JP4783617B2 - 義歯床用レジン組成物 - Google Patents

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Description

本発明は、長期間使用しても口腔粘膜の発赤を引き起こし難い義歯床用レジン組成物に関する。
義歯床は人工歯を保持し口腔内に義歯を維持、安定させる役割をするものであり、義歯床用の材料としては、コバルト・クロム合金、金合金などの金属材料や、アクリル、ポリサルフォンなどのレジンが使用されているが、そのほとんどはレジンであり、中でもアクリルレジンが最も多く使用されている。
この義歯床用レジンとして多く用いられるアクリルレジンは、ラジカル重合開始剤を予め混合してあるポリマーとモノマーを混合・加熱もしくは光照射することなどにより、重合開始剤より発生した遊離ラジカルによってモノマーが重合を開始することになる。
義歯は口腔内で長く用いられ、数年から十数年にわたって使用される。アクリルレジンはこのような長期的な使用に耐えうる優れた材質で、また加工修正が行いやすいこともあり大半の義歯の義歯床として使用されているものである。
ところが、近年このようなレジン系義歯を口腔内で使用すると、一部の患者において短期間で口腔粘膜が赤く変化する症例が見られ、それに関連していくつかの検討が行われるようになった(例えば、非特許文献1参照)。原因は定かではないがレジン(特に残留モノマー)と口腔粘膜間の一種のアレルギー反応の可能性が示唆されている。
日本補綴歯科学会誌45:117−128,2001
以上の背景にあって本発明は、義歯を口腔内で使用するにあたり、一部の患者で見られるような口腔粘膜の発赤を引き起こさないための義歯床用レジン組成物を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、近年アンチエイジング材として栄養補助食品の中で注目を浴びているコエンザイムQ10に着目し、これを義歯床用レジン組成物中に含有させることで上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成させるに至った。
即ち、本発明は、ラジカル重合性単量体、重合開始剤、及びコエンザイムQ10を含んでなることを特徴とする義歯床用レジン組成物である。
具体的には、(メタ)アクリル系単量体、フィラー、重合開始剤、及びコエンザイムQ10を含んでなることを特徴とする義歯床用レジン組成物が好適に用いられる。
本発明における義歯床用レジン組成物は、ラジカル重合性単量体、重合開始剤、及びコエンザイムQ10を含むことを特徴としており、それによって作製された義歯床を用いた義歯を使用すると、口腔粘膜の発赤が抑制される効果を有する。
本発明の義歯床用レジン組成物は、ラジカル重合性単量体、重合開始剤、及びコエンザイムQ10を含んでなる重合性組成物である。
コエンザイムQ10は、化学物質名で言うと、ユビデカレノン10、もしくはユビキノン10であり、身体を形作る細胞に必ず含まれているビタミンに似た成分である。発見されて働きが解明されたのはごく最近のことで、人間が生きて行くために必要なエネルギーを作り出すのを助ける働きがあり、また、強い抗酸化作用を有している。全身に60兆個もある細胞の一つ一つを活性化して、エネルギーを生み出すのに不可欠な栄養素として注目され、肥満防止、減量等のサプリメントとして広く利用されている他、代謝性強心薬として、軽度及び中程度のうっ血性心不全等の疾患の症状改善に適用されている。さらに、老化防止、筋肉疲労の回復に対する有効性も報告されており、健康食品素材としても注目されている。
コエンザイムQ10はすでに市販されているものであり、容易に入手することが可能である。その形態として粉末状、水溶性処理粉末、溶液などがあり、混合できるものであればその形態は問わない。
本発明の義歯床用レジン組成物におけるコエンザイムQ10の含有量は、本組成物によって作製された義歯床の物性を損なわない範囲であれば、何ら制限はないが、本発明における効果を、より効果的に発揮させるためにはラジカル重合性単量体100重量部に対して0.1重量部以上であることが好ましい。またコエンザイムQ10は黄色又は橙色結晶であることから義歯床の色調に影響の少ない範囲で35重量部以下であることが好ましい。最も好ましくは、0.5〜25重量部の範囲である。
本発明中の義歯床用レジン組成物におけるラジカル重合成単量体はラジカル反応により重合反応を起こすものであれば何ら制限なく使用することが可能である。このようなラジカル重合性単量体として、エチレン系単量体、塩化ビニル系単量体、酢酸ビニル系単量体、スチレン系単量体、ビニルアミン系単量体、ビニルアミド系単量体、(メタ)アクリル系単量体、(メタ)アクリルアミド系単量体、フマル酸系単量体、ブタジエン系単量体、カーボネート系単量体、エステル系単量体等が例示されるが、中でも、口腔粘膜との親和性がよく、本発明の効果も顕著であることから(メタ)アクリレート系重合性単量体が好適に用いられる。
