光学性能計算結果の表示処理プログラムにより、例えば、非点収差図、鳥瞰図等により表示され、比較検討できるようになっている。また、このような結果は、通信回線を通じて発注者側のパソコンにも表示可能に設定される。眼鏡店側はこのような結果から、所望のレンズを確認もしくは選択する。
むろん、このシミュレーションデータに基づき、装用パラメータを変更して、新たなる装用条件を設定して新たなる処方レンズを求めることもできる。
この結果は、レンズ設計プログラムに備えてある光学性能計算結果の表示処理プログラムにより、ホストコンピュータに送られた各種の情報を基に、発注されようとしている個別設計の眼鏡レンズが規格化された眼鏡レンズとどのように違うかを算出し、それを眼鏡店側端末装置に返信し、両者の違いを表示することもできる。このとき、眼鏡店側から比較対象とする規格化されたレンズを指定することもできるし、比較対象としての規格化されたレンズの指定が無い場合にはあらかじめホストコンピュータ側に設定してあるレンズを比較対象とするようにしてある。眼鏡店側はこのような結果から、所望の個別設計によるレンズと規格化されたレンズとの違いを確認することができる。
個別設計の眼鏡レンズと規格化された眼鏡レンズとの違いの比較方法はいくつか考えられる。一つの方法は、最終ユーザーがそれらの眼鏡を掛けた時に、どのような収差分布になるのかを光線追跡により求め、これを眼鏡店側端末装置に標準的なものと個別設計のものとを並べて表示する方法である。
例えば、単焦点非球面レンズであれば、レンズ凹面への視線角度毎の度数誤差や非点収差を表示する方法がある。累進多焦点レンズの場合でも、レンズ凹面への視線角度毎の非点収差や平均屈折力の分布等を等高線を用いてレンズ全面の収差分布として表示する方法がある。
また、簡易的な比較方法としては、次の様な方法がある。単焦点非球面レンズの場合の個別設計の眼鏡レンズと規格化された眼鏡レンズのそれぞれの設計中心位置におけるレンズ凸面カーブ、レンズ凹面への視線角度30度の時の度数誤差と非点収差を数値やグラフで比較表示する方法がある。累進レンズでも、それぞれの設計中心位置におけるレンズ凸面カーブとレンズ凹面への視線角度30度上方、下方、内方、外方、斜め内方上方、斜め外方上方、斜め内方下方、斜め外下方の8方向の非点収差と平均屈折力を数値やグラフで比較表示する方法がある。なお、価格や納期などの情報も含むことが好ましい。
(レンズ製造)
次に、注文により前記処方レンズの受注が決定したら、その加工データが作成される。この加工データはレンズ加工プログラムに基づき作成され、加工装置の加工条件を決定したり、駆動を制御したり、加工ツールの選択、レンズ素材の選択の指示等を行い、加工指
示書の発行と加工装置へ加工データが工場の各製造装置に送信される。
そして、製造現場では、加工指示書に基づきレンズブランクが選択され、NC切削装置で切削、研摩のレンズ加工が行われる。表面処理(耐磨耗ハードコート成膜、反射防止膜成膜、レンズ染色、撥水処理、紫外線カット膜成膜、防曇処理等)を必要する場合もここで加工される。そして、円形の形状状態の処方レンズが完成される。また、ここでは、レンズ製造では予め在庫された完成品のレンズから選択できる場合もある。
