JP4784914B2 - カプセル膜 - Google Patents

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Description

本発明は、多孔性オルガノピラードクレイからなるカプセル薄膜に関するものであり、更に詳しくは、マイクロカプセルとして有用である、オルガノピラードクレイの微空間集積薄膜に、機能性有機物が収容されていることを特徴とするカプセル薄膜に関するものである。
層状珪酸塩と、アンモニウム、ホスホニウム又はスルホニウム化合物のような有機イオンとのイオン交換により得られた物質は、一般に、オルガノクレイもしくはオルガノピラードクレイと呼ばれている。これらの物質は、層状珪酸塩の層間と有機イオン間に分子サイズの空隙が生じ、この空隙がミクロ細孔となった多孔体を生成する。そのミクロ細孔は、矩形型であるため、平面型分子である芳香族化合物分子に対して吸着選択性を有していることが知られていた。
このミクロ細孔の吸着選択性を利用することにより、例えば、芳香族化合物分子からなる香料や有機抗菌剤を、オルガノピラードクレイの細孔内に吸着・保持すれば、オルガノピラードクレイは、耐熱性カプセルや徐放性カプセルとして使用することができる(特許文献1、特許文献2)。そのため、オルガノピラードクレイを、香料や有機抗菌剤を封じ込めた、芳香性包装材や抗菌材料へ利用することが種々提案されている(特許文献3、特許文献4)。
他方で、このオルガノピラードクレイは、数十ミクロン程度の微粒子として得られるため、微粒子内部の細孔と界面の間の距離が短く、細孔内に保持した香料や有機抗菌剤が、粒子内の細孔から粒子表面に容易に移動し、粒子外に放出されやすいという欠点があった。また、このオルガノピラードクレイは、細孔内に保持した香料や有機抗菌剤の粒子外への放出速度が制御できず、任意に、香料や有機抗菌剤を放出させることが出来ないという問題があった。更に、このオルガノピラードクレイを材料として用いる際には、樹脂や紙に複合化して、シートに成形するという煩雑な操作が必要であった。そのため、当技術分野においては、これらを解決する技術が強く求められていた。
特開平07−18797819号公報 特開平02−293315号公報 特開2004−18661号公報 特願2003−270981号公報
このような状況下にあって、本発明者らは、上記従来技術に鑑みて、機能性有機物質(機能性有機物)を任意に放出させることが可能な材料を開発することを目標として鋭意研究を重ねた結果、多孔性オルガノピラードクレイの微粒子を集積することによって得られる微空間集積無機膜が、カプセル薄膜としての機能を発現することを見出し、この知見に基づいて、本発明を完成するに至った。本発明は、機能性有機物を長期間安定的に保持することが出来、かつ任意にその機能性有機物を放出可能な、多孔性オルガノピラードクレイからなるカプセル薄膜を提供することを目的とするものである。
上記課題を解決するための本発明は、以下の技術的手段から構成される。
(1)分子を収容可能なミクロ細孔が集積、保持された自立膜構造体である、層状無機化合物の層間空隙と該空隙を保持するイオン性有機物から形成される微空間集積薄膜に、機能性有機物が収容されているカプセル薄膜であって、
1)層状無機化合物が、スメクタイト系粘土鉱物類、又は層状ポリ珪酸であり、2)イオン性有機物が、有機アンモニウム化合物又は有機ホスホニウム化合物であり、3)該イオン性有機物が、層状無機化合物100重量部に対して、1重量部以上30重量部以下であり、4)機能性有機物が、非カチオン性又は非アニオン性の香料又は抗菌性有機物であることを特徴とするカプセル薄膜。