使用される(メタ)アクリル系重合性単量体としては、一般に歯科用修復材料で使用可能な公知の(メタ)アクリル系重合性単量体が何ら制限なく使用できる。このような重合性単量体の具体例としては下記イ)〜ニ)に示される各モノマーが挙げられる。
イ)単官能性(メタ)アクリル系重合性単量体
メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、イソプロピルメタクリレート、ヒドロキシエチルメタクリレート、テトラヒドロフルフリルメタクリレート、グリシジルメタクリレート等のメタクリレート、およびこれらのメタクリレートに対応するアクリレート;あるいはアクリル酸、メタクリル酸、p−メタクリロイルオキシ安息香酸、N−2−ヒドロキシ−3−メタクリロイルオキシプロピル−N−フェニルグリシン、4−メタクリロイルオキシエチルトリメリット酸、及びその無水物、6−メタクリロイルオキシヘキサメチレンマロン酸、10−メタクリロイルオキシデカメチレンマロン酸、2−メタクリロイルオキシエチルジハイドロジェンフォスフェート、10−メタクリロイルオキシデカメチレンジハイドロジェンフォスフェート等。
ロ)二官能性(メタ)アクリル系重合性単量体
(I)芳香族化合物系のもの
2,2−ビス(メタクリロイルオキシフェニル)プロパン、2,2−ビス〔4−(3−メタクリロイルオキシ)−2−ヒドロキシプロポキシフェニル〕プロパン(以下、bis−GMAと略記する)、2,2−ビス(4−メタクリロイルオキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−メタクリロイルオキシポリエトキシフェニル)プロパン(以下、D−26Eと略記する)、2,2−ビス(4−メタクリロイルオキシジエトキシフェニル)プロパン)、2,2−ビス(4−メタクリロイルオキシテトラエトキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−メタクリロイルオキシペンタエトキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−メタクリロイルオキシジプロポキシフェニル)プロパン、2(4−メタクリロイルオキシジエトキシフェニル)−2(4−メタクリロイルオキシジエトキシフェニル)プロパン、2(4−メタクリロイルオキシジエトキシフェニル)−2(4−メタクリロイルオキシジトリエトキシフェニル)プロパン、2(4−メタクリロイルオキシジプロポキシフェニル)−2−(4−メタクリロイルオキシトリエトキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−メタクリロイルオキシプロポキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−メタクリロイルオキシイソプロポキシフェニル)プロパンおよびこれらのメタクリレートに対応するアクリレート;2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、3−クロロ−2−ヒドロキシプロピルメタクリレート等のメタクリレートあるいはこれらのメタクリレートに対応するアクリレートのような−OH基を有するビニルモノマー等。
(II)脂肪族化合物系のもの
エチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート(以下、3Gと略記する)、ブチレングリコールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、プロピレングリコールジメタクリレート、1,3−ブタンジオールジメタクリレート、1,4−ブタンジオールジメタクリレート、1,6−ヘキサンジオールジメタクリレートおよびこれらのメタクリレートに対応するアクリレート;2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、3−クロロ−2−ヒドロキシプロピルメタクリレート等のメタクリレートあるいはこれらのメタクリレートに対応するアクリレートのような−OH基を有するビニルモノマー、無水アクリル酸、無水メタクリル酸、1,2−ビス(3−メタクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)エチル、ジ(2−メタクリロイルオキシプロピル)フォスフェート等。
ハ)三官能性(メタ)アクリル系重合性単量体
トリメチロールプロパントリメタクリレート、トリメチロールエタントリメタクリレート、ペンタエリスリトールトリメタクリレート、トリメチロールメタントリメタクリレート等のメタクリレートおよびこれらのメタクリレートに対応するアクリレート等。