次に、前記円形のレンズは所定のフレーム形状に対応させて、眼鏡レイアウト情報に基づき縁ずりのヤゲン加工が実施される。ヤゲン加工はマシニングセンターで行われる。この加工については、本願出願人の左記の出願にかかる実開平6―17853号、特開平6―34923号等に示すツールと加工方法にて行う。ここでも、加工条件として、硝種(ガラス、プラスチック、ポリカーボ、アクリル等)の選択、フレーム材質の選択、フレームPD(FPD、DBL)入力、PD(両眼、片眼)入力、水平方向偏心量X入力、垂直方向偏心量Y入力、乱視軸入力、仕上げサイズ入力、ヤゲン形状指定等が利用され、加工装置の加工モード設定時に、自動的にプログラムによりこれらの入力データが導入される。
そして、この所定の項目が設定され、スタートスイッチが押されると、縁ずり加工とヤゲン加工が同時に自動的に行われる。このようにしてヤゲンレンズが製造され、工場では、検査工程を経て、眼鏡店に出荷される。眼鏡店では、このヤゲンレンズを選択された眼鏡フレームに枠入れを行い、眼鏡を組み立てる。また、本実施例ではヤゲン加工は製造メーカで実施される態様を説明したが、これは眼鏡店で行われてもよく、特に本実施例の製造のフローに限定されるものではない。
以上の結果から、VR値によって適切なベースを選択することにより、よい眼鏡がえられることになる。なお、レンズの光学性能の評価の指標については、上記実施の形態では平均度数を使用したが、これは限定されるものではなく、非点収差、平均度数誤差、歪曲収差、眼鏡倍率、RMS等及びその組み合わせ等の指標があり、特に限定されるものではない。また、レンズ設計プログラムや問い合わせによるシミュレーションプログラム、表示プログラムなどは予め発注者側の端末や付帯装置(CD等)に組み込んで一種の情報処理機能を有する装置の意味で同一パソコンで処理することも可能である。
以上詳述したように、本発明は、眼鏡レンズ設計に必要なデータの1つである眼鏡装用時における眼鏡レンズの裏面の基準点から眼鏡装用者の眼球の角膜頂点までの距離VCの値と前記角膜頂点から眼球の回旋中心までの距離CRとを加えた、眼鏡レンズの裏面の基準点から眼球の回旋中心までの距離VRの値を、個別の眼鏡装用者毎に測定して求め、その値を用いて眼鏡レンズ設計を行い、その設計仕様に基づいて製造するようにしたことによって、個々人のVR値(VC+CR)に合わせたより高性能な眼鏡レンズを設計、製造することが可能となった。
以上のように、眼鏡レンズ及びその製造方法は、眼球回旋中心と眼鏡レンズとの距離を眼鏡装用者個別に考慮して設計製造することにより、より装用感に優れた眼鏡レンズを供給することを可能にしており、単焦点レンズ、多焦点レンズ、累進多焦点レンズのいずれにも適用することができる。
本発明の実施の形態にかかる眼鏡レンズの製造方法の説明図である。 発注画面の説明図である。 眼鏡レンズの製造工程のフロー図である。 眼鏡装用の光学モデルの説明図である。 本実施の形態にかかる眼鏡レンズの製造方法で製造したVR値27mmの処方レンズの光学データを示す図である。 VR値27mmの処方レンズ(図5参照)をVR値27mmの人物が装用した場合の性能データを示す図である。 VR値27mmの処方レンズ(図5参照)をVR値33mmの人物が装用した場合の性能データを示す図である。 VR値33mmの処方レンズの光学データを示す図である。 VR値33mmの処方レンズ(図8参照)をVR値33mmの人物が装用した場合の性能データを示す図である。 