有機アンモニウム化合物又は有機ホスホニウム化合物に結合したアルキル基を構成する炭素原子の数が、1以上3以下である前記(1)に記載のカプセル薄膜。
前記(1)に記載のカプセル薄膜を製造する方法であって、層状無機化合物の層間空隙と該空隙を保持するイオン性有機物から形成される微空間集積薄膜を、機能性有機物を含んだ溶液もしくは超臨界流体中に浸漬し、溶媒を除去することにより微空間集積薄膜に、機能性有機物を収容したカプセル薄膜を製造することを特徴とするカプセル薄膜の製造方法。
)微空間集積薄膜が、イオン性有機物を含む層状無機酸化物微粒子を、機能性有機物を含んだ溶液もしくは超臨界流体中に浸漬し、溶媒を除去した後、得られた複合微粒子を含む展開液を基板上に展開し、前記基板上の液膜から溶媒を除去することにより作製される微空間集積薄膜である前記()に記載のカプセル薄膜の製造方法。
)前記(1)又は(2)に記載のカプセル薄膜からなることを特徴とする機能性マイクロカプセル。
次に、本発明について更に詳細に説明する。
(カプセル薄膜)
本発明のカプセル薄膜は、有機イオンが担持された層状無機化合物が膜状に成形されたものである。ここで、有機イオンが担持された層状無機化合物とは、イオン交換性層状無機化合物の層間に存在する無機陽イオンもしくはアニオン等が有機カチオンもしくは有機アニオンで置換され、固定化されたものと定義される。有機イオンの置換により、イオン交換性層状無機化合物の層間の空隙が拡張され、各種分子が吸着可能なミクロ細孔が形成される。
(イオン性有機物)
このような有機イオンとしては、有機親和性基を有する物質であって、下記化1の一般式1で示される有機アンモニウム化合物、下記化2の一般式2で示される有機ホスホニウム化合物、を挙げることができる。本発明で好ましく使用される有機イオンは、有機アンモニウム化合物である。
Figure 0004784914
(式中の、R、R、R及びRの中の少なくとも1個は、アルキル基であり、該アルキル基を構成する炭素原子の数が、1以上3以下であり、残りは水素原子、Xは陰イオン残基を示す。)
Figure 0004784914
(式中の、R、R10、R11及びR12 の中の少なくとも1個は、アルキル基であり、該アルキル基を構成する炭素原子の数が、1以上3以下であり、残りはフェニル基、はイオン残基を示す。)
(層状無機化合物)
また、イオン交換性層状無機化合物とは、イオン交換性を有し、電荷を帯びた平面構造を持つ巨大高分子層と、その層間に電荷を中和するためのイオンが挿入されている無機化合物を意味する。このようなイオン交換性層状無機化合物としては、層間に陽イオンを有する層状無機化合物として、粘土鉱物類、層状ポリ珪酸を挙げることができる。また、層間に陰イオンを有する層状無機化合物として、例えば、ハイドロタルサイト、ハイドロタルサイト型層状複水酸化物を挙げることができる。
層状粘土としては、例えば、カオリナイト、ハロイサイト、セリサイト、モンモリロナイト、スメクタイト、ヘクトライト、サポナイト、バーミキュライト、タルクなどの層状構造を有する公知の粘土が、また、層状ポリ珪酸としては、例えば、ケニアイト、マカタイト、カネマイト、マガディアイト、アイラライトなどの公知のポリ珪酸が挙げられる。また、ハイドロタルサイト型層状複水酸化物としては、例えば、下記化の一般式で示される化合物を挙げることができる。
Figure 0004784914
(式中の、M、Mは、2価もしくは3価の金属イオンであり、2価イオンは、マグネシウム、亜鉛、カルシウム、コバルト、ニッケル、銅であり、3価イオンは、アルミニウム、クロム、マンガン、鉄、ガリウムであり、xは0.25から0.5の数字を示す。)を挙げることができる。