ニ)四官能性(メタ)アクリル系重合性単量体
テトラメチロールメタンテトラメタクリレート、ペンタエリスリトールテトラメタクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレートおよびこれらのメタクリレートに対応するアクリレート等。
これらの重合性単量体を単独あるいは2種類以上組み合わせて用いることができる。
本発明で使用される重合開始剤としては、加熱又は光照射によりラジカルを発生させるものであれば何ら制限なく使用できる。さらに第3級アミン等との接触により室温条件下でラジカルを発生しうるものであってもよい。
加熱もしくは第3級アミンとの接触によりラジカルを発生させる物質として有機過酸化物が例示される。代表的な有機過酸化物を具体的に例示すると、ベンゾイルパーオキサイド、2,4−ジクロロベンゾイルパーオキサイド、ジラウロイルパーオキサイド等が挙げられる。
これら有機過酸化物の好適な使用量は、用いられる有機過酸化物の種類によって異なるため一概に限定できないが、ラジカル重合性単量体100重量部に対して、好ましくは0.05〜5重量部、さらに好ましくは0.1〜3重量部の範囲である。
またこれら有機過酸化物と接触してラジカルを発生させるための第3級アミンとしては公知の化合物が特に制限されず使用される。好適に使用される第3 級アミン化合物を具体的に例示すると、N,N−ジメチルアニリン、N,N−ジエチルアニリン、N,N−ジプロピルアニリン、N,N−ジブチルアニリン、N−メチル,N−β−ヒドロキシエチルアニリン等のアニリン類、N,N−ジメチル−p−トルイジン、N,N−ジエチル−p−トルイジン、N,N−ジプロピル−p−トルイジン、N,N−ジブチル−p−トルイジン、p−トリルジエタノールアミン、p−トリルジプロパノールアミン等のトルイジン類、N,N−ジメチル−アニシジン、N,N−ジエチル−p−アニシジン、N,N−ジプロピル−p−アニシジン、N,N−ジブチル−p−アニシジン等のアニシジン類、N−フェニルモルフォリン、N−トリルモルフォリン等のモルフォリン類、ビス( N,N−ジメチルアミノフェニル)メタン、ビス(N,N−ジメチルアミノフェニル)エーテル等が挙げられる。これらのアミン化合物は、塩酸、リン酸、酢酸、プロピオン酸等の有機酸などとの塩として使用してもよい。上記第3級アミン化合物の内、重合活性が高く、なおかつ低刺激、低臭という観点から、N,N−ジエチル−p−トルイジン、N,N−ジプロピル−p−トルイジン、p−トリルジエタノールアミン、p−トリルジプロパノールアミンが好適に使用される。
第3級アミン化合物の使用量は全ラジカル重合性単量体100重量部に対して、好ましくは0.05〜5重量部、さらに好ましくは0.1〜3重量部の範囲である。
上記、有機過酸化物と第3級アミン化合物の組合せのうち、好適なものを具体的に例示すると、ベンゾイルパーオキサイド/N,N−ジエチル−p−トルイジン、ベンゾイルパーオキサイド/N,N−ジプロピル−p−トルイジン、ベンゾイルパーオキサイド/p−トリルジエタノールアミン、ベンゾイルパーオキサイド/p−トリルジプロパノールアミン等の組合せが挙げられる。中でも、第3級アミン化合物をラジカル重合性単量体と混合した状態で長期保存が必要となる場合には、保存安定性の観点からベンゾイルパーオキサイド/N, N−ジエチル−p−トルイジン、ベンゾイルパーオキサイド/N,N−ジプロピル−p−トルイジンの組合せが最も好ましい。
また、光重合開始剤としてはα-ジケトン−還元剤、ケタール−還元剤、チオキサントン−還元剤などの公知の開始剤系が好ましく用いられる。A−ジケトンとしてはカンファーキノン、ベンジル、2,3−ペンタジオン、3,4−ヘプタジオンなどを挙げることができる。ケタールとしてはベンジルジメチルケタール、ベンジルジエチルケタール、ベンジル(2−メトキシエチルケタール)などを挙げることができる。チオキサントンとしてはチオキサントン、2,4−ジメチルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2−クロロチオキサントンなどを挙げることができる。光重合開始剤の一成分としての還元剤は、2−(ジメチルアミノ)エチルメタクリレート、4−ジメチルアミノ安息香酸エチル、N−メチルジエタノールアミンなどの第3級アミン類、ラウリルアルデヒド、ジメチルアミノベンズアルデヒド、テレフタルアルデヒドなどのアルデヒド類、2−メルカプトベンゾオキサゾール、1−デカンチオール、チオサルチル酸、チオ安息香酸などを挙げることができる。
これら光重合開始剤の好適な使用量は、用いられる光重合開始剤の種類によって異なるため一概に限定できないが、ラジカル重合性単量体100重量部に対して、好ましくは0.05〜5重量部、さらに好ましくは0.1〜3重量部の範囲である。