度数が+4.00(D)である場合におけるVR値27mmの処方レンズの光学データを示す図である。 VR値27mmの処方レンズ(図10参照)をVR値27mmの人物が装用した場合の性能データを示す図である。 VR値27mmの処方レンズ(図10参照)をVR値33mmの人物が装用した場合の性能データを示す図である。 度数が+4.00(D)である場合におけるVR値33mmの処方レンズの光学データを示す図である。 VR値33mmの処方レンズ(図13参照)をVR値33mmの人物が装用した場合の性能データを示す図である。 単焦点レンズでVR値を27mmに設定した場合において凸面カーブ(ベースカーブ)の値とレンズ度数の値との種々の組み合わせにおける度数誤差を求めて示した表である。 図15に示した関係を度数誤差の等高線で示したグラフである。 単焦点レンズでVR値を33mmに設定した場合において凸面カーブ(ベースカーブ)の値とレンズ度数の値との種々の組み合わせにおける度数誤差を求めて示した表である。 図17に示した関係を度数誤差の等高線で示したグラフである。 累進多焦点レンズの設計手順を示すフロー図である。 標準的な値として VR=27.0mm を条件として与えたときの、累進多焦点レンズの加入屈折力2.00Dの累進屈折面の設計例についての累進屈折面を面の非点収差と面の平均屈折力の分布を示す図である。 標準的な値として VR=27.0mm を条件として与えたときの、累進多焦点レンズの加入屈折力2.00Dの累進屈折面の設計例についての累進屈折面を面の非点収差と面の平均屈折力の分布を示す図である。 標準的な値として VR=27.0mm を条件として与えたときの、累進多焦点レンズの加入屈折力2.00Dの累進屈折面の設計例についての累進屈折面を面の非点収差と面の平均屈折力の分布を示す図である。 図20の設計例のVR値だけを標準的な値よりも大きな値として VR=33.0mm として与えたときの設計例についての累進屈折面を面の非点収差と面の平均屈折力の分布を示す図である。 図20の設計例のVR値だけを標準的な値よりも大きな値として VR=33.0mm として与えたときの設計例についての累進屈折面を面の非点収差と面の平均屈折力の分布を示す図である。 図20の設計例のVR値だけを標準的な値よりも大きな値として VR=33.0mm として与えたときの設計例についての累進屈折面を面の非点収差と面の平均屈折力の分布を示す図である。 図20の設計例のVR値だけを標準的な値よりも小さな値として VR=20.0mm として与えたとき設計例についての累進屈折面を面の非点収差と面の平均屈折力の分布を示す図である。 図20の設計例のVR値だけを標準的な値よりも小さな値として VR=20.0mm として与えたとき設計例についての累進屈折面を面の非点収差と面の平均屈折力の分布を示す図である。 図20の設計例のVR値だけを標準的な値よりも小さな値として VR=20.0mm として与えたとき設計例についての累進屈折面を面の非点収差と面の平均屈折力の分布を示す図である。 図20図21及び図22で示した決定された累進屈折面のそれぞれに与えられた近用部内寄せ量 INSET を具体的数値として計算した結果を示した図である。 INSET0とINSET1との視線のずれを説明する図である。 累進多焦点レンズの説明図である。 バイフォーカルレンズの説明図である。