(有機イオンを層状無機化合物に導入する方法)
本発明で用いる有機イオンを担持したイオン交換性層状無機化合物は、例えば、前記したイオン交換性層状無機化合物の層間に存在する無機陽イオン等を有機イオンで置換することにより合成することができる。この置換反応は、粘土鉱物類もしくは層状ポリ珪酸においては、例えば、有機アンモニウムイオン塩の水溶液にこれを浸漬し、必要に応じて50〜90℃の温度に加温しながら1〜12時間かきまぜた後、十分に水洗し、乾燥することによって得られる。このようにして、粘土1gあたり0.01〜0.5gの有機アンモニウムイオンを層間支柱として有するイオン交換性層状無機化合物が得られる。
また、ポリ珪酸の場合には、まず無機酸によって処理することにより、無機陽イオンをプロトンと交換した後に、その水溶液に浸漬することが望ましい。この際のアルキルアンモニウム塩としては、テトラ、トリ、ジ、モノアルキルアンモニウム塩が好ましく、アルキル基としては、炭素数が1〜20程度のものが好ましい。また、ハイドロタルサイト類は、例えば、アルキルホスホン酸塩の水溶液に、同様に浸漬することによって得られる。この際のアルキルホスホン酸塩としては、テトラ、トリ、ジ、モノアルキルホスホン酸塩であり、アルキル基としては、1〜10程度のものが好ましい。
(カプセル薄膜を作製する方法)
カプセル薄膜を調製する方法としては、有機イオンを担持したイオン交換性層状無機化合物の微粒子を溶媒に懸濁・振とう後、基板に展開し、40〜70℃の温度で3〜24時間乾燥することによってカプセル薄膜が得られる。この場合、イオン性有機物を担持したイオン交換性層状無機化合物の配合具合としては、溶媒1000重量部あたり、500重量部から1重量部、すなわち質量比で2:1から1000:1の範囲内で選ぶことが好ましい。溶媒としては、水、アルコール類が用いられる。また、膜の形成を補助するために、膜化し易い無機物を添加すると、得られる膜の均一性が向上する。ここで、膜化しやすい無機物としては、粘土鉱物、ポリ珪酸、ハイドロタルサイト類、酸処理した粘土鉱物などであり、配合具合としては、溶媒1000重量部あたり、100重量部から1重量部、すなわち質量比で10:1から1000:1の範囲内で選ぶことが好ましい。用いる基板としては、例えば、鉄、ステンレス、真鍮、樹脂等が例示されるが、これらに制限されない。
(カプセル膜作製の効果)
このようにして得られるカプセル薄膜は、有機イオンを担持したイオン交換性層状無機化合物の微粒子が相互に連結することにより薄膜となる。更に、薄膜形成の過程において、ミクロ細孔は破壊されることはなく、微粒子内に存在するミクロ細孔は膜内に保持される。微粒子の連結により、微粒子内のミクロ細孔も相互に連結することとなり、連続した二次元の細孔を形成することとなる。この連続した二次元細孔内部に保持された有機物は、界面との距離が、微粒子内での界面との距離より長くなるため、拡散による系外への放出が抑制され、より長期間膜内に保持される。また、細孔の一部は、積層した珪酸層によって膜内に封じ込められ、この細孔に保持された有機物は、系外に拡散することがない。なお、微空間集積薄膜のミクロ細孔を確認する方法としては、X線回折実験によりイオン性有機物を担持したイオン交換性層状無機化合物の層間距離の変化によって確認する方法がある。また、ガス吸着実験もしくは水銀圧入法により、ミクロ細孔を確認する方法などがある。
(吸着させる有機物の種類)