本発明における義歯床用レジン組成物は、該組成物を用いて作製した義歯床の強度を向上させるためにフィラーを含有することが好ましい。該フィラーは、有機フィラーであっても無機フィラーであっても良い。
本発明で用いられる有機フィラーとしては例えばポリ( メタ) アクリレート、ポリカーボネート、ポリエステルのごとき一般的に入手可能な樹脂重合体が制限なく用いられる。一般に化学的安定性、透明性などの点で、ポリメチルメタアクリレート、ポリエチルメタアクリレート、ポリブチルメタアクリレート、ポリスチレンおよびそれらの共重合体の粉末が好適に使用される。中でも、ポリメチルメタクリレート及びエチルメタアクリレートは安価で且つ取り扱いが容易であることから特に好適である。
また本発明で用いられる無機フィラーの種類は特に制限されるものではなく、一般的な樹脂組成物に添加されている補強材、充填材の中から選択することが可能である。具体的に例示すると、炭酸カルシウム、硫酸カルシウム、酸化マグネシウム、炭酸バリウム、硫酸バリウム、酸化チタン、チタン酸カリウム、チタン酸バリウム、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、硅石粉末、ガラス粉末、珪藻土、シリカ、珪酸カルシウム、タルク、アルミナ、ベントナイト、ゼオライト、カオリンクレー、マイカ、石英ガラスなどが挙げられる。取扱の容易さ、液材とのなじみ、唾液への溶解性(溶出)等の観点からシリカやアルミナが好適に用いられる。
該有機又は無機フィラーの粒径は特に限定されるものではないが、練和性の観点から体積平均粒子径が100μm以下のものが好ましく、40μm以下のものがより好ましい。むろん、材質や平均粒径等の異なる2種以上の有機又は無機フィラーを併用しても構わない。
上記有機又は無機フィラーは、本発明の効果を妨げない範囲であれば特に制限なく加えることが可能であるが、少なすぎると作製された義歯床の強度が低いことがあり、また多すぎると義歯床を作製する際に均一に混合しづらくなることがあることから、ラジカル重合性単量体100重量部に対して、1〜300質量部であることが好ましく、10〜250質量部であることがより好ましい。
本発明における義歯床とは、義歯において人工歯を保持し、口腔粘膜と直接接する部分を意味している。義歯そのものにおける、上記口腔粘膜と直接接する部分だけでなく、口腔内で使用中に不適合になった義歯に対して、その義歯床部分に裏装する補修用材料、例えば義歯床裏装材や粘膜調整材も本発明中の義歯床に含まれる。
本発明における義歯床用レジン組成物は、その形態に特に制限はなく、粉液型、ペースト/ペースト型、シングルペースト型などいずれでも構わない。通常の義歯床用レジン組成物は粉液型が主流であり、重合開始剤及び有機又は無機フィラーを主成分とする粉成分と、ラジカル重合性単量体を主成分とする液成分とで構成される。これらは使用時に所定量の粉成分と液成分とを混合・練和して用いられている。
本発明中のコエンザイムQ10の義歯床用レジン組成物に対する混合方法に何ら制限はなく公知の方法を任意に用いることができる。コエンザイムQ10は製品によって粉末も溶液もあるため、その使用する製品形態によって使い分ければよい。
義歯床の作製は、公知の方法で作製することができる。例えば患者の口腔内の印象を採得して石こう模型を作製した後、その石こう模型上で歯科用ワックス等を用いて義歯床部を形成し、咬合器にセットして人工歯の配列を行って蝋義歯を作製し、その後、蝋義歯をそのまま埋没用石こうでフラスコ内に埋没し、熱湯等でワックス部分を流蝋して義歯床部分の空洞を埋没材中に形成させた後、義歯床用レジン組成物の粉成分と液成分とを計量し、スパチュラなどで混和・練和して餅状とした後、埋没用石こう中に形成した空洞内に填入し、その後、重合硬化させ、冷却して掘り出し、形態修正・研磨を行う手順で行われている。
なお、本発明の義歯床用レジン組成物には、本発明の効果を阻害しない範囲内で、顔料や香料等の添加剤を添加することもできる。
以下に実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。各実施例、比較例における使用材料は以下の通りである。
(1)ラジカル重合性単量体
・メチルメタクリレートモノマー(MMAと略す。和光純薬製)
・1,9−ノナンジオールジメタクリレート(NDと略す。アルドリッチ製)
・β−メタクリロイルオキシエチルプロピオネート(HPrと略す。新中村化学製)
(2)重合開始剤
・過酸化ベンゾイル(BPOと略す。川口化学製)
・ジエチル−p−トルイジン(PEATと略す。純正化学製)
(3)有機フィラー
・ポリメチルメタクリレート(PMMAと略す。根上工業製)
・ポリエチルメタクリレート(PEMAと略す。根上工業製)
(4)コエンザイムQ10(日清製)
(5)市販義歯床レジン組成物
・アクロン(ジーシー製)
・トクヤマリベースII(トクヤマデンタル製)
実施例1
市販の義歯床レジン組成物を用いて作製された義歯床を含む義歯を口腔内で使用した結果、口腔粘膜が赤く変化した特定患者3名に対して、その義歯の使用を中止し、口腔粘膜の発赤が治まるまで待った後、表1の組成の義歯床レジン組成物で作製した義歯床を含む義歯を1週間使用した。
そのときの口腔粘膜の変化の有無を次の3段階で評価した。
A: いずれの患者でも発赤は見られなかった。
B: 1人の患者でわずかに発赤が見られた。
C: 複数の患者で発赤が見られた。
なお義歯床の作製方法は以下のとおりである。
患者の口腔内の印象を採得して石こう模型を作製した後、その石こう模型上で歯科用ワックス等を用いて義歯床部を形成し、咬合器にセットして人工歯の配列を行って蝋義歯を作製し、その後、蝋義歯をそのまま埋没用石こうでフラスコ内に埋没し、熱湯等でワックス部分を流蝋して義歯床部分の空洞を埋没材中に形成させた後、義歯床用レジン組成物の粉成分と液成分とを計量し、スパチュラなどで混和・練和して餅状とした後、埋没用石こう中に形成した空洞内に填入し、その後、重合硬化させ、冷却して掘り出し、形態修正・研磨を行い完成させた。
結果を表1に示した。
表1に示したように、本組成で作製した義歯を使用した場合には、前段階で発症していた口腔粘膜の発赤がいずれの患者においてもまったく見られなかった。
以上の結果より、コエンザイムQ10を含むことにより口腔粘膜の発赤を抑えることができることが示唆された。
実施例2〜3
実施例1における口腔粘膜の発赤が治まった特定患者3名に対して、表1に示したように、コエンザイムQ10含有量を変化させた義歯床用レジン組成物を用いて作製した義歯を使用して実施例1と同様に評価した。結果を表1に示した。
表1に示したように、ともに口腔粘膜が大きく発赤することなく良好な口腔粘膜の状態を保っていることがわかった。ただし、コエンザイムQ10の含有量をラジカル重合性単量体100重量部に対して0.05重量部に減らした実施例3では、1人の患者において周辺部分でごくわずかであるが赤く変化していた部分が観察された。
実施例4
実施例1において口腔粘膜の発赤を引き起こした義歯床に対して、口腔粘膜に接する面をカーバイトバーで一層削除した後、表1に示した義歯床用レジン組成物を塗布した後、直接裏装法(組成物が硬化する前のペースト状態のうちに口腔粘膜に印加してそのまま硬化させ、新たな義歯床面を作製する方法)にて義歯床を作製し、実施例1と同様にして評価した。その結果を表1に示した。
表1に示したように、本組成で作製した義歯を使用した場合には、前段階で発症していた口腔粘膜の発赤がまったく見られず、良好な結果を有していた。
以上の結果より、直接裏装によって作製された義歯床においてもコエンザイムQ10を含んでいることで口腔粘膜の発赤が抑えられることが示唆された。
比較例1
実施例1における口腔粘膜の発赤が治まった特定患者3名に対して、アクロンを用いてその取扱説明書に指示された方法にて作製した義歯床を含む義歯を使用し、実施例1と同様にして評価した。その結果を表1に示した。
表2に示したように、再び口腔粘膜の発赤が観察されており、実施例1と異なりまったく改善されていないことが示唆された。
比較例2
実施例1における口腔粘膜の発赤が治まった特定患者3名に対して、市販のトクヤマリベースIIを用いてその取扱説明書に指示された方法に基づき直接裏装法にて作製した義歯床を含む義歯を使用し、実施例1と同様にして評価した。その結果を表1に示した。
表1に示したように、再び口腔粘膜の発赤が観察されており、実施例1と異なりまったく改善されていないことが示唆された。
比較例3
実施例4における義歯床用レジン組成物からコエンザイムQ10を除いた組成物で、実施例4と同様にして直接裏装法にて作製した義歯床を含む義歯を用いて評価した。その結果を表1に示した。
表1に示したように、再び口腔粘膜の発赤が観察されており、実施例4と異なりまったく改善されていないことが示唆された。
Figure 0004783617

Claims (4)

  1. ラジカル重合性単量体、重合開始剤、及びコエンザイムQ10を含んでなることを特徴とする義歯床用レジン組成物。
  2. ラジカル重合性単量体が(メタ)アクリル系単量体であることを特徴とする請求項1記載の義歯床用レジン組成物。
  3. さらに、フィラーを含んでなることを特徴とする請求項1又は請求項2記載の義歯床用レジン組成物。
  4. 請求項1〜3のいずれかの一項に記載の義歯床用レジン組成物を用いて作製した義歯床。
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