Claims (2)

  1. 累進屈折力レンズの設計及び加工に必要なデータ情報を、眼鏡レンズの発注者側に設置された端末装置から、眼鏡レンズの加工者側に設置されているとともに前記端末装置に通信回線で接続された情報処理装置へと転送する工程と、
    前記工程で転送されたデータ情報に基づき個別の眼鏡装用者毎に最適化されたレンズ形状を設計する工程と、
    前記設計に基づいて加工条件を決定して、累進屈折力レンズを製造する工程と、
    を有し、
    遠方視のための遠用部と、近方視のための近用部と、前記遠用部と前記近用部とを滑らかにつなぐ中間視のための累進部と、を含む累進屈折力レンズの製造方法であって、
    前記データ情報には、各眼鏡装用者のレンズの裏面の基準点から眼球の回旋中心までの距離VRを示す値であるVR値が処方値として含まれており、
    前記個別の眼鏡装用者毎に最適化されたレンズ形状の設計においては、前記累進部及び前記近用部の光学的レイアウトを決定する際に、
    前記VR値を基に、累進屈折力レンズの装用状態での光学モデルを設定し、
    前記光学モデルでの遠方視線から近方視線に輻輳するときの内寄せ量であって、光線追跡計算による最適化にて求めた内寄せ量を、累進屈折力レンズにおける内寄せ量に設定するとともに、
    前記設定された内寄せ量を基に、累進部及び近用部の光学的レイアウトを設定して累進屈折力レンズを設計することを特徴とする累進屈折力レンズの製造方法。
    但し、光線追跡計算を用いた前記内寄せ量の設定は、以下の(1)〜(5)により行われる。
    (1)初期値としての内寄せ量(INSET0)を予め設定しておく。
    (2)装用者毎に測定して得られたVR値を基に、累進屈折力レンズの装用状態での仮の光学モデルを設定し、この仮の光学モデルに対して光線追跡計算を行う。
    (3)前記光線追跡計算により、この仮の光学モデルにおいて近方の視線が所定の近方物体距離に通過する際の、遠方視線から近方視線に輻輳するときの内寄せ量(INSET1)を求める。
    (4)INSET0とINSET1が等しくない場合には、初期値として与えられていたINSET0の値をINSET1の値に置き換えた上で、INSET1の値に置き換えたことにより近用部の光学的レイアウトが変化した新たなる光学モデルに対して光線追跡計算を行い、この新たなる光学モデルにおいて近方の視線が所定の近方物体距離に通過する際の、遠方視線から近方視線に輻輳するときの内寄せ量(INSET2)を求める。
    (5)INSET(n−1)=INSET(n)(nは自然数)となったところで最適化を終了して、このときの内寄せ量(INSET(n))を累進屈折力レンズの内寄せ量と設定する。
  2. 累進屈折力レンズの設計及び加工に必要なデータ情報を、眼鏡レンズの発注者側に設置された端末装置から、眼鏡レンズの加工者側に設置されているとともに前記端末装置に通信回線で接続された情報処理装置へと転送する工程と、
    前記工程で転送されたデータ情報に基づき個別の眼鏡装用者毎に最適化されたレンズ形状を設計する工程と、
    前記設計に基づいて加工条件を決定して、累進屈折力レンズを製造する工程と、
    を有し、
    遠方視のための遠用部と、近方視のための近用部と、前記遠用部と前記近用部とを滑らかにつなぐ中間視のための累進部と、を含む累進屈折力レンズの製造方法であって、
    前記データ情報には、各眼鏡装用者のレンズの裏面の基準点から眼球の回旋中心までの距離VRを示す値であるVR値が処方値として含まれており、
    前記個別の眼鏡装用者毎に最適化されたレンズ形状の設計においては、前記累進部及び前記近用部の光学的レイアウトを決定する際に、
    前記VR値を基に、累進屈折力レンズの装用状態での光学モデルを設定し、
    前記光学モデルでの遠方視線から近方視線に輻輳するときの内寄せ量であって、光線追跡計算による最適化にて求めた内寄せ量を、累進屈折力レンズにおける内寄せ量に設定するとともに、
    前記設定された内寄せ量を基に、累進部及び近用部の光学的レイアウトを設定して累進屈折力レンズを設計することを特徴とする累進屈折力レンズの製造方法。
    但し、前記VR値は、
    眼鏡装用時における前記レンズの裏面の基準点から眼鏡装用者の眼球の角膜頂点までの距離VCの値と、
    眼軸長と眼球回旋中心点との相関関係を予め得ておき、個別の眼鏡装用者毎に測定された眼軸長から眼球回旋中心点を前記相関関係に基づいて設定することによって算出された、前記角膜頂点から前記眼球回旋中心点までの距離CRの値と、
    を加えることによって得られる値である。
JP2007271949A 1999-02-12 2007-10-19 累進屈折力レンズの製造方法 Expired - Fee Related JP4785814B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2007271949A JP4785814B2 (ja) 1999-02-12 2007-10-19 累進屈折力レンズの製造方法