カプセル薄膜内のミクロ細孔に吸着させる有機物としては、有機親和性を示す非イオン性のものであれば、有機物、無機物の何れもが使用できる。有機物としては、例えば、植物等からの抽出物や香辛料、抗菌性を示す有機物、肥料、農薬、薬剤が用いられる。植物等からの抽出物としては、例えば、ヒバ油やヒノキ油の主要成分であるヒノキチオールとトロポロン系有機化合物、もしくはクマザサ抽出物や孟宗竹抽出物の主要成分である2,6−ジメトキシ−4−ベンゾキノンやキノン誘導体、もしくはカラシやワサビ油の主要成分であるイソチアン酸アリル化合物等が用いられる。
また、香辛料としては、例えば、シンナモン、キャラウェイ、オレガノ、タイム、クローブ、レモン、ナツメグ、ローレル、サフラン、コリアンダー、山椒、マジョラム、バニラ等が用いられる。また、本発明においては、前記香辛料の主要成分や人工合成物も用いられ、このような香辛料の成分であるシンナミックアルデヒド、シンナミックアルコール、カルボン、カルバクロール、チモール、オイゲノ−ル、リモ−ネン、β−ピネン、シネオール、サフロール、リナノ−ル、シトロネロール、テルピネオール、バニリン等が用いられる。
(有機物を吸着させる方法)
カプセル薄膜内のミクロ細孔に有機物を吸着させる方法としては、(1)有機イオンを担持したイオン交換性層状無機化合物に有機物を吸着させた後、カプセル薄膜を作製する方法、(2)カプセル薄膜に直接有機物を吸着させる方法、などをとればよい。上記(1)の方法としては、例えば、イオン性有機物を担持したイオン交換性層状無機化合物を、貧溶媒中の有機物に接触させる方法がある。貧溶媒としては、ノルマルへキサン、ノルマルペンタン、2,2−ジメチルプロパン、パーフルオロシクロへキサン、酢酸エチル、ジエチルエーテル、塩化メチレンなどが好ましい。また、超臨界流体も用いることができる。これらの貧溶媒を媒質としてイオン交換性層状無機化合物の層間に抗菌性有機物を導入するには、例えば、貧溶媒に有機物を飽和濃度まで溶解した溶液中に層状粘土を加え、1〜100時間かき混ぜた後、固形分をろ別し、乾燥する。このようにして得られるイオン性有機物を担持したイオン交換性層状無機化合物に吸着した有機物は、層間のミクロ細孔に取り込まれる。
有機物を吸着したカプセル薄膜を形成する方法は、カプセル薄膜の作製方法と同様の方法をとればよい。上記(2)の方法としては、カプセル薄膜を、貧溶媒中の有機物に接触させる方法がある。貧溶媒としては、(1)の方法で用いる溶媒を用いる。また、超臨界流体を用いることが出来る。例えば、貧溶媒に有機物を飽和濃度まで溶解した溶液中に自立薄膜を浸漬、1〜1000時間浸漬した後、溶液成分を除去し乾燥する。この際に、温度を30〜70℃の範囲で上げると、有機物の薄膜内のミクロ細孔への浸透が早くなり、より短時間で有機物を吸着させることが出来る。
なお、有機物が、自立薄膜内のミクロ細孔に取り込まれたことを確認する方法としては、X線回折実験によりイオン性有機物を担持したイオン交換性層状無機化合物の層間距離の変化によって確認する方法、薄膜の色の変化により確認する方法、ガス吸着実験により、吸着前後により自立膜の比表面積変化により確認する方法などがある。本発明の微空間集積薄膜は、保持性や徐放性、刺激応答性が要求される種々の分野に適用することが出来、例えば、多孔性オルガノピラードクレイ薄膜は、消臭壁材、脱臭シート、芳香性包装材、鮮度保持包装材、抗菌シート、抗菌文具、薬物伝送材料などとして応用することができる。
本発明により、以下のような効果が奏される。
(1)本発明のカプセル薄膜は、多孔性オルガノピラードクレイの微粒子を、その内部構造を保持したまま、薄膜状、シート状に成形したものであるため、薄膜化された多孔性オルガノピラードクレイの内部では、ミクロ細孔が保持される。
(2)これらのミクロ細孔は、薄膜外部との界面まで連結している細孔と、積層の具合により界面から閉じられている細孔の2種類が存在し、これらのミクロ細孔に吸着保持された有機物は、微粒子中に保持された有機物と比較して、拡散による界面への移動が制限され、結果的に有機物を、薄膜内に長期間保持することが出来る。
(3)また、膜の引き裂きや破壊などの機械的刺激によって、ミクロ細孔を露出させることが可能であり、任意にミクロ細孔に保持されていた有機物を放出させることも出来る。
(4)更に、樹脂や紙などとの複合化する必要がないため、より簡便にフィルムやシート材として適用可能である。
(5)従って、本発明のカプセル薄膜は、保持性や徐放性、刺激応答性が要求される種々の分野に適用することが出来、例えば、芳香性包装材、鮮度保持包装材、抗菌シート、抗菌文具、薬物伝送材料などとして応用することが出来る。
次に、本発明を実施例に基づいて具体的に説明するが、本発明は、以下の実施例によって何ら限定されるものではない。
モンモリロナイト(クニミネ工業株式会社製、商品名「クニピア−F」)5gとテトラメチルアンモニウムクロリドとを、温度70℃のイオン交換水中に加え、24時間かき混ぜた後、遠心分離してテトラメチルアンモニウムを層間支柱としたモンモリロナイト(以下TMA−Mntと略記する)を得た。この際の遠心分離は、分離した溶液中に、硝酸銀試験によるクロリドイオンの反応が認められなくなるまで繰り返した。次いで、回収したTMA−Mntを風乾した。
得られたTMA−Mnt 0.3gを、減圧下150℃で3時間乾燥した。その後、1、3、及び5mg/mlのヒノキチオール−ノルマルへキサン溶液30mlを入れたテフロン(登録商標)遠心管に移して密栓し、温度40℃、攪拌速度300rpmで3日間攪拌した。攪拌後、溶液中のヒノキチオール濃度が減少したことを、可視紫外分光光度計にて確認した。TMA−Mntの色は、灰色から茶褐色に変化した。
この変化は、ヒノキチオールがTMA−Mntのミクロ細孔内に保持されたことによって起こる現象であり、イオン交換によって交換できなかったナトリウムイオンとヒノキチオールが錯形成し、その錯形成によってヒノキチオールが発色したためと推定される。このことから、TMA−Mnt中にヒノキチオールが保持された。ヒノキオールのTMA−Mntへの吸着量を、吸着前後のヒノキチオール−ノルマルへキサン溶液の濃度変化から計算したところ、それらの吸着量は、1、3、及び5mg/ml処理に対して、46mg/g、50mg/g、及び62mg/gであった。
1、3、及び5mg/ml処理で得られたヒノキチオール−TMA−Mnt複合粉体0.16gとモンモリロナイト0.04gを蒸留水10mlに懸濁し、その懸濁液を、40mlのテフロン(登録商標)製瓶の中に注ぎ入れ、30分超音波を照射した。その後、振とう器で30分間振とうした。その後、得られた分散液を、縦×横=5cm×5cmの樹脂製皿に流し入れ、50℃の乾燥器で一晩乾燥した。乾燥後、平滑な灰色の薄膜が生成した。これを樹脂皿から分離することにより、縦×横=5cm×5cmの自立薄膜を得ることが出来た。自立薄膜の色は、粉体と同様、茶褐色であった。このことは、ヒノキチオールが自立薄膜内に保持されていることを示している。
上記の自立薄膜片の抗菌力試験をJIS L 1902:2002「繊維製品の抗菌性試験方法・抗菌効果」9.定性試験(ハロー法)を参考にして行った。菌株として、大腸菌、大腸菌O157、黄色ぶどう球菌を用いた。試験の結果、調整したすべての自立薄膜にハロー(発育阻止帯)が観測された。これは、自立薄膜に抗菌性があることを示す結果であり、膜内に保持されたヒノキチオールのためである。表1に、ハローの幅について示す。
Figure 0004784914
モンモリロナイト(クニミネ工業株式会社製、商品名「クニピア−F」)5gとテトラメチルアンモニウムクロリドとを、温度70℃のイオン交換水中に加え、24時間かき混ぜた後、遠心分離してテトラメチルアンモニウムを層間支柱としたモンモリロナイト(以下TMA−Mntと略記する)を得た。この際の遠心分離は、分離した溶液中に、硝酸銀試験によるクロリドイオンの反応が認められなくなるまで繰り返した。次いで、回収したTMA−Mntを風乾した。
TMA−Mnt 0.49gとモンモリロナイト0.12gを秤量し、10mlの蒸留水に懸濁した。その懸濁液を、40mlのテフロン(登録商標)製瓶の中に注ぎ入れ、30分超音波を照射した。その後、振とう器で30分間振とうした。その後、得られた分散液を、縦×横=8cm×11cmの金属製皿に流し入れ、50℃の乾燥器で一晩乾燥した。乾燥後、割れの無い平滑な灰色の薄膜が生成した。金属皿から分離することにより、縦×横=8cm×11cmの自立薄膜を得ることが出来た。
この自立薄膜を、縦×横=3.5cm×3cmの長方形状に切り出した。その一片を、110℃に保持した乾燥器中で一晩乾燥した。乾燥後、濃度1mg/mlのヒノキチオール−へキサン溶液30mlが入ったテフロン(登録商標)遠心管中に浸漬し、密封した。その後、室温で2週間保持した。2週間後、溶液を除去し、自立薄膜を風乾した。自立薄膜の色は、灰色から茶褐色に変化した。これは、ヒノキチオールが、自立薄膜内の細孔に吸着したためである。
なお、比較として、モンモリロナイト0.3gから、縦×横=8cm×11cmの自立薄膜を形成し、更に、その薄膜から縦×横=3.5cm×3cmの長方形状を切り出し、同様の条件でヒノキチオールを吸着させた。しかしながら、自立薄膜の色は変化せず、ヒノキチオールが粘土膜内には保持されなかった。
上記のTMA−Mnt、モンモリロナイト自立薄膜片(3.5cm×3cm)の抗菌力試験をJIS L 1902:2002「繊維製品の抗菌性試験方法・抗菌効果」9.定性試験(ハロー法)を参考にして行った。菌株として、大腸菌、大腸菌O157を用いた。TMA−Mnt自立薄膜は、これらの菌の発育を抑制した。
それに対して、モンモリロナイト自立薄膜では、菌の発育は抑制されなかった。その理由として、TMA−Mnt自立薄膜では、細孔に吸着されたヒノキチオールが徐々に放出し、大腸菌や大腸菌O157に対して抗菌性を示したのに対し、モンモリロナイト自立薄膜では、ヒノキチオールが保持されず、抗菌性が発現しなかったと考えられる。
実施例1と同様の条件で、TMA−Mntを合成した。得られたTMA−Mnt 0.3gを、減圧下150℃で3時間乾燥した。その後、ノルマルへキサンに、バニリン(濃度1mg/ml)とカプサイシン(濃度3.3mg/ml)、イソチオシアン酸アリル(濃度3.3mg/ml)、2,6−ジメトキシ−1,4−ベンゾキノン(濃度1.7mg/ml)、桂皮アルコール(濃度1mg/ml)、桂皮アルデヒド(3.3mg/ml)を混合した溶液30mlをそれぞれ調製し、テフロン(登録商標)遠心管に移して密栓した後、温度40℃、攪拌速度300rpmで3日間攪拌した。
遠心分離処理を行って、溶液成分を除去した。バニリンと2,6−ジメトキシ−1,4−ベンゾキノンによって処理したTMA−Mntは、それぞれ、紫色と黄色に着色した。これらの複合粉体の比表面積と層間距離を、窒素吸着等温線測定とX線回折測定から計算した。その結果を、表2に示す。
Figure 0004784914
TMA−Mntの比表面積が、180m/gであるのに対して、バニリン、カプサイシン、2,6−ジメトキシ−1,4−ベンゾキノン、桂皮アルコール、桂皮アルデヒドによって処理したTMA−Mntの比表面積は減少した。これは、TMA−Mnt内の細孔に、これらの有機化合物が吸着したためである。
バニリン、カプサイシン、2,6−ジメトキシ−1,4−ベンゾキノン、桂皮アルコール、桂皮アルデヒド処理で得られた、TMA−Mnt複合粉体それぞれ0.16gとモンモリロナイト0.04gを蒸留水10mlに懸濁した。その懸濁液を、40mlのテフロン(登録商標)製瓶の中に注ぎ入れ、30分超音波を照射した。その後、振とう器で30分間振とうした。その後、得られた分散液を、縦×横=5cm×5cmの樹脂製皿に流し入れ、50℃の乾燥器で一晩乾燥した。乾燥後、平滑な灰色の薄膜が生成した。樹脂皿から分離することにより、縦×横=5cm×5cmの自立薄膜を得ることが出来た。
自立薄膜の色は、バニリンと2,6−ジメトキシ−1,4−ベンゾキノンの場合、粉体と同様、それぞれ紫色と黄色であった。また、自立薄膜のX線回折測定を行ったところ、その層間距離は、粉体の際の層間距離とほぼ同じであった。このことから、バニリン、カプサイシン、2,6−ジメトキシ−1,4−ベンゾキノン、桂皮アルコール、桂皮アルデヒドを保持した自立薄膜を調製できたことがわかった。
以上詳述したように、本発明は、カプセル薄膜に係るものであり、本発明により、マイクロカプセルとして有用であるオルガノピラードクレイの細孔内に機能性有機物を吸着・保持した耐熱性、徐放性カプセル薄膜を提供することが出来る。オルガノピラードクレイのミクロ細孔に吸着保持された有機物は、薄膜内に長時間保持される。また、膜の引き裂きや破壊などの機械的刺激によって、ミクロ細孔を露出させることが可能であり、それによって、任意にミクロ細孔に保持されている有機物を放出させることが出来る。本発明のカプセル薄膜は、保持性や徐放性、刺激応答性が要求される種々の分野において、例えば、芳香性包装材、鮮度保持包装材、抗菌シート、抗菌文具、薬物伝送材料などとして好適に使用することが出来る。

Claims (5)

  1. 分子を収容可能なミクロ細孔が集積、保持された自立膜構造体である、層状無機化合物の層間空隙と該空隙を保持するイオン性有機物から形成される微空間集積薄膜に、機能性有機物が収容されているカプセル薄膜であって、
    1)層状無機化合物が、スメクタイト系粘土鉱物類、又は層状ポリ珪酸であり、2)イオン性有機物が、有機アンモニウム化合物又は有機ホスホニウム化合物であり、3)該イオン性有機物が、層状無機化合物100重量部に対して、1重量部以上30重量部以下であり、4)機能性有機物が、非カチオン性又は非アニオン性の香料又は抗菌性有機物であることを特徴とするカプセル薄膜。
  2. 有機アンモニウム化合物又は有機ホスホニウム化合物に結合したアルキル基を構成する炭素原子の数が、1以上3以下である請求項1に記載のカプセル薄膜。
  3. 請求項1に記載のカプセル薄膜を製造する方法であって、層状無機化合物の層間空隙と該空隙を保持するイオン性有機物から形成される微空間集積薄膜を、機能性有機物を含んだ溶液もしくは超臨界流体中に浸漬し、溶媒を除去することにより微空間集積薄膜に、機能性有機物を収容したカプセル薄膜を製造することを特徴とするカプセル薄膜の製造方法。
  4. 微空間集積薄膜が、イオン性有機物を含む層状無機酸化物微粒子を、機能性有機物を含んだ溶液もしくは超臨界流体中に浸漬し、溶媒を除去した後、得られた複合微粒子を含む展開液を基板上に展開し、前記基板上の液膜から溶媒を除去することにより作製される微空間集積薄膜である請求項に記載のカプセル薄膜の製造方法。
  5. 請求項1又は2に記載のカプセル薄膜からなることを特徴とする機能性マイクロカプセル。
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