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP1999035017 1999-02-12
JP3501799 1999-02-12
JP2007271949A JP4785814B2 (ja) 1999-02-12 2007-10-19 累進屈折力レンズの製造方法

Related Parent Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2000598890 Division 2000-02-10

Related Child Applications (3)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2010231472A Division JP5031083B2 (ja) 1999-02-12 2010-10-14 単焦点非球面レンズの製造方法
JP2010231473A Division JP2011039551A (ja) 1999-02-12 2010-10-14 累進屈折力レンズの製造方法
JP2010231474A Division JP5031084B2 (ja) 1999-02-12 2010-10-14 単焦点球面レンズの製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2008070894A JP2008070894A (ja) 2008-03-27
JP4785814B2 true JP4785814B2 (ja) 2011-10-05

Family

ID=39292455

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2007271949A Expired - Fee Related JP4785814B2 (ja) 1999-02-12 2007-10-19 累進屈折力レンズの製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP4785814B2 (ja)

Families Citing this family (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
DE102009010467A1 (de) * 2009-02-26 2010-09-09 Carl Zeiss Vision Gmbh Verfahren und Vorrichtung zur Bestimmung der Augendrehpunktlage
WO2010119183A1 (fr) * 2009-04-17 2010-10-21 Essilor International (Compagnie Générale d'Optique) Procédé de détermination d'une lentille ophtalmique
JP5747279B2 (ja) * 2011-04-28 2015-07-15 東海光学株式会社 視力矯正用レンズの設計方法
JP2013076933A (ja) * 2011-09-30 2013-04-25 Seiko Epson Corp 累進屈折力レンズ及び累進屈折力レンズの製造方法
IL258706A (en) * 2017-04-25 2018-06-28 Johnson & Johnson Vision Care Treatment follow-up methods in emmetropia and system

Family Cites Families (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS5869822U (ja) * 1981-11-04 1983-05-12 株式会社保谷レンズ 偏心加工した累進レンズ
US5030231A (en) * 1988-01-05 1991-07-09 Allergan, Inc. Teledioptric lens system
JPH02211119A (ja) * 1988-10-21 1990-08-22 Genjiro Omi トーリック型眼内レンズの乱視度数及び眼内レンズ度数決定方法
JP3150179B2 (ja) * 1991-12-27 2001-03-26 ホーヤ株式会社 検眼装置のあおり装置及びあおり方法
JP3072202B2 (ja) * 1992-12-11 2000-07-31 ホーヤ株式会社 眼鏡レンズ加工装置及び加工方法
JP3690427B2 (ja) * 1994-12-27 2005-08-31 セイコーエプソン株式会社 累進多焦点レンズおよび眼鏡レンズ
US6199983B1 (en) * 1996-10-14 2001-03-13 Seiko Epson Corporation Apparatus and method for manufacturing a progressive multi-focal lens

Also Published As

Publication number Publication date
JP2008070894A (ja) 2008-03-27

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5031084B2 (ja) 単焦点球面レンズの製造方法
JP4067277B2 (ja) 累進屈折力眼鏡レンズ及びその設計方法
JP4785815B2 (ja) 累進屈折力レンズの製造方法
JP4954324B2 (ja) 眼鏡レンズの製造方法
JP2022174134A (ja) 可変屈折率を有する累進眼鏡レンズ並びにその設計及び製造の方法
JP2015108852A (ja) フレキシブル遠近両用レンズのオプティマイザ
CN106133584A (zh) 用于增强现实的系统和方法
JP2006163441A (ja) 累進多焦点レンズの製造装置
JP2006126877A (ja) 累進多焦点レンズの製造方法
JP4785814B2 (ja) 累進屈折力レンズの製造方法
CN114303090A (zh) 双焦点眼镜镜片、用于创建该双焦点眼镜镜片的数字表示的计算机实现的方法、计算机程序、数据处理系统、以及非易失性计算机可读存储介质
JP4070445B2 (ja) 眼鏡レンズ製造方法及び眼鏡レンズ並びに眼鏡レンズ供給方法
US9753307B2 (en) Spectacle lens, manufacturing method thereof and lens supply system
JP4707705B2 (ja) 眼鏡レンズ供給方法
JP2008097031A (ja) 眼鏡レンズ供給方法
WO2022163151A1 (ja) 眼鏡レンズの設計装置、眼鏡レンズの設計方法およびプログラム

Legal Events

Date Code Title Description
A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20100817

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20101014

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20110419

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20110620

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20110712

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20110712

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20140722

Year of fee payment: 3

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees